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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054198
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】高強度生体材
(51)【国際特許分類】
   A61L 29/04 20060101AFI20240409BHJP
   A61L 29/06 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/08 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/12 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61L 29/18 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
A61L29/04
A61L29/04 100
A61L29/06
A61L29/08
A61L29/12 100
A61L29/14 400
A61L29/18
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024015424
(22)【出願日】2024-02-05
(62)【分割の表示】P 2021205984の分割
【原出願日】2021-12-20
(31)【優先権主張番号】62/271,150
(32)【優先日】2015-12-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】518221298
【氏名又は名称】アクセス・バスキュラー・インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Access Vascular, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100132263
【弁理士】
【氏名又は名称】江間 晴彦
(72)【発明者】
【氏名】ジェイムズ・エフ・ビギンズ
(72)【発明者】
【氏名】マイケル・バセット
(72)【発明者】
【氏名】ダニエル・ ドナヒュー
(57)【要約】      (修正有)
【課題】高強度生物医学材を提供する。
【解決手段】親水性ポーラス状固体チューブを形成する少なくとも1つの架橋水溶性ポリマーを含む親水性ポーラス状固体チューブを含んで成る、カテーテルであって、該親水性ポーラス状固体チューブが、100nmまでの直径の孔サイズを有する相互接続された孔を含み、かつ平衡含水量(EWC)において、33~90%w/wの固形分および5~100MPaのヤング率を有し、該親水性ポーラス状固体チューブが、該親水性ポーラス状固体チューブを形成する少なくとも1つの水溶性ポリマー間の共有結合架橋を含まず、該少なくとも1つのポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含んで成る、カテーテルを提供する。
【選択図】図16D
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性材を製造するための方法であって、
少なくとも1つの水溶性ポリマーおよび溶媒を含んで成る混合物を該ポリマーの融点よりも高い温度に加熱すること、
前記混合物を形成すること、ならびに
前記形成された混合物を溶媒除去環境へと通すことを含んで成る、
方法。
【請求項2】
前記混合物の形成が、ダイを通しての該混合物の押出、またはモールディング、またはキャスティングまたは熱成形を含んで成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記少なくとも1つのポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含んで成り、該PVAがポーラス状固体の固形分の少なくとも50%w/wを供する、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記ポーラス状固体が、親水性ナノポーラス状固体であり、該固体の孔が100nm以下のサイズを有する、請求項1~3のいずれかに記載の方法。
【請求項5】
前記ポーラス状固体が、該ポーラス状固体の平衡含水量(EWC)において30~90%w/wの固形分を有する、請求項1~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記ポーラス状固体が、該ポーラス状固体のEWCにおいて少なくとも5MPaのヤング率を有する、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記ポーラス状固体が、直径が100nmを超える孔を含んで成る親水性マイクロポーラス状固体であり、該固体の孔のサイズが1μm以下である、請求項1~5のいずれかに記載の方法。
【請求項8】
前記ポリマー混合物が、ダイの通過を含んで成る押出成形によって形成される、請求項1~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記ポリマー混合物が、決して該混合物の沸点を超えて加熱されず、該混合物が該ポリマー混合物の融点よりも低い温度で形成される、請求項1~8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記ポリマー混合物が、前記ダイから出て、該混合物から溶媒を除去する25℃以下の温度のバスへと通る、請求項8~9のいずれかに記載の方法。
【請求項11】
前記ポーラス状固体が、少なくとも1つのルーメンを含んで成る、請求項1~10のいずれかに記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのポリマーが、PVA、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコールまたはポリ(ビニルピロリドン)を含んで成る、請求項1~11のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのポリマーが、第1濃度での第1ポリマーおよび第2濃度での第2ポリマーを含んで成り、前記第1濃度が10%~60%w/wであり、前記第2ポリマーが1%~10%w/wであり、該w/wは、混合物中の前記ポリマーおよび前記溶媒の全重量の合計に対するポリマーの重量である、請求項1~12のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記混合物が、2以上の水素結合受容体および/または水素結合供与体部位を有することができる添加剤をさらに含んで成る、請求項1~13のいずれかに記載の方法。
【請求項15】
前記混合物が、ダイを通して押出され、該ダイを通過するコアをさらに含んで成り、前記ポーラス状固体が該コアの周囲に形成される、請求項1~14のいずれかに記載の方法。
【請求項16】
前記コアがチューブ状、液体または気体である、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記ポリマー混合物中に放射線不透過剤をさらに含んで成る、請求項1~16のいずれかに記載の方法。
【請求項18】
前記ポーラス状固体を溶媒除去環境に少なくとも1時間曝すことによって前記溶媒をさらに除去することをさらに含んで成る、請求項1~17のいずれかに記載の方法。
【請求項19】
前記溶媒中の少なくとも1つのポリマーの混合物の融点以下の温度で前記ポーラス状固体をアニールすることをさらに含んで成る、請求項1~18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記少なくとも1つのポリマーの共有結合架橋をすることなく行われる、請求項1~19のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記ポーラス状固体が、ルーメンおよび少なくとも10:1のアスペクト比を有する、請求項1~20のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
請求項1~21のいずれかに記載の方法によって形成された、ポーラス状固体。
【請求項23】
ルーメンを有する前記ポーラス状固体を含んで成り、中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)、トンネル・カテーテル、透析カテーテル、中心静脈カテーテル、末梢中心静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、トンネル・カテーテル、透析アクセス・カテーテル、尿カテーテル、神経カテーテル、腹腔内カテーテル、大動脈内バルーンポンプ・カテーテル、診断カテーテル、インターベンション・カテーテルまたは薬物送達カテーテルである、請求項1~22のいずれかに記載の方法によって形成されたポーラス状固体を含んで成るカテーテル。
【請求項24】
平衡含水量(EWC)において少なくとも33%w/wの固形分および少なくとも5MPaのヤング率を有する前記ポーラス状固体を含む、親水性ポーラス状固体を含んで成る、ポリマー材。
【請求項25】
前記固体の孔が100nm以下のサイズを有する親水性ナノポーラス状固体である、請求項24に記載のポリマー材。
【請求項26】
アスペクト比が少なくとも10:1である、請求項24または25に記載のポリマー材。
【請求項27】
前記ポーラス状固体が少なくとも1つのポリマーを含んで成り、該少なくとも1つのポリマーの少なくとも50%w/wがポリ(ビニルアルコール)(PVA)である、請求項24~26のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項28】
前記ポーラス状固体が、該ポーラス状固体の平衡含水量(EWC)において50~90%w/wの固形分を有する、請求項24~27のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項29】
前記ポーラス状固体が、PVA、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコールまたはポリ(ビニルピロリドン)を含んで成る少なくとも1つのポリマーを含んで成る、請求項24~28のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項30】
前記少なくとも1つのポリマーが、第1親水性ポリマーおよび第2親水性ポリマーを含んで成り、前記第2親水性ポリマーが、前記第1ポリマーの10000部に対して1部~1000部の量で存在する、請求項24~29のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項31】
前記ポーラス状固体が、該固体を形成するポリマー間の共有結合架橋を含まない、請求項24~30のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項32】
前記ポーラス状固体と接触する第2材料の層をさらに含んで成る、請求項24~31のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項33】
前記ポーラス状固体中の第2材料または前記ポーラス状固体における疎水性材のコーティングをさらに含んで成る、請求項24~32のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項34】
前記第2材料が、補強材、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維またはコネクタの少なくとも一部分である、請求項33に記載のポリマー材。
【請求項35】
放射線不透過剤をさらに含んで成る、請求項24~33のいずれかに記載のポリマー材。
【請求項36】
生物医学材またはカテーテルの材料としての、請求項23~34のいずれかに記載のポリマー材の使用。
【請求項37】
ポーラス状固体を含んで成り、該ポーラス状固体が、該固体の平衡含水量(EWC)において、少なくとも33%w/wの固形分および少なくとも5MPaのヤング率を有する、カテーテル。
【請求項38】
前記固体の孔が100nm以下のサイズを有する親水性ナノポーラス状固体である、請求項37に記載のカテーテル。
【請求項39】
前記ポーラス状固体が少なくとも1つの架橋ポリマーを含んで成り、該少なくとも1つのポリマーの少なくとも50%w/wがポリ(ビニルアルコール)(PVA)である、請求項37または38に記載のカテーテル。
【請求項40】
ルーメンを含んで成り、中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)、トンネル・カテーテル、透析カテーテル、中心静脈カテーテル、末梢中心静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、トンネル・カテーテル、透析アクセス・カテーテル、尿カテーテル、神経カテーテル、腹腔内カテーテル、大動脈内バルーンポンプ・カテーテル、診断カテーテル、インターベンション・カテーテルまたは薬物送達カテーテルである、請求項37または38に記載のカテーテル。
【請求項41】
前記カテーテルに取り付けられたコネクタまたは伸張部をさらに含んで成る、請求項37~40のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項42】
前記少なくとも1つのポリマーが、第1親水性ポリマーおよび第2親水性ポリマーを含んで成り、該第2親水性ポリマーが、該第1親水性ポリマー10000部に対して1部~1000部の量で存在する、請求項37~41のいずれかに記載のカテーテル。
【請求項43】
前記第1ポリマーがPVAであり、前記第2ポリマーがPVA、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコールまたはポリ(ビニルピロリドン)である、請求項42に記載のカテーテル。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、医療デバイス用の高強度親水性ナノポーラス状生体材を含むポーラス状生体材に関する。
【発明の概要】
【0002】
医療デバイスを製造するために有用な生体材が、本明細書に開示される。材料および方法は、様々な医療デバイス用途のための丈夫で滑らかな生体適合性生体材の製造のために本明細書に供される。強度および血液適合性などの優れた特性を有する生体材を作るために、新しいプロセス技術が用いられてきた。本明細書には、高強度、血液適合性、ナノポーラス状生体材(nanoporous biomaterials)または他の材料を作るための親水性ポリマーの押出方法が含まれる。これらの方法は、化学架橋剤または放射線架橋を使用することなく行うことができる。
【0003】
一態様は親水性材(hydrophilic material)の製造方法であり、少なくとも1つの水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物をポリマーの融点よりも高い温度に加熱すること、混合物を形成すること、および混合物を溶媒除去環境(solvent-removing environment)に通すことを含んで成る。押出を用いて混合物を形成し、混合物を、ダイを通過する際に連続的なポーラス状固体(continuous porous solid)に形成する。ポーラス状固体の平衡含水量(EWC)において少なくとも5MPaのヤング率を有するナノポーラス状固体(nanoporous solid)を製造し得る。押出は、カテーテルとして有用なチューブを含む高アスペクト比の高強度材を形成するために使用され得る。
【0004】
一態様は、平衡含水量(EWC)において、少なくとも33%w/wの固形分および少なくとも5MPaのヤング率を有するポーラス状固体を含む、親水性ポーラス状固体を含んで成るポリマー材である。材料は、カテーテルとして形成された材料を含む、高アスペクト比、例えば10:1以上で形成されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0005】
図1図1は、バス(または浴、bath)の側部の断面図を有する連続形態を形成するための押出装置の模式図である。
図2図2は、図1の装置の一部分の拡大図であり、ダイヘッドをバスの外側から見た斜視図で示す。
図3図3は、図1の装置の一部分の拡大図であり、バスに設けられたダイヘッドを示す。
図4図4は、図1の装置で形成された連続ポーラス状固体(continuous porous solid)の一部分の長手方向断面図である。
図5図5は、ポリマー材の応力-歪み曲線を示すプロットである。
図6図6は、図1の装置で製造されたポーラス状固体の引張試験データのプロットである。
図7図7は、ポーラス状固体の表面の走査型電子顕微鏡画像(SEM)である。
図8図8は、図7のポーラス状固体の断面のSEMである。
図9図9は、ポーラス状固体カテーテルの脱水のためのデータのプロットであり、y軸は重量であり、x軸は時間(分)である。
図10図10は、実施例4に従って製造されたポーラス状固体の引張試験データのプロットであり、高分子量ポリマー(PVA67-99)が低分子量ポリマー(PVA28-99)よりも高い弾性率および引張強度を供する。
図11図11は、実施例4に従って製造されたポーラス状固体の引張試験データのプロットであり、最も高いポリマー濃度(26%)が、低いポリマー濃度(22%または18%)に対して、最大弾性率および引張強度の材料を供する。
図12A図12Aは、対照群(Bard POWERPICC)である放射線不透過剤(radiopaque agent)を組み込んだポーラス状固体の写真である。
図12B図12Bは、アニールされていない5.7重量%のビスマス・サブカーボネートである放射線不透過剤を組み込んだポーラス状固体の写真である。
図12C図12Cは、アニールされていない12.1重量%のビスマス・カーボネートである放射線不透過剤を組み込んだポーラス状固体の写真である。
図12D図12Dは、アニールされた12.1重量%のビスマス・サブカーボネートである放射線不透過剤を組み込んだポーラス状固体の写真である。
