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特開2024-54097モジュール式バッテリシステムとその動作方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054097
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】モジュール式バッテリシステムとその動作方法
(51)【国際特許分類】
   H02J 1/00 20060101AFI20240409BHJP
   H02H 7/00 20060101ALI20240409BHJP
   H02H 5/04 20060101ALI20240409BHJP
   H02J 7/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
H02J1/00 309R
H02J1/00 304H
H02J1/00 306L
H02H7/00 A
H02H7/00 L
H02H5/04 120
H02J7/00 S
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023172156
(22)【出願日】2023-10-03
(31)【優先権主張番号】2033222
(32)【優先日】2022-10-04
(33)【優先権主張国・地域又は機関】NL
(71)【出願人】
【識別番号】523377601
【氏名又は名称】ストーム グループ ベイ フェイ
【氏名又は名称原語表記】STORM Group B.V.
【住所又は居所原語表記】Automotive Campus 80 5708 JZ Helmond Nederland
(74)【代理人】
【識別番号】110001933
【氏名又は名称】弁理士法人 佐野特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウォード セートセン
(72)【発明者】
【氏名】エドガー ローレンス クリストフ エヴァリース ヴァン メーガン
【テーマコード(参考)】
5G053
5G165
5G503
【Fターム(参考)】
5G053AA01
5G053AA05
5G053CA01
5G053EC01
5G053EC06
5G165BB05
5G165EA02
5G165HA01
5G165HA16
5G165KA05
5G165LA01
5G165MA09
5G165NA02
5G165NA10
5G503BA01
5G503BB01
5G503DA02
5G503FA16
5G503GA10
(57)【要約】      (修正有)
【課題】バッテリの出力電圧が急増した際に発生するアークによる接点破壊を防ぐ調節可能な直流電圧出力を提供するモジュール式バッテリシステム及び方法を提供する。
【解決手段】モジュール式バッテリシステム1は、プリチャージコンタクタ5と、PTCプリチャージ抵抗器7と、を有するプリチャージユニット3を備える。PTC(正温度係数)プリチャージ抵抗器は、自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加する正温度係数を有する。プリチャージユニットは、PTCプリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するオプトカプラ9を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するためのモジュール式バッテリシステムであって、
前記モジュール式バッテリシステムが、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを有するプリチャージユニットを備え、前記プリチャージ抵抗器は、自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されており、
前記プリチャージユニットが、前記プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するように構成されたオプトカプラを備える、モジュール式バッテリシステム。
【請求項2】
前記オプトカプラが、パワーアップ手順中に前記プリチャージユニットを使用する準備的なプリチャージモードが成功したとみなされる電圧差閾値を超えたかどうかを検出するように構成されている、請求項1に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項3】
前記オプトカプラの発光素子によって放出される光に基づいて前記プリチャージコンタクタを適切に動作させることによってプリチャージを止めるように構成されている、請求項1に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項4】
前記モジュール式バッテリシステムが、前記オプトカプラによって放出される光を監視するための光センサを備え、
前記モジュール式バッテリシステムは、前記オプトカプラの前記発光素子からの光が前記光センサによって検出されなくなるとプリチャージを停止するように構成されている、請求項3に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項5】
前記オプトカプラが、前記プリチャージ抵抗器と並列に配置されている回路に配置されている、請求項1に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項6】
前記回路が、プリチャージ中に前記オプトカプラを通る電流が所定の閾値を超えないことを保証するように構成されている、請求項5に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項7】
前記回路が、第1抵抗器(R1)と、第2抵抗器(R2)と、前記プリチャージ抵抗器の両端間の既定の電圧差に対して前記オプトカプラを通る前記電流を制限するように構成されたツェナーダイオードと、を備える、請求項5に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項8】
