(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005434
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】監視システム
(51)【国際特許分類】
B60L 53/80 20190101AFI20240110BHJP
B62D 49/00 20060101ALI20240110BHJP
G06Q 10/06 20230101ALI20240110BHJP
G06Q 50/02 20240101ALI20240110BHJP
B60L 53/68 20190101ALI20240110BHJP
【FI】
B60L53/80
B62D49/00 N
G06Q10/06
G06Q50/02
B60L53/68
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105612
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】石原 健二
【テーマコード(参考)】
5H125
5L049
【Fターム(参考)】
5H125AA20
5H125AC13
5H125BC05
5H125BC26
5H125CC04
5H125CC07
5H125EE55
5L049AA06
5L049CC01
(57)【要約】
【課題】 作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置を、容易に監視できる監視システムを提供する。
【解決手段】 この監視システムは、作業機101を駆動するためのエネルギ源を貯留するバッテリ6と、バッテリ6に対するエリア150Bを設定するエリア設定部110と、バッテリ6が設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6の通知またはバッテリ6の制限を行うことによりバッテリ6を監視する第1監視部112と、を備えた監視装置100と、を備える。これによれば、バッテリ6に対して定められたエリア150Bに、バッテリ6が位置しない場合には、通知または制限がなされる。従って、バッテリ6を容易に監視できる。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、
前記貯留装置に対するエリアを設定するエリア設定部と、前記貯留装置が前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置の通知または前記貯留装置の制限を行うことにより前記貯留装置を監視する第1監視部と、を備えた監視装置と、
を備えた監視システム。
【請求項2】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記貯留装置は、
前記作業機に着脱可能であり、
前記第1監視部は、
前記作業機に装着されていない前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置の通知を行う
監視システム。
【請求項3】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記貯留装置は、
前記作業機に着脱可能であり、
前記第1監視部は、
前記作業機に装着されていない前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置への前記エネルギ源の補充を制限する
監視システム。
【請求項4】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記貯留装置は、
前記作業機に着脱可能であり、
前記第1監視部は、
前記作業機に装着されている前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置から前記作業機への前記エネルギ源の供給を制限する
監視システム。
【請求項5】
請求項1に記載の監視システムにおいて、
前記貯留装置は、
前記作業機に着脱可能であり、
前記第1監視部は、
前記作業機に装着されている前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記作業機からの前記貯留装置の脱着を制限する
監視システム。
【請求項6】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の監視システムにおいて、
前記貯留装置は、
前記作業機に着脱可能、且つ、前記作業機に装着されていない状態において搬送可能であり、
前記第1監視部は、
前記作業機に装着されている前記貯留装置と交換するための前記貯留装置が搬送される場合には前記監視を解除し、前記監視の解除中において前記交換するための前記貯留装置が前記作業機に装着された場合に前記監視を開始する
監視システム。
【請求項7】
請求項6に記載の監視システムにおいて、
前記第1監視部は、
前記監視が開始された場合には前記監視を維持し、前記監視の維持中において前記作業機に装着されていない前記貯留装置が搬送される場合には前記監視を解除する
監視システム。
【請求項8】
請求項7に記載の監視システムにおいて、
前記作業機に装着されている前記貯留装置は、
前記監視を維持するための前記エネルギ源が残存するように前記交換される
監視システム。
【請求項9】
請求項1乃至請求項5の何れか一項に記載の監視システムにおいて、
前記監視装置は、
前記作業機がエリア内に位置しているか否かを監視する第2監視部を備え、
前記エリア設定部は、
前記作業機の位置に基づいて、前記貯留装置に対するエリアを設定し、
前記第1監視部は、
前記第2監視部による前記作業機の監視が実行された場合に、前記貯留装置の監視を実行する
監視システム。
【請求項10】
請求項6に記載の監視システムにおいて、
前記監視装置は、
前記作業機がエリア内に位置しているか否かを監視する第2監視部を備え、
前記エリア設定部は、
前記作業機の位置に基づいて、前記貯留装置に対するエリアを設定し、
前記第1監視部は、
前記第2監視部による前記作業機の監視が実行された場合に、前記貯留装置の監視を実行する
監視システム。
【請求項11】
請求項7又は請求項8に記載の監視システムにおいて、
前記監視装置は、
前記作業機がエリア内に位置しているか否かを監視する第2監視部を備え、
前記エリア設定部は、
前記作業機の位置に基づいて、前記貯留装置に対するエリアを設定し、
前記第1監視部は、
前記第2監視部による前記作業機の監視が実行された場合に、前記貯留装置の監視を実行する
監視システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、農業機械、建設機械等を含む作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置の監視システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業機械等の作業機を監視するためのシステムとして、特許文献1の監視システムが知られている。特許文献1の監視システムは、作業体に対して定められたエリアに、当該作業体が位置するか否かに基づいて、作業体の通知を行う通知部を備えている。これにより、作業体がエリア外に位置すると判定された場合、作業体の通知がなされることで、作業体を簡易に監視できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-106555号公報(請求項1等)
【発明の概要】
【0004】
近年、作業機においても、電動化や排出規制のトレンドが加速してきている。原動機として、例えば、モータ等が用いられる場合がある。この場合、原動機に電気エネルギを供給するバッテリ等が用いられることが多い。
【0005】
この種のバッテリ等においては、交換式の場合もある。バッテリ等の交換の際、効率的な作業のために、例えば、交換用の新しいバッテリ等を予め圃場等に静置しておいたり、使用後のバッテリ等を圃場等に静置しておく場面が想定される。即ち、作業中の作業機の位置とは異なる位置に、バッテリ等が静置される場合がある。この場合、当該バッテリ等に対する監視の要望は大きい。また、作業機にバッテリ等が装着されている状態においても、当該バッテリ等に対する監視の要望は大きい。上記特許文献1に記載の技術では、上記要望に対応することは困難である。
【0006】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置を、容易に監視できる監視システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の監視システムは、作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置と、前記貯留装置に対するエリアを設定するエリア設定部と、前記貯留装置が前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置の通知または前記貯留装置の制限を行うことにより前記貯留装置を監視する第1監視部と、を備えた監視装置と、を備える。
【0008】
前記貯留装置は、前記作業機に着脱可能であり、前記第1監視部は、前記作業機に装着されていない前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置の通知を行う。
【0009】
前記貯留装置は、前記作業機に着脱可能であり、前記第1監視部は、前記作業機に装着されていない前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置への前記エネルギ源の補充を制限する。
【0010】
前記貯留装置は、前記作業機に着脱可能であり、前記第1監視部は、前記作業機に装着されている前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記貯留装置から前記作業機への前記エネルギ源の供給を制限する。
【0011】
前記貯留装置は、前記作業機に着脱可能であり、前記第1監視部は、前記作業機に装着されている前記貯留装置が、前記設定されたエリアに位置しない場合、前記作業機からの前記貯留装置の脱着を制限する
【0012】
前記貯留装置は、前記作業機に着脱可能、且つ、前記作業機に装着されていない状態において搬送可能であり、前記第1監視部は、前記作業機に装着されている前記貯留装置と交換するための前記貯留装置が搬送される場合には前記監視を解除し、前記監視の解除中において前記交換するための前記貯留装置が前記作業機に装着された場合に前記監視を開始する。
【0013】
前記第1監視部は、前記監視が開始された場合には前記監視を維持し、前記監視の維持中において前記作業機に装着されていない前記貯留装置が搬送される場合には前記監視を解除する。
