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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054270
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】発光デバイス及びその製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 33/14 20100101AFI20240409BHJP
   H01L 33/38 20100101ALI20240409BHJP
   H01L 33/30 20100101ALN20240409BHJP
【FI】
H01L33/14
H01L33/38
H01L33/30
【審査請求】有
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024018002
(22)【出願日】2024-02-08
(62)【分割の表示】P 2022180743の分割
【原出願日】2017-05-09
(31)【優先権主張番号】105114622
(32)【優先日】2016-05-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(31)【優先権主張番号】106112918
(32)【優先日】2017-04-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(71)【出願人】
【識別番号】598061302
【氏名又は名称】晶元光電股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Epistar Corporation
【住所又は居所原語表記】21,Li-hsin Rd.,Science-based Industrial Park,Hsinchu 300,TAIWAN
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(74)【代理人】
【識別番号】100135079
【弁理士】
【氏名又は名称】宮崎 修
(72)【発明者】
【氏名】ユ,チョン-フォン
(72)【発明者】
【氏名】ツァイ,チン-ユアン
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ヤオ-ル
(72)【発明者】
【氏名】チュン,シン-チャヌ
(72)【発明者】
【氏名】リー,シィ-チャン
(72)【発明者】
【氏名】リャオ,ウェン-ルー
(72)【発明者】
【氏名】チアン,チョン-シン
(72)【発明者】
【氏名】フアン,クオ-フォン
(72)【発明者】
【氏名】トン,シュ-シュアン
(72)【発明者】
【氏名】チョン,フン-タ
(72)【発明者】
【氏名】チャン,ユン-フ
(57)【要約】      (修正有)
【課題】発光デバイス及びその製造方法を提供する。
【解決手段】発光デバイスは、基板111と、前記基板の上方に位置する反射層109と、前記反射層の上方に位置し、かつ開口106hを有する絶縁層106と、前記絶縁層の上方に位置し、活性領域104bを含み、かつ上表面を有する発光積層104と、前記発光積層の前記上表面の第一部分を被覆し、前記上表面の第二部分を露出させる非透光層114を含み、前記第二部分が前記開口の真上に位置する。
【選択図】図1T
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光デバイスであって、
基板と、
第一半導体層、活性領域及び第二半導体層を含み、かつ、前記第二半導体層が第一厚さを有する第一領域及び前記第一厚さより大きい第二厚さを有する第二領域を含む発光積層と、
前記発光積層上に位置する第一接触層と、
前記第二領域に位置し、かつ、前記発光積層の積層方向において前記第一接触層と重ならない第二接触層とを含む、発光デバイス。
【請求項2】
前記第二接触層の厚さは20nm以上、かつ0.5μm以下である、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項3】
前記第二接触層と接触する第一透明導電層をさらに含む、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項4】
前記第一領域は前記活性領域から離れた第一表面を有し、
前記第二接触層は前記活性領域から離れた第二表面を有し、
前記第一表面よりも前記第二表面の方が前記活性領域から離れている、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項5】
前記積層方向における前記第一表面と前記第二表面との距離は50nm以上、かつ200nm以下である、請求項4に記載の発光デバイス。
【請求項6】
前記第二領域は第一幅を有し、
前記第二接触層は前記第一幅より小さい第二幅を有する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項7】
前記第一接触層に形成された孔をさらに含み、前記孔は前記第二領域に対応する、請求項1に記載の発光デバイス。
【請求項8】
前記孔の中に位置する保護層をさらに含む、請求項7に記載の発光デバイス。
【請求項9】
前記第一接触層上に位置する電極をさらに含み、前記積層方向において前記電極は前記第二接触層と重ならない、請求項1に記載の発光デバイス。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は発光デバイス及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発光ダイオード(Light‐Emitting Diode:LED)は、エネルギー消費が低い、操作寿命が長い、防震、体積が小さい、反応速度が速い、及び出力する光の波長が安定的であるなどの特徴を有するため、多様な用途に適用されている。最近、一般的な照明に応用されるほか、産業上の応用がさらに進んでおり、例えば、産業上の計数(counter)、検知(sensor)などに用いられている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
発光デバイス及びその製造方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0004】
