(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054187
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】多能性幹細胞バイオマーカーを分析するための方法およびその実施
(51)【国際特許分類】
C12Q 1/686 20180101AFI20240409BHJP
C12Q 1/04 20060101ALI20240409BHJP
C12Q 1/6869 20180101ALI20240409BHJP
A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
G01N 33/574 20060101ALI20240409BHJP
G01N 33/53 20060101ALI20240409BHJP
C12N 5/0789 20100101ALN20240409BHJP
C12N 15/10 20060101ALN20240409BHJP
C12N 15/12 20060101ALN20240409BHJP
【FI】
C12Q1/686 Z
C12Q1/04
C12Q1/6869 Z
A61K45/00
A61P35/00
G01N33/574 Z
G01N33/53 M
C12N5/0789
C12N15/10 110Z
C12N15/12
【審査請求】有
【請求項の数】1
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024014812
(22)【出願日】2024-02-02
(62)【分割の表示】P 2020568365の分割
【原出願日】2019-06-13
(31)【優先権主張番号】201821022052
(32)【優先日】2018-06-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(31)【優先権主張番号】201821046670
(32)【優先日】2018-12-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IN
(71)【出願人】
【識別番号】520476868
【氏名又は名称】23イキガイ ピーティーイー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】トゥリパーティー,ビナイ クマール
(72)【発明者】
【氏名】トゥリパーティー,アシシュ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法を提供する。
【解決手段】a)血液サンプルを得る工程と、b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの増加が、代謝的に改変された細胞の存在を検出するためには、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較して、少なくとも2倍である、方法とする。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、
a)血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、
サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの増加が、代謝的に改変された細胞の存在を検出するためには、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較して、少なくとも2倍である、方法。
【請求項2】
休眠細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、
a)血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、
サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの増加が、休眠細胞の存在を検出するためには、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較して、多くとも1.9倍である、方法。
【請求項3】
がんを検出するためのインビトロ方法であって、
a)血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、
サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの増加が、がんを検出するためには、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較して、少なくとも10倍である、方法。
【請求項4】
がんを予測するためのインビトロ方法であって、
a)血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸
にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、
サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加が、がんを予測するためには、少なくとも6倍である、方法。
【請求項5】
配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
配列に基づくアッセイによって核酸を分析する工程により、がんの種類を検出する、請求項5に記載の方法。
【請求項7】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも3倍である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも5倍である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、20~30倍の範囲である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、30~40倍の範囲である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、40~50倍の範囲である、請求項1、3、または4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
抗がん治療に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、
a)抗がん治療中のある時点において、血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それにより抗がん治療に対する応答をモニタリングする工程であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照物における発現レベルと比較した減少が、抗がん治療に対する肯定的な応答を示すためには、少なくとも2倍であり、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、工程
と
を含む、方法。
【請求項15】
参照物が、(a)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(b)請求項14の工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、(c)請求項14の工程(a)において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプル、および(d)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
抗がん治療に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、
a)抗がん治療の投与の前に、血液サンプル-Iを得る工程と、
b)抗がん治療の投与の後に、血液サンプル-IIを得る工程と、
c)血液サンプル-Iから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-Iを得る工程と、
d)血液サンプル-IIから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-IIを得る工程と、
e)混合物-Iから核酸-Iを得る工程と、
f)混合物-IIから核酸-IIを得る工程と、
g)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸-Iおよび核酸-IIに独立してアッセイを行う工程と、
h)核酸-IIから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、核酸-Iから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、
核酸-IIから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、核酸-Iから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較した減少が、がん処置に対する肯定的な応答を検出するためには、少なくとも2倍である、方法。
【請求項17】
がんを検出するためのインビトロ方法であって、
a)血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加が、がんの存在を示すためには、少なくとも10倍である、工程と、
f)配列に基づくアッセイを核酸に行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異について分析する、工程とを含み、
少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、方法。
【請求項18】
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Oct-4a、Oct-4b、Oct-4b1、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1から4、14、16、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、請求項1から4、14、16、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる
群から選択される技法によって行われる、請求項1から4、14、16、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項21】
対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、請求項1から4、14、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項22】
血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、
a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、
b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、
c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程と
を含む、請求項1から4、14、16、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項23】
第2の混合物を処理する工程が、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
がん関連マーカーが、がんと関連することが確立されている周知のマーカーからなる群から選択される、請求項17に記載の方法。
【請求項25】
方法が、侵襲的技法に依存しない、請求項1から4、14、16、または17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項26】
血液サンプルからがんを検出するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用。
【請求項27】
血液サンプルからがんを予測するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用。
【請求項28】
血液サンプルからがんのステージをグレード付けするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用。
【請求項29】
血液サンプルから抗がん治療の進行をモニタリングするための、Oct-4、Sox-
2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用。
【請求項30】
がんを処置するための方法であって、
a)対象から血液サンプルを得る工程と、
b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、
c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、
d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、
e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加が、がんを検出するためには、少なくとも6倍である、工程と、
f)がんを処置するために、対象に抗がん治療を投与する工程と
を含む、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001] 本開示は、広義に、多能性幹細胞バイオマーカーの分野に関し、特に、血液サンプルにおいて多能性幹細胞バイオマーカーを使用してがんを検出および予測するためのインビトロ方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
[0002] がんは、世界中で主要な健康上の懸念となっており、何百万人もの死亡の原因となっている。世界中で1年間におよそ1100万人もの人が、腫瘍を有する患者として診断されていることが報告されており、この数は、2020年までに1600万を上回るまで増えるであろうと予測されている(Ferlay et al. International journal of cancer 136.5 E359-E386. 2015)。この疾患の生物学的不均一性およびそれを罹患する人口の多
さから、いつおよび誰をどの治療で処置するかという中心的問題が生じる。これらの重要な問題は、より正確かつ有益なバイオマーカーの開発を通じてのみ対処することができる。
【0003】
[0003] がんの処置は、疾患が診断されるステージに非常に依存する。世界規模で起こっている技術改良により、がんを処置する機会は、過去数十年間で増加している。要点は、疾患が検出されるステージである。がんが進行したステージで検出された場合、がんを処置することができないある特定の状況が存在する。がんが非常に早いステージで診断されれば、処置が成功する確率は増加する。検出の方法は、この側面で重要な役割を果たし、特異的バイオマーカーの使用は、研究が活発な分野である。
【0004】
[0004] がん症状の不定形な性質により、診断が困難となっている。ある特定の事例では、患者は無症状のままである。したがって、がんの早期兆候および症状は、患者に無視されることが多く、これにより、いずれの医療介入も存在しない状態でがんが拡がる機会が生じてしまう。患者が医療措置を求めるときまでに、がんは、利用可能な臨床処置では手が出ない状態となっている場合がある。さらに、良好なバイオマーカーが利用可能でないことは、がん処置の別の障害である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
[0005] がんは、医療イメージング、組織生検、および液体生検を含むいくつかの手段によって検出することができる。可能性のあるがんが検出される場合、通常、組織生検から得られた組織サンプルの顕微鏡検査によって診断される。がんを早期に検出および診断することは、処置の予後および生存に関して、特に、悪性度の高い腫瘍の場合、重要である。数十年前から、腫瘍の小さな一部分を外科手術により摘出し、それを顕微鏡で検査して、組織内のがん細胞を探すことが、ヒトにおけるがんを検出するための唯一の方法となっている。残念なことに、この外科手術による介入は、腫瘍が、ある特定の体積に到達しているか、機能障害の原因となり始めた場合にのみ、行うことができる。この方法は、臨床症状が存在する場合にしか使用することができないため、がんの早期診断の最良の方法と考えることができず、換言すると、がんの何らかの臨床兆候よりも前に日常的に行われるスクリーニング試験として使用することはできない。したがって、上記および他の問題を克服するための、単純でありながら、感度および特異度が高いがんの検出システムおよび方法を開発する必要性がある。
【0006】
[0006] バイオマーカーは、診断目的で重要であるだけでなく、優れた予後診断価値もあり得る。正しいバイオマーカーを特定することにより、がんの進行ならびに化学療法薬の
効果および成功を、非常に詳細に評価することができる。異なるがんのための信頼できるバイオマーカーを特定し、またがんならびに/または代謝的に改変された細胞および/もしくは休眠細胞の効率的な検出ならびに予測のための方法を開発する、早急な必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
[0007] 本開示の態様において、代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、代謝的に改変された細胞の存在を検出する、方法が、提供される。
【0008】
[0008] 本開示の第2の態様において、休眠細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、休眠細胞の存在を検出する、方法が、提供される。
【0009】
[0009] 本開示の第3の態様において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出する、方法が、提供される。
【0010】
