(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005433
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
A01B 69/00 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
A01B69/00 303Z
A01B69/00 303M
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105611
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】石原 健二
【テーマコード(参考)】
2B043
【Fターム(参考)】
2B043AA04
2B043AB15
2B043BA02
2B043BA09
2B043BB01
2B043BB04
2B043BB07
2B043DA17
2B043DC03
2B043EB05
2B043EB15
2B043EC12
2B043EC13
2B043EC15
2B043ED12
2B043ED14
(57)【要約】
【課題】 作業効率の悪化を抑制することができる作業機を提供する。
【解決手段】 作業機100は、トラクタ1と、トラクタ1を駆動するためのエネルギ源を貯留するバッテリ6と、トラクタ1に設けられ、資材を用いて作業を行う作業装置2と、作業装置2で資材を用いた作業を行う作業エリアA2に、トラクタ1の走行予定ルートL1を作成するルート作成部51Bと、作業エリアA2の外側に、資材の補給及びバッテリ6の交換を行う補給エリアA5を設定するエリア設定部51Dと、エリア設定部51Dで設定された補給エリアA5に、資材の補給の位置である第1補給位置PH1と、バッテリ6の交換の位置である第2補給位置PH2と、を設定する位置設定部51Gと、を備える。これによれば、作業機100が、資材及びバッテリ6を使い切る前に、第1、第2補給位置PH1,PH2に到達でき、第1、第2補給位置PH2にて資材の補給及びバッテリ6の交換が可能となる。
【選択図】
図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
走行車両と、
前記走行車両を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、
前記走行車両に設けられ、資材を用いて作業を行う作業装置と、
前記作業装置で前記資材を用いた作業を行う作業エリアに、前記走行車両の走行予定ルートを作成するルート作成部と、
前記作業エリアの外側に、前記資材の補給及び前記エネルギ源の補給を行う補給エリアを設定するエリア設定部と、
前記エリア設定部で設定された補給エリアに、前記資材の補給の位置である第1補給位置と、前記エネルギ源の補給の位置である第2補給位置と、を設定する位置設定部と、
を備えた作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
前記ルート作成部は、
前記作業エリアから前記補給エリアを通過して再び前記作業エリアに戻る旋回ルートを作成し、
前記位置設定部は、
前記補給エリアにおいて、前記旋回ルートに対応する部分に、前記第1補給位置と、前記第2補給位置とを設定する
作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記位置設定部は、
複数の前記旋回ルートのうち、前記走行車両の旋回方向が同一側の旋回ルート上に、前記第1補給位置と、前記第2補給位置と設定する
作業機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記位置設定部は、
前記貯留装置における前記エネルギ源の残量に基づいて、前記第2補給位置を設定し、
前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両を自動運転させながら前記作業装置によって作業を行う自動運転制御部であって、前記走行車両を、前記位置設定部にて設定された前記第2補給位置まで移動させる自動運転制御部を備えた
作業機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記位置設定部は、
前記作業装置における前記資材の残量に基づいて前記第1補給位置を設定し、
前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両を自動運転させながら前記作業装置によって作業を行う自動運転制御部であって、前記走行車両を、前記位置設定部にて設定された前記第1補給位置まで移動させる自動運転制御部を備えた
作業機。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記貯留装置が装着される貯留装置装着部
を備え、
前記位置設定部により設定された前記第2補給位置において前記エネルギ源の補給を行う場合、前記貯留装置装着部に装着されていた貯留装置を脱離させ、前記脱離した貯留装置に替わる新たな貯留装置を前記貯留装置装着部に装着する
作業機。
【請求項7】
請求項4に記載の作業機において、
前記位置設定部は、
前記作業装置における前記資材の残量に基づいて前記第1補給位置を設定し、
前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両を自動運転させながら前記作業装置によって作業を行う自動運転制御部であって、前記走行車両を、前記位置設定部にて設定された前記第1補給位置まで移動させる自動運転制御部を備えた
作業機。
【請求項8】
請求項4に記載の作業機において、
前記貯留装置が装着される貯留装置装着部
を備え、
前記位置設定部により設定された前記第2補給位置において前記エネルギ源の補給を行う場合、前記貯留装置装着部に装着されていた貯留装置を脱離させ、前記脱離した貯留装置に替わる新たな貯留装置を前記貯留装置装着部に装着する
作業機。
【請求項9】
請求項5に記載の作業機において、
前記貯留装置が装着される貯留装置装着部
を備え、
前記位置設定部により設定された前記第2補給位置において前記エネルギ源の補給を行う場合、前記貯留装置装着部に装着されていた貯留装置を脱離させ、前記脱離した貯留装置に替わる新たな貯留装置を前記貯留装置装着部に装着する
作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、農業機械、建設機械等を含む作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、走行車体と、資材を用いた作業を行う作業装置と、を備えた農業機械として、特許文献1の農業機械が知られている。特許文献1の農業機械では、走行車体の走行予定ルートと、資材補給を行う補給エリアと、補給エリアに資材補給位置と、が設定される。走行ルートに基づいて走行車体を自動運転させながら、作業装置によって作業を行う場合に、設定された資材補給位置まで走行車体を走行させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-40497号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【0004】
近年、作業機においても、電動化や排出規制のトレンドが加速してきている。原動機として、例えば、モータ等が用いられる場合がある。この場合、原動機に電気エネルギを供給するバッテリ等が用いられることが多い。一般に、バッテリ等においては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、走行車体が停止してしまう。このため、補給用(交換用)のバッテリ等を作業機の位置まで輸送する必要が生じる等、全体として作業効率が悪化する場合がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記要望に鑑み、作業効率の悪化を抑制することができる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の作業機は、走行車両と、前記走行車両を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、前記走行車両に設けられ、資材を用いて作業を行う作業装置と、前記作業装置で前記資材を用いた作業を行う作業エリアに、前記走行車両の走行予定ルートを作成するルート作成部と、前記作業エリアの外側に、前記資材の補給及び前記エネルギ源の補給を行う補給エリアを設定するエリア設定部と、前記エリア設定部で設定された補給エリアに、前記資材の補給の位置である第1補給位置と、前記エネルギ源の補給の位置である第2補給位置と、を設定する位置設定部と、を備えている。
