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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054236
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】電動工具
(51)【国際特許分類】
   B25F 5/00 20060101AFI20240409BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
B25F5/00 A
B25F5/00 H
H05K5/02 L
【審査請求】有
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024016890
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2019079890の分割
【原出願日】2019-04-19
(31)【優先権主張番号】P 2018086577
(32)【優先日】2018-04-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001689
【氏名又は名称】青稜弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】中澤 茉奈美
(72)【発明者】
【氏名】東海林 潤一
(72)【発明者】
【氏名】竹内 翔太
(72)【発明者】
【氏名】田村 健悟
(72)【発明者】
【氏名】益子 弘識
(57)【要約】      (修正有)
【課題】地面などに電動工具を落下させた際の衝撃による制御回路基板の破損を防止する。
【解決手段】ハンドル部とその先端にバッテリ取付部102cが形成された分割式のハウジング102を有する電動工具において、分割面を跨ぐようにしてバッテリ取付部102cの上面に開口部103が形成され、スイッチパネル150が装着される。また、バッテリ取付部102cの内部に制御回路基板131が搭載される。制御回路基板131は基板ケース135を介して2分割形式のハウジング102によって挟持されるようにして保持され、制御回路基板131の下方向に直接又は間接的に支持する隆起部138を、基板ケース135と一体に構成した。衝撃時の落下によってハウジング102の特定部位104の下向きの変形が生じても、ネジ141が衝撃を受け止めるので制御回路基板131の破損が防止される。
【選択図】図23
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容する胴体部と、
作業者に把持されるハンドル部と、
前記ハンドル部の端部に設けられ、前記ハンドル部より径方向に突出し、電子部品が搭載された基板を収容する収容部と、を備え、
前記基板は、前記ハンドル部の延長線上の位置から前記収容部の突出する部分にわたって前記収容部に収容され、
前記基板を直接又は間接的に支持するサポート部を設けたことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記サポート部は、前記基板を収容する前記収容部と一体に構成されることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記サポート部は前記収容部の略中央に設けられ、
前記基板に前記サポート部が貫通する貫通孔を設けたことを特徴とする請求項1又は2に記載の電動工具。
【請求項4】
前記サポート部の中央には段が設けられ、前記基板は、前記段によって下面が支持されることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項5】
前記段は複数設けられ、
前記段の一番上にはネジを配置したことを特徴とする請求項4に記載の電動工具。
【請求項6】
前記基板の左右両側の縁部は、前記収容部と非接触状態にて保持されることを特徴とする請求項5に記載の電動工具。
【請求項7】
前記収容部の前方に、前記基板の前縁下側を支持する段差部を設けたことを特徴とする請求項5又は6に記載の電動工具。
【請求項8】
前記ネジの径方向に見て、前記基板と前記ネジの間に隙間を設けたことを特徴とする請求項5から7のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項9】
前記基板の上側にスイッチ素子の操作面を形成するスイッチパネルを配置し、前記スイッチパネルから延在する固定用のタブを前記ネジによって前記基板から抜けないように保持することを特徴とする請求項5から8のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項10】
前記ハンドル部の径方向に突出する部分には、前記基板と対向する位置に開口部が形成され、
前記サポート部は、前記開口部の縁部の変形を抑制することを特徴とすることを特徴とする請求項1から8のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項11】
前記ハンドル部の長手方向に見て、前記サポート部は前記開口部の周縁部の一部と重なる位置に設けられることを特徴とする請求項10に記載の電動工具。
【請求項12】
前記基板は前記開口部の前記縁部と対向するように前記収容部に収容されており、
前記サポート部は、前記基板に対して前記開口部の前記縁部と反対側の前記基板を支持するよう、前記収容部と一体に構成されていることを特徴とする請求項10又は11に記載の電動工具。
【請求項13】
前記基板は、前記開口部の前記縁部と対向する第1面と、前記第1面に対して前記開口部の前記縁部と反対側の第2面とを有すると共に、基板ケースに収容された状態で前記収容部に収容されており、
前記サポート部は、前記第2面側から前記基板を貫通して前記基板の前記第1面側に延びるように、又は、前記第2面側から前記基板と反対側に延びて前記収容部に固定された部分に接触するように、前記基板ケースに設けられていることを特徴とする請求項10から12のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項14】
前記基板は前記開口部の前記縁部と対向するように前記収容部に収容されており、
前記開口部の前記縁部と前記基板との間に前記サポート部を設けたことを特徴とする請求項10から13のいずれか一項に記載の電動工具。
【請求項15】
前記収容部は、バッテリを取り付けるためのバッテリ取付部を構成すると共に、前記バッテリのバッテリ側ターミナルと接続する工具側ターミナルが設けられるターミナルホルダを有し、
前記ターミナルホルダは、前記基板に対して前記縁部の反対側で前記基板に対向するように設けられ、
前記サポート部は、前記ターミナルホルダに設けられることを特徴とする請求項10から14のいずれか一項に記載の電動工具。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は落下などによる衝撃の対策を施した電動工具に関する。
【背景技術】
【0002】
手持ち式の電動工具において、バッテリに蓄電された電気エネルギーにて駆動するコードレスタイプの電動工具が広く用いられている。ドリルやドライバ等の先端工具をモータによって回転駆動して所要の作業を行う電動工具においては、例えば特許文献1に開示されているように、バッテリを用いてモータを駆動する。モータの回転力は、動力伝達機構を介して出力軸の回転運動に変換され、先端工具を回転させる。このような電動工具は、例えば、特許文献1に開示されている。
【0003】
特許文献1のような電動工具では、胴体部のほぼ中央付近から軸線方向に略直交する方向に延在するハンドル部が形成され、ハンドル部の先端であって胴体部から離れた位置(反胴体部側の端部)のバッテリ取付部が設けられる。バッテリ取付部は、ハンドル部の軸線とは交差する方向に延在するもので、その下側にパック式のバッテリが装着される。バッテリ取付部の内部には、モータを制御するための制御回路基板が設けられる。また、バッテリ取付部の上面には、スイッチパネルが配置される。スイッチパネルには、モータの回転速度や打撃の強さを設定するソフトタッチ式のボタンや、出力軸近傍に設けられた照明装置の点灯スイッチ等が配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2014-124725号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
手持ち式の電動工具では、作業者の不注意によって電動工具を地面などに落下させてしまう場合がある。そのため、電動工具の製造メーカは落下時の衝撃対策を施すことにより、落下してもできるだけ壊れないように改良してきた。落下時の衝撃を受ける箇所は様々な部位があるが、発明者らが衝撃対策を行う過程において、例えばバッテリ駆動の電動工具の場合、バッテリが下になる電動工具1を通常の作業位置よりも高い位置から落下させた際に、ハンドル部とバッテリ取付部との付け根付近が変形して、その下に配置される制御回路基板が破損する虞があることがわかった。このハンドル部とバッテリ取付部との接続部付近の変形は、バッテリ取付部の延在する部分の上面付近にスイッチパネルを配置するために開口部を設けた場合に、特に変形量が大きくなることもわかった。また、コードレスタイプの電動工具ではなく商用電源等を使用する電動工具も、ハンドルの端部に回路基板を収容する収容部が設けられる製品もあり、電動工具を落下させた際に収容部の変形により回路基板が破損する虞がある。特に、ハンドルよりも径方向に突出するように収容部又はバッテリ取付部が設けられ、回路基板がハンドルの長手方向の延長上から当該突出した部分にわたって配置されている場合に、収容部の変形により回路基板が破損する虞が高くなる。
【0006】
本発明は上記背景に鑑みてなされたもので、その目的は、地面などに電動工具を落下させた際に、ハウジングの変形による回路基板の破損の虞を大幅に低下させた電動工具を提供することにある。
本発明の他の目的は、分割形式のハウジングによって挟持される回路基板を、落下衝撃時のハウジングの局所的な変形から保護するようにした電動工具を提供することにある。
本発明のさらに他の目的は、回路基板を収容する基板ケースの構造を変更することで、落下衝撃時に基板ケース内に収容される回路基板の破損を効果的に保護するようにした電動工具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、モータと、モータを収容する胴体部と、作業者に把持されるハンドル部と、ハンドル部の端部に設けられ、ハンドル部より径方向に突出し、電子部品が搭載された基板を収容する収容部と、を備えた電動工具において、基板はハンドル部の延長線上の位置から収容部の突出する部分にわたって収容部に収容されるようにして、基板を直交方向に直接又は間接的に支持するサポート部を設けた。このサポート部は、基板を収容する収容部と一体に構成される。また、サポート部は収容部の略中央に設けられ、基板にサポート部が貫通する貫通孔を設けた。さらに、サポート部の中央に段が設けられ、その段によって基板の下面が支持される。サポート部には複数の段が設けられ、段の一番上にはネジを上下方向に配置した。
【0008】
本発明の他の特徴によれば、基板の左右両側の縁部は、収容部と非接触状態にて保持される。また、収容部の前方に、基板の前縁下側を支持する段差部又は支持部を設けた。ネジの径方向に見て、基板とネジの間には隙間が設けられる。さらに、基板の上側にスイッチ素子の操作面を形成するスイッチパネルを配置し、スイッチパネルから延在する固定用のタブをネジによって保持する。ハンドル部の径方向に突出する部分には、基板と対向する位置に開口部が形成され、サポート部は、開口部の縁部の変形を抑制するようにした。
【0009】
本発明のさらに他の特徴によれば、ハウジングと、ハウジングに収容されたモータと、モータの回転力を先端工具に伝達する動力伝達機構と、モータの回転を制御する制御部を有し、ハウジングはハンドル部とその先端に形成されたバッテリ取付部を有し、バッテリ取付部はハンドル部の軸線方向と交差する方向に延在する延在部を有し、ハウジングは左右で挟持する形式であって、延在部のうち軸線方向と交差する面において挟持する分割面を跨ぐようにして開口部が形成され、延在部の反ハンドル部側にバッテリが装着される。このような構成の電動工具において、延在部の内部であってバッテリとハンドル部の間に制御部を搭載する制御回路基板を有し、制御回路基板は2分割形式のハウジングによって挟持されるようにして保持され、制御回路基板を分割面と直交方向に直接又は間接的に保持するサポート部を設けた。このサポート部は、ハンドル部の長手方向(B1方向)に見て開口部の周縁部の一部と重なる位置に設けられる。
【0010】
