(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054299
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ
(51)【国際特許分類】
D21H 19/18 20060101AFI20240409BHJP
B65D 3/00 20060101ALI20240409BHJP
B65D 3/06 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
D21H19/18
B65D3/00 B
B65D3/06 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2024019047
(22)【出願日】2024-02-10
(62)【分割の表示】P 2023101455の分割
【原出願日】2023-06-21
(31)【優先権主張番号】63/354,287
(32)【優先日】2022-06-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】P 2022138804
(32)【優先日】2022-08-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2022152031
(32)【優先日】2022-09-23
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(71)【出願人】
【識別番号】320007734
【氏名又は名称】株式会社KY7
(72)【発明者】
【氏名】林 裕義
(57)【要約】
【解決手段】紙系素材は、紙系の基材の少なくとも片方の表面に、非合成樹脂系の疎水性有機化合物を付着した部分としての表面付着部が設けられている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
紙系の基材の少なくとも片方の表面に、前記基材の前記表面を露出させている、紙系素材。
【請求項2】
前記基材の少なくとも片方の表面に、非合成樹脂系の疎水性有機化合物を付着した部分としての表面付着部が設けられている、請求項1に記載の紙系素材。
【請求項3】
前記疎水性有機化合物が、生分解性を有する有機化合物である、
請求項2に記載の紙系素材。
【請求項4】
前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成している、
請求項2又は3に記載の紙系素材。
【請求項5】
前記表面付着部は、層を形成している、
請求項2又は3に記載の紙系素材。
【請求項6】
前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成し、
前記内側付着部と前記表面付着部が連続している、
請求項2又は3に記載の紙系素材。
【請求項7】
前記非合成樹脂系の前記疎水性有機化合物が、ワックス類である、
請求項2又は3に記載の紙系素材。
【請求項8】
請求項1又は2に記載の紙系素材から形成された、
蓋体。
【請求項9】
上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有し且つ表面に樹脂コート層をする容器に対して接合可能に形成されており、
前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合することができるように構成されている、
請求項8に記載の蓋体。
【請求項10】
請求項8に記載の蓋体と、
上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
【請求項11】
前記容器は、表面に樹脂コート層を有し、
前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合している、
請求項10に記載の蓋体付き容器。
【請求項12】
請求項9に記載の蓋体と、
上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
【請求項13】
基材を、非合成樹脂系の疎水性有機化合物と水と非水系溶媒とを含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬液を含む前記基材を乾燥する乾燥工程と、を含む、
紙系素材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、紙系素材、蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び紙系素材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
カップ等の容器類や蓋等に例示される包装用部材は、特許文献1に示すように、これまでコストや成形性等の観点でプラスチック製のものを汎用されてきた。プラスチックについては、環境負荷の大きさが問題となっている。特に、石油系の合成樹脂等といった通常の合成プラスチックには廃棄処分後において自然分解されずに自然界に長期間残ってしまう課題が認められていた。この課題に対して、包装用部材の素材としてプラスチックを使用する場合においても、生分解性プラスチックを用いることが検討されてきた。しかしながら、生分解性プラスチックは、通常の合成プラスチックと比較した場合に、自然分解性を有するものの、コスト面での改善を強く要請される。こうした点に鑑み、包装用部材には、プラスチックに比べて環境負荷の少ない素材(非プラスチック系素材)として紙系の素材を用いることが検討されている。紙系の素材を用いて包装用部材を得る方法としては、例えば、紙系素材に基づきブランク材を得て、ブランク材の加工によって包装用部材を得るという方法が挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
包装用部材が蓋体であり、蓋体が紙系素材としてのシート(紙シート)から形成されたブランク材を加工することで得られたものである場合においては、耐水性を向上させるために両面に樹脂層を形成したシートで蓋体を形成することも考えられる。しかしながら、容器の表面には、通常、容器の防水用に樹脂コート層が形成されているため、樹脂層を構成する樹脂材料の材質によっては樹脂コート層を構成する樹脂との接着性が損なわれ、シール法で容器と蓋体とを接着することが困難になる虞を生じうる。したがって、容器の表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂の種類が多様化しても容器と蓋体とをヒートシール法で接着することを可能とする点で改善の余地がある。
【0005】
本発明の目的の一つは、非プラスチック系の素材としての紙系素材において、ヒートシール性を有する紙系素材および、紙系素材を用いた蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び紙系素材の製造方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、次の(1)から(13)にかかる発明を要旨としている。
【0007】
(1)紙系の基材の少なくとも片方の表面に、前記基材の前記表面を露出させている、紙系素材。
(2)前記基材の少なくとも片方の表面に、非合成樹脂系の疎水性有機化合物を付着した部分としての表面付着部が設けられている、上記(1)に記載の紙系素材。
(3)前記疎水性有機化合物が、生分解性を有する有機化合物である、上記(2)に記載の紙系素材。
(4)前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成している、上記(2)又は(3)に記載の紙系素材。
(5)前記表面付着部は、層を形成している、上記(2)又は(3)に記載の紙系素材。
(6)前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成し、前記内側付着部と前記表面付着部が連続している、上記(2)又は(3)に記載の紙系素材。
(7)前記非合成樹脂系の前記疎水性有機化合物が、ワックス類である、上記(2)又は(3)に記載の紙系素材。
(8)上記(1)又は(2)に記載の紙系素材から形成された、蓋体。
(9)上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有し且つ表面に樹脂コート層をする容器に対して接合可能に形成されており、前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合することができるように構成されている、上記(8)に記載の蓋体。
(10)上記(8)に記載の蓋体と、上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有し、前記蓋体を前記容器に接合した、蓋体付き容器。
(11)前記容器は、表面に樹脂コート層を有し、前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合している、上記(10)に記載の蓋体付き容器。
(12)上記(9)に記載の蓋体と、上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有する、蓋体と容器の組み合わせ。
(13)基材を、非合成樹脂系の疎水性有機化合物と水と非水系溶媒とを含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬液を含む前記基材を乾燥する乾燥工程と、を含む、紙系素材の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、紙系素材において、ヒートシール性を有する紙系素材、紙系素材を用いた蓋体、蓋体付き容器、蓋体と容器の組み合わせ、及び紙系素材の製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1Aは、本発明にかかる第1例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
図1Bは、
図1Aの破線で囲まれた領域XS1の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図であり、本発明にかかる第1例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図2】
図2Aは、本発明にかかる第1例の紙系素材の一実施例を示す平面図である。
図2Bは、
図2Aの破線で囲まれた領域XS2の部分を拡大した状態の一例を示す拡大平面図であり、本発明にかかる第1例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大平面図である。
【
図3】
図3Aは、本発明にかかる第2例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
図3Bは、
図3Aの破線で囲まれた領域XS3の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図であり、本発明にかかる第2例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図4】
図4Aは、本発明にかかる第3例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
図4Bは、
図4Aの破線で囲まれた領域XS4の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図であり、本発明にかかる第3例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図5】
図5Aは、本発明にかかる第4例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
図5Bは、
図5Aの破線で囲まれた領域XS5の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図であり、本発明にかかる第4例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図6】
図6Aは、本発明にかかる第5例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
図6Bは、
図6Aの破線で囲まれた領域XS6の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図であり、本発明にかかる第5例の紙系素材の一実施例を模式的に示す拡大断面図である。
【
図7】
図7は、本発明にかかる第6例の紙系素材の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図8】
図8Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第1例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図8Bは、
図8AのA-A線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
図8Cは、
図8Bの破線で囲まれた領域XS7の部分を拡大した状態の一例を示す拡大断面図である。
【
図9】
図9Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第2例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図9Bは、
図9AのB-B線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図10】
図10Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第2例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図10Bは、
図10AのC-C線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図11】
図11Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第3例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図11Bは、
図11AのD-D線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
図11Cは、小蓋部を開く場合の蓋体の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図12】
図12Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第3例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図12Bは、
図12AのE-E線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図13】
図13Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第3例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図13Bは、
図13AのF-F線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図14】
