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特開2024-54119抗IL-23特異的抗体を用いたクローン病の治療方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054119
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】抗IL-23特異的抗体を用いたクローン病の治療方法
(51)【国際特許分類】
   A61K 39/395 20060101AFI20240409BHJP
   A61P 1/04 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 9/08 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/26 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/22 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 47/14 20170101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/519 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/58 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/445 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/473 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/352 20060101ALI20240409BHJP
   C07D 475/08 20060101ALN20240409BHJP
   C07J 71/00 20060101ALN20240409BHJP
   C07D 211/32 20060101ALN20240409BHJP
   C07D 219/10 20060101ALN20240409BHJP
   C07D 311/24 20060101ALN20240409BHJP
   C12N 15/13 20060101ALN20240409BHJP
   C07K 16/24 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
A61K39/395 N
A61P1/04 ZNA
A61K9/08
A61K47/26
A61K47/22
A61K47/14
A61K45/00
A61P43/00 121
A61K31/519
A61K31/58
A61K31/445
A61K31/473
A61K31/352
C07D475/08
C07J71/00
C07D211/32
C07D219/10
C07D311/24
C12N15/13
C07K16/24
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024003050
(22)【出願日】2024-01-12
(62)【分割の表示】P 2020546354の分割
【原出願日】2019-03-04
(31)【優先権主張番号】62/638,624
(32)【優先日】2018-03-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
(71)【出願人】
【識別番号】509087759
【氏名又は名称】ヤンセン バイオテツク,インコーポレーテツド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100095360
【弁理士】
【氏名又は名称】片山 英二
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【弁理士】
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100093676
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 純子
(74)【代理人】
【識別番号】100149010
【弁理士】
【氏名又は名称】星川 亮
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ダフン
(72)【発明者】
【氏名】アデドクン,オモニイ
(72)【発明者】
【氏名】チェン,ヤン
(72)【発明者】
【氏名】スザペイリー,フィリップ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】クローン病を治療する方法を提供する。
【解決手段】初期静脈内投与量及び以降の皮下投与量で、IL-23特異的抗体、例えば、グセルクマブを投与する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者におけるクローン病を治療する方法であって、前記患者にIL-23に対する抗体
を投与することを含み、前記抗体は軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変
領域は、
配列番号50の軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)アミノ酸配列と、
配列番号56のCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号73のCDRL3アミノ酸配列と、を含み、
前記重鎖可変領域は、
配列番号5の重鎖相補性決定領域1(CDRH1)アミノ酸配列と、
配列番号20のCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号44のCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、方法。
【請求項2】
前記抗体が、初期静脈内投与量で、初期治療から4週間後には静脈内投与量で、初期
治療から8週間後には静脈内投与量で、及び8週間の投与後には4週間又は8週間毎に皮
下投与量で投与される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記静脈内投与量が、1200mg、600mg、及び200mgからなる群から選
択される、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記皮下投与量が、100mg又は200mgである、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記静脈内投与量が1200mgであり、前記皮下投与量が4週間毎に200mgで
ある、請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記静脈内投与量が600mgであり、前記皮下投与量が4週間毎に200mgであ
る、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記静脈内投与量が200mgであり、前記皮下投与量が8週間毎に100mgであ
る、請求項4に記載の方法。
【請求項8】
前記患者が前記抗体に対する応答者であり、以下に示す臨床エンドポイント、すなわ

(i)第12週時点での、クローン病活動性指数(CDAI)スコアにおけるベースラ
インからの変化であって、前記CDAIスコアが、0~約600の範囲のスコアを有する
8つの異なるクローン病関連変数に関する情報を収集することによって評価され、経時的
な減少が、疾患活動性の改善を示す、変化;
(ii)150ポイント未満(<)のCDAIとして定義される、第12週時点での臨
床寛解;
(iii)CDAIスコアのベースラインから100ポイント以上(>=)の減少、又
はCDAIスコア150未満であるとして定義される、第12週時点での臨床応答;
(iv)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定
義される、第12週時点での患者報告アウトカム(PRO)-2寛解;
(v)前記CDAIスコアと、C反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチ
ンのベースラインからの低減とに基づき、臨床応答を用い定義される、第12週時点での
臨床バイオマーカ反応;
(vi)クローン病の内視鏡スコア(Simple Endoscopic Scor
e for Crohn’s Disease)(SES-CD)によって測定される、
第12週時点での内視鏡応答であって、全スコアが0~56の範囲である、5つの回腸結
腸セグメントにわたる4つの内視鏡コンポーネントの評価に基づく、内視鏡応答;
(vii)CDAIスコアが150未満であるとして定義される、第48週時点の臨床
寛解;
(viii)第12週から第48週までの間の全来診のほとんどに関してCDAIが1
50未満であるとして定義される、第48週時点での永続的臨床寛解;
(ix)第48週時点でCDAIスコアが150未満であり、かつ第48週時点でコル
チコステロイドを服用していないとして定義される、第48週時点でのコルチコステロイ
ドなし臨床寛解;
(x)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定義
される、第48週目のPRO-2寛解であって、第12週時点での疲労応答が患者報告ア
ウトカム測定情報システム(PROMIS)に基づき、Fatigue Short F
orm 7aが、疲労の重症度を評価する7つの項目を含み、点数が高くなるほど疲労が
強いことを示す、RO-2寛解;並びに
(xi)クローン病の内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される第48週時点
での内視鏡応答、
を満たすものとして同定される、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記臨床エンドポイント(複数可)が、初期治療後8週間、12週間、16週間、2
0週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間及び/又は週間で測定され
る、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記抗体が、前記医薬組成物の7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒス
チジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
0.053%(w/v)のポリソルベート80と、を含む組成中にあり、
希釈剤は標準状態の水である、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
クローン病を治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を前記患者に投与するこ
とを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキ
サート(MTX)、抗B細胞表面マーカ抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF阻
害剤、コルチコステロイド、及び共刺激調節剤からなる群から選択される、請求項11に
記載の方法。
【請求項13】
前記抗体が、配列番号116のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、配列番号106のア
ミノ酸配列の重鎖可変領域と、を含む、請求項1に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の相互参照)
本出願は2018年3月5日出願の米国仮特許出願第62/638624号の利益を主
張するものである。上記出願の全容は、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
(配列表)
本出願は、ASCIIフォーマットで電子的に提出済みであり、その全体が参照により
本明細書に組み込まれている配列表を含む。2019年3月1日に作成された上記のAS
CIIコピーの名称はJBI5153WOPC1SEQLIST.txtであり、そのサ
イズは79,744バイトである。
【0003】
(発明の分野)
本発明は、ヒトIL-23タンパク質に結合する抗体でクローン病を治療する方法に関
する。具体的には、これは、抗IL-23特異的抗体及び特定の抗体医薬組成物、例えば
、グセルクマブを投与するための投与レジメンに関する。
【背景技術】
【0004】
インターロイキン(IL)-12は、それらのおおよその分子量のためにp35及びp
40と表記される、2つのジスルフィド結合グリコシル化タンパク質サブユニットからな
る、分泌されるヘテロ二量体サイトカインである。IL-12は主に抗原提示細胞によっ
て産生され、T細胞又はナチュラルキラー(NK)細胞の表面上に発現される2鎖受容体
複合体に結合することによって細胞性免疫を促進する。IL-12受容体β-1(IL-
12Rβ1)鎖は、IL-12のp40サブユニットに結合し、IL-12とその受容体
との間の主要な相互作用を提供する。しかしながら、細胞内シグナル伝達(例えば、ST
AT4リン酸化)及び受容体保有細胞の活性化を付与するのは、第2のレセプター鎖IL
-12Rβ2のIL-12p35ライゲーションである(Preskyら、1996)。
抗原提示と並行するIL-12シグナル伝達は、インターフェロンガンマ(IFNγ)産
生を特徴とするTヘルパー1(Th1)表現型に向けてT細胞分化を引き起こすと考えら
れる(Trinchieri,2003)。Th1細胞は、いくつかの細胞内病原体に対
する免疫を促進し、補体結合性抗体アイソタイプを生成し、腫瘍免疫監視に寄与すると考
えられる。したがって、IL-12は、宿主防御免疫機構にとって重要な成分であると考
えられる。
【0005】
IL-12のp40タンパク質サブユニットはまた、p19と表記される別個のタンパ
ク質サブユニットと会合して、新たなサイトカインIL-23を形成し得ることが発見さ
れた(Oppmanら、2000)。IL-23も2鎖受容体複合体を通してシグナル伝
達する。p40サブユニットはIL-12とIL-23との間で共有されるため、その結
果、IL-12Rβ1鎖もIL-12とIL-23との間で共有されることになる。しか
しながら、IL-23特異的細胞内シグナル伝達(例えば、STAT3リン酸化)、及び
その後のT細胞によるIL-17産生を付与するのは、IL-23受容体複合体IL-2
3Rの第2の成分のIL-23p19ライゲーションである(Parhamら、2002
;Aggarwalら、2003)。最近の試験は、IL-23の生物学的機能とIL-
12の生物学的機能とは、これら2つのサイトカイン間の構造的類似性にもかかわらず、
異なることを示した(Langrishら、2005)。
【0006】
抗体によるIL-12の中和が、乾癬、多発性硬化症(multiple sclerosis、MS)、
関節リウマチ、炎症性腸疾患、インスリン依存性(1型)真性糖尿病、及びブドウ膜炎の
動物モデルの治療において有効であるため、IL-12及びTh1細胞集団の異常な制御
は、多くの免疫介在性疾患に関連付けられている(Leonard et al,199
5、Hong et al,1999、Malfait et al,1998、Dav
idson et al,1998)。しかしながら、これらの試験は共有p40サブユ
ニットを標的としたため、IL-12及びIL-23の両方がインビボで中和された。し
たがって、IL-12又はIL-23が疾患を介在していたかどうか、あるいは疾患の抑
制を達成するために両方のサイトカインが阻害される必要があるかは明らかではない。最
近の試験は、IL-23p19欠損マウス又はIL-23の特異的抗体中和により、IL
-23阻害が抗IL-12p40戦略と同等の利益を提供し得ることを確認した(Cua
ら、2003、Murphyら、2003、Bensonら、2004)。したがって、
免疫介在性疾患におけるIL-23の特異的な役割に関する証拠が増加している。IL-
12経路を阻害することなくIL-23を中和することで、重要な宿主防御免疫機構に対
して限定された影響を有する免疫介在性疾患の有効な療法を提供することができる。これ
は、現在の治療選択肢に対して有意な改善を表すであろう。
【0007】
現在、中程度から重度に活性なクローン病の治療に承認された3つのクラスの生物学的
薬剤:腫瘍壊死因子(TNF)拮抗薬療法(インフリキシマブ、アダリムマブ、セルトリ
ズマブ)、インテグリン阻害剤(ナタリズマブ及びベドリズマブ)、及びIL-12/2
3阻害剤(ウステキヌマブ)が存在する。生物学的薬剤の導入は、中程度から重度に活性
なクローン病を有する患者の臨床管理を有意に改善したが、対象患者集団のうちかなりの
割合が応答しないか、又は経時的に応答を失う。承認された生物学的薬剤に対する利用可
能なデータの総説は、特に、過去に生物学的治療に失敗した患者間での、長期的な寛解の
達成及び維持における満たされていない必要性を強調している。全治療患者(すなわち、
評価された試験の第0週時点で無作為化されたすべての患者)において、生物学的薬剤に
対する忍容性がない又は失敗(BIO失敗)を示す集団における1年時の推定臨床寛解率
は約20%であり、従来療法に対する忍容性がない又は失敗(CON失敗)を示す集団に
おいては20%~50%の範囲である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
要約すると、新たな治療選択肢、特に、有効性バー(efficacy bar)を上昇させ、臨床
寛解を達成及び維持する患者の割合を最大化する可能性を有する新規な作用機序を有する
療法に対する、相当な医学的必要性が依然として満たされておらずに存在する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第1の態様では、本発明は、抗IL-23特異的抗体(IL-23p19抗体とも呼ば
れる)、例えばグセルクマブを、治療開始から治療開始後8週間までの初期静脈内導入用
量で患者に投与することと、続いて、その後は1回用量の抗IL-23特異的抗体を、4
又は8週間おきに1回、例えば、0、4、8、12若しくは16、20若しくは24、2
8若しくは32、36若しくは40、44又は48週の時点で皮下投与することと、を含
む、クローン病に罹患している対象の方法に関する。加えて、別の実施形態では、皮下処
置は、治療開始から140週間継続する。
【0010】
一実施形態では、対象には、初期、初期投与から4週間後、及び初期投与から8週間後
に1200、600、又は200mgの用量で抗IL-23特異的抗体を静脈内投与し、
初回治療の後、44週間は4週間毎に100又は200mgで抗IL-23特異的抗体の
皮下処置を続ける。
【0011】
別の態様では、本発明の方法で使用される組成物は、抗IL-23特異的抗体を含む医
薬組成物を含む。好ましい実施形態では、抗IL-23特異的抗体は、医薬組成物の7.
9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一
塩酸塩一水和物;0.053%(w/v)のポリソルベート80からなる組成中のグセル
クマブであり、希釈剤は標準状態の水である。
【0012】
一実施形態では、クローン病患者は、以下から選択される臨床エンドポイントにおいて
有意な改善を達成した。
(i)第12週時点でのクローン病活動性指数(CDAI)スコアにおけるベースライ
ンからの変化。CDAIスコアは、0~約600の範囲のスコアを有する8つの異なるク
ローン病関連変数に関する情報を収集することによって評価される。経時的な減少は、疾
患活動性の改善を示す。
(ii)CDAIが150ポイント未満(<)であるとして定義される、第12週時点
での臨床寛解。
(iii)CDAIスコアのベースラインから100ポイント以上(>=)の減少、又
はCDAIスコア150未満であるとして定義される、第12週時点での臨床応答。
(iv)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定
義される第12週時点での患者報告アウトカム(PRO)-2寛解。
(v)CDAIスコアと、C反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチンの
ベースラインからの低減とに基づき、臨床応答を用いて定義される、第12週時点での臨
床バイオマーカー反応。
(vi)クローン病の内視鏡スコア(Simple Endoscopic Scor
e for Crohn’s Disease)(SES-CD)によって測定される第
12週時点での内視鏡応答。SES-CDは、全スコアが0~56の範囲である、5つの
回腸結腸セグメントにわたる4つの内視鏡コンポーネントの評価に基づく。
(vii)CDAIスコアが150未満であるとして定義される、第48週時点での臨
床寛解。
(viii)第12週から第48週までの間の全訪問のほとんどに関してCDAIが1
50未満であるとして定義される、第48週時点での永続的臨床寛解。
(ix)第48週時点でのCDAIスコアが150未満であり、かつ第48週時点でコ
ルチコステロイドを服用していないとして定義される、第48週時点でのコルチコステロ
イドなし臨床寛解。
(x)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定義
される、第48週目のPRO-2寛解。患者報告アウトカム測定情報システム(PROM
IS)に基づく第12週時点での疲労応答。Fatigue Short Form 7
aは、疲労の重症度を評価する7つの項目を含み、より高い点数はより高い疲労を示す。
(xi)クローン病の内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される第48週時点
での内視鏡応答。
【0013】
本発明の別の態様では、医薬組成物は、医薬組成物の7.9%(w/v)のスクロース
、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053
%(w/v)のポリソルベート80からなる組成中に(i)配列番号5、配列番号20、
及び配列番号44の重鎖CDRアミノ酸配列と、(ii)配列番号50、配列番号56、
及び配列番号73の軽鎖CDRアミノ酸配列と、を含むグセルクマブCDR配列を有する
単離された抗IL-23特異的抗体を含み、希釈剤は標準状態の水である。
【0014】
本発明の方法の別の態様は、医薬組成物の7.9%(w/v)のスクロース、4.0m
Mのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物、0.053%(w/v
)のポリソルベート80からなる組成中に、配列番号106のグセルクマブ重鎖可変領域
アミノ酸配列と、配列番号116のグセルクマブ軽鎖可変領域アミノ酸配列と、を有する
単離された抗IL-23特異的抗体を含む医薬組成物を投与することを含み、希釈剤は標
準状態の水である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用するとき、クローン病に罹患している対象の治療方法は、単離された、
組み換えられた、及び/又は合成の抗IL-23特異的ヒト抗体、及び診断用組成物及び
治療組成物、方法、並びに装置を含む。
【0016】
本明細書で使用するとき、「抗IL-23特異的抗体」、「抗IL-23抗体」、「抗
体部分」若しくは「抗体断片」、及び/又は「抗体バリアント」等は、本発明の抗体の中
に組み込むことができる、重鎖若しくは軽鎖の少なくとも1つの相補性決定領域(CDR
)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、重鎖若しくは軽鎖定常領
域、フレームワーク領域、又はこれらの任意の部分、あるいはIL-23受容体又は結合
タンパク質の少なくとも一部分などであるがこれらに限定されない、免疫グロブリン分子
の少なくとも一部を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。かかる抗体は
、場合により、特異的リガンドに更に影響を及ぼし、限定するものではないが、例えば、
かかる抗体は、インビトロで、その場で、かつ/又はインビボで、少なくとも1つのIL
-23活性若しくは結合、又はIL-23受容体活性若しくは結合を、調節、減少、増加
、中和、刺激、軽減、緩和、遮断、阻害、抑止、及び/又は干渉する。非限定的な例とし
て、本発明の好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又はバリアントは、少なくとも1つ
のIL-23分子、又はその特定の部分、バリアント、若しくはドメインに結合すること
ができる。好適な抗IL-23抗体、特定の部分、又はバリアントはまた、場合により、
RNA、DNA又はタンパク質合成、IL-23放出、IL-23受容体シグナル伝達、
膜IL-23開裂、IL-23活性、IL-23産生及び/又は合成などが挙げられるが
これらに限定されないIL-23活性又は機能のうちの少なくとも1つに影響を及ぼし得
る。
【0017】
用語「抗体」は、更に、抗体模倣薬を含む、あるいは単鎖抗体及びその断片などといっ
た抗体の構造及び/若しくは機能を模倣する抗体の部分若しくはその特定断片若しくは一
部を含む、抗体、その消化断片、特定部分、及びバリアントを包含すること意図する。機
能断片としては、哺乳動物のIL-23に結合する抗原結合断片が挙げられる。例えば、
Fab(例えば、パパイン消化による)、Fab’(例えば、ペプシン消化及び部分的還
元による)、及びF(ab’)(例えば、ペプシン消化による)、facb(例えば、
プラスミン消化による)、pFc’(例えば、ペプシン又はプラスミン消化による)、F
d(例えば、ペプシン消化、部分的還元、及び再集合による)、Fv又はscFv(例え
ば、分子生物学的技術による)断片が挙げられるがこれらに限定されない、IL-23又
はその部分に結合可能な抗体断片が、本発明に包含される(例えば、上記のCollig
an,Immunologyを参照)。
【0018】
このような断片は、当該技術分野において既知であるような、及び/又は本明細書に記
載のような、酵素による切断、合成又は組み換え技術により生成できる。抗体はまた、1
つ以上の終止コドンが天然の終止部位の上流に導入されている抗体遺伝子を用いて、種々
の切断型で生成できる。例えば、F(ab’)重鎖部をコードする遺伝子の組み合わせ
は、重鎖のC1ドメイン及び/又はヒンジ領域をコードするDNA配列を含むよう設計
することができる。抗体の様々な部分を従来技術により化学的に結合でき、又は遺伝子工
学技術を用いて隣接するタンパク質(contiguous protein)として調製できる。
【0019】
本明細書で使用するとき、用語「ヒト抗体」は、タンパク質の実質的にすべての部分(
例えば、CDR、フレームワーク、C、Cドメイン(例えば、C1、C2、C
3)、ヒンジ(V、V))が、ヒトにおいて実質的に非免疫原性であり、有する配列
変化又は変異がごくわずかである抗体を指す。「ヒト抗体」はまた、ヒト生殖細胞系列型
の免疫グロブリン配列に由来する抗体でも、又は厳密に一致する抗体であってもよい。ヒ
ト抗体は、生殖細胞系列型免疫グロブリン配列にコードされていないアミノ酸残基(例え
ば、in vitroにおけるランダムな若しくは部位特異的な変異の導入により、又は
in vivoにおける体細胞突然変異により導入された変異)を含んでもよい。多くの
場合、これは、ヒト抗体がヒトにおいて実質的に非免疫原性であることを意味する。ヒト
抗体は、それらのアミノ酸配列の類似性に基づいたグループに分類されている。したがっ
て、配列類似性検索を使用して、類似の直鎖配列を有する抗体を、ヒト抗体を作り出すた
めのテンプレートとして選択することができる。同様に、名称に霊長類(サル、ヒヒ、チ
ンパンジー等)、げっ歯類(マウス、ラット、ウサギ、モルモット、ハムスター等)及び
他の哺乳類を含む抗体は、かかる種、亜属、属、亜科、及び科の特異的抗体であることを
示す。更に、キメラ抗体は、上記の任意の組み合わせを含み得る。このような変化又は変
異は、場合により、及び好ましくは、改変していない抗体に比べて、ヒト又は他の種にお
ける免疫原性を保持するか又は低減させる。したがって、ヒト抗体は、キメラ抗体又はヒ
ト化抗体とは異なる。
【0020】
ヒト抗体は、機能的に再構成されたヒト免疫グロブリン(例えば、重鎖及び/又は軽鎖
)遺伝子を発現することができる、ヒト以外の動物、又は原核若しくは真核細胞により生
成され得ることが指摘される。その上、ヒト抗体が単鎖抗体である場合、天然のヒト抗体
では見られないリンカーペプチドを含み得る。例えば、Fvは、重鎖の可変領域と軽鎖の
可変領域とを接続する2~約8個のグリシン又はその他のアミノ酸残基などのリンカーペ
プチドを含み得る。このようなリンカーペプチドはヒト由来のものと見なされる。
【0021】
また、少なくとも2つの異なる抗原に対して結合特異性を有するモノクローナルの、好
ましくはヒト抗体又はヒト化抗体である、二重特異的抗体、異種特異的抗体、異種結合性
抗体、又は類似の抗体を使用してもよい。この場合、結合特異性のうち一方は少なくとも
1つのIL-23タンパク質に対するものであり、他方は任意の他の抗原に対するもので
ある。二重特異的抗体の製造方法は、当該技術分野において既知である。従来、二重特異
的抗体の組み換え体生成は、2種の免疫グロブリン重鎖-軽鎖対の共発現に基づくが、こ
こで2本の重鎖は異なる特異性を有する(Milstein and Cuello、N
ature、305:537(1983))。免疫グロブリン重鎖及び軽鎖の組み合わせ
はランダムであることから、これらのハイブリドーマ(クアドローマ)は、10種の異な
る抗体分子の混合物を生成する可能性があり、当該分子のうち1種のみが正しい二重特異
的構造を有する。正確な分子の精製(通常アフィニティクロマトグラフィー工程により行
われる)はかなり面倒であり、生成物の収率は低い。同様の手順が、例えば、それぞれ参
照により全体が本明細書に組み込まれる、国際公開第93/08829号、米国特許第6
210668号、同第6193967号、同第6132992号、同第6106833号
、同第6060285号、同第6037453号、同第6010902号、同第5989
530号、同第5959084号、同第5959083号、同第5932448号、同第
5833985号、同第5821333号、同第5807706号、同第5643759
号、同第5601819号、同第5582996号、同第5496549号、同第467
6980号、国際公開第91/00360号、同第92/00373号、欧州特許第03
089号、Trauneckerら、EMBO J.10:3655(1991)、Su
reshら、Methods in Enzymology 121:210(1986
)に開示されている。
【0022】
本発明の方法及び組成物に有用な抗IL-23特異的抗体(IL-23特異的抗体とも
称される)(又はIL-23に対する抗体)は、IL-23に対する高親和性結合、並び
に任意選択的にかつ好ましくは低毒性を有することを任意選択的に特徴とし得る。具体的
には、可変領域、定常領域、及びフレームワークなどの個々のコンポーネントが、個々に
及び/又は集合的に、任意選択的にかつ好ましくは、低い免疫原性を有する、本発明の抗
体、その特定された断片、又はバリアントが本発明において有用である。本発明で使用す
ることができる抗体は、症状の測定可能な緩和並びに低い及び/又は許容できる毒性を備
えて、長期間患者を治療する能力をもとに、任意に評価され得る。低い若しくは許容でき
る免疫原性、及び/又は高い親和性、並びにその他の好適な特性が、得られる治療結果に
寄与することができる。「低い免疫原性」は、本明細書では、HAHA、HACA若しく
はHAMAに対して顕著な応答が生じるのが、治療される患者の約75%未満、若しくは
好ましくは約50%未満であること、及び/又は治療される患者において生じる力価が低
いこと(二重抗原酵素イムノアッセイで測定したとき約300未満、好ましくは約100
未満)として定義される(参照により全体が本明細書に組み込まれるElliottらの
Lancet 344:1125-1127(1994))。「低い免疫原性」は、治療
期間中に推奨される治療過程に関し、抗IL-23抗体で治療した患者において抗IL-
23抗体に対する抗体が滴定可能なレベルになる頻度が、推奨用量で治療される患者の2
5%未満、好ましくは当該治療を施される患者の10%未満であるとして定義することも
できる。
【0023】
用語「安全」は、本発明の抗IL-23抗体(例えば、抗IL-23抗体グセルクマブ
)を用いる投与、用量レジメン、治療又は方法に関するとき、標準的治療又は別のコンパ
レータ(comparator)と比較して、例えば、実施された臨床試験、例えば、第2相臨床試
験、及び以前の臨床試験からの、治療により発現した有害事象(adverse events、AE又
はtreatment-emergent adverse events、TEAEと称される)の比較的低い若しくは低
減された頻度及び/又は低い若しくは低減された重症度を指す。有害事象とは、医薬品を
投与された患者における好ましくない医療上の出来事である。特に、本発明の抗IL-2
3抗体を用いる投与、用量レジメン又は治療に関連するとき、安全とは、原因が抗IL-
23抗体の使用による可能性がある、可能性が高い、又は非常に高いと考えられる場合に
、抗体の投与に関連する有害事象の比較的低い若しくは低減された頻度及び/又は低い若
しくは低減された重症度を指す。
【0024】
有用性
本発明の単離された核酸は、少なくとも1つの抗IL-23抗体又はその特定のバリア
ントの産生に使用することができ、当該抗体又はバリアントは、クローン病の症状を、診
断、観察、調節、治療、緩和し、その発生の防止を支援、又は低減するべく、細胞、組織
、臓器又は動物(哺乳動物及びヒトを含む)を測定するために又はそれらに作用させるた
めに使用することができる。
【0025】
こうした方法は、症状、作用、又は機序のかかる調節、治療、緩和、予防、若しくは低
減を必要としている細胞、組織、臓器、動物又は患者に、少なくとも1つの抗IL-23
抗体を含む組成物又は医薬組成物を有効量で投与することを含み得る。有効量は、本明細
書に記載のように、又は関連分野で既知のように、既知の方法を用いて実施及び決定する
とき、単回(例えば、ボーラス)投与、複数回投与、若しくは持続的な投与毎に約0.0
01~500mg/kgの量、若しくは単回投与、複数回投与、若しくは持続的な投与毎
に0.01~5000μg/mLの血清濃度を達成する量、又はこの中の任意の有効範囲
若しくは値を含み得る。
【0026】
引用文献
本明細書で引用するすべての刊行物又は特許は、具体的な指定の有無にかかわらず、参
照によりその全体が本明細書に組み込まれ、本発明の時点での先行技術を示し、かつ/又
は本発明の説明及び実施可能性を提供する。刊行物は、任意の科学刊行物若しくは特許公
報、又は電子形式若しくは印刷形式で記録されたものをすべて含む任意のメディア形式で
利用可能なその他の任意の情報を指す。以下の参考文献は、参照によりその全体が本明細
書に組み込まれる。Ausubelら、ed.,Current Protocols
in Molecular Biology,John Wiley&Sons,Inc
.,NY,NY(1987-2001);Sambrookら、Molecular C
loning:A Laboratory Manual,2nd Edition,C
old Spring Harbor,NY(1989);Harlow and La
ne,antibodies,a Laboratory Manual,Cold S
pring Harbor,NY(1989);Colliganら、eds.,Cur
rent Protocols in Immunology,John Wiley&
Sons,Inc.,NY(1994-2001);Colliganら、Curren
t Protocols in Protein Science,John Wile
y&Sons,NY,NY,(1997-2001)。
【0027】
本発明の抗体-産生及び生成
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗IL-23抗体は、任意に、当該技術分
野において周知の細胞株、混合細胞株、不死化細胞、又は不死化細胞のクローン集団によ
って産生することができる。例えば、それぞれが参照により全体が本明細書に組み込まれ
るAusubelら、ed.,Current Protocols in Molec
ular Biology,John Wiley&Sons,Inc.,NY,NY(
1987-2001);Sambrookら、Molecular Cloning:A
Laboratory Manual,2nd Edition,Cold Spri
ng Harbor,NY(1989);Harlow and Lane,antib
odies,a Laboratory Manual,Cold Spring Ha
rbor,NY(1989);Colliganら、eds.,Current Pro
tocols in Immunology,John Wiley&Sons,Inc
.,NY(1994-2001);Colliganら、Current Protoc
ols in Protein Science,John Wiley&Sons,N
Y,NY,(1997-2001)を参照されたい。
【0028】
好ましい抗IL-23抗体は、配列番号106の重鎖可変領域アミノ酸配列と、配列番
号116の軽鎖可変領域アミノ酸配列とを有し、かつ配列番号5、配列番号20、及び配
列番号44の重鎖CDRアミノ酸配列と、配列番号50、配列番号56、及び配列番号7
3の軽鎖CDRアミノ酸配列とを有するグセルクマブ(CNTO1959とも称される)
である。その他の抗IL-23抗体は、本明細書に掲載される配列を有しており、全内容
が参照により本明細書に組み込まれる米国特許第7,935,344号に記載されている
【0029】
ヒトIL-23タンパク質又はその断片に特異的なヒト抗体は、単離されたIL-23
タンパク質及び/又はそれらの部分(合成ペプチドなどの合成分子を含む)などの適切な
免疫原性抗原に対して生じ得る。他の特定の又は一般的な哺乳動物の抗体も同様に生じ得
る。免疫原性を持つ抗原の調製及びモノクローナル抗体の生成は、任意の好適な技術を使
用して行うことができる。
【0030】
1つのアプローチでは、ハイブリドーマは、適切な不死細胞株(例えば、限定するもの
ではないが、Sp2/0、Sp2/0-AG14、NSO、NS1、NS2、AE-1、
L.5、L243、P3X63Ag8.653、Sp2 SA3、Sp2 MAI、Sp
2 SS1、Sp2 SA5、U937、MLA 144、ACT IV、MOLT4、
DA-1、JURKAT、WEHI、K-562、COS、RAJI、NIH 3T3、
HL-60、MLA 144、NAMALWA、NEURO 2Aなどの骨髄腫細胞株、
若しくはヘテロミローマス(heteromylomas)、その融合産物、若しくはそれに由来する
任意の細胞若しくは融合細胞、又は当該技術分野において既知の任意の他の好適な細胞株
)(例えば、www.atcc.org、www.lifetech.comなどを参照
されたい)を、単離された若しくはクローン化された脾臓、末梢血、リンパ、扁桃腺、若
しくは他の免疫細胞若しくはB細胞含有細胞胞、又は、内因性若しくは異種核酸のいずれ
かとして組み換え若しくは内因性のウイルス、細菌、藻、原核生物、両生類、昆虫、爬虫
類、魚類、哺乳類、げっ歯類、ウマ、ヒツジ(ovine)、ヤギ、ヒツジ(sheep)、霊長類
、真核生物、ゲノムDNA、cDNA、rDNA、ミトコンドリアDNA若しくはRNA
、葉緑体DNA若しくはRNA、hnRNA、mRNA、tRNA、単一、二重若しくは
三重鎖、ハイブリダイズなど、若しくはそれらの任意の組み合わせとしての、重鎖若しく
は軽鎖の定常若しくは可変、若しくはフレームワーク若しくはCDR配列を発現する任意
の他の細胞などであるがこれらに限定されない抗体産生細と融合することにより、産生さ
れる。例えば、参照により全体が本明細書に組み込まれる上記のAusubel及び上記
のColligan,Immunologyのchapter2を参照されたい。
【0031】
抗体産生細胞はまた、目的の抗原で免疫されたヒト又は他の好適な動物の末梢血、又は
好ましくは脾臓若しくはリンパ節から得ることもできる。任意のその他の好適な宿主細胞
を使用して、本発明の抗体、特定された断片又はそのバリアントをコードする異種核酸若
しくは内在核酸を発現させることもできる。融合細胞(ハイブリドーマ)又は組み換え細
胞は、選択的培養条件又はその他の好適な既知の方法を使用して単離し、限界希釈若しく
は細胞選別又はその他の既知の方法によってクローニングすることができる。所望の特異
性を有する抗体を産生する細胞は、好適なアッセイ(例えばELISA)によって選択す
ることができる。
【0032】
ペプチド又はタンパク質ライブラリから組み換え抗体を選択する(例えば、バクテリオ
ファージ、リボソーム、オリゴヌクレオチド、RNA、cDNAなどのディスプレイライ
ブラリであるがこれに限定されない、例えば、Cambridge antibody
Technologies,Cambridgeshire,UK、MorphoSys
,Martinsreid/Planegg,DE、Biovation,Aberde
en,Scotland,UK、BioInvent,Lund,Sweden、Dya
x Corp.,Enzon,Affymax/Biosite、Xoma,Berke
ley,CA、Ixsys。例えば、欧州特許第368,684号、国際出願GB91/
01134号、同GB92/01755号、同GB92/002240号、同GB92/
00883号、同GB93/00605号、米国特許出願第08/350260号(5/
12/94)、国際出願GB94/01422号、同GB94/02662号、同GB9
7/01835号、(CAT/MRC)、国際公開第90/14443号、同第90/1
4424号、同第90/14430号、国際出願US94/1234号、国際公開第92
/18619号、同第96/07754号、(Scripps)、同第96/13583
号、同第97/08320号(MorphoSys)、同第95/16027号(Bio
Invent)、同第88/06630号、同第90/3809号(Dyax)、米国特
許第4,704,692号(Enzon)、国際出願US91/02989号(Affy
max)、国際公開第89/06283号、欧州特許第371998号、欧州特許第55
0400号、(Xoma)、欧州特許第229046号、国際出願US91/07149
号(Ixsys)、あるいは、当該技術分野において既知であり、かつ/若しくは本明細
書に記載される、確率論的に生成される(米国特許第5723323号、同第57631
92号、同第5814476号、同第5817483号、同第5824514号、同第5
976862号、国際公開第86/05803号、欧州特許第590689号)(Ixs
ys、Applied Molecular Evolution(AME)の前身、そ
れぞれが全体が参照により本明細書に組み込まれる)、又はヒト抗体のレパートリーを産
生することができるトランスジェニック動物の免疫に依存する(例えば、それぞれ全体が
参照により組み込まれる、SCIDマウス、Nguyenら、Microbiol.Im
munol.41:901-907(1997)、Sandhuら、Crit.Rev.