[0010] 本開示の第4の態様において、がんを予測するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを予測する、方法が、提供される。
【0011】
[0011] 本開示の第5の態様において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療中のある時点において血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物
を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較して、がん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含む、方法が、提供される。
【0012】
[0012] 本開示の第6の態様において、がん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療の投与の前に、血液サンプル-Iを得る工程と、(b)抗がん治療の投与の後に、血液サンプル-IIを得る工程と、(c)血液サンプル-Iから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-Iを得る工程と、(d)血液サンプル-IIから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-IIを得る工程と、(e)混合物-Iから核酸-Iを得る工程と、(f)混合物-IIから核酸-IIを得る工程と、(g)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸-Iおよび核酸-IIに独立してアッセイを行う工程と、(h)核酸-IIから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、核酸-Iから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、核酸-IIから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、核酸-Iから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較した減少により、がん処置に対する肯定的な応答を検出する、方法が、提供される。
【0013】
[0013] 本開示の第7の態様において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含む、方法が提供される。
【0014】
[0014] 本開示の第8の態様において、血液サンプルからがんを検出するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0015】
[0015] 本開示の第9の態様において、血液サンプルからがんを予測するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0016】
[0016] 本開示の第10の態様において、血液サンプルからがんのステージをグレード付けするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマ
ーカーの使用が、提供される。
【0017】
[0017] 本開示の第11の態様において、血液サンプルから抗がん治療の進行をモニタリングするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0018】
[0018] 本開示の第12の態様において、がんを処置するための方法であって、(a)対象から血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出する工程と、(f)がんを処置するために、対象に抗がん治療を投与する工程とを含む、方法が、提供される。
【0019】
[0019] 本主題のこれらおよび他の特性、態様、および利点は、以下の説明および添付の特許請求の範囲を参照してより良好に理解されるであろう。この概要は、単純化された形式で概念の抜粋を紹介するために提供されている。この概要は、特許請求される主題の重要な特徴または必須の特徴を特定することを意図するものでも、特許請求される主題の範囲を制限するために使用されることを意図するものでもない。
【0020】
[0020] 以下の図面は、本明細書の一部をなし、本開示の態様をさらに例示するために含まれる。本開示は、本明細書に提示される特定の実施形態の詳細な説明と組み合わせて、図面を参照することにより、より良好に理解することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】[0021]
図1は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Sox 2の倍数変化値を示す。
【
図2】[0022]
図2は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Nanogの倍数変化値を示す。
【
図3】[0023]
図3は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Oct-4aの倍数変化値を示す。
【
図4】[0024]
図4は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Sirt 1の倍数変化値を示す。
【
図5】[0025]
図5は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Sirt 6の倍数変化値を示す。
【
図6】[0026]
図6は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、NFκBの倍数変化値を示す。
【
図7】[0027]
図7は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、Oct-4の倍数変化値を示す。
【
図8】[0028]
図8は、本開示の実施形態による、20個の異なるサンプルを分析することにより得られた、p53の倍数変化値を示す。
【
図9】[0029]
図9は、本開示の実施形態による、サンプル1000個のコホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第1のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図10】[0030]
図10は、本開示の実施形態による、サンプル1000個のコホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第2のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図11】[0031]
図11は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第3のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図12】[0032]
図12は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第4のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図13】[0033]
図13は、本開示の実施形態による、サンプル1000個のコホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第5のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図14】[0034]
図14は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第6のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図15】[0035]
図15は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第7のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図16】[0036]
図16は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第8のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図17】[0037]
図17は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第9のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【
図18】[0038]
図18は、本開示の実施形態による、サンプル1000個の研究コホートでの本研究において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化値を示す代表的な第10のグラフを示す。下にある緑色のチェックマークは、盲検における独立した評価者による実際の臨床ステータスとの一致を示す。
【発明を実施するための形態】
【0022】
[0039] 当業者であれば、本開示が、具体的に記載されているもの以外の変化および修正を受けることを認識するであろう。本開示が、そのような変化形および修正形をすべて含むことを理解されたい。本開示はまた、個別または集合的に、本明細書において参照されるかまたは示されるすべての工程、特性、組成物、および化合物、ならびにそのような工程または特性のうちのいずれかまたはそれ以上のありとあらゆる組合せを含む。
【0023】
定義
[0040] 便宜上、本開示のさらなる説明の前に、本明細書において用いられているある特定の用語および例を、ここで説明する。これらの定義は、本開示の残りの部分に照らして読まれるべきであり、当業者によって理解されるべきである。本明細書において使用される用語は、当業者に認識され、知られている意味を有するが、しかしながら、便宜上かつ完全性のために、特定の用語およびそれらの意味を、以下に記載する。
【0024】
[0041] 「1つの(a)」、「1つの(an)」、および「その(the)」という冠詞は、1つまたは1つを上回る(すなわち、少なくとも1つの)その冠詞の文法上の目的物を指して使用される。
【0025】
[0042] 「含む(comprise)」および「含むこと(comprising)」という用語は、包含的な広い意味で使用され、追加の要素を含めることができることを意味する。これは、「のみからなる(consists of only)」と解釈されることを意図するものではない。
【0026】
[0043] 本明細書全体を通じて、文脈により別途必要とされない限り、「含む(comprise)」という言葉、ならびに「含む(comprises)」および「含むこと(comprising)」な
どの変化形は、示された要素もしくは工程または要素もしくは工程の群の包含を意味するが、任意の他の要素もしくは工程または要素もしくは工程の群の除外を意味するものではないことが理解されるであろう。
【0027】
[0044] 「含む(including)」という用語は、「含むがそれに限定されない(including
but not limited to)」ことを意味して使用される。「含む」および「含むがそれに限
定されない」は、互換可能に使用される。
【0028】
[0045] 比、濃度、量、および他の数値データは、範囲の形式で本明細書に提示され得る。そのような範囲の形式は、単純に便宜性および簡潔性のために使用され、範囲の限界として明示的に列挙された数値のみではなく、その範囲内に含まれるすべての個々の数値または部分範囲も、それぞれの数値および部分範囲が明示的に列挙されているかのように含めて柔軟に解釈されるべきである。例えば、約1:1~1:20という比は、約1:1から約1:20までの明示的に列挙された限界だけでなく、部分範囲、例えば、1:2~1:10、1:2~1:15など、ならびに示された範囲内の分数量を含めた個々の量、例えば、1:2.5および1:16.3なども含めて解釈されるべきである。
【0029】
[0046] 「がん」という用語は、無制御な細胞成長を特徴とする、動物における生理学的状態を指す。「がん」という用語は、本開示において使用される場合、良性および悪性のがん、休眠腫瘍、または微小転移を含むことを意図する。がんの種類としては、癌腫、リンパ腫、芽細胞腫(髄芽細胞腫および網膜芽細胞腫を含む)、肉腫(脂肪肉腫および滑膜細胞肉腫を含む)、神経内分泌腫瘍(カルチノイド腫瘍、ガストリノーマ、および膵島細胞がんを含む)、中皮腫、神経鞘腫(聴神経腫を含む)、髄膜腫、腺癌、黒色腫、ならびに白血病またはリンパ系悪性腫瘍が挙げられるが、これらに限定されない。がんのより具体的な例としては、乳がん、肝臓がん、卵巣がん、肺がん、白血病、前立腺がん、リンパ腫、膵臓がん、子宮頸がん、結腸がん、骨肉腫、精巣がん、甲状腺がん、胃がん、ユーイング肉腫、膀胱がん、消化管間質腫瘍(GIST)、腎臓がん(例えば、腎細胞癌)、扁平細胞がん(例えば、上皮扁平細胞がん)、肺がん(例えば、小細胞肺がん(SCLC)、非小細胞肺がん(NSCLC)、肺の腺癌、肺の扁平上皮癌を含む)、腹膜の癌、肝細胞癌、消化管
がんを含む胃(gastric)または胃(stomach)がん、膵臓がん、神経膠芽腫、子宮頸がん、卵巣がん、肝臓がん、肝臓癌、乳がん(転移性乳がんを含む)、膀胱がん、結腸がん、直腸がん、結腸直腸がん、子宮内膜癌または子宮癌、唾液腺癌、前立腺がん、外陰部がん、甲状腺がん、肝癌、肛門癌、陰茎癌、メルケル細胞がん、菌状息肉腫、精巣がん、食道がん、胆管の腫瘍、頭頸部がん、ならびにB細胞リンパ腫(低悪性度/濾胞性非ホジキンリンパ腫(NHL);小リンパ球(SL)NHL;中悪性度/濾胞性NHL;中悪性度びまん
性NHL;高悪性度免疫芽細胞性NHL;高悪性度リンパ芽球性NHL;高悪性度非切断型細胞NHL;巨大腫瘤性病変NHL、マントル細胞リンパ腫;AIDS関連リンパ腫;およびワルデンシュトレームマクログロブリン血症;慢性リンパ球性白血病(CLL);急
性リンパ芽球性白血病(ALL);有毛細胞性白血病;慢性骨髄芽細胞性白血病;および移
植後リンパ増殖性障害(PTLD)を含む、ならびに母斑症と関連する異常な血管増殖、浮腫(例えば、脳腫瘍と関連するもの)、およびメイグス症候群が挙げられる。
【0030】
[0047] 「進行したがんのステージ」または「進行したステージのがん」という用語は、局所起源または転移のいずれかによって、起源となる器官の部位以外に拡がったがんを指す。「ステージI」、「ステージII」、「ステージIII」、および「ステージIV」という用語は、患者が罹患しているがんのグレードを指して使用される周知の用語である。「前がん」という用語は、がんの症状が確認できないがんのステージを指して使用される。前がんステージは、PETスキャンによって検出することができない。「早期検出」という用語は、がんに関連する場合、ステージIまたはステージIIのがんの検出を指して使用されている。「初期発症」という用語は、当該技術分野における従来的な方法のうちのいずれかによってまだ検出することができないステージにおけるがんを指す。「検出する」または「検出」という用語は、患者/対象から得られたサンプルを使用して、患者/対象の外部で行われた検出を指す。
【0031】
[0048] 「予測する」または「予測」という用語は、将来的にまたは今後起こるであろう何かの可能性を指す。
【0032】
[0049] 「血液サンプル」という用語は、対象から得られた全血サンプルを指す。本明細書において開示される方法の範囲は、獲得の起源に関係なく、血液サンプルを得る段階から開始され、本方法は、対象に対するいずれの侵襲的技法または手術も含まない。「血液サンプル」という用語は、処理された血液サンプルの任意の形態も包含する。「処理すること」により、本開示は、特定の細胞集団を濃縮するための任意の方法、または血液サンプルを「インビトロ」方法による試験に使用できるようにするための単純な処理を包含することを意図する。
【0033】
[0050] 「インビトロ」という用語は、作業または方法または実験が、試験管、培養皿、または生きている生物の外部のどこかで行われるかまたは生じることを指す。
【0034】
[0051] 「参照物」という用語は、(a)抗がん治療を投与する前に得られた血液サンプル、(b)研究下の血液サンプルが得られる時点よりも前に得られた血液サンプル、(c)研究下の血液サンプルが得られた後の時点で得られた血液サンプル、および(d)対照から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つを指す。「参照レベル」という用語は、参照物から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を指す。「対照サンプル」という用語は、非がん対象から得られた血液サンプルを指し、「対照サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現」という用語は、本明細書において開示される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を指し、この発現は、本明細書において開示される血液サンプルにおけるバイオマーカーの発現を研究するためのものと類似の工程を使用して研究される。対照サンプルにおけるバイオマーカーの発現を処理および分析するための工程は、血液サンプルにおけるバイオマーカーの発現を実行および分析するための工程と類似であると理解され、血液サンプルから得られたバイオマーカーの発現レベルは、対照サンプルから得られた発現レベルと比較される。
【0035】
[0052] 「発現レベル」という用語は、核酸の具体的な発現レベルを指す。核酸は、DNAまたはRNAであり得る。DNAは、cDNAを含むことが意図され、RNAは、mRNAを含むすべての種類のRNAを含むことが意図される。「発現レベルの増加」という用語は、対照、例えば、疾患もしくは障害(例えば、がん)を罹患していない個体、内部対照(例えば、ハウスキーピングバイオマーカー)、または治療の投与前に得られたサンプルにおけるバイオマーカーのレベルと比べた個体におけるバイオマーカーの発現の増加
またはレベルの増加を指す。
【0036】