【0007】
前記作業機において、前記ルート作成部は、前記作業エリアから前記補給エリアを通過して再び前記作業エリアに戻る旋回ルートを作成し、前記位置設定部は、前記補給エリアにおいて、前記旋回ルートに対応する部分に、前記第1補給位置と、前記第2補給位置とを設定する。
【0008】
前記作業機において、前記位置設定部は、複数の前記旋回ルートのうち、前記走行車両の旋回方向が同一側の旋回ルート上に、前記第1補給位置と、前記第2補給位置と設定する。
【0009】
前記作業機において、前記位置設定部は、前記貯留装置における前記エネルギ源の残量に基づいて、前記第2補給位置を設定し、前記作業機は、前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両を自動運転させながら前記作業装置によって作業を行う自動運転制御部であって、前記走行車両を、前記位置設定部にて設定された前記第2補給位置まで移動させる自動運転制御部を備えている。
【0010】
前記作業機において、前記位置設定部は、前記作業装置における前記資材の残量に基づいて前記第1補給位置を設定し、前記作業機は、前記走行予定ルートに基づいて前記走行車両を自動運転させながら前記作業装置によって作業を行う自動運転制御部であって、前記走行車両を、前記位置設定部にて設定された前記第1補給位置まで移動させる自動運転制御部を備えた
作業機。
【0011】
前記作業機は、前記貯留装置が装着される貯留装置装着部を備え、前記位置設定部により設定された前記第2補給位置において前記エネルギ源の補給を行う場合、前記貯留装置装着部に装着されていた貯留装置を脱離させ、前記脱離した貯留装置に替わる新たな貯留装置が前記貯留装置装着部に装着される。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、作業効率の悪化を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施形態に係る作業機の機能ブロック図である。
【
図2】
図1に示す作業機が備える昇降装置の斜視図である。
【
図3】
図1に示す作業機が備える表示装置にて表示されるマップ登録画面の一例を示す図である。
【
図4】
図1に示す作業機における、圃場の輪郭(圃場マップ)の求め方を説明するための図である。
【
図5】
図1に示す作業機が備える表示装置にて表示される作業設定画面の一例を示す図である。
【
図6】
図1に示す作業機における、補給エリアの設定について説明するための図である。
【
図7】
図1に示す作業機が備える表示装置にて表示されるルート設定画面の一例を示す図である。
【
図8】
図1に示す作業機における、作業エリアでの単位作業区画の作成、及び、走行予定ルートの作成について説明するための図である。
【
図9】
図1に示す作業機における、資材の残量及びバッテリの残量と、設定される第1補給位置及び第2補給位置との関係を説明するための図である。
【
図10】
図1に示す作業機における、資材の残量及びバッテリの残量と、設定される第1補給位置及び第2補給位置との関係を説明するための図である。
【
図11】
図1に示す作業機における、資材の残量及びバッテリの残量と、設定される第1補給位置及び第2補給位置との関係を説明するための図である。
【
図12】
図1に示す作業機が備える表示装置にて表示される運転画面の一例を示す図である。
【
図13】
図1に示す作業機の自動運転を説明するための図である。
【
図14】
図1に示す作業機における、バッテリ装着部でのバッテリの交換を説明するための図である。
【
図16】配送拠点及び圃場間におけるバッテリの配送・回収の作動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図15は、作業機100の全体の側面図を示している。作業機100は、走行車両1と、作業装置2とを備えている。本実施形態の場合、走行車両1はトラクタであるため、以下、走行車両1をトラクタ1として説明する。但し、走行車両1は、トラクタに限定されず、コンバインや田植機等の農業車両であっても、建設車両等であってもよい。
【0015】
図15に示すように、トラクタ1は、走行装置7を有する走行車体3と、原動機4と、変速装置5と、バッテリ(貯留装置)6とを備えている。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、電動モータ等であり、バッテリ6から電気エネルギ(エネルギ源)が供給されて駆動する。原動機4及びバッテリ6は、走行車体3の前部に配置されており、バッテリ6は、走行車体3が備えるバッテリ装着部(貯留装置装着部)11に装着される(
図14参照)。バッテリ装着部11に装着されたバッテリ6は、交換可能となっており、その詳細は後述する。なお、バッテリ6は、走行車体3に装着されるのに代えて、作業装置2に搭載されてもよい。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。走行車体3にはキャビン9が設けられ、当該キャビン9内には運転席10が設けられている。
【0016】
また、走行車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された昇降装置8が設けられている。昇降装置8には、作業装置2が着脱可能である。作業装置2を昇降装置8に連結することによって、走行車体3によって作業装置2を牽引することができる。作業装置2は、資材を用いて作業を行う装置であって、例えば、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、苗を移植する苗移植装置、種を散布する播種装置等である。即ち、作業装置2は、肥料、農薬、苗、種等の資材を圃場に供給する装置である。
【0017】
作業装置2は、資材を貯留可能(収容可能)な容器(ホッパー)2aと、容器2aに設けられ且つ容器2a内の資材を供給する供給機構2bと、を備えている。供給機構2bは、例えば、容器2aから落下した資材を圃場に供給したり供給の停止を行う開閉式のシャッター、資材を散布するノズル、資材を送るポンプ等である。作業装置2の構造は、上述した例に限定されない。
【0018】
図1に示すように、作業装置2は、供給機構2bを制御する制御装置2cと、制御装置2cに接続された表示装置2dとを備えている。表示装置2dには、所定面積当たり(単位面積当たりの供給量[例えば、10kg/10a(1000m
2)]、資材の供給幅(単位:m)、容器2aに投入した資材の投入量(単位:kg)等が入力可能である。制御装置2cは、供給量及び供給幅(作業幅)等に基づいて、供給機構2bの開閉量(開度)や開閉のタイミング等を制御する。なお、作業装置2による資材の供給は、移動速度(車速)に連動して単位時間当たりの供給量を変更する車速連動であることが好ましい。また、制御装置2cは、表示装置2dに設けられたスイッチ等が操作され、資材の供給が開始すると、供給を開始したことを示す信号(開始信号)を後述する車載ネットワークN1に出力する。また、制御装置2cは、スイッチ等が操作され、供給が終了すると、供給を終了したことを示す信号(終了信号)を車載ネットワークN1に出力する。
【0019】
図2に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁36を介して油圧ポンプと接続されている(
図1参照)。制御弁36は、電磁弁等であって、リフトシリンダ8eを伸縮させる。
【0020】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、作業装置2が連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、作業装置2がロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。
【0021】
