IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社クボタの特許一覧

<>
  • 特開-作業機 図1
  • 特開-作業機 図2
  • 特開-作業機 図3
  • 特開-作業機 図4
  • 特開-作業機 図5
  • 特開-作業機 図6
  • 特開-作業機 図7
  • 特開-作業機 図8
  • 特開-作業機 図9
  • 特開-作業機 図10
  • 特開-作業機 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005435
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   B60K 1/04 20190101AFI20240110BHJP
   A01B 59/06 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B60K1/04 Z
A01B59/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105613
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】衣川 亮祐
(72)【発明者】
【氏名】池田 亮
(72)【発明者】
【氏名】三浦 敬典
(72)【発明者】
【氏名】石原 健二
【テーマコード(参考)】
2B041
3D235
【Fターム(参考)】
2B041AA09
2B041AB05
2B041AC05
2B041AC08
2B041CA03
2B041CG10
2B041HA28
3D235AA14
3D235CC15
(57)【要約】
【課題】 エネルギ源を貯留する貯留装置を交換でき、作業効率の悪化を抑制できる作業機を提供する。
【解決手段】 作業機1は、エネルギ源を貯留する貯留装置を備え、エネルギ源により駆動する。この貯留装置は、作業機1に設けられたメインバッテリ12M(第1貯留装置)と、作業機1のメインバッテリ12Mとは異なる位置に設けられたサブバッテリ12S(第2貯留装置)とを含み、これらのバッテリのうち、サブバッテリ12Sが作業機1に着脱可能となっている。このため、エネルギ源を貯留する貯留装置を交換でき、作業効率の悪化を抑制できる。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エネルギ源を貯留する貯留装置を備え、前記エネルギ源により駆動する作業機において、
前記貯留装置は、
作業機に設けられた前記第1貯留装置と、作業機の前記第1貯留装置とは異なる位置に設けられた前記第2貯留装置とを含み、前記第1貯留装置、及び、前記第2貯留装置のうち、少なくとも1つが作業機に着脱可能となっている
作業機。
【請求項2】
請求項1に記載の作業機において、
走行車両と、
前記走行車両に設けられた作業装置と、
を備え、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではなく、前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源を供給し、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能であり、前記第1貯留装置により前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源が供給されている場合に、前記走行車両を駆動するための前記エネルギ源を供給する
作業機。
【請求項3】
請求項2に記載の作業機において、
前記第2貯留装置は、
前記第1貯留装置により前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源が供給されている場合に、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源を供給する
作業機。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
走行車両と、
前記走行車両に設けられた作業装置と、
前記走行車両からの電力回生が可能な回生装置と、
を備え、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではない、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第1貯留装置における前記電気エネルギの残量が所定値以上である場合、前記回生装置により電力回生された電気エネルギを、前記第2貯留装置に充電する充電制御部
を備えた
作業機。
【請求項5】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではない、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第1貯留装置、及び、前記第2貯留装置のうち、前記電気エネルギの残量が大きい方からの放電量を、他方からの放電量よりも大きくする放電制御部
を備えた
作業機。
【請求項6】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
走行車両と、
前記走行車両に設けられた作業装置と、
を備え、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではなく、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能であり、前記走行車両における前記作業装置の反対側の位置に装着される
作業機。
【請求項7】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
走行車両と、
作業装置と、
前記走行車両に設けられ、且つ、前記作業装置を連結可能な第1連結装置と、
前記貯留装置から前記作業装置へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、
前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項8】
請求項7に記載の作業機において、
前記コネクタは、
前記作業装置が前記第1連結装置に連結された場合に、前記作業装置に対向するよう、前記走行車両に設けられる
作業機。
【請求項9】
請求項7に記載の作業機において、
前記貯留装置は、
前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記作業装置は、
前記走行車両からの信号を受け取り可能であり、
前記走行車両からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、
前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項10】
