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特開2024-54247毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼの選択的調節物質としての1-イソプロピル-3-メチル-8-(ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オンおよびその使用
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054247
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)キナーゼの選択的調節物質としての1-イソプロピル-3-メチル-8-(ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オンおよびその使用
(51)【国際特許分類】
   C07D 487/04 20060101AFI20240409BHJP
   A61P 35/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/02 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 35/04 20060101ALI20240409BHJP
   A61P 25/14 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240409BHJP
   C07D 519/00 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/5025 20060101ALI20240409BHJP
   A61K 31/5377 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
C07D487/04 144
C07D487/04 CSP
A61P35/00
A61P43/00 111
A61P35/02
A61P35/04
A61P25/14
A61K45/00
A61P43/00 121
C07D519/00 301
A61K31/5025
A61K31/5377
【審査請求】有
【請求項の数】28
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024017316
(22)【出願日】2024-02-07
(62)【分割の表示】P 2021514039の分割
【原出願日】2019-09-16
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2018/105675
(32)【優先日】2018-09-14
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.TWEEN
2.TRITON
(71)【出願人】
【識別番号】521101527
【氏名又は名称】スゾウ、ザンロン、ファーマ、リミテッド
【氏名又は名称原語表記】SUZHOU ZANRONG PHARMA LIMITED
(74)【代理人】
【識別番号】110003421
【氏名又は名称】弁理士法人フィールズ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ディン、ゾウ
(72)【発明者】
【氏名】チーチャン、チェン
(57)【要約】      (修正有)
【課題】毛細血管拡張性運動失調症変異(「ATM」)キナーゼを選択的に調節する、新規化合物を提供する。
【解決手段】下記化合物に例示される特定の置換イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン化合物および薬学的に許容可能なその塩を提供する。本願はまた、上記化合物およびその塩のうちの1または複数を有効成分として含む医薬組成物、並びに、癌を含むATM関連性疾患または症状の治療における上記化合物およびその塩の使用に関する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容可能なその塩
(式中、
は、水素またはメチルであり;
は、イソプロピルまたはテトラヒドロピラニルであり;
は、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、それぞれ水素またはフルオロから独立して選択され;
は-L-NRであり、Lは直接的な結合、-(CHO(CH-、または-CONR10(CH-から選択され、前記-(CHO(CH-および前記-CONR10(CH-は場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよく;
およびRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基は場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
10は、水素、アルキル、シクロアルキル、および炭素結合した飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、前記複素環式基は場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;
11は、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、並びに、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され;
12は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択され;
13は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から選択され;
14およびR15は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;あるいは、
14およびR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR16により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
16は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択され;
mは0、1、または2であり;
nは2~4の範囲の整数であり;
pは2~4の範囲の整数であり;並びに、
qは0、1、または2であり;
ただし、Rがテトラヒドロピラン-3-イルであり、且つ、Rが水素である場合は、Rは-O(CHN(CHではない)。
【請求項2】
がメチルである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項3】
がイソプロピルである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項4】
がフルオロである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項5】
、R、およびRが水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項6】
が-L-NRであり、且つ、Lが直接的な結合である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項7】
およびRが、場合によっては1または複数のR12で置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択される、請求項6に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項8】
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
【化2】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2である、請求項6に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項9】
13がハロゲンである、請求項8に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項10】
が-L-NRであり、Lが直接的な結合であり、且つ、RおよびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化3】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項11】
13が-(CHNR1415であり、且つ、R14およびR15がC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択される、請求項10に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項12】
が-L-NRであり、Lが-CONR10(CH-であり、RおよびRが場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され、R10が水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項13】
がメチルであり;
がイソプロピルであり;
がフルオロであり;
、R、およびRが水素であり;
が-L-NRであり;
Lが場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよい-(CHO(CH-であり;
およびRが場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され;あるいは、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化4】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2であり;
11が水素であり;
12が水素であり;
13がハロゲンであり;
mが0、1、または2であり;
nが2~4の範囲の整数である、
請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項14】
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-((2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-((2-(4-フルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピコリンアミド;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(S)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-2-フルオロピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジエチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(エチル(メチル)アミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-モルホリノエトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-モルホリノプロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;および
8-(6-(3-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン、
からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項15】
ヒト肝サイトゾル系中のタンパク質1mg当たり1.8μL/分未満のAO固有クリアランス値を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項16】
請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項17】
血液脳関門(BBB)移行を促進するための薬剤を含まない、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
治療を必要とする対象においてATM関連性疾患または症状を治療する方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を前記対象に投与することを含んでなる、方法。
【請求項19】
前記ATM関連性疾患または症状が癌である、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記癌が結腸直腸癌、グリア芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
前記癌が脳転移などの転移性癌である、請求項19に記載の方法。
【請求項22】
式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩と同時に、個別に、または逐次に放射線療法を前記対象に施行することをさらに含んでなる、請求項18に記載の方法。
【請求項23】
前記放射線療法が脳照射である、請求項22に記載の方法。
【請求項24】
前記ATM関連性疾患または症状が癌、好ましくはグリア芽腫である、請求項22または23に記載の方法。
【請求項25】
治療を必要とする対象においてハンチントン病を治療する方法であって、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を前記対象に投与することを含んでなる、方法。
【請求項26】
前記化合物が血液脳関門(BBB)移行を促進するための薬剤の非存在下で血液脳関門(BBB)移行可能である、請求項18または25に記載の方法。
【請求項27】
ATM関連性疾患または症状の治療に使用するための、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項28】
ATM関連性疾患または症状の治療のための医薬の製造における、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の使用。
【請求項29】
ATM関連性疾患または症状の治療で使用され、放射線療法と同時に、個別に、または逐次に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項30】
ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、およびブレオマイシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍薬と同時に、個別に、または逐次に投与される、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、毛細血管拡張性運動失調症変異(「ATM」)キナーゼを選択的に調節する新規の置換イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン化合物および薬学的に許容可能なその塩に関する。本願はまた、上記化合物およびその塩のうちの1または複数を有効成分として含む医薬組成物、並びに、癌を含むATM関連性疾患または症状の治療における上記化合物およびその塩の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
セリン/トレオニンキナーゼであるATMキナーゼは、常染色体劣性遺伝疾患の毛細血管拡張性運動失調症(A-T)に因んで命名された(Paul,T.T、Annu Rev Biochem、2015年、頁711-38)。ATMはDNA二重鎖切断(DSB)の修復において中心的な役割を果たすが、このDSBはタイミングよく修復されなければ細胞にとって非常に毒性となる。DSBは非相同末端結合(NHEJ)または相同組換え(HR)という2つの主要な経路によって修復が可能である。NHEJは細胞周期全体を通じて機能し、最小限のプロセスで2つの切断末端を直接再封する。それに対して、HRは、細胞周期のS期とG2期の間に起こり、大規模な末端プロセシング(または切除)が必要となる。これにより生じた一本鎖DNAが、切断部位の相同的コピーに侵入した後、DNA合成用の鋳型として用いられることとなる(Clouaire,T.ら、DNA Repair(Amst)、2017年、頁84-91)。比較すると、NHEJは高速のプロセスであるが間違いが生じやすく;一方、HRはNHEJよりも遅いプロセスであるが間違いが生じない。ATMはHRを介してDSBを修復する。
【0003】
DNAのDSB後、DNA修復を感知し開始するMRE11-RAD50-NBS1(MRN)複合体によりATMがリクルートされる。ATMがDNA損傷部位に運ばれると、不活性なホモ二量体から活性がある単量体へと解離し、Ser1981および他の部位における自己リン酸化、さらにはLys3016におけるアセチル化により触媒的に活性化される。その後、ATMはMRN複合体の一成分であるNBS1のC末端に結合し、これが変換物質として機能することで、ヒストンH2A.X(γH2A.X)などの他のプロテインキナーゼがリン酸化および活性化される。
【0004】
ATMはDSBにより活性化されるが、DSBは電離放射線、化学療法薬、およびPARP阻害によって誘導できる。トポイソメラーゼI阻害剤(イリノテカン、トポテカンなど)およびPARP阻害剤(オラパリブなど)は一本鎖DNA切断を引き起こし、この一本鎖DNA切断は複製中にDSBへと変換される(Choi M.ら、Mol Cancer Ther、2016年、頁1781-91)。電離放射線(IR)、プラチナ剤(シスプラチン)、トポイソメラーゼII阻害剤(ドキソルビシン、エトポシド)などの他の抗癌治療は直接的にDSBを誘導する。ATM阻害剤を化学療法、放射線、およびPARP阻害剤と組み合わせることで、癌細胞は非常に細胞毒性が高いDSBを修復することがほぼ不可能となる。DSBの際に果たされるATMの役割が非常に重大であることを考慮すると、ATMキナーゼ阻害剤は、癌治療におけるPARP阻害剤、トポイソメラーゼ阻害剤、または電離放射線と相乗作用があると期待される。
【0005】
ATMキナーゼに対する活性を示すことにより、いくつかの構造の異なる化合物が報告された。WO2015/170081、WO2017/046216、およびWO2017/076895(アストラゼネカ社(Astrazeneca AB))では、ATMキナーゼの選択的調節剤としてイミダゾ[4,5-c]キノリン-2-オン化合物が報告され、この中でもAZD0156およびAZD1390は第1相臨床試験中の強力なATM阻害剤である。
【化1】
【0006】
しかし両化合物は、高い活性を有する、アルデヒドオキシダーゼ(AO)の基質となる。AOはヒトおよびサルにおいては高発現され、イヌにおいては発現されず、げっ歯類においては発現レベルが低い。AOによって代謝された化合物は、ヒトにおいて、クリアランス値が高く、薬物動態の多様性(PK variability)が高く、経口バイオアベイラビリティが低かった(Garattini,E.ら、Expert Opin Drug Discovery、2013年、頁641-54;Zientek,M.ら、Drug MetabDispos、2010年、頁1322-7)。AO脆弱性(AO liability)は、ヒト肝サイトゾル系で評価することができる。AZD0156のヒトにおけるPKは意外にも予測値よりも低く(Chenら、AACR、2018年)、AZD1390については、第1相臨床試験(NCT03215381およびNCT03423628)移行前に第0相臨床PK試験を実施しており、AZD0156およびAZD1390共にAOを介した代謝を受けることがさらに示唆された。さらに、AZD0156は脳浸透が不可であり、脳腫瘍治療用の用途が限定されている。AZD1390はhERG脆弱性を示し、これは心臓において有害作用がある。
【0007】
以上を受けて、AO脆弱性およびhEGR脆弱性を持たず、脳浸透性であることが好ましい、ATMキナーゼに対して作用する新規化合物の開発が求められている。
【発明の概要】
【0008】
本明細書において、強力なATMキナーゼ阻害活性を有し、ヒト肝サイトゾル中でAO脆弱性を示さず、それにより良好なヒト薬物動態特性(PK)を有し、用量変動が少なく、PK変動が少ない、新規の置換イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン化合物が開示される。加えて、これらの化合物は、ヒトPgp基質でもヒトBCRP基質でもなく、動物において良好な脳浸透性を示し、好ましい毒性プロファイルを有する(例えば、hERGに対する活性の低減)。結果として、本願の化合物は、特に、癌(頭蓋外の癌だけでなく、脳の腫瘍も)を含む、ATM関連性疾患または症状の治療において有用である。
【0009】
1つの態様において、本開示は、式(I)の化合物、
【化2】
または薬学的に許容可能なその塩
(式中、
は、水素またはメチルであり;
は、イソプロピルまたはテトラヒドロピラニルであり;
は、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、それぞれ水素またはフルオロから独立して選択され;
は-L-NRであり、Lは直接的な結合、-(CHO(CH-、または-CONR10(CH-から選択され、前記-(CHO(CH-および前記-CONR10(CH-は場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよく;
およびRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基は場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
10は、水素、アルキル、シクロアルキル、および炭素結合した飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、上記複素環式基は場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;
11は、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、および、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され;
12は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択され;
13は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から
選択され;
14およびR15は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;あるいは、
14およびR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR16により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
16は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択され;
mは0、1、または2であり;
nは2~4の範囲の整数であり;
pは2~4の範囲の整数であり;且つ、
qは0、1、または2であり;
ただし、Rがテトラヒドロピラン-3-イルであり、且つ、Rが水素である場合は、Rは-O(CHN(CHではない)
を提供する。
【0010】
別の態様において、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる、医薬組成物が提供される。
【0011】
さらなる態様において、治療を必要とする対象においてATM関連性疾患または症状を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を対象に投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0012】
さらなる態様において、治療を必要とする対象においてハンチントン病を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の治療有効量を対象に投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0013】
さらなる態様において、ATM関連性疾患または症状の治療に使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0014】
さらなる態様において、ATM関連性疾患または症状の治療のための医薬の製造における、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の使用が提供される。
【0015】
さらなる態様において、ATM関連性疾患または症状の治療で使用され、放射線療法と同時に、個別に、または逐次に投与される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0016】
さらなる態様において、少なくとも1つの追加の抗腫瘍薬と同時に、個別に、または逐次に投与される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明のある特定の実施形態に対し詳細な言及がなされ、その実施形態の例が付随の構造および式に例示される。示された実施形態と関連させて本発明を説明するが、それらの実施形態が本発明をそれらに限定することを意図していないことは理解されたい。逆に、本発明は、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲内に包含され得る、全ての代替形態、変更形態、および均等形態を包含することが意図される。当業者は本明細書に記載されるものと同様または均等である多くの方法および物質を認めることとなるが、これらも本発明の実施に用いることができる。本発明は記載された方法および物質には一切限定されない。用語の定義、用語の用法、技術の説明などを含むがこれらに限定はされない、援用された文献および類似物質の1または複数が本願と異なる、またはそれ矛盾する場合、本願が優先される。
【0018】
明確さのために別々の実施形態に関連付けられて説明されている、本開示のある特定の特徴は、単一の実施形態において組み合わせて提供もできることは理解される。逆に、簡潔さのために単一の実施形態に関連付けられて説明されている本開示の種々の特徴も、別々に、または任意の好適な部分組合せにおいて、提供することができる。
【0019】
定義
以下に、特定の官能基および化学用語の定義をより詳細に記載する。本開示の目的のために、化学元素は、元素周期表、CASバージョン、Handbook of Chemistry and Physics、第75版、内表紙、に従って特定され、特定の官能基は通常そこに記載された通りの定義である。さらに、有機化学、並びに特定の官能基および反応性の一般原則は、Organic Chemistry、Thomas Sorrell、ユニバーシティ・サイエンス・ブックス社(University Science Books)、ソーサリト、1999年;Smith and March March’s Advanced Organic Chemistry、第5版、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons, Inc.)、ニューヨーク、2001年;Larock、Comprehensive Organic Transformations、VCHパブリッシャーズ社(VCH Publishers, Inc.)、ニューヨーク、1989年;Carruthers、Some ModernMethods of Organic Synthesis、第3版、ケンブリッジ大学出版局、ケンブリッジ、1987年に記載のものであり、それぞれの内容の全体が参照によって本明細書に援用される。
【0020】
本開示の様々な部分において結合置換基が記載されている。構造が結合基を明らかに必要としている場合、その基に関連して挙げられたマーカッシュ形式の可変要素が結合基であると理解される。例えば、構造が結合基を必要としており、その可変要素に関するマーカッシュ群の定義が「アルキル」を挙げている場合、「アルキル」はアルキレン基の結合を表すと理解される。
【0021】