図12E図12Eは、アニールされた5.7重量%のビスマス・サブカーボネートである放射線不透過剤を組み込んだポーラス状固体の写真である。
図12F図12Fは、4.2重量%のビスマス・サブカーボネートである放射線不透過剤組み込んだポーラス状固体の写真である。
図13図13は、実施例7に記載の第1セットの試験サンプル写真である。
図14図14は、実施例7に記載の第2セットの試験サンプルの写真である。
図15A図15Aは、実施例8に記載の押出されたポーラス状固体の幅方向断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図15B図15Bは、実施例8に記載の押出されたポーラス状固体の長手方向断面の走査型電子顕微鏡写真(SEM)である。
図16図16A~16Dは、実施例9に記載の調製した親水性ナノポーラス状材のSEMであり、スケールバーによって示される種々の倍率で供される。
図17A図17Aは、実施例10に記載の生成されたサンプルについての引張試験データのプロットである。
図17B図17Bは、実施例10に記載の生成されたサンプルについての引張試験データのプロットである。
図18A図18Aは、データをN/mmで示す、実施例11に記載のポリマーの種々のブレンドの引張りデータのプロットである。
図18B図18Bは、データをN/mmで示す、実施例11に記載のポリマーの種々のブレンドの引張りデータのプロットである。
図19図19は、データをN/mmで示す、実施例12に記載のポリマーの種々のブレンドの引張データのプロットである。
図20A図20Aは、PEG分子量が8kの表面を示す実施例12に記載のPEG/PVA共重合体押出物の写真である。
図20B図20Bは、PEG分子量が20kの表面を示す実施例12に記載のPEG/PVA共重合体押出物の写真である。
図20C図20Cは、PEG分子量が35Kの表面を示す実施例12に記載のPEG/PVA共重合体押出物の写真である。
図21A図21Aは、相対的な血栓蓄積の写真のプロットとして、実施例15に記載の血液接触試験の結果を供する。
図21B図21Bは、試験サンプルの写真として、実施例15に記載の血液接触試験の結果を供する。
【発明を実施するための形態】
【0006】
材料、方法および使用は、医学的に許容されるポーラス状固体を含んで成る生体材について本明細書に記載される。これらの材料は、滑らかで生体適合性のある表面を有する強靭で高強度の材料として製造することができる。特に高いヤング率および引張強度を有するナノポーラス状固体およびマイクロポーラス状固体が本明細書に記載されている。ナノポーラス材料は、直径が100nmまでの相互接続された孔(または細孔、pores)を含む固体である。ヒドロゲルの製造方法も記載されている。親水性固体が得られるように、これらの種々のポーラス状固体を製造するために、親水性ポリマーを使用することができる。ナノポーラス状固体またはマイクロポーラス状固体の含水率は、EWCにおいて、例えば50%w/wと高くすることができる。ヒドロゲルの含水量は、原則として例えば90%w/wまで高くすることができる。ポーラス状固体材料は、生物学的成分の表面への吸着および/または接着の有意な減少を伴う医療用カテーテルおよびインプラントを含む種々のデバイスを製造するために使用することができる。
【0007】
材料を製造するためのプロセスは、高アスペクト比を有するデバイスを作り得るように押出成形を含むことができる。材料を製造する方法の一態様は、少なくとも1つの水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物をポリマー溶液の融点よりも高い温度に加熱すること、溶媒除去環境において混合物を形成し、架橋マトリックスを生じさせること、および架橋されたマトリックスがマイクロポーラス状固体材料またはナノポーラス状固体材料になるまで溶媒を除去し続けることを含む。架橋は、混合物を冷却しながら、および/または溶媒除去環境において行うことができる。
【0008】
(高分子材料の押出)
固体プラスチック材料を製造するための種々の技術が知られている。これらは従来、ポリマー材が開口部(opening)を通過する際にポリマー材を固体プラスチックへと成形する条件下で、ポリマー材を、開口部を通して押出すプロセスを含む。典型的には、ポリマーを軟化または溶融させるための加熱相(heating phase)、ポリマーが流動可能な形態およびある種の拘束下にある成形/形成相(shaping/forming phase)、ならびに成形された/形成されたポリマーがその形状を保持する温度に冷却される冷却相(cooling phase)がある。プラスチックは、収縮、溶媒除去または架橋などの開口部を通過した後でいくらか変化し得るが、凝固するとその形状は固定される。熱可塑性樹脂は再溶融することができる。いくらかの熱硬化性樹脂は、非共有結合架橋(non-covalent crosslinks)である強い鎖間および/または鎖内結合を形成し、それらを共有結合と区別するために物理的架橋(physical crosslinks)と称する。熱硬化性樹脂は、共有結合架橋によって不可逆的に形成される。成形プロセスの例は、熱成形(thermoforming)、モールディング・プロセス(molding processes)、および押出プロセスである。押出プロセスは、典型的には、加圧下で成形されたダイを通してポリマー材を押出すことを含む。通常、ポリマーがダイに送られる場合に、ポリマーのペレットは、ポリマーを圧縮および溶融させるスクリュー押出機に入るホッパーに供給される。ダイにおける開口部を通過した後、ポリマーは急速に冷却され、固体の形状になる。押出には、引抜きプロセス(drawing process)も含めることができる。多数の複雑な形状は、押出プロセスで形成することができる。多数の複数の形状には、1つ以上のルーメン(または内腔、lumen)、コーティング、層状コーティング、フィラメント、中空輪郭の物体、円形、四角形または複雑な断面を有する物体、および押出機またはダイにおいて複数のポリマーを組み合わせる共重合押出物(copolymeric extrusions)を含む。用語「ダイ(die)」は、本明細書では、ポリマーが押出プロセスにおいて、固体を形成するために通過する開口部を包含するように広く使用され、マンドレル(mandrel)、ダイの組合せ、ポート・ホールダイス(port hole dies)の1つ以上を含むダイ、押出製品を製造するために協働する(cooperate)複数の開口部を有するダイ、コア(core)と協働するダイ、コアチューブ(core tubing)、コアワイヤ(core wire)、コアとして作用する空気もしくはガスと協働するダイ、またはスリットダイ(slit dies)を含む。コアは、連続的に押出された製品のためのルーメンを供するのに有用であり、中空ルーメンを有するデバイスに対して一時的に使用し得、またはコーティングされたデバイス(例えば、コーティングされたワイヤ)の場合には永続的に使用し得る。作られた形状が連続的な輪郭(profile)を持つ限り、ほぼ全ての形状をダイで作ることができる。用語「連続(continuous)」は、半連続的、断続的または他のプロセスを使用できるにしても無制限に長い材料を理論的に製造することを指す技術用語である。
【0009】
押出プロセスは、通常、ポリマーを加熱し、急速に冷却されるように高温の間にダイから流出させて、プラスチック形状をセットすることを含む。温度および条件の選択は、ポリマーの化学組成および分子量、融解温度(Tm)、ガラス転移温度(Tg)、架橋の存在ならびに溶媒が存在する場合の影響などの因子に依存する。Tmは、結晶相または半結晶相と液体非晶相との間の遷移を示す。Tgは、非晶質ポリマーがゴム状で粘性のある液体から、冷却時に脆いガラス状の非晶質固体に転移する温度を示す。非晶質ポリマーはTgを有するが、特定の融点Tmを有さない。従来の押出プロセスは一般に、ポリマーが押出機にある間、ポリマーを高温(典型的には150℃を超える温度)で処理することを含む。
【0010】
本明細書では、高強度材料の押出を供する新規プロセスが開示されている。このプロセスの特定の態様は、材料が押出され、低温で押出され、または溶媒除去環境へと押出される場合に、親水性ポリマー-溶媒混合物から溶媒を除去すること、および押出後の時間におけるさらなる除去の1以上を供する。さらに、アニーリング段階が含まれていてもよい。
【0011】
図1図4は、材料を製造するための装置の一態様を示す。図示するデバイス100は、少なくとも1つのシリンジ104を受け入れるシリンジポンプ102と、シリンジを加熱するためのオプションの加熱ジャケット(図示せず)と、ダイヘッド106と、ダイヘッド106のために必要な熱を供する(詳細は図1には示されていない)、加熱素子108および電源ケーブル109と、コアチューブ112のための分注(dispensing)スプール110と、コアチューブのための取込スプール114およびモータ(図示せず)、押出材料117のためのバス116(バス116における熱交換パイプ120を含んで成る熱交換器118として示されている冷却または過熱用の温度制御を有するバス)とを有する。ダイヘッド106は、そこを通過するコアチューブ110を受け入れる。シリンジからダイヘッド106への供給ライン122は、デバイス100への供給物を供する。この態様のシステムは、計量ステーション、シリンジに投入するための溶液の加熱用および混合用のジャケット付き容器、ならびにバス116から取り出したチューブをさらに乾燥させるための溶媒除去環境をさらに含んでもよい。このシステムはまた、必要に応じてチューブまたは他の押出製品を熱でアニールするための加熱ステーションを有してもよい。PTFE製のコアチューブが有用であり、ワイヤ、空気、非溶媒液体または他の材料をコアに使用してもよい。
【0012】
使用の際には、一例として、ポリマーをジャケット付き容器内の適切な溶媒において加熱し、シリンジ104に入れる。1つ以上のポリマーが存在してもよく、放射線不透過剤または他の添加剤が添加されてもよい。1つ以上のシリンジは、同一の、または異なる混合物と共に使用されてもよい。ポリマーのシリンジは、80~95℃以下の所定の温度に加熱され、押出前に脱気される。シリンジ104は、押出中の温度を維持するラップヒーターを有するシリンジポンプ102に取り付けられる。コア112は、ダイヘッド106、例えば、加熱されたアウト・ドウェリング・ダイヘッド(out-dwelling die head)を通ってループされ、押出バス(extrusion bath)116へと供給され、モータによって駆動されるプーラー・ホイール(puller wheel)114に取り付けられる。バスの温度は、冷却器などの熱交換器118を使用して制御される。押出された材料は、典型的には、-30℃~75℃の範囲の温度で押出される。他の温度を使用してもよく、0℃は一般に押出しのための有用な温度設定である。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、-30℃、-25℃、-20℃、-15℃、-10℃、-5℃、5℃、10℃、15℃、20℃、25℃、30℃、35℃、40℃、45℃、50℃、55℃、60℃、65℃、70℃、75℃のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。プーラー・ホイール114のモータ速度を制御して、コア112の周りの外径ゲージサイズを調整することができる。ダイのサイズ、材料供給速度、チューブのコア直径、およびプーラー速度の調節は、例えば、カテーテルが製造される態様における最終チューブゲージの調整の役割を果たす。ポリマー供給速度は、例えば、この態様ではシリンジポンプ102の制御によって調節可能である。コネクタ122は、1つ以上のシリンジをダイヘッド106に接続する。ポリマー溶液を制御可能に供給するための多くのポンプおよび他のツールは既知である。この装置および方法は、別の供給プロセスが利用可能であるが、延伸プロセスに適合させることができる。この開示を通して、当業者は、本明細書に記載されているのと同じ最終製品を達成する代替のプロセスおよびデバイスを製造するために、押出または他の成形技術に関する既知のものに照らして、その原理を適用することができる。このプロセスのスケールアップされた態様は、例えば、マルチゾーン・スクリュー押出機での使用に適用してもよく、適切なインジェクターまたはホッパーを介して供給された溶剤混合物に適用してもよく、および冷却押出物を供給するように制御するゾーンに適用してもよい。シリンジポンプなどの特徴は、適切に計量され、制御された液体または固体ポリマー供給システムで置き換えることができる。このシステムは、ポーラス状固体の種々の製品、例えば表1に示す特性を有する6Fカテーテルを製造するために使用されている。サンプルは、0.1%w/wの450kのPAAまたは1%w/wの20kのPVP-ヨウ素のいずれかを含む13%w/wの85kDaのPVAを用いて製造した。全ての場合において、サンプルを0℃~15℃の冷却エタノールへと押出し、エタノールに一晩浸漬し、乾燥させた。その後、サンプルを120℃で6時間から17時間グリセロールにおいてアニーリングし、次いで試験前に再水和させた。PVA-PAAおよびPVP-ヨウ素用として、水溶液中で数日間水和した後の平均外径1.59mm(5F)、ならびに平均外径1.86mmおよび2.01mmでサンプルを作製した。6FカテーテルはPVAで製造した。いくらかの配合物(formulation)の引張強度を平衡含水量(EWC)で評価し、ISO-10555標準要件と比較して増加した強度が容易に得られることを示した。これらのサンプルは、ISO基準を満たしただけでなく、超過するものである(表1参照)。
【表1】
【0013】
表1の引張結果は、サンプルの1つのバッチから得られたものである。ISO 10555-1:2013で要求される最小強度は、ODが1.14~1.82mmのカテーテルでは2.25、ODが1.82mmより大きいカテーテルでは3.37lbs(15N)である。最終的なキャスティング・プロセス(約12F)を使用して作製されたサンプルの平均強度は、必要な最小引張強度よりも164%大きい引張強度を有するサンプルをもたらした。カテーテルなどは、フランス語(F)において内径を意味するフランス語命名法を用いて等級付けすることができる。フクモリら(Open J. Organic Polymer Materials 3:110-116(2013))は、試験されたサンプルにおいて少なくとも約3サイクルを必要とする約5MP以上のヤング率を伴う、181MPaのヤング率を有するポリ(ビニルアルコール)(PVA)材料を製造する凍結融解プロセス(freeze-thaw process)を報告した。これらのゲルを製造するプロセスは、複数の凍結融解サイクルを必要とした。得られた材料は乾燥状態で試験され、EWCで測定した強度に相当しない。フクモリらは、材料の結晶含有量は凍結融解サイクルの回数とともに増加し、凍結融解サイクルが進行するにつれて形成される大きな結晶に材料の強度は起因し、大きな結晶は材料のTgを増加させる優れた架橋を形成する。これらのプロセスの性質は、乾燥した材料を生成する。さらに、以下記載するように、凍結融解プロセスはマクロ孔(macropores)を生成する。
【0014】
対照的に、本明細書のプロセスは、凍結-融解プロセスを用いない、および/または凍結プロセスを用いない、および/または融解プロセスを用いない。さらに、このプロセスは、共有結合架橋剤の不存在下でさえも、EWCでの膨潤がほとんどないか、または全くなく、例えば0%~100%w/w膨潤を有する固体ポーラス状材を製造するために使用することができる。当業者には、明示的に記載された境界間の範囲および値が考慮され、例えば、0、5、10、15、20、25、30、40、50、60、70、80、90、95、100%w/wのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。膨張率は、%膨潤率=100×(EWC乾燥重量での総重量)/乾燥重量として測定され、乾燥重量は水分の無い材料の重量である。
【0015】
図5は、高分子材料の応力-歪み曲線の異なる領域を示す。ヤング率、歪み硬化性(または歪み硬化率、strain hardening)、破断点(break point)の3つの主要な領域がある。ヤング率は、材料の線形弾性の傾き(応力の変化/歪みの変化)として定義される。歪み硬化性は、変形による材料の強化と定義される。破断点は最大伸びのポイントである。図6に示すように、PVA(5F)サンプルについて引張荷重および移動距離(または伸度、travel)をプロットした。荷重曲線の形状は、引張試験を受けた他のサンプルの代表値であった。シャープな初期勾配および伸びが生じての最終的なレベリングアウト(または横ばい、leveling out)は、押出されたPVAの粘弾性特性を示し得、それは、材料の歪みが硬化し、最終的に破断まで歪み軟化を受けることを示している。この特定のサンプルは、最大引張荷重が14.9Nで115mmの移動距離(伸び454%)を示した。平均直径が2.03(6.4F)であるように同じ方法で製造された他のサンプルは、24.6N(5.52ポンド)の平均最大引張強度を有する。このようなわずかな断面積の増加に伴う引張強度のこの実質的な増加は、これらの材料で作られたカテーテルがISO 10555の最低基準を大幅に上回ることを示している。押出されたサンプルは、図7に供されるナノポーラス状材のSEMによって支持されるように、(押出方向における)サンプルの長さに沿った横並びの(horizontal)配向(orientation)および整列(またはアライメント、alignment)を有する。ポリマー鎖の配向は、押出プロセスによって製造された。図8は、100nm以下の孔サイズを示す、実施例1Aに従って調製された同じ材料の断面のSEM画像である。
【0016】
サンプルの強度、放射線不透過性、ならびに表面仕上げおよび対称性に関する定性的観察の結果は非常に良好である。サンプル表面は、実質的に完全ではないが、不完全さ(imperfection)がない。重大な分割線(severe parting lines)を含むキャストされたサンプルを作製するために使用された場合、同じ成分よりも優れた押出物によって得られた結果は、重大な線、隆起(bumps)または他の不完全さは観察されなかった。押出プロセスは、従来のモールドを用いては不可能であった高アスペクト比を有する丈夫で高引張強度のチューブを製造するために効率的かつ有用であることが観察された。押出と同様の延伸プロセスを採用してもよい。
