(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054234
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】陽イオン性神経毒
(51)【国際特許分類】
C12N 15/31 20060101AFI20240409BHJP
C07K 14/33 20060101ALI20240409BHJP
C12P 21/00 20060101ALI20240409BHJP
C12P 21/06 20060101ALI20240409BHJP
A61K 38/16 20060101ALI20240409BHJP
A61P 27/02 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/02 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/08 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/14 20060101ALI20240409BHJP
A61P 17/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 21/02 20060101ALI20240409BHJP
A61P 21/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/06 20060101ALI20240409BHJP
A61P 25/16 20060101ALI20240409BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 13/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 15/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 1/00 20060101ALI20240409BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240409BHJP
A61P 1/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C12N15/31
C07K14/33 ZNA
C12P21/00 C
C12P21/06
A61K38/16
A61P27/02
A61P25/02
A61P25/00
A61P25/08
A61P25/14
A61P17/00
A61P21/02
A61P21/00
A61P25/06
A61P25/16
A61P35/00
A61P13/00
A61P15/00
A61P1/00
A61P1/04
A61P1/02
【審査請求】有
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016868
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021206753の分割
【原出願日】2014-07-09
(31)【優先権主張番号】1312317.9
(32)【優先日】2013-07-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(71)【出願人】
【識別番号】510319889
【氏名又は名称】イプセン バイオイノベーション リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000774
【氏名又は名称】弁理士法人 もえぎ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】アンダーソン,ディーナ ブレイディ
(72)【発明者】
【氏名】ハケット,ギャビン スティーブン
(72)【発明者】
【氏名】リュー,サイ マン
(57)【要約】 (修正有)
【課題】既知のクロストリジウム毒素と比較して、投与部位における組織保持性が増加したクロストリジウム毒素を提供する。
【解決手段】少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素であって、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.2pI単位だけ高い値にする改変クロストリジウム毒素を提供する。更に、治療における、改変クロストリジウム毒素の対応する使用を提供する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素であって、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.2pI単位だけ高い値にする、改変クロストリジウム毒素。
【請求項2】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.5pI単位だけ高い値にする、請求項1記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項3】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする、請求項1記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項4】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも2pI単位だけ高い値にする、請求項1記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項5】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、2乃至5pI単位だけ高い値にする、請求項1記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項6】
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが少なくとも6である、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項7】
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが6乃至10である、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項8】
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが7乃至9、好ましくは8乃至9である、請求項7記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項9】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、及びアミノ酸欠失から選択される、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項10】
前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、及び非荷電アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換から選択される、請求項9記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項11】
前記改変クロストリジウム毒素は、1乃至80個のアミノ酸修飾を含む、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項12】
前記改変クロストリジウム毒素は、4乃至40個のアミノ酸修飾を含む、請求項11記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項13】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素の受容体結合ドメイン(HCドメイン)に位置する、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項14】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素のHCNドメインに位置する、請求項13記載の改変クロストリジウム毒素
【請求項15】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、表面露出アミノ酸残基の修飾である、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項16】
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ヒスチジン残基、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、システイン残基、又はチロシン残基から選択されるアミノ酸残基の修飾を含む、先行請求項の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項17】
前記アミノ酸残基は、リジン残基又はアルギニン残基により置換される、請求項16記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項18】
請求項1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素をコードする核酸配列を含む核酸。
【請求項19】
軽鎖及び重鎖を有する単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を生産する方法であって、請求項18記載の核酸を適切な宿主細胞内で発現させることと、前記単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を含有する宿主細胞のホモジネートを提供するために前記宿主細胞を溶解することと、前記単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を単離することと、を含む方法。
【請求項20】
改変クロストリジウム毒素を活性化する方法であって、請求項19記載の方法により取得可能な単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を提供することと、前記軽鎖と重鎖との間に位置する認識部位(切断部位)においてポリペプチドを切断するプロテアーゼにポリペプチドを接触させることと、前記ポリペプチドを、前記軽鎖と重鎖とがジスルフィド結合により互いに連結された二本鎖ポリペプチドに転換させることと、を含む方法。
【請求項21】
医薬において用いる、請求項1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項22】
斜視、眼瞼痙攣、斜視(squint)、ジストニア(例えば、痙性ジストニア、顎口腔ジストニア、限局性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頚(例えば、痙性斜頚)、細胞/筋肉の(SNAREの下方制御又は不活性化による)無能力化が有効となる美的療法(美容)用途、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば、共同斜視、上下斜視、外側直筋麻痺、眼振、甲状腺機能低下ミオパチー)、書痙、眼瞼痙攣、歯ぎしり、ウィルソン病、振戦、チック、分節性ミオクローヌス、攣縮、慢性多発性硬化症による痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニムス、背部痙攣、筋肉硬直、緊張性頭痛、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音症、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、限局性痙縮、痙性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、歯ぎしり、裂肛、アカラシア、嚥下障害、流涙、多汗症、過剰唾液分泌、過剰消化管分泌、筋肉痛(例えば、筋痙攣による痛み)、頭痛(例えば、緊張性頭痛)、額の皺、皮膚の皺、癌、子宮障害、泌尿生殖器障害、泌尿生殖器神経障害、慢性神経性炎症、及び平滑筋障害から選択される疾患又は状態の予防又は治療に用いる、請求項1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
【請求項23】
実質的に本明細書において添付図面を参照して説明された改変クロストリジウム毒素。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素、及びこうした改変クロストリジウム毒素の医薬及び治療における使用に関する。
【背景技術】
【0002】
クロストリジウム属の細菌は、送達された先のニューロン及び他の細胞を毒することが可能な、非常に強力で特異的なタンパク質毒素を生成する。こうしたクロストリジウム毒素の例には、C. tetani(TeNT)及びC. botulinum (BoNT)血清型A-Gにより生産される神経毒、並びにC. baratii及びC. butyricumにより生産されるものが含まれる。
【0003】
クロストリジウム毒素の中には、最も強力な毒素として知られているものがある。一例として、ボツリヌス神経毒は、マウスに対する半致死量(LD50)値が血清型に応じて0.5乃至5ng/kgの範囲である。破傷風及びボツリヌス毒素は共に、患部ニューロンの機能、具体的には、神経伝達物質の放出を阻害することにより作用する。ボツリヌス毒素は、神経筋接合部において作用し、末梢神経系におけるコリン性伝達を阻害する一方、破傷風毒素は、中枢神経系において作用する。
【0004】
本来、クロストリジウム毒素は、単鎖ポリペプチドとして合成され、翻訳後にタンパク質切断事象により修飾され、ジスルフィド結合により互いに連結された2本のポリペプチド鎖が形成される。切断は、鎖間ジスルフィド結合をもたらすシステイン残基間に位置する特異的な切断部位において生じる。この二本鎖形態が、この毒素の活性型となる。これらの二本鎖は、分子質量が略100kDaのものが重鎖(H鎖)、分子質量が略50kDaのものが軽鎖(L鎖)と呼ばれる。H鎖は、N末端転位置成分(HNドメイン)とC末端標的化成分(HCドメイン)とを含む。切断部位は、L鎖と転位置ドメイン成分との間に位置する。HCドメインの標的ニューロンとの結合、及び結合毒素のエンドソームを介した細胞内への内部移行に続いて、HNドメインは、エンドソーム膜を横断してサイトゾル内へL鎖を転座させ、L鎖は、プロテアーゼ機能(非細胞傷害性プロテアーゼとしても知られる)を提供する。
【0005】
非細胞傷害性プロテアーゼは、SNAREタンパク質(例えば、SNAP-25、VAMP、又はシンタキシン)として知られる細胞内輸送タンパク質をタンパク分解性に切断することで作用する。Gerald K (2002) "Cell and Molecular Biology」 (4th edition) John Wiley & Sons, Inc.を参照されたい。頭字語SNAREは、可溶性NSF付着受容体(Soluble NSF Attachment Receptor)という用語に由来し、NSFは、N-エチルマレイミド感受性因子(N-ethylmaleimide-Sensitive Factor)を意味する。SNAREタンパク質は、細胞内小胞融合に不可欠であり、そのため、細胞からの小胞輸送を介した分子の分泌に不可欠である。プロテアーゼ機能は、亜鉛依存性エンドペプチダーゼ活性であり、SNAREタンパク質に対して高い基質特異性を示す。したがって、所望の標的細胞に送達されると、非細胞傷害性プロテアーゼは、標的細胞からの細胞分泌を阻害することができる。クロストリジウム毒素のL鎖プロテアーゼは、SNAREタンパク質を切断する非細胞傷害性プロテアーゼである。
【0006】
SNAREタンパク質は遍在性を有することから、幅広い治療において、ボツリヌス毒素等のクロストリジウム毒素の利用が成功している。
【0007】
一例として、William J. Lipham, Cosmetic and Clinical Applications of Botulinum Toxin (Slack, Inc., 2004)には、ニューロン信号伝達を阻害するボツリヌス神経毒(BoNT)、BoNT/A、BoNT/B、BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/E、BoNT/F、及びBoNT/G並びに破傷風神経毒(TeNT)等のクロストリジウム毒素の様々な治療及び美容用途での使用が記載されており、一例として、BOTOXTMは、現在以下の適応症に対する治療剤として承認されている:アカラシア、成人痙縮、裂肛、背部痛、眼瞼痙攣、歯ぎしり、頸部ジストニア、本態性振戦、眉間皺又は多動性顔面皺、頭痛、片側顔面痙攣、膀胱の運動亢進、多汗症、小児脳性麻痺、多発性硬化症、ミオクローヌス障害、鼻唇皺、痙攣性発声障害、斜視、及び第VII神経障害。加えて、クロストリジウム毒素療法は、以下についても記載されている:神経筋障害の治療(US6,872,397参照)、子宮障害の治療(US2004/0175399参照)、潰瘍及び胃食道逆流疾患の治療(US2004/0086531参照)、ジストニアの治療(US6,319,505参照)、眼障害の治療(US2004/0234532参照)、眼瞼痙攣の治療(US2004/0151740参照)、斜視の治療(US2004/0126396参照)、疼痛の治療(US6,869,610、US6,641,820、US6,464,986、及びUS6,113,915参照)、線維筋痛症の治療(US6,623,742、US 2004/0062776参照)、腰痛の治療(US2004/0037852参照)、筋損傷の治療(US6,423,319参照)、副鼻腔炎性頭痛の治療(US6,838,434参照)、緊張性頭痛の治療(US6,776,992参照)、頭痛の治療(US6,458,365参照)、片頭痛の低減(US5,714,469参照)、心血管疾患の治療(US6,767,544参照)、パーキンソン病等の神経障害の治療(US6,620,415、US6,306,403参照)、精神神経障害の治療(US2004/0180061、US 2003/0211121参照)、内分泌障害の治療(US6,827,931参照)、甲状腺障害の治療(US6,740,321参照)、コリン性の影響を受けた汗腺障害の治療(US6,683,049参照)、糖尿病の治療(US6,337,075、US 6,416,765参照)、膵臓障害の治療(参照US6,261,572、US6,143,306)、骨腫瘍等の癌の治療(US6,565,870、US6,368,605、US6,139,845、US2005/0031648参照)、耳障害の治療(US6,358,926、US6,265,379参照)、胃腸筋障害及び他の平滑筋機能不全等の自律神経障害の治療(US5,437,291参照)、皮膚細胞増殖障害を伴う皮膚病変の治療(US5,670,484参照)、神経性炎症性障害の管理(US6,063,768参照)、脱毛の低減及び発毛の刺激(US6,299,893参照)、下向きの口角の治療(US6,358,917参照)、食欲の低減(US2004/40253274参照)、歯科的療法及び手順(US2004/0115139参照)、神経筋の障害及び状態の治療(US2002/0010138参照)、様々な障害及び状態並びに関連する疼痛の治療(US2004/0013692参照)、喘息及びCOPD等の粘液分泌過多により生じる状態の治療(WO00/10598参照)、及び炎症、内分泌状態、外分泌状態、免疫学的状態、心血管状態、骨状態等の非神経性の状態の治療(WO01/21213参照)。上述した公表文献は全て出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする。
