(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054182
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】非対称に置換されたポリオルガノシロキサン誘導体
(51)【国際特許分類】
C07F 7/18 20060101AFI20240409BHJP
C07F 9/40 20060101ALI20240409BHJP
C07F 19/00 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C07F7/18 B
C07F7/18 J
C07F7/18 G
C07F7/18 S
C07F7/18 C
C07F7/18 Z
C07F9/40 Z
C07F19/00
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024014327
(22)【出願日】2024-02-01
(62)【分割の表示】P 2018502665の分割
【原出願日】2016-07-20
(31)【優先権主張番号】62/194,563
(32)【優先日】2015-07-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】512135078
【氏名又は名称】モメンティブ パフォーマンス マテリアルズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Momentive Performance Materials GmbH
【住所又は居所原語表記】Chemiepark Leverkusen,Gebaeude V7,51368 Leverkusen,Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100087642
【弁理士】
【氏名又は名称】古谷 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100082946
【弁理士】
【氏名又は名称】大西 昭広
(74)【代理人】
【識別番号】100195693
【弁理士】
【氏名又は名称】細井 玲
(72)【発明者】
【氏名】ホフミューラー,グナー
(72)【発明者】
【氏名】フェルダー,トルステン
(72)【発明者】
【氏名】ワグナー,ロランド
(72)【発明者】
【氏名】ケンスボック,フィリプ
(72)【発明者】
【氏名】ヴィトゼク,アニタ
(72)【発明者】
【氏名】エフェルト,シルヴィア
(72)【発明者】
【氏名】ヘルマン,ヨルグ-ヴォルター
(72)【発明者】
【氏名】ホッシンガー,ジークフリード
(72)【発明者】
【氏名】ヘーズラー,アンドレアス
(57)【要約】 (修正有)
【課題】従来のシロキサンの欠点が少なく、表面改質剤および/または分散助剤または相溶化剤としての使用に有益な効果を提供することができる非対称ポリシロキサンを提供する。
【解決手段】少なくとも1以上のシロキサンブロックおよびシロキサン鎖の各末端での異なる反応基、例えば、アルコキシシリル、アルケニル、エポキシ、ヒドロキシ芳香族、またはイオン性置換基を含む、非対称に置換されたポリオルガノシロキサン。各ポリオルガノシロキサンブロックは、実質的に、単峰性鎖長分布を有し、有機もしくは無機粒子のための表面改質剤として、表面活性材として、および/または、2以上の非混和性相を有する組成物中の相溶化剤として適している。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含むポリオルガノシロキサンであって、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=1-9、
m=1-5、
ここでR=R
1
RまたはR
1は、任意にてFで置換されてもよい、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリール、C8-C22-多環式アリール、C7-C23-アルキルアリール、および、C7-C22-アリールアルキル基からなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは単結合、2価または3価の基L
1またはL
2であって、1以上の-O-、-または-NR
3-C(O)-、および/または-NR
3-、ウレタン-OC(O)NR
3-、ウレア-N-R
3HC(O)N-R
3-部分で中断され、1以上のOH基で置換されうる、2価のC1-C12-アルキレン基からなる群から選択されるものであり、ここでR
3は、水素、Me
3Si-またはC1-C8アルキルであり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2はZから選択され、Zは、R
1、R
2、水素、1価の非置換または置換C1-C30炭化水素、およびO、N、SおよびP原子を含むイオン性基からなる群から選択され、より詳細には
Zはさらに、C8-C22-アルキルアリールアルキル、C6-C22-アリールエーテル、C6-C22-シクロアルキル、C7-C22-シクロアルキルアルキレン、C7-C22-ビシクロアルキル、C6-C12-シクロチオアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリール、C1-C20-アルキルアルデヒド、およびC7-C20-アルキルアリールアルデヒドであって、任意にてC1-C8-アルキル、OH、Cl、Br、CNおよびシリルエーテル基R
1
3Si-O-で置換されてもよいものからなる群から選択され、および、OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドから選択され、ここで
R
2は、C2-C22-アルケニル、C6-C22-シクロアルケニル、C7-C22-ビシクロアルケニルアルキレン、C2-C22-アルキニルからなる群から選択される1価の不飽和の非置換または置換のアルケニルまたはアルキニル基、および、C3-C22-オキシラニル基およびC4-C23-カーボネート化合物からなる群から選択されるR
2の関連するオキシラニルおよびカーボネート誘導体、
および、Cl、Br、I、-SH、-S-R
1、-OH、-O-R
1、-CN、-NCO、ブロックNCOから選択される基、および、(R
1X)
xR
1
3-xSi-、R
6
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここで
X=OH、OR
1、-NR
1
2、R
1-C(O)-O-、ここで
R
6=C6-C10-アリール、C7-C12-アリールアルキル、C6-C12-シクロアルキル、C7-C16-ビシクロアルキル、C3-C12-エポキシアルキル、C6-C12-エポキシシクロアルキル、C7-C16-エポキシビシクロアルキル、C6-C12-チオシクロアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリール、および、
カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、ホスフィン、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、-S-S(O)
2(OR
3)、および、第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2またはホスフィン-PR
3
2、および、アミン、ホスフィンの酸付加塩、好ましくは、第4級-N
+R
1
3または-P
+R
1
3基を有する塩、および、
下記式のアルキルまたはアリールエナミン、
【化1】
ここでR
3は水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、R
1
3Si-である、
から選択され、
全ての基はLの単結合または炭素結合を介してポリオルガノシロキサン(I)のシロキシ単位のケイ素原子に結合し、ここで
-L-Z
2および-L-Z
1は異なる、ポリオルガノシロキサン。
【請求項2】
前記ポリオルガノシロキサンは、1、4または9の指数pを有する、請求項1に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項3】
RおよびR
1は、メチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、フェニル、スチリル、フェニルプロピル、ナフチルであり、
L
1およびL
2は、単結合、2価または3価のC1-C12-アルキレン基であって、1以上の-O-、-または-NR
3-C(O)-、および/または-NR
3-部分で中断され、1以上のOH基で置換されうるものから選択され、
Z
1およびZ
2はZから選択され、ここでZは、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、アリルオキシプロピル、-CH
2C≡CH、-C(O)C≡CH、-C(O)(CH
2)
8CH=CH
2、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、アリルオキシフェニルオキシプロピル、
-(OCH
2CH
2O)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OCH=CH
2、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは0から20であり、そしてa+b+c=1-20、
-[-Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2]CH=CH
2、および、
【化2】
および、(R
1X)
xR
1
3-xSi-、ここでx=1-3、ここでX=OH、OR
1、-NR
1
2、R
1-C(O)-O-、
および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分、
【化3】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
ここで基R
11からR
13の少なくとも1つはOH基であり、
オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、
グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、
【化4】
およびこれらのエポキシドのカーボネート誘導体、1,3-ジチオラン、1,3,5-トリチアン、1,3-ジチアン、チオフェニル、テトラヒドロ-2H-チオピラニル、カルバゾール、インドール、トリスフェニルシリル、および、
R
6Me
2Si-、ここでR
6=C6-C10-アリール、C7-C12-アリールアルキル、C6-C12-シクロアルキル、C7-C16-ビシクロアルキル、C6-C12-シクロチオアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリールであって、任意にてC1-C8-アルキル、OH、Cl、CN、およびシリルエーテル基R
1
3Si-O-で置換されてもよく、
および、Cl、-S-H、-NCO、ブロックNCOから選択される基、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、ホスフィン、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、-S-S(O)
2(OR
3)、および、第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2またはホスフィン-PR
3
2、および、アミン、ホスフィンの酸付加塩、好ましくは、第4級-N
+R
1
3または-P
+R
1
3基を有する塩、ここでR
3は前記定義通りである、
からなる群から選択され、
ここで-L
2-Z
2および-L
1-Z
1は異なる、請求項1または2に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項4】
R
1は、メチル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピルからなる群から選択され、
LはL
1およびL
2から選択され、そして前記定義通りであり、
Z
1およびZ
2はZから選択され、フェニル、フェニルプロピル、スチリル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテルであり、
および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分、
【化5】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
ここで基R
11からR
13の少なくとも2つはOH基であり、および、
ノルボルニル、ビニル、アリル、アリルオキシプロピル、ヘキセニル、ノルボルネニル、シクロヘキセニルエチル、リモニル、およびグリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、およびこれらエポキシドのカーボネート誘導体、
および、Cl、-S-H、-NCO、ブロックNCOから選択される基、および、(R
1X)
xR
1
3-xSi-、R
6
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここで
X=OH、OR
1、-NR
1
2、R
1-C(O)-O-、ここで
R
6=フェニル、ナフチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、および第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2、およびアミンの酸付加塩、第4級-N
+R
1
3を有する塩、およびエナミン
から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、ここで
-L
2-Z
2および-L
1-Z
1は異なる、請求項1から3のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項5】
Z
1は、x=1-3、R
1=C1-C8-アルキルの構造(R
1O)
xR
1
3-xSiのアルコキシシリル置換基の群、および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分、
【化6】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
ここで基R
11からR
13の少なくとも2つはOH基であり、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-H、(HO)
2-P(O)-O-、(HO)
2-P(O)-、ホスホネート (H-O)
2-P-、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、および第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2、およびアミンの酸付加塩、第4級-N
+R
1
3を有する塩、およびエナミン
から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、
Z
2は、フェニル、フェニルプロピル、スチリル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、ノルボルニル、ビニル、アリル、アリルオキシプロピル、ヘキセニル、オクテニル、ノルボルネニル、シクロヘキセニルエチル、リモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、およびこれらエポキシドのカーボネート誘導体、およびこれらのC4-C23-カーボネート基、および
-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、ここでR
3=R
1、および、Cl、-SH、-NCO、ブロックNCOから選択される基、および、トリフェニルシリルおよびR
6R
1
2Si-から選択される基、
ここで
R
6は、フェニル、ナフチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
からなる群から選択され、
ここで
-L-Z
2および-L-Z
1は異なる、請求項1から4のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項6】
前記ポリオルガノシロキサンは、式(Ia)であり、
【化7】
そしてR、R
1、Z
1、L
1、Z
2およびL
2は前記定義通りである、請求項1から5のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項7】
前記ポリオルガノシロキサンは、式(IIa)から(IIf):
【化8】
R、R
1=メチル、3,3,3-フルオロプロピル、フェニル、そして互いに異なることができ、
p=1または4または9、
n=0-6、そして
L
1およびL
2は、C1-C14-アルキル、C1-C14-アルキルエーテル基の群から選択され、そして互いに異なることができる、
を有する群の化合物から選択される、請求項6に記載のポリオルガノシロキサン。
【請求項8】
請求項6に記載のポリオルガノシロキサンを形成するプロセスであって、
i)第1の化合物L*-Z1を、式Z*-L-SiR1
2-O[-SiR2O-]p-1-SiR1
2-L-Z*の対称なα,ω-末端ポリオルガノシロキサンと反応させること、
p=1または4または9
Z*=水素(SiHにおける)、R2、Z1またはZ2
任意にて触媒の存在下でなされ、ここでR1、Z1、L、L1およびL2は、前記定義通りであり、L*は不飽和C2-C20-アルケニルまたはシランもしくはシロキサン部分のSiH基であり、ここでL*およびZ*はその反応ステップにおいて単位-L1-Z1を形成し、
ii)ステップi)の生成物を任意にて蒸留により分離すること、ここで1つの基Z*が反応して-L1-Z1を形成しており、
iii)ステップii)の単官能化生成物を式L**-Z2の化合物とさらに反応させて基-L2-Z2を形成すること、ここでL**は、不飽和C2-C20-アルケニルまたはシランもしくはシロキサン部分SiH基であり、
および、
iv)任意にて、分離ステップ、および、
v)任意にて、基Z2をさらに第3の反応に付して、最終基Z22を含む飽和または不飽和のC2-C8-エステルまたは炭化水素アミンまたはアンモニウム基を形成すること
を含むプロセス。
【請求項9】
(i)-(v)は、
(i)式(R
1O)
xR
1
3-xSi-Hのアルコキシシランまたは有機官能性ジシロキサンZ
*-L-R
2Si-O-SiR
2Hを下記式のジアルケニル化合物と反応させること、
【化9】
p=1または4または9
ヒドロシリル化触媒の存在下でなされ、ここでx、R、R
1は、前記定義通りであり、
ii)生成物を任意にて蒸留により分離すること、ここで1つのアルケニル基-L
**-Z
1は反応して-L
1-Z
1を形成しており、
iii)ステップii)のモノアルケニル基官能性生成物を式L
**-Z
2の1つのSiH基を有するシランまたはシロキサン化合物とさらなるヒドロシリル化反応に付して基-L
2-Z
2を形成すること、および
iv)任意にて、分離ステップ、および
v)任意にて、基Z
2をさらに第3の反応に付して、最終基Z
22を含む不飽和C2-C8-エステルまたは炭化水素アミンを形成するステップ
を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項10】
(i)-(v)は、
(i)式(R
1O)
xR
1
3-xSi-L-CH=CH
2のアルコキシシランまたはアルケニル官能化ジシロキサンZ
*-L-R
2Si-O-SiR
2-R
2を、下記式の水素シロキサンと反応させること、
【化10】
p=1または4または9
ヒドロシリル化触媒の存在下にてなされ、ここでx、R、R
1は、前記定義通りであり、
ii)生成物を任意にて蒸留により分離すること、ここで1つのSiH基は反応して-L
1-Z
1を形成しており、
iii)ステップii)のモノSiH基官能性生成物を、式L
**-Z
2の不飽和化合物とのさらなるヒドロシリル化反応に付して、基-L
2-Z
2を形成すること、および
iv)任意にて分離ステップ、および
v)任意にて基Z
2をさらに第3の反応に付して、最終基Z
22を含む不飽和C2-C8-エステルまたは炭化水素アミンを形成するステップ
を含む、請求項8に記載のプロセス。
【請求項11】
請求項1に記載の式(I)のポリオルガノシロキサンブロックポリマーを形成するためのプロセスであって、
Z-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z
L、Zは、前記定義通りであり、
Rは、RおよびR1から選択され、
p=1または4または9、
m=3-7、
a1)第1の対称に置換された化合物Z*-L-[SiR2O]p-SiR2-L-Z*を、2モルの式Z**-L-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L-Z**のα,ω-末端ポリオルガノシロキサンと反応させるステップ、