【0017】
実施例1Aは、ポーラス状固体を押出すための一般的な方法を記載する。驚くべきことに、このプロセスは効果的であった。冷間押出プロセスを生み出し、ダイをわずか13℃のバスにおいて押出側に保持した。ポリマーは、低温では親水性で粘性である。冷間押出は、滑らかさ、欠陥の無さ、および一定の孔サイズを含む他の良好な特性を有する非常に強力な材料を製造するのに有効であった。実施例1Aで使用されている水中のPVAを含む溶媒におけるポリマーの混合物を用いて押出を達成した。この実施例においてアルコールバスであった溶媒除去環境に押出して、所望の特性に寄与させた。一般に、溶媒中への親水性ポリマーの押出、冷却押出、および押出物から溶媒を迅速に除去するバスへの押出の1以上の組合せを用いることが有用である。さらに、追加の溶媒除去および/またはアニーリング・プロセスは、所望のポーラス状固体を製造するためのさらなる有用性を供する。
【0018】
実施例1Aのプロセスは、ナノポーラス状固体を生成した。ナノポーラス状材の要件には、高レベルの架橋を有するポリマー-溶媒混合物中に約10%w/wを超える高いポリマー濃度が含まれる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、ポリマー-溶媒混合物の全重量中のポリマーの重量として、10、12、15、16、17、18、19、20、25、30、35、40、45、50、55、60、70、80、90、95、99%w/wのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。ポリマーは実質的に溶媒和されるべきであり、これは真の溶液であるかまたはポリマーの少なくとも半分が溶解し、残りが少なくとも懸濁されることを意味する。ポリマーの溶媒和は、押出におけるポリマー鎖の整列およびポリマー間の架橋に寄与する。特定の理論に縛られることなく、高濃度のスタート時のポリマー-溶媒混合物がこれを助けると考えられる。また、ダイを通過する際の材料の可能性のある鎖の整列は、より多くの分子内重合体(intrapolymer)対共重合体(interpolymer)の架橋を促進すると考えられる。ガスまたは液体の脱溶媒環境に入る押出物または他の形成された混合物は、密集したポリマーが完全に架橋される前に孔構造をさらに崩壊させ、それによって鎖の近接性(chain proximity)を改善させ、架橋密度をさらに高めると考えられる。押出された材料または他の方法で形成された材料を溶媒除去環境に直接堆積することが有用である。構造および/または特性において所望の終点に達するまで、さらに溶媒を除去して材料を崩壊させることができる。アニーリング・プロセスは、強度にさらに寄与することができる。
【0019】
一方で、凍結法は、鎖の近接性を達成し、架橋密度を向上させるが、全ゲル構造中に氷晶が存在するためにマクロなポロシティ(または多孔性、もしくは多孔率、porosity)を保持するように超濃縮マイクロ領域(superconcentrated microregions)を強制することによって、強度を増加させる。脱溶媒和は強制的な超濃縮マイクロ領域を作り出すが、これらはマクロ孔を生成しない。対照的に、脱水または凍結する前に予め確立されたゲルは、マクロ孔で形成されたそのプロセスの本質的なものである。さらに、本発明者らの研究は、そのようなナノポーラス状固体がマクロポーラス状材よりも大きな強度を有することを示している。
【0020】
ヒドロゲルは、ポリマー-溶媒混合物におけるより低いポリマー濃度、一般にポリマー-溶媒混合物中のポリマーの10%w/w未満を使用することによっても製造することができる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、ポリマー-溶媒混合物の全重量中のポリマーの重量として、2、5、7、8、9、10%w/wのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。さらにまたはあるいは、ポリマー-溶媒混合物は溶媒除去環境に押出されない。
【0021】
マイクロポーラス状材は、ナノポーラス状固体およびヒドロゲルの中間のプロセス条件で製造することができる。一態様は、ナノポーラス状材の製造に相当する条件を用いて材料を調製するが、溶媒除去がナノポーラス状固体構造に達する前に溶媒除去を停止することである。
【0022】
実施例1AのPVAを含む溶媒中の親水性ポリマーの押出は、高強度材料を製造するのに役立つ。押出スタート時の材料における溶剤の使用は、少なくとも一般的ではない。典型的には、押出成形は、流動可能な温度に加熱され、次いで押出され、後に様々な方法によって冷却される固体材料を使用する。例えば、純粋なPVAの押出が可能であると考えられている。しかし、そのような押出は、ポーラス状固体を製造するために必要とされるポリマー構造を欠き、代わりに従来のプラスチックのように挙動する。操作理論(theory of operation)によれば、純粋なPVA押出は、水性イオン性溶媒状態で起こる水素結合の品質が欠けているであろう。押出において流動可能であるようにPVAを調製するのに適した温度は、連続した形状が形成されないように、ダイヘッドにおいて不十分な凝集性の(または吸着性の、cohesive)材料を生成する。押出成形されたPVAを、例えばチューブのような高アスペクト形状を形成し、押出プロセスで使用することは困難であった。PVAおよび他の親水性ポリマーの粘度は高く、溶液に浸透しにくい。温度における狭いワーキングバンド(または作用帯域、working band)、例えば85~95℃が有用であることが観察された。約85℃未満では、PVAは真に溶融することができず、したがって押出のために完全に非晶質にならなかった。約95℃より上では、沸騰および蒸発に対する損失はプロセスを無効にした。これらの温度範囲は、大気圧を超えて圧力を上げることによってオフセットすることができるが、加圧システムは、使用し、かつ拡大縮小することが困難である。この方法は、ポリマー-溶媒材料の沸点より低い温度で有用に実施される。
【0023】
流れるポリマー-溶剤混合物の凝集力は、ダイを出るときに弱かった。金型で混合物を支持するためのコアの使用は、ダイにおいて形状を保持するのに有用である。この状態は、例えば携帯電話充電器のコーティング・ワイヤのためのコーティング・プロセスとして使用される典型的なコア押出とは対照的である。溶媒または有意な溶媒濃縮の使用を避ける典型的なプロセスは、チューブを容易に保持できるダイを出る比較的高い凝集力を有し、ダイから出る際に固体材料をコヒーレント形状に形成する、親水性ポリマー中の水素結合のような活性結合に依存しない。
【0024】
形成されたポリマー-溶媒混合物を溶媒除去環境に通すことは有用であった。実施例1Aでは、例えば、冷たいエタノールバスを使用することは、従来の押出成形に比して非典型的である。ほとんどの押出は、室温以下のバス温を使用しない。さらに、溶剤除去バスの使用は、従来のプロセスと比較して典型的であり、バスまたは他の溶剤除去環境は、押出された材料を十分に凝固させて、コアに安定させて、同心であるようにするのに役立ち、そうでなければ溶融物は涙滴状になる。押出の終わりにそれを回収しようと試みても、まだ溶融しているので破壊されるであろう。水を含有する従来のバスは、PVAまたは類似の親水性ポリマー材の形状を、膨潤、溶解またはその両方によって失わせる。実施例1Bは、モールドで形成され、次いで溶媒除去環境に付されるポリマー-溶媒混合物の調製を含むモールディング・プロセス(または成型プロセス、molding process)を示す。これらの方法は、押出において観察される鎖の整列の利点を有さない。しかし、適切に制御された温度および溶媒の除去は、高強度および制御された孔構造を有する材料を生成することができる。
【0025】
実施例2は、放射線不透過剤を配合した場合にこの方法が有効であることを示し、硫酸バリウムがこの場合に使用される材料である。実施例3において、ポーラス状材は、周囲条件で空気に曝された場合に水分を失ったが(図9)、所望の特性を保持し、密閉されたパッケージもしくは溶液において、または妥当な貯蔵期間の間周囲環境に放置されるか、もしくはユーザが最終使用のためにアンパッケージした後に必要とされ得る場合、効果的に輸送/貯蔵することができる。実施例4は、親水性ポリマー(PVA)の分子量が140kから190kに増加するにつれて増加する強度(弾性率および最終的な破断)を示している(表3)。ビスマス・サブカーボネート(Bismuth subcarbonate)を放射線不透過剤として使用した。同じ実施例では、押出に使用されるポリマー混合物におけるポリマーの濃度の増加は、より低い濃度と比較して最高濃度に向けて強度の増加を示した(表5および図10~11)。
【0026】
ポーラス状固体は非常に滑らかであり、水和状態で使用することができ、他の材料に都合よく結合することができる。カテーテルの場合、例えば、拡張部、ルアーロック、縫合ウイングなどが有用である。実施例5は、従来のプロセスがポーラス状材に他の材料を結合させるのに有効であることを示す。実施例6および実施例7は、ポーラス状固体が放射線不透過性医療デバイスに適しており、圧力試験において良好な破裂強度を有することを示した。接触落下試験(実施例8)は、種々のポーラス状固体が親水性であることを示した(PVA試験)。SEM画像(15A~15B、実施例8)は、ナノポーラス状固体の画像である。実施例9は、ナノポーラス状固体を示すものである(図16A図16D)。
【0027】
試験サンプルの観察は、特定の理論に限定されるものではないが、第1親水性ポリマー(PVA)によって供される材料内の架橋が、第2ポリマー(PAAまたはPEG)の鎖との相互作用によって、第2ポリマーが材料中にそれ自身とドメインを形成し始めるまで増加する。これは、付加的な材料強度を供する第2ポリマー(PAAまたはPEG)のより高分子量の種を組み込む能力に起因するものと考えられる。この結果は、コポリマーの押出が、0.1%~10%w/wの第2ポリマーまたは10%w/w未満の第1ポリマーの範囲で有用であることを示し、5%w/w未満の第1ポリマーの範囲もまた有用である。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、0.1、0.2、0.4、0.5、0.8、1、2、3、4、5、6、8、10%w/wのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0028】
ポーラス状固体の特性に対する種々の塩の効果を、実施例10に記載のように評価した(図17A図17B)。塩は材料の強度を調整する(manipulate)のに有用であった。特定の理論に限定されるものではないが、塩が物理的架橋の一部であり、ポリマー鎖間に低分子量架橋剤として作用すると考えられる。リン酸一ナトリウムは最も高いヤング率をもたらし、リン酸は最高の引張強度を生じさせた。ホウ酸はヤング率および最大引張応力の両方を増加させたが、クエン酸およびリン酸は互いに同等であった。ホウ酸は高強度の架橋を形成するが、共有結合の架橋剤ではない。
【0029】
ある濃度の第1親水性ポリマーと相対的に低い濃度の第2親水性パートナーとの同時押出物について、さらなる引張試験を行った(実施例11)。図18Aは、低濃度の450kDa PAA(0.1、0.4または4.0%w/w PAA、16%w/w PVA、パーセントは溶媒におけるポリマーのw/w濃度)を有するPVA混合物の引張試験を示す。0.1~0.4%w/wのPAA濃度はより高い強度を有し、上記の実施例9および実施例10について記載した結論を支持する。より高い分子量(MW)のPAA(300万Da)を試験した(図18B)。しかし、一般に、より低いMWのPAAの強度の約半分しか有していなかった。増加したPAA分子量による引張強度の減少は、300万MWより長い鎖によるPVAとPAAとの間の結合および/または絡み合い相互作用の減少によるものである可能性がある。3つの異なるMWのPEGをPVA(8k、20k、35k PEG)とブレンドした場合、強度の有意差は観察されなかった(図19および図20A図20C、実施例12)。放射線不透過剤を含まないPVA製のポーラス状プラスチックは、非トロンボゲン形成性(non-thrombogenicity)に関しては対照カテーテルよりも優れていた(実施例13、図21A図12B)。
【0030】
ポリマーブレンドの態様は、本明細書に記載されるように押出される溶媒中に少なくとも1つの第1親水性ポリマーおよび少なくとも1つの第2親水性ポリマーを含む。実施例には、PVA、PAA、PEG、PVP、ポリアルキレン、親水性ポリマー、およびそれらの組合せの1つ以上の組合せが含まれる。濃度の例には、第1親水性ポリマーの1部~10000部に存在する少なくとも1つの第2親水性ポリマーが含まれる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、1、2、10、100、1000、1500、2000、2500、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000、10000部のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。ポリマー-溶媒混合物におけるポリマーの濃度の例には、第1濃度で存在する第1ポリマーおよび第2濃度で存在する1つ以上のさらなるポリマーが含まれ、第1ポリマー濃度およびさらなるポリマー濃度は、例えば、0.1~99%、例えば、0.1、0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、25、30、33、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95%w/wから独立して選択される。さらに、ブロックポリマー中の非親水性ポリマーおよび/または非親水性ブロックが存在してもよく、そのようなポリマーおよび/またはそのようなブロックの濃度は、一般に、約10%w/w未満、例えば、0.1、0.2、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10%w/wである。
【0031】
(材料を作るためのプロセスのシステムおよびパラメータ)
本明細書では、低タンパク質吸着特性を有し、非生物付着デバイスの基礎を供するマイクロポーラス状またはナノポーラス状固体材料などの生体適合性ポーラス状固体を製造するためのプロセスが供される。スタート時のポリマー濃度、分子量、溶媒除去、形成プロセス、および硬化/アニーリング・プロセスの改変によって、タンパク質吸着性を低下した表面特性および他の特性を供してもよい。特定の態様は、ポリマー混合物の押出による様々な連続形状の生成を含む。混合物は、さらに硬化され、アニールされてもよい。これらのプロセスを使用して、強くて潤滑性の高い材料を製造することができる。態様は、様々な直径および壁厚の、単一または複数のルーメンを有する形状へと押出されたポリマー混合物を含む。
【0032】
ナノポーラス状固体材料を製造するプロセスの態様は、ポリマーと溶媒(ポリマー混合物)とを含んで成る混合物を加熱すること、この混合物を溶媒除去環境へと押出すこと、ナノポーラス状固体が形成されるまで溶媒を架橋マトリックスから除去することを含んで成る。プロセスに応じて、これらのアクションの1つ以上を組み合わせてもよい。さらに、混合物がダイから出るときにそれを冷却することは有用である。特定の操作理論に限定されるものではないが、ダイを通過する間にポリマーを架橋することは、ポリマーストランドの間に隙間を有するが、孔構造を有さないため、真のナノポーラス状固体ではないポーラス状マトリックスを最初に形成する。溶媒が適切な条件下で除去されるにつれて、架橋構造はナノポーラス状固体となる。ポリマー混合物がダイを通って押出され、混合物が冷却される場合、架橋が始まる。溶媒を除去しながら架橋を続けてもよい。ナノポーラス状材を形成するための転移(transition)は、溶媒が除去される場合に行われ、一般に、この段階で完了するか、または本質的に(90%以上を意味する)完了すると考えられる。得られた材料は、さらなる溶媒または可塑剤の存在下または非存在下でのアニーリングによってさらに処理してもよい。このプロセス、ならびに本明細書に記載の他の押出または他の形成プロセスおよび/もしくは材料は、共有結合架橋剤、共有結合架橋を促進する剤、ポリマー鎖を架橋する放射線、凍結、融解、凍結融解サイクル、1以上の凍結融解サイクル、氷結晶形成、発泡剤、界面活性剤、疎水性ポリマー、疎水性ポリマーセグメント、補強材、ワイヤ、ブレイズ(または編物、braided)、非ポーラス状固体および繊維の1つ以上を含まなくてもよい。
【0033】
ポーラス状材は、ポリマー混合物をダイへと通して冷却環境に通すことを含んで成る押出プロセスによって製造してもよい。冷却環境は、さらに溶媒除去環境であってもよい。溶媒が水である場合、脱水環境である。ダイは、ポリマー混合物がコアの周りに形成されるように、貫通するコアを有してもよい。さらなる溶媒除去環境および/またはアニーリング環境を使用してもよい。
【0034】
ポリマー-溶媒混合物の押出プロセスは、冷間押出として実施してもよい。「冷間押出(cold extrusion)」という用語は、ポリマー-溶媒混合物をダイに通す工程を含み、ポリマー-溶媒混合物を調製し、それを押出す工程全体の間にポリマー-溶媒混合物をその沸点以上に加熱する必要がない工程を指す。従って、冷間押出において、ダイヘッドは、ポリマー-溶剤混合物の沸点未満に保たれる。多くの溶媒が使用してもよいが、水はしばしば有用な溶媒であり、この場合、ダイヘッドは100℃以下に保たれるが、上記のようにより低温が有用であり得る。用語「ポリマー混合物(polymeric mixture)」は、溶液におけるポリマー、または溶媒中に溶解もしくは懸濁したポリマーを指す。溶媒は、例えば、水、水溶液または有機溶媒であってもよい。ポリマー混合物を加熱することは、ポリマーの融点よりも高い温度に混合物を加熱することを含んで成ってもよい。一般に、溶液は融点に達すると曇り状態から透明状態に遷移する。