Biotechnol.16:95-118(1996)、Erenら、Immunol
.93:154-161(1998)、並びに関連する特許及び出願)ペプチド又はタン
パク質を参照されたい。こうした技術としては、リボソームディスプレイ(Hanes
et al.,Proc.Natl.Acad.Sci.USA,94:4937-49
42(1997年5月)、Hanesら、Proc.Natl.Acad.Sci.US
A,95:14130-14135(1998年11月))、単一細胞抗体産生技術(例
えば、選択リンパ球抗体法(「SLAM」)(米国特許第5,627,052号、Wen
ら、J.Immunol.17:887-892(1987)、Babcookら、Pr
oc.Natl.Acad.Sci.USA93:7843-7848(1996))、
ゲルマイクロドロップレット及びフローサイトメトリー(Powellら、Biotec
hnol.8:333-337(1990)、One Cell Systems,Ca
mbridge,MA、Grayら、J.Imm.Meth.182:155-163(
1995)、Kennyら、Bio/Technol.13:787-790(1995
)、B細胞選択物(Steenbakkersら、Molec.Biol.Report
s19:125-134(1994)、Jonakら、Progress Biotec
h,Vol.5,In Vitro Immunization in Hybrido
ma Technology,Borrebaeck,ed.,Elsevier Sc
ience Publishers B.V.,Amsterdam,Netherla
nds(1988))が挙げられるが、これらに限定されない。
【0033】
ヒト以外の抗体又はヒト抗体を工学的処理又はヒト化する方法も同様に使用でき、当該
技術分野において周知である。一般に、ヒト化抗体又は改変抗体は、ヒト以外、例えば、
限定されないが、マウス、ラット、ウサギ、ヒト以外の霊長類、又は他の哺乳動物に由来
する1つ以上のアミノ酸残基を有する。これらのヒト以外のアミノ酸残基は、しばしば「
インポート」残基と呼ばれる残基により置き換えられる。かかる「インポート」残基は、
典型的には既知のヒト配列の「インポート」可変ドメイン、定常ドメイン、又は他のドメ
インから得られる。
【0034】
既知のヒトIg配列が、例えば、それぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる、
www.ncbi.nlm.nih.gov/entrez/query.fcgi、w
ww.ncbi.nih.gov/igblast、www.atcc.org/pha
ge/hdb.html、www.mrc-cpe.cam.ac.uk/ALIGNM
ENTS.php、www.kabatdatabase.com/top.html、
ftp.ncbi.nih.gov/repository/kabat、www.sc
iquest.com/、www.abcam.com/、www.antibodyr
esource.com/onlinecomp.html、www.public.i
astate.edu/~pedro/research_tools.html、ww
w.whfreeman.com/immunology/CH05/kuby05.h
tm、www.hhmi.org/grants/lectures/1996/vla
b/、www.path.cam.ac.uk/~mrc7/mikeimages.h
tml、mcb.harvard.edu/BioLinks/Immunology.
html、www.immunologylink.com、pathbox.wust
l.edu/~hcenter/index.html、www.appliedbio
systems.com、www.nal.usda.gov/awic/pubs/a
ntibody、www.m.ehime-u.ac.jp/~yasuhito/El
isa.html、www.biodesign.com、www.cancerres
earchuk.org、www.biotech.ufl.edu、www.isac
-net.org、baserv.uci.kun.nl/~jraats/links
1.html、www.recab.uni-hd.de/immuno.bme.nw
u.edu、www.mrc-cpe.cam.ac.uk、www.ibt.unam
.mx/vir/V_mice.html、http://www.bioinf.or
g.uk/abs、antibody.bath.ac.uk、www.unizh.c
h、www.cryst.bbk.ac.uk/~ubcg07s、www.nimr.
mrc.ac.uk/CC/ccaewg/ccaewg.html、www.path
.cam.ac.uk/~mrc7/humanisation/TAHHP.html
、www.ibt.unam.mx/vir/structure/stat_aim.
html、www.biosci.missouri.edu/smithgp/ind
ex.html、www.jerini.de、Kabatら、Sequences o
f Proteins of Immunological Interest,U.S
.Dept.Health(1983)に開示されている。
【0035】
かかるインポートされた配列は、免疫原性を低減させるため、あるいは、当該技術分野
において既知のように、結合、親和性、結合速度定数、解離速度定数、結合活性、特異性
、半減期、又はその他の適切な任意の特性を低減、増強又は改変するために使用すること
ができる。一般的に、CDR残基は、抗原結合に直接的にかつほとんど実質的に影響する
。したがって、ヒト以外のCDR配列又はヒトCDR配列の一部又はすべてを維持しつつ
、可変領域及び定常領域のヒト以外の配列を、ヒトのアミノ酸又は他のアミノ酸に置き換
えることもできる。
【0036】
抗体は、任意に、ヒト化されてよく、又はヒト抗体は、抗原に対する高い親和性及び他
の有利な生物学的特性を保持させたまま改変され得る。この目的を達成するためには、任
意に、親及びヒト化配列の3次元モデルを使用して親配列及び様々な理論上のヒト化産物
を分析するプロセスによって、ヒト化(又はヒト)抗体を調製することができる。3次元
の免疫グロブリンモデルが一般的に利用可能であり、当業者によく知られている。選択さ
れた免疫グロブリン配列候補について可能性の高い3次元立体構造を図示及び表示するコ
ンピュータプログラムを利用可能である。これらの表示を調べることにより、免疫グロブ
リン配列候補の機能において残基が示す可能性の高い働きの分析、即ち免疫グロブリン候
補の抗原結合能に影響する残基の分析が可能となる。このようにして、標的抗原(複数可
)に対する親和性の増強などといった望ましい抗体特性が達成されるように、コンセンサ
ス配列及びインポート配列からフレームワーク(FR)残基を選択し組み合わせることが
できる。
【0037】
加えて、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖細胞系列型
の軽鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、生殖細胞系列型軽鎖配列は、A
1、A10、A11、A14、A17、A18、A19、A2、A20、A23、A26
、A27、A3、A30、A5、A7、B2、B3、L1、L10、L11、L12、L
14、L15、L16、L18、L19、L2、L20、L22、L23、L24、L2
5、L4/18a、L5、L6、L8、L9、O1、O11、O12、O14、O18、
O2、O4、及びO8が挙げられるがこれらに限定されないヒトVK配列から選択される
。特定の実施形態では、このヒト生殖細胞系列型軽鎖フレームワークは、V1-11、V
1-13、V1-16、V1-17、V1-18、V1-19、V1-2、V1-20、
V1-22、V1-3、V1-4、V1-5、V1-7、V1-9、V2-1、V2-1
1、V2-13、V2-14、V2-15、V2-17、V2-19、V2-6、V2-
7、V2-8、V3-2、V3-3、V3-4、V4-1、V4-2、V4-3、V4-
4、V4-6、V5-1、V5-2、V5-4、及びV5-6から選択される。
【0038】
他の実施形態では、本発明の方法に使用されるヒトIL-23特異的抗体は、ヒト生殖
細胞系列型重鎖フレームワークを含み得る。特定の実施形態では、このヒト生殖細胞系列
型重鎖フレームワークは、VH1-18、VH1-2、VH1-24、VH1-3、VH
1-45、VH1-46、VH1-58、VH1-69、VH1-8、VH2-26、V
H2-5、VH2-70、VH3-11、VH3-13、VH3-15、VH3-16、
VH3-20、VH3-21、VH3-23、VH3-30、VH3-33、VH3-3
5、VH3-38、VH3-43、VH3-48、VH3-49、VH3-53、VH3
-64、VH3-66、VH3-7、VH3-72、VH3-73、VH3-74、VH
3-9、VH4-28、VH4-31、VH4-34、VH4-39、VH4-4、VH
4-59、VH4-61、VH5-51、VH6-1、及びVH7-81から選択される
【0039】
特定の実施形態では、軽鎖可変領域及び/又は重鎖可変領域は、フレームワーク領域、
又はフレームワーク領域の少なくとも一部(例えば、FR2及びFR3などといった2又
は3つの小領域)を含む。特定の実施形態では、少なくともFRL1、FRL2、FRL
3、又はFRL4は完全にヒトのものである。他の実施形態では、少なくともFRH1、
FRH2、FRH3、又はFRH4は完全にヒトのものである。一部の実施形態では、少
なくともFRL1、FRL2、FRL3、又はFRL4は、生殖細胞系列型配列(例えば
、ヒト生殖細胞型系列)であるか、又は特定のフレームワークのためヒトコンセンサス配
列(上述の既知のヒトIg配列の供給源により容易に入手可能である)を含む。他の実施
形態では、少なくともFRH1、FRH2、FRH3、又はFRH4は、生殖系列細胞型
配列(例えば、ヒト生殖細胞型系列)であるか、又は特定のフレームワークのためヒトコ
ンセンサス配列を含む。好ましい実施形態では、フレームワーク領域は、完全なヒトフレ
ームワーク領域である。
【0040】
本発明の抗体のヒト化又は改変は、それぞれ全体が参照により本明細書に組み込まれる
Winter(Jonesら、Nature 321:522(1986);Riech
mannら、Nature 332:323(1988);Verhoeyenら、Sc
ience 239:1534(1988)),Simsら、J.Immunol.15
1:2296(1993);Chothia and Lesk,J.Mol.Biol
.196:901(1987),Carterら、Proc.Natl.Acad.Sc
i.U.S.A.89:4285(1992);Prestaら、J.Immunol.
151:2623(1993),米国特許第5723323号、同第5976862号、
同第5824514号、同第5817483号、同第5814476号、同第57631
92号、同第5723323号、同第5,766886号、同第5714352号、同第
6204023号、同第6180370号、同第5693762号、同第5530101
号、同第5585089号、同第5225539号、同第4816567、国際出願US
98/16280号、同US96/18978号、同US91/09630号、同US9
1/05939号、同US94/01234号、同GB89/01334号、同GB91
/01134号、同GB92/01755;国際公開第90/14443号、同第90/
14424号、同第90/14430号、欧州特許第229246号(これらの中に引用
される文献を含む)に記載されるものなどであるがこれらに限定されない任意の既知の方
法を用いて実施することができる。
【0041】
所定の実施形態において、抗体は、改変された(例えば、変異を導入された)Fc領域
を含む。例えば、いくつかの実施形態において、Fc領域は、抗体のエフェクター機能を
低減又は増強するために改変されている。いくつかの実施形態において、Fc領域は、I
gM、IgA、IgG、IgE、又は他のアイソタイプから選択されるアイソタイプであ
る。あるいは、又は加えて、アミノ酸修飾と、IL-23結合分子のFc領域のC1q結
合及び/又は補体依存性細胞毒性機能を変更する1つ以上の更なるアミノ酸修飾とを組み
合わせることが有用であり得る。特定目的の出発ポリペプチドは、C1qに結合するもの
であってよく、補体依存性細胞毒性(CDC)を示す。既存のC1q結合活性を有し、任
意に更にCDCを介在する能力を有するポリペプチドは、これらの活性のうちの1つ又は
両方が強化されるように、修飾されてもよい。C1qを改変する、かつ/又はその補体依
存性細胞毒性機能を修飾するアミノ酸修飾は、例えば、参照により本明細書に組み込まれ
る国際公開第0042072号に記載される。
【0042】
上記に開示されるように、例えば、C1q結合及び/又はFcγR結合を改変し、それ
により、補体依存性細胞毒性(CDC)活性及び/又は抗体依存性細胞介在性細胞毒性(
antibody-dependent cell-mediated cytotoxicity、ADCC)活性を変化させることに
よって、変更されたエフェクター機能を有する本発明のヒトIL-23特異的抗体のFc
領域を設計することができる。「エフェクター機能」は、(例えば、対象における)生物
活性を活性化又は低減させる役割を果たす。エフェクター機能の例としては、これらに限
定されるものではないが、C1q結合、CDC、Fc受容体結合、ADCC、貪食作用、
細胞表面受容体(例えば、B細胞受容体、BCR)のダウンレギュレーションなどが挙げ
られる。かかるエフェクター機能は、Fc領域が結合ドメイン(例えば、抗体可変ドメイ
ン)と結合することを必要とする場合があり、また多種多様なアッセイ(例えば、Fc結
合アッセイ、ADCCアッセイ、CDCアッセイなど)を使用して評価することができる
【0043】
例えば、C1q結合が改善されておりかつFcγRIII結合が改善されている(例え
ば、ADCC活性が改善されておりかつCDC活性が改善されている)ヒトIL-23(
又は抗IL-23)抗体のFc領域のバリアントを生成することができる。あるいは、エ
フェクター機能を低減又は除去することが所望される場合、Fc領域のバリアントは、C
DC活性を低減させるよう及び/又はADCC活性を低減させるよう改変することができ
る。他の実施形態において、これらの活性の1つだけが増強されてもよく、任意に、同時
に他の活性が低減されてもよい(例えば、改善されたADCC活性と低減されたCDC活
性を有するFc領域バリアント、及びこの逆のFc領域バリアントを生成するため)。
【0044】
Fc変異は、胎児性Fc受容体(FcRn)との相互作用を変更し、それらの薬物動態
特性を改善するように遺伝子を操作して、導入することもできる。FcRnへの結合が改
善されたヒトFcバリアントの収集は説明されている(Shieldsら(2001)。
High resolution mapping of the binding s
ite on human IgG1 for FcγRI,FcγRII,FcγRI
II,and FcRn and design of IgG1 variants
with improved binding to the FcγR,J.Biol
Chem.276:6591-6604)。
【0045】
別のタイプのアミノ酸置換は、ヒトIL-23特異的抗体のFc領域のグリコシル化パ
ターンを変更するように働く。Fc領域のグリコシル化は、典型的に、N結合型又はO結
合型のいずれかである。N結合型とは、アスパラギン残基の側鎖への炭水化物部分の付加
を言う。O結合型グリコシル化は、ヒドロキシアミノ酸、最も一般的にはセリン又はスレ
オニンに対する(但し、5-ヒドロキシプロリン又は5-ヒドロキシリジンが使用される
場合もある)、N-アセチルガラクトサミン、ガラクトース、又はキシロースなどの糖類
のうちの1つの付加を指す。アスパラギン側鎖ペプチド配列への炭水化物部分の酵素的付
加のための認識配列は、アスパラギン-X-セリン及びアスパラギン-X-スレオニンで
あり、Xはプロリン以外の任意のアミノ酸である。このため、ポリペプチド中にこれらの
いずれかのペプチド配列が存在すると、グリコシル化が生じ得る部位がもたらされる。
【0046】
グリコシル化パターンは、例えば、ポリペプチドに見出される1つ以上のグリコシル化
部位(複数可)を欠失させること、及び/又はポリペプチド中に存在しない1つ以上のグ
リコシル化部位を付加することによって変更され得る。ヒトIL-23特異的抗体のFc
領域へのグリコシル化部位の付加は、上記のトリペプチド配列の1つ以上を含むようにア
ミノ酸配列を変更することによって首尾よく達成される(N結合型グリコシル化部位の場
合)。例示的なグリコシル化バリアントは、重鎖の残基Asn297のアミノ酸置換を有
する。この変更は、元々のポリペプチド配列への1つ以上のセリン又はスレオニン残基の
付加、又はこれらによる置換によって行われてもよい(O結合型グリコシル化部位の場合
)。加えて、Asn 297をAlaに変更すると、グリコシル化部位の1つを除去する
ことができる。
【0047】
特定の実施形態において、本発明のヒトIL-23特異的抗体は、ベータ(1,4)-
N-アセチルグルコサミニルトランスフェラーゼIII(GnT III)がGlcNA
cをヒトIL-23抗体に付加するように、GnT IIIを発現する細胞において発現
される。かかる様式で抗体を産生する方法は、国際公開第9954342号、国際公開第
03011878号、特許公報20030003097A1、及びUmanaらのNat
ure Biotechnology,17:176-180,Feb.1999に提供
されており、これらのすべては、参照によりその全体が本明細書に具体的に組み込まれる
【0048】
抗IL-23抗体はまた、任意に、本明細書に記載及び/又は当該技術分野において既
知であるように、ヒト抗体のレパートリーを生成することができるトランスジェニック動
物(例えば、マウス、ラット、ハムスター、ヒト以外の霊長類など)の免疫によっても生
成できる。ヒト抗IL-23抗体を産生する細胞は、本明細書に記載の方法のような好適
な方法を使用して、かかる動物から単離し、不死化することもできる。
【0049】
ヒト抗原に結合するヒト抗体のレパートリーを産生できるトランスジェニックマウスは
、既知の方法で製造することができる(例えば、それぞれの全体が参照により本明細書に
組み込まれる米国特許第5,770,428号、同第5,569,825号、同第5,5
45,806号、同第5,625,126号、同第5,625,825号、同第5,63
3,425号、同第5,661,016、及び同第5,789,650号(Lonber
gらに発行);Jakobovitsらの国際公開第98/50433号、Jakobo
vitsらの国際公開第98/24893号、Lonbergらの国際公開第98/24
884号、Lonbergらの国際公開第97/13852号、Lonbergらの国際
公開第94/25585号、Kucherlapateらの国際公開第96/34096
号、Kucherlapateらの欧州特許第0463151(B1)号、Kucher
lapateらの欧州特許第0710719(A1)号、Suraniらの米国特許第5
,545,807号、Bruggemannらの国際公開第90/04036号、Bru
ggemannらの欧州特許第0438474(B1)号、Lonbergらの欧州特許
第0814259(A2)号、Lonbergらの英国特許第2272440(A)号、
LonbergらのNature368:856-859(1994)、Taylorら
のInt.Immunol.6(4)579-591(1994)、GreenらのNa
ture Genetics7:13-21(1994)、MendezらのNatur
e Genetics15:146-156(1997)、TaylorらのNucle
ic Acids Research 20(23):6287-6295(1992)
、TuaillonらのProc Natl Acad Sci USA 90(8)3
720-3724(1993)、LonbergらのInt Rev Immunol
13(1):65-93(1995)、並びにFishwaldらのNat Biote
chnol 14(7):845-851(1996)などであるがこれらに限定されな
い)。一般に、これらのマウスは、機能的に再構成された、又は機能的な再構成を受ける
ことができる少なくとも1つのヒト免疫グロブリン遺伝子座に由来するDNAを含む、少
なくとも1つの導入遺伝子を含む。このようなマウスの内因性免疫グロブリン遺伝子座を
破壊又は欠失させて、当該マウスの、内因性遺伝子によりコードされている抗体の産生能
を除去することができる。
【0050】
類似のタンパク質又は断片への特異的結合についての抗体のスクリーニングは、ペプチ
ドディスプレイライブラリを使用して首尾よく達成することができる。この方法は、望ま
しい機能又は構造を持つ個々のコンポーネントについてペプチドの大規模コレクションを
スクリーニングすることを含む。ペプチド表示ライブラリの抗体スクリーニングは当該技
術分野において周知である。ディスプレイされるペプチド配列は、アミノ酸3~5000
個又はそれ以上の長さ、しばしばアミノ酸5~100個の長さ、更にしばしばアミノ酸約
8~25個の長さであり得る。ペプチドライブラリを作成する直接化学合成法に加えて、
いくつかの組み換えDNA方法も記述されている。1つのタイプには、バクテリオファー
ジ又は細胞の表面上でのペプチド配列のディスプレイを含む。各バクテリオファージ又は
細胞は、特定のディスプレイされたペプチド配列をコードするヌクレオチド配列を含有す
る。このような方法は、国際公開第91/17271号、同第91/18980号、同第
91/19818号、及び同第93/08278号に記載されている。
【0051】
ペプチドライブラリを作成するための他のシステムは、in vitroでの化学合成
法及び組み換え法の両方の態様を有する。国際公開第92/05258号、同第92/1
4843号、及び同第96/19256号を参照されたい。米国特許第5,658,75
4号及び同第5,643,768号も参照されたい。ペプチドディスプレイライブラリ、
ベクター、及びスクリーニングキットは、Invitrogen(Carlsbad,C
A)及びCambridge antibody Technologies(Camb
ridgeshire,UK)のような供給元から市販されている。例えば、Enzon
に譲渡された米国特許第4704692号、同第4939666号、同第4946778
号、同第5260203号、同第5455030号、同第5518889号、同第553
4621号、同第5656730号、同第5763733号、同第5767260号、同
第5856456号、Dyaxに譲渡された同第5223409号、同第5403484
号、同第5571698号、同第5837500号、Affymaxに譲渡された同第5
427908号、同第5580717号、Cambridge antibody Te
chnologiesに譲渡された同第5885793号、Genentechに譲渡さ
れた同第5750373号、Xomaに譲渡された同第5618920号、同第5595
898号、同第5576195号、同第5698435号、同第5693493号、同第
5698417号、上記のColligan、上記のAusubel、又は上記のSam
brookを参照されたい。上記特許及び刊行物の各々は、参照により全体が本明細書に
組み込まれる。
【0052】
本発明の方法に使用される抗体はまた、かかる抗体を乳中に産生するヤギ、ウシ、ウマ
、ヒツジ、及びウサギなどのトランスジェニック動物又は哺乳動物を準備するために、核
酸をコードする少なくとも1つの抗IL-23抗体を使用して調製することもできる。か
かる動物は、既知の方法を使用して準備することができる。例えば、これらに限定されな
いが、米国特許第5,827,690号、同第5,849,992号、同第4,873,
316号、同第5,849,992号、同第5,994,616号、同第5,565,3
62号、同第5,304,489号などを参照されたい。これらの各々は、参照により全
体が本明細書に組み込まれる。
【0053】
本発明の方法に使用される抗体は、植物部分又はそれから培養された細胞において、か
かる抗体、特定の部分、又はバリアントを産生するトランスジェニック植物及び培養され
た植物細胞(例えば、タバコ及びトウモロコシであるが、これらに限定されない)を準備
するために、少なくとも1つの抗IL-23抗体コード核酸を使用して更に調製すること
ができる。非限定的な例として、例えば、誘導プロモーターを用い、組み換えタンパク質
を発現するトランスジェニックタバコ葉をうまく使用して大量の組み換えタンパク質が提
供されてきた。例えば、Cramer et al.,Curr.Top.Microb
ol.Immunol.240:95-118(1999)及びその中で引用される文献
を参照されたい。また、トランスジェニックトウモロコシは、他の組み換え系において生
成されるタンパク質又は天然資源から精製されるタンパク質に等しい生物学的活性を有す
る哺乳動物タンパク質を、商業生成レベルで発現するために使用されてきた。例えば、H
ood et al.,Adv.Exp.Med.Biol.464:127-147(
1999)及びその中で引用される文献を参照されたい。抗体はまた、単鎖抗体(scF
v)などの抗体断片を含む、タバコ種子及びポテト塊茎などといったトランスジェニック
植物の種子からも大量に生成されてきた。例えば、ConradらのPlant Mol
.Biol.38:101-109(1998)及びその中で引用される文献を参照され
たい。したがって、本発明の抗体はまた、既知の方法に従って、トランスジェニック植物
を使用して産生することもできる。例えば、Fischer et al.,Biote
chnol.Appl.Biochem.30:99-108(Oct.,1999),
Ma et al.,Trends Biotechnol.13:522-7(199
5);Ma et al.,Plant Physiol.109:341-6(199
5);Whitelam et al.,Biochem.Soc.Trans.22:
940-944(1994)、及びその中で引用される文献も参照されたい。上記文献の
各々は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0054】
本発明の方法に使用される抗体は、広範囲にわたる親和性(K)でヒトIL-23に
結合することができる。好ましい実施形態では、ヒトmAbは、任意に、高い親和性でヒ
トIL-23に結合することができる。例えば、ヒトmAbは、0.1~9.9(又はそ
の中の任意の範囲若しくは値)、X10-7、10-8、10-9、10-10、10
11、10-12、10-13、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるがこれら
に限定されない、約10-7M以下のKでヒトIL-23に結合することができる。
【0055】
抗原に対する抗体の親和性又は結合活性は、任意の好適な方法を用いて実験により求め
ることができる。(例えば、Berzofsky,et al.,「Antibody-
Antigen Interactions,」In Fundamental Imm
unology,Paul,W.E.,Ed.,Raven Press:New Yo
rk,NY(1984)、Kuby,Janis Immunology,W.H.Fr
eeman and Company:New York,NY(1992)、及び本明
細書に記載される方法を参照されたい)。特定の抗体抗原相互作用について測定される親
和性は、異なる条件(例えば、塩濃度、pH)下で測定された場合に異なり得る。したが
って、親和性及び他の抗原結合パラメータ(例えば、KD、、K)の測定は、好ま
しくは、抗体及び抗原の標準溶液、並びに本明細書で記載される緩衝剤などの標準緩衝剤
を用いて行われる。
【0056】
核酸分子
本明細書に開示される他の配列の中でも、例えば、本明細書に記載される軽鎖若しくは
重鎖可変又はCDR領域のうちの少なくとも1つのコンティグなアミノ酸の少なくとも7
0~100%をコード化するヌクレオチド配列、特定の断片、バリアント、若しくはそれ
らのコンセンサス配列、又はこれらの配列のうちの少なくとも1つを含む寄託ベクターな
どの本明細書に提供される情報を使用して、少なくとも1つの抗IL-23抗体をコード
化する本発明の核酸分子は、本明細書に記載されるか、又は当該技術分野において既知の
方法を使用して得ることができる。
【0057】
本発明の核酸分子は、mRNA、hnRNA、tRNA若しくは任意の他の形態のよう
なRNAの形態、又はクローニングにより得られる若しくは合成的に生成されるcDNA
及びゲノムDNAが挙げられるがこれらに限定されないDNAの形態、又はこれらの任意
の組み合わせであってよい。DNAは、3本鎖、2本鎖若しくは1本鎖、又はこれらの任
意の組み合わせであってよい。DNA又はRNAの少なくとも1本の鎖の任意の部分は、
センス鎖としても知られるコード鎖であってもよいし、又はアンチセンス鎖と呼ばれる、
非コード鎖であってもよい。
【0058】
本発明の方法に使用される単離された核酸分子は、任意に1つ以上のイントロンを有す
るオープンリーディングフレーム(open reading frame、ORF)、例えば、限定されな
いが、少なくとも1つの重鎖若しくは軽鎖のCDR1、CDR2、及び/又はCDR3な
どの、少なくとも1つのCDRの少なくとも1つの特定の部分を含む核酸分子、抗IL-
23抗体又は可変領域のコード配列を含む核酸分子、並びに上述の核酸分子とは実質的に
異なるが、遺伝子コードの縮重により、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野にお
いて既知である少なくとも1つの抗IL-23抗体をなおコードするヌクレオチド配列を
含む核酸分子を含み得る。当然のことながら、遺伝子コードは、当該技術分野において周
知である。したがって、当業者には、本発明の方法に使用される特異的な抗IL-23抗
体をコードする、核酸の縮重によるバリアントを作成することは、日常的なものであるだ
ろう。例えば、上記のAusubelらを参照されたい。かかる核酸バリアントは、本発
明に含まれる。単離された核酸分子の非限定的な例としては、それぞれ、HC CDR1
、HC CDR2、HC CDR3、LC CDR1、LC CDR2、及びLC CD
R3をコードする核酸が挙げられる。
【0059】
本明細書に記載されるように、抗IL-23抗体をコードする核酸を含む核酸分子とし
ては、それ自体が抗体断片のアミノ酸配列をコードするもの、抗体の全長若しくは抗体の
一部をコードする配列、抗体、断片、若しくは部分のコード配列、並びに、非コード5’
及び3’配列、例えば、スプライシング及びポリアデニル化シグナル(例えば、mRNA
のリボソーム結合及び安定性)を含む、転写、mRNAプロセシングにおいて役割を果た
す転写された非翻訳配列が挙げられるがこれらに限定されない追加の非コード配列と共に
、少なくとも1つのイントロンなど、前述の追加のコード配列を伴うか又は伴わない、少
なくとも1つのシグナルリーダー若しくは融合ペプチドのコード配列などの追加の配列、
追加のアミノ酸、例えば、追加の機能を提供するアミノ酸をコードする追加のコード配列
を挙げることができるが、これらに限定されない。したがって、抗体をコードする配列は
マーカー配列に融合させることができ、例えば、当該マーカー配列は、これを融合させた
抗体断片又は部分を含む抗体の精製を促進するペプチドをコードする配列である。
【0060】
本明細書に記載のポリヌクレオチドに選択的にハイブリダイズするポリヌクレオチド
本発明の方法は、本明細書に開示されるポリヌクレオチドに対して、選択的なハイブリ
ダイゼーション条件下でハイブリダイズする単離された核酸を使用する。したがって、本
実施形態のポリヌクレオチドは、このようなポリヌクレオチドを含む核酸を単離、検出、
及び/又は定量するために使用することができる。例えば、本発明のポリヌクレオチドを
使用して、寄託されたライブラリにおける部分長又は完全長クローンを同定、単離、又は
増幅することができる。いくつかの実施形態においては、ポリヌクレオチドは、単離され
た、又はそうでなければヒト若しくは哺乳動物の核酸ライブラリのcDNAに相補的な、
ゲノム配列又はcDNA配列である。
【0061】
好ましくは、cDNAライブラリは完全長配列の少なくとも80%、好ましくは完全長
配列の少なくとも85%又は90%、より好ましくは完全長配列の少なくとも95%を含
む。このcDNAライブラリは、稀な配列の発現量を増大させるよう正規化することがで
きる。相補配列に対する配列同一性が低い配列を使用する、低又は中ストリンジェンシー
のハイブリダイゼーション条件が典型的なものであるが、これに限定されない。同一性が
より高い配列には、任意に、中及び高ストリンジェンシーの条件を使用することができる
。低ストリンジェンシー条件は、約70%の配列同一性を有する配列を選択的にハイブリ
ダイゼーションさせるものであり、オーソロガス又はパラロガスな配列を同定するために
利用できる。
【0062】
任意に、ポリヌクレオチドは、抗体の少なくとも一部をコードする。当該ポリヌクレオ
チドは、本発明の抗体をコードするポリヌクレオチドに対する選択的ハイブリダイゼーシ
ョンに利用することができる核酸配列を包含する。例えば、上記のAusubel、上記
のColliganを参照されたい。各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる
【0063】
核酸の構築
単離された核酸は、当該技術分野において周知のように、(a)組み換え方法、(b)
合成技術、(c)精製技術、及び/又はこれらの組み合わせを使用して作製することがで
きる。
【0064】
核酸には、本発明のポリヌクレオチドに加えて、都合よく配列を含ませることができる
。例えば、1つ以上のエンドヌクレアーゼ制限部位を含むマルチクローニングサイトを核
酸に挿入して、ポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。また、翻訳可能な配列
を挿入して、本発明の翻訳されたポリヌクレオチドの単離に役立てることができる。例え
ば、ヘキサヒスチジンマーカー配列は、本発明のタンパク質を精製するのに便利な手段を
提供する。本発明の核酸(コード配列を除く)は、任意に、本発明のポリヌクレオチドの
クローニング及び/又は発現のためのベクター、アダプター、又はリンカーである。
【0065】
