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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005427
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】重力下物流発電機
(51)【国際特許分類】
   F03B 17/02 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
F03B17/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105603
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】522263057
【氏名又は名称】森田 昌博
(74)【代理人】
【識別番号】100148851
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 和弘
(72)【発明者】
【氏名】森田 昌博
【テーマコード(参考)】
3H074
【Fターム(参考)】
3H074AA10
3H074AA12
3H074BB10
3H074BB11
3H074CC03
(57)【要約】
【課題】省エネルギーに貢献できるとともに、持続可能な社会の構築には必要不可欠な安定した電力の供給並びに、電気自動車(EV)の普及には必須の給電装置等にも使用可能な液体中の浮きの浮力を利用して継続的に動力や電力を得ることができる装置等を提案することを目的とする。
【解決手段】内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へと上昇し、貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下する第一の浮上作用体と、内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へ上昇し、貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下し、第一の浮上作用体と互いに逆方向に移動するように第一の浮上作用体と連結された第二の浮上作用体と、第一の浮上作用体と第二の浮上作用体との各浮上中において、その上昇動作で出力軸を回転させるように各々連結された一対のチェーン及び歯車等を備えることを特徴とする重力下物流動力機とする。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へと上昇し、前記貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下する第一の浮上作用体と、
内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へ上昇し、前記貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下し、前記第一の浮上作用体と互いに逆方向に移動するように第一の浮上作用体と連結された第二の浮上作用体と、
前記第一の浮上作用体と前記第二の浮上作用体との各浮上中において、その上昇動作で出力軸を回転させるように各々連結された一対のチェーン及び歯車と、
前記第一の浮上作用体と前記第二の浮上作用体と前記チェーン及び歯車と前記出力軸を収容して液体が満たされた筐体と、を備え、
前記出力軸の一端は、その回転力を外部へ取り出せるように前記筐体から露出される
ことを特徴とする重力下物流動力機。
【請求項2】
請求項1に記載の重力下物流動力機において、
前記第一の浮上作用体と前記第二の浮上作用体とに対し、各々水底で内部に貯め込むための気体を給気するための圧縮ポンプをさらに備える
ことを特徴とする重力下物流動力機。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の重力下物流動力機の前記出力軸から取り出された回転力でタービンを回転させる
ことを特徴とする重力下物流発電機。
【請求項4】
請求項1に記載の重力下物流動力機を用いて動力を出力させる方法において、
前記第一の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに前記第二の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、
前記第一の浮上作用体を浮上させるとともに前記第二の浮上作用体沈下させる工程と、
前記第二の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに前記第一の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、
前記第二の浮上作用体を浮上させるとともに前記第一の浮上作用体沈下させる工程と、を有し、
前記浮上させる工程において前記第一の浮上作用体または前記第二の浮上作用体の上昇力で前記出力軸を回転させる
ことを特徴とする方法。
【請求項5】
請求項3に記載の重力下物流発電機を用いて発電する方法において、
前記第一の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに前記第二の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、