Z*=水素(SiHにおける)、アルケニル、OH-、Cl-またはBr-アルキル、エポキシ、アミン、-NCO
Z**は、Z*およびZ1およびZ2から選択され、任意にて触媒の存在下で互いに相補的に反応することがありえ、ここでp=1または4または9、
R、R1、L、L1、L2は前記定義通りであり、R*は、RまたはR1であり、それらの各々が異なることができ、
ここでステップa1)におけるZ*およびZ**は、Z**-L-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L3-[SiR2O]p-SiR2-L3-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L-Z**というように、単位-L3-を形成し、
a2)ステップa1)の生成物を任意にて蒸留により分離するステップ、ここで2つの基Z*およびZ**は、反応して2つの単位-L3-および3個のシロキサンブロック-[SiR2O]pを有する分子を形成しており、
a3)任意にてステップa1)およびa2)を繰り返し、任意にてステップa2)の副生成物を分離し、
ステップa2)の二官能化の対称に置換された生成物を1または2モルの式Z*-L-SiR**
2-O-[R2Si-O-]p-1-SiR**
2-L-Z*の化合物とさらに反応させて4または5個のシロキシブロックを有する分子を形成するステップ、および、
a4)ステップa2)またはa3)の対称に置換された反応生成物を、基Z*およびZ**を含む部分間の第3の反応に付して、連結単位L4および6または7個のシロキシブロックを有する最終生成物を形成し、ここで非対称に置換されたポリオルガノシロキサンを形成するよう、Z1およびZ2は異なり、
ステップa4)の副生成物を任意にて蒸留により分離して
Z1-L1-[SiR**
2O]p-SiR**
2-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-1-L2-Z2、
L=L3またはL4
m=4
Z1-L-[SiR**
2O]p-SiR**
2{-L[SiR2O]p-SiR2}m-2-L-[SiR**
2O]p-SiR**
2-L-Z2
m=5
p=1または4または9
Z1およびZ2は前記定義通りでありそして異なる、
を得るステップ、
を含む、プロセス。
【請求項12】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサンを少なくとも1つ含む組成物。
【請求項13】
前記組成物は、光学デバイスに有用なコーティング組成物、ゴム組成物における使用のための硬化組成物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項14】
前記組成物は防汚組成物である、請求項12に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含む式(1)のポリオルガノシロキサンを含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=1-9、
m=1-5、
ここで
R=R1は、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、単結合、2価または3価の基L1またはL2であって、2価のC1-C12-アルキレン基または2価または3価のC1-C12-アルキリデン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断され、および1以上のOH基で置換されることがありえ、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルであり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
a)C3-C22直鎖状アルキル、C3-C22分岐状アルキル、C8-C22-アルキルアリールアルキル、C6-C22-アリールエーテル、C6-C22-シクロアルキル、C7-C22-シクロアルキルアルキレン、C7-C22-ビシクロアルキルまたはそれらの組み合わせからなる群から選択される、非置換または置換の、直鎖状、分岐状または環状の、飽和または不飽和のC1-C30炭化水素、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシド、ここでR3はC1-C8アルキルから選択され、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここで但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の防汚組成物。
【請求項16】
前記組成物は、式(I)の2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を有する式(I)のポリオルガノシロキサンを含み、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=1-4、
m=1-2、
ここで
R=R
1は、1価のC1-C3アルキル、C6アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L
1またはL
2であって、2価のC1-C8-アルキレン基または2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に、
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
-CH=CH-CH
2O-、
【化11】
-CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化12】
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
c)非置換または置換の、直鎖状、分岐状、または環状の、飽和または不飽和のC1-C22炭化水素、すなわち、C3-C18直鎖状アルキル、C3-C18分岐状アルキル、C8-C15-アルキルアリールアルキル、C6-C9-アリールエーテル、C6-C10-シクロアルキル、C7-C18-シクロアルキルアルキレン、C7-C16-ビシクロアルキル、
特に
-(CH
2)
10CH
3、-(CH
2)
12CH
3、-(CH
2)
14CH
3、-(CH
2)
16CH
3、
-(CH
2)
7CH=CH(CH
2)
7CH
3、
-CH(C
2H
5)CH
2CH
2CH
2CH
3、
コッホ酸由来残基、すなわち
-C(CH
3)
3、-C(CH
3)
2CH
2CH
3、-C(CH
3)
2CH2CH
2CH
3、
下記構造のバーサティック酸11由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=8
下記構造のバーサティック酸10由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=7
すなわち
-C(CH
3)(C
2H
5)CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、
-C(CH
3)(C
3H
7)(C
4H
9)、
下記構造のバーサティック酸9由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=6
【化13】
d)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここで但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の防汚組成物。
【請求項17】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含む式(1)のポリオルガノシロキサンを含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L1またはL2であって、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
c)非置換の分岐状飽和C1-C22炭化水素、すなわち、C3-C18分岐状アルキル、特に
コッホ酸由来残基、すなわち、
-C(CH3)3、-C(CH3)2CH2CH3、-C(CH3)2CH2CH2CH3、
下記構造のバーサティック酸11由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=8
下記構造のバーサティック酸10由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=7
すなわち
-C(CH3)(C2H5)CH2CH2CH2CH2CH3、
-C(CH3)(C3H7)(C4H9)、
下記構造のバーサティック酸9由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=6
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、
ここでX=-O-、
ここで但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の防汚組成物。
【請求項18】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含むポリオルガノシロキサンを含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L1またはL2であって、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
d)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH2CH2-)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-OH、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20であり、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、5-20、7-20、または7-15であり、
bは好ましくは0-20、0-10、0-5、または1-5であり、
cは好ましくは0-20、0-10、0-5、または1-5であり、
a+b+cは、2-20、5-20、7-20、または7-15であり、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここで但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の防汚組成物。
【請求項19】
ポリオルガノシロキサンの混合物を含み、該混合物は、(i)Z1およびZ2置換基がa)およびc)から選択される請求項15から18のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサン、(ii)Z1およびZ2置換基がb)およびc)から選択される請求項15から18のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサンを含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の防汚組成物。
【請求項20】
ポリオルガノシロキサン(i)とポリオルガノシロキサン(ii)との間の重量%比は、10:90から90:10、30:70から70:30、40:60から60:40、または50:50である、請求項19に記載の防汚組成物。
【請求項21】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含む式(1)のポリオルガノシロキサンを含む防曇組成物であって、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=1-9、
m=1-5、
ここで
R=R1は、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、単結合、2価のC1-C12-アルキレン基または2価または3価のC1-C12-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であって、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルであり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシド、ここでR3はC1-C8アルキルから選択され、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR1は前記定義通りであり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含む式(1)のポリオルガノシロキサンを含む防曇組成物であり、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=1-4、
m=1-2、
ここでR
R=R
1は、1価のC1-C3アルキル、C6アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L
1またはL
2であって、2価のC1-C8-アルキレン基または2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に、
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
-CH=CH-CH
2O-、
【化14】
-CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化15】
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
b)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、独立して0-20、そしてa+b+c=1-20、2-20、5-20、7-20、または7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR
1は前記定義通りであり、好ましくは、CH
3-およびCH
3CH
2-であり、但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項23】
前記組成物は、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含む式(1)のポリオルガノシロキサンを含む防曇組成物であり、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここでR
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L1またはL2であって、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH2CH2-)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-OH、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20であり、そしてa+b+c=1-20、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここでR1は前記定義通りであり、好ましくは、CH3-およびCH3CH2-であり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される、請求項14に記載の組成物。
【請求項24】
前記組成物は、
A)2つの異なる末端基Z1およびZ2ポリオルガノシロキサンを含む式(I)のポリオルガノシロキサンであって、ZとしてZ1およびZ2置換基b)およびc)を含み、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件であり、
B)シラン(R1X)xR1
4-xSi、ここでx=1-4、
ここでX=-O-、-OC(O)-、
ここでR1は前記定義通りであり、
C)シラン(R1X)xR1
3-xSi-R10、ここでx=1-3、
ここでX=-O-、-OC(O)-、
ここでR1は前記定義通りであり、
R10は、C2-C22-アルキル基からなる群から選択される1価の基であって、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断されることがありえ、そして少なくとも1以上のOH基で置換され、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルである、
を含む防曇組成物である、請求項22または23に記載の組成物。
【請求項25】
A)式(I)の2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含むポリオルガノシロキサン、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R
1は、1価のC1-C3-アルキルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価または3価の基L
1またはL
2であって、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基からなる群から選択され、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
b)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20であり、そしてa+b+c=1-20、2-20、5-20、7-20、または7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、ここでR
1は前記定義通りであり、好ましくは、CH
3-およびCH
3CH
2-であり、但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択され、
B)シラン(R
1X)
xR
1
4-xSi、ここでx=1-4、
ここでX=-O-、
ここでR
1は前記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、
C)シラン(R
1X)
xR
1
3-xSi-R
10、ここでx=1-3、
ここでX=-O-、ここで
R
1は前記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、
R
10は、C2-C22-アルキル基からなる群から選択される1価の基であって、1以上の-O-、-C(O)- 部分で中断されることがありえ、そして少なくとも1以上のOH基で置換され、
R
10は好ましくは式-L-Z
3を有し、ここで
Lは、前記定義通りであり、好ましくは
2価のC1-C9-アルキレン基または2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に、
-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
【化16】
-CH=CH-CH
2O-、
【化17】
-CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH
2CH
2CH
2OCH
2CH(OH)CH
2OC(O)-、
【化18】
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化19】
Z
3は、2価のC1-C18-アルキル基またはC1-C10-アルキリデン基からなる群から選択される基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断されることがありえ、そして1以上のOH基、1-10のOH基、1-7のOH基、または1-5のOH基で置換される、
を含む請求項21に記載の組成物。
【請求項26】
基Z3は、
C2-C12の飽和または不飽和ヒドロキシアルキルカルボン酸;
C2-C12の飽和または不飽和ポリヒドロキシアルキルカルボン酸;
C7-C12のヒドロキシ芳香族カルボン酸;
C7-C12、好ましくはC7-C9のポリヒドロキシ芳香族カルボン酸;
から選択されるヒドロキシル官能化カルボン酸に由来する、
またはジ-またはそれ以上のヒドロキシル化アルコールに由来する、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
A):B):C)の重量%比が、10:80:10から40:20:40、15:70:15から30:40:30、または30:60:10から10:60:30である、請求項25または26に記載の組成物。
【請求項28】
