(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054183
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】遅延添加剤を含む接着剤組成物
(51)【国際特許分類】
C09J 4/02 20060101AFI20240409BHJP
C09J 11/06 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C09J4/02
C09J11/06
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014568
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2021535725の分割
【原出願日】2019-12-12
(31)【優先権主張番号】18214799.1
(32)【優先日】2018-12-20
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(71)【出願人】
【識別番号】516342265
【氏名又は名称】ハンツマン・アドヴァンスト・マテリアルズ・ライセンシング・(スイッツランド)・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】110000741
【氏名又は名称】弁理士法人小田島特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】フラップソース,アストリッド
(72)【発明者】
【氏名】バロン,カトリーヌ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】機械的および接着特性に負の影響を及ぼさずに反応性の速度を落とすための、遅延添加剤を含有する接着剤組成物を提供する。
【解決手段】1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー、触媒系および遅延添加剤を含んでなり、遅延添加剤が二級アミンである接着剤組成物とする。また、メタクリレートモノマーを含んでなる接着剤組成物用の遅延添加剤としての二級アミンの使用に関する。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー、触媒系および遅延添加剤を含んでなり、遅延添加剤が二級アミンである接着剤組成物。
【請求項2】
二級アミンが1より多くの二級アミン基を含んでなる二級アミンである請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項3】
二級アミンが二級アリールアミンである請求項2に記載の接着剤組成物。
【請求項4】
二級アリールアミンが、
式(1)
【化1】
式中、R1およびR2はC
6-C
18アルキル基から独立して選択される
式(2)
【化2】
式中、R1はC
6-C
18アルキル基から選択され、そしてR2は水素またはC
1-
C
6アルキル基から選択される、あるいは
式(3)
【化3】
式中、R1およびR2は水素またはC
1-C
6アルキル基から独立して選択される
を有する化合物から選択される請求項3に記載の接着剤組成物。
【請求項5】
遅延添加剤が環式二級アミンから選択される請求項1に記載の接着剤組成物。
【請求項6】
環式二級アミンが、2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマーである請求項5記載の接着剤組成物。
【請求項7】
遅延添加剤が、接着剤組成物の総重量に基づき1重量%から5重量%の量で含まれる前記請求項のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項8】
1もしくは複数のメタクリレートエステルモノマーが、接着剤組成物の総重量に基づき10重量%から90重量%の量で含まれる前記請求項のいずれかに記載の接着剤組成物。
【請求項9】
メタクリレートモノマーを含んでなる接着剤組成物用の遅延添加剤としての二級アミンまたは二級アミンの混合物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は一般に接着剤組成物に関し、特に1もしくは複数のメタクリレートモノマー、触媒系および遅延添加剤を含んでなる接着剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
メチルメタクリレート(MMA)を基材とする接着剤配合物は、この数十年の間、徹底的に調査され、例えば特許文献1、2,および3に開示されるような多くの改良をもたらした。
【0003】
MMAを含む接着剤配合物の残る1つの問題は、MMAの刺激臭および可燃性である。
【0004】
特許文献4は、この問題を解決するためにMMAの代わりに低臭のメタクリレートモノマーを使用する組成物を開示する。
【0005】
