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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005411
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/00 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240110BHJP
   B65H 20/06 20060101ALI20240110BHJP
   B65H 16/00 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 11/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B65H5/00 B
B41J2/01 305
B65H20/06
B65H16/00
B41J11/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105587
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】山口 健司
【テーマコード(参考)】
2C056
2C058
3F052
3F101
3F103
【Fターム(参考)】
2C056EA16
2C056FA10
2C056FB03
2C056HA29
2C056HA33
2C056JB18
2C058AC07
2C058AE04
2C058AF06
2C058AF19
2C058AF21
2C058AF31
2C058DA13
2C058DA38
2C058DB15
3F052AA07
3F052AB05
3F052BA00
3F101AB01
3F101AB07
3F101AB09
3F101AB12
3F101AB19
3F101LA01
3F101LB11
3F103AA07
3F103BB01
3F103BB11
3F103EA11
(57)【要約】
【課題】布帛の付着物を除去するための構成が複雑となる。
【解決手段】液体吐出装置は、媒体の第1面に当接して媒体を載置し、搬送方向へ搬送させる無端状の搬送ベルトと、搬送ベルトが架け渡される第1ローラー及び第2ローラーと、を含む搬送部と、搬送ベルトの周回方向における第1ローラーの下流であって第2ローラーの上流において、搬送ベルトに載置された媒体の第2面に液体を吐出する吐出部と、搬送ベルトの周回方向における第2ローラーの下流であって第1ローラーの上流において、搬送ベルトの媒体が載置されていない部分を洗浄する洗浄ユニットと、第1ローラーよりも搬送方向における上流に設けられ、媒体に付着した付着物を除去可能な除去部と、を備え、除去部は、媒体の第2面に当接し、且つ、搬送ベルトの媒体が載置されていない部分に当接する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体の第1面に当接して前記媒体を載置し、搬送方向へ搬送させる無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが架け渡される第1ローラー及び第2ローラーと、を含む搬送部と、
前記搬送ベルトの周回方向における前記第1ローラーの下流であって前記第2ローラーの上流において、前記搬送ベルトに載置された前記媒体の第2面に液体を吐出する吐出部と、
前記搬送ベルトの前記周回方向における前記第2ローラーの下流であって前記第1ローラーの上流において、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分を洗浄する洗浄ユニットと、
前記第1ローラーよりも前記搬送方向における上流に設けられ、前記媒体に付着した付着物を除去可能な除去部と、を備え、
前記除去部は、前記媒体の前記第2面に当接し、且つ、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分に当接することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記除去部は、パイル織物地であることを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記媒体は、ロール軸に巻かれたロール部を有し、前記ロール部は、前記第1ローラーの前記搬送方向における上流に位置し、