前記回路が、前記プリチャージコンタクタと前記プリチャージ抵抗器との間の第1のノードに接続された第1線路と、前記プリチャージ抵抗器と前記モジュール式バッテリシステムの前記出力との間の第2のノードに接続された第2線路と、を有し、前記出力が前記電気負荷に接続可能であり、
前記第1線路が前記第1抵抗器(R1)に接続され、前記第1抵抗器(R1)が前記第2抵抗器(R2)に接続され、前記第2抵抗器(R2)が前記オプトカプラのアノードに接続され、
前記第2線路が、前記オプトカプラのカソードに接続され、
前記ツェナーダイオードが、前記第1抵抗器(R1)と前記第2抵抗器(R2)との間の中間ノードに前記第2線路を接続する線路に配置され、
前記ツェナーダイオードのカソードが前記中間ノードに接続されている、請求項7に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項9】
前記モジュール式バッテリシステムが、前記回路と同じ構成を有する補助回路を備え、
前記補助回路の補助第1線路が、前記プリチャージ抵抗器と前記モジュール式バッテリシステムの前記出力との間の前記第2のポイントノードに接続され、
前記補助回路の補助第2線路が、前記プリチャージコンタクタと前記プリチャージ抵抗器との間の前記第1のポイントノードに接続されている、請求項8に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項10】
前記モジュール式バッテリシステムが、前記モジュール式バッテリシステムのエネルギー貯蔵ユニットが出力に電気的に接続される閉状態と、前記エネルギー貯蔵ユニットと前記出力との間の前記電気的接続が前記コンタクタによって遮断される開状態と、の間で切り替え可能なメインコンタクタを含み、
プリチャージ中、前記メインコンタクタは開状態にあり、
前記オプトカプラによって放出される光に基づいて前記準備的なプリチャージモードを停止するために、前記メインコンタクタが閉状態に切り替えられ、前記プリチャージコンタクタが開かれる、請求項3に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項11】
前記プリチャージ抵抗器がPTC(正温度係数)抵抗器である、請求項1に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項12】
前記モジュール式バッテリシステムがいくつかのバッテリモジュールの連なりを有し、各バッテリモジュールが少なくとも1つの充電式バッテリセルを含み、
前記モジュール式バッテリシステム内のバッテリモジュールの数及び/又はモジュール式バッテリシステム内の前記バッテリモジュールの配置は融通性がある、請求項1に記載のモジュール式バッテリシステム。
【請求項13】
プリチャージコンタク調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するように構成されたモジュール式バッテリシステムのパワーアップ手順中に準備的なプリチャージモードを実行する方法であって、
プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを含むプリチャージユニットであって、前記プリチャージ抵抗器が自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されている、プリチャージユニットを提供することと、
前記プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するためのオプトカプラを前記プリチャージユニットに備えることと、
を含む、方法。
【請求項14】
請求項1~12のうちのいずれか1項に記載のモジュール式バッテリシステムを少なくとも1つ含む、電気システム又は電気デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するためのモジュール式バッテリシステムに関し、該システムはプリチャージユニットを備えている。本発明はまた、モジュール式バッテリシステムのパワーアップ手順中に準備的なプリチャージモードを実行する方法に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのモジュール式バッテリシステムを含む電気システム又は電気デバイスに関する。
【背景技術】
【0002】
バッテリは様々な用途に使用される。モジュール式バッテリシステムは設計の柔軟性を大幅に改善することができる。モジュール式バッテリシステムは複数のバッテリモジュールを有し得る。バッテリモジュールは取り外し可能に配置することもでき、したがって、接続するバッテリモジュールの数を、例えば必要や用途に応じて増減させることができる。また、バッテリモジュールは必要に応じて容易に交換可能である。
【0003】
バッテリが始動されると、出力電圧が負荷に供給される。バッテリの出力電圧は、ゼロから、生成された出力電圧に急増する。抵抗負荷は電流を制限することができる。しかしながら、負荷がコンデンサを有する場合、バッテリの始動時に電流が大きくなりすぎることがある。バッテリシステムは、コンデンサを可能な限り迅速に充電するために、供給可能な最大電流を供給する。大電流は、アークの形成など有害な影響を及ぼし、バッテリシステムの1つ以上の構成要素を損傷することさえあり得る。例えば、発生したアークは、非常に高い温度のために接点を破壊させることがある。また、大きな電流サージ(例えば、バッテリシステムに設定された電流の10倍超、又はさらには50倍超)が構成要素を破壊したり、より早期に摩耗させたりすることさえあり、これによりバッテリシステムの予想寿命が短くなる可能性がある。サージは、負荷に損傷をもたらす可能性さえもあり、例えば、コンデンサの構成要素が破裂し、これにより安全上の危険を生じることがある。
【0004】