図1に示すように、トラクタ1は、操舵装置29を備えている。操舵装置29は、ハンドル(ステアリングホイール)30と、ハンドル30の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)31と、ハンドル30の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)32と、を有している。補助機構32は、油圧ポンプ33と、油圧ポンプ33から吐出した作動油が供給される制御弁34と、制御弁34により作動するステアリングシリンダ35とを含んでいる。制御弁34は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁34は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁34は、操舵軸31の操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)に接続されている。
【0022】
したがって、ハンドル30を操作すれば、当該ハンドル30に応じて制御弁34の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁34の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ35が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置29は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0023】
図1に示すように、トラクタ1は、測位装置40を備えている。測位装置40は、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40は、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ1の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体位置を検出する。測位装置40は、受信装置41と、慣性計測装置(IMU: Inertial Measurement Unit)42とを有している。
【0024】
受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に走行車体3に取付けられている。この実施形態では、受信装置41は、走行車体3、即ち、キャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。走行車体3、例えば、運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置42によって、走行車体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0025】
図1に示すように、トラクタ1は、表示装置50を備えている。表示装置50は、制御部51と、表示部52と、記憶部53とを備えている。制御部51は、CPU、電気電子回路等から構成されていて、表示装置50に関する様々な制御を行う。表示部52は、液晶パネル、タッチパネル、その他のパネル等で構成されていて、様々な情報を表示する。記憶部53は、不揮発性のメモリ等から構成されている。記憶部53には、例えば、トラクタ1の作業等を支援するアプリケーションプログラムが記憶されていて、当該アプリケーションプログラムを起動すると、表示装置50は、作業を支援する作業支援装置として作動する。なお、表示装置50が作業支援装置として作動した場合も、作業支援装置としての処理は、ハードウェアである制御部51が実行する。
【0026】
図1に示すように、表示装置50は、マップ登録部51Aを含んでいる。マップ登録部51Aは、所定の圃場の輪郭、例えば、所定の圃場の輪郭に対応した位置を登録する。
図3に示すように、表示装置50に対して所定の操作を行うと、マップ登録部51Aによって、表示部52にはマップ登録画面M1が表示される。マップ登録画面M1には、圃場を含むマップMP1、トラクタ1の車体位置VP1、圃場名及び圃場管理番号等の圃場識別情報が表示される。マップMP1には、圃場を示す画像データの他に緯度、経度等の位置情報が対応付けられている。トラクタ1が圃場内に入り、圃場内を周回すると、マップ登録画面M1には、トラクタ1が周回したときに測位装置40が検出した現在の車体位置VP1が表示される。トラクタ1による圃場内の周回が終了し、マップ登録画面M1に表示された登録ボタン55が選択されると、
図4(a)に示すように、マップ登録部51Aは、トラクタ1が周回したときの複数の車体位置によって得られた走行軌跡K1を圃場の輪郭(外形)H1とし、当該輪郭H1で表される圃場マップMP2を圃場識別情報と共に登録する。
【0027】
なお、
図4(b)に示すように、マップ登録部51Aは、車体位置VP1で示される走行軌跡から変曲点を演算して変曲点を結ぶ輪郭K2を圃場の輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよいし、
図4(c)に示すように、トラクタ1が周回する際に運転者等がトラクタ1に設けられたスイッチ等によって圃場の端部を指定し指定された端部を結んだ輪郭K3を輪郭H1(圃場マップMP2)として登録してもよい。上述した圃場の登録方法は、一例であり、限定されない。圃場の輪郭、即ち、圃場マップMP2は、位置(緯度、経度)で示されたデータであっても、座標(X軸、Y軸)系で示されたデータであっても、その他の表現で示されたデータであってもよい。
【0028】
記憶部53は、マップ登録部51Aによって登録した輪郭(外形)を示す圃場マップMP2を記憶する。即ち、記憶部53は、圃場マップMP2、圃場の輪郭を示すデータ(所定の圃場を表すためのデータ)を記憶する。
図1に示すように、表示装置50は、エリア設定部51Dを備えている。エリア設定部51Dは、作業エリアA2と、補給エリアA5とを設定する。なお、圃場マップMP2において、作業エリアA2が既に設定されていれば、エリア設定部51Dは、補給エリアA5のみを設定するものであってもよい。この実施形態では、作業エリアA2と補給エリアA5との両方を設定する例について説明する。
【0029】
図5(a)に示すように、作業者(運転者)が表示装置50に対して所定の操作を行うと、エリア設定部51Dによって、表示部52に作業設定画面M2を表示する。作業設定画面M2は、圃場入力部80と、圃場表示部81とを有している。圃場入力部80は、圃場名、圃場の管理番号等の圃場識別情報を入力可能である。圃場表示部81は、圃場入力部80に入力された圃場識別情報に対応する所定の圃場を示す圃場マップMP2を表示する。即ち、エリア設定部51Dは、圃場入力部80に入力された圃場識別情報に対応する圃場マップMP2を、記憶部53に要求し、当該記憶部53から送信された圃場マップMP2を圃場表示部81に表示させる。
【0030】
作業設定画面M2において、旋回幅入力部82に旋回幅W1を入力した後、旋回設定ボタン83を選択すると、エリア設定部51Dは、圃場表示部81に表示された圃場マップMP2に、旋回エリアA1を除く作業エリアA2を表示する。例えば、エリア設定部51Dは、圃場マップMP2の輪郭H1を内側に、旋回幅W1だけオフセットすることで形成される輪郭H2で囲まれるエリアを、作業エリアA2に設定する。なお、作業設定画面M2において、圃場表示部81に表示された圃場マップMP2上に、ポインタ等を用いて作業エリアA2の輪郭の位置を指定することによって、圃場マップMP2に作業エリアA2を設定してもよい。
【0031】
エリア設定部51Dは、作業エリアA2を設定後、補給エリアA5の処理に移行する。エリア設定部51Dは、例えば、作業設定画面M2に表示されたポインタ部95により行う。ポインタ部95によって、作業エリアA2の外側のエリア(外部エリア)、即ち、旋回エリアA1が選択された場合、選択された旋回エリアA1が補給エリアA5に設定される。詳しくは、
図6に示すように、作業エリアA2が複数の辺Gi(i=1,2,3,4・・・i)で構成され、旋回エリアA1を複数の辺Giに接する複数のエリアJi(i=1,2,3,4・・・i)に分けたとする。この場合、複数のエリアJiのうち、ポインタ部95で選択されたエリアJiが、補給エリアA5に設定される。例えば、作業エリアA2が4つの辺G1、G2,G3,G4で構成された場合は、旋回エリアA1は、4つのエリアJ1、J2、J3、J4になる。ここで、4つのエリアJ1、J2、J3、J4のうち、エリアJ3が選択された場合、
図5Bに示すように、エリア設定部51Dは、当該エリアJ3が補給エリアA5として設定され、作業設定画面M2には、作業エリアA2の外側に設定された補給エリアA5が表示される。このように、補給エリアA5は、圃場の形状、即ち、作業エリアA2の形状に対応して、作業エリアA2の外側で、例えば、農道に接しているエリアJiに設定することができる。
