(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005430
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】舌用クリーナ
(51)【国際特許分類】
A47K 7/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A47K7/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105608
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】390010216
【氏名又は名称】ニッコー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100137394
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 敏弘
(72)【発明者】
【氏名】鶴見 秀一
(72)【発明者】
【氏名】河崎 達洋
(72)【発明者】
【氏名】佐久間 和
(72)【発明者】
【氏名】中村 大輔
【テーマコード(参考)】
2D134
【Fターム(参考)】
2D134AC00
(57)【要約】
【課題】 舌苔除去に伴う不快感を低減した舌用クリーナを提供する。
【解決手段】 舌用クリーナは、複数の凹部が表面に形成されたヘッド部と、前記ヘッド部に接続されたハンドルとを有する。好適には、前記凹部、前記ヘッド部及び前記ハンドルは、セラミックスにより一体的に構成されている。好適には、複数の前記凹部は、前記ヘッド部の一方の表面において、互いに隣接して連続的に形成されている。前記ヘッド部及び前記ハンドルは、一本の棒状セラミックスであり、複数の前記凹部は、前記棒状セラミックスの外周面からへこんだ面に形成されている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の凹部が表面に形成されたヘッド部と、
前記ヘッド部に接続されたハンドルと
を有する舌用クリーナ。
【請求項2】
前記凹部、前記ヘッド部及び前記ハンドルは、セラミックスにより一体的に構成されている
請求項1の舌用クリーナ。
【請求項3】
複数の前記凹部は、前記ヘッド部の一方の表面において、互いに隣接して連続的に形成されている
請求項2に記載の舌用クリーナ。
【請求項4】
前記凹部の最大径は、3.2mm~4.2mmであり、
前記ヘッド部は、前記ハンドルと同じ幅であり、
前記ヘッド部の重量は、5.5g~9.5gである
請求項3の舌用クリーナ。
【請求項5】
前記ヘッド部に形成される凹部の密度は、5~19個/cm2である
請求項4の舌用クリーナ。
【請求項6】
前記ヘッド部及び前記ハンドルは、一本の棒状セラミックスであり、
複数の前記凹部は、前記棒状セラミックスの外周面からへこんだ面に形成されている
請求項5に記載の舌用クリーナ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、舌用クリーナに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、歯を磨くための刷毛を植え込んだ植毛部と手で持つ把持部とをハンドルに設けた歯ブラシにおいて、植毛部裏面と植毛部側面のいずれか或いはいずれにも凹部を設けて、凹部側面と植毛部裏面とでできる角に舌苔掻取り刃を形成させた舌苔掻取り具付歯ブラシが開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、把持部と、前記把持部から延びる連結部と、前記連結部の先端に設けられたヘッド部と、を備え、前記ヘッド部は、前記連結部から延びる基台部と、前記基台部の一方面に形成された舌苔除去部とを有しており、前記舌苔除去部は、ショアA硬度が10~35であり、前記連結部は、前記把持部を固定した状態で前記舌苔除去部に対して垂直方向に1Nの荷重を掛けたときに前記舌苔除去部の可動範囲が5~10mmとなるような弾性を有する、舌清掃具が開示されている。
【0004】
また、特許文献3には、舌の表面と当接して舌苔を掻き取るための円錐形突起を多数形成してブラシを構成したブラシ部を冠着すべく緩やかな円弧状の凸形状を成すブラシ保持部と、該ブラシ保持部の一端側に当該舌苔除去具を把持するための首部および柄部を一方向に形成し、更にブラシ保持部の他端側裏面にスキージ部を形成して構成することを特徴とした、舌苔除去具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平08-047422号公報
【特許文献2】特開2012-228281号公報
【特許文献3】実用新案登録第3121294号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、舌苔除去に伴う不快感を低減した舌用クリーナを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る舌用クリーナは、複数の凹部が表面に形成されたヘッド部と、前記ヘッド部に接続されたハンドルとを有する。
【0008】