請求項1乃至請求項3の何れか一項に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項11】
請求項4に記載の作業機において、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではない、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記第1貯留装置、及び、前記第2貯留装置のうち、前記電気エネルギの残量が大きい方からの放電量を、他方からの放電量よりも大きくする放電制御部
を備えた
作業機。
【請求項12】
請求項4に記載の作業機において、
走行車両と、
前記走行車両に設けられた作業装置と、
を備え、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではなく、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能であり、前記走行車両における前記作業装置の反対側の位置に装着される
作業機。
【請求項13】
請求項5に記載の作業機において、
走行車両と、
前記走行車両に設けられた作業装置と、
を備え、
前記第1貯留装置は、
作業機に着脱可能ではなく、
前記第2貯留装置は、
作業機に着脱可能であり、前記走行車両における前記作業装置の反対側の位置に装着される
作業機。
【請求項14】
請求項4に記載の作業機において、
走行車両と、
作業装置と、
前記走行車両に設けられ、且つ、前記作業装置を連結可能な第1連結装置と、
前記貯留装置から前記作業装置へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、
前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項15】
請求項5に記載の作業機において、
走行車両と、
作業装置と、
前記走行車両に設けられ、且つ、前記作業装置を連結可能な第1連結装置と、
前記貯留装置から前記作業装置へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、
前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項16】
請求項6に記載の作業機において、
走行車両と、
作業装置と、
前記走行車両に設けられ、且つ、前記作業装置を連結可能な第1連結装置と、
前記貯留装置から前記作業装置へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、
前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項17】
請求項8に記載の作業機において、
前記貯留装置は、
前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、
前記作業装置は、
前記走行車両からの信号を受け取り可能であり、
前記走行車両からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、
前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、
を備えた
作業機。
【請求項18】
請求項4に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項19】
請求項5に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項20】
請求項6に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項21】
請求項7に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項22】
請求項8に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【請求項23】
請求項9に記載の作業機において、
前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、
前記第2貯留装置は、
前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、
前記第2連結装置は、
前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする
作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、農業機械、建設機械等を含む作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、農業機械等の作業機として、特許文献1の作業機が知られている。特許文献1の作業機は、走行車両に連結された作業装置を備えている。走行車両を駆動する原動機は、電動モータである。この電動モータには、車体に設けられたバッテリから電力が供給される。このバッテリは、作業機外部より充電可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-22980号公報(段落0029等)
【発明の概要】
【0004】
一般に、バッテリ等においては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、充電等の補給が必要となる。充電時には走行及び作業が停止してしまうため、全体として作業効率が悪化する場合がある。このため、作業機に設けられたバッテリ等を、充電済バッテリ等と交換することで、充電にかかる時間を節約する要望がある。
【0005】
そこで、本発明は、上記要望に鑑み、エネルギ源を貯留する貯留装置を交換でき、作業効率の悪化を抑制できる作業機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この技術的課題を解決するための本発明の技術的手段は、以下に示す点を特徴とする。本発明の作業機は、エネルギ源を貯留する貯留装置を備え、前記エネルギ源により駆動する。前記貯留装置は、作業機に設けられた前記第1貯留装置と、作業機の前記第1貯留装置とは異なる位置に設けられた前記第2貯留装置とを含み、前記第1貯留装置、及び、前記第2貯留装置のうち、少なくとも1つが作業機に着脱可能となっている。
【0007】
本発明の作業機は、走行車両と、前記走行車両に設けられた作業装置と、を備え、前記第1貯留装置は、作業機に着脱可能ではなく、前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源を供給し、前記第2貯留装置は、作業機に着脱可能であり、前記第1貯留装置により前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源が供給されている場合に、前記走行車両を駆動するための前記エネルギ源を供給する。