【0035】
押出は、材料を形成するための有用なプロセスである。他の形成プロセスは、例えばモールディング、キャスティングまたは熱成形ポリマー-溶媒混合物を使用してもよい。一般に、ポリマー-溶媒混合物は、沸騰することなく調製され、本明細書で供される指針を用いてナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材を製造するように制御される溶媒除去条件に曝される形状に形成される。アニーリング・プロセスが含まれてもよい。マイクロポーラス材またはナノポーラス材ではないヒドロゲルも製造することができる。
【0036】
加熱されたポリマー混合物は、それが冷却またはモールドされ/形成され、直ちに冷却される場合に、モールドまたは他の方法で形成されてもよい。「形成される(formed)」という用語は、非晶質溶融状態から最終製品またはさらなる加工のための中間形状へとの材料を通過させる(passing)ことを指す広範な用語である。形成には、キャスティング、積層、コーティング、射出成形、延伸、および押出が包含される。形成は、注入されたポリマー混合物の流れを増強するために容易に加熱され、冷却環境において急速に冷却されることを可能にする熱伝導特性を有する材料から成る射出成形装置を用いて行うことができる。他の態様では、モールディング・プロセスは、連続材料を形成するためにダイを通してポリマー混合物を押出すことによって達成することができる。
【0037】
ポリマー混合物を冷却することは、例えば、ポリマー材をダイへと通して通過させる場合のように、押出された材料を冷却することを含んで成ってもよい。冷却のための態様は、ポリマー混合物の沸点よりも少なくとも20℃低い温度、あるいはポリマー混合物のTmより低い温度、例えば20、30、40、50、60、70、80、90、100、110℃、沸点もしくはポリマーのTmより低い温度の液体バス、あるいは-50~30℃の温度におけるバスもしくは他の環境である。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、-50、-45、-25、-20、-10、-5、-4、0、15、20、25、30℃のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。冷却は溶媒除去環境で行ってもよい。凍結温度を避けてもよい。特定の操作理論に限定されることなく、ポリマー鎖は、架橋を促進し、連鎖移動を固定する点まで冷却される。これは、30℃以上の温度または時間が許される場合はそれより高く生じ得る。バスは水性であってもよく、浸透圧および拡散によって比較的低い浸透圧値である水性材料に対して溶媒除去を行うために、浸透圧で塩または他の浸透圧剤で調整してもよい。バスは、水よりも低い温度で凍結する他の溶媒であってもよく、それによって、溶媒または材料を凍らせずに0℃以下の温度を使用し得る。親水性コポリマーをPVAと組み合わせて使用する場合、例えば20℃より高い温度を架橋として使用し、鎖の固定化をはるかに高い温度で行う。
【0038】
「溶媒除去環境(solvent-removing environment)」とは、周囲条件での乾燥と比較して、溶媒の除去を著しく促進する環境をいう。そのような環境は非加熱であってもよく、すなわち周囲温度を超えない、例えば20℃を超えないことを意味する。そのような環境は、真空、例えば、真空チャンバ、塩バスまたはポリマー混合物における溶媒を除去するバスであってもよい。例えば、水性ポリマー混合物を、エタノールが水に取って代わる、エタノールバスに導入することができる。その後、エタノールを除去してもよい。塩バスは、例えば、高塩濃度バス(1M~6M)であってもよい。溶媒除去環境および/または冷却プロセスにおけるプロセス時間は、1~240時間になるように独立して選択されてもよい。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、1、2、5、10、24時間、1、2、5、7、10日のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。塩は、解離して一重、二重または三重荷電イオンを作る塩であってもよい。
【0039】
1または複数の溶媒除去環境を使用してもよく、または1つの環境を温度に関して調整してもよい。従って、冷却バスを使用し、続いてオーブンまたは真空オーブン中で溶媒を除去してもよい。例えば、様々な濃度の一連の溶媒、様々な塩溶液、様々な割合のエタノールまたは他の溶媒に浸漬することによって、冷却または溶媒除去の前または後に洗浄工程を実施してもよい。
【0040】
ある態様は、塩バスへの曝露を含む溶媒除去プロセスを経た押出材料であり、この材料は、キャスト材料またはエンドユーザー・デバイスから過剰の塩を除去するように、一連のdiH2Oバス(新しいバスまたは交換されたバス)にある期間(例えば、2~48時間、4~24時間)浸漬される。材料は洗浄工程から取り出され、脱水されて過剰の水が除去される。脱水は、例えば、20~60℃の範囲の温度を用いて行うことができる。脱水は、一般に、37℃で24時間以上行われる。
【0041】
一態様は、押出されたか、そうでなければ形成されたポリマー混合物であり、その後、逆相関時間(inversely correlated period of time)の間、高塩濃度バス(1M~6M)に曝される。塩分が多いと浸漬に要する時間が短くなる。例えば、NaClの6M溶液中に16~24時間浸漬する。浸漬後、材料は塩溶液ですすがれない。材料は既に強化されており、最初の形成から持ち越されたあらゆる金型片から除去することができる。あるいは、塩または他のバスの後、材料を水バスに浸し、脱水して過剰の水を除去する。脱水は、20~60℃の範囲の温度を用いて行うことができる。脱水は、37℃で4時間より長く、24時間より長く、または4時間~150時間の範囲で行うことができる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、4、6、8、10、12、16、24、48、72、96、120、144、150時間のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。例えば、40℃で6~24時間の脱水が有用であることが観察されている。
【0042】
別の態様では、NaClは、最終ポリマー混合物体積の0.1~3Mの範囲の濃度でスタート時のポリマー溶液に組み込まれる。ポリマーを撹拌下で加熱した溶液に溶解し、次いでその融点より上にする。この溶液に、完全に溶解するまで、撹拌下で乾燥NaClをゆっくりと加える。次いで、わずかに濁った溶液を、射出成形、キャスティング、押出および/または延伸のいずれかを介して、形状を作製する目的でフィードへと引き込む(drawn)。急速に温度を低下させて固体材料を形成するために、各プロセスの終了時にクエンチ(quench)を実施する。この態様では、追加の塩浸漬は必要ない。材料硬化後、必要に応じて、モールディング・プロセス部から材料を取り出し、水ですすいで塩を除去し、脱水する。
【0043】
半結晶質ポリマーまたは固体ポーラス状材の文脈において使用される「アニーリング(annealing)」という用語は、ナノポーラス状材中のポリマーの溶融温度に相当するアニーリング温度での熱処理を指す。この温度は、通常、溶融温度よりも低く、溶融温度の約0~15%以内である。可塑剤または他の材料は、通常それを押圧することによって溶融温度に影響を及ぼすことがある。例えば、純粋なPVAの場合、アニーリング温度はPVAの融点の約10%以内であるであろう。他の材料が存在する場合、アニーリング温度は一般的に低くなるであろう。操作理論は、アニーリングが、アニーリングされる材料中の結晶領域のサイズの増大と組み合わせられた応力の緩和であるプロセスであることである。金属とは異なり、アニーリングは、アニーリングされた材料の強度を増加させる。アニーリングは、空気中、気体中または酸素の不存在下または水の非存在下(例えば、窒素中、真空窒素中、アルゴン下、酸素スカベンジャーなど)の1つまたはそれ以上で行ってもよい。例えば、脱水されたPVAナノポーラス状材をアニーリングして試験を行った。アニーリングは、PVAネットワーク(または網状構造、network)の結晶化度を高め、PVAネットワークの孔サイズをさらに減少させ、最終的なゲル表面の吸着特性を低下させるために利用される。アニーリングは、例えば100~160℃の範囲の温度で行うことができる。好ましい態様では、この工程は脱水ゲルを鉱油のバスに浸すことにより行われる。
【0044】
アニーリングは、周囲圧力、上昇圧力または低圧(真空)圧力で、気体または液体中で行ってもよい。液体は、低分子量ポリマー(2000Daまで)または他の材料(例えば、鉱油)であってもよい。低分子量ポリマーの例は、グリセリン、ポリオール、および500MW未満のポリエチレングリコールである。有用な態様は、例えば140℃で1~3時間、グリセリンのバス中でアニーリングすることである。グリセリンは、PVAネットワークの遊離ヒドロキシル末端基の相互作用および中和によってゲルの汚れ特性をさらに低下させるように作用する。アニールされたナノポーラス状材を冷却し、アニーリングバスから取り出し、一連の拡張浸漬を用いてバス媒体からすすいだ。次いで、生成物を脱水して最終滅菌のために調整する。
【0045】
長手方向、角度方向、幅方向および螺旋状の押出ヘッド、ならびに単一のポリマーを押出すために使用される単一ポリマー押出ヘッドおよび複数のポリマー層または他の層の同時押出に使用される多層押出ヘッドなど、様々なタイプのダイを使用してもよい。連続操作ヘッド(または周期的な操作ヘッド、continuous operation heads)は、周期的なものと同様に使用してもよい。種々の材料、例えば強化材、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維などの層へと、または層として組み込むことができる。同様に、そのような材料は除外してもよい。さらに、ポーラス状固体は、例えば、ヤング率、引張強度、固形分、ポリマー組成、ポーラス状構造または既知の、および様々な他の材料を除いて測定可能な溶媒含量などの特定の特性で製造してもよい。したがって、態様は、様々な他の組み込まれた材料に関わらず、材料の特性に関して記載される本明細書に開示される材料を含む。例えば、ナノポーラス状固体は、材料がさらなる強度に寄与する補強ワイヤを有していても、既知の特定のヤング率を有する。コアが押出ダイと共に使用されてもよい。コアは、空気、水、液体、固体、非溶媒または気体であってもよい。この開示について、当業者は、これらの様々な種類のコアを使用する様々な押出プロセスが有用であり得ることを理解するであろう。ポリテトラフルオロエチレンチューブ(PTFE)製のコアが有用である。
【0046】
マルチルーメンチュービング(multi lumen tubing)は、そのプロファイルを通って走る複数のチャンネルを有する。これらの押出は、デバイス設計に合わせてカスタム設計することができる。マルチルーメンチュービングは、可変外径(Outer Diameter/OD)、多数のカスタム内径(Inner Diameters/ID’s)、および様々な壁厚を有する。このチュービングは、円形、楕円形、三角形、四角形、および三日月形のような数多くの形状がある。これらのルーメンは、ガイドワイヤ、流体、ガス、ワイヤ、および他の様々なニーズに使用することができる。マルチルーメンチュービングのルーメン数は、ODのサイズによってのみ制限される。特定の態様では、ODは0.5インチと大きく、IDは0.002インチと小さくてもよく、ウェブおよび壁厚は0.002インチと薄くてもよい。タイトな公差は+/-0.0005に維持することができる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、0.002、0.003、0.004、0.007、0.01、0.02、0.03、0.04、0.05、0.1、0.2、0.3、0.4および0.5インチのいずれかがODおよび/またはIDの上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。許容差は、例えば0.0005~0.1インチであってもよい。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば0.0005、0.001、0.002、0.003、0.006、0.01、0.02、0.03、0.06、0.8、0.9および1インチのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0047】
ブレイズ強化チュービングは、様々な構成で作ることができる。例えば、0.001インチほどの丸いまたは扁平な単ワイヤまたは二重ワイヤを使用してブレイズする(または編む、braid)ことが可能である。種々の材料を使用して、ステンレス鋼、ベリリウム銅、および銀を含むブレイズ強化チュービング、ならびにモノフィラメントポリマーを製造することができる。ブレイズは、ナイロンまたはポリウレタンなどの多くの熱可塑性基材を覆うように、インチ当たり様々なプラスチック絶縁ケーブル(pics)で巻くことができる。ブレイズカテーテルシャフトの利点は、その高いトルク能力と耐キンク性である。ブレイズ・プロセス中にいくらかの因子を変更することによって、チューブの特性を性能要件に適合するように変更することができる。ブレイズが完了した後、第2押出をブレイズチューブの頂部に適用して、ブレイズをカプセル化し、滑らかな仕上げを供することができる。ブレイズ強化チュービングが必要な場合には0.007インチという薄い壁を得ることができる。
【0048】
(ポーラス状材、マイクロポーラス状材およびナノポーラス状材)
「ポーラス状固体(porous solid)」は、広い空間を含む固相を有する材料を指すために本明細書で広く使用される用語であり、真のポーラス状材および開放マトリックス構造を有するヒドロゲルを記述するために使用される。「多孔性(porosity)」に関連するいくらかの用語は、本明細書中の特定の定義を供することが有用であるように、科学文献において幾分ゆるやかに使用される。本明細書では、「ナノポーラス状材(nanoporous material)」または「ナノポーラス状固体(nanoporous solid)」という用語は、約100nmまでの直径の孔サイズを有する相互接続された孔を用いて製造された固体を指すために使用される。「直径(diameter)」という用語は広範であり、これらの技術において慣例であるように、任意の形状の孔を包含する。本明細書では、「マイクロポーラス状固体(microporous solid)」または「マイクロポーラス状材(microporous material)」という用語は、直径約10μmまでの孔サイズを有する相互接続された孔を用いて製造された固体を特に指すために、本明細書では同様に使用される。これらのナノまたはマイクロポーラス状材は、相互に連結されたポーラス状構造によって特徴付けられる。当業者が時折ヒドロゲルスポンジと呼ぶいくらかのヒドロゲルは、空隙を介して充填された連続的かつ固体のネットワーク材料を有する真のポーラス状材であり、空隙は孔である。しかし、多くのヒドロゲル中に見られるオープンマトリックス構造は、真のポーラス状構造ではなく、一般に、便宜上それらをポーラス状材と呼ぶか、または拡散性もしくは他の特性を特徴付ける場合に孔に類似性を使用するように呼ぶ。例えば、ヒドロゲルは、それらの用語が本明細書で使用される場合、ナノポーラス状固体またはマイクロポーラス状固体ではない。オープンマトリックスヒドロゲルのストランドと、マトリックスのストランドとの間の空間は、相互接続された孔ではない。ヒドロゲルは、真実の固体ではない固体様の特性を有する架橋ゲルであるが、架橋され、溶媒に不溶性であり、顕著な機械的強度を有するため、これらを当業者にとっては固体と称するのが都合がよい。ヒドロゲルは、高い含水量、例えばEWC以上で25%w/wを有する場合がある。ヒドロゲル技術の当業者は、切断された正味の分子量を特徴付けるために、またはヒドロゲルが真のポーラス状構造を有さず、また本明細書で使用されるナノポーラス状材もしくはマイクロポーラス状材でない場合、オープンヒドロゲルマトリクスのストランド間の間隔を指すために、用語「ポーラス(porous)」を用いる。本明細書で使用されるナノポーラス状材およびマイクロポーラス状材の定義はまた、場合によっては、マイクロポーラス状物質が2nm未満の孔直径を有すると記載され、マクロポーラス状物質が50nmを超える孔直径を有すると記載され、メソポーラスのカテゴリーはその中間である、という記載とは対照的である。
【0049】
本発明の材料を製造するための押出プロセスは、いくらかの利点を有する。押出は、高い引張強度に寄与する平行配向にポリマーを整列させることが観察されている。押出され延伸されたポリマー分子は、チューブまたは繊維の方向に整列する。ランダムな配向に戻る傾向は、分子間の強い分子間力によって妨げられる。さらに、押出成形は、射出成形または他の成形プロセスと比較して、高アスペクト比を有する材料またはデバイスの作製を供する。さらに、押出は、壁厚、ルーメンまたはルーメンの配置を制御できるように、寸法の良好な制御を供する。溶媒中でのその溶融点を超える高濃度のポリマーの使用は、押出を可能にするために有用であった。類似のポリマーを用いて高強度の材料を製造しようとする試みは、押出を許さず、効率的でなく、しばしば実際の最終製品を製造するのに適していない他の技術を使用した。
【0050】
例えば、ポリビニルアルコール(PVA)は、本明細書において、特に従来使用されているPVA医療材料と比較して、優れた特性を有するナノポーラス状材を製造するために使用された。実際に、PVAは医療デバイス業界全体で広範に使用されており、生体適合性の確立された実績がある。PVAは、生体適合性の生体材としての豊富な歴史を持つ線状分子である。PVAのヒドロゲルおよび膜は、コンタクトレンズ、人工膵臓、血液透析および合成硝子体液などの生物医学的用途、ならびに軟骨および半月板組織に代わる移植可能な医療材料用に開発されている。その生体適合性および低いタンパク質吸着特性のために、これらの用途のための魅力的な材料であり、他のヒドロゲルと比較して低い細胞接着をもたらす。
【0051】