【0008】
クロストリジウム毒素(例えば、BoNT及びTeNT)等の非細胞傷害性プロテアーゼのヒト及び他の哺乳動物の治療的及び美容的処置における使用は拡大し、これらの毒素の特性が有益となり得る疾病及び疾患の範囲と共に広がり続けると予想される。
【0009】
全身性の神経学的影響を回避するため、多くのクロストリジウム毒素療法では、所定の標的部位(標的組織等)へのクロストリジウム毒素治療剤の直接的投与を利用する。こうした形でクロストリジウム毒素に基づく治療剤を投与する際の問題は、投与部位から周囲の組織又は体循環への毒素の広がりである。標的組織からの毒素の拡散は、極端な場合は生命を脅かす恐れがある、望ましくない副作用の原因になると考えられる。これは、クロストリジウム毒素治療剤(BoNT治療剤)を高い投与量、濃度、及び注入量で用いる際に、特に懸念される。市販のBoNT/A治療剤について報告されている、こうした問題に関連する副作用には、無力症、全身筋力低下、複視、眼瞼下垂、嚥下障害、発声障害、構音障害、尿失禁、及び呼吸困難が含まれる。嚥下困難及び呼吸困難は、生命を脅かす恐れがあり、毒素作用の広がりに関連する死亡が報告されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】William J. Lipham, Cosmetic and Clinical Applications of Botulinum Toxin (Slack, Inc., 2004)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
したがって、当該技術分野において、既知のクロストリジウム毒素と比較して、投与部位における組織保持性が増加し、そのため、投与部位からの拡散の低減を示すクロストリジウム毒素に対する必要性が存在する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、特許請求の範囲に明記した改変クロストリジウム毒素を提供することにより上述した問題を解消する。
【発明を実施するための形態】
【0013】
一態様において、本発明は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素であって、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする改変クロストリジウム毒素を提供する。一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.4pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素より、少なくとも0.5pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.6pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.8pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。
【0014】
一態様において、本発明は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素であって、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする、改変クロストリジウム毒素を提供する。
【0015】
特定の実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、少なくとも2、3、4、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、又は80個のアミノ酸修飾を含む。
【0016】
特定の実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素のpIを上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも2、3、4、又は5pI単位だけ高い値にする。
【0017】
本発明者らは、クロストリジウム毒素のpIを、例えば、少なくとも0.2pI単位、又は0.5pI単位、又は1pI単位(クロストリジウム毒素タンパク質への少なくとも1つのアミノ酸修飾の導入により)上昇させることにより、結果的に生じた改変クロストリジウム毒素は、組織保持性が増加し投与部位からの拡散減少を示す利点を有する一方、標的細胞との結合、転位置、及び標的SNAREタンパク質(群)の切断の能力を維持することを発見した。したがって、クロストリジウム毒素の投与部位からの広がりは、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素と比較して、有意に減少する。
【0018】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、上述した治療法の何れかにおける使用に適しており、既知のクロストリジウム毒素治療剤の使用と比較して、副作用の低減又は欠如を示し得るという利点を有する。本発明の改変クロストリジウム毒素の組織保持性の増加は、更に、効力及び/又は作用持続時間の増加をもたらし、既知のクロストリジウム毒素治療剤と比較して使用すべき用量を減らすこと(或いは、副作用を全く追加することなく用量を増やすこと)を可能とするため、更に有利となる。
【0019】
以下に更に詳細に述べるように、少なくとも1つのアミノ酸修飾がもたらすpIの増加は、本発明の改変クロストリジウム毒素が、所定のpHにおいて、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素の正味電荷よりも高い正の正味電荷を有することを意味する。何れか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、この増加した正電荷により、本発明の改変クロストリジウム毒素が投与部位での長い組織保持時間を示すことが可能となるのは、投与部位における改変クロストリジウム毒素と陰イオン細胞外成分(細胞膜及びヘパラン硫酸プロテオグリカン等)との間の良好な静電相互作用のためであると考えている。こうした静電相互作用の改善は、改変クロストリジウム毒素の投与部位からの拡散を減少させる役割を果たし、したがって組織保持を向上させる。
【0020】
一例として、本発明の改変クロストリジウム毒素の組織保持特性の向上により、(i) 胸鎖乳突筋等の個別の筋肉内への高い投与量が、頚部の近傍の筋肉に広がり嚥下困難を引き起こすことなく可能となり、更に(ii)単一の治療での(全ての筋肉に対する)高い総投与量が、循環内へ広がり呼吸困難等の全身作用を引き起こすことなく可能となる。患者に対する利点には、胸鎖乳突筋等の大きな筋肉に対する治療の効果が高くなること、各治療中に幾つかの異なる筋肉に注射する機会が増加すること、及び高投与量のため、有効な治療の持続期間を長くできること(再治療が必要となるまでの期間が長くなること)が含まれる。
【0021】
一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、使用中(例えば、使用中の改変クロストリジウム毒素が組織内の所望の投与部位に位置する時)、正の正味電荷を有する。
【0022】
等電点(pI)は、所定のタンパク質の特異的性質である。当該技術分野において周知であるように、タンパク質は、アミノ酸(タンパク質中では、アミノ酸残基とも呼ばれる)の特異的配列により形成される。20種類の標準セットの各アミノ酸は、異なる側鎖(又はR基)を有しており、これは、タンパク質中の各アミノ酸残基が、電荷及び疎水性等、異なる化学的性質を示すことを意味する。こうした性質は、温度及びpHといった周囲の化学的環境に影響される場合がある。タンパク質の全体的な化学的特徴は、こうした様々な要素を合計したものに応じて決まる。
【0023】
特定のアミノ酸残基(以下に詳述)は、周囲のpHに応じた電荷を示し得るイオン化可能な側鎖を有する。こうした側鎖が所定のpHで荷電するか否かは、関連するイオン化可能部分のpKaに応じて決まり、ここでpKaは、共役塩基からの特定の陽子に対する酸解離定数(Ka)の負対数である。
【0024】
例えば、アスパラギン酸及びグルタミン酸等の酸性残基は、pKa値が略4.1である側鎖カルボン酸基を有する(正確なpKa値は、温度、イオン強度、及びイオン化可能な基の微小環境に左右される)。したがって、これらの側鎖は、pH7.4(「生理的pH」と呼ばれる場合が多い)において、負電荷を示す。低いpH値において、これらの側鎖は、プロトン化され、電荷を失う。
【0025】
反対に、リジン及びアルギニン等の塩基性残基は、pKa値が略10乃至12である含窒素側鎖基を有する。したがって、これらの側鎖は、pH7.4において正電荷を示す。これらの側鎖は、高いpH値において、脱プロトン化され、電荷を失う。
【0026】
したがって、タンパク質分子の全体的な(正味)電荷は、タンパク質中に存在する酸性及び塩基性残基の数(及びその表面露出の度合い)と、周囲のpHとに応じて決まる。周囲のpHを変化させることで、タンパク質の全体的な電荷が変化する。したがって、全てのタンパク質について、正電荷及び負電荷の数が等しくなり、タンパク質が全体的な正味電荷を示さなくなる所定のpHが存在する。この点は、等電点(pI)として知られている。等電点は、当業者が精通しているであろうタンパク質生化学における標準的な概念である。
【0027】
そのため、等電点(pI)は、タンパク質がゼロの正味電荷を示すpH値として定められる。pIの上昇は、タンパク質がゼロの正味電荷を示すために高いpH値を必要とすることを意味する。したがって、pIの上昇は、所定のpHにおけるタンパク質の正味の正電荷の増加を表す。反対に、pIの低下は、タンパク質がゼロの正味電荷を示すために低いpH値を必要とすることを意味する。したがって、pIの低下は、所定のpHにおけるタンパク質の正味の正電荷の減少を表す。
【0028】
タンパク質のpIを決定する方法は、当該技術分野において既知であり、当業者によく知られている。一例として、タンパク質のpIは、タンパク質中に存在する各アミノ酸の平均pKa値から計算することができる。或いは、タンパク質のpIは、等電点電気泳動の手法を用いて、実験的に判定することができる。この手法では、電気泳動を用いて、タンパク質を、そのpIにより分離する。等電点電気泳動は、一般に、固定pH勾配を有するゲルを用いて行われる。電場を与えると、タンパク質は、pH勾配中を移動して、ゼロの正味電荷を有するpHに達し、この点がタンパク質のpIとなる。
【0029】
タンパク質のpIは、その表面に示される塩基性及び/又は酸性基の数を変化させることで、上昇又は低下させ得る。これは、タンパク質の1個以上のアミノ酸を修飾することにより達成することができる。例えば、pIの上昇は、酸性残基の数を減らすこと、或いは塩基性残基の数を増やすことにより達成し得る。こうしたアミノ酸修飾については、以下において更に詳細に検討する。
【0030】
天然(無修飾)のクロストリジウム毒素のpIは、略5乃至6である。したがって、pH7.4において、天然ボツリヌス毒素は、負の正味電荷を有する。一例として、BoNT/AのpIは、6.4であり、BoNT/A分子は、pH7.4で正味電荷-8を有する。これらのpI値は、上述したように計算される。
【0031】
【0032】
上述したように、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.2pI単位だけ高い値にする。
【0033】
したがって、本発明において、改変BoNT/Aクロストリジウム毒素における0.2単位のpIの上昇は、pIの6.4から6.6への上昇となる。
【0034】
上述したように、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を含み、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。
【0035】
したがって、本発明において、改変BoNT/Aクロストリジウム毒素における1単位のpIの上昇は、pIの6.4から7.4への上昇となる。
【0036】
一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも2pI単位だけ高い値にする。
【0037】
一実施形態において、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、2乃至5pI単位だけ高い値にする。
【0038】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、pIが少なくとも6(例えば、少なくとも6、少なくとも7、少なくとも8、又は少なくとも9)である。
【0039】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、pIが少なくとも7である。
【0040】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、pIが6乃至10(例えば、7乃至9、又は8乃至9)である。
【0041】
上述したように、本発明の改変クロストリジウム毒素は、組織保持性の増加が更に効力及び/又は作用持続時間の増加をもたらし、既知のクロストリジウム毒素治療剤と比較して使用すべき用量を減らすこと(或いは、副作用を全く追加することなく用量を増やすこと)を可能にする。こうした(治療指数の増加を意味する)有利な特性を定義し得る一方法は、改変クロストリジウム毒素の安全率に関するものである。この点において、クロストリジウム毒素の(投与部位からの毒素の拡散による)望ましくない効果は、関連する動物モデルでの体重減少百分率を測定することにより、実験的に評価することができる(例えば、マウスにおいて、体重の減少を投与後7日以内に検出する)。反対に、クロストリジウム毒素の所望の標的に対する効果は、筋麻痺の測定値である指外転スコア(Digital Abduction Score)(DAS)アッセイにより、実験的に評価することができる。DASアッセイは、ゼラチンリン酸緩衝液中に処方したクロストリジウム毒素20μlを、マウス腓腹筋/ヒラメ筋複合体に注射した後、Aokiの方法(Aoki KR, Toxicon 39: 1815-1820; 2001)を用いて指外転スコアを評価することにより実施し得る。DASアッセイでは、マウスを尾で短時間ぶら下げ、マウスが後肢を伸ばして後肢指を外転させる特徴的な驚愕反応を引き出す。クロストリジウム毒素注射後、指外転の様々な度合いを5点のスケールで採点する(0=正常から4=指外転及び肢伸展の最大限の減少まで)。
【0042】
クロストリジウム毒素の安全率は、その後、10%の体重低下(マウスへの投薬から7日以内のビーク効果時に測定)に必要な毒素の量と、DASスコア2に必要な毒素の量との比として表現し得る。したがって、高い安全率スコアが望ましく、これは、望ましくない標的外効果を殆ど発生させずに、標的の筋肉を効果的に麻痺させることが可能な毒素を示す。本発明の改変毒素は、同等の無修飾(天然)ボツリヌス毒素の安全率より高い安全率を有する。
【0043】
したがって、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、安全率が少なくとも8(例えば、少なくとも8、9、10、15、20、25、30、35、40、45、又は50)であり、安全率は、-10%の体重変化に必要な毒素の投与量(pg/マウス)をDAS ED50(pg/mouse)で除算することにより計算される[ED50=DASスコア2を得るのに必要な投与量]。
【0044】
一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、安全率が少なくとも10である。一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、安全率が少なくとも15である。
【0045】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、少なくとも1つのアミノ酸修飾を有する。前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、上述したようにクロストリジウム毒素のpIを上昇させる。本発明において、アミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素のアミノ酸配列の修飾である。こうした修飾は、配列内の1個のアミノ酸を他のものに置き換えること(即ち、置換)、配列に新たなアミノ酸を挿入すること、又は配列のアミノ酸を欠失させることにより達成し得る。タンパク質のアミノ酸配列に取り込まれたアミノ酸は、アミノ酸残基とも呼ばれる。
【0046】
タンパク質に見られる20種類の標準アミノ酸は、次の通りである。
【0047】
【0048】
次のアミノ酸は、荷電アミノ酸とされる:アスパラギン酸(負)、グルタミン酸(負)、アルギニン(正)、及びリジン(正)。
【0049】
pH7.4において、アスパラギン酸(pKa3.1)及びグルタミン酸(pKa4.1)の側鎖は、負電荷を有し、アルギニン(pKa12.5)及びリジン(pKa10.8)の側鎖は、正電荷を有する。アスパラギン酸及びグルタミン酸は、酸性アミノ酸残基と呼ばれる。アルギニン及びリジンは、塩基性アミノ酸残基と呼ばれる。
【0050】
次のアミノ酸は、非荷電極性アミノ酸とされる(水素結合に参加可能であることを意味する):アスパラギン、グルタミン、ヒスチジン、セリン、スレオニン、チロシン、システイン、メチオニン、トリプトファン。
【0051】
次のアミノ酸は、非荷電疎水性アミノ酸とされる:アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、及びグリシン。
【0052】
クロストリジウム毒素のpIの上昇は、クロストリジウム毒素における負電荷に対する正電荷の比を上昇させる1つ以上のアミノ酸修飾をクロストリジウム毒素に導入することにより達成することができる。
【0053】
一実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、及びアミノ酸欠失から選択される。
【0054】
アミノ酸置換では、クロストリジウム毒素アミノ酸配列の一部を形成するアミノ酸残基を、異なるアミノ酸残基に置き換える。置換アミノ酸残基は、上述した20種類の標準アミノ酸の1つにしてよい。