図14Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第4例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
図14Bは、
図14AのG-G線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
図14C、
図14Dは、本発明にかかる紙系素材を用いた第4例の蓋体の他の一実施例を模式的に示す断面図である。
【
図15】
図15は、本発明にかかる紙系素材を用いた第5例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図16】
図16A、
図16Bは、本発明にかかる紙系素材を用いた第6例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図である。
【
図18】
図18Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第7例の蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図18Bは、
図18AのI-I線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図19】
図19Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第8例の蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図18Bは、
図18AのJ-J線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図20】
図20Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第9例の蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図20Bは、
図20AのK-K線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図21】
図21Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第7例の蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図21Bは、
図21AのL-L線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図22】
図22A及び
図22Bは、本発明にかかる紙系素材を用いた蓋体を製造するためのブランク材を説明するための平面図である。
【
図23】
図23Aは、本発明にかかる紙系素材を用いた第7例の蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図23Bは、
図23AのM-M線縦断面の状態の一例を模式的に示す断面図である。
【
図24】
図24は、蓋体付き容器の一実施例を表す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明にかかる紙系素材について詳細に説明する。特に、紙系素材がシートである場合を例として、説明を続ける。また、本発明にかかる紙系素材を用いた蓋体について、図面に基づいて詳細に説明する。なお、蓋体は、コーヒーカップのような各種の飲料物を入れる容器(カップ)に対して用いられる蓋体を例として挙げて説明するが、飲料物を入れる容器の蓋体に限定されるものではなく、飲料物以外の食料品を収容する容器の蓋体としても適用することが可能である。また、本発明に係る蓋体は、飲食物以外の各種物品、例えばボルトやナット等といった部品や、上記した以外の物品を収容することのできる容器にも適用することができる。さらに、本発明に係る蓋体は、平面視したときの形状が円形状であるものの例を用いて以下においては説明するが、蓋体の形状は平面視したときに円形状であるものに限定されることはなく、楕円形状、矩形状、三角形状などの多角形状、面取り矩形状、面取り多角形状等、円形状以外の各種の形状にも適用することができる。
【0011】
以下、本発明に関係した紙系素材、紙系素材の製造方法、紙系素材を用いた蓋体、及び蓋体の適用例について、順次、図面を参照しながら説明する。本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
以下の説明は本発明の好適な具体例であり、本発明の内容は、これらの実施の形態等に限定されるものではない。また、以下の説明において、説明の便宜を考慮して、前後、左右、上下等の方向及び水平面の方向を示すが、本発明の内容はこれらの方向に限定されるものではない。
図1から
図24の例では、Z軸方向を上下方向(上側が+Z方向、下側が-Z方向)、X軸方向を前後方向(後側が+X方向、前側が-X方向)であるものとし、Z軸方向を法線とする平面上に定められた互いに直交するX軸及びY軸に沿った方向をX軸方向及びY軸方向とし、さらにX軸とY軸で貼られた平面であるXY平面が水平面であるものとし、これらに基づき説明を行う。
図1から
図24の各図に示す大きさ等の相対的な大小比率は便宜上の記載であり、特に限定しない限り、実際の大小比率を限定するものではない。
【0013】
[1 紙系素材]
本発明にかかる紙系素材は、
図1A、
図1Bに示すように構成されてよい。
図1A、
図1Bの例に示される紙系素材の例は、第1例と称呼される。
図1Aは、第1例の紙系素材の一実施例を示す断面図である。
図1Bは、
図1Aの領域XS1の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【0014】
[1-1 第1例]
[1-1-1 構成]
第1例の紙系素材10は、
図1A、
図1Bに示すように、基材11と、基材11の表面11Aに設けられる表面付着部13を有する。
【0015】
(基材)
基材11は、紙系の素材で構成されている繊維シート12を好適に用いられる。
【0016】
(紙系素材を含む繊維シート)
紙系の素材を含む繊維シート12としては、繊維原料(パルプ系繊維原料)のスラリーを網上に抄き取り、乾燥ないし押圧乾燥する工程(抄紙工程)を実施し、シート状にして得られる、いわゆる紙や、パルプ系繊維等からなる原料シートを粉砕機で粉砕して得られる粉砕パルプ等の開繊繊維原料を空気流によって積繊し、積繊体の繊維相互をバインダーで固定して得られるいわゆるエアレイドシート等、植物繊維、その他の繊維を膠着させて製造される所謂紙類を挙げることができる。また、紙系素材を含む繊維シート12には、上記したような紙類を複数枚積層した積層構造を有するものが含まれる。また、繊維シート12には、紙系素材の他、化学繊維や、耐水性等の機能を付与された繊維、金属繊維、ガラス繊維等のパルプ以外の繊維を有するシート材料が含まれてよい。ただし、繊維シートは、紙系繊維を主成分とすることが好適である。主成分とは、全体質量に対する対象となる成分の質量の比率が50質量%以上であることを示すものとする。
【0017】
繊維シート12は、繊維12Aのみで構成されていてもよいし(繊維12Aの集合体構造(繊維の交絡構造等))、複数の繊維12Aを架橋剤等で架橋した構造を有していてもよく、後述する樹脂材料を除く他の添加物を含むものでもよい。繊維シート12において、複数の繊維12Aが架橋剤で相互に架橋されていることで、繊維シート12の形状が安定化し、解繊された状態が形成されにくくなる。
【0018】
(繊維)
繊維シート12を構成する繊維12Aは、1つの単位繊維で構成されてもよいし、複数の単位繊維を交絡させた構造を有してもよく、いずれの構造を有する繊維についても繊維シート12に含まれてよい。繊維シート12は、このような構造を有する複数の繊維がさらに交絡した状態で形成されていることが好適である。
【0019】
(紙系素材)
紙系素材としては、パルプだけからなるもののほか、非パルプ系の天然繊維や合成繊維、再生繊維等の繊維を含むものであっても良いが、パルプを50質量%以上含むことが好ましく、70質量%以上含むものがより好ましく、更に80質量%以上含むものが好ましいが、特にパルプ100質量%からなるものが好ましい。紙系素材は、合成樹脂や天然樹脂のフィルムや不織布、木箔等の木質系素材等、さらにはアルミ箔等の素材との複合材料も用いることができるが、複合材料とする場合、複合材料全体としてパルプを50質量%以上含有することが好ましく、特に80質量%以上のパルプを含むものが好ましい。パルプ含有分の高いほど、紙系素材が生分解されやすくなるため好ましい。
【0020】
(表面付着部)
紙系素材10においては、基材11の表面11Aに表面付着部13が設けられている。
【0021】
表面付着部13は、基材11の表面11Aに付着した非合成樹脂系の疎水性有機化合物の部分として定められる。
図1Bの例では、表面付着部13は、基材11を形成する繊維シート12を構成する少なくとも一部の繊維12Aに付着した疎水性有機化合物の部分を有する。なお、
図1Bの例では、説明の便宜上、繊維シート12を形成する繊維12Aの一部について模式的に記載し、その他の繊維の記載を省略している。このことは、
図2B、
図3B、
図4B,
図5B及び
図6Bについて共通する。また、説明の便宜上、
図1A、
図2A、
図3A、
図4A、
図5A、
図6A,
図7等の繊維シート12の縦断面(繊維シート12の厚み方向を切断方向とする断面)又は繊維シート12の平面を記載する図面において繊維12Aの記載を省略する。
【0022】
(疎水性有機化合物)
疎水性有機化合物は、非合成樹脂系の化合物である。非合成樹脂系の疎水性有機化合物は、石油系の合成樹脂を除く疎水性有機化合物として定められる。石油系の合成樹脂は、石油を炭素源とする樹脂を示している。したがって、非合成樹脂系の疎水性有機化合物は、炭素源を植物等の非石油とする樹脂でもよく、植物系の生分解性樹脂でもよい。非合成樹脂系の疎水性有機化合物は、分子量が10000程度以下の疎水性有機化合物が好ましく、中でも生分解性を有する有機化合物が好ましい。分子量が10000程度以下の疎水性有機化合物としては、ワックス類が挙げられる。
【0023】
ワックス類としては、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、スラックワックス、モンタンワックス、セレシン、オゾケライト、蜜蝋、木蝋、イボタ蝋、セラックワックス、カルナウバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、ローズワックス、ひまわり種ワックス、ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、機能性ワックス、フィッシャートロプシュワックス、(イソステアリン酸/ミツロウ/コハク酸)ヒマシ油、ウルシ果皮ロウ、オオムギ麦芽外殻ワックス、オクチルドデシルミツロウ、オレンジ果皮ロウ、加水分解ミツロウ、キャンデリラロウ炭化水素、クチベニスイセン花ロウ、合成ミツロウ、合成モクロウ、ジメチコノールミツロウ、ジメチコンコポリオールミツロウ、スイートアカシア花ロウ、水添コメヌカロウ、水添マイクロクリスタリンワックス、水添モクロウ、ステアリルミツロウ、セラックロウ、センチフォリアバラ花ロウ、ソケイ花ワックス、ダイダイ花ロウ、ダマスクバラ花ロウ、チューベロース花ロウ、ニオイテンジクアオイロウ、プロポリスワックス、ベヘニルミツロウ、ヘリクリスムアングスチホリウムロウ、ホホバワックス、マスティクス葉ロウ、ミツロウ酸、ミモザアカシア花ロウ、ミモザアカシア葉ロウ、リンゴ果皮ロウ、ローズマリー花ロウ、オオバナソケイ花ロウ、オレンジ花ロウ、キャンデリラロウエキス、クロフサスグリつぼみロウ、シロヤマモモ果実ロウ、ニオイスミレ葉ロウ、フサアカシア花ロウ、ヨーロッパキイチゴ葉ロウ、ラベンダー花ロウ、ラノリンロウ、合成ワックス、マイクロクリスタリンワックス、コメヌカロウ、ミツロウ、モンタンロウ、マイクロクリスタリンワックス、ミンクロウ、モクロウ、キャンデリラロウエステルズ、ノイバラ花ロウ、ビスヒドロキシエトキシプロピルジメチコンミツロウエステルズ、オニサルビア花/葉/茎ロウ、ジメチコンPEG-8ミツロウ、ヒマワリ種子ロウ、マツリカ花ロウ、ユリノキ葉ロウ、オルメニスムルチカウリス花ロウ等が挙げられる。また、ワックス類は、環境負荷軽減の観点から生分解性を有するものが好ましい。
ワックス類としてパラフィンワックスを用いる場合には、分子量約300から550のものを用いることが好ましい。
なお、上記したものの他にも、ワックス類としては、PEG-6ミツロウ、PEG-12ミツロウ、ソルベス-2ミツロウ、ソルベス-6ミツロウ、ソルベス-8ミツロウ、ソルベス-20ミツロウ、ビスPEG-12ジメチコンミツロウ、ホホバワックスPEG-80、ホホバワックスPEG-120、ポリグリセリル-3ミツロウ、ミツロウ脂肪酸Na、PEG-6ソルビットミツロウ、PEG-8ソルビットミツロウ、PEG-20ソルビットミツロウ、PEG-8ミツロウ、PPG-5ラノリンロウ等といった親水性基を有する化合物を含有するもの(ワックス類(A)と称呼する)が用いられてもよい。ただし、撥水性を適度に発揮させる観点からは、ワックス類(A)は、これらのワックス類(A)の範囲から外れるワックス類と併用されていることが好ましい。
【0024】
(表面付着部のレイアウト)
表面付着部13のレイアウトについて、
図1A、
図1B、
図2A、
図2Bの例では、表面付着部13が、基材11の表面11Aに分散した状態(表面11Aの領域に分布した状態)で形成されている。ただし、これは一例であり、少なくとも一部の表面付着部13は、疎水性有機化合物を繊維12Aに付着させた部分が相互に繋がった状態で形成されてもよい。
図1Bの例では、表面付着部13は、全体として層状に形成された層状部15を形成し、部分的に非形成部16が形成されている。層状部15は、表面付着部13が連続的な層を形成している場合(第1の場合)、まだらに表面付着部13を形成した構造を有する場合(第2の場合)、表面付着部13は連続しているが非形成部16がまだらに形成されている場合(第3の場合)、第2の場合と第3の場合の組み合わせのいずれも含まれる。
【0025】
(非形成部)
本発明にかかる紙系素材10の層状部15は、表面付着部13を有しており、また、層状部15には、基材11の表面11A上に表面付着部13の非形成部16が形成されている。非形成部16は、基材11の表面11Aを露出させている。表面付着部13が全体として層状に形成されている場合(層状部15を形成する場合)に、非形成部16は、層状部15に非連続部を形成する。ここに、非連続部とは、紙系素材10の縦断面において層状部15に対応する部分を観察した場合における層状部15の非形成部分に対応している。すなわち、
図1Bの例では、紙系素材10の縦断面において紙系素材10の面方向に表面付着部13が非連続に形成されている。
【0026】
(非形成部と表面付着部のレイアウト)
本発明にかかる紙系素材10においては、層状部15は、例えば
図2に示すように、基材11の表面11Aに表面付着部13と非形成部16の少なくとも一方がまだらに形成されていることが好ましい。この場合、基材11の表面11Aは、基材11の平面視上、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域とがまだら模様となるように形成される。まだら模様とは、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域の少なくとも一方が分散的に配置された部分で形成される模様を示すものとする。なお、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域の少なくとも一方が分散的に配置された部分には、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域の少なくとも一方が表面11Aの全領域にわたって分散的に配置されている場合を含む。