前記第一の浮上作用体を浮上させるとともに前記第二の浮上作用体沈下させる工程と、
前記第二の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに前記第一の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、
前記第二の浮上作用体を浮上させるとともに前記第一の浮上作用体沈下させる工程と、を有し、
前記浮上させる工程において前記第一の浮上作用体または前記第二の浮上作用体の上昇力で前記出力軸を回転させ、前記出力軸の回転力でタービン発電を遂行する
ことを特徴とする方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、重力下物流動力機とそれを利用した重力下物流発電機に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、二酸化炭素等の有害物質を発生させることなく地球環境にやさしく、しかも電力をあまり必要としない省エネルギー発電装置を提供する発明が開示されている。この文献によると、省エネルギー発電装置10の水槽16にはブレス装置20が上下移動可能に配設され、送風機94から注気筒体72を介してブレス装置20のブレス本体28に空気が注入されるとブレス装置20は上昇し、排気されるとブレス装置20は下降するようになっている。このブレス装置20にはメインワイヤー24が連結され、ブレス装置20が上昇してメインワイヤー24を引っ張ると発電機176が作動して発電するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2000-291526号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
省エネルギーに貢献できるとともに、持続可能な社会の構築には必要不可欠な安定した電力の供給並びに、電気自動車(EV)の普及には必須の給電装置等にも使用可能な液体中の浮きの浮力を利用して継続的に動力や電力を得ることができる装置等を提案することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の重力下物流動力機は、内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へと上昇し、貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下する第一の浮上作用体と、内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へ上昇し、貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下し、第一の浮上作用体と互いに逆方向に移動するように第一の浮上作用体と連結された第二の浮上作用体と、第一の浮上作用体と第二の浮上作用体との各浮上中において、その上昇動作で出力軸を回転させるように各々連結された一対のチェーン及び歯車と、第一の浮上作用体第二の浮上作用体とチェーン及び歯車と出力軸を収容して液体が満たされた筐体と、を備え、出力軸の一端は、その回転力を外部へ取り出せるように筐体から露出されることを特徴とする。
【0006】
本発明の重力下物流動力機は、好ましくは第一の浮上作用体と第二の浮上作用体とに対し、各々水底で内部に貯め込むための気体を給気するための圧縮ポンプをさらに備えることを特徴とする。
【0007】
本発明の重力下物流発電機は、上述の重力下物流動力機の出力軸から取り出された回転力でタービンを回転させることを特徴とする重力下物流発電機。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、省エネルギーに貢献できるとともに、持続可能な社会の構築には必要不可欠な安定した電力の供給並びに、電気自動車(EV)の普及には必須の給電装置等にも使用可能な液体中の浮きの浮力を利用して継続的に動力や電力を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施例の重力下物流動力機の構成概要を説明する正面概念図である。
図2】第一の浮上作用体と第二の浮上作用体とのロープーウェーのような連結状態を説明するための構成概念図である。
図3】二つの浮上作用体の上下動から動力を取り出すためのチェーン構造概要について説明する概念図である。
図4】重力下物流動力機の給気塔のレイアウト配置例を説明するために、側面方向から観察した場合の一部透過させた配置概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本実施例の重力下物流動力機1000の構成概要を説明する正面概念図である。図1において、重力下物流動力機1000は、内部に液体1200を収容する筐体1100を備えており筐体1100内部に主要部品が収納されて構成されている。液体1200は典型的には水とすることもできるが、その他の水溶液やアルコール等であってもよい。図1に示すように重力下物流動力機1000は、液体1200の中を上下に往復運動する第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とを備える。
【0011】
