(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054212
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】ゴルフ練習・支援装置及びプログラム
(51)【国際特許分類】
A63B 69/36 20060101AFI20240409BHJP
【FI】
A63B69/36 541W
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016172
(22)【出願日】2024-02-06
(62)【分割の表示】P 2022095454の分割
【原出願日】2011-01-05
(31)【優先権主張番号】P 2010001325
(32)【優先日】2010-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】391001848
【氏名又は名称】株式会社ユピテル
(72)【発明者】
【氏名】尾野 久雄
(72)【発明者】
【氏名】高橋 圭三
(72)【発明者】
【氏名】梶田 裕一
(57)【要約】 (修正有)
【課題】使用する場所に応じた寸法にすることができ、不必要に大型化することもなく、携帯性に適した装置とすること
【解決手段】着脱可能な第1ケース本体21と第2ケース本体22とを備え、第2ケース本体には、ドップラーセンサ31を備える。第1ケース本体には、現在位置を求める位置計測部11と、ゴルフ場のコースレイアウト情報を記憶保持するゴルフ場データ格納部12と、位置計測部で求めた現在位置に基づきゴルフ場データ格納部からプレイ中のコースレイアウトを読み出して表示装置14に出力する制御部13を備える。制御部は、ドップラーセンサの出力に基づきクラブスイング速度を計測し、推定飛距離を求める機能も持つ。第1ケース本体単独で動作する場合、コースレイアウトを表示するナビ機能が起動し、第2ケース本体を接続した場合に、スイング速度等を求める練習機能が起動する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴルフコースの情報に基づいて前記ゴルフコースの画像を表示する機能と、
前記ゴルフコースの攻略ルートを特定するための位置情報に基づいて、前記ゴルフコースの攻略ルートを表示する機能と、
前記攻略ルートを編集する機能と、
を有し、
前記ゴルフコースの攻略ルートを表示する機能は、
前記ゴルフコースにおける所定位置で曲がっており、かつグリーン内の所定位置に到達する、曲線または折れ線で特定した攻略ルートを表示し、
前記攻略ルートを編集する機能は、
前記ゴルフコースにおいて前記所定位置で曲がっている変曲点を、移動できるようにする
装置。
【請求項2】
ゴルフコースの情報に基づいて前記ゴルフコースの画像を表示する機能と、
前記ゴルフコースの攻略ルートを特定するための位置情報に基づいて、前記攻略ルートを表示する機能と、
前記攻略ルートを編集する機能と、
を有し、
前記攻略ルートを表示する機能は、
前記ゴルフコースがドッグレッグしたコースである場合には、ティーグランド内の所定位置で曲がっており、かつグリーン内の所定位置に到達する、曲線または折れ線で特定した攻略ルートを表示し、
前記攻略ルートを編集する機能は、前記ドッグレッグしたコースである前記ゴルフコースにおける前記ティーグランド内の所定位置で曲がっている変曲点を、移動できるようにする
装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の装置の機能をコンピュータに実現させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴルフプレーヤーに対してゴルフに関するゴルフ情報を提供する機能や、ゴルフの練習に役立つ機能を備えたゴルフ練習・支援装置及びプログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
たとえば、GPS受信機を利用し、ゴルフ場で、現在位置からグリーンやバンカー等までの距離やコースレイアウトを表示したり、ゴルフプレイ中におけるボールのヒット位置を正確かつ簡便に記録できるようにしたりするゴルフ支援装置がある(特許文献1等)。この特許文献1に開示された装置は、GPS衛星と通信を行い、それ自体の位置情報を取得する位置情報取得手段と、位置情報を記録する位置情報記録手段と、ゴルフ場のホールのレイアウトを視覚的に認識可能なレイアウト画像の情報を、その緯度および経度の情報と共に記録するレイアウト情報記録手段と、位置情報を、レイアウト画像の上にプロットして、ヒット軌跡を表示させるヒット軌跡表示処理手段とを備えたものである。
【0003】
この特許文献1の発明によれば、プレイ後にヒット軌跡を確認することで、プレイ内容の確認・反省を行ったり、事前あるいはプレイ中にコースレイアウトを確認したりプレイ中に現在位置からグリーンやバンカー等までの距離を確認したりすることでプレイの戦略を行ったりすることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のゴルフ支援装置に対する改良は、専らゴルフに関する情報の提供の種類を増やしたり、ゴルフに関する機能の追加をしたりすることが行われている。そして、多機能化に伴い、使用するアンテナやセンサの種類も増え、装置全体が大きくなる。そして、持って行った場所では使わない機能も含むことになり、装置の大型化と合わせて、携帯性に課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決するために、本発明に係るゴルフ練習・支援装置は、(1)移動物体の速度を測定するための速度計測センサと、現在位置を求める位置計測部と、前記位置計測部で求めた現在位置に基づき、ゴルフ場のコースレイアウト情報を記憶保持するゴルフ場データ記憶手段にアクセスし、コースレイアウトを読み出して第1表示部に出力する第1制御部と、前記速度計測センサの出力に基づきゴルフクラブのスイングに伴い移動するゴルフボールやクラブヘッドのスピードを求め、求めたスピードに基づく情報を第2表示部に出力する第2制御部と、を備えた。スピードに基づくは、スピード(スイング速度・ボール速度)自体でも良いし、それに基づいて求められる情報(推定飛距離等)でもよい。
【0007】
速度計測センサは、実施形態では、ドップラーセンサ31に対応する。速度計測センサは、この実施形態のドップラーセンサのように、速度を計測するための情報を検出し、出力できればよく、必ずしもそのセンサで実際の速度まで検出・算出できなくてもよい。ゴルフ場データ記憶手段は、実施形態では、ゴルフ場データ格納部12に対応する。実施形態では、ケース内に一体的に実装したが、変形例でも説明しているとおり、別途サーバ等に設定するものでもよい。
【0008】
本発明では、第1制御部を動作させ、現在位置に基づいてコースレイアウト情報を第1表示部に表示させるゴルフ支援モード(実施形態では、ゴルフナビモード)を実行し、速度計測センサからの出力を第2制御部が取得し、スイングスピードやボールスピードを算出し、その結果等を第2表示部に出力するゴルフ練習モードを実行することができる。
【0009】
(2)分離可能な第1ケース本体と第2ケース本体とを備え、前記第2ケース本体には、前記速度計測センサと、その速度計測センサの出力を前記第1ケース本体側へ送信する通信インタフェースと、を備え、前記第1ケース本体には、前記第2本体ケースから送られる前記速度計測センサの出力を受信する通信インタフェースと、前記位置計測部と、前記第1制御部と、前記第2制御部と、を備えるとよい。
【0010】
第1制御部を動作させ、現在位置に基づいてコースレイアウト情報を第1表示部に表示させるゴルフ支援モード(実施形態では、ゴルフナビモード)を実行中は、速度計測センサは必須ではないので、第2ケース本体と第1ケース本体とを分離する。よって、第1ケース本体単独で使用でき、コンパクトとなって携帯に便利となる。特に、このゴルフ支援モードを動作される場合、ゴルフコース内を移動しているので、小型で軽量となると持ち運びに邪魔にならないので好ましい。
【0011】
一方、練習時には、第1ケース本体と第2ケース本体の両方を使用し、速度計測センサからの出力を第2制御部が取得し、スイングスピードやボールスピードを算出し、その結果を第2表示部に出力するゴルフ練習モードを起動させる。通常、ゴルフの練習は、練習場で実際にゴルフボールを打ったり、自宅の庭その他の場所で素振りをするが、広い範囲で移動することもなく、第2ケース本体を第1ケース本体に接続等して両方を用いることでその装置全体が多少大きくなってもさほど問題はない。また、ゴルフ練習モードを実行するための制御部やマンマシンインタフェース(スイッチ等の入力手段や、表示部の出力手段)を第1ケース本体に組み込むとともに、ゴルフ支援モードを実行するためのものと兼用することで、装置全体のさらなる小型化が図れる。
【0012】
また、第2制御部が動作する場合、第2制御部が速度計測センサの出力を取得するため第2ケース本体と第1ケース本体は共に稼働し通信できるので、第2表示部の設置位置は、第2ケース本体側でもよいし、実施形態のように第1ケース本体側でもよい。第2表示部を第1ケース本体に設置した場合、実際のハードウェア部品としては、第1表示部と第2表示部とを兼用・共通化してもよい。さらに、各表示部は、各ケース本体とさらに別に設け、各制御部は、その表示部に向けて必要な情報を出力するものでもよい。
【0013】
(3)前記第1ケース本体には、前記第2ケース本体が接続されているか否かを判断する判断部を備え、前記第1ケース本体に前記第2ケース本体が非接続の場合に前記第1制御部が動作し、前記第1ケース本体に前記第2ケース本体が接続していた場合に前記第2制御部が動作するように構成するとよい。第2ケース本体の有無により、自動的に動作モード(動作する制御部)を切り替えることで、ユーザが特別なモード切替をすることなく、それぞれの接続状況に適したモードで動作するので便利である。もちろん、係る自動的に動作する制御部を切り替える機能を備えた場合でも、係る切り替えを優先的に行い、マニュアル操作等で別のモードでの実行を行えるようにしてもよい。
【0014】
(4)前記第1表示部と、前記第2表示部は、前記第1ケース本体に設けられているとよい。第1表示部と第2表示部がまとめて配置されることで、ケース全体の見やすい場所に表示部を設定することができる。つまり、仮に両表示部を別々に設置する場合でも、両表示部が見やすい箇所に配置されるため、ユーザは、どちらのモードを実行し、いずれの表示部に表示される場合でも、見やすい状態が確保できる。(5)さらに前記第1表示部と前記第2表示部は、共通して構成されているとよい。このようにすると、部品点数の削減により、コスト削減がはかれるばかりでなく、全体としてコンパクト化が図れるので好ましい。