【0027】
なお、紙系素材10においては、基材11の表面11Aに表面付着部13と非形成部16の少なくとも一方がまだらに形成されていることで、表面11Aのうちのおおむねどのような部分でも、ある程度小さな領域内に表面付着部と非形成部の両方が存在する状態とすることができる。このため、基材11の表面11Aが局所的にまとまった領域(ある程度大きな領域)で耐水性が低下するという状況を生じにくく、且つ、基材11の表面11Aが局所的にまとまった領域(ある程度大きな領域)でヒートシール性が低下するという状況も生じにくくなる。
【0028】
後述するように紙系素材10は蓋体100を形成するために使用することができるが、紙系素材10により形成された蓋体100を容器501に接合させるにあたり、蓋体100のうち容器501に接合させる領域を除いて表面付着部13を連続的に形成させた場合(すなわち表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域とを区分けし、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域をまだら模様ではないように形成した場合)、蓋体100と容器501との位置が定められ位置からずれた場合に、ある程度まとまった領域で表面付着部13と容器501とが接触する部分が形成されてしまい、蓋体100と容器501との接合がまとまった領域で大きく損なわれる可能性がある。これは、表面付着部13は非形成部16に比べてヒートシール等による接合力を弱めることが多いためである。この点、紙系素材10が、表面付着部13を形成した領域と非形成部16に対応する領域とがまだら模様となるように形成されていることで蓋体100と容器501との位置がずれた場合にも、蓋体100の表面付着部13と非形成部16がバランスよく容器501に接触でき、蓋体100と容器501との接触する領域の全域的に蓋体100と容器501との接合を確保することができる。
【0029】
また、非形成部16は、層状部15の表面付着部13を非連続部とするように形成されていることが好ましい。この場合、紙系素材10を用いて蓋体100を形成するとともにその蓋体100を容器501と接合する場合に、蓋体100の表面付着部13のみが容器に接触してしまう虞を、より確実に低減することができる。
【0030】
[1-1-2 作用及び効果]
紙系素材から形成されたブランク材の加工によって蓋体等の包装用部材を得る場合、ヒートシール法等の方法によるブランク材の一部分と他の部分との接着や、ブランク材と他の部材との接着が必要となることがあるため、紙系素材には、耐水性を向上させつつヒートシール法等によるシール性を備えることが要請されてきた。
【0031】
特に、紙系素材から形成された蓋体を容器にヒートシール法等を用いて接合させる場合に関して、容器の表面には、通常、容器の防水用に樹脂コート層が形成されているため、容器の表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂の種類が多様化しても容器と蓋体とをヒートシール法で接着することを可能とすることが要請されている。
【0032】
従来の紙系素材では、いわゆるプラスチックを素材として用いて樹脂層を基材の表面に形成することで紙系素材に耐水性を付与することが行われてきた。このような場合、容器の表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂の種類と紙系素材の表面に形成されるプラスチック製の樹脂層の種類の組み合わせによっては、紙系素材を用いて蓋体を製造しても、容器に対して蓋体をヒートシールすることが困難となる場合が生じ得る。
【0033】
さらに、プラスチックを素材として用いて樹脂層を基材の表面に形成した紙系素材は、プラスチックを用いることから、環境負荷の問題が生じる。
【0034】
本発明にかかる紙系素材10においては、基材11の表面11Aに疎水性有機化合物を付着した表面付着部13が形成されている。したがって、紙系素材10の表面の耐水性を向上させることができる。また、本発明にかかる紙系素材10に表面付着部13の非形成部16が形成されている場合、紙系の基材11の表面11Aを露出させることができる。基材11の表面11Aは、容器501の表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂の種類が多様化しても容器501に対するヒートシール法での接合性に優れるため、本発明にかかる紙系素材10を用いた蓋体100を容器501に対して接合させることができる。したがって、本発明にかかる紙系素材10では、基材11の表面11Aに疎水性有機化合物を付着した表面付着部13が形成されていても、紙系素材10を用いた蓋体と容器とのヒートシール性が失われることを避けることができる。
【0035】
本発明にかかる紙系素材10においては、疎水性有機化合物は、いわゆるプラスチックとは異なる非プラスチックに対応する化合物を好適に使用することができる。本明細書において、プラスチックは、一般的には、合成樹脂など、化合物の重合体で分子量の大きな高分子化合物で構成される。基材11の表面11Aの表面付着部13を形成する疎水性有機化合物の分子量は、一般的なプラスチックを構成する高分子化合物に比べてある程度小さい。上述したように、疎水性有機化合物は分子量が10000程度以下の化合物を好適に用いられる。疎水性有機化合物は、一般的なプラスチックとは異なる非プラスチックに該当しうるものと考えられる。なお、疎水性化合物について示す分子量の数値は、一例であり、分子量10000を超えるものでも、一般的なプラスチックと異なり高分子化合物と重合体の条件を満たさないものであれば、疎水性有機化合物に該当しうる。
【0036】
疎水性有機化合物は、上記したように一般的なプラスチックを構成する高分子化合物に比べて分子量が小さく、融点がある程度低いものが多い。このため、表面付着部13は、ヒートシール法の適用時の熱で溶けた状態を形成することが容易になりやすいと考えられる。本発明にかかる紙系素材10では、ヒートシール法の適用時の熱で表面付着部13が一時的に溶けた際に、基材11の表面11Aの一部をおおむね露出させた状態を形成しやすく、紙系素材10を用いた蓋体100と容器501とのヒートシール性が失われることを避けることができるものと考えることができる。
【0037】
また、紙系素材10は、基材11として紙系の素材を用いられ、且つ、疎水性有機化合物として非プラスチックを用いることができるため、紙系素材10は全体として非プラスチックに属するようなものとすることができる。したがって、本発明にかかる紙系素材10は、環境負荷の抑制の点でも有効である。
【0038】
[1-2 第2例]
本発明にかかる第1例の紙系素材10では、基材11の表面11Aに疎水性有機化合物を付着した表面付着部13を形成していたが、本発明の紙系素材10はこれに限定されず、疎水性有機化合物は、
図3A、
図3Bに示すように、基材11の内部(内側部11B)に付着してもよい。このように構成された例を、第2例と称呼する。
図3Aは、第2例の紙系素材10の一実施例を模式的に示す断面図である。
図3Bは、
図3Aの領域XS3の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。第2例において、基材、疎水性有機化合物については、第1例と同じである。なお、第2例の説明において、第1例と同じ点については、説明を省略する。
【0039】
(内側付着部)
第2例の紙系素材10では、基材11の内側(内側部11B)に内側付着部14が形成されている。基材11を形成する繊維シート12を構成する繊維12Aのうち、基材11の表面11Aに露出した繊維12Aよりも内側(基材11の厚み方向に沿って基材11の中央に向かう方向を内側方向(
図3Bでは、+Z方向)とし、基材11の中央から離れる方向を外側方向(
図3Bでは、-Z方向)とした場合における内側)の繊維12A(基材11の内側部11Bの繊維12Aと称呼する)に対して、疎水性有機化合物が付着した部分が存在している。内側付着部14は、基材11の内側部11Bの繊維12Aに疎水性有機化合物を付着させた部分である。
【0040】
図3Bでは、紙系素材10が内側付着部14と表面付着部13とを形成している場合が示されている。この例では、内側付着部14と表面付着部13が分離しているが、これは一例である。
【0041】
[1-3 第3例]
第1例の紙系素材10では、基材11の表面11Aに疎水性有機化合物を付着した表面付着部13の非形成部16が形成されていたが、本発明の紙系素材10はこれに限定されず、
図4A、
図4Bに示すように、基材11の表面11Aに、疎水性有機化合物を含む表面付着部13が層状部15として、連続的な層(基材11の表面11Aを一面に覆う層)を形成してもよい。すなわち、第1例の紙系素材10では、表面付着部13が層を形成してもよい。このように構成された本発明にかかる紙系素材10の例を、第3例と称呼する。
図4Aは、第3例の紙系素材10の一実施例を模式的に示す断面図である。
図4Bは、
図4Aの領域XS4の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。第3例において、基材、疎水性有機化合物については、第1例と同じである。なお、第3例の説明において、第1例と同じ点については、説明を省略する。
【0042】
第3例において、表面付着部13の厚みは、ヒートシール法の適用時などといった熱履歴を与えた際に疎水性有機化合物が溶けることで基材11の表面11Aの一部をおおむね露出した状態と形成できる程度の厚みであることが好ましい。
【0043】
[1-4 第4例]
第2例の紙系素材10では、内側付着部14と表面付着部13とが分離された状態で内側付着部14と表面付着部13とが分離して形成されていたが、本発明にかかる紙系素材10はこれに限定されず、
図5A、
図5Bに示すように、第2例において内側付着部14と表面付着部13とのそれぞれ少なくとも一部が繋がっていてもよい。このように構成された本発明にかかる紙系素材10の例を、第4例と称呼する。
図5Aは、第4例の紙系素材10の一実施例を模式的に示す断面図である。
図5Bは、
図5Aの領域XS5の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。第4例において、基材、疎水性有機化合物については、第2例と同じである。なお、第4例の説明において、第2例と同じ点については、説明を省略する。
【0044】
第4例の紙系素材10では、内側付着部14と表面付着部13とがつながった構造部17が形成されている。構造部17は、内側付着部14と表面付着部13の境界が存在してもよいし、
図5Bに示すように、内側付着部14と表面付着部13とが連続一体的に繋がった構造を有していてもよい。
【0045】
[1-5 第5例]
第1例から第4例では、表面付着部13を基材11の一方の表面11Aに形成していたが、本発明にかかる紙系素材10はこれに限定されず、
図6A、
図6Bに示すように、第1例から第4例のいずれかに示すような表面付着部13が、基材11の両面(一方面11A1、及び他方面11A2)側に形成されてもよい。このように構成された本発明にかかる紙系素材10の例を、第5例と称呼する。
図6Aは、第5例の紙系素材10の一実施例を模式的に示す断面図である。
図6Bは、
図6Aの領域XS6の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。第5例において、基材、疎水性有機化合物については、第1例と同じである。なお、第5例の説明において、第1例から第4例と同じ点については、説明を省略する。
【0046】
第5例の紙系素材10は、
図6A、
図6Bの例では、基材11の一方面11A1側、他方面11A2側のいずれについても第1例で示すような表面付着部13が形成されている。ただし、これは一例であり、第5例の紙系素材10は、基材の一方面11A1側に形成された表面付着部13と基材11の他方面11A2側に形成された表面付着部13が同様の構造を有している場合に限定されない。第5例の紙系素材10は、基材の一方面11A1側に形成された表面付着部13と基材11の他方面11A2側に形成された表面付着部13が異なる構造を有してもよい。例えば、基材11の一方面11A1側に表面付着部13の非形成部16が形成され、基材11の他方面11A2側には非形成部16の形成が避けられていてもよい。
【0047】
また、第5例の紙系素材10においては、内側付着部14が形成されている場合には、基材11の両面(一方面11A1、及び他方面11A2)に形成されたそれぞれの表面付着部13の少なくとも一方の少なくとも一部が、内側付着部14に繋がっていてもよい。
【0048】
[1-6 第6例]
第5例の紙系素材10において、表面付着部13を基材11の両方の表面(一方面11A1、及び他方面11A2)に形成し、且つ、いずれの面に形成された表面付着部13が層状に形成されている場合(層状部15を形成している場合)においては、
図7に示すように、本発明に層状部15の厚み(表面付着部13の厚み)が異なっていてもよい。このように構成された本発明にかかる紙系素材10の例を、第6例と称呼する。
図7は、第6例の紙系素材10の一実施例を模式的に示す断面図である。第6例において、基材、疎水性有機化合物については、第5例と同じである。なお、第6例の説明において、第1例から第5例と同じ点については、説明を省略する。
【0049】
第6例の紙系素材10は、基材11の一方面11A1側に形成された表面付着部13と基材11の他方面11A2側に形成された表面付着部13が同様の構造を有してもよいし、異なる構造を有してもよい。例えば、基材11の一方面11A1側に表面付着部13の非形成部16が形成され、基材11の他方面11A2側には非形成部16の形成が避けられていてもよい。また、基材11の一方面11A1側に形成された表面付着部13と基材11の他方面11A2側に形成された表面付着部13が同じ材質で構成されてもよいし、異なる材質で構成されてもよい。
【0050】
次に、本発明にかかる紙系素材10の製造方法について説明する。
【0051】
[2 紙系素材の製造方法]
本発明にかかる紙系素材10の製造方法の一実施例を示す。第5例の紙系素材10のように、基材11の両面(一方面11A1、及び他方面11A2)に表面付着部13が形成される場合を例として説明する。
【0052】
紙系素材10を構成する基材11としての繊維シート12が、浸漬液に浸漬される(浸漬工程)。浸漬液は、疎水性有機化合物と拡散液との混合物(樹脂含有液)である。拡散液は、浸漬液中に疎水性有機化合物を拡散させた状態を形成することが可能な液を挙げることができる。拡散液としては、具体的には水を例示することができ、また、水と非水系溶媒との混合液を挙げることができる。疎水性有機化合物は、紙系素材10の耐水性を向上させることができるものである。浸漬工程の後、浸漬工程を施した繊維シート12(浸漬液を含む繊維シート12)を乾燥する工程(乾燥工程)が行われる。乾燥工程を施されることで、疎水性有機化合物を少なくとも表面(基材11の一方面11A1と他方面11A2の両面)に付着した表面付着部13を形成した繊維シート12として、本発明にかかる紙系素材10を得ることができる。
【0053】
上記で説明した製造方法において、浸漬液に含まれる疎水性有機化合物は、本発明にかかる紙系素材10の説明で示したものを選択することができる。非水系溶媒は、疎水性有機化合物を混合することができるものであれば特に限定されず、エタノール等のアルコール系溶媒等を例示することができる。