発光デバイスは、基板と、上記基板の上方に位置する反射層と、上記反射層の上方に位置し、かつ第一開口を有する絶縁層と、上記絶縁層の上方に位置し、活性領域を含み、かつ上表面を有する発光積層と、上記発光積層の上記上表面の第一部分を被覆し、上記上表面の第二部分を露出させる非透光層とを含み、上記第二部分が上記第一開口の真上に位置する。
【0005】
発光デバイスの製造方法は、活性領域を含む発光積層を形成するステップと、上記発光積層の上方に位置し、かつ第一開口を有する絶縁層を形成するステップと、上記絶縁層の上方に位置する反射層を形成するステップと、基板を提供するステップと、上記反射層が上記基板と上記発光積層との間に位置するように、上記基板と上記発光積層を接合させるステップと、上記発光積層の上記基板と接合する方向の反対側において、上記発光積層の表面の第一部分を被覆するとともに上記表面の第二部分を露出させるように非透光層を形成するステップとを含み、上記第二部分の位置が上記絶縁層の上記第一開口位置と対応する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1A】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1B】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1C】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1D】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1E】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1F】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1G】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1H】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1I】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1J】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1K】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1L】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1M】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1N】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1O】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1P】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1Q】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1R】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1S】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図1T】本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示す概略図である。
図2】本発明の第一実施例の発光デバイスを示す上面概略図である。
図3】本発明の第一実施例において、第二接触層の厚さがそれぞれ0.2μm及び1μmの場合、第一開口の直径サイズ(水平軸)の各条件にそれぞれ対応する発光デバイスの発光パワー(Po、左側の垂直軸)及び順電圧(Vf、右側の垂直軸)を示す分布図である。
図4】本発明の第一実施例において、発光デバイスが同じパルスモードで出光する場合、多重量子井戸構造がそれぞれ18、38、及48個の井戸層(well)を含む条件にそれぞれ対応する、比較的に高い電流(300mA)の発光パワー(Po、右側の垂直軸)及び発光パワー比例(左側の垂直軸)を示す分布図である。
図5】本発明の第一実施例において、発光デバイスが同じパルスモードで出光する場合、多重量子井戸構造が含むバリア層(Barrier)がそれぞれ異なるアルミニウム(Al)含有量を有する条件に対応する、比較的に高い電流(300mA)の発光パワー(Po、右側の垂直軸)及び発光パワー比例(左側の垂直軸)を示す分布図である。
図6】本発明の第二実施例の発光デバイスを示す断面概略図である。
図7】本発明の第三実施例の発光デバイスを示す断面概略図である。
図8A】本発明の第四実施例の発光デバイスを示す断面概略図である。
図8B】本発明の第四実施例の発光デバイスを示す上面概略図である。
図9】本発明の第五実施例の発光デバイスを示す断面概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施例において、発明の概念について図面を参照しながら説明するが、図面または説明における類似または同一部分に同一符号を付与し、かつ、図面において、素子の形状または厚さを拡大及び縮小することがある。特に注意すべきなのは、図面に示されていないまたは明細書に記載されていない素子は、当業者に知られている形式であってもよい。
【0008】
図1Aから図1Tは本発明の第一実施例の発光デバイス及びその製造方法を示すものである。図1Aが示すように、まず、例えば砒化ガリウム(GaAs)である成長基板101を提供し、そして、その上に緩衝層102、第一接触層103、発光積層104を順に形成する。なお、緩衝層102は後の成長基板101除去ステップにおいてエッチングを阻止できるもの、または成長基板よりもエッチングされにくいものであるため、エッチング方法によって、例えばウェットエッチングでは、緩衝層102として成長基板101とのエッチング速度の差が比較的に大きい材料を選択することが可能であり、例えば、成長基板101が砒化ガリウム基板である場合、緩衝層102の材料はリン化インジウムガリウム(InGaP)または砒化アルミニウムガリウム(AlGaAs)を選択することができる。本発明の一部の実施例において、同じエッチング液に対する成長基板101と第一接触層103のエッチング速度に明らかな差がある場合、例えば、成長基板101のエッチング速度が第一接触層103のエッチング速度より少なくとも2数値階級大きい、または第一接触層103のエッチング速度が成長基板101のエッチング速度より少なくとも2数値階級大きい場合、この緩衝層102を設けなくてもよい。第一接触層103は、例えば10‐3Ω‐cmよりも小さい低接触抵抗を提供することが可能であり、その材料は例えばn型ドーピングの砒化ガリウム(GaAs)であり、かつそのドーピング濃度が1×1018(/cm)より高くてもよい。発光積層104は、第一極性半導体層104a、第二極性半導体層104c、及び第一極性半導体層104aと第二極性半導体層104cとの間に位置する活性領域104bを含む。第一極性半導体層104aと第二極性半導体層104cは極性が異なり、例えば、第一極性半導体層104aがn型半導体層であり、第二極性半導体層104cがp型半導体層である。第一極性半導体層104a、活性領域104b及び第二極性半導体層104cはIII-V族材料によって形成され、例えば、リン化アルミニウムガリウムインジウム系材料である((AlGa(1-y)1-xInP、かつ、0≦x≦1、0≦y≦1である)。