[0053] 「代謝的に改変された細胞」という用語は、正常な状況下では環境に存在するはずのない形態に代謝的に改変されている任意の細胞を指す。改変は、増殖の増加の形態であってもよい。
【0037】
[0054] 「休眠細胞」という用語は、制御されている細胞分裂周期に従って増殖しない休眠細胞を指す。
【0038】
[0055] 「多能性幹細胞」という用語は、自己複製および対象におけるすべての種類の細胞を生じる能力を有する細胞を指す。
【0039】
[0056] 「バイオマーカー」という用語は、本明細書において使用される場合、核酸であり、特定の細胞集団を特徴付けるために使用される、生体分子を指す。この用語は、DNAおよびRNAの両方の形態の核酸を包含することを意図する。「多能性幹細胞バイオマーカー」という用語は、多能性幹細胞の集団を特徴付けるために使用することができる、任意のバイオマーカーを指す。
【0040】
[0057] 「対象」という用語は、本開示のインビトロ方法を使用した分析のために血液サンプルが採取された、任意の哺乳動物を指す。例は、対象として使用されているヒトに基づく。
【0041】
[0058] 「がんを有さない」という用語は、がんと診断されていない対象を指す。「肯定的な応答」という用語は、本明細書において使用される場合、抗がん治療に対する対象の肯定的な応答を指し、これは、その治療が、がん性細胞の集団を低減させるのに有効であることを意味する。「否定的な応答」という用語は、本明細書において使用される場合、抗がん治療が、がん性細胞の集団を低減させることができないか、または対象のがんを治癒することができないことを指す。
【0042】
[0059] 「侵襲的」という用語は、切開または機器の挿入による生体内への進入を伴う任意の技法を指す。
【0043】
[0060] 「少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカー」という用語は、Oct-4(オクタマー結合転写因子4)、Sox-2(性決定領域Yボックス2)、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1(サーチュイン1)、Sirt-6(サーチュイン6)、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)、RAS、ERC、erbB-2(Erb-B2受容体チロシンキナーゼ2)、ABL(エーベルソンマウス白血病)、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される遺伝子を指す。Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABLのサブセット、およびこれらの組合せもまた、本開示の一部である。
【0044】
[0061] 「がん関連マーカー」という用語は、がん研究の分野におけるすべての周知のがん関連マーカーを含む。がん関連マーカーの非限定的なリストは、本明細書で言及されており、これには、ABL1、EVI1、MYC、APC、IL2、TNFAIP3、ABL2、EWSR1、MYCL1、ARHGEF12、JAK2、TP53、AKT1、FEV、MYCN、ATM、MAP2K4、TSC1、AKT2、FGFR1、NCOA4、BCL11B、MDM4、TSC2、ATF1、FGFR1OP、NFKB2、BLM、MEN1、VHL、BCL11A、FGFR2、NRAS、BMPR1A、MLH1、WRN、BCL2、FUS、NTRK1、BRCA1、MSH2、WT1、BCL3、G
OLGA5、NUP214、BRCA2、NF1、BCL6、GOPC、PAX8、CARS、NF2、BCR、HMGA1、PDGFB、CBFA2T3、NOTCH1、BRAF、HMGA2、PIK3CA、CDH1、NPM1、CARD11、HRAS、PIM1、CDH11、NR4A3、CBLB、IRF4、PLAG1、CDK6、NUP98、CBLC、JUN、PPARG、CDKN2C、PALB2、CCND1、KIT、PTPN11、CEBPA、PML、CCND2、KRAS、RAF1、CHEK2、PTEN、CCND3、LCK、REL、CREB1、RB1、CDX2、LMO2、RET、CREBBP、RUNX1、CTNNB1、MAF、ROS1、CYLD、SDHB、DDB2、MAFB、SMO、DDX5、SDHD、DDIT3、MAML2、SS18、EXT1、SMARCA4、DDX6、MDM2、TCL1A、EXT2、SMARCB1、DEK、MET、TET2、FBXW7、SOCS1、EGFR、MITF、TFG、FH、STK11、ELK4、MLL、TLX1、FLT3、SUFU、ERBB2、MPL、TPR、FOXP1、SUZ12、ETV4、MYB、USP6、GPC3、SYK、ETV6、IDH1、TCF3、およびこれらの組合せが挙げられる。本明細書において提供されるリストは、当業者に周知であり、当業者には一般的である、がん関連マーカーのリストを指す。省略形は、当業者に公知であると解釈される。
【0045】
[0062] 「投与すること」という用語は、投薬量の化合物(例えば、VEGFアンタゴニストおよび/もしくはPD-L1軸結合アンタゴニスト)または組成物(VEGFアンタゴニストおよび/もしくはPD-L1軸結合アンタゴニストを含む医薬組成物)を患者に提供する方法を指す。投与は、筋肉内、静脈内、皮内、経皮、動脈内、腹腔内、病変内、頭蓋内、関節内、前立腺内、胸膜内、気管内、髄腔内、鼻内、膣内、直腸内、局所、腫瘍内、腹膜内、皮下、結膜下、小胞内、粘膜、心膜内、臍帯内、眼内、眼窩内、硝子体内、経口であり得る。
【0046】
[0063] 「抗がん治療」という用語は、がんを治癒/処置するための当該技術分野において公知の任意の治療を指す。
【0047】
[0064] 「化学療法剤」という用語は、がんの処置において有用な化学的化合物を指す。
【0048】
[0065] 本開示による「濃縮すること」という用語は、必要とされる細胞集団が、そのような集団におけるバイオマーカーの分析に有益であろう単離された混合物中に高い集団で存在する様式で、必要とされる細胞集団を単離するためのプロセスを指す。本開示は、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの分析および/またはそのような多能性幹細胞集団から得られた核酸における突然変異の分析のための研究を行うことができるように、特定の種類の多能性幹細胞の濃度を増加させるプロセスに言及することを暗示する文脈において「濃縮すること」に言及する。
【0049】
[0066] 別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者によって広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書において記載されるものと類似または同等の任意の方法および材料を、本開示の実施または試験において用いることができるが、好ましい方法および材料が、ここに記載されている。本明細書において言及されるすべての刊行物は、参照により本明細書に組み込まれる。
【0050】
[0067] 現在がんの検出に利用可能な方法は、付随するいくつかの欠点を有する。ポジトロン放出断層撮影法(PET)および循環腫瘍細胞(CTC)と関連する制限は、以下に説明されている。
【0051】
PETスキャンによる制限
[0068] ポジトロン放出断層撮影法(PET)は、その最初の開発から現在でほぼ45年と
なり、がんの診断に特に有用であることが証明されている確立された核イメージングモダリティとなっている。PETは、18F-2-フルオロ-2-デオキシ-D-グルコース(FDG)(グルコースの類似体)として知られているトレーサー分子を利用する。FDG
を使用したグルコース代謝速度の撮影は、悪性細胞が正常な組織よりも高い好気性解糖速度を有するという観察を利用する(Griffeth 2005, BUMC Proceedings, 18:321-330)。
したがって、悪性細胞は、そのエネルギーの必要性を満たすために、より多くのグルコースを利用する。FDGは、現在、腫瘍学の研究にFood and Drug Administration(FDA)によって承認されている唯一の薬剤である。幸運なことに
、FDGは、完璧な造影剤ではないが(一部の腫瘍はFDGアビディティが悪く、一部の良性プロセスは高いFDGアビディティを示す)、FDGは、臨床的に重要なほとんどの悪性腫瘍において非常に良好に機能し、最大の例外は前立腺がんである。
【0052】
[0069] いくつかの因子により、PET研究の解釈が困難となる可能性がある。日常的な実施におけるこれらの因子の中でも主要なものとしては、正常組織によるFDGの生理学的取り込みの変動性、炎症または感染に関連するFDGの取り込み、時折あるFDGに対するアビディティが低い悪性病変部、珍しい腫瘍部位、小さい病変部の限定的な分解能、高血糖または高インスリン血症に関連するFDGの生体分布の改変、がん患者が多く遭遇する骨髄活性化、および動作によるアーチファクトがある。残念なことに、グルコース取り込みは、悪性細胞以外の身体の細胞において広く行われている。一部の正常な組織における生理学的取り込みは、高度に変動性であり得る。多くは、予測可能な程度にFDGを蓄積するが、取り込みが予測できない他のものが存在する。例えば、脳は、典型的に、グルコースを排他的に代謝するため、FDGの強い取り込みを示すが、心筋での取り込みは、絶食させていない患者では強いが絶食させた患者では変動性が高い。脂肪組織は、典型的に、最小のFDG取り込みを示すが、熱産生において役割を果たすある特定の脂肪堆積物(いわゆる「褐色脂肪」)は、低体温または神経質な患者において、劇的に活性化され得る。ときには、比較的予測可能な活性でさえも、混乱する可能性がある。例えば、グルコースとは異なり、FDGは、腎臓の近位尿細管によって十分に再吸収されない。したがって、強い活性が腎臓および膀胱において見られると予測することができる。しかしながら、尿管での排泄活性の限局的プールは、代謝亢進性腸骨リンパ節転移と区別できない可能性がある。炎症性細胞、特にマクロファージは、ときにはFDGを相当な程度まで蓄積する場合があるため、炎症部位または感染部位は、PETで可視化されることがある。肉芽腫性状態、例えば、サルコイドーシス、真菌感染症、結核、およびマイコバクテリウム・アビウム細胞内感染は、肺病変部またはリンパ節のPET評価において特定の問題を引き起こし得る。治療手技、例えば、外科手術または放射線療法に関連する炎症ですら、相当な取り込みをもたらし得る。臨床的に可能な場合には、通常、FDGの炎症性取り込みとの混乱を回避するために、PET研究を行う前には放射線療法の完了後少なくとも3カ月間待機することが賢明である。したがって、がん処置を受けている患者の応答を調べるために短い間隔でPETを行うことは不可能であり、患者が処置に応答しているかどうかを調べるために最低3カ月の期間待機しなければない。患者が応答していない場合、貴重な時間を失うことは、患者にとって致命的となることがわかるはずである。
【0053】
[0070] 前立腺、気管支肺胞細胞癌、低悪性度の肉腫、ある特定の低悪性度の非ホジキンリンパ腫、およびさらにはいくつかの十分に分類されている肺の腺癌など、一部の悪性病変部は、FDGに対して低いアビディティを有し、これらは、低いFDG濃度を示し得る。ほとんどの神経内分泌腫瘍は、FDG-PETではうまく確認されない。小さな病変部または普通でない現れ方/位置は、常に、腫瘍の検出およびステージ決定の作業をより困難にしている。PET単独では、小さな腫瘍の位置を決定することも、普通でない部位でのFDGの取り込みが腫瘍を反映するか非腫瘍を反映するかを確認することもできないことが多い。
【0054】
循環腫瘍細胞による制限
[0071] がん患者におけるCTC検出に関する科学的刊行物の多さにもかかわらず、医師は、このバイオマーカーを日常的な診療には使用しない。これは、CTC検出に利用できる方法の多さ、ならびに医師および生物学者が最適な方法を選択することの難しさによって説明することができる(Huang T et al, Biosens Bioelectron 2014; 51:213-8)。こ
の文脈において、FDAに承認されている唯一のCTC検出方法であるCellSearch方法(Janssen Diagnostics Company、USA)が、転移性乳がん、前立腺がん、および結腸がんの患者におけるCTC検出に承認されているのは、注目すべきことである。これに反して、CTCは、乳がん、前立腺がん、および結腸がんの検出において偽陽性および偽陰性をもたらすことが報告されているが(Lori M. Millner et al, Ann Clin Lab Sci. 2013 43(3))、これは、上皮間葉転換を受けたCT
Cが、上皮バイオマーカーを発現することができないためであり、CellSearchシステムは、確実に、複数のがん患者における目的のCTCの部分集団の検出に失敗し得る(Hofman VJ et al, Am J Clin Pathol 2011;135)。がんにおけるCTC検出のための直接的な技術は、確かに非常に魅力的であるが、異なるチームによって得られた結果は、おそらく、独立した大規模な多施設研究において検証する必要がある。CTCの機能的評価および悪性細胞の部分集団の特徴付けを可能にする方法など、多数の他の方法が、現在、CTCの特徴付けのために開発されている(Yao X et al, Integr Biol (Camb) 2014;6:388-98)。現在のところ、これらの新しい方法は、臨床での日常的な実施への移行は
困難であると見られる。これらのアプローチは、多施設評価プログラムが欠如しており、したがって、それらの再生産性、それらの感度、およびそれらの特異度を評価することは困難である。
【0055】
[0072] がんを検出するための既存の技法は、罹患した組織から単離される特定のがんバイオマーカーに基づき、したがって、この方法は、がんの存在を検出するために罹患した組織を単離する侵襲的方法を伴う。現時点で利用可能な技法は、侵襲的技法を伴うがんの検出を提供し、明白な理由から、この技法は、がんの存在を調べるために患者に頻繁に行うことはできない。したがって、既存の技法は、実施の難しさという点で欠点を有し、患者に1回実施することによりがんの可能性を正確に予測することができず、患者のフォローアップ治療には適していない。既存の技法は、ある特定の種類のがんが進行したステージに到達している場合にそれを検出するために使用することができるだけであり、疾患の進行ステージに到達している患者は、処置で生存する確率が非常に低く、これは、既存の技法のもっとも大きな欠点の1つである。
【0056】
[0073] すべての種類のがんを早いステージで検出するために行うことができ、がんのステージをモニタリングするために頻繁に行うことができる、単純な試験の利用可能性という点で、欠陥が存在する。本開示は、問題となる対象の血液サンプルを分析することによって、がんを検出および予測するためのプロセスを開示する。本開示は、単純な血液サンプルを用いて、対象が罹患しているがんのグレードを検出するためのプロセスを開示する。本開示は、単純な血液サンプルを利用し、それによって生検などの任意の侵襲的技法を使用することなく、がんの種類を正確に検出する。本開示のプロセスは、血液サンプルのみを用いて、対象ががんを罹患する可能性を予測する。本開示は、いずれの症状も出現し始める前でさえ、前がんステージを検出し、したがって、がんが身体においてある特定のレベルに達した後にしかがんを検出することができない従来的な検出方法にまさる重大な利点を提供する。本開示はまた、さらに多能性幹細胞(PSC)上の幹細胞マーカーを評価
するために使用することができる、PSCを濃縮するためのプロセスを開示する。したがって、本開示は、対象から得られた単純な血液サンプルを分析することによって、がんを検出および予測するための単純で効率的かつ正確性の高いプロセスを開示する。
【0057】
[0074] 本開示は、がんの存在を検出するため、がんを罹患する確率を予測するため、がんのステージをグレード付けするため、がんの進行をモニタリングするため、抗がん処置に対する応答をモニタリングするため、がんが問題の対象から根絶されているかどうかを確認するためのフォローアップチェックのための、インビトロ方法を開示する。本明細書において開示されるインビトロ方法はまた、血液サンプルのみを用い、いずれの侵襲的技法も伴うことなく、特定の種類のがんに関する正確な情報を提供する。本明細書において開示される方法は、PETスキャンなどの公知の技法によって検出することができる状態の顕在化よりもかなり前に、がんの種類に関する情報を提供し、それによって、生検の実施を必要とすることなく、特定の種類のがんの存在を検出する。また、医師が生検を実施するための特定の起源組織を標的とすることが可能となるためには、患者は、特定の症状を示している必要があるが、がんの場合、症状は、進行したステージで出現する可能性があり、それによって患者の生存の確率が低減されるが、本開示のインビトロ方法では、血液サンプルのみを用いて、がんの存在を検出するだけでなく、がんの原発部位およびその種類を、症状の顕在化よりもかなり前に検出する。本開示において開示される方法は、上述のすべての使用を血液サンプルのみを用いて機能させる。本方法の単純さは、最短でも6カ月間隔でしか行えないPETスキャンの使用に対して、患者にがんの処置を行いながらこの方法を頻繁に使用することができる利点をもたらす。本明細書において開示される方法は、インビトロ方法であり、いずれの侵襲的技法も含まない。本開示において開示される方法は、対象の血液サンプルを分析することによって、対象における任意のがんを検出/予測することができ、この方法は、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程とを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加により、がんを検出/予測する。本開示において開示される方法は、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程とを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加により、代謝的に改変された細胞の存在を検出する方法により、血液サンプルを分析することによって、代謝的に改変された細胞/休眠細胞の存在を検出することができる。本開示において開示される方法は、血液サンプルを分析することによって、がん処置に対する応答をモニタリングすることができ、この方法は、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含む。