このような大電流を防止するために、プリチャージ回路を用いるのが一般的な慣例である。バッテリシステムの電圧出力を負荷に供給するためにメインコンタクタが閉じられる前に、プリチャージコンタクタが閉じられる。プリチャージコンタクタは、電流を調整するための抵抗器を直列に有する。このようにして、例えば極端に高い電流を生じさせることなく、コンデンサをよりゆっくりと充電することができる。プリチャージが完了すると、メインコンタクタを閉じることができる。
【0005】
しかしながら、モジュール式バッテリシステムは、可変出力電圧を有し得る。そのため、プリチャージ回路内の事前構成された抵抗器が、モジュール式バッテリシステムが供給できる特定の出力電圧に対して不適当な場合がある。例えば、プリチャージに時間がかかりすぎることがある(参照:抵抗値が高すぎるプリチャージ抵抗器)。他の場合には、過熱が発生することがあり、これにより、ハードウェアの損傷及び/又は安全性の問題(例えば、火災の危険、爆発等)が生じる可能性がある。
【0006】
PTC(正温度係数)サーミスタは、温度上昇の関数として抵抗値が増加する抵抗器である。場合によっては、PTCはプリチャージ回路に使用される。電圧が高いほど、PTCが熱くなり、抵抗値は希望通り自動的に増加する。プリチャージの確認は電流測定によって実行される。但し、PTCの場合のように抵抗器が可変値を有する場合、プリチャージ抵抗器の両端の電圧差の確認に電流測定を当てにすることができない。さらに、絶縁状態での電圧測定は高くつき、また、電圧が高いほど大きい。
【0007】
可変電圧出力範囲及び/又は未知の出力容量を有するモジュール式バッテリシステムにおけるプリチャージソリューションを改善する必要がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明の目的は、上述の欠点のうちの少なくとも1つを解消する方法及びシステムを提供することである。
【0009】
これに加えて又はこれに代えて、本発明の目的は、モジュール式バッテリシステムの設計を改善することである。
【0010】
これに加えて又はこれに代えて、本発明の目的は、改善されたプリチャージを備えたモジュール式バッテリシステムを提供することである。
【0011】
これに加えて又はこれに代えて、本発明の目的は、モジュール式バッテリシステムの動作の安全性を増進させることである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
それに加え、本発明の一態様は、調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するためのモジュール式バッテリシステムであって、モジュール式バッテリシステムが、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを有するプリチャージユニットを備え、プリチャージ抵抗器は、自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されており、プリチャージユニットが、プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するように構成されたオプトカプラを備える、モジュール式バッテリシステムを提供する。
【0013】
本発明の一態様は、プリチャージのための改善された電圧測定を提供する。モジュール式バッテリシステムは、広い出力電圧範囲、大きな電力要求変動、及び/又は未知の出力容量でプリチャージを実行することができる。該システムは、比較的高い出力電圧(例えば、1000V)であっても、安全且つ絶縁した様式でプリチャージが実行されることをより良く保証することができる。
【0014】
電流は磁場測定によって測定できる(すなわち、絶縁できる)ので、電流の測定に物理的な電気接続を必要としない。しかしながら、プリチャージ抵抗器は、自身の温度が少なくとも所定の温度範囲内で上昇するにつれて自身の電気抵抗が増加する(すなわち、少なくとも既定の温度範囲内で温度の関数として抵抗値が変化する)ように構成されているので、プリチャージが完了したかどうかを識別するために電流測定を実行することが適切でないことがある。これは、固定プリチャージ抵抗器には適しているが、可変電圧出力を有するモジュール式バッテリシステムに使用される可変抵抗プリチャージ抵抗器には適していない。例えば、プリチャージ抵抗器が比較的高い温度まで上昇すると、電流は急激に減少する。しかしながら、システムがまだプリチャージされていない場合がある。本開示によるシステム及び方法では、オプトカプラを使用したプリチャージ抵抗器の電圧測定を採用する。これは、プリチャージの状態に関する正確な指標を提供する。さらに、有利なことに、オプトカプラを使用してプリチャージ抵抗器の両端間の電圧の指標を測定することにより、電圧測定を実行するために(外部の)電源(例えば、バッテリ)を必要としない。絶縁状態での電圧測定は、通常、絶縁の両側に電圧供給を必要とする。オプトカプラ測定もまた、絶縁の入力/測定側ではなく、絶縁の出力側のみに、電圧供給(参照:電源)を必要とする。頑丈で費用効果の高い設計が有利に得られる。
【0015】
任意選択的に、オプトカプラは、パワーアップ手順中にプリチャージユニットを使用した準備的なプリチャージモードが成功したとみなされる電圧差閾値を超えたかどうかを検出するように構成される。
【0016】
プリチャージは、プリチャージ抵抗器の両端間の(閾値)電圧がオプトカプラを用いて検出される限り、まだ完了していない。オプトカプラは、プリチャージ段階が成功したとみなされる電圧差閾値を検出するように構成することができる。例えば、プリチャージ抵抗器の両端間の電圧差が電圧差閾値よりも小さいとき、プリチャージユニットを使用した準備的なプリチャージモードは成功したとみなされ得る。これは、オプトカプラを使用して効果的に示すことができる。有利なことに、プリチャージ回路装置は費用効果の高い様式で実装することができる。さらに、本発明の一態様は、大きな出力電圧範囲に対して有効に働き得るシンプルな設計を提供する。
【0017】
任意選択的に、システムは、オプトカプラの発光素子によって放出される光に基づいてプリチャージコンタクタを適切に動作させることによってプリチャージを止めるように構成される。
【0018】