【0008】
本発明の作業機において、前記第2貯留装置は、前記第1貯留装置により前記走行車両、及び/又は、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源が供給されている場合に、前記作業装置を駆動するための前記エネルギ源を供給する。
作業機。
【0009】
本発明の作業機は、走行車両と、前記走行車両に設けられた作業装置と、前記走行車両からの電力回生が可能な回生装置と、を備え、前記第1貯留装置は、作業機に着脱可能ではない、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記第2貯留装置は、作業機に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記第1貯留装置における前記電気エネルギの残量が所定値以上である場合、前記回生装置により電力回生された電気エネルギを、前記第2貯留装置に充電する充電制御部を備える。
【0010】
本発明の作業機において、前記第1貯留装置は、作業機に着脱可能ではない、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記第2貯留装置は、作業機に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記第1貯留装置、及び、前記第2貯留装置のうち、前記電気エネルギの残量が大きい方からの放電量を、他方からの放電量よりも大きくする放電制御部を備える。
【0011】
本発明の作業機は、走行車両と、前記走行車両に設けられた作業装置と、を備え、前記第1貯留装置は、作業機に着脱可能ではなく、前記第2貯留装置は、作業機に着脱可能であり、前記走行車両における前記作業装置の反対側の位置に装着される。
【0012】
本発明の作業機は、走行車両と、作業装置と、前記走行車両に設けられ、且つ、前記作業装置を連結可能な第1連結装置と、前記貯留装置から前記作業装置へ供給される前記エネルギ源の経路である供給経路と、前記供給経路の接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記エネルギ源の供給を可能とし、切断時に前記エネルギ源の供給を遮断するコネクタと、を備える。
【0013】
本発明の作業機において、前記コネクタは、前記作業装置が前記第1連結装置に連結された場合に、前記作業装置に対向するよう、前記走行車両に設けられる。
【0014】
本発明の作業機において、前記貯留装置は、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記作業装置は、前記走行車両からの信号を受け取り可能であり、前記走行車両からの前記信号を前記作業装置に向けて送信する通信経路と、前記供給経路および前記通信経路のそれぞれの接続および切断が可能なコネクタであって、接続時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を可能とし、切断時に前記電気エネルギの供給および前記信号の送信を遮断するコネクタと、を備える。
【0015】
本発明の作業機は、前記第2貯留装置を連結可能であり、前記第2貯留装置を連結した場合に、作業機への前記第2貯留装置の装着が達成される第2連結装置を備え、前記第2貯留装置は、前記第2連結装置に着脱可能である、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、前記電気エネルギを放電するためのバッテリ端子部を備え、前記第2連結装置は、前記第2貯留装置を連結した場合に、前記バッテリ端子部と接続される端子接続部を備え、前記第2貯留装置から、前記バッテリ端子部および前記端子接続部を介して、作業機に向けて前記電気エネルギを供給可能とする。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、エネルギ源を貯留する貯留装置を交換でき、作業効率の悪化を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態の作業機の全体図である。
図2図1に示す作業機の平面図である。
図3図1に示す作業機の第1連結装置を含む車体後方の斜視図である。
図4図1に示す作業機の第2連結装置及びサブバッテリを含む車体前方の斜視図であり、サブバッテリが装着中である状態を示す図である。
図5図1に示す作業機の第2連結装置及びサブバッテリを含む車体前方の斜視図であり、サブバッテリが脱離中である状態を示す図である。
図6図1に示す作業機の動力伝達系及び電力供給系を示す図である。
図7図1に示す作業機の制御系及び情報通信系を示す図である。
図8図1に示す作業機の走行車両に作業装置が連結されている状態を説明するための側面図である。
図9図1に示す作業機の制御装置により充放電制御された場合における、メインバッテリ及びサブバッテリの各残量の変化を示すタイムチャートである。
図10図1に示す作業機の制御装置によるバッテリの充放電制御、及び、バッテリの交換に関する制御の一連の作動を示すフローチャートである。
図11】配送拠点及び圃場間におけるバッテリの配送・回収の作動を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る作業機1の全体の側面図を示している。図2は、作業機1の平面図を示している。図1図2に示すように、作業機1は、走行車両2と、作業装置3と、を備えている。また、作業機1は、メインバッテリ(第1貯留装置)12Mと、サブバッテリ(第2貯留装置)12Sと、を備えている。メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sは、走行車両2や作業装置3を駆動するための電気エネルギ(エネルギ源)を貯留する。本実施形態では、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sは、それぞれ作業機1の異なる位置に設けられている。メインバッテリ12Mは、走行車両2に設置され、着脱不能となっている。サブバッテリ12Sは、走行車両2に設置され、着脱可能であり交換可能となっている。
【0020】
走行車両2は、作業装置3を牽引しながら走行する車両である。本実施形態の場合、走行車両2はトラクタであるため、以下、走行車両2をトラクタ2として説明する。但し、走行車両2は、トラクタに限定されず、コンバインや田植機等の農業車両であっても、建設車両等であってもよい。また、走行車両2は、ピックアップトラックであってもよい。作業装置3は、圃場等に対する作業(農作業)を行う装置である。作業装置3は、走行車両2に連結されるインプルメントやアタッチメント等である。
【0021】
<トラクタ>