【0015】
(6)前記第1制御部と前記第2制御部は、同一のCPUで構成されるとよい。それぞれの機能を実現する制御部が同一CPUで構成されることで、入出力部とのインタフェースを含め装置構成の簡略化・小型化はもとより、実行するプログラムの切り替えも容易に行える。
【0016】
(7)使用するクラブ種を指定するクラブ種入力部を備え、前記第2制御部は、前記求めたスピードと、クラブ種入力部で指定されたクラブ種に対応づけられた係数を用いて推定飛距離を算出する距離算出機能を備え、その距離算出機能で求めた推定飛距離を前記クラブ種と関連づけて記憶部に記憶するとよい。クラブ種入力部は、実施形態では、スイッチ19により実現される。記憶部は、実施形態のように第1ケース本体に設けると良い。ゴルフ練習モードで測定した推定飛距離を第1ケース本体の記憶部に格納するようにしたので、第2ケース本体を取り外した後でも、その記憶部に格納したデータを読み書きできる。
【0017】
(8)前記第1制御部は、前記第1表示部に表示するコースレイアウトにおける、前記位置計測部で求めた現在位置に対応する位置にマークを描画し、取得した使用するクラブ種の推定飛距離を前記記憶部から読み出して前記第1表示部に表示する機能を備えるとよい。マークは、実施形態の自分アイコンIに対応する。現在位置と推定飛距離を表示することで、選択したクラブ種で目標とすべき場所に届くか否かを容易に理解することができる。
【0018】
(9)前記推定飛距離の表示は、前記マークを中心とし、前記推定飛距離を半径とした円を描画することで行うとよい。円で描画することで、視覚的に直感的に認識できるとともに、仮に打ち損じ等で斜めに打ち出した場合にボールが飛んだ位置が予測できる。
【0019】
(10)前記第1表示部に表示する前記推定飛距離は、平均値・最高値・最低値の少なくとも1つであるとよい。平均値を表示することで、普通に飛んだ場合の到達位置を予測することができ、最高値や最低値を表示することで、あたりがよすぎた場合や、打ち損じした場合のボールの到達位置を予測できるので好ましい。
【0020】
(11)前記第2制御部は、ゴルフコースのホールレイアウトを前記第1表示部または前記第2表示部に表示する機能と、前記ホールレイアウト上の指定された地点を中心に、前記距離算出部で求めた推定飛距離を半径とする円を描画するボール停止地点候補表示機能と、を備え、前記指定された地点は、ホールレイアウト上のティーグランド内の指定地点或いは、前記ボール停止地点候補表示機能が描画した円の円周上で指定された地点とするとよい。ホールレイアウトは、仮想のゴルフ場でもよいし、本物のゴルフ場のものでもよい。いずれの場合も、より実際のゴルフのプレイに近い練習を行うことができる。
【0021】
(12)前記ホールレイアウトは、前記ゴルフ場データ格納部に格納された実際のゴルフ場についてのものとするとよい。このようにすると、実際のゴルフ場のホールレイアウトを用いてシミュレーションを行うことができるので好ましい。
【0022】
(13)前記第2制御部は、前記ゴルフ場データ記憶手段に格納された実際のゴルフ場のコースレイアウトを前記第1表示部または前記第2表示部に表示する機能と、前記コースレイアウト上の指定された地点を中心に、前記距離算出部で求めた推定飛距離を半径とする円の円周上と、前記コースレイアウトに設定された基準線との交点を求め、その求めた交点に基づいてボール停止地点を決定し、その決定した地点を表示する機能と、を備えるようにしてもよい。このようにすると、自動的にボールの停止位置を決定することができるので、ユーザはショットのたびに停止位置を指定しなくてよく簡便となる。
【0023】
(14)前記基準線は、前記コースレイアウトのホールの攻略ルートを示すものとすることができる。この場合、攻略ルートと円周の交点を停止位置とすることができ、簡単にその位置を求めることができる。
【0024】
(15)前記攻略ルートは、ティーグランドの所定位置から、グリーンの所定位置までを結ぶ線であり、その線が非直線の場合には、方向が変わる位置を示す1または複数の基準点により特定するように構成すると良い。このようにすると、少ない情報に基づいて攻略ルートを設定することができる。
【0025】
(16)前記基準線は、前記コースレイアウトのフェアウェーの境界線及びまたはコースの境界線としてもよい。この場合、対となる2つの境界線と円周の交点をそれぞれ求め、その2つの交点を結ぶ線(弦/弧)上の所定の位置(例えば中点)等を停止位置とすることができる。
【0026】
(17)ゴルフコースのコースレイアウトを前記第1表示部または前記第2表示部に表示する機能と、その表示したコースレイアウト上の目標地点の指定を受け付けると、現在位置からその目標地点までの距離を求めるとともに、クラブ種ごとの推定飛距離を記憶した推定飛距離記憶手段にアクセスし、求めた距離と前記クラブ種ごとの推定飛距離に基づいて前記目標地点に向けて打つ際に使用するのに適したクラブ種を決定し、決定したクラブ種に関する情報を報知する機能を備えるとよい。そのようにすると、クラブ種の選択が容易に行える。
【0027】
(18)前記決定したクラブ種の推定飛距離と、前記求めた距離を報知する機能をさらに備えるように構成しても良い。そのようにすると、装置が決定したクラブ種が正しいか否かを容易に判断できる。
【0028】
(19)本発明のプログラムは、上記の(1)~(18)のいずれかに記載のゴルフ練習・支援装置における機能をコンピュータに実現させるためのプログラムとした。
【発明の効果】
【0029】
本発明では、現在位置に基づいてコースレイアウト情報を第1表示部に表示させるゴルフ支援モードと、速度計測センサからの出力を第2制御部が取得し、スイングスピードやボールスピードを算出し、その結果等を第2表示部に出力するゴルフ練習モードの両方を実行することができる。特に第1ケース本体と第2ケース本体とを分離可能にすると使用する場所に応じた寸法にすることができ、不必要に大型化することもなく、携帯性に適したものとなる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図6】仮想ゴルフコースにおけるホールレイアウトと装置に記憶されるソフトウェア上のホールの一例を示す図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0031】
以下、本発明の好適な実施形態を、添付図面を参照して説明する。本実施形態のゴルフ練習・支援装置は、実際のゴルフ場のコースレイアウトを表示したり、現在位置を測位しプレーヤーの移動とともに、現在位置やグリーンまでの残距離をリアルタイムに通知するゴルフナビゲーション等のゴルフ支援機能と、ゴルフクラブのヘッドスピードや実際に打ったボールのボールスピードや、推定飛距離等を求め出力するゴルフ練習機能を備えている。
【0032】
図1,
図2は、本発明のゴルフ練習・支援装置の利用状態の一例を示す図である。
図1,
図2(a)に示すように、ゴルフ練習・支援装置10は、ゴルフクラブ2をスイングするゴルファー1の後方所定位置に設置する。具体的な設置位置は、ゴルフ練習・支援装置10の検知範囲が、スイング中のゴルフクラブ2のヘッド2aが最大速度で移動する地点を含むような位置である。一例としては、
図1に示すように、ゴルフクラブ2のヘッド2aの移動軌跡3の最下点付近がボール4に対するインパクト位置となり、通常、当該位置付近でヘッド2aの移動速度は最大速度になるため、係る移動軌跡3の最下点の接線5上であり、かつ、ゴルファー1の後方を設置位置とする。この場合のボール4とゴルフ練習・支援装置10との距離は、約1mとしている。後述するように、このゴルフ練習・支援装置10には、ドップラーセンサが内蔵されているため、ドップラーセンサのアンテナの開口面11aが、ボール4に正対する(接線5上を向く)ように設置される。
【0033】
この設置位置は、使用クラブがパター以外のクラブの場合に対応するものであり、ボール4は無くても良い。つまり、ゴルフ練習・支援装置10は、ボール4をおいて実際に打った場合には、そのスイングする毎にヘッドスピードとボールスピードの両者を同時に測定し、ボール4を置かない(置いていても実際に打たない)で素振りをした場合にはヘッドスピードのみ測定する。
【0034】
一方、使用クラブがパターの場合には、
図2(b)に示すような設置位置をとる。つまり、ゴルファー1の斜め前、より具体的には、ゴルファー1から見てボール4を基準として前側に約20cm離れ、さらにボール4の打ち出し方向に約20cm先に進んだ位置にゴルフ練習・支援装置10をおく。そして、ゴルフ練習・支援装置10のアンテナの開口面11aを、ボール4の転がり先の約1mの辺りに向くようにする。この利用態様では、ボールスピードを計測するため、ボール4をおいて、ゴルファー1が実際に打つことが必須である。そして、ゴルフ練習・支援装置10のスピードの測定エリアが、ボールBの転がり先の一定領域に設定され、その測定エリア内にパター2′のヘッド2′aの移動軌跡がないので、ヘッドスピードの測定はできない。したがって、ボールの速度のみを測定する。
【0035】
図3は、本発明に係るゴルフ練習・支援装置10の好適な一実施形態を示している。このゴルフ練習・支援装置10は、第1ケース本体21と、第2ケース本体22とを備え、それら両ケース本体21,22は、着脱可能となっている。両ケース本体21,22の側面に連結機構を設け、それら側面同士を位置合わせしつつ接触させて連結する。連結した際には、1つの筐体を構成する。この連結に伴い、それぞれの側面に配置した第1コネクタ23と第2コネクタ36が結合し、電気的に導通し、データの送受並びに電力供給を行えるようになっている。また、これら第1,第2コネクタ23,36の連結により、第1,第2ケース本体21,22間の機械的な結合も行えるようにしても良い。
【0036】
第1ケース本体21には、ゴルフナビゲーション等のゴルフ支援機能を構成する要素が組み込まれている。すなわち、第1ケース本体21内には、GPS信号を受信し現在位置を求める位置計測部11と、ゴルフ場のコースレイアウト等のゴルフ情報を予め格納しておくゴルフ場データ格納部12と、位置計測部11からの現在位置情報に基づきゴルフ場データ格納部12をアクセスし、ゴルフ場に関する情報を取得し出力装置に出力する制御を行う制御部13と、係る出力装置を構成する表示装置14並びにスピーカ15と、第2ケース本体22が接続されているか否かを検知する接続状態検知部16と、携帯時の電源となる電池17とを備えている。さらに、第1ケース本体21は、記憶装置18や、各種のスイッチ19や、通信インタフェース20も備えている。
【0037】