プリチャージ抵抗器の両端に電圧が存在する場合、電流がオプトカプラに向かって流れ、オプトカプラの発光ダイオード(LED)が活性化され、これはセンサによって検出することができる。
【0019】
任意選択的に、システムは、オプトカプラによって放出される光を監視するための光センサを備え、システムは、オプトカプラの発光素子からの光が光センサによって検出されなくなるとプリチャージを停止するように構成される。
【0020】
例えば、オプトカプラのLEDが消灯していることが光センサによって検出されたとき、システムは正常にプリチャージされており、メインコンタクタを閉じることができる。様々なタイプの感光センサを使用することができる。
【0021】
任意選択的に、オプトカプラは、プリチャージ抵抗器に並列な回路に配置される。
【0022】
これにより、シンプルな設計がもたらされる。また、この回路は、既存の設計に容易に組み込むことができるデバイスに組み込むことができる。
【0023】
任意選択的に、回路は、プリチャージ中にオプトカプラを通る電流が所定の閾値を超えないことを保証するように構成される。
【0024】
任意選択的に、回路は、第1抵抗器(R1)と、第2抵抗器(R2)と、プリチャージ抵抗器の両端間の既定の電圧差に対してオプトカプラを通る電流を制限するように構成されたツェナーダイオードと、を備える。
【0025】
オプトカプラを通る電流は、特に、より高い電圧差で制限され得る。
【0026】
ツェナーダイオードを有する回路は必須ではないことが理解されるであろう。また、比較的高い電圧差においてオプトカプラを通る電流を制限するための(例えば、制御されたスイッチを使用する)等価な装置又は回路を提供することも可能である。
【0027】
任意選択的に、回路が、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器との間の第1のノード(参照:ポイント)に接続された第1線路と、プリチャージ抵抗器とシステムの出力との間の第2のノードに接続された第2線路と、を有し、出力が電気負荷に接続可能であり、第1線路が第1抵抗器(R1)に接続され、第1抵抗器(R1)が第2抵抗器(R2)に接続され、第2抵抗器(R2)がオプトカプラのアノードに接続され、第2線路がオプトカプラのカソードに接続され、ツェナーダイオードが、第1抵抗器(R1)と第2抵抗器(R2)との間の中間ノードに第2線路を接続する線路に配置され、ツェナーダイオードのカソードが中間ノードに接続される。
【0028】
回路内の第1抵抗器(R1)、第2抵抗器(R2)、及びツェナーダイオードは、オプトカプラの両端の電圧及びオプトカプラを通る電流が所定の最大値を超えないことを確保するように構成されている。このようにして、オプトカプラの損傷を防止することができる。モジュール式バッテリシステムの安全性を向上させることができる。
【0029】
プリチャージ抵抗器の両端間の電圧差によってR1及びR2を通る電流が発生し、オプトカプラによって検出される。
【0030】
任意選択的に、システムが回路と同じ構成を有する補助回路を備え、補助回路の補助第1線路が、プリチャージ抵抗器とシステムの出力との間の第2のポイントノードに接続され、補助回路の補助第2線路が、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器との間の第1のポイントノードに接続されている。
【0031】
有利なことに、補助回路は一方向の電圧を測定するために使用することができ、出力が入力よりも高い電圧を有する場合(例えば、同じバス上にいくつかのバッテリパックがある場合)、メインコンタクタが閉じられる前に効率的にこれを検出することができる。
【0032】
任意選択的に、補助回路が、第2のポイントノードに接続された補助第1線路と、第1のポイントノードに接続された補助第2線路と、を含み、補助第1線路が補助第1抵抗器(R1)に接続され、補助第1抵抗器(R1)が補助第2抵抗器(R2)に接続され、補助第2抵抗器(R2)が補助オプトカプラのアノードに接続され、補助第2線路が補助オプトカプラのカソードに接続され、補助ツェナーダイオードが、補助第2線路を補助第1抵抗器(R1)と補助第2抵抗器(R2)との間の中間ポイントノードに接続する線路に配置され、補助ツェナーダイオードのカソードが中間ポイントノードに接続される。
【0033】
任意選択的に、モジュール式バッテリシステムは、エネルギー貯蔵ユニットが出力に電気的に接続される閉状態と、エネルギー貯蔵ユニットと出力との間の電気的接続が前記コンタクタによって遮断される開状態と、の間で切り替え可能なメインコンタクタを含み、プリチャージ中、メインコンタクタは開状態にあり、オプトカプラによって放出される光に基づいて準備的なプリチャージモードを停止するために、メインコンタクタが閉状態に切り替えられ、プリチャージコンタクタが開かれる。
【0034】
メインコンタクタは、回路のオプトカプラ及び/又は補助回路のオプトカプラによって放出された被検出光に基づいて切り替えられてもよい。
【0035】
任意選択的に、プリチャージ抵抗器7はPTC(正温度係数)抵抗器である。
【0036】
任意選択的に、モジュール式バッテリシステムは、いくつかのバッテリモジュールの連なりを有し、各バッテリモジュールは少なくとも1つの充電式バッテリセルを含み、モジュール式バッテリシステム内のバッテリモジュールの数及び/又はモジュール式バッテリシステム内の前記バッテリモジュールの配置は融通性がある。
【0037】
任意選択的に、モジュール式バッテリシステムは、既定の電圧範囲内の調節可能な電圧出力を有する。
【0038】
任意選択的に、モジュール式バッテリシステムの既定の電圧範囲は、50~2000ボルト、より好ましくは120~1000ボルトである。
【0039】
