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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005432
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240110BHJP
   A01B 61/02 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
A01B61/02
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105610
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】石原 健二
【テーマコード(参考)】
2B041
3D235
【Fターム(参考)】
2B041AA01
2B041AB05
2B041AC05
2B041AC08
2B041CA03
2B041CG10
2B041HA28
3D235AA14
3D235CC15
3D235HH02
(57)【要約】
【課題】 エネルギ源を貯留する貯留装置を、極力多く且つ適切に搭載でき、充電に係る走行及び作業の停止を少なくすることができる作業機を提供する
【解決手段】 第1移動体である走行車両2と、第1移動体に連結される第2移動体としての作業装置3と、第2移動体に搭載され且つ走行車両2を駆動するためのエネルギ源を貯留するサブバッテリ12Sと、を備える。これによれば、サブバッテリ12Sは、走行車両2側に搭載されることなく、作業装置3に搭載される。このため、走行車両2側に、サブバッテリ12Sを搭載するための構成を新たに設けることが不要となり、バッテリを容易に搭載できる。走行車両2がメインバッテリ12Mを備える場合、残量が減少したメインバッテリ12Mの充電のために、走行及び作業を停止することなく、サブバッテリ12Sの容量応じて走行及び作業を継続することができる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1移動体と、
前記第1移動体に連結される第2移動体と、
前記第2移動体に搭載され且つ前記第1移動体を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、
を備えた作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記第2移動体は、
作業を行う作業装置を備え、
前記貯留装置は、
前記作業装置に搭載される
作業機。
【請求項3】
請求項1に記載の作業機において、
前記第2移動体は、
作業を行う作業装置を備え、
前記貯留装置は、
前記作業装置に連結される
作業機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記貯留装置から前記第1移動体へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、
前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、
を備えた作業機。
【請求項5】
請求項4に記載の作業機において、
前記コネクタは、
前記第1移動体に連結される前記第2移動体に対向するよう、前記第1移動体に設けられる
作業機。
【請求項6】
請求項4に記載の作業機において、
前記貯留装置は、
前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第2移動体は、
作業を行う作業装置を備え、
前記作業装置は、
前記第1移動体からの信号を受け取り可能であり、
前記第1移動体からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、
前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、
を備えた作業機。
【請求項7】
請求項5に記載の作業機において、
前記貯留装置は、
前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第2移動体は、
作業を行う作業装置を備え、
前記作業装置は、
前記第1移動体からの信号を受け取り可能であり、
前記第1移動体からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、
前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、
を備えた作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、農業機械、建設機械等を含む作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業機械等の作業機として、特許文献1の作業機が知られている。特許文献1の作業機は、走行車両に連結された作業装置を備えている。走行車両を駆動する原動機は、ディーゼルエンジン等の内燃機関である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-187375号公報(段落0017等)
【発明の概要】
【0004】
近年、作業機においても、電動化や排出規制のトレンドが加速してきている。原動機として、例えば、モータ等が用いられる場合がある。この場合、原動機に電気エネルギを供給するバッテリ等が用いられることが多い。一般に、バッテリ等においては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、充電が必要となる。充電時には走行及び作業が停止してしまうため、作業機には、バッテリ等を、極力多く且つ適切に搭載しておく要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記要望に鑑み、エネルギ源を貯留する貯留装置を、極力多く且つ適切に搭載でき、充電に係る走行及び作業の停止を少なくすることができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の作業機は、第1移動体と、前記第1移動体に連結される第2移動体と、前記第2移動体に搭載され且つ前記第1移動体を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、を備えている。
【0007】
前記作業機において、前記第2移動体は、作業を行う作業装置を備え、前記貯留装置は、前記作業装置に搭載される。
【0008】
前記作業機において、前記第2移動体は、作業を行う作業装置を備え、前記貯留装置は、前記作業装置に連結される。
【0009】
前記作業機は、前記貯留装置から前記第1移動体へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、を備えている。
【0010】
前記作業機において、前記コネクタは、前記第1移動体に連結される前記第2移動体に対向するよう、前記第1移動体に設けられる。
【0011】
前記作業機において、前記貯留装置は、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記第2移動体は、作業を行う作業装置を備え、前記作業装置は、前記第1移動体からの信号を受け取り可能であり、前記作業機は、前記第1移動体からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業機に、エネルギ源を貯留する貯留装置を、極力多く且つ適切に搭載でき、充電に係る走行及び作業の停止を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】第1実施形態の作業機の全体図である。
図2図1に示す作業機における後部の平面図及び作業装置の背面図である。
図3図1に示す作業機の連結装置を含む車体後方の斜視図である。
図4図1に示す作業機の動力伝達系及び電力供給系を示す図である。
図5図1に示す作業機の制御系及び情報通信系を示す図である。
図6図1に示す作業機の走行車両に作業装置が連結されている状態を説明するための側面図である。
図7】第2実施形態の作業機の全体図である。
図8図7に示す作業機における後部の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の各実施形態を図面に基づいて説明する。