ゴルフ場データ格納部12は、内部メモリや、着脱可能な外部記録媒体(マイクロSDメモリーカード等)等の記録メディアにより構成される。このゴルフ場データ格納部12に格納されるゴルフ情報は、実際のゴルフコースについてのデータ(各ホールのコースレイアウト,ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上の対象物の位置)等がある。これらの情報は、例えば、特開平7-57189号公報や、特開2003-339929号公報に開示されたものと同様なものとすることができる。
【0038】
制御部13は、CPU,ROM,RAM、フラッシュメモリ、各種の周辺回路、インタフェース等を備えるマイコンを備える。制御部13は、電源スイッチのONに伴い電池17からの電源供給がなされ動作を開始する。制御部13は、ROMに記録されたブートローダーによって、フラッシュメモリに記録されたOSとアプリケーションプログラムをRAM上に展開し、RAM上のOS及びアプリケーションプログラムを実行することで、以下に示す各種の処理を実行し、各種の機能を実現する。
【0039】
記憶装置18は、演算結果を記録しておくもので、着脱できない内部記憶装置でも良いし、SDメモリカード等の着脱可能な記録メディアを装着するためのスロット部(読み書きする機能を含む)でも良い。この記憶装置18を構成する記録媒体・装置は、実際の装置において、ゴルフ場データ格納部12と共用してもよい。
【0040】
接続状態検知部16は、第1ケース本体21に第2ケース本体22が取り付けられているか否かを検知するもので、たとえば、第1ケース本体21の側面(第2ケース本体22との接続面)に、リミットスイッチ等の感圧・接触式のスイッチ(センサ)を配置し、両ケース本体21,22を連結すると、係るスイッチがON(或いはOFF)になり、両ケース本体21,22を分離する(第2ケース本体22を第1ケース本体21から取り外す)とスイッチがOFF(或いはON)に切り替わるように設定することで実現できる。このとき、スイッチは、第1ケース本体21の表面と面一か少し内部に奥まった状態にし、第2ケース本体22に設けた突起等でそのスイッチを押すようにすると良い。このようにすると、第1ケース本体21を単独で携帯しているときに、当該スイッチが誤って押されて第2ケース本体22が接続されていると誤判定されることが抑制できる。また、このように直接接触するものに限ることはなく、近接センサなどの非接触タイプのものを利用することもできる。この接続状態検知部16の検知結果は、制御部13に与えられる。
【0041】
表示装置14は、LCDや有機ELディスプレイ等から形成される。電池17は、乾電池などの一次電池でもよいし、充電池のように充電可能な二次電池としてもよい。スイッチ19は、電源をON/OFFする電源スイッチや、各種の指示を与える操作スイッチがある。また、表示装置14の表面にタッチパネルを設け、そのタッチパネルを操作スイッチとして利用するようにしても良い。
【0042】
制御部13は、その接続状態検知部16からの検知結果に基づき、動作モードを決定する。すなわち、制御部13は、ゴルフナビゲーション等のゴルフ支援機能(ゴルフナビモード)を実現するためのアプリケーションプログラムと、ゴルフクラブのヘッドスピードや実際に打ったボールのボールスピードや、推定飛距離等を求め出力するゴルフ練習機能(ゴルフ練習モード)を実現するためのアプリケーションプログラムを備え、それらを切り替えて実行する。そして、本実施形態では、第2ケース本体22が接続されずに第1ケース本体21単独で使用する場合には、制御部13は、ゴルフナビモードを実行し、第2ケース本体22を第1ケース本体21に接続した状態では、制御部13は、ゴルフ練習モードを実行する。
【0043】
このように、制御部13は、接続状態検知部16の検知結果に基づき、自動的にゴルフナビモードとゴルフ練習モードを切り替えるようにしたが、スイッチ19としてマニュアル操作によるモード切替スイッチを設け、ユーザの指示に基づきモードを切り替えできるようにしてもよい。この場合に、ユーザ指示に基づくマニュアルモード切り替え機能と、自動切り替え機能を併存させることができる。つまり、たとえば第1ケース本体21と第2ケース本体22とが接続された状態のとき、接続状態検知部16からの検知結果に基づいて制御部13がゴルフ練習モードに自動的に切り替えた場合において、モード切替スイッチによりゴルフナビモードが選択されると、制御部13は、実行するプログラムをゴルフナビモードに切り替える。これにより、たとえば、ゴルフ場に第1ケース本体21と第2ケース本体22とを持って行き、プレイ前に両者を接続した状態で練習を行い、その両ケース本体21,22を接続した状態でラウンドする場合に、ゴルフナビモードに切り替えてコースに携帯できる。つまり、ユーザが、ゴルフナビモードで使用するために第2ケース本体22を取り外すことで、その第2ケース本体を置き忘れするおそれを防止できる。
【0044】
ゴルフナビモードを実行中の制御部13は、位置計測部11からの位置情報(経度・緯度)に基づき、ゴルフ場データ格納部12にアクセスし、現在プレイ中のゴルフコースの情報を読み出す。そして、現在の位置情報から、該当するコースを読み出して表示装置14に描画する。この表示装置14に描画される表示画面の一例としては、
図4に示すようになる。この図では、表示画面の中央に自分のいる場所を示す自分アイコンIを描画し、グリーンが上に来るように現在プレイ中のホールのレイアウトを描画する。これにより、グリーンに向けた方向並びにグリーン周りに存在する池やバンカーなどの位置と大きさ・形状を知ることができる。また、自分アイコンIを中心に、同心円ラインLをホールのレイアウトに重ねて描画する。これにより、池やバンカーまでのおよその距離を理解できる。このように、コースレイアウトを表示することで、ユーザは、初めてのコースであっても各ホールの攻略方法を確認することができる。
【0045】
また、画面右下には、残り距離表示領域R1を設定している。すなわち、ゴルフ場データ格納部12には、グリーンの情報として、グリーンエッジの位置や、グリーン中央の位置が登録されている。そこで、制御部13は、現在位置とグリーン中央との間の距離を求め、グリーン中央までの残り距離を表示する(図では、”149”)。また、現在位置とグリーン中央を結ぶ線と、グリーンエッジとの交点を求め、その求めた交点の位置と現在位置間の距離を求め、グリーエッジまでの残り距離を表示する(図では、”132”)。さらに、現在位置からグリーン中央に向けた方向矢印Yを描画する。
【0046】
また、スイッチ操作等に基づき、任意の地点を登録することができる。具体的には、制御部13は、スイッチ操作等による地点登録処理を受け付けた際の現在位置を位置計測部11から取得し、地点登録する。この任意の地点は、たとえば、実際にボールを打った地点を登録することなどに利用できる。そのように登録された任意の地点が表示画面に表示されたホールレイアウト内に存在する場合には、該当する位置に地点登録アイコンI0を描画する。さらに、その地点登録された位置から、現在の自分アイコンIの存在位置までの距離を求め、表示画面の左下に用意した飛距離表示領域R2に表示する(図では、”138”)。また、地点登録を複数行えるようにし、その地点登録したそれぞれの位置情報をホールごとに登録順に記憶装置18に記録する。これにより、ボールを打った位置をその都度地点登録することで、実際のゴルフコースでのプレイの軌跡を記録することができ、また、表示装置14に各ホールレイアウトを地点登録アイコンI0とともに描画することで、表示画面上で実際のプレイの軌跡を確認できる。
【0047】
また、表示装置14の表示画面の上方領域には、バッテリー残量を示すアイコンI1と、現在プレイ中のホール番号を示すアイコンI2と、2グリーンのホールにおける使用グリーンを特定するアイコンI3(L(左側)/R(右側))と、距離表示の単位を示すアイコンI4(yd(ヤード)/m(メートル))を表示している。さらに、その情報領域の右端には、時刻表示をしている。
【0048】
また、後述するように、本実施形態では、ゴルフ練習モードを備えており、そのゴルフ練習モードでは、クラブ種ごとの推定飛距離を記録することができる。そこで、ゴルフナビモードとしての使用時、制御部13は、クラブ種(番手)の指定を認識すると、その指定されたクラブ種についての推定飛距離を記憶装置18から読み出し、コースレイアウトの表示画面に重ねて表示する。このとき、推定飛距離は、数字としてテキスト表示しても良いし、表示画面上の推定飛距離に相当する長さの半径とした円を、自己アイコンIを中心として描画しても良い。特に、推定飛距離を円で示した場合、残り距離との関係で選択したクラブ種が適切であるか否かや、打ち出し方向が目的の方向からずれた場合にバンカーや池などのハザードやラフに捕まる可能性の判断を、視覚的に直感的に理解できるので好ましい。
【0049】
クラブ種の指定は、スイッチ19の一種として設けたクラブ種を選択・指定するためのクラブ選択スイッチを操作することで行える。そして制御部13は、選択されたクラブ種とヘッドスピードやボールスピード等の情報から、推定飛距離を算出する。具体的には、制御部13は、クラブ選択スイッチの押下(例えば、”短押”)を認識すると、下記の順でクラブ種を巡回させる。
「1W→3W→5W→3I→4I→5I→6I→7I→8I→9I→W(ウエッジ)→Pt(パター)」
【0050】
また、制御部13は、このクラブ種の巡回に合わせて、表示装置14の表示画面の所定位置に設定したクラブ種表示エリアに、”W,I,tと7セグメント”を適宜用いて現在選択されているクラブ種を表示する。つまり、ウッド(1W,3W,5W)が選択されている場合には、”W”と選択された数字を表示し、アイアン(3I,4I,5I,6I,7I,8I,9I)が選択されている場合には、”I”と選択された数字を表示し、ウエッジ(W)が選択されている場合には、”W”のみを表示し、パター(Pt)が選択されている場合には、”t”のみを表示する(7セグメントを使ってPを併設表示しても可)。
【0051】
さらに、後述するように、ゴルフ練習モードで測定した推定飛距離の最高値と最小値を求める機能を備えた場合、制御部13は、上記の推定飛距離(平均値)に加えて、係る最高値と最小値を合わせて表示すると良い。係る場合の表示レイアウトの一例としては、
図5に示すように、自己アイコンIを中心とした同心円(S0 :平均値,SH :最高値,SL :最小値)を描画することで行える。これにより、当たりが良すぎて飛びすぎた場合(最高値)や、打ち損ね(最小値)の場合のボールの到達地点の範囲をより正確に予測でき、クラブ種の選択を適切に行える。
【0052】