【0014】
前記作業機に装着されている前記貯留装置は、前記監視を維持するための前記エネルギ源が残存するように前記交換される。
【0015】
前記監視装置は、前記作業機がエリア内に位置しているか否かを監視する第2監視部を備え、前記エリア設定部は、前記作業機の位置に基づいて、前記貯留装置に対するエリアを設定し、前記第1監視部は、前記第2監視部による前記作業機の監視が実行された場合に、前記貯留装置の監視を実行する。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、作業機を駆動するためのエネルギ源を貯留する貯留装置を、容易に監視できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の第1実施形態に係る監視システムを示す全体図である。
【
図2】作業機及びバッテリがそれぞれ備える電子機器の機能ブロック図である。
【
図4】作業機が備えるバッテリ装着部の斜視図、及び、バッテリを交換する際の作動を説明するための図である。
【
図5】コンピュータの表示部に表示される設定画面の一例を示す図である。
【
図6】監視装置のエリア設定部にて設定されるエリア情報の一例を示す図である。
【
図7】作業機及びバッテリに対応してそれぞれ設定されたエリアの一例と、各エリアの内外に作業機及びバッテリがそれぞれ位置する状態を示す図である。
【
図8】配送拠点から圃場にバッテリを配送する際にバッテリの監視が解除され、バッテリの交換によりバッテリの監視が再開される作動において、エリアの削除・設定の一例と、エリアの内外にバッテリがそれぞれ位置する状態を示す図である。
【
図9】圃場からバッテリを回収する際にバッテリの監視が解除される作動において、エリアの削除の一例を示す図である。
【
図10】監視システムによるバッテリの監視開始、監視解除、及び、監視による通知の流れを示すフローチャートの一部である。
【
図11】監視システムによるバッテリの監視開始、監視解除、及び、監視による通知の流れを示す、
図10に続くフローチャートの一部である。
【
図12】監視システムによるバッテリの監視開始、監視解除、及び、監視による通知の流れを示す、
図11に続くフローチャートの一部である。
【
図13】本発明の第2実施形態に係る監視システムにおけるバッテリの機能ブロック図である。
【
図14】本発明の第2実施形態に係る監視システムにおける監視装置の機能ブロック図である。
【
図15】本発明の第3実施形態に係る監視システムにおける作業機及びバッテリの機能ブロック図である。
【
図16】本発明の第3実施形態に係る監視システムにおける監視装置の機能ブロック図である。
【
図17】本発明の第4実施形態に係る監視システムにおける作業機及びバッテリの機能ブロック図である。
【
図18】作業機のバッテリ装着部におけるロック解除状態、及び、ロック状態を説明するための図である。
【
図19】本発明の第4実施形態に係る監視システムにおける監視装置の機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、作業機及び作業機のバッテリを監視する監視システムを示している。この監視システムは、監視装置100を備えている。監視装置100は、作業機101及びバッテリ6の監視を行う装置である。作業機101は、トラクタ、コンバイン、田植機等の農業機械101aと、農業機械101aに連結可能なインプルメント101bと、を含んでいる(
図20参照)。監視装置100は、サーバ等の設置型のコンピュータ、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯型のコンピュータ等である。本実施形態では、監視装置100は、サーバであるとして説明を進める。なお、当該作業機101は、農業機械101aに代えて、建設機械等であってもよい。
【0020】
<作業機>
図20は、農業機械101aの1つであるトラクタと、トラクタに装着可能なインプルメント101bとを示す側面図である。以下、トラクタの運転席10に着座した運転者の前側を前方、運転者の後側を後方、運転者の左側を左方、運転者の右側を右方として説明する。また、トラクタの前後方向に直交する方向である水平方向を車体幅方向として説明する。
【0021】
図20に示すように、トラクタ(農業機械101a)は、車体3と、原動機4と、変速装置5と、バッテリ(貯留装置)6とを備えている。車体3は、走行装置7を有していて走行可能である。走行装置7は、前輪7F及び後輪7Rを有する装置である。前輪7Fは、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。また、後輪7Rも、タイヤ型であってもクローラ型であってもよい。原動機4は、本実施形態では、電動モータである。原動機4は、バッテリ6から電気エネルギ(エネルギ源)が供給されて駆動する。原動機4及びバッテリ6は、車体3の前部に配置されており、バッテリ6は、車体3が備えるバッテリ装着部19に着脱可能となっている(
図4参照)。バッテリ装着部19に装着されたバッテリ6は、交換可能であり、その詳細は後述する。変速装置5は、変速によって走行装置7の推進力を切換可能であると共に、走行装置7の前進、後進の切換が可能である。車体3の後部には、運転席10が設けられている。運転席10の前方には、ハンドル(ステアリングホイール)30が設けられている。
【0022】
また、車体3の後部には、3点リンク機構等で構成された連結部が設けられている。連結部は、作業装置(インプルメント)101bを着脱可能且つ、作業装置(インプルメント)101bを走行可能とする昇降装置8である。インプルメント101bを昇降装置8に連結することによって、車体3によってインプルメント101bを牽引することができる。なお、連結部は、インプルメント101bを昇降しない牽引装置であってもよい。インプルメント101bは、耕転する耕転装置、畝立を行う畝立装置、作物を植え付ける植付装置、肥料を散布する肥料散布装置、農薬を散布する農薬散布装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。
【0023】
図2に示すように、変速装置5は、主軸(推進軸)5aと、主変速部5bと、副変速部5cと、シャトル部5dと、PTO動力伝達部5eと、前変速部5fと、を備えている。推進軸5aは、変速装置5のハウジングケース(ミッションケース)に回転自在に支持され、当該推進軸5aには、原動機4のクランク軸からの動力が伝達される。主変速部5bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部5bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸5aから入力された回転を変更して出力する(変速する)。
【0024】
副変速部5cは、主変速部5bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部5cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部5bから入力された回転を変更して出力する(変速する)。シャトル部5dは、シャトル軸12と、前後進切換部13とを有している。シャトル軸12には、副変速部5cから出力された動力がギア等を介して伝達される。前後進切換部13は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によってシャトル軸12の回転方向、即ち、トラクタの前進及び後進を切り換える。シャトル軸12は、後輪デフ装置20Rに接続されている。後輪デフ装置20Rは、後輪7Rが取り付けられた後車軸21Rを回転自在に支持している。
【0025】
PTO動力伝達部5eは、PTO推進軸14と、PTOクラッチ15とを有している。PTO推進軸14は、回転自在に支持され、推進軸5aからの動力が伝達可能である。PTO推進軸14は、ギア等を介してPTO軸16に接続されている。PTOクラッチ15は、例えば、油圧クラッチ等で構成され、油圧クラッチの入切によって、推進軸5aの動力をPTO推進軸14に伝達する状態と、推進軸5aの動力をPTO推進軸14に伝達しない状態とに切り換わる。
【0026】
前変速部5fは、第1クラッチ17と、第2クラッチ18とを有している。第1クラッチ17及び第2クラッチ18は、推進軸5aからの動力が伝達可能であって、例えば、シャトル12の動力が、ギア及び伝動軸を介して伝達される。第1クラッチ17及び第2クラッチ18からの動力は、前伝動軸22を介して前車軸21Fに伝達可能である。具体的には、前伝動軸22は、前輪デフ装置20Fに接続され、前輪デフ装置20Fは、前輪7Fが取り付けられた前車軸21Fを回転自在に支持している。
【0027】
第1クラッチ17及び第2クラッチ18は、油圧クラッチ等で構成されている。第1クラッチ17には油路が接続され、当該油路には油圧ポンプから吐出した作動油が供給される第1作動弁25に接続されている。第1クラッチ17は、第1作動弁25の開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第2クラッチ18には油路が接続され、当該油路には第2作動弁26に接続されている。第2クラッチ18は、第2作動弁26の開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。第1作動弁25及び第2作動弁26は、例えば、電磁弁付き二位置切換弁であって、電磁弁のソレノイドを励磁又は消磁することにより、接続状態又は切断状態に切り換わる。
【0028】
第1クラッチ17が切断状態で且つ第2クラッチ18が接続状態である場合、第2クラッチ18を通じてシャトル軸12の動力が前輪7Fに伝達される。これにより、前輪7F及び後輪7Rが動力によって駆動する四輪駆動(4WD)で且つ前輪7Fと後輪7Rとの回転速度が略同じとなる(4WD等速状態)。一方、第1クラッチ17が接続状態で且つ第2クラッチ18が切断状態である場合、四輪駆動になり且つ前輪7Fの回転速度が後輪7Rの回転速度に比べて速くなる(4WD増速状態)。また、第1クラッチ17及び第2クラッチ18が切断状態である場合、シャトル軸12の動力が前輪7Fに伝達されないため、後輪7Rが動力によって駆動する二輪駆動(2WD)となる。
【0029】
図2及び