【0015】
[第1実施形態]
図1は、第1実施形態の作業機1の全体の側面図を示している。図2は、作業機1における後部の平面図及び作業装置3の背面図を示している。図1図2に示すように、作業機1は、走行車両(第1移動体)2と、作業装置(第2移動体)3と、を備えている。また、作業機1は、メインバッテリ12Mと、サブバッテリ(貯留装置)12Sと、を備えている。メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sは、走行車両2や作業装置3を駆動するための電気エネルギ(エネルギ源)を貯留する。本実施形態では、インバッテリ12M及びサブバッテリ12Sは、走行車両2及び作業装置3に、それぞれ搭載される。
【0016】
走行車両2は、作業装置3を牽引しながら走行する車両である。本実施形態の場合、走行車両2はトラクタであるため、以下、走行車両2をトラクタ2として説明する。但し、走行車両2は、トラクタに限定されず、コンバインや田植機等の農業車両であっても、建設車両等であってもよい。また、走行車両2は、ピックアップトラックであってもよい。作業装置3は、圃場等に対する作業(農作業)を行う装置である。作業装置3は、走行車両2に連結されるインプルメントやアタッチメント等である。
【0017】
<トラクタ>
トラクタ2は、車体4と、走行装置5と、連結装置6と、を備えている。本発明の実施形態において、車体4に搭載された運転席7に着座した運転者の前側(図1の左側)を前方、運転者の後側(図1の右側)を後方、運転者の左側(図1の手前側)を左方、運転者の右側(図1の奥側)を右方として説明する。また、前後方向K1(図1参照)に直交する方向である水平方向K2(図2参照)を車両幅方向として説明する。
【0018】
車体4は、車体フレーム8と、クラッチハウジング9と、ミッションケース10と、原動機11と、メインバッテリ12Mとを有している。車体フレーム8は、車体4の前後方向に延びている。車体フレーム8には、原動機11及びメインバッテリ12Mが搭載されている。本実施形態の場合、原動機11は、電動モータである。以下、原動機11が、電動モータ11であるとして説明する。電動モータ11は、メインバッテリ12Mから電気エネルギが供給されて駆動する。
【0019】
メインバッテリ12Mは、略直方体状のケーシング内部に、バッテリパック、電装ユニット(リレー、フューズ等)、冷却手段を備える。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールで構成されている。バッテリモジュールは、複数のセルで構成されている。このように構成されたメインバッテリ12Mは、電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、詳しくはリチウムイオンバッテリである。メインバッテリ12Mに貯留されている電気エネルギは、後述するメイン電源供給経路Pに送出されるようになっている。
【0020】
電動モータ11及びメインバッテリ12Mは、車体フレーム8に搭載されて、車体4の前部に配置されている。クラッチハウジング9は、電動モータ11の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース10は、クラッチハウジング9の後部に連結されて後方に延びている。ミッションケース10は、後述する変速装置13や後輪デフ装置14等を収容している。走行装置5は、車体4の前部に設けられた前輪5Fと、車体4の後部に設けられた後輪5Rとを有している。前輪5Fは、車体フレーム8に支持されている。後輪5Rは、後輪デフ装置14の出力軸に支持されている。走行装置5は、本実施形態の場合はタイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。
【0021】
連結装置6は、トラクタ2の後部に作業装置3を連結するための装置である。本実施形態の場合、連結装置6は、3点リンク機構を含んでいる。但し、連結装置6の構成は、作業装置3を走行車両2の後部に連結可能な構成であれば特に限定されない。例えば、走行車両2がピックアップトラックの場合、連結装置6は、3点リンク機構以外の機構によって作業装置3を連結する。
【0022】
図3に示すように、連結装置6は、ミッションケース10の後部に接続されている。連結装置6は、リフトアーム6A、3点リンク機構6B、シフトシリンダ6Cを有している。リフトアーム6Aは、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとを含む。第1リフトアーム6ALは、車両幅方向の一方(左方)に配置されている。第2リフトアーム6ARは、車両幅方向の他方(右方)に配置されている。第1リフトアーム6AL及び第2リフトアーム6ARは、前端部がミッションケース10の上部に支持された横軸6Dに枢支されており、後方に向けて延びている。
【0023】
3点リンク機構6Bは、トップリンク6B1、ロアリンク6B2、リフトロッド6B3を有している。トップリンク6B1は、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に配置され、前端部がミッションケース10の上部に設けられた第1枢支部10bに枢支されている。ロアリンク6B2は、第1ロアリンク6B2Lと第2ロアリンク6B2Rとを含む。第1ロアリンク6B2L及び第2ロアリンク6B2Rの前端部は、ミッションケース10の左下部と右下部に設けられた第2枢支部10cに枢支されている。リフトロッド6B3は、第1リフトロッド6B3Lと第2リフトロッド6B3Rとを含む。第1リフトロッド6B3Lは、上端部が第1リフトアーム6ALの後端部に接続されており、下端部が第1ロアリンク6B2Lの長さ方向の中途部に接続されている。第2リフトロッド6B3Rは、上端部が第2リフトアーム6ARの後端部に接続されており、下端部が第2ロアリンク6B2Rの長さ方向の中途部に接続されている。
【0024】
トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部には、作業装置3を連結可能なジョイントが設けられている。トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部に作業装置3を連結することにより、作業装置3はトラクタ2の後部に昇降可能に連結される。リフトシリンダ6Cは、油圧シリンダである。リフトシリンダ6Cは、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRとを含む。第1リフトシリンダ6CLは、一端部が第1リフトアーム6ALに接続され、他端部がミッションケース10の左下部に接続されている。第2リフトシリンダ6CRは、一端部が第2リフトアーム6ARに接続され、他端部がミッションケース10の右下部に接続されている。リフトシリンダ6Cの駆動によって、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARは、横軸6D回りに回動して上下方向に揺動する。第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRには、電磁制御弁が接続されている。電磁制御弁は、制御装置20からの制御信号に基づいて第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRを駆動(伸縮)することができる。
【0025】
リフトシリンダ6Cを駆動することによって、作業装置3の高さの調整と、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)の調整を行うことができる。高さの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRの両方を同様に駆動する。傾きの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRのいずれか一方を駆動する。具体的には、作業装置3の高さが低い側に配置されたリフトシリンダを伸長するか、高さが高い側に配置されたリフトシリンダを短縮するように駆動する。
【0026】
作業装置3は、例えば、肥料や薬剤等の散布物(粉粒体等)を散布する散布装置、耕耘する耕耘装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、図1図2では、作業装置3として、散布装置を取り付けた例を示している。作業装置3の詳細な説明については、後述する。