前記除去部は、前記ロール部における前記媒体の前記第2面に当接することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記ロール部を取り付けるセット部と、
前記セット部を回転可能に支持する回転軸と、
前記回転軸と前記セット部とを繋ぐアーム部と、を備え、
前記アーム部は前記回転軸を回転中心として、前記除去部へ向かって前記セット部を回転可能であることを特徴とする請求項3に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記媒体の前記第2面に当接し、前記搬送方向の上下流方向に摺動する加圧ローラーを有し、
前記加圧ローラーは、
前記吐出部よりも前記搬送方向において上流に位置し、
前記搬送ベルトの前記周回方向において前記除去部よりも下流に位置することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記除去部は、従動回転をする従動ローラーであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
媒体の第1面に当接して前記媒体を載置し、搬送方向へ搬送させる無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが架け渡される第1ローラー及び第2ローラーと、を含む搬送部と、
前記搬送ベルトの周回方向における前記第1ローラーの下流であって前記第2ローラーの上流において、前記搬送ベルトに載置された前記媒体の第2面に液体を吐出する吐出部と、
前記搬送ベルトの前記周回方向における前記第2ローラーの下流であって前記第1ローラーの上流において、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分を洗浄する洗浄部と、
前記第1ローラーよりも前記搬送方向における上流に設けられ、前記媒体に付着した付着物を除去可能な除去部と、を備え、
前記除去部は、前記媒体の前記第2面を経由して前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分へ向かう流路に沿って気体を送風する送風部を有することを特徴とする液体吐出装置。
【請求項8】
前記媒体は、ロール軸に巻かれたロール部を有し、前記ロール部は、前記第1ローラーの前記搬送方向における上流に位置し、
前記流路は、前記ロール部の前記媒体の前記第2面を経由し、
少なくとも一部が前記ロール部に対向し、前記流路を規制するガイドを備えることを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記送風部は、前記周回方向における前記第2ローラーから前記第1ローラーへ向かう前記搬送ベルトの位置よりも鉛直方向において上に位置し、前記ガイドは、前記鉛直方向において、前記送風部に近いほど高く、前記搬送ベルトに近いほど低くなるように傾斜をしていることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記搬送ベルトは、前記媒体の第1面に当接する面に粘着層を有するグルーベルトであり、
前記ガイドを加熱可能なヒーターを備えることを特徴とする請求項8に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すように、布帛の付着物を除去するための専用のベルト、及び、当該ベルトを洗浄するための専用の洗浄漕を有する除去部を備えた装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-90356号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の装置は、布帛の付着物を除去するために多くの専用部品が必要となり、構成が複雑となるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