他にも、生物医学目的のためにPVAの特性改善の試みがなされてきた。例えば、凍結/融解プロセスが試験されてきた。「塩析(salting out)」ゲル化などのPVAからのヒドロゲルの形成技術は、異なる分子量および濃度を使用して有用なポリマーヒドロゲルを形成することが示されている。Flory相互作用の操作はまた、椎間板を修復するための射出可能なその場形成ゲルとしてのPVAの使用のための2つの溶液(米国特許第7、845、670号、米国特許第8、637、063号、米国特許第7、619、009号)の組み合わせによるPVAゲルの形成において研究されている。一般に、強靭なPVA材料を製造するための従来のプロセスは、米国特許第8、541、484号において研究されている。米国特許第6、231、605号に示されているように、放射線または化学的架橋剤を使用せずにこれを行う方法も、以前に研究されている。このPVAに関連する他の研究は、本明細書に記載された発明とはならなかった。これらの他の材料のいくつかは引っ張り強さに関して有用であったが、それにもかかわらず本質的にマクロポーラス状であった。
【0052】
対照的に、本明細書中のプロセスは、真のポーラス状構造および予想外に良好な生体適合性および機械的特性の予期しない良好な組合せなどの他の有用な特性を有する高強度材料を供する。孔サイズ、引張強度、ヤング率、固形分濃度、架橋タイプおよび度(degree)、内部配向、親水性ならびに材料の組成、さらにオプションとして、モールドされた形状を有する所望のアスペクト比を有するエンドユーザー・デバイスまたは中間材料、ルーメン、複数のルーメン、同心円状に配置されたルーメンもしくは厚さの許容範囲を有するチューブ、または特定の医療デバイスから独立して選択される構造的特徴の組合せを有するポーラス状固体材料の態様が供される。それらの各々は本明細書に詳細に記載される。
【0053】
態様は、100nm以下のまたは10~100nmの範囲内の孔径を有するナノポーラス状材を含む。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、1、2、3、4、5、10、20、50、60、70、80、90、100nmのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0054】
態様は、EWCで測定して少なくとも約50MPaまたは1~300MPaの破断点引張強度を有するナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材を含む。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、10、20、30、40、50、60、70、100、200、300MPaのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0055】
態様は、EWCで測定して少なくとも約1MPaまたは1~100MPaのヤング率を有するナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材を含む。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、50、60、70、80、90、100MPaのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0056】
態様は、EWCで測定して、少なくとも約100%または50~500%の破断点伸びを有するナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材またはヒドロゲルを含む。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、50、60、70、80、90、100、200、300、400、450または500%のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0057】
態様には、EWCで測定して、少なくとも20%の固形分または20~90%w/wの固形分を有するナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材またはヒドロゲルを含む。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、5、10、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、80、90%w/w%の固形分のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。固形分百分率は、EWCにおける全重量と乾燥重量とを比較することによって測定される。
【0058】
引張強度、弾性率および伸度の値は、本開示の指針として、範囲内の組合せでミックスおよび一致させてもよい。
【0059】
態様には、ナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材または物理的架橋もしくは共有結合架橋を有するヒドロゲルまたはそれらの組合せが含まれる。物理的架橋は非共有結合であり、例えば、物理的架橋はイオン結合、水素結合、静電結合、ファンデルワールス力または疎水性充填である。これらの材料は、共有結合架橋、それらの共有結合架橋生成物および化学生成物を含まなくてもよい。重合の技術分野では既知であるように、共有結合架橋を生成するために加工中に化学薬品を添加することができる。あるいは、プロセスおよび材料は同じでなくてもよい。
【0060】
態様には、ナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材またはポリマー構造の内部整列を有するヒドロゲルが含まれる。整列は、押出の方向に沿った(すなわち、チューブの長手方向に沿った)断面におけるSEM画像を用いて視覚化してもよい。「整列(alignment)」とは、大多数の水平方向の鎖の配向、および(押出方向における)サンプルの長さに沿った方向を指す。
【0061】
態様には、ナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材または親水性表面および/または親水性材を有するヒドロゲルが含まれる。水溶性であるポリマーから作られた材料は親水性である。水溶性ポリマーは、少なくとも1g/100mlの濃度で水に溶解するポリマーである。表面上の水滴の接触角が90度未満(接触角は液滴内部を通過する角度として定義される)であれば、表面は親水性である。態様では、90°~0°の接触角を有する親水性表面が含まれる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、90、80、70、60、50、40、30、20、10、5、2、0°のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0062】
プロセスおよび/または生体材に使用するための材料は、ポリマーを含んでもよい。親水性ポリマーが有益である。例えば、1以上のポリマーは、ポリビニルアルコール(PVA)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリアクリル酸(PAA)、ポリアクリルアミド、ヒドロキシプロピルメタクリルアミド、ポリオキサゾリン、ポリホスフェート、ポリホスファゼン、および多糖類、ならびに添加されたヨウ素(例えば、PVA-I、PVP-I)を有する同じもののバリエーション、またはペンダント基を有するバリエーション、PAA、PVA、PVPもしくはPEGの1以上を有するコポリマー、ならびにそれらの組合せから選択されてもよい。2以上の親水性ポリマーを一緒に混合してナノポーラス状材を形成してもよい。ポリマーの分子量は、生体材の特性に影響を及ぼす場合がある。より高い分子量は、強度を増加させ、孔サイズを減少させ、タンパク質吸着を減少させる傾向がある。したがって、態様には、40k~5000kダルトンの分子量を有するポリマーまたは親水性ポリマーが含まれる。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、40k、50k、100k、125k、150k、250k、400k、500k、600k、750k、800k、900k、100万、150万、200万、250万、300万の分子量のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0063】
「PEG」という用語は、分子量にかかわらず、またはポリマーがヒドロキシルで終端されているかどうかにかかわらず、全てのポリエチレンオキシドを意味する。同様に、用語「PVA」、「PVP」および「PAA」は、末端化学部分またはMW範囲に関して制限なく使用される。本明細書に記載されているポリマーへの言及には、線状ポリマー、分枝ポリマー、不活性化ポリマー、および誘導体化ポリマーを含むポリマーの全ての形態が含まれる。分枝状ポリマーは、線状骨格および少なくとも1つの枝分かれを有し、従って、星型、刷子状、くし形、およびそれらの組合せを包含する用語である。誘導体化ポリマーは、示された繰り返し単位と、集合的に誘導体化部分と呼ばれる1以上の置換基またはペンダント基とを含んで成る骨格を有する。「置換(substitution)」は、ある原子を別の原子に置き換えることを指す。「ペンダント基(pendant group)」は、ポリマーに結合された化学的部分であり、ポリマー繰り返し単位と同一または異なる部分であってもよい。したがって、ポリマーへの言及は、高度に誘導体化されたポリマーおよび0.01~20%w/w未満の誘導体化部分(ポリマーの全重量と比較して、その部分の全MWとして計算されたもの)を有するポリマーを包含する。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、0.01、0.05、0.1、0.2、0.3、0.5、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、15、20%w/wのいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0064】
ポーラス状固体は、モノリシック材(monolithic material)として、別の材料、デバイスまたは表面上の層として、複数の層として、またはナノポーラス状材を含んで成る材料の1以上の層として形成されてもよい。したがって、例えば、複数の層を押出してもよく、層を独立して選択して、ナノポーラス状材、マイクロポーラス状材、ヒドロゲル、単一のポリマー材、2以上のポリマーを有する材料、および非ナノポーラス材の1以上を形成してもよい。
【0065】
材料を製造するプロセスはまた、ダイを通過するポリマー混合物中のポリマーの濃度を含む材料特性に影響を及ぼし得る。スタート時のPVAまたは他の親水性ポリマーの濃度は、例えば、水中で5~70重量%(w/w)の範囲であってもよく、一般に約10~30%(w/w)が好ましい。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70%のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。
【0066】
本明細書に記載されるプロセスは、ポリマーが架橋され、真のナノポーラス状材になるように処理されるか、またはナノポーラス状構造を避けるように適合される前の時点で切り捨てられてもよい。一般に、そのような材料は、より低い強度および靱性およびより低い固形分含量を有する。そのような材料は、親水性ポリマーが比較的低い固形分で使用される場合、一般にヒドロゲルである。したがって、そのような材料、さらにはヒドロゲルも本明細書で考慮され、ナノポーラス状材と比較して幾分低い特性を有し得るが、それにもかかわらず同じポリマーを使用する従来のプロセスおよび材料よりも優れた材料を製造することができる。同様に、一般化として、マイクロポーラス状固体は、ナノポーラス状材の性質に近づき、ヒドロゲルの強度よりも優れた強度を有するであろう。
【0067】
態様には、水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物を、ポリマーの融点よりも高い温度に加熱すること、混合物を押出すること、溶媒を除去しながら混合物を冷却すること、および/または架橋しながら冷却することを含んで成るポリマー材の製造方法が含まれる。複数のポリマーが溶媒中に存在する場合、他の添加剤の有無にかかわらず、溶媒中の結合ポリマーの融点は、例えば、混合物は曇った状態から顕著に半透明な外観となるため、混合物が加熱されるのを観察することによって当業者にとって容易に決定することができる。さらに、混合物を使用する形成プロセスの後で、またはその一部として、冷却の間に混合物から溶媒の一部または全部を除去してもよい。態様では、60分未満(または1、2、5または10分未満)で少なくとも50%w/wの溶媒を除去することが含まれる。態様では、60分未満(または1、2、5、10または30分未満)で少なくとも90%w/w(または少なくとも70%w/wまたは少なくとも80%w/w)の溶媒を除去することが含まれる。
【0068】
(製品)
ナノポーラス状材、マイクロポーラス状材、およびヒドロゲルを含む、本明細書に記載された材料を参照して、所望のアスペクト比、例えば少なくとも3:1を有する、最終製品または中間製品または材料を含む製品を製造してもよい。アスペクト比は、デバイスの長さが増加し、また幅が減少するにつれて増加する。当業者は、明示的に定められた境界間の全ての範囲および値が考慮され、例えば、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1、10:1、50:1、100:1、1000:1のいずれかが上限または下限として利用可能であることを認識するであろう。高アスペクト比は、特定のデバイス、例えば、多くのタイプのカテーテルにとって非常に有利である。原則として、薄いチューブは、長さに関して制限なく連続的に押出すことができる。そのようなデバイスは、例えば、チューブ、ロッド、シリンダ、および正方形、多角形または円形の輪郭を有する断面を含む。1以上のルーメンが、それらのいずれかに設けられてもよい。デバイスは、単一の材料、本質的に単一の材料、または既に記載された様々な層を含む複数の材料、または補強材料、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維で作られてもよい。
【0069】
特に、押出プロセスは、ルーメンの同心配置を供する。同心円は、ルーメンが中心からずれている偏心的な意味とは対照的である。複数のルーメンの場合、ルーメンが対称的に位置付けられるようにルーメンを位置付けられてもよい。対称性は、制御が不十分なプロセスの結果であるルーメンの偏心配置とは対照的である。態様では、偏心なしに位置決めされたルーメン又はデバイスの長手方向軸と同心の1のルーメンを有する少なくとも3:1のアスペクト比を有する前述のデバイスが含まれる。
【0070】
ポーラス状固体、例えば、ナノポーラス状材、マイクロポーラス状材、および強力なヒドロゲルは、カテーテルまたは医療用繊維を製造するために使用されてもよい。カテーテルの例は、中心静脈(central venous)、末梢中央(peripheral central)、中線(midline)、末梢(peripheral)、トンネル(tunneled)、透析アクセス(dialysis access)、尿路(urinary)、神経(neurological)、腹腔(peritoneal)、大動脈内バルーンポンプ(intra-aortic balloon pump)、診断(diagnostic)、介入(interventional)、薬物送達(drug delivery)など、シャント(shunts)、創傷排液(wound drains)(外部心室、腹腔内および腹腔内)、および輸液ポート(infusion ports)が挙げられる。ポーラス状固体は、完全にインプラント可能(または移植可能、implantable)かつ経皮的にインプラントされた、永続的または一時的ないずれかのインプラント可能なデバイスを製造するために使用されてもよい。ポーラス状固体材は、体液に接触するデバイス、または体外デバイスおよび/または体内デバイスを含む、および血液接触インプラントを含む体液と接触するデバイスを製造するために使用されてもよい。
そのようなデバイスの例は、薬物送達デバイス、(例えば、インスリンポンプ)、チュービング、避妊器具、女性衛生、内視鏡、グラフト(小径<6mmを含むグラフと)、ペースメーカー、インプラント型心血管除細動器、心臓再同期化装置、心血管デバイスリード、心室補助デバイス、カテーテル(蝸牛インプラント、気管内チューブ、気管切開チューブ、薬物送達ポートおよびチュービング、インプラント型センサ(血管内、経皮、頭蓋内)、人工呼吸器ポンプおよび薬物送達システムを含む眼用デバイスを含む。カテーテルは、他のデバイス(例えば、ルアーファスナーまたはフィッティング)と協働するファスナーを備えた管状のナノポーラス状材を含んで成ることができる。放射線不透過剤を材料、繊維またはデバイスに添加してもよい。「放射線不透過剤(radiopaque agent)」という用語は、材料(例えば、硫酸バリウム、ビスマスまたはタングステン)に放射線不透過性を付加するために医療デバイス産業において一般に使用される薬剤を指す。
【0071】
ポーラス状固体材で作られた医療用繊維には、縫合糸、糸、医療用繊維、ブレイズ、メッシュ、編まれたまたは織られたメッシュ、不織布、およびそれに基づくデバイスなどの用途が含まれる。繊維は強く柔軟である。これらの繊維を用いて材料を製造して、疲労および摩耗に耐えるようにしてもよい。
【0072】
(さらなる定義)