【0027】
図4に示すように、トラクタ2は、PTO軸19を備えている。PTO軸19は、当該トラクタ2を駆動する電動モータ11からの動力を、作業装置3等に伝達する。電動モータ11は、インバータを介してメインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sと、電気的に接続されている。より具体的には、メインバッテリ12Mと、電動モータ11とは、メイン電源供給経路Pにて接続される。メイン電源供給経路Pは、例えば、ハーネス等である。実際には、メイン電源供給経路Pの電動モータ11側には、インバータが介装される。インバータよりもメインバッテリ12M側のメイン電源供給経路Pには、切替器60が介装される。切替器60から分岐するように、サブ電源供給経路P1が、コネクタ61に向かって伸長している。サブ電源供給経路P1は、例えば、ハーネス等である。
【0028】
図4に示すように、トラクタ2(車体4)には、コネクタ61が設けられている。コネクタ61は、外部からサブ電源供給経路P1への接続を可能とする。コネクタ61は、サブ電源供給経路P1の切替器60とは反対側の一端部と接続されている。なお、コネクタ61は、サブ電源供給経路P1と並行して、車載ネットワークN1にも接続されている(図5を参照)。コネクタ61は、ケーブルコネクタ61Aと着脱可能に接続されるようになっている。ケーブルコネクタ61Aは、サブバッテリ12Sと接続されている電源ケーブル(供給経路)61B、及び、作業装置3と接続されている通信ケーブル(通信経路)61Cが、それぞれ接続されている。
【0029】
図3に示すように、コネクタ61は、トラクタ2の後部に設けられており、連結装置6のトップリンク6B1の前端部、及び、リフトアーム6Aの前端部よりも上方に位置している。また、コネクタ61は、車両幅方向において第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に設けられている。作業装置3がトラクタ2に連結されたとき、上述のように配置されたコネクタ61は、作業装置3に対向するようになっている。なお、本実施形態では、コネクタ61はトラクタ2に設けられているが、これに代えて、サブバッテリ12Sや、電源ケーブル61Bの中間部位等に設けられてもよい。
【0030】
コネクタ61に、ケーブルコネクタ61Aが接続された状態において、切替器60は、制御装置20からの制御信号に基づき2つのモードをとる。一方のモードでは、切替器60は、メインバッテリ12Mと電動モータ11との電気的接続を維持する一方、サブバッテリ12Sと電動モータ11との電気的接続を遮断する。当該一方のモードにおいて、切替器60に切替指示がなされた場合、他方のモードとして、切替器60は、サブバッテリ12Sと電動モータ11との電気的接続を形成し、メインバッテリ12Mと電動モータ11との電気的接続を遮断する。このように作動する切替器60は、例えば、ソリッドステートリレー等である。
【0031】
図4に示すように、電動モータ11は、メインバッテリ12M又はサブバッテリ12Sから、インバータを介して駆動用の電気エネルギが供給されるようになっている。より具体的には、切替器60による上記一方のモードでは、メインバッテリ12Mから、メイン電源供給経路Pを経て、電動モータ11に電気エネルギが供給される。切替器60による上記他方のモードでは、サブバッテリ12Sから、電源ケーブル61B、コネクタ61、サブ電源供給経路P1、メイン電源供給経路Pを経て、電動モータ11に電気エネルギが供給される。電動モータ11に供給される電気エネルギは、制御装置20からの制御信号でインバータが制御されることで調整されて、電動モータ11のON、OFF、出力軸の回転数が制御される。なお、サブバッテリ12Sの詳細な説明については、後述する。
【0032】
PTO軸19は、ミッションケース10から後方に向けて突出している。変速装置13は、主軸(推進軸)13aと、主変速部13bと、副変速部13cと、シャトル部13dと、PTO動力伝達部13eと、を備えている。推進軸13aは、変速装置13のハウジングケースに回転自在に支持されている。推進軸13aには、電動モータ11の出力軸からの動力が伝達される。主変速部13bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部13bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸13aから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
【0033】
副変速部13cは、主変速部13bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部13cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部13bから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。シャトル部13dは、シャトル軸16と前後進切替部17とを有している。シャトル軸16には、副変速部13cから出力された動力がギア等を介して伝達される。シャトル軸16には、後輪デフ装置14が設けられている。後輪デフ装置14には、後輪5Rを支持する後車軸が回転自在に支持されている。前後進切換部17は、例えば、油圧クラッチや電動クラッチ等のクラッチで構成され、当該クラッチの入切によってシャトル軸16の回転方向、即ち、トラクタ2の前進及び後進を切り換える。
【0034】
PTO動力伝達部13eは、PTOクラッチ18とPTO軸19とを有している。PTO軸19は、回転自在に支持され、推進軸13aからの動力が伝達可能である。PTO軸19は、PTO推進軸19aとPTO出力軸19bとを有している。PTO推進軸19aは、PTO変速部19cを介してPTO出力軸19bに接続されている。但し、PTO推進軸19aは、PTO変速部19cを介さずにPTO出力軸19bに接続されていてもよい。PTO出力軸19bの出力は、後述する作業装置3の動力伝達機構50に伝達される。
【0035】
PTO変速部19cは、PTO変速レバー等の操作部によって、PTO推進軸19aの回転速度を変更してPTO出力軸19bに伝達することができる。PTO変速部19cは、例えば、制御装置20からの制御信号に基づいて操作部を操作可能な電磁ソレノイドや電動モータ等の変速アクチュエータを備えている。PTOクラッチ18は、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達する接続状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない切断状態とに切換可能なクラッチである。具体的には、PTOクラッチ18は、推進軸13aとPTO推進軸19aとの間に設けられている。PTOクラッチ18は、油圧クラッチや電動クラッチ等で構成され、当該クラッチの入切によって、推進軸13aの動力(電動モータ11の動力)をPTO軸19に伝達する状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない状態とを切り換えることができる。
【0036】
図5に示すように、トラクタ2は、操舵装置15を備えている。操舵装置15は、ハンドル(ステアリングホイール)15aと、ハンドル15aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)15bと、ハンドル15aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)15cと、を有している。補助機構15cは、制御弁15dと、ステアリングシリンダ15eとを含んでいる。制御弁15dは、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁15dは、操舵軸15bの操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ15eは、前輪5Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)15fに接続されている。したがって、ハンドル15aを操作すれば、当該ハンドル15aに応じて制御弁15dの切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁15dの切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ15eが左又は右に伸縮することによって、前輪5Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置15は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0037】