液体吐出装置は、媒体の第1面に当接して前記媒体を載置し、搬送方向へ搬送させる無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが架け渡される第1ローラー及び第2ローラーと、を含む搬送部と、前記搬送ベルトの前記周回方向における前記第1ローラーの下流であって前記第2ローラーの上流において、前記搬送ベルトに載置された前記媒体の第2面に液体を吐出する吐出部と、前記搬送ベルトの前記周回方向における前記第2ローラーの下流であって前記第1ローラーの上流において、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分を洗浄する洗浄ユニットと、前記第1ローラーよりも前記搬送方向における上流に設けられ、前記媒体に付着した付着物を除去可能な除去部と、を備え、前記除去部は、前記媒体の前記第2面に当接し、且つ、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分に当接する。
【0006】
液体吐出装置は、媒体の第1面に当接して前記媒体を載置し、搬送方向へ搬送させる無端状の搬送ベルトと、前記搬送ベルトが架け渡される第1ローラー及び第2ローラーと、を含む搬送部と、前記搬送ベルトの周回方向における前記第1ローラーの下流であって前記第2ローラーの上流において、前記搬送ベルトに載置された前記媒体の第2面に液体を吐出する吐出部と、前記搬送ベルトの周回方向における前記第2ローラーの下流であって前記第1ローラーの上流において、前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分を洗浄する洗浄部と、前記第1ローラーよりも前記搬送方向における上流に設けられ、前記媒体に付着した付着物を除去可能な除去部と、を備え、前記除去部は、前記媒体の前記第2面を経由して前記搬送ベルトの前記媒体が載置されていない部分へ向かう流路に沿って気体を送風する送風部を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】実施形態に係る液体吐出装置の構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す模式図。
図3】第2実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す模式図。
図4】第3実施形態に係る液体吐出装置の構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、実施形態について、図面を参照して説明する。なお、図中における方向を、X軸、Y軸及びZ軸が互いに直交する三次元座標系を用いて説明する。このとき、X軸に沿う方向をX方向、Y軸に沿う方向をY方向、Z軸に沿う方向をZ方向とする。説明の便宜上、Z方向の正方向を上方向又は単に上と称し負方向を下方向又は単に下と称し、X方向の正方向を右方向又は単に右と称し負方向を左方向又は単に左と称し、Y方向の正方向を前方向又は単に前と称し負方向を後方向又は単に後と称して説明する。
【0009】
1.第1実施形態に係る液体吐出装置
図1に示すように、第1実施形態に係る液体吐出装置1は、制御部10、記憶部11、吐出部12、搬送部20、繰出部21、ブレーキ部22、加圧部23、除去部30、洗浄ユニット31を含んで構成されている。図2も参照しながら、第1実施形態に係る液体吐出装置1の構成について説明する。
【0010】
制御部10は、液体吐出装置1の各部を統括的に制御するCPU(Central Processing Unit)、入出力を管理するUART(Universal Asynchronous Receiver Transmitter)、論理回路であるFPGA(Field Programmable Gate Array)やPLD(Programmable Logic Device)などを含んで構成されている。CPUは単にプロセッサーともいう。
記憶部11は、書き換え可能な不揮発性メモリーであるフラッシュROM(Read Only Memory)やHDD(Hard Disk Drive)、揮発性メモリーであるRAM(Random Access Memory)などを含んで構成されている。
制御部10のCPUは、記憶部11の不揮発性メモリーに記憶されたファームウェアなどのプログラムを読み出し、記憶部11のRAMを作業領域として用いて実行する。
【0011】
図2に示す媒体Mは、例として、天然繊維や合成繊維などで構成された長尺状の布帛である。長尺状の布帛は原反ともいう。液体吐出装置1は、媒体Mに対して記録を行う。布帛への記録を捺染ともいい、媒体Mは被捺染材ともいう。