【0055】
或いは、アミノ酸置換における置換アミノ酸は、非標準アミノ酸(上述した20種類の標準セットの一部ではないアミノ酸)にしてよい。一例として、置換アミノ酸は、塩基性非標準アミノ酸であり、例えば、L-オルニチン、L-2-アミノ-3-グアニジノプロピオン酸、又はリジン、アルギニン、及びオルニチンのD体である。非標準アミノ酸をタンパク質に導入する方法は、当該技術分野において既知であり、大腸菌の栄養要求性発現宿主を用いた組換えタンパク質合成を含む。
【0056】
アミノ酸挿入では、付加的なアミノ酸残基(通常は存在しないもの)をクロストリジウム毒素アミノ酸配列に取り込み、これにより、前記配列内のアミノ酸残基の合計数を増加させる。アミノ酸欠失では、アミノ酸残基をクロストリジウム毒素アミノ酸配列から取り除き、これにより、前記配列内のアミノ酸残基の合計数を減少させる。
【0057】
アミノ酸残基の置換、挿入、又は欠失によりタンパク質を修飾する方法は、当該技術分野において既知である。一例として、アミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素をコードするDNA配列の修飾により導入し得る。これは、標準的な分子クローニング手法を用いて例えば、所望のアミノ酸(群)をコードするDNAの短鎖(オリゴヌクレオチド)を使用して、ポリメラーゼ酵素で元のコード配列を置き換える部位特異的突然変異誘発により、又は様々な酵素(例えば、リガーゼ及び制限エンドヌクレアーゼ)による遺伝子の一部の挿入/欠失により、達成することができる。或いは、修飾された遺伝子配列を、化学的に合成することができる。
【0058】
一実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸修飾は、酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、非荷電アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、塩基性アミノ酸残基の挿入、及び酸性アミノ酸残基の欠失から選択される。
【0059】
好適な実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素において同数のアミノ酸残基を維持する利点を有する、置換である。一実施形態において、置換は、酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、及び非荷電アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換から選択される。一実施形態において、塩基性アミノ酸残基は、リジン残基又はアルギニン残基である。一実施形態において、塩基性アミノ酸残基は、リジン残基である。一実施形態において、塩基性アミノ酸残基は、アルギニン残基である。一実施形態において、置換が酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換である場合、酸性アミノ酸残基は、それに対応する非荷電アミドアミノ酸残基に置き換えられる(即ち、アスパラギン酸は、アスパラギンに置き換えられ、グルタミン酸は、グルタミンに置き換えられる)。
【0060】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、1つより多くのアミノ酸修飾を含み得る。したがって、一実施形態において、(上述した)改変クロストリジウム毒素は、1乃至80個のアミノ酸修飾(例えば、1乃至70、1乃至60、1乃至50、4乃至40、4乃至30、5乃至40、5乃至30、又は10乃至25個のアミノ酸修飾)を含む。一実施形態において、(上述した)改変クロストリジウム毒素は、4乃至40個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、少なくとも2個、少なくとも3個、少なくとも4個、少なくとも5個、又は少なくとも10個のアミノ酸修飾を含む。一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、少なくとも4個のアミノ酸修飾(例えば、少なくとも4個のアミノ酸置換)を含む。前記アミノ酸修飾のそれぞれは、上述したアミノ酸修飾である。したがって、前記アミノ酸修飾のそれぞれは、(前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIと比較した)改変クロストリジウム毒素のpIの上昇に寄与する。
【0061】
任意のクロストリジウム毒素アミノ酸(即ち、アミノ酸残基)は、前記修飾の結果が(上述した)クロストリジウム毒素のpIの増加である限り、上述したように修飾することができる。しかしながら、本発明者らは、修飾にとって特に適切な標的となるクロストリジウム毒素アミノ酸のサブセットを特定している。
【0062】
好適な標的アミノ酸は、特定の性質を有し得る。一例として、好適な標的アミノ酸は、(i)表面露出アミノ酸、(ii)クロストリジウム毒素タンパク質の二次構造の外側に位置するもの、(iii)クロストリジウム毒素タンパク質のタンパク質機能に必須ではない領域内に位置するもの、(iv)クロストリジウム毒素の型、亜型、又は血清型の間で、その同一性が保存されないアミノ酸、(iv)その修飾により予測ユビキチン化部位が形成されないアミノ酸、又は(v)上述したものの任意の組み合わせとなり得る。
【0063】
上述したように、クロストリジウム毒素は、2本のポリペプチド鎖、即ち、分子質量が略100kDaである重鎖(H鎖)及び分子質量が略50kDaである軽鎖(L鎖)から形成される。H鎖は、C末端標的化成分(受容体結合ドメイン又はHCドメイン)及びN末端転位置成分(HNドメイン)を含む。
【0064】
一実施形態において、(上述した)少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素の受容体結合ドメイン(HCドメイン)に位置する。
【0065】
軽鎖の参照配列の例には、以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒:アミノ酸残基1-448
ボツリヌスB型神経毒:アミノ酸残基1-440
ボツリヌスC1型神経毒:アミノ酸残基1-441
ボツリヌスD型神経毒:アミノ酸残基1-445
ボツリヌスE型神経毒:アミノ酸残基1-422
ボツリヌスF型神経毒:アミノ酸残基1-439
ボツリヌスG型神経毒:アミノ酸残基1-441
破傷風神経毒:アミノ酸残基1-457
【0066】
上記参照配列は、亜血清型により僅かな変化が生じ得ることから、指針と考えるべきである。一例として、US2007/0166332(出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする)では、僅かに異なるクロストリジウム配列を挙げている:
ボツリヌスA型神経毒:アミノ酸残基M1-K448
ボツリヌスB型神経毒:アミノ酸残基M1-K441
ボツリヌスC1型神経毒:アミノ酸残基M1-K449
ボツリヌスD型神経毒:アミノ酸残基M1-R445
ボツリヌスE型神経毒:アミノ酸残基M1-R422
ボツリヌスF型神経毒:アミノ酸残基M1-K439
ボツリヌスG型神経毒:アミノ酸残基M1-K446
破傷風神経毒:アミノ酸残基M1-A457
【0067】
クロストリジウム毒素HCドメインの参照配列の例には以下が含まれる。
BoNT/A - N872-L1296
BoNT/B - E859-E1291
BoNT/C1 - N867-E1291
BoNT/D - S863-E1276
BoNT/E - R846-K1252
BoNT/F - K865-E1274
BoNT/G - N864-E1297
TeNT - I880-D1315
【0068】
クロストリジウム毒素(BoNT等)のHCドメインは、HCC及びHCNドメインと呼ばれる2つの別個の構造的特徴を含む。受容体結合に関与するアミノ酸残基は、HCCドメインに位置すると考えられる。
【0069】
一実施形態において、(上述した)少なくとも1つのアミノ酸修飾がクロストリジウム毒素の受容体結合ドメイン(HCドメイン)に位置する場合、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素のHCNドメイン(転位促進ドメインとも呼ばれる)に位置する。一実施形態において、(上述した)少なくとも1つのアミノ酸修飾がクロストリジウム毒素の受容体結合ドメイン(HCドメイン)に位置する場合、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素のHCCドメインに位置する。
【0070】
クロストリジウム毒素HCNドメインの参照配列の例には以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒:アミノ酸残基872-1110
ボツリヌスB型神経毒:アミノ酸残基859-1097
ボツリヌスC1型神経毒:アミノ酸残基867-1111
ボツリヌスD型神経毒:アミノ酸残基863-1098
ボツリヌスE型神経毒:アミノ酸残基846-1085
ボツリヌスF型神経毒:アミノ酸残基865-1105
ボツリヌスG型神経毒:アミノ酸残基864-1105
破傷風神経毒:アミノ酸残基880-1127
【0071】
上記配列位置は、血清型/亜型により僅かに変化する場合があり、適切な(基準)クロストリジウム毒素HCNドメインの他の例には以下が含まれる。
ボツリヌスA型神経毒:アミノ酸残基874-1110
ボツリヌスB型神経毒:アミノ酸残基861-1097
ボツリヌスC1型神経毒:アミノ酸残基869-1111
ボツリヌスD型神経毒:アミノ酸残基865-1098
ボツリヌスE型神経毒:アミノ酸残基848-1085
ボツリヌスF型神経毒:アミノ酸残基867-1105
ボツリヌスG型神経毒:アミノ酸残基866-1105
破傷風神経毒:アミノ酸残基882-1127
【0072】
一実施形態において、(上述した)少なくとも1つのアミノ酸修飾は、表面露出アミノ酸残基の修飾である。表面露出アミノ酸残基は、折り畳まれたタンパク質の外側に存在するため、折り畳まれたタンパク質の内側に存在するアミノ酸残基とは対照的に、溶媒に接近可能となるものである。アミノ酸残基の表面露出、即ち周囲の溶媒への露出の度合いは、その折り畳まれたタンパク質内での位置と、タンパク質で採用されている立体配座とに応じて決まる。したがって、表面露出度の高いアミノ酸残基の修飾は、表面露出度の低いアミノ酸残基の修飾よりも、タンパク質の等電点に対する影響が大きい。アミノ酸残基の表面露出度を決定するための方法は、当該技術分野において既知である。一例として、コンピュータプログラムAreaIMol(CCP4コンピュータプログラムスイートの一部)を用いて、所定のタンパク質におけるアミノ酸残基の表面露出度を計算することができる。表面露出アミノ酸残基は、タンパク質結晶構造の目視検査(X線結晶解析により行われるもの等)でも特定し得る。一実施形態において、表面露出アミノ酸残基は、合計AreaIMol値が少なくとも40である。
【0073】
一実施形態において、少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ヒスチジン残基、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、システイン残基、又はチロシン残基から選択されるアミノ酸残基の修飾を含む。本発明者らは、この群からのアミノ酸残基(負荷電残基及び極性残基)が本発明による修飾にとって特に適切な標的を表すことを確認している。何れか1つの理論に拘束されることを望むものではないが、本発明者らは、この群内のアミノ酸残基が、記載されていない疎水性残基より高い頻度でクロストリジウム毒素の表面に現れると考えている。
【0074】
一実施形態において、アミノ酸修飾が(上述したように)アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ヒスチジン残基、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、システイン残基、又はチロシン残基から選択されるアミノ酸残基の修飾を含む場合、アミノ酸残基は、リジン残基又はアルギニン残基により置換される。したがって、一実施形態において、負荷電残基又は極性残基は、正荷電残基により置換され、そのため、負電荷に対する正電荷の比が高くなり、クロストリジウム毒素のpIが上昇する。
【0075】
一実施形態において、(上述した)少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アスパラギンアミノ酸残基又はグルタミンアミノ酸残基(共に非荷電極性残基)の修飾を含む。一実施形態において、アスパラギン又はグルタミンアミノ酸残基は、リジン残基又はアルギニン残基(共に正荷電残基)により置換される。一実施形態において、アスパラギン又はグルタミンアミノ酸残基は、リジン残基により置換される。一実施形態において、アスパラギン又はグルタミンアミノ酸残基は、アルギニン残基により置換される。
【0076】
アスパラギン及びグルタミン残基は、極性であり、他の残基との弱い双極子相互作用のみを形成し、一般的なクロストリジウム毒素分子(BoNT/A等)の14%を構成するため、修飾に適しているという利点を有する。
【0077】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Aである。基準BoNT/A配列は、UniProtKBアクセッション番号P10845を有する。
【0078】
本発明者らは、BoNT/Aクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0079】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20又は25個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0080】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0081】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0082】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、及びASP1086から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0083】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、又は30個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0084】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、又は30個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0085】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、GLN1229、ASN1242、ASN1243、SER1274、及びTHR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、25、又は30個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0086】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0087】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0088】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0089】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0090】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0091】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN886、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0092】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0093】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0094】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0095】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0096】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0097】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0098】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0099】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0100】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、又は6個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0101】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0102】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0103】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の7個のアミノ酸:ASN930、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、又はGLN1229の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0104】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6又は7個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0105】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6又は7個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0106】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6又は7個)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