【0054】
乾燥工程では、浸漬液を含む繊維シート12に含まれる水や非水系溶媒をおおむね完全に蒸発させた状態としてもよいし、水分や非水系溶媒が繊維シート12に多少残っている状態でもよい。
【0055】
浸漬液に含まれる疎水性有機化合物の量については、浸漬液の重量に対する疎水性有機化合物の重量比率で、1重量%程度であることが好ましい。
【0056】
上記で説明した製造方法によれば、繊維シート12と浸漬液と浸漬条件を定めることで、本発明にかかる紙系素材10として、基材11の両面に疎水性有機化合物を有する表面付着部13と、基材11の内側に内側付着部14が形成され、且つ、表面付着部13と内側付着部14を連続一体的に形成した構造部17が形成されているものをも得ることができる。
【0057】
なお、紙系素材10の製造方法は、一例であり、上記の方法に限定されない。
【0058】
例えば、本発明にかかる紙系素材10の製造方法としては、疎水性有機化合物を含む液を塗布液とし、基材となる繊維シートの表面に各種ロールコート、スプレーコート等のコート法、グラビア印刷、スクリーン印刷等の印刷法等、公知の塗布法によって塗布、乾燥する等の方法を例示することができる。
【0059】
本発明にかかる紙系素材10を用いた蓋体100について説明する。
【0060】
[3 蓋体]
本発明にかかる蓋体100は、
図8A、
図8B、
図8Cに示すように構成されてよい。
図8A、
図8B、
図8Cの例に示される蓋体100の例は、第1例と称呼される。
図8Aは、第1例の蓋体100の一実施例を示す平面図である。
図8Bは、
図8AのA-A線縦断面の状態を模式的に示す図である。
図8Cは、
図8Bの領域XS7の部分を拡大した状態の一例を模式的に示す拡大断面図である。
【0061】
[3-1 蓋体の第1例]
[3-1-1 構成]
第1例の蓋体100は、
図8A、
図8B、
図8Cに示すように、上記した本発明にかかる紙系素材10から形成された蓋体形成用ブランク材(ブランク材130)またはそれを加工した構造を有する。
【0062】
第1例の蓋体100は、
図17A、
図17B等を用いて後述するように、上端に形成された開口部502と開口部502の外周を形成する上端縁部となる縁部503とを有する容器501に接合可能に形成されている。
図17A、
図17Bは、
図8に示す蓋体100を容器501に接合した蓋体付き容器300の例を示す斜視図、断面図である。蓋体100は、縁部503に沿って接合されて用いることができるものである。蓋体100において、蓋体100の平面視上、縁部503に接合される領域を接合領域Rと呼ぶ。
図8Aは、蓋体100の一実施例を示す平面図である。
図8Bは、
図8AのA-A線縦断面を模式的に示す断面図である。なお、容器501としては、開口部502の縁部503に可撓性を有するものがより好ましく用いられる。ただし、これらのことは容器501が、金属製の容器など可撓性の少ないあるいはほとんど認められないような容器であることを禁止するものではない。
【0063】
接合領域Rは、
図1Aの例では、容器501の開口部502に応じた形状で開口部502に沿っておおむね環状に形成される領域に対応している。
【0064】
(ブランク材)
蓋体100は、
図8A、
図8B、
図8Cに示すようにブランク材130から形成されている。ブランク材130は、本発明にかかる紙系素材10を蓋体100の形状に応じた形状に加工して得られるものである。例えば、蓋体100が円形状に形成されていれば、紙系素材10を円形状に加工したものがブランク材130となる。なお、蓋体100がブランク材130で形成されるとは、蓋体100がブランク材130のみで形成されている場合に限定されず、蓋体100がブランク材130にタブ部材122等の部材を取り付けられた構造を有している場合を含み、また、蓋体100がブランク材130に賦形処理(エンボス処理等)といった各種の加工処理が施される場合も含まれるものとする。
図8Cの例では、ブランク材130が紙系素材10として、基材11となる繊維シート12の一方の表面11Aに表面付着部13を形成し、表面11Aの上に全体として層状部15を形成しているが、これは一例である。例えば、ブランク材130を形成する際に用いることができる紙系素材10は、
図1Aから
図7等を例として用いて上記に説明された各種の紙系素材10のように、基材11の両方の表面11Aに表面付着部13を形成したものでもよいし、内側付着部14を形成してもよく、また、構造部17を形成したものでもよく、層状部15には非連続部となる非形成部16を有してもよいし、非形成部16の形成を避けたものでもよい。
【0065】
蓋体100は、接合領域対応部105Aと蓋領域対応部105Bとを有する。
【0066】
(接合領域対応部)
接合領域対応部105Aは、蓋体100のうち容器501の縁部503に沿って容器501に接合される領域に対応する部分である。すなわち、接合領域対応部105Aは、接合領域R(容器501の縁部503に向かい合う領域且つ容器501に接合される領域)に対応した蓋体100の部分である。接合領域対応部105Aは、蓋体付き容器300においては、蓋体100のうち蓋体100と容器501との接合部651を形成する部分である。具体的には、蓋体100の平面視上(
図8Aの例ではZ軸方向(上下方向)を視線方向とした場合)、接合領域Rを形成する部分が接合領域対応部105Aとして定められる。接合領域対応部105Aは、通常、
図8Aに示すように環状に形成されている。特に、
図8Aに示すように、容器501の縁部503がおおむね円環状に形成されている場合には、接合領域Rが円環状となり、接合領域対応部105Aについても蓋体100の平面視上、おおむね円環状となる。接合領域対応部105Aの外縁は、接合領域Rの外縁の位置に応じて定められる。接合領域対応部105Aの外縁は、蓋体100の外周縁に位置していてもよいし、
図8Aの例に示すように蓋体100の外周縁よりも内側に位置してもよい。蓋体100と容器501との接合領域Rが連続的に形成されていない場合には、隣り合う接合領域Rで挟まれた部分且つ縁部503に向かい合う部分についても後述する接合領域対応部105Aに含まれるものとする。
【0067】
図8Aの例に示す蓋体100においては、接合領域対応部105Aに対応する部分では、蓋体100を形成する紙系素材10の基材11となる繊維シート12の表面に疎水性有機化合物が付着しており、表面付着部13が形成されている。表面付着部13は、
図8Cに示すように、繊維シート12の表面、すなわち蓋体100の表面のうち、少なくとも容器501との対向面173側(露出面172とは反対側)の表面に形成されていることが好適である。
【0068】
(蓋領域対応部)
蓋領域対応部105Bは、蓋体100のうち接合領域対応部105Aから内側の部分である。すなわち蓋領域対応部105Bは接合領域対応部105Aの内縁端から内側の部分であり、蓋領域対応部105Bの外周端が接合領域対応部105Aの内縁端に共通する。蓋領域対応部105Bは、蓋体付き容器300において開口部502を覆う部分となっている。なお、開口部502を覆う部分とは、開口部502の少なくとも一部を覆う部分であり、第3例でも説明するように小開口部106を有する場合等が含まれる。
【0069】
(外側領域対応部)
図8Aの例に示すように、蓋体100の蓋領域対応部105Bの外周端から外側の部分は、外側領域対応部105Cと称呼される(後述する第3例では外側領域対応部105Cは、ベース部102のうち接合領域対応部105Aの内縁端から外側の部分に対応する。)
【0070】
蓋体100は、環境負荷の軽減の観点からは、少なくとも一方の面(露出面172または対向面173)において紙系素材10を露出させていることが好ましく、より詳しくは、紙系素材を構成する繊維を露出させていることが好ましい。また、このような蓋体100は、紙系素材10として
図2Bに例示するように非形成部16を有するものを用いることで実現することができる。また、蓋体100と容器501との接合の確実性を向上させる観点からは、蓋体100を形成する紙系素材10に表面付着部13及び非形成部16のうちの少なくとも一方がまばらに形成されている(表面付着部13及び非形成部16のうちの少なくとも一方が分散配置されているように表面付着部13及び非形成部16が形成されている)ことが好ましい。
【0071】
[3-1-2 作用及び効果]
これまで、蓋体には、容器の表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂の種類が多様であってもシール法で容器と蓋体とを接着することを可能とする点で改善を要請されてきた。
【0072】
これに対して、第1例にかかる蓋体100によれば、蓋体100が本発明の紙系素材10を用いて形成されているため、疎水性有機化合物で形成された表面付着部13で蓋体100の耐水性を向上させることが可能となる。また、蓋体100を容器501に取り付ける際にヒートシール法が適用された場合で、紙系素材10に表面付着部13の非形成部16が形成されている場合にあっては、容器501の縁部503表面に形成された樹脂コート層を構成する樹脂が、非形成部16に露出した繊維に接合することができ、樹脂コート層と蓋体100との接着状態の形成も可能となる。
【0073】
[3-2 蓋体の第2例]
本発明にかかる第1例の蓋体100には、
図9A、
図9Bに示すように、差し込み口119が形成されてもよい。このように構成された蓋体の例を、第2例と称呼する。
図9A、
図9Bは、第2例の蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図、断面図である。また
図9Bは、
図9AのB-B線縦断面の状態を模式的に示す図である。第2例において、基材、疎水性有機化合物については、第1例と同じである。なお、第2例の説明において、第1例と同じ点については、説明を省略する。
【0074】
(差し込み口)
差し込み口119は、蓋体100を蓋体付き容器300に使用された場合において外部から容器501内に各種の部材を差し込み可能な構造部であり、差し込み可能な部材としては例えばストロー等が例示される。差し込み口119は、少なくとも蓋領域対応部105Bに形成されており、
図9A、
図9Bの例では、貫通部110で形成されている。貫通部110は、ブランク材130の一方面(露出面172)から他方面(対向面173)まで上下方向(厚み方向、Z軸方向)に切り込まれた構造(貫通させた構造)を有しており、いわゆる切り込み部108である。なお、この貫通部110は、ガス抜き部として機能させることができる。ここに、ガス抜き部とは、蓋体100の一方面側から他方面側(対向面173側から露出面172側)に気体を通過させることができる部分を示す。
【0075】
(差し込み口の形状)
差し込み口119の形状は、切り込みによって形成可能な形状であれば特に限定されるものでない。例えば、
図9Aの例では、蓋体100に、ブランク材130を上下方向に十字に切り込んだ形状の切り込み部108が形成されており、この切り込み部108が貫通部110を形成し、この貫通部110が差し込み口119をなしている。なお、これは一例であり、貫通部110を形成している切り込み部108の形状は、差し込み口119として使用可能な形状であれば、十字形状に限定されずC字状であってもよいし、また舌片状等の各種の形状が用いられてよい。
【0076】
蓋体100においては、
図9Bに示すように、貫通部110を形成する切り込みの切断面に、基材11の断面が露出しており、基材11の表面11Aに対応する部分の少なくとも一部に、表面付着部13が露出している(
図9Bでは、層状部15の断面が露出している)ことが好ましい。この場合、貫通部110から基材11への容器501に収容された液体のしみ込みをやや抑制することが可能となる。
【0077】
次に、第2例の蓋体100の変形例について述べる。
【0078】
第2例の蓋体100においては、蓋体100に差し込み口119が形成されている場合に、
図10A、
図10Bに示すように、差し込み口119が脆弱化部114で形成されてもよい。この形態を第2例の変形例と称呼する。
図10Aは、第2例の変型例にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
図10Bは、
図10AのC-C線縦断面の一例を模式的に示す図である。
【0079】
(脆弱化部)
脆弱化部114は、
図10Aの例に示すように、複数の貫通部110と、少なくとも2つの貫通部110の端部の間に形成された少なくとも一つの連続部115とを有する。脆弱化部114は、その脆弱化部114に対して持ち上げる又は押し下げる力が加えられて蓋体に分断部分を形成する際に、分断を生じる位置(分断位置)を案内する。すなわち、分断を生じる位置が、おおむね脆弱化部に沿って形成される。例えば、
図10Aの例では、差し込み口119に対応する部分を露出面172側から対向面173側に押し下げる力が加えられると、連続部115が破壊され、連続部115から貫通部110に沿って分断を生じ、差し込み口119が開いた状態が形成される(差し込み口119が開口した状態となる)。
【0080】
(脆弱化部のレイアウト)
脆弱化部114のレイアウトは、特に限定されるものでなく、脆弱化部114の機能等の条件に応じて定められてよい。
図10Aの例に示される脆弱化部114の例では、連続部115が一か所に形成されており、貫通部110が合計4つ形成されている。この例では、貫通部110は、連続部115から異なる四方向に放射状に延びるように形成されている。なお、これは脆弱化部114の一例であり、脆弱化部114は、連続部115の周囲に放射状に複数の貫通部110を形成している場合においては、貫通部110は、連続部115から離れる方向に3方向に延びてもよいし、5方向以上に延びてもよい。また、貫通部110は、連続部115から離れる方向に2方向に延びてもよい。
【0081】
また、
図10Aの例では脆弱化部114は十字状に形成されているが、C字状に形成されていてもよい。また、
図10Aの例に示すような連続部115の形成箇所が1か所に形成されている場合に限定されず、複数個所に形成されてよい。
【0082】
脆弱化部114の位置は、特に限定されるものではないが、蓋領域対応部105Bに設けられていることが好ましい。この場合、蓋領域対応部105Bに、分断位置が形成されることになる。
【0083】
(連続部)
連続部115は、蓋体100を形成するブランク材130を貫通しない状態に形成されている部分であればよく、非カット部でもよいし、
図10Bに示すように、ブランク材130(蓋体100)を貫通することを避ける範囲でブランク材130を厚み方向にカットしたハーフカット部116であってもよい。
図10Bは、連続部115がハーフカット部116である場合の一実施例を説明するための図となっている。ハーフカット部116は、蓋体100の厚み方向に蓋体100を途中まで切り込んだ構造であるハーフカット構造を形成する部分として特定される。なお、ハーフカット部116とは、蓋体100の厚み方向に蓋体100の厚みの半分まで切れ込まれた部分に限定されない。ハーフカット部116は、蓋体100を貫通させることを避けつつ蓋体100の厚みの半分以上切れ込まれた構造や、蓋体100の厚みの半分に満たない程度に蓋体100の厚み方向に切れ込まれた構造を含む。なお、ここでは連続部115がハーフカット部116である場合について説明したが、差し込み口119を形成する部分全体が、ハーフカット部116であってもよい。
【0084】
[3-3 蓋体の第3例]
本発明にかかる第1例の蓋体100には、
図11A、
図11B、