図5に示すように、トラクタ2は、複数の検出装置21を備えている。複数の検出装置21は、トラクタ2の状態を検出する装置であり、例えば、水温を検出する水温センサ21a、メインバッテリ12Mの電圧を検出するメインバッテリセンサ21b、電動モータ11の回転数を検出するモータ回転センサ21c、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダルセンサ21d、操舵装置15の操舵角を検出する操舵角センサ21e、リフトアーム6Aの角度を検出する角度センサ21f、車体4の幅方向(右方向又は左方向)の傾きを検出する傾き検出センサ21g、車体4の車速(速度)を検出する速度センサ21h、PTO軸19の回転数を検出するPTO回転センサ21i、サブバッテリ12Sの電圧を検出するサブバッテリセンサ21j、測位衛星等の信号に基づいて車体4の位置を検出する測位センサ(測位装置)21k等である。
【0038】
測位装置21kは、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置21kは、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ2の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体4の位置を検出する。測位装置21kは、受信装置と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)とを有している。受信装置は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置とは別に車体4に取付けられている。この実施形態では、受信装置は、車体4に取付けられている。なお、受信装置の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0039】
慣性計測装置は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。車体4、例えば、運転席7の下方に設けられ、慣性計測装置によって、車体4のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。なお、速度センサ21hは、例えば、前輪5Fの車軸の回転数、前輪5Fの車軸の回転数、前輪5Fの回転数、後輪5Rの回転数等を車速に変換することにより車速を検出する。また、速度センサ21hは、前輪5Fの車軸、後輪5Rの車軸、前輪5F及び後輪5Rのいずれかの回転方向も検出することができ、トラクタ2(車体4)が前進しているか、後進しているかも検出することができる。上述した検出装置21は一例であり、上述したセンサに限定されない。
【0040】
また、トラクタ2は、複数の操作部材22を備えている。複数の操作部材22は、車体4の前進又は後進を切り換えるシャトルレバー22a、原動機11の始動等を行うイグニッションスイッチ22b、PTO軸19の回転数を設定するPTO変速レバー22c、自動変速及び手動変速のいずれかを切り換える変速切換スイッチ22d、変速装置13の変速段(変速レベル)を手動で切り換える変速レバー22e、車速を増減させるアクセル22f、連結装置6の昇降を操作するポンパスイッチ22g、連結装置6の操作の上限を設定する高さ設定ダイヤル22h、車速を設定する車速レバー22i、油圧操作具22j、原動機回転数の上限を設定する回転設定具22k等である。
【0041】
変速切換スイッチ22d、高さ設定ダイヤル22h、回転設定具22kなどの設定具は、運転席7の側方に設けたコンソールボックスに設けられている。設定具(変速切換スイッチ22d、高さ設定ダイヤル22h、回転設定具22k)を運転者が操作することによって、車体4の動作を設定することができる。なお、上述した操作部材22は一例であり、上述したものに限定されない。
【0042】
図5に示すように、トラクタ2は、複数の制御装置20を有している。制御装置20は、トラクタ2の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路等である。制御装置20は、様々な情報、例えば、制御プログラム、識別情報等を記憶する記憶装置23を有している。記憶装置23は、不揮発性のメモリ等から構成されている。即ち、複数の制御装置20は、記憶装置23を備えた電装品である。
【0043】
複数の制御装置20は、変速制御装置20Aと、モータ制御装置20Bと、PTO制御装置20Cと、昇降制御装置20Dと、自動操舵制御装置20Eと、姿勢制御装置20Fと、バッテリ切替制御装置20Gと、自動走行制御部20Hとを含んでいる。なお、制御装置20は、変速制御装置20A、モータ制御装置20B、PTO制御装置20C、昇降制御装置20D、自動操舵制御装置20E、姿勢制御装置20F、バッテリ切替制御装置20G、自動走行制御部20Hの全てを含んでいる必要はなく、トラクタの仕様に応じて設けられればよい。
【0044】
また、変速制御装置20A、モータ制御装置20B、PTO制御装置20C、昇降制御装置20D、自動操舵制御装置20E、姿勢制御装置20F、バッテリ切替制御装置20G及び自動走行制御部20Hは、統合した統合制御装置に設けられていてもよい。変速制御装置20Aは、変速制御を行う。変速制御では、自動変速機能が有効である場合、トラクタ2の状態に応じて主変速部13b及び副変速部13cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置13の変速段(変速レベル)を予め定められた変速段(変速レベル)に自動的に変更する。変速制御では、変速切換スイッチ22dを手動変速に切り換えた場合、変速レバー22eで設定された変速段(変速レベル)に応じて主変速部13b及び副変速部13cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置13の変速段を変更する。
【0045】
変速制御装置20Aは、走行装置5の走行駆動状態(走行装置5の動作)における制御(走行切換制御)を行う。走行切換制御では、シャトルレバー22aが前進に操作された場合、シャトル部13dの前後進切換部17を前進に切り換えることで、車体4を前進させる。また、進行切換制御は、シャトルレバー22aが後進に操作された場合、シャトル部13dの前後進切換部17を後進に切り換えることで、車体4を後進させる。
【0046】
モータ制御装置20Bは、インバータ制御により電動モータ11の制御を行う。電動モータ制御では、イグニッションスイッチ22bがONに操作された場合、所定の処理を経て電動モータ11の始動を行い、イグニッションスイッチ22bがOFFに操作された場合、電動モータ11の駆動を停止させる。電動モータ制御では、アクセル22fが操作された場合、当該アクセル22fの操作量に応じて電動モータ11の回転数が変更するようインバータに制御することで、車体4の車速(速度)を変更する。
【0047】
PTO制御装置20Cは、PTO制御を行う。PTO制御では、PTO変速レバー22cが操作された場合、PTO変速部19cのPTO変速ギアを切り換えることでPTO推進軸19aの回転速度(PTO回転数)を変更する。
【0048】
昇降制御装置20Dは、連結装置6における昇降制御を行う。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ22gが上昇させる方向(上昇側)に操作された場合、制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ22gが下降させる方向(下降側)に操作された場合、制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを収縮させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を下降させる。連結装置6によって作業装置3を上昇させている場合に、当該作業装置3の位置、即ち、リフトアーム6Aの角度が高さ設定ダイヤル22hで設定された上限(高さ上限値)に達すると、連結装置6における上昇動作を停止する。