【0032】
記憶部53は、作業エリアA2と補給エリアA5とが設定された圃場マップMP2のデータ(作業エリアA2の位置を示すデータ及び補給エリアA5を示すデータ)を記憶する。
【0033】
図1に示すように、表示装置50は、ルート作成部51Bを備えている。ルート作成部51Bは、記憶部53に登録された圃場マップMP2を参照して、当該圃場マップMP2上に走行車体3の走行ルート(走行予定ルート)L1を作成する。
【0034】
図7に示すように、作業者(運転者)が表示装置50に対して所定の操作を行うと、ルート作成部51Bによって、表示部52にルート設定画面M3を表示する。ルート設定画面M3では、圃場において、少なくとも作業エリアA2に走行予定ルートL1を設定することが可能である。ルート設定画面M3は、走行予定ルートL1を表示するルート表示部85と、幅入力部86とを備えている。作業装置2の作業幅W2は、作業装置2が圃場等の対地に対して作業を行う幅(作業実行幅)であって、資材を圃場に散布する作業装置2の場合は、資材を供給する散布幅である。例えば、作業装置2が施肥装置である場合は、施肥幅が作業幅W2、薬剤散布装置である場合には薬剤散布幅が作業幅W2、苗移植装置である場合は1回の作業で苗を圃場に植え付けることができる植付幅が作業幅、播種装置である場合は播種幅が作業幅W2である。なお、対地作業とは、圃場及び圃場に作付けした作物に対して行う農作業のことであり、例えば、苗の植え付け、灌水、薬剤の散布、肥料の散布(施肥)、種の散布(播種)、鎮圧、覆土、畝形成、耕耘、溝形等である。
【0035】
ルート作成部51Bは、作業幅W2を取得すると、
図8(a)に示すように、作業エリアA2を作業幅W2で縦方向又は横方向に区切ることによって、作業装置2で作業を行う複数の単位作業区画A3を作業エリアA2内に作成する。即ち、ルート作成部51Bは、作業幅W2と同一の幅の単位作業区画A3を作業エリアA2内に複数作成する。なお、
図8(b)に示すように、ルート作成部51Bは、作業幅W2からオーバラップ幅W3を除した幅W4の単位作業区画A3を作業エリアA2内に複数作成してもよい。オーバラップ幅W3は、ルート設定画面M3で入力することが可能である。即ち、ルート作成部51Bは、作業装置2を連結した走行車体3を走行させた場合に、当該作業装置2によって圃場に対して作業が行われる最小単位の領域を、単位作業区画A3として設定する。
【0036】
図8(c)に示すように、ルート作成部51Bは、圃場マップMP2の単位作業区画A3毎に、走行車体3が直進する直進部(直進ルート)L1aの作成を行う。即ち、ルート作成部51Bは、例えば、単位作業区画A3の幅方向中央部に、当該単位作業区画A3の長手方向の両端部を結ぶ直線状の直進ルートL1aを作成する。ルート作成部51Bは、補給エリアA5を通過するルート、即ち、隣接する直進ルートL1aを補給エリアA5内で結ぶことができるルートを作成する。即ち、ルート作成部51Bは、走行車体3が旋回する旋回部(旋回ルート)L1bが補給エリアA5内に位置するように、旋回ルートL1bを作成する。即ち、ルート作成部51Bは、作業エリアA2の外側に設定された補給エリアA5に自動運転のための走行予定ルートL1の一部を作成する。
【0037】
なお、ルート作成部51Bは、走行予定ルートL1とトラクタ1(走行車体3)の車速(移動速度)とを対応付けることが可能である。例えば、ルート設定画面M3に車速を入力する車速入力部を設け、当該車速入力部に車速が入力されたとする。ルート作成部51Bは、直進ルートL1aと車速入力部に入力された車速とを対応付ける。ルート作成部51Bによって作成された走行予定ルートL1(直進ルートL1a及び旋回ルートL1b)は記憶部53に記憶される。
【0038】
<バッテリの交換及びバッテリの配送・回収>
一般に、バッテリにおいては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、走行車体が停止してしまう。このため、補給用(交換用)のバッテリを作業機の位置まで輸送する必要が生じる等、全体として作業効率が悪化する場合がある。本実施形態では、上述のように、バッテリ6により原動機4が駆動されるため、圃場での作業が進行すると、装着中のバッテリ6の残量が減少していく(
図9等参照)。作業効率の悪化を抑制するためにも、バッテリ6の交換を、適切な場所、タイミングにて実施されることが好ましい。他方、作業装置における資材についても、同様の傾向があるため、資材補給は、作業エリアA2の外側の補給エリアA5にて実施される(
図9等参照)。例えば、
図16に示すように、圃場Fの作業エリアの外側であって農道Rに接しているエリアAにて、資材を補給するようにしてもよい。当該エリアAは、補給エリアA5に相当する。この場合、当該エリアAを、バッテリ6の交換のためのエリアとしても活用できる。
【0039】
圃場Fにおいて、上記「農道Rに接しているエリアA」でのバッテリ6の交換が実現できるよう、補給用(交換用)のバッテリ6の配送、及び、使用後のバッテリ6の回収は、下記のように実施される。本実施形態では、圃場Fから離れた配送拠点(配送センター)にて、装着されていないバッテリ6が保管されているものとする。当該配送拠点では、圃場Fに向けて配送する交換用のバッテリ6の保管、又は、圃場Fにて回収した使用後のバッテリ6を充電することができる。交換用のバッテリ6の配送、及び、使用後のバッテリ6の回収は、バッテリ6を搭載でき搬送可能なトラック等の運搬車により、実施される。交換用のバッテリ6とは、充電が十分に行われているバッテリ、例えば、バッテリの最大充電量を100%とした場合に充電量が80%以上であるバッテリのことである。なお、充電量が80%以上に限定はされない。
【0040】
交換用のバッテリ6を、圃場Fに向けて配送する場合には、例えば、配送拠点にて保管されている交換用のバッテリ6が運搬車Tに搭載されて、
図16(a)に示すように、当該運搬車Tが配送拠点から圃場Fに向けて走行し、農道Rに接している圃場FのエリアAに到達する。そして、
図16(b)に示すように、当該エリアA(例えば、資材補給のエリア)にて、運搬車Tに搭載されていたバッテリ6が、交換用のバッテリ6として荷下ろしされる。一方、
図16(c)に示すように、作業機100から脱離されるバッテリ6は、使用後のバッテリ6として、エリアAにて静置されるとともに、既に静置されていた交換用のバッテリ6を作業機100に装着する。なお、荷下ろし後の運搬車Tは、他の圃場に向かい他のバッテリを回収した後、配送拠点に戻る。
【0041】
そして、使用後のバッテリ6をエリアAから回収する場合には、
図16(d)に示すように、農道Rを経てエリアAに到達した運搬車Tに、静置されていた使用後のバッテリ6を搭載し、運搬車Tが配送拠点に向けて走行していく。なお、運搬車Tからのバッテリ6の荷下ろし、及び、運搬車Tへのバッテリ6の搭載は、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。作業機100からの装着中のバッテリ6の脱離、及び、交換用のバッテリ6の作業機100への装着は、トラクタの運転手により実施されてもよいし、配送拠点のサービスとして、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。
【0042】
上述のバッテリ6の配送、及び、バッテリ6の回収を可能とするために、配送拠点(配送センター)には、コンピュータが設置されている。当該コンピュータと、作業機(トラクタ)100の通信装置(図示せず)とは、ネットワーク等を介して通信可能である。配送拠点(配送センター)のコンピュータは、配送に関する様々な情報(以下、配送情報という)を取得し、取得した配送情報に基づいて、配送拠点(配送センター)に設置された様々な機器、装置を制御する。配送情報とは、バッテリ6の配送を要求するための指示信号(要求信号)、バッテリ6の回収を要求するための指示信号(回収信号)、作業機(トラクタ)100の車体位置等である。要求信号、回収信号及び車体位置は、例えば、作業機(トラクタ)100の通信装置から送信され、配送拠点(配送センター)のコンピュータが受信(取得)する。
【0043】