第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とは、一方が浮上する場合には他方が沈下し、一方が沈下する場合には他方が浮上するように、ロープーウェーやケーブルカーのワイヤー連結構成のように、両者が連結されている。第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とは、底部で内部に気体を貯めると液体1200中を上方へ浮上し、上方で内部の気体を排出すると、底部へと沈下する往復動作をそれぞれ繰り返すものとする。
【0012】
第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とが底部に沈下した場合に、気体を内部に貯め込み浮力を得ることができるように、第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とへ給気するための給気塔1500を備えられている。給気塔1500は、筐体1100の上部に設けられた上部気体室1110から底部へと延伸されており、底部に位置する第一の浮上作用体1300または第二の浮上作用体1400へ、その底面側から気体(典型的には空気)を供給することができる。
【0013】
図1において、気体を内部に貯め込んで浮上した第一の浮上作用体1300は、その頭頂部に設けられた空気逃がし弁1320が空気逃し弁開放バー1330により押圧開放されることにより、内部の気体を上部気体室1110へと排出する。空気逃がし弁1320は、例えば板バネ等により構成するものとしても良く、空気逃し弁開放バー1330により押圧されていない自然状態では当該弁は閉じられており、第一の浮上作用体1300内部の気体が予期せずに放出されることはないものとする。空気逃し弁開放バー1330は、先端に回転ローラを備える棒状体としても良い。回転ローラを先端に備えることで、該ローラが空気逃がし弁1320の上面と当接する場合に、ローラが回転して摩擦を低減しスムースな弁開閉動作となる。
【0014】
また、第一の浮上作用体1300がさらなる上方への浮上力を有する限りは、空気逃がし弁1320が空気逃し弁開放バー1330により開放されることとなるので、第一の浮上作用体1300の浮力がちょうど無くなるまで、その内部に貯め込まれた気体が上部気体室1110へと排出されるものとなる。気体の排出が完了された時点では、第一の浮上作用体1300の浮力がなくなり、液体1200と比重がちょうど同一となって、自然状態では沈みも浮上もせず漂うような状態となっているものとする。そして、第一の浮上作用体1300は、その後第二の浮上作用体1400が浮上してくる場合に、逆に下方に沈下するものとなる。
【0015】
また、図1に示すように第二の浮上作用体1400が底部に沈下している状態において、給気塔1500を介して第一の浮上作用体1300が排出した気体や圧縮ポンプ1600から給気塔分岐路1500Bを介して圧縮気体が供給されて、その内部に気体を貯め込むものとする。給気塔分岐路1500Bの供給出口には逆止弁1470が設けられており、気体が第二の浮上作用体1400の内部方向へのみ一方通行で送気される構造を有しているものとする。
【0016】
圧縮ポンプ1600が第一の浮上作用体1300側または第二の浮上作用体1400側のいずれか沈下している一方側へ圧縮空気を選択的に給気可能なように、給気方向指示弁1610を備えるものとすることができる。図1においては、給気塔1500を介した空気及び/または圧縮ポンプ1600が第二の浮上作用体1400側へ給気している状態を示している。また、圧縮ポンプ1600が各浮上作用体へスムースに給気可能なように、各種公知の弁を給気塔1500等の任意箇所に設けるものとしてもよい。
【0017】
第二の浮上作用体1400が充分に気体を貯め込むまでは浮上しないように、浮上止1460が備えられている。浮上止1460は、第二の浮上作用体1400の頭頂部を一定程度押圧することで、第二の浮上作用体1400の浮上力に抗するものとし、その浮上力が一定以上になれば浮上止1460の押圧力が敗北して第二の浮上作用体1400の浮上力が打ち勝って、上昇を開始するものとする。
【0018】
このため、浮上止1460は、例えばバネの先端にローラ(または滑車や車輪)を備えた構造としてもよい。バネ力が勝る間は第二の浮上作用体1400の浮上が抑えられる。また、第二の浮上作用体1400が上方から沈下してくる場合に浮上止1460が障害とならないように、第二の浮上作用体1400の底部乃至側面において浮上止1460と当接する箇所をテーパ形状1410としても良い。
【0019】
また、本実施例の重力下物流動力機1000は図1に示すように、第一の浮上作用体1300の上下動をガイドするためのガイドバー1350と、第二の浮上作用体1400との上下動をガイドするためのガイドバー1450を備える。第一の浮上作用体1300とガイドバー1350とはガイド係止1340で殆ど抵抗無く上下摺動可能なように連結されており、第二の浮上作用体1400とガイドバー1450とはガイド係止1440で殆ど抵抗無く上下摺動可能なように連結されている。
【0020】
また、図1においては第一の浮上作用体1300が浮上した状態であり第二の浮上作用体1400が沈下した状態を示しているが、第二の浮上作用体1400が充分に空気を貯め込むと上昇を開始するとともに第一の浮上作用体1300が沈下していく。これにより、上述した説明での第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とが入れ替わって、ちょうど逆で同じ動作や作動が繰り返し行われるものとなるので、図1には示していない上下位置が逆の場合について以下に簡単に説明する。