本発明の一態様は、プリチャージコンタク調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するように構成されたモジュール式バッテリシステムのパワーアップ手順中に準備的なプリチャージモードを実行する方法であって、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを含むプリチャージユニットであって、プリチャージ抵抗器が自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されている、プリチャージユニットを提供することと、プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するためのオプトカプラをプリチャージユニットに備えることと、を含む方法を提供する。
【0040】
この方法は、可搬(carriable)電圧出力を有するモジュール式バッテリシステムのための改良されたプリチャージを提供する。モジュール式バッテリシステムの可変電圧出力は、抵抗器の抵抗値が温度の関数として動的に変化するので、PTCプリチャージ抵抗器の使用が望ましい場合がある。有利なことに、プリチャージ抵抗の両端間の電圧の指標は、オプトカプラを用いて検出される。
【0041】
本発明の一態様は、モジュール式バッテリシステムのプリチャージ抵抗器の両端の電圧を検出するための回路であって、回路が第1線路と第2線路を備え、第1線路が第1抵抗器(R1)に接続され、第1抵抗器(R1)が第2抵抗器(R2)に接続され、第2抵抗器(R2)がオプトカプラのアノードに接続され、第2線路がオプトカプラのカソードに接続され、ツェナーダイオードが、第1抵抗器(R1)と第2抵抗器(R2)との間の中間ノードに第2線路を接続する線路に配置され、ツェナーダイオードのカソードが中間ノードに接続される、回路を提供する。
【0042】
任意選択的に、回路の第1線路は、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器との間の第1のノードに接続され、回路の第2線路は、プリチャージ抵抗器とシステムの出力との間の第2のノードに接続される。
【0043】
これに加えて又はこれに代えて、回路の第1線路は、プリチャージ抵抗器とシステムの出力との間の第2のノードに接続され、回路の第2線路は、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器との間の第1のノードに接続される。
【0044】
任意選択的に、出力は電気負荷に接続可能である。
【0045】
本発明の一態様は、本開示による少なくとも1つのモジュール式バッテリシステムを含む電気システム又は電気デバイスを提供する。
【0046】
モジュール式バッテリシステムの観点から記載した態様、特徴、及び選択肢はいずれも、本方法並びに記載の電気デバイス及び用途に等しく適用されることが理解されよう。また、上記の態様、特徴、及びオプションのうちの任意の1つ以上を組み合わせることができることも明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図面に示される例示的な各実施形態に基づいて本発明を更に説明する。例示的な各実施形態は、非限定的な例示として与えられる。各図は本発明の実施形態を模式的に示したものに過ぎず、非限定的な例として与えられることに留意すべきである。
【0048】
図1】システムの一実施形態の概略図を示す。
図2】システムの一実施形態の概略図を示す。
図3】システムの一実施形態の概略図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0049】
図1は、調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するためのモジュール式バッテリシステム1の一実施形態の概略図を示す。モジュール式バッテリシステム1は、プリチャージコンタクタ5とプリチャージ抵抗器7とを有するプリチャージユニット3を備える。プリチャージ抵抗器7は、自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗が大きくなるように構成されている。プリチャージユニット3は、プリチャージ抵抗器7の両端の電圧差を検出するように構成されたオプトカプラ9を備える。オプトカプラのLEDによって放出される光に基づいて、システムが正常にプリチャージされたかどうかを判定することができる。
【0050】
この例では、オプトカプラ9は、パワーアップ手順中にプリチャージユニット3を使用した準備的なプリチャージモードが完了/成功したとみなされる電圧差閾値を超えたかどうかを検出するように構成されている。モジュール式バッテリシステム1は、例えば、オプトカプラ9の発光素子によって放出された被検出光に基づいてプリチャージコンタクタ5を適切に動作させることによってプリチャージを止めるように構成される。例えば、モジュール式バッテリシステム1は、オプトカプラ9によって放出される光を監視するための少なくとも1つ光センサを備えていてもよく、システムは、オプトカプラ9の発光素子からの光が光センサによって検出されなくなるとプリチャージを止める/停止するように構成される。
【0051】
この例では、オプトカプラ9は、プリチャージ抵抗器7に並列な回路に配置されている。回路は、プリチャージ中にオプトカプラ9を通る電流が所定の閾値を超えないことを保証するように構成されている。このようにして、オプトカプラの損傷を防止することができる。回路は、第1抵抗器(R1)と、第2抵抗器(R2)と、プリチャージ抵抗器7の両端間の既定の電圧差に対してオプトカプラ9を通る電流を制限するように構成されたツェナーダイオード(Z)と、を備える。いくつかの例では、回路は、プリチャージコンタクタ5とプリチャージ抵抗器7との間の第1のノード13に接続された第1線路11と、プリチャージ抵抗器7とモジュール式バッテリシステム1の出力19との間の第2のノード17に接続された第2線路15とを備えている。出力19は電気負荷21に接続可能である。第1線路11は第1抵抗器R1に接続され、第1抵抗器R1は第2抵抗器R2に接続され、第2抵抗器R2はオプトカプラ9のアノード9aに接続され、第2線路15はオプトカプラ9のカソード9bに接続されている。ツェナーダイオードZは、第2線路15を第1抵抗器R1と第2抵抗器R2との間の中間ノード25に接続する線路23に配置されている。ツェナーダイオードZのカソードは、中間ノード25に接続されている。前記線路23は、ノード27を介して第2線路15に接続されている。