所望の接着および機械的特性を維持しながらMMAを置き換えるために、メタクリレートエステルの混合物が使用される必要がある。そのようなモノマー混合物を適切に硬化するための触媒パッケージが従来技術では知られている。例えば特許文献5は、芳香族過酸エステルフリーラジカル前駆体(好ましくはアミン/アルデヒド付加物アクチベーターと一緒に)、環状互変異性が可能な有機酸および遷移金属硬化促進剤に基づく触媒系を含む接着剤組成物を開示する。
【0006】
しかし特定のメタクリレートモノマーの高い反応性により、機械的および接着特性に影響を及ぼさずに、長いオープンタイム(open time)(以下に定義するような)を達成するために、反応性を遅くする必要がある。
【0007】
特許文献6は、非プロトン性ルイス酸および亜鉛塩に基づくメタクリレート接着剤用の遅延添加剤(retarding additives)を開示する。しかしそのような遅延剤は通常、遅延剤の取り扱いに負の影響を及ぼす吸湿性である。またそのような遅延剤は通常、破断点伸びのような接着剤の貯蔵安定性に負の影響を有する。
【0008】
したがって、機械的および接着特性に負の影響を及ぼさずに、反応性の速度を落とすためにメタクリレートモノマーに基づく接着剤組成物用の遅延剤の必要性が続いて存在している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】欧州特許出願公開第2275507(A1)号明細書
【特許文献2】国際公開第2006/119469(A2)号パンフレット
【特許文献3】米国特許第7,776,963(B2)号明細書
【特許文献4】欧州特許出願公開第1609831(A1)号明細書
【特許文献5】米国特許第348,503号明細書
【特許文献6】米国特許第6,291,593(B1)号明細書
【発明を実施するための形態】
【0010】
発明の開示
本明細書で別段の定めがない限り、本開示と関連して使用される技術用語は、当業者により通常理解されている意味を有するものである。さらに文脈から別の解釈が必要とされ
ない限り、単数形は複数を含み、そして複数形は単数を含むものとする。
【0011】
本明細書で言及する全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、本開示が関係する技術分野の当業者の技術水準を示す。本出願の任意の部分で引用される全ての特許、公開された特許出願、および非特許刊行物は、各個別の特許または刊行物が個別具体的に引用により編入されているように、そしてそれらが本開示と矛盾しない程度と同じ程度までそれら全部を引用により明白に本明細書に編入する。
【0012】
本明細書に開示するすべての組成物および/または方法は、本開示に照らして必要以上の実験を行わずに作成でき、そして実施できる。本開示の組成物および方法は好適な態様という意味で記載したが、当業者には本開示の概念、精神、および範囲から逸脱せずに本明細書に記載する組成物および/または方法に、そして方法の工程または工程の順序に変更を適用できることが明白である。そのような当業者には明白なすべての類似する置き換えおよび修飾は、本開示の精神、範囲および概念の中にあると見なされる。
【0013】
本開示に従い使用されるように、以下の用語は別段の定めがない限り、以下の意味を有すると理解すべきである。
【0014】
用語“a”または”an”の使用は、用語「含んでなる(comprising)」、「含む(including)」、「有する(having)」または「含む(containing)」(またはそのような用語の派生形)と関連して使用する場合、「1つ」を意味するものだが、これはまた「1もしくは複数」、「少なくとも1つ」および「1または1より多く」という意味とも合致する。
【0015】
用語「または」の使用は、もっぱら代替物を明らかに示し、そして代替物が相互に排他的である場合のみを除き、「および/または」を意味するために使用する。
【0016】
本開示を通して用語「約」は、値が定量する装置、メカニズムまたは方法の誤差の固有変動性、あるいは測定される対象(1もしくは複数)間に存在する固有の変動性を含むことを示す。例えば限定するわけではないが、用語「約」を使用する場合、それが指す表示した値は、プラスマイナス10パーセント、または9パーセント、または8パーセント、または7パーセント、または6パーセント、または5パーセント、または4パーセント、または3パーセント、または2パーセントまたは1パーセントまで、あるいはそれらの間の1もしくは複数の画分で変動してよい。
【0017】
「少なくとも1つ」の使用は、1ならびに限定するわけではないが1,2,3,4,5,10,15,20,30,40,50,100等を含む1より多くの任意の量を含むと理解されるものである。用語「少なくとも1つ」は、それが指す用語に依存して最高100または1000またはそれより多くに拡張することができる。さらに100/1000の量は、より低い、またはより高い限界も満足な結果を生じる可能性があるので、限定と考えるものではない。
【0018】