媒体Mは、搬送される搬送面である第1面M1、及び、記録される記録面である第2面M2を有している。また、媒体Mは、ロール軸に巻かれたロール部Rを有している。媒体Mには、毛羽などの付着物Fが付いていることがある。第2面M2に付着物Fが付いていると、記録品質が劣化するおそれがある。
【0012】
図2に示すように、搬送部20は、無端状の搬送ベルト20a、第1ローラーである駆動ローラー20b、及び、第2ローラーである従動ローラー20cを含んで構成されている。搬送ベルト20aは、駆動ローラー20b及び従動ローラー20cに架け渡されている。
搬送ベルト20aは、媒体Mの第1面M1に当接して媒体Mを載置し、駆動ローラー20b及び従動ローラー20cの間に亘って、媒体Mを搬送方向Tへ搬送させる。
搬送ベルト20aにおいて、媒体Mの第1面M1と当接する側の表面には、粘着性を有する粘着剤であるグルー(glue)が設けられており、媒体Mを吸着可能である。グルーは、例えばシリコーン樹脂を含んで構成されている。
【0013】
搬送部20は不図示の搬送モーターにより、駆動ローラー20bを反時計回りに回転させると共に、従動ローラー20cも追従させて反時計回りに回転させる。駆動ローラー20b及び従動ローラー20cに架け渡されている搬送ベルト20aも、周回方向Cである反時計回りに周回する。
周回方向Cは、駆動ローラー20bを基準として、駆動ローラー20bから従動ローラー20cへ向かう往路方向C1、及び、従動ローラー20cから駆動ローラー20bへ向かう復路方向C2を含む。なお、駆動ローラー20bと従動ローラー20cとは、駆動及び従動の関係が逆であってもよい。
【0014】
搬送ベルト20aの往路方向C1と、搬送ベルト20aに載置されて駆動ローラー20bから従動ローラー20cへ向かう媒体Mの搬送方向Tとは、同じ方向となる。
なお、往路方向C1へ向かう搬送ベルト20aの部分は、搬送ベルト20aの媒体Mが載置されている部分でもあり、復路方向C2へ向かう搬送ベルト20aの部分は、搬送ベルト20aの媒体Mが載置されていない部分でもある。
【0015】
搬送ベルト20aの周回方向C、及び、搬送方向Tにおける駆動ローラー20bの下流であって従動ローラー20cの上流において、吐出部12が配置されている。吐出部12は、往路方向C1へ向かう搬送ベルト20aに載置された媒体Mの第2面M2に液体を吐出する。
また、搬送ベルト20aの周回方向Cにおける従動ローラー20cの下流であって駆動ローラー20bの上流において、洗浄ユニット31が配置されている。洗浄ユニット31は、復路方向C2へ向かう搬送ベルト20aであって、媒体Mが載置されていない部分を洗浄する。
【0016】
図2に示すように、媒体Mの搬送方向Tの上流から下流へ向かって、除去部30、ロール部R、繰出部21、ブレーキ部22、駆動ローラー20b、加圧部23、吐出部12、従動ローラー20cが配置されている。以下では、この順に、各構成要素について説明をしていく。
【0017】
除去部30は、ロール部Rに巻かれた媒体Mの第2面M2に当接するように、駆動ローラー20bよりも搬送方向Tにおける上流に配置される。除去部30が設けられる位置は、加圧部23及び吐出部12よりも搬送方向Tにおける上流でもある。除去部30は、除去ローラー30aを含み、ロール部R、及び、搬送ベルト20aを介した駆動ローラー20bと共に、回転可能である。
除去部30は、除去ローラー30aの他、除去ローラー30aの外周面に構成された付着物Fの除去部材であるパイル織物地30bを有していることが好ましい。除去ローラー30aのパイル織物地30bは、好適に、媒体Mの第2面M2から付着物Fを除去し、搬送ベルト20a側へ移すことができる。
【0018】
除去部30は、搬送ベルト20aにおける媒体Mが載置されていない部分にも当接する。
除去部30の除去ローラー30aは、駆動源を有さず、搬送部20の復路方向C2に向かう搬送ベルト20aに当接することにより、時計回りに従動回転をする従動ローラーでもある。
【0019】
除去部30の除去ローラー30aのパイル織物地30bは、従動回転時、媒体Mの第2面M2との間で摩擦抵抗を発生する。この摩擦抵抗により、第2面M2に付着している付着物Fは、パイル織物地30bに擦られて、パイル織物地30b側へ移ることができる。