aが2から20、5から20、7から20、または7から15、bが0から20、0から10、0から5、または1から5、およびcは、0から20、0から10、0から5、または1から5である、請求項21から25のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項29】
請求項1から7のいずれか一項に記載の少なくとも1つのポリオルガノシロキサンが使用される、無機粒子を分散する、または2以上の非混和性液相を相溶する方法。
【請求項30】
請求項1から7のいずれか一項に記載のポリオルガノシロキサンが使用される、防汚剤を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願との相互参照
本出願は、2015年7月20日に出願された「非対称に置換されたポリオルガノシロキサン誘導体」という表題の米国仮出願第62/194,563号に対する優先権を主張し、その開示はその全体が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
分野
本発明は、シロキサン材料に関し、特に、種々の系における分散助剤、界面活性剤または相溶化剤として好適なシロキサン材料に関する。本発明は、有機および無機表面、有機および無機粒子の被覆に適し、および/または物質または分離した液相、例えば、一緒に混合されて相分離する傾向がある溶液またはポリマー系の相溶性を高めることができる、非対称に置換されたジ-およびペンタシロキサン誘導体およびそのオリゴマーに関する。本発明につながる研究は、「助成契約」第263382号の下、EU第7次フレームワーク計画(FP7-NMP-2010-LARGE-4)からの資金提供を受けている。防汚プロジェクトは、ドイツ連邦経済エネルギー省から「助成契約」03SX370Hの下で資金提供を受けている。
【背景技術】
【0003】
背景
ポリシロキサンまたはオリゴシロキサンに基づく分散助剤は、従来技術において周知である。例えば、ポリジオルガノシロキサンオキサンは、シリカおよび無機酸化物の分散に有用である。例えば、シリカ、アルミニウム、チタン、亜鉛、ジルコニウムまたはスズの金属酸化物、および他の金属酸化物のような充填材は、様々な組成物で使用される。このような充填材は、コーティングまたはゴム組成物にいくつかの理由で適用される。例えば、機械的強度を提供するため、またはそれらの組成物の光学特性を向上させるなどの、物理的特性を改善するために充填材を添加することができる。充填材の分散の質を向上させるために、マトリックスポリマー間の光学特性または充填材とマトリックスポリマーとの間の化学結合をより良好に調整するために、2つの異なる末端基を有するシロキサンを提供することが望ましい。いかなる特定の理論にも縛られることなく、1つの基は、充填材または任意の第1の基材と相互作用する好ましい能力を有することがありえ、第2の基は、組成物のマトリックスポリマーとの反応のために有用でありえ、またはそれらの充填材粒子または基材を遮蔽し得る基を提供することがありえる。2つの異なる末端基を有するこのような非対称ポリオルガノシロキサンを達成するための多くの試みがなされている。合成は、(i)特定の末端基に限定されるか、または(ii)平衡反応を排除しないかのいずれかであり、すなわち、この反応は、2つの同一の末端基を有する、または所望の官能性を持たない環状シロキサンを含む他の副生成物を生じさせる。
【0004】
したがって、従来のシロキサンの欠点が少なく、表面改質剤および/または分散助剤または相溶化剤としての使用に有益な効果を提供することができる非対称ポリシロキサンが依然として必要とされている。
【発明の概要】
【0005】
概要
驚くべきことに、本発明者らは、2つの異なる末端基および良く分けられたシロキサン鎖長を有するポリオルガノシロキサンを提供する合成経路を見出した。ポリオルガノシロキサン材料は、比較的短鎖のシロキサンであり、これは、表面改質剤、分散助剤または相溶化剤などを含む様々な用途で使用することができる。
【0006】
一態様では、本発明は、鎖長の単峰性分布、すなわち小さな多分散指数を有する非対称に置換された短鎖のシロキサン誘導体を提供する。種々の反応性末端基は、末端基としてのアルコキシシリル、不飽和、エポキシ、イオン性およびジ-またはトリヒドロキシ芳香族置換基から選択される。本発明による2つの異なる反応性基の挿入により、鎖の末端に2つの異なる反応性部分を有する非対称ポリオルガノシロキサンが得られる。一実施形態では、反応性部分は、エポキシ、オレフィン部分、アセチレン部分など、またはそれらの2以上の組み合わせから選択され、ここで他の末端位置にある基は、縮合または置換反応を受ける能力を有していてもよい。本発明の別の態様は、ポリオルガノシロキサンの比較的狭い分子量分布を含む非対称に置換されたポリオルガノシロキサンを提供することである。一実施形態では、シロキサン化合物は、実質的に鎖長の単峰性分布、すなわち、85重量%を超える同じ鎖長を有する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、本発明の態様による非対称に置換されたポリオルガノシロキサン誘導体を含む防汚コーティング組成物の防汚/汚れ剥離性能を示すグラフである。
【
図2】
図2は、海浸漬の85日後に異なる材料で被覆されたパネルA-Fの汚染範囲を示す画像である。
【
図3】
図3は、海浸漬の189日後に異なる材料で被覆されたパネルA-Fの汚染範囲を示す画像である。
【
図4】
図4は、海浸漬の219日後に異なる材料で被覆されたパネルA-Fの汚染範囲を示す画像である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
詳細な説明
2つの異なる末端基を含むポリオルガノシロキサンが提供され、ここでポリオルガノシロキサンが低い多分散指数を示す。ポリオルガノシロキサンは、様々な用途および材料において用途を見出すことができる。
【0009】
特定の均一なシロキサン前駆体の使用に基づいて、本発明者らは、それぞれが高純度のレベルで小さな多分散指数の両端にちょうど2つの異なる反応基を有するポリオルガノシロキサンを合成することができ、それは、数平均分子量に対する重量平均分子量の比、Mw/Mnによって特徴づけられる。ここでそれは1から1.2の範囲である。本発明者らは、末端基を段階的に挿入する方法を見出し、ここで、各反応ステップの後に、第1の末端基の付加の完全性を制御し、次いで第2の異なる末端基の付加を制御することができる精製ステップを適用することができる。非平衡シロキサン合成において生成される単峰性ポリオルガノシロキサン前駆体に反応性末端基を段階的に付加することは、本発明の概念の一部である。
【0010】
一態様において、2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含む式(I)のポリオルガノシロキサンが提供され:
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
ここで
p=1-9、
m=1-5
ここでR=R
1
RまたはR
1は、任意にてFで置換されてもよい、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリール、C8-C22-多環式アリール、C7-C23-アルキルアリール、および、C7-C22-アリールアルキル基からなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは単結合、あるいは、1以上の-O-、-または-NR
3-C(O)-、および/または-NR
3-、ウレタン-OC(O)NR
3-、ウレア-N-R
3HC(O)N-R
3-部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえる(R
3は、水素、Me
3Si-またはC1-C8アルキル)、2価のC1-C12-アルキレン基からなる群から選択される2価または3価の基L
1またはL
2であり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、ここで
Z
1およびZ
2はZから選択され、Zは、R
1、R
2、水素、1価の非置換または置換C1-C30炭化水素、および、O、N、SおよびP原子を含むイオン性基からなる群から選択され、より具体的な実施態様において、Zは、C8-C22-アルキルアリールアルキル、C6-C22-アリールエーテル、C6-C22-シクロアルキル、C7-C22-シクロアルキルアルキレン、C7-C22-ビシクロアルキル、C6-C12-シクロチオアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリール、C1-C20-アルキルアルデヒド、およびC7-C20-アルキルアリールアルデヒドであって、任意にてC1-C8-アルキル、OH、Cl、Br、CNおよびシリルエーテル基R
1
3Si-O-で置換されてもよいものからなる群から選択され、および、OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドから選択され、そしてここで
R
2は、C2-C22-アルケニル、C6-C22-シクロアルケニル、C7-C22-ビシクロアルケニルアルキレン、C2-C22-アルキニルからなる群から選択される1価の不飽和、非置換または置換のアルケニルまたはアルキニル基、および、C3-C22-オキシラニル基およびC4-C23-カーボネート化合物からなる群から選択されるR
2の関連するオキシラニルおよびカーボネート誘導体、
および、Cl、Br、I、-SH、-S-R
1、-OH、-O-R
1、-CN、-NCO、ブロックNCO、から選択される基、および、
(R
1X)
xR
1
3-xSi-、R
6
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=OH、OR
1、-NR
1
2、R
1-C(O)-O-、ここで
R
6=C6-C10-アリール、C7-C12-アリールアルキル、C6-C12-シクロアルキル、C7-C16-ビシクロアルキル、C3-C12-エポキシアルキル、C6-C12-エポキシシクロアルキル、C7-C16-エポキシビシクロアルキル、C6-C12-チオシクロアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリール、および、
カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート (R
3-O)
2-P-、ホスフィン、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、-S-S(O)
2(OR
3)、および第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2またはホスフィン-PR
3
2、およびアミン、ホスフィンの酸付加塩、好ましくは、第4級-N
+R
1
3または-P
+R
1
3基を有する塩から選択され、および、
下記式のアルキルまたはアリールエナミン、
【化1】
ここでR
3は水素、C1-C8アルキル、C2-C8アルケニル、R
1
3Si-である、
から選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してポリオルガノシロキサン(I)のシロキシ単位のケイ素原子に結合し、ここで
-L-Z
2および-L-Z
1は異なる。
【0011】
好ましい実施形態では、本発明の化合物は、ジシロキサン、ポリオルガノペンタシロキサンまたはポリオルガノデカシロキサンブロックから本質的になる1以上の分けられたポリシロキサンブロックからなる。用語「から本質的になる」は、式(I)の化合物の80重量%超が同じ鎖長を有し、式(I)の指数pがp=1、4または9であることを意味する。好ましい実施形態では、85重量%超、特に好ましい実施態様では、90重量%超は、1または4または9のいずれかの指数Pを示す。
【0012】
1に近い多分散指数を有するこの高度の均一分子は、本発明による前駆体の精製プロセスによって達成することができた。従って、単峰性鎖長分布のポリオルガノシロキサンを有すると言える。
【0013】
前駆体、すなわち二置換テトラオルガノジシロキサン、ヘキサオルガノシクロトリシロキサンおよびそれらの非平衡反応の反応生成物のような化合物は区別できる沸点を有し、そして末端基を付加する続くステップのそれぞれにおいて、例えば、蒸留または結晶化によってそれぞれが高められ精製され得ることから、この特徴を達成することができた。
【0014】
例えば、好ましいペンタシロキサンとしては、ヘキサメチルシクロトリシロキサンの非平衡反応によって合成されるHme2Si-O-[me2SiO]3-Sime2H、および既に高純度のHme2Si-O-Sime2H(例えば、JP11158188Bによる)であり得る。追加の蒸留の後、ガスクロマトグラフィーによる90重量%以上のペンタシロキサン含量が達成可能である。
【0015】
非平衡ポリオルガノシロキサンの上記合成方法は、他の二置換テトラオルガノジシロキサンおよびヘキサオルガノシクロトリシロキサンにも適用できる。
【0016】
構造MHD3MHまたはMviD3Mviのいずれかを有する精製されたペンタシロキサンは、不飽和基と共にSiH単位とそれぞれヒドロシリル化反応を受けることができる相補的反応性基を含むさらなる化合物の段階的付加に供される。したがって、LおよびZ基を形成する有機基のための前駆体は、第1のヒドロシリル化ステップのためにそのような官能基を提供しなければならない。前駆体は、ヒドロシリル化ステップの後に基Zを形成することができる、またはZ1、Z2またはZ22を形成するさらなる第3の反応の基礎として役立ち得る第2の官能基を提供するさらなる官能基を含む。例えば、アルキルハロゲン化物は、エステル、アミンなどを形成するための基礎である-C-N-、-C-S-、-C-NCO、-C-P-結合またはエポキシドを形成するのに役立ち得る。
【0017】
本発明者らは、非対称に置換されたポリオルガノペンタシロキサンを合成する合成経路または方法を見出し、非対称に置換されたポリオルガノペンタシロキサンの出発前駆体は、MHMH、MHD3MH、MHD8MHまたはそれぞれMR2MR2またはMR2D3MR2ポリオルガノシロキサンのようなジ-、ペンタ-またはデカシロキサンであり、ここでR2は不飽和基であり、これらの前駆体のいずれかは、例えば、
i)不飽和化合物、例えば、ビニルアルコキシシランまたはアルケニルハロゲン化物またはヒドリドアルコキシシシランまたはSiHシロキサンと反応して、新たな末端基を生成し、そして任意により精製または濃縮され、そして第2のステップにおいて、
ii)さらなる他の不飽和化合物、ヒドリドアルコキシシラン、またはSiH-シロキサンと反応させて、ステップi)の基と異なる第2末端反応基を形成し、ここで例えば、第2の前駆体は、不飽和エポキシ、アルケニルハロゲン化物、またはアルケニルエーテル化合物であって、ヒドロシリル化触媒の存在下である、
の付加的なステップにおいて反応されうる。
【0018】
本発明によるポリオルガノシロキサン化合物は、末端基で対称な反応性の置換基を提供する出発材料として任意の好適なポリオルガノシロキサンから誘導することができる。特に好適なポリオルガノシロキサンには、限定されるものではないが、
【化2】
が挙げられる。
【0019】
好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンの置換基は以下のように定義される:
RおよびR
1は、メチル、3,3,3-トリフルオロプロピル、フェニル、スチリル、フェニルプロピル、ナフチルであり、
L
1およびL
2は、単結合、2価または3価のC1-C12-アルキレン基であって、1以上の-O-、-または-NR
3-C(O)-、および/または-NR
3-部分で中断され、1以上のOH基で置換されうるものから選択され、
Z
1およびZ
2はZから選択され、ここでZは、ビニル、アリル、ヘキセニル、オクテニル、アリルオキシプロピル、-CH
2C≡CH、-C(O)C≡CH、-C(O)(CH
2)
8CH=CH
2、シクロヘキセニルエチル、リモニル、ノルボルネニルエチル、ビニルフェニルエチル、アリルオキシフェニルオキシプロピル、-(OCH
2CH
2O)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OCH=CH
2、または-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OH、-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、または-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、ここでa、b、cは0-20であり、一実施形態では、0および1-20であり、そしてa+b+c=1-20であり、
-[-Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2]CH=CH
2、および、
【化3】
および、(R
1X)
xR
1
3-xSi-、ここでx=1-3、ここでX=OH、OR
1、-NR
1
2、R
1-C(O)-O-、
および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分、
【化4】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
ここで基R
11からR
13の少なくとも1つは、OHであり、および、
オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、
【化5】
および、これらのエポキシドのカーボネート誘導体、1,3-ジチオラン、1,3,5-トリチアン、1,3-ジチアン、チオフェニル、テトラヒドロ-2H-チオピラニル、カルバゾール、インドール、トリスフェニルシリルから選択され、および、R
6Me
2Si-、ここで
R
6=C6-C10-アリール、C7-C12-アリールアルキル、C6-C12-シクロアルキル、C7-C16-ビシクロアルキル、C6-C12-シクロチオアルキル、C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリールであって、任意にてC1-C8-アルキル、OH、Cl、CN、およびシリルエーテル基R
1
3Si-O-で置換されてもよく、
および、Cl、-S-H、-NCO、ブロックNCOから選択される基、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、ホスフィン、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、-S-S(O)
2(OR
3)、および
第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2またはホスフィン-PR
3
2、
および、アミン、ホスフィンの酸付加塩、好ましくは、第4級-N
+R
1
3または-P
+R
1
3基を有する塩、ここでR
3は上記定義通りである、
からなる群から選択され、
ここで-L
2-Z
2および-L
1-Z
1は異なる。
【0020】
可能な置換オキシ芳香族化合物の例としては、限定されるものではないが、1-アリル-3,4-ジヒドロキシベンゼン(アリルカテコール)、モノヒドロキシ化合物の不飽和モノエーテル、すなわち、1-アリル-3-メトキシ-4-ヒドロキシベンゼン(オイゲノール)、不飽和ビスシリル化合物、すなわち、1-アリル-3,4-ジヒドロキシベンゼンのビス-アルコキシシリル誘導体が挙げられる。Si-O-C結合は潜在的なブロック基として有用であり、さらなるヒドロキシルアリール基を放すことができ、またはヒドロキシルアリール基を他の縮合反応に利用しやすくすることができるということで必要であると考えられる。C5-C12-ヘテロ-N,-O,-S-アリールの群は、インドール、カルバゾール、フラン、チオフェンを含み得る。
【0021】
より特定の実施形態では、ポリオルガノシロキサンは以下の通りである:
R
1は、メチル、フェニル、3,3,3-トリフルオロプロピルから選択され、
Lは、L
1およびL
2から選択され、そして上記定義通りであり、
Z
1およびZ
2はZから選択され、Zはフェニル、フェニルプロピル、スチリル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテルであり、
および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分
【化6】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
基R
11からR
13の少なくとも2つはOHであり、および
ノルボルニル、ビニル、アリル、アリルオキシプロピル、ヘキセニル、ノルボルネニル、シクロヘキセニルエチル、リモニル、およびグリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、およびこれらエポキシドのカーボネート誘導体、
および、Cl、-S-H、-NCO、ブロックNCOから選択される基、および、(R
1X)
xR
1
3-xSi-、R
6
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここで
X=OH、OR