上述したように、ゴルフナビモードにおいて、制御部13は、表示装置14の表示画面上に現在プレイ中のホールのコースレイアウトを描画すると共に、そのコースレイアウト上の現在位置に対応する地点に自分アイコンIを描画する。そこで、その表示されたコースレイアウト上の任意の地点を打ちたいポイント(目標地点)として指定すると、制御部13は、現在位置から指定されたポイントまでの距離を算出し、当該距離を打つために適したクラブ種を決定し、決定したクラブ種に関する情報を表示する機能を備えると良い。このとき、ポイントまでの距離も合わせて表示するとよい。
【0053】
すなわち、後述するように、記憶装置18等には、クラブ種ごとの推定飛距離に関する情報(平均値,最高値,最小値等)が記録されている。そこで、求めた当該ポイントまでの距離と、各クラブ種の推定飛距離(例えば平均値)とを比較し、最も近いクラブ種を決定する。また、クラブ種の決定は、これに限ることはなく、推定飛距離の方が大きいものの中で最も推定飛距離が近いクラブ種としても良い。
【0054】
そして、制御部13は、決定したクラブ種の情報として、クラブ種の種類と推定飛距離を表示すると良い。推定飛距離は、平均値とともに、最高値や最小値を合わせて表示すると、ポイントまでの距離を合わせて表示することで、そのクラブ種が適切か否かの判断を容易に行える。
【0055】
さらに、ゴルフナビモードにおいて、上記の地点登録機能と、クラブ種の指定機能を利用することで、実際のプレイの記録をすることができる。ユーザは、ボールを打つに際し、スイッチ19を操作して打つ場所の地点登録と、使用するクラブ種の登録を行う。制御部13は、1打から順番に、ボールを打った位置とその時に使用したクラブ種を関連づけて記憶装置18に登録する。今回打ったボールの飛距離は、今回地点登録された位置と次に地点登録された位置との間の距離であるので、制御部13は、係る実際の飛距離を算出し、打った地点と、クラブ種と、実際の飛距離を関連づけて登録する。これにより、制御部13は、クラブ種ごとの平均飛距離、最高飛距離、最低飛距離を求め、表示装置14に表示する。このとき、例えば、実際の飛距離と、推定飛距離とを合わせて(同時/交互)表示することで、推定飛距離と実際の飛距離のずれを認識することができる。ユーザは、プレイ中に、それら推定飛距離と実際の飛距離を逐次表示してそのずれを確認することで、その日の状態が通常の推定飛距離と比べて、飛んでいるのか飛んでいないか並びにその程度を認識し、その日の以後のプレイのときに、表示された推定飛距離+クラブ種に基づき、実際に使用するクラブ種の選択を適切に行える。
【0056】
また、クラブ種を選択した場合に表示する飛距離であるが、上述したようにゴルフ練習モードの際に取得した推定飛距離に替えて、実際の飛距離を用いてもよい。推定飛距離は、あくまでもスイングスピードやボールスピード等に基づいて簡易的・便宜的に算出したもので、演算時に使用する係数等により、必ずしも実際の飛距離を表すものではない。そこで、クラブ種を選択した際に表示される飛距離として、制御部13は、そのユーザの同一クラブ種についての過去の実際の飛距離に基づく情報を表示する機能を備える。この場合の実際の飛距離に基づく情報としては、実際の飛距離の平均値でも良いし、上記の推定飛距離と同様に実際の飛距離の最高飛距離や最低飛距離としても良い。また、実際の飛距離と推定飛距離のいずれを出力するかは、スイッチ操作に基づく択一的な選択としたり、両方表示するようにすることができる。
【0057】
また、実際の飛距離の履歴データは、日付(日時)情報も関連づけて登録することで、例えば、制御部13は、本日のプレイに基づく実際の飛距離に基づく情報を表示することができる。このようにすると、その日のプレーヤーの状態やコースの状態等のプレイ環境により近い実際の飛距離が表示されるので、戦略を立てやすい。特に、ティーグランドにおけるドライバーや、フェアウェー上で使用する得意なクラブなど、何回も使用するクラブ種の場合に、その日の実際の飛距離の確認をすることができると、打ち出しの方向や、番手の適切な選択をするために有益な情報を提供することができる。
【0058】
さらにまた、制御部13は、現在プレイ中のゴルフ場がどこであるかは認識しているので、上記の実際のプレイに基づく情報(打った位置や、クラブ種や、飛距離等)を、プレイしたゴルフ場を特定する情報(ゴルフ場名,識別コード等)と関連づけて登録するとよい。このようにすると、同一のゴルフ場で複数回プレイしたような場合に、そのゴルフ場における実際の飛距離に基づく情報(クラブ種ごとの平均飛距離,最高飛距離,最低飛距離等)を表示すると良い。
【0059】
また、実際の飛距離を表示するモードが選択されていた場合であっても、選択したクラブ種についての実際の飛距離データが無いことがあるので、制御部13は、係る場合に、推定飛距離を読み出して表示する機能を備えると良い。特に、上記のように、その日のプレイに限った実際の飛距離や、そのゴルフ場に限った実際の飛距離を選択した場合に、次に打つために選択したクラブ種が初めて使用することがあるので、参考情報として推定飛距離を表示すると良い。その場合に、推定飛距離であることがわかるように表示する。
【0060】
さらに記憶装置18として、メモリカードなどの取り外し可能な記録媒体を用いたり、USBやその他の所定の有線・無線の外部装置との通信インタフェースを用いることで、記憶装置18に格納した実際のプレイに基づいて収集・記録した情報を外部装置であるパソコン等に転送し、管理したり、大きい画面で表示してみたりすることができる。
【0061】
第2ケース本体22内には、出力周波数が24.15GHzのマイクロ波ドップラーセンサ31と、当該ドップラーセンサ31の出力信号(1波がゴルフクラブのヘッドの6mmの移動に相当する信号)を増幅するアンプ32と、アンプ32によって増幅された信号を基準値と比較し、ドップラーパルス(基準値以上の場合にハイレベルを基準値より小さい場合にはローレベルの信号)を出力するコンパレータ33等のゴルフ練習モードのみに使用する構成要素や、第1ケース本体21側とデータ等の送受を行うために必要な通信インタフェース34や、第2コネクタ36を備える。また、第2ケース本体22の側面には、第1ケース本体21内の接続状態検知部16に接続を検知させるための突起35も備える。そして、ゴルフ練習モードを実行するための演算処理や制御等を行うCPU等の制御部や、マンマシンインタフェースとしてのスイッチや、出力装置(表示装置)は、第1ケース本体21に実装したもので兼用している。
【0062】
これにより、ゴルフナビモードを使用する場合には、当該モードに不要なドップラーセンサ等を収納した第2ケース本体を取り外し、第1ケース本体21単独で動作するので、コンパクトになり、ゴルフ場に携帯し、プレイ中に持ち歩く際にも邪魔にならない。一方、ゴルフ練習モードを使用する場合、第2ケース本体22と第1ケース本体21とを連結することで、制御部やマンマシンインタフェースを第1ケース本体21に実装したものを利用できるため、両ケース本体を合体した装置全体でもさほど大型化しないと共に、2つのモードを実行できる装置でありながら、多くの機器・部品を共用することで、部品点数の削減からコストの低下を招くことができる。
【0063】
この第2ケース本体22内のセンサや各種の電子回路は、第1ケース本体21内の電池17に基づき動作する。つまり、第1ケース本体21と第2ケース本体22とを接続することで、第1コネクタ23から第2コネクタ36経由で、第2ケース本体22内へ電力供給がなされる。
【0064】
アンプ32で増幅されたアナログ信号や、コンパレータ33から出力されたパルス信号は、通信インタフェース34→第2コネクタ36→第1コネクタ23→通信インタフェース20を経由して制御部13に与えられる。アンプ32によって増幅されたアナログ信号は、制御部13に内蔵されるA/Dコンバータにてデジタル信号に変換される。
【0065】
第1ケース本体21に第2ケース本体22が接続されている場合、制御部13は、ゴルフ練習モードを実行する。よって、制御部13は、これらの信号に基づいてスイングスピードを求める。すなわち、上記のようにして、電源オンに伴い、ドップラーセンサ31の出力をアンプ32で増幅したアナログ波形をコンパレータ33にてしきい値処理して符号化したドップラーパルスが、コンパレータ33から制御部13に入力される。そこで、制御部13は、内蔵するカウンタを利用してドップラーパルスの周期を求め、移動体の速度を求める。移動体がゴルフクラブのヘッドの場合、ヘッドスピードが求められ、移動体がボールの場合、ボールスピード(初速度)が求められる。この具体的な算出アルゴリズムは、例えば、特開平6-86845号公報等に開示された技術の他、各種の算出アルゴリズムを用いることができる。
【0066】
さらに、本装置ではゴルフクラブのスイング時におけるヘッドスピードの速度測定に特化するため、スイング開始から終了までの速度データをいったん蓄積し、その後蓄積されたデータからスイングの最大速度を算出するようにするとよい。
【0067】
また、ボールを置かずに素振りのみをする場合には、制御部13は、上記の公知のアルゴリズムにより、ヘッドスピードを簡単に求めることができる。さらに本実施形態では、ボールを実際に打った場合、制御部13は、ボールスピードとヘッドスピードを同時に求める。これは、ゴルフクラブのスイングに伴うヘッドの移動速度は、スイング開始から徐々に速度が早くなり、ボールに当たる前後付近で最大速度になり、その後、徐々に遅くなる。一方、ボールは、ゴルフクラブのスイング開始当初は、停止したままであるため移動速度は0となり、ヘッドが当たって打ち出されることで、移動するため速度が増速する。そして、ヘッドスピードの速度変化のピークと、ボールスピードの速度変化のピークとは、ずれがある(ボールスピードのピークが遅れて発生する)。そこで、速度のピークが2つ生じることから、それぞれのスピードを求めることができる。具体的には、例えば、特開平6-86845号公報等の技術を用いて両方のスピードを求めることができる。
【0068】
また、ボールスピードは、上記のようにドップラーパルスに基づいて求めるものに限ることはなく、例えば、アンプ32から出力される信号(ドップラーセンサ31によって出力されたドップラー信号を増幅した信号)をA/D変換したデータを別途メモリに蓄積し、そのメモリに蓄積されたA/D変換データに対する周波数スペクトル解析(例えば、高速フーリエ変換(FFT)等)を行って算出するようにしてもよい。ゴルフボールはヘッドに比べ小さく遠い位置になる。このように小さい反射波による小さいレベルのドップラー信号でSN比が不利な入力信号においても、FFTは、周波数分解により、ノイズ成分が周波数全体に分散し、信号成分は線スペクトルとして抽出されるので、解析に充分なSN比を確保することができる。
【0069】
また、メモリへの蓄積開始は、スイングを検出したことを条件に行うとよい。このようにすると、常時蓄積する必要が無く、メモリの更新処理に要する負荷が軽減される。このとき、スイング判別する機能は、ドップラーセンサ31によって出力されたドップラー信号に基づく当該ドップラー信号の周期がゴルフクラブのスイングに対応する周期パターンになった場合に、スイングあったと判別するとよい。制御部13は、求めた速度を表示装置14に表示したり、記憶装置18に格納したりする。