本発明のさらに他の特徴によれば、制御回路基板は2分割形式のハウジングの分割方向の辺部に凸部が形成された容器状の基板ケースに収容され、基板ケースの凸部をハウジングの内壁に形成された凹部によって挟持されるようにして保持される。サポート部は基板ケースに接するように形成されるもので、基板ケースの下面において分割方向に延びる直線状の梁部として形成できる。梁部はハウジングと一体成形にて形成すると良く、開口部の周縁部の一部と梁部の一部は、ハンドル部の長手方向(B1方向)に重なる位置に設けられる。ここで、梁部の長さは制御回路基板の幅よりも大きく形成されると好ましい。また、基板ケースには底面から上部開口に至る柱部を形成し、制御回路基板に柱部を貫通させるための貫通穴を形成するように構成しても良い。
【0011】
本発明のさらに他の特徴によれば、ハウジングのバッテリ取付部の延在部に分割面を跨ぐようにして開口部が形成される電動工具において、制御回路基板は分割方向の辺部に凸部が形成された容器状の基板ケースに収容され、基板ケースは制御回路基板の上面外縁よりも大きい上部開口を有し、基板ケースの上部開口を跨ぐようにして、梁部材が配置される。梁部材は、細長い金属板又は金属棒で構成される。また、制御回路基板とバッテリの間には、バッテリの端子部と接続するための機器側端子群を保持するバッテリターミナル部が形成され、梁部材はバッテリターミナル部に形成される凸部にて形成されるものであって、ハンドル部の長手方向(B1方向)に見て開口部の周縁部の一部と重なる位置にサポート部が設けられる。
【0012】
本発明のさらに他の特徴によれば、モータを収容する胴体部と、作業者が把持するハンドル部と、ハンドル部の端部に設けられハンドル部より径方向に突出し、電子部品が搭載される基板を収容する収容部と、を備え、基板はハンドル部の延長上の位置から収容部の突出する部分にわたって収容部に収容され、収容部の突出部分には、基板と対向する位置に開口部が形成され、開口部の縁部の変形を抑制するサポート部を収容部に設けた。また、基板は縁部と対向するように収容部に収容されており、サポート部は基板に対して縁部と反対側の基板を支持するよう、収容部と一体に構成される。さらに、基板は、縁部と対向する第1面(上側開口面)と、第1面に対して縁部と反対側の第2面(底面)とを有すると共に、基板ケースに収容された状態で収容部に収容される。サポート部は、第2面側から基板を貫通して基板の第1面側に延びるように、又は、第2面側から基板と反対側に延びて収容部に固定された部分に接触するように、基板ケースに設けられる。基板は縁部と対向するように収容部に収容され、縁部と基板との間に別のサポート部を設けても良い。尚、収容部は、バッテリを取り付けるためのバッテリ取付部を構成すると共に、バッテリのバッテリ側ターミナルと接続する工具側ターミナルが設けられるターミナルホルダを有し、ターミナルホルダは、基板に対して縁部の反対側で基板に対向するように設け、サポート部はターミナルホルダに設けても良い。
【0013】
本発明のさらに他の特徴によれば、モータを収容する胴体部と、作業者が把持するハンドル部と、ハンドル部の端部に設けられ、ハンドル部より径方向に突出し、電子部品が搭載される基板を収容する収容部を備え、基板はハンドル部の延長上の位置から収容部の突出する部分にわたって収容部に収容され、収容部の突出部分には、基板と対向する位置に開口部が形成される。ここで開口部の縁部が落下による衝撃が加わって変形しても基板に接触しないように、縁部と基板との間に十分な隙間を設けるようにした。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、落下などの衝撃が電動工具のハウジングに加わった時に、ハウジングの特定の部位が変形して回路基板に変形による押圧力が作用しても、回路基板の下に配置されたサポート部によって回路基板の変形が抑制されるので、回路基板の破損に起因する電動工具の故障を効果的に抑制できる。また、サポート部はハウジング分割面と直交する方向に延びる梁部としてハウジングと一体成形によって製造できるので、強度的に強くできる上、製造コストの上昇を抑制できる。さらに別のサポート部として、基板ケースにおいて分割面と直交する方向にある2つの辺部を繋ぐような金属板で構成するので、基板ケースを替えるだけで容易に本発明を実施できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本発明の実施例に係る電動工具1の右側面図である。
図2】本発明の実施例に係る電動工具1の内部構造を示す縦断面図である。
図3】(A)は図2のバッテリ取付部2cの部分拡大断面図であり、(B)は前後方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とサポート部の位置関係(静止時)を説明するための図であり、(C)は前後方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とサポート部の位置関係(衝撃発生時)を説明するための図である。
図4図3のA-A部の断面図であり、(B)は左右方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とサポート部たる梁部材40との位置関係(静止時)を説明するための図であり、(C)は左右方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とサポート部の位置関係(衝撃発生時)を説明するための図である。
図5図3のB-B部からみた斜視断面図である。
図6図3(A)と同じバッテリ取付部2cの部分拡大断面図であって、正立状態にて落下させた衝撃が加わった際の変形状態を示す図である。
図7図6のC-C部の断面図である。
図8】バッテリ取付部2cによる延在部の外形を示すための上面図であり、スイッチパネル46の詳細形状を示す図である。
図9】本発明の第2の実施例に係るバッテリ取付部の部分拡大断面図である。
図10】本発明の第3の実施例に係るバッテリ取付部の部分拡大断面図である。
図11図10のD-D部の断面図である。
図12】本発明の第4の実施例に係るハウジング2Aのバッテリ取付部の部分拡大断面図である。
図13図12のE-E部の断面図である。
図14】本発明の第5の実施例に係るバッテリ取付部の部分拡大断面図である。
図15図14のF-F部の断面図である。
図16】本発明の第6の実施例に係るバッテリ取付部の部分拡大断面図である。
図17図16のG-G部の断面図である。
図18】(A)は従来のインパクト工具のバッテリ取付部202cの部分拡大断面図であり、(B)は前後方向にみたハウジング202の最大変形箇所(特定の部位234)の位置(静止時)を示す図であり、(C)は前後方向にみたハウジング202の最大変形箇所の位置とサポート部の位置関係(衝撃発生時)を示す図である。
図19図18のH-H部の断面図であり、(B)は左右方向にみたハウジング202の最大変形箇所(特定の部位234)の位置と、リブ238a、238bの位置関係(静止時)を示す図であり、(C)は左右方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とリブ238a、238bの位置関係(衝撃発生時)を示す図である。
図20】本発明の第7の実施例に係る電動工具101の制御回路部130の斜視図である。
図21図20の制御回路部130の展開斜視図である。
図22図20の制御回路部130のハウジング102への取付状態を示す斜視図である。
図23】第7の実施例に係る電動工具101のバッテリ取付部102cの部分拡大断面図である。
図24】第7の実施例の基板ケース135の図であり、(A)は上面図であり、(B)は(A)のK-K部の断面図で有り、(C)は(A)のL-L部の断面図である。
図25図23のM部の部分拡大図である。
図26】(A)は第7の実施例の制御回路部130の上面図であり、(B)は従来の制御回路部230の上面図である。
図27】第7の実施例の変形例に係る制御回路基板131のサポート部付近の部分拡大図である。
図28】(A)は第7の実施例におけるハウジング102の最大変形箇所から基板ケース135に伝わる応力の位置を示す図であり、(B)は従来のハウジング202の最大変形箇所から基板ケース135に伝わる応力の位置を示す図である。
図29】本発明の第8の実施例に係る電動工具の制御回路部130を示す断面図であり、(A)はハウジング102の分割面を通る鉛直断面図であり、(B)は(A)と直交する縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【実施例0016】
以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。以下の図において、同一の部分には同一の符号を付し、繰り返しの説明は省略する。また、本明細書においては、前後、上下の方向は図中に示す方向であるとして説明する。
【0017】
図1は、本発明の実施例に係る電動工具1の外観を示す側面図である。電動工具1は、充電可能なパック式のバッテリ300を電源とし、モータを駆動源として出力軸10に回転力と打撃力を与え、取付穴10aに装着され装着機構11にて保持されるドライバビット等の図示しない先端工具に回転打撃力を間欠的に伝達してねじ締めやボルト締め等の作業を行う。電動工具1のハウジング2は、モータや動力伝達機構を収容するための略円筒状の筒状の胴体部2aと、胴体部2aの略中央付近から軸線A1と略直交方向(下方)に延在するものであって、作業者が片手で把持するためのハンドル部2bと、ハンドル部2bの端部のうち、胴体部2aと反対側に位置する下方側端部(反胴体部側端部)に設けられるバッテリ取付部2cの3つの部分により構成される。ハウジング2の胴体部2aは、ハンドル部2b及びバッテリ取付部2cと共に合成樹脂材料の一体成形により製造され、モータ3の回転軸4を通る鉛直面で左右に2分割されるように構成される。組立の際には一方のハウジング2(例えば左側のハウジング)に、モータ、減速機構、インパクト機構等の組込みを行い、しかる後、他方のハウジング2(例えば右側のハウジング)を重ねて、ハウジングのネジボスに複数のネジ29a~29hで締め付ける方法が取られる。ハンドル部2b内の上部にはトリガレバー7aが前方側に突出するように配設され、トリガレバー7aの後方側には、出力軸10の回転方向を正方向又は逆方向に切り換えるための正逆切替レバー8が設けられる。ハンドル部2bの端部のうち、胴体部2aと反対側に位置する下方側端部(反胴体部側端部)には、水平方向に延在するように形成されたバッテリ取付部2cが形成され、リチウムイオン電池等の二次電池からなるバッテリ300が着脱可能に装着される。図1の状態からバッテリ300を取り外す際には、左右両側にあるラッチボタン301を押し込みながらバッテリ300を電動工具本体に対して前方側に相対移動させる。
【0018】
ハウジング2の胴体部2aの後端側付近には、スリット状の空気取入口17bが形成され、その前方側であってロータファン15(図2で後述)の外周付近には、空気排出用のスリット状の空気排出口17cが形成される。ハウジング2の胴体部2aの前方側にはカップ状であって、先端に出力軸10を貫通させる貫通穴5aが形成されたハンマケース5が設けられる。ハンマケース5の前方端付近の下側には、LEDを用いた照明装置9が設けられる。
【0019】
バッテリ取付部2cはバッテリ300を装着するためのレール機構と接続端子群が設けられることに加えて、内部に制御回路基板(図2で後述)を収容する。バッテリ取付部2cの横幅は、バッテリ300の上面とほぼ同じである。バッテリ取付部2cの上面部分であってハンドル部2bの下端よりも前方部分には、第1のスイッチパネル46が設けられる。第1のスイッチパネル46には、先端工具による締め付け対象を照らすための照明装置9を点灯するためのライトスイッチ、バッテリ300の残量を表示するための電池残量表示スイッチと電池残量表示ランプ、打撃強さを表示するための強弱表示ランプが配置される。また、バッテリ取付部2cの左側面部分にも第2のスイッチパネル(図示せず)が設けられ、打撃強さ(締め付けの強さ)を調整するための強弱切替スイッチ(図示せず)が設けられる。
【0020】