図3に示すように、昇降装置8は、リフトアーム8a、ロアリンク8b、トップリンク8c、リフトロッド8d、リフトシリンダ8eを有している。リフトアーム8aの前端部は、変速装置5を収容するケース(ミッションケース)の後上部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトアーム8aは、リフトシリンダ8eの駆動によって揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eは、油圧シリンダから構成されている。リフトシリンダ8eは、制御弁27を介して油圧ポンプと接続されている。リフトシリンダ8eは、制御弁27の開度によって接続状態と切断状態とに切り換わる。制御弁27は、例えば、電磁弁付き二位置切換弁であって、電磁弁のソレノイドを励磁又は消磁することにより、接続状態又は切断状態に切り換わる。制御弁27にて接続状態とされたとき、油圧ポンプによりリフトシリンダ8eが駆動(伸縮)し、切断状態とされたとき、リフトシリンダ8eの駆動が規制(ロック)される。
【0030】
ロアリンク8bの前端部は、変速装置5の後下部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。トップリンク8cの前端部は、ロアリンク8bよりも上方において、変速装置5の後部に上方又は下方に揺動可能に支持されている。リフトロッド8dは、リフトアーム8aとロアリンク8bとを連結している。ロアリンク8bの後部及びトップリンク8cの後部には、インプルメント101bが連結される。リフトシリンダ8eが駆動(伸縮)すると、リフトアーム8aが昇降するとともに、リフトロッド8dを介してリフトアーム8aと連結されたロアリンク8bが昇降する。これにより、インプルメント101bがロアリンク8bの前部を支点として、上方又は下方に揺動(昇降)する。リフトシリンダ8eの駆動が規制されると、インプルメント101bの昇降もロックされる。
【0031】
図4に示すように、バッテリ6は、略直方体状のケーシング内部に、バッテリパック、電装ユニット(リレー、フューズ等)を備える。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールで構成されている。バッテリモジュールは、複数のセルで構成されている。このように構成されたバッテリ6は、電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、詳しくはリチウムイオンバッテリである。バッテリ6は、ケーシング外側からホルダ6aで保持されており、ホルダ6aの手前側端部に、把持部6bが設けられている。車体3のバッテリ装着部19は、バッテリ6全体を収容可能な空間である収容部19aと、収容部19aの車幅方向の手前側に設けられた開口19bと、開口19bを閉塞可能なフラップ式の蓋部19cとを備えている。通常時は、バッテリ6が収容部19aに収容された状態で、開口19bが蓋部19cにより閉塞されており、バッテリ6からトラクタに電源供給が可能となっている。
【0032】
バッテリ6を交換する場合、蓋部19cを開くことで開口19bを露出させる。装着中のバッテリ6の把持部6bを把持しながら、ホルダ6aを手前側に引くことで、当該バッテリ6を車幅方向の手前側にスライドさせつつ収容部19aから取出す。空の状態となった収容部19aに対し、開口19bを介して、新たな交換用バッテリ6の奥手方向における端部を挿入する。次いで、当該新たな交換用バッテリ6の把持部6bを把持しながら、ホルダ6aを奥手側に押し、当該新たな交換用バッテリ6を車幅方向の奥手側にスライドさせる。そして、当該新たな交換用バッテリ6全体が収容部19aに収容された後、蓋部19cを閉じることで開口19bを閉塞させる。上述のようにして、バッテリ6の交換が行われる。バッテリ6、及び、バッテリ装着部19の構成は一例であり、バッテリ装着部19にバッテリ6が装着・脱離され得る構成であれば、何れの構成が採用されてもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、バッテリ6が交換されるようになっているが、これに代えて、エネルギ源を貯留可能なパッケージが、交換されるようにしてもよい。このパッケージとしては、例えば、水素タンク、LPG(Liquified petroleum gas)タンク等が用いられてもよい。水素タンクが搭載される場合、例えば、水素および空気中の酸素にて発電する燃料電池をトラクタに搭載し、当該燃料電池に向けてタンクからの水素が供給されるようにしてもよい。LPGタンクが搭載される場合、例えば、ガスエンジンにて発電するジェネレータをトラクタに搭載し、当該ガスエンジンに向けてタンクからのガスが供給されるようにしてもよい。
【0034】
図2に示すように、トラクタは、操舵装置29を備えている。操舵装置29は、ハンドル30と、ハンドル30の回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)31と、ハンドル30の操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)32と、を有している。補助機構32は、油圧ポンプ33と、油圧ポンプ33から吐出した作動油が供給される制御弁34と、制御弁34により作動するステアリングシリンダ35とを含んでいる。制御弁34は、制御信号に基づいて作動する電磁弁である。制御弁34は、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁34は、操舵軸31の操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ35は、前輪7Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)に接続されている。
【0035】
したがって、ハンドル30を操作すれば、当該ハンドル30に応じて制御弁34の切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁34の切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ35が左又は右に伸縮することによって、前輪7Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置29は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0036】
図2に示すように、トラクタは、測位装置40Aを備えている。測位装置40Aは、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置40Aは、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。測位装置40Aは、受信装置41と、慣性計測装置(IMU : Inertial Measurement Unit)42とを有している。受信装置41は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42とは別に車体3に取付けられている。本実施形態では、受信装置41は、車体3に設けられたキャビン9に取付けられている。なお、受信装置41の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0037】
慣性計測装置42は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有している。慣性計測装置42は、車体3、例えば、運転席10の下方に設けられ、慣性計測装置42によって、車体3のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。
【0038】
図2に示すように、トラクタは、通信装置45Aを備えている。通信装置45Aは、測位装置40A、制御装置60、操作部材(レバー、スイッチ、ダイヤル等)、及び、センサ類と、車載用通信ネットワークN1を介して接続され、電気信号が入力されるようになっている。通信装置45Aは、車載用通信ネットワークN1とは異なる外部ネットワーク(外部)との通信が可能である。通信装置45Aは、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Lo w Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置45Aは、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができる。通信装置45Aは、測位装置40Aが検出した車体位置(トラクタの位置)を、監視装置100に送信する。また、通信装置45Aは、作業機101がエリア内にいるか否かを監視するための作業機監視信号、バッテリ6がエリア内にいるか否かを監視するためのバッテリ監視信号、及び、バッテリ6の監視を解除するためのバッテリ監視解除信号を、監視装置100にそれぞれ送信する。
【0039】
図2に示すように、バッテリ6は、測位装置40Bを備えている。測位装置40Bは、測位装置40Aと同様の構成である。即ち、測位装置40Bは、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて位置(例えば、緯度、経度)を検出する。測位装置40Bは、受信装置41Bと、慣性計測装置42Bとを有し、受信装置41B及び慣性計測装置42Bによって、位置を求める。受信装置41Bは、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置42Bとは別にバッテリ6に取付けられている。この実施形態では、受信装置41Bは、バッテリ6の外表面に取付けられている。なお、受信装置41Bの取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0040】
バッテリ6は、通信装置45Bを備えている。通信装置45Bは、車載ネットワークN1とは異なる外部ネットワーク(外部)との通信が可能である。通信装置45Bは、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Lo w Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置45Bは、例えば、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行うことができる。通信装置45Bは、測位装置40Bが検出した位置(バッテリ6の位置)を、監視装置100に送信する。なお、本実施形態においては、トラクタに装着中のバッテリ6、及び、装着されていないバッテリ6であって、交換用の新しいバッテリ6及び使用後のバッテリ6の何れにおいても、上記測位装置40B及び上記通信装置45Bが、それぞれ設けられている。また、上記測位装置40B及び上記通信装置45Bには、これらが設けられているバッテリ6から電気エネルギが供給される。即ち、バッテリ6の電気エネルギが残存していれば、検出したバッテリ6の位置を監視装置100に送信できる。