この結果、吐出部12は、付着物Fが除去された媒体Mの第2面M2に液体を吐出して、記録することができる。また、除去部30は、搬送方向Tの下流にある加圧部23に付着物Fが付くことを抑制することができる。
なお、搬送ベルト20aにおいて、媒体Mの第1面M1、及び、除去部30と当接する側には、付着物Fを付着させ易い粘着性を有する、上述のグルーが塗布されている。
【0020】
このように、除去部30は、媒体Mの第2面M2に当接し、且つ、搬送ベルト20aの媒体Mが載置されていない部分に当接することができる。
媒体Mの第2面M2の付着物Fは、ロール部R、除去部30、搬送ベルト20aの順に、それぞれが回転しながら当接して、移される。
【0021】
第2面M2の付着物Fが除去された媒体Mは、反時計回りに回転する繰出部21により、搬送方向Tへ向かって、ロール部Rから引き出される。このとき、ロール部Rも反時計回りに回転しながら、除去部30に当接することとなる。
繰出部21は、不図示の繰出モーター及び繰出ローラーを含んでおり、制御部10の制御の下、所定の速度で媒体Mを引き出すことができる。
【0022】
ブレーキ部22は、媒体Mに所定のテンションを掛けるブレーキローラー、ブレーキローラーに対して搬送方向Tの上流及び下流に配置されている2つのブレーキ従動ローラーを含んで構成される。
ブレーキ部22は、ブレーキローラーの位置を移動する不図示のブレーキローラー移動機構を含んでいてもよい。ブレーキ部22は、制御部10の制御の下、ブレーキローラー移動機構により、ブレーキローラーの位置を移動させて、媒体Mに所定のテンションを掛けることができる。
【0023】
加圧部23は、吐出部12よりも搬送方向Tにおいて上流に位置し、搬送ベルト20aの周回方向において除去部30よりも下流に位置する。加圧部23は、所定の圧力で媒体Mの第2面M2に当接し、第1面M1を搬送ベルト20aに密着させることができる。
加圧部23は、媒体Mの第2面M2に当接し、時計回りに回転可能であり、搬送方向Tの上下流方向に摺動可能な加圧ローラーを有している。また、加圧部23は、媒体Mに対して加圧ローラーの位置を上下方向に進退させる不図示の加圧ローラー移動機構を含んでいてもよい。加圧部23は、制御部10の制御の下、加圧ローラー移動機構により、加圧ローラーの位置を上下方向に進退することにより、媒体Mの第1面M1を搬送ベルト20aに、所定の圧力で密着させることができる。
【0024】
搬送ベルト20aにおいて、媒体Mの第1面M1に当接する面には、除去部30から移された付着物Fが付着している。加圧部23により、第1面M1を搬送ベルト20aに所定の圧力で密着させることで、搬送ベルト20aに付着物Fがあっても、記録面である第2面M2の表面が凸凹することが抑制される。この結果、吐出部12により第2面M2に記録する際、良好な記録品質を得ることができる。
【0025】
図2に示すように、吐出部12は、搬送ベルト20aの周回方向Cにおける駆動ローラー20bの下流であって従動ローラー20cの上流に位置している。
また、吐出部12は、搬送ベルト20aの往路方向C1であって、搬送部20により搬送方向Tへ搬送される媒体Mの第2面M2に対向する位置にある。
【0026】
吐出部12は、インクジェット方式のヘッド、キャリッジ、キャリッジモーターを含んで構成されている。
液体吐出装置1は、インク色である例えばCMYK(Cyan, Magenta, Yellow, Black)の各色のインクを貯蔵したインクカートリッジやインクタンクを装着可能である。
また、液体吐出装置1は、インクカートリッジなどからインクをヘッドへ供給する不図示の供給機構を備えている。供給機構は、インクカートリッジなどから各色のインクを、ヘッドの対応するノズルへ供給する。
【0027】
吐出部12のヘッドは、キャリッジに搭載され、キャリッジモーターにより、キャリッジと共に、搬送ベルト20aに載置された媒体Mの上を前後方向に往復移動する。ヘッドは、制御部10による記録データに基づく制御の下、媒体Mの上を移動しながらノズルから液体であるインク滴を媒体Mの第2面M2に吐出し、記録可能である。記録データは、記憶部11に記憶されている。記録データは、記憶部11に備えられている読取部により記憶媒体から読み取ってもよく、外部装置から取得してもよい。
なお、インク色は例えばCMYKの濃淡色を含むなど、4色以上の任意の組み合わせも可能である。