【0009】
続いて、図1Bが示すように、発光積層104上に、低接触抵抗の第二接触層105を形成し、例えば、10‐3Ω‐cmより小さく、その材料が例えば、リン化ガリウム(GaP)である。本実施例において、第二接触層105の厚さは厚すぎない方が良く、例えば1.5μm以下であり、または第二接触層105の厚さが約0.1μmから0.5μmの間にある。次に、図1Cが示すように、第二接触層105上に絶縁層106を形成し、絶縁層106の屈折率が発光積層104の等価屈折率より小さくもよい。絶縁層106の材料は、酸化ケイ素(SiO)、フッ化マグネシウム(MgF)、及び窒化ケイ素(SiN)からなる群から選択される一つの材料を含み、絶縁層106の厚さは約50nmから300nmの間にあり、または絶縁層106の厚さが約100nmから200nmの間にある。続いて、図1Dが示すように、黄色光及びエッチング工程によって、絶縁層106において、絶縁層106を貫通する第一開口106hを形成し、絶縁層106から発光積層104の方向に見た場合、第一開口106hは略円形(図示せず)であり、かつ直径Dを有し、直径Dは約20μmから150μmの間にあり、また、直径Dは約40μmから90μmの間にある。
【0010】
続いて、図1Eが示すように、第一開口106hの中を覆うように、絶縁層106上に第一透明導電層107を形成し、第一開口106hによって第一透明導電層107と発光積層104が電気的に接続される。第一開口106hのサイズを調整することにより、発光積層104へ提供する電流の大きさを制御できる。そして、図1Fが示すように、第一透明導電層107上に第二透明導電層108を形成し、その材料が第一透明導電層107の材料と異なり、さらに形成方法が異なってもよい。なお、第二透明導電層108は、横方向(即ち、発光積層104の積層方向と垂直な方向)の電流の拡散を促進する機能、または透光層としての機能を有してもよい。透光層としての機能を考量して、第二透明導電層108は屈折率が発光積層104より低い材料を選択してもよい。横方向の電流拡散の機能を提供することから考えて、第二透明導電層108の厚さが第一透明導電層107の厚さよりも厚く、例えば、絶縁層106から第二透明導電層108の方向へ見て、第一透明導電層107の厚さが約25Åから200Åの間にあり、または40Åから60Åの間にあり、第二透明導電層108の厚さが約25Åから2000Åの間にあり、または600Åから1000Åの間にあってもよい。本発明の別の実施例において、第二透明導電層108を形成せず、第一透明導電層107の厚さを大きくして、第二透明導電層108の機能を代替してもよい。第一透明導電層107と第二透明導電層108はそれぞれ酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)、酸化アルミニウム亜鉛(Aluminum Zinc Oxide、AZO)、酸化カドミウムスズ、酸化アンチモンスズ、酸化亜鉛(ZnO)、酸化亜鉛スズ、酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、 IZO)及びグラフェン(Graphene)からなる群から選択される一つの材料を含む。本実施例において、第一透明導電層107の材料は酸化インジウムスズ(Indium Tin Oxide、ITO)であり、第二透明導電層108の材料は酸化インジウム亜鉛(Indium Zinc Oxide、IZO)である。第一透明導電層107は電子銃(E-gun)によって形成され、第二透明導電層108はスパッタリング(Sputtering)によって形成されてもよいが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、第一透明導電層107と第二透明導電層108に同じ形成方法を用いてもよい。また、第二透明導電層108の密度は第一透明導電層107の密度と同じでも異なってもよく、本実施例において、第二透明導電層108は第一透明導電層107より緻密であり、即ち、第二透明導電層108の密度が第一透明導電層107の密度より高く、上記横方向の電流拡散に有利である。
【0011】
続いて、図1Gが示すように、発光積層104が発する光線を反射するために、第二透明導電層108上に反射層109を形成し、本実施例において、反射層109は発光積層が発する光線に対し85%を超える反射率を有し、かつ、反射層109は金属材料、例えば金(Au)または銀(Ag)を含んでもよい。
【0012】
続いて、図1Hが示すように、反射層109上に第一接合層110aを形成し、及び第一接合層110a上に第二接合層110bを形成する。図1I図1Hを逆転させた状態を示す。次に、図1Jが示すように、永久基板111を提供し、かつ永久基板111上に第三接合層110cを形成し、その後、第三接合層110cと第二接合層110bを接合させ(bonding)、接合後の状態は図1Kが示す通りである。第一接合層110a、第二接合層110b及び第三接合層110cが接合構造110を形成する。接合構造110は融点が300℃以下の低温融合材料、例えば、インジウム(In)またはスズ(Sn)を含んでもよい。本実施例において、第一接合層110aの材料が金(Au)であり、第二接合層110bの材料が低温融合材料インジウム(In)であり、第三接合層110cの材料が金(Au)であり、ある低温、例えば、300℃以下の温度において、この第一接合層110a、第二接合層110b、及び第三接合層110cが共晶(eutectic)反応によって合金を形成し、かつ接合して接合構造110となり、接合構造110がインジウム(In)及び金(Au)の合金を含む。別の実施例において、第三接合層110c上に第二接合層110bを形成して、さらに第一接合層110aと接合して接合構造110を形成してもよい。続いて、図1Lが示すように、成長基板101を除去する。本実施例では、エッチング方法としてウェットエッチングを用いて成長基板101を除去し、エッチング液として、例えばアンモニア水(NH・HO)及びオキシドール(H)のエッチング液を選択した場合、リン化インジウムガリウム(InGa1-xP、0≦x≦1)を含む緩衝層102は成長基板101よりもエッチングされにくいため、成長基板101を除去する過程で発光積層104を損傷しないよう制御できる。そして、リン化インジウムガリウム((InGa1-xP、0≦x≦1)を含む緩衝層102は、発光積層104が発する光を吸収する可能性があるため、さらに除去を行ってもよい。除去後の状態は図1Mが示す通りである。