より具体的には、制御装置60は、作業機100の作動中において、装着中のバッテリ6の残量が所定値よりも小さく、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、通信装置に対して要求信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置は、コンピュータ(配送拠点)に要求信号と車体信号を送信する。要求信号と車体位置とを受信した配送拠点のコンピュータは、当該コンピュータのモニタ等に、「バッテリ配送要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、上記表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けてバッテリ6を配送するよう指示がなされる。
【0044】
また、制御装置60は、作業機100の停止中において、バッテリ6の脱離により電位が一旦ゼロとなった後に、バッテリ6の装着により残量が復帰して、装着されていたバッテリ6が交換用のバッテリ6と交換されたと判定した場合、通信装置に対して回収信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置は、コンピュータ(配送拠点)に回収信号と車体信号を送信する。回収信号と車体位置とを受信した配送拠点のコンピュータは、当該コンピュータのモニタ等に、「バッテリ回収要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、上記表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けて使用後のバッテリ6を回収するよう指示がなされる。
【0045】
更に、自動運転モードに設定されている場合においては、制御装置60は、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、後述のように補給位置が設定される補給エリアA5に、トラクタ1を自動運転により移動させる。補給エリアA5は、農道Rに接している圃場FのエリアAに相当するよう設定される。このため、バッテリ6の交換の際には、自動運転により、トラクタ1は当該エリアAに移動するようになっている。
【0046】
<補給位置の設定>
上述のように、交換用のバッテリ6は、圃場Fの作業エリアの外側であって農道Rに接しているエリアAに配送される。当該エリアAにてバッテリ交換が実施され、使用後のバッテリ6が回収されていく。このため、本実施形態においては、作業エリアA2の外側の補給エリアA5に、資材の補給の位置である第1補給位置PH1と、バッテリ6の交換(エネルギ源の補給)の位置である第2補給位置PH2と、が設定される。トラクタ1を自動運転させて、設定された第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2まで移動させる。第1補給位置PH1は、作業装置2における資材の残量に基づいて設定される。第2補給位置PH2は、バッテリ6における電気エネルギの残量に基づいて設定される。以下、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2の設定について説明する。
【0047】
図7に示すように、ルート設定画面M3には、圃場に資材を供給する供給量Q1を入力する供給入力部96と、作業装置2へ投入した資材の投入量Q2を入力する投入入力部97とが表示されている。表示装置50は、供給入力部96に入力された供給量Q1と、投入量Q2とに基づいて、圃場の所定位置における資材の残量(理論残量)Q3を求めることができる。
【0048】
図1に示すように、表示装置50は、投入量取得部51Eと、資材残量演算部51Fとを備えている。投入量取得部51Eは、作業装置2に搭載する資材の投入量を取得する。例えば、作業開始前、資材を補給後等に投入量取得部51Eに入力された投入量Q2を取得する。
【0049】
資材残量演算部51Fは、投入量取得部51Eが取得した投入量Q2(単位:kg)と、作業によって消費する資材消費量Q4(単位:kg)に基づいて所定位置における資材の残量Q3(単位:kg)を演算する。例えば、資材残量演算部51Fは、作業装置2が直進ルートL1aを走行した場合の走行距離に作業幅(供給幅)W2を乗算して、作業を行った面積(作業面積)を求め、作業面積と単位面積当たりの供給量とを用いて、所定位置における資材消費量Q4(資材を作業装置2に投入をして作業装置2によって作業を開始してから圃場に供給した量)を求める。資材残量演算部51Fは、容器2aに投入する資材の投入量Q2(単位:kg)から資材消費量Q4(単位:kg)を減算することにより、直進ルートL1aの所定位置における資材の残量Q3(単位:kg)を求める。なお、上述した残量Q3の演算方法は、一例であり限定されない。資材残量演算部51Fは、圃場へ供給する単位時間当たりの供給量Q1にトラクタ1が直進ルートL1aを直進した時間を乗算することで資材消費量Q4を求め、投入量Q2から資材消費量Q4を減算することにより、直進ルートL1aの所定位置における資材の残量Q3を求めてもよいし、その他の方法によって資材の残量Q3を求めてもよい。
【0050】
また、バッテリ6の走行開始時の充電量P1と、電池消費量P2とに基づいて、圃場の所定位置におけるバッテリ6の残量(理論残量)P3を求めることができる。
【0051】
図1に示すように、表示装置50は、充電量取得部51Hと、電池残量演算部51Iとを備えている。充電量取得部51Hは、走行車体3に装着されたバッテリ6の充電量を取得する。例えば、バッテリ6のバッテリ装着部11への装着後等に、バッテリ6の電位センサ等にて検出された電位に基づいて充電量P1を取得する。
【0052】
電池残量演算部51Iは、充電量取得部51Hが取得した充電量P1(単位:kJ)と、走行によって消費する電池消費量P2(単位:kJ)に基づいて所定位置におけるバッテリ6の残量P3(単位:kJ)を演算する。例えば、電池残量演算部51Iは、走行車体3が直進ルートL1aを走行した場合の走行距離に単位距離当たりの作業負荷を乗算して、所定位置における電池消費量P2(バッテリ6を走行車体3に装着して走行車体3が走行を開始してから消費した量)を求める。なお、負荷は、例えば、原動機4の回転数、走行車体3の車速等に基づいて演算されてもよい。電池残量演算部51Iは、走行車体3に装着されたバッテリ6の充電量P1(単位:kJ)から電池消費量P2(単位:kJ)を減算することにより、直進ルートL1aの所定位置におけるバッテリ6の残量P3(単位:kJ)を求める。なお、上述した残量P3の演算方法は、一例であり限定されない。電池残量演算部51Iは、上述した作業面積に単位面積当たりの作業負荷を乗算することで電池消費量P2を求め、充電量P1から電池消費量P2を減算することにより、直進ルートL1aの所定位置におけるバッテリ6の残量P3を求めてもよいし、その他の方法によってバッテリ6の残量P3を求めてもよい。
【0053】
図1に示すように、表示装置50は、位置設定部51Gを備えている。位置設定部51Gは、補給エリアA5に、上記演算される資材の残量Q3に基づいて第1補給位置PH1を設定し、上記演算されるバッテリ6の残量P3に基づいて第2補給位置PH2を設定する。位置設定部51Gは、作業装置2がトラクタ1に連結されて直進ルートL1aを走行しながら資材の供給を行っている状態において、作業装置2が補給エリアA5に達する前に、資材の残量が零にならないように、補給エリアA5に第1補給位置PH1を設定し、トラクタ1が補給エリアA5に達する前に、バッテリ6の残量が零にならないように、補給エリアA5に第2補給位置PH2を設定する。
【0054】
第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2の設定の具体的な設定態様を、
図9、
図10、及び、
図11を参照しつつ説明する。先ず、直進ルートL1aの端部位置Z1~Z8と、端部位置Z1~Z8に対応する資材の残量及びバッテリ6の残量との関係が、
図9に示すような状態である場合について、説明する。この場合、補給エリアA5に隣接する端部位置Z3の時点では資材の残量が零でないため、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bでは、第1補給位置PH1を設定しなくても良い。一方、端部位置Z5の時点では、資材の残量が少なく、仮想線で示すように、端部位置Z5にて資材の補給を行わなければ、補給エリアA5の反対側の端部位置Z6に向かう途中で、資材の残量が零になる。また、端部位置Z3,Z5の時点ではバッテリ6の残量が零でないため、端部位置Z3,Z5に続く旋回ルートL1bでは、第2補給位置PH2を設定しなくても良い。一方、端部位置Z7の時点では、バッテリ6の残量が少なく、仮想線で示すように、端部位置Z7にてバッテリ6の交換を行わなければ、補給エリアA5の反対側の端部位置Z8に向かう途中で、バッテリ6の残量が零になる。