【0041】
図2に示すように、トラクタは、制御装置60を備えている。制御装置60は、演算部(CPU等)や記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて所定の制御を実行する。より具体的には、制御装置60は、運転席10の周囲に設置された操作部材(レバー、スイッチ、ダイヤル等)を操作したときの操作信号や、車体3に搭載された様々なセンサの検出信号等に基づいてトラクタの走行系や作業系の制御を行う。
【0042】
制御装置60は、車体3の前進又は後進を切り換えるシャトルレバー43aが前進に操作された場合、前後進切換部13を前進に切り換えることで、車体3を前進させる。また、制御装置60は、シャトルレバー43aが後進に操作された場合、前後進切換部13を後進に切り換えることで、車体3を後進させる。
【0043】
制御装置60は、イグニッションスイッチ43bがONに操作された場合、所定の処理を経て原動機4の始動を行い、イグニッションスイッチ43bがOFFに操作された場合、原動機4の駆動を停止させる。
【0044】
制御装置60は、原動機4の駆動中に、PTOスイッチ43cが操作された場合、PTOクラッチ15の位置を、ニュートラル位置、ON位置、OFF位置の何れかに切り換えることで、PTO軸16の駆動を入切する。制御装置60は、PTO変速レバー43dが操作された場合、変速装置5に内蔵されたPTO変速ギアを切り換えることでPTO軸16の回転数(PTO回転数という)を変更する。
【0045】
制御装置60は、変速切換スイッチ43eを自動変速に切り換えた場合、トラクタの状態に応じて主変速部5b及び副変速部5cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置5の変速段(変速レベル)を予め定められた変速段(変速レベル)に自動的に変更する。制御装置60は、変速切換スイッチ43eを手動変速に切り換えた場合、変速レバー43fで設定された変速段(変速レベル)に応じて主変速部5b及び副変速部5cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置5の変速段を変更する。
【0046】
制御装置60は、アクセルレバー43gが操作された場合、当該アクセルレバー43gの操作量に応じて原動機4の回転数(原動機回転数という)を変更することで、車体3の車速(速度)を変更する。
【0047】
制御装置60は、原動機4の駆動中に、油圧レバー43hが上昇させる方向(上昇側)に操作された場合、制御弁27を制御することでリフトシリンダ8eを伸長させ、リフトアーム8aの後端部(インプルメント101b側の端部)を上昇させる。制御装置60は、原動機4の駆動中に、油圧レバー43hが下降させる方向(下降側)に操作された場合、制御弁27を制御することでリフトシリンダ8eを収縮させ、リフトアーム8aの後端部(インプルメント101b側の端部)を下降させる。
【0048】
制御装置60は、運転切換スイッチ43iがONに操作された場合、自動運転モードに設定され、運転切換スイッチ43iがOFFに操作された場合、手動運転モードに設定される。制御装置60は、自動運転モードに設定されている場合に、トラクタの自動運転を実行する。自動運転の状況下において、制御装置60は、検出された車体位置と、設定された走行予定ルートと、の偏差に基づき操舵軸(回転軸)31の回転角を自動的に変更する。また、制御装置60は、現在の車速が走行予定ルートに対応した車速に一致するように、変速装置5の変速段、原動機4の回転数等を自動的に変更する。これにより、車体3が走行予定ルート上を自動運転可能となっている。
【0049】
制御装置60は、バッテリ6の電位センサ43jにて検出された電位、原動機4の回転数、車体3の車速等に基づいて、装着中のバッテリ6の残量を取得する。制御装置60は、上記取得されるバッテリ6の残量に基づいて、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、上記バッテリ監視解除信号を監視装置100に送信するよう通信装置45Aを制御する。また、制御装置60は、バッテリ6の電位センサ43jにて検出された電位に基づいて、装着されていたバッテリ6が交換用のバッテリ6と交換されたと判定した場合、上記バッテリ監視信号を監視装置100に送信するよう通信装置45Aを制御する。電位センサ43jに基づく上記バッテリ監視信号及びバッテリ監視解除信号の送信における、具体的な態様については後述する。
【0050】
制御装置60は、作業機監視スイッチ43kが操作された場合に、上記作業機監視信号を送信するよう通信装置45Aを制御する。なお、作業機監視スイッチ43kは、ON/OFF操作が可能なスイッチに構成されて、制御装置60は、作業機監視スイッチ43kがONの場合に上記作業機監視信号を送信し、OFFの場合に、作業機101の監視を解除するための作業機監視解除信号を、監視装置100に送信するようにしてもよい。
【0051】
<バッテリの交換及びバッテリの配送・回収>
本実施形態では、上述のように、バッテリ6により原動機4が駆動される。トラクタの走行及び作業装置101bの作業が進行すると、装着中のバッテリ6の残量が減少していく。圃場における作業を継続するために、圃場において、バッテリ6の交換を行う。バッテリ6の交換は、例えば、圃場Fの作業エリアの外側であって農道Rに接しているエリアAにおいて、実施されてもよい(
図7、
図8、
図9等参照)。特に、作業装置101bが資材を用いる装置等である場合、上記「農道Rに接しているエリアA」が、作業装置101bへ資材補給するためのエリアとなり得る。資材を補給する場合、作業中の作業機101を当該エリアAに移動させる。同様に、バッテリ6の交換のために、作業中の作業機101を当該エリアAに移動させてもよい。即ち、バッテリ6の交換のためのエリアとして、資材補給のエリアを活用できる。
【0052】
本実施形態では、圃場Fから離れた配送拠点(配送センター)にて、装着されていないバッテリ6が保管されているものとする。当該配送拠点では、圃場Fに向けて配送する交換用のバッテリ6の保管、又は、圃場Fにて回収した使用後のバッテリ6を充電することができる。交換用のバッテリ6の配送、及び、使用後のバッテリ6の回収は、バッテリ6を搭載でき搬送可能なトラック等の運搬車により、実施される。交換用のバッテリ6とは、充電が十分に行われているバッテリ、例えば、バッテリの最大充電量を100%とした場合に充電量が80%以上であるバッテリのことである。なお、充電量が80%以上に限定はされない。
【0053】
交換用のバッテリ6を、圃場Fに向けて配送する場合には、例えば、配送拠点にて保管されている交換用のバッテリ6が運搬車Tに搭載されて、
図8(a)に示すように、当該運搬車Tが配送拠点から圃場Fに向けて走行し、農道Rに接している圃場FのエリアAに到達する。そして、
図8(b)に示すように、当該エリアA(例えば、資材補給のエリア)にて、運搬車Tに搭載されていたバッテリ6が、交換用のバッテリ6として荷下ろしされる。一方、作業機101から脱離されるバッテリ6は、使用後のバッテリ6として、エリアAにて静置されるとともに、既に静置されていた交換用のバッテリ6を作業機101に装着する。なお、荷下ろし後の運搬車Tは、他の圃場に向かい他のバッテリを回収した後、配送拠点に戻る。
【0054】
そして、使用後のバッテリ6をエリアAから回収する場合には、
図9に示すように、農道Rを経てエリアAに到達した運搬車Tに、静置されていた使用後のバッテリ6を搭載し、運搬車Tが配送拠点に向けて走行していく。なお、運搬車Tからのバッテリ6の荷下ろし、及び、運搬車Tへのバッテリ6の搭載は、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。作業機101からの装着中のバッテリ6の脱離、及び、交換用のバッテリ6の作業機101への装着は、トラクタの運転手により実施されてもよいし、配送拠点のサービスとして、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。
【0055】
図1に示すように、配送拠点(配送センター)には、コンピュータ106が設置されている。コンピュータ106と、作業機(トラクタ)101の通信装置45Aとは、ネットワーク等を介して通信可能である。コンピュータ106は、配送に関する様々な情報(以下、配送情報という)を取得し、取得した配送情報に基づいて、配送拠点(配送センター)に設置された様々な機器、装置を制御する。配送情報とは、バッテリ6の配送を要求するための指示信号(要求信号)、バッテリ6の回収を要求するための指示信号(回収信号)、作業機(トラクタ)101の車体位置等である。要求信号、回収信号及び車体位置は、例えば、作業機(トラクタ)101の通信装置45Aから送信され、コンピュータ106が受信(取得)する。
【0056】
より具体的には、制御装置60は、作業機101の作動中において、装着中のバッテリ6の残量が所定値よりも小さく、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、通信装置45Aに対して要求信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置45Aは、コンピュータ106(配送拠点)に要求信号と車体信号を送信する。要求信号と車体位置とを受信したコンピュータ106は、コンピュータ106のモニタ等の表示部106Aに、「バッテリ配送要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、表示部106Aの表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けて交換用のバッテリ6を配送するよう指示がなされる。
【0057】
また、制御装置60は、作業機101の停止中において、バッテリ6の脱着により電位が一旦ゼロとなった後に、バッテリ6の装着により残量が復帰して、装着されていたバッテリ6が交換用のバッテリ6と交換されたと判定した場合、通信装置45Aに対して回収信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置45Aは、コンピュータ106(配送拠点)に回収信号と車体信号を送信する。回収信号と車体位置とを受信したコンピュータ106は、コンピュータ106のモニタ等の表示部106Aに、「バッテリ回収要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、表示部106Aの表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けて使用後のバッテリ6を回収するよう指示がなされる。