本明細書で使用される場合、用語「置換された」とは、化学基に関するものである場合、その化学基の、1または複数の水素原子が、除去され、置換基によって置き換えられていることを意味する。用語「置換基」とは、本明細書で使用される場合、当該技術分野において公知の通常の意味を有し、親基に共有結合している、または適切な場合、縮合している、化学的部分を指す。本明細書で使用される場合、「場合によっては置換されていてもよい」または「場合によっては~置換されていてもよい」という用語は、化学基が、置換基を有していなくてもよいし(すなわち非置換型)、1または複数の置換基を有していてもよい(すなわち置換型)ことを意味する。所与の原子における置換は結合価の制限を受けることは理解されたい。
【0022】
本明細書で使用される場合、用語「Ci-j」は、炭素原子数の範囲を表し、iおよびjは整数であり、炭素原子数の範囲は両方の端点(すなわちiおよびj)および間にある各整数点を包含し、jはiよりも大きい。例えば、C1-6は1個から6個の炭素原子の範囲を表し、1個の炭素原子、2個の炭素原子、3個の炭素原子、4個の炭素原子、5個の炭素原子、および6個の炭素原子を包含する。いくつかの実施形態では、用語「C1-12」は、1個から12個の炭素原子、特に1個から10個の炭素原子、特に1個から8個の炭素原子、特に1個から6個の炭素原子、特に1個から5個の炭素原子、特に1個から4個の炭素原子、特に1個から3個の炭素原子、または特に1個から2個の炭素原子を表す。
【0023】
本明細書で使用される場合、用語「アルキル」は、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、飽和した直鎖状または分岐鎖状の炭化水素鎖を指し、当該炭化水素鎖は場合によっては1または複数の下記の置換基で独立して置換されていてもよい。用語「Ci-jアルキル」は、i個からj個の炭素原子を有するアルキルを指す。いくつかの実施形態では、アルキル基は1個から12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は1個から11個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキル基は、1個から11個の炭素原子、1個から10個の炭素原子、1個から9個の炭素原子、1個から8個の炭素原子、1個から7個の炭素原子、1個から6個の炭素原子、1個から5個の炭素原子、1個から4個の炭素原子、1個から3個の炭素原子、または1個から2個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、1-プロピル(n-プロピル)、2-プロピル(イソプロピル)、1-ブチル(n-ブチル)、2-メチル-1-プロピル(i-ブチル)、2-ブチル(s-ブチル)、2-メチル-2-プロピル(t-ブチル)、1-ペンチル(n-ペンチル)、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチル、1-ヘプチル、1-オクチルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。「C1-12アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ペンチル、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、デシル、ウンデシル、ドデシルが挙げられるが、これらに限定はされない。「C1-6アルキル」の例としては、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、i-ブチル、s-ブチル、t-ブチル、n-ペンチル、2-ペンチル、3-ペンチル、2-メチル-2-ブチル、3-メチル-2-ブチル、3-メチル-1-ブチル、2-メチル-1-ブチル、1-ヘキシル、2-ヘキシル、3-ヘキシル、2-メチル-2-ペンチル、3-メチル-2-ペンチル、4-メチル-2-ペンチル、3-メチル-3-ペンチル、2-メチル-3-ペンチル、2,3-ジメチル-2-ブチル、3,3-ジメチル-2-ブチルなどがある。
【0024】
上記のアルキル基は、当該アルキル基の1または複数の炭素上の1または複数の水素原子を独立して置き換える置換基によりさらに置換できる。そのような置換基の例としては、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、ハロゲン、ヒドロキシル、アルコキシル、ハロアルキル、ハロアルコキシル、アルキルカルボニルオキシ、アリールカルボニルオキシ、アルコキシカルボニルオキシ、アリールオキシカルボニルオキシ、カルボキシレート、アルキルカルボニル、アリールカルボニル、アルコキシカルボニル、アミノカルボニル、アルキルアミノカルボニル、ジアルキルアミノカルボニル、アルキルチオカルボニル、ホスフェート、ホスホナート、ホスフィナート、アミノ(アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、アリールアミノ、ジアリールアミノ、およびアルキルアリールアミノを含む)、アシルアミノ(アルキルカルボニルアミノ、アリールカルボニルアミノ、カルバモイル、およびウレイドを含む)、アミジノ、イミノ、スルフヒドリル、アルキルチオ、アリールチオ、チオカルボキシレート、サルフェート、アルキルスルフィニル、スルホネート、スルファモイル、スルホンアミド、ニトロ、トリフルオロメチル、シアノ、ニトロ、アジド、複素環式基、アルキルアリール、または芳香環部分もしくは複素芳香環部分を挙げることができるが、これらに限定はされない。下記のアルケニル基、アルキニル基、飽和または部分不飽和シクロアルキル基、ヘテロアルキル基、複素環式基、アリールアルキル基、ヘテロアリールアルキル基、複素環式アルキル基、シクロアルキルアルキル基、アリール基、およびヘテロアリール基も同様に置換されていてもよい。
【0025】
本明細書で使用される場合、用語「アルケニル」は、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、少なくとも1個の炭素-炭素二重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基であって、1または複数の本明細書に記載の置換基で独立して場合により置換されていてもよい炭化水素基を指し、「シス」配置および「トランス」配置、あるいは「E」配置および「Z」配置を有する遊離基を包含する。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2個から12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2個から11個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルケニル基は、2個から11個の炭素原子、2個から10個の炭素原子、2個から9個の炭素原子、2個から8個の炭素原子、2個から7個の炭素原子、2個から6個の炭素原子、2個から5個の炭素原子、2個から4個の炭素原子、2個から3個の炭素原子を含有し、いくつかの実施形態では、アルケニル基は2個の炭素原子を含有する。アルケニル基の例としては、エチレニル(すなわちビニル)、プロペニル、ブテニル、ペンテニル、1-メチル-2ブテン-1-イル、5-ヘキセニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0026】
本明細書で使用される場合、用語「アルキニル」とは、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、少なくとも1個の炭素-炭素三重結合を有する直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基であって、1または複数の本明細書に記載の置換基で独立して場合により置換されていてもよい炭化水素基を指す。いくつかの実施形態では、アルケニル基は2個から12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキニル基は2個から11個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルキニル基は、2個から11個の炭素原子、2個から10個の炭素原子、2個から9個の炭素原子、2個から8個の炭素原子、2個から7個の炭素原子、2個から6個の炭素原子、2個から5個の炭素原子、2個から4個の炭素原子、2個から3個の炭素原子を含有し、いくつかの実施形態では、アルキニル基は2個の炭素原子を含有する。アルキニル基の例としては、エチニル、1-プロピニル、2-プロピニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0027】
本明細書で使用される場合、用語「アルコキシ」または「アルコキシル」とは、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、酸素原子を介して親分子に結合している、上記で定義された通りのアルキル基を指す。用語「Ci-jアルコキシ」とは、アルコキシ基のアルキル部分がi個からj個の炭素原子を有していることを意味する。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は1個から12個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は1個から11個の炭素原子を含有する。いくつかの実施形態では、アルコキシ基は、1個から11個の炭素原子、1個から10個の炭素原子、1個から9個の炭素原子、1個から8個の炭素原子、1個から7個の炭素原子、1個から6個の炭素原子、1個から5個の炭素原子、1個から4個の炭素原子、1個から3個の炭素原子、または1個から2個の炭素原子を含有する。「C1-12アルコキシル」の例としては、メトキシ、エトキシ、プロポキシ(例えば、n-プロポキシおよびイソプロポキシ)、t-ブトキシ、ネオペントキシ、n-ヘキソキシ、などが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0028】
本明細書で使用される場合、用語「アシル」とは、カルボニルを含有する官能基を指し、例えば、-C(=O)Rであり、Rは、水素または場合によっては置換されていてもよい脂肪族基、ヘテロ脂肪族基、複素環基、アリール基、ヘテロアリール基であるか、あるいは、置換された(例えば、水素または脂肪族部分、ヘテロ脂肪族部分、アリール部分、もしくはヘテロアリール部分で置換された)酸素または窒素を含有する官能基(例えば、カルボン酸官能基、エステル官能基、またはアミド官能基を形成する)である。本明細書で使用される場合、用語「アシルオキシ」とは、酸素原子を介して親分子に結合しているアシル基を指す。
【0029】
本明細書で使用される場合、用語「アミノ」または「アミン」とは、窒素原子が少なくとも1個の炭素原子またはヘテロ原子に共有結合している部分を指す。「アルキルアミノ」は、窒素が少なくとも1個のアルキル基に結合している化合物の基を包含する。アルキルアミノ基の例としては、ベンジルアミノ、メチルアミノ、エチルアミノ、フェネチルアミノなどが挙げられる。「ジアルキルアミノ」は、上記の窒素原子が少なくとも2個の追加のアルキル基に結合している基を包含する。ジアルキルアミノ基の例としては、ジメチルアミノおよびジエチルアミノが挙げられるが、これらに限定はされない。「アリールアミノ」および「ジアリールアミノ」は、それぞれ、窒素が少なくとも1個または2個のアリール基に結合している基を包含する。「アルキルアリールアミノ」、「アルキルアミノアリール」、または「アリールアミノアルキル」とは、アミノ基が、少なくとも1個のアルキル基および少なくとも1個のアリール基に結合しているものを指す。「アルカミノアルキル」とは、窒素原子に結合しているアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基であって、当該窒素原子がアルキル基にも結合しているものを指す。「アシルアミノ」は、窒素がアシル基に結合している基を包含する。アシルアミノの例としては、アルキルカルボニルアミノ基、アリールカルボニルアミノ基、カルバモイル基、およびウレイド基が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0030】
本明細書で使用される場合、「アミド」または「アミノカルボキシ」という用語は、カルボニル基またはチオカルボニル基の炭素に結合した窒素原子を含有する化合物または部分を指す。この用語は、カルボニル基またはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアルキル基、アルケニル基、またはアルキニル基を含む「アルカミノカルボキシ」基を包含する。また、この用語は、カルボニル基またはチオカルボニル基の炭素に結合したアミノ基に結合したアリール部分またはヘテロアリール部分を含む「アリールアミノカルボキシ」基も包含する。「アルキルアミノカルボキシ」、「アルケニルアミノカルボキシ」、「アルキニルアミノカルボキシ」、および「アリールアミノカルボキシ」という用語は、それぞれ、アルキル部分、アルケニル部分、アルキニル部分、およびアリール部分が窒素原子に結合しており、当該窒素原子がカルボニル基の炭素に結合している、部分を含む。アミドは、直鎖状アルキル、分岐鎖状アルキル、シクロアルキル、アリール、ヘテロアリール、または複素環などの置換基と置換することができる。アミド基上の置換基はさらに置換されていてもよい。
【0031】
本明細書で使用される場合、用語「アリール」は、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、合計5~20個の環員を有する単環式および多環式の環系であって、系内の少なくとも1個の環が芳香族であり、系内の各環が3~12個の環員を含有する環系を指す。「アリール」の例としては、1または複数の置換基を有していてもよい、フェニル、ビフェニル、ナフチル、アントラシルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。また、本明細書で使用される場合、用語「アリール」の範囲内に包含されるものとして、芳香環が1または複数の追加の環と縮合している基が挙げられる。多環式環系の場合、環の1つだけが芳香族(例えば、2,3-ジヒドロインドール)であればよいが、環の全てが芳香族であってもよい(例えば、キノリン)。上記の2つ目の環は縮合させることも架橋することもできる。多環式アリールの例としては、ベンゾフラニル、インダニル、フタルイミジル、ナフチミジル、フェナントリジニル、またはテトラヒドロナフチルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。アリール基は、1または複数の環位において、上記の通りの置換基で置換することができる。
【0032】
本明細書で使用される場合、「シクロアルキル基」、「炭素環式基」、および「炭素環」という用語は、置き換え可能であり、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、一価の、非芳香族の、飽和または部分不飽和の、単環式環系および多環式環系であって、全ての環原子が炭素であり、少なくとも3個の環形成炭素原子を含有する、環形を指す。いくつかの実施形態では、シクロアルキルは、3個から12個の環形成炭素原子、3個から10個の環形成炭素原子、3個から9個の環形成炭素原子、3個から8個の環形成炭素原子、3個から7個の環形成炭素原子、3個から6個の環形成炭素原子、3個から5個の環形成炭素原子、4個から12個の環形成炭素原子、4個から10個の環形成炭素原子、4個から9個の環形成炭素原子、4個から8個の環形成炭素原子、4個から7個の環形成炭素原子、4個から6個の環形成炭素原子、4個から5個の環形成炭素原子を含有し得る。シクロアルキル基は飽和であっても部分不飽和であってもよい。シクロアルキル基は置換されていてもよい。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は飽和環式アルキル基であってもよい。いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、その環系に少なくとも1個の二重結合または三重結合を含有する部分不飽和環式アルキル基であってもよい。
【0033】
いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、飽和または部分不飽和の単環式の炭素環系であってもよく、その例としては、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、1-シクロペンタ-1-エニル、1-シクロペンタ-2-エニル、l-シクロペンタ-3-エニル、シクロヘキシル、1-シクロヘキサ-l-エニル、1-シクロヘキサ-2-エニル、l-シクロヘキサ-3-エニル、シクロヘキサジエニル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシル、およびシクロドデシルが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0034】
いくつかの実施形態では、シクロアルキル基は、飽和または部分不飽和の多環式(例えば、二環式および三環式)炭素環系であってもよく、当該炭素環系は縮合環系、スピロ環系、または架橋環系としての配置が可能である。本明細書で使用される場合、用語「縮合環」とは、2個の隣接する原子を共有する2個の環を有する環系を指し、用語「スピロ環」とは、1個の共通の原子を介して連結された2個の環を有する環系を指し、用語「架橋環」とは、3個以上の原子を共有する2個の環を有する環系を指す。縮合炭素環式基の例としては、ナフチル、ベンゾピレニル、アントラセニル、アセナフテニル、フルオレニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。スピロ炭素環式基の例としては、スピロ[5.5]ウンデカニル、スピロペンタジエニル、スピロ[3.6]デカニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。架橋炭素環式基の例としては、ビシクロ[1,1,1]ペンテニル、ビシクロ[2,2,1]ヘプテニル、ビシクロ[2.2.1]ヘプタニル、ビシクロ[2.2.2]オクタニル、ビシクロ[3.3.1]ノナニル、ビシクロ[3.3.3]ウンデカニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0035】
本明細書で使用される場合、用語「シアノ」とは-CNを指す。
【0036】
本明細書で使用される場合、「ハロ」または「ハロゲン」という用語は、フッ素(またはフルオロ)、塩素(またはクロロ)、臭素(またはブロモ)、およびヨウ素(またはヨード)から選択される原子を指す。
【0037】
本明細書で使用される場合、用語「ハロアルキル」とは、1または複数のハロゲン原子で置換されたアルキル基を指す。
【0038】
本明細書で使用される場合、「ハロアルコキシ」または「ハロアルコキシル」という用語は、1または複数のハロゲン原子で置換されたアルコキシル基を指す。
【0039】
本明細書で使用される場合、用語「ヘテロアリール」とは、別の用語の一部としての用語であるか、独立して使用される用語であるかに関わらず、炭素原子に加えて、1または複数のヘテロ原子を有するアリール基を指す。本明細書で使用される場合、用語「ヘテロ原子」とは、窒素、酸素、または硫黄を指し、窒素または硫黄の任意の酸化型、および塩基性窒素の任意の四級化型を包含する。ヘテロアリールの例としては、チエニル、フラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリル、チアジアゾリル、ピリジル、ピリダジニル、ピリミジニル、ピラジニル、インドリジニル、プリニル、ナフチリジニル、ベンゾフラニル、およびプテリジニルが挙げられるが、これらに限定はされない。ヘテロアリールはまた、芳香族複素環が1または複数のアリール環、シクロ脂肪族環、または複素環式環に縮合しており、遊離基または結合点が芳香族複素環上に存在する、基も包含する。非限定的な例として、インドリル、イソインドリル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニル、ジベンゾフラニル、インダゾリル、ベンゾイミダゾリル、ベンズチアゾリル、キノリル、イソキノリル、シンノニリル、フタラジニル、キナゾリニル、キノキサリニル、4H-キノリジニル、カルバゾリル、アクリジニル、フェナジニル、フェノチアジニル、フェノキサジニル、テトラヒドロキノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、およびピリド[2,3-b]-l,4-オキサジン-3(4H)-オンが挙げられる。いくつかの実施形態では、用語「5~10員のヘテロアリール」とは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~10員の二環式ヘテロアリール環を指す。ある特定の実施形態では、用語「5~12員のヘテロアリール」とは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する5~6員のヘテロアリール環、または、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~4個のヘテロ原子を有する8~12員の二環式ヘテロアリール環を指す。
【0040】
本明細書で使用される場合、「複素環」または「複素環式基」という用語は、1または複数の環原子が酸素、硫黄、窒素、リンなどから独立して選択されるヘテロ原子であり、残りの環原子が炭素であり、1または複数の環原子は1または複数の置換基で独立して場合により置換されていてもよい飽和または不飽和の炭素環式基を指す。いくつかの実施形態では、複素環式基は飽和複素環式基である。いくつかの実施形態では、複素環式基は、その環系に1または複数の二重結合を有する部分不飽和複素環式基である。いくつかの実施形態では、複素環式基は、炭素、窒素、または硫黄の任意の酸化型、および塩基性窒素の任意の四級化型を含み得る。「複素環式基」は、遊離基であって、飽和、部分不飽和、または完全不飽和(すなわち、芳香族)の炭素環式または複素環式の環と縮合している複素環式遊離基も包含する。複素環式遊離基は、可能である場合、炭素結合していても、窒素結合していてもよい。いくつかの実施形態では、複素環は炭素結合している。いくつかの実施形態では、複素環は窒素結合している。例えば、ピロール由来の基は、ピロール-1-イル(窒素結合)またはピロール-3-イル(炭素結合)であり得る。さらに、イミダゾール基由来の基は、イミダゾール-1-イル(窒素結合)またはイミダゾール-3-イル(炭素結合)であり得る。
【0041】
いくつかの実施形態では、用語「3~12員の複素環式基」とは、窒素、酸素、および硫黄から独立して選択される1~3個のヘテロ原子を有する、3~12員の、飽和または部分不飽和の、単環式または多環式の、複素環式の、環系を指す。縮合環系、スピロ環系、および架橋環系も、この定義の範囲に包含される。単環式の複素環式基の例としては、オキセタニル、1,1-ジオキソチエタニルピロリジル、テトラヒドロフリル、テトラヒドロチエニル、ピロリル、フラニル、チエニル、ピラゾリル、イミダゾリル、トリアゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピペリジル、ピペラジニル、モルホリニル、ピリジニル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアジニル、ピリドニル、ピリミドニル、ピラジノニル、ピリミドニル、ピリダゾニル、ピロリジニル、トリアジノニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。縮合複素環式基の例としては、キノリニル基、イソキノリニル基、キノキサリニル基、キノリジニル基、キナゾリニル基、アザインドリジニル基、プテリジニル基、クロメニル基、イソクロメニル基、インドリル基、イソインドリル基、インドリジニル基、インダゾリル基、プリニル基、ベンゾフラニル基、イソベンゾフラニル基、ベンゾイミダゾリル基、ベンゾチエニル基、ベンゾチアゾリル基、カルバゾリル基、フェナジニル基、フェノチアジニル基、フェナントリジニル基、イミダゾ[1,2-a]ピリジニル基、[1,2,4]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル基、[1,2,3]トリアゾロ[4,3-a]ピリジニル基などの、フェニル縮合環またはピリジニル縮合環が挙げられるが、これらに限定はされない。スピロ複素環式基の例としては、スピロピラニル、スピロオキサジニルなどが挙げられるが、これらに限定はされない。架橋複素環式基の例としては、モルファニル、ヘキサメチレンテトラミニル、3-アザ-ビシクロ[3.1.0]ヘキサン、8-アザ-ビシクロ[3.2.1]オクタン、1-アザ-ビシクロ[2.2.2]オクタン、1,4-ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン(DABCO)などが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0042】
本明細書で使用される場合、用語「部分不飽和」とは、遊離基が少なくとも1つの二重結合または三重結合を含んでいることを指す。用語「部分不飽和」は、複数の不飽和部位を有する環を包含することが意図されているが、芳香族(すなわち、完全不飽和)部分を包含することは意図されていない。
【0043】
本明細書で使用される場合、用語「置換されている」とは、という用語「場合によっては」が前に置かれているかどうかに関わらず、指定された部分の1または複数の水素が好適な置換基と置き換わっていることを意味する。「置換」または「~により置換されている」には、そのような置換が置換を受ける原子の許容原子価に従ったものであり、その置換により、例えば転位、環化、脱離などによる変換を自発的に起こさない、安定または化学的に実現可能な化合物が得られるという、暗黙の条件が含まれることを理解されたい。特に記載がない限り、「場合によっては置換されていてもよい」基は、各々の置換可能な基の位置に好適な置換基を有しており、任意の構造における2以上の位置が特定の基から選択される2以上の置換基により置換されている場合、それらの置換基はいずれの位置において同じであっても異なっていてもよい。適切な場合に置換基それ自体を置換可能であることは当業者には理解されよう。特に「非置換の」と記載されていない限り、本明細書における化学部分への言及には置換された変種が包含される。例えば、「アリール」基またはアリール部分への言及には、置換された変種と非置換の変種の両方が暗に包含される。
【0044】
環内の2つの原子を連結している結合と交差するように置換基に対する結合が示されている場合、係る置換基はその環内の任意の原子に結合してよい。置換基が所与の式の化合物の残部に結合する際に介する原子を示さずに置換基が記載されている場合、係る置換基は係る式内の任意の原子を介して結合してよい。置換基および/または可変部の組み合わせも可能であるが、係る組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限る。
【0045】
任意の可変部(例えば、R)が化合物の任意の構成成分または式に2回以上現れる場合、各出現におけるその定義は他のいずれの出現における定義とも独立である。すなわち、例えば、基が0~2個のR部分により置換されているように示されている場合、当該基は場合によっては2つまでのR部分により置換されていてよく、各出現におけるRはRの定義から独立して選択される。また、置換基および/または可変部の組み合わせも可能であるが、係る組み合わせが安定な化合物をもたらす場合に限る。
【0046】
化合物
本開示は、新規の置換されたイミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン化合物および薬学的に許容可能なその塩、当該化合物を作製するための合成方法、当該化合物を含有する医薬組成物、並びに、本開示の化合物の種々の用途を提供する。
【0047】
1つの態様において、本開示は、式(I)の化合物:
【化3】
または薬学的に許容可能なその塩
(式中、
は、水素またはメチルであり;
は、イソプロピルまたはテトラヒドロピラニルであり;
は、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、それぞれ水素またはフルオロから独立して選択され;
は-L-NRであり、Lは直接的な結合、-(CHO(CH-、および-CONR10(CH-から選択され、上記-(CHO(CH-および-CONR10(CH-は場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよく;
およびRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基は場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