かかるクローニング配列及び/又は発現配列に追加の配列を付加して、クローニング及
び/又は発現におけるそれらの機能を最適化すること、ポリヌクレオチドの単離に役立て
ること、又は細胞へのポリヌクレオチドの導入を改善することができる。クローン化ベク
ター、発現ベクター、アダプター、及びリンカーの使用は、当該技術分野において周知で
ある。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSambrookを参照されたい。
【0066】
核酸を構築するための組み換え方法
RNA、cDNA、ゲノムDNA、又はこれらの任意の組み合わせなどの単離された核
酸組成物は、当業者に既知の任意の数のクローニング方法を用いて生物源から得ることが
できる。いくつかの実施形態において、本発明のポリヌクレオチドに対してストリンジェ
ントな条件下で選択的にハイブリダイズするオリゴヌクレオチドプローブが、cDNA又
はゲノムDNAライブラリ内の望ましい配列の同定に使用される。RNAの単離、並びに
cDNA及びゲノムライブラリの構築は、当業者には周知である。(例えば、上記のAu
subel、又は上記のSambrookを参照されたい。)
【0067】
核酸のスクリーニング及び単離方法
本明細書に開示されているものなど、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチドの配
列に基づいたプローブを使用して、cDNA又はゲノムライブラリをスクリーニングする
ことができる。プローブを使用して、ゲノムDNA又はcDNA配列にハイブリダイズさ
せて、同じ又は異なる生体の相同遺伝子を単離することができる。当業者であれば、アッ
セイに様々な度合いのハイブリダイゼーションストリンジェンシーを用いることができ、
ハイブリダイゼーション又は洗浄媒質のいずれかをストリンジェントなものにできること
は明らかであろう。ハイブリダイゼーション条件がストリンジェントになるほど、二重鎖
の形成が生じる際のプローブと標的との間の相補性の度合いが大きくなるはずである。ス
トリンジェンシーの程度は、温度、イオン強度、pH、及びホルムアミドのような部分的
に変性する溶媒の存在のうちの1つ以上によって制御され得る。例えば、ハイブリダイゼ
ーションのストリンジェンシーは、例えば、0%~50%の範囲内でホルムアミド濃度を
操作して反応溶液の極性を変えることにより首尾よく変更される。検出可能な結合に必要
とされる相補性(配列同一性)の程度は、ハイブリダイゼーション媒質及び/又は洗浄媒
質のストリンジェンシーによって異なる。相補性の程度は、最適には100%、又は70
~100%、又はその中の任意の範囲若しくは値である。しかしながら、プローブ及びプ
ライマー中の配列のわずかな違いは、ハイブリダイゼーション及び/又は洗浄媒質のスト
リンジェンシーを低減させることで埋め合わせることができることを理解すべきである。
【0068】
RNA又はDNAの増幅方法は当該技術分野において周知であり、本明細書で紹介する
教示及び指針に基づいて、過度の実験なしに、本発明に従って使用可能である。
【0069】
DNA又はRNAの増幅方法のうち既知のものとしては、ポリメラーゼ連鎖反応(po
lymerase chain reaction、PCR)及び関連する増幅プロセス
(例えば、Mullisらの米国特許第4,683,195号、同第4,683,202
号、同第4,800,159号、同第4,965,188号、Taborらの同第4,7
95,699号及び同第4,921,794号、Innisの同第5,142,033号
、Wilsonらの同第5,122,464号、Innisの同第5,091,310号
、Gyllenstenらの同第5,066,584号、Gelfandらの同第4,8
89,818号、Silverらの同第4,994,370号、Biswasの同第4,
766,067号、Ringoldの同第4,656,134号を参照されたい)、及び
二本鎖DNAの合成用のテンプレートである標的配列に対してアンチセンスRNAを使用
する、RNAを介在させる増幅(Malekらの米国特許第5,130,238号、商標
名NASBA)が挙げられるがこれらに限定されず、これらの参考文献の全内容は、参照
により本明細書に組み込まれる。(例えば、上記のAusubel、又は上記のSamb
rookを参照されたい。)
【0070】
例えば、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)技術を使用して、ゲノムDNA又はcDNA
ライブラリから直接、本発明の方法に使用されるポリヌクレオチド及び関連する遺伝子の
配列を増幅することができる。PCR及びその他のin vitro増幅方法はまた、例
えば、発現すべきタンパク質をコードする核酸配列をクローニングすること、サンプル中
の所望のmRNAの存在を検出するため、核酸の配列決定のため、又はその他の目的のた
めのプローブとして用いる核酸を作製することに関し有用であり得る。インビトロ増幅法
によって当業者を導くのに十分な技術の例は、上記のBerger、上記のSambro
ok、及び上記のAusubel、並びにMullisらの米国特許第4,683,20
2号(1987)、及びInnisらのPCR Protocols A Guide
to Methods and Applications,Eds.,Academi
c Press Inc,San Diego,CA(1990)に見られる。ゲノムP
CR増幅用の市販キットは当該技術分野において既知である。例えば、Advantag
e-GC Genomic PCR Kit(Clontech)を参照されたい。加え
て、例えば、T4ジーン32プロテイン(Boehringer Mannheim)を
用いて、長いPCR産物の収率を改善することができる。
【0071】
核酸を構築するための合成方法
本発明の方法に使用される単離された核酸はまた、既知の方法による直接化学合成によ
っても調製可能である(例えば、上記のAusubelらを参照されたい)。化学合成は
、一般に、相補的配列とのハイブリダイゼーションによって、又は1本鎖をテンプレート
として使用するDNAポリメラーゼとの重合によって、2本鎖DNAに変換可能な1本鎖
オリゴヌクレオチドを生成する。当業者であれば、DNAの化学合成は約100以上の塩
基の配列に限定され得るが、より長い配列は、より短い配列をライゲーションすることに
よって得られることを認識するであろう。
【0072】
組み換え発現カセット
本発明は核酸を含む組み換え発現カセットを使用する。核酸配列、例えば本発明の方法
に使用される抗体をコードするcDNA又はゲノム配列を使用して、少なくとも1つの所
望の宿主細胞に導入することができる組み換え発現カセットを構築することができる。組
み換え発現カセットは、典型的には、意図される宿主細胞においてポリヌクレオチドの転
写を導く転写開始調節配列に操作可能に連結される、ポリヌクレオチドを含む。異種及び
非異種(すなわち、内因性)プロモーターの両方を利用して、核酸の発現を導くことがで
きる。
【0073】
一部の実施形態では、プロモーター、エンハンサー、又は他の要素として機能する単離
された核酸を、ポリヌクレオチドの発現を上方又は下方調節するよう本発明のポリヌクレ
オチドの非異種形態の適切な位置(上流、下流、又はイントロン内)に導入することがで
きる。例えば、in vivo又はin vitroで、変異導入、欠失及び/又は置換
により、内因性プロモーターを変えることができる。
【0074】
ベクター及び宿主細胞
本発明は、単離された核酸分子を含むベクター、組み換えベクターで遺伝子組み換えさ
れる宿主細胞、及び当該技術分野において周知である組み換え技術による少なくとも1つ
の抗IL-23抗体の産生にも関する。例えば、上記のSambrookら、上記のAu
subelらを参照されたく、各々は、参照により全体が本明細書に組み込まれる。
【0075】
ポリヌクレオチドは、任意に、宿主の増殖についての選択マーカーを含有するベクター
に結合することができる。一般に、プラスミドベクターは、リン酸カルシウム沈殿物など
の沈殿物内、又は荷電脂質との複合体内に導入される。ベクターがウイルスである場合は
、適切なパッケージング細胞株を用いてin vitroでこれをパッケージングし、そ
の後、宿主細胞内に形質導入することができる。
【0076】
DNA挿入断片は、適切なプロモーターに操作可能に連結するべきである。発現コンス
トラクトは、転写開始部位、転写終結部位、及び転写される領域における翻訳のためのリ
ボソーム結合部位を更に含む。コンストラクトにより発現される成熟した転写産物のコー
ド部分は、好ましくは、翻訳されるべきmRNAの端部に適切に位置する開始コドン及び
終止コドン(例えば、UAA、UGA、又はUAG)で始まる翻訳を含み、哺乳動物細胞
又は真核生物細胞の発現ではUAA及びUAGが好ましい。
【0077】
発現ベクターは、好ましくは少なくとも1つの選択マーカーを含むが、これは任意であ
る。かかるマーカーとしては、例えば、真核細胞培養のためのメトトレキサート(methot
rexate、MTX)、ジヒドロ葉酸レダクターゼ(dihydrofolate reductase、DHFR、
米国特許第4,399,216号、同第4,634,665号、同第4,656,134
号、同第4,956,288号、同第5,149,636号、同第5,179,017号
、アンピシリン、ネオマイシン(G418)、マイコフェノール酸、又はグルタミンシン
テターゼ(GS、米国特許第5,122,464号、同第5,770,359号、同第5
,827,739号)耐性、並びに大腸菌及び他の細菌又は原核生物における培養のため
のテトラサイクリン又はアンピシリン耐性遺伝子が挙げられるが、これらに限定されない
(上記特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。上記の宿主細胞に対して適
切な培養培地及び条件は、当該技術分野において既知である。適切なベクターは、当業者
には明らかであろう。宿主細胞へのベクターコンストラクトの導入は、リン酸カルシウム
トランスフェクション、DEAE-デキストランを介在させたトランスフェクション、カ
チオン性脂質を介在させたトランスフェクション、エレクトロポレーション、形質導入、
感染又は他の既知の方法により達成され得る。こうした方法は、上記のSambrook
の第1~4章及び第16~18章、上記のAusubelの第1、9、13、15、16
章など、当該技術分野において説明されている。
【0078】
本発明の方法に使用される少なくとも1つの抗体は、融合タンパク質などといった修飾
を受けている形態で発現させることができ、分泌シグナルだけでなく、追加の異種機能領
域も含ませることができる。例えば、追加のアミノ酸領域、特に荷電アミノ酸を抗体のN
末端に追加して、精製中又は以降の取り扱い及び保存中の、宿主細胞における安定性及び
持続性を改善することができる。また、ペプチド部分を本発明の抗体に追加して、精製を
促進することもできる。抗体又は少なくとも1つのその断片の最終調製前に、かかる領域
を除去することができる。こうした方法は、上記のSambrookの第17.29~1
7.42章及び第18.1~18.74章、上記のAusubelの第16、17及び1
8章など、多くの標準的な実験マニュアルに記載されている。
【0079】
当業者であれば、本発明の方法に使用されるタンパク質をコードする核酸の発現に利用
可能な多数の発現系について精通している。あるいは、核酸は、抗体をコードする内因性
DNAを含有する宿主細胞内で、(操作により)オン切換えすることにより、宿主細胞中
で発現させることができる。こうした方法は、例えば、参照により全体が本明細書に組み
込まれる米国特許第5,580,734号、同第5,641,670号、同第5,733
,746号、及び同第5,733,761号に記載されているように、当該技術分野にお
いて周知である。
【0080】
抗体、その特定された部分又はバリアントの産生に有用な細胞培養物の一例は哺乳動物
細胞である。哺乳動物細胞系は、しばしば細胞からなる単層形態を取るが、哺乳動物細胞
の懸濁液又はバイオリアクターも使用可能である。無傷のグリコシル化タンパク質を発現
することが可能な多くの好適な宿主細胞株が当該技術分野で開発されており、これとして
は、例えばAmerican Type Culture Collection,Ma
nassas,Va(www.atcc.org)から容易に入手可能であるCOS-1
(例えばATCC CRL 1650)、COS-7(例えばATCC CRL-165
1)、HEK293、BHK21(例えばATCC CRL-10)、CHO(例えばA
TCC CRL 1610)、及びBSC-1(例えばATCC CRL-26)細胞株
、Cos-7細胞、CHO細胞、hep G2細胞、P3X63Ag8.653、SP2
/0-Ag14、293細胞、HeLa細胞などが挙げられる。好ましい宿主細胞として
は、骨髄腫及びリンパ腫細胞などのリンパ系に由来する細胞が挙げられる。特に好ましい
宿主細胞は、P3X63Ag8.653細胞(ATCC受託番号CRL-1580)及び
SP2/0-Ag14細胞(ATCC受託番号CRL-1851)である。特に好ましい
実施形態では、組み換え細胞は、P3X63Ab8.653又はSP2/0-Ag14細
胞である。
【0081】
これらの細胞の発現ベクターは、複製起点、プロモーター(例えば、後期又は初期SV
40プロモーター、CMVプロモーター(米国特許第5,168,062号、同第5,3
85,839号)、HSV tkプロモーター、pgk(ホスホグリセレートキナーゼ)
プロモーター、EF-1αプロモーター(米国特許第5,266,491号)、少なくと
も1つのヒト免疫グロブリンプロモーター、エンハンサー、並びに/又はリボソーム結合
部位、RNAスプライス部位、ポリアデニル化部位(例えば、SV40ラージT Agポ
リA付加部位)、及び転写終結配列などのプロセシング情報部位などであるがこれらに限
定されない、発現制御配列のうちの1つ以上を含み得る。例えば、上記のAusubel
ら、上記のSambrookらを参照されたい。本発明の核酸又はタンパク質の生成に有
用なその他の細胞は既知であり、並びに/あるいは例えば、American Type
Culture Collectionの細胞株及びハイブリドーマのカタログ(ww
w.atcc.org)又はその他の既知の若しくは商業的供給源から入手可能である。
【0082】
真核宿主細胞が利用されるとき、典型的には、ベクター内にポリアデニル化配列又は転
写終結配列が組み込まれる。終結配列の一例は、ウシ成長ホルモン遺伝子に由来するポリ
アデニル化配列である。転写の正確なスプライシングのための配列も、同様に含めること
ができる。スプライシング配列の一例は、SV40由来のVP1イントロンである(Sp
ragueら、J.Virol.45:773-781(1983))。加えて、当該技
術分野において既知であるように、宿主細胞における複製を制御する遺伝子配列をベクタ
ー内に組み込むことができる。
【0083】
抗体の精製
抗IL-23抗体は、プロテインA精製、硫酸アンモニウム又はエタノール沈殿、酸抽
出、アニオン又はカチオン交換クロマトグラフィー、ホスホセルロースクロマトグラフィ
ー、疎水性相互作用クロマトグラフィー、アフィニティクロマトグラフィー、ヒドロキシ
ルアパタイトクロマトグラフィー及びレクチンクロマトグラフィーが挙げられるがこれら
に限定されない周知の方法により、組み換え細胞培養物から回収して精製することができ
る。高速液体クロマトグラフィー(「HPLC」)を精製に利用することもできる。例え
ば、それぞれ参照により全体が本明細書に組み込まれる、Colligan、Curre
nt Protocols in Immunology又はCurrent Prot
ocols in Protein Science、John Wiley&Sons
,NY,NY(1997~2001年)の、例えば第1章、第4章、第6章、第8章、第
9章、第10章を参照されたい。
【0084】
本発明の方法に使用される抗体には、天然に精製された産物、化学合成による手法の産
物、並びに例えば、酵母、高等植物、昆虫、及び哺乳動物細胞を含む、真核宿主から組み
換え法により産生された産物が含まれる。組み換え産物の手順に利用される宿主に応じて
、抗体は、グリコシル化されてもグリコシル化されなくてもよいが、グリコシル化される
のが好ましい。かかる方法は、すべてが参照により全体が本明細書に組み込まれる、上記
のSambrookのセクション17.37-17.42、上記のAusubelの第1
0章、第12章、第13章、第16章、第18章、及び第20章、上記のColliga
n,Protein Scienceの第12章~第14章などの多くの標準的な実験マ
ニュアルに記載されている。
【0085】
抗IL-23抗体。
本発明の抗IL-23抗体は、抗体に組み込むことのできる、重鎖若しくは軽鎖の相補
性決定領域(CDR)若しくはそのリガンド結合部分、重鎖若しくは軽鎖可変領域、フレ
ームワーク領域(例えば、FR1、FR2、FR3、FR4、又はそれらの断片、更に任
意で少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む)、重鎖若しくは軽鎖の定常領域(例
えば、少なくとも1つのC1、ヒンジ1、ヒンジ2、ヒンジ3、ヒンジ4、C2、若
しくはC3、又はその断片、更に任意で少なくとも1つの置換、挿入、又は欠失を含む
)、又はその任意の部分などであるがこれらに限定されない、少なくとも1つのリガンド
結合部分(LBP)などであるがこれに限定されない免疫グロブリン分子の少なくとも一
部を含む、任意のタンパク質又はペプチド含有分子を含む。抗体は、ヒト、マウス、ウサ
ギ、ラット、げっ歯類、霊長類、又はそれらの任意の組み合わせなどであるがこれらに限
定されない、任意の哺乳動物を含むか、又はそれに由来し得る。
【0086】
本発明の方法に使用される単離された抗体は、任意の好適なポリヌクレオチドによって
コードされる、本明細書に開示される抗体のアミノ酸配列、又は任意の単離又は調製され
た抗体を含む。好ましくは、ヒト抗体又は抗原結合断片は、ヒトIL-23に結合し、そ
れにより、タンパク質の少なくとも1つの生物学的活性を部分的又は実質的に中和する。
少なくとも1つのIL-23タンパク質又は断片の少なくとも1つの生物学的活性を部分
的に又は好ましくは実質的に中和する、抗体、又はその特定の部分若しくはバリアントは
、当該タンパク質又は断片に結合することにより、IL-23受容体へのIL-23の結
合を介する活性又は他のIL-23依存性若しくは介在性の機序を介する活性を阻害する
ことができる。本明細書で使用するとき、用語「中和抗体」は、アッセイに応じて、IL
-23依存的な活性を約20~120%、好ましくは少なくとも約10、20、30、4
0、50、55、60、65、70、75、80、85、90、91、92、93、94
、95、96、97、98、99、100%以上阻害することができる抗体を指す。抗I
L-23抗体がIL-23依存的な活性を阻害する能力は、好ましくは、本明細書に記載
され、かつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つの好適なIL-23タン
パク質又は受容体アッセイによって評価される。ヒト抗体は、任意のクラス(IgG、I
gA、IgM、IgE、IgD等)又はアイソタイプのものであってもよく、カッパ又は
ラムダ軽鎖を含み得る。一実施形態では、ヒト抗体は、IgG重鎖又は定義された断片、
例えば、アイソタイプ、IgG1、IgG2、IgG3、又はIgG4(例えばγ1、γ
2、γ3、γ4)のうちの少なくとも1つを含む。このタイプの抗体は、本明細書に記載
されかつ/又は当該技術分野において既知の、少なくとも1つのヒト軽鎖(例えば、Ig
G、IgA、及びIgM)導入遺伝子を含む、トランスジェニックマウス又は他のヒト以
外のトランスジェニック哺乳動物を利用することによって調製することができる。別の実
施形態では、抗IL-23ヒト抗体は、IgG1重鎖及びIgG1軽鎖を含む。
【0087】
抗体は、少なくとも1つのIL-23タンパク質、サブユニット、断片、部分、又はそ
れらの任意の組み合わせに特異的な少なくとも1つの特定のエピトープに結合する。この
少なくとも1つのエピトープは、タンパク質の少なくとも一部分を含む少なくとも1つの
抗体結合領域を含むことが可能であり、このエピトープは好ましくは、タンパク質の少な
くとも1つの細胞外部分、可溶性部分、親水性部分、外側部分、又は細胞質部分から構成
されている。
【0088】
一般に、ヒト抗体又は抗原結合断片は、少なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR
1、CDR2、及びCDR3)又は少なくとも1つの重鎖可変領域のバリアント、及び少
なくとも1つのヒト相補性決定領域(CDR1、CDR2、及びCDR3)又は少なくと
も1つの軽鎖可変領域のバリアントを含む、抗原結合領域を含む。CDR配列は、ヒト生
殖細胞系列型配列に由来するものでも、生殖細胞系列型配列に厳密に一致するものでもよ
い。例えば、元のヒト以外のCDRに由来する合成ライブラリに由来するCDRを使用す
ることができる。これらのCDRは、元のヒト以外の配列に由来する保存的置換の組み込
みによって形成され得る。別の特定の実施形態では、抗体又は抗原結合部分又はバリアン
トは、対応するCDR1、CDR2及び/又はCDR3のアミノ酸配列を有する少なくと
も1つの軽鎖CDR(すなわち、CDR1、CDR2、及び/又はCDR3)の少なくと
も一部を含む抗原結合領域を有することができる。
【0089】
かかる抗体は、組み換えDNA技術に関する従来技術を使用して抗体をコードする(即
ち、1つ以上の)核酸分子を調製して発現させることによって、又は任意のその他の適切
な方法を使用することによって、従来技術を使用して抗体の様々な部分(例えば、CDR
、フレームワーク)を一緒に化学的に結合させることにより調製できる。
【0090】
抗IL-23特異的抗体は、定義されたアミノ酸配列を有する重鎖又は軽鎖可変領域の
うちの少なくとも1つを含むことができる。例えば、好ましい実施形態では、抗IL-2
3抗体は、任意選択的に配列番号106のアミノ酸配列を有する少なくとも1つの重鎖可
変領域、及び/又は任意選択的に配列番号116のアミノ酸配列を有する少なくとも1つ
の軽鎖可変領域のうちの少なくとも1つを含む。ヒトIL-23に結合し、定義された重
鎖又は軽鎖可変領域を含む抗体は、当該技術分野において既知であり、かつ/又は本明細
書に記載される、ファージディスプレイ(Katsube,Y.らのInt J Mol
.Med,1(5):863-868(1998)、又はトランスジェニック動物を利用
する方法などといった好適な方法を用いて調製することができる。例えば、機能的に再構
成されたヒト免疫グロブリン重鎖導入遺伝子と、機能的な再構成を受けることが可能なヒ
ト免疫グロブリン軽鎖遺伝子座に由来するDNAを含む導入遺伝子と、を含むトランスジ
ェニックマウスを、ヒトIL-23又はその断片で免疫して、抗体の生成を誘発すること
ができる。所望する場合、抗体産生細胞を単離することができ、本明細書に記載されるよ
うに、かつ/又は当該技術分野において既知であるように、ハイブリドーマ又はその他の
不死化させた抗体産生細胞を調製することができる。あるいは、抗体、特定された部分又
はバリアントは、好適な宿主細胞内で、コード核酸又はその一部分を使用して発現させる
ことができる。
【0091】
本発明はまた、本明細書に記載されるアミノ酸配列と実質的に同じである配列中のアミ
ノ酸を含む抗体、抗原結合断片、免疫グロブリン鎖及びCDRにも関する。好ましくは、
かかる抗体又は抗原結合断片及びかかる鎖若しくはCDRを含む抗体は、高い親和性(例
えば、Kが約10-9M以下)で、ヒトIL-23に結合することができる。本明細書
に記載されている配列と実質的に同じであるアミノ酸配列としては、保存的アミノ酸置換
並びにアミノ酸欠失及び/又は挿入を含む配列が挙げられる。保存的アミノ酸置換は、第
1のアミノ酸のものに類似する化学的及び/又は物理的特性(例えば、電荷、構造、極性
、疎水性/親水性)を持つ第2のアミノ酸で、第1のアミノ酸を置換することを指す。保
存的置換は、限定されないが、1個のアミノ酸を、以下の群内の別のアミノ酸で置き換え
ることを含む:リジン(K)、アルギニン(R)、及びヒスチジン(H);アスパラギン
酸塩(D)及びグルタミン酸塩(E);アスパラギン(N)、グルタミン(Q)、セリン
(S)、スレオニン(T)、チロシン(Y)、K、R、H、D、及びE;アラニン(A)
、バリン(V)、ロイシン(L)、イソロイシン(I)、プロリン(P)、フェニルアラ
ニン(F)、トリプトファン(W)、メチオニン(M)、システイン(C)、及びグリシ
ン(G);F、W、及びY;C、S、及びT。
【0092】
アミノ酸コード
本発明の抗IL-23抗体を構成するアミノ酸は、略されることが多い。アミノ酸表記
は、当該技術分野においてよく認識されているとおり、その1文字表記、その3文字表記
、名称、又は3ヌクレオチドのコドン(複数可)によりアミノ酸を表記することにより示
すことができる(Alberts,B.,らのMolecular Biology o
f The Cell,Third Ed.,Garland Publishing,
Inc.,New York,1994を参照されたい)。
【0093】
【表1】
【0094】
本発明の方法に使用される抗IL-23抗体は、本明細書で特定されるように、自然突
然変異又はヒトによる操作のいずれかによる、1つ以上のアミノ酸の置換、欠失、又は付
加を含み得る。
【0095】
当業者が行い得るアミノ酸置換の数は、上記のものを含む数多くの要因に基づく。一般
的に言えば、本明細書で指定されるように、任意の所与の抗IL-23抗体、断片、又は
変異に対するアミノ酸の置換、挿入、又は欠失の数は、40、30、20、19、18、
17、16、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、
1を超えず、例えば1~30、又はその中の任意の範囲若しくは値である。
【0096】
機能上不可欠である抗IL-23特異的抗体内のアミノ酸は、部位特異的突然変異導入
又はアラニンスキャニング変異導入などの、当該技術分野において既知の方法により同定
することができる(例えば、上記のAusubel、Chapters 8,15;Cu
nningham and Wells,Science 244:1081-1085
(1989))。後者の手順では、分子内の各残基毎に単個のアラニンによる変異を導入
する。続いて、得られた変異分子を、限定されるものではないふぁ少なくとも1つのIL
-23中和活性などといった生物活性に関して試験する。抗体結合にとってきわめて重要
な部位も、結晶化、核磁気共鳴又は光親和性標識などの構造解析によって同定することが
できる(SmithらのJ.Mol.Biol.224:899-904(1992)及
びde VosらのScience 255:306-312(1992))。
【0097】
抗IL-23抗体としては、配列番号5、20、44、50、56、及び73のうちの
少なくとも1つのコンティグなアミノ酸のうちの5個~すべてから選択される、少なくと
も1つの部分、配列、又は組み合わせが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0098】
IL-23抗体又は特定の部分若しくはバリアントとしては、上記の配列番号の少なく
とも3~5個のコンティグなアミノ酸、上記の配列番号の5~17個のコンティグなアミ
ノ酸、上記の配列番号の5~10個のコンティグなアミノ酸、上記の配列番号の5~11
個のコンティグなアミノ酸、上記の配列番号の5~7個のコンティグなアミノ酸、上記の
配列番号の5~9個のコンティグなアミノ酸から選択される少なくとも1つの部分、配列
、又は組み合わせが挙げられ得るがこれらに限定されない。
【0099】
抗IL-23抗体は、任意選択的に、上記の配列番号の5、17、10、11、7、9
、119、又は108個のコンティグなアミノ酸のうちの70~100%のうちの少なく
とも1つのポリペプチドを更に含み得る。一実施形態では、免疫グロブリン鎖又はその一
部(例えば、可変領域、CDR)のアミノ酸配列は、上記の配列番号のうちの少なくとも
1つの対応する鎖のアミノ酸配列に対して約70~100(例えば、70、71、72、
73、74、75、76、77、78、79、80、81、82、83、84、85、8
6、87、88、89、90、91、92、93、94、95、96、97、98、99
、100、又はこれらの中の任意の範囲若しくは値)%の同一性を有する。例えば、軽鎖
可変領域のアミノ酸配列を上記の配列番号と比較することができ、あるいは重鎖CDR3
のアミノ酸配列を上記の配列番号と比較することができる。好ましくは、70~100%
のアミノ酸同一性(すなわち、90、91、92、93、94、95、96、97、98
、99、100、又はその中の任意の範囲若しくは値)は、当該技術分野において既知の
好適なコンピュータアルゴリズムを使用して決定される。
【0100】
当該技術分野において既知のように、「同一性」は、配列を比較することにより判定さ
れる、2つ以上のポリペプチド配列間又は2つ以上のポリヌクレオチド配列間の関係であ
る。当該技術分野において、「同一性」はまた、そのような線状の配列間の一致によって
決定されるような、ポリペプチド又はポリヌクレオチド配列間の配列関連性の程度を意味
する。「同一性」及び「類似性」は、Computational Molecular
Biology,Lesk,A.M.,ed.,Oxford University
Press,New York,1988;Biocomputing:Inform
atics and Genome Projects,Smith,D.W.,ed.
,Academic Press,New York,1993;Computer A
nalysis of Sequence Data,Part I,Griffin,
A.M.,and Griffin,H.G.,eds.,Humana Press,
New Jersey,1994;Sequence Analysis in Mol
ecular Biology,von Heinje,G.,Academic Pr
ess,1987;及びSequence Analysis Primer,Grib
skov,M.and Devereux,J.,eds.,M Stockton P
ress,New York,1991;並びにCarillo,H.,and Lip
man,D.,Siam J.Applied Math.,48:1073(1988
)に説明されているものが挙げられるが、これらに限定されない既知の方法によって容易
に算出することができる。加えて、同一性のパーセンテージは、Vector NTI
Suite 8.0(Informax,Frederick,MD)のコンポーネント
であるAlignXのデフォルト設定を用いて生成される、アミノ酸及びヌクレオチド配
列のアラインメントから得ることができる。
【0101】
同一性を決定する好ましい方法は、試験される配列間で最大の一致度が得られるように
設計される。同一性及び類似性を決定する方法は、公的に入手可能なコンピュータプログ
ラムにおいて成文化(codified)されている。2つの配列間の同一性及び類似性を決定す
るための好ましいコンピュータプログラム法としては、GCGプログラムパッケージ(D
evereux,J.らのNucleic Acids Research12(1):
387(1984)),BLASTP,BLASTN、及びFASTA(Atschul
,S.F.らのJ.Molec.Biol.215:403-410(1990))が挙
げられるがこれに限定されない。BLAST Xプログラムは、NCBI及び他のソース
(BLAST Manual,Altschul,S.,et al.,NCBINLM
NIH Bethesda,Md.20894:Altschul,S.,et al
.,J.Mol.Biol.215:403-410(1990)から公的に入手可能で
ある。周知のSmith Watermanアルゴリズムも同一性を決定するために使用
され得る。
【0102】
ポリペプチド配列の比較に好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Bi
ol.48:443-453(1970)比較マトリックス:BLOSSUM62(He
ntikoff and Hentikoff,Proc.Natl.Acad.Sci
,USA.89:10915-10919(1992)より)
ギャップペナルティ:12
ギャップ長ペナルティ:4
これらのパラメータに有用なプログラムは、Genetics Computer G
roup(Madison Wis)からの「ギャップ」プログラムとして公的に入手可能である。
前述のパラメータは、ペプチド配列比較のためのデフォルトパラメータ(加えて、末端ギ
ャップにはペナルティがない)である。
【0103】
ポリヌクレオチド比較のための好ましいパラメータとしては、以下が挙げられる:
(1)アルゴリズム:Needleman and Wunsch,J.Mol Bi
ol.48:443-453(1970)
比較マトリックス:一致=+10、不一致=0
ギャップペナルティ:50
ギャップ長ペナルティ:3
Genetics Computer Group(Madison Wis)からの「ギャップ
」プログラムとして入手可能。これらは、核酸配列比較のデフォルトパラメータである。
【0104】
例として、ポリヌクレオチド配列は、別の配列と同一であり得る、つまり、100%同
一であるか、又は参照配列と比較してヌクレオチドの変更をある特定の整数まで含み得る
。かかる変更は、少なくとも1つのヌクレオチドの欠失、置換(転移及び転換を含む)、
又は挿入からなる群から選択され、変更は、参照ヌクレオチド配列の5’若しくは3’末
端位置で、又はこれらの末端位置の間のどこで生じてもよく、参照配列のヌクレオチド間
に個々に、又は参照配列内の1つ以上の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。ヌク
レオチドの変更の数は、配列中のヌクレオチドの総数に、対応する同一性パーセントの数
値パーセント(100で割ったもの)を乗じ、その積を配列中のヌクレオチドの総数から
差し引くこと、又は、
n.sub.n.ltorsim.x.sub.n-(x.sub.n.y)によって
決定され、
式中、n.sub.nはヌクレオチド変更の数であり、x.sub.nは配列中のヌク
レオチドの総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては0
.80、85%に対しては0.85、90%に対しては0.90、95%に対しては0.