【0049】
昇降制御では、バックアップ機能が有効である場合、車体4が後進した場合に自動的に制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。昇降制御では、オートアップ機能が有効である場合、操舵装置15の操舵角が所定以上になると、自動的に制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。
【0050】
自動操舵制御装置20Eは、自動操舵制御を行う。自動操舵制御では、後述する運転切換スイッチ65がONに操作された場合、操舵装置15が自動制御され、車体4が設定された走行予定ルートを走行するよう、前輪5Fの操舵方向を変更する。
【0051】
姿勢制御装置20Fは、姿勢制御を行う。姿勢制御では、作業装置3の高さを調整する場合、
制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRの両方の長さを、予め定められた長さに固定する。姿勢制御では、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)を調整する場合、制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRのいずれか一方を駆動する。
【0052】
バッテリ切替制御装置20Gは、バッテリ切替制御を行う。バッテリ切替制御では、電動モータ11へ電気エネルギを供給するバッテリを、メインバッテリ12M、サブバッテリ12Sの何れかに切替える。切替器60にて、電動モータ11とメインバッテリ12Mが接続され、サブバッテリ12Sが遮断されている状態において、バッテリ切替制御では、所定の条件が成立したときに、電動モータ11とサブバッテリ12Sを接続し、メインバッテリ12Mを遮断するよう切替器60を制御する。所定の条件としては、例えば、メインバッテリ12Mの残量が所定値以下であり、且つ、サブバッテリ12Sの残量が所定値以上である場合に、条件成立するものであってもよい。この場合、メインバッテリ12Mの残量は、メインバッテリセンサ21bにより検出されるメインバッテリ12Mの電圧に基づいて算出される。サブバッテリ12Sの残量は、サブバッテリセンサ21jにより検出されるサブバッテリ12Sの電圧に基づいて算出される。
【0053】
トラクタ2には、運転切換スイッチ65が接続されている。運転切換スイッチ65は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に自動走行制御部20Hを自動運転モードに設定することができ、OFFである場合に自動走行制御部20Hを手動運転モードに設定することができる。自動走行制御部20Hは、車体4の自動運転を制御する。自動走行制御部20Hは、自動運転モードになっている場合に自動運転を開始する。自動運転の制御では、車体4の位置と、設定された走行予定ルートとの偏差に基づいて、操舵装置15の操舵角を変更する。上述した実施形態における自動運転における操舵角の設定は一例であり、限定されない。なお、自動走行制御部20Hは、走行予定ルートと車速とが対応付けられている場合、現在のトラクタ2の車速が走行予定ルートに対応した車速に一致するように変速装置13の変速段、電動モータ11の回転数等を自動的に変更する。
【0054】
トラクタ2は、通信装置26を備えている。通信装置26は、外部機器47に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置26は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0055】
外部機器47は、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)47a、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)47bである。トラクタ2は、表示装置25を備えている。表示装置25は、トラクタ2に関する様々な情報を表示する装置である。表示装置25は、運転席7の周囲に設置されて、運転者が表示された内容を確認することができる。表示装置25は、運転情報を表示するメータパネル装置、様々な作業機に関する設定等を行う補助パネル装置等である。
【0056】
トラクタ2(車体4)は、車載ネットワークN1を有している。車載ネットワークN1は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、MOST(Media Oriented System Transport)、FlexRay、ISO11783(ISOBUS)等のネットワークである。車載ネットワークN1には、様々な電装品等で構築されていて、複数の制御装置20、複数の検出装置21、複数の操作部材22、通信装置26、表示装置25が接続されている。
【0057】
図3図4図5に示すように、トラクタ2(車体4)の後方に設けられたコネクタ61は、外部から車載ネットワークN1への接続を可能とする。通信ケーブル61Cは、トラクタ2と散布装置3とを接続している。通信ケーブル61Cの一端部はケーブルコネクタ61Aに接続され、通信ケーブル61Cの他端部は作業装置3に接続されている。また、電源ケーブル61Bは、トラクタ2とサブバッテリ12Sとを接続している。電源ケーブル61Bの一端部はケーブルコネクタ61Aに接続され、電源ケーブル61Bの他端部はサブバッテリ12Sに接続されている。このように、ケーブルコネクタ61Aは、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの各一端部を集約するようになっている。
【0058】
コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aは、互いに着脱可能である。コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aの形状は、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cが着脱可能であれば限定されない。例えば、コネクタ61側が、サブ電源供給経路P1の末端と接続される電源用雄ピン、及び、車載ネットワークN1の末端と接続される通信用雄ピンを有し、且つケーブルコネクタ61A側が、電源ケーブル61Bの一端部と接続される電源用雌ピン、及び、通信ケーブル61Cの一端部と接続される通信用雌ピンを有していてもよい。なお、コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aにおいて、上述のピンの雄雌が逆であってもよい。
【0059】
コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aが互いに装着されたとき、電源用雄ピン及び電源用雌ピンと、通信用雄ピン及び通信用雌ピンと、がそれぞれ接続される。これにより、コネクタ61を介して、サブバッテリ12Sからトラクタ2(車体4)への電気エネルギの供給が可能となり、且つトラクタ2及び作業装置3間の通信信号の送信が可能となる。一方、コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aが互いに脱離されたとき、電源用雄ピン及び電源用雌ピンの接続と、通信用雄ピン及び通信用雌ピンの接続と、がそれぞれ切断される。これにより、コネクタ61を介して、サブバッテリ12Sからトラクタ2(車体4)への電気エネルギの供給が遮断され、且つトラクタ2及び作業装置3間の通信信号の送信が遮断される。なお、コネクタ61からケーブルコネクタ61Aが脱離された状態においては、蓋体によりコネクタ61を塞ぐようにしてもよい。
【0060】