【0058】
[0075] 本開示は、がんの存在を検出するため、およびさらには血液サンプルから特定の種類のがんを検出するための方法を開示し、この方法は、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加が、がんの存在を示す、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関
連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含む。
【0059】
[0076] 本開示において開示される方法は、前がんステージ、ステージIのがん、ステージIIのがん、ステージIIIのがん、およびステージIVのがんを検出および予測するために使用され、ここで、がんは、卵巣がん、乳がん、前立腺がん、肺がん、肝臓がん、結腸がん、白血病、リンパ腫、膀胱がん、腎臓がん、甲状腺がん、膵臓がんからなる非限定的な群から選択される。他の様々ながんの種類もまた、本開示に含まれ得ることが企図される。
【0060】
[0077] 本開示は、本明細書に記載される具体的な実施形態によって範囲が制限されるものではなく、これらの実施形態は、例示の目的のみが意図される。機能的に同等な製品、組成物、および方法は、本明細書に記載されるように、本開示の範囲内に含まれることは明らかである。
【0061】
[0078] 本主題は、特定の実施形態を参照して記載されているが、この説明は、制限する意味で解釈されることを意味するものではない。開示される実施形態の様々な修正形、ならびに本主題の別の実施形態が、本主題の説明を参照すれば、当業者には明らかであろう。したがって、そのような修正形は、定義される本主題の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得ることが企図される。
【0062】
[0079] 本開示の実施形態において、代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、代謝的に改変された細胞の存在を検出する、方法が、提供される。
【0063】
[0080] 本開示の実施形態において、代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、代謝的に改変された細胞の存在を検出する、方法が、提供され、ここで、本方法は、配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含む。
【0064】
[0081] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、少な
くとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも5倍である。
【0065】
[0082] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、20~30倍の範囲である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、30~40倍の範囲である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、40~50倍の範囲である。
【0066】
[0083] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0067】
[0084] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanogである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1である。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6である。さらに別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3である。
【0068】
[0085] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0069】
[0086] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択される技法によって行われる、方
法が、提供される。
【0070】
[0087] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存
在を検出するためのインビトロ方法であって、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が、提供される。
【0071】
[0088] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。
【0072】
[0089] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、第2の混合物を処理する工程が、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、方法が、提供される。
【0073】
[0090] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、侵襲的技法に依存しない、方法が、提供される。
【0074】
[0091] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、核酸が、DNAである、方法が、提供される。別の実施形態において、核酸は、RNAである。
【0075】
[0092] 本開示の実施形態において、休眠細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、休眠細胞の存在を検出する、方法が、提供される。
【0076】
[0093] 本開示の実施形態において、休眠細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、休眠細胞の存在を検出する、方法が、提供され、ここで、本方法は、配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含む。
【0077】
[0094] 本開示の実施形態において、休眠細胞の存在を検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、休眠細胞の存在を検出し、増加が、多くとも1.9倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、増加は、0.1~1.9倍の範囲である。さらに別の実施形態において、増加は、0.2~1.8倍の範囲である。
【0078】
[0095] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出する、方法が、提供される。
【0079】
[0096] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲であり、ステージIのがんを検出する、方法が、提供される。
【0080】
[0097] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、発現レベルの増加が、対照と比較して、20~30倍の範囲であり、ステージIIのがんを検出する、方法が、提供される。
【0081】
[0098] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞
バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、発現レベルの増加が、対照と比較して、30~40倍の範囲であり、ステージIIIのがんを検出する、方法が、提供される。
【0082】
[0099] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、発現レベルの増加が、対照と比較して、40倍以上であり、ステージIVのがんを検出する、方法が、提供される。
【0083】
[0100] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、発現レベルの増加が、対照と比較して、6~10倍の範囲であり、前がんステージを検出する、方法が、提供される。
【0084】
[0101] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出する、方法が、提供され、ここで、本方法は、配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含む。本開示の別の実施形態において、配列に基づくアッセイによって核酸を分析する工程により、がんの種類を検出する。
【0085】
[0102] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの
発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも5倍である。
【0086】
[0103] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも6倍、または7倍、または8倍、または9倍、または10倍である、方法が、提供される。
【0087】
[0104] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、20~30倍の範囲である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、30~40倍の範囲である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、40倍以上である。
【0088】
[0105] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0089】
[0106] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanogおよびそのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53およびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1およびそのサブセットである。なおも代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6およびそのサブセットである。1つの別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3およびそのサブセットである。
【0090】
[0107] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、NADおよびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、RASおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ERCおよびそのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、erbB-2およびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ABLおよびそのサブセットである。
【0091】
[0108] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0092】
[0109] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、核酸が、DNAである、方法が、提供される。別の実施形態において
、核酸は、RNAである。
【0093】
[0110] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択される技法によって行われる、方法が、提供される。
【0094】
[0111] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が、提供される。
【0095】
[0112] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを検出し、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、第2の混合物を処理する工程が、(1)抽出プロセス、(2)洗浄プロセス、(3)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、方法が、提供される。別の実施形態において、遠心分離プロセスは、多能性幹細胞を得るための連続遠心分離を含み得る。
【0096】
[0113] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含む、方法が提供される。
【0097】
[0114] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増
加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0098】
[0115] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanogおよびそのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53およびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1およびそのサブセットである。なおも代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6およびそのサブセットである。さらなる代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3およびそのサブセットである。
【0099】
[0116] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形
態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、NADおよびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、RASおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ERCおよびそのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、erbB-2およびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ABLおよびそのサブセットである。
【0100】
[0117] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、配列に基づくアッセイが、核酸の全ゲノムシーケンシングまたはトランスクリプトームシーケンシングのいずれかである、方法が提供される。当該技術分野において周知の任意のシーケンシング技法を、シーケンシングに使用することができることが企図される。実施形態のうちの1つにおいて、配列に基づくアッセイは、次世代シーケンシングを使用して行われる。
【0101】
[0118] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程とを含み、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が提供される。
【0102】
[0119] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、
少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程とを含み、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択
される技法によって行われる、方法が、提供される。
【0103】
[0120] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程とを含み、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が提供される。
【0104】
[0121] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。別の実施形態において、第2の混合物を処理する工程は、(1)抽出プロセス、(2)洗浄プロセス、(3)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの塩溶液は、塩化ナトリウムであり、少なくとも1つの中性緩衝液は、Ficoll hypaque溶液である。
【0105】
[0122] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくと
も1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を、5~20分間の範囲の期間、1000~6000rpmの範囲の速度で遠心分離して、上清およびペレットを得る工程と、(iv)ペレットまたは上清を洗浄および抽出して、第3の混合物を得る工程と、(v)第3の混合物に、1000~10000rpmの範囲の変動する速度で2~8回の連続遠心分離を行って、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、少なくとも1つの塩溶液が、塩化ナトリウムであり、少なくとも1つの中性緩衝液が、Ficoll hypaque溶液である、方法が、提供される。
【0106】