0107】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の8個のアミノ酸:ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0108】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の8個のアミノ酸:ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0109】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、次の8個のアミノ酸:ASN1188、ASP1213、GLY1215、ASN1216、ASN1242、ASN1243、SER1274、THR1277の修飾を含み、前記アミノ酸修飾は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0110】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN930、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、HIS1064、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、又は7個全て)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0111】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1026、ASN1052、HIS1064、ASN1080、ASN1147、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、又は11個全て)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0112】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Aである場合、前記改変BoNT/Aは、ASN886、ASN905、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、ASN1025、ASN1026、ASN1052、HIS1064、ASN1080、ASN1147、及びGLN1229から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、又は13個全て)のアミノ酸(群)の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Aの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/AのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0113】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Bである。基準BoNT/B配列は、UniProtKBアクセッション番号P10844を有する。
【0114】
本発明者らは、BoNT/Bクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0115】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Bである場合、前記改変BoNT/Bは、ASN873、ASN874、GLU892、ASP895、ASN906、ASP940、ASN948、GLU949、ASN958、ASN959、ASN979、ASN990、GLU993、ASP994、GLU997、ASN1012、ASN1019、ASP1030、ASP1047、ASP1049、GLU1065、GLU1072、GLN1176、GLU1189、GLU1252、及びASN1273から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Bの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/BのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0116】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Bである場合、前記改変BoNT/Bは、ASN873、ASN874、GLU892、ASP895、ASN906、ASP940、ASN948、GLU949、ASN958、ASN959、ASN979、ASN990、GLU993、ASP994、GLU997、ASN1012、ASN1019、ASP1030、ASP1047、ASP1049、GLU1065、GLU1072、GLN1176、GLU1189、GLU1252、及びASN1273から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Bの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/BのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0117】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Bである場合、前記改変BoNT/Bは、ASN873、ASN874、GLU892、ASP895、ASN906、ASP940、ASN948、GLU949、ASN958、ASN959、ASN979、ASN990、GLU993、ASP994、GLU997、ASN1012、ASN1019、ASP1030、ASP1047、ASP1049、GLU1065、GLU1072、GLN1176、GLU1189、GLU1252、及びASN1273から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Bの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/BのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0118】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/C1である。基準BoNT/C1配列は、UniProtKBアクセッション番号P18640を有する。
【0119】
本発明者らは、BoNT/C1クロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0120】
したがって、一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/C1である場合、前記改変BoNT/C1は、ASN881、ASP898、GLU916、GLU927、ASN952、ASN964、ASN965、ASN984、GLU985、ASP986、ASP996、ASN1000、GLU1036、ASN1041、ASP1062、ASP1064、GLU1079、及びASP1081から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/C1の等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/C1のpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0121】
したがって、一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/C1である場合、前記改変BoNT/C1は、ASN881、ASP898、GLU916、GLU927、ASN952、ASN964、ASN965、ASN984、GLU985、ASP986、ASP996、ASN1000、GLU1036、ASN1041、ASP1062、ASP1064、GLU1079、及びASP1081から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/C1の等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/C1のpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0122】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/C1である場合、前記改変BoNT/C1は、ASN881、ASP898、GLU916、GLU927、ASN952、ASN964、ASN965、ASN984、GLU985、ASP986、ASP996、ASN1000、GLU1036、ASN1041、ASP1062、ASP1064、GLU1079、及びASP1081から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/C1の等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/C1のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0123】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Dである。基準BoNT/D配列は、UniProtKBアクセッション番号P19321を有する。
【0124】
本発明者らは、BoNT/Dクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0125】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Dである場合、前記改変BoNT/Dは、ASN877、ASP893、ASN894、ASN898、ASN920、ASN945、ASN948、GLU957、GLN958、ASN959、ASN968、ASN979、GLU1030、ASP1031、ASP1033、GLU1047、GLU1051、ASN1052、GLU1066、及びGLN1122から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Dの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/DのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0126】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Dである場合、前記改変BoNT/Dは、ASN877、ASP893、ASN894、ASN898、ASN920、ASN945、ASN948、GLU957、GLN958、ASN959、ASN968、ASN979、GLU1030、ASP1031、ASP1033、GLU1047、GLU1051、ASN1052、GLU1066、及びGLN1122から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Dの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/DのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0127】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Dである場合、前記改変BoNT/Dは、ASN877、ASP893、ASN894、ASN898、ASN920、ASN945、ASN948、GLU957、GLN958、ASN959、ASN968、ASN979、GLU1030、ASP1031、ASP1033、GLU1047、GLU1051、ASN1052、GLU1066、及びGLN1122から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Dの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/DのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0128】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Eである。基準BoNT/E配列は、UniProtKBアクセッション番号Q00496を有する。
【0129】
本発明者らは、BoNT/Eクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0130】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Eである場合、前記改変BoNT/Eは、ASN859、ASP860、ASN892、ASP893、ASP904、ASP909、ASN928、ASN932、ASN934、ASN935、GLU936、ASP945、ASN946、ASN947、ASN966、ASN976、ASN979、ASN981、ASP985、GLN1014、ASN1019、ASN1022、ASP1027、ASN1035、及びASN1140から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Eの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/EのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0131】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Eである場合、前記改変BoNT/Eは、ASN859、ASP860、ASN892、ASP893、ASP904、ASP909、ASN928、ASN932、ASN934、ASN935、GLU936、ASP945、ASN946、ASN947、ASN966、ASN976、ASN979、ASN981、ASP985、GLN1014、ASN1019、ASN1022、ASP1027、ASN1035、及びASN1140から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Eの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/EのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0132】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Eである場合、前記改変BoNT/Eは、ASN859、ASP860、ASN892、ASP893、ASP904、ASP909、ASN928、ASN932、ASN934、ASN935、GLU936、ASP945、ASN946、ASN947、ASN966、ASN976、ASN979、ASN981、ASP985、GLN1014、ASN1019、ASN1022、ASP1027、ASN1035、及びASN1140から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、20、又は25個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Eの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/EのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0133】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Fである。基準BoNT/F配列は、UniProtKBアクセッション番号YP_001390123を有する。
【0134】
本発明者らは、BoNT/Fクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0135】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Fである場合、前記改変BoNT/Fは、ASN879、ASP896、ASN922、ASN923、ASN928、ASN947、ASN950、ASN952、ASN953、GLU954、ASN963、ASN964、ASN965、ASN987、GLN997、ASN1037、ASP1040、ASP1045、ASN1055、及びASP1056から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Fの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/FのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0136】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Fである場合、前記改変BoNT/Fは、ASN879、ASP896、ASN922、ASN923、ASN928、ASN947、ASN950、ASN952、ASN953、GLU954、ASN963、ASN964、ASN965、ASN987、GLN997、ASN1037、ASP1040、ASP1045、ASN1055、及びASP1056から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Fの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/FのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0137】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Fである場合、前記改変BoNT/Fは、ASN879、ASP896、ASN922、ASN923、ASN928、ASN947、ASN950、ASN952、ASN953、GLU954、ASN963、ASN964、ASN965、ASN987、GLN997、ASN1037、ASP1040、ASP1045、ASN1055、及びASP1056から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、15、又は20個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Fの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/FのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0138】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、BoNT/Gであり。基準BoNT/G配列は、UniProtKBアクセッション番号Q60393を有する。