95などであり、x.sub.nとyとの任意の整数ではない積は、x.sub.nから
差し引く前に最も近い整数に丸める。
【0105】
上記配列番号をコードするポリヌクレオチド配列の変更は、このコード配列中にナンセ
ンス変異、ミスセンス変異、又はフレームシフト変異を作り出し、それにより、かかる変
更後にポリヌクレオチドによってコードされるポリペプチドを変更することができる。同
様に、ポリペプチド配列は、上記の配列番号の参照配列と同一であり得る、つまり、10
0%同一であるか、又は同一率が100%未満であるように、参照配列と比較してある特
定の整数までのアミノ酸変更を含み得る。かかる変更は、少なくとも1つのアミノ酸の欠
失、置換(保存的及び非保存的置換を含む)、又は挿入からなる群から選択され、変更は
、参照ポリペプチド配列のアミノ若しくはカルボキシ末端位置で、又はこれらの末端位置
の間のどこで生じてもよく、参照配列のアミノ酸間に個々に、又は参照配列内の1つ以上
の隣接基のいずれかにおいて点在してもよい。所与の同一性%についてのアミノ酸変更の
数は、上記の配列番号中のアミノ酸の総数に、対応する同一性パーセントの数値パーセン
ト(100で割ったもの)を乗じ、その積を上記の配列番号中のアミノ酸の総数から差し
引くこと、又は、
n.sub.a.ltorsim.x.sub.a-(x.sub.a.y)によって
決定され、
式中、n.sub.aはアミノ酸変更の数であり、x.sub.aは上記の配列番号中
のアミノ酸の総数であり、yは、例えば、70%に対しては0.70、80%に対しては
0.80、85%に対しては0.85などであり、x.sub.aとyとの任意の整数で
はない積は、x.sub.aから差し引く前に最も近い整数に丸める。
【0106】
例示的な重鎖及び軽鎖可変領域の配列、並びにそれらの部分は、上記配列番号に示され
る。本発明の抗体又はその特定のバリアントは、本発明の抗体からの任意の数のコンティ
グなアミノ酸残基を含み得、その数は、抗IL-23抗体における隣接残基数の10~1
00%からなる整数の群から選択される。任意で、コンティグなアミノ酸のこの部分配列
は、少なくとも約10、20、30、40、50、60、70、80、90、100、1
10、120、130、140、150、160、170、180、190、200、2
10、220、230、240、250個以上のアミノ酸長、又はその中の任意の範囲若
しくは値である。更に、かかる部分配列の数は、少なくとも2、3、4、又は5などの、
1~20からなる群から選択される任意の整数であり得る。
【0107】
当業者には明らかとなるように、本発明には、本発明の少なくとも1つの生物活性のあ
る抗体が含まれている。生物活性のある抗体は、天然(非合成)の、内因性又は関連する
及び既知の抗体の、少なくとも20%、30%又は40%、好ましくは少なくとも50%
、60%又は70%、最も好ましくは少なくとも80%、90%又は95%~100%以
上の比活性度を有する(限定するものではないが、最大で10倍の比活性度を含む)。酵
素活性及び基質特異性のアッセイ及び定量測定の方法は、当業者にとって周知である。
【0108】
別の態様では、本発明は、有機部分の共有結合により修飾される、本明細書に記載され
るヒト抗体及び抗原結合断片に関する。かかる修飾は、改善された薬物動態特性(例えば
、in vivoでの血清半減期の増大)を有する抗体又は抗原結合断片を生成すること
ができる。有機部分は、直鎖又は分枝鎖親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステ
ル基であることができる。特定の実施形態では、親水性ポリマー基は、約800~約12
0,000ダルトンの分子量を有し得、ポリアルカングリコール(例えば、ポリエチレン
グリコール(PEG)、ポリプロピレングリコール(PPG))、炭水化物ポリマー、ア
ミノ酸ポリマー又はポリビニルピロリドンであり得、脂肪酸又は脂肪酸エステル基は、約
8~約40の炭素原子を含み得る。
【0109】
修飾された抗体及び抗原結合断片は、抗体に直接的又は間接的に共有結合される、1つ
以上の有機部分を含み得る。本発明の抗体又は抗原結合断片に結合される各有機部分は、
独立して、親水性ポリマー基、脂肪酸基、又は脂肪酸エステル基であり得る。本明細書で
使用するとき、「脂肪酸」という用語は、モノカルボン酸及びジカルボン酸を含む。本明
細書で使用するとき、「親水性ポリマー基」という用語は、オクタンよりも水に対する溶
解度が高い有機ポリマーを意味する。例えば、ポリリシンは、オクタンよりも水に対する
溶解度が高い。よって、ポリリシンの共有結合により修飾された抗体は、本発明に包含さ
れる。本発明の抗体を修飾する適切な親水性ポリマーは、直線状又は分岐状であり得、例
えば、ポリアルカングリコール(例えば、PEG、モノメトキシ-ポリエチレングリコー
ル(mPEG)、PPGなど)、炭水化物(例えば、デキストラン、セルロース、オリゴ
糖、多糖など)、親水性アミノ酸のポリマー(例えば、ポリリシン、ポリアルギニン、ポ
リアスパラギン酸など)、ポリアルカンオキシド(例えば、ポリエチレンオキシド、ポリ
プロピレンオキシドなど)、及びポリビニルピロリドンを含む。好ましくは、本発明の抗
体を修飾する親水性ポリマーは、個別の分子体として、約800~約150,000ダル
トンの分子量を有する。例えば、PEG5000及びPEG20,000を使用すること
ができ、下付き文字は、ポリマーのダルトン単位での平均分子量である。親水性ポリマー
基は、1~約6個のアルキル基、脂肪酸基又は脂肪酸エステル基で置換することができる
。脂肪酸又は脂肪酸エステル基で置換される親水性ポリマー類は、適切な方法を利用する
ことによって調製することができる。例えば、アミン基を含むポリマーを、脂肪酸又は脂
肪酸エステルのカルボン酸塩に連結させることができ、脂肪酸又は脂肪酸エステル上の活
性化カルボン酸塩(例えば、N,N-カルボニルジイミダゾールで活性化されている)を
ポリマー上のヒドロキシル基に連結させることができる。
【0110】
本発明の抗体を修飾するために好適な脂肪酸及び脂肪酸エステルは、飽和されてもよい
し、又は1つ以上の不飽和単位を含有してもよい。本発明の抗体を修飾するのに好適な脂
肪酸としては、例えば、n-ドデカン酸塩(C12、ラウリン酸塩)、n-テトラデカン
酸塩(C14、ミリスチン酸塩)、n-オクタデカン酸塩(C18、ステアリン酸塩)、
n-エイコサン酸塩(C20、アラキジン酸塩)、n-ドコサン酸塩(C22、ベヘン酸
)、n-トリアコンタン酸塩(C30)、n-テトラコンタン酸塩(C40)、シス-Δ
9-オクタデカン酸塩(C18、オレイン酸塩)、すべてのシス-Δ5,8,11,14
-エイコサテトラエン酸塩(C20、アラキドン酸塩)、オクタンジオン酸、テトラデカ
ンジオン酸、オクタデカンジオン酸、ドコサンジオン酸などが挙げられる。好適な脂肪酸
エステルは、直鎖又は分枝鎖の低級アルキル基を含む、ジカルボン酸のモノエステルを含
む。低級アルキル基は、1~約12個、好ましくは1~約6個の炭素原子を含んでよい。
【0111】
修飾ヒト抗体及び抗原結合断片は、1つ以上の修飾剤と反応させるなど、好適な方法を
使用して調製することができる。本明細書で使用されるとき、用語「修飾剤」は、活性化
基を含む適切な有機基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)を意味する
。「活性化基」とは、適切な条件下で第2の化学基と反応し、これにより修飾剤と第2の
化学基との間に共有結合を形成することのできる、化学部分又は官能基である。例えば、
アミン反応性活性化基としては、トシル酸、メシル酸、ハロ(クロロ、ブロモ、フルオロ
、ヨード)などの求電子基、N-ヒドロキシスクシニミジルエステル(NHS)などが挙
げられる。チオール類と反応し得る活性化基としては、例えば、マレイミド、ヨードアセ
チル、アクリロリル、ピリジルジスルフィド、5-チオール-2-ニトロ安息香酸チオー
ル(TNB-チオール)などが挙げられる。アルデヒド官能基は、アミン-又はヒドラジ
ド-含有分子と連結することができ、また、アジド基は、三価リン基と反応してホスホル
アミデート又はホスホルイミド結合を形成することができる。分子中に活性化基を導入す
るための好適な方法が、当該技術分野において既知である(例えば、Hermanson
,G.T.、Bioconjugate Techniques,Academic P
ress:San Diego,CA(1996)を参照されたい)。活性化基は、有機
基(例えば、親水性ポリマー、脂肪酸、脂肪酸エステル)に直接的に、又はリンカー部分
、例えば二価のC1~C12基(ここで、1つ以上の炭素原子は酸素、窒素、又は硫黄な
どのヘテロ原子で置換され得る)を介して、結合することができる。好適なリンカー部分
は、例えば、テトラエチレングリコール、-(CH2)3-、-NH-(CH2)6-N
H-、-(CH2)2-NH-及び-CH2-O-CH2-CH2-O-CH2-CH2
-O-CH-NH-を含む。リンカー部分を含む修飾剤は、例えば1-エチル-3-(3
-ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(EDC)の存在下で、モノ-Boc-アル
キルジアミン(例えば、モノ-Boc-エチレンジアミン、モノ-Boc-ジアミノヘキ
サン)を脂肪酸と反応させて、遊離アミンと脂肪酸カルボキシレートとの間にアミド結合
を形成することによって生成可能である。Boc保護基を、トリフルオロ酢酸(TFA)
処理により生成物から除去し、記載されているように別のカルボン酸塩にカップリングで
きる一級アミンを露出させることができ、又はこれを無水マレイン酸と反応させ、得られ
る生成物を環化させて脂肪酸の活性化マレイミド誘導体を生成することができる。(例え
ば、参照によりその教示全体が本明細書に組み込まれるThompsonらの国際公開第
92/16221号を参照されたい。)
【0112】
修飾された抗体は、ヒト抗体又は抗原結合断片を修飾剤と反応させることによって産生
することができる。例えば、有機部分は、アミン反応性修飾剤、例えば、PEGのNHS
エステルを利用して、部位特異的なものではない方法で抗体に結合させることができる。
抗体又は抗原結合断片のジスルフィド結合(例えば鎖内ジスルフィド結合)を還元するこ
とによって、修飾されたヒト抗体又は抗原結合断片を調製することもできる。このとき、
還元された抗体又は抗原結合断片をチオール反応性修飾剤と反応させて、本発明の修飾さ
れた抗体を産生することが可能である。本発明の抗体の特定の部位に結合される有機部分
を含む修飾されたヒト抗体及び抗原結合断片は、逆タンパク質分解(Fisch et
al.,Bioconjugate Chem.,3:147-153(1992)、W
erlen et al.,Bioconjugate Chem.,5:411-41
7(1994)、Kumaran et al.,Protein Sci.6(10)
、2233-2241(1997)、Itoh et al.,Bioorg.Chem
.,24(1):59-68(1996);Capellas et al.,Biot
echnol.Bioeng.,56(4):456-463(1997))、及びHe
rmanson,G.T.,Bioconjugate Techniques,Aca
demic Press:San Diego,CA(1996)に記載される方法など
の好適な方法を使用して調製することができる。
【0113】
本発明の方法はまた、本明細書に記載されかつ/又は当該技術分野において既知である
ように、自然発生したものではない組成物、混合物、又は形態で提供される少なくとも1
つ、少なくとも2つ、少なくとも3つ、少なくとも4つ、少なくとも5つ、少なくとも6
つ以上の抗IL-23抗体を含む、抗IL-23抗体組成物をも使用する。かかる組成物
は、上記の配列番号のコンティグなアミノ酸の70~100%、又はその特定される断片
、ドメイン、若しくはバリアントからなる群から選択される、抗IL-23抗体のアミノ
酸配列の、少なくとも1つ又は2つの完全長の、C及び/若しくはN末端欠失バリアント
、ドメイン、断片、又は特定されるバリアントを含む、自然発生したものではない組成物
を含む。好ましい抗IL-23抗体組成物は、本明細書に記載される抗IL-23抗体配
列の少なくとも1つのCDR又はLBP含有部分として、少なくとも1つ又は2つの完全
長、断片、ドメイン、又はバリアント、例えば、上記配列番号、又はその特定の断片、ド
メイン、若しくはバリアントの70~100%を含む。更に好ましい組成物は、例えば、
上記配列番号などの70~100%、又はその特定の断片、ドメイン、若しくはバリアン
トのうちの、少なくとも1つを40~99%含む。かかる組成物の百分率は、当該技術分
野において既知であるように、又は本明細書に記載されるように、重量、容量、濃度、モ
ル濃度、あるいは液体若しくは無水溶液(dry solutions)、混合物、懸濁液、エマルシ
ョン、粒子、粉末、又はコロイドとしてのモル濃度によるものである。
【0114】
更なる治療活性成分を含む抗体組成物
本発明の方法に使用される抗体組成物は、任意に更に、抗感染症薬、心血管(cardiova
scular、CV)系作用薬、中枢神経系(central nervous system、CNS)薬、自律神経
系(autonomic nervous system、ANS)薬、呼吸器薬、消化(gastrointestinal、GI
)管作用薬、ホルモン薬、体液又は電解質平衡薬、血液作用薬、抗腫瘍薬、免疫調節薬、
眼、耳又は鼻用薬、局所作用薬、栄養薬などのうち、少なくとも1つから選択される、少
なくとも1つの化合物又はタンパク質を有効量含むことができる。かかる薬剤は、本明細
書に示されるそれぞれの配合、適応症、用量、及び投与を含めて当該技術分野では周知で
ある(例えば、Nursing2001 Handbook of Drugs,21s
t edition,Springhouse Corp.,Springhouse,
PA,2001、Health Professional’s Drug Guide
2001,ed.,Shannon,Wilson,Stang,Prentice-
Hall,Inc,Upper Saddle River,NJ、Pharmcoth
erapy Handbook,Wells et al.,Appleton&Lan
ge,Stamford,CTを参照されたく、それぞれは、参照により本明細書に組み
込まれる)。
【0115】
本発明の方法の抗体と組み合わせることができる薬剤の例として、抗感染薬は、殺アメ
ーバ薬又は少なくとも1種の抗原虫薬、駆虫薬、抗真菌薬、抗マラリア薬、抗結核薬又は
少なくとも1種の抗らい菌薬、アミノグリコシド、ペニシリン、セファロスポリン、テト
ラサイクリン、スルホンアミド、フルオロキノロン、抗ウイルス薬、マクロライド抗感染
薬、及び種々の抗感染薬から選択される少なくとも1種であり得る。ホルモン薬は、コル
チコステロイド、アンドロゲン、又は少なくとも1種のアナボリックステロイド、エスト
ロゲン、又は少なくとも1種のプロゲスチン、ゴナドトロピン、抗糖尿病薬、又は少なく
とも1種のグルカゴン、甲状腺ホルモン、甲状腺ホルモン拮抗薬、下垂体ホルモン、及び
副甲状腺様薬から選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種のセファロスポ
リンは、セファクロル、セファドロキシル、セファゾリンナトリウム、セフジニル、塩酸
セフェピム、セフィキシム、セフメタゾールナトリウム、セフォニシドナトリウム、セフ
ォペラゾンナトリウム、セフォタキシムナトリウム、セフォテタン二ナトリウム、セフォ
キシチンナトリウム、セフポドキシムプロキセチル、セフプロジル、セフタジジム、セフ
チブテン、セフチゾキシムナトリウム、セフトリアキソンナトリウム、セフロキシムアキ
セチル、セフロキシムナトリウム、塩酸セファレキシン、セファレキシン一水和物、セフ
ラジン、及びロラカルベフから選択される少なくとも1種であり得る。
【0116】
少なくとも1種のコルチコステロイド(coricosteroid)は、ベタメタゾン、酢酸ベタ
メタゾン又はリン酸ベタメタゾンナトリウム、リン酸ベタメタゾンナトリウム、酢酸コル
チゾン、デキサメサゾン、酢酸デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、酢酸
フルドロコルチゾン、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、シピオン酸ヒドロコル
チゾン、リン酸ヒドロコルチゾンナトリウム、コハク酸ヒドロコルチゾンナトリウム、メ
チルプレドニゾロン、酢酸メチルプレドニゾロン、コハク酸メチルプレドニゾロンナトリ
ウム、プレドニゾロン、酢酸プレドニゾロン、リン酸プレドニゾロンナトリウム、テブト
酸プレドニゾロン、プレドニゾン、トリアムシノロン、トリアムシノロンアセトニド、及
び二酢酸トリアムシノロンから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の
アンドロゲン又はタンパク質同化ステロイド薬は、ダナゾール、フルオキシメステロン、
メチルテストステロン、デカン酸ナンドロロン、フェンプロピオン酸ナンドロロン、テス
トステロン、シピオン酸テストステロン、エナント酸テストステロン、プロピオン酸テス
トステロン、及びテストステロン経皮剤から選択される少なくとも1種であり得る。
【0117】
少なくとも1種の免疫抑制剤は、アザチオプリン、バシリキシマブ、シクロスポリン、
ダクリズマブ、リンパ球免疫グロブリン、ムロモナブ-CD3、ミコフェノール酸モフェ
チル、塩酸ミコフェノール酸モフェチル、シロリムス、及びタクロリムスから選択される
少なくとも1種であり得る。
【0118】
少なくとも1種の局所抗感染薬は、アシクロビル、アンホテリシンB、アゼライン酸ク
リーム、バシトラシン、硝酸ブトコナゾール、リン酸クリンダマイシン、クロトリマゾー
ル、硝酸エコナゾール、エリスロマイシン、硫酸ゲンタマイシン、ケトコナゾール、酢酸
マフェニド、メトロニダゾール(局所)、硝酸ミコナゾール、ムピロシン、塩酸ナフチフ
ィン、硫酸ネオマイシン、ニトロフラゾン、ナイスタチン、スルファジアジン銀、塩酸テ
ルビナフィン、テルコナゾール、塩酸テトラサイクリン、チオコナゾール、及びトルナフ
テートから選択される少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の疥癬殺虫剤若しくは
殺シラミ薬は、クロタミトン、リンデン、ペルメトリン、及びピレトリンから選択される
少なくとも1種であり得る。少なくとも1種の局所コルチコステロイドは、ジプロピオン
酸ベタメタゾン、吉草酸ベタメタゾン、プロピオン酸クロベタゾール、デソニド、デスオ
キシメタゾン、デキサメサゾン、リン酸デキサメサゾンナトリウム、二酢酸ジフロラゾン
、フルオシノロンアセトニド、フルオシノニド、フルランドレノリド、プロピオン酸フル
チカゾン、ハルシノニド(halcionide)、ヒドロコルチゾン、酢酸ヒドロコルチゾン、酪
酸ヒドロコルチゾン、吉草酸ヒドロコルチゾン、フロ酸モメタゾン、及びトリアムシノロ
ンアセトニドから選択される少なくとも1種であり得る。(例えば、Nursing 2
001 Drug Handbookの1098~1136ページを参照されたい)。
【0119】
抗IL-23抗体組成物は、かかる調節、治療、又は療法を必要とする細胞、組織、臓
器、動物、又は患者に接触されるか又は投与される少なくとも1つの抗IL-23抗体を
含み、任意選択的に更に、少なくとも1つのTNF拮抗薬(例えば、限定されないが、T
NF化学若しくはタンパク質拮抗薬、TNFモノクローナル若しくはポリクローナル抗体
又は断片、可溶性TNF受容体(例えば、p55、p70、又はp85)又は断片、その
融合ポリペプチド、又は小分子TNF拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I若しくは
II(TBP-1又はTBP-II)、ネレリモンマブ(nerelimonmab)、インフリキシ
マブ、エタネルセプト(eternacept)、CDP-571、CDP-870、アフェリモマ
ブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサート、オーラノフィン、
アウロチオグルコース、アザチオプリン、エタネルセプト、金チオリンゴ酸ナトリウム、
ヒドロキシクロロキン硫酸塩、レフルノミド、スルファサラジン)、免疫付与剤、免疫グ
ロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、サ
イトカイン又はサイトカイン拮抗薬から選択される少なくとも1種を含む、任意の好適か
つ有効量の組成物又は医薬組成物のうちの少なくとも1種を更に含むことができる。かか
るサイトカインの非限定的な例としては、IL-1~IL-23など(例えば、IL-1
、IL-2など)のいずれかが挙げられるが、これらに限定されない。適切な投与量は、
当該技術分野において周知である。例えば、そのそれぞれの全体が参照により本明細書に
組み込まれるWells et al.,eds.,Pharmacotherapy
Handbook,2nd Edition,Appleton and Lange,
Stamford,CT(2000);PDR Pharmacopoeia,Tara
scon Pocket Pharmacopoeia 2000,Deluxe Ed
ition,Tarascon Publishing,Loma Linda,CA(
2000)を参照されたい。
【0120】
本発明の方法に使用される抗IL-23抗体化合物、組成物、又は混合物は、更に、希
釈剤、結合剤、安定剤、緩衝剤、塩、親油性溶媒、保存剤、アジュバントなどであるがこ
れらに限定されない、任意の好適な助剤のうちの少なくとも1つを含み得る。薬学的に許
容できる助剤が好ましい。かかる滅菌溶液を調製する非限定な実施例及び方法は当該技術
分野においてよく知られており、例えば、Gennaro,Ed.,Remington
’s Pharmaceutical Sciences,18th Edition,
Mack Publishing Co.(Easton,PA)1990などであるが
これに限定されない。当該技術分野において周知される、又は本明細書に記載されるよう
に、抗IL-23抗体、断片、又はバリアント組成物の投与、溶解性、及び/又は安定性
に好適な、薬学的に許容できる担体は、慣習的に選択することができる。
【0121】
本組成物において有用な薬学的賦形剤及び添加剤は、これらに限定されないが、タンパ
ク質、ペプチド、アミノ酸、脂質及び炭水化物(例えば、単糖類、二糖、三糖、四糖、及
びオリゴ糖を含む糖類、アルジトール、アルドン酸、エステル化糖などの誘導体化糖、並
びに多糖類又は糖ポリマー)を含み、これらは、単独で又は組み合わせて存在してよく、
単独で又は組み合わせて1~99.99重量%又は容量%含まれる。例示的なタンパク質
賦形剤には、ヒト血清アルブミン(HSA)などの血清アルブミン、組み換えヒトアルブ
ミン(rHA)、ゼラチン、カゼインなどが挙げられる。緩衝能においても機能し得る代
表的なアミノ酸/抗体構成要素には、アラニン、グリシン、アルギニン、ベタイン、ヒス
チジン、グルタミン酸、アスパラギン酸、システイン、リシン、ロイシン、イソロイシン
、バリン、メチオニン、フェニルアラニン、アスパルテームなどが挙げられる。好ましい
アミノ酸の1つはグリシンである。
【0122】
本発明において使用に好適な炭水化物賦形剤として、例えば、フルクトース、マルトー
ス、ガラクトース、グルコース、D-マンノース、ソルボースなどの単糖類、乳糖、ショ
糖、トレハロース、セロビオースなどの二糖類、ラフィノース、メレジトース、マルトデ
キストリン、デキストラン、デンプン類などの多糖類、マンニトール、キシリトール、マ
ルチトール、ラクチトール、キシリトールソルビトール(グルシトール)、ミオイノシト
ールなどのアルジトールが挙げられる。本発明で使用するのに好ましい炭水化物賦形剤は
、マンニトール、トレハロース、及びラフィノースである。
【0123】
抗IL-23抗体組成物は、緩衝剤又はpH調整剤も含むことができ、典型的には、緩
衝剤は、有機酸又は塩基から調製される塩である。代表的な緩衝剤としては、クエン酸、
アスコルビン酸、グルコン酸、炭酸、酒石酸、コハク酸、酢酸、又はフタル酸の塩などの
有機酸塩、トリス、トロメタミン塩酸塩、又はリン酸緩衝剤が挙げられる。本組成物にお
ける使用に適した緩衝剤は、クエン酸などの有機酸塩である。
【0124】
加えて、抗IL-23抗体組成物は、ポリビニルピロリドン、フィコール(高分子糖)
、デキストレート(例えば、2-ヒドロキシプロピル-β-シクロデキストリンなどのシ
クロデキストリン)、ポリエチレングリコール、着香剤、抗菌剤、甘味料、抗酸化剤、帯
電防止剤、界面活性剤(例えば、「TWEEN20」及び「TWEEN80」などのポリ
ソルベート)、脂質(例えば、リン脂質、脂肪酸)、ステロイド(例えば、コレステロー
ル)、及びキレート剤(例えば、EDTA)などの高分子賦形剤/添加剤を含むことがで
きる。
【0125】
本発明による抗IL-23抗体、部分又はバリアント組成物における使用に適するこれ
ら及び追加の既知の医薬賦形剤及び/又は添加剤は、当該技術分野において既知であり、
例えば、「Remington:The Science&Practice of P
harmacy」19th ed.,Williams&Williams,(1995
)、及び「Physician’s Desk Reference」、52nd ed
,Medical Economics,Montvale,NJ(1998)に列挙さ
れており、これらの開示は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。好ましい担
体又は賦形剤材料は、炭水化物(例えば単糖類及びアルジトール)及び緩衝剤(例えばク
エン酸)又はポリマー剤である。例示的な担体分子はムコ多糖、ヒアルロン酸であり、こ
れらは関節内送達に有用であり得る。
【0126】
製剤
上述したとおり、本発明は、好ましくは、生理食塩水又は選択された塩と共にリン酸緩
衝剤を含む安定した製剤、のみならず保存剤を含有する保存溶液及び製剤、のみならず薬
学的に許容できる製剤中に少なくとも1つの抗IL-23抗体を含む薬学的又は獣医学的
用途に好適な多用途保存製剤を提供する。保存製剤は、水性希釈剤中に、少なくとも1つ
の既知の、即ち少なくとも1つのフェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-ク
レゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、硝酸フェニル水銀、フェノキシエタ
ノール、ホルムアルデヒド、クロロブタノール、塩化マグネシウム(例えば、六水和物)
、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム
、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール、又はそれらの混合
物からなる群から任意に選択される保存剤を含有する。0.001、0.003、0.0
05、0.009、0.01、0.02、0.03、0.05、0.09、0.1、0.
2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、1.0、1.1、1.
2、1.3、1.4、1.5、1.6、1.7、1.8、1.9、2.0、2.1、2.
2、2.3、2.4、2.5、2.6、2.7、2.8、2.9、3.0、3.1、3.
2、3.3、3.4、3.5、3.6、3.7、3.8、3.9、4.0、4.3、4.
5、4.6、4.7、4.8、4.9、又はその中の任意の範囲若しくは値などであるが
これらに限定されない0.001~5%又はその中の任意の範囲若しくは値などの当該技
術分野で既知の任意の好適な濃度又は混合物を用いることができる。非限定的な例として
は、保存剤無添加、0.1~2%のm-クレゾール(例えば、0.2、0.3、0.4、
0.5、0.9、1.0%)、0.1~3%のベンジルアルコール(例えば0.5、0.
9、1.1、1.5、1.9、2.0、2.5%)、0.001~0.5%のチメロサー
ル(例えば、0.005、0.01)、0.001~2.0%のフェノール(例えば0.
05、0.25、0.28、0.5、0.9、1.0%)、0.0005~1.0%のア
ルキルパラベン(複数可)(例えば0.00075、0.0009、0.001、0.0
02、0.005、0.0075、0.009、0.01、0.02、0.05、0.0
75、0.09、0.1、0.2、0.3、0.5、0.75、0.9、1.0%)など
が挙げられる。
【0127】
上述したように、本発明の方法は、包装材と、所望により水性希釈剤中に処方された緩
衝剤及び/又は保存剤を伴う少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体の溶液を含む少な
くとも1つのバイアルと、を含む製品を用い、上記の包装材は、こうした溶液が1、2、
3、4、5、6、9、12、18、20、24、30、36、40、48、54、60、
66、72時間以上にわたり保持され得ることを示したラベルを含む。本発明は、包装材
と、凍結乾燥された抗IL-23特異的抗体を含む第1のバイアルと、処方された緩衝剤
又は保存剤の水性希釈剤を含む第2のバイアルと、を含む製品を更に使用し、上記の包装
材は、抗IL-23特異的抗体を水性希釈剤で再構成して、24時間以上にわたって保持
され得る溶液を形成するように患者に指示するラベルを含む。
【0128】
本発明に従って使用される抗IL-23特異的抗体は、本明細書に記載されるか又は当
該技術分野において既知であるように、哺乳動物細胞又はトランスジェニック調製物から
を含む組み換え手段により産生され得るか、又は他の生物源から精製され得る。
【0129】
抗IL-23特異的抗体の範囲は、湿式/乾式系の場合、再構成すると約1.0μg/
ml~約1000mg/mlの濃度が得られる量を含むが、より低い濃度及び高い濃度で
も作業可能であり、これは意図される送達ビヒクルに依存し、例えば溶液製剤と、経皮パ
ッチ、経肺、経粘膜、又は浸透圧性若しくはマイクロポンプ法とでは異なる。
【0130】
好ましくは、水性希釈剤は任意選択的に、薬学的に許容できる保存剤を更に含む。好ま
しい保存剤には、フェノール、m-クレゾール、p-クレゾール、o-クレゾール、クロ
ロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパラベン(メチル、エチル、プロピル、ブ
チルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼトニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム及び
チメロサール又はこれらの混合物からなる群から選択されるものが含まれる。製剤中で使
用される保存剤の濃度は、抗菌効果を生み出すのに十分な濃度である。このような濃度は
選択された保存剤によって異なり、当業者により容易に決定される。
【0131】
他の賦形剤、例えば、等張剤、緩衝剤、抗酸化剤、及び保存剤エンハンサーは、任意選
択的にかつ好ましくは希釈剤に添加することができる。グリセリンなどの等張剤が、既知
の濃度で一般に使用される。好ましくは、生理学的に忍容性の緩衝剤を添加して、改善さ
れたpH制御を提供する。製剤は、約pH4~約pH10、及び好ましくは約pH5~約
pH9の範囲、及び最も好ましくは約6.0~約8.0の範囲などの、広範囲のpH範囲
を対象にすることができる。好ましくは、本発明の製剤は、約6.8~約7.8のpHを
有する。好適な緩衝剤には、リン酸緩衝剤を含み、最も好ましくは、リン酸ナトリウム、
特にリン酸緩衝生理食塩水(PBS)を含む。
【0132】
他の添加剤、例えばTween20(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウ
レート)、Tween40(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノパルミテート)
、Tween80(ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート)、Plur
onic F68(ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー)、及
びPEG(ポリエチレングリコール)などの、薬学的に許容できる可溶化剤、又はポリソ
ルベート20若しくは80又はポロキサマー184若しくは188、Pluronic(
登録商標)ポリオールなどの非イオン性界面活性剤、その他のブロックコポリマー、並び
にEDTA及びEGTAなどのキレート剤を製剤又は組成物に任意に添加することで、凝
集を低減させることができる。これらの添加物は、製剤を投与するためにポンプ又はプラ
スチック容器が使用される場合に特に有用である。薬学的に許容できる界面活性剤の存在
により、タンパク質が凝集する傾向が軽減される。
【0133】
製剤は、少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体と、フェノール、m-クレゾール、
p-クレゾール、o-クレゾール、クロロクレゾール、ベンジルアルコール、アルキルパ
ラベン(メチル、エチル、プロピル、ブチルなど)、塩化ベンザルコニウム、塩化ベンゼ
トニウム、デヒドロ酢酸ナトリウム、及びチメロサール又はこれらの混合物からなる群か
ら選択される保存剤と、を水性希釈剤中で混合することを含むプロセスにより、調製する
ことができる。少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体と保存剤との水性希釈剤中での
混合は、従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、
例えば、緩衝液中の一定量の少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体を、所望の濃度の
タンパク質及び保存剤を提供するのに十分な量の緩衝液中で、所望の保存剤と組み合わせ
る。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分
の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時の温度及びpHはすべて、使用する
投与濃度及び投与手段に関して最適化することのできる因子である。
【0134】
製剤は、透明溶液として、又は水、保存剤及び/若しくは賦形剤、好ましくはリン酸緩
衝剤及び/若しくは生理食塩水、並びに選択された塩を水性希釈剤中に含有する第2のバ
イアルで再構成される、凍結乾燥抗IL-23特異的抗体のバイアルを含むデュアルバイ
アルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデ
ュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の患者治療サイク
ルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レジメンを提供す
ることができる。
【0135】
本製品は、即時から24時間以上の範囲の期間にわたる投与に有用である。したがって
、本発明により特許請求される製品は、患者に大きな利益を提供する。本発明の製剤は、
約2~約40℃の温度で任意に安全に保管され、タンパク質の生物学的活性を長期間保持
することができるため、包装ラベルは、溶液が6、12、18、24、36、48、72
、又は96時間以上の期間間にわたって保持及び/又は使用され得ることを示すことがで
きる。保存希釈剤を使用する場合には、このようなラベルは、最大1~12か月、半年、
1年半、及び/又は2年の使用を含むことができる。
【0136】
抗IL-23特異的抗体の溶液は、少なくとも1つの抗体を水性希釈剤中で混合するこ
とを含むプロセスにより調製することができる。混合は、従来の溶解及び混合手順を使用
して実施される。好適な希釈剤を調製するために、例えば、水又は緩衝剤中の一定量の少
なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質、及び任意選択的に保存剤又は緩衝剤を
提供するのに十分な量で組み合わせる。このプロセスの変化形態は、当業者によって認識
されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の使用の有無、製剤調製時
の温度及びpHはすべて、使用する投与濃度及び投与手段に関して最適化することのでき
る因子である。
【0137】
特許請求される製品は、透明溶液として、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで
再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含
むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。単一溶液バイアル又は再構成
を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用することができ、単一又は複数の
患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使用できるよりも便利な治療レ
ジメンを提供する。
【0138】
特許請求される製品は、透明溶液、又は水性希釈剤を含有する第2のバイアルで再構成
される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗IL-23特異的抗体のバイアルを含むデュ
アルバイアルを、薬局、診療所、又はその他のかかる機関及び施設に提供することによっ
て、間接的に患者に提供することができる。この場合の透明溶液は最高1リットル又は更
にはそれ以上の容量であってよく、この大きな容器からより少量の少なくとも1つの抗体
溶液を1回又は複数回取り出してより小さなバイアルに移し、かつ薬局又は診療所により
顧客及び/又は患者に提供できる。
【0139】
単一バイアル系を含む承認済みデバイスとしては、BD Pens、BD Autoj
ector(登録商標)、Humaject(登録商標)、NovoPen(登録商標)
、B-D(登録商標)Pen、AutoPen(登録商標)、及びOptiPen(登録
商標)、GenotropinPen(登録商標)、Genotronorm Pen(
登録商標)、Humatro Pen(登録商標)、Reco-Pen(登録商標)、R
oferon Pen(登録商標)、Biojector(登録商標)、Iject(登
録商標)、J-tip Needle-Free Injector(登録商標)、In
traject(登録商標)、Medi-Ject(登録商標)、Smartject(
登録商標)などの溶液送達用のペン型インジェクタデバイス(例えば、Becton D
ickensen(Franklin Lakes、NJ、www.bectondic
kenson.com)、Disetronic(Burgdorf、Switzerl
and、www.disetronic.com)、Bioject,Portland
,Oregon(www.bioject.com)、National Medica
l Products,Weston Medical(Peterborough,U
K,www.weston-medical.com)、Medi-Ject Corp
(Minneapolis,MN,www.mediject.com)によって製造又
は開発されている)、及び類似の好適なデバイスが挙げられる。デュアルバイアル系を含
む承認済みデバイスとしては、HumatroPen(登録商標)などの、再構成した溶
液を送達するためのカートリッジ内で凍結乾燥された薬剤を再構成するためのペン型イン
ジェクタシステムが挙げられる。好適な他のデバイスの例としては、予め充填された注射
器、自動注射器、針なし注射器、及び針なしIV注入セットが挙げられる。
【0140】
製品は、包装材を含み得る。包装材は、規制当局によって必要とされる情報に加えて、
製品を使用できる条件を提供する。本発明の包装材は、該当する場合、少なくとも1つの
抗IL-23抗体を水性希釈剤中で再構成して溶液を形成し、2~24時間以上にわたっ
て、この溶液を湿式/乾式の2つのバイアル製品に使用する、という指示を患者に提供す
る。単一バイアルの溶液製品、予充填された注射器、又は自動注射器の場合、ラベルは、
かかる溶液が2~24時間以上にわたって使用できることを示す。製品は、ヒト用医薬製
品用途に有用である。
【0141】
本発明の方法に使用される製剤は、抗IL-23抗体及び選択された緩衝剤、好ましく
は生理食塩水又は選択された塩を含有するリン酸緩衝剤を混合することを含むプロセスに
より、調製することができる。抗IL-23抗体と緩衝剤との水性希釈剤中での混合は、
従来の溶解及び混合手順を使用して実施される。好適な製剤を調製するために、例えば、
水又は緩衝剤中の一定量の少なくとも1つの抗体を、所望の濃度のタンパク質及び緩衝剤
を提供するのに十分な量の水中で所望の緩衝剤と組み合わせる。このプロセスの変化形態
は、当業者によって認識されるであろう。例えば、構成成分の添加順序、追加の添加剤の
使用の有無、製剤調製時の温度及びpHはすべて、使用する投与濃度及び投与手段に関し
て最適化することのできる因子である。
【0142】
本発明の方法は、ヒト又は動物患者に投与するのに有用かつ許容できる種々の製剤を含
む医薬組成物を提供する。かかる医薬組成物は、希釈剤として「標準状態」の水、及び当
業者に周知の日常的な方法を使用して調製される。例えば、ヒスチジン及びヒスチジン一
塩酸塩水和物などの緩衝成分が最初に提供され、続いて適切な非最終容量の「標準状態」
の水希釈剤、ショ糖、及びポリソルベート80が添加され得る。次いで、単離された抗体
を添加することができる。最後に、水を希釈剤として使用する「標準状態」条件の下で、
医薬組成物の容量を所望の最終容量に調整する。当業者は、医薬組成物の調製に適したい
くつかの他の方法を認識する。
【0143】
医薬組成物は、水の容量単位当たりの示される質量の各構成成分を含むか、又は「標準
状態」の示されるpHを有する水溶液又は懸濁液であってよい。本明細書で使用されると
き、「標準状態」という用語は、25℃+/-2℃の温度及び1気圧の圧力を意味する。
「標準状態」という用語は、当該技術分野では、単一技術分野が認識する一連の温度又は
圧力を指すように使用されないが、代わりに参照「標準状態」条件下の特定の組成物を含
む溶液又は懸濁液を説明するために使用される温度及び圧力を特定する参照状態である。
これは、溶液の容量が一部温度及び圧力の関数であるためである。当業者は、本明細書に
開示されるものと同等の医薬組成物が他の温度及び圧力で製造され得ることを認識する。
かかる医薬組成物が本明細書に開示されるものと同等であるかは、上記に定義された「標
準状態」条件下(例えば、25℃+/-2℃及び1気圧の圧力)で決定されるべきである
【0144】
重要なことに、かかる医薬組成物は、医薬組成物の単位容積当たり「約」特定値の構成
要素質量(例えば、「約0.53mgのL-ヒスチジン」)を含有するか、又は約特定値
のpH値を有し得る。医薬組成物中に存在する構成要素質量又はpH値は、単離された抗
体が医薬組成物に存在するか、又は単離された抗体が医薬組成物から除去された後(例え
ば、希釈により)に、医薬組成物中に存在する単離された抗体がペプチド鎖に結合するこ
とができる場合の、「約」所与の数値である。つまり、構成要素の質量値又はpH値など
の値は、単離された抗体を医薬組成物に配置した後に単離された抗体の結合活性が維持さ
れ、検出可能であるときの、「約」所定の数値である。
【0145】
IL-23特異的mAbが類似の若しくは異なるエピトープに結合し、かつ/又は互い
に競合するかを求めるために、競合結合分析が行われる。ELISAプレート上にAbを
個々にコーティングする。競合するmAbを添加し、続いてビオチン化hrIL-23を
添加する。陽性対照には、コーティングに同じmAbを競合mAb(「自己競合」)とし
て使用してもよい。IL-23結合は、ストレプトアビジンを使用して検出される。これ
らの結果は、mAbがIL-23上の類似の又は部分的に重複するエピトープを認識する
かどうかを示す。
【0146】
本発明の方法の一態様は、医薬組成物を患者に投与する。
【0147】
医薬組成物の一実施形態では、単離された抗体の濃度は、1mLの医薬組成物当たり約
77~約104mgである。医薬組成物の別の実施形態では、pHは約5.5~約6.5
である。
【0148】
安定又は保存製剤は、透明溶液として、又は水性希釈剤中に保存剤若しくは緩衝剤及び
賦形剤を含有する第2のバイアルで再構成される、凍結乾燥された少なくとも1つの抗I
L-23抗体のバイアルを含むデュアルバイアルとして、患者に提供することができる。
単一溶液バイアル又は再構成を必要とするデュアルバイアルはいずれも複数回再利用する
ことができ、単一又は複数の患者治療サイクルを満たすことができ、したがって、現在使
用できるよりも便利な治療レジメンを提供する。
【0149】
抗IL-23抗体を安定化するその他の処方又は方法は、抗体を含む凍結乾燥粉末の透
明溶液以外のものであってよい。非透明溶液としては微粒子懸濁液を含む製剤があり、上
記の微粒子は、マイクロスフェア、マイクロ粒子、ナノ粒子、ナノスフェア、又はリポソ
ームとして様々に知られる種々の寸法の構造内に、抗IL-23抗体を含有する組成物で
ある。活性剤を含有するこうした比較的均質な本質的に球状の微粒子処方は、米国特許第
4,589,330号に教示されるとおり、活性剤及びポリマーを含有する水相と非水相
とを接触させ、次いで非水相を蒸発させて水相からの粒子の癒合を生じさせることにより
形成することができる。多孔性マイクロ粒子は、米国特許第4,818,542号に教示
されるように、連続溶媒中に分散された活性剤とポリマーとを含有する第1相を使用し、
凍結乾燥又は希釈-抽出-沈殿により懸濁液から上記の溶媒を除去することで調製するこ
とができる。こうした調製に好適なポリマーは、ゼラチン寒天、デンプン、アラビノガラ
クタン、アルブミン、コラーゲン、ポリグリコール酸、ポリ乳酸(aced)、グリコリド-
L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カプロラク
トン-CO-乳酸、ポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコール酸)、ポリ(
β-ヒドロキシ酪酸)、ポリエチレンオキシド、ポリエチレン、ポリ(アルキル-2-シ
アノアクリレート)、ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリアミド、ポリ(ア
ミノ酸)、ポリ(2-ヒドロキシエチルDL-アスパルトアミド)、ポリ(エステル尿素
)、ポリ(L-フェニルアラニン/エチレングリコール/1,6-ジイソシアナトヘキサ
ン)及びポリ(メチルメタクリレート)からなる群から選択された天然又は合成のコポリ
マー又はポリマーである。特に好ましいポリマーは、ポリグリコール酸、ポリ乳酸、グリ
コリド-L(-)ラクチドポリ(エプシロン-カプロラクトン)、ポリ(エプシロン-カ
プロラクトン-CO-乳酸)、及びポリ(エプシロン-カプロラクトン-CO-グリコー
ル酸)などのポリエステルである。ポリマー及び/又は活性物質を溶解させるのに有用な
溶媒としては水、ヘキサフルオロイソプロパノール、塩化メチレン、テトラヒドロフラン
、ヘキサン、ベンゼン、又はヘキサフルオロアセトンセスキ水和物がある。活性物質含有
相を第2相に分散させるプロセスは、ノズル内のオリフィスに上記の第1相を圧力で強制
的に通して液滴形成に作用させる工程を含むことができる。
【0150】
乾燥粉末処方は、例えば、噴霧乾燥法、又は蒸発による溶媒抽出法、若しくは水性又は
非水性溶媒を除去するための1つ以上の工程が後続する結晶性組成物の沈殿による溶媒抽
出法などの、凍結乾燥以外のプロセスの結果として得てもよい。噴霧乾燥抗体調製物の調
製は、米国特許第6,019,968号で教示されている。抗体ベースの乾燥粉末組成物
は、抗体の溶液又はスラリーを、及び任意選択的に、呼吸用乾燥粉末を提供するための条
件下で溶媒中の、賦形剤を、噴霧乾燥させることによって生産できる。溶媒には、容易に
乾燥可能な、例えば水及びエタノールなどの極性化合物が挙げられる。抗体の安定性は、
酸素不在下、例えば窒素ブランケット下において噴霧乾燥手順を実施すること、又は乾燥
用気体として窒素を使用することにより増強させることができる。別の比較的乾燥した製
剤は、国際公開第9916419号中で教示される、典型的にヒドロフルオロアルカン噴
射剤を含む懸濁培地中に分散した、複数の有孔マイクロ構造体の分散体である。安定化さ
れた分散物は、定量吸入器を用いて患者の肺に投与できる。噴霧乾燥された薬剤の商業的
製造において有用な機器は、Buchi Ltd.又はNiro Corp.により製造
されている。
【0151】
本明細書に記載される安定若しくは保存製剤又は溶液のいずれかの抗IL-23抗体は
、当該技術分野において周知のように、SC若しくはIM注射、経皮、経肺、経粘膜、埋
め込み、浸透圧ポンプ、カートリッジ、マイクロポンプ又は当該技術分野において周知で
あり当業者により理解されるその他の手段などの様々な送達方法を介して、本発明により
患者に投与することができる。
【0152】
治療適用
本発明はまた、当該技術分野において既知であるか、又は本明細書に記載されるように
、少なくとも1つの本発明のIL-23抗体を用いて、例えば、細胞、組織、臓器、動物
、又は患者に、治療有効量のIL-23特異的抗体を投与するか又は接触させて、細胞、
組織、臓器、動物、又は患者におけるクローン病を調節又は治療する方法をも提供する。
【0153】
本発明のいずれの方法も、かかる調節、治療、又は療法を必要としている細胞、組織、
臓器、動物、又は患者に、抗IL-23抗体を含む組成物又は医薬組成物を有効量で投与
することを含み得る。かかる方法は、任意選択的に、かかる疾患又は障害の治療のための
同時投与又は併用療法を更に含むことができ、ここで、上記の少なくとも1つの抗IL-
23抗体、その特定部分、又はバリアントを投与することは、少なくとも1つのTNF拮
抗薬(例えば、限定されないが、化学物質性若しくはタンパク質性TNF拮抗薬、TNF
モノクローナル若しくはポリクローナル抗体若しくは断片、可溶性TNF受容体(例えば
、p55、p70、又はp85)若しくはその断片、融合ポリペプチド、又は低分子TN
F拮抗薬、例えば、TNF結合タンパク質I又はII(TBP-1又はTBP-II)、
ネレリモンマブ、インフリキシマブ、エタネルセプト(eternacept)(Enb
rel(商標))、アダリムマブ(Humira(商標))、CDP-571、CDP-
870、アフェリモマブ、レネルセプトなど)、抗リウマチ薬(例えば、メトトレキサー
ト、オーラノフィン、アウロチオグルコース、アザチオプリン、金チオリンゴ酸ナトリウ
ム、硫酸ヒドロキシクロロキン、レフルノミド、スルファサラジン)、筋弛緩薬、麻薬、
非ステロイド性抗炎症薬(non-steroid anti-inflammatory drug、NSAID)、鎮痛薬
、麻酔薬、鎮静薬、局所麻酔薬、神経筋遮断薬、抗菌薬(例えば、アミノグリコシド、抗
真菌薬、抗寄生虫薬、抗ウイルス薬、カルバペナム、セファロスポリン、フルオロキノロ
ン、マクロライド、ペニシリン、スルホンアミド、テトラサイクリン、その他抗菌薬)、
乾癬治療薬、コルチコステロイド、アナボリックステロイド、糖尿病関連薬、ミネラル、
栄養薬、甲状腺剤、ビタミン、カルシウム関連ホルモン、止瀉薬、鎮咳薬、制吐剤、抗腫
瘍薬、緩下剤、抗凝固薬、エリスロポエチン(例えば、エポエチンアルファ)、フィルグ
ラスチム(例えば、G-CSF、Neupogen)、サルグラモスチム(GM-CSF
、Leukine)、免疫付与剤、免疫グロブリン、免疫抑制剤(例えば、バシリキシマ
ブ、シクロスポリン、ダクリズマブ)、成長ホルモン、ホルモン補充薬、エストロゲン受
容体調節薬、散瞳剤、毛様体筋麻痺薬、アルキル化剤、代謝拮抗薬、分裂阻害剤、放射性
医薬品、抗うつ薬、抗躁薬、抗精神病薬、抗不安薬、睡眠薬、交感神経刺激薬、刺激薬、
ドネペジル、タクリン、ぜんそく治療薬、ベータ作用薬、吸入ステロイド、ロイコトリエ
ン阻害剤、メチルキサンチン、クロモリン、エピネフリン若しくは類似体、ドルナーゼア
ルファ(Pulmozyme)、サイトカイン若しくはサイトカイン拮抗薬から選択され
る少なくとも1つを、前に、同時に、及び/又は後に投与することを更に含む。適切な投
与量は、当該技術分野において周知である。例えば、Wells et al.,eds
.,Pharmacotherapy Handbook,2nd Edition,A
ppleton and Lange,Stamford,CT (2000);PDR
Pharmacopoeia,Tarascon Pocket Pharmacop
oeia 2000,Deluxe Edition,Tarascon Publis
hing,Loma Linda,CA (2000);Nursing 2001 H
andbook of Drugs,21st edition,Springhous
e Corp.,Springhouse,PA,2001;Health Profe
ssional’s Drug Guide 2001,ed.,Shannon,Wi
lson,Stang,Prentice-Hall,Inc,Upper Saddl
e River,NJ,を参照されたく、これらの参考文献の各々は参照により全体が本
明細書に組み込まれる。
【0154】
治療処置
典型的には、クローン病の治療は、組成物中に含有される活性剤の比活性度に応じて、
平均して、合計で、1回の投与あたり患者の体重1kgあたり少なくとも約0.01~5
00ミリグラム、好ましくは、単回又は複数回投与あたり患者の体重1kgあたり少なく
とも約0.1~100ミリグラムの範囲の抗IL-23抗体の、抗IL-23抗体組成物
の有効量又は用量を投与することにより影響を受ける。あるいは、有効な血清濃度は、単
回又は複数回投与あたり0.1~5000μg/mlの血清濃度を含み得る。適切な投与
量は、医療実践者には既知であり、当然のことながら、具体的な疾患状態、投与される組
成物の比活性、及び処置を受けている具体的な患者に依存する。場合によっては、望まし
い治療量を得るために、反復投与、即ち、特定の監視された量又は定量の反復個別投与を
提供することが必要となる場合があり、この場合、個別投与は、望ましい日用量又は作用
が得られるまで繰り返される。
【0155】
好ましい用量は、任意選択的に、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、
0.7、0.8、0.9、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、1
3、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26
、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、
40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、50、51、52、5
3、54、55、56、57、58、59、60、62、63、64、65、66、67
、68、69、70、71、72、73、74、75、76、77、78、79、80、
81、82、83、84、85、86、87、88、89、90、91、92、93、9
4、95、96、97、98、99及び/若しくは100-500mg/kg/投与、又
はその任意の範囲、値、若しくは分画を含むか、あるいは、単回又は複数回投与あたり、
0.1、0.5、0.9、1.0、1.1、1.2、1.5、1.9、2.0、2.5、
2.9、3.0、3.5、3.9、4.0、4.5、4.9、5.0、5.5、5.9、
6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、8.9、9.0、
9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.9、20、12.