図2は本実施例の電動工具1の内部構造を示す縦断面図である。モータ3は側面視で略T字状の形状を成すハウジング2の筒状の胴体部2a内に収容される。モータ3はブラシ(整流用刷子)の無いDC(直流)モータであり、4極6スロットのブラシレスDCモータである。モータ3は永久磁石を備えたロータ(回転子)3aと、3相巻線等の複数相の電機子巻線(固定子巻線)を備えたステータ(固定子)3bを含む。モータ3は、ロータ3aの永久磁石の磁力を検出してロータ位置を検出する3つのホールICより構成された位置検出素子13の出力を用いて、バッテリ等から供給される直流電圧を複数の半導体スイッチング素子14によってスイッチングされることにより動作する。モータ3の回転軸4は筒状の胴体部2aの軸線A1と同心に配置され、前側及び後側において2つの軸受16a、16bによってハウジング2に軸支される。ステータ3bの後方側には、3つの位置検出素子13や6つの半導体スイッチング素子14等を搭載するための略円環状のインバータ回路基板12が配置される。インバータ回路基板12はモータ3の外径とほぼ同径の略円環状の両面基板である。半導体スイッチング素子14は6つ設けられてインバータ回路を形成し、各相の固定子巻線への通電を切換える。半導体スイッチング素子14としてFET(電界効果トランジスタ)やIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)等が用いられる。インバータ回路はマイクロコンピュータ(マイコン)により制御され、位置検出素子13によるロータ3aの位置検出結果に基づいて各相の電機子巻線の通電タイミングを設定するので、高度な回転制御が容易となる。
【0021】
ハンマケース5は、内部に減速機構20とインパクト機構21を収容するものであって、ハウジング2の胴体部2aの前方側に設けられる。ハンマケース5は金属の一体品にて製造され、カップ状の底部にあたる前方部分には出力軸10を貫通させるための貫通穴5aが形成される。ハンマケース5の外側に突出する出力軸10の先端部分に、図示しない先端工具を装着又は取り外しするための装着機構11が設けられる。
【0022】
ロータ3aと軸受16aの間には、ロータファン15が回転軸4と同軸に取り付けられる。ロータファン15は、例えばプラスチックのモールドにより一体成形されるものであり、後方の内周側から空気を吸引し、前方側の半径方向外側に排出する、いわば遠心ファンである。ロータファン15によって起こされる空気流は、空気取入口17a及びインバータ回路基板12の周囲のハウジング部分に形成された空気取入口17b(図1参照)から胴体部2aの内部に取り込まれ、主にロータ3aとステータ3bの間を通過するように前方側に流れ、ロータファン15により、ロータファン15の周囲のハウジング部分に形成された後述するスリット状の空気排出口17c(図1参照)からハウジング2の外部に排出される。
【0023】
ロータ3aは、永久磁石によって形成される磁路を形成する。ステータ3bは、円環状の薄い鉄板の積層構造で製造され、内周側には6つのティース(図示せず)が形成され、各ティースにはエナメル線が巻かれてコイルが形成される。本実施例では、コイルをU、V、W相の3相を有するスター結線としている。
【0024】
ハウジング2のハンドル部2bは、作業者が把持するための部分であり、軸線B1に沿った略円筒形であって片手で把持するのに好適な形状とされる。ハンドル部2bの内部にはトリガスイッチ7が配置されると共に、制御回路部30から胴体部2a側へのリード線等の各種配線が収容される。ハンドル部2bから見て上方側にはモータ3や動力伝達機構(減速機構20とインパクト機構21)といいう重量物が配置されるため、ハンドル部2bと胴体部2aの接続部分の強度が十分になるように構成される。同様にして、ハンドル部2bの下方側にはバッテリ300という重量物が配置されるので、ハンドル部2bとバッテリ取付部2cの接続部分の強度が十分になるように構成される。特に、接続部分の付け根付近43a~43dの補強が成される。
【0025】
ハウジング2のバッテリ取付部2cはハンドル部2bの延長上の位置から前方向及び左右方向に突出する部分を有し、その内部にはトリガレバー7aの引き動作によってモータ3の速度を制御する機能を備えた制御回路基板31(図3で後述)を含む制御回路部30が収容される。制御回路部30は、バッテリ300とトリガスイッチ7に複数のリード線によって電気的に接続される。また、制御回路基板31には図示しないリード線と制御回路基板31を接続するためのコネクタ(図示せず)が設けられる。制御回路基板31はさらに、複数のリード線を介してインバータ回路基板12と電気的に接続される。制御回路基板31の近傍であって、バッテリ取付部2cの上面には、入力操作を行い、LED等による表示操作を行うための入出力操作部が設けられる。ここでは入出力操作部としてハウジング2に設けられる別体式のスイッチパネル46を設け、バッテリ300の残量チェックスイッチと残量表示用のLED表示装置と、照明装置9の点灯スイッチを配置した(詳細は図8で後述)。スイッチパネル46は制御回路部30側に強固に又は緩やかに固定され、ハウジング2の分割面によって分断されるようにして配置される開口部45によって分割方向(左右方向)から挟まれるようにして保持される。開口部45はバッテリ取付部2cの突出部分に設けられている。なお、バッテリ取付部2cは基板を収容する収容部に相当する。
【0026】
インパクト機構21は遊星歯車による減速機構20の出力側に設けられるもので、スピンドル22とハンマ24を備え、後端が軸受18bによって、前端が軸受18aによって回転可能に保持される。減速機構20とインパクト機構21が、モータ3によって先端工具を駆動するための動力伝達機構を構成する。トリガレバー7aが引かれてモータ3が起動されると、正逆切替レバー8で設定された方向にモータ3が回転を始め、その回転力は減速機構20によって減速されてスピンドル22に伝達され、スピンドル22が所定の速度で回転駆動される。ここで、スピンドル22とハンマ24とはカム機構によって連結され、このカム機構は、スピンドル22の外周面に形成されたV字状のスピンドルカム溝23と、ハンマ24の内周面に形成されたハンマカム溝25と、これらのスピンドルカム溝23、25に係合するスチールボール26によって構成される。ハンマ24は、ハンマスプリング27によって常に前方に付勢されており、静止時にはスチールボール26とスピンドルカム溝23、25との係合によってアンビル28の端面とは隙間を隔てた位置にある。ハンマ24とアンビル28の対向する回転平面上の2箇所には図示しない凸部がそれぞれ対称的に形成される。
【0027】
スピンドル22が回転駆動されると、その回転はカム機構を介してハンマ24に伝達され、ハンマ24が半回転しないうちにハンマ24の凸部がアンビル28の凸部に係合してアンビル28を回転させるが、そのときの係合反力によってスピンドル22とハンマ24との間に相対回転が生ずると、ハンマ24はカム機構のスピンドルカム溝23に沿ってハンマスプリング27を圧縮しながらモータ3側へと後退を始める。そして、ハンマ24の後退動によってハンマ24の凸部がアンビル28の凸部を乗り越えて両者の係合が解除されると、ハンマ24は、スピンドル22の回転力に加え、ハンマスプリング27に蓄積されていた弾性エネルギーとカム機構の作用によって回転方向及び前方に急速に加速されつつ、ハンマスプリング27の付勢力によって前方へ移動し、その凸部がアンビル28の凸部に再び係合して一体に回転し始める。このとき、強力な回転打撃力がアンビル28に加えられるため、アンビル28の取付穴10aに装着される図示しない先端工具を介してねじに回転打撃力が伝達される。以後、同様の動作が繰り返されて先端工具からねじに回転打撃力が間欠的に繰り返し伝達され、例えば、ねじが木材等の図示しない被締め付け部材にねじ込まれる。
【0028】
図3(A)は図2のバッテリ取付部2cの部分拡大断面図である。バッテリ取付部2cは、バッテリ300を取り付けるための取付部を構成すると共に、バッテリ300側のターミナル(バッテリ側ターミナル)と接続するための工具側のターミナルが設けられるターミナルホルダ50を保持する部分であり、さらに、制御回路部30を収容する収容部として機能する。制御回路部30は、上側が開口となる皿状の容器たる基板ケース35の内部に、図示しないマイコンやその他の電子素子、コネクタ等の電子部品が搭載された制御回路基板31が収容され、基板ケース35の内部が樹脂33にて充填されたものである。制御回路基板31は、開口部45と対向する第1面(上面)と、第1面に対して開口部45と反対側の第2面(底面)とを有する。樹脂33は、液体状の状態時に基板ケース35内に充填して硬化させたもので、例えばウレタン等の硬化性樹脂が用いられる。ここでは基板ケース35の上端開口部まで樹脂33を流し込んで樹脂を満たしてから硬化させることにより、樹脂33の上面(液面)が、基板ケース35の上端位置とほぼ同一となって制御回路基板31の基板ケース35の内部に位置する部分が完全に浸漬される。尚、ここで用いる硬化性樹脂は、外部からの押圧による荷重を受けた際にある程度の変形を許容する弾性力を有すると良いが、用いられる硬化性樹脂の種類は任意であり、硬化後に弾性力があるものだけなく、硬化後に硬くなって弾力性が弱いかあるいはほとんど無いような樹脂であっても良い。基板ケース35はプラスチック等の合成樹脂の一体成形によって形成されるもので、基板ケース35の外面の一部であってハウジング2の分割方向(左右方向)の辺部に左右方向に突出する小さな凸部35a、35bが形成され、さらに前方側の辺部から前方側に突出する凸部35cが形成される。凸部35cは左右方向に連続する十分な長さを有する。また、後方側の底面には凹部35eが形成され、ハウジング2の内側側壁部分に形成された上下方向に並行して延びるリブ39bによって上下方向の移動が制限される。基板ケース35はこれら凸部35a~35cがハウジング2の内側側壁部分に形成された凹部38c等に嵌合されるようにして、左右分割式のハウジング2によって挟持されことにより、ハウジング2に安定的に保持される。ターミナルホルダ50は、制御回路基板31からみて開口部45側とは反対面側(下側)に配置され、制御回路基板31と対向するように設けられる。
【0029】
ハウジング2の表面には、衝突時の衝撃を緩和するためと、作業者が把持する際の触感を良くするためと、滑り止め効果を狙って軟質層6(6c)が形成される。軟質層6は、例えばエストラマであって、合成樹脂製のハウジング2の射出成形時に表面全体を覆うようにして二層構造としたものである。基板ケース35の下側には、左右方向に延びて上面が平坦に形成された梁部材40が設けられる。梁部材40は基板ケース35の底面35dに接するようにして設けられ、前後方向に見て中央よりもやや前方側の底面に接する位置に設けられる。梁部材40は中空の四角柱状であって、ハウジング2のバッテリ取付部2cの右側側面から左側側面に渡って連続するように構成される。また、梁部材40はハウジング2と同じく合成樹脂製であって、ハウジング2と一体に成形される。梁部材40の後方側であって制御回路部30と上下方向で対向する下方側にはターミナルホルダ50が設けられる。ターミナルホルダ50は、バッテリ300(図2参照)の接続端子(図示せず、バッテリ側ターミナル)と接触させるための複数の図示しない接続端子(工具側ターミナル)を保持するための部品であって、前側辺部に凹部51aが形成され、後側の辺部に凹部51bが形成され、これらがハウジング2に形成された凸部と嵌合することによってバッテリ取付部2cの下面部分に取りつけられる。バッテリ取付部2cにはさらにレール溝52-2とレール部53-2が形成され、レール部53-2の前端近くにはラッチ溝54-2が形成される。
【0030】
図3(B)は、制御回路部30の荷重のかかる位置や変形度合いをモデル的に記載したものであって、前後方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とサポート部たる梁部材40との位置関係(静止時)を示している。制御回路部30の形状等は簡略化して四角形にて記載している。ここで符号34は、電動工具1が正立状態でバッテリ300を下にした状態にて床等に落下した際に、制御回路部30(特に樹脂33の上面)に接触する特定の部位34の前後方向位置を示したものである。特定の部位34は、図3(A)で矢印にて示したように、開口部45の外縁とハウジング2の分割面との交差する付近に相当し、開口部45の縁部の一部付近に相当する。ここでは、ハウジング2の変形する部位34は、衝撃が加わっていないときは図3(B)のように制御回路部30とは隙間を隔てた位置にあるが、電動工具1が正立状態で落下して床にぶつかった瞬間に、ハンドル部2bを介して部位34に加わる強い加重36Aによって、部位34が下方に移動(変形)して制御回路部30に当たることになる。しかしながら、本実施例では、加重36Aの加わる方向に対して基板ケース35の反対側に左右方向に延びる梁部材40が位置するので、変形しようとする制御回路部30の力を梁部材40による矢印41の力のように下側から支えることになる。部位34は制御回路部30の上方に位置しており制御回路部30(樹脂33を介して制御回路基板31を保持)と対向している。また、開口部45も制御回路部30の上方に位置しており制御回路部30と対向している。
【0031】