好適には、前記凹部、前記ヘッド部及び前記ハンドルは、セラミックスにより一体的に構成されている。
【0009】
好適には、複数の前記凹部は、前記ヘッド部の一方の表面において、互いに隣接して連続的に形成されている。
【0010】
好適には、前記凹部の最大径は、3.2mm~4.2mmであり、前記ヘッド部は、前記ハンドルと同じ幅であり、前記ヘッド部の重量は5.5g~9.5gである。
【0011】
好適には、前記ヘッド部に形成される凹部の密度は、5~19個/cm2である。
【0012】
好適には、前記ヘッド部及び前記ハンドルは、一本の棒状セラミックスであり、複数の前記凹部は、前記棒状セラミックスの外周面からへこんだ面に形成されている。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、舌苔除去に伴う不快感を低減した舌用クリーナを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【発明を実施するための形態】
【0015】
まず、本発明がなされた背景を説明する。
舌苔を除去するための舌苔除去具は、上記のように、ブラシや多数の突起で舌表面を擦るものが多い。そのため、舌苔と共に、唾液も大量にかき取られ、除去作業中に唾液が流れ出ることがある。また、唾液がかき取られた結果、口内が乾くなどすることもある。
加えて、ブラシや突起でかき取った舌苔は、ブラシや突起の隙間に入り込んで視認しにくくなり、舌苔除去作業の効果が確認できず、結果として舌苔除去作業をやり過ぎてしまい、舌表面を傷つけてしまうこともある。
そこで、本実施形態の舌用クリーナ1は、表面に形成された凹部で、舌苔を包み取る。つまり、凹部で舌苔を捕まえておき、かつ、唾液のロスを凹部の容積に限定することができる。
【0016】
図1は、舌用クリーナ1の六面を例示する図である。なお、舌用クリーナ1の左側面及び右側面は対称である。
図1に例示するように、舌用クリーナ1は、複数の凹部100が表面に形成されたヘッド部10と、ヘッド部10に接続されたハンドル14とを有する。
図1に示すように、本例の舌用クリーナ1では、凹部100、ヘッド部10、及びハンドル14が、セラミックスにより一体的に構成されている。このセラミックス表面には釉薬がかけられていても良い。なお、本例では、セラミックス製の舌用クリーナ1を具体例として説明するが、これに限定されるものではなく、合成樹脂等で形成されてもよい。
また、ヘッド部10及びハンドル14は、一本の棒状セラミックスである。すなわち、ヘッド部10はハンドル14と同じ幅であり、例えば、ヘッド部10の重量は、5.5g~9.5gである。よりの好ましくは、ヘッド部10の重量は、6.5g~8.5gであり、最も好ましくは、7.0g~8.0gである。この自重によりヘッド10を舌表面に適切な力で押圧でき、過剰な力による舌苔除去作業の抑制が期待できる。
【0017】
複数の凹部100は、
図1の側面図からわかるように、棒状セラミックスの外周面からへこんだ面に形成されている。すなわち、ヘッド部10の一方の面が、棒状セラミックスの中心軸側に後退した略平面となっており、この平面上に複数の凹部100が多数形成されている。これにより、棒状の舌用クリーナ1をテーブル上などに置いた場合でも、舌苔除去に用いる面(凹部100が形成された面)が、テーブル面に接触せず衛生的である。
【0018】
図2は、ヘッド部10の拡大図である。
図2に示すように、ヘッド部10の一方の表面において、複数の凹部100が、互いに隣接して連続的に形成されている。本例の凹部100の入口形状は、多角形であるが、円形であってもよい。
ヘッド部10に形成される凹部100の密度は、5~19個/cm
2である。より好ましくは、凹部100の密度は、10~14個/cm
2であり、最も好ましくは、12個/cm
2である。
凹部100の最大径は、3.2mm~4.2mmである。より好ましくは、凹部100の最大径は、3.4mm~4.0mmであり、最も好ましくは、3.6mm~3.8mmである。
凹部100の深さは、0.4mm~1.2mmである。
【0019】
舌用クリーナ1の製造方法は、例えば、セラミックス原料を型に入れて成形し、成型品を焼成するものである。
セラミックス製とすることにより、シリコン製や樹脂製に比べて、耐熱性、耐UV性、耐薬品性が高い。これにより、例えば、高温高圧による滅菌処理や、UV殺菌、薬品処理に耐えることが期待できる。なお、セラミックス材料に抗菌性を付与してもよい。
【0020】
以上説明したように、本実施形態の舌用クリーナ1によれば、ヘッド部10に形成された多数の凹部100によって、広い面積で優しく効率的に舌苔を除去できると共に、口内の唾液を過剰にかき出されることを防止できる。
また、除去された舌苔は凹部100に包摂されているため、舌苔除去の成果を視認できる。これにより、舌苔除去作業のやり過ぎを抑制できる。
また、舌用クリーナ1を棒状のセラミックス製とすることにより、食器洗い乾燥機で洗浄するなど、メンテナンス性が向上する。加えて、医療器具のように、高温高圧下での殺菌滅菌処理や、UV殺菌処理などにも耐えうる。
また、舌用クリーナ1のヘッド部10を棒状の細長い形状とすることにより、舌の奥まで容易に届くと共に、広い範囲の掃除が可能になる。