【0139】
本発明者らは、BoNT/Gクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0140】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Gである場合、前記改変BoNT/Gは、ASP900、ASN909、ASN910、GLU912、ASN913、ASN945、ASN947、GLU956、ASN965、ASP966、ASN986、ASN1001、ASN1038、ASP1040、ASN1046、ASP1057、GLU1073、ASN1075、及びASN1090から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Gの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/GのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0141】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Gである場合、前記改変BoNT/Gは、ASP900、ASN909、ASN910、GLU912、ASN913、ASN945、ASN947、GLU956、ASN965、ASP966、ASN986、ASN1001、ASN1038、ASP1040、ASN1046、ASP1057、GLU1073、ASN1075、及びASN1090から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Gの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/GのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0142】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がBoNT/Gである場合、前記改変BoNT/Gは、ASP900、ASN909、ASN910、GLU912、ASN913、ASN945、ASN947、GLU956、ASN965、ASP966、ASN986、ASN1001、ASN1038、ASP1040、ASN1046、ASP1057、GLU1073、ASN1075、及びASN1090から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変BoNT/Gの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のBoNT/GのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0143】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素は、TeNTである。基準TeNT配列は、UniProtKBアクセッション番号P04958を含む。
【0144】
本発明者らは、TeNTクロストリジウム毒素におけるアミノ酸修飾にとって好適な標的を表す、特定のアミノ酸を確認している。
【0145】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がTeNTである場合、前記改変TeNTは、ASN893、ASP894、ASP911、ASN919、ASN927、ASN928、GLU929、GLN968、ASN972、GLU973、GLU1010、ASP1018、ASN1079、ASN1080、ASN1081、及びASN1097から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変TeNTの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のTeNTのpIより、少なくとも0.2(例えば、少なくとも0.2、0.3、0.4、0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0146】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がTeNTである場合、前記改変TeNTは、ASN893、ASP894、ASP911、ASN919、ASN927、ASN928、GLU929、GLN968、ASN972、GLU973、GLU1010、ASP1018、ASN1079、ASN1080、ASN1081、及びASN1097から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変TeNTの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のTeNTのpIより、少なくとも0.5(例えば、少なくとも0.5、0.6、0.7、0.8、0.9、又は1)pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0147】
一実施形態において、改変クロストリジウム毒素がTeNTである場合、前記改変TeNTは、ASN893、ASP894、ASP911、ASN919、ASN927、ASN928、GLU929、GLN968、ASN972、GLU973、GLU1010、ASP1018、ASN1079、ASN1080、ASN1081、及びASN1097から選択される少なくとも1個(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、10、又は15個)のアミノ酸の修飾を含み、前記アミノ酸修飾(群)は、改変TeNTの等電点(pI)を上昇させ、前記アミノ酸修飾(群)を欠く以外は同一のTeNTのpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基又はアルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、リジン残基によるアミノ酸の置換を含む。一実施形態において、前記修飾は、アルギニン残基によるアミノ酸の置換を含む。
【0148】
本発明は、多種多様なクロストリジウム毒素への応用に適している。したがって、本発明において、「クロストリジウム毒素」という用語は、C. botulinum(ボツリヌス神経毒血清型A、B、C1、D、E、F、及びG)、C. tetani(破傷風神経毒)、C. butyricum (ボツリヌス神経毒血清型E)、及びC. baratii(ボツリヌス神経毒血清型F)が生成する毒素と、修飾クロストリジウム毒素又は上述したものの何れかに由来する誘導体とを包含する。「クロストリジウム毒素」という用語は、更にボツリヌス神経毒血清型Hを包含する。
【0149】
ボツリヌス神経毒(BoNT)は、C. botulinumにより、多数のアクセサリータンパク質と複合化したBoNT自体からなる大きなタンパク質複合体の形態で生成される。現在、8種類の異なるボツリヌス神経毒のクラス、即ち、ボツリヌス神経毒血清型A、B、C1、D、E、F、G、及びHが存在し、全て同様の構造及び作用機序を共有している。異なるBoNT血清型は、特異的な中和抗血清による不活性化に基づいて、アミノ酸レベルでの配列同一性の百分率に相関する血清型による分類等により識別することができる。所定の血清型のBoNTタンパク質は、アミノ酸の配列同一性の百分率に基づいて、異なる亜型へ更に分割される。
【0150】
BoNTは、胃腸管内で吸収され、全身循環に入った後、コリン作動性神経終末のシナプス前膜に結合し、その神経伝達物質であるアセチルコリンの放出を妨げる。BoNT/B、BoNT/D、BoNT/F、及びBoNT/Gは、シナプトブレビン/小胞関連膜タンパク質(vesicle-associated membrane protein, VAMP)を切断し、BoNT/C1、BoNT/A、及びBoNT/Eは、25kDaのシナプトソーム関連タンパク質(SNAP-25)を切断し、BoNT/C1は、シンタキシンを切断する。
【0151】
破傷風毒素は、単一の血清型でC. tetaniにより生産される。C. butyricumは、BoNT/Eを生産し、C. baratiiは、BoNT/Fを生産する。
【0152】
「クロストリジウム毒素」という用語は、更に、修飾クロストリジウム毒素及びその誘導体を包含するものであり、以下に記載するものを限定ではなく含む。修飾クロストリジウム毒素又は誘導体は、クロストリジウム毒素の天然(無修飾)形態と比較して、修飾された1個以上のアミノ酸を含んでよく、或いはクロストリジウム毒素の天然(無修飾)形態には存在しない1個以上の挿入アミノ酸を含んでよい。一例として、修飾クロストリジウム毒素は、天然(無修飾)クロストリジウム毒素配列に対して、1つ以上のドメインにおいて修飾されたアミノ酸配列を含み得る。こうした修飾は、毒素の機能的側面、例えば、生物活性又は生体持続性を修正し得る。したがって、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、改変修飾クロストリジウム毒素、又は改変修飾クロストリジウム毒素誘導体、又は改変クロストリジウム毒素誘導体である。
【0153】
修飾クロストリジウム毒素は、重鎖のアミノ酸配列に1つ以上の修飾(修飾HCドメイン等)を有してよく、ここで前記修飾重鎖は、天然(無修飾)クロストリジウム毒素より高い又は低い親和性で、標的神経細胞に結合する。こうしたHCドメインにおける修飾は、標的神経細胞のガングリオシド受容体及び/又はタンパク質受容体に対する結合を変化させる、HCドメインのガングリオシド結合部位内又はタンパク質(SV2又はシナプトタグミン)結合部位内の残基を修飾することを含むことができる。こうした修飾クロストリジウム毒素の例は、共に出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部としたWO2006/027207及びWO2006/114308に記載されている。
【0154】
修飾クロストリジウム毒素は、軽鎖のアミノ酸配列において1つ以上の修飾、例えば、修飾された軽鎖のSNAREタンパク質特異性を変化又は修飾し得る基質結合又は触媒ドメインにおける修飾を有してよい。こうした修飾クロストリジウム毒素の例は、共に出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部としたWO2010/120766及びUS2011/0318385に記載されている。
【0155】
修飾クロストリジウム毒素は、修飾クロストリジウム毒素の生物活性及び/又は生体持続性を増加又は減少させる1つ以上の修飾を含み得る。例えば、修飾クロストリジウム毒素は、修飾クロストリジウム毒素の生物活性及び/又は生体持続性を増加又は減少させる、ロイシン系又はチロシン系モチーフを含んでよい。適切なロイシン系モチーフには、xDxxxLL、xExxxLL、xExxxIL、及びxExxxLMが含まれる(xは任意のアミノ酸)。適切なチロシン系モチーフには、Y-x-x-Hyが含まれる(Hyは、疎水性アミノ酸)。ロイシン系及びチロシン系モチーフを含む修飾クロストリジウム毒素の例は、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とするWO2002/08268に記載されている。
【0156】
「クロストリジウム毒素」という用語は、ハイブリッド及びキメラクロストリジウム毒素を含むものである。ハイブリッドクロストリジウム毒素は、クロストリジウム毒素又はその亜型由来の軽鎖の少なくとも一部と、別のクロストリジウム毒素又はクロストリジウム毒素亜型由来の重鎖の少なくとも一部とを含む。一実施形態において、ハイブリッドクロストリジウム毒素は、あるクロストリジウム毒素亜型由来の軽鎖の軽鎖全体と、別のクロストリジウム毒素亜型由来の重鎖とを含み得る。他の実施形態において、キメラクロストリジウム毒素は、あるクロストリジウム毒素亜型由来の重鎖の一部(例えば、結合ドメイン)を、別のクロストリジウム毒素亜型由来の重鎖の他の一部と共に含み得る。同様に又は代わりに、治療的要素は、異なるクロストリジウム毒素群に由来する軽鎖部分を含み得る。こうしたハイブリッド又はキメラクロストリジウム毒素は、例えば、所定のクロストリジウム毒素亜型に対して免疫抵抗を有する患者、所定のクロストリジウム毒素の重鎖結合ドメインに対する受容体の濃度が平均より低い可能性のある患者、又は膜又は小胞の毒素基質(例えば、SNAP-25、VAMP、及びシンタキシン)のプロテアーゼ耐性変異体を有する可能性のある患者に対して、こうしたクロストリジウム毒素の治療上の恩恵を届ける手段として有用である。ハイブリッド及びキメラクロストリジウム毒素については、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする、US8,071,110に記載されている。したがって、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、改変ハイブリッドクロストリジウム毒素又は改変キメラクロストリジウム毒素である。
【0157】
「クロストリジウム毒素」という用語は、再標的化クロストリジウム毒素を包含するものである。再標的化クロストリジウム毒素において、クロストリジウム毒素は、ターゲティング部分(Targeting Moiety, TM)として知られる外因性リガンドを含むように修飾される。TMは、所望の標的細胞に対する結合特異性をもたらすように選択され、再標的化プロセスの一環として、クロストリジウム毒素の天然結合部分(例えば、HCドメイン、又はHCCドメイン)は、除去し得る。再標的化手法は、例えば、EP-B-0689459、WO1994/021300、EP-B-0939818、US6,461,617、US7,192,596、WO1998/007864、EP-B-0826051、US5,989,545、US6,395,513、US6,962,703、WO1996/033273、EP-B-0996468、US7,052,702、WO1999/017806、EP-B-1107794、US6,632,440、WO2000/010598、WO2001/21213、WO2006/059093、WO2000/62814、WO2000/04926、WO1993/15766、WO2000/61192、及びWO1999/58571に記載されており、これらは全て出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする。したがって、一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、改変再標的化クロストリジウム毒素である。
【0158】
本発明は、更に、非天然プロテアーゼ切断部位を有するクロストリジウム毒素を含む。こうしたクロストリジウム毒素において、天然プロテアーゼ切断部位(上述したように、活性化部位とも呼ばれる)は、そのクロストリジウム毒素にとって天然ではないプロテアーゼ切断部位(即ち、外因性切断部位)により修飾又は置換される。こうした部位には、切断事象の時期及び位置に対する制御を高めることが可能な、切断用の外因性プロテアーゼが必要となる。クロストリジウム毒素において利用し得る非天然プロテアーゼ切断部位には、以下が含まれる:
エンテロキナーゼ (DDDDK↓)
第Xa因子 (IEGR↓/IDGR↓)
TEV(タバコエッチ病ウイルス) (ENLYFQ↓G)
トロンビン (LVPR↓GS)
PreScission (LEVLFQ↓GP)。
【0159】
付加的なプロテアーゼ切断部位は、非細胞傷害性プロテアーゼ、例えば、クロストリジウム神経毒の軽鎖により切断される認識配列を含む。これらには、クロストリジウム神経毒の軽鎖等の非細胞傷害性プロテアーゼにより切断されるSNARE(例えば、SNAP-25、シンタキシン、VAMP)タンパク質認識配列が含まれる。非天然プロテアーゼ切断部位を含むクロストリジウム毒素は、US7,132,259、EP1206554-B2、及びUS2007/0166332に記載されており、これらは全て出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部とする。プロテアーゼ切断部位という用語には、自己切断配列であるインテインも包含される。自己スプライシング反応は、例えば、存在する還元剤の濃度を変化させることにより制御することができる。
【0160】
本発明には、更に、「破壊的切断部位」を含むクロストリジウム毒素が含まれる。前記クロストリジウム毒素では、非天然プロテアーゼ切断部位は、前記部位での切断により、クロストリジウム毒素の活性が減少するように又はクロストリジウム毒素が不活性化するように選択された位置で、クロストリジウム毒素に取り込まれる。破壊的なプロテアーゼ切断部位は、クロストリジウム毒素が投与に続いて非標的位置に移動する場合に、局所のプロテアーゼにより切断されやすくすることができる。適切な非天然プロテアーゼ切断部位には、上述したものが含まれる。破壊的切断部位を含むクロストリジウム毒素は、共に出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部としたWO2010/094905及びWO2002/044199に記載されている。
【0161】
本発明の改変クロストリジウム毒素、特にその軽鎖成分は、PEG化されていてもよく、これは、安定性、例えば、軽鎖成分の作用持続時間を増加させるのに有効となり得る。PEG化は、軽鎖がBoNT/A、B、又はC1プロテアーゼを含む時に特に好適となる。PEG化は、軽鎖成分のN末端に対するPEGの追加を含むことが好ましい。一例として、軽鎖のN末端は、同一の又は異なる1個以上のアミノ酸(例えば、システイン)残基により延長し得る。前記アミノ酸残基の1個以上は、それ自体に付着した(例えば、共有結合した)PEG分子を有し得る。この技術の例は、出典を明記することによりその開示内容全体を本願明細書の一部としたWO2007/104567に記載されている。
【0162】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、天然発生のクロストリジウム毒素複合体に存在する複合体形成タンパク質を含有しなくてもよい。
【0163】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、限られた数の非標準アミノ酸を含んでもよい。したがって、20種類の標準アミノ酸に加え、非標準アミノ酸(4-ヒドロキシプロリン、6-N-メチルリジン、2-アミノイソ酪酸、イソバリン、及びα-メチルセリン等)により、本発明の改変クロストリジウム毒素のアミノ酸残基を置換してもよい。限られた数の非保存的アミノ酸、遺伝コードによりコードされていないアミノ酸、及び非天然アミノ酸により、クロストリジウムポリペプチドアミノ酸残基を置換してもよい。本発明の改変クロストリジウム毒素は、非天然発生のアミノ酸残基を含むこともできる。
【0164】