【0070】
さらに本装置は、スイッチ19として、使用するクラブに合わせて、そのクラブ種を選択・指定するためのクラブ選択スイッチを備えている。スイッチ19を構成するボタン要素は、ゴルフナビモードで使用するものと同一のものを用い、制御部13は、実行中のモードにより同じスイッチに対する操作でも異なる指示と認識する。そして制御部13は、選択されたクラブ種とヘッドスピードやボールスピード等の情報から、推定飛距離を算出する。具体的には、制御部13は、クラブ選択スイッチの押下(例えば、”短押”)を認識すると、下記の順でクラブ種を巡回させる。
「1W→3W→5W→3I→4I→5I→6I→7I→8I→9I→W(ウエッジ)→Pt(パター)」
【0071】
また、制御部13は、このクラブ種の巡回に合わせて、表示装置14の表示画面の所定位置に設定したクラブ種表示エリアに、”W,I,tと7セグメント”を適宜用いて現在選択されているクラブ種を表示する。つまり、ウッド(1W,3W,5W)が選択されている場合には、”W”と選択された数字を表示し、アイアン(3I,4I,5I,6I,7I,8I,9I)が選択されている場合には、”I”と選択された数字を表示し、ウエッジ(W)が選択されている場合には、”W”のみを表示し、パター(Pt)が選択されている場合には、”t”のみを表示する(7セグメントを使ってPを併設表示しても可)。
【0072】
制御部13は、推定飛距離算出機能を備える。この推定飛距離算出機能は、実際にボールを打った場合には、ボールスピードと使用したクラブ種から推定飛距離を求め、素振りの場合にはヘッドスピードと使用したクラブ種から推定飛距離を求める機能である。具体的には、予めクラブ種ごとにボールスピードに対する係数とベッドスピードに対する係数を設定しておき(クラブ種-係数のテーブル等を設ける)、ボールスピード或いはヘッドスピードに、クラブ種に対応する係数を乗じた値を推定飛距離とする。なお、ボールの有無は、マニュアル操作による手動によって指定しても良いし、各種のセンサを設け装置により自動的に認識するようにしてもよい。
【0073】
測定結果は、記憶装置18に格納される。制御部13は、スイッチ19の操作に基づく指示に従い、この記憶装置18に格納された過去の履歴を読み出すとともに、表示装置14に表示したり、その過去の測定結果の平均値を求めそれを表示装置14に表示したりする機能を備える。平均値は、記憶装置18に記録された履歴(最大500件分)の中から、選択したクラブ種の平均値である。さらに制御部13は、クラブ種ごとの最高値や、最値を抽出し、それらも合わせて表示する。
【0074】
また、ゴルフナビモードで説明したように、地点登録等により実際の飛距離を算出し、使用したクラブ種とともに記録した場合、制御部13は、記憶装置18に格納されている同一のクラブ種についての実際の飛距離を読み出し、推定飛距離との差・比から補正値を算出し、推定飛距離を算出するに際しその補正値で補正すると良い。また、実際の飛距離は、例えば、ドライバー等は実際のプレイでもフルショットすることが多いが、番手の大きいアイアンなどになると、残り距離等からハーフショットをすることも多い。そこで、ゴルフナビモードのときに、実際の飛距離の平均値を求める際のデータとして使用するか否か(フルショットしたか否か)の情報も付加情報として記録しておき、この補正値を求める際には、係る付加情報からフルショットした場合の実際の飛距離の平均値を使用すると良い。ゴルフナビモードにおける実際の飛距離の表示も、このように、フルショットしたもの等の一定の条件に合致したものから求めたものとする良い。
【0075】
次に、ゴルフ練習モードのひとつである”トレーニングモード”について説明する。トレーニングモードは、仮想ゴルフコースを想定し、ゲーム感覚で仮想コースを回るもので、1~18ホールを1セットで回る”フルラウンド”と、任意に指定したホールで完結する”ホール指定”がある。スイッチ18として用意されたホール指定スイッチを操作することで、”フルラウンド”或いは”ホール指定”のプレイスタイルを選択する。本実施形態では、ホールは、18ホール用意しているので、例えば、ホール指定スイッチを押下する都度、”フルラウンド”→”ホール指定(1番)”→”ホール指定(2番)”→……”ホール指定(18番)”→”フルラウンド”→……というように選択が切り替わる。もちろん、スイッチの数を増やすことで、より簡単に指定することもできる。
【0076】
トレーニングモードで使用する仮想コースのコースレイアウト(全18ホール分)は、第1ケース本体21の記憶装置18或いはゴルフ場データ格納部12に格納しておき、表示装置14に表示する。
【0077】
ある1つのホールのレイアウトの一例としては、
図6に示すホールレイアウトとなる。そして、ユーザは、プレイするホールのレイアウト図を基にゲームを進めてゆく。また、制御部13が実行するソフト上でのホールは、
図6に示すように、単純に距離に応じて各ゾーンを区分けしている。
【0078】
このトレーニングモードは、記憶保持している仮想ゴルフ場(コース)の地図データ(ティーグランドからカップまでの距離,OB・ウォーターハザード等のペナルティゾーンの位置等)を読み出し、ゴルフクラブのスイングに伴うヘッドスピード或いはボールスピードから推定飛距離を算出し、カップまで残り距離を求めるとともに、その求めた残り距離やそれまでの打数を表示装置14に表示し、最終的にカップイン(残り距離がしきい値以下)になるまで繰り返す。
【0079】
つまり、制御部13は、ヘッドスピード或いはボールスピードに基づいて推定飛距離を算出し、その算出した推定飛距離をボールのショット位置における残り距離から減算し、ボールの停止地点(次のボールのショット位置)における残り距離を求めるとともに、打数を“1打”加算する。制御部13は、求めた残り距離並びに打数を表示装置14に表示する。また、現在位置に推定飛距離を加算したボールの停止地点(次のボールのショット位置)が、ウォーターハザードやOBといったペナルティーエリアの場合、制御部13は、残り距離を数秒間点滅させた後で、打数にペナルティーを加算するとともに残り距離の修正を行い、修正後の打数・残り距離を表示する。残り距離は、ウォーターハザードに入った場合には、ウォーターハザードのティーグランド側の境界位置を次のボールのショット位置に設定し、そこからカップまでの距離を算出して求める。また、ボールがOBゾーンに入った場合、前回のショット位置を次のショット位置に設定し、そこからカップまでの距離を修正後の残り距離とする。つまり、前回のショット時の残り距離(現在の残り距離に、前回のショットに伴う推定飛距離を加算した距離)が、修正後の残り距離となる。
【0080】
そして、ボールの停止地点が、グリーンのエリアとなった(グリーンオンした)場合、マイクロコントローラ14は、“NICE ON”のロゴを表示装置14に点灯する。また、グリーン上では距離の単位は“yard”から“m”(メートル)に変わる。
【0081】
さらに残り距離が1m以下になった場合、カップインとみなし、制御部13は、表示装置14にカップインを表現する表示を数秒間行う。また、残り距離が1~3mの範囲では“OK”(1打プラスでホールアウト)とし、制御部13は、表示装置14にOKを表現する表示を数秒間行う。
【0082】
さらに、このトレーニングモードで使用するコースレイアウトを、ゴルフ場データ格納部12に格納されている実際のゴルフ場のコースレイアウトを使用する機能を備える。これにより、たとえばゴルフ練習場等で、実際のゴルフ場でプレイしているかのごとくシミュレーションして楽しんだり、あるいは実際のプレイの事前練習に使用することができる。
【0083】
実際には、図示省略するメニュー画面から、ユーザは、使用するゴルフ場を選択する。上述したように、ゴルフ場データ格納部12には、ゴルフ情報の一つとして実際のゴルフコースについてのデータ(各ホールのコースレイアウト,ゴルフ場のグリーンやバンカー等コース上の対象物の位置)等が格納されているので、制御部13は、ゴルフ場データ格納部12にアクセスし、指定されたゴルフ場についてのコースレイアウトを読み出すと共に、所定のホールのコースレイアウトを表示装置14に描画する。このとき、描画する所定のホールは、上記のトレーニングモードにおける仮想ゴルフ場と同様に、1ホール目から順番に全てをプレイする”フルラウンド”が選択された場合、まず1番ホールが描画する所定のホールとなり、以後、そのホールのプレイが終了すると、次のホールが当該所定のホールとなる。また、指定したホールをプレイする”ホール指定”が選択された場合、指定されたホールが描画する所定のホールとなる。
【0084】
ユーザは、表示装置14に描画されているプレイするホールにおけるボールを打つ場所(ショット位置)を指定する。これは、例えば、表示装置14の表示画面にタッチパネルを設け、表示装置14に描画されているコースレイアウト上の任意の地点をタッチすることで指定できる。制御部13は、タッチパネルによりタッチされたコースレイアウトの地点をショット位置とし、そのショット位置に所定のアイコン(マーク)を描画する。ユーザは、そのアイコンを見ることで、ショット位置が正しいかを確認できる。描画されたアイコンの位置が、ユーザが予期するものと違う場合、再度表示装置14(タッチパネル)をタッチし、ショット位置の再設定を行う。
【0085】
実際のゴルフのプレイでは、第1打はティーグランドからティーショットをする。したがって、上記のユーザがタッチする位置は、表示装置14に描画されているコースレイアウト上のティーグランド内の任意の地点をタッチすることで、ティーショットの位置を指定できる。また、ティーグランドの外のエリアをタッチした場合、実際のゴルフ場でのプレイにおける第2打以降のショットの練習ができる。すなわち、グリーン近くの様々な地点を指定することで係る様々の地点からグリーンを狙う練習をしたり、ティーショットをミスした場合を想定し、第2打以降の攻略法の練習をしたりすることができる。
【0086】
さらに、実際のプレイにおける第1打は、ティーグランドからのティーショットであるので、ゴルフ場データ格納部12に、予めティーグランド内の所定位置(エリア内の中心・前端中央等の予め設定した位置)を登録しておき、制御部13は、その登録されたティーグランド内の所定位置を読み出しショット位置に決定してもよい。そのようにすると、自動的にショット位置が決定されるため、ユーザがマニュアル操作で指定する手間が無くなる。
【0087】
制御部13は、クラブ選択スイッチを介して指定されたクラブ種を認識すると共に、推定飛距離算出機能によりスイング速度或いはボールスピードから推定飛距離を求め、上記の決定したショット位置を中心としてコースレイアウト表示上に推定飛距離の同心円を画く。