図11Cに示すように、容器501の開口部502よりも小さな開口面積を有する小開口部を有するベース部と、小開口部を開閉する小蓋部と、ベース部と小蓋部とを繋げるヒンジ部とを備えてもよい。このように構成された蓋体100の例を、第3例と称呼する。
図11A、
図11B、は、第3例の蓋体の一実施例を模式的に示す平面図、断面図である。
図11Cは、小蓋部を変位させて小開口部を露出させた状態を説明するための断面図である。第3例において、基材、疎水性有機化合物、接合領域対応部、蓋領域対応部、外側領域対応部については、第1例の蓋体100と同じである。なお、第3例の説明において、第1例の蓋体100で説明したことと同じ点については、説明を省略する。
【0085】
第3例の蓋体100は、
図11A、
図11B等に示すように、ベース部102と小蓋部103とヒンジ部104を有する。
図11A、
図11Bの例では、蓋体100の蓋領域対応部105Bは、ベース部102と小蓋部103とヒンジ部104を有し、外側領域対応部105Cは、ベース部102を有している(ベース部102が蓋領域対応部105Bと外側領域対応部105Cにまたがって形成されている)。
【0086】
(ベース部)
ベース部102は、接合領域対応部105Aを有し且つ小開口部106を形成する部分として定められる。ベース部102は、後述する小蓋部103の変位の基準を定める部分とすることができる。なお、
図7Aの例では、蓋体100の平面視上、ベース部102と小蓋部103が蓋体100の露出面172を形成している。第3例にかかる蓋体100において、蓋体100の平面視上(
図11Aの例ではZ軸方向(上下方向)を視線方向とした場合)、接合領域対応部105Aは、接合領域Rを形成する部分に対応しており、ベース部102に形成される。
【0087】
(小開口部)
小開口部106は、容器501に対する蓋体100の対向面173と容器501に対する蓋体100の非対向面(蓋体100の露出面172)を貫通形成するように形成される。
図11Aでは、小開口部106はベース部102の内側(外側領域対応部105Cの外周縁195よりも中心CTに近い位置)に形成された開口部として形成されている。小開口部106は、蓋体100の平面視上、接合領域対応部105Aに対応する部分の内側に容器501の開口部502よりも開口面積の小さな状態となるように形成されている。小開口部106は、蓋体100を容器501に接合させた状態において、容器501の空間部505にある内容物(例えば飲料物や飲食物など)の出入口を開口形成するためのものである。小開口部106は、後述する小蓋部103との組み合わせで開口形成部120を形成している。
【0088】
(開口形成部)
図11A等に示すように、開口形成部120は、小開口部106及び小蓋部103を有している部分として定められる。開口形成部120では、小蓋部103の変位に伴い小開口部106が開閉する。開口形成部120は、
図11A、
図11Bに示すように小蓋部103が小開口部106を閉じている状態と、
図11Cに示すように小蓋部103が変位して小開口部106が開口している状態となるように形成されている。ベース部102を基準とした小蓋部103を引き上げるように小蓋部103を回動させた場合に、小開口部106が露出し、露出口となる。すなわち開口形成部120は、容器501に蓋体100を取り付けた状態で小蓋部103を引き上げると、小開口部106から容器501の空間部505を視認できるように小開口部106と小蓋部103を組み合わせている。
【0089】
なお、小開口部106が露出口となった状態においては、後述するように追加の飲料等の液体や氷等の固形物の供給口とされることができる。また、容器501の内部(空間部505)に飲料等の液体が存在している場合においては、小開口部106は、飲料等の飲み口や注出口として使用されてもよい。
【0090】
(小蓋部)
蓋体100には、小蓋部103が設けられている。小蓋部103は、小開口部106を開閉可能に被覆可能に形成される。小蓋部103は、ベース部102に対して引き上げた状態に変位できるように形成されており、小蓋部103を引き上げる際に小開口部106が形成される(開かれる)。
図11Aに示す例では、小蓋部103で小開口部106を閉じた状態で、小蓋部103の外周輪郭形状が小開口部106の開口縁106Aの形状に沿うように小蓋部103の形状を定めることができる。この場合、小蓋部103で小開口部106を閉じた状態で、小蓋部103の外周縁103Aの端面を小開口部106の開口縁106Aの端面に接触させることが容易となる。
【0091】
図11Aの例に示す蓋体100においては、小蓋部103は、蓋体100の平面視上、接合領域対応部105Aよりも内側(蓋領域対応部105B)(蓋領域対応部105Bの中心CT側)に設けられている。小蓋部103が持ち上げられた状態となるように小蓋部103が変位(回動)する。小蓋部103はヒンジ部104でベース部102に繋がっている。ヒンジ部104を支軸として小蓋部103が持ち上げられるにつれ、小開口部106が露出する。
【0092】
蓋体100においては、小蓋部103が立ち上げられた状態では、上記したように、小開口部106が露出した状態となる。この状態を開蓋状態と呼ぶ。小蓋部103で小開口部106が覆われた状態を閉蓋状態と呼ぶ。
【0093】
蓋体100においては、開蓋状態となった後(小蓋部103が立ち上げられることで小開口部106が露出した後)でも、再度、閉蓋状態とされることが可能であり、閉蓋状態とされた場合に小蓋部103の外周縁103Aの端面(外周端面)にベース部102の小開口部106の開口縁106Aの端面が向かい合うことができる。
【0094】
(ヒンジ部)
上述したように、蓋体100は、ヒンジ部104を有する。ヒンジ部104は、小蓋部103の外周縁103Aに沿った2つの基端部174を結ぶ線分に対応した部分でおおむね構成されており、ベース部102と小蓋部103との境界部分に対応する。ヒンジ部104は、小蓋部103が回動する際の回動軸となる部分である。ただし、小蓋部103が回動する場合には、ヒンジ部104の位置で小蓋部103が一定の角度でベース部102から立ち上がる場合のみならず、ヒンジ部104から小蓋部103の前端縁部175にむかって小蓋部103が徐々に湾曲しながら立ち上がる場合が含まれるものとする。
【0095】
ベース部102は、少なくともヒンジ部104で小蓋部103に繋がっている。ヒンジ部104は、ベース部102と小蓋部103との境界として定められた部分であれば特に構造を限定されない。ヒンジ部104は、後述する接続構造と同様に、ミシン目構造やハーフカット部であってもよい。
【0096】
(小蓋部の外周縁と小開口部の開口縁との境界)
小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置では、蓋体100の未使用時の状態(開蓋状態の未形成時)において、小蓋部103と小開口部106が分断されていてもよい(非接続状態となっていてもよい)し、後述するように接続構造が形成されてもよい。小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置で、小蓋部103と小開口部106が非接続状態となっている場合、小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとを分断する構造(例えば、貫通部110と同様の構造部)が形成されている。貫通部110の構造は、第2例の蓋体100で説明したことと同様であるから説明を省略する。
【0097】
(ベース部と小蓋部との接続構造)
蓋体100においては、小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置では、上記したようにベース部102の小開口部106の開口縁106Aと小蓋部103の外周縁103Aで接続された構造(接続構造)が形成されてもよい。接続構造は、後述の第6例の蓋体100に対応する
図16Bにも示すように、連続部115を有する構造となっており、脆弱化部114と同様の構造を採用されていることが好適である。この場合、接続構造となる脆弱化部114は、小蓋部103より脆弱な部分として構成されている。接続構造が脆弱化部114であることで、小蓋部103がヒンジ部104を軸としてベース部102に対して回動する場合に、脆弱化部114が破壊される(連続部115が破壊される)ことができる。また、小蓋部103は、ベース部102に対しておおむね接続構造117に沿って分離されながら、ベース部102に対して立ち上げられる。
【0098】
(脆弱化部)
接続構造となる脆弱化部114は、第2例の蓋体100で説明したように貫通部110と連続部115との組み合わせ(ミシン目構造)で形成されてよい。
図16Bに示す接続構造の例では、接続構造である脆弱化部114は、連続部115と貫通部110の組み合わせ構造となっている。接続構造が連続部115と貫通部110を有する場合においては、連続部115が、第2例の蓋体100で
図10Bを用いて説明したように、ハーフカット部116であってもよい。
【0099】
なお、接続構造は、ミシン目構造に限定されず、接続構造の全体が、第2例の蓋体100で
図10Bを用いて説明したハーフカット部116と同様の構造を有する部分として形成されてよい。すなわち、小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置が、全体的にハーフカット部116で形成されてよい。
【0100】
蓋体の第3例についての変型例に関して、さらに説明を続ける。
【0101】
(蓋体の第3例の変形例1)
第3例の蓋体100には、
図12A、
図12B等に示すように、小蓋部103に摘み部121が設けられていてよい。このような構成を有する蓋体100を、第3例の変型例1と称呼する。
図12Aは、第3例の変型例1にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
図12Bは、
図12AのE-E線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0102】
第3例の変型例1にかかる蓋体100は、小蓋部103に摘み部121を設けた構成を除いて上記した第3例にかかる蓋体100と同様でよいため、小蓋部103に摘み部121を設けた構成を除く他の構成(ベース部102、ヒンジ部104等)についての説明を省略する。
【0103】
(摘み部)
図12A、
図12Bに示す第3例の変型例1では、小蓋部103で小開口部106を閉鎖した状態において、小蓋部103の露出面(蓋体100の露出面172)側である上面側に摘み部121が設けられている。摘み部121の構造は、ヒンジ部104を軸として小蓋部103を回動させることができるものであれば特に限定されないが、
図12A、
図12Bの例では、摘み部121としてタブ部材122が設けられている。
【0104】
(タブ部材)
図12A、
図12Bの例では、小蓋部103で小開口部106を閉鎖した状態において、タブ部材122は、タブ部材122の一端部122Aを小蓋部103に接合されており、タブ部材122の他端部122Bを自由端としている。タブ部材122のうち小蓋部103に接合された部分をタブ接合部123と呼ぶ。タブ部材122のうちタブ接合部123を除き、タブ部材122の自由端側の部分(他端部122B側の部分)は、人の手でタブ部材122を摘むことができる程度の大きさと形状に形成されていれば、特にその形状や構造を限定されるものではない。タブ部材122の材質は、第1例の蓋体100において説明した蓋体100の材質(紙系素材10の材質)と同様でよく、紙系の素材を有する材質で構成されてよい。
【0105】
蓋体100において、小蓋部103におけるタブ部材122の取り付け位置や取り付け方向は特に限定されるものはないが、
図12A、
図12Bの例では、タブ部材122は、小蓋部103の先端寄りの位置(すなわち前端縁部175の近傍)において小蓋部103に接合している。
【0106】
タブ部材122を小蓋部103に接合するための方法(すなわちタブ接合部123の形成方法)は、超音波接合やヒートシール、接着剤による接合などといった各種の方法を例示することができる。タブ接合部123の形成方法としては、上記したもののうち接合のしやすさや接合の強度等といった観点から、超音波接合が好ましい。小蓋部103におけるタブ接合部123の形成位置は、タブ部材122を持ち上げることで小蓋部103を立ち上げる(小蓋部103を回動させる)ことを容易とする観点からは、小蓋部103の中央部からずれた位置であることが好ましい。
【0107】
(タブ部材の向き(取り付け方向))
蓋体100においては、
図12Aの例では、タブ部材122の一端部122Aよりも、タブ部材122の他端部122B側(自由端側)が、ヒンジ部104側に近位となるように配置されている。ただしこれは一例であり、タブ部材122の向きは
図12Aの例に示す方向以外の向きとなっていてもよい。例えば、タブ部材122の一端部122Aよりも、タブ部材122の他端部122B側がヒンジ部104から離れた位置となるようにタブ部材122が配置されていてもよい。
【0108】
第3例の変型例1にかかる蓋体100では、摘み部121が設けられていることで、小蓋部103を容易に引き上げる(
図11Cに示すように小蓋部103を持ち上げた状態とする)ことができるようになる。
【0109】
(蓋体の第3例の変形例2)
第3例の変型例1にかかる蓋体100においては、
図13A、
図13B等の例に示すように、ヒンジ部104を軸としてベース部102に対して小蓋部103を回動して小開口部106を開放した状態で小蓋部103を保持する保持構造を形成する部分である保持構造形成部を有していてもよい。このような構成を有する蓋体100を、第3例の変型例2と称呼する。
図13Aは、第3例の変型例2にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
図13Bは、
図13AのF-F線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
【0110】
(保持構造形成部)
保持構造形成部の構成は特に限定されるものではない。例えば、
図13A、
図13Bに示す蓋体100の例では、爪部124と受け部125が保持構造形成部を形成している。
【0111】
(爪部)
爪部124は、
図13Aの例に示すように、後述する受け部125に対して掛け止めや差し込み等によって係止することが可能な構造を有する部分であればよい。
図13Aの例では、爪部124は、摘み部121の例としてのタブ部材122に設けられている。また、この例では、爪部124は、タブ部材122の所定位置におおむね山型形状等の輪郭形状に形成された切り込み部分で形成される。
【0112】
(受け部)
受け部125は、爪部124を係り止め又は差し込みができるような形状に形成されている。
図13Aの例では、受け部125は、ベース部102の所定位置での切り込みによって形成されたスリット部となっている。この場合、受け部125は、第2例の蓋体100で説明した貫通部110に対応する構造部分でよい。受け部125は、小蓋部103を回動させるようにタブ部材122を変位させた際に爪部124に向い合うことができる位置に形成される。
【0113】
(保持構造の形成)
蓋体100において小蓋部103を立ち上げる場合等では摘み部121が引き上げられる。このとき、タブ部材122を引き上げるとともにタブ部材122の自由端側(他端部122B側)の所定部分を折り曲げることで爪部124が下方向又は上方向に突出した形状となる。そして、小蓋部103の爪部124が受け部125に向い合う位置又はその位置の近傍位置に到達するまで小蓋部103を回動させるようにタブ部材122を変位させる。そしてタブ部材122の爪部124を受け部125に掛け止め又は差し込みする。これにより小開口部106を露出させた状態で小蓋部103を保持する保持構造が形成される。