5、12.9、13.0、13.5、13.9、14.0、14.5、4.9、5.0、
5.5、5.9、6.0、6.5、6.9、7.0、7.5、7.9、8.0、8.5、
8.9、9.0、9.5、9.9、10、10.5、10.9、11、11.5、11.
9、12、12.5、12.9、13.0、13.5、13.9、14、14.5、15
、15.5、15.9、16、16.5、16.9、17、17.5、17.9、18、
18.5、18.9、19、19.5、19.9、20、20.5、20.9、21、2
2、23、24、25、26、27、28、29、30、35、40、45、50、55
、60、65、70、75、80、85、90、96、100、200、300、400
、500、600、700、800、900、1000、1500、2000、2500
、3000、3500、4000、4500及び/若しくは5000μg/ml血清濃度
、又はその任意の範囲、値、若しくは分画の血清濃度を達成するように含み得る。
【0156】
あるいは、投与される用量は、特定の薬剤の薬力学的特徴並びにその投与方法及び経路
、レシピエントの年齢、健康及び体重、症状の性質及び程度、同時処置の種類、処置頻度
、並びに所望の作用などの既知の因子により異なり得る。活性成分の用量は、通常、体重
1キログラム当たり約0.1~100ミリグラムであり得る。通常、投与又は徐放性形態
あたり、1キログラムあたり0.1~50、好ましくは0.1~10ミリグラムが、望ま
しい結果を得るために有効である。
【0157】
非限定的な例として、ヒト又は動物の治療は、単回、注入、又は反復投与を使用して、
第1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、
17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、3
0、31、32、33、34、35、36、37、38、39、若しくは40日目のうち
の少なくとも1日に、あるいは又は追加的に、第1、2、3、4、5、6、7、8、9、
10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、2
3、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36
、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49、
50、51、若しくは52週のうちの少なくとも1週に、あるいは又は追加的に、1、2
、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、1
8、19若しくは20年目のうちの少なくとも1年に、又はこれらの任意の組み合わせで
、1日当たり0.1~100mg/kg、例えば、0.5、0.9、1.0、1.1、1
.5、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、
17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、3
0、40、45、50、60、70、80、90、又は100mg/kgの、本発明の少
なくとも1つの抗体の単回又は周期的な投与量として提供され得る。
【0158】
体内投与に好適な剤形(組成物)は、一般に、1単位又は容器当たり約0.001ミリ
グラム~約500ミリグラムの活性成分を含有する。これらの医薬組成物中に、活性成分
は、組成物の総重量に基づいて、通常、約0.5~99.999重量%の量で存在する。
【0159】
非経口投与には、抗体は、薬学的に許容できる非経口ビヒクルと合わせて、又は別個に
提供される、溶液、懸濁液、エマルション、粒子、粉末、若しくは凍結乾燥粉末として、
製剤化され得る。こうしたビヒクルの例は、水、生理食塩水、リンゲル液、デキストロー
ス溶液、及び1~10%ヒト血清アルブミンである。リポソーム及び固定油などの非水性
ビヒクルを使用することもできる。ビヒクル又は凍結乾燥粉末は、等張性及び化学安定性
を維持する添加剤(例えば、等張性に関しては塩化ナトリウム、マンニトール;化学安定
性に関しては緩衝剤及び保存剤)を含有することができる。製剤は、既知の又は適切な技
術によって滅菌される。
【0160】
適切な薬学的担体は、この分野での標準的参考テキストであるRemington’s
Pharmaceutical Sciences,A.Osolの最新版の中で記載
されている。
【0161】
代替的投与
抗IL-23抗体の薬学的に有効な量を投与するために、本発明に従って、多くの既知
の及び開発された方式を使用することができる。以下の記述では経肺投与が使用されてい
るが、本発明に従ってその他の投与方式を使用して、適切な結果を得てもよい。本発明の
IL-23特異的抗体は、担体中で、溶液、エマルション、コロイド若しくは懸濁液とし
て、又は乾燥粉末として、吸入によるか、又は本明細書に記載されるか若しくは当該技術
分野において既知である他の方法による投与に適した様々なデバイス及び方法のいずれか
を使用して送達することができる。
【0162】
非経口処方及び投与
非経口投与用処方は、一般的な賦形剤として滅菌水又は生理食塩水、ポリエチレングリ
コールなどのポリアルキレングリコール、植物性油、水素化ナフタレンなどを含有してよ
い。注射用の水性又は油性懸濁液は、既知の方法に従って、適切な乳化剤又は加湿剤及び
懸濁剤を使用することによって調製可能である。注射剤は、例えば水溶液、無菌注射液又
は溶媒中懸濁液などの非毒性の非経口投与可能な希釈剤であってよい。使用可能なビヒク
ル又は溶媒としては、水、リンゲル液、等張生理食塩水などが可能であり、通常の溶媒又
は懸濁溶媒としては、無菌の不揮発性油を使用することができる。これらの目的では、天
然又は合成若しくは半合成の、脂肪油又は脂肪酸、天然又は合成若しくは半合成の、モノ
グリセリド又はジグリセリド又はトリグリセリドを含む、あらゆる種類の不揮発性油及び
脂肪酸を使用することができる。非経口投与は当該技術分野において既知であり、これと
しては、従来の注射手段、米国特許第5,851,198号に記載されるガス加圧式無針
注射デバイス、及び米国特許第5,839,446号に記載されるレーザー穿孔機デバイ
スが挙げられるがこれらに限定されず、これらは参照によって全体が本明細書に組み込ま
れる。
【0163】
代替的送達
本発明は更に、非経口、皮下、筋肉内、静脈内、関節内、気管支内、腹腔内、嚢内、軟
骨内、洞内、腔内、小脳内、脳室内、結腸内、頚管内、胃内、肝内、心筋内、骨内、骨盤
内、心膜内、腹腔内、胸膜内、前立腺内、肺内、直腸内、腎臓内、網膜内、脊髄内、滑液
嚢内、胸郭内、子宮内、膀胱内、病巣内、ボーラス、膣内、直腸、口腔内、舌下、鼻腔内
、又は経皮手段による抗IL-23抗体の投与に関する。抗IL-23抗体組成物は、非
経口(皮下、筋肉内又は静脈内)又は任意のその他の投与、特に、液体溶液若しくは懸濁
液の形態で使用するために、特に、クリーム及び座薬などであるがこれらに限定されない
半固体形態で、膣若しくは直腸の投与における使用のために、錠剤若しくはカプセルなど
であるがこれらに限定されない形態で、口腔若しくは舌下投与用に、あるいは粉末、点鼻
薬若しくはエアロゾル、又はある特定の薬剤などであるがこれらに限定されない形態で、
鼻腔内に、あるいは皮膚構造を改変するか、又は経皮パッチ中の薬剤濃度を増加させるか
のいずれかのために、ジメチルスルホキシドなどの化学的促進剤を用いて(Jungin
ger、et al.In 「Drug Permeation Enhancemen
t;」Hsieh,D.S.,Eds.,pp.59-90(Marcel Dekke
r,Inc.New York 1994、参照により全体が本明細書に組み込まれる)
、又はタンパク質及びペプチドを含有する製剤の皮膚への適用を可能にする酸化剤を用い
て(国際公開第98/53847号)、又はエレクトロポレーションなどの一過性の輸送
経路を作り出すための、若しくはイオントフォレシスなどの皮膚を通して荷電薬物の移動
度を増加させるための電界の適用、又は超音波導入などの超音波の適用(米国特許第4,
309,989号及び同第4,767,402号)を用いて、ゲル、軟膏、ローション、
懸濁液若しくはパッチ送達系などであるが、これらに限定されない、経皮的に、調製する
ことができる(上記の刊行物及び特許は、参照により全体が本明細書に組み込まれる)。
【0164】
本発明を全般的に記述したことから、同様物は、実例として提供されるが制限すること
を意図していない以下の実施例を参照することにより、より容易に理解されるであろう。
更に、本発明の詳細は、以下の非限定例によって例示される。本明細書のすべての引用の
開示は、参照により本明細書に明示的に組み込まれる。
【実施例0165】
クローン病内の標的としてIL-23に関係する前臨床証拠
遺伝子及び動物モデル試験は、クローン病の病態生理を駆動する上でのIL-12及び
IL-23の寄与を調べた。結果は、IL-23が炎症性腸疾患(IBD)において主な
役割を果たすことを示し、新たに現れた証拠は、IL-23のみを遮断することがIL-
12及びIL-23の両方を遮断するよりも効果的な戦略であり得ることを示唆している
【0166】
遺伝モデルデータ及び動物モデルデータからの初期観察は、クローン病が、IL-12
及び/又はIL-23によって、潜在的にこれらが誘導するTh1及びTh17経路を介
して、それぞれ介在されることを示唆する。しかしながら、クローン病におけるIL-2
3の主な役割を示唆する証拠は増え続けている。ゲノムワイド関連試験は、クローン病に
関連するIL-23R遺伝子の多型を同定した。腸炎を駆動する際のIL-23の役割は
、いくつかのマウスモデルで示されている。抗IL-23抗体で処置したマウスは、減衰
された炎症を示し、IL-23のp19サブユニットの遺伝子欠失を有するマウスは、腸
炎のいくつかのモデルでは保護されている。
【0167】
クローン病におけるIL-23を標的とするための概念実証を確立する臨床的証拠
クローン病においてIL-23に治療的役割があるという可能性は、IL-12/23
p40拮抗薬(ブリアキヌマブ及びウステキヌマブ)の臨床試験によって初めて確立され
た。ウステキヌマブ(STELARA(登録商標))は、最近、中程度から重度に活性な
クローン病への治療に対して承認された。これらのプログラムは、IL-12及びIL-
23の両方の遮断がクローン病の治療に有効であることを実証したが、これらの2つのサ
イトカインの相対的寄与を確認することはできなかった。
【0168】
2つの抗IL-23拮抗薬、リサンキズマブ(従来はBI-655066)、及びブラ
ジクマブ(以前はMEDI2070、AMG139)のより最近の試験では、中程度から
重度に活性なクローン病を有する参加者におけるIL-23遮断の有効性を実証する第2
相の結果を報告している。これらの試験のそれぞれで観察された有効性の規模は、ウステ
キヌマブ(抗IL-12/23)と比較して有効性がより改善されている可能性を示唆し
、交差試験による比較及び比較的小規模のIL-23第2相試験の限界を認めるものであ
る。
【0169】
クローン病におけるIL-12/23標的療法(ウステキヌマブ)の臨床治験
クローン病におけるウステキヌマブ第3相プログラムは、ウステキヌマブの静脈内(I
V)導入の有効性及び安全性を評価する2つの8週間の試験、並びに合計で52週間の治
療期間にわたるウステキヌマブの皮下(SC)維持の有効性及び安全性を評価する1つの
維持試験を含んだ。ウステキヌマブは、クローン病を有する生物学的に適格な患者、すな
わち、従来療法失敗であったもの及び生物学的療法失敗であったものの全スペクトルを評
価された。第0週時点での単回の約6mg/kgのウステキヌマブのIV導入投与の後、
生物学的療法では失敗だった参加者及び従来療法では失敗だった参加者のそれぞれ21%
及び40%(プラセボ治療参加者のそれぞれ約7%及び20%に対し)が、第8週で臨床
寛解を達成した(クローン病活動性指数[CDAI]によって評価して)。ウステキヌマ
ブのIV導入に応答し、かつ再び無作為化されて8週間毎に90mg(q8w)又は12
週間毎に90mg(q12w)のウステキヌマブのSC維持を受けた参加者のうち、それ
ぞれ約53%及び49%が第52週時点で臨床寛解期にあり、これと比較して、プラセボ
維持を受けた参加者では36%であった。
【0170】
クローン病におけるIL-23標的化療法の臨床治験
2つのIL-23mAb、リサンキズマブ、及びブラジクマブについての最近の第2相
試験は、主に生物学的に難治性のクローン病を有する参加者における、臨床的徴候及び症
状の改善、炎症バイオマーカーの低減、並びに、内視鏡所見の改善におけるこれらの有効
性を実証した。
【0171】
臨床寛解率についての交差試験によるIL-23遮断剤との比較は、ウステキヌマブと
比較して有効性が改善されている可能性を示唆する。リサンキズマブ(第0、4、8週で
200mg及び600mgのIV)及びブラジクマブ(第0及び4週で700mgのIV
)の両方の試験で用いられた導入用量は、承認されたウステキヌマブの投与量(第0週で
約6mg/kgのIV)よりも著しく高いことは注目に値する。化合物の交差メタ分析は
、特にリサンキズマブを投与することで、用量応答曲線の終点がより高くなり得ることを
示唆する。
【0172】
更に、リサンキズマブの第2相試験はまた、6ヶ月間の治療を経なければ応答率が最大
に達し得ない可能性があることを示唆した。最大で6ヶ月にわたる4週間毎(q4w)の
600mgのIV投与の場合、すべての治療を受けた患者において約50%の臨床寛解率
が観察され、これは、ウステキヌマブを含むその他の薬剤に関して従来報告されている、
同様の試験集団における同様のフォローアップ時点での寛解率よりも相当高い。6ヶ月で
寛解期にあり、リサンキズマブ維持治療(180mgのSCをq8w)を継続したこれら
の参加者のうち、約70%は1年で寛解期にあった。
【0173】
クローン病におけるグセルクマブの包括的な根拠
要約すると、遺伝的及び前臨床的証拠を合わせて、IBDの根本的な病態生理の調節に
おいてIL-23を選択的に標的とすることについての大きな役割が示唆される。2つの
IL-23拮抗薬について利用可能な臨床治験、及び承認されたIL-12/23拮抗薬
(ウステキヌマブ)からの確立された証拠は、クローン病の治療においてIL-23を標
的とするための機序実証及び概念実証をそれぞれ立証した。これと共に、利用可能な証拠
は、クローン病の治療においてグセルクマブを治験するための裏付けを提供する。
【0174】
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解である(CDAIスコア150未満
であるとして定義される)。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボと
の比較が行われる。
【0175】
主要な副次エンドポイント
主要な副次エンドポイントを以下に記載する。
・第48週時点での臨床寛解(CDAI150未満であるとして定義される)
・第48週時点で永続的臨床寛解(第12週~第48週の間の全訪問の80%以上(す
なわち少なくとも10回の訪問のうち8回)でCDAIが150未満であるとして定義さ
れる)(第48週を含む必要がある))
・第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解(第48週時点でCDAIスコア
150未満であり、かつ第48週時点でコルチコステロイドを服用していないとして定義
される)
・第12週時点でのPro-2寛解(APスコアの1日平均値が1以下であり、及び平
均1日SFスコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下として定義され
る)
・第48週時点でのPro-2寛解
・第12週時点での内視鏡応答(SES-CDスコアにおけるベースラインからの少な
くとも50%の改善、又はSES-CDスコア2以下であるとして定義される)
・第48週時点での内視鏡応答
・第12週時点での疲労応答(SAPにおいて定義されるPROMIS Fatigu
e Short Form 7aに基づく)
【0176】
第12週時点での短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基
づき、第48週時点での長期エンドポイントは、それぞれグセルクマブ群とウステキヌマ
ブ群との比較に基づく。
【0177】
非臨床的な観点から、カニクイザルにおいて、5週間の週1回の50mg/kgの亜慢
性IV投与、及び24週間の慢性の週1回SC投与後に有害所見が観察されなかったこと
に基づくと、4週間毎にグセルクマブが最大1200mgの用量、続いて提案されるq4
wで最大200mgのSC維持用量でIV投与される場合(ヒト1kgあたり約16mg
)は、クローン病患者に対するリスクは比較的低い。上記で要約したように、予想される
第8週~第12週の臨床でのVI導入投与間隔AUC、又は定常状態SC維持間隔AUC
(どちらもサル投与間隔と比較するために週1回の投与に対して正規化された)と比較し
た、サルで達成された実際の曝露データ(血清濃度対時間曲線下の領域(AUC)は、提
案される臨床投与に十分な曝露マージンを提供する。これは、グセルクマブは尋常性乾癬
を有する参加者において良好な臨床安全性プロファイルを有する後期バイオ療法(late-s
tage biotherapeutic)であり、データは、第1相の臨床開発中に、尋常性乾癬を有する
限られた数の患者、及び健康な健常志願者のそれぞれにおいて、主に100mgのSCで
生成されるが、最大で300mgのSC及び10mg/kgのIVでも生成されるという
事実により更に裏付けされる。最後に、クローン病を有する患者において、リサンキズマ
ブ(グセルクマブに匹敵する臨床的効力を有するIL-23阻害剤)が、6ヶ月間にわた
りq4wで最大600mgのIVについて試験され、忍容性が良好であると報告された。
【0178】
グセルクマブは、広範な非臨床及び臨床開発を受けている。健康な志願者及び尋常性乾
癬を有する患者における第1相、第2相、及び第3相臨床試験の有効性及び安全性につい
ての結果を合わせて、並びに近年、尋常性乾癬への適応が規制当局により認可されたこと
から、グセルクマブの尋常性乾癬の治療における好ましい損益プロファイルが確立された
。この臨床治験は、開発が進行中のグセルクマブに対し、PsA、GPP、EP、及びP
PPなどの他の炎症性疾患における裏付けを提供した。
【0179】
動物及びヒトの利用可能なデータは、クローン病の病因におけるIL-23の重要な役
割を裏付け、他の抗IL-23mAbに関する試験は、中程度から重度に活性なクローン
病を有する患者において、IL-23の選択的標的化が、ウステキヌマブを含む他の作用
機序で観察されるよりも高いレベルの有効性を達成し得ることを示唆する。
【0180】
ウステキヌマブ及び他の抗IL-23mAbによる臨床データは、クローン病における
最大限の有効性には、乾癬で使用されるものよりも高い用量及び曝露を必要とし得ること
を示唆する。例えば、クローン病におけるウステキヌマブの初期投与(70kgの患者に
おいては約6mg/kgのIV)は、乾癬におけるもの(第0週及び第4週に45mgの
SC)より約4倍高い。したがって、クローン病における最大限の有効性のためにはグセ
ルクマブのより高い用量及び曝露が必要であるかを評価するために、q4wで3用量で最
大1200mgのIV導入用量、及びq4wで最大200mgのSCの維持用量が、本試
験の第2相部分で試験される。非臨床毒性試験のデータは、このプロトコルにおいて提案
された臨床用量について適切な曝露マージンを提供する。加えて、過去に、2つの他の抗
IL-23mAbの第2相試験において同等の用量/曝露が評価されており、1年間の治
療後に安全性についての有意な懸念は報告されていない。
【0181】
乾癬においてグセルクマブに承認された用量レジメン(第0週及び第4週に100mg
のSC、続いてq8w)は、良好な安全性プロファイルを有することが実証されており、
q8wの200mgのSCと高い用量レジメンは、関節リウマチにおける第2相試験にお
いて良好な安全性を有することが示されている。主要なリスクは感染である。グセルクマ
ブIBについて更に詳細に記載されている他の安全性について可能性のある懸念は、グセ
ルクマブが免疫調節性mAbであることに基づくものであり、悪性腫瘍及び過敏症を含む
。グセルクマブのより高い用量レジメン(このプロトコルで提案されている)は過去に試
験されていないため、安全性は、独立したデータモニタリング委員会(Data Monitoring
Committee、DMC)によって25人の患者の初期コホートにおいて評価される。
【0182】
初期コホートの早期安全性評価は、より多数の患者における提案された第2相及び第3
相用量レジメンの継続的な試験について許容可能な安全性を保証し、第2相及び第3相の
試験を通したDMCによる進行中の非盲検安全性評価は、全体的な開発プログラムにおけ
る患者の安全性を保証する。
【0183】
アクティブコンパレータ:ウステキヌマブ
ウステキヌマブ(STELARA)は、このプロトコルにおけるアクティブコンパレー
タである。ウステキヌマブは、ヒトIL-12及びヒトIL-23の両方に共通のp40
サブユニットと高い親和性及び特異性で結合するヒトIgG1κmAbである。ウステキ
ヌマブは、米国、カナダ、及びEUを含むいくつかの国の成人患者における中程度から重
度に活性なクローン病に対して承認された治療であり、規制当局によるクローン病適応に
ついての認可のための申請が、現在世界中の多くの国で審査されている。このプロトコル
におけるウステキヌマブについて提案された導入及び維持投与は、現在世界中で承認され
ている国家によるラベルと一致しており、また、中程度から重度に活性なクローン病を有
する患者におけるウステキヌマブの有効性及び安全性を確立した、クローン病におけるウ
ステキヌマブ第3相臨床開発プログラムにおいて評価される用量レジメンと一致している
【0184】
第2相の用量設定(dose-ranging)試験(GALAXI1)
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0185】
副次的な目的
・グセルクマブの用量応答を評価して、このプロトコルの第3相部分の用量選択を通知
する
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・C反応性タンパク質(CRP)及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマ
ブ療法の薬物動態(PK)、免疫原性、及び薬力学(PD)を評価する
【0186】
他の目的
・健康関連の生活の質(HRQOL)及び医療経済評価(Health Economics outcome)
の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルク
マブによる治療の影響を評価する
【0187】
エンドポイント
主要エンドポイント及び主要な副次エンドポイントは、プラセボに対するグセルクマブ
の短期的有効性を評価する。これらのエンドポイントを以下に記載する。
【0188】
主要エンドポイント
第12週時点でのCDAIスコアにおけるベースラインからの変化。
【0189】
主要な副次エンドポイント
・第12週時点での臨床寛解(CDAIスコア150未満であるとして定義される)。
・第12週時点での臨床応答(CDAIスコアにおけるベースラインからの100点以
上の減少又はCDAIスコア150未満であるとして定義される)。
・第12週のPRO-2寛解(腹痛(AP)スコアの1日平均値が1以下であり、及び
平均1日排便回数(SF)スコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下
であるとして定義される)。
・第12週時点での臨床バイオマーカーの応答(CDAIスコアに基づく臨床応答、及
びCRP又は便中カルプロテクチンにおけるベースラインからの50%以上の減少)。
・第12週時点での内視鏡応答(クローン病[SES-CD]の内視鏡スコアにおける
ベースラインからの少なくとも50%の改善、又はSES-CDスコア2以下であるとし
て定義される)
【0190】
仮説
GALAXI1に対する一次仮説は、グセルクマブが、中程度から重度に活性なクロー
ン病を有する参加者のCDAIスコアにおけるベースラインからの減少を誘導する点でプ
ラセボよりも優れているというものである。
【0191】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
GALAXI2及びGALAXI3は同一の試験であり、同じ目的及びエンドポイント
を有する。
【0192】
目的
主目的
・クローン病を有する参加者におけるグセルクマブの臨床的有効性を評価する
・グセルクマブの安全性を評価する
【0193】
副次的目的
・内視鏡的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・HRQOLに対するグセルクマブの影響を評価する
・CRP及び便中カルプロテクチンの変化を含む、グセルクマブ療法のPK、免疫原性
、及びPDを評価する
【0194】
他の目的
・医療経済評価の指標に対するグセルクマブの影響を評価する
・組織学的改善に対するグセルクマブの有効性を評価する
・腸粘膜遺伝子発現プロファイル及びクローン病に関連する細胞組成に対するグセルク
マブによる治療の影響を評価する
【0195】
エンドポイント
主要エンドポイント
主要エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解である(CDAIスコア150未満
であるとして定義される)。このエンドポイントの場合、各グセルクマブ群とプラセボと
の比較が行われる。
【0196】
主要な副次エンドポイント
主要な副次エンドポイントを以下に記載する。
・第48週時点での臨床寛解(CDAI150未満であるとして定義される)
・第48週時点での永続的臨床寛解(第12週~第48週の間の全訪問の80%以上(
すなわち少なくとも10回の来診のうち8回)でCDAIが150未満であるとして定義
される)(第48週を含む必要がある))
・第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解(第48週時点でのCDAIスコ
アが150未満であり、かつ第48週時点でコルチコステロイドを服用していないとして
定義される)
・第12週時点でのPro-2寛解(APスコアの1日平均値が1以下であり、及び平
均1日SFスコアが3以下である、すなわち、AP1以下及びSF3以下であるとして定
義される)
・第48週時点でのPro-2寛解
・第12週時点での内視鏡応答(SES-CDスコアにおけるベースラインからの少な
くとも50%の改善、又はSES-CDスコアが2以下であるとして定義される)
・第48週時点での内視鏡応答
・第12週時点での疲労応答(SAPにおいて定義されるPROMIS Fatigu
e Short Form 7aに基づく)
第12週時点での短期エンドポイントは、各グセルクマブ群とプラセボ群との比較に基
づき、第48週時点での長期エンドポイントは、それぞれグセルクマブ群とウステキヌマ
ブ群との比較に基づく。
【0197】
仮説
GALAXI2及びGALAXI3の両方についての一次仮説は、グセルクマブが、中
程度から重度に活性なクローン病を有する参加者の第12週時点での臨床寛解を達成する
点においてプラセボよりも優れているというものである。
【0198】
GALAXI2及びGALAXI3は、グセルクマブとウステキヌマブとを比較するこ
とによる長期治療の相対的性能も評価する。ウステキヌマブとの比較に関する主要な二次
仮説に関しては、最終的な目的は、グセルクマブの有効性がウステキヌマブよりも優れて
いることを実証することであるが、非劣性に関する初期試験もまた実施される。これは、
最終結果が、特定のエンドポイントに関して相対的有効性がウステキヌマブに劣っていな
いことを示すのみであったとしても、グセルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌ
マブと比較して好ましい場合がある(全体的な有効性及び安全性の面で)ことを理由とす
る。
【0199】
試験デザイン
全体的な計画
クローン病におけるグセルクマブの臨床開発プログラムは、この単一のプロトコルの下
で実施される:これまでの既存の療法又は生物学的療法に対し不適切な応答又は忍容性が
ないことを示した、中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者におけるグセルク
マブの安全性及び有効性を評価するための第2/3相、無作為化、二重盲検、プラセボ及
び活性対照(ウステキヌマブ)、並列群、多施設共同プロトコル。
【0200】
この臨床開発プログラムの概要を以下で簡単に説明する。このプロトコルの下では、3
つの個別の試験、すなわち48週間の第2相の用量設定試験(すなわち、GALAXI1
)及び2つの同一の48週間の第3相の確認試験(すなわち、GALAXI2及びGAL
AXI3)が存在する。3つの試験のすべてが、treat-through試験デザイ
ンを用いて実施され、すなわち、別段の指示がない限り、参加者は第0週の時点で治療レ
ジメンに無作為に割り付けられ、各試験の少なくとも第48週までその治療レジメンを維
持する。
【0201】
第2相の用量設定試験(すなわちGALAXI1)では、広範な導入及び維持用量範囲
にわたりグセルクマブの用量レジメンの安全性及び有効性を評価して、第3相における確
認評価のための導入及び維持用量レジメンの選択を支援する。第3相(GALAXI2及
びGALAXI3)で評価する用量レジメンを選択するには、250~500人の参加者
が必要とされ得ることが推定される。したがって、GALAXI1において最初に250
人の参加者が、初回用量決定コホートに登録され、これらの参加者が第12週に到達する
と(又は、第12週の前に試験への参加を中止すると)、主にこのコホートに基づく中間
分析(IA)が行われる。用量決定を通知するにはより多くの参加者からのデータが必要
となる場合があるため、初期用量決定コホートからのデータが収集及び分析されている間
も登録は継続され、新規登録された参加者(すなわち、参加者番号251から始まる)は
、移行コホートに無作為に割り付けられる。移行コホートの目的は、試験を中断すること
なく、第2相の用量レジメンにて安全性及び有効性についてのデータを継続して蓄積し、
それによって全体的な安全性データベースのサイズを増大させるのみならず、場合によっ
ては、初期用量決定コホートからの結果に基づく用量選択に不確実性が存在する場合は、
用量決定を行う際の追加情報に寄与するというものである。用量決定前に、最大500人
の参加者がGALAXI1に登録されることが予想される(すなわち、初期用量決定コホ
ートで250人、また移行コホートで最大250人)。500人目の患者が無作為に割り
付けられるときまでに第3相の用量決定がなされなかった場合は、第3相投与の決定、又
は開発プログラムを中止する決定が行われるまで登録は中止される。
【0202】
これは、操作上シームレスなプロトコルであり、すなわち500人の患者が無作為に割
り付けられる前に用量決定を行うことができる場合、第2相試験と第3相試験との間に登
録の中断は存在しない。プロトコルの第2相部分から第3相部分への移行は、第3相の用
量決定が行われて実施された後に生じる。用量決定が実施された後に無作為に割り付けら
れたすべての参加者が、第3相試験の一部となる。
【0203】
第3相の用量確認試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)では、選択さ
れたグセルクマブ用量レジメンの安全性及び有効性を評価する。プロトコルの第3相部分
の参加者1,540人の全対象サンプルサイズに対して、第3相の試験のそれぞれに77
0人の対象参加者を登録する。
【0204】
48週間の第2相又は第3相試験を完了した参加者は、LTEに入り、追加で約2年間
の治療を受ける資格を得ることができる。
【0205】
全体的なGALAXI第2相/3相プロトコルは、合計で約2,000人の参加者を登
録し、各参加者の総継続時間は最大で約3年である。
【0206】
対象集団
このプロトコル下の3つすべての試験における対象集団は同一であり、中程度から重度
に活性なクローン病(少なくとも3ヶ月の継続時間)に関するインフォームドコンセント
を得た時点で18歳以上である男性又は女性で構成される。参加者は、それ以前にX線撮
影、組織学、及び/又は内視鏡検査により確認されている大腸炎、回腸炎又は回結腸炎を
有する必要がある。
【0207】
活動性疾患の判定基準
ベースラインでは、参加者は、以下のように定義される、活性なクローン病を有しなけ
ればならない。
【0208】
臨床的に活性なクローン病
a.CDAIスコアが220以上であり、但し450以下である
及び以下のいずれか
b.液状便又は超軟便の数の無加重CDAIコンポーネントに基づいて平均1日SF回
数が3長である
又は
c.腹痛の無加重CDAIコンポーネントに基づいてAPスコアの1日平均値が1超で
ある
並びに
【0209】
2.回腸結腸クローン病の内視鏡的証拠
内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価されたSES-CDス
コアが3以上である。このスコアは、少なくとも1つの大型潰瘍(回腸、結腸、又はその
両方における)の存在を示すものであり、これにより、以下の結果が得られる。
a.「潰瘍のサイズ」のコンポーネントに関する最小スコア2。
及び
b.「潰瘍化表面」のコンポーネントに関する最小スコア1。
【0210】
各試験のそれぞれで、登録された集団全体の最大10%は、SES-CDが4未満であ
る(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES-CDが7未満であ
る(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)というベースラインスコア
を有する参加者である。
【0211】
薬歴の基準
更に、全身療法に適格な広範な参加者集団をこのプロトコルで評価した。この参加者集
団は、以前に従来療法若しくは生物学的療法への忍容について不適切な応答を示した又は
失敗した参加者を含む。
【0212】
ウステキヌマブに対する曝露が限定されている参加者、及びウステキヌマブに対する忍
容性がないこと又は失敗を示さなかった参加者を除き、過去にIL-12/23又はIL
-23薬剤に曝露されたことのある参加者は、このプロトコルに参加する資格を持たない
ことに留意されたい。
【0213】
・従来療法の失敗又は忍容性がない(CON失敗)
参加者は、経口コルチコステロイド剤(プレドニゾン、ブデソニド、及びジプロピオン
酸ベクロメタゾンを含む)、又は免疫調節剤のアザチオプリン(AZA)、6-メルカプ
トプリン(6-MP)、若しくはメトトレキサート(MTX)の従来のクローン病療法の
うち少なくとも1つに対し不適切な応答を示しているか、又はこれを忍容することに失敗
していなければならない。コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻
さずに、うまくコルチコステロイドを漸減することができない)を呈した参加者も適格で
ある。参加者は、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ若しくはウス
テキヌマブ)を受けたことがない場合もあり、あるいは、生物学的療法に曝露されたこと
があるが、忍容性がないこと又は不適切な応答を示していない場合もある。
【0214】
各試験内で、全登録集団の最小で25%かつ最大で50%が、CON失敗である参加者
となる。
【0215】
・生物学的療法に対する忍容性がない又は失敗(BIO失敗)である
参加者は、クローン病の治療に承認されている用量の少なくとも1つ以上の生物学的療
法(すなわち、TNF拮抗薬又はベドリズマブ)に対し、忍容に失敗しているか、又は不
適切な応答を示していなければならない。不適切な応答とは、一次非応答(すなわち、初