【0088】
ユーザは、表示された推定飛距離の同心円上の所定の位置を指定する。実際にボールを打った場合、実際に飛んだボールの方向から推定し、その飛んだ方向と同心円との交点を指定する。また、素振りだけの場合には、任意の地点を指定する。この指定は、表示装置14にタッチパネルを重ねた場合、表示された同心円上の該当する位置をタッチすることで行う。また、タッチパネルがない場合、制御部13は、表示された同心円上の任意の地点にボールの停止位置候補を示すマーク(カーソル)を描画する。そして、ユーザは、スイッチ19として用意されたカーソルキーなどを操作し、上記の停止位置候補を示すマークを当該推定飛距離の同心円上に沿って移動させ、任意の位置で選択することで指定できる。
【0089】
この指定された地点が、次のボールを打つ地点(ショット位置)となる。また、飛距離やホールまでの残り距離等を表示するのは、ゴルフナビモードや、ゴルフ練習モードの場合と同様である。この処理をホールアウトするまで繰り返し行う。また、グリーンに載った場合には、上記のトレーニングモードと同様に、カップ位置まで所定の距離になったならば、カップインとみなしたり、1打付加してOKパットとしたりしても良い。
【0090】
このシミュレーションデータは、記憶装置18に記録され、外部装置であるパソコン等に取り込み、そのパソコンでも表示、記憶、加工できる。また、そのシミュレーション中のコースについて、実際のプレイでの実績データが記憶されている場合、制御部13は、そのデータの平均値、最高値、最低値等を読み出し、このシミュレーション時にも表示、比較表示等する。
【0091】
このように実際のゴルフ場のコースレイアウトを用いてシミュレーションを行った結果は、記憶装置18に格納しておき、実際のゴルフ場でゴルフナビモードで実行する際に、制御部13は、その記憶装置18に格納したシミュレーション結果を読み出し、表示装置14に出力することができる。これにより、実際のプレイ中にシミュレーション結果を確認し、ホール攻略の際の参考にすることができる。
【0092】
図7以降は、実際のゴルフ場のコースレイアウトを用いたトレーニングモード(シミュレーション)を実行する場合の別のアルゴリズムを示している。上述した実施形態では、ボールの停止位置は、ショット位置を中心とした推定飛距離に対応する同心円上の任意の地点をユーザが指定することで行っている。これは、本装置では、ショットしたボールの推定飛距離を算出することできるものの、ボールの飛んだ方向は検出できないためである。そこで、上記の実施形態では、ユーザによるマニュアル操作により指定させた。このようにユーザに指定させることで、実際にボールを打った場合には、その飛行方向に合わせて停止位置を決定できるので、より実際のプレイに近いシミュレーションを行うことができる。一方、ショットする都度ボールの停止位置を指定する必要があるという点で煩雑である。そこで、
図7以降に示す実施形態では、ゴルフ練習・支援装置10(制御部13)に、ボールの停止位置を自動的に決定する機能を設けた。
【0093】
係るボールの停止位置を自動的に決定する機能を実現するために、ゴルフ場データ格納部12に格納する実際のゴルフコースについてのデータとして、各ホールのコースレイアウトに関連して、上述した実施形態のものに加え、フェアウェーとラフの境界線の位置を特定するための位置情報も登録しておく。この境界線の位置を特定するための位置情報は、境界線上の任意の地点の絶対位置と、各地点の並び順を示す情報である。これにより、隣接する地点の絶対位置同士を直線等で結ぶことでフェアウェーとラフの境界線を再現できる。登録する境界線上の地点の数が多いほど、実際のフェアウェーの形に近いものを再現できる。また、池その他のウォーターハザードの境界線や、グリーンの外周縁を特定するための位置情報や、各ホールの領域を特定するための当該ホールの外周縁の位置を特定するための位置情報も登録する。これらのウォーターハザードの境界線や、グリーンの外周縁を特定するための位置情報や、ホールの外周縁の位置を特定するための位置情報は、フェアウェーとラフの境界線を特定するための位置情報と同様に、それぞれの境界線や外周縁上の任意の地点の絶対位置情報と、各地点の並び順を示す情報である。さらに、ゴルフ場データ格納部12には、カップの位置情報(絶対位置情報)も登録する。
このボールの停止位置を自動的に決定する機能を実施するためのアルゴリズムは以下の通りである。
【0094】
[ティーショット位置の決定]
まず、
図7(a)に示すように、制御部13は、ティーショットの位置Pを決定する。この決定は、上述した実施形態と同様にユーザの指定を受けて行っても良いし、ゴルフ場データ格納部12に登録しておいたティーグランド内の所定位置(エリア内の中心・前端中央等の予め設定した位置)に自動的に設定しても良い。
【0095】
[ボール停止位置の決定:フェアウェー両サイドに基づく]
次いで、制御部13は、クラブ選択スイッチを介して指定されたクラブ種を認識すると共に、推定飛距離算出機能によりスイング速度或いはボールスピードから推定飛距離を求める。制御部13は、ショットの位置Pを中心とした推定飛距離rの同心円Sと、フェアウェーFの両サイド(ラフとの境界線)との交点A,Bを求め、その交点A,Bを結ぶ仮想線KSの中点Qを求める。すなわち、制御部13は、同心円Sの円周付近に存在するフェアウェートラフとの境界線を特定するため位置情報として登録された地点を抽出し、各地点の並び順を示す情報から、同心円Sの円周を跨いで存在する連続する2つの地点を求め、その2つの地点を結ぶ線分と同心円Sとの交点を求める。制御部13は、係る処理をフェアウェーFの両サイドでそれぞれ実行することで、それぞれの交点A,Bを求める。
【0096】
制御部13は、求めた中点Qに基づいてボールの停止位置を決定する。具体的には、係る中点Qの位置を停止位置とする。そして、制御部13は、求めた停止位置に対応するコースレイアウト表示上の位置に、停止位置を示すアイコン(図では「×」としているが、ボールを模したものその他各種のものとすることができる)を描画する。このように、2つの交点A,Bを結ぶ直線からなる仮想線KSの中点をボール停止位置に決定するのは、演算処理が簡易に行えるためである。なお、図示した同心円Sや、仮想線KSは、制御部13の演算処理のアルゴリズムを説明するためのもので、それらの同心円S,仮想線KSは、実際には表示装置14に表示しない。
【0097】
[2打目以降のショット]
2打目以降のショットの場合、制御部13は、前回のショットに伴い自動的に決定したボールの停止位置を今回のショット位置に設定する。
図8に示すように、制御部13は、上記と同様に推定飛距離算出機能によりスイング速度或いはボールスピードから推定飛距離を求め、打った地点(今回のショット位置)を中心とした推定飛距離r1の同心円S1と、フェアウェーFの両サイド(ラフとの境界線)との交点A1,B1を求め、その交点A1,B1を結ぶ仮想線KS1の中点Q1を求める。そして、制御部13は、求めた中点Q1に基づいてボールの停止位置を決定する。ここでは、係る中点Q1の位置をボールの停止位置に決定する。そして、制御部13は、求めた停止位置に対応するコースレイアウト表示上の位置に、停止位置を示すアイコン(図では「×」としているが、ボールを模したものその他各種のものとしてもよい)を描画する。
【0098】
[グリーンオン処理]
図8に示すように、推定飛距離に基づく同心円が、同心円S3のようにグリーンGと交差する場合には、制御部13は、グリーンオンしたと判定する。グリーンGと交差するか否かの判断は、ゴルフ場データ格納部12に登録されたグリーンの外周縁と、推定飛距離に基づく同心円の交点が有るか否かで行う。制御部13は、当該交点が存在する場合には、グリーンオンしたと決定する。
【0099】
グリーンオンしている場合、制御部13は、グリーン上のボールの停止位置を決定する。つまり制御部13は、同心円S3とグリーンGの境界線との交点を求め、その交点を結ぶ仮想線の中点を求め、係る中点に基づいてグリーンオンした位置を決定する。係る処理は、フェアウェーの両サイド(ラフとの境界線)と同心円S,S1の交点を求める処理におけるフェアウェーの両サイドを、グリーンの境界線に置き換えることで実行できる。
【0100】
[ホールアウト処理]
制御部13は、ゴルフ場データ格納部12に登録しているカップ位置の位置情報を読み出し、上記のグリーンオンした位置からカップ位置までの距離(残り距離)を求める。求めた残り距離が所定の距離(例えば1m)以下の場合は、チップインとみなし、当該ホールの処理を終了し、次のホールのプレイに移行する。
【0101】
本実施形態のゴルフ練習・支援装置は、パットの距離も推測できる。そこで、上記のカップまでの残り距離が所定の距離を超えている場合、制御部13は、グリーンオンした位置からカップまでの残り距離から、パットしたことにより求めた推定飛距離を減算してパット後の残り距離を求める。係るパット後の残り距離が所定距離(例えば1m)以下になった場合、カップインとみなし、制御部13は、表示装置14にカップインを表現する表示を数秒間行う。また、残り距離が1~3mの範囲では“OK”(1打プラスでホールアウト)とし、制御部13は、表示装置14にOKを表現する表示を数秒間行う。
【0102】
また、パットに基づく処理は省略し、グリーンオンした位置を求め、その位置とカップまでの距離が所定の距離(例えば1m)以内の場合はチップインしたと判定し、所定の距離以上の場合には、パット数として1打付加してホールアウトしたとする制御を行っても良い。また、パット数は、単純にグリーンオンしたならば1打付加するのではなく、カップまでの距離に応じて所定数を付加するようにしても良い。
【0103】
[フェアウェーの両サイドが利用できない場合の処理]
図7に示すように、例えばティーグランドから打ったボールの推定飛距離r4が短くてフェアウェーに届かない場合がある。すると、推定飛距離r4の同心円S4と、フェアウェーFの両サイドとの交点が求められない。係る場合、制御部13は、フェアウェーの両サイドに替えて、ホールの両サイドを用いる。すなわち、ゴルフ場データ格納部12には、ホールの外周縁の位置を特定するための位置情報も登録されているので、上述したフェアウェーの両サイドと同様の処理、つまり、フェアウェーとラフの境界線の位置を特定ルための位置情報をホールの外周縁の位置を特定するための位置情報に置き換えて処理する。
【0104】