ここで比較のために図18を用いて従来のインパクト工具のハウジング202の形状を説明する。図18(A)は従来のインパクト工具のバッテリ取付部202cの部分拡大断面図である。制御回路部30は、図3で示したものと同じ部品である。ハウジング202の形状は、梁部材40が形成されないことを除いて図3で示したハウジング2と同形状である。制御回路部30の前方側の上側に開口部45が設けられる点も図3のハウジング2と同じである。基板ケース35は前方側に凸部35cが形成され、ハウジング202に形成された凹部238cと嵌合する。基板ケース35の後方側付近であって、左右の辺部に当接するように、ハウジング2の内側側壁部分に上下方向に並行して延びるリブ239a、239b(但し図では239aは見えない)が形成される。図18(B)は前後方向にみたハウジング202の最大変形箇所(特定の部位234)の位置(静止時)を示す図であり、(C)は前後方向にみたハウジング202の最大変形箇所の位置とサポート部の位置関係(衝撃発生時)を示す図である。前後方向に見ると制御回路部30は、前方の凹部238cと後方のリブ239a、239bにより保持される。また、特定の部位234は前方の凹部238cと後方のリブ239a、239bの間に位置する。ここで、インパクト工具の落下等によって、特定の部位234に矢印236方向の下向きの力が作用すると、特定の部位234が変形して制御回路部30に接触し、制御回路部30が凹部238cと後方のリブ239a、239bを支点として下向きに撓むことになる。この際下向きの力236に対して、リブ239a、239bから上向きの力240a、240bが作用する。図3に戻り、図3(C)と図8(C)を比較すると一目瞭然のように、本実施例では梁部材40がハウジング202の最大変形箇所(特定の部位234)と上下方向に一致する位置にあるため、制御回路部30の変形を効果的に抑制することができる。
【0032】
図4(A)は図3のA-A部の断面図であって、本実施例のハウジング2の形状を示す。容器状の基板ケース35は左右が壁面になっており、上部において二箇所の凸部35a、35bが水平方向に突出するように形成される。基板ケース35は制御回路基板31の後述する部位34に対向する側の面(第1面)側は開放され、第1面と反対側に位置する面(第2面)を覆っている。尚、図3(A)のA-A断面位置が完全な平面状ではないため、凸部35a、35bの下面がハウジング2のバッテリ取付部2cの内壁面と当接していないように見えるが、図3(A)のA-A線の位置を比較するとわかるように、実際には凸部35a、35bの下面はバッテリ取付部2cの内壁面に形成されたリブと当接する。凸部35a、35bの前後方向の大きさは、基板ケース35の長さに匹敵するような大きさではなく、図3(A)にて点線で示したように凸部35a、35bは前方側に一部にだけ形成される。これは、制御回路基板31の重量は他の構成要素(モータ3、動力伝達機構、バッテリ300)に比べると小さいので、落下による過大な衝撃が加わらない限りさほど強度を必要としないためである。ここでは制御回路部30(又は制御回路基板31)の第1の方向(前後方向)にみて、変形する部位34と一致する1箇所に梁部材40が位置するように形成した。
【0033】
ここで比較のために図19を用いて従来のインパクト工具のハウジング202の形状も説明する。図19図18のH-H部の断面図である。ここでは基板ケース35の下側に梁部材40が形成されないため、凸部35aと35bを保持するためのリブ238a、238bがハウジング202に形成される。一方、基板ケース35の底面35dの下側は隙間となっている。図19(B)は左右方向にみたハウジング202の最大変形箇所(特定の部位234)の位置と、凸部35aと35bを保持するリブ238a、238bの位置関係(静止時)を示す図であり、(C)は左右方向にみたハウジングの最大変形箇所の位置とリブ238a、238bの位置関係(衝撃発生時)を示す図である。この図からわかるように、特定の部位234に矢印236で示す方向に強い力が加わると制御回路部30は下方に撓む。この際、矢印236の力を受ける部分が、左右の両端部であってそれらの作用点が141a、141bとなる。
【0034】
図4(B)は、左右方向にみたハウジング2の最大変形箇所の位置とサポート部たる梁部材40との位置関係(静止時)を示す図である。梁部材40は、ハウジング2の右側部分と一体に成形された右梁部材40-1と、ハウジング2の左側部分と一体に成形された左梁部材40-2により構成され、右梁部材40-1と左梁部材40-2の接触部位は片方が凹状、片方が凸状に形成されて、接合時に凹部と凸部が嵌合するように構成される。基板ケース35の底面35dには、梁部材40-1と40-2が左右方向に連続するように接する。この状態を示すのが図4(B)であり、電動工具の静止時(落下衝撃時でない状態)には、変形しやすい特定の部位34は制御回路部30と所定の隙間を有して非接触状態にある。電動工具1が正立状態で落下して床にぶつかった瞬間には、図4(C)に示すようにハンドル部2bを介して加わる強い加重36Aによって、特定の部位34が下方に移動するため制御回路部30に接触する。しかしながら、本実施例では、加重36Aに加わる位置の延長線上であって基板ケース35の反対側に、左右方向に延びる梁部材40が位置するので、変形しようとする制御回路部30を梁部材40(40-1と40-2)が矢印41Aの力の向きに下側から支えることになる。ここでは制御回路部30(又は制御回路基板31)の第2の方向(左右方向)にみて、変形する部位34を含む左右全体に梁部材40(40-1と40-2)が位置するように形成した。このように梁部材40を設けたことによって制御回路部30の制御回路基板31に加わる過大な加重によって制御回路基板31が変形することを効果的に抑制できる。特に、図4(C)の制御回路部30の撓み具合と、図19(C)の制御回路部30撓み具合を比較すると、図4で示す構造の方が、制御回路基板31に及ぼす撓みが大幅に少ないことが理解できるであろう。
【0035】
図5図3のB-B部からみた斜視断面図である。この断面位置では基板ケース35の左右両側には凸部が形成されていない。実際の制御回路基板31には、マイコンやその他の電子部品類が搭載されるが、それらの図示は省略している。基板ケース35の左右両側は、壁部37にて基板ケース35が左右方向にがたつかないように保持される。基板ケース35の下側には梁部材40(40-1、40-2)が設けられる。梁部材40は長手方向と断面形状が中空となるような筒状に形成されているが、中空でなくて中実の梁部としても良い。右梁部材40-1は右側のバッテリ取付部2c-1と一体に成形され、左梁部材40-2は左側のバッテリ取付部2c-1と一体に成形されるので、強度は十分高い。梁部材40の下側には、バッテリ300の上面が位置することになり、左右の両側にはレール溝52-1、52-2が形成される。レール溝52-1、52-2の下側には、それぞれ内側に突出するレール部53-1、53-2が形成される。レール部53-1、53-2の先端側には、ラッチ爪が係合するためのラッチ溝54-1、54-2が形成される。
【0036】
バッテリ取付部2cの上面には、バッテリ取付部2c-1と2c-2の接合面と交差するように開口部45が形成される。開口部45はスイッチパネル46(図1参照)を設けるために形成されるもので、ハウジング2のハンドル部2b(2b-1、2b-2)の付け根付近よりも前側近傍に配置される。このようにハンドル部2b(2b-1と2b-2)とバッテリ取付部2c(2c-1、2c-2)の付け根43d付近の近傍に開口部45を設けると、開口部45の付け根43dに近い部分(特定の部位34)の強度が他の部位に比べて低下してしまう。電動工具1が正立状態で落下して床にぶつかった場合、バッテリ300が先に床に当たることが多く、その際、モータ3や動力伝達機構等の重量物の落下による加重がハンドル部2bを介してバッテリ取付部2cに加わるため、特定の部位34が加重によって一番多く変形する。この変形の様子を示すのが図6である。
【0037】
図6図3(A)と同じバッテリ取付部2cの部分拡大断面図であって、正立状態にて落下させた衝撃が加わった際の状況を示す図である。本実施例のようにバッテリ取付部2cの水平方向に延在する延在部から、直交する上方に延在するハンドル部2bが形成される場合であって、延在部の上面にスイッチパネル46(図1参照)用の開口部45が形成される場合、落下による衝撃を受けると特定の部位34が下側に押しやられるようにして変形する。これはハウジング2のバッテリ取付部2cに大きい開口部45があるためであり、開口部45のうちハンドル部2bからの衝撃が伝わる部分に一番近くて、かつ、強度的に弱い部分の変形が一番大きくなってしまうためである。この結果、図6中の34cのように開口部45の中央後方側縁部が下方に変形して沈み込み、部位34が樹脂33の内部に押し込まれる。このように変形すると、制御回路部30を下方に曲げる力が作用する。制御回路基板31に加わる力には、圧縮応力と曲げ応力があるが、圧縮応力よりも曲げ応力の加わる方が基板が割れる虞が高くなる。曲げ応力は、制御回路基板31の中心に近い部分に力が掛かると破損の虞が高くなる。よって、電動工具1の落下時の衝撃で制御回路基板31の中心に近い部分が曲げられると壊れてしまうことがある。これに対して本実施例では梁部材40が基板ケース35の下方であって、特定の部位34の直下に形成されるので、特定の部位34に応力が加わっても、制御回路部30を曲げるような変形が抑制されるので、制御回路基板31が曲げられることに起因する制御回路基板31に搭載された電子部品の破損を効果的に抑制できる。
【0038】
図7図6のC-C断面図であり、正立状態にて落下させた衝撃が加わった際の衝撃の状態を示す図である。衝撃によって変形する特定の部位34は、左右分割式のハウジング2の接合面付近であり、図7に示すように左右方向にみて中央の分割面付近が下向きの凸状に変形する(図中33a)。ここでも、変形する部位34の下方であって、基板ケース35の下側には梁部材40(40-1、40-2)が配置されるので、制御回路部30を曲げるような変形(部位34の変形)が抑制され、制御回路基板31に加わる曲げ力を抑制できる。
【0039】
図8はバッテリ取付部2cの延在部を示す上面図であり、スイッチパネル46を示す図である。ハンドル部2bの付け根付近の外縁形状は略円形であり、その付け根付近よりも前方側と、右方側と、左方側に平面状に延在する延在部が形成される。スイッチパネル46は前方側に延在する延在部のほぼ中央付近に配置されるものである。スイッチパネル46はハウジング2に形成された開口部45に配置されるが、制御回路基板31を収容する基板ケース35は、開口部45の真下になるように配置すると、配線的にも組立的にも有利である。スイッチパネル46は合成樹脂製であり、そこにはソフトタッチスイッチによるスイッチ類と点灯手段が設けられる。ライトスイッチ47は、照明装置9の照射モードを設定するスイッチであり、一定時間(例えば2分)だけトリガレバー7aの操作の有無に関係なく点灯させる連続照射モードと、トリガレバー7aの操作があったら点灯させてトリガレバー7aを離したら短い時間(例えば10秒)で消灯するスイッチ連動照射モードがある。ライトスイッチ47を押す毎に、連続照射モード→スイッチ連動照射モード→消灯が切り替わり、連続照射モードの時はLED48aが点灯し、スイッチ連動照射モードの時はLED48bが点灯し、照明装置9が消灯の時は、LED48a、48bのいずれも点灯しない。スイッチパネル46の右側には、ここではロゴが表示されているだけで他のスイッチ類が設けられていない。しかしながら、バッテリの残量をチェックするためのスイッチと複数のLEDを設けても良いし、締め付けモードを切り替えるための締め付けモード切替スイッチと複数のLEDを設けても良い。スイッチパネル46はハウジング2とは別体部品にて製造され、制御回路基板31に接続されるようにして固定され、分割式のハウジング2の開口部45にてスイッチパネル46の外縁部分が挟持される。
【0040】
図8においては、楕円で囲む付近が落下時の衝撃で変形しやすい特定の部位34である。これに対して梁部材40の設けられる位置は点線にて示す位置になる。図8により特定の部位34を上面から透視したら、梁部材40の内部領域に含まれる位置関係にあることが理解できよう。また、矩形の点線で示された梁部材40の占める領域は、スイッチパネル46の占める領域と部分的に重なるように位置づけられるので、特定の部位34に対する落下時の衝撃対策となる上に、スイッチパネル46の操作時に、スイッチパネル46に加わる押圧力の影響が制御回路部30に及んで制御回路基板31を変形させようとする加重に対しても効果的に対抗できる。このように、製品の落下によりハウジング2の一部、特に特定の部位34が変形した際に、ハウジング2によって制御回路基板31が押し込まれて破損することを防止できる。
【0041】