[0123] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を、5~20分間の範囲の期間、1000~6000rpmの範囲の速度で遠心分離して、上清およびペレットを得る工程と、(iv)ペレットまたは上清を、洗浄および抽出して、第3の混合物を得る工程と、(v)第3の混合物に、1000~10000rpmの範囲の変動する速度で2~8回の連続遠心分離を行って、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、少なくとも1つの塩溶液が、塩化ナトリウムであり、少なくとも1つの中性緩衝液が、Ficoll hypaque溶液である、方法が、提供される。
【0107】
[0124] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、がん関連マーカーが、当該技術分野において周知のがん関連マーカーから選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、がん関連マーカーは、ABL1、EVI1、MYC、APC、IL2、TNFAIP3、ABL2、EWSR1、MYCL1、ARHGEF12、JAK2、TP53、AKT1、FEV、MYCN、ATM、MAP2K4、TSC1、AKT2、FGFR1、NCOA4、BCL11B、MDM4、TSC2、ATF1、FGFR1OP、NFKB2、BLM、MEN1、VHL、BCL11A、FGFR2、NRAS、BMPR1A、MLH1、WRN、BCL2、FUS、NTRK1、BRCA1、MSH2、WT1、BCL3、GOLGA5、NUP214、BRCA2、NF1、BCL6、GOPC、PAX8、CARS、NF2、BCR、HMGA1、PDGFB、CBFA2T3、NOTCH1、BRAF、HMGA2、PIK3CA、CDH1、NPM1、CARD11、HRAS、PIM1、CDH11、NR4A3、CBLB、IRF4、PLAG1、CDK6、NUP98、CBLC、JUN、PPARG、CDKN2C、PALB2、CCND1、KIT、PTPN11、CEBPA、PML、CCND2、KRAS、RAF1
、CHEK2、PTEN、CCND3、LCK、REL、CREB1、RB1、CDX2、LMO2、RET、CREBBP、RUNX1、CTNNB1、MAF、ROS1、CYLD、SDHB、DDB2、MAFB、SMO、DDX5、SDHD、DDIT3、MAML2、SS18、EXT1、SMARCA4、DDX6、MDM2、TCL1A、EXT2、SMARCB1、DEK、MET、TET2、FBXW7、SOCS1、EGFR、MITF、TFG、FH、STK11、ELK4、MLL、TLX1、FLT3、SUFU、ERBB2、MPL、TPR、FOXP1、SUZ12、ETV4、MYB、USP6、GPC3、SYK、ETV6、IDH1、TCF3、およびこれらの組合せからなる群から選択される。検出されるがんの種類は、突然変異について分析され、望ましい突然変異が発見された場合のがん関連マーカーに基づくものであることが企図され得る。本実施形態により、がんの種類およびがんのステージに関する情報が、生検または他の侵襲的な手技を行うことを必要とせずに、血液サンプルのみにより得ることができることもまた、理解される。
【0108】
[0125] 本開示の実施形態において、がんを検出するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程であって、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんの存在を検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも5倍である。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、10~20倍の範囲である。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、20~30倍の範囲である。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、30~40倍の範囲である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、40倍以上である。
【0109】
[0126] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、侵襲的技法に依存しない、方法が、提供される。
【0110】
[0127] 本開示の実施形態において、がんを予測するためのインビトロ方法であって、(a)血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)サンプルにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照サンプルにおける少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルと比較した増加により、がんを予測する、方法が、提供される。
【0111】
[0128] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも5倍である。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または6倍、または7倍、または8倍、または9倍、または10倍である。
【0112】
[0129] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、20~30倍の範囲である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、30~40倍の範囲である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、40~50倍の範囲である。
【0113】
[0130] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0114】
[0131] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanogおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53およびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1およびそのサブセットである。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6およびそのサブセットである。なおも別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3およびそのサブセットである。
【0115】
[0132] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、NADおよびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、RASおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、
ERCおよびそのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、erbB-2およびそのサブセットである。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ABLおよびそのサブセットである。
【0116】
[0133] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0117】
[0134] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択される技法によって行われる、方法が、提供される。
【0118】
[0135] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が、提供される。
【0119】
[0136] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。
【0120】
[0137] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、少なくとも1つの塩溶液が、塩化ナトリウムであり、中性緩衝液が、Ficoll-hypaque溶液である、方法が、提供される。別の実施形態において、第2の混合物を処理する工程は、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む。
【0121】
[0138] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、当該技術分野において公知のすべての種類のがんを予測する、方法が、提供される。
【0122】
[0139] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、侵襲的技法に依存しない、方法が、提供される。
【0123】
[0140] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含む、方法が、提供される。
【0124】
[0141] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、配列に基づくアッセイを行うことによって核酸を分析する工程をさらに含み、配列に基づくアッセイによって核酸を分析する工程により、がんの種類を検出する、方法が、提供される。
【0125】
[0142] 本開示の実施形態において、化学療法剤の効果を評価するためのインビトロ方法であって、(a)化学療法剤の投与後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)化学療法剤の効果を評価するために、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含む、方法が、提供される。
【0126】
[0143] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される化学療法剤の効果を評価するためのインビトロ方法であって、参照物が、(i)化学療法剤の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、(iii)工程(a)において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプル、および(iv)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、方法が、提供される。本開示の別の実施形態において、参照物は、化学療法剤の投与の前に得られた血液サンプルである。さらに別の実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプルである。代替的な実施形態において、参照物は、がんを有さない対象から得られた血液サンプルである。別の代替的な実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプルである。
【0127】
[0144] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される化学療法剤の効果を評価するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照レベルと比較した減少が、がん処置に対する肯定的な応答を示し、参照物が、(i)化学療法剤の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される、方法が、提供される。本開示の別の実施形態において、参照物は、化学療法剤の投与の前に得られた血液サンプルである。さらに別の実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプルである。代替的な実施形態において、参照物は、がんを有さない対象から得られた血液サンプルである。
【0128】
[0145] 本開示の実施形態において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含む、方法が、提供される。
【0129】
[0146] 本開示の実施形態において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細
胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含み、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、(iii)工程(a)において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプル、および(iv)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、方法が、提供される。本開示の別の実施形態において、参照物は、抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプルである。さらに別の実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプルである。代替的な実施形態において、参照物は、がんを有さない対象から得られた血液サンプルである。別の代替的な実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプルである。
【0130】
[0147] 本開示の実施形態において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照レベルと比較した減少が、がん処置に対する肯定的な応答を示し、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、方法が、提供される。本開示の別の実施形態において、参照物は、抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプルである。さらに別の実施形態において、参照物は、工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプルである。代替的な実施形態において、参照物は、がんを有さない対象から得られた血液サンプルである。
【0131】
[0148] 本開示の実施形態において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照レベルと比較した減少が、がん処置に対する肯定的な応答を示し、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つであり、発現レベルの減少が、参照レベルと比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、発現レベルの減少は、参照レベルと比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、発現レベルの減少は、参照レベルと比較して、少なくとも4倍である。代替的な実施形態において、発現レベルの減少は、参照レベルと比較して、少なくとも5倍である。
【0132】
[0149] 本開示の実施形態において、がん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それによりがん処置に対する応答をモニタリングする工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照レベルと比較した増加が、がん処置に対する否定的な応答を示し、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、方法が、提供される。
【0133】
[0150] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0134】
[0151] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2、そのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanog、そのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53、そのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1、そのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6、そのサブセットである。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3、そのサブセットである。
【0135】
[0152] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、NAD、そのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、RAS、そのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ERC、そのサブセットである。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、erbB-2、そのサブセットである。第2の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ABL、そのサブセットである。
【0136】
[0153] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0137】
[0154] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択される技法によって行われる、方
法が、提供される。
【0138】
[0155] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が、提供される。
【0139】
[0156] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの塩溶液は、塩化ナトリウムであり、中性緩衝液は、Ficoll-Hypaque溶液である。
【0140】