【0058】
更に、自動運転モードに設定されている場合においては、制御装置60は、作業機101の作動中において、装着中のバッテリ6の残量が所定値よりも小さく、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、トラクタを農道Rに接している圃場FのエリアA(例えば、資材補給のエリア)に自動的に移動させて、当該エリアAにて停止するよう、操舵装置29及び原動機4を制御する。自動運転モードが設定されていない場合においては、制御装置60は、トラクタの作動中において、装着中のバッテリ6の残量が所定値よりも小さく、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、例えば、トラクタのブザーを作動させる制御等を行う。これにより、トラクタを農道Rに接している圃場FのエリアAに移動するよう、トラクタの運転手に促すことができる。
【0059】
本実施形態では、作業機101に装着されているバッテリ6は、脱着されてエリアAに静置されたとき、上記測位装置40B及び上記通信装置45Bの駆動を維持するためのエネルギ源が残存するよう交換される。これにより、上記エリアAに静置されたバッテリ6から、当該バッテリ6の位置が監視装置100に送信され、監視装置100による当該バッテリ6の監視が維持されるようになっている。
【0060】
<監視装置>
さて、上述のように、農道Rに接している圃場FのエリアAにてバッテリ6を交換するために、当該エリアAにおいて、交換前には配送された交換用のバッテリ6が静置され、交換後には回収予定の使用後のバッテリ6が静置される。これらのバッテリ6を、盗難防止等のために監視することが好ましい。このため、監視装置100は、作業機101及びバッテリ6の監視が行われるようになっている。
【0061】
図1に示すように、監視装置(サーバ)100は、エリア設定部110と、エリア記憶装置111と、を備えている。エリア設定部110は、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。エリア記憶装置111は、不揮発性のメモリ等で構成されている。エリア設定部110は、作業機101のエリア150A、及び、バッテリ6のエリア150Bをそれぞれ設定する。具体的には、
図1に示すように、監視装置100とは異なる設置型のコンピュータ105が、監視装置100に接続され、設置型のコンピュータ105において所定の操作が行われると、
図5に示すように、設置型のコンピュータ105のモニタ等の表示部105Aに、設定画面M1を表示する。なお、本実施形態では、コンピュータ105は設置型であるが、スマートフォン、タブレット、ノートパソコン等の携帯型のコンピュータ等であってもよい。
【0062】
設定画面M1は、作業機101を入力する作業機入力部121と、地図を表示する地図表示部122と、地図の任意の点を選択するポインタ123と、距離L1を入力する作業機距離入力部124と、距離L2を入力するバッテリ距離入力部125とを含んでいる。作業機入力部121には、作業機101を識別する識別情報を入力することができる。識別情報は、作業機101のシリアル番号、名称、型番、型式、製造番号などの様々な情報である。地図表示部122は、道路、農道、圃場等の作業場、建物などを含む地図を表示する部分である。地図は、例えば、地図のデータを提供する地図提供会社から取得した地図であってもよいし、設置型のコンピュータ105等によって作成した地図であってもよいし限定されない。
【0063】
設定画面M1において、作業機識別情報、中心O1及び距離L1を入力することで、作業機101に対しエリア150Aを設定することができる。なお、上述した実施形態では、ポインタ123によって、エリア150Aの中心を選択していたが、ポインタ123によって地図上の複数の位置(点)を選択できるようにしてもよい。この場合、エリア設定部110は、複数の位置(点)によって囲まれるエリアをエリア150Aに設定する。
【0064】
また、エリア設定部110は、作業機101の位置に基づいて、バッテリ6に対するエリア150Bを設定する。エリア150Bの対象となるバッテリは、トラクタに装着中のバッテリ6、及び、装着されていないバッテリ6であって、交換用のバッテリ6及び使用後のバッテリ6である。具体的には、設定画面M1において距離L2が入力され、エリア設定部110は、通信装置45Aから送信される車体位置を中心O2として、中心O2及び距離L2のエリア150Bを設定する。なお、中心O2は、所定のタイミングにて通信装置45から送信された1つの車体位置に対応する1点であってもよいし、車体3が圃場等で移動している際に、車体位置が変化することに応じて逐次更新されるようにしてもよい。なお、本実施形態では、エリア設定部110は、エリア150Bの中心O2を車体位置と同位置に設定するようになっているが、これに限定されず、例えば、エリア150Bの中心O2を、車体位置から所定距離だけ離間した位置に設定してもよい。
【0065】
図6に示すように、エリア設定部110によって設定したトラクタ及びバッテリ6のエリア情報(作業機識別情報、エリア150A、エリア150Bを示す情報)は、エリア記憶装置111に記憶される。なお、
図6に示したエリア情報は一例であり、限定されない。
【0066】
図1に示すように、監視装置100は、第1監視部112、及び、第2監視部113を備えている。第1監視部112は、バッテリ6が、エリア設定部110により設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6の通知を行うことによりバッテリ6を監視する。このため、第1監視部112は、通知部112Aを備えている。
【0067】
通知部112Aは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。通知部112Aは、バッテリ6に対して定められたエリア150B内に、バッテリ6が位置するか否かに基づいて、バッテリ6の通知を行う。
図7、
図8、
図9に示すように、バッテリ6に対してエリア150Bが設定されているものとする。エリア150Bは、車体3が中心に位置するよう、中心O2及び距離L2が設定されたものである。バッテリ6の通信装置45Bにより送信されたバッテリ6の位置を、監視装置100が受信すると、通知部112Aは、バッテリ6の位置がエリア150B内であるか否かを判断する。ここにおける「バッテリ6」は、トラクタに装着中のバッテリ6、及び、装着されていないバッテリ6であって、交換用のバッテリ6及び使用後のバッテリ6である。
【0068】
第2監視部113は、作業機101(トラクタ)が、エリア設定部110により設定されたエリア150Aに位置しない場合、トラクタの通知を行うことにより作業機101を監視する。このため、第2監視部113は、通知部113Aを備えている。
【0069】
通知部113Aは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。通知部113Aは、作業機101(トラクタ)に対して定められたエリア150A内に、トラクタが位置するか否かに基づいて、トラクタの通知を行う。
図7、
図8、
図9に示すように、トラクタに対してエリア150Aが設定されているものとする。エリア150Aは、例えば、車庫Gが中心に位置するよう、中心O1及び距離L1が設定されたものである。作業機101の通信装置45Aにより送信された車体位置を、監視装置100が受信すると、通知部113Aは、車体位置がエリア150A内であるか否かを判断する。
【0070】
例えば、
図7(a)に示すように、バッテリ6が作業機101(トラクタ)に装着中であり、トラクタ及びバッテリ6の監視中である場合において、通知部112Aは、装着中のバッテリ6の位置がエリア150B内である場合、通知を行わない。通知部113Aは、車体位置がエリア150A内である場合、通知を行わない。
【0071】
一方、
図7(b)に示すように、
図7(a)に示す状態から、バッテリ6とともに作業機101がエリア150A,150Bを逸脱する場合があるものとする。この場合、通知部112Aは、装着中のバッテリ6の位置がエリア150B外であるとして、設置型のコンピュータ105などに、「バッテリがエリアから出ている」旨を通知する。また、この場合、通知部113Aは、車体位置がエリア150A外であるとして、設置型のコンピュータ105などに、「トラクタがエリアから出ている」旨を通知する。なお、装着されていないバッテリ6についても、エリア150Bを逸脱する場合、同様の通知がなされる(
図8(c)参照)。
【0072】
つまり、通知部112Aは、バッテリ6が、バッテリ6に対応して定められたエリア150Bにいるか否かを、設置型のコンピュータ105などに通知することで、バッテリ6の監視を行っている。通知部113Aは、作業機101が、作業機101に対応して定められたエリア150Aにいるか否かを、設置型のコンピュータ105などに通知することで、作業機101の監視を行っている。なお、バッテリ6、作業機101が長期間にわたってエリア150B、150A外である場合は、バッテリ6、作業機101が盗難された可能性があると判断することができ、バッテリ6、作業機101の監視を行うことで、バッテリ6、作業機101の盗難を防止できる。
【0073】
<監視の開始及び監視の解除>
監視装置100により、バッテリ6の監視、及び、作業機101の監視が実行される。ところで、バッテリ6は、盗難ではなく意図的に、監視中においてエリア150Bから逸脱して搬送される場合もある。例えば、エリア150Bが、農道Rに接しているエリアAを含むよう設定されている場合において、配送拠点から交換用のバッテリ6を圃場Fへ配送する場合や、圃場Fから使用後のバッテリ6を回収する場合等が挙げられる(
図8(a)、
図9参照)。
【0074】
このような場合に、仮にバッテリ6が監視されていると、盗難されてない場合であっても、上述の通知が実行されることになる。このように、盗難ではなく意図的に、バッテリ6をエリア150B外へ位置させたときにも、誤って盗難と判断され易い。従って、盗難発生と混同させてしまう可能性が高く、また、ユーザが上述の通知に慣れてしまうと、実際の盗難を看過する恐れがあり、セキュリティが低下する可能性も高い。
【0075】
以上のことから、バッテリ6の監視を、適切に開始、及び、解除できると好適である。このため、本実施形態においては、上記バッテリ監視信号、及び、上記バッテリ監視解除信号が、監視装置100に送信されるようになっている。同様に、上記作業機監視信号も、監視装置100に送信されるようになっている。以下、上記作業機監視信号、上記バッテリ監視信号、及び、上記バッテリ監視解除信号の送信について、説明する。