以上説明したように、本実施例ではハウジング2のバッテリ取付部2cの内側部分であって、分割面に直交する方向に延びる梁部材40を形成し、制御回路基板31を収容する基板ケース35の底面35d(制御回路基板31の第2面側)を保持するようにしたので、電動工具1を誤って落下させてしまった際に、制御回路基板31が破損してしまう可能性を大幅に減らすことができる。また、ハウジング2の射出成形の型を変更するだけで梁部材40を形成することができ、しかも制御回路基板31や基板ケース35は従来の形状のままで良いので、本願発明の適用も容易である。特に、制御回路部30がハンドル部2bからバッテリ取付部2c(収容部)のハンドル部2bより径方向に突出した突出部分にわたって配置されている構成、すなわち、部位34に対して前後又は左右両側でバッテリ取付部2cに支持されている構成で有効である。制御回路部30が突出部分のみに収容(支持)されている構成では部位34によって制御回路部30が押されても撓む虞は少ないためである。
【実施例0042】
図9は本発明の第2の実施例に係るハウジング2の制御回路基板61付近の部分拡大断面図である。第2の実施例では、ハウジング2に梁部材40を形成する点は第一に実施例と同じ構造であるが、梁部材40を形成することに加えて、基板ケース65の一部に底面65d(制御回路基板61の第2面側)より上方に延びる柱部65eを形成するようにした。柱部65eは落下時の衝撃で変形しやすい特定の部位34の直下に形成されるもので、制御回路基板61を貫通させるようにして円柱状又は角柱状の部材が特定の部位34付近まで上方に延びる。柱部65eの高さは基板ケース65の上側の開口面と同じ位置又はほぼ同じ位置とする。柱部65eは基板ケース65と同様に不導体である合成樹脂の一体成形によって形成される。基板ケース65の柱部65eの形状や構成は、貫通穴61aが設けられる点を除き第1の実施例の基板ケース35と同様である。前方の左右両側には凸部65a、65b(図9では65aは見えない)が形成され、前端縁部には凸部65cが形成される。また、制御回路基板61には柱部65eを上下に貫通させるための貫通穴61aが形成される。貫通穴61aの形状は柱部65eを貫通させつつ、制御回路基板61の基板ケース65内での位置決めをするために適切な大きさとすると良く、ここでは貫通穴61aと柱部65eの隙間はほとんど無い程度とするが隙間があっても良い。基板ケース35内に収容された制御回路基板61の周囲は硬化性の樹脂63にて充填される。硬化性の樹脂は電気を通さない材料であって、基板ケース35内に充填する時にはサラサラな液体であるので、基板ケース35の内部の隅々にまで隙間無く充填することができる。なお、柱部65eは、基板ケース65の底面65d(制御回路基板61の第2面側)より下方に延ばしてもよい。
【0043】
以上の構成によって、図6及び図7で示したように落下時の衝撃によって特定の部位34が変形しようとすると、部位34が柱部65eの上面に接触する。柱部65eは上下方向に延びる部材であり、その長手方向軸線の延長上に衝撃時の加重を受け止めるための梁部材40が基板ケース65の下側に設けられている。特に図9のような断面図で見た際に、部位34と柱部65eと梁部材40が上下方向に並ぶように配置されるので、衝撃時の変形しようとする加重を柱部65eと梁部材40によって強固に受け止めることができ、制御回路基板61に対して強い曲げ力や圧迫力が加わることを防止できる。
【実施例0044】
図10は本発明の第3の実施例に係るハウジング2の制御回路部70付近の部分拡大断面図である。第3の実施例では、ハウジング2に梁部材40を形成する点は第一に実施例と同じ構造であるが、基板ケース75の開口部の外縁の左側から右側に架け渡される梁状の補強部材76を設けた。補強部材76は細長い鉄板やステンレス板等のように剛性の高い部材に、強度を増すためにプレス加工を施し、長手方向に連続するようにプロジェクション加工をしたものである。
【0045】
図11図10のD-D部の断面図である。基板ケース75の開口縁の2箇所には凹部75e、75fが形成され、凹部75e、75fに補強部材76の両端が位置づけられる。また、補強部材76の中央付近にて特定の部位34から下方向への変形加重が加わった際に、変形部位が補強部材76の中央付近76aに接触するので、変形加重が制御回路基板31に直接加わることを効果的に抑制できる。尚、補強部材76の材質は鉄等の金属製だけに限られずに、カーボン等の曲げ剛性の高い樹脂製の部材や、その他の強度の高い素材で構成しても良い。また、板材だけでなく1本又は複数本の棒材を用いるようにしても良い。補強部材76は、部品を搭載した制御回路基板31が基板ケース75の内部に収容された後に凹部75e、75fに適切に位置決めされ、補強部材76の上面を除いた部分まで満たされるようにして基板ケース75の内部に硬化性の樹脂73が流し込まれる。硬化性の樹脂73は接着性能も有するので、硬化後の樹脂73によって補強部材76ががたつかずに安定して保持される。
【0046】
図10の例ではハウジング2として、本実施例の梁部材40が形成されたものを用いたが、梁部材40が形成されない従来のハウジング202(図18図19参照)に第3の実施例による補強部材76だけを追加するようにしても良い。この構成であっても従来例のハウジング202に比べて、制御回路基板31を落下時の衝撃から守るという効果が十分得られるものである。
【実施例0047】
図12は本発明の第4の実施例に係るハウジング2Aのバッテリ取付部2cの部分拡大断面図である。ハウジング2Aの形状は従来のハウジング202(図18図19参照)とほぼ同様であり、梁部材40が形成されていない。しかしながら、バッテリ取付部202cの上下方向の寸法を大きくして、特定の部位234の下側の隙間237を十分確保して、落下時の衝撃によって特定の部位234が図6図7のように変形しても変形箇所が制御回路部30に接触しないように、または接触しても加わる力が大きくならないようにした。このように隙間を設けるようにして、特定の部位234の変形に起因する応力が制御回路部30に直接伝達されないように構成しても、落下時の衝撃によって制御回路基板31が破損することを防止できる。
【0048】
図13図12のE-E部の断面図である。この図からも隙間237が十分に形成されていることが理解できるであろう。第4の実施例の欠点はハウジング202のバッテリ取付部202cの形状をほんのわずかながら変更しなければならない点と、ハウジング202の寸法がほんのわずかであるが上下方向に大きくなる点である。しかしながら、ハウジング202の設計変更時に適用すれば済む程度でもあるので、実施例4の適用は容易であるとも言える。実施例4の構成は単独で用いると言うよりも第1~第3の実施例の制御回路部30、60、70と併用して用いると良い。
【実施例0049】
図14は本発明の第5の実施例に係るハウジング2Bの制御回路部80付近の部分拡大断面図である。第5の実施例では制御回路部80は第一の実施例で用いたものと実質的に同じであるが、梁部材40をハウジング2B側に形成するではなくて、ターミナルホルダ55側と一体に形成したものである。また、ターミナルホルダ55にて衝撃時の荷重を受けるように構成したため、ターミナルホルダ55のハウジング2Bに対する取付剛性を大幅に高めたものである。また、ハウジング2Bのバッテリ取付部の内壁側にもターミナルホルダ55を強固に保持するための複数のリブ86a、86b、87a、87bが設けられる。ターミナルホルダ55は、バッテリ300の接続端子と係合される複数の端子57a、57b等を固定するための部材であって、合成樹脂等の不導体に金属の板状の部材(端子57i、57g等)を基台部56に鋳込むことによって製造される。バッテリ300の装着時及び取り外し時に、ターミナルホルダ55には前後方向の強い力が加わるため、左右方向に連続して並行に延びる一組のリブ86a、86bにてターミナルホルダ55の前辺部(凸部55c)が挟み込まれるように保持され、左右方向に連続して並行に延びる一組のリブ87a、87bにてターミナルホルダ55の後辺部(凸部55d)が挟み込まれるように保持される。また、ターミナルホルダ55の後方側の下方には、突当てリブ55fが形成され、ハウジング2Bの内壁部のリブ87cに突き当てられる。ターミナルホルダ55の上面側には上側に突出するサポート部58が形成される。サポート部58は梁部材40と同じ機能を果たすもので、落下時の衝撃が特定の部位234に加わった際に、制御回路部80に加わる加重をサポート部58にて受けることができる。第5の実施例では、ターミナルホルダ55の形状を変えることで落下時の衝撃対策を施した電動工具1を実現できる。
【0050】
図15図14のF-F部の断面図である。ターミナルホルダ55は基台部に合計9つの端子57a~57iが設けられる。端子57aと57bは放電用の正極端子である。仕切り板57cは不導体の板状の仕切り部材であって、正極端子(57aと57b)とその他の端子(57d~57i)との間の絶縁性を向上させるために設けられる。端子57dはバッテリ300の識別情報となる信号を電動工具本体又は充電装置に出力するためのT端子である。端子57eは、外部の充電装置(図示せず)からの制御信号が入力されるためのV端子である。端子57fは、セルに接触して設けられた図示しないサーミスタ(感温素子)による電池の温度情報を出力するためのLS端子である。端子57g、57hは負極端子(-端子)である。端子57iはバッテリ300内に含まれる電池保護回路(図示せず)による異常停止信号を出力するLD端子である。ターミナルホルダ55のF-F断面位置には、上方向に延びるサポート部58が形成され、基板ケース85の下面に接する。サポート部58は左右方向に連続して伸びる凸部であって、その左右方向の長さは基板ケース85の左右方向の長さよりも長く形成される。
【実施例0051】
図16は本発明の第6の実施例に係るハウジング2Bの制御回路部90付近の部分拡大断面図である。図14図15で示した第5の実施例ではターミナルホルダ55側に上側に突出するサポート部58が形成したが、第6の実施例では容器状の基板ケース95の下面95dであって、前後方向の中心よりもやや前側付近に下方向に突出する凸部95fを形成した。基板ケース95の後端は側面視でL字状の保持部87dによって保持される。ターミナルホルダ55Aの上面は平坦に形成される。このように構成すればターミナルホルダ55の形状を変更することなく、基板ケース95側の形状を変えるだけで本発明の基板ケースのサポート機能を実現できる。
【0052】
図17図16のG-G部の断面図である。この図に示す通りターミナルホルダ55には基台部に合計9つの端子57a~57iが設けられる。端子57a~57iの割り当ては図15で示した例と同様である。本実施例の構成でも図15の例と同様にG-G断面の上下方向に見た際に、凸部95fとターミナルホルダ55Aの下面が接する。凸部95fは左右方向に連続して伸び、その左右方向の長さは基板ケース95の左右方向の長さよりも長く形成される。なお、ターミナルホルダ55はバッテリ取付部2c(基板を収容する収容部)に固定された部分である。
【実施例0053】
図20は本発明の第7の実施例に係る電動工具101の制御回路部130の斜視図である。制御回路部130は、上側が開口となる皿状の容器たる基板ケース135の内部に、図示しないマイコンやその他の電子素子、コネクタ等の電子部品が搭載された制御回路基板131を収容した上で、基板ケース135の前方側にスイッチパネル150を設けたものである。基板ケース135の内部に搭載される部品は基本的に第一の実施例と同じである。基板ケース135の外縁形状は、基本的に従来と同様に上面視で略長方形であるが、それぞれの角部を斜めに切り落としたような形状(8角形)である。基板ケース135は、上側に開口面136を有するトレイ状、または容器状の形状であって、内部に液体を満たしても漏れないような形状とされる。制御回路基板131は、基板ケース135の内壁形状に沿うような外縁形状であり、ハウジング102の右側部分と左側部分にて基板ケース135を挟持することで、ハウジング102の内部において制御回路基板131を保持する。制御回路基板131の面方向は、ハウジング102の分割面の面方向と直交するような位置関係となる。第一の実施例と同様に、基板ケース135の内側には図示しない硬化性樹脂を満たして硬化させる。第一の実施例では制御回路基板131の外縁全体にて基板ケース35の内側壁面に形成される段差部にて固定されるが、本実施例では外縁部全周で固定するのでは無く、むしろ中央付近の一部分に形成されたサポート部材にて制御回路基板131が保持される。
【0054】
基板ケース135の前方部分には、2つのスイッチ161、162が搭載され、操作面を形成する為のスイッチパネル150が設けられる。スイッチパネル150は、ハウジング102の開口部104(後述の図22参照)から外部に露出する操作部を形成するもので、合成樹脂の一体成形によって製造される。スイッチパネル150は、基板ケース135の開口面136よりも上側に位置する主要部分と、主要部分から下方向に延在することによって、基板ケース135の内壁面と密接する壁部や、制御回路基板131と当接する部位(リブ154、平板部155)が形成される。スイッチパネル150は、上側に平らな上面151が形成され、上面151には制御回路基板131上に搭載された2つのスイッチ161、162の操作を可能とするための2つの開口部152a、152bが形成される。