【0055】
そこで、位置設定部51Gは、少なくとも端部位置Z5に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1を設定し、端部位置Z7に続く旋回ルートL1bに第2補給位置PH2を設定する。
図9に示すような状態である場合は、例えば、バッテリ6の初期の充電量が比較的大きい場合、電池消費量が比較的小さい場合、資材の投入量が比較的小さい場合、資材の消費量が比較的大きい場合等があげられる。
【0056】
次に、直進ルートL1aの端部位置Z1~Z8と、端部位置Z1~Z8に対応する資材の残量及びバッテリ6の残量との関係が、
図10に示すような状態である場合について、説明する。この場合、端部位置Z3,Z5の時点では資材の残量が零でないため、端部位置Z3,Z5に続く旋回ルートL1bでは、第1補給位置PH1を設定しなくても良い。一方、端部位置Z7の時点では、資材の残量が少なく、仮想線で示すように、端部位置Z7にて資材の補給を行わなければ、補給エリアA5の反対側の端部位置Z8に向かう途中で、資材の残量が零になる。また、補給エリアA5に隣接する端部位置Z3の時点ではバッテリ6の残量が零でないため、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bでは、第2補給位置PH2を設定しなくても良い。一方、端部位置Z5の時点では、バッテリ6の残量が少なく、仮想線で示すように、端部位置Z5にてバッテリ6の交換を行わなければ、補給エリアA5の反対側の端部位置Z6に向かう途中で、バッテリ6の残量が零になる。
【0057】
そこで、位置設定部51Gは、少なくとも端部位置Z7に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1を設定し、端部位置Z5に続く旋回ルートL1bに第2補給位置PH2を設定する。
図10に示すような状態である場合は、例えば、バッテリ6の初期の充電量が比較的小さい場合、電池消費量が比較的大きい場合、資材の投入量が比較的大きい場合、資材の消費量が比較的小さい場合等があげられる。
【0058】
次に、直進ルートL1aの端部位置Z1~Z8と、端部位置Z1~Z8に対応する資材の残量及びバッテリ6の残量との関係が、
図11に示すような状態である場合について、説明する。この場合、補給エリアA5に隣接する端部位置Z3の時点では、資材の残量及びバッテリ6の残量がともに零でないため、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bでは、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定しなくても良い。一方、端部位置Z5の時点では、資材の残量及びバッテリ6の残量がともに少なく、仮想線で示すように、端部位置Z5にて資材の補給及びバッテリ6の交換を行わなければ、補給エリアA5の反対側の端部位置Z6に向かう途中で、資材の残量及びバッテリ6の残量がそれぞれ零になる。
【0059】
そこで、位置設定部51Gは、少なくとも端部位置Z5に続く旋回ルートL1bに、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定する。
図11に示すような状態である場合は、例えば、バッテリ6の初期の充電量が
図9及び
図10における状態の中間である場合、電池消費量が
図9及び
図10における状態の中間である場合、資材の投入量が
図9及び
図10における状態の中間である場合、資材の消費量が
図9及び
図10における状態の中間である場合等があげられる。
【0060】
なお、
図9の説明では、端部位置Z5及びZ7に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定しているが、位置設定部51Gは、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1を設定し、端部位置Z5又はZ3に続く旋回ルートL1bに第2補給位置PH2を設定してもよい。
図10の説明では、端部位置Z7及びZ5に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定しているが、位置設定部51Gは、端部位置Z5又はZ3に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1を設定し、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bに第2補給位置PH2を設定してもよい。
図11の説明では、端部位置Z5に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定しているが、位置設定部51Gは、端部位置Z3に続く旋回ルートL1bに第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2をそれぞれ設定してもよい。
【0061】
つまり、位置設定部51Gは、複数の旋回ルートL1bのうち、同一側に並ぶ旋回ルートL1bに第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2を設定する。このように、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2を、旋回ルートL1bの同一側に並べることによって、資材の補給作業、及び、バッテリ6の交換作業を行い易くすることができる。位置設定部51Gによって、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2が設定されると、位置設定部51Gによって設定された第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2が記憶部53に記憶される。
【0062】
<自動運転、資材補給及びバッテリ交換>
さて、自動運転を行う場合、
図12に示すように、表示装置50の表示部52には、運転画面M5が表示される。
図12(a),(b),(c)における表示部52の表示は、
図9、
図10、
図11に示す状態にそれぞれ対応している。運転画面M5では、例えば、作業エリアA2、補給エリアA5、走行予定ルートL1(直進ルートL1a、旋回ルートL1b)、トラクタ1(作業装置2)の現在の位置(車体位置)VP1が表示される。なお、
図12の運転画面M5では、作業エリアA2、補給エリアA5、走行予定ルートL1、車体位置VP1を表示しているが内容は限定されない。
【0063】
次に、自動運転、資材の補給、及び、バッテリ6の交換について詳しく説明する。
図1に示すように、トラクタ1は、制御装置60を備えている。制御装置60は、トラクタ1における走行系の制御、作業系の制御等を行う装置である。制御装置60には、運転切換スイッチ65が接続されている。運転切換スイッチ65は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に制御装置60を自動運転モードに設定することができ、OFFである場合に制御装置60を手動運転モードに設定することができる。
【0064】
制御装置60は、自動運転制御部63を備えている。自動運転制御部63は、制御装置60に設けられた電気・電子回路、CPU等に格納されたプログラム等から構成されている。自動運転制御部63は、走行車体3の自動運転を制御する。自動運転制御部63は、自動運転モードになっている場合に自動運転を開始する。
図13に示すように、トラクタ1が自動運転を行っている状況下において、車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値未満である場合、自動運転制御部63は、操舵軸(回転軸)31の回転角を維持する。車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行予定ルートL1に対して左側に位置している場合は、自動運転制御部63は、トラクタ1の操舵方向が右方向となるように操舵軸31を回転する。車体位置と走行予定ルートL1との偏差が閾値以上であって、トラクタ1が走行予定ルートL1に対して右側に位置している場合は、自動運転制御部63は、トラクタ1の操舵方向が左方向となるように操舵軸31を回転する。なお、上述した実施形態では、車体位置と走行予定ルートL1との偏差に基づいて操舵装置29の操舵角を変更していたが、走行予定ルートL1の方位とトラクタ1(走行車体3)の進行方向(走行方向)の方位(車体方位)とが異なる場合、即ち、走行予定ルートL1に対する車体方位の角度が閾値以上である場合、自動運転制御部63は、角度が零となる(車体方位F1が走行予定ルートL1の方位に一致する)ように操舵角を設定してもよい。また、自動運転制御部63は、偏差(位置偏差)に基づいて求めた操舵角と、方位(方位偏差)に基づいて求めた操舵角とに基づいて、自動操舵における最終の操舵角を設定してもよい。上述した実施形態における自動操舵における操舵角の設定は一例であり、限定されない。