すなわち、制御部13は、同心円S4の円周付近に存在するホールの外周縁を特定するため位置情報として登録された地点を抽出し、各地点の並び順を示す情報から、同心円S4の円周を跨いで存在する連続する2つの地点を求め、その2つの地点を結ぶ線分と同心円S4との交点を求める。制御部13は、係る処理をホールの両サイドでそれぞれ実行することで、それぞれの交点A″,B″を求める。そして、制御部13は、その交点A″,B″を結ぶ仮想線KS″の中点Q4を求め、求めた中点Qに基づいてボールの停止位置を決定する。具体的には、係る中点Q4の位置を停止位置とする。そして、制御部13は、求めた停止位置に対応するコースレイアウト表示上の位置に、停止位置を示すアイコン(図では「×」としているが、ボールを模したものその他各種のものとすることができる)を描画する。
【0105】
また、グリーンに向けて打ったボールの推定飛距離が短くてボールの停止位置がフェアウェーとグリーンの間になる場合がある(
図8中、同心円S2参照)。係る場合、同心円S2と、フェアウェーの両サイドとの交点を求めることができないので、制御部13は、そのホールの両サイドと同心円S2との交点A2,B2を求め、その交点同士を結ぶ仮想線KS2の中点に基づいてボールの停止位置を決定する。
【0106】
[ボール停止位置の決定(変形例1):ホールサイドに基づく]
上述したボールの停止位置を自動的に決定する実施形態では、フェアウェーの両サイドA,B間の中点Qに基づいて停止位置を決定したが、本発明はこれに限るものではない。例えば、制御部13は、そのホールの両サイドと同心円Sとの交点A′,B′の中点に基づいて決定する。すなわち、ゴルフ場データ格納部12には、ホールの外周縁の位置を特定するための位置情報も登録されているので、上述したフェアウェーの両サイドと同様の処理、つまり、フェアウェーとラフの境界線の位置を特定ルための位置情報をホールの外周縁の位置を特定するための位置情報に置き換えて処理する。つまり、当該同心円とフェアウェーの両サイドの交点が存在する場合でも、上述した「フェアウェーの両サイドが利用できない場合の処理」を実行する。このようにすると、フェアウェーと同心円との交点の有無に関係無く、同じアルゴリズムでボールの停止位置を決定できるのでよい。
【0107】
但し、ホールによっては、左側或いは右側の片方に大きな林などが存在していて、フェアウェーの片側の領域の方が極端に広くなる場合もある。係る場合、ホールの両サイド間の中点をとると、ボールの停止位置がフェアウェーから外れたり、場合によっては林の中になったりするおそれもある。この場合、フェアウェー内の所定位置をボールの停止位置に決定する機能を備えると良い。係る機能は、例えば、ホールの両サイドとの交点を結ぶ仮想線の中点を求め、その中点位置がフェアウェー内か否かを判断する。フェアウェー内の場合には、その中点位置をボールの停止位置に決定する。一方、フェアウェー外の場合、仮想線KS上でフェアウェー内の所定位置、たとえば、中点位置に近い側のフェアウェーのサイドとの交点を求め、その位置に基づいてボールの停止位置を決定する。係る交点が存在しない場合には、フェアウェーに届いていない場合等であるため、仮想線の中点をボールの停止位置に決定する。
【0108】
[ボール停止位置の決定(変形例2)]
上述した実施形態並びに変形例1では、ショット位置を中心とした半径が推定飛距離の同心円と、フェアウェー,グリーン或いはコースの両サイドとの交点同士を結ぶ仮想線を求め、その仮想線の中点をボールの停止位置とした。この仮想線は、同心円の円周上にある2つの交点間の弦でもあり、係る仮想線の中点の位置をボールの停止位置とすると、推定飛距離よりも短くなる。
【0109】
そこで、ボールの停止位置を当該同心円の円周上の所定位置に設定すると良い。具体的には、制御部13は、当該同心円とフェアウェーの両サイドの交点をA,Bとした場合の弧ABの中点を求め、その位置をボールの停止位置に決定する。この弧ABの中点は、例えば上述した交点A,Bを結ぶ直線状の仮想線KSの中点Qを利用すると、同心円Sの中心P(ショット位置)から中点Qを通る半径と交差する同心円Sの円周上の点を求め、そこをボールの停止位置とする。このように仮想線KSの中点Qに基づいて決定するものに限ることなく、弧ABの中点を求める演算処理を行っても良い。このように同心円Sの円周上にボールの停止位置を決定することで、推定飛距離通りの位置にボールの停止位置が来るので、正確なシミュレーションを行える点で好ましい。
【0110】
上記の同心円の円周上の所定位置をボールの停止位置に決定するのは、フェアウェーの両サイド間の円弧の中点に限ることなく、当該同心円とグリーンの両サイドとの交点間の円弧の中点を用いてグリーンオンの位置を求めたり、当該同心円とホールの両サイドとの交点間の円弧の中点を用いてボールの停止位置を求めたりするとよい。
【0111】
図7のティーグランドから打って推定飛距離r2が短くフェアウェーに届かなかった場合を例にとって説明すると、ホールの両サイドの幅は、フェアウェーの幅に比べる長くなるので、ボールの停止位置を弦A″B″の中点Q4とした場合と、弧A″B″の中点Q4′とした場合では、飛距離の差が大きくなるため、弧A″B″の中点Q4′をボールの停止位置とするのが、正確にシミュレーションを行える。
【0112】
また、
図8の2打目のショットを例にとって説明すると、推定飛距離の同心円が“S2”のように、推定飛距離がフェアウェーとグリーンの間の場合、当該ホールの両サイドの交点A2,B2を結ぶ仮想線(弦)KS2の中点の位置をボールの停止位置にすると、推定飛距離ではフェアウェーを超えているにもかかわらず、当該仮想線KS2の中点の位置はフェアウェー内に収まるという矛盾も生じるが、この変形例のように、推定飛距離の同心円S2の円周上にボールの停止位置に決定すると、係る矛盾を生じない。
【0113】
特に、ホールのコースレイアウトがドッグレックしていたり、ホールの幅が広かったりして、同心円とホールの両サイドの2つの交点間の距離が長い場合に、当該交点を直線で結んだ仮想線(弦)上にボールの停止位置を決定するのと、同心円(円弧)上にボールの停止位置を決定するので、差が大きくなる。
【0114】
よって、全てをこの変形例のようにボールの停止位置を同心円上に設定する仕様としても良いし、通常は演算処理が容易な仮想線の中点を利用し、同心円上の2つの交点間の距離が基準値を超えた場合には同心円上(2つの交点間の円弧の中点)に設定するようにしても良い。
【0115】
[ボールの停止位置修正機能]
制御部13は、自動決定したボールの停止位置に対する位置修正機能を持たせると良い。すなわち、例えば表示装置14にタッチパネルを重ねて配置した場合、制御部13は、ユーザがボールの停止位置を示すアイコンをドラッグしたことを検知すると、そのドラッグに応じて停止位置を移動する。このときの移動は、仮想線上或いは同心円上とすると良い。また、タッチパネルがない場合には、制御部13は、スイッチ19として用意したカーソルキーからの移動方向の指示等を受け、その指示された移動方向に停止位置を示すアイコンを仮想線上或いは同心円上で移動する。
【0116】
[ウォーターハザード等の処理]
ゴルフ場データ格納部12には、ウォーターハザード等のエリアを特定するための位置情報(境界線)も登録されている。そこで、制御部13は、上述した各種のアルゴリズムにより求めたボールの停止位置が、ウォーターハザード内か否かを判定し、ウォーターハザード内の場合には、ウォーターハザードの手前側の所定位置をボールの停止位置に決定すると共に、1打付加する。かかるウォーターハザードの手前側の所定位置は、例えば、最初に求めたウォーターハザード内のボールの停止位置と、カップ位置とを通る直線と、ウォーターハザードの境界線(グリーンと反対側)との交点を求め、係る交点を当該所定位置に決定する。
【0117】
[演算処理の可視化]
なお、上述した実施形態では、同心円Sや仮想線KSを描画せず、停止位置を示すアイコンを描画する態様としたが、制御部13は、合わせて推定飛距離rの同心円Sを描画したり、同心円Sに加えて仮想線KSを描画したりする機能を持たせても良い。
【0118】
[攻略ルートを利用する実施形態]
自動的にボールの停止位置を決定するアルゴリズムは、上述した各例に限ることはない。例えば
図9に示すように、ホールごとに攻略ルートRTを登録しておき、ボールは攻略ルートRT上に停止するように決定する。
【0119】
すなわち、ゴルフ場データ格納部12に、攻略ルートRTを特定するための位置情報を、各ホールに関連付けて登録しておく。この攻略ルートRTは、ティーグランドの所定位置(例えば中央)からグリーン(カップ)までの結ぶものとなる。この攻略ルートRTを特定するための位置情報は、フェアウェーとラフの境界線の位置を特定するための位置情報等と同様に、攻略ルートRT上の任意の地点の絶対位置と、各地点の並び順を示す情報である。攻略ルートRTを示す線上の多くの位置の位置情報を登録することで、複雑な曲線でも再現できるし、より正確な攻略ルートを作成できる。
【0120】
そして、
図9に示すように、ドックレッグしたコースでは、攻略ルートRTは、曲線或いは折れ線で特定する。このように攻略ルートが曲がっている場合、攻略ルートRTを特定するための位置情報は、ティーグランド内の所定位置と、グリーン内の所定位置(カップ位置)に加え、その曲がっている変曲点の地点の位置情報を登録する。登録する変曲点の地点の数が増すほど、なめらかでコースレイアウトに沿った攻略ルートを設定できる。一方、登録する数が少なくなるほど、再現される攻略ルートRTは直線的な折れ線となり、なめらかな曲線を再現できなくなるが、メモリの使用容量を削減できる。
【0121】
ショートホールその他の直線的なコースレイアウトのホールでは、攻略ルートRTは、ティーグランドとカップを結ぶ直線で特定してもよい。係る直線とした場合、攻略ルートRTを特定するための位置情報は、少なくともティーグランド内の所定位置とグリーン(カップ)の2つの地点の絶対位置を登録することになる。もちろん、直線上の複数の地点の位置情報を登録しても良い。
【0122】
実際のカップ位置は、日によって異なるので、グリーンの中央などを仮想的なカップ位置として攻略ルートRTを設定すると良い。また、攻略ルートRTは、実際にはコース上に植えられた木その他の障害物の影響や、プレーヤーの飛距離によっても異なるが、例えばゴルフ場等で推奨・例示されているルートが有れば、それを利用するとよい。
【0123】
[停止位置の決定処理]
実際のボールの停止位置の決定処理は、以下のようにする。制御部13は、クラブ選択スイッチを介して指定されたクラブ種を認識すると共に、スイング速度或いはボールスピードから推定飛距離を求め、打った地点Pを中心とした推定飛距離rの同心円Sと、攻略ルートRTとの交点Q′を求め、その交点Q′の位置をボールの停止位置に決定する。同心円Sと攻略ルートRTとの交点Q′は、例えば攻略ルートRTを特定するために登録された位置情報の中から、同心円Sの円周の手前側と奥側で登録されている隣接する2つの位置の位置情報を取得し、その2つの位置を結ぶ線と同心円Sの円周との交点を求めることで決定する。そして、決定したボールの停止位置に対応するコースレイアウト表示上の位置に、停止位置を示すアイコンを描画する。2打目以降も同様の手順でボールの停止位置を求め、ホールアウトするまで繰り返し行う。その他の処理は、上述したものと同様にすることができる。このように攻略ルートRTを設定しておくことで、ショットごとのボールの停止位置を決定する処理が簡単に行える。