「医学的に許容される(medically acceptable)」という用語は、汚染物質のないように高度に精製され、非毒性である物質を指す。生体材または医療デバイスの文脈で使用される「本質的に~から成る(consists essentially of)」という用語は、3%w/w未満の他の材料または成分を有する材料またはデバイスを指し、かかる3%は、デバイスを、意図する医療用途には適さないものとしない。「平衡含水量(Equilibrium water content/EWC)」は、ヒドロゲルの湿重量が一定になったとき、およびヒドロゲルが分解する前の物質の含水量を指す用語である。一般に、高い固形分を有する物質は、24~48時間で平衡含水量となることが観察されている。生理食塩水は、pH7~7.4および37℃でのヒト生理学的オスモル濃度を有するリン酸緩衝溶液を指す。平衡含水量を測定する目的で、蒸留水が使用される。用語「w/v」は、容量当たりの重量、例えばg/Lまたはmg/mLを意味する。「生体材(biomaterial)」および「生物医学材(biomedical material)」という用語は、本明細書では互換的に使用され、生物医学の分野での使用、例えばインプラント、カテーテル、血液接触材、組織接触材、診断アッセイ、医療キット、組織サンプル処理または他の医療目的に使用することができる。さらに、材料は生物医学用途に適しているが、それらは同じものに限定されず、汎用材料として製造されてもよい。
【0073】
用語「分子量(molecular weight/MW)」はg/molで測定される。ポリマーのMWは、他に記載がない限り、重量平均MWを指す。ポリマーがポーラス状固体の一部である場合、用語「MW」は架橋前のポリマーを指す。架橋間の距離が特定される場合、それは他に示されない限り、架橋間の重量平均MWである。略語「k」は千を表し、Mは「百万」を表し、「G」は十億を表し、例えば、50kMWは50000MWを意味する。ダルトンもまたMWの単位であり、同様にポリマーのために使用される場合の重量平均を指す。
【0074】
本明細書において参照された刊行物、雑誌論文、特許および特許出願は、本明細書において全ての目的のために組み込まれ、本明細書は矛盾する場合を制御する。本明細書に記載される態様の特徴は、動作可能なプロセスまたは製品を作製する必要性に基づいて、ミックスされ、適合されてもよい。
【実施例0075】
(実施例1A:PVAポーラス状固体の押出)
実施例では、別段の指示がない限り、押出が記載されているときは図1の装置を使用する。100mlの脱イオン水および20gのPVA(85kDa、シグマ・アルドリッチ(Sigma-Aldrich))を用いて、17重量%のPVA溶液を調製した。水が沸騰し始めるまで(100℃)水を加熱し、次いで乾燥PVAを適度に混合しながら(約40のミキサー速度)、ゆっくりと(約5~10分かけて)水に添加した。沸騰が始まると同時に加熱を止めて沸騰を防ぐことが、沸騰しないプロセスである。いったん全てのPVAを添加し溶液が増粘し始めたら、熱を約90℃に下げ、撹拌速度を高めてポリマーが完全に溶解し完全にブレンドされるようにした。PVA溶液を約2時間撹拌した。完了時に、溶液は粘性があり、わずかに不透明であった。溶液を20ccシリンジに注ぎ、90℃のオーブンで脱気した。加熱/脱気は通常2時間を超えない。
【0076】
ポリマーサンプルを、PTFEモノフィラメント引張速度7(ARDUINO特定モータ移動ソフトウェア、直径84mmの引張ホイール)を用いて、13℃のエタノール(Fisher、190プルーフ)のバスへと押出した。サンプルを押出した後、サンプルを移動させる前に、冷たいエタノール中で約30分間静置した。次いで、サンプルをエタノールの別の容器に移し、-25℃の冷凍庫に24時間置いた。次いで、モノフィラメントの端部をトングで締め付け、サンプルをゆっくりとスライドさせることによって、モノフィラメントをサンプルから取り出した。サンプルの内径(0.033インチ)よりわずかに小さいマンドレルをサンプルに挿入し、サンプルを50℃のインキュベーター内で約3時間フラットに乾燥させた。完全に乾燥させた後、オーブン中で24時間±4時間、密閉容器内で120℃のグリセロール(シグマ・アルドリッチ)に浸漬することによってサンプルをアニールした。アニーリング後、サンプルをグリセロールから取り出し、脱イオン水で穏やかにすすいだ。次いで、サンプルを脱イオン水の新しい容器に移して約24時間再水和させた。サンプルは、悪影響を及ぼすことなく、または観察されているポーラス状固体への変化なしに、脱水および再水和することができる。このプロセスで、ナノポーラス状固体材を生成した。
【0077】
(実施例1B:モールドされたPVA)
PVAゲルは、10gの85kMWのPVA(88%加水分解されたPVA)10gを秤量し、80℃に加熱した攪拌下でdiH2O100mLに加えることによって調製した。PVAをゆっくりと加え、混合してから90℃まで昇温させた。透明度が達成されるまで、PVA溶液を攪拌した。約5mLのPVA溶液をシリンジへと引き込み、脱気して閉じ込められた空気を除去した。PVA溶液を予熱したモールドに60℃で注入し、冷蔵冷却源を用いて急速冷却した。次いで、PVAゲルを、モールドからマンドレル上にそのまま取り外した。
【0078】
PVAゲルをNaClの6M溶液中でクエンチした。PVAゲルを塩溶液中に一晩(16~24時間)浸漬し、次いで取り出した。次いで、硬化したゲルを水和状態においてマンドレルから取り出して、過剰の塩を除去し、diH2O中にさらに24時間浸漬した。次いで、ゲルを25℃で24時間乾燥することによって、残留水を除去するように脱水した。
【0079】
次いで、それらのゲルの一部を鉱油に浸漬し、140℃で1時間加熱することによってアニールした。ゲルが完全に洗い流され、油中に浸されて、露出している部分がないことを確認した。ゲルを冷却させ、20mLのdiH2Oですすぎ、次に37℃でさらに20mLのdiH2Oで再水和させる。ゲルの他のサンプルをグリセリン中に浸漬し、120~130℃で3~24時間加熱することによりアニールした。ゲルを完全に洗い流し、グリセリン中に浸して、空気に曝される部分がないことを確認した。ゲルを冷却させ、20mLのdiH2Oですすぎ、次に37℃でさらに20mLのdiH2Oで再水和させた。
【0080】
(実施例2:PVA-バリウムの押出)
100mlの脱イオン水、16gの硫酸バリウム(シグマ・アルドリッチ)および4gの85kDaのPVA(シグマ・アルドリッチ)を用いて、PVA-バリウムポリマー溶液を調製した。水は沸騰し始めるまで(100℃)加熱された。乾燥硫酸バリウムを最初にゆっくりと添加し、凝集塊が長く観察されなくなるまで混合した。次いで、乾燥PVAを、適度に混合しながら、水にゆっくりと(約5分かけて)添加した。いったん全てのPVAを添加し、溶液が増粘し始めたら、熱を約90℃に下げ、撹拌速度を高めてポリマーが完全に溶解し完全にブレンドされるようにした。PVA-バリウム溶液を約2時間激しく撹拌した。完了時に、溶液は粘性があり、白色であった。溶液を20ccシリンジに注ぎ、90℃のオーブンで脱気した。典型的には、脱ガス中の加熱は2時間を超えない。
【0081】
サンプルを実施例1に記載した方法と同様の方法で押出した後、それを動かす前に冷たいエタノール中で約30分間静置した。次に、サンプルをエタノールの別の容器に移し、-25℃に設定した冷凍庫に24時間置いた。次いで、モノフィラメントの端部をトングで締め付け、サンプルをゆっくりとスライドさせることによって、モノフィラメントをサンプルから取り出した。サンプルの内径よりわずかに小さいマンドレルをサンプルに挿入し、サンプルを50℃のインキュベーター内で約3時間フラットに乾燥させた。完全に乾燥させた後、オーブン中で24時間±4時間、密閉容器内で120℃のグリセロール(シグマ・アルドリッチ)中に浸漬することによってサンプルをアニールした。
【0082】
アニーリング後、サンプルをグリセロールから取り出し、脱イオン水で穏やかにすすいだ。次いで、サンプルを脱イオン水の新しい容器に移して約24時間再水和させた。サンプルは、悪影響または変化が観察されることなく、脱水および再水和することができる。
【0083】
(実施例3:PVAポーラス状材の再水和速度/脱水速度)
23時間にわたり、3.5フレンチ・カテーテルとして実施例1Aに記載のように製造されたPVAサンプルにおいて、55%のパーセント損失が観察された。周囲空気中での経時的な減量のプロットを以下の表2および図9に示す。
【表2】
【0084】
(実施例4:引張試験の例)
ビスマス・カーボネート17.6gと6.2g/Lのリン酸一ナトリウム溶液100gとのスラリーを、95℃のジャケット付き反応容器にて加熱し、温度まで加熱することによってPVA押出サンプルを作製した。これに、PVA(Mowiol 28-99またはSekisui Selvol 165、別名67-99)25.8gを70%ラン設定(D.I.T.CV2ミキサー)で混合しながら5分間かけて添加した。ポリマーを70%ラン設定で1~1.5時間混合した。ポリマーを90℃で2時間未満脱気した。次いで、ポリマーを5℃~10℃の190プルーフエタノールへと押出し、周囲条件で少なくとも30分間保存する。
【0085】
ポリマーを55℃で3時間乾燥し、強制対流オーブンにおいて140℃で1.5時間アニールした。次いで、サンプルを37℃で1×PBS中で2時間再水和させた。
【0086】
引張強度(応力)は、100Nデジタルフォースゲージ(Model# M5-1006)を用いてMark 10引張試験機(Model DC4060)で、ニュートンで測定した。外径を測定するためのキャリパー(Mark 10 Model# 500-474)および内径を測定するために設定されたピンゲージを使用して、サンプルについて断面積を測定した。PVA67-99は、99%以上の加水分解を伴う67cPの公称粘度(水中で4%溶液としての公称粘度)を示す。PVA28-99は、99%以上の加水分解を伴う28cPsの公称粘度(水中で4%溶液としての公称粘度)を示す。PVAの粘度は、ポリマーの分子量と正の相関がある。表3および図10は、PVA粘度の増加に伴うヤング率および最大引張応力の増加を示す。
【表3】
【0087】
ビスマス・サブカーボネート17.6gと1.6gのリン酸一ナトリウム溶液の100gのスラリーを95℃のジャケット付き反応容器にて加熱し、温度まで加熱することにより18%のPVA押出サンプルを作製した。これに、PVA(MOWIOL 28-99)25.8gを70%ラン設定(D.I.T.CV2ミキサー)で混合しながら5分間かけて添加した。
【0088】
ビスマス・サブカーボネート23.3gと6.2g/Lのリン酸一ナトリウム溶液100gのスラリーを95℃のジャケット付き反応容器にて加熱し、温度まで加熱することにより、22%のPVA押出サンプルを作製した。これに、PVA(MOWIOL 28-99)35.0gを70%ラン設定(D.I.T.CV2ミキサー)で混合しながら5分間かけて添加した。
【0089】
ビスマス・カーボネート35.4gと6.2g/Lのリン酸一ナトリウム溶液115.9gのスラリーを95℃のジャケット付き反応容器にて加熱し、温度まで加熱することによって26%のPVA押出サンプルを作製した。これに、PVA(MOWIOL 28-99)53.2gを70%ラン設定(D.I.T.CV2ミキサー)で混合しながら5分間かけて添加した。
【0090】
ポリマーの各セットを70%ラン設定で1.5~2時間混合した。ポリマーを90℃で2時間未満脱気した。次いで、ポリマーを5℃~10℃の190プルーフエタノールへと押出し、周囲条件で少なくとも30分間保存する。
【0091】
ポリマーを40℃の真空オーブン中で24時間乾燥させ、シリコーンオイルにおいて140℃で1時間アニールした。サンプルを190プルーフエタノールで3回すすぎ、次いで37℃で1×PBS中で2時間再水和させた。様々な調製物を表4に記載する。
【表4】
【0092】
表4の混合物中のPVAは、一塩基塩溶液に関してバッチ工程で増加した。PVAの増加は最大引張強度およびより高いヤング率を供した。リン酸一ナトリウムに対するPVAの比が増加するにつれて、より強い物質を調製することができる。図11および表5は、22%および18%のPVA28-99と比較して、26%のPVA28-99がヤング率および最大引張応力の増加を有することを示している。
【表5】
【0093】
(実施例5:ヒドロゲルへの伸張チューブ/ルアーロックの取付け)
ルアーロックを、シアノアクリレートを介してポリウレタン(PU)伸張チューブに結合した。伸張チューブは、PVAカテーテル本体を約0.5インチ摺動させることによってPVAカテーテル本体にかみ合わせた。約300°Fで使用されるヒートガン、PU/PVAは、0.5秒間隔で10倍に露出して重なり、PUとPVAの注入結合が起こるまで繰り返された。引張データを複数のサンプルについて評価した。
【表6】
【0094】
さらなる試験は、伸張部または他のデバイスをカテーテルに取り付けるための従来のエチレン-ビニルアセテート(EVA)結合プロセスが、そのようなデバイスを押出されたポーラス状PVA材に結合するのに有効であることを示した。表7は、取付け点がPVA強度を超えたか、さもなければ全ての設計要件を超えた結果を示す。標準天然色のEVA溶融ライナー(O.D.:3/16インチ、壁:0.014インチ)およびポリオレフィンRNF(熱収縮:0.25インチ)をPVAチューブ(ID:0.050インチ/OD:0.063インチ~0.065インチ)およびチューブアセンブリを有するルアーハブ(ID:0.062インチ/OD:0.101インチ)と共に使用した。温度400°Fに設定されたSteinel HG2310 LCDヒートガン(ノズルは直径0.25インチであり、狭い熱ゾーン面積を供するために圧縮により0.12インチ幅に修正されたチップ)および0.050インチのステンレスマンドレルは、ルアーハブ/チューブアセンブリを通ってPVAチューブのIDに挿入された。
【0095】
PEハブおよびPVAチューブの突合せ溶接を使用した3つのサンプルを400°Fで製造した。ジョイントは非常に強いことが観察された。
【0096】
透明なルアーハブおよびチューブアセンブリを約0.75インチ深さのPVA押出物に滑り込ませ、エチルビニルアセテート溶融ライナーおよびポリオレフィンをアセンブリに加えた。溶融物を製造し、400°Fで接合した。PVA押出物および溶融ライナーが溶融すると、フラットに形成するように、溶融したジョイントの穏やかな手巻きを用いて、より制御された収縮方法が適用され、PVAチューブの溶融が防止された。
【0097】
PVA押出物をハブおよびチューブの内部に挿入し、上記の方法を用いて結合させた。強度は非常に優れていた。手でアセンブリを引き離すことはできなかった。2つのサンプルが形成され、水和および試験に使用された。PBSにおいて37℃で2時間コンディショニングした後、サンプルを引張試験した。結果を表7に示す。
【表7】
【0098】
縫合翼オーバーモールド(suture wing overmold)の取付けも成功した。EVA(20%ビスマス・サブカーボネートを含むAteva 2803G)を用いて縫合翼の射出成形を行った。伸張ライン(HTP Meds#2006-0335 Rev A)およびPVAチューブを結合した。27N(6.1 lbf)の最大破断力(Wagner Instruments# FDK 30)が、PVAチューブおよびEVA縫合翼を取り外すために必要であった。組み立てられたPICCが水和された場合、破断力は28N(6.2lbf)であった。
【0099】
(実施例6:放射線不透過性)
実施例2の方法に従ってサンプルを作製した。サンプルは、図12A図12Fに示される。サンプルはそれぞれ、対照群(12A、BARD PowerPICC)、アニールされていない5.7重量%のビスマス・サブカーボネート(12B)、アニールされていない12.1重量%のビスマス・カーボネート(12C)、アニールされた12.1重量%のビスマス・サブカーボネート(12D)、アニールされた5.7重量%のビスマス・サブカーボネート(12E)、4.2重量%のビスマス・サブカーボネート(12F)である。
【0100】
全てのサンプルB~Eは対照サンプルの放射線不透過性を超える。4.2%ビスマス・サブカーボネートのサンプル(12F)は、ほぼ同じレベル以下の放射線不透過性を示し、サンプルについて最小と考えられる。放射線不透過性試験は、マサチューセッツ州ケンブリッジのMount Auburn Hospitalで行った。
【0101】
(実施例7:パワー・インフュージョン(または力の注入、power infusion))
圧力試験は、押出されたポーラス状プラスチックが全ての設計要件を超えていることを示した。パワー注入試験は、Medrad MARK V PLUS POWER INJECTORを使用して、実施例2に従って製造されたPVA-RO(放射線不透過性)剤が組み込まれたナノポーラス状固体のサンプルについて実施した。サンプルを、シリコーン・チューブを備えたバーブ/ルアーフィッティングに取り付けた。
【0102】
水を5mL/秒で1秒間注入したが、サンプルは塞がれず(自由流動性)、サンプルを破損することなく通過した。同じPVA-RO配合物の別の同じサンプルを、同じパラメータを使用して閉塞し、試験した。熱収縮処理による損傷が予め存在しているため、伸張チューブ結合部でサンプルが破損した。
【0103】
次いで、図13に示す別のセットのサンプルを、実施例5に記載の方法を用いて、シリコーン・チューブにLoctite 4902を有するバーブ付き継手に取り付け、熱収縮させた。閉塞試験のためのキャッピングを可能にするために、バーブをサンプルの各端部に取り付けた。サンプル1および2は、100PSIで5MLの全液体体積にて、5ml/秒の流速を用いて試験した。接合熱暴露(図14に示す破壊箇所)に起因して、熱収縮ジョイントの近くでサンプルが破壊した。
【0104】
サンプル3を、注入速度および容量を減少させて試験し、以下のサイクルの3サイクルのうちの2サイクルを通過した。サイクル1は、サイクル1は、100最大PSIで0.4mL/秒の流量および1mLの全量を使用し、サイクル2は、200最大PSIを有する同じパラメータを使用した。両方のサイクルが終了した。サイクル3は、1mLの全量および350最大PSIで5.0mL/秒の流量を使用した。シリコーンから分離し、熱収縮してチューブが破損した。ヒドロゲルへの損傷は観察されず、これは、適切な取付け方法(すなわち、オーバー・モールディング)を使用すると、PVA押出チューブがパワー・インジェクションに耐えることができたことを示している。
【0105】
(実施例8:接触角)