図3図6に示すように、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cは、ケーブルコネクタ61A側において、互いに一体となるよう結束具109により結束され、ケーブルコネクタ61Aから後方に向かう途中にて互いに分岐してもよい。電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cは、結束部位においては一体的に配策され、分岐部位より後方においては、別々に配策されてもよい。例えば、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの結束部位は、連結装置6の上方(トップリンク6B1よりも上方)を通って作業装置3側へと配策される。電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの分岐部位以後は、サブバッテリ12S及び作業装置3のそれぞれの接続位置に応じて、配策が別々に調整される。
【0061】
<作業装置>
作業装置3は、農作業を行う装置である。言い換えれば、作業装置3は、圃場に対して作業を行う装置である。作業装置3は、トラクタ2のPTO軸19からの動力が伝達されて駆動する。具体的には、作業装置3としては、圃場に散布物を散布する散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物(牧草等)を集めて成形する成形装置(ベーラ)等が好適に使用される。散布装置としては、圃場に肥料を散布する肥料散布装置(スプレッダ)や、圃場に薬剤(薬液)を散布する薬剤散布装置(スプレーヤ)等が使用される。播種装置としては、例えば、種子を条播きするドリルシーダ等のシーダや、一定間隔で種を播くプランタ等が使用される。本実施形態の場合、作業装置3は散布装置であるため、以下、作業装置3が散布装置3であるとして説明をする。
【0062】
図1図2に示すように、散布装置3は、収容部31と散布部32とを備えている。収容部31は、圃場に散布される散布物(肥料、農薬等)を収容する。収容部31は、略逆角錐形のホッパから構成されている。ホッパは、第1ホッパ31Aと第2ホッパ31Bとを含む。第1ホッパ31Aは、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2ホッパ31Bは、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。但し、ホッパの数は限定されない。収容部31は、上端部に散布物の投入口を有し、下端部に散布物を取り出す取出口を有している。取出口の数は限定されないが、本実施形態の場合、後述する回転体(ディスク)40の数に応じて設定されている。具体的には、回転体40の数が2つであり、取出口の数も2つである。尚、回転体40の数が2つであり、取出口の数が1つであってもよい。
【0063】
散布部32は、作業装置3の作業部であって、回転することにより農作業(肥料や薬剤等の散布物の散布)を行う。散布部32は、収容部31に収容された散布物を散布する。図1に示すように、散布部32は、収容部31の下方に設けられている。散布部32は、少なくとも2つ以上の散布部を含んでいる。少なくとも2つ以上の散布部は、全ての散布部の散布方向が異なることが好ましいが、散布方向が同じ散布部を含んでいてもよい。
【0064】
図2(a)は作業機1の後部における平面図を示しており、図2(b)は散布装置3の背面図を示している。図2に示すように、散布部32は、第1散布部321と第2散布部322とを含む。即ち、本実施形態の場合、散布部32の数は2つである。但し、散布部32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。散布部32の数と回転体40の数は同じである。第1散布部321と第2散布部322とは、車両幅方向に並んで設けられている。以下、2つの散布部(第1散布部321、第2散布部322)について説明する。
【0065】
第1散布部321は、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2散布部322は、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。図1図2に示すように、第1散布部321は、第1回転体410と第1シャッタ装置411とを有している。第1回転体410は、円板状であって、縦方向(上下方向)に延びる中心軸40a回りに回転する。第1回転体410の上面には、複数の回転翼(羽根部材)40bが取り付けられている。回転翼40bは、第1回転体410と共に中心軸40a回りに回転する。複数の回転翼40bは、周方向に間隔をあけて配置されており、中心軸40aの近傍から径外方向に向けて延びている。第1回転体410は、中心軸40a回りに回転することによって、第1取出口71から落下してきた散布物を、回転翼40bに当てて外方(径外方向)に向けて放射状に飛散させる。
【0066】
第1シャッタ装置411は、シャッタと電動モータ(図示略)とを有している。シャッタは、収容部31の一方の第1取出口311に取り付けられており、移動することによって第1取出口311の面積(開度)を変更することができる。電動モータは、ステッピングモータ等であり、シャッタと連結されている。第1シャッタ装置411は、電動モータの駆動によりシャッタを移動させることによって、第1取出口311の開度を変更する。これにより、第1散布部321による散布物の散布量が調整される。
【0067】
第2散布部322は、第2回転体420と第2シャッタ装置421とを有している。第2回転体420の構成は、第1回転体410と同様であるため、説明を省略する。第2シャッタ装置421の構成は、シャッタが収容部31の他方の第2取出口312に取り付けられていること以外は、第1シャッタ装置411と同じである。第2シャッタ装置421は、第2取出口312の開度を変更することにより、第2散布部322による散布物の散布量を調整することができる。
【0068】
第1回転体410と第2回転体420とは、車両幅方向に並んで設けられ、互いに異なる方向に回転する。本実施形態の場合、図2中の黒矢印で示すように、平面視において、第1回転体410が時計回り方向に回転し、第2回転体420が反時計回り方向に回転する。
【0069】
第1回転体410は、収容部31の第1取出口311の下方に配置されている。第1取出口311から落下してきた散布物は、回転する第1回転体410によって散布される。第2回転体420は、収容部31の第2取出口312の下方に配置されている。第2取出口312から落下してきた散布物は、回転する第2回転体420によって散布される。本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322の散布方向はそれぞれ異なっている。第1散布部321の散布方向は、車両幅方向の一方及び後方である。第2散布部322の散布方向は、車両幅方向の他方及び後方である。図2の白抜き矢印に示すように、本実施形態の場合、第1散布部321の主な散布方向は左方及び左後方、第2散布部322の主な散布方向は右方及び右後方である。尚、白抜き矢印で示した方向は、主たる散布方向であり、実際には白抜き矢印で示した方向を含む扇形状に拡がって散布される。
【0070】
散布装置3は、動力伝達機構50を備えている。動力伝達機構50は、入出力軸、ギヤ等を含んでおり、電動モータ11から供給される動力が入力され、且つ入力された動力を散布部(作業部)32に伝達する。具体的には、動力伝達機構50は、PTO軸19からの動力を、第1回転体410及び第2回転体420に伝達可能な機構である。即ち、電動モータ11からの動力によって、第1回転体410と第2回転体420を回転させることができる。また、動力伝達機構50の変速部によって、第1回転体410と第2回転体420の回転速度を変更することができる。
拡がって散布される。上述のように構成される収容部31、散布部32、及び、動力伝達機構50は、フレーム97により支持されている。
【0071】
図6に示すように、散布装置3は、フレーム97を備えている。但し、フレーム97の構成は、図示した構成には限定されない。以下の説明では、フレーム97に関する方向(上、下、前、後、左、右)については、散布装置3をトラクタ2の後部に連結した状態を基準とする。フレーム97は、上部フレーム97A及び下部フレーム97Bと、連結部98と、バッテリ搭載部99と、を有している。バッテリ搭載部99を含むフレーム97は、全体として、熱伝導が大きい鋼材等の金属材から構成されている。
【0072】