【0076】
バッテリ6及び作業機101が監視されていない状態において、トラクタの制御装置60は、作業機監視スイッチ43kが操作された場合に、上記作業機監視信号を送信するよう通信装置45Aを制御する。なお、作業機監視スイッチ43kは、例えば、キャビンのコンソールに設置され、トラクタの運転手により操作されてもよい。
【0077】
図1に示すように、監視装置100の第1監視部112及び第2監視部113は、監視開始部112B及び監視開始部113Bを、それぞれ備えている。監視開始部112B、及び、監視開始部113Bは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。第2監視部113の監視開始部113Bは、作業機101が監視されていない場合であって、上記作業機監視信号を受信した場合に、作業機101のエリア150Aにて監視を開始する。
【0078】
第1監視部112の監視開始部112Aは、バッテリ6が監視されていない場合であって、監視開始部113Bによる作業機101の監視が開始されたと判定された場合に、バッテリ6のエリア150Bにて監視を開始する。このように、第1監視部112は、第2監視部113による作業機101の監視が実行された場合に、バッテリ6の監視を実行するようになっている。
【0079】
また、バッテリ6が監視されている状態において、トラクタの制御装置60は、作業機101の作動中にて、装着中のバッテリ6の残量が所定値よりも小さく、装着中のバッテリ6の交換が必要と判定した場合、上記バッテリ監視解除信号を送信するよう通信装置45Aを制御する。
【0080】
図1に示すように、監視装置100の第1監視部112は、監視解除部112Cを備えている。監視解除部112Cは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。第1監視部112の監視解除部112Cは、バッテリ6が監視されている場合であって、上記バッテリ監視解除信号を受信した場合に、設定されていたバッテリ6のエリアを削除する。
【0081】
上記バッテリ6のエリアの削除によりバッテリ6が監視されていない状態において、トラクタの制御装置60は、作業機101の停止中にて、バッテリ6の脱着により電位が一旦ゼロとなった後に、バッテリ6の装着により残量が復帰して、装着されていたバッテリ6が交換用のバッテリ6と交換されたと判定した場合、上記バッテリ監視信号を送信するよう通信装置45Aを制御する。
【0082】
図1に示すように、第1監視部112の監視開始部112Aは、バッテリ6が監視されていない場合であって、上記バッテリ監視信号を受信した場合に、エリア設定部110によるバッテリ6のエリア設定を開始する。これにより、第1監視部112は、作業機101に装着されているバッテリ6と交換するためのバッテリ6が搬送される場合に、バッテリの監視を解除し、監視の解除中において交換するためのバッテリ6が作業機101に装着された場合に、バッテリ6の監視を開始(再開)することができる。
【0083】
また、第1監視部112は、上記バッテリ6の監視が開始(再開)された場合には、この監視を維持し、監視の維持中において作業機101に装着されていないバッテリ6が搬送される場合には、上記バッテリ6の監視を解除するようになっている。例えば、バッテリ6の回収のために、配送拠点から回収用のトラックが圃場に向かう際、配送拠点のコンピュータ106のオペレータによる操作にて、コンピュータ106から、上記バッテリ監視解除信号を監視装置100に送信するようにしてもよい。
【0084】
<実際の作動>
図10、
図11、及び、
図12は、バッテリ6の監視開始、監視解除、及び、監視による通知の流れを示すフローチャートであり、作業機101、監視装置100、及び、配送拠点のコンピュータ106の作動フローを示すものでもある。作動開始時点では、作業機101の監視、及び、バッテリ6の監視の何れも実行されていなものとする。
【0085】
図7(a)に示すように、作業機101が圃場Fにて作業を行う場合、例えば、車庫Gから農道Rを介して自走で圃場Fに移動する。圃場Fに到着した作業機101にて、運転手により作業機監視スイッチ43kを操作し、運転切換スイッチ43iをONとなるよう操作する(S1)。これにより、作業機監視信号が、作業機101の通信装置45Aから監視装置100へ送信されて、監視装置100にて受信される(S2)。また、作業機101の自動運転による作業が実行され、作業の進行に応じて装着中のバッテリ6の残量が減少していく(S3)。
【0086】
監視装置100の第2監視部113(監視開始部113B)は、作業機101の監視中でなく、且つ、作業機監視信号を受信したか否かを判定する。現時点では、作業機101の監視中でなく、且つ、作業機監視信号を受信したので「Yes」と判定される(S4)。監視開始部113Bは、エリア設定部110により設定された作業機101のエリア150Aにて、作業機101の監視を開始する(S5)。
【0087】
監視装置100の第1監視部112(監視開始部112B)は、バッテリ6の監視中でなく、且つ、作業機101の監視の実行直後か否かを判定する。現時点では、バッテリ6の監視中でなく、且つ、作業機101の監視の実行直後であるので「Yes」と判定される(S6)。監視開始部112Bは、エリア設定部110により設定されたバッテリ6のエリア150Bにて、バッテリ6の監視を開始する(S7)。
【0088】
監視装置100の第2監視部113(通知部113A)は、作業機101の通信装置45Aから車体位置を受信し(S8)、当該車体位置がエリア150A外か否かを判定する。
図7(b)に示すように、作業機101がエリア150A外に位置している場合、「Yes」と判定される(S9)。通知部113Aは、「トラクタがエリアから出ている」旨を、コンピュータ105に通知する(S10)。一方、
図7(a)に示すように、作業機101がエリア150A内に位置している場合、S9にて「No」と判定されて、上記通知がなされない。
【0089】
監視装置100の第1監視部112(通知部112A)は、バッテリ6の通信装置45Bからバッテリ6の位置を受信し(S11)、当該バッテリ6の位置がエリア150B外か否かを判定する。
図7(b)に示すように、バッテリ6がエリア150B外に位置している場合、「Yes」と判定される(S12)。通知部112Aは、「バッテリがエリアから出ている」旨を、コンピュータ105に通知する(S13)。一方、
図7(a)に示すように、バッテリ6がエリア150B内に位置している場合、S12にて「No」と判定されて、上記通知がなされない。
【0090】
図10に示すフローチャートの下端における「1」及び「2」にて表示される結合子は、
図11に示すフローチャートの上端における「1」及び「2」にて表示される結合子と接続される。作業機101に装着中のバッテリ6の残量が、所定値以下であるか否かが判定される(S14)。バッテリ6の残量が所定値以下となるまでは、「No」と判定されてS14に留まり、所定値以下となった場合、「Yes」と判定される。S14にて「Yes」と判定されると、バッテリ監視解除信号が、作業機101の通信装置45Aから監視装置100へ送信されて、監視装置100にて受信される(S15)。
【0091】
監視装置100の第1監視部112(監視解除部112C)は、バッテリ6の監視中であり、且つ、バッテリ監視解除信号を受信したか否かを判定する。現時点では、バッテリ6の監視中であり、且つ、バッテリ監視解除信号を受信したので「Yes」と判定される(S16)。監視解除部112Cは、バッテリ6のエリア150Bを削除して、バッテリ6の監視を解除する(S17)。
【0092】
また、S14にて「Yes」と判定されると、要求信号、及び、車体位置が、作業機101の通信装置45Aから配送拠点のコンピュータ106へ送信されて、コンピュータ106にて受信される(S18)。コンピュータ106の表示部106Aにて、「バッテリ配送要求あり」の旨、及び、車体位置が表示される(S19)。これに基づいて、配送拠点から交換用のバッテリ6が、作業機101が位置している圃場Rに配送される。
【0093】
図8(a)に示すように、配送拠点から圃場Rに向かう運搬車Tには、交換用のバッテリ6が搭載されている。仮に、バッテリ6のエリア150Bが設定されている場合、当該交換用のバッテリ6は、エリア150B外に位置する。しかしながら、上記S17にて、バッテリ6のエリア150Bが削除され、バッテリ6の監視が解除されている。このため、交換用のバッテリ6、及び、装着中のバッテリ6に対応して、通知がなされない。そして、運搬車Tは、農道Rに接する圃場FのエリアAに到着し、当該エリアAにて交換用のバッテリ6が荷下ろしされる。また、S14にて「Yes」と判定されると、圃場Fの作業エリアにて作業していた作業機101は、自動運転により、農道Rに接する圃場FのエリアAに移動する(S20)。
【0094】
作業機101にて、バッテリ6の交換が完了したか否かが判定される(S21)。バッテリ6が交換されるまでは、「No」と判定されてS21に留まり、交換が完了した場合「Yes」と判定される。S21にて「Yes」と判定されると、バッテリ監視信号が、作業機101の通信装置45Aから監視装置100へ送信されて、監視装置100にて受信される(S22)。
【0095】
監視装置100の第1監視部112(監視開始部112B)は、バッテリ6の監視中でなく、且つ、バッテリ監視信号を受信したか否かを判定する。現時点では、バッテリ6の監視中でなく、且つ、バッテリ監視信号を受信したので「Yes」と判定される(S23)。監視開始部112Bは、エリア設定部110により設定されたバッテリ6のエリア150Bにて、再びバッテリ6の監視を開始する(S24)。
【0096】
監視装置100の第1監視部112(通知部112A)は、バッテリ6の通信装置45Bからバッテリ6の位置を受信し(S25)、当該バッテリ6の位置がエリア150B外か否かを判定する。
図8(c)に示すように、農道Rに接する圃場FのエリアAから、装着されていないバッテリ6が持ち去られ、エリア150B外に位置している場合、「Yes」と判定される(S26)。通知部112Aは、「バッテリがエリアから出ている」旨を、コンピュータ105に通知する(S27)。一方、
図8(b)に示すように、バッテリ6がエリア150B内に位置している場合、S26にて「No」と判定されて、上記通知がなされない。
【0097】
図11に示すフローチャートの下端における「1」、「2」及び「3」にて表示される結合子は、