【0013】
次に、図1Nが示すように、第一接触層103上に、第一接触層103を貫通する第二開口Hを形成し、第一接触層103から永久基板111の方向に見た場合、第二開口Hは略円形であり(図2を参照、詳しくは後に説明する)、かつ直径Dを有する。直径Dは約20μmから150μmの間にあり、または40μmから90μmの間にある。具体的には、第二開口HはA-A’線(即ち、発光積層104の積層方向に垂直な方向)に沿って断面積を有する。本実施例において、第二開口Hは黄色光及びエッチング方法によって形成される。次に、図1Oが示すように、第一接触層103上に上接触層112を形成し、かつ上接触層112を貫通するまで第二開口Hを延伸させる。本実施例において、上接触層112は合金、例えばゲルマニウム(Ge)、金(Au)、及びニッケル(Ni)など三種類の金属の合金を含む。そして、図1Oが示すように、黄色光及びエッチング工程によって、上接触層112から第二接触層105までの各層の外周の一部を除去し、絶縁層106の一部を露出させる。続いて、図1Pが示すように、前記外周の一部が除去されて形成される構造の側壁上に、側壁絶縁層113を形成する。側壁絶縁層113は絶縁材料、例えば窒化ケイ素(Si)または酸化ケイ素(SiO)を含み、本実施例において、側壁絶縁層113は窒化ケイ素(Si)と酸化ケイ素(SiO)を含む積層である。その形成方法として、まず、前記構造上に窒化ケイ素(Si)と酸化ケイ素(SiO)の積層を形成し、次に黄色光及びエッチング工程によってその一部を除去するが、前記側壁上に少なくともこの側壁絶縁層113を残すまたは形成する。図1Pが示すように、本実施例において、前記露出された絶縁層106上及び一部の上接触層112上にも側壁絶縁層113が形成される。
【0014】
次に、図1Qが示すように、図1Pの構造上に上電極114を形成する。上電極114の材料は金属材料を含み、本実施例において、電子ビーム蒸着(E-beam evaporation)の方法で形成されたチタン(Ti)/プラチナ(Pt)を含む積層である。別の実施例において、上電極114はプラチナ(Pt)を含まず、上電極114はチタン(Ti)によって組成され、さらに別の実施例において、上電極114はチタン(Ti)と金(Au)を含む。かつ、形成後、第二開口Hに略対応する一部のチタン(Ti)/プラチナ(Pt)の積層を除去し、上電極114を貫通するまで第二開口Hを延伸させる。上電極114は電極であると同時に、本発光デバイスを被覆する非透光層でもある。上電極114が発光積層104の上方に位置するため、発光積層104の上表面において言えば、第二開口Hに対応する領域は発光デバイスの出光領域であり、つまり、本発明の発光デバイスが発する光は、出光孔である第二開口Hから出光し、上電極114に被覆されず露出している発光積層104の上表面の一部領域が発光デバイスの出光領域であり、かつ上電極114は発光積層104の上表面のその他の部分を被覆している。その他、上電極114によって構成される非透光層は、さらに発光積層104の側壁を被覆し、前記側壁絶縁層113は上電極114によって構成される非透光層と発光積層104の側壁との間に位置し、発光積層104がショートして失効することを防ぐ。また、一実施例において、出光孔(即ち、第二開口H)の大きさ、形状及び位置を予め設定し、第一開口106hの大きさ、形状及び位置を第二開口Hと略対応するようにして、第一開口106hを第二開口Hの真下に位置させ、かつ、第一開口106hの大きさ及び/または形状と第二開口Hの大きさ及び/または形状とが同じ設計であってもよい。具体的には、図1Dが示す第一開口106hを形成する前に、即ち、予め第二開口Hの各パラメータ(例えば、上記大きさ、形状及び位置などのパラメータ)を設定してから、第一開口106hの対応するパラメータを決定し、形成する。
【0015】
また、上電極114の材料によって側壁絶縁層113上に形成するのが難しいことから、上電極114の厚さが薄すぎる場合があるため、本実施例において、図1Rが示すように、金属層114Sを形成することにより、側壁絶縁層113上の上電極114の厚さ不足を補うことができる。金属層114Sは、化学メッキ方法を用いて上電極114上に形成された、例えば、図1Qが示す構造を金属材料(例えば金(Au)、銀(Ag)、チタン(Ti)またはプラチナ(Pt)、本実施例では金(Au))を含む溶液中に浸し、かつ酸化還元の反応によって形成された金属材料層を含んでもよい。つまり、金属層114Sは金(Au)層を含んでもよい。そして、第二開口Hに略対応する一部の金(Au)層を除去し、金属層114Sを貫通するまで第二開口Hを延伸させる。本発明の一実施例において、発光デバイスを被覆する非透光層とするために、上電極114の厚さを少なくとも100Åより大きくしなければならない。本実施例において、上電極114のチタン(Ti)、プラチナ(Pt)及び金属層114Sの金(Au)層の厚さはそれぞれ約200Åから400Åの間、2μmから4μmの間、及び2000Åから4000Åの間にある。
【0016】
続いて、図1Sが示すように、図1Rが示す構造上に保護層115を形成する。保護層115は第二開口Hを囲む側壁に沿って第二開口H内に形成され、保護層115の内径によって構成された孔の直径はDである。保護層115の材料は絶縁材料であり、例えば窒化ケイ素(Si)または酸化ケイ素(SiO)である。形成した後、図1Tが示すように、一部の保護層115を除去し、第三開口115hを形成して、かつ永久基板111上に下電極111Eを形成する。第三開口115hは一部の金属層114Sを露出させて(本発明の金属層114Sを有しない別の実施例では、一部の上電極114を露出させることになる)、ハンダパッドとして、外部電源に繋がる配線と金属層114S(または上電極114)を接続させる。