[0157] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、第2の混合物を処理する工程が、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、方法が、提供される。
【0141】
[0158] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する応答をモニタリングするためのインビトロ方法であって、侵襲的技法に依存しない、方法が、提供される。
【0142】
[0159] 本開示の実施形態において、がん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、(a)抗がん治療の投与の前に、血液サンプル-Iを得る工程と、(b)抗がん治療の投与の後に、血液サンプル-IIを得る工程と、(c)血液サンプル-Iから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-Iを得る工程と、(d)血液サンプル-IIから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物-IIを得る工程と、(e)混合物-Iから核酸-Iを得る工程と、(f)混合物-IIから核酸-IIを得る工程と、(g)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸-Iおよび核酸-IIに独立してアッセイを行う工程と
、(h)核酸-IIにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、核酸-Iにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較する工程とを含み、核酸-IIにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、核酸-Iにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較した減少により、がん処置に対する肯定的な応答を検出する、方法が、提供される。
【0143】
[0160] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、核酸-IIにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、核酸-Iにおける少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較した減少が、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、減少は、少なくとも3倍である。別の実施形態において、減少は、少なくとも4倍である。別の実施形態において、減少は、少なくとも5倍である。
【0144】
[0161] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4aである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Oct-4bである。
【0145】
[0162] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sox-2およびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Nanogおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、p53およびそのサブセットである。1つの代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-1およびそのサブセットである。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-6およびそのサブセットである。さらに別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、Sirt-3およびそのサブセットである。
【0146】
[0163] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、NADおよびそのサブセットである。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、RASおよびそのサブセットである。なおも別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ERCおよびそのサブセットである。1つの代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、erbB-2およびそのサブセットである。別の代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーは、ABLおよびそのサブセットである。
【0147】
[0164] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0148】
[0165] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)からなる群から選択される技法によって行われる、方
法が、提供される。
【0149】
[0166] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの塩溶液は、塩化ナトリウムであり、中性緩衝液は、Ficoll-hypaque溶液である。
【0150】
[0167] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(i)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(ii)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(iii)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、第2の混合物を処理する工程が、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、方法が、提供される。
【0151】
[0168] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがん処置に対する肯定的な応答を検出するためのインビトロ方法であって、侵襲的技法に依存しない、方法が、提供される。
【0152】
[0169] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんを検出するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0153】
[0170] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんを検出するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用であって、血液サンプルが、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、多能性幹細胞を含む処理された第2の混合物を得る工程とを含む
方法を使用して処理され、多能性幹細胞マーカーが、血液サンプルから得られた処理された第2の混合物から分析される、使用が、提供される。
【0154】
[0171] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんを予測するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0155】
[0172] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんを予測するための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用であって、血液サンプルが、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、多能性幹細胞を含む処理された第2の混合物を得る工程とを含む方法を使用して処理され、多能性幹細胞マーカーが、血液サンプルから得られた処理された第2の混合物から分析される、使用が、提供される。
【0156】
[0173] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんのステージをグレード付けするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0157】
[0174] 本開示の実施形態において、血液サンプルからがんのステージをグレード付けするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用であって、血液サンプルが、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、多能性幹細胞を含む処理された第2の混合物を得る工程とを含む方法を使用して処理され、多能性幹細胞マーカーが、血液サンプルから得られた処理された第2の混合物から分析される、使用が、提供される。
【0158】
[0175] 本開示の実施形態において、血液サンプルから抗がん治療の進行をモニタリングするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用が、提供される。
【0159】
[0176] 本開示の実施形態において、血液サンプルから抗がん治療の進行をモニタリングするための、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、NFκB、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される多能性幹細胞バイオマーカーの使用であって、血液サンプルが、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を
得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、多能性幹細胞を含む処理された第2の混合物を得る工程とを含む方法を使用して処理され、多能性幹細胞マーカーが、血液サンプルから得られた処理された第2の混合物から分析される、使用が、提供される。
【0160】
[0177] 本開示の実施形態において、がんを処置するための方法であって、(a)対象から血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加により、がんを検出する、工程と、(f)がんを処置するために、対象に抗がん治療を投与する工程とを含む、方法が、提供される。
【0161】
[0178] 本開示の実施形態において、がんを処置するための方法であって、(a)対象から血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加により、がんを検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程と、(g)がんを処置するために、対象に抗がん治療を投与する工程とを含む、方法が、提供される。
【0162】
[0179] 本開示の実施形態において、がんを処置するための方法であって、(a)対象から血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)工程(b)の混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、対照と比較する工程であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加により、がんを検出する、工程と、(f)核酸に配列に基づくアッセイを行い、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異を分析する工程であって、少なくとも1つのがん関連マーカーにおける突然変異の存在が、分析されたがん関連マーカーに基づいて、特定の種類のがんの存在を示す、工程と、(g)がんを処置するために、対象に抗がん治療を投与する工程とを含み、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーが、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択され、がん関連マーカーが、がん検出に関連する任意のマーカーを指す、方法が、提供される。別の実施形態において、がん関連マーカーは、ABL1、EVI1、MYC、APC、IL2、TNFAIP3、ABL2、EWSR1、MYCL1、ARHGEF12、JAK2、TP53、AKT1、FEV、MYCN、ATM、MAP2K4、TSC1、AKT2、FGFR1、NCOA4、BCL11B、MDM4、TSC2、ATF1、FGFR1OP、NFKB2、BLM、MEN1、VHL、BCL11A、FGFR2、NRAS、BMPR1A、MLH1、WRN、BCL2、FUS、NTRK1、BRCA1、MSH2、WT1、BCL3、GOLGA5、NUP214、BRCA2、NF1、BCL6、GOPC、PAX8、CARS、NF2、BCR、HMGA1、PDGFB、CBFA2T3、NOTCH1、BRAF、HMGA2、PIK3CA、CDH1、NPM1、CARD11、HRAS、PIM1、CDH11、NR4A3、CBLB、IRF4、PLAG1、CDK6、NUP98
、CBLC、JUN、PPARG、CDKN2C、PALB2、CCND1、KIT、PTPN11、CEBPA、PML、CCND2、KRAS、RAF1、CHEK2、PTEN、CCND3、LCK、REL、CREB1、RB1、CDX2、LMO2、RET、CREBBP、RUNX1、CTNNB1、MAF、ROS1、CYLD、SDHB、DDB2、MAFB、SMO、DDX5、SDHD、DDIT3、MAML2、SS18、EXT1、SMARCA4、DDX6、MDM2、TCL1A、EXT2、SMARCB1、DEK、MET、TET2、FBXW7、SOCS1、EGFR、MITF、TFG、FH、STK11、ELK4、MLL、TLX1、FLT3、SUFU、ERBB2、MPL、TPR、FOXP1、SUZ12、ETV4、MYB、USP6、GPC3、SYK、ETV6、IDH1、TCF3、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0163】
[0180] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、処置されるがんが、従来的な方法によって検出することができず、そのため従来的な抗がん治療によって処置することができない、初期発症のがんである、方法が、提供される。本明細書に記載される処置の方法は、生検のようないずれの侵襲的技法も伴わない。
【0164】
[0181] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、混合物から核酸を得る工程が、(a)グアニジニウムチオシアネート-フェノール-クロロホルム核酸抽出、(b)塩化セシウム勾配遠心分離方法、(c)セチルトリメチルアンモニウムブロミド核酸抽出、(d)アルカリ抽出、(e)樹脂に基づく抽出、および(f)固相核酸抽出からなる群から選択されるいずれか1つの方法によるものである、方法が、提供される。
【0165】
[0182] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、少なくとも1つのバイオマーカーの発現を分析するために核酸にアッセイを行う工程が、定量的PCR、フローサイトメトリー、および次世代シーケンシング(NGS)か
らなる群から選択される技法によって行われる、方法が、提供される。
【0166】
[0183] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、対照が、がんを有さない対象から得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルである、方法が、提供される。
【0167】
[0184] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含む、方法が、提供される。
【0168】
[0185] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮する工程が、(a)血液サンプルを、1:1~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得る工程と、(b)少なくとも1つの塩溶液を、1:2~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得る工程と、(c)第2の混合物を処理して、濃縮された多能性幹細胞を得る工程とを含み、第2の混合物を処理する工程が、(a)抽出プロセス、(b)洗浄プロセス、(c)遠心分離プロセス、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの方法を含む、方法が、提供される。
【0169】
[0186] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、少なくとも2倍である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも3倍である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、少なくとも5倍である。代替的な実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、2倍、または3倍、または4倍、または5倍、または6倍、または7倍、または8倍、または9倍、または10倍である。
【0170】
[0187] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを処置するための方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加が、対照と比較して、10~20倍の範囲である、方法が、提供される。別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、20~30倍の範囲である。さらに別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、30~40倍の範囲である。1つの別の実施形態において、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの増加は、対照と比較して、40倍以上である。