1、-NR
1
2-、R
1-C(O)-O-、ここで
R
6=フェニル、ナフチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート(R
3-O)
2-P-、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、および第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2、およびアミンの酸付加塩、第4級-N
+R
1
3を有する塩、およびエナミンであり、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、ここで
-L
2-Z
2および-L
1-Z
1は異なる。
【0022】
さらに特定の第2の実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、以下のように定義される:
Z
1は、構造(R
1O)
xR
1
3-xSiのアルコキシシリル置換基、ここでx=1-3、R
1=C1-C8-アルキル、および、下記式の非置換または置換オキシフェニル部分
【化7】
ここでR
10、R
14は、水素またはR
1であり、そして
R
11、R
12、R
13は、-OR
3から選択され、
基R
11からR
13の少なくとも2つはOH基である、
および、カルボン酸のエステル、SまたはP酸に由来するイオン性基から選択され、例えば、-C(O)-O-H、(HO)
2-P(O)-O-、(HO)
2-P(O)-、ホスホネート (H-O)
2-P-、アミン、ベタイン、例えば、-NHR
3-CH
2-COOH、-NHR
3-CH
2-O-S(O)
2(OH)、および第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2、およびアミンの酸付加塩、第4級-N
+R
1
3を有する塩、およびエナミンから選択され、
Lの単結合または炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合し、
Z
2は、フェニル、フェニルプロピル、スチリル、ナフチル、オイゲノール、ビスフェノールエーテル、クミルフェノールエーテル、ノルボルニル、ビニル、アリル、アリルオキシプロピル、ヘキセニル、オクテニルノルボルネニル、シクロヘキセニルエチル、リモニル、グリシジルプロピルエーテル、エポキシリモニル、エポキシシクロヘキサンエチル、エポキシノルボルニル、およびこれらエポキシドのカーボネート誘導体、およびこれらのC4-C23-カーボネート基、および、
-C(O)-O-R
3、(R
3O)
2-P(O)-O-、(R
3O)
2-P(O)-、ホスホネート (R
3-O)
2-P-、ここでR
3=R
1、および、Cl、-SH、-NCO、ブロックNCOから選択される基、および、トリフェニルシリルおよびR
6R
1
2Si-から選択される基、
ここで
R
6は、フェニル、ナフチル、フェニルエチル、フェニルプロピル、オイゲノール、リモニル、エポキシリモニル、グリシジルプロピルエーテル エポキシシクロヘキシルエチル、ノルボルネニルエチル、エポキシノルボルネニルエチル、カルバゾール、インドール、
からなる群から選択され、
ここで
-L-Z
2および-L-Z
1は異なる。
【0023】
L-Z2およびL-Z1が異なるということは、少なくともZ2およびZ1基が異なることを意味することは理解されよう。L基は同一でも異なっていてもよい。
【0024】
別の第3の特定の実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、置換基が以下のように定義される:
L
1は、-CH
2CH
2-であり、
L
2は、単結合、-CH
2CH
2-、-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH=CHCH
2O-、-CH=CHC(O)-、または-C(CH
2O-)=CHCH
2O-であり、
Z
1は、上記定義通りであり、
Z
2は、-CH=CH
2、-CH
2CH=CH
2、-(CH
2)
4CH=CH
2、
C(O)(CH
2)
8CH=CH
2、-CH
2C≡CH、-C(O)C≡CH、
-(OCH
2CH
2)a-(OCH
2CH(CH
3))b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))c-OCH=CH
2、
-(OCH
2CH
2O)a-(OCH
2CH(CH
3))b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))c-OCH
2CH=CH
2、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは0-20であり、一実施形態では、0および1-20であり、そしてa+b+c=1-20であり、
-[-Si(CH
3)
2OSi(CH
3)
2]CH=CH
2、および、
【化8】
から選択される。
【0025】
アリール基ZおよびR
6は、チオ置換シクロアルキル置換基、
【化9】
1,3-ジチアン、1,3-ジチオラン、1,3,5-トリチアン、
またはアリールエーテル、例えば、
【化10】
クミルフェノールエーテル、ビスフェノールエーテル、
および
非対称に置換されたジシロキサン、例えば
【化11】
である。
【0026】
さらなる第4の特定の実施形態では、ポリオルガノシロキサンの置換基Z
1は、好ましくはイオン性基から選択され、ここで
Z
1は、非置換の第1級、第2級、第3級アミン-NR
3
2、またはアンモニウム基-N
+R
3
3または第1級、第2級、第3級ホスフィン-PR
3
2、またはホスホニウム-P
+R
3
3;下記式のアルキルまたはアリールエナミン
【化12】
からなる群から選択される。
【0027】
好ましくはアンモニウム基N+R3
3およびホスホニウム基-P+R3
3は、第4級基N+R1
3およびホスホニウム基-P+R1
3である。
【0028】
ポリオルガノシロキサンのさらに第5の特定の実施形態では、本発明のポリオルガノシロキサンの置換基Z1またはZ2の基は以下のように定義される:Z1またはZ2は、式:-COO-R3のカルボン酸のエステル、スルホン酸-SO3-R3、硫酸部分エステル-O-S(O)2-O-R3、リン酸エステル-O-P(O)(OR3)2、ホスホン酸エステル-P(OR3)2、キサントゲン酸エステル-O-C(S)-S-R3からなる群から選択され、ここでイオン特性はR3の定義による。R3が水素であるとき、これらのエステル基はZ1として使用されるべきであり、R3がR1であるとき、これらのエステル基は、好ましくはZ2部分として使用されるべきである。基R3が水素である場合、そのような基Zはよりイオン性の特徴を有し、そして例えば金属酸化物または水酸化物粒子の無機表面とのより強い相互作用を有する基Z1として好ましくは使用することができる。
【0029】
さらに第6の特定の実施形態では、ポリオルガノシロキサンの置換基は以下のように定義される:Z1は構造(R1O)xR1
3-xSiのアルコキシシリル置換基であり、ここでx=1-3、R1=C1-C8-アルキル、アリール、例えばメチル、エチル、プロピル、i-プロピル、n-ブチル、フェニル、そして
Z1は、式-COOHのカルボン酸、スルホン酸-SO3H、硫酸O-S(O)2-OH、リン酸または部分エステル-O-P(O)(OR1)2、ホスホン酸または部分エステル-P(OR1)2、キサントゲン酸-O-C(S)-S-H、ブンテ塩-S-S(O)2OH、からなる群から選択されるイオン性基であり、ここでR1は、上記定義通りであり、またはこれらの酸性基のアニオンである。
【0030】
さらなる第7の最も好ましい実施形態では、ポリオルガノシロキサンは、置換されたペンタオルガノシロキサンであり、ここで式(1)の指数m=1、80重量%超についてp=1または4または9、そしてR、R
1のそれぞれは、上記定義通りであり、ポリオルガノシロキサンは、式(Ia)である。
【化13】
【0031】
例示的な実施形態では、指数pは、本発明のポリオルガノシロキサンの85重量%超、より好ましくは90重量%超について4である。
【0032】
式(I)または(Ia)の選択されたポリオルガノシロキサン構造に結合した末端基Z1およびZ2として殆ど全ての反応性基Zを付加および結合することは本発明の範囲内であるが、これらの例示された好ましい組合せによって目的の用途の特性の大部分を達成することができるので、基Z1、Z2および必要に応じてZ12またはZ22のいくつかの特定の組合せを合成することが好ましい。合成コンセプトには、基Z1およびZ2の最終的な改変が含まれ、これらの基の最終的な特徴を合成の後の段階でZ12またはZ22として表すことになる。
【0033】
基Z
12およびZ
22は、Z
1またはZ
2から選択され、基Z
2がさらなる反応に供される追加のステップによってそれらが合成されることを特徴とする。例えば、オキシラニル基は、第1級、第2級または第3級アミンと反応して、基Z
22として開環ヒドロキシルアミンまたはアンモニウム単位を形成する。
【化14】
【0034】
別の例では、オキシラニル基は、カルボン酸または任意の他の酸、例えばメタクリル酸、リン酸などと反応させて、以前の基Z
2に基づいてZ
22としてエステルを形成する。
【化15】
【0035】
この第3の反応ステップはまた、アルキルハロゲン化物とアミン、ホスフィン、ホスフィネートなどとの置換反応を含むことができ、ここでアルキルハロゲン化物は、好ましくは、本発明のポリオルガノシロキサンの実施形態の1つに結合した基Z1またはZ2である。
【0036】
以下の表は、本発明のポリオルガノシロキサン中の基Z
1およびZ
2の例示的な組合せを示す。
【表1】
【0037】
さらなる特定の実施形態では、本発明のポリオルガノシロキサン(I)の置換基は、式(Ia)の定義を有し、
ここで式(I)の指数mはm=1であり、
【化16】
そして、R、R
1、Z
1、L
1、Z
2およびL
2は上記定義通りである。
【0038】
ポリオルガノシロキサン(Ia)の特定の例示的な実施形態は、式(IIa)から(IIf)の化合物から選択されるポリオルガノシロキサンである。
【化17】
R、R
1=メチル、3,3,3-フルオロプロピル、フェニル、但し互いに異なることができ、
p=1または4または9、
n=0-6、そして
L
1およびL
2は、C1-C14-アルキル、C1-C14-アルキルエーテル基からなる群から選択され、そして互いに異なることができる。
【0039】
2つの異なる末端基Z1およびZ2の組合せは、本発明のポリオルガノシロキサンの可能な用途を考慮したコンセプトの下で選択される。
【0040】
酸化物無機充填剤との相互作用が望まれる場合には、このような充填剤表面と相互作用することができる少なくとも1つの第1の末端基を選択することが好ましい。好適な基は、限定されるものではないが、加水分解可能な脱離基Xを有するシリル基、例えば、アルコキシ、アミノまたはカルボキシル基が含まれ、またはさらなるイオン性Z、例えば、末端基としての、アンモニウム、ホスホニウム、ホスフェート、サルフェートまたはカルボキシル基である。
【0041】
ポリオルガノシロキサンが、RTV-1KまたはRTV-2Kポリシロキサン組成物の分野の技術水準で公知の縮合触媒と共に縮合反応を受けることができるさらなるポリオルガノシロキサンを用いずに、またはそれを用いて縮合反応を起こさなければならない硬化プロセスで使用することが意図されている場合、加水分解可能な脱離基を有するシリル基の使用もまた好ましい。このような縮合触媒は、Bi、Fe、Sn、Ti、Zr、Znまたはアミンおよびルイス酸を含む化合物のような有機金属化合物から選択することができる。別の第1の末端基Z1はヒドロキシ芳香族基であり、これは無機酸化物または水酸化物表面の多くと相互作用することができる。Z2基としてのポリアルキレンオキシド基の使用は、改良された濡れ挙動に適しており、防汚特性を提供することができる。このような表面は、本発明のポリオルガノシロキサンで改質された場合、所望の様式でこれらの表面を改質するために無機酸化物もしくは有機ポリマーの表面または無機もしくは有機の繊維もしくはコーティングのような表面を含むことができる。改質の例は、限定されるものではないが、表面張力の変化、濡れ性の変化、または微生物、藻類、バイオフィルム、フジツボ、真菌などに対する反発を示す表面を提供することを含み、すなわち、防汚コーティングそれ自体として、または縮合反応によって硬化されたポリオルガノシロキサン組成物中の添加剤として使用することができる。
【0042】
前記第1の末端基と組み合わされる第2の末端基Z2は、第1の末端基と比較して異なるタイプの反応を受け得る置換基の群から選択され得る。このような第2の末端置換基は、好ましくは、例えばラジカル開始反応および不飽和基とSiH基との熱または光活性化ヒドロシリル化反応、アミンとのオキシラニル開環反応などのSN型の縮合および置換反応、または光エネルギーの移動のオニウムおよび増感剤化合物による活性化カチオン重合によって活性化され得る置換基からなる群から選択される。したがって、そのような末端置換基は、炭素結合を介してジシロキサン、ペンタシロキサンまたはデカシロキサンブロックのケイ素原子に結合される単位Lにより連結される、不飽和、または例えば-SH、SiH、オキシラニルまたはカーボネート置換基R2、Z2またはZ22の群から好ましく選択されることになる。
【0043】
可能性のある反応性末端置換基の広い範囲は、触媒、熱または光活性化ラジカル反応およびヒドロシリル化反応の助けによるアミンおよびエポキシ開環反応のような求核剤または光誘導カチオン重合のいずれかの種々の硬化機構の使用を可能にする。いくつかの基は、例えばエポキシドと、例えばカルボン酸と反応させてエステルを形成する、またはアミンと反応させて高級アルキル化アミンを形成する、他の反応性基の前駆体であってもよい。
【0044】
このような反応により、例えば、エポキシ基Z2は、特に、不飽和エステル-C(O)-OR2のような不飽和基を有する置換基Z22に変換することができる。
【0045】
末端基の段階的導入のための戦略は、前駆体の反応性基、および非対称置換ポリオルガノシロキサンを合成するための合成における第1および第2末端基間の可能な相互作用による。
【0046】
合成のコンセプトにおける別の態様は、コーティングまたは物品を形成するために、本発明のポリオルガノシロキサンとの併用硬化を意図するバインダーまたはマトリックスポリマーの追加使用である。
【0047】
一実施形態では、本発明のポリオルガノシロキサンは、コーティングを形成するために、またはコーティング組成物の一部として使用され得る。例示的な一実施形態では、本発明のポリオルガノシロキサンは、防汚コーティングとして、または防汚コーティングにおける成分として使用され得る。ポリオルガノシロキサンが防汚コーティングまたは防汚コーティング組成物の一部として使用される実施形態では、ポリオルガノシロキサンは式(I)のものであってよく、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=1-9、
m=1-5
ここで
R=R1は、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、単結合、2価のC1-C12-アルキレン基または2価または3価のC1-C12-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であって、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルであり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
a)非置換または置換の、直鎖状、分岐状、または環状の、飽和または不飽和のC1-C30炭化水素、すなわち、C3-C22直鎖アルキル、C3-C22分岐アルキル、C8-C22-アルキルアリールアルキル、C6-C22-アリールエーテル、C6-C22-シクロアルキル、C7-C22-シクロアルキルアルキレン、C7-C22-ビシクロアルキル、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、ここでR3はC1-C8アルキルから選択され、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR1は上記定義通りであり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0048】
防汚コーティングまたは防汚コーティングの成分として有用なポリオルガノシロキサンの第2の例示的な実施形態では、ポリオルガノシロキサンは、式(I)のもので、2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含むことがありえ、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=1-4
m=1-2
ここで
R=R
1は、1価のC1-C3アルキル、C6アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価のC1-C8-アルキレン基または2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基L
1またはL
2であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
特に、
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
-CH=CH-CH
2O-、
【化18】
-CH
2CH
2OC(O)-、CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化19】
であり、
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
a)非置換または置換の、直鎖状、分岐状、または環状の、飽和または不飽和のC1-C22炭化水素、すなわち、C3-C18直鎖状アルキル、C3-C18分岐状アルキル、C8-C15-アルキルアリールアルキル、C6-C9-アリールエーテル、C6-C10-シクロアルキル、C7-C18-シクロアルキルアルキレン、C7-C16-ビシクロアルキル、
特に
-(CH
2)
10CH
3、-(CH
2)
12CH
3、-(CH
2)
14CH
3、-(CH
2)
16CH
3、
-(CH
2)
7CH=CH(CH
2)
7CH
3、
-CH(C
2H
5)CH
2CH
2CH
2CH
3、
コッホ酸由来残基、すなわち
-C(CH
3)
3、-C(CH
3)
2CH
2CH
3、-C(CH
3)
2CH2CH
2CH
3、
下記構造のバーサティック酸11由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=8
下記構造のバーサティック酸10由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=7
すなわち
-C(CH
3)(C
2H
5)CH
2CH
2CH
2CH
2CH
3、
-C(CH
3)(C
3H
7)(C
4H
9)、
下記構造のバーサティック酸9由来残基、
-C(CH
3)R
1R
1、ここでΣ全ての基R
1における炭素=6
【化20】
b)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR
1は上記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0049】
さらなる第3の例示的な実施形態において、防汚コーティングまたは防汚コーティングの成分として使用されるポリオルガノシロキサンは、式(I)のものであり、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されうるものからなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であり、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
a) 非置換分岐状飽和C1-C22炭化水素、すなわち、C3-C18分岐状アルキル、特に
コッホ酸由来残基、すなわち、
-C(CH3)3、-C(CH3)2CH2CH3、-C(CH3)2CH2CH2CH3、
下記構造のバーサティック酸11由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=8
下記構造のバーサティック酸10由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=7
すなわち
-C(CH3)(C2H5)CH2CH2CH2CH2CH3、
-C(CH3)(C3H7)(C4H9)、
下記構造のバーサティック酸9由来残基、
-C(CH3)R1R1、ここでΣ全ての基R1における炭素=6
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここでR1は上記定義通りであり、好ましくは、CH3-およびCH3CH2-,であり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0050】