【0114】
[3-4 蓋体の第4例]
第1例から第3例の蓋体100においては、
図14A、
図14B等に示すように、凸部143と凹部144の少なくともいずれか一方が形成されてよい。このような構造を有する蓋体を、第4例と称呼する。
図14Aは、第4例にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
図14Bは、
図14AのG-G線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。第4例において、基材、疎水性有機化合物、接合領域対応部、蓋領域対応部、外側領域対応部については、第1例の蓋体100と同じである。なお、第4例の説明において、第1例から第3例の蓋体100で説明したことと同じ点については、説明を省略する。
【0115】
(凸部)
凸部143は、蓋体100の露出面172側に形成されている。凸部143は、接合領域対応部105Aの内縁端から内側に設けられていることが好ましい。すなわち、凸部143は、蓋領域対応部105Bの全体に形成されてもよいし、蓋領域対応部105Bの内側の一部分に設けられていてもよい。
図14A、
図14Bの例では、凸部143は、凹部144から内側の部分に凹部144に連続して形成されている。なお、凸部143は、接合領域対応部105Aの位置を基準として、上下方向(Z軸方向)に沿って上側(+Z方向側)に突出した状態の部分を示す。なお、凸部143の形成部分の内部でさらに凹凸が存在してもよい。
【0116】
(陥没部)
蓋体100の露出面172とは逆面側(対向面173側)において凸部143に対応する部分(背反する部分)には、陥没部145が形成されている。この場合、凸部143を形成する部分がエンボス構造における凸状構造部となる。
【0117】
(凹部)
図14A、
図14Bの例では、上述したように凸部143の周囲に凹部144が形成されている。この例では、凹部144が環状に形成された溝状の構造を形成している。なお、凸部143は、接合領域対応部105Aの位置を基準として、上下方向(Z軸方向)に沿って上側(+Z方向側)に突出した状態の部分を示す。なお、凹部144の形成部分の内部でさらに凹凸が存在してもよい。
【0118】
(突出部)
蓋体100の露出面172とは逆面側(対向面173側)において凹部144に対応する部分(背反する部分)には、突出部146が形成されている。この場合、凹部144を形成する部分がエンボス構造における凹状構造部となる。
【0119】
蓋体100の凸部143には、第2例で説明した差し込み口119等が形成されてよい。この場合にあって、後述する蓋体付き容器300に収容された内容物が液体である場合においては、対向面173側に陥没部145と突出部146で高低差構造(蓋体100においてZ軸方向の位置差を形成する構造部分)が形成されていることで、液体が差し込み口119から蓋体100の外側に漏出する虞を抑制することができる。
【0120】
蓋体100の対向面173側に高低差構造を形成することができるのであれば、
図14A、
図14Bに示すように凸部143と凹部144の両方を形成された状態でなくてもよい。例えば、
図14Cに示すように蓋体100は、凹部144の形成を省略して凸部143を形成しているものでもよいし、
図14Dに示すように蓋体100は、凸部143の形成を省略して凹部144を形成しているものでもよい。
【0121】
[3-5 蓋体の第5例]
本発明にかかる第1例から第4例の蓋体100には、
図15に示すように、外側領域対応部105Cにラベル部150と表示部151の組み合わせ構造で構成される内容物識別部152が形成されていてもよい。このような構造を有する蓋体を、第5例と称呼する。
図15は、第5例にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0122】
第5例にかかる蓋体100は、ラベル部150と表示部151の組み合わせ構造を除く他の構成については、第1例から第4例と同じである。第5例の説明において、第1例から第4例の蓋体で説明したことと同じ点については、説明を省略する。
【0123】
(ラベル部)
蓋体100は、外側領域対応部105Cの外周縁195に複数のラベル部150を備えている。ラベル部150は、外側領域対応部105Cの外周縁195から外側方向に延び出た部分(延出部)で形成されてよい。ラベル部150は、基端150Aを軸として個々に折り曲げ可能に形成されている。ラベル部150の基端150Aは、おおむねラベル部150の外周縁150Bに沿って突出を開始する2つの位置(突出開始位置NB1、NB2)を結ぶ直線で定められる部分であるものとする。ラベル部150の大きさや形状は、使用者が手等でラベル部150を折り曲げ可能な程度に突出した形状を有していれば特に限定されない。ラベル部150が3以上形成されている場合、ラベル部150は、その離間間隔が均等となるように形成されてもよい。
【0124】
(表示部)
ラベル部150のうちの少なくとも一部のラベル部150については、ラベル部150から蓋領域対応部105Bの内側に向かってずれた位置に、表示部151が設けられていることが好ましい。なお、ラベル部150から蓋領域対応部105Bの内側に向かってずれた位置に表示部151が設けられるという場合には、ラベル部150の部分と、ラベル部150から蓋領域対応部105Bの内側に向かってずれた部分の両部分にまたがって表示部151が形成されている場合も含まれる。
【0125】
表示部151は、文字、図形、賦形形状、色、記号などいずれでもよくまたこれらの組み合わせでもよい。また、表示部は、互いに繋がっていてもよい。
図15の例では、表示部151が文字で構成されている。それぞれの表示部151は、例えば、COLA、TEA、JUICE、OTHER等という文字を形成した部分となっていてよい。なお、表示部151は、印刷部であってもよいし、エンボス等で凹凸形状を賦形した部分であってもよい。
図15の例では、表示部151は印刷部となっている。この例では、印刷部は、文字を印刷した部分となっている。
【0126】
(ラベル部と表示部の組み合わせ)
ラベル部150と表示部151の組み合わせは、内容物識別部152を構成している。第5例にかかる蓋体100においては、ラベル部150と表示部151の組み合わせが形成され、ラベル部150と表示部151がずれた位置に形成されているため、ラベル部150を折り曲げて内容物の識別を行う場合に、表示部151が隠れることを抑制することができ、効果的に内容物識別部152としてラベル部150と表示部151の組み合わせを機能させることができる。
【0127】
[3-6 蓋体の第6例]
本発明にかかる第1例から第4例の蓋体100には、
図16Aに示すように、外側領域対応部105Cに延出部111が形成されていてもよい。このような構造を有する蓋体を、第6例と称呼する。
図16Aは、第6例にかかる蓋体100の一実施例を模式的に示す平面図である。
【0128】
(延出部)
外側領域対応部105Cの外周縁195から外側方向に延び出た部分で延出部111が形成されている。延出部111の形状は特に限定されないが、
図16Aの例では、延出部111の外周縁111Aが、凸状になだらかに湾曲した山形形状になるように延出部111の形状が定められている。
【0129】
延出部111が形成されていると、延出部111に蓋体100に対応する容器501を示す印や文字等を配置させることができる。例えば、延出部111にS、M、L等の文字を印刷等によって配置する。そして、容器501のサイズがスモールサイズである場合には、Sの文字が印刷された蓋体100を使用し、容器501のサイズがミディアムサイズである場合には、Mの文字が印刷された蓋体100を使用し、容器501のサイズがラージサイズである場合には、Lの文字が印刷された蓋体100を使用するように、容器501と蓋体100の種類が対応づける。これにより、容器501に蓋体100を接合する場合に、誤ったサイズの異なる組み合わせで容器501と蓋体100の接合を行ってしまう虞を抑制することができる。
【0130】
第6例の蓋体100においては、
図16Bに示すように、第3例の蓋体100で示したように開口形成部120を有してもよく、その場合にベース部102の外周縁(外側領域対応部105Cの外周縁)に延出部111が形成されてもよい。
図16Bは、第6例にかかる蓋体100の一実施例(第3例にかかる蓋体100の一つの例に対してさらに延出部111を形成した例)を模式的に示す平面図である。
図16Bの例では、延出部111の位置は、閉蓋状態において延出部111とヒンジ部104との間に小蓋部103の先端側(前端縁部175側)が位置しているように、外側領域対応部105Cの外周縁に定められている。また、この場合、小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置では、接続構造として脆弱化部114が形成されていることが好適である。
図16Bでは、脆弱化部114のうち延出部111に近い位置に連続部115が配置され、小蓋部103の外周縁103Aと小開口部106の開口縁106Aとの境界位置に沿ってヒンジ部104から連続部115に向かって貫通部110が形成されている。
【0131】
この場合、延出部111を摘まんだ状態で接合領域対応部105Aを含み外側領域対応部105Cの外周縁(延出部111の基端)から蓋領域対応部105Bに向かって外側領域対応部105Cを引き裂くように、延出部111を引き上げることで、延出部111が連続部115を介して小蓋部103に繋がることができる。そして、さらに延出部111を引き上げた場合に、小蓋部103と小開口部106との境界を形成する貫通部110に沿って、延出部111とともにヒンジ部104を軸として小蓋部103が引き上げられることができる。この場合、延出部111は、前述した摘み部121として機能できることとなり、小蓋部103を引き上げる機能を発揮することができる。
【0132】
上述した、蓋体の第1例から第6例では、後述する蓋体付き容器500の状態で、蓋体100が容器501に対して接合され、接合部651を形成する。接合部651は、容器501と蓋体100とが相互に接着(粘着を含む)される部分となっていており、蓋体100と容器501とを分離するためには接合部651で蓋体100と容器501と剥離することになる。紙系素材10を用いた蓋体100としては、このようなものに限定されず、次の蓋体の第7例から第9例の説明で述べるように、容器501に対して嵌合する蓋体201が紙系素材10を用いた蓋体として適用されてもよい。
【0133】
蓋体の第7例から第9例に説明される各蓋体(第7例から第9例の蓋体)は、いずれも後述するように天蓋部202と側壁部203を有しており、少なくとも天蓋部202が本発明にかかる紙系素材10を用いて形成されるものである。第7例から第9例の各蓋体について図面を用いて説明を続ける。
【0134】
[3-7 蓋体の第7例]
[3-7-1 構成]
本発明にかかる蓋体201は、
図18A、
図18Bに例示するように、天蓋部202と側壁部203を有する(第7例)。この例を、第7例(蓋体の第7例)と称呼する。第7例にかかる蓋体201は、
図24等を用いて後述するように、上端に形成された開口部502と開口部502の外周を形成する上端縁部となる縁部503とを有する容器に接触可能に形成されている。蓋体201と容器501との接触する状態に関して、蓋体201は、上端に形成された開口部502と開口部502の外周を形成する上端縁部となる縁部503とを有する容器に嵌合可能に形成されている。
図18Aは、第7例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図18Bは、第7例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す断面図である。なお、
図18Bは、
図18AのI-I線縦断面の状態を示す。
図24は、
図18A、
図18Bに示す蓋体201を容器501に接合した蓋体付き容器500の例を示す断面図である。
【0135】
図18A、
図18Bの例に示すように、蓋体201は、曲がり部204を有していることが好ましい。曲がり部204は、天蓋部202と側壁部203とを繋ぐ部分となっており、
図18A、
図18Bの例では、曲がり部204と側壁部203とが連続的(一体的)に形成されている。
【0136】
(天蓋部)
天蓋部202は、
図24に示すように、蓋体201を容器501に取り付けた(装着した)場合に、容器501の開口部502を覆う部分となる。天蓋部202の形状は、容器501の形状に応じて定められてよく、円形状、楕円形状、三角形状、矩形状、多角形状、面取り形状などを例示することができる。
【0137】
(曲がり部)
曲がり部204は、天蓋部202の外周縁を取り巻くように形成されており、天蓋部202と側壁部203の境界を形成する部分となっている。曲がり部204は、蓋体201を容器501に取付けた場合に側壁部203が容器501の側壁504や縁部503に対向するように形成されている。
図18Aから
図18Bの例では、曲がり部204は、折れ曲がり構造を有しているが、後述するように曲がり部204は、折り曲がり構造を有する場合に限定されない。また、「天蓋部202と側壁部203の境界を形成する部分」には、その部分自体が境界をなす場合、その部分の内部や端部に境界が定められる場合(天蓋部202及び/又は側壁部203の一部が曲がり部204を兼ねる場合)のいずれも含むものとする。天蓋部202と側壁部203の境界は、曲がり部204の中央に定められる。曲がり部204が湾曲構造を有する場合(例えば、後述する蓋体の第7例の変形例4の一実施例を示す
図23Aから
図23B)には、曲がり部204は、湾曲した範囲で特定される部分で構成され、天蓋部202と側壁部203の境界は、曲がり部204のおおむね中央で定められる。
【0138】
(側壁部)
側壁部203は、天蓋部202の外周端に沿って、環状に形成されている。
【0139】
第7例にかかる蓋体201は、蓋体201を形成するためのブランク材250を一体成型することによって天蓋部202と曲がり部204と側壁部203と天蓋部202を一体的に形成することで、得ることができる。
【0140】
(ブランク材)
第5の実施形態にかかる蓋体201では、ブランク材250は、蓋体の第1例等の説明において示したブランク材130と同様に形成されてよい。すなわち、ブランク材250が、紙系素材10から形成される。
【0141】
(接触部)
蓋体201は、容器501に嵌合させた状態で容器501に接する接触部274を有する。接触部274は、側壁部203の所定の部分(第1の接触部274A)に形成されている。さらに、接触部274は、
図18Bに示すように、天蓋部202のうち対向面273側の所定の領域に対応する部分(第2の接触部274B)に形成されていることが好ましい。蓋体201を容器501に嵌合させた場合に、接触部274が形成されていることで、容器501の内容物が外部に漏れる虞を抑制することができる。第1の接触部274Aは、おおむね容器の縁部503の外面端全周にわたり形成されていることが好適であり、また環状に形成されていることが好適である。第2の接触部274Bは、おおむね容器の縁部503の上端全周にわたり形成されていることが好適であり、また環状に形成されていることが好適である。第1の接触部274Aと第2の接触部274Bは、互いに離れていてもよいし、繋がっていてもよい。第5の実施形態に示す接触部274(第1の接触部274Aと第2の接触部274Bを含む)については、後述する第8例、及び第9例についても同様である。
【0142】
また、
図18A、