【0171】
[0188] 本開示の実施形態において、がんを処置するための方法であって、(a)抗がん治療後のある時点において、対象から血液サンプルを得る工程と、(b)血液サンプルから多能性幹細胞を濃縮して、前記多能性幹細胞を含む混合物を得る工程と、(c)混合物から核酸を得る工程と、(d)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを分析するために、核酸にアッセイを行う工程と、(e)少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを、参照物における少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルと比較し、それにより抗がん治療に対する応答をモニタリングする工程であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照物と比較した増加が、抗がん治療に対する否定的な応答を示す、工程と、(f)がんを処置するために、代替的な抗がん治療を投与する工程とを含み、代替的な抗がん治療を投与する工程により、がんを処置し、参照物が、(i)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(ii)工程(a)において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(iii)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである、方法が、提供される。
【0172】
[0189] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、ラテラルフローアッセイを用いることによって行われる、方法が、提供される。
【0173】
[0190] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、チップに基づくアッセイを使用して行われる、方法が、提供される。
【0174】
[0191] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを検出するためのインビトロ方法であって、チップに基づくアッセイにおいて実行するために最適化されている、方法が、提供される。
【0175】
[0192] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するため
に核酸にアッセイを行う工程が、ラテラルフローアッセイを用いることによって行われる、方法が、提供される。
【0176】
[0193] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、チップに基づくアッセイを使用して行われる、方法が、提供される。
【0177】
[0194] 本開示の実施形態において、本明細書に記載されるがんを予測するためのインビトロ方法であって、チップに基づくアッセイにおいて実行するために最適化されている、方法が、提供される。
【0178】
[0195] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、ラテラルフローアッセイを用いることによって行われる、方法が、提供される。
【0179】
[0196] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、チップに基づくアッセイを使用して行われる、方法が、提供される。
【0180】
[0197] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される代謝的に改変された細胞を検出するためのインビトロ方法であって、チップに基づくアッセイにおいて実行するために最適化されている、方法が、提供される。
【0181】
[0198] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される休眠細胞を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、ラテラルフローアッセイを用いることによって行われる、方法が、提供される。
【0182】
[0199] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される休眠細胞を検出するためのインビトロ方法であって、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を評価するために核酸にアッセイを行う工程が、チップに基づくアッセイを使用して行われる、方法が、提供される。
【0183】
[0200] 本開示の実施形態において、本明細書に記載される休眠細胞を検出するためのインビトロ方法であって、チップに基づくアッセイにおいて実行するために最適化されている、方法が、提供される。
【0184】
[0201] 本開示の実施形態において、本開示において記載されるインビトロ方法を実行するために、関連する成分で最適化されている、キットが、提供される。
【0185】
[0202] 本主題は、特定の実施形態を参照して記載されているが、この説明は、制限する意味で解釈されることを意味するものではない。開示される実施形態の様々な修正形、ならびに本主題の別の実施形態が、本主題の説明を参照すれば、当業者には明らかであろう。したがって、そのような修正形は、定義される本主題の趣旨または範囲から逸脱することなくなされ得ることが企図される。
【実施例0186】
[0203] 本開示を、これより実施例によって例証するが、実施例は、本開示の実施を例示することを意図するものであり、本開示の範囲に何らかの制限を課すように限定的に解釈されることを意図するものではない。別途定義されない限り、本明細書において使用されるすべての技術用語および科学用語は、本開示が属する技術分野の当業者に広く理解されているものと同じ意味を有する。本明細書に記載されるものに類似するかまたはそれと同等の方法および材料を、開示される方法および組成物の実施において使用することができるが、例示的な方法、デバイス、および材料が、本明細書に記載されている。本開示は、記載される特定の方法および実験条件に制限されるものではなく、したがって、そのような方法および条件は変動し得ることを、理解されたい。
【0187】
[0204] 以下の段落では、本開示において記載される方法の実施を示す例を説明する。
【0188】
実施例1
研究デザイン
[0205] 診断的ヒト臨床研究を、前向きとして、以下の番号:CTRI/2019/01/017166下においてIndian Council of Medical Research(ICMR)-Clinical Trial Registry of India(CTRI)に登録された。この研究は、インド全体にわたる主要施設から得た血液サンプルの二重盲検であった。この研究は、1000個のサンプルを用いて行い、本研究の結果では、1000個のサンプルのうち、500個のサンプルが健常な対象から得られたものであったことがわかった。
【0189】
実施例2
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を研究するためのインビトロ方法の詳細
[0206] 血液サンプル(5~10ml)を、登録された研究の一部として得た。サンプルから核酸を抽出する前に、サンプルを公知の技法で処理した。処理したサンプルを、多能性幹細胞を濃縮するためのプロセスに供した後、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現分析を行った。以下に列挙されているプロセスを、対象におけるがんの検出、予測、およびモニタリングのために使用した。適用した詳細なプロセスを、以下に記載する。
1.血液サンプル(試験サンプル)を、研究の一部として、ある時点で得た。
2.血液サンプルを、1:1(血液サンプル:中性緩衝液)~1:20の範囲の比で、中性緩衝液と接触させて、第1の混合物を得た。
3.少なくとも1つの塩溶液を、1:2(塩溶液:第1の混合物)~1:10の範囲の比で、第1の混合物と接触させて、第2の混合物を得た。
4.第2の混合物を処理して、多能性幹細胞を含む、処理された第2の混合物を得た。
5.核酸を、当該技術分野において周知の方法によって、多能性幹細胞から得た。本例証の目的で、全mRNAを、当該技術分野において周知の方法によって、多能性幹細胞から単離した。
6.発現研究を、mRNAサンプルを使用して行い、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現を、定量的PCR法を使用して、試験した。発現研究は、当該技術分野において周知の手法によって行った。発現は、NGSまたはqPCR研究のいずれかによって行った。
7.研究の目的が、検出目的または予測目的であった場合には、前の工程で得られた発現レベルを、対照と比較したが、ここで、対照は、がんを有さない対象から単離された血液サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルを表す。
7A.研究の目的が、がんのモニタリングであった場合には、得られた発現レベルを、参照レベルと比較したが、ここで、参照レベルは、(a)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(b)第1の工程において言及された時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、(c)第1の工程において言及された時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプル、および(d)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0190】
[0207] 上述の方法を達成するために使用される手法および試薬を、以下に記載している。
【0191】
RNA単離および発現の分析(工程5および6)
[0208] RNA Plus(MP Biomedicals、Irvine、CA)を製造業者の説明書に従って使用して、全RNAを単離した。Revert Aid第1鎖cDNA合成キット(Thermo scientific、UK)を製造業者の説明書に従って使用して、第1鎖cDNAを合成した。簡単に述べると、1μgの全RNAを、5倍反応緩衝液および逆転写酵素ミックスとともにインキュベートした。反応は、Applied Biosystems GeneAmp(登録商標)サーマルサイクラー9700(Applied Bio-systems、USA)を製造業者の説明書に従って使用して行った。遺伝子転写産物の発現レベルを、Thermo Scientific Maxima SYBR Green/ROX qPCR Master Mixキット(Thermo scientific、UK)を使用して、リアルタイムPCRシステムABI 7500(Applied Bio-systems、USA)によって推測した。18S rRNAをハウスキーピング遺伝子として使用した。増幅条件は、以下の通りであった:94℃で3分間の初回変性に続いて、94℃で10秒間の変性、20秒間のアニーリング、および72℃で30秒間の伸長から構成されるサイクルを40回、その後に融解曲線分析を行った。放出される蛍光を、それぞれのサイクルの伸長工程中に収集した。PCRアンプリコンの均質性を、産物を2%アガロースゲルに泳動させることによって、および融解曲線の研究によっても検証した。すべてのPCR増幅は、三連に行った。7500 Managerソフトウェア(Applied Biosystems、UK)を使用してそれぞれの実験において生成された平均Ct値を、mRNA発現レベルの計算に使用した。ΔΔCt法を使用して、倍数変化を計算した。それぞれの遺伝子の相対発現レベルを、一緒に取得したベースラインレベルと比較した。NGS技術もまた、バイオマーカーまたはがん関連バイオマーカーの発現および/または突然変異の分析に使用した。
【0192】
多能性幹細胞を含む第2の混合物の処理(工程4)
[0209] 第2の混合物を処理する工程は、前記多能性幹細胞を含む処理された第2の混合物を得るための、抽出プロセス、洗浄プロセス、および遠心分離プロセスの組合せを含んでいた。
【0193】
[0210] 本例証の目的で、処理する工程は、以下を含む:
1.第2の混合物を、5~20分間の範囲の期間、1000~6000rpmの範囲の速度で遠心分離に供して、上清およびペレットを得た。
2.上清を抽出に供するかまたはペレットを洗浄に供して、第3の混合物を得た。
3.第3の混合物を、1000~10000rpmの範囲の変動する速度で2~8回の連続遠心分離に供して、前記多能性幹細胞を含む処理された混合物を得た。
【0194】
塩溶液(工程3)
[0211] 工程3において使用した塩溶液は、塩化ナトリウムである。任意の適切な塩溶液も使用することができることを理解されたい。
【0195】
中性緩衝液(工程2)
[0212] 工程2において使用した中性緩衝液は、ficoll hypaqueからなる群から選択した。任意の適切な中性緩衝液も使用することができることを理解されたい。
【0196】
実施例3
実施例2において研究した発現レベルの分析
[0213] 実施例2に記載されるインビトロ方法は、サンプルにおけるがんの検出ならびに予測を行うことができる。また、この方法は、がんの進行をモニタリングして、対象が抗がん処置に対して肯定的な応答をもたらしているかどうかを調べることができる。さらに、この方法は、処置が終了した後にフォローアップケアの性能をモニタリングして、がんの任意の再発の可能性を調べることができる。本開示の方法に基づき得る異なる種類の分析を、以下に提供している。
【0197】
[0214] 発現レベルの比較の分析
1.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加が、5~50倍の範囲であった場合、サンプルが、がん陽性であることが示された。
2.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、対照と比較した増加が、2倍を下回った場合、サンプルが、がん陰性であることが示された。
【0198】
[0215] がんの異なるステージのグレード付け:本開示において開示される方法はまた、がんの異なるステージをグレード付けするためにも使用することができる。実行された研究において、がんの異なるステージは、以下に示されるように決定した。
1.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルが、対照と比較して、6~10倍の範囲で増加していた場合、前がんステージである。2.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルが、対照と比較して、10~20倍の範囲で増加していた場合、ステージIのがんである。
3.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルが、対照と比較して、20~30倍の範囲で増加していた場合、ステージIIのがんである。
4.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルが、対照と比較して、30~40倍の範囲で増加していた場合、ステージIIIのがんである。
5.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルが、対照と比較して、40倍以上の範囲で増加していた場合、ステージIVのがんである。
少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現の倍数増加と、本開示において開示されるインビトロ方法の結果との相関関係を、以下の表1に捕捉した。
【0199】
【表1】
本開示において示される「HrC範囲」または「倍数変化の範囲」という用語は、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの倍数変化の範囲を指して、互換可能に使用される。「値」または「HrC値」または「倍数変化」という用語は、特定の範囲内の具体的な値を指して、互換可能に使用されている。発現レベルの倍数変化の分析から得られた提案が、本明細書に言及されている。表に提供されている範囲は、本開示において定義される「対照」、または場合によっては本開示において定義される「参照物」に関連している。
【0200】
[0216] がん進行をモニタリングするための分析:
1.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照物と比較した減少は、抗がん治療に対する肯定的な応答を示し、ここで、参照
物は、(a)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(b)試験血液サンプルの時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、および(c)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される。
2.試験サンプルから得られた少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの、参照物と比較した増加は、抗がん治療に対する否定的な応答を示し、ここで、参照物は、(a)抗がん治療の投与の前に得られた血液サンプル、(b)試験血液サンプルの時点と比較して、前の時点で得られた血液サンプル、(c)試験血液サンプルの時点と比較して、後の時点で得られた血液サンプル、および(d)がんを有さない対象から得られた血液サンプルからなる群から選択される少なくとも1つである。
【0201】
実施例4
Sox 2バイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0217] 本研究デザインの一部として得られたサンプルのうち、20個のサンプルを、それぞれの血液サンプルから得られた多能性細胞からのSox 2(遺伝子識別子:6657)の発現レベルの倍数変化について研究した。