図2図6に示すように、上部フレーム97Aは、収容部31を支持するフレームであって、散布部32よりも上方に位置している。上部フレーム97Aは、平面視にて略ロの字の矩形枠状に形成されている。上部フレーム97Aの平面視における後方には、収容部31(第1ホッパ31A、第2ホッパ31B)が設置されている。上部フレーム97Aの上端部であって、収容部31よりも前方には、バッテリ搭載部99が設置されている。バッテリ搭載部99は、矩形板状に形成されており、長辺及び短辺が、車幅方向及び前後方向にそれぞれ延びている。バッテリ搭載部99の上面は、サブバッテリ12Sを搭載可能に構成されている。
【0073】
このように、サブバッテリ12Sは、トラクタ2側に搭載されることなく、散布装置3のスペースを有効利用して搭載される。このため、トラクタ2側に、サブバッテリ12Sを搭載するための構成を新たに設けることが不要となり、容易に搭載できる。また、作業機全体として大型化することを抑制できる。また、サブバッテリ12Sの搭載位置を重心に近づけることができ、作業機全体の重量バランスが崩れることを抑制できる。また、サブバッテリ12Sの搭載位置は、収容部31よりも前側であるため、散布装置3への資材投入が干渉されない。また、サブバッテリ12Sの放電度合いが大きい場合等で、サブバッテリ12Sからの発熱が大きくなったとしても、金属材のバッテリ搭載部99を介し、フレーム97をヒートシンクとすることができる。
【0074】
図6に示すように、下部フレーム97Bは、上部フレーム97Aの下方に配置されている。下部フレーム97Bには、散布部32(第1散布部321、第2散布部322)、及び、動力伝達機構50が、上記略ロの字の中空部に位置するよう、ブラケットを介して支持されている。連結部98は、フレーム97の前端部において、連結部6の3点リンク機構6B(トップリンク6B1、第1ロアリンク6B2L、及び、第2ロアリンク6B2R)の後端部に対応する位置に設けられている。連結部98は、トラクタ2の後部に設けられた連結装置6に対して、着脱可能に連結される。連結部98を連結装置6に対して連結することにより、散布装置3がトラクタ2の後部に着脱可能に連結される。
【0075】
図5に示すように、散布装置3は、作業制御装置3aを備えている。作業制御装置3aは、散布装置3の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路等である。作業制御装置3aは、様々な情報、例えば、制御プログラム、識別情報等を記憶する記憶装置を有している。記憶装置は、不揮発性のメモリ等から構成されている。散布装置3及びトラクタ2を接続する通信ケーブル61C及びコネクタ61を介して、作業制御装置3aは、車載ネットワークN1に接続される。これにより、トラクタ2及び散布装置3間で、通信信号の送受信が可能となっている。
【0076】
<サブバッテリ>
一般に、バッテリにおいては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、充電が必要となる。充電時には走行及び作業が停止してしまうため、作業機1には、バッテリを、極力多く且つ適切に搭載しておく要望がある。本実施形態においては、メインバッテリ12Mに加え、サブバッテリ12Sが搭載されている。
【0077】
サブバッテリ12Sの構成は、電源ケーブル61Bと接続されており、貯留されている電気エネルギが電源ケーブル61Bに送出される点が、メインバッテリ12Mの構成と異なる。この点以外、サブバッテリ12Sの構成は、メインバッテリ12Mの構成と同等である。なお、本実施形態では、メインバッテリ12Mに加えサブバッテリ12Sが搭載されるが、サブバッテリ12Sに代えて、エネルギ源を貯留可能なパッケージが搭載されてもよい。このパッケージとしては、例えば、水素タンク、LPG(Liquified petroleum gas)タンク等が用いられてもよい。水素タンクが作業装置3に搭載される場合、例えば、水素および空気中の酸素にて発電する燃料電池をトラクタ2に搭載し、当該燃料電池に向けてタンクからの水素が供給されるようにしてもよい。LPGタンクが作業装置3に搭載される場合、例えば、ガスエンジンにて発電するジェネレータをトラクタ2に搭載し、当該ガスエンジンに向けてタンクからのガスが供給されるようにしてもよい。これらの場合、電源ケーブル61Bを燃料配管に代えてもよい。
【0078】
図1図6に示すように、サブバッテリ12Sは、散布装置3に搭載されている。より具体的には、サブバッテリ12Sは、フレーム97のバッテリ搭載部99上面に、アタッチメントを介して着脱可能に搭載される。搭載されたサブバッテリ12Sを使い切った場合には、当該サブバッテリ12Sをバッテリ搭載部99から脱離させ、満充電された新たなサブバッテリ12Sをバッテリ搭載部99に搭載する。即ち、サブバッテリ12Sは、交換式のバッテリとなっている。
【0079】
以上のように構成された作業機1において、サブバッテリ12Sが散布装置3に搭載され、且つ当該散布装置3がトラクタ2に連結された状態にて、イグニッションONにより走行及び作業が開始される。この際、メインバッテリ12Mの残量は所定値よりも大きく、メインバッテリ12Mの残量に余裕があるとして、電動モータ11にメインバッテリ12Mが接続される。これにより、メインバッテリ12Mからの電気エネルギは、電動モータ11に供給されて、インバータ制御されつつ電動モータ11が駆動する。電動モータ11の駆動力は、トラクタ2の走行及び散布装置3の作動に、それぞれ伝達・変換される。作業機1の走行及び作業が継続するのに応じて、メインバッテリ12Mの残量は減少していく。なお、この状態において、サブバッテリ12Sは使用されていない。
【0080】
減少していくメインバッテリ12Mの残量が、所定値以下となったとき、バッテリ切替制御装置20Gより切替器60にバッテリ切替制御を実行するよう指示される。バッテリ切替制御により、メインバッテリ12Mに替えて、サブバッテリ12Sが電動モータ11に接続される。これにより、サブバッテリ12Sからの電気エネルギが、電動モータ11に供給されて、電動モータ11の駆動を継続することができる。従って、残量が減少したメインバッテリ12Mの充電のために、走行及び作業を停止することなく、サブバッテリ12Sの容量応じて走行及び作業を継続することができる。
【0081】
[第2実施形態]
図7は、第2実施形態の作業機1の全体の側面図を示している。図8は、作業機1における後部の平面図を示している。図7図8に示すように、第2実施形態の作業機1の構成は、サブバッテリ12Sを搭載した牽引台車80がトラクタ2に連結され、牽引台車80に散布装置3が連結される点で、上述した第1実施形態のものと異なる。その他の点は、第1実施形態の構成と同じである。以下、第2実施形態の第1実施形態と異なる点について、説明する。なお、第2実施形態において、第1実施形態と同一・等価な部位については、同じ符号を付すことで説明を省略する。
【0082】
第2実施形態の作業機1は、散布装置(作業装置)3に連結される牽引台車80を備えている。サブバッテリ12Sは、牽引台車80に搭載されることで、トラクタ2に連結されるようになっている。
【0083】
散布装置3のフレーム97には、第1実施形態のバッテリ搭載部99が設けられておらず、フレーム97全体に対する収容部31の占める容積は、第1実施形態に比して大きい。即ち、第2実施形態では、サブバッテリ12Sは、散布装置3に搭載されておらず、この分の容積を収容部31に充てることができる。従って、肥料、農薬等の資材をより多く収容することができる。トラクタ2の連結装置6には、ドローバ98Aが設けられている。ドローバ98Aは、連結装置6の後端部において、車幅方向略中央部より後側に伸長するよう配置されている。ドローバ98Aは、後端部にて牽引台車80を着脱可能に接続する。
【0084】
図7図8に示すように、牽引台車80は、フレーム81と、車輪82と、を備えている。但し、牽引台車80の構成は、図示した構成には限定されない。フレーム81は、連結部81Aと、バッテリ搭載部81Bと、を有している。バッテリ搭載部81Bを含むフレーム81は、全体として、熱伝導が大きい鋼材等の金属材から構成されている。フレーム81は、サブバッテリ12Sを搭載するためのフレームであって、車輪82の車軸よりも上方に位置している。フレーム81は、平面視にて略ロの字の矩形枠状に形成されている。
【0085】
フレーム81の前端部において、ドローバ98Aの後端部に対応する位置に、連結部81Aが設けられている。連結部81Aは、トラクタ2の連結装置6の後端部に設けられたドローバ98Aに対して、着脱可能に連結される。連結部81Aをドローバ98Aに対して連結することにより、牽引台車80がトラクタ2の後部に着脱可能に連結される。