また、ヘッドは、浸透液を媒体Mに吐出するノズルを含む構成であってもよい。浸透液は、媒体Mの第2面M2に着弾したインク滴が第1面M1へ浸透することを促進する液体である。
【0028】
次に、図2に示すように、搬送ベルト20aの周回方向Cにおいて、従動ローラー20cの下流から駆動ローラー20bの上流へ向かって、洗浄ユニット31、除去部30が配置されている。以下では、この順に、説明をしていく。
【0029】
洗浄ユニット31は、搬送ベルト20aの復路方向C2において、除去部30の上流に位置している。
洗浄ユニット31は、吐出部12による記録が終了し、媒体Mが引き剥がされ、媒体Mが載置されていない搬送ベルト20aの部分を洗浄し、付着したインクを除去することができる。同時に、洗浄ユニット31は、媒体Mが載置されていない搬送ベルト20aの部分を洗浄することにより、付着した付着物Fを除去することもできる。この結果、洗浄されて付着物Fが除去された搬送ベルト20aは、再び、除去部30からの付着物Fを好適に付着することができる。
【0030】
洗浄ユニット31は、ブラシローラー31a、不図示のブラシローラー用モーター、払拭ブレード31cを含んで構成されている。ブラシローラー31aの外周面には、ブラシが構成されている。洗浄ユニット31は、制御部10による制御の下、ブラシローラー用モーターによりブラシローラー31aを回転させ、搬送ベルト20aをブラシで擦りながら洗浄することができる。
【0031】
洗浄漕31bは、洗浄液を貯留し、液面が一定となるように給水及び排水をする。ブラシローラー31aは、洗浄漕31bに貯留された洗浄液に一定の深さで浸漬し、洗浄時に付着した付着物Fなどが除去される。
なお、ブラシローラー31aは、円筒形状の布やスポンジなどでもよく、刷毛、板状のゴムや樹脂などでもよい。
【0032】
ブラシローラー31aにより洗浄された搬送ベルト20aは、払拭ブレード31cにより、付着している洗浄液や付着物Fが払拭される。
洗浄ユニット31は、搬送ベルト20aに対し、払拭ブレード31cの位置を進退する不図示の払拭ブレード移動機構を含んでいてもよい。洗浄ユニット31は、制御部10の制御の下、払拭ブレード移動機構により、払拭ブレード31cの位置を進退し、搬送ベルト20aに押し付ける払拭ブレード31cの強さを調整することができる。
なお、払拭ブレード31cは、ワイパー形状のゴムや板形状の樹脂などでもよい。
【0033】
搬送ベルト20aが洗浄ユニット31により、付着している付着物Fが除去された後、上述のように、再び除去部30が搬送ベルト20aと当接し、除去部30に付着した付着物Fを搬送ベルト20a側へ移すことができる。
【0034】
2.第2実施形態に係る液体吐出装置
図3に示す第2実施形態に係る液体吐出装置2は、上述の図2に示す第1実施形態に係る液体吐出装置1に対して、主に、除去部30の位置、及び、ロール部Rを移動可能に支持する部材があることが異なる。以下では、液体吐出装置2について、液体吐出装置1との違いを中心に説明し、液体吐出装置1と同様の構成については、説明を省略する。
なお、図3に示す液体吐出装置2では、図2に示す液体吐出装置1に対して同様の構成要素には、同様の符号を付している。
【0035】
液体吐出装置2の筐体には、回転軸26が回転可能に固定されている。回転軸26からアーム部であるアーム25が延びて、回転軸26とセット部24とを繋いでいる。セット部24は、ロール部Rの軸を支持する。ユーザーは、ロール部Rの軸をセット部24に取り付けて、ロール部Rを液体吐出装置2にセットすることができる。
【0036】
アーム25は回転軸26を回転中心として、下方向へ向かってセット部24を回転可能である。セット部24に取り付けられたロール部Rは、回転軸26を回転中心として、アーム25の長さを半径とする円弧の軌跡に沿って、除去部30へ押し付けが可能である。
なお、セット部24には繰出部21が構成されていることが好ましい。繰出部21は、ロール部Rの軸を反時計回りに回転させ、ロール部Rから媒体Mを引き出すことができる。
【0037】
除去部30は、媒体Mが載置されていない搬送ベルト20aの部分であって、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aの部分に、当接可能な位置にある。除去部30は、搬送ベルト20a、及び、ロール部Rと、当接しながら従動的に時計回りへ回転することができる。