接触角は、実施例2に従って作製したヒドロゲルを組み込んだPVA-ROを測定する。押出された材料の1cmの部分を、精密ナイフを用いて主ストランドから切断した。次に、サンプルを断面の長さに沿って注意深く切断した。ロックタイト(loctite)406は、サンプルをガラススライドに注意深く接着させるために使用される。いったん完全に接着されると、ロックタイト406をサンプルの縁に沿って叩き、サンプルの壁を、フラットな形状になるまで鉗子を用いてガラススライド上に静かに押し付けた。20μLピペッターを用いて、材料の表面上に着色した水の単一小滴を滴下した。液滴の接触角を測定するために直ちに撮影し、画像ビューアにインポートした。試験前に、全てのサーフェスとカメラを水平にした。サンプルは、滴下試験によって測定されるように(滴を通して取られる)、接触角が60°であった。
【0106】
(実施例9:SEM結果)
また、図15A図15Bは、他に特定したことを除いて、実施例1Aの方法を用いて押出された17%PVA溶液のSEM画像である。サンプルを蒸留水において37℃で24時間水和させ、次に液体窒素を用いて急速に凍結させて孔構造を保持した。次いで、サンプルを48時間凍結乾燥して水を除去し、SEM分析に供した。図15Aは、押出PVAチューブの断面を示し、ゲル構造にマクロ・ポロシティを示さない。図15Bは、構造へのマクロ・ポロシティを示さない、より高い倍率での押出チューブの長手方向断面を示す。この材料は、含水率が高く、より多孔性であり、孔サイズは約10nm未満である。
【0107】
200gの蒸留水を95℃のジャケット付き反応容器にて加熱し、温度まで加熱することによって、PVA押出物のサンプルを作製した。これに、200RPMで混合しながら、40gのPVA(シグマ、146k-186k)を5分間かけて添加した。ポリマーを300RPMで1.5時間混合した。ポリマーを90℃で2時間未満脱気した。次いで、ポリマーを図1図3の装置を用いて-23℃のエタノールへと押出した。次いで、冷凍庫内で-25℃のエタノールに24時間保存した。サンプルを6時間乾燥させた。乾燥後、サンプルを120℃のグリセロール中で17時間浸漬した。アニーリング後、サンプルを取り出し、冷却してからエタノールですすいだ。すすいだ後にコアを除去した。サンプルを50℃で12時間乾燥させた。2つのSEM画像(図16A~16D)は、その結果を示す。また、図16C~16Dは、ナノ・ポロシティを示す、高倍率で撮影されたものである。
【0108】
(実施例10:塩添加物)
最大引張応力およびヤング率を変えるために、ポリマーをポリマー-溶媒混合物中の溶液へと推進させる(driving)プロセスを参照して、バッチプロセスでは種々の塩が使用された。リン酸、ホウ酸およびクエン酸などの多官能性塩が使用された。これらの塩は、種々の中和度でナトリウム塩および/またはカリウム塩として加えられた。
【0109】
PBS(リン酸緩衝化生理食塩水)は、主要成分として塩化ナトリウム、塩化カリウムおよびリン酸塩を含む。3つの中和点がPBSと比較して分析される。18%PVA(MW 146k-186k、シグマ・アルドリッチ#363065)、6%ビスマス・カーボネート(フォスター(Foster))(固形分を基準にして20wt%)および51.7mMで一定のモル比のこれらのリン酸塩溶液の混合物を、リン酸(シグマ・アルドリッチ)、一ナトリウム(シグマ・アルドリッチ)およびリン酸二ナトリウム(シグマ・アルドリッチ)を水中で用いて試験した。リン酸一ナトリウムは最も高いヤング率をもたらし、リン酸が最も高い張力を生じた。図17Aは、PBS、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウムおよびリン酸を配合した18%PVAサンプルの引張強度のプロットである。他の多官能性(2以上の中和部位)塩の効果も評価し、結果を図17Bにプロットした。
ホウ酸(シグマ・アルドリッチ)、クエン酸(シグマ・アルドリッチ)およびリン酸(シグマ・アルドリッチ)を、51.7mMのそれぞれの酸溶液である、18%PVA(シグマ・アルドリッチ)、6%ビスマス・カーボネート(フォスター)(固形分を基準にして20wt%)で比較する。ホウ酸はヤング率および最大引張応力の両方を増加させたが、クエン酸とリン酸は比較的同じであった。
【0110】
(実施例11:PVAおよびPAAのブレンドバッチならびにコポリマー押出)
PVA-PAAブレンド溶液を、以下の方法を用いてバッチ処理した(配合物組成については表8を参照)。100gの水およびPVAを、90℃に加熱した高粘度ジャケット付き容器に加え、600RPMで混合した。ビスマス・サブカーボネート濃縮物を、残りの水で15分間均質にし、次いで、特に明記しない限り、濃縮物32gを90℃のジャケット付き反応容器に加えた。次いで、PVAを600RPMで混合しながら容器に加えた。混合の1時間後に、PAAを溶液に加え、溶液が完全に均質になるまで、0.5時間続けた。次いで、ポリマーを20mLのシリンジに等分した。
【表8】
【0111】
ポリマーを90℃に再加熱し、90℃で1時間脱気した。次いで、ポリマーを約10℃~約21℃のエタノールへと押出した。押出物をモノフィラメントにおけるエタノールに約0.5時間置いた。次いで、押出物を室温のエタノールに移し、モノフィラメントを除去して24時間脱水させた。
【0112】
押出物を真空オーブンに移し、50℃で48時間乾燥させた。乾燥後、サンプルに120℃のUSPグレードの鉱油を注入し、次いで対流オーブン中で120℃の鉱油中に2時間浸漬した。次いで、サンプルを鉱物から取り出し、室温に冷却した。すすぎ/洗浄処理をエタノールで1回、蒸留水で2回行った。サンプルを37℃のPBSに移して、引張試験および表面評価の前に水和させた。引張試験は、ISO-10555プロトコルに従って実施した。引張値は、サンプルの断面積に対して正規化されていない。
【0113】
図18Aは、450k分子量のPAAのPVA-PAAブレンド配合物の比較である。11~13%濃度のPVAで押出された水中の0.1%および0.4%(w/w)濃度のPAA配合物は、4.0%配合物よりも高い引張強度を示した。より高い含水率は、PAAの増加した割合に相関し、PVA結合間の強度を低下させ、それゆえ引張強度を低下させ得る。さらに、4.0%、450kのPAA配合物は、スポンジ状の表面を示した。図18Bは、3mの分子量PAAのPVA-PAAブレンド配合物の比較である。0.3%および0.4%(溶媒に対するw/w)における3mの分子量のPAA配合物は、0.2%配合物よりも高い引張強度を示した。3mの分子量のPAA含有配合物は、4.0%を除いて、450kのPAA含有配合物の引張強度の約半分の値を示した。
【0114】
(実施例12:PVAおよびPEGのブレンドバッチならびにコポリマー押出)
PVA-PEGブレンド溶液を、以下の方法を用いてバッチ処理した(表9参照)。配合物組成は、PVA(シグマ、146k-186k)、ビスマス・サブカーボネート(フォスター)、100g蒸留水、およびPEG8k(シグマ)、PEG20k(シグマ)またはPEG35k(シグマ)である。ビスマス・サブカーボネートを15分間水で均質にした後、90℃のジャケット付き反応容器に加えた。次いで、PVAを600RPMで2時間混合しながら容器に加えた。次いで、PEGを溶液に加え、溶液が完全に均質になるまで2時間混合を続けた。次いで、ポリマーを20mLのシリンジに等分した。
【表9】
【0115】
ポリマーを90℃に再加熱し、約3℃~21℃のエタノールへと押出した。押出物をモノフィラメントにおけるエタノールに約1時間置いた。次いで、押出物を室温のエタノールに移し、モノフィラメントを除去して24時間脱水させた。
【0116】
押出物を真空オーブンに移し、50℃で48時間乾燥させた。乾燥後、サンプルに120℃のUSPグレードの鉱油を注入し、次いで、対流オーブン中で120℃の鉱油中に2時間浸漬した。次いで、サンプルを鉱物から取り出し、室温に冷却した。すすぎ/洗浄処理をエタノールで1回、蒸留水で2回行った。引張試験および表面評価の前に、サンプルを蒸留水に移して水和させた。引張試験は、ISO-10555プロトコルに従って実施した。図19は、その結果を示し、種々のMWのPEGのPVA-1%PEG配合物の比較を示す(引張値はサンプルの断面積に対して正規化されていない)。PEGブレンド押出物は、押出物の外側に沿ってスケールパターンを形成したPEG35kを除いて、滑らかな表面をもたらした。全ての1%PEGブレンドの標準偏差が大きいため、8k、20k、35kのPEGの共押出物の引張強度には有意差は認められなかった。図20A図20Cは、それぞれ8k、20k、35kのPEG共押出物の画像である。
【0117】
(実施例13:PVAゲルの血栓形成評価)
200gの蒸留水を95℃のジャケット付き反応容器にて温度まで加熱することにより、PVA押出物のサンプルを作製した。これに、200RPMで混合しながら、40gのPVA(シグマ、146k-186k)を5分間かけて添加した。ポリマーを300RPMで1.5時間混合した。ポリマーを90℃で2時間未満脱気した。次いで、ポリマーを-23℃のエタノールへと押出し、次いで、-25℃の冷凍庫中でエタノール中に24時間貯蔵した。サンプルを6時間乾燥させた。
【0118】
乾燥後、サンプルを120℃のグリセロール中に17時間浸漬した。アニーリング後、サンプルを取り出し、冷却してからエタノールですすいだ。すすぎ後にコアを除去した。サンプルを50℃で12時間乾燥させた。
【0119】
90℃のジャケット付き反応容器中で50gの水を加熱することにより、硫酸バリウムを有するPVAのサンプルを作製した。側部容器内で、4gの硫酸バリウムおよび50gの水を、11kのRPMで15分間均質にし、次いで、ジャケット付き容器に加えた。これを10分間混合して加熱した。加熱後、16gのPVA(シグマ、146k-186k)を加え、360RPMで約2時間混合した。
【0120】
PVA-ROポリマー混合物を90℃に加熱し、-16℃のエタノールへと押出した。押出物を-25℃で24時間脱水させた。コアを取り出し、サンプルを50℃のインキュベーターで約6時間乾燥させた。乾燥後、サンプルを120℃のグリセロール(シグマ)中に17時間浸漬した。アニーリング後、サンプルを取り出し、冷却してから蒸留水ですすいだ。サンプルを50℃で12時間乾燥させ、試験のために包んだ。
【0121】
Thrombodyne、Inc.(ソルトレイクシティ、ユタ州)での抗血栓耐久性試験について、サンプルを評価した。各サンプルは、サンプル群当たりN=5で長さ15cmに切断した。試験前に、サンプルを12時間のエチレンオキシド暴露を用いて滅菌した。臨床的使用を表すように、評価前にサンプルを蒸留水中で約48時間水和させた。
【0122】
自己由来の111標識血小板を有する、新しいヘパリン処理したウシ血液を、試験サンプルと対照評価のための部分とに分割した。サンプルを0.25インチのIDポリ塩化ビニルチュービングの体外血流ループへと約120分間挿入した。血液を98℃に保ち、試験期間中、蠕動ポンプを用いて血液ループを通してポンプ輸送した。血流ループにおいて45分後に、サンプルを血栓について最初にチェックし、120分後に除去した。試験の最後に、デバイスをチュービングから外植し、生理食塩水ですすぎ、血栓定量のためにガンマカウンターに入れた。試験パラメータを表10に示す。クロスオーバー効果を伴わずに同時比較を可能にするように、各試験は、試験サンプルごとに独立したフローシステムおよび/または同一の動物の対照循環血液で構成された。
【0123】
サンプルを放射能について測定し、特定のタイプの血栓蓄積(すなわち、接着蓄積またはフィブリン蓄積)について定性的に評価した。カウント結果を表10に示す。パーセント血栓形成(percent thrombosis)は、循環した動物の血液あたりの全ての試験群および対照群で観察された平均全血栓形成に対して計算された。血栓蓄積の結果を表11~12および図21Aに示す。血栓形成の視覚的評価は、図21Bに示されており、市販の対照カテーテル、17%のPVA押出物、および17%のPVA-硫酸バリウム押出物が示されている。
【表10】
【表11】
【表12】
【0124】
結果は、市販のPICCと比較して、PVA配合物の血栓の減少を示している。PVA-RO(RO剤としてのバリウム)配合物は、対照群よりも優れていなかった。考えられる理由は、バリウムの微粉化の欠如および押出物の表面上のより大きなバリウム粒子の形跡(または存在、evidence)を含む。
【0125】
(さらなる開示)
1.少なくとも1つの水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物を、ポリマー-溶媒混合物中の少なくとも1つのポリマーの融点よりも高い温度に加熱すること、ポリマーを架橋して架橋マトリックスを作るように溶媒除去環境において混合物を冷却すること、および架橋マトリックスがマイクロポーラス状固体材またはナノポーラス状固体材になるまで溶媒を除去し続けることを含んで成るポーラス状固体材を製造するための方法。
2.少なくとも1つの水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物を、混合物中の最後の1つのポリマーの融点よりも高い温度まで加熱すること、混合物を形成すること(例えば、モールディングまたはダイを通した押出によって形成すること)、および形成された混合物を溶媒除去環境に通すことを含んで成るポーラス状固体材を製造するための方法。この方法は、例えば、混合物を溶媒除去環境で冷却すること、架橋マトリックスがナノポーラス状固体材またはそれがマイクロポーラス状固体材になるまで、溶媒を除去し続けることの1つ以上をさらに含んで成ってもよい。
3.少なくとも1つの水溶性ポリマーと溶媒とを含んで成る混合物を、ポリマーの融点よりも高い温度に加熱すること、混合物を形成すること(例えば、ダイを通した押出によって形成すること)、および形成された混合物を溶媒除去環境に通過させることを含んで成る、ポーラス状ポリマー材および/または親水性ポーラス状固体を製造する方法。押出の場合、ポリマーがダイを通過する際に連続的なポーラス状固体を形成する。態様には、60分未満(または1、2、5または10分未満)で少なくとも50%w/wの溶媒を除去することを含む。態様には、60分未満(または1、2、5または10分未満)で少なくとも90%w/wの溶媒を除去することを含む。得られる材料は、例えば、ヒドロゲル、マイクロポーラス状材またはナノポーラス状材であってもよい。押出は冷間押出であってもよい。
4.塩が混合物中に存在するか、またはプロセス中に添加される1~3のいずれかに記載の方法。塩は、ポリマーの溶解および/または架橋の補助に有用であり得る。塩は、例えば、アニオン性、カチオン性、二価、三価であってもよい。さらに、2以上の水素結合受容体(hydrogen-bond acceptor)および/または水素結合供与部位(hydrogen bond donator sites)を有することができる、塩またはその他の添加剤をポリマーに添加してもよい。
5.架橋が混合物を冷却しながらおよび/または溶媒除去環境中で起こる、1~4のいずれかに記載の方法。
6.ポーラス状固体が共有結合または物理的架橋である結合で架橋されている、1~5のいずれかに記載の方法。これらの態様は、物理的架橋が含まれる場合には共有結合が存在しないことを含む。
7.ポーラス状固体をアニーリングすることをさらに含んで成る、1~6のいずれかに記載の方法。
8.連続したポーラス状固体のポリマー鎖を互いに実質的に平行に整列させることをさらに含んで成る、1~7のいずれかに記載の方法。
9.ポリマー鎖を整列させることが、混合物をダイに通すことを含んで成る、8に記載の方法。
10.少なくとも1つの水溶性ポリマーが、PVA、PAA、PEG、PVP-IまたはPVPを含んで成る、1~9のいずれかに記載の方法。
11.少なくとも1つの水溶性ポリマーが、ヒドロキシル基またはカルボキシルペンダント基を含む、1~10のいずれかに記載の方法。
12.混合物が、混合物に対してポリマーが5%~50%w/wの濃度である、少なくとも1つのポリマーを混合物中に有する、1~11のいずれかに記載の方法。
13.混合物が、溶媒に対してポリマーが5%~50%w/wの濃度である、少なくとも1つのポリマーを混合物中に有する、1~11のいずれかに記載の方法。
14.ポーラス状固体を形成する固体材料の少なくとも50%がPVA、PAA、PEGまたはPVPである、12に記載の方法。
15.ポーラス状固体が溶媒除去環境にある間に架橋を完了する、1~14のいずれかに記載の方法。
16.ポーラス状固体がチューブとして調製される、1~14のいずれかに記載の方法。
17.溶媒除去環境への暴露が、60分未満で溶媒の少なくとも半分を除去する、1~15のいずれかに記載の方法。
18.少なくとも1時間の溶媒除去環境への暴露を含んで成る、1~17のいずれかに記載の方法。例えば、全溶媒の少なくとも約50%w/wが除去される間での脱水環境への曝露。
19.ポーラス状固体が、EWCで少なくとも5MPaのヤング率を有する、1~18のいずれかに記載の方法。
20.ポーラス状固体が、EWCにおいて、少なくとも200%の破断点伸度、少なくとも5MPaのヤング率、および少なくとも20MPaの引張強度を有する、1~18のいずれかに記載の方法。
21.ポリマー材が、ポーラス状固体と接触する第2材料、例えば、補強材、繊維、ワイヤまたはプラスチック繊維である第2材料をさらに含んで成る、1~20のいずれかに記載の方法。
22.混合物が少なくとも2つのポリマーを含む、1~21のいずれかに記載の方法。
23A.少なくとも1つのポリマーが、第1親水性ポリマーおよび第2親水性ポリマーを含んで成る、1~22のいずれかに記載の方法。例えば、第1ポリマーおよび第2ポリマーは、PVA、PAA、PEG、PVP-IおよびPVPから独立して選択される。および/または、例えば、第1ポリマーおよび第2ポリマーが、第2ポリマーの1部および第1ポリマーの1~100000部(w/w)の割合で存在する。
23B.少なくとも1つのポリマーが、第1濃度の第1ポリマーおよび第2濃度の第2ポリマーを含んで成り、第1濃度が10%~60%w/wであり、第2ポリマーが1%~10%w/wであり、w/wが混合物中のポリマーと溶媒との全重量の合計に対するポリマーの重量である、1~22のいずれかに記載の方法。
24.混合物が架橋のための塩または他の添加剤をさらに含んで成る、1~23のいずれかに記載の方法(23は23Aおよび23Bを指す)。
25.2以上の水素結合受容体および/または水素結合供与部位を有することができる添加剤をさらに含んで成る、1~24のいずれかに記載の方法。