【0052】
さらに、この例では、モジュール式バッテリシステム1は、モジュール式バッテリシステム1のエネルギー貯蔵ユニット(参照:図中の+BATT)が出力に電気的に接続された閉状態と、エネルギー貯蔵ユニットと出力19との間の電気的接続が前記メインコンタクタ30によって遮断された開状態との間で切り替え可能なメインコンタクタ30を含んでいる。プリチャージ中、メインコンタクタ30は開状態にあり、オプトカプラ9によって放出される光に基づいて準備的なプリチャージモードを停止するために、メインコンタクタ30が閉状態に切り替えられ、プリチャージコンタクタ5が開かれる。
【0053】
いくつかの例では、モジュール式バッテリシステム1は、1つ以上の再充電可能バッテリセルを有する少なくとも1つのバッテリモジュールを備えたエネルギー貯蔵ユニットを備え、モジュール式バッテリシステムは、調節可能なDC電圧出力を提供するように構成されている。
【0054】
図2は、モジュール式バッテリシステム1の一実施形態の概略図を示す。プリチャージ抵抗器7はPTC(正温度係数)抵抗器である。
【0055】
このシステムは、オプトカプラ9のLEDによって放出された光を検出するために光センサが組み込まれたオプトカプラ9を備えている。しかしながら、これに代えて、外部光センサを使用することも可能である。オプトカプラ9によって(参照:オプトカプラ9のLEDを介して)放出される光を監視するための例示的な外部光センサ31が示されている。コントローラ50は、光センサ31(統合センサ又は外部センサ)の感知データを受信するように構成されてもよい。コントローラ50は、オプトカプラ9の発光素子33からの光が光センサ31によって検出されなくなると、プリチャージを止める、停止する、又は中断するように構成されてもよい。
【0056】
コントローラ50は、このように、光センサ31によって検出された光に基づいて、プリチャージが完了及び/又は成功したかどうかを判定してもよい。その後、コントローラは、メインコンタクタ30を閉じ、プリチャージコンタクタ5を開くことができる。その結果、+BATTが出力19に直接接続される。
【0057】
コントローラ(例えば、マイクロコントローラ)は、バッテリシステムのメインコンタクタ及びプリチャージコンタクタを適切に動作させるように、光センサ(又は、その受信機)に結合/連結されてもよい。例えば、オプトカプラのLEDによって放出される光を使用して、プリチャージが完了したことが検出されると、プリチャージコンタクタを開き、メインコンタクタを閉じることができる。
【0058】
PTCプリチャージ抵抗器7の抵抗値は、PTCプリチャージ抵抗器7が熱くなるにつれて増加する。したがって、プリチャージ中の出力電圧が小さいほど、PTCの抵抗値は小さくなり得る。プリチャージ中の出力電圧が大きいほど、温度上昇により、PTCの抵抗値は大きくなり得る。PTCの抵抗値は、このように、能動的な制御機構(参照:セルフレベリング)なしで自動的に調整することができる。
【0059】
オプトカプラ9は、絶縁した様式でプリチャージ抵抗器7の両端の電圧の存在を伝達する簡単で効果的な方法を提供する。オプトカプラ9のLEDによって放出された光は、光センサによって容易に検出することができる。光センサは、例えば、オプトカプラ9に組み込まれてもよい。様々なタイプの感光センサを使用することができる。
【0060】
オプトカプラ9は、それが活性化される特定の範囲の電流を有し得る。いくつかの例では、オプトカプラ9は、プリチャージ抵抗器の両端間の電圧が上側閾値電圧値(例えば、1000V)よりも大きいときにそのLEDが点灯され、プリチャージ抵抗器の両端間の電圧が所定の下側閾値電圧値(例えば、15V)よりも小さいときにそのLEDが消灯されように構成されてもよい。電流は、最初にR1を流れ、次いでツェナーダイオードを流れ、次いで戻る。プリチャージがほぼ完了すると、電流はR1とR2及びオプトカプラ9を流れる。
【0061】
ツェナーダイオードは、自身の2つのピンの間の電圧が所定のレベルを超えたときに導通するように構成され得る。ツェナーダイオードが導通し始めるこの所定の電圧レベルは、例えば36Vであってもよい。したがって、電圧が例えば36V以上である場合、ツェナーダイオードは電流を導通する。したがって、この場合、オプトカプラ9のLEDは活性化されない。電圧が36V未満の場合、電流はツェナーダイオードを通過せず、オプトカプラを流れ、オプトカプラのLEDが活性化される。
【0062】
オプトカプラ9は、プリチャージが実行された(参照:正常に完了した)かどうかの有効な指標を提供する。しかしながら、所定の期間内にプリチャージが成功しない場合は、プリチャージを止めてもよい。バッテリシステムのコントローラは、プリチャージを止めるために必要な動作を実行してもよい。
【0063】
モジュール式バッテリシステム1は、いくつかのバッテリモジュールの連なりを有し、各バッテリモジュールは少なくとも1つの充電式バッテリセル(一般に、複数のセル)を含み、モジュール式バッテリシステム内のバッテリモジュールの数及び/又はモジュール式バッテリシステム内の前記バッテリモジュールの配置は融通性がある。これにより、モジュール式バッテリシステム1の出力電圧を可変とすることができる。いくつかの例では、モジュール式バッテリシステムは、既定の電圧範囲内の調節可能な電圧出力を有する。
【0064】
図3は、システム1の一実施形態の概略図を示す。この例では、補助回路が示されている。補助回路は、図1及び図2に示される回路と同様/同一の構成を有する。しかしながら、回路は異なるように接続されている。より詳細には、補助回路の第1線路11は、プリチャージ抵抗器7とシステム1の出力19との間の第2のポイントノード17に接続されている。補助回路の第2線路15は、プリチャージコンタクタ5とプリチャージ抵抗器7との間の第1のポイントノード13に接続されている。
【0065】