【0055】
図21図20の制御回路部130の展開斜視図である。第7の実施例では制御回路基板131の基板ケース135への固定方法が第一の実施例と異なる。また、図9で示した第2の実施例と同様に、基板ケース135には制御回路基板131の貫通穴を貫通して上側に延在するサポート部(隆起部138)を形成した。基板ケース135の上面視の形状は、制御回路基板131の外縁形状とほぼ同じであって、上側に開口面136を有するトレイ状又は皿状の容器であり、合成樹脂の一体成形にて継ぎ目が無いように形成される。隆起部138は、底面134より上方にむけた漏斗状にしぼむように延在するものであって、上面視で中央位置よりもやや前方に設けられる。
【0056】
隆起部138の上下方向中央付近には、円環状の段差部138bが形成され、段差部138bの内周側には、段差部138bよりも上方に延びるように円筒部138cが形成される。段差部138bの下側の円錐部138aは円錐状であって、上から下方向に行くにつれて径が拡がるような形状であり、底面134に接続される。円錐部138aを漏斗状にすることにより上から下方向に加わる応力は低減される。尚、円錐部138aの形状は任意で有り、段差部138bで基板を押さえられるならば、円錐部138aの形状をどのようにするかは任意である。円筒部138cの上側端部は、小さな円環面138dとなり中央にネジ用の細い非貫通穴が形成される。ネジ141が円筒部138cの内側の穴にねじ込まれ、円環面138dにネジ141の頭部底面が当接するまで締め込まれる。ネジ141として金属製のタッピンネジを用いれば、円筒部138cの内側に雌ネジを予め形成してなくとも、下穴さえあればネジ自身で円筒部138c内にねじ立てしながらねじ込むことができる。
【0057】
スイッチパネル150は、横幅が基板ケース135と同じに形成され、前方位置は基板ケース135の前側壁とほぼ同位置になる。スイッチパネル150の右側縁部、左側縁部は段差状に形成され、段差部分が基板ケース135の開口面136の外縁に当接し、段差部分から下側にリブ153a、153bが形成される。スイッチパネル150の前縁下部の中央にも下側に延びるリブ153cが形成され、これらのリブ153a、153b、153cの底面は 制御回路基板131と接し、スイッチパネルを操作する際にスイッチパネルを水平に保つ役割を持つ。リブ153a、153b、153c、154により、制御回路基板131は、それぞれスイッチパネル150に突き当たる構成となっており、これにより、開口部152a、152bとプランジャ161a、162aとの水平を保つことができる。一方で、リブ153a、153b、153cの外周部と基板ケース135との接する面と、貫通穴156におけるネジ141の貫通によって、スイッチパネル150と基板ケース135の位置決めを行っている。基板ケース135の後縁の左右方向中央付近には、下側に延びるリブ154が形成される。リブ154から後方側にタブ状に延在する平板部155が延在し、平板部155の中央には貫通穴156が形成される。制御回路基板131、スイッチパネル150の下側部分、リブ154と平板部155は、それぞれ硬化性樹脂で基板ケース135に接合される。貫通穴156は隆起部138の円筒部138cの貫通を許容する大きさである。
【0058】
スイッチパネル150の上面151は、スイッチ161、162のプランジャ161a、162aを押す押圧面を形成するためであって、2つの開口部152a、152bが形成される。2つの開口部152a、152bを含む上面151全体には樹脂製の弾性のあるフィルム(図示せず)が設けられ、フィルムには、スイッチ161、162の押圧位置を示すボタン表示と、LEDの透過窓等が印刷される。スイッチパネル150の開口部152a、152bに挟まれた部分には、制御回路基板131上に搭載されたLED(図示せず)の光を透過させるための上面視で長方形の5つの貫通穴152cと、丸い2つの貫通穴152dが配置される。
【0059】
スイッチ161、162は、例えばタクタイルスイッチである。作業者の操作(プッシュ操作)によってプランジャ161a、162aを押し込むことで、スイッチ161又は162を通電状態にする。プランジャ161a、162aはスプリングによって上方向、即ちスイッチがオフになる状態に付勢されているので、プランジャ161a、162aが押し込まれた状態でスイッチがオンとなり、押し込み状態が解除されたらスイッチがオフになるという「モーメンタリ動作」をする。プランジャ161a、162aを収容するスイッチ161、162の下側には、図示しない複数本(例えば4本)の端子が突出し、その端子が制御回路基板131に半田付けによって固定される。
【0060】
制御回路基板131は、開口面136と対向する第1面(上面)と、反対側の第2面(底面)とを有する。制御回路基板131には、2つの貫通穴132a、132bと、2つの長方形状の切り欠き132c、132dが形成される。貫通穴132aは、後述するサポート部(隆起部138)の段差部分と当接させることによって制御回路基板131の上下方向位置を決めるものである。貫通穴132aはネジ142を貫通させるための穴である。切り欠き部132c、132dはケーブル等を下面側から上側に通すために形成されるものであるが、ケーブル等を通す必要が無い場合は、切り欠き部132c、132dを形成しなくても良い。
【0061】
基板ケース135はプラスチック等の合成樹脂の一体成形によって形成されるもので、前側壁面に沿って制御回路基板131を支えるための段差部137が形成される。段差部137は、基板ケース135の内側高さの半分近くの高さとすることにより、制御回路基板131を設置した際に、制御回路基板131の底面が基板ケース135の底面134と接しないようにする。制御回路基板131の平行する右両辺の内壁部分135c、135dには段差部が形成されない。従って、制御回路基板131の右側及び左側縁部付近は下方向の支え部分が形成されない。ネジ142は、貫通穴132bを貫通にして基板ケース135に螺合される。但し、貫通穴132bの下側部分には、後述する円柱状の小さなネジボス139(図では見えない)が形成される。
【0062】
図22図20の制御回路部130のハウジング102への取付状態を示す斜視図である。ここではハウジング102は右側部分だけを示しており、ハウジング102の左側部分は図示していない。基板ケース135はハウジング102の内側側壁部分に形成された梁部と凹部等に嵌合されるようにして左側及び右側のハウジング102によって挟持される。基板ケース135の下側には、ターミナルホルダ50(図3参照)を固定するための開口部120が形成される。この図でわかるように、ネジ141はハウジング102の鉛直分割面を通る位置であって、落下時の衝撃によって最も変形しやすい特定の部位104の真下に配置される。また、特定の部位104の下面とネジ141は、通常の状態では非接触状態を保つ。
【0063】
基板ケース135の上側に固定されるスイッチパネル150の上面151は、ハウジング102の開口部103より外部に露出するように設けられる。開口部103は、ハウジング102のバッテリ取付部102cの右側部分から左側部分に、分割面を跨がるように形成される。図22ではスイッチパネル150に設けられるフィルム160を図示していないが、フィルム160にて上面151全体を覆うことで粉塵や水が制御回路基板131に到達することを防止できる。
【0064】
図23は第7の実施例に係る電動工具101のバッテリ取付部102cの部分拡大断面図である。図23(A)はハウジング102の左右分割面を基準とした縦断面図である。基板ケース135を、左右分割式のハウジング102の分割面に対して直交するように配置し、右側と左側のハウジング102に挟持するようにして固定する。基板ケース135の前方下側は、ハウジング102の内壁部分に形成された保持面121aにより保持される。また、基板ケース135の前後方向の略中央付近に、上下左右方向に延在するリブ122が形成される。リブ122は、落下衝撃時のハウジングの局所的な変形が起きる箇所、即ちネジ141の設置位置の近傍に配置される。ここでは上から下方向を見た際に隆起部138の下方向への投影範囲がリブ122の設置範囲と部分的に重なるような位置関係にした。このような位置関係としたので、隆起部138の上から下方向にかかる衝撃を、梁部として作用するリブ122にて効果的に受けることができる。尚、リブ122はターミナルホルダ50(図3参照)を取りつけるためにハウジング102に形成された開口部120の前縁の一部を形成する部材を兼ねている。基板ケース135の後方の上部と、最後方の下部は、リブによって保持されることなく、自由な状態となっている。このため、基板ケース135の前方上側に位置するスイッチパネルの操作の際には、基板ケース135をハウジング102が支えるが、電動工具に落下等による強い衝撃を受けた際には、基板ケース135が姿勢を変えることができ、基板ケース135と制御回路基板131に発生する変形を低減する効果がある。
【0065】
制御回路基板131は、基板ケース135と一体に形成される隆起部(サポート部)138によって中央部分の荷重が支持される。通常の使用時に制御回路基板131に対して強い荷重が加わらないならば、隆起部138だけで制御回路基板131を保持して硬化性樹脂で固めるだけで十分である。しかしながら、電動工具では、落下衝撃時の予期せぬ強い荷重だけでなく、作業時に加わる振動も制御回路基板131に伝達される。そこで、制御回路基板131の基板ケース135に対する下方向の動きを阻止するために、制御回路基板131の前縁下部を、基板ケース135に形成された段差部137にて保持するようにした。さらに、制御回路基板131の後端側をネジ142で固定することによって、ケース内に硬化性樹脂を満たす際に制御回路基板131の姿勢が乱れて傾くことを防できる。このように制御回路基板131が常に正しい位置で設置され、同時にスイッチパネル150の操作時に上下方向にスイッチパネル150が上下に移動することを防止できる。
【0066】
基板ケース135の後方の左右中央には、ネジボス139が形成され、ネジボス139にネジ142を螺合させることによって制御回路基板131をネジ止めする。ネジボス139は円筒形の部材であって、基板ケース135の射出成形時に一体に形成される。本実施例では、制御回路基板131の平行な右側縁部と左側縁部を上下方向に支えずにフリーにしたような構成である。ネジボス139の左右両側には、制御回路基板131の下面に当接するような部材は形成されない。尚、ネジボス139は、ハウジング102の分割面上になるように左右の中心に配置するのが好ましい。しかしながら、ネジ142を設ける位置は厳密でなくて良く、分割面上から少しだけ左右方向にずれても問題ない。また、図23(A)ではネジボス139を基板ケース135の内側最後端付近に配置しているが、ネジボス139を最後端よりもやや前方側に配置するようにしても良い。
【0067】
基板ケース135の前方上側にはスイッチパネル150が設けられる。スイッチパネル150の上面には、操作面のボタンが印字され、LEDからの光の透過窓が印字されたフィルム160は貼り付けられる。作業者はフィルム160の上からボタン部分を下方向にわずかに押すことによってスイッチ161、162の操作が可能である。
【0068】
ターミナルホルダ50(図3参照)を取りつけるための開口部120の形状や、レール溝52-1とレール部53-1、ラッチ溝54-1等の形状は、第一の実施例と同一に形成される。リブ122と124の間には、ターミナルホルダ50(図3参照)に固定される端子57a~57i(図15参照)の上側接続端子が配置される。
【0069】
図23(B)は図23(A)のI-I部の断面図である。基板ケース135は、リブ121bや水平リブ106等によって、ハウジング102によって挟持される。制御回路基板131の略中央に形成される貫通穴132aは、ネジ141だけでなく隆起部138の円筒部138c(符号は図21参照)よりも十分大きい穴である。よって、制御回路基板131の中央付近は、ネジ141によって上下方向が制限されるものではない。また、制御回路基板131の全体を覆う硬化性樹脂はある程度の弾力性を有するため、制御回路基板131が隆起部138に対してわずかに相対移動が可能になる。
【0070】