26.少なくとも2のポリマー(例えば、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-ヨウ素、ポリエチレングリコールおよびポリアクリル酸の2以上)を共押出しする、22~25のいずれかに記載の方法。
27.共押出されたポリマーがダイヘッドにおいて混合される、26に記載の方法。
28.水溶性ポリマーが、第1層に形成される第1ポリマーであり、第2層として形成される第2ポリマーをさらに含んで成る、22~26のいずれかに記載の方法。
29.第1ポリマーおよび第2ポリマーが、別々の層と同時に押出される、22~28のいずれかに記載の方法。
30.第1ポリマー層が、シートとして形成され、第2ポリマー層がシートと接触して形成される、28~29のいずれかに記載の方法。
31.第3ポリマーを添加することをさらに含んで成る、1~31のいずれかに記載の方法。
32.第三のポリマーが、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン-ヨウ素、PEGまたはポリアクリル酸である、31に記載の方法。
33.第2材料が、補強材料、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維またはコネクタの少なくとも一部である、21~32のいずれかに記載の方法。
34.材料に、または材料中に層として設けられる第2材料または第2ポリマーを含んで成る、21~32のいずれかに記載の方法。
35.第2ポリマーまたは第2材料が、ポリエチレングリコールまたはポリオール(例えば、ポリオールが少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリマーであるかまたはポリオールがグリセリンである)を含んで成る、21~34のいずれかに記載の方法。
36.ポーラス状固体と接触しているブレイズ材を加えることをさらに含んで成る、1~35のいずれかに記載の方法。
37.混合物の製造が、PVAを溶媒に添加することを含んで成る、1~36のいずれかに記載の方法。
38.溶媒が、水、アルコール、エタノール、水と混和する有機溶媒またはそれらの組合せを含んで成る(または、本質的にそれから成る)、1~37のいずれかに記載の方法。
39.加熱された溶媒が70~120℃の温度である、1~38のいずれかに記載の方法。
40.混合物中のPVA濃度が15%~25%w/wである、1~39のいずれかに記載の方法。
41.混合物を形成後または形成時に冷却し、混合物を冷却バス、冷却したモールド、凍結したモールドまたは液体窒素に通すことを含んで成る、1~40のいずれかに記載の方法。
42.溶媒除去環境がガスで満たされたチャンバである、1~41のいずれかに記載の方法。例えば、乾燥空気または窒素または例えば大気圧より低い圧力の気体である。
43.溶媒除去環境が、エタノールまたはポリオールを含んで成る溶液である、1~41のいずれかに記載の方法。
44.溶媒除去環境が、混合物の浸透圧を超える浸透圧を有する溶液を含んで成る、1~41のいずれかに記載の方法。
45.溶媒除去環境または溶液が、少なくとも0.1モルの濃度で存在する塩を含んで成る、1~44のいずれかに記載の方法。
46.溶媒除去環境または溶液が、0.1~8モルの範囲の濃度で存在する塩を含んで成る、44~41のいずれかに記載の方法。
47.溶媒除去環境または溶液が、浸透剤をさらに含んで成り、かかる環境が、形成された混合物の浸透圧より大きい浸透圧を有する、1~43のいずれかに記載の方法。
48.溶媒除去プロセスが、3~48時間の時間にわたって行われる、1~47のいずれかに記載の方法。
49.ポリマーが架橋している間に溶媒除去プロセスが実施される、1~48のいずれかに記載の方法。
50.溶媒除去プロセスが完了する前に架橋が完了する、49に記載の方法。
51.ポーラス状固体材をアニーリング温度に加熱することを含んで成る、アニールプロセスをさらに含んで成る、1~50のいずれかに記載の方法。
52.アニーリング温度が、90~250℃である、51に記載の方法。
53.アニーリングが空気および/または酸素および/または水の不存在下で行われる、51~52のいずれかに記載の方法。
54.アニーリングが、少なくとも部分的に液体バス中で行われる、50~53のいずれかに記載の方法。
55.液体バスが、鉱油および/またはポリオールおよび/またはグリセリンを含んで成る、54に記載の方法。
56.アニーリングが、3時間から1週間の期間で行われる、50~55のいずれかに記載の方法。
57.混合物をダイに通す、1~56のいずれかに記載の方法。
58.混合物が少なくとも1つのルーメンを有するチューブとして形成される、57に記載の方法。
59.チューブがコアの周りに形成されている、57に記載の方法。
60.コアが空気、水、液体、固体または気体である、59に記載の方法。
61.架橋マトリックスに、または架橋マトリックス内に層として押出される第2材料または第2ポリマーをさらに含んで成る、57~60のいずれかに記載の方法。
62.混合物が第1混合物であり、方法がさらに別の材料を含んで成る第2混合物をさらに含み、第2混合物も押出ダイを通過して第2管状層を形成する、57~61のいずれかに記載の方法。
63.第2材料が、補強材、繊維、ワイヤまたはプラスチック繊維であるか、またはそれらを含んで成る、61に記載の方法。
64.固体材料が、コアを囲み、管状ヒドロゲル層、または存在する場合には第2管状層内に閉じ込められる、57~63のいずれかの方法。
65.固体材料が、ワイヤ、ブレイズ、金属ワイヤ、プラスチックワイヤ、金属ブレイズ、プラスチックブレイズ、メッシュ、布メッシュ、金属メッシュ、プラスチックメッシュを含んで成る、64に記載の方法。
66.ポーラス状固体が、連続的な形態、チューブ、シート、固体シリンダ、複数のルーメンを有するチューブまたはリングとして形成される、1~65のいずれかに記載の方法。
67.ポーラス状材が、少なくとも4:1(長さ:直径)、あるいは、3:1~100:1のアスペクト比のアスペクト比を有する、1~66のいずれかに記載の方法。
68.ポーラス状材が親水性である、1~67のいずれかに記載の方法。
69.生体適合材、ポリマー材または医学的に許容される親水性ポーラス状固体を含んで成るカテーテル。
70.少なくとも20MPaの引張強度、少なくとも5MPaのヤング率、EWCにおいて10%~50%w/wの固形分含有量、EWCにおいて少なくとも10%w/wまたは少なくとも33%w/wの固形分含有量、EWCにおいて10、20、30、33、35、40、50、60%w/wの固形分含有量の1以上を有する生体適合材、ポリマー材またはポーラス状ポリマー固体を含んで成るカテーテル。例えば、平衡含水量(EWC)で少なくとも33%w/wの固形分含有量、および少なくとも5MPaのヤング率を有するポーラス状固体を有する親水性ポーラス状固体を含んで成るポリマー材。ならびに、例えば、少なくとも10:1のアスペクト比で形成する。例えば、ポーラス状固体が少なくとも1つのポリマーを含んで成り、少なくとも1つのポリマーが第1親水性ポリマーおよび第2親水性ポリマーを含んで成り、第2親水性ポリマーが第1ポリマーの10000部に対して1部~1000部の量で存在する、ポリマー材。
71.ポーラス状ポリマー固体が架橋親水性ポリマーを含んで成る、69または70に記載の生体材。
72.37℃の生理食塩水における平衡含水量(EWC)で少なくとも33%w/wの固形分含有量を有する、あるいは、固形分含有量は少なくとも50%w/wまたは40%~99%w/wの範囲である、ポーラス状ポリマー固体を有する、70または71に記載の生体材。
73.EWCにおいてナノポーラス状材の固形分含有量が少なくとも50%w/wであり、少なくとも20MPaの引張強度および/または少なくとも5MPaのヤング率を有するナノポーラス状材である、70~72のいずれかに記載の生体材。
74.孔直径が100nm以下である、70~73のいずれかに記載の生体材。
75.ポリマー構造の内部整列を有する、70~74のいずれかに記載の生体材。
76.EWCにおいてヒドロゲルのPVA含量が少なくとも50%w/wであり、過剰の生理食塩水中に位置付けられ、自由膨張する場合、EWCにおいて50%w/w未満膨潤するポーラス状材を有する、70~75のいずれかに記載の生体材。
77.少なくとも1つの親水性ポリマー、PVA、PAA、PEGもしくはPVPまたはそれらの組合せを含んで成るか、または本質的にそれらから成る、ナノポーラス状材またはマイクロポーラス状材である、70~76のいずれかに記載の生体材。
78.ポーラス状材が、架橋親水性ポリマーのマトリックスを含んで成り、水溶性ポリマーが、ヒドロキシルおよび/またはカルボキシルペンダント基を含んで成る、70~77のいずれかに記載の生体材。
79.ポーラス状材が、架橋前の分子量が少なくとも50kg/molであるか、あるいは、分子量(g/mol)は50k~1000kである、架橋ポリマーを含んで成る、70~78のいずれかに記載の生体材。
80.ポーラス状材を形成する固体材料の少なくとも50%が、PVA、PAA、PEGまたはPVPである、70~79のいずれかに記載の生体材。
81.ポーラス状材が共有結合架橋で架橋されているか、または共有結合架橋を含まないか、および/または共有結合架橋剤を含まない70~80のいずれかに記載の生体材。
82.ナノポーラス状材が、物理的架橋によって架橋されている、70~81のいずれかに記載の生体材。
83.物理的架橋が、イオン結合、水素結合、静電結合、ファンデルワールス力または疎水性充填(hydrophobic packing)である、82に記載の生体材。
84.第2材料または第2ポリマーの層をさらに含んで成る、70~83のいずれかに記載の生体材。
85.ポーラス状固体内に封入された第2材料をさらに含んで成る、70~83のいずれかに記載の生体材。
86.第2材料は、補強材、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維またはコネクタの少なくとも一部である、85に記載の生体材。
87.第2材料のコーティングまたは層または第2ポリマーが、ポリエチレングリコールまたはポリオール(例えば、ポリオールは少なくとも3つのヒドロキシル基を有するポリマーであるか、またはポリオールはグリセリンである)を含んで成る、84~86のいずれかに記載の生体材。
88.第2材料のコーティングまたは層または第2ポリマーが、PVA、PAA、PEGまたはPVPを含んで成る、84~87のいずれかに記載の生体材。
89.放射線不透過性(RO)薬剤をさらに含んで成り、RO剤は、例えば、生体材上の、または生体材中の、コーティング、層であり得る、70~88のいずれかに記載の生体材。
90.本質的にPVAから成る、またはポーラス状材が本質的にPVAから成る、70~83のいずれかに記載の生体材。
91.チューブである形状を有して成る、70~91のいずれかに記載の生体材。
92.70~92のいずれかの生体材を含んで成る、生体医学的カテーテル。
93.中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)、トンネル・カテーテル、透析カテーテル、中心静脈カテーテル、末梢中心静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、トンネル・カテーテル、透析アクセス・カテーテル、尿カテーテル、神経カテーテル、腹腔内カテーテル、大動脈内バルーンポンプ・カテーテル、診断カテーテル、インターベンション・カテーテルまたは薬物送達カテーテルである、92に記載のカテーテル。
94.複数のルーメンを含んで成る、92~93のいずれかに記載のカテーテル。
95.医学的に許容可能な材料、例えば、1~94のいずれかの材料(例えば、親水性ナノポーラス材料、親水性マイクロポーラス材料またはヒドロゲル)を含んで成る、生物医学的カテーテル。
【関連出願の相互参照】
【0126】
本出願は、2015年12月22日に出願された米国仮出願第62/271、150号に対する優先権を主張するものであり、その全体が参照により本明細書に組み込まれる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15A
図15B
図16A
図16B
図16C
図16D
図17A
図17B
図18A
図18B
図19
図20A
図20B
図20C
図21A
図21B
【手続補正書】
【提出日】2024-02-05
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
親水性ポーラス状固体チューブを形成する少なくとも1つの架橋水溶性ポリマーを含む親水性ポーラス状固体チューブを含んで成る、カテーテルであって、
該親水性ポーラス状固体チューブが、100nmまでの直径の孔サイズを有する相互接続された孔を含み、かつ平衡含水量(EWC)において、33~90%w/wの固形分および5~100MPaのヤング率を有し、
該親水性ポーラス状固体チューブが、該親水性ポーラス状固体チューブを形成する少なくとも1つの水溶性ポリマー間の共有結合架橋を含まず、
該少なくとも1つのポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含んで成る、カテーテル。
【請求項2】
前記親水性ポーラス状固体チューブの前記相互接続された孔が、1~100nmの孔サイズを有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項3】
前記少なくとも1つの架橋水溶性ポリマーの少なくとも50%w/wが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項4】
前記カテーテルが、中心静脈カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)、トンネル・カテーテル、透析カテーテル、末梢中心静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、透析アクセス・カテーテル、尿カテーテル、神経カテーテル、腹腔内カテーテル、大動脈内バルーンポンプ・カテーテル、診断カテーテル、インターベンション・カテーテルまたは薬物送達カテーテルである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項5】
複数のルーメンを含んで成る、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項6】
平衡含水量(EWC)において、前記ヤング率が10~100MPaである、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項7】
平衡含水量(EWC)において、前記カテーテルの外径が0.02~0.5インチであり、前記チューブの内径が0.01~0.4インチであり、前記外径が前記内径より少なくとも0.001インチ大きい、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項8】
少なくとも10:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項9】
少なくとも50:1のアスペクト比を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項10】
前記少なくとも1つのポリマーが、第1親水性ポリマーおよび第2親水性ポリマーを含んで成り、前記第2親水性ポリマーが、前記第1ポリマーの10000部に対して、1部~1000部の量で存在する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項11】
放射線不透過剤をさらに含んで成る、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項12】
前記少なくとも1つの水溶性ポリマーおよび放射線不透過剤から本質的になる、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項13】
平衡含水量(EWC)において、50%w/w以下の膨潤率を有する、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項14】
前記親水性ポーラス状固体チューブ内に第2材料をさらに含んで成り、前記第2材料は、補強材、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維またはコネクタの少なくとも一部である、請求項1に記載のカテーテル。
【請求項15】
ルーメンおよびポリマー材を含んで成る、物品であって、
前記ポリマー材が、少なくとも1つの水溶性ポリマーを含み、
前記ポリマー材が、共有結合架橋剤を含まず、
前記ポリマー材が、平衡含水量(EWC)において、5~100MPaのヤング率を有し、
前記物品が、複数の相互接続された孔を含み、
前記少なくとも1つのポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)(PVA)を含んで成る、物品。
【請求項16】
前記物品が、血液透析カテーテル、末梢から中心静脈まで挿入したカテーテル(PICC)、中心静脈カテーテル、正中線カテーテル、末梢カテーテル、尿カテーテル、神経カテーテル、腹腔内カテーテル、および/または輸液ポートを含む、請求項15記載の物品。
【請求項17】
前記ポリマー材が、平衡含水量(EWC)において、10~100MPaのヤング率を有する、請求項15記載の物品。
【請求項18】
前記物品が、少なくとも10:1のアスペクト比を有する、請求項15記載の物品。
【請求項19】
前記少なくとも1つの水溶性ポリマーが、ポリ(ビニルアルコール)、ポリ(アクリル酸)、ポリエチレングリコールおよび/またはポリ(ビニルピロリドン)を含んで成る、請求項15記載の物品。
【請求項20】
前記物品が、平衡含水量(EWC)において、50%w/w以下の膨潤率を有する、請求項15記載の物品。
【請求項21】
前記物品が、放射線不透過剤を含んで成る、請求項15記載の物品。
【請求項22】
前記物品内に第2材料をさらに含んで成り、前記第2材料は、補強材、繊維、ワイヤ、ブレイズ材、ブレイズ・ワイヤ、ブレイズ・プラスチック繊維またはコネクタの少なくとも一部である、請求項15記載の物品。