媒体Mの第2面M2の付着物Fは、ロール部R、除去部30、搬送ベルト20aの順に、それぞれが回転しながら当接して、移される。
【0038】
媒体Mが使用されてロール部Rの径が小さくなっていっても、ロール部Rは、自重により、回転軸26を回転中心として回転しながら、除去部30に当接し続けることができる。このとき、ロール部Rは、自重により、除去部30に対して押付力Gで押し付けることができる。
このように、ロール部Rから媒体Mが引き出されて、徐々にロール部Rの径が変化していった場合でも、ロール部Rの自重により、アーム部が回転して徐々に下方向へ移動していくため、ロール部Rが押付力Gで除去部30を押し付けながら、当接し続けることが可能となる。
【0039】
3.第3実施形態に係る液体吐出装置
図4に示す第3実施形態に係る液体吐出装置3は、上述の図2に示す第1実施形態に係る液体吐出装置1に対して、主に、除去部30の構成、及び、位置が異なる。以下では、液体吐出装置3について、液体吐出装置1との違いを中心に説明し、液体吐出装置1と同様の構成については、説明を省略する。
なお、図4に示す液体吐出装置3では、図2に示す液体吐出装置1に対して同様の構成要素には、同様の符号を付している。
【0040】
液体吐出装置3の除去部30は、液体吐出装置1のような除去ローラー30aを含む構成ではなく、送風部30c、ガイド30d、流路30eを含んで構成されている。除去部30の送風部30cは、駆動ローラー20bの搬送方向Tにおける上流に位置し、媒体Mに付着した付着物を除去可能である。
【0041】
除去部30の送風部30cはファンを有している。送風部30cによる気体の流路30eは、媒体Mの第2面M2を経由し、媒体Mが載置されていない搬送ベルト20aの部分であって、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aの部分へ向かっている。送風部30cは、流路30eに沿って気体を送風することができる。
除去部30の送風部30cは、気体を送風し、ロール部Rの媒体Mの第2面M2の付着物Fを、媒体Mが載置されていなく、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aへ向かって飛ばして、移すことができる。
【0042】
ロール部Rは、駆動ローラー20bの搬送方向Tにおける上流に位置し、流路30eが媒体Mの第2面M2を経由するような位置にある。ガイド30dは、少なくとも一部がロール部Rに対向し、流路30eを規制している。具体的には、流路30eの上側は、ロール部Rの媒体Mの第2面M2を経由しており、流路30eの下側は、ガイド30dにより規制されている。
媒体Mの第2面M2に付着していた付着物Fは、送風部30cにより、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aの部分へ向かって飛ばされる。このとき、ガイド30dが流路30eを下方向から規制することにより、付着物Fが下方向へ散乱することが抑制され、より確実に搬送ベルト20aに付着することができる。
【0043】
送風部30cは、搬送ベルト20aの周回方向Cにおける従動ローラー20cから駆動ローラー20bへ向かう搬送ベルト20aの位置よりも、鉛直方向において上に位置している。
すなわち、送風部30cは、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aへ向かって気体を送風するため、鉛直方向において、往路方向C1へ向かう搬送ベルト20aと、復路方向C2へ向かう搬送ベルト20aとの間に位置している。
【0044】
図4の例では、駆動ローラー20bの径は、ロール部Rの径よりも大きくなるように構成されている。流路30eの上側は、ロール部Rの下部を経由した後、搬送ベルト20aを巻いた駆動ローラー20bの下部へ向かっている。流路30eの下側は、ガイド30dにより規制されている。
ガイド30dは、鉛直方向において、送風部30cに近いほど高く、搬送ベルト20aに近いほど低くなるような傾斜をしている。このように、流路30eは、なだらかな角度になるように、構成されている。
【0045】
搬送ベルト20aは、媒体Mの第1面M1に当接する面に粘着層である上述のグルーを有するグルーベルトである。グルーは、加熱することにより粘着性が高まる性質がある。