図18Bの例では、天蓋部202の所定の位置に貫通部210が形成されている。この貫通部210として差し込み口219が形成されている。貫通部210は切り込み部208で形成されている。切り込み部208は、
図18の例では、十字の切り込みとなっている。差し込み口219や貫通部210は、蓋体の第2例等で説明した差し込み口119や貫通部110と同様に形成されてよい。貫通部210は、露出面272から対向面273まで天蓋部202を貫通する部分となっている。
【0143】
[3-7-2 作用及び効果]
蓋体には、環境負荷の軽減の観点から紙材料を用いることが重要視されているが、他方で耐水性を向上させることが要請されていた。この点、第7例によれば、蓋体が上述した紙系素材10を適用されていることで、紙材料を用いつつも耐水性を有する蓋体を得ることが可能となる。
【0144】
[3-7-3 変形例]
(蓋体の第7例の変形例1)
第7例にかかる蓋体201においては、
図21Aや
図21B等に示すように、天蓋部202と側壁部203とが別体の部材で形成されてもよい(第7例の変形例1)。第7例の変形例1には、天蓋部202を形成する部材の一部が側壁部203の一部を形成している場合、及び、側壁部203を形成する部材の一部が天蓋部202の一部を形成している場合が含まれる。
図21A、
図21Bは、天蓋部202を形成する部材の一部が側壁部203の一部を形成している場合の一例を示す。
【0145】
図21Aや
図21B等に示す第7例の変形例1の蓋体201を形成する方法について説明する。例えば、
図22A、
図22Bに示すような天蓋部202を形成するための第1の部分231を有する天蓋部形成部材222と、側壁部203を形成するための側壁部形成部材223とが準備される。天蓋部形成部材222の第1の部分231の外端部(外縁端部)に第2の部分232として側壁部形成部材223に接合可能に構成された接合代230が延設されている。天蓋部形成部材222の接合代230を側壁部形成部材223の上端部に接着することで、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を接合することによって、曲がり部204を形成する。このとき蓋体201が形成される。この場合、ブランク材としては、
図22Aや
図22B等に示すように、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を形成するためのブランク材(それぞれ第1のブランク材251、第2のブランク材252と称呼する)を用いることができる。天蓋部形成部材222を形成するための第1のブランク材251は、
図22Aに示すように天蓋部202の形状に接合代230を合わせた形状に形成されたシート材が用いられてよい。第2のブランク材252は、側壁部203の形状に応じた形状とされ、例えば側壁部203が先端に向かって縮径または拡径する形状である場合、
図22Bに示すように扇状に形成された(部分扇型形状に形成された)シート材が用いられてよい。第2のブランク材252の両端の端縁部253、253を接合して、側壁部203を形成する側壁部形成部材223を得ることができる。
【0146】
第7例の変形例1では、第1のブランク材251及び第2のブランク材252からなる群から選ばれた少なくとも1つのブランク材が、上述したブランク材130と同様に(同様の素材で)形成されてよい。すなわち、第1のブランク材251及び第2のブランク材252からなる群から選ばれた少なくとも1つのブランク材が、紙系素材10で形成される。
図21A,
図21B、
図22A、
図22Bの例では、第1のブランク材251及び第2のブランク材252が紙系素材10を適用されている。
【0147】
(蓋体の第7例の変形例2)
図18A、
図18Bの例では、側壁部203は、下側に向かって(-Z方向に向かって)先細りする(横断面内径が小さくなる(縮径する))ように形成されているが、これは好ましい一例であり、側壁部203は、下側に向かって先太り(横断面内径が大きくなる(拡径する))するように形成されていてもよい。また側壁部203は、下側に向かって先太りも先細りもしない(横断面内径が一定となる)ように形成されていてもよく、側壁部203は、下側に向かって先太りや先細りする部分(断面内径が変化する部分)を有するように形成されていてもよい(第7例の変形例2)。第7例の変形例2に示すことは、後述する第8例から第9例についても同様である。なお、横断面は、上下方向を法線とする平面で側壁部を切断した状態を想定した場合に認められる側壁部の切断面を示す。横断面内径は、切断面(横断面)がおおむね環状となる場合に、内周面側の径を示す。
【0148】
(蓋体の第7例の変形例3)
第7例にかかる蓋体201の天蓋部202は、第2例から第6例で説明したような構成を更に備えてもよい(第7例の変形例3)。従って、例えば、第7例の変形例3において、天蓋部202には、開口形成部120に対応する構成が存在してもよい。また、第7例にかかる蓋体201には、第1例から第6例で示した各変形例に対応する構成を設けることが禁止されない。第7例の変形例3にかかる蓋体201では、差し込み口219の構成を省略されてもよい。第7例の変形例3に示すことは、後述する第8例から第9例についても同様である。
【0149】
(蓋体の第7例の変形例4)
第7例にかかる蓋体201においては、
図23Aから
図23Bに示すように、曲がり部204が張出部226で構成されてもよい。また、張出部226の端部(内端部228A、外端部228B)のうち側壁部203に近いほうの端部(外端部228B)またはその近傍で凸部225が形成されていてもよい。
【0150】
(張出部)
図23Aから
図23Bに示す第7例の変形例4にかかる蓋体201の一例では、天蓋部202の外周端側の所定の領域が斜め上方向に突出した構造(張り出した構造)として張出部226が形成されているが、張出部226の張出方向は、上方向でもよいし、横方向(天蓋部202の平面方向)であってもよい。また、張出部226の内面226A側は、没入した部分(没入部227)となっている。没入部227の形状は、張出部226の形状に対応した形状となっている。これは、ブランク材250から蓋体201を形成する際の金型の形状に応じて実現することができる。没入部227の大きさは、容器501の縁部503を嵌め合わることができる程度の大きさであることが好ましい。没入部227の大きさがこのような大きさであると、蓋体付き容器500として蓋体201を用いた場合に、縁部503が没入部227におおむね入り込み、縁部503の外側端部分(
図23A、
図23Bの例では縁部503のうちの外側周面部511)を没入部227に面接触させることが可能であり、容器501の縁部503にてしっかりと蓋体201を装着することが容易となる。
【0151】
(凸部)
図23Aから
図23Bの例に示すように、側壁部203に凸部225が形成されていてもよい。凸部225は、例えば、側壁部203の所定の位置に内側方向(中心CT方向、側壁部203の外周面203Bから内周面203Aに向かう方向)に突出した部分として定められる。凸部225は、側壁部203の内周面を周回するように条状に形成されている凸条部であることが好ましい。側壁部203の内周面側で凸部225の凸型構造が形成され、側壁部203の外周面203B側では凸型構造の形成された位置に対応する位置に凹部224が形成されてよい。このような構造が形成されていることで、側壁部203の形状をより安定化させることができる。
【0152】
[3-8 蓋体の第8例]
[3-8-1 構成]
第8例にかかる蓋体201は、
図19A、
図19Bに示すように、天蓋部202と側壁部203とを有する点及び容器501に嵌合可能である点では蓋体の第7例と同様である。
図19Aは、第8例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図19Bは、第8例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す断面図である。なお、
図19Bは、
図19AのJ-J線縦断面の状態を示す。第8例にかかる蓋体201は、側壁部203の一部が天蓋部202の上側と下側に延び出た構成を有している。側壁部203は、環状(筒状を含む)の形状を有し、上部壁205と下部壁206とを有している。下部壁206は、天蓋部202の下側に延び出た部分であり、上部壁205は、側壁部203のうち下部壁206を除く部分で構成される。
図19A、
図19Bの例では、側壁部203は、下側に向かって先細りするように形成されている。また、
図19A、
図19Bの例では、天蓋部202の所定の位置に貫通部210が形成されているがこれは一例である。
【0153】
(天蓋部と側壁部それぞれを形成する部材)
蓋体の第8例では、蓋体の第7例の変形例1に示したように、天蓋部202と側壁部203とが別体の部材で形成されている。蓋体201は、
図19A、
図19Bの例では、上述した別体の部材として天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を有し、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223とを接合する接合部を有する。
【0154】
(天蓋部形成部材)
天蓋部形成部材222は、天蓋部202に対応する第1の部分(天蓋部形成部材222の第1の部分231)と、第1の部分231の外周端から延び出た第2の部分(天蓋部形成部材222の第2の部分232)とを有しており、第2の部分232は、第5の実施形態の変形例1に示した接合代230となっている。
図19Aの例では、天蓋部形成部材222の第2の部分232は、蓋体201の状態で第1の部分231の外周端から斜め上方向又は直上方向に立ち上がる部分(立ち上がり部)となっており、側壁部形成部材223に第2の部分232が接合された状態で第2の部分232は側壁部203の一部となっている。
【0155】
(側壁部形成部材)
側壁部形成部材223は、環状(筒状を含む)に形成されており、上部壁205を形成する部分(上部形成部)と下部壁206を形成する部分(下部形成部)とを有する。上部形成部は、天蓋部形成部材222の第2の部分232となる接合代230に対して少なくとも外面側で接する部分(第1接触壁部233)を有する。
【0156】
図19A、
図19Bの例では、上部壁205(上部形成部)は、第1接触壁部233と、天蓋部形成部材222の第2の部分232となる接合代230に対して内面側で接する部分(第2接触壁部234)と、さらに第1接触壁部233及び第2接触壁部234を繋ぐ連続部235とを有し、連続部235は、天蓋部形成部材222の第2の部分となる接合代230の上端面を覆っている。第2接触壁部234の下端は、天蓋部形成部材222の第1の部分231の上面側に位置しており、
図19A、
図19Bの例では、第1の部分231からやや離間している。ただし、これは、一例であり、第2接触壁部234の下端は、天蓋部形成部材222の第1の部分231の上面側に接触していてもよい。
【0157】
図19A、
図19Bの例では、下部壁206(下部形成部)は、第1接触壁部233の下端を基端として下方向(
図19A、
図19Bでは斜め下方向)に延び出た部分となっている。下部壁206(下部形成部)は、例えば、上下方向の位置に関して天蓋部形成部材222の第1の部分231の下面の下側に位置していることが好適である。
【0158】
(ブランク材)
第8例にかかる蓋体201は、ブランク材の加工によって形成することができる。ブランク材としては、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を形成するためのブランク材(蓋体の第7例の変形例1で上述したようにそれぞれ第1のブランク材、第2のブランク材と称呼する)を用いることができる。第1のブランク材及び第2のブランク材からなぐ群から選ばれた少なくとも1つのブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述したように上述したブランク材130と同様に紙系素材10を適用される。
【0159】
天蓋部形成部材222を形成するための第1のブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述した第1のブランク材251と同様のものを用いられてよく、天蓋部202の形状にさらに接合代230を合わせた形状に形成されたシート材(例えば
図22Aに図示したものと同様のもの)が用いられてよい。天蓋部形成部材222は、第1のブランク材を折り曲げ成形することによって、天蓋部202に対応する第1の部分231と立ち上がり部(接合代となる第2の部分232)とを形成することが好ましい。すなわち、第2の部分232は、第1のブランク材を第1の部分231の周縁の位置(接合代230の基端)で上側に曲げることで形成されていることが好ましい。
【0160】
側壁部形成部材223を形成するための第2のブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述した第2のブランク材252と同様のものを用いられてよく、扇状に形成されたシート材(例えば
図22Bに図示したものと同様のもの)が用いられてよい。第2のブランク材の端縁部を接合して環状体を形成する、環状体の上端側の部分を、連続部235に対応する位置で内側に折り返すことで、第1接触壁部233と第2接触壁部234と連続部235を形成するとともに、上部形成部(上部壁205に対応する構造部)を形成することができ、さらに下部形成部(下部壁206に対応する構造部)を形成することができる。上部形成部と下部形成部の形成により、側壁部形成部材223が形成される。なお、少なくとも第1接触壁部233と第2接触壁部234では、接合代230に接着される。
図19Bの例では、第1接触壁部233と第2接触壁部234と連続部235が接合代230に接着され、接着部が形成される。
【0161】
なお、蓋体201の製造のあたっては、第2のブランク材から形成された上述した環状体を天蓋部形成部材222に接合することが好ましい。例えば天蓋部形成部材222の接合代230(第2の部分232)の下端が、環状体の内周面のうち、下部形成部と上部形成部の境界位置(上部壁205と下部壁206の境界位置)に位置合わせされ、接合代230を環状体の内周面に対面させる。さらに、上述したように環状体における連続部235に対応する位置で環状体の上端側の部分を内側に折り返すことで、接合代230を上端側から被覆する。そして、第1接触壁部233と第2接触壁部234に挟まれるように接合代230を側壁部形成部材223となる環状体に接合する。これにより、側壁部形成部材223が形成されるとともに蓋体201が得られる。
【0162】
[3-8-2 作用及び効果]
第8例にかかる蓋体201によれば、蓋体の第7例と同様の効果を得ることができる。
【0163】
[3-9 蓋体の第9例]
[3-9-1 構成]
第9例にかかる蓋体201は、
図20A、
図20Bに示すように、天蓋部202と側壁部203とを有する点及び容器に嵌合可能である点では蓋体の第7例と同様である。
図20Aは、第9例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す斜視図である。
図20Bは、第9例にかかる蓋体の一実施例を模式的に示す断面図である。なお、
図20Bは、
図20AのK-K線縦断面の状態を示す。第9例にかかる蓋体201は、側壁部203の一部が天蓋部202の上側と下側に延び出た構成を有している。側壁部203は、環状(筒状を含む)の形状を有し、上部壁205と下部壁206とを有している。下部壁206は、天蓋部202の下側に延び出た部分であり、上部壁205は、側壁部203のうち下部壁206を除く部分で構成される。
図20A、