期応答がない)又は二次非応答(すなわち、初期応答はしたがその後に応答を喪失する)
として定義される。ウステキヌマブに対し不適切な応答を示すか、又はこれを忍容するこ
とに失敗した参加者は適格ではない。
【0216】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安
定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的
に必要であると見なされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコス
テロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、試験による介入
は中止(SID)されることになる。最後に、不適切な応答の持続又は臨床的に有意なク
ローン病の悪化が起きた場合には、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0217】
評価
3つの試験全体を通して、適切な活動スケジュールに示される時点で、有効性、PK、
バイオマーカー、及び安全性が評価される。
【0218】
薬理遺伝学のための血液サンプルは、プロトコルのこのコンポーネントに同意する参加
者から採取される(現地条例が許可する場合)。薬理遺伝学的調査への参加は任意である
。デオキシリボ核酸(DNA)サンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のため
に分析される。
【0219】
DMC憲章(DMC charter)に準拠する規定の役割及び責任を有する外部の独立したD
MCは、3つの試験にわたり参加者の安全性を評価する。DMCの最初の責任は、GAL
AXI1で無作為に割り付けられて治療された第1の25人の参加者からの安全データを
慎重に審査することである。その後、進行中の安全性データの審査は、DMC憲章で指定
されるとおりに継続する。各審査の後で、DMCは試験の継続について治験依頼者に勧告
を行う。
【0220】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
第2相試験デザイン及び第3相の用量決定の概要
第0週の時点で、参加者は、グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボの3つの用
量レジメンのうちの1つを与えられるよう1:1:1:1:1の割合で無作為に割り付け
られる。ベースラインCDAIスコア(300以下又は300超)及び過去のBIOでの
失敗ステータス(はい/いいえ)を階層化変数として含む置換ブロック無作為化法(perm
uted block randomization)を用いて、参加者が治療群に割り付けられる。全登録集団の
最小で25%かつ最大で50%はCON失敗の参加者である。加えて、登録集団全体の最
大10%は、SES-CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の
場合)、又はSES-CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参
加者の場合)というベースラインスコアを有する。治療群への割り付けは、中央の無作為
化センタを使用して対話型ウェブ応答システム(interactive web response system、I
WRS)によって実行される。
【0221】
第3相のための用量決定前に、最大500人の参加者が、GALAXI1に登録される
ことが予想される(すなわち、初期用量決定コホートで250人、また移行コホートで最
大250人)。500人目の患者が無作為に割り付けられるときまでに第3相の用量決定
が行われなかった場合は、第3相の投与の決定、又は開発プログラムを中止する決定が行
われるまで登録は中止される。
【0222】
初期用量決定コホートからのすべての参加者が、第12週(又は第24週)の訪問を完
了するか、又は第12週(又は第24週)の訪問の前に試験の参加を中止した後で、第1
2週時点で(及び、必要に応じて第24週時点で)、第3相の用量決定を通知するための
中間分析が計画される。各IAの時点で、第12週を超える何らかのデータを含む初期用
量決定コホート及び移行コホートの両方から入手可能なすべてのデータが分析される。第
3相の用量決定を可能にするために必要とされる場合、追加のデータ転送及び分析がその
他の時点で実行されてもよい。目的は、第3相における確認評価のために、グセルクマブ
用量レジメンを2つ選択することである。
【0223】
治療群
第2相試験の第0週~第48週の5つの治療群及びそれらの対応する投与スキームの概
要を以下に提供する。
【0224】
第2相(すなわち、GALAXI1)の第0週~第48週の5つの治療群の投与スキー

第2相試験の全参加者(すなわち、初期用量決定コホート及び移行コホート)は、以下
で説明されるように、5つの治療群の1つに無作為に割り付けられる。参加者は、以下で
概説するプラセボ群を除いて、48週間の試験終了まで、割り当てられた治療レジメンを
維持する。
【0225】
群1:グセルクマブレジメン1(q4w×3で1200mgのIV→q4wで200m
gのSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ1200mgのIV導入を受け
る(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週時点で、参加者は、グセルクマブ200
mgのSC維持治療をq4wで第44週まで継続する。
【0226】
群2:グセルクマブレジメン2(q4w×3で600mgのIV→q4wで200mg
のSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ600mgのIV導入を受ける
(すなわち、合計3回のIV投与)。第12週時点で、参加者は、それからグセルクマブ
200mgのSC維持治療をq4wで第44週まで継続する。
【0227】
群3:グセルクマブレジメン3(q4w×3で200mgのIV→q8wで100mg
のSC)
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブ200mgのIV導入を受ける
(すなわち、合計3回のIV投与)。第16週時点で、参加者は、グセルクマブ100m
gのSC維持治療をq8wで第40週まで継続する。
【0228】
群4:活性対照、ウステキヌマブ(約6mg/kgのIV→q8wで90mgのSC)
参加者は、第0週時点で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(以下で概説
するように、6mg/kgに近似する重量ベースのIV用量)。第8週時点で、参加者は
、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)をそれから第40週まで受ける

・ウステキヌマブ260mg(体重55kg以下)
・ウステキヌマブ390mg(体重55kg超かつ85kg以下)
・ウステキヌマブ520mg(体重85kg超)
【0229】
群5:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、第0週から第8週までq4wのプラセボのIVを受ける(すなわち、合計3
回のIV投与)。第12週で、参加者は、以下のとおりにそれらの臨床応答状態に基づい
て治療を継続する。
・プラセボ応答者:第12週から第44週までのq4wのプラセボ治療を継続する。
・プラセボ非応答者:第12週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(上
記で概説するように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV投与)。第20週時点で
、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第44週まで受け
る。
【0230】
臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち第0週)からの100ポイント
以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが150未満である)として定義され
る。盲検性を維持するために、すべての治療群における参加者は、第12週の臨床応答状
態について評価される。加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験
期間全体にわたり盲検性を維持するために与えられる。上記の臨床応答状態に基づいて第
12週時点での第5群(プラセボ)は除き、第0週~第48週ではいずれかの治療群につ
いても投与量の調整は計画されない。
【0231】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安
定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的
に必要であると見なされない限り新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコス
テロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、SIDとなる。
最後に、不適切な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には、
介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0232】
48週間の評価を完了したすべての参加者は、LTEに入り、追加で約2年間(第48
週~第156週)の介入を受け続ける資格を得ることができる。
【0233】
エンドポイント及び評価
主要エンドポイントは、第12週時点でのCDAIスコアのベースラインからの変化で
ある。主要な副次エンドポイントは、第12週時点での臨床寛解、第12週時点での臨床
応答、第12週時点でのPro-2寛解、第12週時点での内視鏡応答、及び第12週時
点での臨床バイオマーカー応答である。これらのエンドポイントの分析は、それぞれグセ
ルクマブ群とプラセボ群との比較に基づく。第48週時点でのグセルクマブとウステキヌ
マブとの比較を含む、その他の時点におけるエンドポイントの更なる分析も実行される。
【0234】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカー、並びに安全性が評価される。
【0235】
データベースロック(DBL)は、第12週及び第48週に計画される。追加のDBL
(例えば、第24週)が、必要に応じて追加されてもよい。
【0236】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第3相計画の概要
第0週時点で、ベースラインCDAIスコア(300以下又は300超)、ベースライ
ンSES-CDスコア(12以下又は12超)、過去のBIO失敗ステータス(はい/い
いえ)、及びベースラインコルチコステロイド使用(はい/いいえ)を階層化変数として
含む置換ブロック無作為化法を用いて、1,540人の対象参加者がGALAXI2(n
=770)又はGALAXI3(n=770)に無作為に割り付けられる。各階層内で、
各試験の参加者は、グセルクマブ、ウステキヌマブの2回の用量レジメンのうちの1つ、
又はプラセボを与えられるよう2:2:2:1の割合で無作為に割り付けられる。各試験
(GALAXI2及びGALAXI3)において、全登録集団の最小で25%かつ最大で
50%が、CON失敗である参加者となる。加えて、登録集団全体の最大10%が、SE
S-CDが4未満である(すなわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSE
S-CDが7未満である(すなわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)に関
するベースラインスコアを有する。治療群への割り付けは、中央の無作為化センタを使用
してIWRSによって実行される。
【0237】

第3相のグセルクマブ用量レジメンは、第2相試験で評価された、導入投与範囲(すな
わち、200mg~1200mgのIV)の有効性及び安全性、並びに維持投与範囲(す
なわち、q8wの100mgのSC~q4wの200のSC)に基づいて選択される。
【0238】
第2相のデータに基づいて、第3相における確認評価のために、2つのグセルクマブ用
量レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)が選択されていることになる。同一の用量
レジメンが、第3相の試験の両方において評価される。
【0239】
2つの第3相試験における4つの治療群の概要、及び第0~48週のそれらの対応する
投与スキームを以下で要約する。参加者は、以下で概説するプラセボ群以外は、48週間
の試験の終了まで割り付けられた治療レジメンを維持する。
【0240】
第3相試験(すなわち、GALAXI2及びGALAXI3)における第0~48週の
4つの治療群の投与スキーム
群1及び群2:グセルクマブレジメン1及びグセルクマブレジメン2
参加者は、第0週から第8週までq4wのグセルクマブのIV導入を受ける(すなわち
、合計3回のIV投与)。選択されたSC維持用量がq4w及び/又はq8wで与えられ
ているかどうかに応じて、参加者は、グセルクマブのSC維持治療を、第12週に開始し
て第44週まで(すなわち、q4wレジメンである場合)、あるいは第16週に開始して
第40週まで(すなわち、q8wレジメンである場合)継続する。
【0241】
群3:活性対照-ウステキヌマブ(約6mg/kgのIV→q8wの90mgのSC)
参加者は、第0週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(以下で概説する
ように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV用量)。第8週時点で、参加者は、ウ
ステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第40週まで受ける。
・ウステキヌマブ260mg(体重55kg以下)
・ウステキヌマブ390mg(体重55kg超かつ85kg以下)
・ウステキヌマブ520mg(体重85kg超)
【0242】
群4:プラセボ→プラセボ又はウステキヌマブ交差
参加者は、第0週から第8週までq4wのプラセボのIVを受ける(すなわち、合計3
回のIV投与)。第12週で、参加者は、以下のとおりにそれらの臨床応答状態に基づい
て治療を継続する。
・プラセボ応答者:第12週から第44週までプラセボ治療を継続する。
・プラセボ非応答者:第12週で、単一のウステキヌマブのIV導入投与を受ける(上
記で概説するように、6mg/kgに近似する体重ベースのIV投与)。第20週時点で
、参加者は、ウステキヌマブのSC維持(q8wの90mgのSC)を第44週まで受け
る。
【0243】
臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち第0週)からの100ポイント
以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが150未満である)として定義され
る。盲検性を維持するために、すべての治療群における参加者は、第12週の臨床応答状
態について評価される。
【0244】
加えて、プラセボ投与(IV及びSC)が、必要に応じて、試験期間全体にわたり盲検
性を維持するために与えられる。第0週~第48週で治療群のいずれについても投与量の
調整は計画されないが、上記の臨床応答状態に基づいて、第12週時点での第4群(プラ
セボ)は除く。
【0245】
併用療法及び禁止される療法について、用法を以下で説明する。一般に、併用療法は安
定した投与を維持するべきであり(ステロイドの漸減を除く)、治験担当者により医学的
に必要であると見なされない限り、新たな併用療法が開始されるべきではない。コルチコ
ステロイドは、第12週から漸減が開始される。禁止療法が開始されると、SIDとなる
。最後に、不適切な応答の持続、又は臨床的に有意なクローン病の悪化が起きた場合には
、介入の中止が強く考慮されるべきである。
【0246】
第48週の評価を完了したすべての参加者は、LTEに入り、追加で約2年間の治療を
受け続ける資格を得ることができる。
【0247】
エンドポイント及び評価
GALAXI2及びGALAXI3の両方は、同じ主要エンドポイント及び主要な副次
エンドポイントを有する。
【0248】
主要エンドポイントは、グセルクマブとプラセボとの比較に基づく第12週時点での臨
床寛解である。第48週時点での臨床寛解、第48週時点での永続的臨床寛解、第48週
時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解、第48週時点でのPro-2寛解、及び第4
8週時点での内視鏡応答の主要な副次エンドポイントは、グセルクマブとウステキヌマブ
との比較に基づく。第12週時点でのPro-2寛解、第12週時点での内視鏡応答、及
び第12週時点での疲労応答の主要な副次エンドポイントは、それぞれグセルクマブ治療
群とプラセボ群との比較に基づく。
【0249】
有効性、PK及びPDパラメータ、バイオマーカー、並びに安全性が評価される。
【0250】
第48週にDBLが計画される。必要に応じて追加のDBLが追加されてもよく、これ
はSAPにおいて指定される。
【0251】
長期延長
LTEは、第48週から第156週までの約2年間実施される。
【0252】
GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI3の第48週時点で、治験担当者
の意見によれば治療の恩恵を受け続けることになる(すなわち、第48週の臨床評価及び
内視鏡評価に基づいて)すべての参加者は、LTEに入り追加で約2年間の治療を受ける
資格を得、その間、グセルクマブの長期間の有効性及び安全性が評価されることになる。
すべての参加者が評価される。LTEの最終的な有効性及び安全性についてのフォローア
ップ(FES)訪問は、約156週(すなわち、第140週時点での最後の介入実施から
約16週間後)に行われる。
【0253】
第48週時点でLTEに入る資格を得ない参加者は、最後の介入実施から16週間後に
FES訪問のために戻ることになる。
【0254】
LTEの間、すべての参加者は、GALAXI1、GALAXI2、又はGALAXI
3の終了時に参加者が受けていたものと同じ治療レジメン(すなわち、グセルクマブ、ウ
ステキヌマブ、又はプラセボ)を受け続ける。LTEにおける最初の介入実施は第48週
に行われ、最後の介入実施は第140週に行われる。不適切な応答に対する治療調整は、
LTEの第52週~第80週の間で許される。
【0255】
治験担当者及び参加者の裁量により、適切かつ文書化された訓練の後、第48週の時点
から、参加者は治験施設において自身で介入を実施することができる。介護者もまた、介
入を実施するように訓練されてもよい。第48週時点で訓練を受けた後に、介入の自身(
又は介護者)による実施の資格がある参加者は、自宅での実施のための介入を提供されて
、第52週にその最初の自宅での実施を行う。治験施設から離れて介入を実施することが
不可能な、又はそれを望まない参加者は、治験施設における実施を継続することになる。
【0256】
LTE中、すべての参加者は、第48週のDBL及び第48週の分析が完了した後に第
2相試験(GALAXI1からLTEに入った参加者の場合)に対して又は第3相試験(
GALAXI2又はGALAXI3からLTEに入った参加者の場合)に対して行われる
試験の非盲検化まで、盲検方式で活性試験又はプラセボ試験の介入実施を継続して受ける
【0257】
試験の非盲検化後、活性な治療(すなわちグセルクマブ又はウステキヌマブ)をなされ
ているすべての参加者は、LTEの残りの期間にわたり第140週まで、それらの割り付
けられた活性治療を受け続ける。プラセボの参加者は、試験の非盲検化時に介入を中止し
、その時点でFES訪問を持つことになる。
【0258】
不適切な応答に対する治療調整
すべての治療群(すなわちグセルクマブ、ウステキヌマブ、及びプラセボ)の参加者の
うち、第52週(すなわち、治療の調整が許可される最初の訪問)~80週(すなわち、
治療調整が許可される最後の訪問)の間で不適切な応答を示した参加者は、単一の治療調
整の資格を得る(すなわち、不適切な応答基準が初めて満たされる)。
【0259】
不適切な応答とは、臨床応答ではなく、かつ、少なくとも220ポイントのCDAIス
コアを有するものと定義される。臨床応答は、CDAIスコアのベースライン(すなわち
第0週)からの100ポイント以上の減少、又は臨床寛解期にあること(CDAIが15
0未満である)として定義される。
【0260】
参加者(プラセボ、ウステキヌマブ、又はグセルクマブのより低いSC維持投与を受け
ている)は、当該参加者らが登録されるプロトコルの第2相又は第3相部分にて定義され
るとおりの最大のグセルクマブSC維持投与へと、単一の盲検的治療調整を受ける資格を
得る。最高のグセルクマブSC維持投与を既に受けている参加者は、単一の盲検的偽治療
の調整を受ける。治療調整を受けた参加者は、第92週まで新たな治療レジメンを維持す
る。
【0261】
第96週に、治療調整の効果が評価される。LTEの残りの期間における参加の継続は
、第96週の臨床評価及び内視鏡評価の結果をもとに治験担当者が臨床的に判断して決定
される。介入の継続が参加者にとって最大の利益とならない場合、すなわち不満足な応答
の持続又は臨床的に有意に悪化するクローン病を有する参加者については介入の中止が検
討されるべきである。
【0262】
エンドポイント及び評価
第156週まで、グセルクマブの長期間の有効性及び安全性が評価されることになる。
加えて、治療調整の効果は、様々な有効性エンドポイント(SAPにおいて指定される)
の記述的分析に基づいて評価される。
【0263】
データベースロックは、第96週、及び最終参加者が、LTEにおける最終的な有効性
及び安全性についての訪問を完了したときに計画される。必要に応じて追加のDBLが追
加されてもよく、これは第3相のSAPにおいて指定される。
【0264】
プラセボ及び活性対照の使用
同じプロトコルにプラセボ及び活性対照の両方を含めることは、いくつかの利点を有す
る。短期間のプラセボ対照期間は、活性疾患を有する参加者におけるプラセボの使用が科
学的調査を臨床的に裏付けると見なされる時間枠内において、新規治療の短期間の有効性
及び安全性をプラセボと比較して評価することを容易にする。長期治療の場合、アクティ
ブコンパレータ対照の使用は、プラセボの長期使用に対する懸念を軽減することができ、
また、無作為化比較の設定において相対的有効性及び安全性を評価する機会を提供するこ
ともできる。新しい治療選択肢が、承認された治療選択肢と比較して患者に類似の又はよ
り大きな利益を提供するかを判定することには大きな臨床的価値がある。
【0265】
ウステキヌマブは、重複する作用機序(すなわちIL-12/23両方の遮断)を標的
とし、また、前臨床的評価により、IL-23をより特異的に標的とすることにより有効
性が改善される可能性が示唆されることから、アクティブコンパレータとして選択された
。更に、このプロトコルにおいてウステキヌマブに提案される投与量は、現在承認されて
いる最大の導入-維持用量レジメンであり、かつクローン病におけるウステキヌマブ第3
相臨床開発プログラムにおいて評価された用量レジメンのうちの1つであった。したがっ
て、このプログラムにおいてアクティブコンパレータとしてウステキヌマブを含めること
は、グセルクマブと比較する際の有益かつ適当なベンチマークを提供する。
【0266】
ウステキヌマブは、第2相試験において活性基準群として含まれ、第3相試験のため治
療効果サイズ及びサンプルサイズの想定について情報を提供するデータを収集する。ウス
テキヌマブは、2つの第3相試験にアクティブコンパレータ対照群として含められ、約1
年(すなわち、第48週)の治療を通して2つのグセルクマブ用量レジメンをウステキヌ
マブと比較して、長期有効性及び安全性を無作為化比較により評価することを可能にする
。この開発プログラムは、長期臨床寛解の達成においてグセルクマブの有効性がウステキ
ヌマブより優れている(又は、少なくとも劣っていない)か判定することを重要な目的と
する。
【0267】
健康関連の生活の質に関する患者報告アウトカム
患者報告アウトカム(PRO)評価(すなわちIBDQ、PROMIS-29、PRO
MIS Fatigue 7-item Short Form、5段階EuroQol
5次元[EQ-5D-5L]手段)が、疾患特異的及び全般的HRQOLに対するグセル
クマブ治療の効果を評価するために用いられる。
【0268】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
以下のグセルクマブ用量レジメンは、GALAXI1の第48週まで評価される。
・グセルクマブレジメン1-導入:第0、4、8週時点での1200mgのIV、続い
て維持:q4wの200mgのSC(すなわち、第12、16、20、24、28、32
、36、40及び44週時点でのSC)
・グセルクマブレジメン2-導入:第0、4、8週時点での600mgのIV、続いて
維持:q4wの200mgのSC(すなわち、第12、16、20、24、28、32、
36、40及び44週時点でのSC)
・グセルクマブレジメン3-導入:第0、4、8週時点で200mgのIV、続いて維
持:q8wの100mgのSC(すなわち、第16、24、32、及び40週時点でのS
C)
【0269】
導入用量レジメン
尋常性乾癬を有する患者におけるグセルクマブ第2相試験とリサンキズマブ第2相試験
との間の交差試験比較は、ほぼ同様の用量レジメンで同等の有効性が得られたことを示唆
する。モデルベースのメタ分析も、これらの2種類の化合物について臨床的効力が同等で
あることを示唆する。加えて、グセルクマブのPKは、リサンキズマブ13,23のPK
と類似していることが判明した。これらの用量応答及びPKデータは、これらの2種類の
化合物に関しては、同様の用量レジメン又は全身曝露により、クローン病において同等レ
ベルのIL-23遮断及び有効性が達成され得ることを示唆している。更に、クローン病
において承認された、ウステキヌマブ(IL-12/23遮断薬)のPK/PDモデルは
、様々なグセルクマブ用量レジメンの投与後の有効性を予測するために適用可能であると
見なされた。
【0270】
中程度から重度に活性なクローン病を有する参加者におけるリサンキズマブの第2相試
験において、より低い用量レジメン(すなわち、q4wの200mgのIV)で投与され
第12週で寛解を達成した者と比較して、リサンキズマブのより高い導入用量レジメン(
すなわちq4wの600mgのIV)で投与された参加者の大部分で用量依存的有効性が
実証された。しかしながら、この第2相試験において、リサンキズマブ600mgのIV
導入用量レジメンで最大有効性が得られたかは明らかではなかった。リサンキズマブの用
量依存的有効性については、この試験の第2期間(第12週から第26週)で200mg
のIVから600mgのIVに切り替えた患者の寛解率の増加によって示されるように更
に実証された。グセルクマブ及びリサンキズマブの同等のPK及び臨床効力と共に、また
クローン病におけるグセルクマブのPK/PD予測を加味し、これらの発見に基づき、そ
れぞれ第0、4、及び8週時点でグセルクマブ600mgのIV、及び200mgのIV
が与えられる導入用量レジメンが、第2相の用量設定試験に選択された。
【0271】
加えて、より高用量のグセルクマブ(q4wの1200mgのIV)導入用量レジメン
は、第2相で試験されるより高いリサンキズマブ用量レジメン(すなわち600mgのI
V)で観察されるよりも高いレベルの有効性を第12週で達成する可能性を評価する。全
体として、3つのグセルクマブのIV導入用量レジメンは、用量レベル間の適切な分離を
もたらす可能性が高い6倍の曝露範囲を提供し、結果として、第3相のグセルクマブ導入
用量の選択を支援する。
【0272】
これらのより高いIV導入グセルクマブ用量の安全性に関しては、10mg/kg程度
のグセルクマブの単回用量(試験された最大単回用量は987mg)が、過去に参加者の
数を限定した第1相の尋常性乾癬試験において研究されている。更に、5週間で毎週最大
50mg/kgのグセルクマブIV用量及び24週間で毎週最大50mg/kgのグセル
クマブSC用量は、カニクイザルにおいて良好に忍容され、臨床的又は解剖学的所見は全
く得られなかった。これらのデータは、毒性試験で観察されたものと比較して、1200
mgのIVレジメンについて予測される、グセルクマブ曝露間の許容可能な曝露マージン
を示唆する。更に、リサンキズマブは、最大6用量でq4wの600mgのIV、すなわ
ち26週間の期間にわたり合計3600mgの用量レジメンで、良好に忍容された。第5
2週までのこれらの参加者の長期にわたるフォローアップは、公開されたデータに基づい
て、いかなる重大な安全性に関する懸念も特定しなかった。それにもかかわらず、外部D
MCは、グセルクマブの効果-リスクの監視を任命される。
【0273】
維持用量レジメン
クローン病のその他の生物学的製剤の薬量学によると、疾患の炎症性負荷が減じられる
と、有効性を維持するために必要とされる薬物曝露は、初期導入用量で得られる曝露より
も低減され得ることが示唆される。
【0274】
ウステキヌマブのクローン病第3相試験では、約6mg/kgのIVの導入レジメン後
、第8週時点で寛解した参加者の中でも、q8wの90mgのSC維持レジメンでは、第
52週時点で対象の67%が寛解を維持するという結果が得られた。リサンキズマブのク
ローン病第2相試験では、最大6ヶ月のq4wの600mgのIV導入投与を受けた後に
第26週時点で寛解した参加者の中でも、q8wの180mgのSCレジメンでは、第5
2週時点で患者の71%が寛解を維持するという結果が得られたことを、長期非対照デー
タが示した。
【0275】
したがって、このプロトコルでは、12週間のグセルクマブIV導入治療後、第48週
までのSC維持治療中に、より低いグセルクマブ曝露を提供する用量レジメンが評価され
る。選択された維持用量レジメンは、十分な維持を提供し、導入曝露比は、クローン病に
承認されたその他の生物学的製剤のそれと同等である。
【0276】
レジメン1及び2は、それぞれq4wのグセルクマブ1200mgのIV及びq4wの
600mgのIV導入を評価する。これらのレジメンのそれぞれで、維持における有効性
を最適化するためにはリサンキズマブの第2相試験(すなわちq8wの180mgのSC
)で試験されたものよりも高い曝露が必要であるか評価するために、q4wの200mg
のSC維持レジメンが試験された。
【0277】
q4wのグセルクマブ200mgのIV導入を評価するレジメン3では、q8wの10
0mgのSC維持レジメンが試験される。q8wのグセルクマブ100mgのSCレジメ
ンは、q8wのウステキヌマブ90mgのSCで観察されるものと、少なくとも同様、又
はこれを上回る有効性を提供することが期待され、この試験ではアクティブコンパレータ
の維持用量レジメンが評価される。
【0278】
全体として、2つのグセルクマブ維持SC用量レジメンは、第3相の用量選択を支援す
るであろう4倍の曝露範囲を提供する。
【0279】
GALAXI1の第0週から第48週までの治療群のいずれに対しても治療調整は計画
されないが、この試験において評価されるウステキヌマブ用量レジメン(すなわち、第1
2週で約6mg/kgのIV、続いて第20週からq8wの90mgのSC)を受ける、
クロスオーバーのIVプラセボ導入の非応答者は除く。第12週の時点で応答者でありプ
ラセボIVに無作為に割り付けられた参加者は、第44週までSCプラセボを受け続ける
【0280】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
第2相のデータに基づいて、第3相における確認評価のために、2つのグセルクマブ用
量レジメン(すなわち、IV導入→SC維持)が選択される。
【0281】
目的は、用量決定の時点における有効性、安全性、及び曝露-応答(E-R)データの
総計に基づき、第2相の用量設定試験において評価された導入用量範囲(すなわち第0週
、第4週、及び第8週でのq4wの200mg~1200mgのIV)から、単一の導入
用量レジメンを選択することである。第3相の用量確認試験において評価される単一の導
入レジメンの選択は、最適な導入用量レジメンを確立するのに十分な量の情報が利用可能
であることを考慮することに基づく。このシナリオでは、選択された導入用量レジメンは
、第2相で評価されたグセルクマブSC用量レジメンから得られる曝露の範囲(すなわち
、q8wの100mg~q4wの200mg)から選択される2つの維持用量レジメンと
対になる。
【0282】
第2相のデータが、第3相の評価のための2つ以上の導入用量レジメンの選択を支援し
得ることもあり得る。この場合、選択されたそれぞれの導入用量レジメンは、適切な維持
用量レジメンと対になる。
【0283】
この試験で評価されるウステキヌマブ用量レジメン(すなわち、第12週で約6mg/
kgのIV、続いて第20週からq8wの90mgのSC)をクロスオーバーで受けるI
V導入プラセボの非応答者以外、GALAXI2及びGALAXI3の第0週から第48
週までの治療群のいずれに対しても治療調整は計画されない。第12週で応答者であるプ
ラセボIVに無作為に割り付けられた参加者は、第44週までSCプラセボを受け続ける
【0284】
長期延長(第48週~第144週)
参加者は、GALAXI1、GALAXI2、及びGALAXI3のLTE中に割り付
けられたグセルクマブ維持用量を継続する。それぞれの試験において評価されている2つ
の維持用量レジメンのうちより低い方に参加しており、かつ第52週~第80週で不適切
な応答を経験する参加者は、単一の用量調整の資格を得、また、当該参加者らが臨床応答
を回復可能かを評価するためにLTEの終了までより高い維持用量を受ける。
【0285】
組み入れ基準
可能性のある参加者はそれぞれ、この試験に登録されるために、下記の基準すべてを満
たす必要がある。
1.18歳以上の男性又は女性であること(当該参加者が染色体対をもとに生まれ持っ
た生殖器官及び生殖機能に従う)。
2.過去の任意の時点でX線撮影、組織学的検査、及び/又は内視鏡検査により確認さ
れた大腸炎、回腸炎、又は回結腸炎を伴う、クローン病又は瘻孔クローン病を少なくとも
3か月の持続期間(最小で12週間と定義される)で有すること。
3.ベースラインCDAIスコアが220以上であるが450以下であるとして定義さ
れる、臨床的に活性なクローン病を有し、
a.液状便又は超軟便の数についての無加重のCDAIコンポーネントに基づいて平均
1日SF回数が3超である、
又は
b.腹痛の無加重CDAIコンポーネントに基づいてAPスコアの1日平均値が1超で
ある、のいずれかであること。
4.内視鏡スクリーニング時に中央施設による内視鏡読影により評価され、スクリーニ
ングSES-CDスコアが3以上であるとして決定された、活性な回腸結腸クローン病の
内視鏡的証拠を有すること。このスコアにより少なくとも1つの大型潰瘍(回腸、結腸、
又はこれらの両方における)の存在が示され、以下の結果が得られる、
a.「潰瘍のサイズ」についてのコンポーネントに関する最小スコア2
及び
b.「潰瘍化表面」についてのコンポーネントに関する最小スコア1。
【0286】
各試験のそれぞれで、登録集団全体の最大10%が、SES-CDが4未満である(す
なわち、孤立性回腸疾患を有する参加者の場合)、又はSES-CDが7未満である(す
なわち、結腸又は回腸結腸疾患を有する参加者の場合)に関するベースラインスコアを有
する参加者である。
【0287】
受けた併用薬物療法又は過去の薬物療法
5.クローン病のために過去又は現在受けている薬物療法は、以下のうち少なくとも1
つを含む必要があり、また、付録2(セクション10.2)、付録3(セクション10.