【0086】
フレーム81の下部において、2つの車輪82が設けられている。車輪82は、車幅方向に延びる車軸の左右両端部に、それぞれ1つずつ設けられる。当該車軸は、フレーム81にて回転可能に支持されており、牽引台車80が牽引されたときに、車輪82及び車軸が同軸的に回転することで、牽引台車80が牽引方向に移動可能となっている。
【0087】
牽引台車80は、フレーム81の連結部81Aを介し、トラクタ2後部のドローバ98Aに連結される。また、散布装置3は、下部フレーム97Bの前端部が、牽引台車80のフレーム81の後端部に連結される。これにより、トラクタ2が移動すると、ドローバ98Aを介して牽引台車80が牽引されるとともに、散布装置3も牽引台車80に牽引される。第2実施形態においては、トラクタ2が、第1移動体に相当し、作業装置3及び牽引台車80が、第2移動体に相当する。
【0088】
フレーム81の上端部には、バッテリ搭載部81Bが設置されている。バッテリ搭載部81Bは、矩形板状に形成されており、長辺及び短辺が、車幅方向及び前後方向にそれぞれ延びている。バッテリ搭載部81Bの上面は、サブバッテリ12Sを搭載可能に構成されている。より具体的には、サブバッテリ12Sは、フレーム81のバッテリ搭載部81B上面に、アタッチメントを介して着脱可能に搭載される。搭載されたサブバッテリ12Sを使い切った場合には、当該サブバッテリ12Sをバッテリ搭載部81Bから脱離させ、満充電された新たなサブバッテリ12Sをバッテリ搭載部81Bに搭載する。なお、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cが設けられ、トラクタ2及びサブバッテリ12Sが電源ケーブル61Bにより接続され、トラクタ2及び散布装置3が通信ケーブル61Cにより接続される。電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cは、トラクタ2に設けられたコネクタ61に接続される。
【0089】
このように、サブバッテリ12Sは、トラクタ2側に搭載されることなく、牽引台車80に搭載される。牽引台車80の搭載スペースを、サブバッテリ12Sの搭載専用とすることができ、第1実施形態に比して、より多くのバッテリを搭載できる。また、サブバッテリ12Sの放電度合いが大きい場合等で、サブバッテリ12Sからの発熱が大きくなったとしても、金属材のバッテリ搭載部81Bを介し、フレーム81をヒートシンクとすることができる。
【0090】
なお、本実施形態では、牽引台車80が、トラクタ2の後方に1機のみ連結さるようになっているが、これに代えて、複数機の牽引台車80が連なるようにトラクタ2の後方に連結されてもよい。この場合、複数機の牽引台車80に、サブバッテリ12Sがそれぞれ搭載されてもよい。また、サブバッテリ12Sは、牽引台車80に搭載されるのに加え、散布装置3にも搭載されるようにしてもよい。
【0091】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る作業機1は、第1移動体である走行車両2と、第1移動体に連結される第2移動体としての作業装置3(及び牽引台車80)と、第2移動体に搭載され且つ走行車両2を駆動するためのエネルギ源を貯留するサブバッテリ12Sと、を備える。これによれば、サブバッテリ12Sは、走行車両2側に搭載されることなく、作業装置3及び/又は牽引台車80に搭載される。このため、走行車両2側に、サブバッテリ12Sを搭載するための構成を新たに設けることが不要となり、容易に搭載できる。走行車両2がメインバッテリ12Mを備える場合、残量が減少したメインバッテリ12Mの充電のために、走行及び作業を停止することなく、サブバッテリ12Sの容量応じて走行及び作業を継続することができる。従って、作業機1に、エネルギ源を貯留するサブバッテリ12Mを、極力多く且つ適切に搭載でき、メインバッテリ12Mの充電に係る走行及び作業の停止を少なくすることができる。
【0092】
第1実施形態の作業機1では特に、第2移動体は、作業を行う作業装置3を備え、サブバッテリ12Sは、作業装置3に搭載される。これによれば、サブバッテリ12Sは、走行車両2側に搭載されることなく、作業装置3のスペースを有効利用して搭載でき、作業機全体として大型化することを抑制できる。また、サブバッテリ12Sの搭載位置を重心に近づけることができ、作業機全体の重量バランスが崩れることを抑制できる。
【0093】
第2実施形態の作業機1では特に、第2移動体は、作業を行う作業装置3を備え、サブバッテリ12Sは、牽引台車80に搭載されることで、作業装置3に連結される。これによれば、牽引台車80の搭載スペースを、サブバッテリ12Sの搭載専用とすることができ、より多くのバッテリを搭載できる。
【0094】
実施形態の作業機1は特に、サブバッテリ12Sから走行車両2へ供給される電気エネルギの経路である電源ケーブル61Bと、電源ケーブル61Bの接続および切断が可能なコネクタ61であって、接続時に電気エネルギの供給を可能とし、切断時に電気エネルギの供給を遮断するコネクタ61と、を備える。これによれば、電源ケーブル61Bの長さ、配策を調整して、サブバッテリ12Sの搭載位置に自由度を持たせることができる。また、作業装置3や牽引台車80に、予めサブバッテリ12Sを搭載しておき、連結する際にコネクタ61を接続したり、連結された作業装置3や牽引台車80に、後からサブバッテリ12Sを搭載して、コネクタ61を接続する等、サブバッテリ12Sの搭載工程に自由度を持たせることができる。
【0095】
実施形態の作業機1では特に、コネクタ61は、走行車両2に連結される第2移動体に対向するよう、走行車両2に設けられる。具体的には、コネクタ61は、トラクタ2の後部に設けられており、連結装置6のトップリンク6B1の前端部、及び、リフトアーム6Aの前端部よりも上方に位置している。これによれば、コネクタ61をサブバッテリ12Sに近づけることができ、電源ケーブル61Bの必要距離を短くすることができる。このため、電源ケーブル61Bの配策が容易となる。更に、電源ケーブル61Bの通電抵抗を低減できる。また、トラクタ2の後部に連結装置6が設けられる場合、コネクタ61を連結装置6の上方に配置することで、連結装置6と電源ケーブル61Bとの干渉を抑制できる。
【0096】
実施形態の作業機1では特に、貯留装置は、エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なサブバッテリ12Sであり、作業装置3は、走行車両2からの信号を受け取り可能であり、作業機1は、走行車両2からの信号を作業装置3に向けて送信する通信ケーブル61Cと、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cのそれぞれの接続および切断が可能なコネクタ61であって、接続時に電気エネルギの供給および信号の送信を可能とし、切断時に電気エネルギの供給および信号の送信を遮断するコネクタ61と、を備える。これによれば、通信用コネクタを有効活用し、電源用コネクタと一体化でき、1つのコネクタ61にて電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの接続・切断を実行できる。このため、コネクタ接続の手間を抑制でき、部品点数も削減できる。また、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cも、結束等により一体化でき、別々に配策するのに比して、配策の手間を抑制できる。
【0097】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0098】
1 :作業機
2 :走行車両(トラクタ)
3 :作業装置(散布装置)
3a :作業制御装置
6 :連結装置
11 :電動モータ
12M :メインバッテリ
12S :サブバッテリ
20 :制御装置
20G :バッテリ切替制御装置
26 :通信装置
60 :切替器
61 :コネクタ
61A :ケーブルコネクタ
61B :電源ケーブル
61C :通信ケーブル
80 :牽引台車
81B :バッテリ搭載部
81A :連結部
98 :連結部
98A :ドローバ
99 :バッテリ搭載部
N1 :車載ネットワーク
P :メイン電源供給経路
P1 :サブ電源供給経路
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8