図12に示すフローチャートの上端における「1」、「2」及び「3」にて表示される結合子と接続される。また、S21にて「Yes」と判定されると、バッテリ回収要求信号、及び、車体位置が、作業機101の通信装置45Aから配送拠点のコンピュータ106へ送信されて、コンピュータ106にて受信される(S28)。コンピュータ106の表示部106Aにて、「バッテリ回収要求あり」の旨、及び、車体位置が表示される(S29)。これに基づいて、使用後のバッテリ6を回収するため、運搬車Tが、作業機101が位置している圃場Rに向かう。バッテリ監視解除信号が、配送拠点のコンピュータ106から監視装置100へ送信されて、監視装置100にて受信される(S30)。
【0098】
監視装置100の第1監視部112(監視解除部112C)は、バッテリ6の監視中であり、且つ、バッテリ監視解除信号を受信したか否かを判定する。現時点では、バッテリ6の監視中であり、且つ、バッテリ監視解除信号を受信したので「Yes」と判定される(S31)。監視解除部112Cは、バッテリ6のエリア150Bを削除して、再びバッテリ6の監視を解除する(S32)。
【0099】
図9に示すように、圃場Fに到着した運搬車Tには、使用後のバッテリ6が搭載されて、配送拠点に戻っていく。仮に、バッテリ6のエリア150Bが設定されている場合、当該使用後のバッテリ6は、エリア150B外に位置する。しかしながら、上記S32にて、バッテリ6のエリア150Bが削除され、バッテリ6の監視が解除されている。このため、使用後のバッテリ6、及び、装着中のバッテリ6に対応して、通知がなされない。そして、運搬車Tは、配送拠点に到着し、当該配送拠点にて使用後のバッテリ6が荷下ろしされて、保管される。
【0100】
なお、S4にて「No」と判定された場合、作業機101の監視は開始されない。また、S6、S23にて「No」と判定された場合、バッテリ6の監視は開始されない。また、S16、S31にて「No」と判定された場合、バッテリ6の監視は解除されない。
【0101】
[第2実施形態]
上記第1実施形態においては、バッテリ6が監視中であって、バッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、バッテリ6の通知がなされるようになっていた。これに代えて、第2実施形態は、バッテリ6が監視中であって、装着されていないバッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、当該バッテリ6の充電が制限されるようになっている点のみ、上記第1実施形態と異なる。以下、主に、第2実施形態の第1実施形態と異なる点について説明する。
【0102】
第2実施形態のバッテリ6は、上記第1実施形態と同様、作業機101に着脱可能である。バッテリ6は、作業機101から脱離された状態にて充電可能となっている。
図13に示すように、バッテリ6は、測位装置40B及び通信装置45Bに加え、制御装置60B、及び、充電制限装置50Bを備えている。
【0103】
制御装置60Bは、演算部(CPU等)や記憶部(メモリ)等を備えており、記憶部に記憶されたプログラムに基づいて所定の制御を実行する。より具体的には、制御装置60Bは、監視装置100からの信号等に基づいて、充電制限装置50Bの制御を行う。充電制限装置50Bは、バッテリ6の充電端子からバッテリパックまでの電気経路の間に介装される。充電制御装置50Bは、スイッチング機能を有するデバイスであり、制御装置60Bの制御信号に基づき上記電気経路の遮断・接続が可能なデバイスであれば、何れでもよい。充電制限装置50Bは、通常では上記電気経路を接続しており、バッテリ6の充電を許容する。制御装置60Bは、通信装置45Bにて、後述する充電制限信号を受信したと判定すると、接続していた電気経路を遮断するよう充電制限装置50Bを制御する。これにより、装着されていないバッテリ6の充電が制限される。
【0104】
図14に示すように、第2実施形態の監視装置100において、第1監視部112は、上記第1実施形態の通知部112Aに代えて、充電制限部112Dを備えている。充電制限部112Dは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。充電制限部112Dは、バッテリ6に対して定められたエリア150B内に、バッテリ6が位置するか否かに基づいて、当該バッテリ6に充電制限信号を送信する。装着されていないバッテリ6(交換用、使用後のバッテリ6)の通信装置45Bにより送信されたバッテリ6の位置を、監視装置100が受信すると、充電制限部112Dは、バッテリ6の位置がエリア150B内であるか否かを判断する。
【0105】
例えば、
図8(b)に示すように、バッテリ6の監視中である場合において、充電制限部112Dは、装着されていないバッテリ6の位置がエリア150B内である場合、充電制限信号を送信しない。これにより、バッテリ6の充電が許容される。
【0106】
一方、
図8(c)に示すように、
図8(b)に示す状態から、装着されていないバッテリ6が、エリア150Bを逸脱する場合があるものとする。この場合、充電制限部112Dは、装着されていないバッテリ6の位置がエリア150B外であるとして、当該バッテリ6に充電制限信号を送信する。これにより、充電制限装置50Bにて上記電気経路が遮断され、バッテリ6の充電が制限される。このように、第2実施形態においては、装着されていないバッテリ6の充電が制限されるよう、バッテリ6の監視が行われる。
【0107】
なお、本実施形態では、エネルギ源を貯留可能なパッケージとして、バッテリ6が用いられ、充電が制限されるようになっているが、これに代えて、例えば、水素タンク、LPGタンク等が用いられてもよい。これらのタンクを用いる場合、エリアに位置しないと判定された場合に、上記タンク等へのエネルギ源(水素、LPG等)の補充が、制限されてもよい。エネルギ源の補充の制限は、例えば、監視装置100からの信号に基づいて、タンク充填口を閉塞するバルブ式アクチュエータ等が用いられてもよい。
【0108】
[第3実施形態]
上記第2実施形態においては、バッテリ6が監視中であって、装着されていないバッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、当該バッテリ6の充電が制限されるようになっていた。これに代えて、第3実施形態は、バッテリ6が監視中であって、作業機101に装着されているバッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、当該バッテリ6から原動機4への給電が制限されるようになっている点のみ、上記第1、第2実施形態と異なる。以下、主に、第3実施形態の第1、第2実施形態と異なる点について説明する。
【0109】
第3実施形態のバッテリ6は、上記第1実施形態と同様、作業機101に着脱可能である。
図15に示すように、バッテリ6は、作業機101に装着された状態で、作業機101の原動機4(電動モータ)等に給電可能となっている。作業機101は、各種装置に加え、給電制限装置50を備えている。
【0110】
作業機101の制御装置60は、監視装置100からの信号等に基づいて、給電制限装置50の制御を行う。給電制限装置50は、バッテリ6の給電端子から原動機4までの電気経路の間に介装される。給電制限装置50は、例えば、原動機4の回転数制御のためのインバータであってもよく、制御装置60の制御信号に基づき上記電気経路の遮断・接続が可能なデバイスであれば、何れでもよい。給電制限装置50は、通常では上記電気経路を接続しており、バッテリ6から原動機4への給電を許容する。制御装置60は、通信装置45Aにて、後述する給電制限信号を受信したと判定すると、接続していた電気経路を遮断するよう給電制限装置50を制御する。これにより、装着中のバッテリ6から原動機4への給電が制限され、原動機4の駆動も制限される。
【0111】
図16に示すように、第3実施形態の監視装置100において、第1監視部112は、上記第2実施形態の充電制限部112Dに代えて、給電制限部112Eを備えている。給電制限部112Eは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。給電制限部112Eは、バッテリ6に対して定められたエリア150B内に、バッテリ6が位置するか否かに基づいて、作業機101に給電制限信号を送信する。装着されているバッテリ6の通信装置45Bにより送信されたバッテリ6の位置を、監視装置100が受信すると、給電制限部112Eは、バッテリ6の位置がエリア150B内であるか否かを判断する。
【0112】
例えば、
図7(a)に示すように、バッテリ6の監視中である場合において、給電制限部112Eは、装着されているバッテリ6の位置がエリア150B内である場合、給電制限信号を送信しない。これにより、バッテリ6から原動機4への給電が許容され、原動機4の駆動が可能となる。
【0113】
一方、
図7(b)に示すように、
図7(a)に示す状態から、装着されているバッテリ6が、エリア150Bを逸脱する場合があるものとする。この場合、給電制限部112Eは、装着されているバッテリ6の位置がエリア150B外であるとして、作業機101に給電制限信号を送信する。これにより、給電制限装置50にて上記電気経路が遮断され、バッテリ6から原動機4への給電が制限されて、原動機4の駆動も制限される。このように、第3実施形態においては、装着されているバッテリ6から原動機4への給電が制限されるよう、バッテリ6の監視が行われる。
【0114】
なお、本実施形態では、エネルギ源を貯留可能なパッケージとして、バッテリ6が用いられ、充電が制限されるようになっているが、これに代えて、例えば、水素タンク、LPGタンク等が用いられてもよい。これらのタンクを用いる場合、エリアに位置しないと判定された場合に、上記タンク等から燃料電池、エンジン等へのエネルギ源(水素、LPG等)の供給が、制限されてもよい。エネルギ源の供給の制限は、例えば、監視装置100からの信号に基づいて、エネルギ源を供給する経路を閉塞するバルブ式アクチュエータ等が用いられてもよい。
【0115】
[第4実施形態]
上記第3実施形態においては、バッテリ6が監視中であって、装着されているバッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、当該バッテリ6から原動機4への給電が制限されるようになっていた。これに代えて、第4実施形態は、バッテリ6が監視中であって、作業機101に装着されているバッテリ6がエリア150B外に位置すると判定されたときに、作業機101からの当該バッテリ6の着脱が制限されるようになっている点のみ、上記第1、第2、第3実施形態と異なる。以下、主に、第4実施形態の第1、第2、第3実施形態と異なる点について説明する。
【0116】
第4実施形態のバッテリ6は、上記第1実施形態と同様、作業機101に着脱可能である。
図17、及び、