10は、水素、アルキル、シクロアルキル、および炭素結合した飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、上記複素環式基は場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;
11は、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、上記複素環式基は場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;
12は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択され;
13は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から選択され;
14およびR15は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;あるいは、
14およびR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR16により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
16は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択され;
mは0、1、または2であり;
nは2~4の範囲の整数であり;
pは2~4の範囲の整数であり;並びに、
qは0、1、または2であり;
ただし、Rがテトラヒドロピラン-3-イルであり、且つ、Rが水素である場合は、Rは-O(CHN(CHではない)
を提供する。
【0048】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0049】
いくつかの実施形態では、Rはメチルである。
【0050】
いくつかの実施形態では、Rはイソプロピルである。
【0051】
いくつかの実施形態では、Rはテトラヒドロピラニルである。
【0052】
いくつかの実施形態では、Rはテトラヒドロピラン-3-イルである。
【0053】
いくつかの実施形態では、Rは水素である。
【0054】
いくつかの実施形態では、Rはフルオロである。
【0055】
いくつかの実施形態では、Rがテトラヒドロピラン-3-イルであり、且つ、Rが水素である場合、Rは-O(CHN(CHではない。
【0056】
いくつかの実施形態では、R、R、およびRは水素である。
【0057】
いくつかの実施形態では、Rはフルオロであり、且つ、RおよびRは水素である。
【0058】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよい-(CHO(CH-であり;mは0、1、または2であり、nは2~4の範囲の整数であり、R11は水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択される。
【0059】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、RおよびRは場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;R12は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択される。
【0060】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、RおよびRはメチル、エチル、プロピル、またはブチルから独立して選択され、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択される。
【0061】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、RおよびRはメチルであり、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択される。
【0062】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化4】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;
zは0、1、または2であり;且つ、R13はアシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アルキルアミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択される。
【0063】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、またはアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イルを形成しており、上記のアゼチジニル、ピロリジニル、ピペリジニル、またはアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イルは場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、ここでR13はハロゲンである。ある特定の実施形態では、R13はフルオロである。
【0064】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては1または複数のフルオロにより置換されていてもよいピロリジニルを形成している。
【0065】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては1または複数のフルオロにより置換されていてもよいピペリジニルを形成している。
【0066】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-(CHO(CH-であり、mおよびnの組み合わせは、mが0でありnが3、またはmが1でありnが2、から選択され;且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、フルオロで場合によっては置換されていてもよいアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イルを形成している。
いくつかの実施形態では、mが0であり、且つ、nが3である場合、R13はハロゲンではない。
いくつかの実施形態では、mが0であり、且つ、nが3である場合、R13はアザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イルではない。
【0067】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは直接的な結合であり、且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化5】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;zは0、1、または2であり;R13はアシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アルキルアミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から選択され;qは0、1、または2であり;R14およびR15は水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され、あるいは、R14およびR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR16により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成しており;R16はアシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択される。
【0068】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは直接的な結合であり、且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルを形成しており、上記のアゼチジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルは場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;R13はアルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アルキルアミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から選択され;qは0、1、または2であり;R14およびR15は水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択される。
【0069】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは直接的な結合であり、且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、アゼチジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルを形成しており、上記のアゼチジニル、ピロリジニル、またはピペリジニルは場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;R13は-(CHNR1415であり;qは0、1、または2であり;R14およびR15はC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択される。ある特定の実施形態では、R14およびR15はメチルである。
【0070】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは直接的な結合であり、且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては1または複数の-N(CH基または-(CH)N(CH基により置換されていてもよいピロリジニルを形成している。
【0071】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは直接的な結合であり、且つ、RおよびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては1または複数の-N(CH基または-(CH)N(CH基により置換されていてもよいピペリジニルを形成している。
【0072】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-CONR10(CH-であり、RおよびRは場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され、pは2~4の範囲の整数であり、R10は水素、アルキル、シクロアルキル、および炭素結合した飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、R12は水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択される。
【0073】
いくつかの実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-CONR10(CH-であり、RおよびRはメチル、エチル、プロピル、またはブチルから選択され;pは2であり;R10は水素である。
【0074】
ある特定の実施形態では、Rは-L-NRであり、Lは-CONH(CH-であり、RおよびRはメチルである。
【0075】
1つの態様において、本開示は、式(I)の化合物、
【化6】
または薬学的に許容可能なその塩
(式中、
は、メチルであり;
は、イソプロピルであり;
は、フルオロであり;
、R、およびRは、水素であり;
は-L-NRであり、L、R、およびRは上記の通りに定義される)
を提供する。
【0076】
ある特定の実施形態では、Lは場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよい-(CHO(CH-であり;
およびRは、場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され;あるいは、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化7】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2であり;
11は、水素であり;
12は、水素であり;
13は、ハロゲンであり;
mは0、1、または2であり;
nは2~4の範囲の整数である。
【0077】
ある特定の実施形態では、Lは、場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよい-CONR10(CH-であり;
およびRは、場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され;
10は、水素であり;
12は、水素であり;且つ、
pは2~4の範囲の整数である。
【0078】
ある特定の実施形態では、Lは直接的な結合であり;且つ、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよいピロリジニルまたはピペリジニルを形成しており;
13は、-(CHNR1415であり;
14およびR15は、C1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され;且つ、
qは0、1、または2である。
【0079】
1つの態様において、本開示は、以下からなる群から選択される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供する:
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-((2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-((2-(4-フルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピコリンアミド;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(S)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-2-フルオロピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジエチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(エチル(メチル)アミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-モルホリノエトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-モルホリノプロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;および
8-(6-(3-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン。
【0080】
式(I)の例示的な化合物を下記の表1に記載する。
【表1】
【0081】
本明細書において提供される化合物は、一般式および特定の化合物の両方を参照して説明されている。加えて、本開示の化合物はいくつかの異なる形態または誘導体として存在してもよく、その全てが本開示の範囲内である。これらは、例えば、互変異性体、立体異性体、ラセミ混合物、位置異性体、塩、プロドラッグ、溶媒和形態、種々の結晶形または多形、および活性代謝物を包含する。
【0082】
本開示の化合物は、1または複数の不斉中心を含み得るが、このため、種々の立体異性体として、例えば、鏡像異性体および/またはジアステレオマーとして、存在し得る。よって、本発明の化合物およびその組成物は、個々の鏡像異性体、ジアステレオマー、または幾何異性体の形態であってもよく、あるいは、立体異性体の混合物の形態であってもよい。ある特定の実施形態では、本開示の化合物はエナンチオピュアな化合物である。ある特定の実施形態では、鏡像異性体またはジアステレオマーの混合物が提供される。
【0083】
用語「鏡像異性体」とは、互いに重ね合わせることができない鏡像である、化合物の2つの立体異性体を指す。用語「ジアステレオマー」とは、互いに鏡像でない光学異性体対を指す。ジアステレオマー同士は、異なる物理的性質、例えば、融点、沸点、分光特性、および反応性を有する。
【0084】
さらに、本明細書に記載のある特定の化合物は、特に記載がない限り、Z異性体またはE異性体のいずれかとしての存在が可能な、1または複数の二重結合を有し得る。本開示はさらに、化合物を、他の異性体を実質的に含まない個々の異性体として包含し、あるいは、種々の異性体の混合物として、例えば鏡像異性体のラセミ混合物として、包含する。上記の化合物それ自体に加えて、本開示は、1または複数の化合物を含む組成物も包含する。
【0085】
本明細書で使用される場合、用語「異性体」は、どんな幾何異性体および立体異性体も全て包含する。例えば、「異性体」は、本発明の範囲に含まれるものとして、シス異性体およびトランス異性体、E異性体およびZ異性体、R鏡像異性体およびS鏡像異性体、ジアステレオマー、(D)異性体、(L)異性体、これらのラセミ混合物、並びにこれらの混合物を包含する。例えば、立体異性体は、いくつかの実施形態では、1または複数の対応する立体異性体を実質的に含まずに提供される場合があり、「立体化学的に濃縮された」と称される場合もある。
【0086】
特定の鏡像異性体が好ましい場合、その鏡像異性体は、いくつかの実施形態では、反対の鏡像異性体を実質的に含まずに提供される場合があり、「光学的に濃縮された」と称される場合もある。「光学的に濃縮された」とは、本明細書で使用される場合、当該化合物が、比率が著しく大きい1つの鏡像異性体で構成されていることを意味する。ある特定の実施形態では、化合物は、少なくとも約90重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。他の実施形態では、化合物は、少なくとも約95重量%、少なくとも約98重量%、または少なくとも約99重量%の好ましい鏡像異性体から構成される。好ましい鏡像異性体は、キラル高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)、並びにキラル塩の形成および結晶化を含む、当業者に公知の任意の方法でラセミ混合物から単離してもよく、あるいは、不斉合成で作製されてもよい。例えば、Jacquesら、Enantiomers, Racemates and Resolutions(ワイリー・インターサイエンス社(Wiley Interscience)、ニューヨーク、1981年);Wilen,S.H.ら、Tetrahedron、33巻:頁2725(1977年);Eliel,E.L.、Stereochemistry of Carbon Compounds(マグロウヒル社(McGraw-Hill)、ニューヨーク、1962年);Wilen,S.H.、Tables of Resolving Agents and Optical Resolutions、頁268(E.L.Eliel(編)、ノートルダム大学出版局(Univ. of Notre Dame Press)、ノートルダム、インディアナ州、1972年)を参照されたい。
【0087】
本開示の化合物は種々の互変異性体形態として存在していてもよく、そのような形態は全て本開示の範囲に包含される。「互変異性体」または「互変異性体形態」という用語は、低いエネルギー障壁を介して相互転換できる、エネルギーの異なる構造異性体を指す。例えば、プロトン互変異性体(別名、プロトン性互変異性体)は、ケト-エノール異性化、アミド-イミド酸異性化、ラクタム-ラクチム異性化、イミン-エナミン異性化、および水素イオンが複素環系の2以上の位置を占有し得る環状形態(例えば、1H-イミダゾールおよび3H-イミダゾール、1H-1,2,4-トリアゾール、2H-1,2,4-トリアゾール、および4H-1,2,4-トリアゾール、1H-イソインドールおよび2H-イソインドール、並びに1H-ピラゾールおよび2H-ピラゾール)など、水素イオンの移動を介した相互変換を含む。原子価互変異性体は、結合電子の一部の再編成による相互変換を含む。互変異性体は、平衡状態とすることもできるし、適切な置換により一方の形態に立体的に固定することもできる。名称または構造により1つの特定の互変異性体形態として特定される本開示の化合物は、特に記載がない限り、他の互変異性体形態を包含することが意図される。
【0088】
本開示の化合物は、プロドラッグ、活性代謝誘導体(活性代謝物)、活性中間体、およびそれらの薬学的に許容可能な塩も包含する。
【0089】
本明細書で使用される場合、用語「プロドラッグ」とは、生理条件下で代謝された場合に、または加溶媒分解によって変換された場合に、所望の活性化合物を生じる、化合物または薬学的に許容可能なその塩を指す。プロドラッグとしては、活性化合物の、エステル、アミド、カルバメート、カーボネート、ウレイド、溶媒和物、または水和物が挙げられるが、これらに限定はされない。通常、プロドラッグは、不活性であるか、その活性化合物よりもよりも活性が小さいが、1または複数の有利な取扱い、投与、および/または代謝上の特性を与え得る。例えば、いくつかのプロドラッグは活性化合物のエステルであり;代謝分解中に、エステル基が切断されることで、活性な薬剤が得られる。また、いくつかのプロドラッグは、酵素的に活性化されることで、活性化合物を与えるか、またはさらなる化学反応後に活性化合物を与える化合物を与える。プロドラッグは、一工程でプロドラッグ形態から活性形態に進んでもよいし、あるいは、それら自体が活性を有していてもよいし不活性であってもよい1または複数の中間体形態を有してもよい。プロドラッグの調製および使用については、T.HiguchiおよびV.Stella、「Pro-drugs as Novel Delivery Systems」、A.C.S.Symposium Seriesの14巻、およびBioreversible Carriers in Drug Design、Edward B.Roche(編)、アメリカン・ファーマシューティカル・アソシエーション・アンド・ペルガモン・プレス社(American Pharmaceutical Association and Pergamon Press)、1987年、で論じられており、これらは共にその全体が参照によって本明細書に援用される。
【0090】
本明細書で使用される場合、用語「代謝物」(例えば、活性代謝物)は、上記のプロドラッグと重複する。すなわち、そのような代謝物は、薬理学的活性化合物であるか、または、さらなる代謝により薬理学的活性化合物となる化合物であって、対象の体内における代謝過程から生じる誘導体である化合物である。例えば、そのような代謝物は、投与された化合物または塩もしくはプロドラッグの、酸化、還元、加水分解、アミド化、脱アミド、エステル化、エステル分解、酵素的切断などから得られ得る。当然ながら、活性代謝物は、そのような薬理学的に活性な誘導化合物である。プロドラッグの場合、プロドラッグ化合物は、通常は不活性であるか、代謝物よりも活性が低い。活性代謝物の場合、親化合物は、活性化合物であってもよいし、あるいは不活性なプロドラッグであってもよい。
【0091】
プロドラッグおよび活性代謝物は、当該技術分野において公知の常法を用いて同定されてよい。例えば、Bertoliniら、1997年、J Med Chem、40巻:頁2011-2016;Shanら、J Pharm Sci、86巻:頁756-757;Bagshawe、1995年、DrugDev Res、34巻:頁220-230;Wermuth、前掲注、を参照されたい。
【0092】
本明細書で使用される場合、用語「活性中間体」とは、最終的な合成化合物と同一または本質的に同一の生物活性を示す、合成プロセスにおける中間化合物を指す。
【0093】
本開示の化合物は、薬学的に許容可能な塩として製剤化することもできるし、あるいは、薬学的に許容可能な塩の形態とすることもできる。そうでないとの断りがない限り、本明細書で提供される化合物は当該化合物の薬学的に許容可能な塩を包含する。
【0094】
本明細書で使用される場合、「薬学的に許容可能な」という用語は、物質または組成物が、製剤を構成する他の成分と、および/またはそれを用いた治療を受ける対象と、化学的且つ/または毒物学的に適合性であることを示している。
【0095】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な塩」は、特に記載がない限り、特定の化合物の遊離酸および遊離塩基の生物学的効果を保持しており、且つ、生物学的にも他の場合にも好ましくないものではない、塩を包含する。企図される薬学的に許容可能な塩形態としては、モノ、ビス、トリス、テトラキスなどが挙げられるが、これらに限定はされない。薬学的に許容可能な塩は、それが投与される量および濃度において無毒である。そのような塩の調製は、化合物による生理作用の発現を妨げることなく、化合物の物理的特性を変化させることにより、薬理学的な使用を促すことができる。物理的性質における有用な変化としては、経粘膜投与を促すための融点の低下、およびより高濃度の薬剤投与を促すための溶解性の増加が挙げられる。
【0096】
薬学的に許容可能な塩は、硫酸塩、塩化物、塩酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、リン酸塩、スルファミド酸塩、酢酸塩、クエン酸塩、乳酸塩、酒石酸塩、メタンスルホン酸塩、エタンスルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、p-トルエンスルホン酸塩、シクロヘキシルスルファミド酸塩、およびキナ酸塩を含むものなどの、酸付加塩を包含する。薬学的に許容可能な塩は、塩酸、マレイン酸、硫酸、リン酸、スルファミン酸、酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、マロン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、シクロヘキシルスルファミン酸、フマル酸、およびキナ酸などの酸から得ることができる。
【0097】
薬学的に許容可能な塩は、カルボン酸またはフェノールなどの酸官能基が存在する場合、ベンザチン、クロロプロカイン、コリン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、t-ブチルアミン、エチレンジアミン、メグルミン、プロカイン、アルミニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、アルキルアミン、および亜鉛を含むものなどの塩基付加塩も包含する。例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences、第19版、マック・パブリッシング社(Mack Publishing Co.)、イーストン、ペンシルベニア州、2巻、頁1457、1995年;「Handbook of Pharmaceutical Salts:Properties,Selection, and Use」、StahlおよびWermuth、ワイリードイツ法人(Wiley-VCH)、ワインハイム、ドイツ、2002年を参照されたい。このような塩は、適切な対応塩基を用いて調製することができる。
【0098】
薬学的に許容可能な塩は標準的な技術によって調製することができる。例えば、化合物の遊離塩基形態は、適切な酸を含有する水溶液または水性アルコール溶液などの好適な溶媒に溶解した後、当該溶液の蒸発により単離することができる。すなわち、特定の化合物が塩基である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、当該技術分野において利用可能な任意の好適な方法によって調製してよく、例えば、遊離塩基を、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸、リン酸などの無機酸による、または、酢酸、マレイン酸、コハク酸、マンデル酸、フマル酸、マロン酸、ピルビン酸、シュウ酸、グリコール酸、サリチル酸、ピラノシジル酸(pyranosidyl acid)(グルクロン酸またはガラクツロン酸など)、α-ヒドロキシ酸(クエン酸または酒石酸など)、アミノ酸(アスパラギン酸またはグルタミン酸など)、芳香族酸(安息香酸または桂皮酸など)、スルホン酸(p-トルエンスルホン酸またはエタンスルホン酸など)などの有機酸で処理することにより調製してもよい。