補助回路は一方向の電圧を測定するために使用することができ、出力が入力よりも高い電圧を有する場合、メインコンタクタが閉じられる前に効率的にこれを検出することができる。これは、例えば、いくつかのバッテリパックが同じバス上に設けられる場合に起こり得る。
【0066】
本方法が、コンピュータで実施されるステップを含むことができることが理解されよう。上記のすべてのステップは、コンピュータで実施されるステップとすることができる。実施形態はコンピュータ装置を含むことができ、プロセスは、コンピュータ装置で実行される。本発明は、本発明を実施するように適合されたコンピュータプログラム、特にキャリア上又はキャリア内のコンピュータプログラムにも及ぶ。プログラムは、ソースコード若しくはオブジェクトコードの形態、又は本発明によるプロセスの実施において使用に適した任意の他の形態であってもよい。キャリアは、プログラムを搬送することが可能な任意のエンティティ又はデバイスであってもよい。例えば、キャリアは、例えば半導体ROMなどのROM又はハードディスクなどの記憶媒体であってもよい。また、キャリアは、電気ケーブル若しくは光ケーブルを介して、又は無線若しくは他の手段によって、例えばインターネット若しくはクラウドを介して搬送され得る電気信号又は光信号などの伝送可能なキャリアであってもよい。
【0067】
いくつかの実施形態は、例えば、命令又は命令セットを格納することができる機械又は有形コンピュータ可読媒体又は要素を用いて実装されてもよく、これらの命令又は命令セットは、機械によって実行された場合に、この機械に実施形態に従った方法及び/又は動作を実行させることができる。
【0068】
様々な実施形態は、ハードウェア要素、ソフトウェア要素、又はその両方の組合せを使用して実施することができる。ハードウェア要素の例として、プロセッサ、マイクロプロセッサ、回路、特定用途向け集積回路(ASIC)、プログラマブル論理デバイス(PLD)、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、論理ゲート、レジスタ、半導体デバイス、マイクロチップ、チップセット等が挙げられる。ソフトウェアの例として、ソフトウェアコンポーネント、プログラム、アプリケーション、コンピュータプログラム、アプリケーションプログラム、システムプログラム、マシンプログラム、オペレーティングシステムソフトウェア、モバイルアプリ、ミドルウェア、ファームウェア、ソフトウェアモジュール、ルーチン、サブルーチン、機能、コンピュータ実装方法、手順、ソフトウェアインターフェース、アプリケーションプログラムインターフェース(API)、方法、命令セット、コンピューティングコード、コンピュータコード等が挙げられる。
【0069】
本明細書では、本発明の実施形態の具体的な例を参照して本発明が説明されているしかしながら、本発明の本質から逸脱することなく、様々な修正、変形、代替、及び変更を行うことができることは明白であろう。明確化及び簡潔な説明のために、本明細書では同じ又は別々の実施形態の一部として特徴が説明されているが、これらの別々の実施形態において説明される特徴の全て又は一部の組み合わせを有する代替的な実施形態も、特許請求の範囲によって概説される本発明の枠組み内にあると想定及び理解される。したがって、明細書、図面、及び実施例は、限定的な意味ではなく、例示的な意味で捉えられるべきである。本発明は、添付の特許請求の範囲に含まれる全ての代替、修正、及び変形を包含することを意図している。さらに、説明される要素の多くは、個別の又は分散された構成要素として、あるいは他の構成要素と組み合わせて、任意の適切な組み合わせ及び位置において実装することができる機能エンティティである。
【0070】
特許請求の範囲において、括弧内に置かれた参照符号は、いずれも、特許請求の範囲を限定するものと解釈すべきではない。「comprising(備える、含む)」という語は、特許請求の範囲に列挙されているもの以外の他の要素又はステップの存在を排除するものではない。また、「a」及び「an」という語は「1つのみ」に限定されると解釈されるべきではなく、代わりに「少なくとも1つ」を意味するために使用され、複数を排除するものではない。「及び/又は」という用語は、列挙された1つ以上の関連する項目の任意の又はすべての組み合わせを含む。特定の手段が相互に異なるクレームに記載されているという事実だけで、これらの手段の組み合わせが有利に使用できないことを示すものではない。
【0071】
以下では、これまでに説明してきた実施形態について総括的に述べる。
【0072】
たとえば、本明細書中に開示されているモジュール式バッテリシステムは、
調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するためのモジュール式バッテリシステムであって、
前記モジュール式バッテリシステムが、プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを有するプリチャージユニットを備え、前記プリチャージ抵抗器は、自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されており、
前記プリチャージユニットが、前記プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するように構成されたオプトカプラを備える構成(第1の構成)とされる。
【0073】
上記第1の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記オプトカプラが、パワーアップ手順中に前記プリチャージユニットを使用する準備的なプリチャージモードが成功したとみなされる電圧差閾値を超えたかどうかを検出するように構成されている構成(第2の構成)であってもよい。
【0074】
また、上記第1又は第2の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記オプトカプラの発光素子によって放出される光に基づいて前記プリチャージコンタクタを適切に動作させることによってプリチャージを止めるように構成されている構成(第3の構成)であってもよい。