【0124】
[攻略ルートのユーザ登録処理]
攻略ルートRTは、出荷時或いは購入後のデータ更新によりゴルフ場データ格納部12に登録しているが、ユーザが登録する機能を備えると良い。すなわち、制御部13は、ユーザからの指示に従い登録するホールのコースレイアウトを表示装置14に表示する。ユーザは、表示されたコースレイアウト中の任意の地点をタッチして指定する。このとき、ティーグランドからグリーンに向かう経路を順番にタッチする。制御部13は、指定された地点を丸その他のマークで描画すると共に、隣接する地点同士を接続する直線を描画する。これにより、折れ線からなる攻略ルートが、コースレイアウトに重ねられて描画される。ユーザは、表示された攻略ルートで良ければ、確定ボタン等を押下する。制御部13は、その確定ボタンの押下を検出すると現在表示している攻略ルート(ユーザのタッチした地点)をユーザデータの攻略ルートについての情報として登録する。
【0125】
また、ユーザデータの攻略ルートを特定する各地点は、編集モードでその位置を移動したり、設定済みの地点を削除したり新たに追加したりする機能を備えるとよい。これにより、ユーザの技術力の向上等に応じて攻略ルートを設定できる。このようにすると、ユーザは、自分の持ち玉や飛距離等に応じて適切な攻略ルートを設定することができ、より実戦にあったシミュレーション・練習ができる。
【0126】
また、標準で登録された攻略ルートについても、編集できる機能を備えると良い。すなわち、係る攻略ルートが、登録された複数の地点(変曲点)を接続することで再現する場合、その各地点を移動等できるようにする。編集後の攻略ルートは、上書きにより更新しても良いし、ユーザデータとして別途保存するようにしても良い。
【0127】
また、標準で準備される攻略ルートは、実施形態では各ホールに1つずつとしたが、複数設定し、使用に際してユーザに選択させるようにしても良い。複数の攻略ルートとしては、例えば、「一般男性」,「女性」(レディースティからの攻略ルート),「長距離ヒッター」,「初心者」(飛距離の短め人用)などがある。
【0128】
使用に際しては、制御部13は、ユーザデータの攻略ルートと、標準で設定された攻略ルートのいずれかに基づいてボールの停止地点を決定する。いずれを使用するかは、その都度ユーザからの指示を受け付けても良いし、ユーザデータがある場合にはユーザデータを優先して使用するようにしても良い。
【0129】
上記の各モードにおいて、制御部13は、実際にボールを打った場合に、ミート率を求める機能を備えるとよい。ミート率は、ヘッドスピードと、打ち出したボールのスピード(初速)に基づいて求めることができる。つまり、ボールをキレイに打ち抜くことができた(ミート率が高い)場合、ゴルフクラブ2のヘッド2aがボール4を潰しながら押し出し、ボール4は自己の弾性復元力による反発力と、ヘッド2aから受け取った慣性モーメントにより、ボールスピード(初速)は速くなる。一方、キレイに打ち抜くことができない(当たりが悪い:ミート率が小さい)場合、上記の反発力も小さいとともに、ヘッド2aから受け取る慣性モーメントも小さく、ボールスピードも遅くなる。そこで、制御部13は、
ミート率=ボールスピード/ヘッドスピード
によりミート率を算出する。
【0130】
制御部13は、クラブ種ごとにミート率を集計し、平均値や、最高値並びに最低値を求め、記憶装置20に記録したり、表示装置14に表示する。ユーザは、クラブ種ごとの平均値を見ることで、ミート率の高い得意なクラブと、ミート率の低い不得意なクラブを客観的に認識でき、その後の練習計画の構築に役立たせることができる。また、最高値と最低値を見ることで、その差から、ミート率の安定しているクラブ種と安定していないクラブ種を知ることができる。ミート率が安定しているクラブ種の場合、ヘッドスピートが一定とすると、飛距離のばらつきも小さくなるが、ミート率が安定していない場合にはヘッドスピードが一定としても飛距離のばらつきが大きくなる。ヘッドスピードから求めた推定飛距離に対し、ミート率に基づく係数を掛けることで、実際の予測飛距離を求めるようにしても良い。
【0131】
この係数は、単純にミート率をそのまま用いても良いし、ミート率に対する掛け率のテーブルを用意し、ミート率に対する掛け率を用いても良い。掛け率は、ミート率が高いほど大きい値となる。
【0132】
ゴルフ練習モードの場合、上述したように、計測結果としてミート率を表示装置14に出力することで、ユーザは、各クラブ種の得手・不得手等を認識することができる。ミート率の表示は、単純にテキスト表示しても良いし、棒グラフや、同心円などのグラフィックにて平均値・最高値・最低値を示し、ばらつきの範囲がクラブ種ごとに直感的に理解できるようにしても良い。
【0133】
また、ゴルフナビモードで動作中は、現在位置からクラブ種を選択した場合の推定飛距離(平均値)やばらつきの範囲(最高・最低)を求め、表示するに際し、ミート率を考慮した予測飛距離を求め、それを表示するようにしてもよい。
【0134】
さらに、実際のゴルフ場のコースレイアウトを用いたトレーニングモードにおいて、ミート率を加味した処理をすると、より現実的なものとなる。すなわち、ミート率が低い場合には、推定飛距離が落ちるが、打ち損ねに伴い真っ直ぐ飛ばない(スライス/フックする)ことが多い。そこで、
図10に示すように、制御部13は、ミート率が基準値以下の場合、攻略ルートRTから所定角度θだけずらした位置をボールの停止位置に決定する。すなわち、制御部13は、ミート率の低下に伴い推定飛距離も短くなった同心円S′と、攻略ルートRTから角度θだけ回転させた補正線との交点Q″を求め、それをボールの停止位置とする。角度を用いることで、飛距離が短ければ攻略ルートRTからのずれ量も少ないが、飛距離が長い場合には攻略ルートRTからのずれ量も大きくなるので、実際のプレイに沿ったものとなる。
【0135】
角度θは、固定値でも良いし、ミート率が低いほど大きくしてより大きく曲がる(攻略ルートからずれる)ようにしても良い。そして、ずらす方向であるが、その都度ランダムに決定しても良いし、予め決めた方向にずらしても良いし、ミート率が基準値以下の場合に、ユーザに対して右/左のどちらにずらすか問い合わせ、ユーザからの指示を待ってその指示された方向にずらすようにしても良い。予め決めた方向は、装置として常に片側にずらすようにするものでも良いし、ユーザからの指定を受けても良い。ユーザがミスショットをした場合に右/左のどちらに曲がるかがある程度決まっている場合、後者の方式をとることでより実際の状況に近づく。
【0136】
次のショットは、係る攻略ルートからずれたボールの停止位置をショット位置として処理を実行する。つまり、スイング等に基づき推定飛距離を求めたならば、係るずれたボールの停止位置を中心とした同心円と、攻略ルートRTとの交点を求め、そこを次のボールの停止位置とする。
【0137】
また、このように攻略ルートRTからずれた場合や、飛距離が短かったり長すぎたりして、ボールの停止位置がラフ等のフェアウェーから外れることがある。この場合、係る位置から実際にボールを打つ場合には、ミスショットしやすいので、フェアウェー以外からショットする場合には、求めた推定飛距離に対して所定の係数を掛けて飛距離を短くしたり、ランダムで攻略ルートRTから所定角度θだけずらしたりする機能を備えると、おもしろみが増す。
【0138】
各モードで記憶装置14に格納した各結果は、パソコンに転送し、パソコンの記憶装置に格納し、長期にわたり大量のデータを保存・管理することができる。また、そのように記録したデータをパソコンの画面に表示することで、より見やすくなると共に、より複雑な演算処理・統計処理などとることで、より詳細な解析をすることもできる。
【0139】
また、上述した各実施形態では、ゴルフ場のコースレイアウト等のゴルフ情報をゴルフ場データ格納部12に登録しておき、制御部13は、そのゴルフ場データ格納部12にアクセスして必要なデータを読み出し、各種の処理をしたが、本発明はこれに限ることはない。すなわち、係るゴルフ場データ格納部12に登録する情報の一部または全部をサーバに登録しておく。そして、ゴルフ練習・支援装置は、係るサーバと通信する機能を備え、制御部13は、適宜サーバにアクセスし、必要な情報を取得して処理を実行する。
【0140】
この場合にサーバに登録する情報は、ゴルフ場のコースレイアウト等の複数のユーザに共通する情報はもちろんのこと、トレーニングモードで使用するユーザが設定した攻略ルート等のユーザ固有の情報のいずれもあり得る。共通の情報は、各人がアクセスして取得でき、ユーザ固有の情報については、ID等により識別し、そのユーザ本人のみがアクセスできるようにする。さらに各モードで記憶装置14に格納した各結果もユーザ固有の情報としてサーバに登録しておき、平均飛距離等その後に利用する際に当該サーバにアクセスして取得した後、上述した各処理を実行するようにしてもよい。
【0141】
上述した各実施形態並びに変形例では、第1ケース本体21と第2ケース本体22の側面に設けた第1コネクタ23と第2コネクタ36を直接接続することで、両ケース本体を一体化したが、本発明はこれに限ることはなく、両コネクタ23,36間を接続ケーブルで接続しても良い。その場合に、接続ケーブルは信号のみでなく電力も送れるものを使用し、第1ケース本体21から第2ケース本体22に向けで電力供給をするようにしてもよいし、第2ケース本体22側でも別途電池等を備え、第2ケース本体22側で独自に駆動するようにしても良い。
【0142】
さらには、第1ケース本体21と第2ケース本体22間のデータ通信は、接続ケーブルのように有線で行うものに限られず、赤外線その他の無線通信を利用して行うものでも良い。その場合には、第1ケース本体21と第2ケース本体22は、別ユニットとなり、それぞれを適切な位置に設置して使用することができる。
【0143】
なお、接続ケーブルや無線通信を利用して両ケース本体間でのデータ通信をする場合、第2ケース本体22の接続の有無の判断は、例えば、第1ケース本体21に設けたスイッチに基づいて行うようにしてもよいし、第2ケース本体22側から信号が送られてきているか否かにより判断するようにしても良い。
【符号の説明】
【0144】
10 ゴルフ練習・支援装置
11 位置計測部
12 ゴルフ場データ格納部
13 制御部
14 表示装置
15 スピーカ
16 接続状態検知部(判定手段)
17 電池
21 第1ケース本体
22 第2ケース本体
31 ドップラーセンサ(速度計測センサ)