【0099】
同様に、特定の化合物が酸である場合、所望の薬学的に許容可能な塩は、任意の好適な方法によって調製してよく、例えば、遊離酸を、アミン(一級アミン、二級アミン、または三級アミン)、アルカリ金属水酸化物またはアルカリ土類金属水酸化物などの無機塩基または有機塩基で処理することにより調製してもよい。例示的な好適な塩の例としては、L-グリシン、L-リジン、およびL-アルギニンなどのアミノ酸、アンモニア、一級アミン、二級アミン、および三級アミン、並びに環状アミン(ヒドロキシエチルピロリジン、ピペリジン、モルホリン、またはピペラジンなど)に由来する有機酸塩、並びに、ナトリウム、カルシウム、カリウム、マグネシウム、マンガン、鉄、銅、亜鉛、アルミニウム、およびリチウムに由来する無機塩が挙げられる。
【0100】
また、本開示の化合物は、非溶媒和形態で、溶媒和形態(例えば、水和形態)で、および固形(例えば、結晶形または多形)として存在することができ、本開示がそのような形態を全て包含することを意図していることは、理解される。
【0101】
本明細書で使用される場合、「溶媒和物」または「溶媒和形態」という用語は、化学量論量または非化学量論量の溶媒を含有する溶媒付加形態を意味する。一部の化合物は、結晶性固体状態の固定モル比の溶媒分子を捕捉し、溶媒和物を形成する傾向を有する。溶媒が水である場合、形成される溶媒和物は水和物であり;溶媒がアルコールである場合、形成される溶媒和物はアルコラートである。水和物は、1または複数の水分子が1分子の物質と組み合わさることで形成され、ここで水はHOとしてのその分子状態を保持している。
【0102】
本明細書で使用される場合、「結晶形」、「結晶形態」、「多形体形態」、および「多形」という用語は、同義的に用いることができ、化合物(またはその塩もしくは溶媒和物)が、元素組成が全て同じである異なる結晶充填配置で結晶化できる場合の、結晶構造を意味する。結晶形が異なる場合、X線回折パターン、赤外スペクトル、融点、密度、硬度、結晶外形、光学特性、電気的特性、安定性、および溶解性は通常異なる。再結晶用溶媒、結晶化の速度、保存温度、および他の要因によって、1つの結晶形が優勢となり得る。上記化合物の結晶多形は、異なる条件下での結晶化により作製することができる。
【0103】
本開示は、化合物内の原子の全ての同位体を包含することも意図されている。原子の同位体には、同じ原子番号を有するが、異なる質量数を有する原子が包含される。例えば、特に記載がない限り、本開示の化合物内の水素、炭素、窒素、酸素、リン、硫黄、フッ素、塩素、臭素、またはヨウ素は、限定はされないが、H、H、H、11C、12C、13C、14C、14N、15N、16O、17O、18O、31P、32P、32S、33S、34S、36S、17F、19F、35Cl、37Cl、79Br、81Br、127I、および131Iなどの、それらの同位体を包含することも意図される。いくつかの実施形態では、水素は、プロチウム、ジュウテリウム、およびトリチウムを包含する。いくつかの実施形態では、炭素は12Cおよび13Cを包含する。
【0104】
化合物の合成
薬学的に許容可能なその塩を含む、本明細書において提供される化合物の合成が、実施例の合成スキームに例示される。本明細書において提供される化合物は、任意の公知の有機合成法を用いて調製することができ、可能性のある多数の合成経路のいずれかに従って合成することができるため、これらのスキームは例示のみを目的としており、本明細書において提供される化合物を調製するのに用いることができる、可能性のある他の方法を限定する意図はない。加えて、各スキームの各工程はより良好な例示を目的としたものであり、必要に応じて変更することができる。実施例中の各化合物の各実施形態は、研究の目的と、場合によっては規制当局への提出の目的のために合成された。
【0105】
本開示の化合物を調製するための反応は、好適な溶媒中で実行することができ、有機合成分野の当業者が容易に選択することができる。好適な溶媒は、反応が実行される温度において、例えば、溶媒の凝固点温度から溶媒の沸点温度に及び得る温度において、出発物質(反応物)、中間体、または生成物と、実質的に非反応性のものとすることができる。所与の反応は、1つの溶媒中、または2つ以上の溶媒の混合物中で、実行することができる。特定の反応工程に基づいて、特定の反応工程に好適な溶媒は当業者が選択することができる。
【0106】
本開示の化合物の調製は、様々な化学基の保護および脱保護を含み得る。保護および脱保護の必要性と、適切な保護基の選択は、当業者が容易に決定することができる。保護基の化学的性質は、例えば、その全体が参照によって本明細書に援用される、T.W.GreeneおよびP.G.M.Wuts、Protective Groups in Organic Synthesis、第3版、ワイリー・アンド・サンズ社(Wiley & Sons,Inc.)、ニューヨーク(1999年)に見出すことができる。
【0107】
反応は、当該技術分野において公知の任意の好適な方法に従ってモニターすることができる。例えば、生成物の形成は、核磁気共鳴分光法(例えば、Hまたは13C)、赤外分光法、分光光度法(例えば、紫外可視分光光度法)、質量分析などの分光学的手段によって、または、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)、液体クロマトグラフィー-質量分析(LCMS)、もしくは薄層クロマトグラフィー(TLC)などのクロマトグラフ法によって、モニターすることができる。化合物は当業者により種々の方法によって精製することができ、例えば、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)(その全体が参照によって本明細書に援用される、「Preparative LC-MS Purification: Improved Compound Specific Method Optimization」、Karl F.Blom、Brian Glass、Richard Sparks、Andrew P.Combs、J.Combi. Chem.、2004年、6巻(6号)、頁874-883)、および順相シリカクロマトグラフィーが挙げられる。
【0108】
実施例中の化合物の構造は、核磁気共鳴法(NMR)および/または液体クロマトグラフィー-質量分析法(LC-MS)によって特性評価される。NMR化学シフト(δ)は10-6(ppm)単位で示される。H-NMRスペクトルは、テトラメチルシラン(TMS)を標準試料(0.0ppm)として用いて、バリアン社(Varian)製装置(400MHz)で、CDCl溶液、CDOD溶液、またはDMSO-d溶液(ppm単位で記載)中のものが記録される。
【0109】
MS測定は、一連の装置から、エレクトロスプレー法、化学イオン化法、および電子衝突イオン化法を用いた、Shimadzu 2010質量分析計またはAgilent 6110A質量選択検出器(MSD)または1969A飛行時間型(TOF)質量分析計を用いて、実行される。
【0110】
TLC測定は、Yantai Huanghai HSGF254シリカゲルプレートまたはAnhui Liang Chen Gui Yuanプレートを用いて実行される。TLCに用いられるシリカゲルプレートは0.15mm~0.2mmである。TLCによる生成物の分離および精製に用いられるシリカゲルプレートは0.4mm~0.5mmである。
【0111】
カラムクロマトグラフィーは、シリカゲルカラムを有するBiotageシステム(製造会社:ダイアックス社(Dyax Corporation))上で、またはシリカ製SepPakカートリッジ(ウォーターズ社(Waters))上で、実行された。
【0112】
本開示の公知の出発物質は、当該技術分野において公知の方法を用いることで、またはそれに従って、合成することもできるし、あるいは、アルドリッチ・ケミカル・カンパニー(Aldrich Chemical Company)、アダマス・ベータ(Adamas-beta)、東京化成工業(TCI)、またはアクセラ・ケムバイオ(Accela ChemBio)などの商業的供給会社から購入することもでき、特に記載がない限り、さらなる精製を行わずに使用された。テトラヒドロフラン(THF)、N,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、ジクロロメタン(DCM)、ジクロロエタン(DCE)、ジオキサン、および1,1,2,2-テトラクロロエタンは、アルドリッチ(Aldrich)から、Sure/Sealボトルに入った状態で購入され、受け取った状態のまま使用された。
【0113】
特に記載がない限り、本開示の反応は全て、陽圧の窒素下もしくはアルゴン下で、または乾燥管を用いて、無水溶媒中で実行され、反応フラスコには、通常、シリンジを介した基質および試薬の導入用のゴム製セプタムが取り付けられた。ガラス器具はオーブン乾燥および/または加熱乾燥させた。
【0114】
例示を目的として、以下に、本開示の化合物および重要な中間体を調製するための通常の合成経路を示す。個々の反応工程のより詳細な説明については、下記の実施例セクションを参照されたい。本発明の化合物を合成するために他の合成経路を用いてもよいことは、当業者には理解される。特定の出発物質および試薬が各スキームに示され、以下で論じられるが、種々の誘導体および/または反応条件を実現するために、他の出発物質および試薬を容易に置き換えることができる。加えて、下記の方法によって調製される化合物の多くは、本開示に照らして、当業者に周知の従来の化学反応を用いることで、さらなる変更を加えることができる。
【0115】
一般的合成経路
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IIa)または式(IIb)の化合物:
【化8】
(式中、Xは脱離基(例えば、フッ素原子基などのハロゲン原子基)である)の、式(IIIa)または式(IIIb)の化合物:
【化9】
またはその塩、との反応により作製されてもよい。上記の反応は、好適な溶媒(例えばDMFまたはTHF)中、塩基(例えば、水素化ナトリウムまたはt-BuOK)の存在下、好適な温度(例えば、約20~100℃の範囲の温度)で、実行されることが好都合である。
【0116】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式IIaの化合物の、式IIIcの化合物との反応により作製されてもよく、
【化10】
式中、PGは適切な保護基(例えば、THP)であり、酸性条件(例えばPTSA)下で切断された後、良好な脱離基X(例えばメシル酸基またはトシル酸基)に変換され、最終的に塩基(トリエチルアミンまたはDIEA)存在下で変種アミンと反応することにより、式(I)を与える。
【0117】
式(IIa)の化合物および式(IIb)の化合物は、式(IV)の化合物:
【化11】
(式中、Xは脱離基(例えば、塩原子基、ヨウ原子基、もしくは臭素原子基などのハロゲン原子基、またはトリフル酸基)である)の、式(Va)または式(Vb)の化合物:
【化12】
またはその塩(式中、Xは脱離基(例えば、塩原子基、ヨウ原子基、もしくは臭素原子基などのハロゲン原子基、またはトリフル酸基)であり、Yはボロン酸基、ボロン酸エステル基(例えば、ボロン酸ピナコールエステル基)、またはトリフルオロホウ酸カリウム基である)、との反応により作製されてもよい。上記反応は、当業者に周知の標準条件下、例えば、パラジウム源(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムまたは酢酸パラジウム(II))と、場合によってはホスフィン配位子(例えば、キサントホスまたはS-phos)と、好適な塩基(例えば、炭酸セシウムまたはトリエチルアミン)と、の存在下で、実行してもよい。
【0118】
式(IV)の化合物は、実施例部分に示される方法と同様の方法により作製することができる。
【0119】
いくつかの実施形態では、式(I)の化合物は、式(IV)の化合物の、式(VIa)または式(VIb)の化合物:
【化13】
(式中、Yはボロン酸基、ボロン酸エステル基(例えば、ボロン酸ピナコールエステル基)、またはトリフルオロホウ酸カリウム基である)との反応により作製されてもよい。上記反応は、当業者に周知の標準条件下、例えば、パラジウム源(例えば、テトラキストリフェニルホスフィンパラジウムまたは酢酸パラジウム(II))と、場合によってはホスフィン配位子(例えば、キサントホスまたはS-phos)と、好適な塩基(例えば、炭酸セシウムまたはトリエチルアミン)と、の存在下で、実行されてもよい。
【0120】
式(VIa)または式(VIb)の化合物は、実施例部分に示される方法と同様の方法により作製することができる。
【0121】
化合物の用途
1つの態様において、本開示は、ATMキナーゼ阻害活性を示す、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩を提供する。
【0122】
本明細書で使用される場合、用語「ATMキナーゼ阻害活性」とは、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の非存在下におけるATMキナーゼの活性と比較した場合の、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の存在に対する直接的または間接的な応答としてのATMキナーゼの活性の減少を指す。このような活性減少は、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩とATMキナーゼとの直接的な相互作用によるものである場合もあるし、あるいは、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩と、ATMキナーゼ活性に影響することとなる1または複数の他の因子との相互作用によるものである場合もある。例えば、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩は、ATMキナーゼに直接結合することによりATMキナーゼを減少させる場合もあるし、(直接的または間接的に)別の因子にATMキナーゼ活性を減少させることよりATMキナーゼを減少させる場合もあるし、あるいは、細胞または生物に存在しているATMキナーゼの量を(直接的または間接的に)減少させることによりATMキナーゼを減少させる場合もある。
【0123】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物はATMキナーゼの選択的阻害剤である。
【0124】
本明細書で使用される場合、用語「選択的阻害剤」または「選択的に阻害する」は、提供された化合物が、本明細書に記載の少なくとも1つのアッセイ(例えば、生化学アッセイまたは細胞アッセイ)においてATMキナーゼを阻害することを意味する。いくつかの実施形態では、用語「選択的阻害剤」または「選択的に阻害する」とは、提供された化合物の、ATMキナーゼと密接に関連したPIKKファミリー内酵素(PI3K、mTOR、およびATRなど)を阻害する場合のIC50が、ATMキナーゼを阻害する場合のIC50よりも、少なくとも5000倍高いこと、少なくとも4000倍高いこと、少なくとも3000倍高いこと、少なくとも2000倍高いこと、少なくとも1000倍高いこと、少なくとも500倍高いこと、少なくとも400倍高いこと、少なくとも300倍高いこと、少なくとも200倍高いこと、少なくとも100倍高いこと、少なくとも90倍高いこと、少なくとも80倍高いこと、少なくとも70倍高いこと、少なくとも60倍高いこと、少なくとも50倍高いこと、少なくとも40倍高いこと、少なくとも30倍高いこと、少なくとも20倍高いこと、少なくとも10倍高いこと、を意味する。
【0125】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、ヒト肝サイトゾル中で測定された場合に、AO基質とならない。
【0126】
本明細書で使用される場合、用語「AO基質」とは、所与の化合物が、アルデヒドオキシダーゼ(「AO」)による酸化を受けやすいために、AOを介したクリアランスに対する感受性が高いことを意味する。いくつかの実施形態では、化合物のAO感受性は、下記の実施例セクションで詳述されるように、ヒト肝サイトゾル系における固有クリアランス(CLint)によって評価することができる(Zientek M.ら、Drug MetabDispos、2010年、頁1322-27)。この評価において有用なヒト肝サイトゾル系は市販のものであり、例えば、Xenotech製の、カタログ番号H0606.C(AX)、ロット番号1710130のものである。通常、ヒト肝サイトゾル抽出物は、ヒトドナーから得られた肝ホモジネートの超遠心分離により、調製することができる。ある特定の実施形態では、ヒト肝サイトゾル抽出物(例えば、Xenotech製H0606.C(AX))は、高いAO活性を有するドナーから特別に作製することにより、AOを介したクリアランスの過小評価を最小限にすることができる。いくつかの実施形態では、PF-04217903(2-[4-[3-(キノリン-6-イルメチル)トリアゾロ[4,5-b]ピラジン-5-イル]ピラゾール-1-イル]エタノール、弱いAO基質として報告されている)およびザレプロン(N-[3-(3-シアノピラゾロ[1,5-a]ピリミジン-7-イル)フェニル]-N-エチルアセトアミド、強いAO基質とみなされている、)は、共に、ヒト肝サイトゾル系中の標準として使用される。ある特定の実施形態では、CLintを下記の実施例セクションに記載のAO測定法で説明されるAO測定法で求めた場合に、化合物がPF-04217903のCLint(1.8μL/分/mgタンパク質)よりも低いCLintを示す場合、当該化合物はAO基質とみなされることはなく、化合物がザレプロンのCLint(3.1μL/分/mgタンパク質)よりも高いCLintを示す場合、当該化合物は強いAO基質と見なされることとなる。
【0127】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、低いAO感受性を示し、ヒト肝細胞におけるCLintが、約1.8μL/分/mgタンパク質未満、約1.7μL/分/mgタンパク質未満、約1.6μL/分/mgタンパク質未満、約1.5μL/分/mgタンパク質未満、約1.4μL/分/mgタンパク質未満、約1.3μL/分/mgタンパク質未満、約1.2μL/分/mgタンパク質未満、1.1μL/分/mgタンパク質未満、約1μL/分/mgタンパク質未満、約0.9μL/分/mgタンパク質未満、約0.8μL/分/mgタンパク質未満、約0.7μL/分/mgタンパク質未満、約0.6μL/分/mgタンパク質未満、約0.5μL/分/mgタンパク質未満、約0.4μL/分/mgタンパク質未満、約0.3μL/分/mgタンパク質未満、約0.2μL/分/mgタンパク質未満、または約0.1μL/分/mgタンパク質未満である。
【0128】
AOは、その触媒活性にフラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)とモリブドプテリン[モリブデン補酵素(MoCo)]とを必要とするタンパク質群である、サイトゾル中のモリブデン・フラビン酵素である。AOは芳香族アルデヒドを対応するカルボン酸に酸化し、複素環を水酸化型誘導体に酸化する。これらの化学基は医薬品化学で人気の合成ブロックであるため、薬剤の設計および開発において、AOが複素環を酸化する可能性は特に重要である。AO媒介性の代謝は創薬ステージではしばしば見落とされがちであり、第1相臨床試験になって初めて、高クリアランス値の問題が明らかとなる。AOはサイトゾル中の酵素であるため、肝ミクロソームを用いた標準的な代謝的安定性スクリーニングでは、新規化合物の代謝クリアランスへのAOの潜在的寄与は検討されない。肝細胞はミクロソームとサイトゾルの両方を含有する全細胞系である。しかし、AOは不安定なタンパク質であり、肝細胞の準備中に活性がかなり失われてしまう(Hutzler,J.M.ら、Drug MetabDispos、2014年、頁1090-7)。動物モデルにおけるAO媒介代謝に関するインビボ研究も、その構成要素である肝臓中AOが、ヒトとよく用いられる実験動物とで異なる(Garattini,E.ら、Expert Opin Drug Discovery、2013年、頁641-54)ため、大きな問題を抱えている。ヒト肝臓は、単一の活性なAOアイソザイム、すなわちAOX1、を特徴とする。多くのマウス系統およびラット系統で発現される主なAOX型はAOX3である。2種の他の実験動物、ネコとイヌは、AO酵素活性がないことを特徴とする。AO活性は、げっ歯類と比べて高等霊長類(ヒトおよびサル)において一層活性が高いことが分かっている。AOは肝臓で高濃度であり、肝臓においてAOは、抗癌剤および免疫抑制剤などの、複数のアルデヒドおよび窒素含有ヘテロ環式化合物を酸化する(例えば、Gordon AH、Green DE、Subrahmanyan、「Liver aldehyde oxidase」、The Biochemical Journal.、1940年、34巻(5号):頁764-74を参照)。ヒト肝サイトゾル抽出物は、AOを含有しているが、CYP450の混入量はほとんどなく、ヒトAOによって媒介される体内クリアランスを予測するための有用なツールであることが分かっている。AOは不安定な酵素であり、凍結解凍すると急速に不活性化するため、ゼノテック社(Xenotech)製のヒト肝サイトゾルは解凍してすぐに使用し、再利用はしなかった。AO活性にかなりのばらつきがあることを鑑みて、クリアランスが過小に評価されることをできるだけ少なくするために、AO測定法にはヒト肝サイトゾルの高活性のロットを選んだ。AO測定法における対照として、基準化合物のザレプロン(AOによるクリアランス値が高い)およびPF-04217903(AOによるクリアランスが低い)を用いた。
【0129】
いかなる特定の理論にも束縛されることを望むものではないが、AOは薬物動態に重大な影響を与えると考えられる。AOは、その基質特異性が広いために、肝臓において多くの薬剤を酸化することが可能である(Strelevitz TJ、Orozco CC、Obach RS.、「Hydralazine as a selective probe inactivator of aldehyde oxidase in human hepatocytes: estimation of the contribution of aldehyde oxidase to metabolic clearance」、Drug Metabolism and Disposition、2012年、40巻(7号):頁1441-8)。AOが薬剤や他の化合物の肝クリアランスに与える寄与は大きい(Hartmann T、Terao M、Garattini E、Teutloff C、Alfaro JF、Jones JP、Leimkuhler S.、「The impact of single nucleotide polymorphisms on human aldehyde oxidase」Drug Metabolism and Disposition、2012年、40巻(5号):頁856-64)。AO媒介性の代謝はヒトにおいて高いクリアランス値に繋がりやすい。クリアランス値が高い化合物の場合、患者間での、酵素発現レベルが異なることによる、固有クリアランスの小さな変化も、生物学的利用能を大きく変化させる原因となる。ヒトAOX1は多型性が高く、不活性化を起こすミスセンス、さらにはナンセンスの多型部位がヒト集団でいくつか報告されている(Garattini,E.ら、Expert Opin Drug Discovery、2012年、頁487-503;Hartmann,T.ら、Drug MetabDispos、2012年、頁856-64)。このような多型性は、コードされたAOX1タンパク質のレベルを低下させる結果となり、報告されたAOX活性の個体間変動の説明となる。加えて、性別、年齢、喫煙、薬物使用、および病状など、多くの要因がAO活性に影響を与える可能性がある。従って、AO媒介性のクリアランス値が高い化合物は、患者間のPK変動が大きく、一部の個体では予想外の毒性に繋がる場合があり、一方で他の患者では効力が得られないこととなる(Garattini,E.ら、Expert Opin Drug Discovery、2013年、頁641-54;Hutzler,J.M.ら、Drug Metab Dispos、2014年、頁1090-7)。
【0130】
以前に報告された、強いAO基質である、ATM阻害剤のAZD0156およびAZD1390とは異なり、本開示の化合物は、AO酸化に対する感受性が驚くほど低い。よって、1つの態様において、本明細書において提供される化合物および薬学的に許容可能なその塩は、AO基質とならず、その結果、AO基質となる化合物よりも良好なPKプロファイルを示す。例えば、本明細書において提供される化合物は、AO活性レベルが異なるヒト間でのPK変動性が小さい。
【0131】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、P-糖タンパク質(Pgp)基質ではなく、ATP結合カセットサブファミリーGメンバー2(ABCG2、またはBCRP)基質でもない。本明細書で使用される場合、用語「Pgp基質」とは、Pgpによって、所与の化合物が、腸管腔(腸管上皮に分布しているPgpの場合)、胆管(肝細胞に分布しているPgpの場合)、泌尿器濾液(腎臓の近位尿細管の細胞に分布しているPgpの場合)、毛細血管(血液脳関門および血液精巣関門を構成する毛細血管内皮細胞に分布しているPgpの場合)などへと戻す輸送を受けやすいことを意味する。本明細書で使用される場合、用語「BCRP基質」とは、BCRPによって、所与の化合物の、腸の頂端膜、血液精巣関門、血液脳関門、並びに造血前駆細胞および他の幹細胞の膜、特に血液脳関門における吸収が妨げられることを意味する。よって、対象において良好な脳浸透性を示すことにより、頭蓋外癌、および脳転移などの転移性癌の両方の治療に適用することができる、化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0132】
いくつかの実施形態では、化合物のPgp感受性およびBCRP感受性は、それぞれ、下記の実施例セクションで詳述されるMDCK-MDR1・Pgp・透過性測定法およびCaco-2・BCRP・透過性測定法で評価することができる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、Pgp感受性を示さず、MDCK-Pgp排出率(MDCK-Pgp ER)は2.5に満たない程度である。
【0133】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、血液脳関門(BBB)移行を促進する薬剤を必要とすることなく、血液脳関門(BBB)を通過することができる。
【0134】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、下記の実施例セクションで詳述されるhEGR阻害測定法で測定された場合に、低いhERG阻害を示す。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、10μMにおいて、70%未満、65%未満、60%未満、55%未満、50%未満、45%未満、40%未満、35%未満、30%未満、25%未満、20%未満のhERG阻害を示す。
【0135】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、良好な水溶性を示す。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、90μM超、100μM超、200μM超、300μM超、400μM超、500μM超、600μM超、700μM超、800μM超、900μM超、または1000μM超の水溶性を示す。
【0136】
式(I)の化合物および薬学的に許容可能なその塩は、そのATMキナーゼ阻害活性(場合により選択的なATMキナーゼ阻害活性)の結果として、治療法において有用であり、例えば、癌をはじめとする、少なくとも部分的にATMキナーゼによって媒介される疾患または医学的状態の治療において有用である。
【0137】
本明細書で使用される場合、用語「癌」は、非転移性癌および転移性癌の両方を包含することが意図される。これに関連して、癌を治療することには、原発腫瘍および腫瘍転移の両方の治療が含まれる。
【0138】
本明細書で使用される場合、用語「治療法」は、疾患の症状の1つ、いくつか、または全てを完全または部分的に取り除くか、あるいは、根底にある病態を矯正または代償するために、疾患に対処するという、その通常の意味を有することが意図される。用語「治療法」は、そうでないことが特に示されていない限り、「予防」も包含する。「治療的な」および「治療的に」という用語は、対応させて解釈されたい。