【0017】
図1Tは本発明の第一実施例の発光デバイスの概略図であり、図2図1Tの上面概略図であり、二つの図を同時に参照すると、本発光デバイスは永久基板111、永久基板111の上方に位置する接合構造110、接合構造110の上方に位置する反射層109、反射層109の上方に位置する絶縁層106を含み、さらに、絶縁層106は第一開口106hを有し、第一透明導電層107は絶縁層106の第一開口106hの中に形成され、かつ第一開口106hによって第二接触層105と直接接触し、発光積層104と電気的に接続する。第一開口106h中に位置し、かつ第二接触層105と直接接触している第一透明導電層107は電流伝導領域であり、電流伝導領域は第二開口H及び発光積層104の上表面の第二部分の真下に位置し、電流伝導領域によって電流が発光積層104に流れることができる。具体的には、第一透明導電層107と第二接触層105の間の接触抵抗は、絶縁層106と第二接触層105の間の接触抵抗より小さく、例えば、2数値階級小さいまたは5数値階級小さい。好ましくは、第一透明導電層107と第二接触層105の接触抵抗が10‐3から10‐5Ωcmの間にある。非電流伝導領域である絶縁層106は第二接触層105を囲んでいる。発光積層104は絶縁層106の上方に位置し、発光積層104は活性領域104bを含み、かつ上表面(図2を参照、破線で示す長方形の構成領域)を有し、及び、上電極114によって構成される非透光層が発光積層の上方に位置し、なお、上電極114によって構成される非透光層が発光積層104の上表面の第一部分を被覆し、即ち、第二開口H以外の部分(図2を参照、破線で示す円形以外の構成領域)を被覆し、かつ上表面の第二部分を露出させ、第二部分とは第二開口Hの真下に位置する部分(図2を参照、破線で示す円形構成領域)である。即ち、発光積層104の上表面において、第二開口Hの真下の第二部分以外の領域は、全て上電極114によって構成される非透光層に被覆される。発光積層104が発する光は、その上表面の第二部分及び第二開口Hから出る。第二開口Hの断面積と発光積層104の上表面の面積との比率は約1.5~5%である。図2が示すように、ハンダパッドは通常上電極114に被覆された第一部分上に形成され、具体的には、発光積層104と電気的に接続できるよう、第三開口115h中に形成され、かつハンダパッドは一般的に長方形または正方形である。第三開口115hは、その長方形の短辺または正方形の任意の辺が少なくとも約80μmである。具体的には、発光積層104の上表面の第一部分の面積が第二部分の面積より大きい。第一透明導電層107は絶縁層106の第一開口106h中に充填され、かつ、第二接触層105と直接接触することにより発光積層104と電気的に接続する。絶縁層106中の第一開口106hの大きさ、形状及び位置が第二開口Hと略対応するように形成されるため、第一開口106hの断面積と発光積層104上表面の面積の比率が約1.5~5%である。
【0018】
図3は、本発明の実施例において、発光デバイスの第二接触層105の厚さがそれぞれ0.2μm及び1μmの場合、第一開口106hの直径サイズの各条件(水平軸)にそれぞれ対応する発光デバイスの発光パワー(Po、左側の垂直軸)及び順電圧(Vf、右側の垂直軸)を示すものである。図3が示すように、発光デバイスの発光パワー及び順電圧は第一開口106hの大きさによって変化し、即ち、素子設計上に予測可能性及び制御性があり、第一開口106hの大きさを調整することによって、異なるニーズに対応可能である。さらなる実験結果から、第二接触層105の厚さが1.5μmより大きいことが好ましくないことがわかった。第二接触層105の厚さが厚すぎる場合、例えば1.5μmの場合、絶縁層106の電流抵抗の効果が第一開口106hの直径サイズに従って変化しにくくなり、そうなった場合、発光デバイスの発光パワー及び順電圧が第一開口106hの直径サイズに従って変化することが不明確になり、第一開口106hの直径サイズを調整することによって発光デバイスの発光パワー及び順電圧等を制御または予測することが難しくなる。
【0019】
また、発光デバイスは、一般の電流値(本実施例において、例えば50mAである)条件で操作可能であるほか、素子の異なる応用によって、一部の応用では発光デバイスを比較的に高い電流値(本実施例において、例えば300mA)条件で操作し、かつパルスモードで出光すること(pulse mode、即ち、発光デバイスの出光が時間と共に断続して変化する形、非連続である)が求められる。本実施例の発光デバイス構造は、上記二つの状態を共に満足することが可能である。図4は、本発明の実施例において、活性領域104bが多重量子井戸(MQW)構造である発光デバイスが同じパルスモードで出光する場合、多重量子井戸構造がそれぞれ18、38、及び48個の井戸層(well)を含む条件において、比較的に高い電流(300mA)の発光パワー(Po、右側の垂直軸)及び発光パワー比例(左側の垂直軸、発光デバイスが同じパルス出光方式において、発光デバイスの比較的に高い電流操作での発光パワーが一般の電流操作での発光パワーに対する比例)を示すものである。図4が示しように、多重量子井戸構造がそれぞれ38及び48個の井戸層を含む時、発光パワー比例が2.8以上まで高くなる。さらなる実験結果から、多重量子井戸(MQW)構造が30~50個の井戸層を含む場合、発光パワー比例はいずれも2.6以上に達することがわかった。
【0020】
図5は、上記実施例の発光デバイスにおいて、活性領域104bが多重量子井戸(MQW)構造である発光デバイスが同じパルスモードで出光する場合、多重量子井戸構造中のリン化アルミニウムガリウムインジウム系((AlGa(1-y)1-xInP、かつ、0≦x<1、0≦y≦1)材料のバリア層(Barrier)がそれぞれ30%、50%、及び70%のアルミニウム(Al)含有量(アルミニウム(Al)とガリウム(Ga)組成中にアルミニウム(Al)が占める比例を指し、上記式中のyに相当する)を有する条件に対応する、比較的に高い電流(300mA)の発光パワー(Po、右側の垂直軸)及び発光パワー比例(Factor、発光デバイスが同じパルス出光方式において、比較的に高い電流の発光パワーが一般電流の発光パワーに対する比例、左側の垂直軸)を示すものであり、かつ、バリア層が複数層である。図5が示すように、多重量子井戸構造中のバリア層(Barrier)がそれぞれ50%及び70%のアルミニウム(Al)含有量を有する条件で、発光パワー比例が3.1以上まで高くなる。