さらなる第4の例示的な実施形態において、防汚コーティングまたは防汚コーティングの成分として使用されるポリオルガノシロキサンは、式(I)のものであり、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されうるものからなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であり、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH2CH2-)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-OH、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここでR1は上記定義通りであり、好ましくは、CH3-およびCH3CH2-であり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0051】
さらなる第5の例示的な実施形態では、防汚コーティングまたは防汚コーティングへの添加剤に使用されるポリオルガノシロキサンは、(i)Z1およびZ2置換基a)およびc)を有するZを含むポリオルガノシロキサン、ならびに(ii)Z1およびZ2置換基b)およびc)を有するZを含むポリオルガノシロキサンの混合物である。(i)Z1およびZ2置換基a)およびc)を有するZを含むポリオルガノシロキサンと(ii)Z1およびZ2置換基b)およびc)を有するZを含むポリオルガノシロキサンとの重量%比は、ポリオルガノシロキサン(i):ポリオルガノシロキサン(ii)=10:90から90:10、30:70から70:30、40:60から60:40、さらに50:50である。
【0052】
防汚組成物中のα,ω二官能性ポリシロキサンは、参照により本明細書に組み込まれるWO2014/126599に記載されている。ポリシロキサンは、アルコキシシリル並びにポリエーテル置換基を含む。WO2014/126599におけるポリシロキサンの主な欠点は、シロキサンの多分散性である。これは、不飽和アルコキシシランおよび不飽和ポリエーテルを用いる2回のその後のヒドロシリル化の後に、中間生成物の精製の機械なしで幅広い生成物混合物となる。これは、目的生成物ならびに2つの望ましくない対称置換種を含む。さらに、これらの3つの生成物の種類の各々は、出発SiHシロキサンの性質のために多分散である。
【0053】
本発明のポリシロキサンは、α,ω二官能性ポリシロキサンとされ、上述の欠点を回避することができる。出発SiHシロキサンは単分散である。これにより、単官能性中間体の精製が可能となり、したがって、単分散シロキサン部分を含む厳密に非対称に置換されたα,ω二官能性ポリシロキサンの形成が可能になる。
【0054】
本発明のα,ω二官能性ポリシロキサンまたはその混合物のコーティング配合物への組み込みに関する詳細は、WO2014/126599に記載されている。さらなる詳細は、対応する非限定的な実施例によって例示される。
【0055】
縮合反応に使用される触媒は、種々の有機金属化合物、好ましくは有機スズ、チタン、亜鉛、鉄、ビスマス、カルシウム化合物の群から選択されるが、ルイスまたはブレンステッドの酸または塩基も使用することができる。
【0056】
好ましいクラスの有機金属化合物としては、ジアルキルスズオキシドのような塩、ジアルキルスズオキシドとテトラアルコキシシランとの反応生成物、ジブチルスズジラウレート、第1スズオクタノエート、ジブチルスズジオクトエート、亜鉛オクトエートおよび他の亜鉛錯体、例えば、K-KAT670(King Industries)、ビスマス錯体、例えばK-KAT XK-651(King Industries)、テトラアルコキシチタネート、チタンアセチルアセトネートキレート誘導体、例えばジイソプロポキシ-ビス(エチルアセトアセタ-ト)チタネート、またはC1-C10カルボン酸残基のアルコキシチタンキレートなどが挙げられる。そのような触媒の具体例は、参照により本明細書に組み込まれる米国特許第3,527,659号の第3欄、第19-54行に記載されている。本発明におけるシラン基を有するポリオルガノシロキサンのための特に有用な硬化触媒は、第4級アンモニウム塩、例えば、ベンジルトリメチルアンモニウム化合物、例えば、アセタート、テトラアルキルアンモニウムアセタートまたはその他であり、米国特許3,819,745号を参照のこと。
【0057】
ポリオルガノシロキサンは、他の用途のための組成物における使用にも適している。実施形態において、ポリオルガノシロキサンは、防曇コーティング組成物中の成分として使用することができる。例示的な一実施形態では、防曇コーティングの成分として使用されるポリオルガノシロキサンは、式(I)のものであり、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=1-9、
m=1-5、
ここで
R=R1は、1価のC1-C22-アルキル、C6-C22-アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、単結合、2価のC1-C12-アルキレン基または2価または3価のC1-C12-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であって、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえ、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルであり、
炭素結合を介してシロキシ単位のケイ素原子に結合され、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシド、ここでR3はC1-C8アルキルから選択され、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR1は上記定義通りであり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0058】
防曇コーティングの成分としてのポリオルガノシロキサンのさらなる第2の例示的な実施形態では、ポリオルガノシロキサンは式(I)のものであり、2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含み、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=1-4、
m=1-2、
ここで
R=R
1は、1価のC1-C3アルキル、C6アリールからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、1以上のOH基で置換されることがありえる、2価のC1-C8-アルキレン基あるいは2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基L
1またはL
2であり、
特に、
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
-CH=CH-CH
2O-、
【化21】
-CH
2CH
2OC(O)-、CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化22】
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
b)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、ここでX=-O-、-C(O)-O-、ここでR
1は上記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0059】
防曇コーティング中の成分としてのポリオルガノシロキサンの更なる第3の例示的な実施形態では、ポリオルガノシロキサンは式(I)のものであり、2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、
Z1-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されうるものからなる群から選択される2価または3価の基L1またはL2であり、
特に
-CH2CH2-、
-CH2CH2O-、-CH2CH2CH2O-、-CH(CH3)CH2O-、-CH2CH2CH(CH3)CH2O-、
Zは、基Z1およびZ2から選択される1価の基であり、
ここで
Z1およびZ2は、
b)OHまたはOR3またはOC(O)R3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH2CH2-)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-OH、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH2CH2)a-(OCH2CH(CH3))b-(OCH2CH2CH(CH3))c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R1X)xR1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここでR1は上記定義通りであり、好ましくは、CH3-およびCH3CH2-であり、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択される。
【0060】
防曇コーティング中の成分としてのポリオルガノシロキサンの更なる第4の例示的な実施形態では、ポリオルガノシロキサンは式(I)のものであり、置換基b)およびc)から選択される2つの異なる末端基Z1およびZ2を含み、但し1つの基Z1またはZ2は、c)から選択される基という条件であり、
b)シラン(R1X)xR1
4-xSi、ここでx=1-4、
ここでX=-O-、-OC(O)-、
ここでR1は上記定義通りであり、
c)シラン(R1X)xR1
3-xSi-R10、ここでx=1-3、
ここでX=-O-、-OC(O)-、
ここでR1は上記定義通りであり、
R10は、C2-C22-アルキル基からなる群から選択される1価の基であって、1以上の-O-、-C(O)-、-NR3-C(O)-、および/または-NR3-、ウレタン-OC(O)NR3-、ウレア-N-R3HC(O)N-R3-部分で中断されることがありえ、そして少なくとも1以上のOH基で置換されるものであり、そしてR10はR1と異なり、
ここでR3は、水素、Me3Si-、または、C1-C8アルキルである。
【0061】
防曇コーティング中の成分としてのポリオルガノシロキサンの更なる第5の例示的な実施形態では、組成物は
A)式(I)の2つの異なる末端基Z
1およびZ
2を含むポリオルガノシロキサン、
Z
1-{-L[SiR
2O]
p-SiR
2}
m-L-Z
2 (I)
p=4、
m=1、
ここで
R=R
1は、1価のC1-C3アルキル、好ましくはメチルからなる群から選択される飽和炭化水素置換基であり、
Lは、2価のC1-C4-アルキレン基、好ましくは2価のC2-C3アルキレン基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえるものからなる群から選択される2価または3価の基L
1またはL
2であり、
特に
-CH
2CH
2-、
-CH
2CH
2O-、-CH
2CH
2CH
2O-、-CH(CH
3)CH
2O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
Zは、基Z
1およびZ
2から選択される1価の基であり、
ここで
Z
1およびZ
2は、
b)OHまたはOR
3またはOC(O)R
3末端のポリ-C2-C4-アルキレンオキシドであって、以下の構造
-(OCH
2CH
2-)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH2CH(CH
3))
c-OH、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C1-C4アルキル、
-(OCH
2CH
2)
a-(OCH
2CH(CH
3))
b-(OCH
2CH
2CH(CH
3))
c-O-C(O)-C1-C4アルキル、
ここでa、b、cは、0-20、そしてa+b+c=1-20、
aは好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
bは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
cは好ましくは0-20、より好ましくは0-10、さらにより好ましくは0-5、特に0および1-5であり、
a+b+cは、好ましくは2-20、より好ましくは5-20、さらにより好ましくは7-20、特に7-15であり、
c)(R
1X)
xR
1
3-xSi-から選択される基、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、ここでR
1は上記定義通りであり、好ましくは、CH
3-およびCH
3CH
2-であり、但し1つの基Z
1またはZ
2は、c)から選択される基という条件である、
からなる群から選択され、
B)シラン(R
1X)
xR
1
4-xSi、ここでx=1-4、好ましくは3、
ここでX=-O-、
ここでR
1は上記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、
C)シラン(R
1X)
xR
1
3-xSi-R
10、ここでx=1-3、好ましくは3、ここでX=-O-、
ここでR
1は上記定義通りであり、好ましくはCH
3-およびCH
3CH
2-であり、
R
10は、C2-C22-アルキル基からなる群から選択される1価の基であって、1以上の-O-、-C(O)-、部分で中断されることがありえ、そして少なくとも1以上のOH基で置換され、そしてR
10はR
1と異なり、
好ましいR
10は、式-L-Z
3を有し、ここで
Lは、上記定義通りであり、好ましくは
2価のC1-C9-アルキレン基または2価または3価のC1-C6-アルキリデン基からなる群から選択される2価または3価の基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断され、そして1以上のOH基で置換されることがありえるものであり、
特に、
-CH
2CH
2O-、CH
2CH
2CH
2O-、-CH
2CH(CH
3)O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2O-、
【化23】
-CH=CH-CH
2O-、
【化24】
-CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH
2CH
2OC(O)-、-CH
2CH(CH
3)O-、-CH
2CH
2CH(CH
3)CH
2OC(O)-、
-CH
2CH
2CH
2OCH
2CH(OH)CH
2OC(O)-、
【化25】
-CH=CH-CH
2OC(O)-、
【化26】
Z
3は、2価のC1-C18-アルキル基またはC1-C10-アルキリデン基からなる群から選択される基であって、1以上の-O-、-C(O)-部分で中断されることがありえ、そして少なくとも1のOH基、好ましくは1-10のOH基、より好ましくは1-7のOH基、さらにより好ましくは1-5のOH基で置換される。
【0062】
基Z3の好ましい例は、ヒドロキシル官能化カルボン酸、すなわち、
C2-C12、好ましくはC2-C9の飽和または不飽和ヒドロキシアルキルカルボン酸、すなわち、グリコール酸、乳酸、β-ヒドロキシ酪酸、γ-ヒドロキシ酪酸、2-ヒドロキシ-コハク酸、クエン酸、マンデル酸、
C2-C12、好ましくはC2-C9、さらに好ましくはC7-C12、より好ましくはC7-C9の飽和または不飽和ポリヒドロキシアルキルカルボン酸、すなわち、グリセリン酸、2,2-ジメチロールプロパンカルボン酸、アラビノン酸、グルコン酸、グルクロン酸、グルコヘプトン酸、グルコピラノシルアラビノン酸、ラクトビオン酸、マルトビオン酸、酒石酸、アスコルビン酸、
C7-C12、好ましくはC7-C9ヒドロキシ芳香族カルボン酸、すなわち、2-ヒドロキシ安息香酸、3-ヒドロキシ安息香酸、4-ヒドロキシ安息香酸、2-ヒドロキシケイ皮酸、3-ヒドロキシケイ皮酸、4-ヒドロキシケイ皮酸、
C7-C12、好ましくはC7-C9ポリヒドロキシ芳香族カルボン酸、すなわち、2,3-ジヒドロキシ安息香酸、2,4-ジヒドロキシ安息香酸、2,5-ジヒドロキシ安息香酸、2,6-ジヒドロキシ安息香酸、3,4-ジヒドロキシ安息香酸、3,5-ジヒドロキシ安息香酸、ジヒドロキシケイ皮酸またはその部分エステル、すなわち、3,4-ジヒドロキシケイ皮酸、トリヒドロキシ安息香酸またはその部分エステル、すなわち、2,3,4-トリヒドロキシ安息香酸、2,3,5-トリヒドロキシ安息香酸、2,3,6-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、2,4,6-トリヒドロキシ安息香酸、3,4,5-トリヒドロキシ安息香酸、トリヒドロキシ桂皮酸またはその部分エステル、すなわち、3,4,5-ジヒドロキシケイ皮酸、から誘導され、
またはジ-またはそれ以上のヒドロキシル化アルコール、すなわち、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール、グリセロール、ジグリセロール、トリグリセロール、ペンタエリスロール、ソルビトールから誘導される。
【0063】
本発明の例示的な実施形態では、シランC)は、エポキシ官能化シランから、触媒の存在下でのエステル結合の形成によるヒドロキシ官能性カルボン酸との反応によって合成することができる。カルボン酸によるエポキシドのエステル化は従来技術(US2012/0289649)である。あるいは、エポキシ官能化シランは、触媒の存在下でのエーテル結合の形成によるジ-またはそれ以上のヒドロキシル化アルコールと反応させることができる。アルコールによるエポキシドのエーテル化は先行技術(US6642423)である。
【0064】
A)Z1及びZ2置換基b)及びc)を有するZを含むポリオルガノシロキサンと、B)シラン(R1X)xR1
4-xSiと、C)シラン(R1X)xR1
3-xSi-R10との間の重量%比は、A):B):C)=10:80:10から40:20:40、15:70:15から30:40:30、さらに30:60:10から10:60:30である。
【0065】
防曇コーティングでポリカーボネートまたはPMMAの成形品のようなポリマー樹脂基材をコーティングすることは、コーティング表面上の水滴の目に見える凝縮を防止するように受け入れられている手順である。コーティング膜は、水接触角を減少させる親水性を提供する。これは親水性ポリマー部分をコーティングマトリックスに導入することによって得られる。
【0066】
親水性部分および疎水性部分を含むビニル系コポリマーは、参照により本明細書に組み込まれるUS2005/0004280に記載されている。特許US2005/0004280による組成物は、多成分系を表している。主な欠点は、混合後数時間の短い可使時間である。
【0067】
ポリシロキサン系の防曇コーティングは、US2004/0237833に記載されている。ゾルゲル法では、ポリエチレングリコールまたは酸性基を含む親水性側鎖を含むコーティング材料が得られる。コーティング組成物は、コーティング膜の親水性を高めるために界面活性剤を含有する。これにより、溶出によるコーティング層の長期性能を低下させうる。
【0068】
本発明による組成物は、上記の欠点を回避する。出発物質A)、B)およびC)は効率的な方法で製造することができる。所望の特性を確保するために、非反応性界面活性剤を添加する必要はない。可使時間は数週間にわたり、これは自動車ヘッドランプの内部の曇りを防止するためのヘッドライトランプの内部コーティングのような自動車用途における成形ポリカーボネート物品の対象とする用途では十分である。
【0069】
防曇配合物の適用に関する詳細は、US2012/245250に記載されている。さらなる詳細は、対応する非限定的な実施例によって説明される。
【0070】
本発明はまた、下記式の本発明による化合物を形成する方法を提供し、
【化27】
当該方法は、
i)第1の化合物L
*-Z
1を、式Z
*-L-SiR
1
2-O[-SiR
2O-]
p-1-SiR
1
2-L-Z
*の対称なα,ω-末端ポリオルガノシロキサンと反応させるステップ、
p=1または4または9
Z
*=水素(SiHにおける)、R
2、Z
1またはZ
2
任意にて触媒の存在下でなされ、ここでR
1、Z
1、L、L
1およびL
2は、上記定義通りであり、L
*は、不飽和C2-C20-アルケニルまたは、シランもしくはシロキサン部分のSiH基であり、ここでL
*およびZ
*はその反応ステップにおいて単位-L
1-Z
1を形成し、
ii)ステップi)の生成物を任意にて蒸留により分離するステップ、ここで1つの基Z
*が反応して-L
1-Z
1を形成しており、
iii)ステップii)の単官能化生成物を式L
**-Z
2の化合物とさらに反応させて基-L