【0021】
第一の浮上作用体1300は、その頭頂部に設けられた空気逃がし弁1320が空気逃し弁開放バー1330により押圧開放されることにより、内部の気体を上部気体室1110へと排出した後、第二の浮上作用体1400が上昇する反作用で下降を開始する。ある程度下降すると、テーパ形状1310が浮上止1360の先端ローラに当接し、ローラ回転による低抵抗状態で、テーパ形状1310に沿って浮上止1360の軸が縮退するか湾曲しつつ、第一の浮上作用体1300がさらに沈下し、底部まで沈下すると浮上止1360の縮退または湾曲が開放されて、第一の浮上作用体1300の頭頂部を浮上止1360が押さえるものとする。
【0022】
ガイドバー1350に沿って底部まで沈下した第一の浮上作用体1300には、給気方向指示弁1610が第一の浮上作用体1300側へと切替わり(このため当該第一の浮上作用体1300が底部に位置したことを検知するセンサを備えても良い)圧縮ポンプ1600から給気塔分岐路1500Aと逆止弁1370を介して給気されることができる。一方、第二の浮上作用体1400は、ガイドバー1450に沿って上昇し、空気逃がし弁1420が空気逃し弁開放バー1430により押圧開放されることにより、その内部に貯めた気体を、さらなる上昇浮力を失うまで放出するものとする。そして、上述した動作を繰り返すものとする。
【0023】
図2は、第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とのロープーウェーまたはケーブルカーのような二つの浮上作用体のワイヤー(またはチェーン等でも可)を介した連結状態を説明するための構成概念図である。図2においては、二つの浮上作用体のワイヤーを介した連結状態の説明にフォーカスするため、例えば図1に示したような他の構成要素の記載は省略している。
【0024】
図2に示すように本実施例の重力下物流動力機1000は、第一の浮上作用体1300と第二の浮上作用体1400とはワイヤー1730に対向する位置で、それぞれ係止具1340,1440で係止固定されている。そして、第一の浮上作用体1300が下降する場合には係止具1340もその係止固定先に位置するワイヤー1730とともに下降する。ワイヤー1730は上滑車1710と下滑車1720に懸架されており、係止具1340の係止固定先に位置するワイヤー1730が下降する場合には、その対向位置に配置された係止具1440の係止固定先に位置するワイヤー1730が上昇する。
【0025】
すなわち、係止具1440の上昇とともに第二の浮上作用体1400が上昇することとなる。なお、上滑車1710と下滑車1720に替えて歯車や各種ギアを採用するものとしても良い。
【0026】
また、図3は、二つの浮上作用体の上下動から動力を取り出すためのチェーン構造概要について説明する概念図である。図3においては、動力取り出し機構と構造概要の説明にフォーカスするため、図1図2等で示した他の構成要素や部品の記載は省略している。図面に記載していない物も含め種々の複数部品を空間効率良く配置するため、構造のレイアウト配置は適宜調整して最適化するものとしても良い。
【0027】
図3において、不図示の第一の浮上作用体1300はチェーン1850に係止固定されており、不図示の第二の浮上作用体1400はチェーン1860に係止固定されているものとする。チェーン1850はギア1810に懸架されており、ギア1810はワンウェイベアリング(不図示)を介して出力軸1800に連結されている。また、チェーン1850はギア1820に懸架されており、ギア1820はベアリング(不図示)を介して補助軸1880に連結されている。これにより、不図示の第一の浮上作用体1300がその浮上力によって上昇した場合に、チェーン1850が一方向に駆動されてその駆動力がギア1810とワンウェイベアリングとを介して出力軸1800の回転力として出力される。一方、不図示の第一の浮上作用体1300がその下降する場合に、チェーン1850が逆方向に駆動されるが、その駆動力はワンウェイベアリングによってスルーされてギア1810が空回りフリー状態(すなわち出力軸1800への駆動力伝達は生じない)となる。ちょうど自転車のペダルを漕いだ場合に、前進方向にのみ駆動力が車輪に伝達されるが、逆向きにペダルを回してもスルーしてペダルが空回りフリーとなる機構と同等である。
【0028】
同様に図3において、チェーン1860はギア1830に懸架されており、ギア1830はワンウェイベアリング(不図示)を介して出力軸1800に連結されている。また、チェーン1860はギア1840に懸架されており、ギア1840はベアリング(不図示)を介して補助軸1880に連結されている。これにより、不図示の第二の浮上作用体1400がその浮上力によって上昇した場合に、チェーン1860が一方向に駆動されてその駆動力がギア1830とワンウェイベアリングとを介して出力軸1800の回転力として出力される。一方、不図示の第二の浮上作用体1400がその下降する場合に、チェーン1860が逆方向に駆動されるが、その駆動力はワンウェイベアリングによってスルーされてギア1830が空回りフリー状態(すなわち出力軸1800への駆動力伝達は生じない)となる。ちょうど自転車のペダルを漕いだ場合に、前進方向にのみ駆動力が車輪に伝達されるが、逆向きにペダルを回してもスルーされてペダルが空回りフリーとなる機構と同等である。