3)、及び付録4(セクション10.4)に記載される追加の基準を満たす必要がある。
a.経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)
及び/又は免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)による現在の治療
又は
b.経口コルチコステロイド(ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む)
又は免疫調節剤(AZA、6-MP、MTX)の療法のうちの少なくとも1つに対する応
答又は忍容の失敗の履歴。
又は
c.コルチコステロイド依存性(すなわち、クローン病の症状を戻さずに、うまくコル
チコステロイドを漸減することができない)の履歴。
又は
d.過去に初期応答の欠如を示した(すなわち一次非応答者)か、初期応答はしたが療
法を継続すると応答を喪失した(すなわち二次非応答者)か、又は、クローン病の治療に
承認されている用量での1つ以上の生物学的薬剤(すなわち、インフリキシマブ、アダリ
ムマブ、セルトリズマブペゴル、ベドリズマブ、又はこれらの薬剤に対する承認されたバ
イオ後続品)に対し忍容性がなかったこと。
注記:基準5a~cを満たす参加者はまた、生物学的療法(すなわち、TNF拮抗薬又
はベドリズマブ若しくはウステキヌマブ)を受けたことがない場合もあり、あるいは、こ
れらの生物学的療法に曝露されたことがあるが、忍容性がないこと又は不適切な応答を示
していない場合もある。過去にIL-12/23又はIL-23薬剤に曝露されたことの
ある参加者はこのプロトコルに入る資格を持たないが、承認を受けた表示用量でウステキ
ヌマブの限定的な曝露を受けたことがあり、かつ、必要なウォッシュアウト基準を満たし
ており、かつ、ウステキヌマブに対する忍容性がないこと又は失敗を示したことのない参
加者は例外である。
【0288】
6.クローン病の治療のための併用薬剤に対する以下の要件を順守する。以下の薬物療
法は、以下に列挙される要件を満たす用量が安定であるか、又は以下で指定される時間枠
内のベースラインの前に中止されているという条件の下に許容される。
a.少なくとも2週間にわたって安定した用量での経口5-アミノサリチル酸(5-A
SA)化合物;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止されなければな
らない。
b.少なくとも2週間にわたって安定した投与で、プレドニゾン等価用量で40mg/
日以下の経口コルチコステロイド、又は9mg/日のブデソニド、又は5mg/日のジプ
ロピオン酸ベクロメタゾン;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止さ
れなければならない。
c.少なくとも12週間にわたり、かつこれまでに少なくとも4週間にわたって安定な
用量で、従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、又はMTX);あるいは、最
近中止された場合は、少なくとも4週間停止されなければならない。
d.抗生物質をクローン病の一次治療として服用する場合、用量は少なくとも3週間に
わたって安定でなければならない;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも3週間
停止されなければならない。
e.クローン病の一次治療として経腸栄養剤を服用する場合、少なくとも2週間服用し
ていなければならない;あるいは、最近中止された場合は、少なくとも2週間停止されな
ければならない。
【0289】
検査室試験のスクリーニング
7.以下のパラメータ範囲内で検査室によるスクリーニング試験結果を有すること。検
査室によるパラメータのうちの1つ以上が範囲外である場合にも、約5週間のスクリーニ
ング期間中に、かかる検査室による値について単一の再試験が許容される。
a.ヘモグロビンが8.0g/dL以上である。
b.白血球が3.5×103/μL以上である。
c.好中球が1.5×103/μL以上である。
d.血小板が100×103/μL以上である。
e.血清クレアチニンが1.5mg/dL以下である。
f.アスパルテートアミノトランスフェラーゼ(AST)及びアラニンアミノトランス
フェラーゼ(ALT)の濃度が、検査を実施した検査室で正常範囲の上限(upper limit
of the normal range、ULN)の2倍以内でなければならない。
g.直接(抱合型)ビリルビンが1.0mg/dL未満である。
【0290】
結核
8.以下の結核(TB)スクリーニング基準に従って資格を有すると考えられること:
a.スクリーニング前に、潜在性又は活動性TBの病歴がないこと。潜在性TBの履歴
を有し、かつ以下の基準のうちの1つを満たす参加者は例外となる。
・潜在性TBの治療を現在受けている
・介入の初回実施の前又はそれと同時に潜在性TBの治療を開始する
又は
・介入の初回実施の5年前までに潜在性TBに対する適切な治療を完了していることを
証明する書類を有している。過去の抗結核治療の妥当性を検証し、適切な文書を提供する
ことは、治験担当者の責任である。
b.病歴及び/又は身体検査の際に活動性TBを示唆する徴候又は症状を有しないこと

c.活動性TBを有する人との密接な接触が最近ないこと。接触があった場合には、T
B専門医師に紹介して追加評価を行い、確認された場合は、介入の初回実施の前又はそれ
と同時に、潜在性TBに対する適切な治療を受ける。
d.介入の初回実施の8週間以前までに、QuantiFERON(登録商標)-TB
Gold試験の陰性結果を有すること、あるいは活動性TBが除外され、潜在性TBに
対する適切な治療が最初の介入実施の前又はそれと同時のいずれかで開始された、新たに
確認されたQuantiFERON-TB Gold試験の陽性結果を有すること。
注記:このプロトコルが実施される国でQuantiFERON-TB Gold検査
が承認/登録されていない場合は、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果が追加で必要となる
。ウクライナ国では、QuantiFERON-TB Gold試験は承認/登録されて
いないが、容認されており、追加のツベルクリン皮膚試験は必須ではない。Quanti
FERON-TB Gold試験及びツベルクリン皮膚試験は、上述の組み入れ基準8a
に記載されているように、活動性TBが除外されている場合、及び適切な治療が開始/完
了している場合は、潜在性TBの病歴を有する参加者のスクリーニングにおいては必要と
されない。
e.介入の初回実施前12か月以内に行った胸部X線撮影(後-前像及び側面像の両方
で、又は国内条例が適用される場合はそれに準拠する)を有し、適格な放射線医による読
影がなされ、現在の活動性TB又は古い不活動性TBのエビデンスがないこと。
【0291】
避妊
男性又は女性による避妊(産児制限)の実施は、臨床試験参加者にとって避妊について
許容される方法に関する現地条例と合うものでなければならない。典型的な実施失敗率は
、一貫してかつ正確に実施された場合とは異なる場合がある。実施は、臨床試験の参加者
にとって避妊の実施に関する現地条例と合うものでなければならない。
9.妊娠の可能性のある女性参加者は、スクリーニング及びベースラインにおいて尿妊
娠検査の陰性結果を有しなければならない。
10.無作為抽出の前に、女性参加者は以下のとおりでなければならない。
a.妊娠の可能性がないこと
b.妊娠の可能性があること、かつ、
c.効果の高い避妊法(一貫して正確に実施された場合の1年当たりの失敗率が1%未
満である)を実施し、介入を受ける間、かつ最終投与から16週間後(すなわち、関連す
る全身曝露の終了)まで効果の高い方法を維持することに同意すること。しかしながら、
選択された方法は、非常に効果的な避妊のための現地/地域条例/ガイドラインを満たす
必要がある。
注記:試験開始後に、参加者の妊娠の可能性が変化した場合(例えば、初経前の女性が
初経を経験する場合)、又は妊娠リスクが変化した場合(例えば、異性間性交に活発的で
ない女性が活発的になるなど)、女性は、組み入れ及び除外基準全体に記述されているよ
うに、効果の高い避妊方法の実施を開始しなければならない。
11.女性は、試験中、及び介入の最後の実施から16週間は、生殖補助の目的で卵子
(卵子、卵母細胞)を提供しないことに同意しなければならない。
12.試験中、及び介入の最後の実施から少なくとも16週間、男性参加者は、
a.妊娠の可能性のある女性との性行動に活発的である場合、バリア避妊法(例えば、
殺精子フォーム/ゲル/フィルム/クリーム/座薬を含むコンドーム)を使用することに
合意しなければならない。
b.妊娠した女性との性行動に活発的である場合、コンドームを使用しなければならな
い。
c.生殖目的で精子を提供しないことに同意しなければならない。
【0292】
一般的事項
13.このプロトコルで指定された生活様式の制限事項を守る意思があり、それが可能
であること。
14.各自が試験の目的とそれに必要な手順を理解し、試験に参加する意思があること
を示す、インフォームドコンセントフォーム(ICF)に署名しなければならない。
15.各自が研究のために任意にDNAサンプルを提供することに同意する場合は、個
別のICFに署名しなければならない(現地条例が許す場合)。任意のDNA研究サンプ
ルについての承諾を拒否しても、参加者を試験への参加から除外することはない。
【0293】
5.2.除外基準
以下の基準のいずれかを満たす見込み参加者は、このプロトコルの参加から除外される

1.症候性狭窄又は狭窄症、短腸症候群、又は手術の必要が予測され得る任意の他の症
状発現などの、クローン病の合併症を有している場合は、治療に対する応答を評価するC
DAIの使用から除外され得る。さもなければ、グセルクマブ又はウステキヌマブでの治
療効果を評価するのに混乱が生じる可能性がある。
2.現在膿瘍があるか、又は膿瘍の疑いがある場合。最近の皮膚及び肛門膿瘍は、更な
る手術の必要性が予想されない限りにおいて、ベースラインの少なくとも3週間前、又は
腹腔内膿瘍に関してはベースラインの8週間前に、排膿され適切に治療されている場合は
、除外とはならない。活動性の瘻孔を有する参加者は、手術の必要性が予想されない場合
、かつ現在特定されている膿瘍がない場合には、組み入れることができる。
3.ベースライン前の6ヶ月以内に任意の種類の腸切除を、又は12週間以内に任意の
他の腹腔内若しくは他の大手術(例えば、全身麻酔を必要とする)を行った場合。
4.排液中の(すなわち、機能中の)ストーマ又はオストミーを有する場合。
5.過去4か月以内に、Clostridium difficile毒素を含む腸内
病原菌に関して便培養又はその他の検査で陽性となっている場合。但し、再検査結果が陰
性であり、かつその病原の感染継続の徴候がない場合は除く。
【0294】
受けた併用薬物療法又は過去の薬物療法
6.所定期間内に、以下の処方薬又は療法のいずれかを受けている場合:
a.ベースラインの3週間以内に受けたIVコルチコステロイド
b.ベースラインの8週間以内に受けたシクロスポリン、タクロリムス、シロリムス、
又はミコフェノール酸モフェチル
c.ベースラインの4週間以内に受けた6-チオグアニン(6-TG)
d.生物学的薬剤:
1)ベースラインの8週間以内に受けた抗TNF療法(例えば、インフリキシマブ、エ
タネルセプト、セルトリズマブペゴル、アダリムマブ、ゴリムマブ)
2)ベースラインの16週間以内に受けたベドリズマブ
3)ベースラインの16週間以内に受けたウステキヌマブ
4)ベースラインの12週間以内又はベースラインの5半減期のうちいずれか長い方の
間に受けた他の免疫調節生物学的薬剤。
e.ベースラインの4週間以内又はベースラインの5半減期のうちいずれか長い方の間
に受けた任意の治験介入。
f.ベースラインの12か月以内に受けた、非自家幹細胞療法(例えばProchym
al)、ナタリズマブ、エファリズマブ、又はB細胞若しくはT細胞を枯渇させる生物学
的薬剤(例えば、リツキシマブ、アレムツズマブ、又はビジリズマブ)の投与。
g.ベースラインの3週間以内に受けた、クローン病のための、アフェレーシス(例え
ば、アダカラムアフェレーシス)又は完全非経口栄養を用いた治療。
7.過去に、ブリアキヌマブ、ブラジクマブ、グセルクマブ、ミラキズマブ(mirakizu
mab)(以前はLY2525623)、及びリサンキズマブが挙げられるが、これらに限
定されないIL-12/23又はIL-23を標的化する生物学的薬剤を受けている場合

例外:ウステキヌマブをその承認を受けた表示用量で限定的に曝露され、かつ、必要な
ウォッシュアウト基準を満たし、かつ、ウステキヌマブに対する忍容性がないこと又は失
敗を示していない参加者は、他の組み入れ基準を満たしており、他の除外基準を満たして
いないという条件でこのプロトコルから除外されない。
【0295】
感染、又は感染しやすい素質:
8.慢性腎感染症、慢性胸部感染症(例えば気管支拡張症)再発性尿路感染症(例えば
、再発性腎盂腎炎又は慢性継続性膀胱炎)、又は開放、排膿、若しくは感染皮膚創傷若し
くは潰瘍が含まれるがこれらに限定されない慢性又は再発性の感染症の病歴があるか又は
進行中である場合。
9.現在、臨床的に有意な感染の徴候又は症状を有する場合。明確に非重篤な感染症(
例えば、急性上気道感染症、単純尿路感染症)の場合は、治験担当者の裁量により、除外
と見なす必要はない。
10.ベースライン前の8週間に、入院又はIV抗生物質投与を必要とする任意の感染
症が挙げられる重篤な感染症(例えば、肝炎、敗血症、肺炎、又は腎盂腎炎)の履歴を有
する場合。
11.ベースライン前の8週間以内に帯状疱疹感染のエビデンスを有する場合。
12.スクリーニング前に、ヒストプラスマ症又はコクシジオイデス症を含む潜在性又
は活動性の肉芽腫性感染症の履歴を有する場合。過去にヒストプラスマ症又はコクシジオ
イデス症の可能性があるX線写真の証拠を有する参加者は除外される。
13.TBを含む悪性腫瘍又は現在の活動性感染症の異常な示唆を示す、介入の初回実
施から12週間前以内の胸部X線写真を有する場合。
14.非結核性抗酸菌感染症又は臨床的に有意な日和見感染症(例えば、サイトメガロ
ウイルス大腸炎、ニューモシスチス症、侵入性アスペルギルス症)を有しているか、又は
有したことがある場合。
15.参加者は、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)のスクリーニングを受けなければな
らない。HIV抗体陽性の履歴を有する、又はスクリーニング時にHIVに対して検査陽
性の参加者はいずれもこの試験に対する資格を得ることができない。
16.C型肝炎ウイルス(HCV)に対する抗体に対して血清陽性の参加者。但し、抗
ウイルス治療の完了後からスクリーニング前までに少なくとも6ヶ月離れた2つのHCV
RNA試験の陰性結果を有し、スクリーニング時に第3のHCV RNA試験の陰性結
果を有する場合は除く。
17.B型肝炎ウイルス(HBV)感染試験陽性である場合。
注記:HIV、HCV、HBV、又はTB検査結果のためにこの試験に対する資格が得
られなかった参加者は、これらの感染の治療における専門知識を有する医師と相談するこ
とが推奨される。
18.介入の初回実施から12週間前以内に、任意の生ウイルス又は細菌ワクチン接種
を受けたか、又は受けたと見込まれる場合。カルメット・ゲラン桿菌(Bacille Calmette
-Guerin、BCG)ワクチンについては、除外基準14を参照されたい。
19.スクリーニングの12ヶ月以内にBCGワクチン接種を受けている場合。
【0296】
悪性腫瘍、又は悪性腫瘍の高い可能性
20.現在悪性腫瘍を有するか、又はスクリーニングから5年前以内に悪性腫瘍の履歴
を有すること(適切に治療され、最初の介入実施の前の少なくとも3ヶ月間[最小で12
週間として定義される]は再発のエビデンスがない非黒色腫皮膚癌、又は、既に治療され
、最初の介入実施の前の少なくとも3ヶ月間は再発のエビデンスがない子宮頸上皮内癌は
除く)。
21.意義不明の単クローン性免疫グロブリン血症、リンパ腫を含むリンパ増殖性疾患
の既知の履歴を有する場合、又はリンパ節腫脹症、肝臓肥大、脾腫、若しくは意義不明の
単クローン性免疫グロブリン血症などリンパ増殖性疾患の可能性を示唆する徴候及び症状
を有する場合。
【0297】
合併する医学的状態又は過去の医療履歴
22.重度、進行性、又は制御されていない腎、泌尿生殖器、肝、血液、内分泌、心臓
、血管、肺、リウマチ、神経、精神、若しくは代謝障害、又はこれらの徴候及び症状の履
歴を有する場合。
23.移植された臓器有する場合(スクリーニングから12週間超前に行われた角膜移
植は除く)。
24.忍容性に乏しい、又は十分な静脈へのアクセスがないために複数の静脈穿刺を受
けることができない、又は受ける意思がない場合。
25.ベースライン前の12ヶ月以内に、Diagnostic and Stati
stical Manual of Disorders(5th edition)(
DSM-V)の基準に従って薬物又はアルコール乱用の履歴を有していることが知られて
いる場合。
26.過去6ヶ月の間に、実行する意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計
画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図
の中断、自殺企図の失敗、又は自殺企図をなすための準備行動)のColumbia-S
uicide Severity Rating Scale(C-SSRS)スクリー
ニング評点と定義され得る不安定な自殺念慮又は自殺行動を有し、かつ、精神保健専門家
による評価に基づいて治験担当者によりその危険があると見なされること。加えて、死を
望むこと(「念慮レベル1」)、非特異的な活動的自殺念慮(「念慮レベル2」)、実行
する意向のない任意の方法による活動的自殺念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又
は治験担当者によってその危険があると判定される非自殺的自傷行動のC-SSRS評点
を有する参加者は、無作為に割り付けられない場合がある。
27.グセルクマブ若しくはウステキヌマブ又はそれらの賦形剤のいずれかに対し既知
のアレルギー、過敏性、又は非忍容性を有すること(グセルクマブIB及びウステキヌマ
ブIBを参照されたい)。
28.この試験に登録している間、又は介入の最終投与から16週間後以内に妊娠して
いる又は母乳を与えている又は妊娠する計画のある女性である場合。
29.この試験に登録している間、又は介入の最終投与から16週間後以内に、子供の
父親となる計画をしている男性であること。
【0298】
一般的事項
30.この試験の参加中に、治験薬又は手順を用いた任意の他の試験に登録中であるか
、又は参加する意図がある場合。
31.治験担当者の意見によれば、参加することが参加者の最善の利益にならない(例
えば、健康を損なう)か、又はプロトコルに規定された評価を妨げる、制限する、若しく
は混乱させ得る任意の条件を有する場合。
32.治験担当者又は試験拠点の被雇用者であり、治験担当者又は試験拠点の指示に基
づいて提示試験又は他の試験に直接的に関与している者、あるいはそのような被雇用者又
は治験責任者の家族である場合。
注記:治験担当者は、すべての試験登録基準がスクリーニング時に満たされていること
を確実にするべきである。スクリーニング後であるが、介入の初回用量が与えられる前に
、参加者の臨床状態が変化して(任意の利用可能な検査結果又は追加の医療記録の受領を
含む)、その結果、参加者がすべての資格基準を満たすことができなくなった場合、参加
者は試験への参加から除外されるべきである。
【0299】
実施される介入
プロトコルの第2相及び第3相部分の両方において、
・すべての参加者は、第0週に2回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)、並び
に第4、8、及び12週に1回のIV注入(活性又はプラセボのいずれか)を受ける。
・すべての参加者は、第8週に1回のSC注射(活性又はプラセボのいずれか)、及び
第12週から第140週までの各訪問において、最大3回のSC注射(活性又はプラセボ
のいずれか)を受ける。
【0300】
静脈内介入は、1時間以上かつ2時間以下の期間にわたって実施されるべきである。こ
の注入は、調製から6時間以内に完了されるべきである。投与訪問内で複数のSC注射が
投与され得るため、介入の各注射は、身体の異なる場所に与えられるべきである。
【0301】
併用薬剤
ベースラインにおいて、クローン病の治療のために経口5-ASA化合物、経口コルチ
コステロイド、従来の免疫調節剤(すなわち、AZA、6-MP、又はMTX)、抗生物
質、及び/又は経腸栄養を服用している参加者は、組み入れ基準に定められるように、ベ
ースライン前の特定の期間、安定した用量を維持すべきである。
【0302】
一般に、すべての3つの試験のベースライン(すなわち、第0週)においてクローン病
のためにこれらの薬剤を服用している参加者は、経口コルチコステロイドを除いて、第4
8週まで安定した用量を維持すべきである。療法は、毒性又は他の医学的必要性により、
治験担当者の判断により必要とされる場合のみ、第0週の後に中止又は用量を低減するこ
とができ、毒性が解決されても、当該療法は再開されるべきではない。コルチコステロイ
ドは、第12週までベースライン用量を維持されなければならず、すべての参加者は、医
学的に実行可能でない場合を除いて第12週にコルチコステロイドの漸減を開始しなけれ
ばならない。
【0303】
第0週~第48週
各試験の第0週~第48週、登録した参加者は、以下のクローン病特異的併用薬物療法
のいずれも開始するべきではない。
・経口又は直腸5-ASA化合物。
・免疫調節剤(すなわちAZA、6-MP、又はMTX)。
・ブデソニド及びジプロピオン酸ベクロメタゾンを含む、経口、非経口、又は直腸コル
チコステロイド。
・クローン病の一次治療としての抗生物質。
・クローン病の治療としての完全非経口栄養又は経腸栄養。
【0304】
治験担当者によって評価される医学的必要性に基づいて上記の薬物療法が開始されるか
、又は薬剤用量が変更される場合、参加者は、すべての試験訪問に参加し続け、すべての
評価を有するべきである。このことは、試験プロトコルからの逸脱を表すものではなく、
参加者はそれらの割り当てられた療法(グセルクマブ、ウステキヌマブ、又はプラセボ)
を維持してもよいが、これは治療失敗と見なされ得る。治療失敗は、SAPにおいて定義
される。
【0305】
第12週~第48週
各試験の第12週~第48週、参加者は、クローン病の治療に対する応答の損失以外の
理由で、一時的に(すなわち、4週間未満)コルチコステロイドの用量を増加させてもよ
い(例えば、手術、ぜんそく、副腎皮質機能不全に対するストレス量のコルチコステロイ
ド)。
【0306】
LTEの治療フェーズ(すなわち、第48週~第144週):
5-ASA、コルチコステロイド、抗生物質、及び免疫調節剤(すなわち、AZA、6
-MP、若しくはMTX)、及び/又は完全静脈(parental)若しくは経腸栄養を含むク
ローン病に対する併用療法が、治験担当者の裁量により実施及び変更されてもよい。
【0307】
経口コルチコステロイドの漸減
第0週でコルチコステロイドを摂取したすべての参加者は、第12週でコルチコステロ
イドの漸減を開始しなければならない。この漸減は、医学的に実行可能でない場合を除い
て必須であり、表6に示される推奨スケジュールに従うべきである。コルチコステロイド
の漸減中に、参加者がそれらの疾患活動性の悪化を経験する場合、治験担当者によって必
要と見なされる場合は、更なる用量減少を停止してもよく、かつ/又はその経口コルチコ
ステロイド用量を一時的に増加させてもよい。しかしながら、経口コルチコステロイドの
用量は、医学的必要性のない限り、第0週の用量を超えて増加させてはならない。コルチ
コステロイドの漸減が中断されている参加者に対して、治験担当者は、4週間以内に漸減
を再開するよう促される。漸減は、医学的必要性によって正当性を保証された場合(例え
ば、コルチコステロイド関連の副作用を経験している参加者)のみ、このスケジュールを
超過してもよい。
【0308】
禁止される併用薬剤
試験参加中に以下の治療を開始した参加者は、その介入を中止される。
・AZA、6-MP、又はMTX以外の免疫調節薬(6-TG、シクロスポリン、ミコ
フェノール酸モフェチル、タクロリムス、及びシロリムスを含むがこれらに限定されない
)。
・免疫調節生物学的薬剤(TNF拮抗薬、ナタリズマブ、ウステキヌマブ、リツキシマ
ブ、ベドリズマブを含むがこれらに限定されない)。この試験において、ウステキヌマブ
は、無作為化でウステキヌマブに割り当てられた参加者にのみ、かつこのプロトコルで規
定されるとおりでのみ、許可される。
・試験的クローン病薬剤(ウパダシチニブ、フィルゴチニブ、オザニモド、エトロリズ
マブ、ブラジクマブ、ミラキズマブ入手可能なコンピュータプログラム[以前はLY-3
074828]、リサンキズマブ、GS-5745を含むがこれらに限定されない)。
・サリドマイド又は関連剤。
【0309】
有効性評価
有効性評価は、以下を含む。
・CDAI
・PRO-2(液状便又は超軟便及び腹痛スコアの総数の無加重CDAIコンポーネン
ト)
・粘膜潰瘍の有無、及びSES-CD、並びにGlobal Histology A
ctivity Score(GHAS)に基づく組織学的評価に基づく腸粘膜の内視鏡
評価
・CRP及び便中カルプロテクチンを含む炎症性PDマーカー
・瘻孔評価
・患者報告アウトカム(PRO)は、HRQOL結果(すなわち、IBDQ、PROM
IS-29、及びPROMIS Fatigue 7-item Short Form
[7a]、並びにEQ-5D-5L)、及び医療経済評価(すなわち、WPAI CD)
を評価するために測定する。
・BSFS、AP-NRS、クローン病の重症度に対する患者の全体的印象(Patient
’s Global Impression of Severity、PGIS)、及びクローン病の重症度の変化に対
する患者の全般的印象(Patient's Global Impression of Change、PGIC)を含む予
備的な患者報告症状の測定。
【0310】
CDAIは、8つの異なるクローン病関連変数(腸外症状発現、腹部腫瘤、体重、ヘマ
トクリット、液状又は超軟便の合計回数、腹痛/痙攣、下痢止め薬(複数可)及び/又は
あへん剤の使用、並びに全般的な健康状態)に関する情報を集めることによって評価され
る。最後の4つの変数は、参加者が7日間にわたり日誌カードにスコア付けを行い、日誌
カードは参加者が毎日完了させなければならない。PRO-2は、液状便又は超軟便の総
数及びAPスコアの無加重CDAIコンポーネントを含む。
【0311】
腸粘膜の内視鏡評価は、全参加者における回腸結腸内視鏡術中に評価される。第12、
48、及び96週のスクリーニングにおいてビデオ回腸結腸内視鏡検査が実施される。第
4週の評価を含む任意のサブ試験は、同意する参加者に対して上記の指定された評価に加
えて実施される。ビデオ内視鏡は中央施設によって評価され、治療群及び訪問に対して盲
検化される。完全なビデオ内視鏡検査は、回腸末端部が視覚化できない場合、回腸末端部
の評価を必要としない。SES-CDスコアは内視鏡的改善を評価するために用いられる
。SES-CD、5つの回結腸セグメントにわたって、4つの内視鏡要素の評価(潰瘍の
存在/大きさ、潰瘍に覆われた粘膜表面の割合、他の病変の影響を受けた粘膜表面の割合
、及び狭細/狭窄の存在/タイプ)に基づく。各内視鏡コンポーネントは、セグメント毎
に0~3にスコア付けされ、各コンポーネントに対して最大15の合計スコアを得るが、
定義により、通過することのできない狭細の存在は1回しか観察することしかできないた
めに最大で11の合計スコアしか獲得することができない狭細要素を除く。要約すると、
全SES-CDスコアは、全コンポーネントのスコアの合計から導出され、0~56の範
囲であり得る。治療的介入に応答した粘膜潰瘍の解消(不在)として従来定義されている
内視鏡治癒も評価される。
【0312】
組織学的評価は、回腸結腸内視鏡術中に収集された生検サンプルを使用して行われる。
生検サンプルは、第12、48、及び96週のスクリーニングにおいて、3つの所定の解
剖学的位置:末端回腸、脾彎曲部、及び直腸のそれぞれから収集される。第4週の評価を
含む任意のサブ試験は、同意する参加者に対して上記の指定された評価に加えて実施され
る。ベースライン後に収集される生検サンプルは、スクリーニング生検サンプルが3つの
所定の位置のそれぞれから収集された場所の近くで得られる。組織学的評価は、治療群及
び訪問に対して盲検化された中央施設の観察者によって行われる。Global His
tology Activity Score(GHAS)を使用して、組織学的改善及
び治癒が評価される。5つの分析はSAPにおいて指定される。
【0313】
試験期間全体を通して、瘻孔評価がすべての参加者に対して継続的に行われる。すべて
の参加者がベースラインにおける瘻孔に関して評価される。瘻孔疾患を有する参加者に対
しては、試験中に瘻孔の閉鎖が評価される。腸管皮膚瘻(例えば肛囲及び腹部)は、軽い
圧迫にもかかわらず排液がない場合に、もはや排液性ではない(すなわち、閉鎖している
)と見なされる。直腸腟瘻は、身体的検査又は関連症状(例えば、直腸内容物の通過、膣
からの排気など)がないことのいずれかに基づいて、閉鎖していると見なされる。
【0314】
患者報告アウトカムの指標は、活動スケジュール(セクション1.3)に示されるよう
に、訪問時に評価される。
IBDQは、IBDを有する参加者のための有効な32項目の自己報告アンケートであ
り、4つの次元、すなわち腸症状(軟便、腹痛)、全身症状(疲労、睡眠パターンの変化
)、社会的機能(勤怠、社交的イベントをキャンセルする必要性)、及び感情的機能(怒
り、抑うつ、苛立ち)にわたるPROを評価する。11のスコアの範囲は32~224で
あり、スコアが高いほど良い結果を示す。
・PROMIS-29は、疾患特異的ではない、有効な全般的な健康プロファイル手段
である。これは、7つのドメイン(うつ病、不安、身体的機能、疼痛干渉、疲労、睡眠障
害、並びに社会的な役割及び活動への参加能力)のそれぞれに対する4項目を含む簡易フ
ォームの集合である。PROMIS-29はまた、全体的平均疼痛強度の0~10数値化
スケール(NRS)を含む。
・PROMISの疲労についての7項目の質問票(PROMIS Fatigue S
hort Form 7a)は、疲労関連症状(すなわち、疲弊、憔悴、精神的倦怠感、
及びエネルギーの欠乏)及び日常的活動に対する付随的な影響(仕事、セルフケア、及び
運動に関連する活動の制限)を評価する7つの項目を含む。PROMIS Fatigu
e Short Form 7aは、過去7日間の回想期間を有する。PROMIS-2
9の疲労スケールと比較して、Fatigue Short Form 7aは、疲労の
重症度を評価するための追加情報を提供する。
・EQ-5D-5Lは、EuroQol 5次元記述システム(EQ-5D)及びEu
roQol視覚アナログスケール(EQ-VAS)からなる有効な手段である。記述シス
テムは、5つの次元(移動性、セルフケア、通常の活動、疼痛/不快感、不安/うつ病)
を含む。各次元は、問題なし、わずかな問題、中程度の問題、深刻な問題、及び極度の問
題の5つのレベルを有する。回答者は、5つ次元のそれぞれにおいて最も適切な記述をチ
ェックすることによって各自の健康状態を示すように求められる。
EQ-VASは、「あなたが想像できる最高の健康状態」及び「あなたが想像できる最
悪の健康状態」と標識されたエンドポイントを有する20cmの縦型の視覚的アナログス
ケール上に、回答者の自己評点した健康状態を記録する。回答者は、その日の健康状態を
示すためにスケール上に「X」をマークし、次いで、ボックス内のスケール上にマークさ
れた数字を書き込む。
・WPAI-CDは、クローン病に起因する、欠勤、疾病中出勤(presenteeism)、及
び日常的活動の減損の量の患者報告定量的評価として作成された有効な手段である。WP
AI-CDは、雇用状態、クローン病のために欠勤した時間、その他の理由により欠勤し
た時間、労働時間、労働中にクローン病が労働生産性に影響を及ぼした程度、及び労働以
外の活動にクローン病が影響を及ぼした程度を判定するための6つの質問から構成される
。4つのスコア:すなわち欠勤の割合、疾病中出勤の割合(労働中の生産性が低下してい
る)、欠勤と疾病中出勤とを組み合わせる全体的な労働減損、及び労働外で実施された活
動の減損の割合が導出される。スコアが高くなるほど、減損は大きくなる。
【0315】
予備的な患者報告症状測定値は、活動スケジュールに示されるように、訪問時に評価さ
れる。
・BSFSは、ヒト糞便の形態(又は稠度)を7つのカテゴリに分類するための医療補
助である。14 これは、腸の様々な疾患(例えば過敏性腸症候群[IBS])に対する
治療の有効性を評価するための調査ツールとして用いられてきた。参加者は、第0週から
第48週目までの毎日の日誌の入力としてBSFSを完了する。
・AP-NRSは、腹痛を評価するために用いられる11ポイント(0~10)のスケ
ールである。スコア0は「腹痛なし」を表し、スコア10は「起こり得る最悪の痛み」を
表し、大きなスコアほど痛みの重症度と強度が大きいことを示す。参加者は、第0週から
第48週まで毎日の日誌の入力としてのAP-NRSを完了し、その痛みが最悪なときを
最も良く反映する1つの数のみを選択する。
・クローン病のPGIS:参加者はベースライン及び各訪問におけるそのクローン病の
活動性を5ポイントのスケール(「なし」、「軽度」、「中度」、「重度」、及び「きわ
めて重度」)を用いて評点する。PGISは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確立
及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
・クローン病の重症度のPGIC:参加者のクローン病の重症度における知覚された変
化(改善又は悪化)はPGICを用いて評価される。参加者は、「現在ははるかに良い」
から「現在ははるかに悪い」までの7ポイントスケール(中立的な中央ポイント(「より
良くもより悪くもない」)を含む)を用いて、そのクローン病が試験開始時点からどのよ
うに変化してきたのかを評点する。PGICは、他の臨床エンドポイントの応答基準を確
立及び/又は検証するためのアンカーとして使用される。
【0316】
安全性評価
有害事象は、治験担当者によって報告及び追求される。試験中に発生するあらゆる臨床
上関連する変化は、eCRFの有害事象の項に記録されなければならない。試験の最後に
/早期離脱時に持続しているあらゆる臨床上の有意な異常は、解決まで又は臨床上安定し
たエンドポイントに達するまで、治験担当者によって追求されるであろう。
【0317】
本試験は、指定された時点に基づく安全性及び耐用性の以下の評価を含む。
【0318】
心電図
12誘導心電図(ECG)は、スクリーニングにおいて実行される。
【0319】
ECGを収集する間、参加者は、気を散らすもの(例えば、テレビ、携帯電話)がない
静かな環境にいるべきである。参加者は、ECGの収集前に少なくとも5分間は仰臥位で
安静にするべきであり、話すこと又は腕若しくは脚を動かすことを控えるべきである。E
CG記録と同じ時点で血液サンプリング又はバイタルサイン測定が予定される場合、処置
は、ECG(複数可)、バイタルサイン、採血の順序で実行されるべきである。
【0320】
健康診断
健康診断は、活動スケジュールで指定されるとおりに実施される。安全性及び有効性に
関する参加者の評価は、すべての訪問における治験担当者による何らかの健康診断を必要
とするが、より完全な詳細にわたる健康診断は、指定された訪問で実施される。
【0321】
身長及び体重
身長及び体重は、活動スケジュールで指定されたとおりに測定される。対象は、これら
の測定の前に、靴及び屋外用衣料及び装具を取り外すよう指示される。
【0322】
バイタルサイン
バイタルサイン(体温、脈拍/心拍数、呼吸数、及び血圧を含む)は、すべてのIV注
入の前、及びIV注入中の約30分間毎に、並びに最終IV注入が完了してから約30分
後のインターバルで得る。バイタルサインは、最終SC注入の前及び約30分後に得られ
るべきである。
【0323】
感染症
介入実施は、臨床的に重要な活動性感染症を有する参加者に与えられるべきではない。
治験担当者は、予定された訪問において、感染症の任意の徴候又は症状に関して参加者を
評価することを求められる(活動スケジュールのセクション1.3を参照されたい)。参
加者が敗血症又は肺炎が挙げられるがこれに限定されない重篤な感染症を発症した場合、
試験治療の中止(すなわち、更なる介入実施を行わない)を検討しなければならない。
【0324】
結核評価(複数可)
初期結核評価
参加者は、TBのための試験を受けなければならず、それらの病歴評価は、TBの履歴
、又は活動性TBを有する個人への既知の職業的又は他の個人的曝露に関する特定の質問
を含まなければならない。参加者は、胸部X線検査結果及びツベルクリン皮膚又は他のT
B試験に対する応答を含む、TBに対する過去の試験に関する質問をされるべきである。
治験担当者が、その判断に基づいて、両方の試験を使用することが潜在性TBを有する高
いリスクを有する参加者を評価するために臨床的に指示されると信じる場合は、治験担当
者は潜在性TBをスクリーニングするために、QuantiFERON-TB Gold
試験及びツベルクリン皮膚試験の両方を用いる選択肢を有する。QuantiFERON
-TB Gold試験又はツベルクリン皮膚試験のいずれかが陽性であった場合、参加者
は、この試験の適格性の目的で潜在性TB感染症を有するものと見なされる。
【0325】
QuantiFERON-TB Gold試験の陰性結果(及びQuantiFERO
N-TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚試験が現地
の保健機関によって命じられている国においては、ツベルクリン皮膚試験の陰性結果)を
有する参加者は、無作為抽出前手順を継続する資格を有する。新たに同定されたQuan
tiFERON-TB Gold(又はツベルクリン皮膚)試験の陽性結果を有する参加
者は、活動性TBを除外するための評価を受け、潜在性TBのための適切な治療を開始し
なければならない。潜在性TBのための適切な治療は、免疫不全患者に対する現地の国の
ガイドラインに従って定義される。免疫不全患者に対する現地の国のガイドラインが存在
しない場合、米国ガイドラインに従わなければならないか、あるいは参加者は試験から除
外される。
【0326】
最初のQuantiFERON-TB Gold試験結果が不明確である参加者は、試
験を繰り返すべきである。第2のQuantiFERON-TB Gold試験結果も不
明確である場合、参加者は、潜在性TBが除外され、それらの胸部X線写真がTB(活動
性又は古い非活動性TB)を示唆する異常を示さず、参加者が治験担当者によって判断さ
れるTBの更なるリスク因子を有しない場合、潜在性TBの治療なしで登録され得る。こ
の判定は、治験依頼者又は被指名者のメディカルモニタに速やかに報告され、参加者のソ
ースドキュメントに記録され、治験担当者によって頭文字で略式署名されなければならな
い。
【0327】
結核の評価
活動性結核の早期検出
試験参加中にTBの再活性化又は新規のTB感染の早期検出を助けるために、参加者は
、予定された訪問時に、又は電話による接触によって、約8~12週間毎に活動性TBの
徴候及び症状を評価されなくてはならない。評価中に使用するために、以下の一連の質問
が提案される。
・「あなたは14日未満の期間の新たな咳、又は慢性咳の変化を有しましたか?」
・「あなたは以下の症状のいずれかを有していますか?