2-Z
2を形成するステップ、ここでL
**は、不飽和C2-C20-アルケニルまたはシランもしくはシロキサン部分のSiH基であり、および、
iv)任意にて、分離ステップ、および、
v)任意にて、基Z
2をさらに第3の反応に付して、最終基Z
22を含む飽和または不飽和C2-C8-エステルまたは炭化水素アミンまたはアンモニウム基を形成するステップ
を含む。
【0071】
下記式に関連する本発明の化合物を形成する方法の例示的な実施形態では、
【化28】
当該方法は、
(i)式(R
1O)
xR
1
3-xSi-Hのアルコキシシランまたは有機官能性ジシロキサンZ
*-L-R
2Si-O-SiR
2Hを下記式のジアルケニル化合物と反応させるステップ、
【化29】
p=1または4または9
ヒドロシリル化触媒の存在下、ここでx、R、R
1は、上記定義通りであり、
ii)生成物を任意にて蒸留により分離するステップ、ここで1つのアルケニル基-L
**-Z
1は反応して-L
1-Z
1を形成しており、
iii)ステップii)のモノアルケニル基官能性生成物を式L
**-Z
2の1つのSiH基を有するシランまたはシロキサン化合物とさらなるヒドロシリル化反応に付して基-L
2-Z
2を形成するステップ、および
iv)任意にて、分離ステップ、および
v)任意にて、基Z
2をさらに第3の反応に付して、最終基Z
22を含む不飽和C2-C8-エステルまたは炭化水素アミンを形成するステップ
を含む。
【0072】
式(III)に関連する本発明による化合物を形成するための方法の別の例示的な第2の代替の実施形態では、
【化30】
当該方法は、(i)式(R
1O)
xR
1
3-xSi-L-CH=CH
2のアルコキシシランまたはアルケニル官能化ジシロキサンZ
*-L-R
2Si-O-SiR
2-R
2を、下記式の水素シロキサンと反応させるステップ、
【化31】
p=1または4または9
ヒドロシリル化触媒の存在下、ここでx、R、R
1は、上記定義通りであり、
ii)生成物を任意にて蒸留により分離するステップ、ここで1つのSiH基は、反応して-L
1-Z
1を形成しており、
iii)ステップii)のモノSiH基官能性生成物を、式L
**-Z
2の不飽和化合物とのさらなるヒドロシリル化反応に付して、基-L
2-Z
2を形成するステップ、および
iv)任意にて分離ステップ、および
v)任意にて基Z
2をさらに第3の反応に付して、最終基Z
22を含む不飽和C2-C8-エステルまたは炭化水素アミンを形成するステップ
を含む。
【0073】
本発明はまた、1つより多くのジ-、ペンタ-またはデカシロキサンブロックが存在するポリオルガノシロキサンを形成する方法の第3の例示的な実施形態を提供する。この高分子量のポリオルガノシロキサンは、少なくとも2のシロキサンブロック、好ましくは3のシロキサンブロックを含み、ここで全てのブロックは、1または4または9の指数を有する1つのシロキサンブロックのGCによって測定して、<1.2の、好ましくは1に近い多分散性、または>85重量%、好ましくは>90重量%により規定される均一なシロキサンブロックを有する。これは、本発明のポリオルガノシロキサンの独特の特徴であり、これがこれらのポリマーを、2価の有機基によって連結されているが、1.2を超える多分散指数またはp=1、4または9の個々のシロキサンブロックの重量パーセントが85重量%未満の他の技術水準のポリオルガノシロキサンと異なるものとしている。ブロックポリマー中の少なくとも1つのシロキサンブロックのこの特徴を有する本発明のポリオルガノシロキサンは、高分子量で合成することもでき、ここで式(I)の指数mは8までである。
【0074】
このような式(I)のポリオルガノシロキサンは、2価の有機基Lを介して一緒に結合したこれらのシロキサンブロックを9個まで、より好ましくは7個有する対称な置換および非対称な置換のジ-、ペンタ-またはデカシロキサンブロックの段階的付加反応によって合成される。本発明のこのクラスのポリオルガノシロキサンは、式(I)のブロックポリマーを形成しており、ここで指数mは>1である。
【0075】
本発明はまた、式(I)のこのようなブロックポリマーを形成するためのプロセスも含み、
Z-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-L-Z (I)
L、Zは上記定義通りであり、
Rは、RおよびR1から選択され、
p=1または4または9
m=3-7であり、
当該プロセスは、
a1)第1の対称に置換された化合物Z*-L-[SiR2O]p-SiR2-L-Z*を、2モルの式Z**-L-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L-Z**のα,ω-末端ポリオルガノシロキサンと反応させるステップ、
Z*=水素(SiH)、アルケニル、OH-、Cl-またはBr-アルキル、エポキシ、アミン、-NCO
Z**は、Z*およびZ1およびZ2から選択され、任意にて触媒の存在下で互いに相補的に反応することがありえ、ここでp=1または4または9、
R、R1、L、L1、L2は上記定義通りであり、R*は、RまたはR1であり、それらの各々が異なることができ、
ここでステップa1)におけるZ*およびZ**は、Z**-L-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L3-[SiR2O]p-SiR2-L3-[SiR*
2O]p-SiR*
2-L-Z**というように、単位-L3-を形成し、
a2)ステップa1)の生成物を任意にて蒸留により分離するステップ、ここで2つの基Z*およびZ**は、反応して2つの単位-L3-および3つのシロキサンブロック-[SiR2O]pを有する分子を形成しており、
a3)任意にてステップa1)およびa2)繰り返し、任意にてステップa2)の副生成物を分離し、
ステップa2)の二官能化の対称に置換された生成物を1または2モルの式Z*-L-SiR**
2-O-[R2Si-O-]p-1-SiR**
2-L-Z*の化合物とさらに反応させて4または5個のシロキシブロックを有する分子を形成するステップ、および、
a4)ステップa2)またはa3)の対称に置換された反応生成物を、基Z*およびZ**を含む部分間の第3の反応に付して、連結単位L4および6個または7個のシロキシブロックを有する最終生成物を形成し、ここで非対称に置換されたポリオルガノシロキサンを形成するよう、Z1およびZ2は異なり、
ステップa4)の副生成物を任意にて蒸留により分離して
Z1-L1-[SiR**
2O]p-SiR**
2-{-L[SiR2O]p-SiR2}m-1-L2-Z2、
L=L3またはL4
m=4
Z1-L-[SiR**
2O]p-SiR**
2{-L[SiR2O]p-SiR2}m-2-L-[SiR**
2O]p-SiR**
2-L-Z2
L=L3またはL4
m=5
p=1または4または9
Z1およびZ2は上記定義通りでありそして異なる、
を得るステップ、
を含む。
【0076】
任意にて適用されうる分離ステップは、蒸留、結晶化および固相クロマトグラフィーを含み得る。シロキサンブロックの段階的付加のための好ましいヒドロシリル化反応は、所望の付加生成物の高収率をもたらすが、未使用の前駆体を蒸留により、可能であれば結晶化により、分離することが好ましい。所望の付加生成物、5個までの、少なくとも3個までのジ-、ペンタ-またはデカ-シロキサンブロックを有する少なくとも中間体は、蒸留によって精製することができる。
【0077】
より高い/より広い多分散性指数を有する通常のポリオルガノシロキサンとは異なって、そのような精製ステップは、本発明の単峰性ポリオルガノシロキサン前駆体に適用することができ、そして85重量%を超える指数p=1、4または9の区別できるブロックを有する非常に分けられたシロキサンブロック構造を提供する。
【0078】
非対称に末端置換されたポリオルガノシロキサンを生じる2つの異なる末端基の挿入のための好ましい付加反応は、任意の対称に置換されたポリシロキサン前駆体に任意の段階で適用することができ、すなわち、モノブロックまたはポリブロックポリマー/コポリマーに、このポリマーを末端位置で非対称に置換するための最終反応ステップで行うことができる。
【0079】
アルコキシシリル基およびオレフィン基をポリオルガノシロキサン化合物に組み込むための特に好ましい好適な経路は、構造(R1O)xR3-xSi-Hのアルコキシシランの付加であり、ここでxは1-3であり、1モル/1モルの式(IIIa)のジアルケニルペンタシロキサンよりも少ない量で、ヒドロシリル化触媒の存在下にて、下記構造の目的誘導体を得る:
(R1O)xR3-xSi-CH2CH2-SiR2-O-[D]3-SiR2-L-CH=CH2。
【0080】
典型的な反応方式では、SiH基に対するジアルケニルジシロキサンまたはペンタシロキサンまたはデカシロキサンのアルケニル基のモル比は、1.5:1から約5:1である。好ましい一実施形態では、Rはメチルおよびフェニルから選択され、D=R2SiO、R1は好ましくはC1-C8アルキルであり、ここでxは3である。典型的には、過剰のシランおよびジアルケニルジ-またはペンタオルガノシロキサンは、蒸留によって除去することができる。いくつかの場合において、蒸留または結晶化が適切でないまたは可能でないとき、過剰な前駆体ジシロキサンまたはペンタシロキサンは、固体表面上への適用および固定後に、有機溶媒による繰り返し洗浄によって除去することができる。
【0081】
本発明の別の好ましい実施形態において、式(R
1O)
xR
3-xSi-CH
2CH
2-SiR
2-O-[D]
3-SiR
2-L-CH=CH
2の上記所望の生成物は、さらに1つのSiH基を有するシランまたはシロキサン化合物L
*-Zおよび第2の反応基、例えばエポキシ基、例えば式(VI)のエポキシ基と、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応される。
【化32】
【0082】
化合物L*-Zのための付加ステップの順序を変えることは、本発明の範囲内である。最初にジビニルジ-またはオルガノペンタ-、オルガノデカシロキサン化合物を、SiH-エポキシド型の化合物と反応させ、その後に構造(R1O)xR3-xSi-H(式中、xは1-3)のシランと反応させることが可能である。
【0083】
あるいは、本発明によるアルコキシシリル基およびオレフィン基含有誘導体は、式(IIIa)または(IIIb)によるSiH-前駆体から出発する二段階の順序で合成することができる。
【化33】
p=1または4または8
【0084】
モル過剰のSiH官能化ペンタシロキサンを、例えば構造(R1O)xR3-xSi-CH=CH2(ここでxは1-3)を有する、不飽和シランとヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる。典型的には、ビニルシランに対するSiH-シロキサン(IV)または(IVa)のモル過剰は、SiH:アルケニル基のモル比が1.5:1から5:1の範囲にわたる。基RおよびR1は、上記定義通りである。好ましい基Rはメチルまたはフェニルであり、xは3である。典型的には、過剰の式(IIIb)によるSiH前駆体は、蒸留によって除去することができる。
【0085】
第2のヒドロシリル化ステップにおいて、所望の第1の反応基を有する式(R1O)xR3-xSi-CH2CH2-SiR2-O-[D]3-SiR2-Hの中間体は、少なくとも1つの不飽和基を含む化合物と反応して、所望の最終的な非対称ポリオルガノシロキサンを得る。第2の付加反応に適した基の例としては、この列挙に限定されるものではないが、ビス-オレフィン化合物、1,5-ヘキサジエン、ノルボルナジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、リモネン、エキソ-ジシクロペンタジエン、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジビニル-テトラメチルジシロキサンなど;アセチレン-オレフィン、例えば、プロパルギルアルコール-ウンデシレン酸エステルなど、アセチレン-ビス-オレフィンなど;1,4-ブチンジオ-レ-ビス(ウンデシレン酸)エステル、および、ビス-アセチレン、例えば、ビス-プロパルギルエーテルが挙げられる。
【0086】
ビス-不飽和化合物のモル過剰は、その構造に依存する。典型的には、ビス-オレフィンおよびビス-アセチレン化合物との反応のため、第1の中間体化合物のSiHに対するシランおよびビス-オレフィンのモル過剰は、SiH中間体のSiHに対するビス-オレフィンまたはビス-アルキン/アセチレンの1.5:1から5:1の範囲にわたる。過剰のビス-オレフィン化合物は蒸留により除去することができる。典型的には、アセチレン-オレフィンおよびアセチレン-ビス-オレフィンのタイプの化合物について、適用されるSiHに対する不飽和化合物のモル過剰は、SiHに対する不飽和化合物の1:1から1.1:1の範囲にわたる。典型的には、アセチレン-オレフィンまたはアセチレン-ビス-オレフィン化合物の小さな過剰は、最終材料に残ることがありえる。
【0087】
別の実施形態では、上述したSiH中間体化合物(R1O)xR3-xSi-CH2CH2-SiR2-O-[D]3-SiR2-Hは、ジ-またはオルガノペンタシロキサンの末端基として、アルコキシシリル基およびエポキシ基を含む化合物の合成に使用され、ここで80重量%より多くが2または5のシロキシ鎖長を有する。SiH中間体は、化合物L*-Z、例えば、オレフィン-エポキシ、例えば、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキセンオキシド、リモネンエポキシド、ノルボルナジエンモノエポキシド、ジシクロペンタジエニルモノエポキシド、モノエポキシポリエーテルなど、またはアセチレン-エポキシ、例えば、プロパルギルグリシジルエーテル、1,4-ブチンジオール-ジ-グリシジルエーテルなどと反応して、アルコキシシリル基および不飽和基を有する目的分子を得ることができる。
【0088】
本発明の第3の実施形態において、一方の側の末端基がジ-またはトリヒドロキシ芳香族置換基から選択され、他方の末端の末端基がオレフィン基から選択されるポリオルガノシロキサンを合成することができる。式(IIIb)の対称なアルファ,オメガ-ジヒドロゲンペンタシロキサンは、適切な前駆体の1つである。
【0089】
このような反応において、モル過剰のSiH官能化ペンタシロキサンを、不飽和ジ - またはトリヒドロキシ芳香族前駆体、それらのアルキルまたはシリルエーテル、それらのアルキルまたはシリルエーテル、すなわち1-アリル-3,4-ジヒドロキシベンゼン、1-アリル-3-メトキシ-4-ヒドロキシベンゼン、1-アリル-3,4-ジヒドロキシベンゼンのビス-アルコキシシリルエーテルと、ヒドロシリル化触媒の存在下で反応させる。典型的には、芳香族前駆体中の不飽和基に対するSiH-シロキサンのモル過剰は、SiH-シロキサン対不飽和芳香族前駆体で1.5:1から5:1の範囲にわたる。典型的には、式(IV)による過剰のSiH前駆体は、蒸留によって除去することができる。
【0090】
第2のヒドロシリル化ステップにおいて、式
Z1-L-SiR2-O-[D]3-SiR2-H
Z1=芳香族部分
のSiH中間体を、所望の第2の反応基を有する化合物と反応させて、所望の最終ポリオルガノシロキサン化合物が得られる。好ましい例としては、限定されるものではないが、ビス-オレフィン化合物、1,5-ヘキサジエン、ノルボルナジエン、5-エチリデン-2-ノルボルネン、リモネン、エキソ-ジシクロペンタジエン、エチレングリコールジアリルエーテル、プロピレングリコールジアリルエーテル、ジビニル-テトラメチルジシロキサンなど、アセチレン-オレフィン、例えば、プロパルギルアルコール-ウンデシレン酸エステルなど、アセチレン-ビス-オレフィンなど、1,4-ブチンジオ-レ-ビス(ウンデシレン酸)エステル、およびビス-アセチレン、例えば、ビス-プロパルギルエーテルである。ビス不飽和化合物の適切なモル過剰は、その構造に依存する。典型的には、ビス-オレフィンおよびビス-アセチレン化合物との反応にて、ビス-オレフィン/アセチレン対SiHの1.5:1から5:1のまでのSiHに対するモル過剰のビス-オレフィンが適用される。過剰のビス-オレフィン化合物は蒸留により除去することができる。典型的には、アセチレン-オレフィン系およびアセチレン-ビス-オレフィン系の化合物について、SiH基に対してモル過剰の不飽和化合物は、不飽和化合物対SiHで1:1から1.1:1の範囲にわたる。典型的には、典型的には、少し過剰のアセチレン-オレフィンまたはアセチレン-ビス-オレフィン化合物が最終材料に残ることがある。
【0091】
本発明の第4の実施形態において、前記SiH前駆体から出発する、一方側の末端基がジ-またはトリヒドロキシ芳香族置換基であり、他方の末端の末端基がエポキシ基であるポリオルガノシロキサンは、2つのステップで合成されることができ、ここで第1のステップは、式Z1-L-SiR2-O-[D]3-SiR2-H(Z1=芳香族部分)の第3の実施形態の中間体の合成を含み、これを、第2のステップで、適切なオレフィン-エポキシ化合物、例えば、アリルグリシジルエーテル、4-ビニルシクロヘキセンオキシド、ノルボルナジエンモノエポキシド、リモネンエポキシド、ジシクロペンタジエニルモノエポキシド、または、テトラメチルジハイドロジェンジシロキサン(IV)などへのアリルグリシジルエーテルのモノ付加生成物、または、アセチレン-エポキシ、例えば、プロパルギルグリシジルエーテル、1,4-ブチンジオール-ジ-グリシジルエーテルなどと反応させて、ジ-またはトリヒドロキシ芳香族基およびエポキシ基を有する目的分子を得る。
【0092】
二官能性テトラオルガノジシロキサンとヘキサオルガノシクロトリシロキサンを組み合わせることは本発明の範囲内であり、ここで前駆体シロキサンの各々は異なる置換基、R、Rから選択されるR1を有する。
【0093】
例えば、網羅的ではないが、本発明の非対称に置換されたポリオルガノシロキサンの前駆体として以下のペンタシロキサンを使用することが好ましい。好ましい例としては、限定されるものではないが、以下のものが挙げられる。
【化34】
R,R
1=メチル、フェニル、スチリル、フェニルプロピル、ナフチル、
【化35】
ここでL
1=L
2は上記定義通りである。
【0094】
本発明のポリオルガノシロキサンの種々の部分は、SiHまたはSi-アルケニルが追加の反応性基を有する化合物L*-Zと結合することができる任意の適切な方法に従って合成することができる。第1級および第2級アミノ基を含む誘導体は、異なる合成経路によって合成することができる。一実施形態において、本発明のペンタオルガノシロキサンの末端エポキシ基を第1級アミンと反応させて、第2級、第3級アミノまたは第4級アンモニウム基である末端基Z22を生成する。適切なアミンは、例えば、プロピルアミン、ジ第1級アミン、例えば、エチレンジアミン(DE4318536)および第1級-第2級ジアミン、例えばヒドロキシエチレンジアミンである。別の実施形態において、前駆体はエポキシ基の代わりにハロゲンアルキル基を有し、前記アミンと反応する。第3級アミノおよび第4級アンモニウム基含有誘導体は、末端エポキシ基を有する本発明のペンタオルガノシロキサンおよび第2級アミン、第2級-第3級ジアミン(WO02-10257)、または第3級アミン、例えば、トリメチルアミン、またはジメチル長鎖アルキルアミン(US4891166)のそれぞれから合成することができる。
【0095】
ブンテ塩の基を含むポリオルガノシロキサンは、末端エポキシ基を有する本発明のジ-およびペンタオルガノシロキサンおよびチオスルフェートから合成することができる(Silicone, Chemie undTechnologies, Vulkan Verlag Essen 1989, S. 121)。
【0096】
ホスホニウム基含有誘導体は、末端エポキシ基を有する本発明のポリオルガノシロキサンおよびトリアルキル-またはトリアリールホスフィンから合成することができる。
【0097】
末端カーボネート基は、アルコキシシリルを有するSiH官能化シロキサン前駆体への不飽和カーボネート化合物のヒドロシリル化付加反応を介して、第1末端基として挿入され、ここでカーボネートは、例えば、アリルカーボネート(US5672338、US5686547)である。あるいは、エポキシ前駆体をCO2と反応させてカーボネートを生成させることができ(DE19505892)、またはアミノ前駆体を二官能性カーボネートカップリング剤と反応させる(WO2005/058863)。
【0098】
末端イソシアナト基含有誘導体を有するポリオルガノシロキサンは、例えば、アミノ前駆体および二官能性またはそれ以上の官能性イソシアネートから出発して合成することができる。あるいは、カルバマート官能化前駆体は、熱分解反応を受けることができる。
【0099】
エポキシ前駆体とジ第1級アミンとの上記反応生成物は、反応後に第2級または第3級アミノ基ならびに第2級ヒドロキシル基を示す。これらの官能基とイソシアネートとの続く反応により、ウレアおよびウレタン部分を含む化合物が得られる(Organikum, VEB DeutscherVerlag der Wissenschaften 1988, 17.Auflage, S 429)。
【0100】