非天然発生のアミノ酸には、限定ではなく、トランス-3-メチルプロリン、2,4-メタノ-プロリン、シス-4-ヒドロキシプロリン、トランス-4-ヒドロキシ-プロリン、N-メチルグリシン、アロ-スレオニン、メチル-スレオニン、ヒドロキシ-エチルシステイン、ヒドロキシエチルホモ-システイン、ニトロ-グルタミン、ホモグルタミン、ピペコリン酸、tert-ロイシン、ノルバリン、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニル-アラニン、4-アザフェニル-アラニン、及び4-フルオロフェニルアラニンが含まれる。非天然発生のアミノ酸残基をタンパク質に取り込む幾つかの方法が、当該技術分野において知られている。例えば、化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAを用いてナンセンス変異を抑制したin vitro系を利用することができる。アミノ酸及びアミノアシル化tRNAを合成する方法は、当該技術分野において既知である。ナンセンス変異を含むプラスミドの転写及び翻訳は、大腸菌S30抽出液と市販の酵素及び他の試薬とを含む無細胞系において実施する。タンパク質は、クロマトグラフィーにより精製する。例えば、Robertson et al., J. Am. Chem. Soc. 113:2722, 1991、Ellman et al., Methods Enzymol. 202:301, 1991、Chung et al., Science 259:806-9, 1993、及びChung et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 90:10145-9, 1993)を参照されたい。第2の方法において、翻訳は、アフリカツメガエル卵母細胞において、変異mRNAと化学的にアミノアシル化したサプレッサーtRNAとのマイクロインジェクションにより実施する(Turcatti et al., J. Biol. Chem. 271:19991-8, 1996)。第3の方法では、置き換えるべき天然アミノ酸(例えば、フェニルアラニン)が存在せず、所望の非天然発生アミノ酸(群)(例えば、2-アザフェニルアラニン、3-アザフェニルアラニン、4-アザフェニルアラニン、又は4-フルオロフェニルアラニン)が存在する状態で、大腸菌細胞を培養する。非天然発生アミノ酸は、対応する天然アミノ酸の代わりにポリペプチドに組み込まれる。Koide et al., Biochem. 33:7470-6, 1994を参照されたい。
【0165】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、組換え核酸技術を用いて生産することができる。したがって、一実施形態において、(上述した)改変クロストリジウム毒素は、組換え改変クロストリジウム毒素である。
【0166】
他の態様において、本発明は、上述した改変クロストリジウム毒素をコードする核酸配列を含む核酸(例えば、DNA)を提供する。一実施形態において、核酸配列は、プロモーター及びターミネーターを含むDNAベクターの一部として調製される。
【0167】
好適な実施形態において、ベクターは、以下から選択されるプロモーターを有する。
【表A】
【0168】
他の好適な実施形態において、ベクターは、以下から選択されるプロモーターを有する。
【表B】
【0169】
本発明の核酸分子は、当該技術分野において既知の任意の適切なプロセスを用いて作成し得る。したがって、核酸分子は、化学合成手法を用いて作成し得る。或いは、本発明の核酸分子は、分子生物学的手法を用いて作成し得る。
【0170】
本発明のDNAコンストラクトは、好ましくはインシリコで設計され、その後、従来のDNA合成手法により合成される。
【0171】
上述した核酸配列情報は、利用される最終的な宿主細胞(例えば、大腸菌)発現系に応じたコドンバイアスのために随意に修飾される。
【0172】
一実施形態において、上述した改変クロストリジウム毒素をコードする核酸配列は、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、又は99%)の配列同一性を有する核酸配列である。
【0173】
一態様において、本発明は、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、又は99%)の配列同一性を有する核酸配列を提供する。一実施形態において、核酸配列は、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0174】
本発明は、更に、上述した核酸配列にコードされたポリペプチドを提供する。したがって、一態様において、本発明は、配列番号4、6、8、及び10から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、又は99%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む、ポリペプチドを提供する。一実施形態において、アミノ酸配列は、配列番号4、6、8、及び10から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも90%の配列同一性を有する。
【0175】
一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、上述した改変BoNT/Aであり、前記改変BoNT/Aは、配列番号4、6、8、及び10から選択されるアミノ酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、99.5又は99.9%)の配列同一性を有するアミノ酸配列を含む(又はからなる)。
【0176】
一実施形態において、本発明の改変クロストリジウム毒素は、上述した改変BoNT/Aであり、前記改変BoNT/Aは、配列番号4、6、8、又は10のアミノ酸配列を含む(又はからなる)。
【0177】
一態様において、本発明は、配列番号4、6、8、又は10のアミノ酸配列を含む(又はからなる)ポリペプチドを提供する。
【0178】
一態様において、本発明は、上述した改変クロストリジウム毒素をコードする核酸であって、配列番号3、5、7、及び9から選択される核酸配列に対して、少なくとも70%(例えば、少なくとも75、80、85、90、95、97、98、99、99.5又は99.9%)の配列同一性を有する核酸配列を含む核酸を提供する。一実施形態において、核酸は、配列番号3、5、7、又は9の核酸配列を含む(又はからなる)。
【0179】
一態様において、本発明は、配列番号3、5、7、又は9の核酸配列を含む(又はからなる)核酸を提供する。
【0180】
2つ以上の核酸又はアミノ酸配列間の「配列同一性パーセント」は、配列が共有する同一位置数の関数である。したがって、同一性パーセントは、同一のヌクレオチド/アミノ酸の数をヌクレオチド/アミノ酸の合計数で除算したものに100を乗算して計算し得る。配列同一性パーセントの計算は、ギャップ数と、2つ以上の配列のアライメントを最適化するために導入する必要がある各ギャップの長さとを考慮して行ってもよい。2つ以上の配列間の配列比較及び同一性パーセントの決定は、当業者によく知られているBLAST等の特定の数学アルゴリズムを用いて実施することができる。
【0181】
一態様において、本発明は、軽鎖及び重鎖を有する単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を生産する方法であって、核酸(上述したような前記核酸)を適切な宿主細胞内で発現させることと、単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を含有する宿主細胞のホモジネートを提供するために宿主細胞を溶解することと、単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を単離することと、を含む方法を提供する。
【0182】
他の態様において、本発明は、改変クロストリジウム毒素を活性化する方法であって、上述した単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を生産する方法により取得可能な単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を提供することと、軽鎖と重鎖との間に位置する認識部位(切断部位)においてポリペプチドを切断するプロテアーゼにポリペプチドを接触させることと、これによりポリペプチドを、軽鎖と重鎖とがジスルフィド結合により互いに連結された二本鎖ポリペプチドに転換させることと、を含む方法を提供する。
【0183】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、特定の医学的又は美容的な疾患及び状態を予防又は治療するために使用し得る。したがって、他の態様において、本発明は、医薬において用いる上述した改変クロストリジウム毒素を提供する。
【0184】
関連する態様において、本発明は、以下から選択される疾患又は状態の予防又は治療に用いる、上述した改変クロストリジウム毒素を提供する:斜視(strabismus)、眼瞼痙攣、斜視(squint)、ジストニア(例えば、痙性ジストニア、顎口腔ジストニア、限局性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頚(例えば、痙性斜頚)、細胞/筋肉の(SNAREの下方制御又は不活性化による)無能力化が有効となる美的療法(美容)用途、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば、共同斜視、上下斜視、外側直筋麻痺、眼振、甲状腺機能低下ミオパチー)、書痙、眼瞼痙攣、歯ぎしり、ウィルソン病、振戦、チック、分節性ミオクローヌス、攣縮、慢性多発性硬化症による痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニムス、背部痙攣、筋肉硬直、緊張性頭痛、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音症、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、限局性痙縮、痙性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、歯ぎしり、裂肛、アカラシア、嚥下障害、流涙、多汗症、過剰唾液分泌、過剰消化管分泌、筋肉痛(例えば、筋痙攣による痛み)、頭痛(例えば、緊張性頭痛)、額の皺、皮膚の皺、癌、子宮障害、泌尿生殖器障害、泌尿生殖器神経障害、慢性神経性炎症、及び平滑筋障害。
【0185】
使用において、本発明は、改変クロストリジウム毒素と、薬学的に許容可能な担体、賦形剤、アジュバント、噴霧剤、及び/又は塩から選択される少なくとも1つの成分とを共に含む、医薬組成物を利用する。
【0186】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、経口、非経口、持続注入、吸入、又は局所投与用に製剤化し得る。注射に適した組成物は、溶液、懸濁液、若しくは乳液の形態、又は使用前に適切な溶媒に溶解又は懸濁させる乾燥粉末にし得る。
【0187】
局所的に送達される改変クロストリジウム毒素の場合、改変クロストリジウム毒素は、クリーム(例えば、局所塗布用)として、又は皮下への注入用に製剤化し得る。
【0188】
局所送達手段は、エアロゾル又は他の噴霧器(例えば、ネブライザ)を含み得る。これに関して、改変クロストリジウム毒素のエアロゾル処方により、肺及び/又は他の鼻及び/又は気管支又は気道の通路への送達が可能となる。
【0189】
本発明の改変クロストリジウム毒素は、罹患臓器の神経支配に関与する脊髄分節のレベルでの、脊柱における髄腔内又は硬膜外注射により、患者に投与し得る。
【0190】
好適な投与経路は、腹腔鏡下注射及び/又は局所注射、特に筋肉内注射によるものである。
【0191】
本発明の改変クロストリジウム毒素の投与に関する投与量範囲は、所望の治療的効果を生じるものである。必要な投与量範囲は、改変クロストリジウム毒素又は組成物の正確な性質、投与経路、剤形の性質、患者の年齢、患者の状態の性質、範囲、又は重症度、存在する場合には禁忌、及び主治医の判断に応じて決まる。こうした投与レベルの変化は、最適化のための標準の経験的ルーチンを用いて調整することができる。
【0192】
適切な1日投与量(患者体重1kg当たり)は、0.0001乃至1ng/kg、好ましくは0.0001乃至0.5ng/kg、より好ましくは0.002乃至0.5ng/kg、特に好ましくは0.004乃至0.5ng/kgの範囲である。単位投与量は、1ピコグラム未満乃至30ngで変化させることができるが、一般には、用量当たり0.01乃至1ngの範囲であり、毎日、又は好ましくは更に低い頻度で、例えば毎週又は6ヶ月毎に投与し得る。
【0193】
特に好適な投与レジメンは、1×量として改変クロストリジウム毒素0.05ngに基づくものである。この場合、好適な投与量は、1×乃至100×(即ち、0.05乃至5ng)の範囲である。
【0194】
流体投与形態は、一般に、改変クロストリジウム毒素とパイロジェンフリー無菌溶媒とを使用して調製される。改変クロストリジウム毒素は、溶媒と、用いる濃度とに応じて、溶媒に溶解又は懸濁させることができる。溶液の調製では、改変クロストリジウム毒素を溶媒に溶解することが可能であり、溶液は、必要な場合には、塩化ナトリウムを加えて等張にし、無菌操作により細菌濾過器を介して濾過した後、適切な滅菌バイアル又はアンプルに充填して密封する。或いは、溶液の安定性が十分である場合、密封容器内の溶液をオートクレーブにより殺菌する。緩衝剤、可溶化剤、安定化剤、防腐剤又は殺菌剤、懸濁化剤又は乳化剤、及び/又は局部麻酔剤等の添加剤を、溶媒に溶解し得るという利点を有する。
【0195】
使用前に適切な溶媒に溶解又は懸濁させる乾燥粉末は、事前に滅菌した材料を、無菌区域内で無菌操作により滅菌容器に充填することで調製し得る。或いは、材料は、無菌区域内で無菌操作により適切な容器内へ溶解させてもよい。その後、製品を凍結乾燥させ、容器を無菌状態で密封する。
【0196】
筋肉内、皮下、又は皮内注射に適した非経口溶液は、実質的に同一の方法で調製されるが、但し、滅菌成分は、溶解させる代わりに滅菌溶媒中に懸濁させ、滅菌は、濾過により行うことはできない。成分は、無菌状態で単離してよく、或いは、単離後にガンマ線照射により滅菌してもよい。
【0197】
懸濁剤、例えば、ポリビニルピロリドンを組成物(群)に含めると、成分の均一な分散が促進されるという利点がある。
【0198】
本発明による投与では、微小粒子カプセル化、ウイルス送達系、又は高圧エアロゾル衝突を含む様々な送達技術を利用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0199】
【
図1】
図1は、陽イオン性コンストラクトの等電点電気泳動(IEF)ゲルを示す図である。
【
図2】
図2は、Cat5v2(K1064H/N954K)(A)、Cat5v2(K1064H/N886K)(B)、及びCat5v2(K1064H/N1025K)(C)のラット胚脊髄ニューロン(embryonic spinal cord neurons, eSCN)におけるSNAP-25切断百分率と、nBoNT/A1と比較したpEC50の概要を示す図であって、(A、B、C)ラット胚脊髄ニューロンを3週間培養し、Cat5v4により24時間処理した後、SNAP-25特異抗体によるウエスタンブロットを行っており、データは、三つ組で行った3回の独立した実験からの平均値±標準偏差であり、(D)ラットeSCN SNAP-25切断効力アッセイにおけるCat5v2(K1064H/N886K)、Cat5v2(K1064H/N954K)、及びCat5v2(K1064H/N1025K)のnBoNT/A1(List Biological Laboratories)に対する相対的効力であり、各点は、個別のバッチに対応し、8点濃度反応曲線(CRC)に基づく3回の独立したpEC50判定の平均値であり、CRCにおける各濃度は、三つ組で評価しており、効力の比較は、Listバッチのプールドデータ(n=24)の平均に対して行っており、データは、Cat5v4当たりn=3のバッチの平均値±標準偏差である図である。
【
図3】
図3は、マウス横隔神経片側横隔膜アッセイ(mouse phrenic nerve hemi-diaphragm assay, mPNHD)におけるnBoNT/A1及びCat5v4の効力(t
50)を示す図であり、マウス横隔神経片側横隔膜組織を表示したようにCat5v4又は天然BoNT/A1と共にインキュベートし、横隔膜収縮力を、収縮が検出できなくなるまで又は140分後まで記録したものであり、各点は個別の判定に対応しており、t
50値は、マウス片側横隔膜の収縮力を50%阻害するのに要した時間である図である。
【0200】
[配列]
【0201】
配列番号1. BoNT/A1核酸配列
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCAAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAACGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAGCATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCCAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAACAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAACATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACCAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0202】
配列番号2. BoNT/A1アミノ酸配列
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0203】
配列番号3. 改変BoNT/A1「Cat-A」核酸配列
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAAGCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCcGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0204】
配列番号4. 改変BoNT/A1「Cat-A」アミノ酸配列
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESKHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0205】
配列番号5. 改変BoNT/A1「Cat-B」核酸配列
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACaAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAaTCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAAGAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0206】