図18に示すように、バッテリ6はバッテリ装着部19に収容可能となっており、バッテリ装着部19は、ロック部19dを備えている。ロック部19dは、開口19bの縁に設けられ、開口19bを蓋部19cが閉塞している状態において、蓋部19cの縁を係止可能に構成されている。ロック部19dは、制御装置60の制御信号に応じて、ロック解除状態と、ロック状態と、を切換え可能なロック式アクチュエータである。
【0117】
図18(a)に示すように、ロック解除状態では、蓋部19cが開口19bを閉塞している状態(
図18(b)参照)から、ロック部19dによる蓋部19cの係止が解除でき、蓋部19cのフラップ式の作動を経て開口19bを露出させることができる。これにより、収容部19aからのバッテリ6の脱離、及び、収容部19aへのバッテリ6の装着が可能となり、バッテリ6の交換が達成できる。
【0118】
図18(b)に示すように、ロック状態では、蓋部19cが開口19bを閉塞している状態において、ロック部19dによる蓋部19cの係止が維持されて、閉状態の蓋部19cにおけるフラップ式の作動が規制される。従って、開口19bを露出させることができない。これにより、バッテリ6の着脱を制限できる。ロック部19dは、通常では上記ロック解除状態となっており、バッテリ6の着脱を許容する。制御装置60は、通信装置45Aにて、後述する着脱制限信号を受信したと判定すると、ロック状態となるようロック部19dを制御する。これにより、バッテリ6の着脱が制限される。
【0119】
図19に示すように、第4実施形態の監視装置100において、第1監視部112は、上記第3実施形態の給電制限部112Eに代えて、着脱制限部112Fを備えている。着脱制限部112Fは、監視装置100に設けられた電気電子回路、監視装置100に格納されたプログラム等で構成されている。着脱制限部112Fは、バッテリ6に対して定められたエリア150B内に、バッテリ6が位置するか否かに基づいて、作業機101に着脱制限信号を送信する。装着されているバッテリ6の通信装置45Bにより送信されたバッテリ6の位置を、監視装置100が受信すると、着脱制限部112Fは、バッテリ6の位置がエリア150B内であるか否かを判断する。
【0120】
例えば、
図7(a)に示すように、バッテリ6の監視中である場合において、着脱制限部112Fは、装着されているバッテリ6の位置がエリア150B内である場合、着脱制限信号を送信しない。これにより、作業機101からのバッテリ6の着脱が許容され、バッテリ6の交換が可能となる。
【0121】
一方、
図7(b)に示すように、
図7(a)に示す状態から、装着されているバッテリ6が、エリア150Bを逸脱する場合があるものとする。この場合、着脱制限部112Fは、装着されているバッテリ6の位置がエリア150B外であるとして、作業機101に着脱制限信号を送信する。これにより、ロック解除状態のロック部19dがロック状態とされ、バッテリ6の着脱が制限される。このように、第4実施形態においては、装着されているバッテリ6の着脱が制限されるよう、バッテリ6の監視が行われる。
【0122】
<変形例:バッテリの監視の態様>
上記各実施形態におけるバッテリ6の監視の態様は、バッテリ6の通知(第1実施形態)、バッテリ6の充電制限(第2実施形態)、バッテリ6の給電制限(第3実施形態)、及び、バッテリ6の着脱制限(第4実施形態)のうちから、選択される1つとなっていた。これに代えて、例えば、バッテリ6の通知、充電制限、給電制限、及び、着脱制限のうちから、選択される2つ以上の態様を組合せてもよい。この場合、監視装置100の第1監視部112は、通知部112A、充電制限部112D、給電制限部112E、及び、着脱制限部112Fのうちから、選択される2つ以上を備える。
【0123】
<まとめ>
本発明の実施形態に係る監視システムは、作業機101を駆動するためのエネルギ源を貯留するバッテリ6と、バッテリ6に対するエリア150Bを設定するエリア設定部110と、バッテリ6が設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6の通知またはバッテリ6の制限を行うことによりバッテリ6を監視する第1監視部112と、を備えた監視装置100と、を備える。これによれば、バッテリ6に対して定められたエリア150Bに、バッテリ6が位置しない場合には、通知または制限がなされる。従って、バッテリ6を容易に監視できる。
【0124】
上記第1実施形態では、特に、バッテリ6は、作業機101に着脱可能であり、第1監視部112は、作業機101に装着されていないバッテリ6が、設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6の通知を行う。これによれば、交換用のバッテリ6や、使用後のバッテリ6等、作業機101に装着されていないバッテリ6に対しても、通知を用いて監視対象を広げることができる。バッテリ6を圃場に静置しておく場面においても、バッテリ6を容易かつ確実に監視できる。
【0125】
上記第2実施形態では、特に、バッテリ6は、作業機101に着脱可能であり、第1監視部112は、作業機101に装着されていないバッテリ6が、設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6への充電(エネルギ源の補充)を制限する。これによれば、交換用のバッテリ6や、使用後のバッテリ6等、作業機101に装着されていないバッテリ6に対しても、充電制限を用いて監視対象を広げることができる。バッテリ6を圃場に静置しておく場面においても、バッテリ6を容易かつ確実に監視できる。
【0126】
上記第3実施形態では、特に、バッテリ6は、作業機101に着脱可能であり、第1監視部112は、作業機101に装着されているバッテリ6が、設定されたエリア150Bに位置しない場合、バッテリ6から作業機101の原動機4への給電(エネルギ源の供給)を制限する。これによれば、作業機101に装着されているバッテリ6に対しても、給電制限を用いて監視対象を広げることができる。バッテリ6を作業機101に装着した状態においても、バッテリ6を容易かつ確実に監視できる。また、バッテリ6の給電が制限されると、原動機4の駆動も制限されるため、作業機101の盗難も抑制できる。
【0127】
上記第4実施形態では、特に、バッテリ6は、作業機101に着脱可能であり、第1監視部112は、作業機101に装着されているバッテリ6が、設定されたエリア150Bに位置しない場合、作業機101からのバッテリ6の着脱を制限する。これによれば、作業機101に装着されているバッテリ6に対しても、着脱制限を用いて監視対象を広げることができる。バッテリ6を作業機101に装着した状態においても、バッテリ6を容易かつ確実に監視できる。また、バッテリ6の着脱が制限されると、バッテリ6の残量が切れた際、バッテリ6の交換が制限されるため、作業機101の盗難も抑制できる。
【0128】
上記各実施形態では、特に、バッテリ6は、作業機101に着脱可能であり、且つ、作業機101に装着されていない状態において、交換用のバッテリ6として配送拠点からの運搬車T等にて配送可能であり、第1監視部112は、作業機101に装着されているバッテリ6と交換するためのバッテリ6が搬送される場合には監視を解除し、監視の解除中において交換するためのバッテリ6が作業機101に装着された場合に監視を開始する。これによれば、例えば、圃場Fから遠隔地にある配送拠点より、運搬車T等に交換用のバッテリ6が搭載されて、当該バッテリ6が圃場Fに向けて配送される場面において、監視を解除できる。また、圃場Fにてバッテリ6が交換されて、使用後のバッテリ6が圃場Fに静置される場面において、解除した監視を再開できる。従って、交換用のバッテリ6の配送時における誤検知を防止できるとともに、使用後のバッテリ6を監視できる。
【0129】
上記各実施形態では、特に、第1監視部112は、バッテリ6が作業機101に装着された場合に監視が開始された場合には監視を維持し、監視の維持中において、作業機101に装着されていない使用後のバッテリ6が回収される場合には監視を解除する。これによれば、例えば、圃場Fにてバッテリ6が交換されて、使用後のバッテリ6が圃場Fに静置される場面において、使用後のバッテリ6の監視を維持できる。また、バッテリ6の回収のために圃場Fにて運搬車T等に使用後のバッテリ6が搭載されて、当該バッテリ6が圃場Fから回収される場面において、監視を解除できる。従って、圃場Fに静置された使用後のバッテリ6の監視を維持できるとともに、使用後のバッテリ6の回収時における誤検知を防止できる。
【0130】
上記各実施形態では、特に、作業機101に装着されているバッテリ6は、バッテリ6の監視を維持するためのエネルギ源が残存するように交換される。これによれば、バッテリ6が交換されて、作業機101から脱離させた使用後のバッテリ6に、監視を維持するため(測位装置40B、通信装置45B等を駆動するため)のエネルギ源を残存させることができる。従って、使用後のバッテリ6における自前のエネルギ源のみで、当該バッテリ6の監視を維持できる。
【0131】
上記各実施形態では、特に、監視装置100は、作業機101がエリア150A内に位置しているか否かを監視する第2監視部113を備え、エリア設定部110は、作業機101の位置に基づいて、バッテリ6に対するエリア150Bを設定し、第1監視部112は、第2監視部113による作業機101の監視が実行された場合に、バッテリ6の監視を実行する。これによれば、バッテリ6の監視に加え、作業機101も監視できる。作業機101の位置に基づいてエリア150Bが設定されるため、例えば、圃場Fに位置する作業機101にて、バッテリ6の交換が行われる場合、エリア150Bが交換位置を含むようにエリア150Bを設定できる。また、作業機101の監視を実行すれば、バッテリ6の監視を自動的に実行することができる。従って、作業機101も監視しつつ、バッテリ6を適切に監視できる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
3 :車体
4 :原動機
6 :バッテリ
19 :バッテリ収容部
19d :ロック部
43i :電位センサ
43k :作業機監視スイッチ
40A :測位装置
40B :測位装置
45A :通信装置
45B :通信装置
50 :給電制限装置
50B :充電制限装置
60 :制御装置
60B :制御装置
100 :監視装置
101 :作業機
101a :農業機械
101b :作業装置
110 :エリア設定部
112 :第1監視部
112A :通知部
112B :監視開始部
112C :監視解除部
112D :充電制限部
112E :給電制限部
112F :着脱制限部
113 :第2監視部
113A :通知部
150A :エリア
150B :エリア
A :エリア
F :圃場
N1 :車両用通信ネットワーク
R :農道