別の種類のウレタン変性誘導体は、アミンを有するカーボネート前駆体(US5672338)またはシクロカーボネートを有するアミノ前駆体から合成することができる。
【0101】
アミド基を含有する化合物は、ラクトンを形成する前駆体を提供する末端第1級アミン基を有する本発明のポリオルガノシロキサンの反応により利用できる(DE4318536)。
【0102】
エナミン基を含むポリオルガノシロキサンは、アミノ前駆体とアルデヒドまたはケトンとの反応により利用できる(WO2008-113820)。
【0103】
アルデヒド基の挿入は、アミノ前駆体とジアルデヒド、例えばグリオキサールとの反応によって、またはエポキシ前駆体とカルボン酸官能基含有アルデヒド、例えばグリオキシル酸との反応によって行うことができる(US5093518)。
【0104】
カルボベタインは、第3級アミノ基含有前駆体およびクロロ酢酸Naから合成することができる(Silicone, Chemie und Technologies, VulkanVerlag Essen 1989, S. 121)。あるいは、エポキシ前駆体をアミノ酸と反応させることができる(DE10036532)。
【0105】
スルホベタインは、第3級アミノ基含有前駆体およびスルトンから合成することができる(DE4140447)。あるいは、エポキシ前駆体をアミノスルホン酸、すなわちタウリンと反応させることができる。
【0106】
カルボン酸部分を含むポリオルガノシロキサンは、すなわち、ヒドロキシル、エポキシドまたはアミノ官能化前駆体およびカルボン酸無水物、すなわち無水フタル酸、無水コハク酸、無水マレイン酸から合成することができる(DE4318539)。あるいは、エポキシ前駆体は、例えば、ジカルボン酸、すなわちフタル酸、コハク酸、マレイン酸と反応することができる。
【0107】
スルホン酸誘導体は、エポキシ前駆体およびNaHSO3から出発して合成することができる(Silicone, Chemie und Technologies, VulkanVerlag Essen 1989, S. 121)。
【0108】
サルフェート誘導体は、ヒドロキシ基含有前駆体およびアミドスルホン酸NH2S(O)2OHを用いて合成することができる(DE4318539)。
【0109】
ホスフェートまたはリン酸部分の取り込みは、例えば、US5859161およびUS6175028に記載されている。
【0110】
ホスホン酸エステルおよびホスホネート部分は、オレフィン性不飽和前駆体とホスホン酸HP(O)(OH)2のエステルとの反応によって組み込むことができる。
【0111】
キサントゲン酸およびキサントゲン酸エステル部分含有誘導体は、KOHおよびCS2の存在下でエポキシ前駆体から合成することができる。
【0112】
本発明の非対称に置換されたポリオルガノシロキサン化合物は、無機および有機固体表面の改質に使用することができる。無機表面の例としては、ガラス、金属酸化物/水酸化物およびセラミックが挙げられるが、これらに限定されない。有機材料の例には、エポキシ樹脂およびコーティングに基づく表面、ポリアミド、シリコーン樹脂、ポリブタジエン、およびポリウレタンコーティングなどが含まれるが、これらに限定されない。
【0113】
非対称に置換されたポリオルガノシロキサン化合物は、無機および有機のミクロおよびナノ粒子の改質にも使用することができる。ナノ微結晶を含む無機のミクロおよびナノ粒子の例は、Al2O3、SiO2、TiO2、ZrO2、HfO2、ZnO、希土類金属酸化物およびそれらの混合物、アルモシリケート、例えば、ベントナイト、モンモリロナイト、ラポナイト等をベースとするナノ粒子を含むが、これらに限定されない。
【0114】
本発明はまた、本発明による少なくとも1つの非対称ポリオルガノシロキサンが使用される、無機粒子を分散させる、または2以上の非混和性の液相を相溶化する方法を含む。
【0115】
1つの好ましい実施形態は、非対称に置換されたポリオルガノシロキサン化合物が任意にて改質された無機および有機のミクロおよびナノ粒子を有機液体と相溶化または分散させるために使用される組成物を含む。有機液体の例には、シリコーンポリマー、エステル、エーテル、アミド、アミン、アルコール、およびそれらの2つ以上の混合物が含まれるが、これらに限定されない。これらの液体は、ナノ粒子のためのマトリックスまたはバインダーポリマーとして役立ち得る硬化性ポリマーを含み得る。本発明で使用される用語のナノ粒子は、200nm未満、好ましくは50nm未満、より好ましくは10nm未満の粒径を有する粒子と定義する。
【0116】
一実施形態では、表面改質の無機または有機のミクロまたはナノ粒子は、本発明のポリオルガノシロキサンの一部と反応する。そのような改質されたナノ粒子は、任意のマトリックスとの相互作用をさらに強化することができるか、または粒子の凝集を阻止する。相溶化剤という用語は、ナノ粒子の分散のため、または、>1.43の屈折率を有するポリオルガノシロキサンとポリオルガノシロキサンに分散された>1.6のより高い屈折率を有するナノサイズの金属酸化物、特にTiO2、ZrO2、ZnO、HfO2などの結晶質金属酸化物粒子との間の屈折率の差の調整のための非対称に置換されたポリオルガノシロキサンの使用も含むものとする。
【0117】
1より多いポリマーの組成物を含む別の好ましい実施形態では、非対称に置換されたポリオルガノシロキサンは、相異なるポリマーまたは表面間の相間で相溶化剤として使用することができる。典型的な用途は、プライマー組成物、自己接着性ゴム、特にシリコーンゴムまたは熱可塑性組成物およびコーティングにおける接着促進剤における使用である。例としては、シリコーンとエポキシ樹脂、ポリアミド、ポリブタジエンなどに基づくポリマーの組み合わせ、自己接着性シリコーンまたは他の有機ゴムが挙げられるが、これらに限定されない。
【0118】
より具体的な好ましい実施形態は、本発明の非対称ポリオルガノシロキサンを防汚剤として使用することである。そのような表面はバイオフィルムの接着に対して反発し、任意にて追加の硬化ステップを適用することによる本発明のポリオルガノシロキサンのみの使用、またはポリオルガノシロキサン組成物の部分としての使用により製造することができ、ここでこの組成物は、本発明のポリオルガノシロキサンの反応性基によってなされる、任意の共受容系内在性硬化機構によって硬化することができる。防汚コートとしての本発明のポリオルガノシロキサンの好ましい反応性基は、アルコキシシリル、エポキシ、アルケニル、アンモニウム、およびアルキルまたはOH-またはアルキル-末端ポリエーテル基を含む。
【0119】
本発明のポリオルガノシロキサンは、より高い光学密度を有するR、R1またはL-Z基を含むことができる。そのような置換基RまたはZ基の挿入は、>1.55まで屈折率を増加させることができる。より高い屈折率のための適切な基は、芳香族、ビシクロ脂肪族、エポキシ化ビシクロ脂肪族または脂肪族エポキシ基である。本発明のポリオルガノシロキサン中の少なくとも第2の反応性基は硬化反応できる状態となっているので、そのような組成物は、より高い屈折率およびポリオルガノシロキサンの耐熱性が望ましい光学デバイスおよびコーティングの製造に有用である。
【0120】
本発明はまた、コーティング組成物、ゴム組成物中での使用、および光学デバイスの製造に有用な、本発明の少なくとも1つのポリオルガノシロキサンを含む硬化組成物を含む。適用可能な硬化反応は、例えば、熱または光活性化ペルオキシド、他の開始剤によるラジカル開始反応、または不飽和基とSiH基との光および熱もしくは光活性化ヒドロシリル化、縮合およびSN型の反応、例えば、アミンとのオキシラニル開環反応、またはオニウム化合物および光エネルギーの移動のための増感剤化合物を用いた光活性化カチオン重合が含まれる。
【実施例0121】
実施例1.単峰性SiHペンタシロキサンH-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-Hの合成
22.2g(0.3mol)のMeSiOのヘキサメチルシクロトリシロキサン(D3)および13.4g(0.10mol)のテトラメチルジシロキサンHM-MHを22.2gのテトラヒドロフラン(THF)に溶解し、そして1.3gの酸性イオン交換樹脂、Amberlyst A15を触媒として混合した。60℃で3時間後、開環反応が完了したことが見出された。D3は、ガスクロマトグラフィー(GC)により示されるように、α,ω-ジヒドロゲンデカメチルペンタシロキサンへと90重量%以上が変換された。
【0122】
ペンタシロキサンHM-D3-MHをEKS-フィルターで濾過し、分別蒸留(生成物画分:55-65℃および<700Pa(7mbar))で精製した。ガスクロマトグラフィーにより90重量%の純度が確認された。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,25°C) δ [ppm]=0.09 (m, 18H; CH3), 0.20 (m, 12H; CH3), 4.73 (sept, J(H,H)=2.8 Hz, 2H; SiH).
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-21.96 (1Si; Si(CH3)2),-20.13 (2Si; Si(CH3)2), -7.13 (2Si; Si(CH3)2).
【0123】
実施例2.ブチルおよびSiH官能化ペンタシロキサンCH3(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-Hの合成
1-ブテンガス(600.0g、10.70mol)を、実施例1の単峰性ペンタシロキサンMH-D3-MH(740.0g、2.10mol)とLamoreaux-Pt触媒溶液(10ppm、オクタノール中3.3重量%Pt溶液として)との脱ガス混合物に80℃でゆっくりと添加した。ガス添加の完了後、反応物をさらに100℃で30分間加熱した。粗生成物を減圧下で精製して、440.1g(使用したペンタシロキサンに関する収率51.0%)の純粋な生成物CH3(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-Hを得た。この生成物を、さらなる特徴付けを行わずに次の反応ステップに使用した。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=0.16 (m, 30H; CH3),0.57 (m, 2H; CH2), 0.91 (t, J(H,H)=7.1 Hz, 3H; CH3),1.34 (m, 4H; CH2), 4.75 (sept, J(H,H)=2.8 Hz,1H; SiH).
【0124】
実施例3.ブチルおよびアルコキシシリル官能化ペンタシロキサンCH3(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-CH2CH2-Si(OMe)3の合成
実施例2の生成物CH3(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(111.5g、0.30mol)およびトリメトキシビニルシラン(159.2g、1.10mol)の混合物を90℃に加熱し、続いてLamoreaux-Pt触媒溶液(10ppm、オクタノール中の3.3重量%Pt溶液として)を添加した。CH3CH2CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(229.3g、0.60mol)をゆっくりと添加しながら、混合物を130℃の温度に保った。その後、反応混合物を130℃で1時間加熱し、ヒドロシリル化反応を完了させた。揮発物を減圧下で除去し(<2000Pa(20mbar)、150℃)、生成物として淡黄色液体の412.5g(使用したペンタシロキサン出発物質に関して収率89.1%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=0.06 (m, 30H; CH3), 0.55(m, 5H; CH2), 0.88 (t, J(H,H)=7.04 Hz, 3H; CH3),1.31 (m, 4H; CH2), 3.57 (s, 9H; OCH3).
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-41.52 (1Si; Si(OCH3)3),-22.29 (1Si; Si(CH3)2), -21.75 (1Si; Si(CH3)2),-21.51 (1Si; Si(CH3)2), 7.59 (1Si; Si(CH3)2CH2),8.02 (1Si; Si(CH3)2CH2).
【0125】
実施例4.アルコキシシリルおよびSiH官能化ペンタシロキサン(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-Hの合成
実施例1の単峰性ペンタシロキサンMH-D3-MH(269.2g、0.75mol)の激しく撹拌した混合物に、トリメトキシビニルシラン(112.9g、0.76mol)を90℃で滴下し、続いてN2雰囲気下でLamoreaux-Pt触媒溶液(10ppm、オクタノール中の3.3重量%Pt溶液として)を添加した。ヒドロシリル化反応の完了後、混合物を130℃で1時間維持した。粗生成物を蒸留し(130℃、600Pa(6mbar))、純粋な目的分子(158.0g、使用したペンタシロキサンに関して41.0%の収率、GCで測定した純度>99.0%)を得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=0.06 (m, 30H; CH3),0.55 (m, 6H; CH2), 0.88 (t, J(H,H)=7.0 Hz, 3H; CH3),1.31 (m, 4H; CH2), 3.57 (s, 9H; OCH3).
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-42.70 (1Si; Si(OCH3)3),-22.98 (1Si; Si(CH3)2), -22.45 (1Si; Si(CH3)2),-20.97 (1Si; Si(CH3)2), -7.93 (1Si; Si(CH3)2H),7.17 (1Si; Si(CH3)2CH2).
【0126】
実施例5.アルコキシシリルおよびエポキシ官能化ペンタシロキサン(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(-C3H5O=グリシジル/プロペンオキシド)の合成
アリルグリシジルエーテル(AGE)(5.2g、50.9mmol)およびLamoreaux触媒(10ppm、3.3重量%のPtを含むオクタノール溶液として)の溶液を混合し、90℃に加熱した。続いて、実施例4の化合物(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(20.0g、39.0mmol)を反応混合物にゆっくり加えた。添加終了後、130℃で1時間加熱してヒドロシリル化反応を完了させた。精製は、過剰のアリルグリシジルエーテルを減圧下で除去(<100Pa(1mbar)、150℃)することによりなされた。生成物を淡黄色液体として得た(19.9g、収率82.0%)。
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-42.53 (1Si; Si(OCH3)3),-23.11 (1Si; Si(CH3)2), -22.40 (2Si; Si(CH3)2),6.78 (1Si; SiCH2), 7.20 (1Si; SiCH2).
【0127】
実施例6.アルコキシシリルおよびポリエーテル官能化ペンタシロキサン(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-(CH2CH2)n-OH (n=10)の合成
Breox AA 450H [Cognis](101.8g、0.20mol)および実施例4の生成物(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(33.9g、0.07mol)からなる混合物を、N2雰囲気下で90℃に加熱し、続いて10ppmのPt(Lamoreaux触媒、オクタノール中の3.3重量%Pt溶液)を添加した。追加の(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(44.2g、0.09mol)を溶液に10分間かけて加えた。その後、反応混合物を120℃で2時間維持した。揮発物を減圧蒸留(<2000Pa(20mbar)、100℃)により1時間除去した。生成物を淡黄色液体(171.0g、95.0%)の形態で得た。
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-42.55 (1Si; Si(OCH3)3),-23.14 (1Si; Si(CH3)2), -22.42 (2Si; Si(CH3)2),6.79 (1Si; SiCH2), 7.15 (1Si; SiCH2).
【0128】
実施例7.酸エステルおよびSiH官能化ペンタシロキサン(R1)(R1)(CH3)CC(O)O-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(R1,R2=アルキル鎖、合計で6炭素原子)の合成
実施例1の単峰性ペンタシロキサンMH-D3-MH(300.0g、0.84mol)およびLamoreaux-Pt触媒(10ppm、オクタノール中3.3wt%Pt溶液として)の激しく撹拌した混合物に、N2雰囲気下で、VeoVa 9 [Hexion](31.0g)を80℃で滴加した。添加終了後、混合物を120℃で20時間保持した。過剰のMH-D3-MHを減圧下で除去し(130℃、<100Pa(1mbar))、113.0gの中間体生成物を得て、さらなる特徴付けをせずに後続の反応ステップでさらに使用した。
【0129】
中間生成物(113.0g)、ビニルトリメトキシシラン(31.0g、0.21mol)およびLamoreaux-Pt触媒の溶液(10ppm、オクタノール中3.3wt%Pt溶液として)をN2雰囲気下にて90℃で4時間加熱した。続いて、揮発性成分を減圧下で除去した(65℃、<100Pa(1mbar))。純粋な生成物が、褐色がかった液体として得られた(139.0g、使用された出発物質の量に関する収率97.0%)。
【0130】
実施例8.アルコキシシリルおよびビニル官能化ペンタシロキサン(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-CH2CH2-SiMe2-O-SiMe2-CH=CH2の合成
1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサン(111.9g、0.72mol)をN2雰囲気下で110℃に加熱し、続いて10ppmのPt(Lamoreaux触媒、キシレン溶液中3.3%Pt)を添加した。次いで、実施例4の化合物(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(50.9g、0.10mol)を5分内に溶液にゆっくりと滴下した。添加完了後、反応混合物を140℃で3時間維持した。過剰の1,1,3,3-テトラメチル-1,3-ジビニルジシロキサンを蒸留(<600Pa(6mbar)、150℃)により除去して、わずかに黄色の液体生成物を得た(63.5g、使用されたペンタシロキサン物質の量に関する収率92.0%)。
【0131】
実施例9.アリルグリシジルおよびSiH官能化ペンタシロキサンOC3H5-O-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H (OC3H5-=グリシジル/プロペンオキシド)の合成
MH-D3-MH(151.7g、0.43mol)を窒素雰囲気下で90℃に加熱した。Lamoreaux触媒(10ppm、オクタノール中3.3重量%Pt溶液として)を添加し、続いてアリルグリシジルエーテル(46.1g、0.40mol)をゆっくりと添加した。反応混合物を130℃に加熱し、この温度で1時間撹拌した。反応混合物を減圧蒸留(<600Pa(6mbar))に付し、そして生成物(88.5g、使用したエポキシドに対する計算による収率47.0%)を、127-142℃の蒸留温度で無色の液体として回収した。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, 25 °C) δ [ppm]=0.04 (br, 6H; CH3),0.06 (br, 6H; CH3), 0.06 (br, 6H; CH3), 0.08 (br, 6H; CH3),0.17 (br, 3H; CH3), 0.18 (br, 3H; CH3), 0.52 (m, 2H; CH2),1.60 (m, 2H; CH2), 2.58 (dd, 1H; J(H,H)=5.1, 2.7 Hz; CH2),2.77 (dd, 1H; J(H,H)=5.1, 4.2 Hz; CH2), 3.12 (m, 1H; CH),3.42 (m, 3H; CH2), 3.67 (dd, 1H; J(H,H)=11.7, 3.2 Hz; CH2),4.68 (sept, 1H; J(H,H)=2.8 Hz; SiH).