【0139】
本明細書で使用される場合、用語「予防」は、その通常の意味を有することが意図されており、疾患の発症を防ぐための一次予防と、疾患が既に発症している場合で、患者が一次的または永続的に、増悪すなわち疾患の悪化、または疾患と関連した新たな症状の発症から保護される、二次予防と、を包含する。
【0140】
用語「治療」は「治療法」と同義的に使用される。同様に、用語「治療する」は、「治療法を適用する」と見なすことができ、ここで「治療法」は本明細書で定義された通りである。
【0141】
よって、1つの態様において、治療法において使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0142】
いくつかの実施形態では、医薬として使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0143】
いくつかの実施形態では、ATM関連性疾患または症状の治療に使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。いくつかの実施形態では、上記のATM関連性疾患または症状は癌である。いくつかの実施形態では、上記の癌は、結腸直腸癌、グリア芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上記の癌は、結腸直腸癌、グリア芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、頭頸部扁平上皮癌、および肺癌からなる群から選択される。
【0144】
いくつかの実施形態では、いくつかの実施形態では、ハンチントン病の治療に使用するための、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0145】
いくつかの実施形態では、ATM関連性疾患または症状の治療のための医薬の製造で使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0146】
いくつかの実施形態では、癌の治療のための医薬の製造で使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0147】
いくつかの実施形態では、ハンチントン病の治療のための医薬の製造で使用される、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0148】
医薬組成物
本開示は、1または複数の本開示の化合物または薬学的に許容可能なその塩を含む医薬組成物を提供する。いくつかの実施形態では、上記の医薬組成物は、1または複数の本開示の化合物または薬学的に許容可能なその塩および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる。
【0149】
「医薬組成物」とは、本明細書で使用される場合、対象への投与に好適な形態の、本開示の化合物を含有する製剤である。いくつかの実施形態では、上記の医薬組成物は、バルク形態または単位投与形態である。上記の単位投与形態は、錠剤、カプセル剤、丸剤、散剤、粒剤、サッシェ剤、カシェ剤、菓子錠剤、懸濁剤、乳剤、水剤、シロップ剤、エアゾール剤(固体として、または液状媒体中)、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、貼付剤、吸入剤、または坐剤などを含む、種々の形態のいずれかである。単位用量の組成物中の有効成分(例えば、本開示の化合物、またはその塩、水和物、溶媒和物、もしくは異性体の製剤)の含量は、治療有効量であり、含まれる特定の治療によって変化する。場合により、患者の年齢および状態に応じて用量をルーチン的に変化させることが必要となることは、当業者には理解されよう。用量は投与経路にも依存することとなる。経口経路、経肺経路、直腸経路、非経口経路、経皮経路、皮下経路、静脈内経路、筋肉内経路、腹腔内経路、吸入経路、頬経路、舌下経路、胸膜内経路、髄腔内経路、鼻腔内経路などを含む、種々の経路が企図される。本発明の化合物の局所投与または経皮投与用の剤形としては、散剤、スプレー剤、軟膏剤、パスタ剤、クリーム剤、ローション剤、ゲル剤、水剤、貼付剤、および吸入剤が挙げられる。いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、無菌条件下で、薬学的に許容可能な賦形剤、および必要とされる任意の保存剤、緩衝剤、または噴射剤と混合される。
【0150】
本明細書で使用される場合、用語「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、通常安全であり、無毒であり、生物学的にも他の場合にも好ましくないものではない、医薬組成物を調製する際に有用な賦形剤を意味し、動物用途およびヒト用医薬品用途において許容できる賦形剤を包含する。「薬学的に許容可能な賦形剤」とは、本明細書および特許請求の範囲で使用される場合、そのような賦形剤を1つ含んでなること、および2つ以上含んでなること、を両方包含する。
【0151】
本明細書で使用される場合、用語「治療有効量」とは、確認された疾患もしくは状態を治療、改善、もしくは予防する医薬品の量、または、検出可能な治療効果もしくは阻害効果を示す医薬品の量を指す。この効果は、当該技術分野において公知の任意の測定法で検出することができる。対象にとっての正確な有効量は、対象の体重、サイズ、および健康;状態の性質および程度;並びに、投与に選択された治療薬または治療薬の組み合わせに
依存することとなる。所与の状況においての治療有効量は、臨床医の技術および判断の範
囲内である通例の実験法により、求めることができる。
【0152】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、0.01~500mg/kg体重/日の用量、例えば、0.05~500mg/kg体重/日、0.1~500mg/kg体重/日、0.1~400mg/kg体重/日、0.1~300mg/kg体重/日、0.1~200mg/kg体重/日、0.1~100mg/kg体重/日、0.1~80mg/kg体重/日、1~100mg/kg体重/日、または1~80mg/kg体重/日の本開示の化合物または薬学的に許容可能なその塩を投与することができるように、製剤化され得る。
【0153】
いくつかの実施形態では、医薬組成物は、第1の有効成分として1または複数の本開示の化合物または薬学的に許容可能なその塩を含み、さらに、第2の有効成分を含む。第2の有効成分は、当該技術分野において公知の任意の抗腫瘍薬とすることができ、例えば、抗悪性腫瘍薬、抗血管新生薬、免疫療法アプローチ、効力増強剤(efficacy enhancer)などである。
【0154】
抗悪性腫瘍薬の例としては、DNAアルキル化剤(例えば、シスプラチン、オキサリプラチン、カルボプラチン、シクロホスファミド、ナイトロジェンマスタード、例えば、イホスファミド、ベンダムスチン、メルファラン、クロラムブシル、ブスルファン、テモゾラミド、およびニトロソ尿素、例えば、カルムスチン);代謝拮抗剤(例えば、ゲムシタビン、並びに葉酸代謝拮抗剤、例えば、フルオロピリミジン、例えば、5-フルオロウラシルおよびテガフール、ラルチトレキセド、メトトレキサート、シトシンアラビノシド、並びにヒドロキシ尿素);抗腫瘍抗生物質(例えば、アントラサイクリン、例えば、アドリアマイシン、ブレオマイシン、ドキソルビシン、リポソームドキソルビシン、ピラルビシン、ダウノマイシン、バルルビシン、エピルビシン、イダルビシン、マイトマイシンC、ダクチノマイシン、アムルビシン、およびミトラマイシン);有糸分裂阻害剤(例えば、ビンカアルカロイド、例えば、ビンクリスチン、ビンブラスチン、ビンデシン、およびビノレルビン、並びにタキソイド、例えば、タキソールおよびタキソテール、並びにポロキナーゼ(polokinase)阻害剤);並びに、トポイソメラーゼ阻害剤(例えば、エピポドフィロトキシン、例えば、エトポシドおよびテニポシド、アムサクリン、イリノテカン、トポテカン、並びにカンプトテシン);DNA修復機構の阻害剤、例えば、CHKキナーゼ;DNA依存性プロテインキナーゼ阻害剤;ポリADPリボースポリメラーゼの阻害剤(PARP阻害剤、例えば、オラパリブ);並びに、Hsp90阻害剤、例えば、タネスピマイシンおよびレタスピマイシン、ATRキナーゼの阻害剤(例えば、AZD6738);並びに、WEE1キナーゼの阻害剤(例えば、AZD1775/MK-1775)が挙げられるが、これらに限定はされない。
【0155】
抗血管新生薬の例としては、血管内皮増殖因子の作用を阻害するものが挙げられ、例えば、抗血管内皮細胞増殖因子抗体であるベバシズマブ、VEGF受容体チロシンキナーゼ阻害剤、例えば、バンデタニブ(ZD6474)、ソラフェニブ、バタラニブ(PTK787)、スニチニブ(SU11248)、アキシチニブ(AG-013736)、パゾパニブ(GW786034)、およびセジラニブ(AZD2171);国際公開第97/22596号、同第97/30035号、同第97/32856号、および同第98/13354号で開示されたものなどの化合物;並びに、他の機構により働く化合物(例えば、リノミド、インテグリンανβ3機能の阻害剤、およびアンジオスタチン)、またはアンジオポエチンおよびこれらの受容体(Tie-1およびTie-2)の阻害剤、PLGFの阻害剤、デルタ様リガンド(DLL-4)の阻害剤などであるが、これらに限定はされない。
【0156】
免疫療法アプローチの例としては、患者腫瘍細胞の免疫原性を増大させるエキソビボおよびインビボのアプローチ、例えば、インターロイキン2、インターロイキン4、または顆粒球マクロファージコロニー刺激因子などのサイトカインによるトランスフェクション;T細胞アネルギーまたは調節性T細胞機能を低減させるアプローチ;腫瘍に対するT細胞応答を増強するアプローチ、例えば、CTLA4阻止抗体(例えば、イピリムマブおよびトレメリムマブ)、B7H1阻止抗体、PD-1阻止抗体(例えば、BMS-936558またはAMP-514)、PD-L1阻止抗体(例えば、MEDI4736)、およびCD137に対するアゴニスト抗体;サイトカイントランスフェクト樹状細胞などのトランスフェクト免疫細胞を用いたアプローチ;サイトカイントランスフェクト癌化細胞株を用いたアプローチ、腫瘍関連抗原に対する抗体を用いたアプローチ、標的細胞種を枯渇させる抗体(例えば、非結合型抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、放射性標識された抗CD20抗体であるベキサールおよびゼヴァリン、並びに抗CD54抗体であるキャンパス)を用いたアプローチ;抗イディオタイプ抗体を用いたアプローチ;ナチュラルキラー細胞機能を増強するアプローチ;並びに、抗体-毒素複合体(例えば、抗CD33抗体であるマイロターグ)を利用するアプローチ;モキセツモマブパスードトクスなどの免疫毒を利用するアプローチ;Toll様受容体7またはToll様受容体9のアゴニストを利用するアプローチが挙げられるが、これらに限定はされない。
【0157】
効力増強剤の例としては、ロイコボリンが挙げられる。
【0158】
よって、いくつかの実施形態では、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩および少なくとも1つの追加の抗腫瘍薬を含んでなる、医薬組成物が提供される。いくつかの実施形態では、1つの追加の抗腫瘍薬が存在する。いくつかの実施形態では、2つの追加の抗腫瘍薬が存在する。いくつかの実施形態では、3つ以上の追加の抗腫瘍薬が存在する。
【0159】
いくつかの実施形態では、本開示の組成物中に存在する追加の抗腫瘍薬の量は、当該抗腫瘍薬を唯一の活性薬剤として含む組成物中で通常投与されるであろう量以下であり得る。ある特定の実施形態では、本開示の組成物中の追加の抗腫瘍薬の量は、当該抗腫瘍薬を唯一の治療活性薬剤として含む組成物中に通常存在する量の約50%~100%の範囲をとることとなる。
【0160】
よって、別の態様では、1または複数の上記の抗腫瘍薬と組み合わされた、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が提供される。
【0161】
本明細書で使用される場合、用語「組み合わせ」とは、同時投与、個別投与、または逐次投与を指す。いくつかの実施形態では、「組み合わせ」は同時投与を指す。いくつかの実施形態では、「組み合わせ」は個別投与を指す。いくつかの実施形態では、「組み合わせ」は逐次投与を指す。投与が逐次投与または個別投与である場合、第2の成分を投与する際の遅延は、その組み合わせの有益な効果を失うような遅延にするべきではない。
【0162】
さらなる態様において、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩を、1または複数の上記の抗腫瘍薬と組み合わせて含み、薬学的に許容可能な賦形剤を伴う、医薬組成物が提供される。
【0163】
さらなる態様において、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩を、1または複数の上記の抗腫瘍薬と組み合わせて含む、キットが提供される。
さらなる態様において、以下を含むキットが提供される:
(a)第1の単位剤形の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩;
(b)第2の単位剤形の上記から選択される抗腫瘍薬;および
(c)第1の単位剤形と第2の単位剤形を含ませるための容器。
【0164】
治療方法
さらなる態様において、治療を必要とする対象においてATM関連性疾患または症状を治療する方法であって、本開示の化合物の選択的なATMキナーゼ阻害活性、非AO脆弱性、非Pgp脆弱性、および非BCRP脆弱性、並びに脳浸透性に基づいて、本開示の式(I)の化合物もしくは薬学的に許容可能なその塩、または本開示の医薬組成物の治療有効量を上記対象に投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0165】
いくつかの実施形態では、上記のATM関連性疾患または症状は癌である。いくつかの実施形態では、上記の癌は、結腸直腸癌、グリア芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される。いくつかの実施形態では、上記の癌は転移性癌である。いくつかの実施形態では、上記の転移性癌は中枢神経系転移を含む。いくつかの実施形態では、上記の中枢神経系転移は脳転移を含む。いくつかの実施形態では、上記の中枢神経系転移は軟髄膜転移を含む。「軟髄膜転移」は、癌が脳や脊髄を覆う組織層である髄膜に広がった場合に発生する。転移は血液を通じて髄膜に広がる可能性があり、あるいは、転移は髄膜中を流れる脳脊髄液(CSF)によって運ばれて、脳転移から移動する可能性がある。
【0166】
さらなる態様において、治療を必要とする対象においてハンチントン病を治療する方法であって、本開示の式(I)の化合物もしくは薬学的に許容可能なその塩、または本開示の医薬組成物の治療有効量を対象に投与することを含んでなる、方法が提供される。
【0167】
本明細書で使用される場合、用語「治療を必要とする対象」は、ATMに関連した疾患もしくは状態(例えば、癌)を有する対象、または、一般の母集団に対してATMに関連した疾患もしくは状態(例えば、癌)の発症リスクが増大している対象である。癌の場合、治療を必要とする対象は前癌状態を有する対象であり得る。「対象」は温血動物を包含する。いくつかの実施形態では、温血動物はヒトである。
【0168】
これに関連して、用語「治療有効量」とは、対象に「治療」を提供するのに有効な、または対象におけるATMに関連した疾患もしくは障害を「治療する」のに有効な、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の量を指す。癌の場合、治療有効量は、上記の「治療法」、「治療」、および「予防」の定義で記載されたような、対象における観察可能または測定可能な変化のいずれかを引き起こす量としてもよい。例えば、有効量は、癌細胞もしくは腫瘍細胞の数を減少させること;全体的な腫瘍サイズを減少させること;例えば軟部組織および骨といった末梢器官への腫瘍細胞の浸潤を阻害もしくは止めること;腫瘍転移を阻害し止める;腫瘍増殖を阻害し止めること;癌に関連した症状の1もしくは複数をある程度軽減すること;罹患率および死亡率を減少させること;生活の質を改善すること;または、これらの効果の組み合わせ、が可能な量である。有効量は、ATMキナーゼ活性の阻害に反応する疾患の症状を低減するのに十分な量としてもよい。癌治療の場合、インビボでの効力は、例えば、生存期間、無増悪期間(TTP)、奏功率(RR)、効果持続期間、および/または生活の質を評価することにより測定することができる。当業者には認められることであるが、有効量は、投与経路、賦形剤の使用、および他の薬剤の併用に応じて変化させてもよい。例えば、併用療法が用いられる場合、本明細書に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能な塩の量と、他の薬剤的に活性な薬剤の量とは、組み合わされた場合に、一緒になって、動物患者における標的障害を治療するのに有効となるものである。これに関連して、組み合わされた量は、それらの量が、組み合わされた場合に、上記のようなATM活性の阻害に反応する疾患の症状を低減するのに十分な量である場合に、「治療有効量」となる。
【0169】
通常、「治療有効量」は、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩に関して本明細書に記載された用量域、および、他の薬剤的に活性な化合物の承認または公開された用量域から始めるなどして、当業者が決定してもよい。
【0170】
本明細書に記載のATM関連性疾患または症状を治療する方法は、単独療法として用いてもよい。本明細書で使用される場合、用語「単独療法」とは、治療を必要とする対象への、単一の活性化合物または治療化合物の投与を指す。いくつかの実施形態では、単独療法は、そのような治療を必要としている対象への、本開示の化合物の1つ、または薬学的に許容可能なその塩の治療有効量の投与を含むこととなる。
【0171】
治療される特定の疾患または症状に応じて、本明細書に記載のATM関連性疾患または症状を治療する方法は、式(I)の化合物の投与に加えて、1または複数の追加の治療法、例えば、従来の外科手術、放射線療法、化学療法、またはこのような追加の治療法の組み合わせを含んでもよい。本明細書で使用される場合、用語「併用療法」とは、複数の活性化合物の組み合わせの投与を指す。
【0172】
追加の抗腫瘍薬などの、追加の治療法は、複数の投与計画の一部として、本開示の化合物とは個別に投与されてもよい。あるいは、これらの追加の治療法は、単一の組成物中で本開示の化合物と混合された、単一剤形の一部としてもよい。
【0173】
いくつかの実施形態では、本開示の化合物は、従来の外科手術、放射線療法、または化学療法による治療と、同時に、逐次に、または個別に投与され得る。
【0174】
放射線療法は、以下の治療法カテゴリーのうちの1または複数を含み得る:(i)電磁放射を用いた外部放射線療法、および電磁放射を用いた術中放射線療法;(ii)組織内放射線療法もしくは腔内放射線療法を含む、体内照射療法もしくは近接照射療法;または(iii)ヨウ素131およびストロンチウム89を含むがこれらに限定はされない、全身放射線療法。
【0175】
化学療法には、当該技術分野において公知の抗腫瘍薬、例えば、本明細書に記載の、抗悪性腫瘍薬、抗血管新生薬、免疫療法アプローチ、効力増強剤などが含まれ得る。
【0176】
よって、1つの態様において、治療を必要とする対象においてATM関連性疾患または症状を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が放射線療法と同時に、個別に、または逐次に投与される、上記方法が提供される。
【0177】
いくつかの実施形態では、上記の放射線療法は脳照射である。
【0178】
いくつかの実施形態では、上記のATM関連性疾患または症状は癌である。いくつかの実施形態では、上記の癌は、グリア芽腫、肺癌(例えば、小細胞肺癌または非小細胞肺癌)、乳癌(例えば、トリプルネガティブ乳癌)、頭頸部扁平上皮癌、食道癌、子宮頸癌、および子宮内膜癌から選択される。いくつかの実施形態では、上記の癌はグリア芽腫である。いくつかの実施形態では、上記の癌は転移性癌である。いくつかの実施形態では、上記の転移性癌は中枢神経系転移である。いくつかの実施形態では、上記の中枢神経系転移は脳転移である。
【0179】
いくつかの実施形態では、治療を必要とする対象においてグリア芽腫を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が脳照射と同時に、個別に、または逐次に投与される、上記方法が提供される。
【0180】
別の態様では、治療を必要とする対象においてATM関連性疾患または症状を治療する方法であって、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が1または複数の追加の抗腫瘍薬と同時に、個別に、または逐次に投与される、上記方法が提供される。
【0181】
いくつかの実施形態では、上記のATM関連性疾患または症状は癌である。ある特定の実施形態では、式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の量と、上記の1または複数の追加の抗腫瘍薬の量は、一緒になって、抗癌作用を生み出すのに有効な量である。
【0182】
いくつかの実施形態では、上記の追加の抗腫瘍薬としては、抗悪性腫瘍薬、抗血管新生薬、免疫療法アプローチ、効力増強剤などが挙げられる。
【0183】
いくつかの実施形態では、上記の追加の抗腫瘍薬は、ドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファラン、およびブレオマイシンからなる群から選択される。
【実施例0184】
例示を目的に、下記の実施例は含まれる。しかしながら、これらの実施例が、本発明を限定せず、本開示を実施する方法を提示することのみを意図していることは、理解されたい。記載された化学反応が本開示のいくつかの他の化合物を調製するように容易に適合され得ることと、本開示の化合物を調製するための別の方法も本開示の範囲内と見なされることは、当業者には理解される。例えば、本開示における例示されていない化合物の合成は、当業者には明らかな変更によって、例えば、干渉基を適切に保護することによって、記載されたもの以外の当該技術分野において公知の他の適切な試薬を利用することによって、および/または反応条件に通例の変更を加えることによって、実行することができる。あるいは、本明細書において開示される、または当該技術分野において公知の他の反応は、本開示の他の化合物を調製するために適用できると認識される。
【0185】
下記の略語を実施例で用いた。
【表2】
【0186】
実施例1
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
実施例1の化合物を、スキーム1に示される合成経路に従って調製した。
【化14】
【0187】
工程1:1-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)エタノン(A2)
【化15】
0℃のBCl(590mL、DCM中1M、590mmol)の撹拌溶液に、CHClCHCl(1L)中の4-ブロモ-3-フルオロアニリン(100g、526mmol)を滴加した。次に、MeCN(88mL)およびAlCl(80g、590mmol)をこの溶液に少量ずつ加えた。得られた混合物を120℃で16時間撹拌した。反応物を冷却した後、2N HCl水溶液(1.3L)を0℃の上記混合物に滴加し;得られた混合物を100℃でさらに2時間撹拌した。この未精製の混合物を氷水に注ぎ、DCM(1L×2回)で抽出した。合わせた有機相をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物1-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)エテノン(27g、収率22%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 232[M+H]+
【0188】
工程2:6-ブロモ-7-フルオロシンノリン-4-オール(A3)
【化16】
【0189】
濃HCl(325mL)およびHO(56mL)中の1-(2-アミノ-5-ブロモ-4-フルオロフェニル)エタン-1-オン(40g、172mmol)の撹拌溶液に、HO(12mL)中のNaNO(12g、172mmol)を0℃で滴加した。得られた混合物をこの温度で1時間撹拌し、次いで65℃で16時間加熱した。この未精製の混合物を氷水に注ぎ、沈殿物を濾取した。この固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させることで、所望の生成物(33g、収率79%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 243[M+H]+
【0190】
工程3:6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロシンノリン-4-オール(A4)
【化17】
0℃の濃HNO(167mL)中の6-ブロモ-7-フルオロシンノリン-4-オール(50g、206mmol)の撹拌溶液に、濃HSO(50mL)を10分間で慎重に滴加した。得られた混合物を60℃で3時間撹拌した。冷却後、この未精製混合物を氷水に注いだ。沈殿物を濾取し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させることで、所望の生成物(40g、収率67%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 288[M+H]+
【0191】
工程4:6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロシンノリン(A5)
【化18】
0℃のDMF(200mL)中の6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロシンノリン-4-オール(40g、139mmol)の撹拌溶液に、POCl(28g、180mmol)を滴加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した。この未精製の混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(300mL)で抽出した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、粗生成物(32g、収率75%)を赤色の油状物質として得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
【0192】
工程5:6-ブロモ-7-フルオロ-N-イソプロピル-3-ニトロシンノリン-4-アミン(A6)
【化19】
室温のDCM(500mL)中の6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロシンノリン(32g、104mmol)およびトリエチルアミン(31g、312mmol)の撹拌溶液に、イソプロピルアミン(12g、208mmol)を添加した。得られた混合物を室温で2時間撹拌した。次いでこの未精製の混合物を濃縮乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(30g、収率87%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 329[M+H]+
【0193】
工程6:6-ブロモ-7-フルオロ-N4-イソプロピルシンノリン-3,4-ジアミン(A7)
【化20】
室温のEtOAc(10mL)中の6-ブロモ-7-フルオロ-N-イソプロピル-3-ニトロシンノリン-4-アミン(44g、134mmol)の撹拌溶液に、SnCl・2HO(117g、536mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。この未精製の混合物をNaHCO水溶液で塩基性化することによりpH=9に調整し、その後濾過した。濾液をEtOAc(1L)で希釈した。有機相を水およびブラインで洗浄し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(26g、収率65%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 299[M+H]+
【0194】
工程7:8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(A8)
【化21】