流路30eの下流のガイド30dの近くには、送風部30cにより飛ばされた付着物Fを付着する搬送ベルト20aであって、駆動ローラー20bに巻かれている搬送ベルト20aがある。ガイド30dには、駆動ローラー20bの近くの位置にヒーター30fが搭載され、ガイド30dを加熱可能である。
加熱されたガイド30dの輻射熱などにより、搬送ベルト20aを加熱することができ、グルーの粘着性を高めることができる。
【0046】
ロール部Rの媒体Mから搬送ベルト20aへ向かって飛ばされた付着物Fは、ガイド30dに搭載されたヒーター30fにより粘着性が高まった搬送ベルト20aのグルーに付着し易くなる。
さらに、粘着性が高まったグルーにより、媒体Mの第1面M1も搬送ベルト20aに密着し易くなる。媒体Mの第1面M1及び搬送ベルト20aの間に付着物Fがあっても、記録面である第2面M2の表面が凸凹することが、より抑制され、吐出部12により第2面M2に記録する際、良好な記録品質を得ることができる。
【0047】
以上説明したように、液体吐出装置1,2は、駆動ローラー20bよりも搬送方向Tの上流に、媒体Mの第2面M2に当接し、且つ、搬送ベルト20aの媒体Mが載置されていない部分に当接する除去部30を備えている。除去部30は、媒体Mに付着した付着物Fを除去し、搬送ベルト20a側へ移すことができる。
液体吐出装置1,2は、除去部30により、媒体Mに付着した付着物Fを除去することができる。また、搬送ベルト20aを洗浄して付着したインクを除去する洗浄ユニット31により、搬送ベルト20aに付着した付着物Fを除去することができる。
このように、液体吐出装置1,2は、媒体Mに付着した付着物Fを除去するため、多くの専用部品を必要とせず、簡単な構成で済む。
【0048】
また、液体吐出装置3は、駆動ローラー20bよりも搬送方向Tの上流に、媒体Mの第2面M2を経由して搬送ベルト20aの媒体Mが載置されていない部分へ向かう流路30eに沿って気体を送風する送風部30cを有する除去部30を備えている。除去部30は、媒体Mに付着した付着物Fを除去し、搬送ベルト20a側へ移すことができる。
液体吐出装置3は、送風部30cを有する除去部30により、媒体Mに付着した付着物Fを除去することができる。また、搬送ベルト20aを洗浄して付着したインクを除去する洗浄ユニット31により、搬送ベルト20aに付着した付着物Fを除去することができる。
このように、液体吐出装置3は、媒体Mに付着した付着物Fを除去するため、多くの専用部品を必要とせず、簡単な構成で済む。
【0049】
以上、これらの実施形態を、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこれらの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない限り、変更、置換、削除等されてもよい。
例えば、上述の例では、液体吐出装置1,2,3の吐出部12は、キャリッジにヘッドが搭載されて移動するシリアル型として説明したが、キャリッジがなくヘッドが固定されたライン型のものでもよい。また、搬送部20は、駆動ローラー20bに近い位置において、搬送ベルト20aから引き剥がされた媒体Mを巻き取る巻取装置を備えていてもよい。
【0050】
上述の例では、液体吐出装置1,2,3は、繰出部21、ブレーキ部22、加圧部23を備えていた。しかし、搬送部20による搬送力が十分である場合には繰出部21は無くても良く、搬送部20により媒体Mへのテンションが十分に加えられる場合にはブレーキ部22は無くても良く、搬送ベルト20aが媒体Mと十分に密着できる場合には加圧部23は無くても良い。
また、液体吐出装置1,2,3は、搬送ベルト20aに付着した洗浄液を乾燥させる乾燥装置、搬送ベルト20aにグルーを塗布する塗布装置などを備えていてもよい。
【符号の説明】
【0051】
1,2,3…液体吐出装置、10…制御部、11…記憶部、12…吐出部、20…搬送部、20a…搬送ベルト、20b…駆動ローラー、20c…従動ローラー、21…繰出部、22…ブレーキ部、23…加圧部、24…セット部、25…アーム、26…回転軸、30…除去部、30a…除去ローラー、30b…パイル織物地、30c…送風部、30d…ガイド、30e…流路、30f…ヒーター、31…洗浄ユニット、C…周回方向、F…付着物、M…媒体、M1…第1面、M2…第2面、R…ロール部、T…搬送方向。
図1
図2
図3
図4