本明細書で使用する場合、用語「含んでなる(comprising)」(およびその任意の形、例えば“comprise”および“comprises”)、「有する(having)」(およびその任意の形、例えば“have”および“has”)、「含む(including)」(およびその任意の形、例えば“includes”および“include”)または「含む(containing)」(およびその任意の形、例えば“contains”および“contain”)は、包括的、すなわち制限がなく(open-ended)、そして追加の非言及要素または方法工程を排除しない。
【0019】
本明細書で使用する句「またはそれらの組み合わせ」および「およびそれらの組み合わせ」は、用語に先行する列挙した項目の全ての並べ替えおよび組み合わせを指す。例えば「A,B,Cまたはそれらの組み合わせ」は:A,B,C,AB,AC,BC,またはABCの少なくとも1つを含むことを意図し、そして特定の文脈で順序が重要ならばBA,CA,CB,CBA,BCA,ACB,BACまたはCABの少なくとも1つを含むことを意図する。この例に続いて明確に含まれるのは、1もしくは複数の項目または用語の反復を含む組み合わせ、例えばBB,AAA,CC,AABB,AACC,ABCCCC,CBBAAA,CABBB等である。当業者は文脈から明らかにそうでない場合を除き、一般に任意の組み合わせの中の項目および用語の数に制限はないと理解するだろう。同じ考え方で、用語「またはそれらの組み合わせ」および「およびそれらの組み合わせ」は、句「から選択される」または「からなる群から選択される」と一緒に使用される場合、その句に先行する列挙した項目の全ての並び替えおよび組み合わせを指す。
【0020】
「1つの態様において」、「態様では」、「1つの態様によれば」等の句は、一般にその句に続く特定の機能、構造または特徴が本開示の少なくとも1つの態様に含まれることを意味し、そして本開示の1より多くの態様に含まれ得ることを意味する。重要なことは、そのような句は非限定的であり、そして同じ態様を必ずしも指していないが、もちろん1もしくは複数の先行する、および/または後述する態様を指すことができる。例えば添付の請求の範囲では、任意の請求する態様を任意の組み合わせで使用することができる。
【0021】
本明細書で使用する「オープンタイム」は、接着剤が第1基材に適用された後の時間量、すなわち第2基材へ効果的に結合するために接着剤が十分な連結(tack)を維持する時間量を意味する。
【0022】
本開示の目的は、1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー、触媒系および遅延添加剤(retarding additive)を含んでなり、遅延添加剤が二級アミンである接着剤組成物により解決される。
【0023】
好ましくは、二級アミンが1より多くの二級アミン基を含んでなる二級アミンであり、より好ましくは二級アリールアミンである。
【0024】
本開示の特に好適な態様では、二級アリールアミンが、
式(1)
【化1】
式中、R1およびR2はC
6-C
18アルキル基から独立して選択される
式(2)
【化2】
式中、R1はC
6-C
18アルキル基から選択され、そしてR2は水素またはC
1-
C
6アルキル基から選択される、または
式(3)
【化3】
式中、R1およびR2は水素またはC
1-C
6アルキル基から独立して選択される
を有する化合物から選択される。
【0025】
本開示の別の特に好適な態様では、遅延添加剤が環式二級アミン、最も好ましくは
2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマーから選択される。
【0026】
本開示の1つの態様では、接着剤組成物が、接着剤組成物の総重量に基づき1重量%から5重量%の量の遅延添加剤を含んでなる。
【0027】
本開示の別の好適な態様では、接着剤組成物が、接着剤組成物の総重量に基づき10重量%から90重量%の量の1もしくは複数のメタクリレートエステルモノマーを含んでなる。
【0028】
また本開示は、メタクリレートモノマーを含んでなる接着剤組成物用の遅延添加剤としての二級アミンまたは二級アミンの混合物の使用に関する。
【0029】
本開示の組成物中の遅延添加剤として使用される化合物は、それ自体が例えばゴム工業で酸化防止剤として当該技術分野で既知である。驚くことに今、それらは機械的および接着特性または貯蔵安定性に影響を及ばすことなくメタクリレート系の接着剤組成物のオープンタイムの延長に大変効果的であることが分かった。
【0030】
以下の表1は、本開示による接着剤組成物に好適な組成を示す(A部(樹脂部)およびB部(硬化剤部)の両方を含む)。任意の好適な、より好適な、または最も好適な任意の成分の重量比または重量比の範囲を、任意の他の成分の好適な、より好適な、または最も好適な任意の成分の重量比または重量比の範囲と組み合わせることができる。
【表1】
【0031】