室温のTHF(200mL)中の6-ブロモ-7-フルオロ-N4-イソプロピルシンノリン-3,4-ジアミン(26g、87mmol)の撹拌溶液に、CDI(81g、500mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で16時間撹拌した。この未精製の混合物を濃縮し、残渣を氷水に注ぎ、EtOAc(1L)で抽出した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(21g、収率74%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 325[M+H]+
【0195】
工程8:8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(A9)
【化22】
室温のDMF(200mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(21g、64mmol)の撹拌溶液に、KCO(26g、194mmol)を添加した。得られた混合物を40℃で2時間撹拌した後、0℃に冷却した。MeI(22g、161mmol)の滴加後、反応液を室温で2時間撹拌した。次いで、この未精製の混合物を氷水に注ぎ、沈殿物を濾取した。この固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させることで、所望の生成物(13g、収率59%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 339[M+H]+
【0196】
工程9:7-フルオロ-8-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(A10)
【化23】
1,4-ジオキサン(100mL)および水(10mL)中の(6-フルオロピリジン-3-イル)ボロン酸(2g、15mmol)および8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(5g、15mmol)の混合物に、NaCO(125.4mg、1.18mmol)を添加し、その後Pd(dppf)Cl(1.1g、1.5mmol)を添加した。反応混合物をN保護下、100℃で16時間撹拌した。この混合物をEtOAcおよび水で分割した。有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH=50:1)で精製することにより、所望の生成物(5g、収率95%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 356[M+H]+
【0197】
工程10:7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化24】
THF(30mL)中の3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オール(1g、6.8mmol)の溶液に、0℃のt-BuOK(1g、9mmol)を添加した。この反応混合物を0℃で30分間撹拌した後、7-フルオロ-8-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(1.6g、4.5mmol)をそれに加えた。この反応混合物を室温でさらに1時間撹拌し、氷水に注いだ。得られた混合物をDCMで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1)で精製することにより、所望の生成物(530mg、収率25%)を白色の固体として得た。
MS:479[M+H]+1H NMR (400 MHz, DMSO-d6) δ 8.51 (t, J = 1.9 Hz, 1H), 8.33 (d, J = 7.8 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 6.98 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.29-5.19 (m, 1H), 4.36 (t, J = 6.6 Hz, 2H), 3.57 (s, 3H), 2.48-2.18 (m, 6H), 1.98-1.84 (m, 2H), 1.63 (d, J = 6.7 Hz, 6H), 1.58-1.32 (m, 6H)。
【0198】
また、実施例1の化合物を、スキーム2に示される合成経路に従って調製した。
【化25】
【0199】
工程1:5-ブロモ-2-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン(B2)
【化26】
DMF(50mL)中の3-(ピペリジン-1-イル)プロパン-1-オール(4g、28.4mmol)の溶液に、0℃のNaH(2.3g、56.8mmol)を添加し、反応混合物を0℃で30分間撹拌した。次に、この混合物に5-ブロモ-2-フルオロピリジン(5g、28.4mmol)を添加し、反応混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(200mL×2回)で抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(PE:EtOAc=4:1から1:1)で精製することにより、生成物(5.2g、収率61.2%)を褐色の油状物質として得た。
MS:m/z 299[M+H]+
【0200】
工程2および工程3:7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化27】
窒素下、室温の1,4-ジオキサン(50mL)中の5-ブロモ-2-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン(2.6g、8.7mmol)、4,4,5,5-テトラメチル-2-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(2.2g、8.7mmol)、およびKOAc(2.6g、26.1mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl(0.7g、1.0mmol)を添加し、得られた混合物を90℃、窒素下で一晩撹拌し、冷却した。8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(2.9g、8.7mmol)、NaCO(9.2g、8.7mmol)、HO(10mL)、およびPd(dppf)Cl(640mg、0.87mmol)を窒素下で上記混合物に添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。冷却後、この未精製の混合物を濾過し、濾液を濃縮乾固した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH=30:1)で精製することにより、所望の生成物(1.2g、収率29%)を淡黄色の固体として得た。分析データは前述の方法と同一であった。
【0201】
実施例2
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化28】
表題化合物を実施例1のスキーム2に従って8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オンから直接合成することで、所望の生成物(収率17%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 439[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.40 (s, 1H), 5.16-5.10 (m, 2H), 7.91 (dt, J = 8.6, 2.3 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.20-5.07 (m, 1H), 4.52 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 3.75 (s, 3H), 3.20-3.14 (m, 2H), 2.81 (s, 6H), 2.43-2.36 (m, 2H), 1.76 (d, J = 6.9 Hz, 6H)。
【0202】
実施例3
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化29】
表題化合物を実施例1のスキーム1に従って合成することにより、所望の生成物(収率41%)を白色固体として得た。
MS:m/z 465[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.45 (t, J = 2.1 Hz, 1H), 8.31 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.10-7.94 (m, 2H), 6.95 (d, J = 8.6 Hz, 1H), 5.35-5.17 (m, 1H), 4.43 (t, J = 6.3 Hz, 2H), 3.67 (s, 3H), 2.73-2.53 (m, 6H), 2.14-2.01 (m, 2H), 1.84 (p, J = 3.2 Hz, 4H), 1.74 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0203】
また、表題化合物を実施例1のスキーム2に従って合成することにより、所望の生成物(収率53%)を白色固体として得た。分析データは上記で得られたものと同一であった。
【0204】
実施例4
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化30】
アセトニトリル(4mL)中の7-フルオロ-8-(6-フルオロピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(23mg、0.06mmol)およびN,N-ジメチルピペリジン-4-アミン(11.1mg、0.09mmol)の混合物に、CsCO(75.5mg、0.23mmol)を添加し、反応混合物を100℃で一晩撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で蒸発させた。残渣を分取TLC(DCM:MeOH=10:1)で精製することにより、所望の生成物(15mg、収率51%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 464[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.46 (s, 1H), 8.10 (t, J = 9.2 Hz, 2H), 7.83 (dt, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 6.82 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.21-5.06 (m, 1H), 4.60-4.56 (m, 2H), 3.74 (s, 3H), 3.01-2.94 (m, 3H), 2.60 (s, 6H), 2.22-2.19 (m, 2H), 1.76-1.70 (m, 8H)。
【0205】
実施例5
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化31】
表題化合物を実施例4と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 464[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.45 (s, J = 2.3 Hz, 1H), 8.11 - 8.07 (m, 2H), 7.80 (dt, J = 8.8, 2.6 Hz, 1H), 6.52 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 5.20 - 5.10 (m, 1H), 3.78 - 3.69 (m, 5H), 3.57 - 3.52 (m, 1H), 3.29 - 3.25 (m, 1H), 2.65 - 2.58 (m, 1H), 2.47 - 2.45 (m, 1H), 2.35 (s, 6H), 2.28 - 2.20 (m, 1H), 1.86 - 1.81 (m, 2H), 1.75 (d, J = 7.0 Hz, 6H)。
【0206】
実施例6
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
実施例6の化合物を、スキーム3に示される合成経路に従って調製した。
【化32】
【0207】
工程1:2-((5-ブロモピリジン-2-イル)メトキシ)-N,N-ジメチルエタンアミン(C2)
【化33】
窒素下、0℃のDMF(20mL)中の2-(ジメチルアミノ)エタノール(267mg、3.0mmol)の撹拌溶液に、NaH(60%、120mg、3.0mmol)を添加した。得られた混合物を0℃でさらに30分間撹拌した後、そこに5-ブロモ-2-(クロロメチル)ピリジン(300mg、1.5mmol)を添加した。室温で2時間撹拌後、この未精製の混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(10mL×2回)で抽出した。合わせた有機層を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、その後濃縮することで、粗生成物(350mg)を褐色の油状物質として得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
MS:m/z 259[M+H]+
【0208】
工程2および工程3:8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化34】
窒素下、室温の1,4-ジオキサン(20mL)中の2-((5-ブロモピリジン-2-イル)メトキシ)-N,N-ジメチルエタン-1-アミン(350mg、1.4mmol)、KOAc(392mg、4.0mmol)、および4,4,5,5-テトラメチル-2-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(343mg、1.4mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl(100mg、0.1mmol)を添加した。得られた混合物を90℃の窒素保護下で16時間撹拌した。反応物を冷却後、8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(475mg、1.4mmol)、KCO(276mg、2mmol)、およびHO(1mL)を添加し、その後Pd(dppf)Cl(100mg、0.1mmol)を添加した。100℃の窒素保護下で4時間撹拌した後、この未精製の混合物を冷却し、EtOAc(20mL)で希釈し、水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィ(DCM:MeOH=20:1から10:1)で精製することにより粗生成物を得て、これを分取TLC(DCM:MeOH=10:1)でさらに精製することにより、所望の生成物(30mg、収率5%)を淡黄色の固体として得た。
MS:m/z 439[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.86 (s, 1H), 8.18 (d, J = 11.1 Hz, 3H), 7.62 (s, 1H), 5.15 (s, 1H), 4.83 (s, 2H), 4.05 (t, J = 5.0 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.15 (s, 2H), 2.77 (s, 6H), 1.76 (s, 6H)。
【0209】
実施例7
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化35】
表題化合物を実施例6と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率5%)を黄色の固体として得た。
MS:479[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.85 (s, 1H), 8.24 - 8.15 (m, 2H), 8.03 (dt, J = 8.2, 2.2 Hz, 1H), 7.61 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.20 - 5.10 (m, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.14 (t, J = 4.8 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.27 - 3.04 (m, 6H), 2.01 (s, 4H), 1.76 (d, J = 6.9 Hz, 6H), 1.63 (s, 2H)。
【0210】
実施例8
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化36】
表題化合物を実施例6と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率5%)を黄色の固体として得た。
MS:465[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.87 (s, 1H), 8.19 (dd, J = 9.3, 6.7 Hz, 2H), 8.05 (dt, J = 8.3, 2.2 Hz, 1H), 7.65 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.24 - 5.08 (m, 1H), 4.82 (s, 2H), 4.15 (t, J = 4.7 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.38 (t, J = 4.8 Hz, 6H), 2.16 (d, J = 6.7 Hz, 4H), 1.76 (d, J = 7.0 Hz, 6H)。
【0211】
実施例9
(R)-7-フルオロ-8-(6-((2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化37】
表題化合物を実施例6と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率3%)を黄色の固体として得た。
MS:483[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.84 (s, 1H), 8.19 (d, J = 10.8 Hz, 2H), 8.04 (s, 1H), 7.65 (d, J = 6.9 Hz, 1H), 5.38 - 5.06 (m, 2H), 4.80 (s, 2H), 3.91 (s, 2H), 3.76 (s, 3H), 3.37 - 2.89 (m, 6H), 2.19 (d, J = 23.4 Hz, 2H), 1.76 (d, J = 7.0 Hz, 6H)。
【0212】
実施例10
7-フルオロ-8-(6-((2-(4-フルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化38】
表題化合物を実施例6と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率5%)を黄色の固体として得た。
MS:497[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.84 (s, 1H), 8.25-8.12 (m, 2H), 8.03 (dt, J = 8.2, 2.3 Hz, 1H), 7.63 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.22-5.08 (m, 1H), 4.78 (s, 3H), 3.94 (s, 2H), 3.76 (s, 3H), 2.92 (d, J = 21.1 Hz, 6H), 2.18 (s, 2H), 2.01 (s, 2H), 1.76 (d, J = 6.9 Hz, 6H)。
【0213】
実施例11
8-(6-((2-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化39】
表題化合物を実施例6と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率5%)を黄色の固体として得た。
MS:477[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.85 (s, 1H), 8.21-8.17 (m, 2H), 8.04 (dt, J = 8.1, 2.2 Hz, 1H), 7.60 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 5.23-5.09 (m, 1H), 4.78 (s, 2H), 4.08 (s, 2H), 3.76 (s, 5H), 3.14 (d, J = 54.5 Hz, 4H), 1.77 (d, J = 6.9 Hz, 10H)。
以下の化合物は、異なる出発物質を使用して、上記の方法に従って調製された。
【表3】
【0214】
実施例12
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピコリンアミド
実施例12の化合物を、スキーム4に示される合成経路に従って調製した。
【化40】
【0215】
工程1:5-ブロモ-N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピコリンアミド(D2)
【化41】
DMF(20mL)中の5-ブロモピコリン酸(250mg、1.2mmol)の溶液に、HOBt(140mg、1.2mmol)、EDCI(400mg、2mmol)およびDIPEA(330mg、3mmol)を添加し、この反応混合物を室温で30分間撹拌した。次に、この混合物にN’,N’-ジメチルエタン-1,2-ジアミン(170mg、2mmol)を添加した。この反応混合物を室温で12時間撹拌した後、氷水に注いだ。得られた混合物をEtOAcで2回抽出した。合わせた有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧濃縮することで、粗生成物(250mg)を褐色の油状物質として得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
MS:m/z 272[M+H]+
【0216】
工程2および工程3:N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピコリンアミド
【化42】
1,4-ジオキサン(20mL)中の5-ブロモ-N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)ピコリンアミド(50mg、0.2mmol)および4,4,5,5-テトラメチル-2-(テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,3,2-ジオキサボロラン(44mg、0.2mmol)の混合物に、KOAc(60mg、0.6mmol)およびPd(dppf)Cl(20mg、0.02mmol)を添加した。反応混合物を90℃のN保護下で12時間撹拌した。この混合物を冷却した後、水(1mL)、8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(68mg、0.2mmol)、KCO(180mg、1mmol)、およびPd(dppf)Cl(20mg、0.05mmol)をこの混合物に添加した。反応混合物を100℃でさらに4時間撹拌した後、濾過した。濾液をEtOAcおよび水で分割した。分割後の有機層をブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、減圧濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(DCM:MeOH=20:1から10:1)で精製することにより粗生成物を得て、これを分取TLC(DCM:MeOH=10:1からEtOAc:MeOH=1:1)でさらに精製することにより、所望の生成物(16mg、収率19%)を淡黄色の固体として得た。
MS:m/z 452[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.84 (d, J = 1.9 Hz, 1H), 8.53 (t, J = 5.7 Hz, 1H), 8.35 (d, J = 8.1 Hz, 1H), 8.22-8.11 (m, 3H), 5.23-5.05 (m, 1H), 3.76 (s, 3H), 3.71 (q, J = 6.0 Hz, 2H), 2.76 (t, J = 6.0 Hz, 2H), 2.45 (s, 6H), 1.76 (d, J = 7.0 Hz, 6H)。
【0217】
実施例13
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
実施例13の化合物を、スキーム5に示される合成経路に従って調製した。
【化43】
【0218】
工程1:3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロパン-1-オール(E2)
【化44】
窒素下、0℃の無水THF(20mL)中の3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロパン-1-オール(1.9g、11.9mmol)の撹拌溶液に、NaH(477mg、11.9mmol)を少量ずつ添加した。得られた混合物を室温で30分間撹拌した後、そこに5-ブロモ-2-フルオロピリジン(1g、6mmol)を添加した。室温で16時間撹拌後、この未精製の混合物を氷水に注ぎ、EtOAc(50mL×2回)で抽出した。合わせた有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物である3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロパン-1-オール(1.2g、収率63%)を得た。
MS:316[M+H]+
【0219】
工程2および工程3:7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(E4)
【化45】
窒素下、室温のジオキサン(5mL)中の5-ブロモ-2-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン(200mg、0.635mmol)、BPin(194mg、0.76mmol)、およびKOAc(187mg、1.9mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl.CHCl(52mg、0.064mol)を添加した。得られた混合物を80℃のN保護下で16時間撹拌した。反応物を冷却後、8-ブロモ-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(215mg、0.635mmol)、Pd(dppf)Cl.CHCl(52mg、0.064mmol)、NaCO(200mg、1.9mmol)、およびHO(1mL)を添加した。得られた混合物を100℃のN保護下でさらに4時間撹拌した。この未精製の混合物を濃縮乾固し、残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(280mg、収率89%)を暗色の固体として得た。
MS:496[M+H]+
【0220】
工程4:7-フルオロ-8-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(E5)
【化46】
室温のDCM/MeOH(3mL/3mL)中の7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(332mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、PTSA(255mg、1.34mmol)を添加した。得られた混合物を室温で4時間撹拌した。この未精製の混合物をDCM(20mL)で希釈し、NaHCO水溶液、水、およびブラインで洗浄した。有機層を無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、所望の生成物(220mg、収率80%)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