その他の発光デバイスの電気的要求、例えば順電圧の適切範囲を考量して、さらなる実験から、多重量子井戸構造中のバリア層(Barrier)がそれぞれ約40%から60%のアルミニウム(Al)含有量を有する時、良好な発光パワー比例と順電圧を同時に得られる。別の実施例では、複数のバリア層のうち二つのバリア層が異なるアルミニウム含有量を有し、かつ第一極性半導体層104aに近いバリア層のアルミニウム含有量が第一極性半導体層104aから離れているバリア層のアルミニウム含有量より低い。好ましくは、複数のバリア層のうち少なくとも半分以上の、第一極性半導体層104a(即ち、n型半導体層)に近いバリア層が有するアルミニウム含有量が、その他の第二極性半導体層104c(即ち、p型半導体層)に近いバリア層が有するアルミニウム含有量より低い。具体的には、第一極性半導体層104aに近いバリア層は(AlGa1-a1-bInPを含み、第二極性半導体層104cに近いバリア層は(AlGa1-c1-dInPを含み、b≒dの場合、c>aである。一実施例において、多重量子井戸構造は38個のバリア層を含み、かつ、第一極性半導体層104aに比較的に近い前20個のバリア層が(Al0.5Ga0.51-bInPを含み、第一極性半導体層104aから比較的に離れているその他の18個のバリア層、即ち、第二極性半導体層104cに比較的に近い18個のバリア層が(Al0.7Ga0.31-dInPを含み、この実施例では、bとdが約0.5に等しいが、これに限定されない。一実施例において、多重量子井戸構造は38個のバリア層を含み、かつ、第一極性半導体層104aに比較的に近い前28個のバリア層が(Al0.5Ga0.51-bInPを含み、第二極性半導体層104cに比較的に近い前10個のバリア層が(Al0.7Ga0.31-dInPを含み、この実施例において、bとdが約0.5に等しいが、これに限定されない。一実施例において、多重量子井戸構造は38個のバリア層を含み、かつ、第一極性半導体層104aに比較的に近い前36個のバリア層が(Al0.5Ga0.51-bInPを含み、第二極性半導体層104cに比較的に近い2個のバリア層が(Al0.7Ga0.31-dInPを含み、この実施例において、bとdが約0.5に等しいが、これに限定されない。一実施例において、複数のバリア層中のアルミニウム含有量はn型半導体層からp型半導体層への方向に沿って次第に増え、即ち、第一極性半導体層104a(即、n型半導体層)に比較的に近い各バリア層のアルミニウム含有量は、それに隣接する比較的に第二極性半導体層104c(即、p型半導体層)に近いバリア層のアルミニウム含有量より低い。一実施例において、第二極性半導体層104cの添加物は炭素(C)、マグネシウム(Mg)または亜鉛(Zn)を含み、好ましく、添加物はマグネシウムを含む。本発明は、バリア層が異なるアルミニウム含有量を有し、かつn型半導体層に比較的に近いバリア層のアルミニウム含有量がn型半導体から比較的に離れているバリア層のアルミニウム含有量より低いことにより、p型半導体層中のp型添加物が活性領域104bへ拡散、進入することを防止または低減し、さらに、発光デバイスの順電圧を大幅に増加させることなく発光デバイスの信頼性を改善することができる。
【0021】
図6は本発明の第二実施例の発光デバイスの断面概略図である。本発明の第二実施例の発光デバイスに含まれる構造は第一実施例とほぼ同じであり、相違点は以下である。図6が示すように、発光デバイスは第一半導体層116及び第二半導体層117を含み、第一半導体層116は第一接触層103と発光積層104の間に位置し、第二半導体層117は第二接触層105及び発光積層104の間に位置する。第一半導体層116と第二半導体層117は、光取り出しの促進し、及び/または発光積層104全体に電流を拡散するように電流分散を促進するためのものである。第一半導体層116の厚さが第一極性半導体層104aの厚さより厚く、好ましくは、第一半導体層116の厚さは2000nmより大きく、より好ましくは、2500nmから7000nmの間にある。第二半導体層117の厚さは第二極性半導体層104cの厚さより厚く、好ましは、第二半導体層117の厚さは1000nmより大きく、より好ましくは、1500nmから2000nmの間にある。第一半導体層116は、第一極性半導体層104aのエネルギー準位より小さいエネルギー準位を有する。第二半導体層117は、第二極性半導体層104cのエネルギー準位より小さいエネルギー準位を有する。第一半導体層116及び第二半導体層117のエネルギー準位は、活性領域104b中の井戸層のエネルギー準位より大きい。活性領域104bが発した光は実質上第一半導体層116を透過できる。第一半導体層116及び第二半導体層117はそれぞれ1×1017/cmより高いドーピング濃度を有し、かつ第一半導体層116のドーピング濃度は第一接触層103のドーピング濃度より小さく、第二半導体層117のドーピング濃度は第二接触層105のドーピング濃度より小さい。好ましくは、第一接触層103のドーピング濃度は少なくとも第一半導体層116のドーピング濃度の二倍以上である。第二接触層105のドーピング濃度は少なくとも第二半導体層117のドーピング濃度の二倍以上である。第一半導体層116、第二半導体層117、第一接触層103と第二接触層105はIII-V族半導体材料、例えばAlGaAsまたはAlGaInPを含む。図6が示すように、第二接触層105は幅Wを有し、発光デバイスの出光領域の幅との比が0.5以上、かつ1.1以下であり、即ち、同じ断面において、第二接触層105の幅Wと上電極114に被覆されていない領域(即ち、発光積層104の上表面の第二部分)の幅の比が0.5以上、かつ1.1以下である。一実施例において、第二接触層105の幅Wと第二開口Hの直径Dの比(即ち、W/D)は0.5以上、かつ1.1以下である。好ましくは、第二接触層105の幅Wと発光デバイスの出光領域の幅の比は0.55以上、かつ0.8以下である。一実施例において、第二接触層105の幅Wと第二開口Hの直径Dの比(即ち、W/D)は0.55以上、かつ0.8以下である。また、第二実施例において、図6が示すように、第二接触層105は発光デバイスの出光領域の真下に位置し、即ち、上電極114に被覆されていない領域(即ち、発光積層104の上表面の第二部分)の真下に位置する。第二接触層105と第一透明導電層107の間の接触抵抗は、第一透明導電層107と第二半導体層117の間の接触抵抗より遥かに小さく、例えば、2数値階級小さい、または5数値階級小さい。従って、幅Wを有する第二接触層105は電流伝導領域であり、発光積層104へ電流を流すことが可能であるが、第二接触層105と接触せず、かつ第二接触層105を囲んでいる第一透明導電層107のその他の領域は、発光積層104へ電流を流せないまたは流しにくいものである。