【0065】
なお、自動運転制御部63は、走行予定ルートL1と車速とが対応付けられている場合、現在のトラクタ1の車速が走行予定ルートL1に対応した車速に一致するように変速装置の変速段、原動機の回転数等を自動的に変更する。
【0066】
また、自動運転制御部63は、直進ルートL1aにおいて作業装置2による対地作業を行い、旋回ルートL1bでは、作業装置2による対地作業を一旦停止して旋回して、直進ルートL1aに入った時点で対地作業を再開する。以上のように、制御装置60によって、トラクタ1(走行車体3)を自動運転させることができる。
【0067】
図12に示すように、トラクタ1が、自動運転にて端部位置Z1から走行予定ルートL1に沿って走行していくものとする。
図12(a)に示すように、第1補給位置PH1が、第2補給位置PH2以前に設定されている場合における作動を説明する。先ず、トラクタ1の現在の位置VP1が、設定された第1補給位置PH1に対応する旋回ルートL1bに達すると、トラクタ1(走行車体3)の走行及び作業装置2による対地作業を停止する。第1補給位置PH1にて、トラクタ1が停止した状態で作業装置2に資材を補給する。本実施形態では、容器2aに肥料、農薬等の資材を補給する。補給が完了すると、トラクタ1は、対地作業が停止したまま旋回ルートL1bを旋回し、直進ルートL1aに向かって移動していき、直進ルートL1aに入った時点で対地作業が再開される。
【0068】
第1補給位置PH1において作業装置2へ資材の補給を行った際、表示装置50に所定の操作を行うと、
図7に示すように、設定画面M3と同等の投入入力部97を有する設定画面が表示され、資材の投入量Q2を入力するようにしてもよい。この場合、投入量取得部51Eは、投入入力部97に入力された投入量Q2等を取得し、資材残量演算部51Fは、投入量Q2、供給量Q1、作業幅W2等を用いて、所定の位置における資材の残量Q3を求め、位置設定部51Gは、現在の第1補給位置PH1以降の第1補給位置PH1を再設定する。
【0069】
次に、トラクタ1の現在の位置VP1が、設定された第2補給位置PH2に対応する旋回ルートL1bに達すると、トラクタ1(走行車体3)の走行及び作業装置2による対地作業を再び停止する。第2補給位置PH2にて、トラクタ1が停止した状態でバッテリ6を交換する。交換が完了すると、トラクタ1は、対地作業が停止したまま旋回ルートL1bを旋回し、直進ルートL1aに向かって移動していき、直進ルートL1aに入った時点で対地作業が再開される。
【0070】
図14に示すように、バッテリ6は、略直方体状のケーシング内部に、バッテリパック、電装ユニット(リレー、フューズ等)を備える。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールで構成されている。バッテリモジュールは、複数のセルで構成されている。このように構成されたバッテリ6は、電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、詳しくはリチウムイオンバッテリである。バッテリ6は、ケーシング外側からホルダ6aで保持されており、ホルダ6aの手前側端部に、把持部6bが設けられている。車体3のバッテリ装着部11は、バッテリ6全体を収容可能な空間である収容部11aと、収容部11aの車幅方向の手前側に設けられた開口11bと、開口11bを閉塞可能なフラップ式の蓋部11cとを備えている。通常時は、バッテリ6が収容部11aに収容された状態で、開口11bが蓋部11cにより閉塞されており、バッテリ6からトラクタ1に電源供給が可能となっている。
【0071】
バッテリ6を交換する場合、蓋部11cを開くことで開口11bを露出させる。バッテリ6の把持部6bを把持しながら、ホルダ6aを手前側に引くことで、バッテリ6を車幅方向の手前側にスライドさせつつ収容部11aから取出す。空の状態となった収容部11aに対し、開口11bを介して、新たなバッテリ6の奥手方向における端部を挿入する。次いで、新たなバッテリ6の把持部6bを把持しながら、ホルダ6aを奥手側に押し、当該バッテリ6を車幅方向の奥手側にスライドさせる。そして、新たなバッテリ6全体が収容部11aに収容された後、蓋部11cを閉じることで開口11bを閉塞させる。上述のようにして、バッテリ6の交換が行われる。バッテリ6、及び、バッテリ装着部11の構成は一例であり、バッテリ装着部11にバッテリ6が装着・脱離され得る構成であれば、何れの構成が採用されてもよい。
【0072】
なお、本実施形態では、バッテリ6が交換されるようになっているが、これに代えて、エネルギ源を貯留可能なパッケージが、交換されるようにしてもよい。このパッケージとしては、例えば、水素タンク、LPG(Liquified petroleum gas)タンク等が用いられてもよい。水素タンクが搭載される場合、例えば、水素および空気中の酸素にて発電する燃料電池をトラクタ1に搭載し、当該燃料電池に向けてタンクからの水素が供給されるようにしてもよい。LPGタンクが搭載される場合、例えば、ガスエンジンにて発電するジェネレータをトラクタ1に搭載し、当該ガスエンジンに向けてタンクからのガスが供給されるようにしてもよい。
【0073】
第2補給位置PH2においてバッテリ6の交換を行った際、充電量取得部51Hは、新たなバッテリ6の充電量P1を取得し、電池残量演算部51Iは、充電量P1等を用いて、所定の位置におけるバッテリ6の残量P3を求め、位置設定部51Gは、現在の第2補給位置PH2以降の第2補給位置PH2を再設定する。
【0074】
図10(b)に示すように、第1補給位置PH1が、第2補給位置PH2以降に設定されている場合における作動を説明する。先ず、トラクタ1の現在の位置VP1が、設定された第2補給位置PH2に対応する旋回ルートL1bに達すると、トラクタ1(走行車体3)の走行及び作業装置2による対地作業を停止する。第2補給位置PH2にて、トラクタ1が停止した状態でバッテリ6を交換する。交換が完了すると、トラクタ1は、対地作業が停止したまま旋回ルートL1bを旋回し、直進ルートL1aに向かって移動していき、直進ルートL1aに入った時点で対地作業が再開される。また、現在の第2補給位置PH2以降の第2補給位置PH2が、再設定される。
【0075】
次に、トラクタ1の現在の位置VP1が、設定された第1補給位置PH1に対応する旋回ルートL1bに達すると、トラクタ1(走行車体3)の走行及び作業装置2による対地作業を再び停止する。第1補給位置PH1にて、トラクタ1が停止した状態で作業装置2に資材を補給する。補給が完了すると、トラクタ1は、対地作業が停止したまま旋回ルートL1bを旋回し、直進ルートL1aに向かって移動していき、直進ルートL1aに入った時点で対地作業が再開される。また、現在の第1補給位置PH1以降の第1補給位置PH1が、再設定される。
【0076】
図10(c)に示すように、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2が同位置に設定されている場合における作動を説明する。トラクタ1の現在の位置VP1が、設定された第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2に対応する旋回ルートL1bに達すると、トラクタ1(走行車体3)の走行及び作業装置2による対地作業を停止する。第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2にて、トラクタ1が停止した状態で、作業装置2に資材を補給し、バッテリ6を交換する。補給及び交換が完了すると、トラクタ1は、対地作業が停止したまま旋回ルートL1bを旋回し、直進ルートL1aに向かって移動していき、直進ルートL1aに入った時点で対地作業が再開される。また、現在の第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2以降の第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2が、再設定される。