LCMS:412[M+H]+
【0221】
工程4:3-((5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロピルメタンスルホン酸エステル(E6)
【化47】
DCM(3mL)中の7-フルオロ-8-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(201mg、0.49mmol)およびトリエチルアミン(150mg、1.47mmol)の溶液に、MsCl(112mg、0.97mmol)を0℃で滴加した。得られた混合物を室温で60分間撹拌した後、DCM(15mL)で希釈した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、粗生成物(340mg、収率100%)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
MS:490[M+H]+
【0222】
工程5:7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化48】
【0223】
室温のMeCN(5mL)中の3-((5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロピルメタンスルホン酸エステル(170mg、0.32mmol)、およびDIEA(206mg、1.6mmol)の撹拌溶液に、4-フルオロピペリジン(180mg、1.28mmol)を一度に添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌した後、DCM(20mL)希釈した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取TLCで精製することにより、所望の生成物(10mg、収率6%)を黄色の固体として得た。
MS:497[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.31 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 7.91 (dt, J = 9.4, 2.3 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.37-5.21 (m, 1H), 4.79-4.65 (m, 1H), 4.21 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 3H), 2.95-2.62 (m, 6H), 2.14 (t, J = 7.2 Hz, 2H), 2.08-1.85 (m, 5H), 1.75 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0224】
実施例14
(S)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化49】
表題化合物を実施例13と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率20%)を黄色の固体として得た。
MS:482[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.30 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 7.91 (dt, J = 9.4, 2.3 Hz, 1H), 6.71 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.35-5.19 (m, 2H), 4.22 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.23 (td, J = 12.0, 10.1, 7.2 Hz, 2H), 3.08-2.83 (m, 4H), 2.31-2.09 (m, 4H), 1.75 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0225】
実施例15
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化50】
表題化合物を実施例13と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率21%)を黄色の固体として得た。
LCMS:482[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.30 (d, J = 7.7 Hz, 1H), 8.21 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 7.98 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 7.90 (dt, J = 9.4, 2.4 Hz, 1H), 6.70 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.34-5.22 (m, 2H), 4.22 (t, J = 7.0 Hz, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.24-3.12 (m, 2H), 2.99-2.74 (m, 4H), 2.28-2.05 (m, 4H), 1.75 (d, J = 6.8 Hz, 6H)。
【0226】
実施例16
8-(6-(3-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化51】
表題化合物を実施例13と同様の手順を用いて調製することにより、所望の生成物(収率24%)を黄色の固体として得た。
MS:477[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.32 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 2.6 Hz, 1H), 8.00 (d, J = 11.5 Hz, 1H), 7.93 (dt, J = 9.4, 2.3 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.29 (h, J = 6.7 Hz, 1H), 4.22 (t, J = 6.9 Hz, 2H), 3.66 (s, 3H), 3.44 (d, J = 10.5 Hz, 2H), 3.13-2.98 (m, 4H), 2.24-2.14 (m, 2H), 1.75 (d, J = 6.8 Hz, 8H), 0.72 (t, J = 5.0 Hz, 2H)。
以下の化合物は、異なる出発物質を使用して、上記の方法に従って調製された。
【表4】
【0227】
実施例17
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-2-フルオロピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン
【化52】
表題化合物を実施例1と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 457[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.22 (d, J = 7.2 Hz, 1H), 8.16 (d, J = 10.8 Hz, 1H), 7.88 (ddd, J = 10.0, 8.4, 2.0 Hz, 1H), 6.91-6.74 (m, 1H), 5.27-5.01 (m, 1H), 4.43 (t, J = 6.4 Hz, 2H), 3.76 (s, 3H), 2.52 (t, J = 7.4 Hz, 2H), 2.32 (s, 6H), 2.08-1.98 (m, 2H), 1.75 (d, J = 7.0 Hz, 6H)。
【0228】
実施例18
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
実施例18の化合物を、スキーム6に示される合成経路に従って調製した。
【化53】
【0229】
工程1:6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)シンノリン-4-アミン(F1)
【化54】
室温のDCM(15mL)中の6-ブロモ-4-クロロ-7-フルオロ-3-ニトロシンノリン(1g、3.28mmol)およびトリエチルアミン(1.4mL、9.8mmol)の撹拌溶液に、テトラヒドロ-2H-ピラン-4-アミン(497mg、4.9mmol)を添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフィーで精製することにより、所望の生成物(800mg、収率65%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 371[M+H]+
【0230】
工程2:6-ブロモ-7-フルオロ-N4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)
シンノリン-3,4-ジアミン(F2)
【化55】
室温のEtOAc(20mL)中の6-ブロモ-7-フルオロ-3-ニトロ-N-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)シンノリン-4-アミン(900mg、2.43mmol)の撹拌溶液に、SnCl・2HO(2.2g、9.7mmol)を添加した。得られた混合物を80℃で2時間撹拌した。この未精製の混合物をNaHCO水溶液で塩基性化することによりpH9に調整し、その後沈殿物を濾別した。濾液をEtOAc(20mL)で希釈し、有機相を水およびブラインで洗浄し、濾過し、濃縮した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(750mg、収率90%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 341[M+H]+
【0231】
工程3:8-ブロモ-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(F3)
【化56】
室温のTHF(20mL)中の6-ブロモ-7-フルオロ-N4-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)シンノリン-3,4-ジアミン(900mg、2.65mmol)の撹拌溶液に、CDI(2.2g、13.3mmol)を添加した。得られた混合物を70℃で16時間撹拌し、その後濃縮した。残渣を氷水に注ぎ、次いで沈殿物を濾取した。この固体を水で洗浄し、減圧下で乾燥させることで、所望の生成物(800mg、収率82%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 367[M+H]+
【0232】
工程4:8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(F4)
【化57】
室温のDMF(3mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(800mg、2.18mmol)の撹拌溶液に、KCO(905mg、6.56mmol)を添加し、得られた混合物を40℃で2時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、そこにMeI(774mg、5.45mmol)を滴加した。得られた混合物を室温でさらに2時間撹拌した後、氷水に注いだ。沈殿物を濾取し、水で洗浄し、減圧下で乾燥させることで、所望の生成物(500mg、収率60%)を黄色の固体として得た。
MS:m/z 381[M+H]+
【0233】
工程5:7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化58】
窒素下、室温のジオキサン/HO(2mL/0.5mL)中の8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(50mg、0.132mmol)、2-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)-5-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ピリジン(46mg、0.132mmol)、およびNaCO(42mg、0.4mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl(11mg、0.0132mmol)を添加した。得られた混合物を100℃で16時間撹拌した。次いで、この未精製の混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残渣を分取TLCで精製することにより、所望の生成物(18mg、収率26%)を黄色の固体として得た。
MS:521[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (s, 1H), 8.26 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.17 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.93 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 6.90 (d, J = 8.8 Hz, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.51 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 4.24 (m, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.61 (t, J = 11.8 Hz, 2H), 3.17 (t, J = 8.4 Hz, 2H), 2.85-2.70 (m, 2H), 2.51-2.46 (m, 2H), 2.22-1.63 (m, 12H)。
【0234】
実施例19
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化59】
【0235】
表題化合物を実施例18と同様の手順を用いて調製した。
MS:481[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (s, 1H), 8.27 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 11.2 Hz, 1H), 7.93 (dt, J = 8.7, 2.3 Hz, 1H), 6.91 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.52 (t, J = 5.9 Hz, 2H), 4.24 (dd, J = 11.9, 4.9 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.60 (dd, J = 12.9, 10.8 Hz, 2H), 3.13 (s, 2H), 2.77 (m, 8H), 2.38 (s, 2H), 1.98 - 1.91 (m, 2H)。
【0236】
実施例20
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化60】
表題化合物を実施例18と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 507[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.44 (s, 1H), 8.27 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.18 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 7.97-7.90 (m, 1H), 6.91 (d, J = 8.7 Hz, 1H), 5.02 (s, 1H), 4.51 (t, J = 5.8 Hz, 2H), 4.24 (dd, J = 11.8, 4.8 Hz, 2H), 3.78 (s, 3H), 3.60 (t, J = 11.9 Hz, 2H), 3.28 (d, J = 8.1 Hz, 2H), 2.80 (d, J = 11.8 Hz, 2H), 2.52-2.44 (m, 2H), 2.18 (s, 4H), 1.95-1.80 (m, 6H)。
【0237】
実施例21
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化61】
【0238】
表題化合物を実施例18と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 506[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.49 (t, J = 1.8 Hz, 1H), 8.19 (d, J = 7.5 Hz, 1H), 8.11 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 7.80 (dt, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 6.54 (d, J = 8.9 Hz, 1H), 4.99 (s, 1H), 4.24 (dd, J = 11.8, 4.8 Hz, 2H), 3.76 (s, 5H), 3.63-3.50 (m, 3H), 3.27 (dd, J = 10.4, 7.2 Hz, 1H), 2.83 (d, J = 14.1 Hz, 2H), 2.61 (p, J = 7.4 Hz, 1H), 2.46 (s, 1H), 2.35 (s, 6H), 2.29-2.18 (m, 1H), 1.94-1.89 (m, 2H), 1.85-1.80 (m, 2H)。
【0239】
実施例22
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化62】
表題化合物を実施例18と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 506[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.51 (s, 1H), 8.24 (d, J = 7.4 Hz, 1H), 8.14 (d, J = 11.4 Hz, 1H), 7.86 (dt, J = 8.9, 2.4 Hz, 1H), 6.83 (d, J = 9.0 Hz, 1H), 5.04-5.01 (m, 1H), 4.64-4.61 (m, 2H), 4.27-4.23 (m, 2H), 3.77 (s, 3H), 4.64-3.58 (m, 2H), 3.12-3.08 (m, 1H), 3.01-2.95 (m, 2H), 2.83-2.80 (m, 2H), 2.67 (s, 6H), 2.27-2.23 (m, 2H), 1.95-1.92 (m, 2H), 1.78-1.74 (m, 2H)。
【0240】
実施例23
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化63】
表題化合物を実施例18と同様の手順を用いて調製した。
MS:m/z 481[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.86 (s, 1H), 8.34 (d, J = 7.3 Hz, 1H), 8.20 (d, J = 11.1 Hz, 1H), 8.06 (s, 1H), 7.63 (s, 1H), 5.00 (s, 1H), 4.79 (s, 2H), 4.24-4.20 (m, 2H), 3.97 (t, J = 5.3 Hz, 2H), 3.77 (s, 3H), 3.63-3.59 (m, 2H), 3.03 (t, J = 5.2 Hz, 2H), 2.83-2.79 (d, J = 14.0 Hz, 2H), 2.65 (s, 6H), 1.96-1.91 (m, 2H)。
【0241】
実施例24
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
実施例24の化合物を、スキーム7に示される合成経路に従って調製した。
【化64】
【0242】
工程1:7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(G1)
窒素下、室温のジオキサン(5mL)中の5-ブロモ-2-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン(200mg、0.635mmol)、BPin(194mg、0.76mmol)、およびKOAc(187mg、1.9mmol)の撹拌溶液に、Pd(dppf)Cl.CHCl(52mg、0.064mol)を添加した。得られた混合物を100℃のN保護下で16時間撹拌した。反応物を冷却後、8-ブロモ-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン(241mg、0.635mmol)、Pd(dppf)Cl.CHCl(52mg、0.064mmol)、NaCO(200mg、1.9mmol)、およびHO(1mL)を添加した。得られた混合物を100℃のN保護でさらに4時間撹拌し、濃縮乾固した。残渣をシリカゲルカラムクロマトグラフィで精製することで、所望の生成物(320mg、収率94%)を暗色の固体として得た。
MS:538[M+H]+
【0243】
工程2:7-フルオロ-8-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(G2)
【化65】
室温のDCM/MeOH(3mL/3mL)中の7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-((テトラヒドロ-2H-ピラン-2-イル)オキシ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(360mg、0.67mmol)の撹拌溶液に、PTSA(255mg、1.34mmol)を添加した。得られた混合物を室温で4時間撹拌し、DCM(20mL)で希釈した。この混合物をNaHCO水溶液、水、およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、所望の生成物(220mg、収率72%)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
MS:454[M+H]+
【0244】
工程3:3-((5-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロピルメタンスルホン酸エステル(G3)
【化66】
DCM(3mL)中の7-フルオロ-8-(6-(3-ヒドロキシプロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(220mg、0.49mmol)およびトリエチルアミン(150mg、1.47mmol)の溶液に、MsCl(112mg、0.97mmol)を0℃で滴加した。得られた混合物を室温で1時間撹拌し、DCM(15mL)で希釈した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮することで、粗生成物(340mg、収率100%)を得て、これをさらなる精製なしで次の工程に用いた。
MS:532[M+H]+
【0245】
工程4:7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化67】
室温のMeCN(5mL)中の3-((5-(7-フルオロ-3-メチル-2-オキソ-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピリジン-2-イル)オキシ)プロピルメタンスルホン酸エステル(170mg、0.32mmol)およびDIEA(206mg、1.6mmol)の撹拌溶液に、4-フルオロピペリジン(180mg、1.28mmol)を一度に添加した。得られた混合物を室温で16時間撹拌し、DCM(20mL)で希釈した。有機相を水およびブラインで洗浄し、無水NaSOで乾燥させ、濾過し、濃縮した。残渣を分取TLCで精製することにより、所望の生成物(42mg、収率24%)を黄色の固体として得た。
MS:539[M+H]+1H NMR (400 MHz, CD3OD) δ 8.42 (d, J = 7.6 Hz, 1H), 8.23 (d, J = 2.5 Hz, 1H), 8.05 (d, J = 11.6 Hz, 1H), 7.97 (dt, J = 9.5, 2.4 Hz, 1H), 6.73 (d, J = 9.4 Hz, 1H), 5.19-5.08 (m, 1H), 4.80-4.61 (m, 1H), 4.22-4.15 (m, 4H), 3.75-3.68 (m, 5H), 2.82-2.75 (m, 4H), 2.74-2.66 (m, 4H), 2.25-2.12 (m, 2H), 2.10-1.85 (m, 6H)。
【0246】
実施例25
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン
【化68】
この物質は、実施例24と同様の手順を用いて(R)-3-フルオロピロリジンから合成することで、所望の生成物(収率14%)が黄色の固体として得られた。
MS:525[M+H]+1H NMR (400 MHz, CDCl3) δ 8.30 (s, 1H), 8.14 (d, J = 11.8 Hz, 1H), 7.98 (s, 1H), 7.74 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 6.72 (d, J = 9.6 Hz, 1H), 5.21-5.07 (m, 2H), 4.29-4.14 (m, 4H), 3.78 (s, 3H), 3.63 (t, J = 12.0 Hz, 2H), 2.98-2.89 (m, 2H), 2.78-2.62 (m, 4H), 2.18-1.87 (m, 8H)。
【0247】
実施例26
生物学的測定法
本開示の化合物の効力は、当該技術分野において公知のいくつかの薬理学的測定法によって測定することができる。以下に例示した薬理学的測定法を、本開示の化合物と、対照化合物の8-[6-(3-ジメチルアミノ-プロポキシ)-ピリジン-3-イル]-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2(3H)-オン(基準化合物1)を用いて実施した:a)ATM生化学的効力測定法;b)PI3K生化学的効力測定法;c)mTOR生化学的効力測定法;d)ATR生化学的効力測定法、およびe)ATM SN-38 HT-29細胞効力測定法。これらの測定法の説明の際には、通常、以下となる:
i.以下の略語を使用した:4NQO=4-ニトロキノリンN-オキシド;Ab=抗体;BSA=ウシ血清アルブミン;CO=二酸化炭素;DMEM=ダルベッコ変法イーグル培地;DMSO=ジメチルスルホキシド;EDTA=エチレンジアミン四酢酸;EGTA=エチレンジアミン四酢酸;ELISA=酵素結合免疫吸着測定法;EMEM=イーグル最小必須培地;FBS=ウシ胎児血清;h=時間;HRP=西洋わさびペルオキシダーゼ;i.p.=腹腔内;PBS=リン酸緩衝食塩水;PBST=リン酸緩衝食塩水/Tween;TRIS=トリス(ヒロドキシメチル)アミノメタン;MTS試薬:[3-(4,5-ジメチルチアゾール-2-イル)-5-(3-カルボキシメトキシフェニル)-2-(4-スルホフェニル)-2H-テトラゾリウム、分子内塩、および電子カップリング試薬(メト硫酸フェナジン)PMS;s.c.=皮下。
ii.IC50値は、ジーンデータ社のスマートフィッティングモデルを用いて計算を行った。このIC50値は、50%の生物活性を阻害した試験化合物の濃度とした。
【0248】
測定法a):ATM生化学的効力
ATM(ミリポア社、カタログ番号14-933)酵素溶液を1×キナーゼベース緩衝液中で調製した。Echoにより添加された100nlの化合物を含有する384ウェルアッセイプレートの各ウェルに、10μlの2×酵素溶液を移した。プレートを室温で10分間インキュベートした。1×キナーゼベース緩衝液中、FAMで標識されたペプチドおよびATPを用いて、2×ペプチド溶液を調製した(最終濃度:1.5nM)。10μlの2×ペプチド溶液を384ウェルアッセイプレートの各ウェルに添加し、プレートを37℃で210分間インキュベートした後、40μlの停止用緩衝液を添加して、反応を止めた。データはノギスにより収集した。