-持続する熱
-意図的でない体重減少
-寝汗」
・「あなたは活動性TBを有する個人と密接な接触をしましたか?」(接触が「密接」
と見なされるべきかに関して不確実性が存在する場合、TB専門医に相談するべきである
)。
【0328】
評価により、参加者がTBの再活性化又は新たなTB感染を有し得るという疑いが生じ
た場合、可能な場合はTB専門医への相談を含む即座の徹底した調査が行われるべきであ
る。治験担当者らは、免疫不全を有する参加者におけるTBの再活性化は、播腫性疾患と
して、又は肺外特徴(extrapulmonary features)を有して存在し得ることを認識するべ
きである。活動性TBの証拠を有する参加者は、適切な治療を紹介されるべきである。試
験の実施中に活動性TBを有する個人と密接に接触した経験を有する参加者は、参加者が
活動性TBを発症するリスク及び潜在性TBの治療が正当であるかどうかを判定するため
に、反復胸部X線検査、反復QuantiFERON TB Gold試験、Quant
iFERON-TB Gold試験が承認/登録されていないか、又はツベルクリン皮膚
試験が現地の保健機関によって命じられている国においては反復ツベルクリン皮膚試験、
及び、可能であれば、TB専門医への紹介を行わなければならない。
【0329】
介入実施は、調査中に中断されるべきである。QuantiFERON-TB Gol
d試験又はツベルクリン皮膚試験の陽性結果は、潜在性TBの検出と見なされるべきであ
る。QuantiFERON-TB Gold試験の結果が不明確である場合、試験は、
付録5(セクション10.5)に概説されるように反復されるべきである。参加者は、プ
ロトコルに従って予定されたすべての後続の試験訪問のために戻ることを奨励されるべき
である。潜在性TBを時期尚早に中止した、又は療法を順守しない対象は、活動スケジュ
ール(セクション1.3)に従い、介入の更なる投与を即座に中止して、すべての後続の
予定された試験訪問のために戻るように奨励されなければならない。
【0330】
アレルギー反応
いかなるSC注射又はIV注入の前にも、適切に訓練された人員及び薬剤が、アナフィ
ラキシーを含むアレルギー反応を治療するために利用可能でなければならない。すべての
参加者は、アレルギー反応の症状(例えば、じんま疹、掻痒、皮疹)に関して注意深く観
察されなければならない。軽度又は中程度のアレルギー反応が観察される場合、アセトア
ミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬、及び/又はジフェンヒドラミンを投与してよい。
【0331】
重症のアレルギー反応(例えば、アナフィラキシー)の場合、SCの水性エピネフリン
、コルチコステロイド、呼吸補助、及びその他の適切な蘇生手段が必要不可欠であり、注
射又は注入が投与される試験拠点で利用可能でなければならない。
【0332】
注射又は注入に関連した深刻な拒絶反応を経験する参加者は、更なる介入実施を中止さ
れるべきである。
【0333】
注射又は注入後に補助換気を必要とする喘鳴及び/又は呼吸困難を伴う気管支痙攣をも
たらす反応、又は40mmHgを超える収縮期血圧低下を伴う症候性低血圧を経験する参
加者は、追加の介入を受けることを許されない。
【0334】
介入の注入後1~14日で発生する血清病様反応を示唆する反応(その他の認識された
臨床的症候群の徴候及び症状を表さない発熱及び/又は発疹を伴う筋肉痛及び/又は関節
痛などの症状をもたらす)を経験する参加者は、更なる介入実施を中止するべきである。
これらの症状は、掻痒、顔、手、又は唇の浮腫、嚥下障害、蕁麻疹、咽頭炎、及び/又は
頭痛を含む他の事象を伴う場合があることに留意されたい。
【0335】
時間的に注入に関連する有害事象
介入のIV注入中、又はその後1時間以内に起こる任意のAE(検査室異常を除く)は
、慎重に評価される。臨床的に指示されるように、注入に関連する少量のAEは、IV注
入の速度を減少させ、並びに/又は抗ヒスタミン剤及び/若しくはアセトアミノフェン(
パラセタモール)で治療することにより管理することができる。治験担当者の意見によれ
ば重症でもなく、又は重大な有害事象(SAE)をもたらすものでもないAEのために、
介入のIV注入が中断される場合、注入は慎重に再開されてもよい。
【0336】
注射部位反応
注射部位反応は、SC介入注射部位における任意の有害反応である。注射部位は反応に
ついて評価され、任意の注射部位反応はAEとして記録される。
【0337】
Columbia-Suicide Severity Rating Scale(
C-SSRS)
C-SSRSは自殺念慮の5つのサブタイプ及び4つの可能な自殺行動、並びに非自殺
的自傷行動、及び完遂された自殺を定義する。これは、包括的な安全性評価の一環として
、本試験における自殺念慮及び行動を予測的に評価するためのスクリーニングツールとし
て使用される。C-SSRSは、治験担当者によって管理されるアンケートである。この
2つのバージョンが本試験で使用され、C-SSRSの「ベースライン/スクリーニング
」バージョンは、スクリーニング訪問中に実施され、C-SSRSの「最終訪問以後」バ
ージョンは、試験の終了までその他すべての訪問で完了される。
【0338】
治験担当者又は訓練された試験拠点の人員は、参加者を面接して、C-SSRSを完了
する。C-SSRSは、現地のガイドラインに従って現地の言語で提供される。
【0339】
スクリーニングでは、C-SSRSは、任意の他の試験手順の前に実行される第1の評
価である。すべての後続の訪問において、C-SSRSは評価スケジュールに従って実行
され、これは他のPROの後であるが、任意の他の試験手順の前に実行されるべきである
。参加者は、非公開の静かな場所で治験担当者又は訓練された試験拠点の人員によって面
接される。
【0340】
各評価の終わりに、C-SSRSを管理する訓練された人員は、自殺念慮又は行動が存
在する場合はそのレベルを判定する。続いて、任意のレベルの自殺念慮又は行動が報告さ
れる場合、次の行動方針を決定する。治験担当者によってC-SSRSが審査され、参加
者のリスクが評価され必要に応じてフォローアップが決定されるまで、参加者は拠点から
解放されるべきではない。
【0341】
スクリーニング(直近6ヶ月以内)及び第0週時点で、C-SSRS評点が、実行する
意向のある自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベ
ル5)、又は自殺行動(実際の自殺企図、自殺企図の中断、自殺企図の失敗、又は自殺企
図をなすための準備行動)、である参加者が無作為に割り付けられるためには、精神保健
の専門家(例えば精神科医、心理学者、又は適切な訓練を受けたソーシャルワーカー若し
くは看護師)による評価に基づいて治験担当者によりその危険にないと判定されなければ
ならない。
【0342】
C-SSRS評点が、死を望む(「念慮レベル1」)、具体的ではない活発な自殺念慮
(「念慮レベル2」)、実行する意図はなくなんらかの方法によるものである活発な自殺
念慮(計画なし)(「念慮レベル3」)、又は自殺的ではない自傷行動、である参加者が
無作為に割り付けられるためには、治験担当者によりその危険にないと判定されなければ
ならない。このような参加者の資格に関する任意の質問は、メディカルモニタ又は被指名
者によって議論されるべきである。
【0343】
第0週より後の各評価に関して、該当する場合は、以下の処置が講じられるべきである

・自殺念慮又は自殺行動(自殺意図のない自傷行動を含む)なし:更なる処置は必要な
し。
・自殺念慮レベル1-3又は非自殺的自傷行動:参加者のリスクが治験担当者によって
評価される。
・自殺念慮レベル4若しくは5、又は任意の自殺行動:参加者のリスクが評価され、精
神保健専門家に紹介される。
【0344】
研究治療の中断又は中止は、ベースライン後のC-SSRS評価上で実行する意向のあ
る自殺念慮(念慮レベル4)、具体的な計画及び意向を伴う自殺念慮(念慮レベル5)、
又は自殺行動(実際の自殺企図、中断された自殺企図の中断、自殺企図の失敗、又は自殺
企図をなすための準備行動を報告するすべての参加者、かつ、精神保健専門家による評価
に基づいて治験担当者によりその危険があると見なされるすべての参加者に関して検討さ
れるべきである。参加者が精神病療法及び/又は薬物療法で適切に治療され得る場合、参
加者は、治験担当者の裁量により、メディカルモニタ又は被指名者により同意を受けた場
合は治療を継続することができる。メディカルモニタ又は被指名者による当該参加者につ
いての議論は必要である。
【0345】
治験担当者の意見によれば新規であるか、又は悪化しておりかつ臨床的に有意であると
見なされるいかなるC-SSRSの発見も、AE eCRF(Adverse Even
ts:Definitions and Procedures for Record
ing,Evaluating,Follow-up,and Reporting)上
で報告されるべきである。
【0346】
臨床安全性検査室評価
血清化学検査及び血液学用の血液サンプルを収集する。治験担当者は、検査結果を審査
し、この審査を文書化し、試験中に生じた任意の臨床的に関連する変化をeCRFのAE
セクションに記録しなければならない。検査報告は、ソース文書と共に提出しなければな
らない。
【0347】
以下の試験は、メディカルモニタによる別段の指定又は承認がない限り、中央検査室に
よって実施される。
・血液学的評価としては、ヘモグロビン、ヘマトクリット値、血小板数、総WBC数、
及び微分WBC数が挙げられるがこれらに限定されない。
・血液化学評価としては、化学パネル(全及び直接ビリルビン、ALT、AST、アル
カリホスファターゼ、アルブミン、総タンパク質、カルシウム、リン酸塩、ナトリウム、
カリウム、クロリド、血液尿素窒素/尿素、及びクレアチニン)が挙げられるがこれらに
限定されない。
【0348】
試験実施中に検査室マニュアルで定義される予め指定された異常な検査室値が任意の参
加者において特定された場合、メディカルモニタ又は代表者及び臨床施設は通知を受ける

・血清学:HIV抗体、HBV抗体及び表面抗原、並びにHCV抗体
・肝機能検査異常:試験に登録されて介入を受けている対象に対する検査室試験により
、血清アミノトランスフェラーゼ(ALT又はAST)の3×ULN超までの上昇、及び
ビリルビンの2×ULN超までの上昇が明らかになった場合、試験薬剤は即座に停止され
るべきである。加えて、ALT、AST、アルカリホスファターゼ、及び総ビリルビンに
関する検査室試験は、試験結果の通知から可能な場合は24時間以内、遅くとも72時間
以内に再試験によって確認されるべきである。
・妊娠試験:出産能力のある女性参加者は、各介入実施前のスクリーニング時、SID
訪問時、及びFES訪問時に尿妊娠試験を受ける。
【0349】
免疫原性評価(グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体)
血清サンプルは、グセルクマブ又はウステキヌマブに結合する抗体に関してスクリーニ
ングされ、確認された陽性サンプルの力価が適宜報告される。その他の分析を実施して、
グセルクマブ又はウステキヌマブの免疫原性を更に特性決定することができる。すべての
参加者から採取された血液上でグセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が評価され
る。更に、サンプルは、試験を中止した参加者の最終訪問時にも採取されるべきである。
これらのサンプルは、治験依頼者又は治験依頼者の被指名者により試験される。これらの
血清サンプルについては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0350】
評価
介入の血清濃度に加えて介入に対する抗体が評価される訪問においては、十分な体積の
1つの静脈血液サンプルが収集されるべきである。
各血清サンプルは3つのアリコートに分けられる(介入の血清濃度、介入に対する抗体
、及びバックアップに1つずつ)。
【0351】
分析手順
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の検出及び特性決定は、治験依頼者によ
り又は治験依頼者の監督下で有効なアッセイ法を用いて実施される。
【0352】
薬歴調査
併用薬剤は、各訪問時に審査される。
【0353】
有害事象及び重大な有害事象
臨床試験からの安全性情報の適時の、正確な、かつ完全な報告及び分析は、参加者、治
験担当者、及び治験依頼者の保護に欠かせないものであり、世界中の規制当局によって命
じられている。治験依頼者は、安全性情報の適切な報告を確実にするために世界的な規制
要件に準拠して標準業務手順(Standard Operating Procedures)を確立し、治験依頼者
又はその関係者によって実施されるすべての臨床試験は、これらの手順に従って実施され
る。
【0354】
有害事象は、試験の持続期間にわたって、参加者(又は、適切な場合、介護人、代理人
、又は参加者の法的に認められる代表者)によって報告される。
【0355】
予想される事象が記録され、報告される。
【0356】
有害事象及び重大な有害事象情報を収集する期間及び頻度
すべての有害事象
重大又は非重大にかかわらず、すべてのAE及び特別な報告状況は、署名され、かつ日
付を記入したICFが取得された時間から、参加者の最後の試験関連手順の完了まで(安
全性のフォローアップのための連絡を含み得る)報告される。介入の最後の用量16週間
後以内に、治験担当者に自発的に報告されたものを含む重大な有害事象は、重大な有害事
象フォーム(Serious Adverse Event Form)を使用して報告されなければならない。治験
依頼者は、プロトコルに指定された時間枠を越えて治験担当者によって自発的に報告され
たすべての安全性情報を評価する。
【0357】
重大な有害事象
試験中に生じるすべてのSAEは、その事象の認識から24時間後以内に、試験拠点の
人員によって適切な治験依頼者又は被指名者の連絡担当者に報告されなければならない。
【0358】
SAEに関する情報は、重大な有害事象フォームを使用して治験依頼者又は被指名者に
送信され、これは、試験拠点の医師によってすべて記入及び審査され、24時間以内に治
験依頼者又は被指名者に送信されなければならない。
【0359】
有害事象及び重大な有害事象のフォローアップ
妊娠を含む有害事象は治験担当者によって追求される。
【0360】
重大な有害事象に対する規制報告要件
治験依頼者は、規制当局へのAEの適切な報告の責任を負う。治験依頼者はまた、すべ
てのSUSARを治験担当者(及び、必要な場合は治験施設の施設長)に報告する。治験
担当者(又は必要な場合は治験依頼者)は、プロトコルを承認した適切なIEC/IRB
により別段の要求がなされ、かつ文書化されていない限りは、IEC/IRBにSUSA
Rを報告しなければならない。SUSARは、規制当局に非盲検的に報告される。別段の
指定がなされない限り、参加する治験担当者及びIEC/IRBは、盲検的なSUSAR
の要約を受けることになる。
【0361】
妊娠
女性参加者又は男性参加者の配偶者におけるすべての妊娠の初期報告は、その事象の認
識から24時間以内に、適切な妊娠通知フォームを使用し、試験拠点の人員によって治験
依頼者又は被指名者に報告されなければならない。異常な妊娠結果(例えば自然流産、胎
児死、死産、先天異常、子宮外妊娠)はSAEと見なされ、重大な有害事象フォームを使
用して報告されなければならない。試験中に妊娠した任意の参加者は、更なる介入を中止
しなければならない。
【0362】
妊娠の結果及び乳児のあらゆる出生後遺症の結果に関するフォローアップ情報が必要と
される。
【0363】
特に興味深い事象
この臨床試験に参加している参加者における最初の介入実施(複数可)後に生じる、新
たに特定された悪性腫瘍又は活動性TBの症例は、すべて治験担当者によって報告されな
ければならない。治験担当者はまた、ほとんどの国では、活動性TBが報告可能な疾患と
見なされることも助言されている。これらの事象は、SAEの定義を満たす場合にのみ重
篤であると見なされるべきである。
【0364】
過剰投与の治療
この試験では、このプロトコルで指定された単回投与訪問時の最高用量よりも高い介入
の任意の用量は、過剰投与と見なされる。治験依頼者は、過剰投与のための特定の介入を
推奨しない。
【0365】
過剰投与の場合、治験担当者又は治療する医師は、以下のことを行うべきである。
・直ちにメディカルモニタに連絡する。
・AE/SAE及び検査室異常に関して参加者を密に監視する。
・eCRFに過剰用量の量を文書化する。
【0366】
用量の中断又は修正に関する決定は、参加者の臨床評価に基づいて、メディカルモニタ
と相談の上で治験担当者によって行われる。
【0367】
薬物動態
グセルクマブ及びウステキヌマブのPKが、血清サンプルを使用して評価される。グセ
ルクマブ及びウステキヌマブの血清濃度分析のために採取されたサンプルは、試験期間中
又はその後に生じる懸念に対処する安全性又は有効性の側面を評価するため、又は関連す
るバイオマーカーの評価のために、更に用いることができる。これらの血清サンプルにつ
いては遺伝子解析は行われない。参加者の守秘義務は保たれる。
【0368】
評価
介入の血清濃度のみが評価される(すなわち、介入に対する抗体は評価されない)訪問
時には、十分な量の静脈血サンプル1本を採取すべきであり、各血清サンプルを2つのア
リコートに分けるべきである(介入の血清濃度用に1つ、及びバックアップ用に1つ)。
介入の血清濃度及び介入に対する抗体が評価される訪問時には、十分な量の静脈血サンプ
ル1本を採取するべきである。各血清サンプルは3つのアリコートに分けられる(介入の
血清濃度、介入に対する抗体、及びバックアップに1つずつ)。
【0369】
分析手順
治験依頼者のそれぞれのアッセイ法によって、又はその監督の下で、それぞれの有効で
特異的かつ高感度な方法を用いて、血清サンプルを分析して、グセルクマブ及びウステキ
ヌマブの濃度を判定する。
【0370】
薬物動態パラメータ
活動スケジュールに従い、すべての参加者から採取された血液に基づき、血清サンプル
を使用して、様々なグセルクマブのPKパラメータを評価する。
【0371】
薬力学
炎症性PDマーカーは、訪問時に収集された血液サンプルを使用して評価される。ベー
スライン後のPD試験結果は、中央検査によって治験担当者に向けて公開されない。
・CRPは、IBD患者における炎症のマーカーとして有用であることが示されている
。クローン病において、高いCRP濃度は、重度の臨床活動性、高い沈降率、及び大腸内
視鏡検査で検出される活動性疾患に関連している。CRPの測定のための血液サンプルは
、すべての参加者から収集される。CRPは、有効な高感度アッセイを使用して評価され
る。
・便中カルプロテクチンは、腸炎及びIBD患者の治療に対する応答の特定における高
感度の特異的マーカーであることが実証されている。便中カルプロテクチン濃縮物の3つ
の糞便サンプルが、すべての参加者から収集される。便中カルプロテクチン濃度のアッセ
イは、有効な方法を使用して実施される。マイクロバイオームなどの腸炎及び治療応答に
関連する追加的なマーカーのために、追加の試験を糞便サンプルに対して行うこともでき
る。
【0372】
遺伝学
薬理遺伝学的血液サンプルは、現地の規制が許可する場合は必要に応じ、薬理遺伝学的
リサーチを可能にするために、試験のこのコンポーネントに個別に同意する参加者から収
集される。薬理遺伝学的リサーチへの参加は任意である。
【0373】
遺伝子(DNA)の変動は、薬物応答及び関連する臨床転帰における個体間変動に対す
る重要な有力因子であり得る。遺伝因子はまた、疾患感受性及び予後のためのマーカーと
して機能することができ、介入に対して異なる応答を示す集団のサブグループを同定する
ことができる。
【0374】
DNAサンプルは、臨床応答に関連し得る遺伝因子の同定のために分析される。このリ
サーチは、グセルクマブ若しくはウステキヌマブ介入及び/又はクローン病に関する1つ
以上の候補遺伝子の分析、単一核酸多型(SNP)の評価、又は全ゲノムの分析(必要に
応じて)からなり得る。遺伝分析のために約10mLの全血サンプルを収集する。
【0375】
第2相の用量設定試験(GALAXI1)
一次仮説は、第12週時点でのCDAIにおけるベースラインからの減少によって評価
されるように、グセルクマブがプラセボよりも優れているというものである。
【0376】
第3相の用量確認試験(GALAXI2及びGALAXI3)
一次仮説は、第12週時点で臨床寛解を達成する参加者の割合によって評価されるよう
に、グセルクマブ治療がプラセボよりも優れているというものである。
【0377】
ウステキヌマブとの比較に関する主要な二次仮説に関しては、最終的な目的は、グセル
クマブの有効性がウステキヌマブよりも優れていることを実証することであるが、非劣性
に関する初期試験が含まれ、その理由は、最終結果が、特定のエンドポイントに関する相
対的有効性がウステキヌマブに劣っていないということを示すのみであったとしても、グ
セルクマブの全体的なプロファイルがウステキヌマブと比較して良好な場合がある(全体
的な有効性及び安全性の点で)ためである。サンプルサイズの判定
【0378】
仮定
いくつかのソースからのデータは、以下の項に要約されるように、第2相及び第3相に
おけるサンプルサイズ判定の基礎的仮定を提供した。これらは、3つの試験(すなわちC
NTO1275CRD3001、CNTO1275CRD3002、及びCNTO127
5CRD3003)で構成されるウステキヌマブクローン病第3相プログラム、すなわち
、治験依頼者により過去にTNF拮抗薬療法に失敗したか若しくは忍容性がなかった(本
明細書ではTNF失敗と称する)、又は過去に従来療法に失敗したか若しくは忍容性がな
かった(本明細書ではCON失敗と称する)クローン病を有する患者において実施された
プログラム、並びに、参加者の大部分が過去に生物学的療法に失敗したか又は忍容性がな
かった者であった(本明細書ではBIO失敗と称する)リサンキズマブクローン病第2相
試験からのデータを含む。
【0379】
第12週時点の臨床寛解
第12週時点でのBIO失敗集団の仮定は以下に基づいていた。
・CNTO1275CRD3001では、第8週時点での臨床寛解期にある参加者の割
合(CDAIが150未満である)は、13.6%の治療差に対し、プラセボ及びウステ
キヌマブ約6mg/kgでそれぞれ7.3%及び20.9%であった。8
・第12週時点でのプラセボに対する15%の臨床寛解率に基づいて、リサンキズマブ
第2相試験は、第12.7週時点での200mgのIVとプラセボとの間の約9%の臨床
寛解期の差、及び600mgのIVとプラセボとの間の約21%の臨床寛解期の差を示唆
した。
【0380】
これらのデータに基づいて、BIO失敗集団における第12週の臨床寛解率は、プラセ
ボが10%、グセルクマブ200mgのIVが20%、及びグセルクマブ600mgのI
Vが30%であると仮定される。
【0381】
第12週時点でのCON失敗集団の仮定は以下に基づいていた。
・CNTO1275CRD3002では、第8週時点で臨床寛解期にある参加者の割合
は、20.6%の治療差に対し、プラセボ及びウステキヌマブ約6mg/kgでそれぞれ
19.6%及び40.2%であった。8
・現在、CON失敗集団におけるグセルクマブ又は他の抗IL-23剤のデータは利用
可能ではない。同様の母集団におけるCNTO1275CRD3002及び過去の生物学
的試験からのデータに基づいて、CON失敗集団における活性物質とプラセボとの間の治
療効果の差は、BIO失敗集団で観察されるものと比較してより大きいと仮定することは
妥当である。加えて、CON失敗集団における用量応答傾向は、BIO失敗集団で観察さ
れたものと同様であると想定される。
【0382】
これらのデータ及び仮定に基づいて、CON失敗集団における臨床寛解率は、プラセボ
が20%、グセルクマブ200mgのIVが40%、及びグセルクマブ600mgのIV
が50%であると仮定される。
【0383】
グセルクマブ又はその他の抗IL-23剤からの1200mgのIV用量のデータが存
在しない場合、慎重を期するために、BIO失敗集団及びCON失敗集団の両方で、グセ
ルクマブ1200mgのIVの臨床寛解率は、最小でグセルクマブ600mgのIVのそ
れと同様であると仮定される。
【0384】
BIO失敗/CON失敗を組み合わせた集団を考慮に入れ、第12週時点での無作為化
された集団全体についての仮定は、以下に基づくものとした。
・CON失敗患者母集団における参加者の最小25%及び最大50%の比に基づき、第
12週時点で臨床寛解期にある参加者の割合は、プラセボで約12%~15%、グセルク
マブ200mgのIVで約25%~30%、並びにグセルクマブ600mgのIV及びグ
セルクマブ1200mgのIVの両方で約35%~40%であると予想される。
【0385】
第12週時点でのCDAIの変化
BIO失敗集団及びCON失敗集団の仮定は以下に基づくものであった。
・CNTO1275CRD3001においては、第8週時点でのベースラインからの平
均CDAIの変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kgの群でそれぞれ-25.
1(SD=91.41)及び-78.7(SD=91.79)であった。8
・CNTO1275CRD3002においては、第8週時点でのベースラインからの平
均CDAIの変化は、プラセボ及びウステキヌマブ6mg/kgの群でそれぞれ-66.
3(SD=97.81)及び-116.3(SD=102.88)であった。8
【0386】
組み合わせたBIO失敗/CON失敗集団を考慮に入れると、第12週時点でのベース
ラインからの平均CDAIの減少は、一般的SDを100として、第12週時点でプラセ
ボで約45~50、グセルクマブ200mgのIVで約85~95、並びにグセルクマブ
600mgのIV及びグセルクマブ1200mgのIVの両方で約105~115である
と予想される(比較的小規模な第2相試験における変動性の増加を考慮に入れる)。
【0387】
第48週での臨床寛解
CNTO1275CRD3003において無作為に割り付けられた集団と非無作為に割
り付けられた集団とを組み合わせて第48週時点での臨床寛解率を導出したところ、臨床
寛解率は、ウステキヌマブに対するTNFを失敗した参加者で23%、及びCONを失敗
した参加者で50%であった。これにより、参加者の最小で25%及び最大で50%がC
ON失敗集団に由来する無作為化集団全体的では、ウステキヌマブについては第48週の
時点で約30%~36%の臨床寛解を達成することが予想される。臨床寛解におけるグセ
ルクマブとウステキヌマブとの間の15%もの大きな差は、第48週時点でのものである
と推測される。
【0388】
検出力及びサンプルサイズの計算
第2相用量設定試験(GALAXI1)
以下に説明する2つの分析集団の第2相の検出力を、2サンプルt検定(有意水準0.
05)を用いて評価して、第12週時点でのCDAIスコアにおけるベースラインからの
変化におけるグセルクマブ高IV導入用量とプラセボとの有意差を検出した。
【0389】
第12週時点での、一般的SDを100として、グセルクマブ高IV導入用量群におけ
る約105~115対プラセボ群における約45~50の、ベースラインからの平均CD
AI減少を仮定すること:
初期用量決定コホートでは、グセルクマブ高IV導入用量群の50人の参加者、及びプ
ラセボ群の50人の参加者が、α=0.05(両側)に調節されたタイプ1エラー率で、
グセルクマブとプラセボとの間の治療差を検出するために80%超の検出力を提供する(
表8)。5つの用量群では、初期用量決定コホートの総サンプルサイズは、250対象で
ある。
第2相の集団のすべてにおいて、100~250人の参加者が、第3相に対する用量決
定が行われるときまでに移行コホートに登録されることが予想される。したがって、第2
相試験全体のサンプルサイズは、最小で350人の参加者(1用量群当たり70人)から
最大500人の参加者(1用量群当たり100人)までの範囲であると予想される。最小
の参加者数に基づく検出力は、第12週時点でのCDAIスコアのベースラインからの変
化に対しては90%超であり、第12週時点での臨床寛解に対しては85%超である(表
8)。表8:第12週時点でのCDAIの平均変化及び臨床寛解を達成した参加者の割合
に基づく、グセルクマブ対プラセボの治療効果を検出するための検出力
【0390】
安全性分析
有害事象
治験担当者によりeCRFにおいてAEを特定するために使用される報告者が使用した
逐語的用語は、Medical Dictionary for Regulatory
Activitiesを使用して符号化される。治療により発現したAEは、介入期中
に開始するAEであるか、又はベースラインから悪化した既往症の結果であるAEである
。報告される治療により発現したAEのすべてが分析に含まれる。各AEについて、所与
の事象の少なくとも1回の発生を経験する参加者の割合は、介入群毎に要約される。
【0391】
以下のAEの分析を使用して参加者の安全性を評価する。
・AEの頻度及び種類。
・SAEの頻度及び種類。
・治験担当者によって評価された、合理的に関連するAEの頻度及び種類。
・介入の中止につながるAEの頻度及び種類。
・感染症の頻度及び種類。
・注入と時間的に関連するAEの頻度及び種類。
・注射部位反応の頻度及び種類。
【0392】
死亡した、AEのために介入を中止した、又は重大なAEを経験した参加者の要約、リ
スト、データセット、又は参加者の談話は、適宜提供されてもよい。
【0393】
臨床検査室試験
臨床検査室試験の以下の概要を使用して、参加者の安全性を評価する。
・検査室パラメータ、及び検査室パラメータにおけるベースラインからの変化(血液学
的及び化学的)。
・ベースライン後の検査室値(血液学及び化学)に対する最大NCI-CTCAE毒性
等級の要約。
【0394】
NCI-CTCAE等級2以上の任意の異常なベースライン後検査室値を有する参加者
のリストも提供される。
【0395】
自殺念慮及び行動
C-SSRS及びAEに基づく自殺念慮及び行動は、記述的に要約される。
【0396】
その他の分析
薬物動態分析
各サンプリング時点で、血清グセルクマブ及びウステキヌマブ濃度の記述的統計が計算
される。これらの濃度は、治療群毎に経時的に要約される。
【0397】
定量可能な最低濃度未満のすべての濃度又は消失したデータは、濃度データベース又は
データ提示中でそのように標識される。定量可能な最低濃度を下回る濃度は、要約統計に
おいてゼロとして扱われる。
【0398】
非線形混合効果モデリング(nonlinear mixed-effects modeling)を用いる集団PK分
析アプローチを用いて、グセルクマブのPKパラメータを評価する。集団PKパラメータ
推定値に対する重要な共変量の影響が評価され得る。詳細は、集団PK分析計画に提供さ
れ、集団PK分析の結果は別の技術報告に提示される。
【0399】
参加者は、そのデータがPKの正確な評価を可能にしない場合には、PK分析から除外
される(例えば、介入の不完全な投与;介入実施の損なわれた時間)。分析の詳細な規則
は、SAPにおいて指定される。
【0400】
免疫原性分析
グセルクマブ及びウステキヌマブに対する抗体の発生率及び力価は、グセルクマブ又は
ウステキヌマブの用量を受け、かつ、グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の検
出のために適切なサンプルを有するすべての参加者(すなわち、グセルクマブ又はウステ
キヌマブの初回用量後に取得された少なくとも1つのサンプルを有する参加者)毎にそれ
ぞれ要約される。
【0401】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性である参加者のリストが提供され
る。グセルクマブ又はウステキヌマブに対する抗体の最大力価は、グセルクマブ又はウス
テキヌマブに対する抗体が陽性である参加者に関して提供される。
【0402】
グセルクマブ又はウステキヌマブに対する中和抗体(NAb)の出現率は、グセルクマ
ブ又はウステキヌマブに対する抗体が陽性であり、かつグセルクマブ又はウステキヌマブ
に対するNAbに関して評価可能なサンプルを有する参加者毎に要約される。
【0403】
バイオマーカー分析
計画されたバイオマーカー分析は、新たな試験データが有用な科学的情報を提供する可
能性を全く示さない場合は、延期され得る。締切日後に契約供給元又は治験依頼者によっ
て受領されたいかなるバイオマーカーサンプルも分析されず、したがって、バイオマーカ
ー分析から除外される。
【0404】
経時的に得られた血清タンパク質検体及び全血RNAの変化は、治療群毎に要約される
。選択されたマーカーにおけるベースライン値及びベースラインからの変化と、治療に対
する応答と、の間の関連性が調査される。RNA分析は、別の技術報告で要約される。
【0405】
バイオマーカー分析は、グセルクマブの影響を特性決定することにより、治療に関連す
るバイオマーカーを同定し、これらのバイオマーカーがグセルクマブに対する応答を予測
することができるかどうかを判定する。血清、全血分析、糞便、及び粘膜生検分析の結果
は、別の技術報告で報告される。
【0406】
薬物動態学的/薬力学的分析
血清グセルクマブ濃度と有効性測定対との間の関係をグラフを使って分析する。任意の
視覚的傾向が観察される場合、好適な集団PK/PDモデルを開発して、E-R関係を説
明することができる。詳細は、集団PK/PD分析計画中で提供され、集団PK/PD分
析の結果は別の技術報告で提示される。
【0407】
医療資源の利用及び医療経済学的分析
労働生産性を含む医療資源の利用及び医療経済性は、治療群毎に要約される。
【配列表】
2024054119000001.app
【手続補正書】
【提出日】2024-02-13
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明細書に記載の発明。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0407
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0407】
医療資源の利用及び医療経済学的分析
労働生産性を含む医療資源の利用及び医療経済性は、治療群毎に要約される。

以下の態様を包含し得る。
[1] 患者におけるクローン病を治療する方法であって、前記患者にIL-23に対する抗体を投与することを含み、前記抗体は軽鎖可変領域及び重鎖可変領域を含み、前記軽鎖可変領域は、
配列番号50の軽鎖相補性決定領域1(CDRL1)アミノ酸配列と、
配列番号56のCDRL2アミノ酸配列と、
配列番号73のCDRL3アミノ酸配列と、を含み、
前記重鎖可変領域は、
配列番号5の重鎖相補性決定領域1(CDRH1)アミノ酸配列と、
配列番号20のCDRH2アミノ酸配列と、
配列番号44のCDRH3アミノ酸配列と、
を含む、方法。
[2] 前記抗体が、初期静脈内投与量で、初期治療から4週間後には静脈内投与量で、初期治療から8週間後には静脈内投与量で、及び8週間の投与後には4週間又は8週間毎に皮下投与量で投与される、上記[1]に記載の方法。
[3] 前記静脈内投与量が、1200mg、600mg、及び200mgからなる群から選択される、上記[2]に記載の方法。
[4] 前記皮下投与量が、100mg又は200mgである、上記[3]に記載の方法。
[5] 前記静脈内投与量が1200mgであり、前記皮下投与量が4週間毎に200mgである、上記[4]に記載の方法。
[6] 前記静脈内投与量が600mgであり、前記皮下投与量が4週間毎に200mgである、上記[4]に記載の方法。
[7] 前記静脈内投与量が200mgであり、前記皮下投与量が8週間毎に100mgである、上記[4]に記載の方法。
[8] 前記患者が前記抗体に対する応答者であり、以下に示す臨床エンドポイント、すなわち
(i)第12週時点での、クローン病活動性指数(CDAI)スコアにおけるベースラインからの変化であって、前記CDAIスコアが、0~約600の範囲のスコアを有する8つの異なるクローン病関連変数に関する情報を収集することによって評価され、経時的な減少が、疾患活動性の改善を示す、変化;
(ii)150ポイント未満(<)のCDAIとして定義される、第12週時点での臨床寛解;
(iii)CDAIスコアのベースラインから100ポイント以上(>=)の減少、又はCDAIスコア150未満であるとして定義される、第12週時点での臨床応答;
(iv)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定義される、第12週時点での患者報告アウトカム(PRO)-2寛解;
(v)前記CDAIスコアと、C反応性タンパク質(CRP)又は便中カルプロテクチンのベースラインからの低減とに基づき、臨床応答を用い定義される、第12週時点での臨床バイオマーカ反応;
(vi)クローン病の内視鏡スコア(Simple Endoscopic Score for Crohn’s Disease)(SES-CD)によって測定される、第12週時点での内視鏡応答であって、全スコアが0~56の範囲である、5つの回腸結腸セグメントにわたる4つの内視鏡コンポーネントの評価に基づく、内視鏡応答;
(vii)CDAIスコアが150未満であるとして定義される、第48週時点の臨床寛解;
(viii)第12週から第48週までの間の全来診のほとんどに関してCDAIが150未満であるとして定義される、第48週時点での永続的臨床寛解;
(ix)第48週時点でCDAIスコアが150未満であり、かつ第48週時点でコルチコステロイドを服用していないとして定義される、第48週時点でのコルチコステロイドなし臨床寛解;
(x)平均1日排便回数(SF)及び腹痛(AP)スコアの1日平均値に基づいて定義される、第48週目のPRO-2寛解であって、第12週時点での疲労応答が患者報告アウトカム測定情報システム(PROMIS)に基づき、Fatigue Short Form 7aが、疲労の重症度を評価する7つの項目を含み、点数が高くなるほど疲労が強いことを示す、PRO-2寛解;並びに
(xi)クローン病の内視鏡スコア(SES-CD)によって測定される第48週時点での内視鏡応答、
を満たすものとして同定される、上記[2]に記載の方法。
[9] 前記臨床エンドポイント(複数可)が、初期治療後8週間、12週間、16週間、20週間、28週間、32週間、36週間、40週間、44週間及び/又は週間で測定される、上記[8]に記載の方法。
[10] 前記抗体が、前記医薬組成物の7.9%(w/v)のスクロース、4.0mMのヒスチジン、6.9mMのL-ヒスチジン一塩酸塩一水和物と、
0.053%(w/v)のポリソルベート80と、を含む組成中にあり、
希釈剤は標準状態の水である、
上記[7]に記載の方法。
[11] クローン病を治療するために使用される1つ以上の追加の薬剤を前記患者に投与することを更に含む、上記[1]に記載の方法。
[12] 前記追加の薬剤が、免疫抑制剤、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、メトトレキサート(MTX)、抗B細胞表面マーカ抗体、抗CD20抗体、リツキシマブ、TNF阻害剤、コルチコステロイド、及び共刺激調節剤からなる群から選択される、上記[11]に記載の方法。
[13] 前記抗体が、配列番号116のアミノ酸配列の軽鎖可変領域と、配列番号106のアミノ酸配列の重鎖可変領域と、を含む、上記[1]に記載の方法。
【外国語明細書】