【0029】
なお、図3を用いた上述の説明において、各浮上作用体が下降する場合には、チェーンとの係合が解除されてチェーンとはフリーに各浮上作用体のみが下降するものとし、各浮上作用体が上昇する場合にのみチェーンに係合ロックされてチェーンを上方へ引っ張りながら上昇するような、一方向のみのロック係合機構を採用するものとしても良い。
【0030】
また図4は、重力下物流動力機1000の給気塔1500のレイアウト配置例を説明するために、側面方向から観察した場合の一部透過させた配置概要を示す図である。図4から理解できるように、給気塔1500は背面側から正面側へと斜めにレイアウト配置されるものとできる。これにより、その正面側には動力軸1800や補助軸1880並びにギア1810,1820,1830,1840とチェーン1850,1860を配置することも可能であるし、さらには不図示のワイヤー1730は上滑車1710と下滑車1720等の配置もさらに容易となる。出力軸1800の回転駆動力は、そのまま直接または各種ギヤやプロペラシャフト等の伝達機構を介して、タービン発電機を稼働させるための回転動力として利用することで、安定したエコな発電が可能である。
【0031】
この発明では、給気塔1500の気体の通過方向は上方から下方へと一方向のみを利用していることが好ましい。一方、下方から上方への気体の移動は、原則すべて気体を貯め込んだ各浮上作用体1300,1400の浮上に基づくものとすることが好ましい。このため、給気塔1500には、上方から下方へと一方向のみ気体のを通過を許容し、下方から上方への気体の移動・通過を制限する逆止弁等を設けるものとしても良い。
【0032】
本発明にかかる重力下物流動力機は、内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へと上昇し、該貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下する第一の浮上作用体と、内部に貯め込んだ気体の浮力で水底から水上へ上昇し、該貯め込んだ気体を排出してから水底へ沈下し、該第一の浮上作用体と互いに逆方向に移動するように第一の浮上作用体と連結された第二の浮上作用体と、該第一の浮上作用体と該第二の浮上作用体との各浮上中において、その上昇動作で出力軸を回転させるように各々連結された一対のチェーン及び歯車と、該第一の浮上作用体と該第二の浮上作用体と該チェーン及び歯車と該出力軸を収容して液体が満たされた筐体と、を備え、該出力軸の一端は、その回転力を外部へ取り出せるように該筐体から露出されることを特徴とする。
【0033】
これにより、液体中の浮上作用体の内部に注入された気体の上昇力がチェーンを介してワンウェイベアリング及び歯車(ギア)に伝達されて出力軸の回転力として取り出すことが可能となる。第一の浮上作用体と第二の浮上作用体とは交互に上昇と下降とを繰り返すものであり、第一の浮上作用体が上昇している場合には第二の浮上作用体が下降し、第一の浮上作用体が下降している場合には第二の浮上作用体が上昇するものとし、ちょうどケーブルカーやロープウェイのような仕組みを採用することもできる。
【0034】
第一の浮上作用体が最上部まで上昇すると頭頂部の排気口が開放されて内部に貯め込まれていた気体が排出される。排出された気体は給気塔を介して最下部に位置する第二の浮上作用体の内部へと供給されるものとできる。第一の浮上作用体の排気はちょうどその比重が液体と同一となるようにまで排気されることが好ましい。すなわち、排気が完了した第一の浮上作用体は、上昇もせず下降もせず液体中を自然状態で漂うことが可能な程度とされることが好ましい。このため、排気が完了した第一の浮上作用体においてもその自重に対応する程度の浮力を生じるための若干の気体が残留していることが好ましい。
【0035】
そして、第一の浮上作用体の排気工程とともに同時進行で第二の浮上作用体への給気が行われる。第一の浮上作用体から気体が排気される筐体上部空間と第二の浮上作用体への給気が行われる下部空間とは給気塔で連通されており気体が自在に通じるものとなっている。このため、例えば第一の浮上作用体の排気工程により上部空間の気体圧が高くなった場合でも、下部空間にその気体圧が伝達されて、第二の浮上作用体への給気がスムースに行われるものとする。第二の浮上作用体への給気が完了すれば、今度は第二の浮上作用体が上昇を始めるとともに第一の浮上作用体が下降を始めるものとする。
【0036】
そうすると、液体中の第二の浮上作用体の内部に注入された気体の上昇力がチェーンを介してワンウェイベアリング及び歯車(ギア)に伝達されて出力軸の回転力として取り出すことが可能となる。
【0037】
そして、第二の浮上作用体が最上部まで上昇すると頭頂部の排気口が開放されて内部に貯め込まれていた気体が排出される。排出された気体は給気塔を介して最下部に位置する第一の浮上作用体の内部へと供給されるものとできる。第二の浮上作用体の排気はちょうどその比重が液体と同一となるようにまで排気されることが好ましい。すなわち、排気が完了した第二の浮上作用体は、上昇もせず下降もせず液体中を自然状態で漂うことが可能な程度とされることが好ましい。このため、排気が完了した第二の浮上作用体においてもその自重に対応する程度の浮力を生じるための若干の気体が残留していることが好ましい。このようにして、第一の浮上作用体と第二の浮上作用体とが交互に上昇して出力軸を回転させて回転エネルギーを出力する。