【0077】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る作業機100は、トラクタ1と、トラクタ1を駆動するためのエネルギ源を貯留するバッテリ6と、トラクタ1に設けられ、資材を用いて作業を行う作業装置2と、作業装置2で資材を用いた作業を行う作業エリアA2に、トラクタ1の走行予定ルートL1を作成するルート作成部51Bと、作業エリアA2の外側に、資材の補給及びバッテリ6の交換を行う補給エリアA5を設定するエリア設定部51Dと、エリア設定部51Dで設定された補給エリアA5に、資材の補給の位置である第1補給位置PH1と、バッテリ6の交換の位置である第2補給位置PH2と、を設定する位置設定部51Gと、を備える。これによれば、第1補給位置PH1を、資材を使い切る前にトラクタ1が到達可能な位置に設定できる。また、第2補給位置PH2を、バッテリ6を使い切る前にトラクタ1が到達可能な位置に設定できる。従って、作業機100が、資材を使い切る前に、第1補給位置PH1に到達でき、第1補給位置PH1にて資材の補給が可能となる。また、作業機100が、バッテリ6を使い切る前に、第2補給位置PH2に到達でき、第2補給位置PH2にてバッテリ6の交換が可能となる。このため、作業エリアA2にて、資材切れやトラクタ1の停止が抑制され、作業効率の悪化を抑制することができる。
【0078】
実施形態の作業機100では特に、ルート作成部51Bは、作業エリアA2から補給エリアA5を通過して再び作業エリアA2に戻る旋回ルートL1bを作成し、位置設定部51Gは、補給エリアA5において、旋回ルートL1bに対応する部分に、第1補給位置PH1と、第2補給位置PH2とを設定する。これによれば、補給エリアA5の旋回ルートL1bに対応する部分を有効利用して、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2の位置が設定される。従って、第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2を設定するためだけに、余分な走行予定ルートL1を作成する手間を削減することができる。
【0079】
実施形態の作業機100では特に、位置設定部51Gは、複数の旋回ルートL1bのうち、トラクタ1の旋回方向が同一側の旋回ルートL1b上に、第1補給位置PH1と、第2補給位置PH2と設定する。これによれば、補給用の資材及び交換用のバッテリ6を、同一側の旋回ルートL1b近傍に準備しておくことができる。従って、第1補給位置PH1での資材の補給、及び、第2補給位置PH2でのバッテリ6の交換を、効率よく実行できる。
【0080】
実施形態の作業機100では特に、位置設定部51Gは、バッテリ6の残量P3に基づいて、第2補給位置PH2を設定し、作業機100は、走行予定ルートL1bに基づいてトラクタ1を自動運転させながら作業装置2によって作業を行う自動運転制御部63であって、トラクタ1を、位置設定部51Gにて設定された第2補給位置PH2まで移動させる自動運転制御部63を備える。これによれば、作業機100がバッテリ6を使い切る前に、トラクタ1を第2補給位置PH2まで自動的に移動させることができる。このため、作業エリアA2でのトラクタ1の停止を、より確実に抑制できる。
【0081】
実施形態の作業機100では特に、位置設定部51Gは、作業装置2における資材の残量Q3に基づいて第1補給位置PH1を設定し、作業機100は、走行予定ルートL1bに基づいてトラクタ1を自動運転させながら作業装置2によって作業を行う自動運転制御部63であって、トラクタ1を、位置設定部51Gにて設定された第1補給位置PH1まで移動させる自動運転制御部63を備える。これによれば、作業機100が資材を使い切る前に、トラクタ1(及び、作業装置2)を第1補給位置PH1まで自動的に移動させることができる。このため、作業エリアA2での資材切れを、より確実に抑制できる。
【0082】
実施形態の作業機100は特に、バッテリ6が装着されるバッテリ装着部11を備え、位置設定部51Gにより設定された第2補給位置PH2においてエネルギ源の補給を行う場合、バッテリ装着部11に装着されていたバッテリ6を脱離させ、脱離したバッテリ6に替わる新たなバッテリ6をバッテリ装着部11に装着する。これによれば、新たな満充電のバッテリ6を、第2補給位置PH2に向けて配達したり、予め補給エリアA5近傍に配置させておくことで、バッテリ交換を円滑に実行できる。従って、エネルギ源の補充も含めた全体の作業効率を、向上させることができる。
【0083】
[変形例1:作業者の運転による第1補給位置PH1への移動]
上記実施形態においては、自動運転制御部63は、トラクタ1を自動運転させて、位置設定部51Gにて設定された第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2まで、それぞれ移動させるようになっている。これに代えて、例えば、自動運転でなく作業者(運転者)による運転にて、位置設定部51Gにて設定された第1補給位置PH1へトラクタ1を移動させ、自動運転制御部63が、トラクタ1を自動運転させて、位置設定部51Gにて設定された第2補給位置PH2に移動させてもよい。
【0084】
この場合、例えば、作業者(運転者)による運転中において、資材の残量(理論残量)Q3が予め定められた値(閾値)以下になった場合に、ブザー等により運転者に知らせたり、表示装置50の画面に資材の残量Q3が少ないことを表示してもよい。
【0085】
これによれば、例えば、資材の残量に余裕を持たせた状態で第1補給位置PH1へ移動でき、作業エリアA2での資材切れをより確実に抑制できる。また、例えば、資材の残量を極力少なくした状態で第1補給位置PH1へ移動でき、資材の補給回数を減らすことができる。即ち、実際の作業の状況に応じて、作業者(運転者)の意思で第1補給位置PH1へ移動できる。
【0086】
[変形例2:作業者の運転による第2補給位置PH2への移動]
上記実施形態においては、自動運転制御部63は、トラクタ1を自動運転させて、位置設定部51Gにて設定された第1補給位置PH1及び第2補給位置PH2まで、それぞれ移動させるようになっている。これに代えて、例えば、自動運転制御部63は、トラクタ1を自動運転させて、位置設定部51Gにて設定された第1補給位置PH1に移動させ、自動運転でなく作業者(運転者)による運転にて、位置設定部51Gにて設定された第2補給位置PH2へトラクタ1を移動させてもよい。
【0087】
この場合、例えば、作業者(運転者)による運転中において、バッテリ6の残量(理論残量)P3が予め定められた値(閾値)以下になった場合に、ブザー等により運転者に知らせたり、表示装置50の画面にバッテリ6の残量P3が少ないことを表示してもよい。
【0088】
これによれば、例えば、バッテリ6の残量に余裕を持たせた状態で第2補給位置PH2へ移動でき、作業エリアA2でのバッテリ切れをより確実に抑制できる。また、例えば、バッテリ6の残量を極力少なくした状態で第2補給位置PH2へ移動でき、バッテリの交換回数を減らすことができる。即ち、実際の作業の状況に応じて、作業者(運転者)の意思で第2補給位置PH2へ移動できる。
【0089】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0090】
1 :走行車両(トラクタ)
2 :作業装置
3 :走行車体
6 :バッテリ
11 :バッテリ装着部
29 :操舵装置
40 :測位装置
41 :受信装置
42 :慣性計測装置
50 :表示装置
51 :制御部
51B :ルート作成部
51D :エリア設定部
51E :投入量取得部
51F :資材残量演算部
51G :位置設定部
51H :充電量取得部
51I :電池残量演算部
60 :制御装置
63 :自動走行制御部
65 :運転切換スイッチ
100 :作業機
A1 :旋回エリア
A2 :作業エリア
A2 :作業エリア
A3 :単位作業区画
A5 :補給エリア
L1 :走行予定ルート
L1a :直進ルート
L1b :旋回ルート
N1 :車載ネットワーク
P1 :充電量
P2 :電池消費量
P3 :バッテリの残量
PH1 :第1補給位置
PH2 :第2補給位置
Q1 :資材の供給量
Q2 :資材の投入量
Q3 :資材の残量
Q4 :資材消費量
W2 :作業幅
Z1~Z8:端部位置