本実施例において、第二接触層105は第二開口Hの真下に位置する。好ましくは、第二接触層105は発光積層104の積層方向において、上接触層112及び上電極114と重畳しない。本実施例において、図6が示すように、一部の第二半導体層117の厚さがその他の部分の第二半導体層117の厚さより厚く、かつ第二半導体層117の厚さが比較的に厚い部分は出光領域、即ち、上電極114に被覆されていない領域(発光積層104の上表面の第二部分)に対応する。本実施例において、第二半導体層117の厚さが比較的に厚い部分は第二開口Hに対応する。第二接触層105は、第二半導体層117の厚さが比較的に厚い部分上に位置する。具体的には、第二半導体層117の厚さが比較的に薄い部分は発光積層104から離れた表面1171を含み、第二接触層105は発光積層104から離れた表面1051を含み、第二半導体層117の厚さが比較的に薄い部分の表面1171と比べると、第二接触層105の表面1051は発光積層104からもっと離れている。具体的には、第二接触層105の発光積層104から離れている表面1051から第二半導体層117の発光積層104から離れている表面1171までの高さhが50nm以上、かつ200nm以下である。一実施例において、第二接触層105の厚さは20nm以上、かつ0.5μm以下であり、好ましくは、第二接触層105の厚さは20nm以上、かつ0.1μm以下である。第二実施例における発光デバイスは幅Wの第二接触層105を含み、かつ第二接触層105が出光領域の真下に位置するため、電流が発光積層104に流れる時、第二接触層105に対応する領域に電流が集中し易く、電流密度が大きく上昇し、さらに発光デバイスの輝度が向上する。
【0022】
本発明の第二実施例の発光デバイスの製造方法は第一実施例の製造方法と略同じ、相違点は、発光積層104を形成する前に、第一接触層103上に第一半導体層116を形成するステップをさらに含み、かつ、発光積層104を形成した後及び第二接触層105を形成する前に、前記のような第二半導体層117を形成するステップをさらに含む。第二接触層105を形成した後、黄色光及びエッチング工程によって、第二接触層105に幅Wをもたらすように、第二接触層105をパターン化した後、第一実施例の製造方法における第一透明導電層107、第二透明導電層108を形成するなど次のステップを行う。本実施例の製造方法は、第一実施例の製造方法に比べて、絶縁層106を形成する必要がなく、及び黄色光及びエッチング工程を用いて絶縁層106に第一開口106hを形成する必要がないため、製造コストを大幅に低減し、かつ工程がより簡単になる。
【0023】
一実施例において、発光デバイスは第二開口Hを含まず、幅Wを有する第二接触層105は発光デバイスの出光領域の真下に位置し、即ち、上電極114に被覆されていない領域(即ち、発光積層104の上表面の第二部分)の真下に位置する。
【0024】
図7は本発明の第三実施例の発光デバイスの断面図である。本発明の前記各実施例に比べると、本実施例の発光デバイスは、発光積層104の上表面の第二部分上に設けられた導熱層118をさらに含む。詳しく言うと、導熱層118は第二開口Hから露出される発光積層104の上表面上に設けられ、かつ導熱層118は発光積層104より高い導熱係数(thermal conductivity)を有し、発光デバイスの動作時に、発光積層104において発生した熱は導熱層118を介して伝導または放射方式で外部へ発散されるため、第二開口H下方の発光積層104中に熱が蓄積することを低減させ、発光デバイス内部の熱に起因する材料劣化を緩和させ、かつ発光デバイスの使用寿命と信頼性を改善できる。導熱層118は導熱係数が100W/(m×K)以上の材料、例えばダイヤモンド、グラフェン、または導熱係数が約140W/(m×K)~180W/(m×K)である窒化アルミニウム(AlN)を含んでもよいが、本発明はこれに限定されない。より詳しくは、本実施例において、導熱層118は、第二開口Hの側壁に沿って第二開口Hに充填されるとともに、第二開口Hによって露出される第一極性半導体層104aの上を被覆し、かつ第二開口Hから離れる方向に沿って発光デバイスの周囲へ延伸し、金属層114Sまたは上電極114と接触して、発光積層104中に発生した熱が導熱層118を介して金属層114Sまたは上電極114まで伝導される。金属層114S、上電極114は通常は金属であり、導熱係数が高いため、発光デバイス内部の熱は導熱層118及び金属層114Sまたは上電極114を介して排出される。一部実施例において、導熱層118は金属層114Sまたは上電極114と接触しなくてもよく、発光積層104中に発生した熱は導熱層118を介して放射方式で外部へ発散され、または導熱層118が外部導熱構造と接続し、発光積層104中に発生した熱が導熱層118を介して伝導方式で外部へ発散されてもよい。第一実施例と比べて、本実施例中の発光デバイスは、金属層114S上を被覆する保護層115を含むほか、保護層115が導熱層118上を被覆してもよく、本実施例において、保護層115が導熱層118上を完全に被覆してもよい。詳しくいうと、本実施例の導熱層118は頂面118t及び側面118sを有し、頂面118tが発光積層104の上表面と平行であり、側面118sが頂面118tと接続しかつ発光積層104の上表面と非平行であり、保護層115が導熱層118の頂面118t及び側面118sを同時に被覆することにより、導熱層118の材料が発光デバイスの動作時に外部環境と接して変質することを防止できるが、本発明はこれに限定されない。別の実施例において、発光デバイスの導熱面積を拡大するよう、保護層115の代わりに導熱層118を用いて、第三開口115hの位置を除く上電極114または金属層114Sの表面をすべて導熱層118が被覆するようにしてもよい。一実施例において、導熱層118は発光積層104が発する光に対し高い透過性を有し、例えば、導熱層118は、活性領域104bの発射光に対し85%よりも高い透過率を有する材料を含む。また、別の実施例において、導熱層118はさらに1.5より大きい、または2.1~2.5の屈折率を有し、かつ導熱層118と第一極性半導体層104aとの屈折率の差が1.5以下であり、これによって、第一極性半導体層104aと導熱層118の界面で発生する全反射の確率を低減させ、発光デバイスの光取り出し効率を向上させることができる。導熱層118の厚さは300~2000Åであり、本実施例において、導熱層118の厚さが1000Åであってもよいが、これに限定されない。導熱層118は図第1Q示す上電極114の形成後に形成され、または図1Rが示す金属層114Sの成形後に形成され、上電極114または金属層114Sの上を被覆する。