【0132】
実施例10.グリシジルエーテルおよびアルカンで修飾されたペンタシロキサンOC3H5-O-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)11CH3 (OC3H5-=グリシジル/プロペンオキシド)の合成
1-ドデセン(22.7g、0.14mol)および実施例9の反応生成物OC3H5-O-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(8.4g、0.02mol)を、Lamoreaux-Pt触媒溶液(10ppm、オクタノール中3.3重量%Pt溶液として)の添加後に、90℃に加熱した。反応の開始後、追加のOC3H5-O-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(40.6g、0.09mol)を反応混合物にゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を120℃で1時間加熱した。生成物として黄色の液体を得て、さらに精製することなく使用した。完全な変換は、SiH単位(ペンタシロキサン29Si-NMRスペクトルで観察可能な約-700ppmであると予想される)に対応する29Si NMRスペクトルにおけるSi-シグナルが存在しないことによって示された。
29Si-NMR (79MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=-23.27 (1Si; Si(CH3)2),-22.72 (1Si; Si(CH3)2), -22.44 (1Si; Si(CH3)2),6.64 (1Si; Si(CH3)2CH2), 6.74 (1Si; Si(CH3)2CH2).
【0133】
実施例11.アルコキシシリルおよびアルカンで修飾されたペンタシロキサン(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)11CH3の合成
1-ドデセン(30.2g、0.18mol)および実施例4の反応生成物(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(10,1g、0.02mol)を、Lamureaux-Pt触媒溶液(10ppm、オクタノール中3.3重量%Pt溶液として)添加後、90℃まで加熱した。反応の開始後、追加の(MeO)3Si-CH2CH2-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-H(59.7g、0.12mol)を反応混合物にゆっくりと滴下した。添加終了後、反応混合物を120℃で1時間加熱した。生成物として黄色の液体を得て、さらに精製することなく使用した。完全な交換は、SiH単位(ペンタシロキサン29Si-NMRスペクトルで観測可能な約-700ppmであると予想される)に対応する29Si NMRでのSi-シグナルが存在しないことによって示された。
29Si-NMR (79 MHz, CDCl3,25°C) δ [ppm]=-42.33(1Si; Si(OMe)3), -23.05 (1Si; Si(CH3)2),-22.52 (1Si; Si(CH3)2), -22.28 (1Si; Si(CH3)2),6.79 (1Si; Si(CH3)2CH2), 7.26 (1Si; Si(CH3)2CH2).
【0134】
実施例12.シリルエーテル保護カテコールおよびグリシジルエーテルにより修飾されたペンタシロキサン(((CH3CH2)3SiO)2-C6H3-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5Oの合成
4-アリル-1,2-ジ(トリエチルシラニルオキシ)ベンゼン(4.2g、11.13mmol、Jinhwa Heoらの文献(J. Am. Chem. Soc.2012, 134 (49), 20139-20145)の手順に従って合成した)およびH-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(5.6g、11.81mmol)を、窒素雰囲気下にて室温で混合し、そして5分間攪拌した。次いで、反応混合物を110℃に加熱し、Lamoreaux触媒(10ppm、3.3重量%Ptを含むオクタノール溶液)を添加した。温度を130℃に上げ、反応混合物を2.5時間撹拌した。粗生成物をPTFEシリンジフィルター(0.45μm)で濾過し、揮発性成分を減圧下で除去した(<100Pa(1mbar))。生成物((CH3CH2)3SiO)2-C6H3-(CH2)3-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5Oを淡黄色液体として収率78.1%(7.37g)で得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,25°C) δ=0.06 (m, 30H; CH3), 0.56 (m, 4H; CH2), 0.75 (m,12H; CH2), 0.98 (t, 9H; J(H,H)=7.7 Hz; CH3), 0.99(t, 9H ; J(H,H)=7.7 Hz; CH3), 1.62 (m, 4H; CH2),2.50 (m, 3H; CH2), 2.70 (dd, 1H; J(H,H)=5.2, 4.1 Hz; CH2),3.07 (m, 1H; CH), 3.42 (m, 3H; CH2), 3.65 (dd, 1H; J(H,H)=11.5,3.11 Hz; CH2), 6.65 (m, 3H; PhH).
【0135】
実施例13.ブロモアルカンおよびグリシジルエーテルにより修飾されたペンタシロキサンBr(CH2)11-SiMe2O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O (-C3H5O=グリシジル/プロペンオキシド)の合成
11-ブロモ-1-ウンデセン(10.0g、42.88mmol)および実施例9の化合物H-SiMe2-O-[D]3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(2.5g、5.30mmol)を室温(25℃)で混合し、窒素雰囲気下で90℃に加熱した。Lamoreaux触媒(オクタノール中の3.3%Pt溶液の10ppm)を添加し、続いてH-SiMe2-O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(13.04g、27.69mmol)を30分間かけてゆっくりと添加した。続いて、反応混合物を120℃まで加熱し、この温度でさらに90分間撹拌した。過剰の11-ブロモ-1-ウンデセンを減圧蒸留(150℃、<200Pa(2mbar))により除去した。残りの残留物はPTFEシリンジフィルター(0.45μm)を用いて濾過した。生成物Br(CH2)11-Me2Si-O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(10.0g、使用したペンタシロキサン出発物質に関する収率45.9%)を淡黄色の粘性液体として得た。
1H-NMR (400MHz, CDCl3, 25°C) δ [ppm]=0.03 (br, 6H; CH3),0.03 (br, 6H; CH3), 0.04 (br, 6H; CH3), 0.05 (br, 6H; CH3),0.07 (br, 6H; CH3), 0.52 (m, 4H; CH2), 1.26 (m, 14H; CH2),1.40 (m, 2H; CH2), 1.60 (m, 2H; CH2), 1.83 (m, 2H; CH2),2.58 (dd, 1H; J(H,H)=5.2, 2.7 Hz; CH2), 2.76 (dd, 1H; J(H,H)=5.2,4.2 Hz; CH2), 3.12 (m, 1H; CH), 3.37 (t, 2H; J(H,H)=6.9 Hz;CH2), 3.42 (m, 3H; CH2), 3.67 (dd, 1H; J(H,H)=11.7,3.2 Hz; CH2).
【0136】
実施例14.ホスホン酸エステルおよびグリシジルエーテルにより修飾されたペンタシロキサン(EtO)2P(O)-(CH2)11-Me2Si-O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O (-C3H5O=グリシジル/プロペンオキシド)の合成
実施例13の化合物Br(CH2)11-Me2Si-O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(5.0g、7.10mmol)およびトリエチルホスファイト(2.7g、16.33mmol)を室温(25℃)で混合し、そしてN2緩流下で130℃に加熱した。2.5時間後、温度を150℃に上げ、変換を1H NMR分光法でモニターした。11時間後に完全な変換が観察されるまで、さらなるトリエチルホスファイトを、徐々に(各々の量で1.2g、7.10mmol)反応混合物へ添加した。過剰なトリエチルホスファイトを減圧下で除去した(<10Pa(0.1mbar))。残りの残留物はPTFEシリンジフィルター(0.45μm)を用いて濾過した。生成物(EtO)2P(O)-(CH2)11-Me2Si-O-D3-SiMe2-(CH2)3-O-C3H5O(2.9g、使用されたペンタシロキサン出発物質の量に対して計算された収率51.9%)を淡黄色の粘性液体として得た。
1H-NMR (400 MHz, CDCl3,25°C) δ [ppm]=0.02 (br, 6H; CH3),0.03 (br, 6H; CH3), 0.04 (br, 6H; CH3), 0.04 (br, 6H; CH3),0.06 (br, 6H; CH3), 0.51 (m, 4H; CH2), 1.25 (m, 16H; CH2),1.30 (t, 6H; J(H,H)=7.1 Hz; CH3), 1.58 (m, 4H; CH2),1.69 (m, 2H; CH2), 2.58 (dd, 1H; J(H,H)=5.2, 2.7 Hz; CH2),2.77 (dd, 1H; J(H,H)=5.2, 4.1 Hz; CH2), 3.12 (m, 1H; CH),3.42 (m, 3H; CH2), 3.67 (dd, 1H; J(H,H)=11.5, 3.2 Hz; CH2),4.07 (m, 4H; CH2).
31P-NMR (162 MHz, CDCl3,25 °C) δ [ppm]=31.7 (s, 1P).
【0137】
実施例15および16-防汚組成物
選択された実施例6および7の材料は、汚れ剥離/易清浄コーティング配合物に用いられた。このようにして、両方の材料6および材料7を、50/50(重量/重量)比で混合し(実施例15)、ならびに第2の例において90/10(重量/重量)比で混合した(実施例16)。湿気硬化促進剤としてのジイソプロポキシ-ビス(エチルアセトアセタート)チタネート(Ti(acac)2OiPr2)の3.0重量%を各混合物に添加後、両方の配合物を、コーティングナイフを使用して、事前に市販のプライマー(2パックエポキシプライマー、Hempel Light Primer、11630-オフホワイト、プライマー層の厚さ約50μm)でプライミングしたPVCパネル(PVC Simona-CAW、サイズ100×100×2mm)上に、約300μmの厚さで個々に塗布した。
【0138】
調製した試験パネルA(50/50(重量/重量)混合物および3重量%のTi(acac)2OiPr2)および試験パネルB(90/10(重量/重量)混合物および3重量%のTi(acac)2OiPr2)を周囲条件(25℃、約50%湿度)で24時間硬化させた。
北海地域の静的海水浸漬試験は、ドイツ、ニーダーザクセン州、ノルダーナイの港で、淡水海洋研究所LimnoMarによって実施された。調製した試験パネルAおよび試験パネルBの汚れ剥離性能を対照サンプルと比較して試験した。コーティングされていないPVCパネル(C)およびHempel Light PrimerでコーティングされたPVCパネル(D)は、ネガティブ対照参照サンプルとした。ポジティブ参照として、市販のCu含有殺生物防汚塗料で被覆したPVCパネル(E)および市販のZn含有(制御空乏ポリマー系)防汚塗料配合物で被覆したPVCパネル(F)は、本研究に含まれる。すべてのサンプルパネルは、その後、北海に潜水した金属ラック(横並び)に配置された(1月中旬から8月末まで)。
【0139】
全ての試験パネルは海水中に連続的に留置され、達成された防汚/汚れ剥離性能に関して被覆された表面を評価するため、一時的にのみ取り出された。汚れ剥離の評価は、国際的なASTM規格(コーティングされた試験パネル上の海洋生物付着物の評価のための標準試験法)に従って行われた。実際の評価の前に、すべてのパネルを海水ですすぎ、表面からの緩みのある付着物質を除去した。評価のために、100から0までの汚れ剥離評価(FR)を利用し、ここでスコア100の評価は汚れのない面を示し、スコア0は海洋生物付着で完全に覆われた面とされる。
【0140】
特にパネルAは、パネルF上の市販のZn放出参照コーティング(FR=80)に対して189日まで同様の性能(FR=73)を示したことが明らかとなった。パネルE上の市販のCu含有殺生物性参照は、最大限で汚染被覆を示さなかった。非常に対照的に、未処理のPVCプレート(パネルC)およびプライマー配合物でコーティングされたパネルDは、汚染で著しい過成長を示した(それぞれFR=0およびFR=2)。パネルAおよびB上の蓄積された汚染被覆は、柔らかいスポンジを用いて表面上を穏やかに拭くことによって容易に除去することができることが観察された。これは表面上の汚染とその下のトップコートとの間の接着力が低いことを実証している。パネルAの汚染被覆は189日後に増加することが明らかにされたが(FR=0、219日)、219日後のパネルBの自己回復は、汚染付着性が低く、したがって汚れ剥離効果を実証している。
【0141】
コーティング配合物の性能はまた、LimnoMarのノルダーナイ試験所に位置されたRotoMarin(登録商標)試験を使用した動的海水浸漬実験により確認された例えば、パネルAの調製に使用された同じ組成物でコーティングされた区域は、生物付着成長が>12ノットの表面流速で効率的に防止され得ることを示した(FR=98、浸水の83日後)。この結果は、材料例6および7の配合に基づくトップコートから予想される汚れ剥離効果を強く示している。
【0142】
実施例17-19.防曇性コーティング組成物
ワニスの製造は、材料の種類および量が変更されたことを除いて、EP1087001の実施例1について記載した手順に従って行った。純粋なメチルトリメトキシシラン(B1)を使用する代わりに、後者と実施例6(A1)に記載のペンタシロキサンとの混合物および下記のポリヒドロキシアルコキシシラン(C1)との混合物を使用した。
【0143】
ポリヒドロキシ-アルコキシシラン(C1)の合成
還流冷却器、温度計および機械的撹拌機を備えた500mlの3つ口フラスコに、構造(CH
3O)
3Si-(CH
2)
3-O-C
3H
5O (-C
3H
5O=グリシジル/プロペンオキシド)のエポキシシラン63,80g(0.27モルのエポキシ基)、構造CH
3C(CH
2OH)
2COOHの酸36,20g(0,27モルのCOOH)、トリエチルアミン1g、およびプロピレングリコールモノメチルエーテル233,3gを、N
2下にて室温で混合する。混合物を80℃で64時間加熱する。その後、エポキシド変換をNMR
1H(95%)により分析する。下記構造のポリヒドロキシシランを含有する溶液は、得られたままで使用される。
【化36】
【0144】
【0145】
例示的な実施形態
ポリカーボネートパネル(Makrolon AL2647、厚さ3.2mm)を、表2に記載の防曇コーティング組成物でフローコーティングした。周囲条件で2分間フラッシュオフした後、被覆物品を空気循環対流オーブン中にて120-130℃で30分間加熱硬化させた。得られたコーティング層の厚さは、1-6μmの範囲であった。得られたコーティング-ポリカーボネート複合体の防曇性能、接着性および光学的外観を評価した。
【0146】
スチームフォギング試験:
防曇コーティングで被覆された透明なポリカーボネートパネルを、60℃に維持された温水浴の水面の5cm上に置いた。コーティング層は、当該温水浴の一定の蒸気に30秒または60秒間暴露される。この時間の間にコーティング表面上に視認できる曇りも、その他の視認できる欠陥も生じることはない。
【0147】
呼吸テスト:
周囲温度で、防曇コーティングでコーティングした透明なポリカーボネートパネルを10cmの距離に保持し、パネル上に約2秒間吐息を吹き付ける。目視観察により曇りが存在しないことが観察された。
【0148】
接着テスト:
ポリカーボネート基材(例えば、Makrolon、Lexan)へのコーティングの接着性は、Tesa(登録商標)4657テープを使用して、ENISO 2409に従って試験されたクロスハッチによって試験される。
【0149】
表2の結果に対するコメント
プライマー系またはその他の前処理を必要とせずに下にある基材に対して良好な接着性を示す、ポリカーボネートへのシロキサン系コーティングは、上記の文献で公知である。本発明では、コーティング材料のベースマトリックスとしてのアルコキシシランと、反応性親水性成分との組み合わせが、コーティング層の優れた防曇特性を達成することができることが見出された。C1)反応性ポリヒドロキシアルコキシシランに加えて、ベースモノマーB1)とA1)その上に反応性アルコキシシラン基を有し、他方の末端にポリエチレンオキサイド鎖を有する非対称ペンタシロキサンを組み合わせることにより、親水性コーティング材料は、自動車用途に適したゾル-ゲル法で形成される。50%アルコキシシランB1)の基本マトリックス成分と、35%のペンタシロキサンA1)と15%のポリヒドロキシアルコキシシランC1)の組み合わせが最適性能を示すことが分かった。A1)およびC1)の濃度が70%を超えると、適切なコーティング層を形成する能力が失われる。一方、B1)の濃度が60%付近以上になると、防曇性がもはや観察されなくなる。
【0150】
本発明の実施形態が上記のように説明したが、本明細書を読んで理解すると修正および変更を加えることが他に起こりえる。以下の特許請求の範囲は、特許請求の範囲またはその等価物の範囲内に入る限り、すべての改変および変更を含むことが意図されている。