【0075】
また、上記第3の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記モジュール式バッテリシステムが、前記オプトカプラによって放出される光を監視するための光センサを備え、
前記モジュール式バッテリシステムは、前記オプトカプラの前記発光素子からの光が前記光センサによって検出されなくなるとプリチャージを停止するように構成されている構成(第4の構成)であってもよい。
【0076】
また、上記第1から第4のいずれかの構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記オプトカプラが、前記プリチャージ抵抗器と並列に配置されている回路に配置されている構成(第5の構成)であってもよい。
【0077】
また、上記第5の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記回路が、プリチャージ中に前記オプトカプラを通る電流が所定の閾値を超えないことを保証するように構成されている構成(第6の構成)であってもよい。
【0078】
また、上記第5又は第6の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記回路が、第1抵抗器(R1)と、第2抵抗器(R2)と、前記プリチャージ抵抗器の両端間の既定の電圧差に対して前記オプトカプラを通る前記電流を制限するように構成されたツェナーダイオードと、を備える構成(第7の構成)であってもよい。
【0079】
また、上記第7の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記回路が、前記プリチャージコンタクタと前記プリチャージ抵抗器との間の第1のノードに接続された第1線路と、前記プリチャージ抵抗器と前記モジュール式バッテリシステムの前記出力との間の第2のノードに接続された第2線路と、を有し、前記出力が前記電気負荷に接続可能であり、
前記第1線路が前記第1抵抗器(R1)に接続され、前記第1抵抗器(R1)が前記第2抵抗器(R2)に接続され、前記第2抵抗器(R2)が前記オプトカプラのアノードに接続され、
前記第2線路が、前記オプトカプラのカソードに接続され、
前記ツェナーダイオードが、前記第1抵抗器(R1)と前記第2抵抗器(R2)との間の中間ノードに前記第2線路を接続する線路に配置され、
前記ツェナーダイオードのカソードが前記中間ノードに接続されている構成(第8の構成)であってもよい。
【0080】
また、上記第8の構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記モジュール式バッテリシステムが、前記回路と同じ構成を有する補助回路を備え、
前記補助回路の補助第1線路が、前記プリチャージ抵抗器と前記モジュール式バッテリシステムの前記出力との間の前記第2のポイントノードに接続され、
前記補助回路の補助第2線路が、前記プリチャージコンタクタと前記プリチャージ抵抗器との間の前記第1のポイントノードに接続されている構成(第9の構成)であってもよい。
【0081】
また、上記第3から第8のいずれかの構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記モジュール式バッテリシステムが、前記モジュール式バッテリシステムのエネルギー貯蔵ユニットが出力に電気的に接続される閉状態と、前記エネルギー貯蔵ユニットと前記出力との間の前記電気的接続が前記コンタクタによって遮断される開状態と、の間で切り替え可能なメインコンタクタを含み、
プリチャージ中、前記メインコンタクタは開状態にあり、
前記オプトカプラによって放出される光に基づいて前記準備的なプリチャージモードを停止するために、前記メインコンタクタが閉状態に切り替えられ、前記プリチャージコンタクタが開かれる構成(第10の構成)であってもよい。
【0082】
また、上記第1から第10のいずれかの構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記プリチャージ抵抗器がPTC(正温度係数)抵抗器である構成(第11の構成)であってもよい。
【0083】
また、上記第1から第11のいずれかの構成のモジュール式バッテリシステムは、
前記モジュール式バッテリシステムがいくつかのバッテリモジュールの連なりを有し、各バッテリモジュールが少なくとも1つの充電式バッテリセルを含み、
前記モジュール式バッテリシステム内のバッテリモジュールの数及び/又はモジュール式バッテリシステム内の前記バッテリモジュールの配置は融通性がある構成(第12の構成)であってもよい。
【0084】
また、本明細書中に開示されている方法は、
プリチャージコンタク調節可能な直流(DC)電圧出力を提供するように構成されたモジュール式バッテリシステムのパワーアップ手順中に準備的なプリチャージモードを実行する方法であって、
プリチャージコンタクタとプリチャージ抵抗器とを含むプリチャージユニットであって、前記プリチャージ抵抗器が自身の温度が上昇するにつれて自身の電気抵抗値が増加するように構成されている、プリチャージユニットを提供することと、
前記プリチャージ抵抗器の両端の電圧差を検出するためのオプトカプラを前記プリチャージユニットに備えることと、
を含む構成(第13の構成)とされる。
【0085】
また、本明細書中に開示されている電気システム又は電気デバイスは、
上記第1~第12のいずれかの構成のモジュール式バッテリシステムを少なくとも1つ含む構成(第14の構成)とされる。
【符号の説明】
【0086】
1 モジュール式バッテリシステム
3 プリチャージユニット
5 プリチャージコンタクタ
7 PTCプリチャージ抵抗器
9 オプトカプラ
9a アノード
9b カソード
11 第1線路
13 ポイントノード
15 第2線路
17 ポイントノード
19 出力
21 電気負荷
23 線路
25 中間ノード
27 ノード
30 メインコンタクタ
31 光センサ
33 発光素子
50 コントローラ
R1 第1抵抗器
R2 第2抵抗器
Z ツェナーダイオード
図1
図2
図3