図20Bの例では、側壁部203は、下側に向かって先細りするように形成されている。また、
図20A、
図20Bの例では、天蓋部202の所定の位置に貫通部210が形成されているがこれは一例である。
【0164】
(天蓋部と側壁部それぞれを形成する部材)
蓋体の第9例では、蓋体の第7例の変形例1や蓋体の第8例の説明にも示したように、天蓋部202と側壁部203とが別体の部材で形成されている。
図20A、
図20Bの例に示す蓋体201は、上述した別体の部材として天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を有し、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223とを接合する接合部を有する。
【0165】
(天蓋部形成部材)
天蓋部形成部材222は、天蓋部202に対応する第1の部分(天蓋部形成部材222の第1の部分231)と、第1の部分231の外周端から延び出た第2の部分(天蓋部形成部材222の第2の部分232)とを有しており、第2の部分232は、第5の実施形態の変形例1に示した接合代230となっている。
図20A、
図20Bの例では、天蓋部形成部材222の第2の部分は、第1の部分231の外周端から斜め下方向又は直下方向に延びる部分(垂れ下がり部)となっており、側壁部形成部材223に第2の部分232が接合された状態で第2の部分232は側壁部203の一部となっている。
【0166】
(側壁部形成部材)
側壁部形成部材223は、環状(筒状を含む)に形成されており、上部壁205を形成する部分(上部形成部)と下部壁206を形成する部分(下部形成部)とを有する。下部形成部は、天蓋部形成部材222の第2の部分232となる接合代230に対して少なくとも外面側で接する部分(下部第1接触壁部237)を有する。
【0167】
図20A、
図20Bの例では、下部形成部は、下部第1接触壁部237と、天蓋部形成部材222の第2の部分232となる接合代230に対して内面側で接する部分(下部第2接触壁部238)と、さらに下部第1接触壁部237及び下部第2接触壁部238を繋ぐ下端側連続部239とを有し、下端側連続部239は、天蓋部形成部材222の第2の部分232となる接合代230の下端面を覆っている。下部第2接触壁部238の上端は、天蓋部形成部材222の第1の部分231の下面(対向面273)側に位置しており、
図20A、
図20Bの例では、第1の部分231から離間していることが好ましい。、第1の部分231と下部第2接触壁部238の上端との間に、容器501の縁部503(例えば、カール部508の外周面の一部)が入り込むことが可能であることが好ましい。
【0168】
図20A、
図20Bの例では、上部壁205(上部形成部)は、下部第1接触壁部237の上端を基端として上方向(
図20Bでは、ななめ上方向)に延び出た部分となっている。、上部壁205(上部形成部)は、例えば、上下方向の位置に関して天蓋部形成部材222の第1の部分231の上面の上側に位置していることが好適である。
図20A、
図20Bの例に示すように、上部形成部は、その上端側にカール部(側壁上端カール部236)が形成されていることが好ましい。この場合、上部形成部の上端に、ブランク材(側壁部形成部材223を形成するための第2ブランク材)の端面が露出した状態が形成されることを抑制することができ、使用者がブランク材の端面に口を添えて、容器501内の内容物を摂取する場合にあっても、使用者がブランク材の端面に口を接触させることに伴う不快感を抑制することができる。また、側壁上端カール部236が形成されていることで、側壁部203におけるブランク材の端面に対応する部分に液体が接触しにくくなる。
【0169】
(ブランク材)
第9例にかかる蓋体201は、ブランク材の加工によって形成することができる。ブランク材としては、天蓋部形成部材222と側壁部形成部材223を形成するためのブランク材(蓋体の第7例の変形例1で上述したようにそれぞれ第1のブランク材、第2のブランク材と称呼する)を用いることができる。第1のブランク材及び第2のブランク材からなぐ群から選ばれた少なくとも1つのブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述したように上述したブランク材130と同様に紙系素材10を適用される。
【0170】
天蓋部形成部材222を形成するための第1のブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述した第1のブランク材251と同様のものを用いられてよく、天蓋部202の形状にさらに接合代230を合わせた形状に形成されたシート材(例えば
図22Aで図示したようなもの)が用いられてよい。天蓋部形成部材222は、第1のブランク材を折り曲げ成形することによって、天蓋部202に対応する第1の部分231と、接合代230となる第2の部分232とを形成することが好ましい。すなわち、第2の部分232は、第1のブランク材を第1の部分231の周縁の位置で下方向に曲げることで形成されていることが好ましい。
【0171】
側壁部形成部材223を形成するための第2のブランク材は、蓋体の第7例の変形例1で上述した第2のブランク材252と同様のものを用いられてよく、扇状に形成されたシート材(例えば
図22Bで図示したようなもの)が用いられてよい。第2のブランク材の端縁部を接合して環状体を形成する、そして環状体の下端側の部分を、下端側連続部239に対応する位置で内側に折り返すことで、下部第1接触壁部237と下部第2接触壁部238と下端側連続部239を形成するとともに、下部形成部(下部壁206)を形成することができ、さらに上部形成部(上部壁205)を形成することができる。下部形成部と上部形成部の形成により、側壁部形成部材223が形成される。
【0172】
なお、蓋体201の製造のあたっては、第2のブランク材から形成された上述した環状体が天蓋部形成部材222に接合されることが好ましい。天蓋部形成部材222の接合代230(第2の部分232)の上端が、環状体の内周面のうち、下部形成部と上部形成部の境界位置(上部壁205と下部壁206の境界位置)に位置合わせされ、接合代230を環状体の内周面に対面させる。さらに、上述したように環状体における下端側連続部239に対応する位置で環状体の下端側の部分を内側に折り返すことで、接合代230を下端側から被覆する。そして、下部第1接触壁部237と下部第2接触壁部238に挟まれるように接合代230を下部形成部(側壁部形成部材223を形成する環状体)に接合する(接着する)。これにより、側壁部形成部材223が形成されるとともに蓋体201が得られる。
【0173】
[3-9-2 作用及び効果]
第9例にかかる蓋体201によれば、蓋体の第7例と同様の効果を得ることができる。
【0174】
蓋体の適用例について説明を続ける。
【0175】
[4 適用例]
(適用例1)
上記蓋体の例1例から第6例に示すような蓋体100は、
図17A、
図17Bに示すように蓋体付き容器500に用いることができる(適用例1)。
図17Aは、第1例にかかる蓋体100を、上端に形成された開口部502を有する容器501の開口部502の外周を形成する縁部503に接合させた実施例を示す斜視図である。
図17Bは、
図17AのH-H線縦断面の状態を模式的に示す断面図である。
図17A、
図17Bを用いて蓋体付き容器500について説明を続ける。
【0176】
(蓋体付き容器)
蓋体付き容器500として、第1例にかかる蓋体100を容器501に取り付けたものを例として説明する。蓋体付き容器500は、容器501を蓋体100に取り付けられることで接触部が形成される。適用例1では、容器501に蓋体100を接合させることで形成される接合部651が接触部として形成され、接合部651を形成する蓋体100の領域が接合領域Rとなる。蓋体100と容器501との接合方法は特に限定されず、圧着法や、熱融着法(ヒートシール)等の接合方法と適宜用いることができる。
【0177】
図17A、
図17Bに示す例では、容器501は、上方向にむかって径が太くなるような(下方向に向かって先細りするような)筒状の側壁504と底部507を有し内部に空間部505を形成する容器本体510と、容器本体510の上端(側壁504の上端)で開口した開口部502を有する。図示しないが、容器501の開口部502は円形状に形成されている。ただし、ここに示す容器501は一例であり、容器501の構成を限定するものではない。たとえば、容器501は開口部502を矩形状に形成されてもよい。容器501は、蓋体100で開口部502を被覆できるものであればよい。また、容器501の内部(空間部505)に収納されるものは、特に限定されず、例えば液体状のもの、固形状のもの、またはそれらの組み合わせなどを例示することができる。
【0178】
図17A、
図17Bに示す容器では、開口部502の縁部503は、フランジ部を有している。フランジ部は、
図17A、
図17B等に示すように容器本体510を形成する部材を外向きに巻きまわされたカール部508であってもよいし、外側方向に平面上に延びる部分(つば部)として形成されてもよい。
【0179】
また、蓋体100は、開口部502を有する容器501との組み合わせとされてもよい。
【0180】
(適用例2)
上記蓋体の第7例から第9例に示されるような蓋体201は、
図24に示すように蓋体付き容器500に用いることができる(適用例2)。
図24は、第7例にかかる蓋体100を、上端に形成された開口部502を有する容器501の開口部502の外周を形成する縁部503に嵌合させた実施例を示す断面図である。
図24を用いて適用例2にかかる蓋体付き容器500について説明を続ける。
【0181】
蓋体201を、上端に形成された開口部502を有する容器501の開口部502の外周を形成する縁部503に嵌合することで容器501に蓋体201を取り付けることができる。この場合、容器501と蓋体201とを接触させた(縁部503と天蓋部202の部分とを接触させた)部分として接触部を形成することができる。なお、容器501の構成は、適用例1で上述した容器と同様でよいため詳細な説明を省略する。
【0182】
また、蓋体201は、開口部502を有する容器501との組み合わせとされてもよい。
【0183】
上記した[4 適用例]で示したことは、第1例にかかる蓋体100を用いる場合に限定されない。第2例から第6例にかかる蓋体、第8例および第9例にかかる蓋体、および第1例から第9例の説明で示された各変形例についても、蓋体付き容器500に用いることができ、また蓋体100と容器501との組み合わせとして用いることができる(図示せず)。
【0184】
本発明にかかる紙系素材10について、具体的な実施例を用いて更に説明する。
【実施例0185】
実施例1(素材の準備)
疎水性有機化合物として蜜蝋を準備し、拡散液として水を準備し、水に蜜蝋を0.8重量%の配合量で拡散させた(この場合においては分散させた)。このとき得られた蜜蝋の0.8重量%水分散液を浸漬液とした。また、基材として紙(目付量140g/m2)を準備した。
【0186】
(紙系素材の製造)
上記した浸漬液に対して、基材としての紙(目付量140g/m2)を浸漬した。このとき、基材100重量部に対し、100重部の浸漬液となるような割合で、基材と浸漬液が用いられた。浸漬した基材を乾燥させた。これにより紙系素材としてシートが得られた。
【0187】
(蓋体の製造)
得られた紙系素材から、直径90mmの円形状の部分が切り抜かれることで、ブランク材が製造された。このブランク材をそのまま蓋体とした。
【0188】
(蓋体のヒートシール性)
容器として、ポリエチレンコート紙(紙系の素材の両表面にポリエチレンの層(樹脂コート層)を形成したもの(いわゆるコート紙に属するもの))から形成された容器(開口部の口部が外径90mmで縁部にフランジ部を有する)を準備した。
【0189】
蓋体を、容器のフランジ部と開口部が隠れるように、配置した。そして、蓋体の露出面側から加圧及び加熱することでヒートシール法が施された。なお、加熱温度は、175℃に設定された。これにより蓋体付き容器が得られた。
【0190】
得られた蓋体付き容器を用いて容器と蓋体との剥離試験を行った。剥離試験は、蓋体付き容器から蓋体を分離した際の分離状態を観察することで実施された。結果、蓋体を容器から分離させる際に蓋体に材質破壊が生じることが観察されたことから、ヒートシール性が良好であることが確認された。
【0191】
また、得られた蓋体については、容器との対向面側に水を滴下し、しみ込み性を観察することで耐水性試験を行った。なお、実施例1で得られた紙系素材から形成された蓋体と同様の耐水性試験は、基材に対しても行われた。実施例1の蓋体では、基材の場合水のしみ込みが抑えられており、耐水性に優れていることが観察された。
【0192】
以上、本発明に係る紙系素材及び紙系素材を用いた蓋体等について詳細に説明したが、上記したのは本発明係る紙系素材及び蓋体を例示したに過ぎず、これらに限定されるものではない。したがって、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において適宜変更してよい。
【0193】
以上の本明細書の説明に基づき、本発明は、次の[E1]から[E13]に示す構成を採用されてよい。
[E1]紙系の基材の少なくとも片方の表面に、前記基材の前記表面を露出させている、紙系素材。
[E2]前記基材の少なくとも片方の表面に、非合成樹脂系の疎水性有機化合物を付着した部分としての表面付着部が設けられている、上記[E1]に記載の紙系素材。
[E3]前記疎水性有機化合物が、生分解性を有する有機化合物である、
上記[E2]に記載の紙系素材。
[E4]前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成している、
上記[E2]又は[E3]のいずれか1つに記載の紙系素材。
[E5]前記表面付着部は、層を形成している、
上記[E2]から[E4]のいずれか1つに記載の紙系素材。
[E6]前記基材の前記表面から前記基材の内側の部分に、前記疎水性有機化合物を付着した部分としての内側付着部を形成し、
前記内側付着部と前記表面付着部が連続している、
上記[E2]から[E5]のいずれか1つに記載の紙系素材。
[E7]前記非合成樹脂系の前記疎水性有機化合物が、ワックス類である、
上記[E2]から[E6]のいずれか1つに記載の紙系素材。
[E8]上記[E1]から[E7]のいずれか1つに記載の記載の紙系素材から形成された、
蓋体。
[E9]上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有し且つ表面に樹脂コート層をする容器に対して接合可能に形成されており、
前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合することができるように構成されている、
上記[E8]に記載の蓋体。
[E10]上記[E8]又は[E9]に記載の蓋体と、
上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有し、
前記蓋体を前記容器に接合した、
蓋体付き容器。
[E11]前記容器は、表面に樹脂コート層を有し、
前記紙系素材のうち前記基材の前記表面を露出した部分に前記樹脂コート層が接合している、
上記[E10]に記載の蓋体付き容器。
[E12]上記[E8]又は[E9]に記載の蓋体と、
上端に形成された開口部と前記開口部の外周を形成する縁部とを有する容器とを有する、
蓋体と容器の組み合わせ。
[E13]基材を、非合成樹脂系の疎水性有機化合物と水と非水系溶媒とを含む浸漬液に浸漬する浸漬工程と、前記浸漬液を含む前記基材を乾燥する乾燥工程と、を含む、
紙系素材の製造方法。