【0038】
また、本発明にかかる重力下物流動力機は好ましくは、該第一の浮上作用体と該第二の浮上作用体とに対し、各々水底で内部に貯め込むための気体を給気するための圧縮ポンプをさらに備えることを特徴とする。第一の浮上作用体と該第二の浮上作用体とに各々気体を注入する工程を効率良くかつ確実に遂行するための補助ポンプとして、圧縮ポンプを備えるものとできる。圧縮ポンプは、第一の浮上作用体へ給気するのか、第二の浮上作用体へ給気するのかを選択的に交互に行う自動セレクトレバーを備え、底部へ位置しており給気すべき対象となる浮上作用体に対して選択的に圧縮気体を送気できるものとしても良い。本発明者の試作・研究によれば2~3気圧にまで送気気体圧を高めることで高い効率で稼働させることが可能となる。また、第一の浮上作用体または/及び第二の浮上作用体への給気は、その最大容量の80%にまで気体を充填給気するものとする。
【0039】
また、本発明の重力下物流発電機は、上述の重力下物流動力機の該出力軸から取り出された回転力でタービンを回転させることを特徴とする。これにより、SDGsにも対応して省エネルギーで高効率かつ持続可能な自然に優しい発電を遂行することが可能となる。例えば、小型でEVパーキングにも利用可能であり、蓄電完了や部品の消耗・寿命時には自動停止する構成とすることもできるものである。その他の備品やメンテナンス用具は、筐体の底部であって例えば圧縮ポンプの横に隣接して配置し保管するものとしても良い。
【0040】
さらに本発明者の試作・検討によれば、重力下(引力下)では気体(エアー)重量は相対的に非常に軽いので給気塔を介して自在に各浮上作用体間を回流することが可能であり、エアー漏れ等の非常時や不具合時にでも圧縮ポンプで給気補助することが可能であり、本発明の発電量の方がニュートン法則の重力を利用することで効果が大きいものであり、すなわち使用する液体(典型的には水)と気体の重量差が極めて大きいためより大きなエネルギーを取り出すことも可能なことが見出されている。
【0041】
また、本発明の重力下物流動力機を用いて動力を出力させる方法は、該第一の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに該第二の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、該第一の浮上作用体を浮上させるとともに該第二の浮上作用体沈下させる工程と、該第二の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに該第一の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、該第二の浮上作用体を浮上させるとともに該第一の浮上作用体沈下させる工程と、を有し、該浮上させる工程において該第一の浮上作用体または該第二の浮上作用体の上昇力で該出力軸を回転させることを特徴とする。このような方法は、従来 知られていなかった動力の出力方法であって、本発明者によれば高効率で自然に優しいエネルギーを得ることが可能となる。
【0042】
また、本発明の重力下物流発電機を用いて発電する方法は、該第一の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに該第二の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、該第一の浮上作用体を浮上させるとともに該第二の浮上作用体沈下させる工程と、該第二の浮上作用体の内部に気体を貯め込むとともに該第一の浮上作用体の内部から気体を排出させる工程と、該第二の浮上作用体を浮上させるとともに該第一の浮上作用体沈下させる工程と、を有し、該浮上させる工程において該第一の浮上作用体または該第二の浮上作用体の上昇力で該出力軸を回転させ、該出力軸の回転力でタービン発電を遂行することを特徴とする。本発明者によればこれにより、電気自動車への充電も可能な持続可能な電気エネルギーを得ることが可能となる。また、本発明の小型機はEVパーキング等に利用するものとし、大型機は各浮上作用体の重さを100tを限度として事故時の震度をSL程度に低くするものとし、電力量は基数で対処して増量するものとする。
なお、本発明は、自身の年齢を感じさせないバイタリティで永年に亘りコツコツと自ら研究し工夫し試作し思想を深めて寝食を忘れて打ち込んで没頭してやっと完成された発明であると自ら自負するものであることを高齢の発明者の名誉のために付言しておきたい。
【0043】
本発明に係る重力下物流動力機・重力下物流発電機の構成システム及びその構造/方法等は、上述の説明及び図面に示す形状・構造/方法等に限定されるものではなく、本発明の射程の範囲内において、当業者の知り得る適宜公知または周知の手法等を用いてこれを採用し変形しアレンジし、組み合わせまたは任意にモディファイしても良いものである。
【符号の説明】
【0044】
1000・・・重力下物流動力機、1100・・・筐体、1200・・・液体、1300・・・第一の浮上作用体、1400・・・第二の浮上作用体、1500・・・給気塔、1600・・・圧縮ポンプ。
図1
図2
図3
図4