図24は第7の実施例の基板ケース135の図であり、(A)は上面図であり、(B)は(A)のK-K部の断面図、(C)は(A)のL-L部の断面図である。基板ケース135の内側部分は、制御回路基板131を下から保持するための3つの保持部分が形成される。本実施例で最も重要な役割を果たしているのは、左右中心付近であって、落下時の衝撃によって変形したハウジング102の特定部位が制御回路基板131に最初に突き当たる位置付近に設けられる隆起部138である。隆起部138は2つの役割を果たすものであり、一つは制御回路基板131の上下位置を規定するものであり、もう一つは、変形したハウジング102の特定部位が当たるようにして、その衝撃が制御回路基板131に伝わらずに、基板ケース135を介してハウジング102の梁部(図23で示したリブ122~124等)に伝達させることである。隆起部138の段差部138bよりも下側は、底面134に近づくにつれて直径が広くなるような円錐状、または逆向きの漏斗状に拡径する円錐部138aを形成した。このような円錐状の形状としたのは、ネジ146を介して隆起部138に加わる衝撃を分散させるようにして底面134に伝えることにより、基板ケース135の局所的な部分に応力が集中しないようにするためである。円錐部138aとすることで制御回路基板131の下面側に搭載される電子素子の実装面積の減少を抑制できた。
【0071】
円錐部138aよりも上側には円筒部138cが形成される。円筒部138cはネジを固定するためのネジボスとなる。円筒部138cの上面は小さな径の円環面138dとなる。ネジ141は金属製であり、強い衝撃が上から下方向に加わっても衝突箇所が破壊されること無く、隆起部138から底面134に衝撃を効果的に分散させながら伝達できる。このネジ142が設けられる部分は、ハウジング102のハンドル部102bのもっとも変形しやすい特定部位のほぼ真下である。尚、ネジ141は必須では無くて、ネジ141を設けずに円筒部138cを円柱状の形状として荷重を受け止めるように構成しても良い。制御回路基板131の左右両側は、基板ケース135の内側壁面と接触またはわずかな距離を隔てて非接触状態とされる。このように構成することによって、ネジ141の頭頂部に上から下方向への強い衝撃が加わっても、制御回路基板131に直接的な強い力がかかりにくい。また、制御回路基板131の中央付近に下方向にむけた強い力が加わったとしても、制御回路基板131の左右両側と基板ケース135が固定されておらず、また、隆起部138と制御回路基板131が固定されていないため、制御回路基板131は変形する基板ケース135と上下方向に相対的に摺動可能となり、制御回路基板131には無理な力がかかりにくい。
【0072】
制御回路基板131の前縁付近は、下面が段差部137の上に載置された形で保持される。従って、制御回路基板131は下方向には移動できないが、上方向の移動は可能である。制御回路基板131の後縁付近は、2つ目のネジ142によって基板ケース135に固定される。従って、制御回路基板131は後方側のネジ142だけによって直接制御回路基板131にネジ止めされる。このように制御回路基板131は一箇所だけでネジ止めされるので、そのネジ止め箇所以外の箇所で制御回路基板131の変形を伴ったとしても、基板ケース135とは摺動可能なので、制御回路基板131の特定箇所に応力が集中すること無く、搭載される素子や回路パターンの破損を効果的に防止できる。
【0073】
制御回路基板131の上側面と下側面には、ワンチップマイコン、抵抗、コンデンサ、コイル、スイッチ等の公知の電子素子が搭載される。両面実装を可能とするために、制御回路基板131の下面と基板ケース135の底面134の間は所定の隙間を有している。また、制御回路基板131の上面と基板ケース135の開口面136の間は、所定の隙間を隔てるようにしている。
【0074】
図25図23のM部の部分拡大図である。この拡大図でわかるように、段差部138bより上方に延びる円筒部138cの高さは、制御回路基板131とスイッチパネル150の平板部155の合計高さよりもわずかに高い。従って、ネジ141による締め付けによって、制御回路基板131とスイッチパネル150の上下方向の移動を完全に制限しているわけではない。また、制御回路基板131の貫通穴132aの大きさは、円筒部138cの大きさよりも十分大きい。ネジ141は金属製であって、その頭頂部はハウジング102の特定の部位104との間に隙間を有する。従って、通常の動作時にはハウジング102とネジ141は非接触状態を保つが、ハウジング102が正立状態のままで落下した場合は、特定の部位104が下方に変形してネジ141の頭頂部に接触する。ネジ141は基板ケース135には接続されているが、制御回路基板131とスイッチパネル150と強固に固定されているわけではない。つまり、隆起部138によって制御回路基板131の前後左右及び上下方向の動きをある程度制限するものの、完全に基板ケース135と固定するわけではない。従って、落下時の衝撃によるハウジング102の特定部位104の変形によって制御回路基板131に強い力が加わることを大きく抑制できるので、制御回路基板131に搭載されている電子部品の破損の虞を大幅に低減できる。
【0075】
図25には図示していないが、基板ケース135の内側空間には、液状の硬化性樹脂を満たして硬化させるようにして、制御回路基板131に搭載された電子部品のすべて、又は、ほぼすべてが樹脂で覆われるようにした。樹脂を満たす高さは、底面134から開口面136近くまで、少なくともネジ141の頭部が完全に隠れる程度まで満たすようにすると良い。
【0076】
図26の(A)は第7の実施例の制御回路部130の上面図であり、(B)は従来の制御回路部230の上面図である。図26(A)では、ネジ141、142と制御回路基板131に搭載される電子素子の記載は省略している。ここで基板ケース135のうち、制御回路基板131の前縁下側と接する部分(段差部137)を点線にて示している。基板ケース135のうち、前縁部135aの内側には、左右方向に連続した段差部137a(図21も参照)が形成される。また、上面視で四角形の角部を斜めにカットしたような形状とされるが、その内側部分にも段差部137b、137cが形成されることによって、制御回路基板131の前側部分の下側を安定的に保持する。尚、制御回路基板131の前側部分と段差部137は、ネジ等で強固に固定せずに、単に載せているだけとするか、または、上下方向に延びるリブ137f、137g(図21参照)との弱い接触抵抗で軽く支えるだけである。
【0077】
制御回路基板131の中心近くには、制御回路基板131の下面をサポートする隆起部138が設けられる。ここで隆起部138は左右中心位置に設けることが好ましく、この左右中心位置はハウジング102の分割面を通る位置にある。隆起部138の前後方向に見た位置は、中心点よりもやや前側に設けられる。これは制御回路基板131上に配置されるスイッチ161、162が押されたときに制御回路基板131に下向きの力が加わるために、その力に抗するためである。ここで段差部137bの最右端位置137dと隆起部138の段差部138bの後側の接点を結ぶ仮想線36aと、段差部137cの最左端位置137eと隆起部138の段差部138bの後側の接点を結ぶ仮想線36bと、段差部137にて囲まれる五角形(略三角形)の範囲内に、スイッチ161とスイッチ162のプランジャがそれぞれ含まれるようにした。このような位置関係とすることによってスイッチ161又はスイッチ162の操作時に、制御回路基板131に加わる力を効果的に基板ケース135に伝達することができ、基板ケース135と制御回路基板131の接触を最低限にした状態で、スイッチパネル150を良好に支持することが可能となり、落下時の基板ケース135の変形による制御回路基板131の発生応力の低減とスイッチパネル150の良好な操作性を両立することができる。
【0078】
制御回路基板131の後方側には、ネジ142(図21参照)を通す貫通穴132bが形成される。また、基板ケース135にはネジ穴付きのネジボス139が形成される。ネジボス139と貫通穴132bの位置は、ハウジング102の分割面と一致する位置、又は、分割面に近い位置に設けると良い。尚、隆起部138の後方側は、ネジボス139を除いた箇所以外は基板ケース135より浮いたような状態にある。このため、基板ケース135のネジ141の真上から下向きの強い衝撃を受けたとしても、その衝撃は隆起部138を介して基板ケース135に直接伝わるので、制御回路基板131を歪ませるような過大な力が伝わりにくいという効果がある。また、基板ケース135に歪むような力が加わったとしても、それが制御回路基板131に伝わりにくいので、制御回路基板131に搭載される回路素子の破損の虞を効果的に低減できる。
【0079】
図26(B)は従来の基板ケース235と制御回路基板231の上面図である。制御回路基板231の形状と、基板ケース235の形状、スイッチ161、162の配置は同一ではないが、それはハウジングの形状に合わせた結果である。但し、制御回路基板231は外縁の全周においてその下面が段差部236にて保持される。従って、ハウジングの特定部位に下向きの強い衝撃が加わると、その力の大部分が制御回路基板231の面全体にて受けることになる。
【0080】
スイッチパネル固定穴232a、232bは従来のスイッチパネル(図示せず)を固定するために制御回路基板131に設けられた穴部である。従来のスイッチパネルでは、スイッチパネル下面から図示しない固定フックが設けられており、固定穴232a、232bにそれぞれ対応する固定フックを貫通させ、制御回路基板131下面を固定フックで引っ掛ける。また制御回路基板131の上面には図示しない弾性体によって制御回路基板131を固定フックへ付勢させることにより、スイッチパネルを安定的に固定する。このように従来の基板ケース235では、弾性体の使用により、原価が高くなるという問題があったが、今回の発明では、スイッチパネル固定のために最低限のネジと硬化性樹脂のみを使用しており、制御回路基板131の発生応力低減に加え、部品点数の削減(原価低減)も図ることができる。
【0081】
図27は第7の実施例の変形例に係る制御回路基板131のサポート部付近の部分拡大図である。図25にて示した形状と異なるのは、サポート部たる隆起部188の形状である。隆起部188は基板ケース185の底面から隆起するような円錐部188aと段差部188bの形状は同じであるが、円筒部188cの高さ(軸方向長さ)が低くなるように形成される。円筒部188cの高さは、制御回路基板131の板厚よりも高くなるようにし、スイッチパネル150の平板部155と制御回路基板131が強く接しないような位置関係とされる。この変形例でも特定の部位104と基板ケース185の上面位置(開口部186)とはわずかに隙間があるように形成される。従って、通常の動作時にハウジング102から制御回路基板131に伝わる振動は小さく抑えられる。
【0082】
図28の(A)は第7の実施例におけるハウジング102の最大変形箇所から基板ケース135に伝わる応力の位置を示す図である。図28(A)において特定の部位から矢印148のように強い下向きの力が加わると、ハウジング102の特定の部位104が下向きに歪み、ネジ141に当接する。ネジ141の軸方向下向きに加わる力は、基板ケース135から、リブ121等に伝達される。このようにネジ141の力は円錐部138aから基板ケース135の全体に伝わるため、矢印149のようにリブ121(図23のリブ121a、121b)、リブ122等で効果的に支えることができる。リブ121~122はハウジング102の右側側面から左側側面に至るまで連続するように形成される為、剛性を高くすることができるので、ハウジング102が破損する虞も少なくなる。
【0083】
図28(B)は、従来のハウジング202の最大変形箇所から基板ケース135に伝わる応力の位置を示す図である。従来のハウジング202では、矢印248のように特定の部位に加わる力は、制御回路基板231に伝わり、制御回路基板231の外縁下側の段差を介して基板ケース235に伝わる。制御回路基板231に加わった力は、基板ケース235の段差部236にて矢印249a、249bの方向に支えることになる。このように、落下等の強い衝撃による変形が、基板ケース235の下側にてハウジング202に伝わる伝達過程において制御回路基板231を通ることになるため、制御回路基板231に搭載された電子素子が破損しやすくなる。一方、図28(A)のように隆起部138を介して直接ハウジング202に力が伝わるように構成すれば、制御回路基板231が破損する虞が小さくなる。
【実施例0084】
図29は本発明の第8の実施例に係る電動工具101の制御回路部130を示す断面図であり、(A)はハウジング102の分割面を通る鉛直断面図であり、(B)は(A)と直交する縦断面図である。第8の実施例では基板ケース135Aにスイッチ161、162が設けられない点が第7の実施例と異なる。スイッチ161、162を設けない場合は、ハウジング102にはスイッチユニット用の開口は設けられない。また、図24で示したような基板ケース135Aの前壁内側に段差部137(図24参照)に相当するような段差を形成しなくても良い。しかしながら、基板ケース135Aの形状自体は、第7の実施例と同様であり、ハウジング102Aの特定の部位104が下方向に変形した場合の振動伝達経路も図28(A)で示した例とほぼ同様となる。