図1は、Sox 2の発現レベルの倍数変化のグラフを示す。サンプル1~11が、Sox 2の発現に20以内の倍数変化値を有したことを、
図1から観察することができる。サンプル2および4は、6を下回る発現の倍数変化値を有し、したがって、がんを有さないサンプルと相関しており、一方で1~11のすべての他のサンプルは、前がんステージと相関する値を有していた。サンプル13~20は、50倍よりも高い発現の倍数変化を有し、これは、本開示によると、ステージIVのがんと相関している。本開示の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0202】
実施例5
Nanogバイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0218] 20個の異なる(実施例4に選択されたものとは異なる)サンプルを、バイオマーカーとしてNanog(遺伝子識別子:79923)の発現を研究するために検討した。
図2は、20個のサンプルのNanogの発現における倍数変化を示す。サンプル1~11が、2以内の倍数変化値を有し、これは、本開示によると、非がんサンプルおよびがんを有さない対象に由来するサンプルと相関することを、観察することができる。サンプル12および18は、10~20倍の範囲の倍数変化値を有し、したがって、ステージIのがんと相関しており、一方でサンプル13~17、19、および20は、対照と比較して、20~30倍の範囲の倍数変化値を有し、したがって、ステージIIのがんと相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0203】
実施例6
Oct-4aバイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0219] 20個の異なる(実施例4および5において言及されたものとは異なる)サンプルを、本実施例のため、バイオマーカーとしてOct-4a(遺伝子識別子:642559)の発現を研究するために検討した。
図3は、20個のサンプルの倍数変化値を有するグラフを示す。サンプルの倍数変化値が、がんを有さない場合およびがんが存在する場合の両方の観察を裏付けたことを、観察することができる。サンプル1~4、9、10、15~17は、2以内の値を有し、したがって、がんを有さない観察と相関しており、一方で他のサンプルは、値に応じて、ステージI、ステージII、ステージIII、またはステージIVのいずれかのがんと相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0204】
実施例7
Sirt-1バイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0220] 20個の異なる(実施例4~6において言及されたものとは異なる)サンプルを、本実施例のため、バイオマーカーとしてSirt-1(遺伝子識別子:23411)の発現を研究するために検討した。
【0205】
[0221]
図4は、20個のサンプルの倍数変化値を有するグラフを示す。2倍よりも低い倍数変化値を有したサンプルはなかったため、がんの不在と相関するサンプルはなかった。サンプル6、9、13~20は、50を上回る倍数変化値を有し、したがって、ステージIVのがんの存在と相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0206】
実施例8
Sirt 6バイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0222] 本研究デザインの一部として得られたサンプルのうち、20個の異なる(実施例4~7とは異なる)サンプルを、それぞれの血液サンプルから得られた多能性細胞からのSirt 6(遺伝子識別子:51548)の発現レベルの倍数変化について研究した。がんの存在を検出するための方法は、本開示によるものであり、実施例2に記載されているものであった。
【0207】
[0223]
図5は、Sirt 6の発現レベルの倍数変化のグラフを示す。サンプル5~9が、0~2以内の倍数変化値を有し、健常なサンプルと相関していることを、
図5から観察することができる。サンプル11~20は、がんの範囲内の倍数変化値を有し、したがって、がん陽性サンプルとして記録した。本開示の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0208】
実施例9
NFκBバイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0224] 20個の異なる(実施例4~8に選択されたものとは異なる)サンプルを、バイオマーカーとしてNFκB(遺伝子識別子:4791)の発現を研究するために検討した。がんの存在を検出するための方法は、本開示によるものであり、実施例2に記載されているものであった。
【0209】
[0225]
図6は、20個のサンプルのNFκBの発現における倍数変化を示す。サンプル1~9が、ステージIのがんまたはステージIIのがんに指定される範囲内の倍数変化値を有したことを、観察することができる。サンプル10~20は、2以内の倍数変化値を有し、したがって、がんではない解釈と相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0210】
実施例10
Oct-4バイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0226] 20個の異なる(実施例3~8において言及されたものとは異なる)サンプルを、本実施例のため、バイオマーカーとしてOct-4(遺伝子識別子:642559)の発現を研究するために検討した。がんの存在を検出するための方法は、本開示によるものであり、実施例2に記載されているものであった。
【0211】
[0227]
図7は、20個のサンプルの倍数変化値を有するグラフを示す。サンプル1~1
2が、対照と比較して、5以内の倍数変化値を有し、したがって、がんの不在と相関していることを、観察することができる。2を上回る値を有するサンプル7、8、10、および12は、炎症の存在下に分類され、対象の身体の少なくとも一部において炎症をもたらす、ある特定の種類の異常または状態を有することが疑われる。40~50倍の範囲の倍数変化値を有したサンプル13~19は、ステージIVのがんを有するサンプルと相関しており、サンプル20は、倍数変化値が20~30倍の範囲であったため、ステージIIのがんの存在と相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0212】
実施例11
p53バイオマーカーの発現を評価することによって得られた臨床研究の結果
[0228] 20個の異なる(実施例4~10において言及されたものとは異なる)サンプルを、本実施例のため、バイオマーカーとしてp53(遺伝子識別子:7157)の発現を研究するために検討した。がんの存在を検出するための方法は、本開示によるものであり、実施例2に記載されているものであった。
【0213】
[0229]
図8は、20個のサンプルの倍数変化値を有するグラフを示す。サンプル5、8、9、16、および17は、2以内の倍数変化値を有し、したがって、がんを有さないサンプルとなっている。サンプル2、3、6、7、15、19、および20は、50を上回る値の倍数変化値を有し、したがって、進行したステージのがん(ステージIV)と相関していた。本実施例の観察は、二重盲検の一部として得られたそれぞれのサンプルの医療記録と相関しており、したがって、がんの存在を検出する本開示の方法の能力を証明した。
【0214】
実施例12
本研究デザインの一部として収集された全サンプルの結果
[0230] 本実施例は、本開示において開示されるインビトロ方法の実施を確立するために行ったサンプル1000個の研究の結果を示す。
図9~18は、Oct-4、Sox-2、Nanog、p53、Sirt-1、Sirt-6、Sirt-3、NAD、RAS、ERC、erbB-2、ABL、これらのサブセット、およびこれらの組合せからなる群から選択される、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現の倍数変化(HrC値)を示す。倍数変化値を得るために使用した方法は、実施例2に記載される本開示のインビトロ方法によるものであった。
図9~18のそれぞれは、100個ずつのサンプルのデータを示す。緑色のバーは、本開示のプロセスにより健常であると分析されたサンプルを表し、赤色のバーは、がん陽性サンプルを表し、黄色のバーは、高リスクの切迫がんのカテゴリーに入るサンプルを示す。
【0215】
[0231] いくつかの事例研究を、本開示の方法の評価の一部として行った。数個の選択した事例研究を、本実施例の一部として本明細書で以下に提示する。「HrC試験」という用語は、本開示において開示されるインビトロプロセスを指す。
【0216】
事例研究1
[0232] 対象の詳細-68歳の男性の血液サンプルを、本研究の一部として、いずれの他の詳細を知ることなく受容し、HrC試験をサンプルに行った。
【0217】
[0233] 0日目におけるHrC試験の結果は、9.78の読取り値を示し、これにより、個体が、高リスク候補であることが示された。高リスクカテゴリー以外に、HrC試験により、リスクのある器官が、hoxb13遺伝子における突然変異の存在に起因して、前立腺であることも、具体的に検出された。この段階では、循環腫瘍細胞(CTC)は存在
していなかった。結果を、個体に共有し、彼はさらなる分析を受け、それによって、前立腺特異的抗原(PSA)のレベルが高く、前立腺が腫れていることが明らかとなった(7日目)。腫瘍専門医の診察により、個体は生検を受け、それによって、hoxb13突然変異が示され(45日目)、患者は前立腺切除術を受けた(65日目)。手術の日に、HrC値は10.89であり、これにより、がんが実際に進行していることが判明した。75日目に、前立腺組織からの遺伝子発現の結果により、HrC試験(血液サンプルにより行われた)から得られた遺伝子発現の結果および突然変異の結果が、組織から得られた結果とほぼ同一であったことが明らかとなった。したがって、HrC試験は、生検により得ることができる情報を提供し、それをより早期のステージでいずれの侵襲的な技法も使用することなく行う能力を有する。腫瘍の摘出から6週間後(95日目)に、HrC試験は、2.1の読取り値を示し、これにより、個体ががんを有さないことが示された。
【0218】
[0234] 本開示により得られる利点-本事例研究は、HrC試験が、がんの診断および予後診断に成功したという根拠を提供する。遺伝子発現および突然変異の結果は、(がん)組織と血液でほぼ同一であった。HrC試験は、CTCが存在する前ですら、血液サンプルのみからがんを検出することができる。
【0219】
[0235] 医療記録-対象の医療記録により、以下の詳細が開示された:酸性、脂肪肝、および糖尿病状態。
【0220】
事例研究2
[0236] 対象の詳細-39歳の女性の血液サンプルを、本研究の一部として受容した。対象は、子宮頸部腺癌と診断されており、腫瘍の摘出のための外科手術を受けることが予定されていた。
【0221】
[0237] 外科手術の日(0日目)、HrC値は、32.116であり、CTCは陽性であった。外科手術の10日後(10日目)に、HrC値は、腫瘍の摘出に起因して20.142まで低下した。外科手術後、彼女は、6回のアジュバント化学療法を受け(20日目から160日目まで)、化学療法処置の完了後、CTCの試験は、陰性であり、PETスキャンも病変の不在を示していた。イメージング技法により、患者は、がんを有さないと宣言されたが、HrC値は、6.48の読取り値(高リスクカテゴリー)を示しており(167日目)、本開示のインビトロ方法により、患者が高リスクカテゴリーにあり、再発のリスクがあることが、適切に検出された。本研究により得られた情報に付け加えると、彼女は、現在、さらに3回のサイクルの化学療法を受けている。
【0222】
[0238] 本開示により得られる利点-HrC試験は、腫瘍専門医が、非侵襲的な技法により疾患の進行および再発のリスクをモニタリングすることを補助するのに成功した。したがって、HrC試験により、CTCが存在するよりも前に、がんおよび再発のリスクを検出することができる。
【0223】
事例研究3
[0239] 対象の詳細-65歳の女性の血液サンプルを、本研究の一部として受容した。
【0224】
[0240] 医療記録-対象は、卵巣上の腫瘍が診断されていた。
【0225】
[0241] HrC値は、41.28であり(0日目)、がん抗原125(CA125)は、198.8であり、腹部に疼痛もあった(3日目)。診断後、患者は、両卵巣、子宮、および卵管の摘出のための外科手術を受けた(7日目)。摘出した組織の免疫組織化学分析(10日目)により、がんの原発部位は、組織がCK-20、CDX2/SATB2マーカーに陽性であったことから胃にあることが示唆された。医師らは、がんの原発部位を検
出することができず、処置過程にさらに影響を及ぼした(30日目)。HrC試験は、がんの原発部位を虫垂と正確に検出することができた(44日目)。
【0226】
[0242] 本開示により得られる利点-HrC試験は、原発部位を従来的な方法を使用して検出することができない事例において、がんの診断およびがんの原発部位の検出に成功した。したがって、HrC試験は、原発部位が検出されない事例において、腫瘍専門医ががんの処置過程を計画することに役立ち、それによって、対象の生存確率を増加させた。
【0227】
[0243] サンプル1000個の研究の概要:本研究の一部として検出、予測、モニタリングしたがんの種類を、以下の表にまとめている。
【0228】
【0229】
[0244] 表2から推測することができるように、サンプルの入手可能性により、本開示において開示される方法は、広範ながんを、効果的かつ正確に、検出または予測またはモニタリングすることができた。
【0230】
[0245] 本開示の利点-本実施例において言及した事例研究により、本開示において開示されるインビトロ方法が、現在使用されている技法、例えば、PET、CT、および液体生検よりも多くの利点を提供し、より多用途かつ包括的であることが、明確に証明される
。利点を以下に列挙する。
【0231】
[0246] がんの検出-本開示において開示される方法は、CTCが出現する前およびPETもしくはCTスキャンが機能し得る前であっても、単純に血液サンプルを分析することによってがんを検出することができ、それによって、がんを罹患した患者の生存確率を増加させることができる。
【0232】
[0247] がんの予測-本開示において開示される方法は、単純に血液サンプルを分析することによって、対象におけるがんの顕在化の可能性を予測することができる。本方法は、対象において顕在化するかもしれないがんの種類を正確に予測することができ、現時点でこれができる技法は存在しない。
【0233】
[0248] がん処置のモニタリング-本明細書に開示される方法は、単純な血液分析によって、抗がん治療を受けている対象におけるがんの進行をモニタリングする。本開示の方法によって得られる具体的な利点は、本方法が、6カ月間隔に1回しか行うことができないPETスキャンと比較して、非常に高頻度に行うことができ、それによって、抗がん治療の貴重な時間を節約することができることである。本方法はまた、がんの再発を調べ、時間を無駄にすることなく、腫瘍専門医を、必要性に応じて任意の代替的ながん治療法に導くことができる。
【0234】
[0249] 生検を行うことを必要としない特定の種類のがんの検出:本開示において開示される方法は、少なくとも1つの多能性幹細胞バイオマーカーの発現レベルの分析を、がん関連マーカーの突然変異研究と組み合わせて、血液サンプルから、特定の種類のがんおよびがんのステージを正確に検出することができ、それによって、生検などの任意の侵襲的技法の使用を回避することができる。また、生検には、対象におけるがん関連活性を活性化するリスクという問題があるため、本開示において開示される方法は、任意のそのようなリスクを伴わないという特定の利点を有する。
【0235】
[0250] 以下の表3は、PETスキャン、CTスキャン、ならびに従来的な血液および組織生検研究などの周知の技法と比較して、本開示のインビトロ方法によって得られる利点を示す。
【0236】
[0251]
【0237】
【0238】
【0239】
[0252] 本開示は、対象から得られた単純な血液サンプルから、対象におけるがんを検出、予測、およびモニタリングし、がん突然変異を検出するための単純で効率的で有害でなく、高感度な方法を開示する。本方法は、血液サンプルからの多能性幹細胞の濃縮および多能性幹細胞マーカーの発現の分析を含む。
【0240】
[0253] 本開示において開示される方法の重要な利点は、いずれの侵襲的技法も使用することなく、本方法により、対象におけるがんを予測および/または検出することができることである。1つの他の重要な利点は、本明細書において開示される方法により、がんを罹患している器官を効果的に推測することができるある特定の遺伝子セットにおける突然変異を分析することができることである。当該技術分野において公知の他の方法で、単純な血液検査によってがんに罹患している器官を効果的に推測することができるものはない。本開示のプロセスは、血液サンプルのみから、がんが存在している器官を効果的に推測する。従来的な方法では、罹患している器官を確認するためには、放射性同位体の使用を伴うPETスキャンが必要である。本方法は、従来的に行われている組織生検とは対照的に、対象から得られた血液サンプルのみを使用して行われるアッセイを含む。したがって、本方法は、いずれの放射性同位体の使用も伴わず、がんの処置を受けている対象に頻繁に行うことができる。したがって、処置が機能しているかどうかを調べるためにすら使用することができる。本方法は、感度が高い様式であるため、対象から得られた血液サンプルを使用することによって、対象が近い将来がんと診断されることになる確率を予測することができる。本開示において開示される方法を、従来的な技法と併せて使用して、対象におけるがんを検出または予測またはモニタリングするための有効なコンビナトリアル手技を提供することができる。本開示において開示される方法は、すべての種類のがんに適用可能であり、非限定的なリストが、本開示において開示されている。