配列番号6. 改変BoNT/A1「Cat-B」アミノ酸配列
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFKKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0207】
配列番号7. 改変BoNT/A1「Cat-C」核酸配列
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTGGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAAGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCAAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAATTGCTGATATTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCAATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATTGATCTGAGCCGTTATGCTAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAAGGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAAGATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCAAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAAGAAGAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAAGATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGAATAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTGATGTCGGTAATCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACAAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACAACAATGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCAGCAGCCGTACTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0208】
配列番号8. 改変BoNT/A1「Cat-C」アミノ酸配列
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKKAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNKISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTKEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLKKSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNKIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKNKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPDVGNLSQVVVMKSKNDKGITNKCKMNLQDNNGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERSSRTLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【0209】
配列番号9. 改変BoNT/A1「Cat-D」核酸配列
ATGCCATTCGTCAACAAGCAATTCAACTACAAAGACCCAGTCAACGGCGTCGACATCGCATACATCAAGATTCCGAACGCCGGTCAAATGCAGCCGGTTAAGGCTTTTAAGATCCACAACAAGATTTGGGTTATCCCGGAGCGTGACACCTTCACGAACCCGGAAGAAGGCGATCTGAACCCGCCACCGGAAGCGAAGCAAGTCCCTGTCAGCTACTACGATTCGACGTACCTGAGCACGGATAACGAAAAAGATAACTACCTGAAAGGTGTGACCAAGCTGTTCGAACGTATCTACAGCACGGATCTGGGTCGCATGCTGCTGACTAGCATTGTTCGCGGTATCCCGTTCTGGGGTGGTAGCACGATTGACACCGAACTGAAGGTTATCGACACTAACTGCATTAACGTTATTCAACCGGATGGTAGCTATCGTAGCGAAGAGCTGAATCTGGTCATCATTGGCCCGAGCGCAGACATTATCCAATTCGAGTGCAAGAGCTTTGGTCACGAGGTTCTGAATCTGACCCGCAATGGCTATGGTAGCACCCAGTACATTCGTTTTTCGCCGGATTTTACCTTCGGCTTTGAAGAGAGCCTGGAGGTTGATACCAATCCGTTGCTGGGTGCGGGCAAATTCGCTACCGATCCGGCTGTCACGCTGGCCCATGAACTGATCCACGCAGGCCACCGCCTGTACGGCATTGCCATCAACCCAAACCGTGTGTTCAAGGTTAATACGAATGCATACTACGAGATGAGCGGCCTgGAAGTCAGCTTCGAAGAACTGCGCACCTTCGGTGGCCATGACGCTAAATTCATTGACAGCTTGCAAGAGAATGAGTTCCGTCTGTACTACTATAACAAATTCAAAGACATTGCAAGCACGTTGAACAAGGCCAAAAGCATCGTTGGTACTACCGCGTCGTTGCAGTATATGAAGAATGTGTTTAAAGAGAAGTACCTGCTGTCCGAGGATACCTCCGGCAAGTTTAGCGTTGATAAGCTGAAGTTTGACAAACTGTACAAGATGCTGACCGAGATTTACACCGAGGACAACTTTGTGAAATTCTTCAAaGTGTTGAATCGTAAAACCTATCTGAATTTTGACAAAGCGGTTTTCaAGATTAACATCGTGCCGAAGGTGAACTACACCATCTATGACGGTTTTAACCTGCGTAACACCAACCTGGCGGCGAACTTTAACGGTCAGAATACGGAAATCAACAACATGAATTTCACGAAGTTGAAGAACTTCACGGGTCTGTTCGAGTTCTATAAGCTGCTGTGCGTGCGCGGTATCATCACCAGCAAAACCAAAAGCCTGGACAAAGGCTACAACAAGGCGCTGAATGACCTGTGCATTAAGGTAAACAATTGGGATCTGTTCTTTTCGCCATCCGAAGATAATTTTACCAACGACCTGAACAAGGGTGAAGAAATCACCAGCGATACGAATATTGAAGCAGCGGAAGAGAATATCAGCCTGGATCTGATCCAGCAGTACTATCTGACCTTTAACTTCGACAATGAACCGGAGAACATTAGCATTGAGAATCTGAGCAGCGACATTATCGGTCAGCTGGAACTGATGCCGAATATCGAACGTTTCCCGAACGGCAAAAAGTACGAGCTGGACAAGTACACTATGTTCCATTACCTGCGTGCACAGGAGTTTGAACACGGTAAAAGCCGTATCGCGCTGACCAACAGCGTTAACGAGGCCCTGCTGAACCCGAGCCGTGTCTATACCTTCTTCAGCAGCGACTATGTTAAGAAAGTGAACAAAGCCACTGAGGCCGCGATGTTCCTGGGCTGGGTGGAACAGCTGGTATATGACTTCACGGACGAGACGAGCGAAGTGAGCACTACCGACAAAaTTGCTGATaTTACCATCATTATCCCGTATATTGGTCCGGCACTGAACATTGGCAACATGCTGTACAAAGACGATTTTGTGGGTGCCCTGATCTTCTCCGGTGCCGTGATTCTGCTGGAGTTCATTCCGGAGATTGCGATCCCGGTGTTGGGTACCTTCGCGCTGGTGTCCTACATCGCGAATAAGGTTCTGACGGTTCAGACCATCGATAACGCGCTGTCGAAACGTAATGAAAAATGGGACGAGGTTTACAAATACATTGTTACGAATTGGCTGGCGAAAGTCaATACCCAGATCGACCTGATCCGTAAGAAAATGAAAGAGGCGCTGGAGAATCAGGCGGAGGCCACCAAAGCAATTATCAACTACCAATACAACCAGTACACGGAAGAAGAGAAGAATAACATTAACTTCAATATCGATGATTTGAGCAGCAAGCTGAATGAATCTATCAACAAAGCGATGATCAATATCAACAAGTTTTTGAATCAGTGTAGCGTTTCGTACCTGATGAATAGCATGATTCCGTATGGCGTCAAACGTCTGGAGGACTTCGACGCCAGCCTGAAAGATGCGTTGCTGAAATACATTTACGACAATCGTGGTACGCTGATTGGCCAAGTTGACCGCTTGAAAGACAAAGTTAACAATACCCTGAGCACCGACATCCCATTTCAACTGAGCAAGTATGTTGATAATCAACGTCTGTTGAGCACTTTCACCGAGTATATCAAAAACATCATCAATACTAGCATTCTGAACCTGCGTTACGAGAGCAATCATCTGATtGATCTGAGCCGTTATGCAAGCAAGATCAACATCGGTAGCAAGGTCAATTTTGACCCGATCGATAAGAACCAGATCCAGCTGTTTAATCTGGAATCGAGCAAAATTGAGGTTATCCTGAAAAACGCCATTGTCTACAACTCCATGTACGAGAATTTCTCCACCAGCTTCTGGATTCGCATCCCGAAATACTTCAACAGCATTAGCCTGAACAACGAGTATACTATCATCAACTGTATGGAGAACAACAGCGGTTGGAAGGTGTCTCTGAACTATGGTGAGATCATTTGGACCTTGCAGGACACCCAAGAGATCAAGCAGCGCGTCGTGTTCAAGTACTCTCAAATGATCAACATTTCCGATTACATTAATCGTTGGATCTTCGTGACCATTACGAATAACCGTCTGAATAACAGCAAGATTTACATCAATGGTCGCTTGATCGATCAGAAACCGATTAGCAACCTGGGTAATATCCACGCAAGCAACAACATTATGTTCAAATTGGACGGTTGCCGCGATACCCATCGTTATATCTGGATCAAGTATTTCAACCTGTTTGATAAAGAACTGAATGAGAAGGAGATCAAAGATTTGTATGACAACCAATCTAACAGCGGCATTTTGAAGGACTTCTGGGGCGATTATCTGCAATACGATAAGCCGTACTATATGCTGAACCTGTATGATCCGAACAAATATGTGGATGTCAATAATGTGGGTATTCGTGGTTACATGTATTTGAAGGGTCCGCGTGGCAGCGTTATGACGACCAACATTTACCTGAACTCTAGCCTGTACCGTGGTACGAAATTCATCATTAAGAAATATGCCAGCGGCAACAAAGATAACATTGTGCGTAATAACGATCGTGTCTACATCAACGTGGTCGTGAAGCGTAAAGAGTACCGTCTGGCGACCAACGCTTCGCAGGCGGGTGTTGAGAAAATTCTGAGCGCGTTGGAGATCCCTCGTGTCCGTCGTCTGAGCCAAGTCGTGGTTATGAAGAGCAAGAACGACCAGGGTATCACTAACAAGTGCAAGATGAACCTGCAAGACCGTCGTGGTAACGACATCGGCTTTATTGGTTTCCACCAGTTCAACAATATTGCTAAACTGGTAGCGAGCAATTGGTACAATCGTCAGATTGAGCGCCGTAGCCGTCGTTTGGGCTGTAGCTGGGAGTTTATCCCGGTCGATGATGGTTGGGGCGAACGTCCGCTG
【0210】
配列番号10. 改変BoNT/A1「Cat-D」アミノ酸配列
MPFVNKQFNYKDPVNGVDIAYIKIPNAGQMQPVKAFKIHNKIWVIPERDTFTNPEEGDLNPPPEAKQVPVSYYDSTYLSTDNEKDNYLKGVTKLFERIYSTDLGRMLLTSIVRGIPFWGGSTIDTELKVIDTNCINVIQPDGSYRSEELNLVIIGPSADIIQFECKSFGHEVLNLTRNGYGSTQYIRFSPDFTFGFEESLEVDTNPLLGAGKFATDPAVTLAHELIHAGHRLYGIAINPNRVFKVNTNAYYEMSGLEVSFEELRTFGGHDAKFIDSLQENEFRLYYYNKFKDIASTLNKAKSIVGTTASLQYMKNVFKEKYLLSEDTSGKFSVDKLKFDKLYKMLTEIYTEDNFVKFFKVLNRKTYLNFDKAVFKINIVPKVNYTIYDGFNLRNTNLAANFNGQNTEINNMNFTKLKNFTGLFEFYKLLCVRGIITSKTKSLDKGYNKALNDLCIKVNNWDLFFSPSEDNFTNDLNKGEEITSDTNIEAAEENISLDLIQQYYLTFNFDNEPENISIENLSSDIIGQLELMPNIERFPNGKKYELDKYTMFHYLRAQEFEHGKSRIALTNSVNEALLNPSRVYTFFSSDYVKKVNKATEAAMFLGWVEQLVYDFTDETSEVSTTDKIADITIIIPYIGPALNIGNMLYKDDFVGALIFSGAVILLEFIPEIAIPVLGTFALVSYIANKVLTVQTIDNALSKRNEKWDEVYKYIVTNWLAKVNTQIDLIRKKMKEALENQAEATKAIINYQYNQYTEEEKNNINFNIDDLSSKLNESINKAMININKFLNQCSVSYLMNSMIPYGVKRLEDFDASLKDALLKYIYDNRGTLIGQVDRLKDKVNNTLSTDIPFQLSKYVDNQRLLSTFTEYIKNIINTSILNLRYESNHLIDLSRYASKINIGSKVNFDPIDKNQIQLFNLESSKIEVILKNAIVYNSMYENFSTSFWIRIPKYFNSISLNNEYTIINCMENNSGWKVSLNYGEIIWTLQDTQEIKQRVVFKYSQMINISDYINRWIFVTITNNRLNNSKIYINGRLIDQKPISNLGNIHASNNIMFKLDGCRDTHRYIWIKYFNLFDKELNEKEIKDLYDNQSNSGILKDFWGDYLQYDKPYYMLNLYDPNKYVDVNNVGIRGYMYLKGPRGSVMTTNIYLNSSLYRGTKFIIKKYASGNKDNIVRNNDRVYINVVVKRKEYRLATNASQAGVEKILSALEIPRVRRLSQVVVMKSKNDQGITNKCKMNLQDRRGNDIGFIGFHQFNNIAKLVASNWYNRQIERRSRRLGCSWEFIPVDDGWGERPL
【実施例0211】
以下の実施例は、本発明の特定の実施形態を例示するためのものであり、特許請求の範囲に定める本発明の範囲を如何なる形でも限定しない。
【0212】
実施例1
【0213】
本発明による改変BoNT/A1分子の3種類の例を作成した。
【0214】
修飾(変異部位)用に選択したアミノ酸は、多数の異なる基準を用いて選び出した。
【0215】
残基置き換えの基準は次の通りである:
1. 残基の種類、
2. 表面露出の度合い、
3. 二次/三次構造に関する位置、
4. BoNTの既知の機能ドメインに関する位置、
5. BoNT/A又はBoNT/E亜型間での配列保存の度合い、
6. 付加ユビキチン化部位の導入の確率。
【0216】
本実施例では、アスパラギン(Asn、N)、及びグルタミン(Gln、Q)を変異のために選択しており、これは、極性であり、Lysと大きさが類似しており、他の残基と弱い双極子相互作用のみを形成し、これら2種類の残基により分子の14%が構成されているためである。
【0217】
分子表面で視認可能なAsn及びGln残基は、BoNT/A1の結晶構造(PDB ID:3BTA)から特定した。これにより、置き換えた全ての残基が、その電荷を外部に示すことが可能な状態が確保される。このリストからは、上記選択基準のポイント3乃至5(反復プロセス)を適用することにより、置き換えに適していないものを除外することが可能となった。
【0218】
BoNT/A1内の非保存的残基は、BoNT/A及び機能的に類似するBoNT/E血清型の他の亜型とのアライメントにより特定した。他の配列において塩基性残基として現れるものを、置き換えの最上位の候補として選択した。
【0219】
上記セクションで述べた選択基準を連続して反復した後、候補残基の最終的なリストを特定した。これらを、付加的なユビキチン化コンセンサス配列を生成する可能性についてスクリーニングした(CKSAAP_UbSiteサーバを使用)。特定された幾つかは、置き換えるリジンをアルギニンに変えることにより取り除いた。
【0220】
BoNT/A1配列から合成した最終的な陽イオン性コンストラクトの例は、以下に列記したものであり、Cat-A、Cat-B、及びCat-Cと命名した。各コンストラクトは、149,637ダルトンの分子量を有した。
Cat-A: N930K、S955K、Q991K、N1026K、N1052K、Q1229K、N886K。
Cat-B: N930K、S955K、Q991K、N1026K、N1052K、Q1229K、N954K。
Cat-C: N930K、S955K、Q991K、N1026K、N1052K、Q1229K、N1025K。
【0221】
実施例2
【0222】
BoNT/B、F、及びEアミノ酸配列を、Lys又はArgにより置換可能な潜在的残基について評価した。この初期評価により、置換することでpIが上昇し得るBoNT/B、E又はFタンパク質を産出可能な残基が特定された。
【0223】
BoNT/B(Ac:P10844)、BoNT/E(Ac:Q00496)、及びBoNT/F(Ac:P30996)の一次配列を分析した。アミノ酸組成の概要を下の表に示す。
【0224】
【0225】
表によれば、BoNT/A1について観察されたように、同様に多数の極性Asn/Gln残基が、アミノ酸配列に存在した。対応する中性残基(Asn/Gln)又は塩基性残基(Lys又はArg)に変化させることが可能な比較的多数の酸性(Asp/Glu)残基も存在した。