【0249】
測定法b):ATR生化学的効力
ATR酵素はChemPartner製(バッチ:CP-ATR-20161102-M2)であった。2×酵素溶液を1×キナーゼベース緩衝液中で調製した。60nlの化合物を各ウェルに含有する384ウェルアッセイプレートの各ウェルに、10μlの2×酵素溶液(最終濃度:2.5nM)を添加した。このプレートを室温で10分間インキュベートした。1×キナーゼベース緩衝液中、FAMで標識されたペプチドおよびATPを用いて、2×ペプチド溶液を調製した。10μlの2×ペプチド溶液を384ウェルアッセイプレートの各ウェルに添加し、このプレートを28℃で240分間インキュベートした。40μlの停止用緩衝液を添加して反応を止めた。データはノギスにより収集した。
【0250】
測定法c):PI3K生化学的効力
PI3Kα酵素(インビトロジェン社、カタログ番号PV4788)、PIK3Cδ酵素(インビトロジェン社、カタログ番号PV6452)、PIK3Cβ酵素(ミリポア社、カタログ番号14-603-K)、PIK3Cγ酵素(インビトロジェン社、カタログ番号PR8641C)の、PI3Kα(p110α/p85a)キナーゼ反応液、PIK3Cδキナーゼ反応液、PIK3Cβ(p110β)キナーゼ反応液、PIK3Cγ(pp110γ)キナーゼ反応液を、1×キナーゼ緩衝液中で、測定法における各試薬の最終濃度(最終濃度:PI3Kα:0.7nM、PIK3Cδ:3nM、PIK3Cβ:4.8nM、PIK3Cγ:11nM)の4倍となるように調製した。2.5μlのキナーゼ溶液を384ウェルアッセイプレートの各ウェルに添加し、各ウェルには、段階希釈濃度の化合物を2.5μlずつ含有させた。測定法における各試薬の最終濃度の2倍となるように、1×キナーゼ反応緩衝液中、PIP2基質およびATPを用いて、2×基質溶液を調製した。5μlの基質溶液をアッセイプレートの各ウェルに添加して、反応を開始した。アッセイプレート室温で1時間インキュベートした。5μlの反応混合物を新たな384ウェルプレートに移した。その新たなアッセイプレートの各ウェルに、5μlのADP-Glo試薬(プロメガ社、カタログ番号v9102/3、ロット番号0000176563)を添加し、反応を止めた。プレートを40分間ゆっくりと振盪し平衡化した。10μlのキナーゼ検出試薬を各ウェルに添加し、60分間平衡化させた後、プレートリーダー(Envision)で発光量を読み取った。
【0251】
測定法d):mTOR生化学的効力
mTOR酵素(ミリポア社、カタログ番号14-770、ロット番号2052551)の溶液を、1×キナーゼ緩衝液中、測定法における最終濃度(最終濃度:6nM)の4倍となるように調製した。2.5μlのキナーゼ溶液を384ウェルアッセイプレートの各ウェルに添加し、各ウェルには、段階希釈濃度の化合物を2.5μlずつ含有させた。測定法における各試薬の最終濃度の2倍となるように、1×キナーゼ反応緩衝液中、ULight-4E-BP1(Thr37/46)ペプチド(PE、カタログ番号TRF0128-M、ロット番号1695274)およびATPを用いて、2×基質溶液を調製した。5μlの基質溶液をアッセイプレートの各ウェルに添加して、反応を開始した。アッセイプレート室温で30分間インキュベートした。キナーゼ停止用緩衝液(EDTA)とEu-anti-phospho-4E-BP1抗体(Thr37/46)(PE、カタログ番号TRF0216-M、ロット番号1571838)との検出用溶液を、Lance検出用緩衝液中、各試薬の所望の最終濃度の2倍となるように調製した。10μlの検出用緩衝溶液をアッセイプレートの各ウェルに添加した。アッセイプレートを室温で60分間平衡化させた後、プレートリーダー(EnvisionプログラムのLanceシグナル(665nm))で読み取りを行った。
【0252】
測定法e):ATM SN-38 BT-29細胞効力
原理:
SN38は、イリノテカンの活性代謝物であり、トポイソメラーゼI阻害剤となる。SN38は一本鎖DNA切断(SSB)を引き起こし、このSSBは複製時に二本鎖切断(DSB)に変換される。ATMはDSBを修復する役割を担う。ATMの阻害を、SN38処理を行ったHT-29細胞(ATCC、カタログ番号HTB-38)において、ハイコンテンツイメージングシステムにより評価した。
【0253】
実験の詳細:
HT-29細胞をトリプシン処理し、1ウェル当たり約10,000細胞を96ウェルマイクロプレートに播種し、37℃、5%COで一晩インキュベートした。試験化合物を96ウェルプレートに添加し、37℃、5%COで1時間インキュベートした。その後、SN38(MCE、カタログ番号HY-13704)を最終濃度30nMでこの96ウェルプレートに添加し、37℃、5%COで1時間インキュベートした。培地を除去した後、細胞を、50μlの3.7%ホルムアルデヒド/PBSAの添加により固定し、室温で20分間インキュベートした。プレートをPBSAで3回リンスした後、50μlの透過処理用緩衝液(0.1%Triton-X100/PBSA)を添加し、プレートを室温で20分間インキュベートした。プレートをPBSAで1回リンスした後、50μlの一次抗体溶液を添加し、プレートを4℃で一晩インキュベートした。一次抗体(抗リン酸化ATM(Ser1981)抗体(メルクミリポア社、カタログ番号05-740)を抗体用緩衝液(3%BSA、0.05%Tween/PBSA)で1/10,000希釈することにより、一次抗体溶液を調製した。プレートをPBST(0.05%Tween/PBSA)で3回リンスした。50μlの二次抗体溶液をプレートに添加し、室温で1時間、暗所でインキュベートした。この二次抗体溶液は、抗体用緩衝液での、二次抗体(ヤギ抗マウスIgG(H+L)交差吸着済み二次抗体、Alexa Fluor 488、インビトロジェン社、カタログ番号A11001)の1/500希釈およびHoechstの1/10,000希釈により、調製した。プレートをPBSTで3回リンスした後、100μlのPBSAを各ウェルに添加した。プレートを黒色プレートシールで密封した。
【0254】
【表5】
【0255】
【表6】
【0256】
画像解析後、Excel2013(マイクロソフト社)によるさらなる統計を行った。その後、Prism7.0(グラフパッド社)を用いてグラフィカルビューを作成した。
【0257】
実施例1~45で合成した化合物および基準化合物1を上記の通りの測定法a)~e)で試験した。いくつかの代表的な化合物について、IC50の結果を表2に示す。表2から、本開示の化合物が、非常に良好なATMキナーゼ阻害を行うだけでなく、PIKKファミリーの他のキナーゼ(PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、PI3Kδ、mTor、およびATR)と比較してATMキナーゼ選択性が非常に高いことが分かる。結果が示されていない他の実施例化合物については、全て、ATMキナーゼに対するIC50は1000nM以下であった。これらの化合物のいくつかは、ATMキナーゼに対するIC50が、500nM以下であり、400nM以下のものもあり、300nM以下のものもあり、200nM以下、あるいは100nM以下、あるいは50nM以下のものもある。加えて、結果が示されていない実施例化合物のいくつかは、PIKKファミリーの他のキナーゼ(PI3Kα、PI3Kβ、PI3Kγ、PI3Kδ、mTor、およびATR)に対して示すIC50が、1μM超であり、いくつかは3μM超、5μM超、7μM超、または10μM超である。
【0258】
【表7】
【0259】
実施例27
DMPK阻害試験およびhERG阻害試験
DMPK阻害試験およびhERG阻害試験を、本開示の化合物、並びに基準化合物1、基準化合物2(AZD0156)、および基準化合物3(AZD1390)を用い、以下の測定法を用いて実施した:f):MDCK-MDR1 Pgp評価、g)Caco-2 BCRP評価、およびh)hERG阻害評価。
【0260】
測定法f):MDCK-MDR1 Pgp評価
MDCK-MDR1細胞により、P-糖タンパク質(Pgp)を介した排出輸送を評価した。試験化合物および対照化合物の最終濃度は1μMとした。マルチウェルインサートプレートを37℃で2時間インキュベートした。
【0261】
測定法g):Caco-2 BCRP評価
Caco-2細胞を用いて、BCRPを介した排出輸送の試験を行った。BCRPによる薬物輸送の比率を、強力なBCRP阻害剤であるノボビオシンの存在下および非存在下で求め、ノボビオシンは上部および側底部の両方に最終濃度30μMで添加した。試験化合物および対照化合物の最終濃度は1μMとした。マルチウェルインサートプレートを37℃で2時間インキュベートした。排出率(-阻害剤/+阻害剤)が2より大きい場合、BCRP基質であるとみなした。
【0262】
測定法h):hERG安全性評価
hERGチャネルの阻害を、用手的なパッチクランプ法により、hERGチャネルを安定に発現するHEK293細胞株において実行した。
【0263】
測定法f)、g)、およびh)における代表的な本開示の化合物および基準化合物1~3の結果を表3に示す。
【0264】
【表8】
【0265】
表3から分かるように、基準化合物2はPgp基質であることが判明した。基準化合物3はPgp基質ではないが、顕著なhERG阻害を示している。比較すると、実施例1および実施例3~5の代表的な化合物はPgp基質でもBCRP基質でもなく、脳浸透性であることが示されている。さらに、実施例1および実施例3の化合物は、基準化合物3と比較して、hERG脆弱性の顕著な改善を示している。
【0266】
結果が示されていない他の実施例化合物については、全て、実施例1および実施例3~5の例示的な化合物と同様のDMPKおよびhERGの結果を示している。
【0267】
実施例28
AO活性試験
AO活性試験を、本開示の化合物、並びに基準化合物2、3、4(ザレプロン、AO測定法の陽性対照)、および5(PF-04217903、弱いAO基質)を用い、以下の測定法i)アルデヒドオキシダーゼ測定法を用いて実施した。
【0268】
測定法i):アルデヒドオキシダーゼ測定法
ヒト肝サイトゾルにおけるAO活性を評価した。インキュベーション系には、25mMリン酸緩衝液、1mg/mLヒト肝サイトゾル、および0.5μMの試験化合物または陽性対照を含ませた。0.5分、5分、10分、20分、30分、および60分の時点で、内部標準と共に5体積分の冷アセトニトリルを添加することで反応を止めた。試料を3,220gで30分間遠心分離した。100μLに分取した上清を100μLの超純水と混合し、その後LC/MS/MS分析に用いた。
【0269】
計算は全てマイクロソフト社製Excelを用いて行った。ピーク領域は抽出イオンクロマトグラムから求めた。勾配値kは、親薬物の残留率の自然対数対インキュベーション時間の曲線の線形回帰により求めた。インビトロ半減期(インビトロt1/2)は、上記勾配値から次式を用いて求めた:
【数1】
インビトロt1/2(分)からインビトロ固有クリアランス(インビトロCLint、単位はμL/分/mgタンパク質)への変換は、次式を用いて行った(2回の反復試験の平均値):
【数2】
【0270】
実施例1~25で合成された化合物および基準化合物2~4を、上記の通りの測定法i)で試験した。代表的な本開示の化合物および基準化合物2~5の結果を表4に示す。
【0271】
【表9】
【0272】
基準化合物2および基準化合物3は、4.65および7.2μL/分/mgタンパク質の固有クリアランス値を備えた強力なAO基質であり、基準化合物4の固有クリアランス値(3.1μL/分/mgタンパク質)よりも高いことが示されている。基準化合物4は、約80%の肝血流量に相当する16mL/分/kgのヒトにおける高いクリアランス値を示した(Zientek,M.ら、Drug MetabDispos、2010年、頁1322-7)。それに対して、本開示の化合物は、基準化合物5の固有クリアランス値(1.8μL/分/mgタンパク質)よりも低い固有クリアランス値を示す。基準化合物5は、約30%の肝血流量に相当する6mL/分/kgのヒトにおける低から中程度のクリアランス値を示した。このことは、本開示の化合物がAO基質ではないことを示している。
【0273】
結果が示されていない他の実施例化合物については、全て、2μL/分/mgタンパク質以下、1.8μL/分/mgタンパク質以下、1.6μL/分/mgタンパク質以下、1.4μL/分/mgタンパク質以下、1.2μL/分/mgタンパク質以下、1μL/分/mgタンパク質以下、0.9μL/分/mgタンパク質以下、0.8μL/分/mgタンパク質以下、0.7μL/分/mgタンパク質以下、0.6μL/分/mgタンパク質以下、または0.5μL/分/mgタンパク質以下の固有クリアランスを示している。
【0274】
上記の説明は本開示の原理の単なる例示と見なされる。さらに、多くの変形および変更が当業者には容易に想到されるため、上記に示された通りの厳密な構成および方法に本発明を限定することを望むものではない。従って、全ての好適な変更形態および均等物が、下記の特許請求の範囲によって定義される通りの本発明の範囲に含まれるとみなすことができる。
【0275】
「含んでなる(comprise)」、「含んでなる(comprising)」、「含む(include)」、「含む(including)」、および「含む(includes)」という単語は、本明細書および下記の特許請求の範囲で使用される場合、記載されている特徴、整数、成分、または工程の存在を特定化することを意図しているが、1または複数の他の特徴、整数、成分、工程、またはその群の存在または追加を排除するものではない。
【手続補正書】
【提出日】2024-03-07
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物:
【化1】
または薬学的に許容可能なその塩
(式中、
は、水素またはメチルであり;
は、イソプロピルまたはテトラヒドロピラニルであり;
は、水素またはフルオロであり;
、RおよびRは、それぞれ水素またはフルオロから独立して選択され;
は-L-NRであり、Lは直接的な結合、-(CHO(CH-、または-CONR10(CH-から選択され、前記-(CHO(CH-および前記-CONR10(CH-は場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよく;
およびRは、水素、アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基からなる群からそれぞれ独立して選択され、前記アルキル、アルケニル、アルキニル、飽和または不飽和のシクロアルキル、および飽和または不飽和の複素環式基は場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよく;あるいは、
およびRは、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
10は、水素、アルキル、シクロアルキル、および炭素結合した飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され、前記複素環式基は場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよく、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく;
11は、水素、ハロゲン、アルキル、シクロアルキル、アルコキシル、並びに、場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基からなる群から選択され;
12は、水素、ハロゲン、シアノ、ニトロ、ヒドロキシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、およびアルコキシからなる群から選択され;
13は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、ニトロ、および-(CHNR1415からなる群から選択され;
14およびR15は、水素、アルキル、およびシクロアルキルからなる群からそれぞれ独立して選択され;あるいは、
14およびR15は、それらが結合している窒素原子と一緒になって場合によってはN、O、およびSから選択される1または複数の追加のヘテロ原子を含有していてもよい、且つ、場合によっては1または複数のR16により置換されていてもよい飽和または不飽和の複素環式基を形成し;
16は、アシル、アルキル、アルケニル、アルキニル、アルコキシ、アミド、アミノ、アリール、シアノ、シクロアルキル、ハロゲン、ハロアルキル、ハロアルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシ、およびニトロからなる群から選択され;
mは0、1、または2であり;
nは2~4の範囲の整数であり;
pは2~4の範囲の整数であり;並びに、
qは0、1、または2であり;
ただし、Rがテトラヒドロピラン-3-イルであり、且つ、Rが水素である場合は、Rは-O(CHN(CHではない)。
【請求項2】
がメチルである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項3】
がイソプロピルである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項4】
がフルオロである、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項5】
、R、およびRが水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項6】
が-L-NRであり、且つ、Lが直接的な結合である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項7】
およびRが、場合によっては1または複数のR12で置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択される、請求項6に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項8】
およびRが、それらが結合している窒素原子と一緒になって:
【化2】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2である、請求項6に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項9】
13がハロゲンである、請求項8に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項10】
が-L-NRであり、Lが直接的な結合であり、且つ、RおよびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化3】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項11】
13が-(CHNR1415であり、且つ、R14およびR15がC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択される、請求項10に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項12】
が-L-NRであり、Lが-CONR10(CH-であり、RおよびRが場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され、R10が水素である、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項13】
がメチルであり;
がイソプロピルであり;
がフルオロであり;
、R、およびRが水素であり;
が-L-NRであり;
Lが場合によっては1または複数のR11により置換されていてもよい-(CHO(CH-であり;
およびRが場合によっては1または複数のR12により置換されていてもよいC1-6アルキルからそれぞれ独立して選択され;あるいは、
およびRがそれらが結合している窒素原子と一緒になって、
【化4】
を形成し、これらのうちいずれかが場合によっては1または複数のR13により置換されていてもよく、xは1、2、3、または4であり;yは0、1、または2であり;且つ、zは0、1、または2であり;
11が水素であり;
12が水素であり;
13がハロゲンであり;
mが0、1、または2であり;
nが2~4の範囲の整数である、
請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項14】
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-((2-(3-フルオロピロリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-((2-(4-フルオロピペリジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
N-(2-(ジメチルアミノ)エチル)-5-(7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-2-オキソ-2,3-ジヒドロ-1H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-8-イル)ピコリンアミド;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(S)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(3-アザビシクロ[3.1.0]ヘキサン-3-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)-2-フルオロピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジメチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-3-メチル-8-(6-(3-(ピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-((ジメチルアミノ)メチル)ピロリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(4-(ジメチルアミノ)ピペリジン-1-イル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジメチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-8-(6-(3-(4-フルオロピペリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
(R)-7-フルオロ-8-(6-(3-(3-フルオロピロリジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-3-メチル-1-(テトラヒドロ-2H-ピラン-4-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(ジエチルアミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(エチル(メチル)アミノ)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-モルホリノエトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(ピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-((2-(4-メチルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-((2-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)エトキシ)メチル)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(ジエチルアミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(エチル(メチル)アミノ)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-モルホリノプロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(ピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-8-(6-(3-(4-メチルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(4-シクロプロピルピペラジン-1-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.3]ヘプタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-オキサ-6-アザスピロ[3.3]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;
8-(6-(3-(2-アザスピロ[3.4]オクタン-2-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン;および
8-(6-(3-(6-アザビシクロ[3.2.0]ヘプタン-6-イル)プロポキシ)ピリジン-3-イル)-7-フルオロ-1-イソプロピル-3-メチル-1,3-ジヒドロ-2H-イミダゾ[4,5-c]シンノリン-2-オン、
からなる群から選択される、請求項1に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項15】
ヒト肝サイトゾル系中のタンパク質1mg当たり1.8μL/分未満のAO固有クリアランス値を有する、請求項1~14のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩。
【請求項16】
請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩および少なくとも1つの薬学的に許容可能な賦形剤を含んでなる、医薬組成物。
【請求項17】
血液脳関門(BBB)移行を促進するための薬剤を含まない、請求項16に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記医薬組成物がドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファランおよびブレオマイシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍薬をさらに含む、請求項16または17に記載の医薬組成物。
【請求項19】
治療を必要とする対象におけるATM関連性疾患または症状の治療のための医薬の調製における、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の使用
【請求項20】
前記ATM関連性疾患または症状が癌である、請求項19に記載の使用
【請求項21】
前記癌が結腸直腸癌、グリア芽腫、胃癌、卵巣癌、びまん性大細胞型B細胞リンパ腫、慢性リンパ性白血病、急性骨髄性白血病、頭頸部扁平上皮癌、乳癌、肝細胞癌、小細胞肺癌、および非小細胞肺癌からなる群から選択される、請求項20に記載の使用
【請求項22】
前記癌が脳転移などの転移性癌である、請求項20に記載の使用
【請求項23】
式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩が放射線療法と同時に、個別に、または逐次に前記対象に投与される、請求項19に記載の使用
【請求項24】
前記放射線療法が脳照射である、請求項23に記載の使用
【請求項25】
前記ATM関連性疾患または症状が癌、好ましくはグリア芽腫である、請求項23または24に記載の使用
【請求項26】
式(I)の化合物がドキソルビシン、イリノテカン、トポテカン、エトポシド、マイトマイシン、ベンダムスチン、クロラムブシル、シクロホスファミド、イホスファミド、カルムスチン、メルファランおよびブレオマイシンからなる群から選択される少なくとも1種の追加の抗腫瘍薬と同時に、個別に、または逐次に前記対象に投与される、請求項19に記載の使用。
【請求項27】
治療を必要とする対象におけるハンチントン病の治療のための医薬の調製における、請求項1~15のいずれか一項に記載の式(I)の化合物または薬学的に許容可能なその塩の使用
【請求項28】
前記化合物が血液脳関門(BBB)移行を促進するための薬剤の非存在下で血液脳関門(BBB)移行可能である、請求項19または27に記載の使用
【外国語明細書】