【0085】
図29(B)の断面形状は、図23(B)とほぼ同様の形状となる。第8の実施例でも、円筒部138cの外径は、貫通穴132aよりも十分小さいので、制御回路基板131はネジ141によって上下方向の動きを制限されることがない。但し、基板ケース135Aの内側空間は、ほぼ硬化性樹脂によって満たされるので、制御回路基板131が過度に動いてしまうことがない。
【0086】
以上、本発明を1~8の実施例に基づいて説明したが、本発明は上述の実施例だけに限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変更が可能である。例えば、上述の実施例では電動工具1の例としてインパクト工具を用いて説明したが、インパクト工具に限定されるものではなくて、ハンドル部の先端にバッテリ取付部が形成されて、バッテリと回路基板が設けられるその他のバッテリ駆動の工具であっても同様に適用できる。更に、バッテリで駆動するコードレスタイプの電動工具に限定されるものではなく、電源コードを商用電源等の外部電源に接続して駆動するコード付きタイプの電動工具にも適用できる。コード付きタイプの電動工具に適用する場合は、バッテリ取付部2cの下側を閉鎖したような形状とした収容部とし、収容部をハウジングの胴体部やハンドル部と同様に分割式として、分割面に交差するように開口面を設け、開口面にスイッチパネルを取りつけ、収容部の内部に制御回路部30、60~90を収容するようにすれば良い。
【符号の説明】
【0087】
1 電動工具 2、2A、2B ハウジング 2a 胴体部
2b ハンドル部 2c バッテリ取付部 3 モータ 3a ロータ
3b ステータ 4 回転軸 5 ハンマケース 5a 貫通穴
6 軟質層 7 トリガスイッチ 7a トリガレバー
8 正逆切替レバー 9 照明装置 10 出力軸 10a 取付穴
11 装着機構 12 インバータ回路基板 13 位置検出素子
14 半導体スイッチング素子 15 ロータファン 16a、16b 軸受
17a、17b 空気取入口 17c 空気排出口 18a、18b 軸受
19c~19j ネジボス 20 減速機構 21 インパクト機構
22 スピンドル 23 スピンドルカム溝 24 ハンマ
25 ハンマカム溝 26 スチールボール 27 ハンマスプリング
28 アンビル 29a~29h ネジ 30 制御回路部
31 制御回路基板 33 樹脂 34 (ハウジングの)特定の部位
35 基板ケース 35a、35b、35c 凸部 35d 底面
35e 凹部 36A 加重 37 壁部 38c 凹部
39a、39b リブ
40、40A 梁部材(サポート部)
43a~43d (ハンドル部の)付け根付近 45 開口部
46 スイッチパネル 47 ライトスイッチ 48a、48b LED
50 ターミナルホルダ 51a、51b 凹部
52-1、52-2 レール溝 53 レール部 54 ラッチ溝
55、55A ターミナルホルダ 55c、55d 凸部 55f リブ
56 基台部 57a~57b、57d~57i 端子 57c 仕切り板
58 サポート部 60 制御回路部 61 制御回路基板
61a 貫通穴 63 樹脂 65 基板ケース
65a、65b、65c、75b 凸部 65d 底面 65e 柱部
70、80、90 制御回路部 73、83 樹脂
75、85、95 基板ケース 75e 凹部 76 補強部材
85f 凸部 86a、86b リブ 87a~87c リブ
87d 保持部 95d 下面 95f 凸部
101 電動工具 102 ハウジング 102b ハンドル部
102c バッテリ取付部 103 開口部
104 (ハウジングの)特定の部位 120 開口部
121a 保持面 121b リブ 122~125 リブ
125 段差部 130 制御回路部 131 制御回路基板
132a 貫通穴 132b 貫通穴 132c 切り欠き部
134 底面 135 基板ケース 135a (基板ケースの)前縁部
135c、135d (基板ケースの)内壁部分 136 開口面
137、137a~137c 段差部 137d (段差部の)最右端位置
137e (段差部の)最左端位置 137f、137g リブ
138 隆起部 138a 円錐部 138b 段差部
138c 円筒部 138d 円環面 139 ネジボス
141、142 ネジ 146 ネジ 150 スイッチパネル
151 上面 152a、152b 開口部 152c、152d 貫通穴
153a、153b、154 リブ 155 平板部(タブ)
156 貫通穴 160 フィルム 161、162 スイッチ
161a、162a プランジャ 185 基板ケース 186 開口部
188 隆起部 188a 円錐部 188b 段差部
188c 円筒部 202 ハウジング 202b ハンドル部
202c バッテリ取付部 231 制御回路基板
232a、232b スイッチパネル固定穴 234 (特定の)部位
235 基板ケース 236 段差部 237 隙間
238a、238b リブ 238c 凹部 239a、239b リブ
300 バッテリ 301 ラッチボタン
A1 (モータと出力軸の)軸線
B1 (ハンドル部の)中心軸線
C1 (バッテリ取付部の)左右中心線(分割面)

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータと、
前記モータを収容する胴体部と、前記胴体部から下方に延び、作業者に把持されるハンドル部と、を有するハウジングであって、分割方向である左右方向に前記ハウジングを分割する分割面を有するハウジングと、
前記モータを制御する制御回路基板と、前記制御回路基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースの内部で前記制御回路基板の上面及び下面を浸漬するように充填された樹脂と、を有する制御回路部と、
前記ハンドル部の下方に設けられた収容部であって、前記ハンドル部より前方向及び左右方向に突出する突出部分を有し、前記制御回路部を収容する収容部と、
前記突出部分の上面において左右方向に延びるように設けられ、作業者が入力操作を行うための入出力操作部と、
前記突出部分の上面において左右方向に延び前記分割面によって分断されるように設けられた開口部であって、前記入出力操作部を前記分割方向に挟むように保持する外縁を有する開口部と、
を備えた電動工具であって、
前記外縁は、前記開口部の前記ハンドル部側の前記外縁と前記分割面が交差する部位を有し、
前記収容部の内部において、上下方向で前記部位と前記制御回路基板の間に配置された補強部を有し、前記補強部の上面が前記部位と対向するとともに前記補強部の下面が前記制御回路部と対向し、前記制御回路基板は前記補強部の下方において前記補強部及び前記部位の前方から前記補強部及び前記部位の後方にかけて延びるよう構成された、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項2】
前記電動工具の落下時の衝撃によって前記部位が下方向に変形した際に、前記部位が前記補強部に接触することで、前記部位が前記制御回路部に接触しないよう構成したことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項3】
前記補強部は、前記部位が下方向に変形した際に、前記部位と接触することで、前記部位の変形荷重が前記制御回路部に直接加わるのを抑制するよう構成されたことを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項4】
前記補強部は、前記収容部の内部において、前記部位の真下の位置で前記ハンドル部よりも左右方向に長く延びるとともに、前記部位の真下の位置から後方に延びることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項5】
上下方向で前記補強部と前記制御回路基板の間に、前記樹脂が浸漬されていることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項6】
前記補強部は樹脂製であることを特徴とする請求項1に記載の電動工具。
【請求項7】
モータと、
前記モータを収容する胴体部と、前記胴体部から下方に延び、作業者に把持されるハンドル部と、を有するハウジングであって、分割方向である左右方向に前記ハウジングを分割する分割面を有するハウジングと、
前記モータを制御する制御回路基板と、前記制御回路基板を収容する基板ケースと、前記基板ケースの内部で前記制御回路基板の上面及び下面を浸漬するように充填された樹脂と、を有する制御回路部と、
前記ハンドル部の下方に設けられた収容部であって、前記ハンドル部より前方向及び左右方向に突出する突出部分を有し、前記制御回路部を収容する収容部と、
前記突出部分の上面において左右方向に延びるように設けられ、作業者が入力操作を行うための入出力操作部と、
前記突出部分の上面において左右方向に延び前記分割面によって分断されるように設けられた開口部であって、前記入出力操作部を前記分割方向に挟むように保持する外縁を有する開口部と、
を備えた電動工具であって、
前記ハウジングは、前記ハンドル部と前記収容部に接続された付け根を有し、前記付け根の前記収容部側において前記付け根の上端部は前記ハンドル部に接続されるとともに前記付け根の下端部は前記収容部に接続され、
前記収容部の内部において、前記付け根の前記下端部の真下の位置であって前記制御回路部の真上の位置に配置された補強部を有し、前記補強部の上面が前記付け根の前記下端部と対向するとともに前記補強部の下面が前記制御回路部と対向し、前記制御回路基板は前記補強部の下方において前記補強部の前方から前記補強部の後方にかけて延びるよう構成された、
ことを特徴とする電動工具。
【請求項8】
前記電動工具の落下時の衝撃によって前記付け根の前記下端部が下方向に変形した際に、前記付け根の前記下端部が前記補強部に接触することで、前記付け根の前記下端部が前記制御回路部に接触しないよう構成したことを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項9】
前記補強部は、前記付け根の前記下端部が下方向に変形した際に、前記付け根の前記下端部と接触することで、前記付け根の前記下端部の変形荷重が前記制御回路部に直接加わるのを抑制するよう構成されたことを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項10】
前記補強部は、前記収容部の内部において、上下方向で前記付け根の前記下端部の真下の位置に配置されて左右方向で前記ハンドル部よりも長く延びることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項11】
上下方向で前記補強部と前記制御回路基板の間に、前記樹脂が浸漬されていることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【請求項12】
前記補強部は樹脂製であることを特徴とする請求項7に記載の電動工具。
【手続補正2】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0007
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0007】
本願において開示される発明のうち代表的な特徴を説明すれば次のとおりである。
本発明の一つの特徴によれば、モータと、モータを収容する胴体部と、胴体部から下方に延び作業者に把持されるハンドル部を有して左右方向に分割される分割面を有するハウジングと、モータを制御する制御回路基板と、制御回路基板を収容する基板ケースと、基板ケースの内部で制御回路基板の上面及び下面を浸漬するように充填された樹脂と、を有する制御回路部と、ハンドル部の下方に設けられた収容部であってハンドル部より前方向及び左右方向に突出する突出部分を有し、制御回路部を収容する収容部と、突出部分の上面において左右方向に延びるように設けられ作業者が入力操作を行うための入出力操作部と、突出部分の上面において左右方向に延び分割面によって分断されるように設けられた開口部であって、入出力操作部を分割方向に挟むように保持する外縁を有する開口部、を備えた電動工具であって、外縁は、開口部のハンドル部側の外縁と分割面が交差する部位を有し、収容部の内部において、上下方向で部位と制御回路基板の間に配置された補強部を有し、補強部の上面が部位と対向するとともに補強部の下面が制御回路部と対向し、制御回路基板は補強部の下方において補強部及び部位の前方から補強部及び部位の後方にかけて延びるよう構成した。