(メタ)アクリレートエステルモノマーは通常、(メタ)アクリレートエステルモノマーの混合物である。これらは例えばヒドロキシエチルメタクリレート(HEMA),ヒドロキシプロピルメタクリレート(HPMA),2-エチルヘキシルメタクリレート(EHMA),テトラヒドロフリルメタクリレート(THFMA),シクロヘキシルメタクリレート(CHMA),ベンジルメタクリレート(BMA)イソボルニルメタクリレート(IBOMA),イソデシルメタクリレート(IDMA),フェノキシエチルメタクリレート(PEMA)およびブチルタクリレート(BMA)から選択されるメタクリレート,あるいは例えばメチルアクリレート(MA),ブチルアクリレート(BA),シクロヘキシルアクリレート(CHA),ヘキシルアクリレート(HA),2-エチルヘキシルアクリレート(EHA),ラウリルアクリレート(LA)およびエチルアクリレート(EA)から選択されるアクリレート、あるいは前記メタクリレート、アクリレートまたは両方の混合物から選択されることができる。
【0032】
それほど好ましくないが、(メタ)アクリレートエステルモノマーも使用でき、ここでエステ基のアルコール部分が1から8個の炭素原子を含む。さらにそれほど好ましくはないが、当該技術分野で既知の他の(メタ)アクリレートエステルモノマーを使用してもよい。
【0033】
本開示の接着剤組成物の好適な任意成分である酸モノマーは、好ましくはメタクリル酸(MAA)であり、それほど好ましくはないがアクリル酸,マレイン酸、クロトン酸およびフマル酸、それほど好ましくはないが当該技術分野で既知の他のフリーラジカル重合性酸モノマーである。
【0034】
高分子改質剤は本開示の接着剤組成物の別の好適な任意な任意の成分であるが、好ましくはコア-シェル衝撃改質剤、それほど好ましくはないがチキソトロープ剤および/または強化剤として作用するニトロ-ゴム粒子または粉末または高分子樹脂である。コア-シェル衝撃改質剤は好ましくは、「コア-シェル型」のグラフトコポリマーである。好適なコア-シェルグラフトコポリマーは、アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(ABS),メタクリレート-ブタジエン-スチレン(MBS),およびメタクリレート-アクリロニトリル-ブタジエン-スチレン(MABS)である。別の好適なコア-シェル衝撃改質剤は、所謂アクリル衝撃改質剤(AIM),ブチルアクリレートゴムのコアおよびポリメチルメタクリレート(PMMA)のシェルのコア-シェル製品である。
【0035】
本開示の接着剤組成物の別の好適な任意成分である酸化防止剤は、好ましくはIRGANOX(商標)1098(N,N’-1,6-ヘキサンジイルビス[3,5-ビス(1,1-ジメチルエチル)-4-ヒドロキシ]-ベンゼンプロパンアミド]またはIRGANOX(商標)1330(3,3’,3’,5,5’,5’-ヘキサ-tert-ブチル-a,a’,a’-(メシチレン-2,4,6-トリル)トリ-p-クレゾール)のようなBASFから市販されているIRGANOX(商標)シリーズからの酸化防止剤、それほど好ましくはないが当該技術分野で知られている他の酸化防止剤である。
【0036】
本開示の接着剤組成物の別の好適な任意成分である阻害剤は、フリーラジカル重合阻害剤であり、これは使用期限を延ばし、そして不十分な重合を抑制し、そして好ましくはハイドロキノン(HQ)またはメチルハイドロキノンであり、それほど好ましくはないがブチル化ハイドロキノン(BHT)または他の既知のフリーラジカル重合阻害剤である。
【0037】
本開示の接着剤組成物の別の好適な任意成分は、ポリクロロプレン、ブタジエンと他のモノマー、例えばアクリロニトリルとのコポリマー、イソプレンとスチレン、アクリロニトリル、アクリル酸エステル、メタクリレートエステルとのコポリマー、エチレンとアクリル酸エステルとのコポリマー、エピクロロヒドリンのホモポリマー、およびエピクロロヒドリンとエチレンとのコポリマー、スチレンおよびブタジエンまたはイソプレンのブロック-コポリマー、およびスチレン、ジエンモノマーのブロック-コポリマーを含むポリクロロプレン、およびそれらの混合物から選択される。
【0038】
本開示の接着剤組成物の重合反応の開始および活性化に有用な、(メタ)アクリレート接着剤系用に知られている任意の触媒系を使用することができる。本開示の接着剤組成物に使用される好適な触媒系は、米国特許第4,348,503号明細書に記載されているものであることができる。既知の促進剤(accelerator)およびプロモータの使用が有利となり得る。
【0039】
さらなる詳細は、以下の実施例から分かる。
【実施例0040】
以下の材料を実施例の配合物の調製に使用した。
THFMA:サートマー(Sartomer)から市販されているSartomer(商標)SR203Hとして得たテトラヒドロフルフリルメタクリレート
EHMA:エヴォニック(Evonik)から市販されているVISIOMER(商標)EHMAとして得たエチルヘキシルメタクリレート