【0226】
実施例3
【0227】
修飾に好適なクロストリジウム毒素アミノ酸の特定
【0228】
全長の構造データは、BoNT/A、BoNT/B、及びBoNT/Eについて入手可能だったが、しかしながら、残りの4種類の血清型については、配列及び関連する構造相同性に基づいて、LOOPPコンピュータプログラムを用いて理論モデルを生成した。
【0229】
各構造をAreaIMol(CCP4スイート)により解析し、露出残基を、合計値が40を超えるものとして特定した。このリストから極性側鎖を有する残基を選択し、この中から、酸性である残基(Asp及びGlu)又は水素結合アクセプタ側鎖を有する残基(Asn及びGln)を優先した。最終的な計算ステップには、(複数の)αヘリックス及び(複数の)βストランドの間の残基をStrideサーバからの解析データに基づいて選択することを含めた。各分子の構造の目視検査を行い、界面領域に位置する残基を特定し、これらを回避した。
【0230】
BoNT/A1ついて、好適な残基のリストは、アライメントした全配列の少なくとも90%において機能的に非保存である残基により補足した[大型の非極性側鎖(Met、Pro、Phe、Trp)を同等と見做し、小型の非極性側鎖(Gly、Ala、Val、Leu、Ile)を同等と見做し、酸性側鎖(Asp、Glu)を同等と見做し、塩基性側鎖(Arg、Lys)を同等と見做した]。更に具体的には、配列の少なくとも10%において塩基性残基として現れる、これらの非保存残基と、参照配列における非保存的なAsn、Gln、Asp、又はGluを候補として選択した。
【0231】
残りの血清型について、亜型間の複数の配列アライメントを行い、配列の少なくとも10%において塩基性残基として現れる、機能的に非保存である残基を特定した。
【0232】
修飾に好適なクロストリジウム毒素アミノ酸
【0233】
BoNT/A:
ASN886、ASN905、GLN915、ASN918、GLU920、ASN930、ASN954、SER955、GLN991、GLU992、GLN995、ASN1006、ASN1025、ASN1026、ASN1032、ASN1043、ASN1046、ASN1052、ASP1058、HIS1064、ASN1080、GLU1081、GLU1083、ASP1086。
【0234】
BoNT/B:
ASN873、ASN874、GLU892、ASP895、ASN906、ASP940、ASN948、GLU949、ASN958、ASN959、ASN979、ASN990、GLU993、ASP994、GLU997、ASN1012、ASN1019、ASP1030、ASP1047、ASP1049、GLU1065、GLU1072、GLN1176、GLU1189、GLU1252、ASN1273。
【0235】
BoNT/C1:
ASN881、ASP898、GLU916、GLU927、ASN952、ASN964、ASN965、ASN984、GLU985、ASP986、ASP996、ASN1000、GLU1036、ASN1041、ASP1062、ASP1064、GLU1079、ASP1081。
【0236】
BoNT/D:
ASN877、ASP893、ASN894、ASN898、ASN920、ASN945、ASN948、GLU957、GLN958、ASN959、ASN968、ASN979、GLU1030、ASP1031、ASP1033、GLU1047、GLU1051、ASN1052、GLU1066、GLN1122。
【0237】
BoNT/E:
ASN859、ASP860、ASN892、ASP893、ASP904、ASP909、ASN928、ASN932、ASN934、ASN935、GLU936、ASP945、ASN946、ASN947、ASN966、ASN976、ASN979、ASN981、ASP985、GLN1014、ASN1019、ASN1022、ASP1027、ASN1035、及びASN1140。
【0238】
BoNT/F:
ASN879、ASP896、ASN922、ASN923、ASN928、ASN947、ASN950、ASN952、ASN953、GLU954、ASN963、ASN964、ASN965、ASN987、GLN997、ASN1037、ASP1040、ASP1045、ASN1055、ASP1056。
【0239】
BoNT/G:
ASP900、ASN909、ASN910、GLU912、ASN913、ASN945、ASN947、GLU956、ASN965、ASP966、ASN986、ASN1001、ASN1038、ASP1040、ASN1046、ASP1057、GLU1073、ASN1075、ASN1090。
【0240】
TeNT:
ASN893、ASP894、ASP911、ASN919、ASN927、ASN928、GLU929、GLN968、ASN972、GLU973、GLU1010、ASP1018、ASN1079、ASN1080、ASN1081、ASN1097。
【0241】
使用した配列
アクセッション番号:
BoNT/A: P10845
BoNT/B: P10844
BoNT/C1: P18640
BoNT/D: P19321
BoNT/E: Q00496
BoNT/F: YP_001390123
BoNT/G: Q60393
TeNT: P04958
【0242】
構造データソース
BoNT/A(3BTA.pdb)、BoNT/B(1EPW)、及びBoNT/E(3FFZ.pdb)の結晶構造は、RCSBから取得した。
BoNT/C1、BoNT/D、BoNT/F、BoNT/G、及びTeNTの相同性モデル化は、LOOPPと以下のそれぞれの配列とを用いて行った:P18640、P19321、YP_001390123、Q60393、及びP04958。
【0243】
構造解析
露出残基は、CCP4スイートのAreaIMolを用いて決定した。
二次構造の割り当ては、Strideを用いて決定した。
界面残基は、RasMolを用いた目視検査により決定した。
【0244】
配列解析
全長BoNT配列は、NCBIから取得した。
アライメントは、ClustalXにより行った。
【0245】
実施例4
【0246】
クローニング、発現、及び精製
【0247】
実施例1に記載した改変BoNT/A分子をコードするDNAコンストラクトを合成し、pJ401発現ベクター内にクローニングした後、大腸菌BL21(DE3)に形質転換した。これにより、大腸菌BL21(DE3)において、組換えCat-A、Cat-B、及びCat-Cタンパク質の可溶性の過剰発現が可能となった。
【0248】
組換え改変BoNTは、古典的なクロマトグラフィー手法を用いて、大腸菌可溶化液から精製した。陽イオン交換樹脂を用いた初期精製ステップを利用した後、疎水性相互作用樹脂を用いて中間精製ステップを行った。次に、組換え改変BoNTの単鎖をタンパク質分解により切断し、活性化二本鎖改変BoNTを得た。その後、最終精製ステップを利用して、残存汚染物を除去した。
【0249】
実施例5
【0250】
精製した改変BoNTの性質決定
【0251】
上述した実施例1に記載した改変BoNTは、次のように実験的に性質決定された。
【0252】
pIの測定により、改変BoNTの等電点が、無修飾(天然)BoNT/A1のものより高いことが明らかとなった。
図1及び下の表を参照されたい。
【0253】
【0254】
改変BoNTがニューロンに入り、SNAP-25(BoNT/A1の標的)を切断する能力を、ラット胚脊髄ニューロン(eSCN)を用いて評価した。
図2は、改変BoNTが保持する、ニューロンに入りSNAP-25を切断する能力が、天然BoNT/A1と同様であることを示している。
【0255】
改変BoNTの効力を、更に、マウス横隔神経片側横隔膜アッセイ(mPNHD)を用いて評価した。
図3は、改変BoNTが保持する、マウス片側横隔膜の収縮能力を阻害する能力が、天然BoNT/A1と同様であることを示している。
【0256】
生体内マウス指外転スコア(DAS)アッセイを用いて、天然BoNT/A1と相対的な効力及び安全性を評価した。両方の分子とも、天然BoNT/A1と比較して高い安全率を示し、僅かに効力が高かった。これらのデータを以下に記載する(表5(原文の2つ目のTable 4))。
【0257】
【0258】
安全率は、効力(最大半量指外転スコア(DAS))に対するBoNT治療の悪影響(体重減少)の尺度である。-10%体重(BW)とDAS ED50との比として計算され、ここで、-10%BWは、体重の10%減少に要するBoNTの量(pg/動物)を示し、ED50は、DASが2になるBoNTの量(pg/動物)を示す。
【0259】
DASアッセイは、ゼラチンリン酸緩衝液中に処方した改変クロストリジウム毒素20μlのマウス腓腹筋/ヒラメ筋複合体への注射後、Aokiにより報告された指外転の評価(Aoki KR, Toxicon 39: 1815-1820; 2001)により実施する。
【0260】
実施例6
【0261】
本発明による他の改変クロストリジウム毒素を、上記実施例1で述べた基準を用いて設計した。
【0262】
この陽イオン性コンストラクトも、BoNT/A1に由来するものであり、計算上のpIが7.4で、分子量は149,859となった。このコンストラクトは、Cat-Dと命名した。コンストラクトCat-A、Cat-B、及びCat-Cは、リジンに変異した残基を含んだが、Cat-Dは、アルギニンに変異した残基を含んでいた。
Cat-D:N1188R、D1213R、G1215R、N1216R、N1242R、N1243R、S1274R、T1277R。
【0263】
実施例7
【0264】
頸部ジストニアを有する患者の治療
【0265】
痙性斜頚を患う通院中の50歳の女性は、以前から標準的なBoNT/A調製物の治療上有効量による頸筋への治療を受けていたが、しかしながら、毒素が中咽頭に広がり、嚥下障害を起こした。この患者を、略1.5ng(以上)の本発明の改変BoNT/Aの頸筋の注射により治療する。患者の斜頚は、嚥下障害を生じることなく3乃至7日後に著しく改善し、患者は、少なくとも5ヶ月間に亘り、頭部及び肩を、正常な位置に保つことが可能となる。改変BoNT/A分子では組織保持が強化され、広がりが低減されているため、医師は、より多くの製品を、副作用の恐れなく注射することができ、投与量の増加は、作用持続時間の延長につながる。
【0266】
実施例8
【0267】
眼瞼痙攣を有する患者の治療
【0268】
47歳の男性は、眼瞼痙攣で通院している。この患者を、5pg乃至25pgの本発明の改変BoNT/Aの上眼瞼の瞼板前部外側の眼輪筋及び下眼瞼の瞼板前部外側の眼輪筋への注射により治療する。患者の症状の軽減は、約一週間以内に生じ、眼瞼下垂を起こすことなく、少なくとも5ヶ月間継続する。本発明のポリペプチドの安全性増加により、医師は、投与量を増やすことが可能となるため、臨床効果の持続期間を延ばすことができる。
【0269】
実施例9
【0270】
脳性麻痺を患う27歳の男性は、衰弱性の尖足で通院しており、歩行が困難である。この患者は、治療上有効量のBoNT/Aによる治療を受けていたが、歩行の緩和的改善には、筋力低下及び四肢の痛みが伴った。罹患した(両)下肢の腓腹筋内側頭及び外側頭の2部位それぞれに約20pg/kgの本発明の改変BoNT/Aを注射して患者を治療する。患者の歩行は、1週間以内に、以前に見られた副作用を伴わずに改善し、症状の軽減は、少なくとも4ヶ月継続する。より多くの量の製剤を投与可能であるため、作用持続時間の延長をもたらす治療につながる。
【0271】
[項目1]
少なくとも1つのアミノ酸修飾を含む改変クロストリジウム毒素であって、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.2pI単位だけ高い値にする、改変クロストリジウム毒素。
[項目2]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも0.5pI単位だけ高い値にする、項目1記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目3]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも1pI単位だけ高い値にする、項目1記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目4]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、少なくとも2pI単位だけ高い値にする、項目1記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目5]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、改変クロストリジウム毒素の等電点(pI)を上昇させ、前記少なくとも1つのアミノ酸修飾を欠く以外は同一のクロストリジウム毒素のpIより、2乃至5pI単位だけ高い値にする、項目1記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目6]
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが少なくとも6である、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目7]
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが6乃至10である、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目8]
前記改変クロストリジウム毒素は、pIが7乃至9、好ましくは8乃至9である、項目7記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目9]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アミノ酸置換、アミノ酸挿入、及びアミノ酸欠失から選択される、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目10]
前記少なくとも1つのアミノ酸置換は、酸性アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換、酸性アミノ酸残基の非荷電アミノ酸残基による置換、及び非荷電アミノ酸残基の塩基性アミノ酸残基による置換から選択される、項目9記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目11]
前記改変クロストリジウム毒素は、1乃至80個のアミノ酸修飾を含む、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目12]
前記改変クロストリジウム毒素は、4乃至40個のアミノ酸修飾を含む、項目11記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目13]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素の受容体結合ドメイン(HCドメイン)に位置する、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目14]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、クロストリジウム毒素のHCNドメインに位置する、項目13記載の改変クロストリジウム毒素
[項目15]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、表面露出アミノ酸残基の修飾である、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目16]
前記少なくとも1つのアミノ酸修飾は、アスパラギン酸残基、グルタミン酸残基、ヒスチジン残基、セリン残基、スレオニン残基、アスパラギン残基、グルタミン残基、システイン残基、又はチロシン残基から選択されるアミノ酸残基の修飾を含む、先行項目の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目17]
前記アミノ酸残基は、リジン残基又はアルギニン残基により置換される、項目16記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目18]
項目1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素をコードする核酸配列を含む核酸。
[項目19]
軽鎖及び重鎖を有する単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を生産する方法であって、項目18記載の核酸を適切な宿主細胞内で発現させることと、前記単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を含有する宿主細胞のホモジネートを提供するために前記宿主細胞を溶解することと、前記単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を単離することと、を含む方法。
[項目20]
改変クロストリジウム毒素を活性化する方法であって、項目19記載の方法により取得可能な単鎖改変クロストリジウム毒素タンパク質を提供することと、前記軽鎖と重鎖との間に位置する認識部位(切断部位)においてポリペプチドを切断するプロテアーゼにポリペプチドを接触させることと、前記ポリペプチドを、前記軽鎖と重鎖とがジスルフィド結合により互いに連結された二本鎖ポリペプチドに転換させることと、を含む方法。
[項目21]
医薬において用いる、項目1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目22]
斜視、眼瞼痙攣、斜視(squint)、ジストニア(例えば、痙性ジストニア、顎口腔ジストニア、限局性ジストニア、遅発性ジストニア、喉頭ジストニア、四肢ジストニア、頸部ジストニア)、斜頚(例えば、痙性斜頚)、細胞/筋肉の(SNAREの下方制御又は不活性化による)無能力化が有効となる美的療法(美容)用途、眼球運動の神経筋障害又は状態(例えば、共同斜視、上下斜視、外側直筋麻痺、眼振、甲状腺機能低下ミオパチー)、書痙、眼瞼痙攣、歯ぎしり、ウィルソン病、振戦、チック、分節性ミオクローヌス、攣縮、慢性多発性硬化症による痙縮、異常な膀胱の制御をもたらす痙縮、アニムス、背部痙攣、筋肉硬直、緊張性頭痛、骨盤挙筋症候群、二分脊椎、遅発性ジスキネジア、パーキンソン病、吃音症、片側顔面痙攣、眼瞼障害、脳性麻痺、限局性痙縮、痙性大腸炎、神経因性膀胱、アニスムス、四肢痙縮、チック、振戦、歯ぎしり、裂肛、アカラシア、嚥下障害、流涙、多汗症、過剰唾液分泌、過剰消化管分泌、筋肉痛(例えば、筋痙攣による痛み)、頭痛(例えば、緊張性頭痛)、額の皺、皮膚の皺、癌、子宮障害、泌尿生殖器障害、泌尿生殖器神経障害、慢性神経性炎症、及び平滑筋障害から選択される疾患又は状態の予防又は治療に用いる、項目1乃至17の何れかに記載の改変クロストリジウム毒素。
[項目23]
実質的に本明細書において添付図面を参照して説明された改変クロストリジウム毒素。