【0025】
図8A~8Bは本発明の第四実施例の発光デバイスの断面概略図及び上面概略図である。前記の実施例と比べて、本実施例の発光デバイスの導熱層118は発光積層104中に設けられ、かつ導熱層118は第二開口Hと略位置が対応する第四開口Hを有し、絶縁層106から発光積層104の方向へ見た場合、第四開口Hは略円形であり(図8Bが示すように)、かつ第四開口Hの上面視面積が発光積層104の第二部分の上面視面積より大きく、言い換えれば、第四開口Hの上面視面積が第二開口Hの上面視面積より大きい。詳しく言うと、導熱層118は発光積層104、第一接触層103及び絶縁層106の間に位置し、より詳しくは、本実施例の導熱層118は発光積層104の第一極性半導体層104a、活性領域104b、第二極性半導体層104c及び第二接触層105を貫通し、導熱層118が発光積層104、第一接触層103及び絶縁層106に囲まれている。別の実施例において、導熱層118は第一極性半導体層104a、活性領域104b、第二極性半導体層104cを貫通するが、第二接触層105を貫通せず、導熱層118が発光積層104、第一接触層103及び第二接触層105に囲まれるが、導熱層118の構造は上記実施例に限定されない。導熱層118の第四開口Hは第二開口Hの直径Dより大きい直径Dを有し、直径Dは約30μmから200μmの間にあり、または直径Dは約50μmから120μmの間にある。図8Bが示すように、本実施例の導熱層118は内輪郭118a及び内輪郭118aを囲む外輪郭118bを有し、内輪郭118aは環状であり、第二開口H下方の発光積層104を囲むとともに第四開口Hを形成する。上面から見て、本実施例の内輪郭118aの形状が円形であり、かつその円心が第二開口Hの円心と略位置が対応し、外輪郭118bと内輪郭118aの最小距離dが10μmから50μmの間にある。その他、本実施例の導熱層118は第二接触層105を穿通し、かつ発光積層104の積層方向に平行な方向において、導熱層118は2μmから15μmの間にある厚さWを有する。別の実施例において、導熱層118の内輪郭118a及び外輪郭118bの円心はいずれも第二開口Hの円心と略位置が対応する。
【0026】
図9は本発明の第五実施例の発光デバイスの断面概略図である。前記実施例と比較して、本実施例の発光デバイスの導熱層118は発光積層104中に位置し、かつ導熱層118の範囲が第四実施例より大きい。詳しく言うと、発光デバイスが動作時に発生した熱をより効率よく外部へ伝達するように、図9が示すように、断面から見て発光デバイスの導熱層118の総面積が発光積層104の面積より大きくてよい。本発明の第四、第五実施例の発光デバイスは、図1A~1Qが示すステップによって形成され、かつ発光積層104上に第二接触層105を形成した後、導熱層118を形成する予定の位置上の一部発光積層104及びその上の第二接触層105を除去し、除去方法として誘導結合プラズマ(inductively coupled plasma、ICP)による反応性イオンエッチングを用いることができるが、これに限定されず、第五実施例における当該ステップで除去される発光積層104の領域は、第四実施例で除去される発光積層104の領域より広い。詳しく言うと、一実施例において、導熱層118を形成する前に、導熱層118を形成する予定の位置上の第二接触層105、活性領域104b、第二極性半導体層104c及び第一極性半導体層104aなどの一部の発光積層104を除去してもよい。この場合、一部の発光積層104を除去する時に第一接触層103を破壊しないよう、前記第一接触層103と第一極性半導体層104aとの間にエッチングレジスト層(図示せず)を別途設ける。続いて、発光積層104が除去された場所に導熱層118を成膜させ、かつ発光積層104の積層方向と平行する方向において、導熱層118は厚さWを有し、好ましくは、厚さWは導熱層118の頂面118tと発光積層104の表面の第二部分とが平らになるような厚さである。導熱層118の成膜方法としてスパッタリングまたは蒸着であり、例えば原子層化学蒸着(Atomic Layer Chemical Vapor Deposition、ALD)または電子ビーム物理蒸着(Electron beam physical vapor deposition、EBPVD)などの方法によって形成し、本実施例の導熱層118は二段階成長方法によって形成され、即ち、まずは原子層化学蒸着方法によって比較的に緻密な導熱層118の第一部分を成膜し、次に電子ビームによって導熱層118の第一部分上に導熱層118の第二部分を引き続き成膜するが、導熱層118を形成する方式はこれに限定されない。
【0027】
なお、本発明で挙げた各実施例は本発明の説明するものであり、本発明の範囲を制限するものではない。本発明に対して行われた簡単で明らかな修正または変更は全て本発明の精神と範囲に属するとする。異なる実施例における同一または類似する構成部品、または異なる実施例において同一符号で示される構成部品は、同じ物理または化学特性を有する。その他、本発明における上記実施例は、適切な場合において組み合わせまたは代替えることが可能であり、記載された特定の実施例に限定されるものではない。実施例において詳しく説明した特定の構成部品及びその他の構成部品の接続関係は、その他の実施例に応用することも可能であり、かつこれらの応用も本発明の請求の範囲に属する。
【符号の説明】
【0028】
101 成長基板
102 緩衝層
103 第一接触層
104 発光積層
104a 第一極性半導体層
104b 活性領域
104c 第二極性半導体層
105 第二接触層
106 絶縁層
106h 第一開口
107 第一透明導電層
108 第二透明導電層
109 反射層
110 接合構造
110a 第一接合層
110b 第二接合層
110c 第三接合層
111 永久基板
112 上接触層
第二開口
第四開口
113 側壁絶縁層
114 上電極
114S 金属層
115 保護層
115h 第三開口
111E 下電極
、D、D、D 孔直径
116 第一半導体層
117 第二半導体層
d 最小距離
W 厚さ

h 高さ
1051 表面
1071 表面
118 導熱層
118t 頂面
118s 側面
118a 内輪郭
118b 外輪郭
図1A
図1B
図1C
図1D
図1E
図1F
図1G
図1H
図1I
図1J
図1K
図1L
図1M
図1N
図1O
図1P
図1Q
図1R
図1S
図1T
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8A
図8B
図9