MAA:シグマアルドリッチ(Sigma Aldrich)から入手したメタクリル酸Silquest A174:モメンティブ(Momentive)から得たビニル シラン
マレイン酸:DSMから得た
VULKANOX(商標)BHT:ランクセス(Lanxess)から得られるブチル化ヒドロキシトルエン
PARALOID TMS2670J:ダウ(DOW)から得たMBSコア シェル衝撃改質剤
PARALOID EXL 2300G:ダウ(DOW)から得たAIMコア シェル
Sartomer(商標)SR348C:サートマーから得たエトキシル化ビスフェノールA ジメタクリレート
CAB-O-SIL(商標)TS720:カボット(Cabot)から得た処理済フュームドシリカ
Trigonox(商標)C:アクゾノベル(AkzoNobel)から得たt-ブチルペルオキシベンゾエート
ソリジェン銅(Soligen copper):ボルチャーズ(Borchers)から得た
VULKANOX(商標)HS LG:ランクセスから得た2,2,4-トリメチル-1,2-ジヒドロキノリンポリマー
KGL097:レイク ケミカルズ(Lake Chemicals)から得た3,5-ジエチル-1,2-ジヒドロ-1-フェニル-2-プロピルピリジン
表2に示す量は、重量%である。
【0041】
樹脂
最初にマレイン酸をTHFMAに室温(約25℃)で溶解した。表2の樹脂用の全ての成分を一緒に加え、そしてスピードミキサー(遠心ミキサー)を使用して、均一な生成物が得られるまで混合した。
【0042】
硬化剤(Hardener)
200ppmのソリジェン銅(EHMA中)を調製した。表2の硬化剤用の全ての成分を一緒に加え、そしてスピードミキサー(遠心ミキサー)を使用して、均一な生成物が得られるまで混合した。VULKANOX(商標)HS LGを挽いた後に加え、そして次にマトリックスに添加後に溶解した。
【表2】
【0043】
【0044】
23℃での発熱試験
7gの樹脂+7gの硬化剤をカップ内で混合し、次いでシリコン型に移し、そして
発熱反応は熱電対を用いて経時的に追跡する。
【0045】
32℃に達するまでの時間、最大温度および最大温度に達するまでの時間を記録する。
【0046】
重ね剪断強度(ISO4587)
CFRP(炭素繊維強化ポリマー)およびABS(アクリロニトリルブタジエンスチレン)基材はイソプロパノールで拭いて、そして摩耗させることにより脱脂した。アルミニウム基材はサンドブラストし、そしてアセトンですすいだ。接着剤組成物を基材対の表面に分配した。2つの面を合わせ、そして互いにコンプレッサー型のチューブクランプで保持した。重なった面積は25.0mm × 12.5mmであった。結合した連結部は23℃で24時間、硬化させておいた。次いでクランプを取り外し、そして結合した連結部を引張剪断強度(TSS)について、ISO4587に従い10mm/分のクロスヘッド速度で試験した。TSS値はメガパスカル(MPa)で記録した。3回試験した連結部の平均値を記録する。
【0047】
引張特性(ISO527)
2mm厚の板を圧の下に調製し、そして室温(約25℃)で1週間硬化した後、ISO
527に従い試験した。
【0048】
動的機械特性分析(ISO6721)
同じ板からのサンプルをねじりについてISO6721に従い-100から+150℃で試験してガラス転移温度を測定した。
【0049】
前記の試験結果は、本開示に従い実施例2の組成物に遅延添加剤を加えることが、接着、引張特性またはガラス転移温度のいずれにも影響を及ぼさずに系の反応性の速度を落とすことを示していることを表す。
【0050】
前記開示の主題は例示であり、そして限定的ではないと考えられ、そして添付の請求の範囲がすべてのそのような修飾、強化および他の態様を網羅するものであり、これらは本開示の範囲に入る。すなわち法により許される最大の範囲にするために、本発明の範囲は、以下の請求の範囲およびそれらの均等物の最も広い可能な解釈により決定され、そして前述の詳細な説明により制限または限定されるものではない。
1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー、触媒系および遅延添加剤を含んでなり、遅延添加剤が、1より多くの二級アミン基を含んでなる二級アリールアミン又は環式二級アミンである、2剤型の接着剤組成物であって、
前記2剤型の接着剤組成物の1剤が、前記1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー及び前記触媒系を含み、前記2剤型の接着剤組成物の他の1剤が、前記遅延添加剤を含む、2剤型の接着剤組成物。
メタクリレートモノマーを含んでなる2剤型の接着剤組成物用の遅延添加剤としての二級アミンまたは二級アミンの混合物の使用であって、前記二級アミンが、1より多くの二級アミン基を含んでなる二級アリールアミン又は環式二級アミンであり、かつ
前記2剤型の接着剤組成物の1剤が、前記1もしくは複数の(メタ)アクリレートエステルモノマー及び前記触媒系を含み、前記2剤型の接着剤組成物の他の1剤が、前記遅延添加剤を含む、使用。