トラクタ2は、車体4と、走行装置5と、第1連結装置6と、第2連結装置7とを備えている。本発明の実施形態において、車体4に搭載された運転席4aに着座した運転者の前側(図1の左側)を前方、運転者の後側(図1の右側)を後方、運転者の左側(図1の手前側)を左方、運転者の右側(図1の奥側)を右方として説明する。また、前後方向K1(図1参照)に直交する方向である水平方向K2(図2参照)を車両幅方向として説明する。
【0022】
車体4は、車体フレーム8と、クラッチハウジング9と、ミッションケース10と、原動機11と、メインバッテリ12Mとを有している。車体フレーム8は、車体4の前後方向に延びている。車体フレーム8には、原動機11及びメインバッテリ12Mが搭載されている。本実施形態の場合、原動機11は、電動モータである。以下、原動機11が、電動モータ11であるとして説明する。電動モータ11は、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sから電気エネルギが供給されて駆動する。
【0023】
メインバッテリ12Mは、略直方体状のケーシング内部に、バッテリパック、電装ユニット(リレー、フューズ等)、冷却手段を備える。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールで構成されている。バッテリモジュールは、複数のセルで構成されている。このように構成されたメインバッテリ12Mは、電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、詳しくはリチウムイオンバッテリである。メインバッテリ12Mに貯留されている電気エネルギは、後述するメイン電源供給経路P1に送出されるようになっている(図6参照)。
【0024】
電動モータ11及びメインバッテリ12Mは、車体フレーム8に搭載されて、車体4の前部に配置されている。クラッチハウジング9は、電動モータ11の後部に連設されており、クラッチを収容している。ミッションケース10は、クラッチハウジング9の後部に連結されて後方に延びている。ミッションケース10は、後述する変速装置13や後輪デフ装置14等を収容している。走行装置5は、車体4の前部に設けられた前輪5Fと、車体4の後部に設けられた後輪5Rとを有している。前輪5Fは、車体フレーム8に支持されている。後輪5Rは、後輪デフ装置14の出力軸に支持されている。走行装置5は、本実施形態の場合はタイヤ型であるが、クローラ型であってもよい。
【0025】
第1連結装置6は、トラクタ2の後部に作業装置3を連結するための装置である。本実施形態の場合、第1連結装置6は、3点リンク機構を含んでいる。但し、第1連結装置6の構成は、作業装置3を走行車両2の後部に連結可能な構成であれば特に限定されない。例えば、走行車両2がピックアップトラックの場合、第1連結装置6は、3点リンク機構以外の機構によって作業装置3を連結する。
【0026】
図3に示すように、第1連結装置6は、ミッションケース10の後部に接続されている。第1連結装置6は、リフトアーム6A、3点リンク機構6B、シフトシリンダ6Cを有している。リフトアーム6Aは、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとを含む。第1リフトアーム6ALは、車両幅方向の一方(左方)に配置されている。第2リフトアーム6ARは、車両幅方向の他方(右方)に配置されている。第1リフトアーム6AL及び第2リフトアーム6ARは、前端部がミッションケース10の上部に支持された横軸6Dに枢支されており、後方に向けて延びている。
【0027】
3点リンク機構6Bは、トップリンク6B1、ロアリンク6B2、リフトロッド6B3を有している。トップリンク6B1は、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に配置され、前端部がミッションケース10の上部に設けられた第1枢支部10bに枢支されている。ロアリンク6B2は、第1ロアリンク6B2Lと第2ロアリンク6B2Rとを含む。第1ロアリンク6B2L及び第2ロアリンク6B2Rの前端部は、ミッションケース10の左下部と右下部に設けられた第2枢支部10cに枢支されている。リフトロッド6B3は、第1リフトロッド6B3Lと第2リフトロッド6B3Rとを含む。第1リフトロッド6B3Lは、上端部が第1リフトアーム6ALの後端部に接続されており、下端部が第1ロアリンク6B2Lの長さ方向の中途部に接続されている。第2リフトロッド6B3Rは、上端部が第2リフトアーム6ARの後端部に接続されており、下端部が第2ロアリンク6B2Rの長さ方向の中途部に接続されている。
【0028】
トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部には、作業装置3を連結可能なジョイントが設けられている。トップリンク6B1の後端部とロアリンク6B2の後端部に作業装置3を連結することにより、作業装置3はトラクタ2の後部に昇降可能に連結される。リフトシリンダ6Cは、油圧シリンダである。リフトシリンダ6Cは、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRとを含む。第1リフトシリンダ6CLは、一端部が第1リフトアーム6ALに接続され、他端部がミッションケース10の左下部に接続されている。第2リフトシリンダ6CRは、一端部が第2リフトアーム6ARに接続され、他端部がミッションケース10の右下部に接続されている。リフトシリンダ6Cの駆動によって、第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARは、横軸6D回りに回動して上下方向に揺動する。第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRには、電磁制御弁が接続されている。電磁制御弁は、制御装置20からの制御信号に基づいて第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRを駆動(伸縮)することができる。
【0029】
リフトシリンダ6Cを駆動することによって、作業装置3の高さの調整と、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)の調整を行うことができる。高さの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRの両方を同様に駆動する。傾きの調整の際には、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRのいずれか一方を駆動する。具体的には、作業装置3の高さが低い側に配置されたリフトシリンダを伸長するか、高さが高い側に配置されたリフトシリンダを短縮するように駆動する。
【0030】
作業装置3は、例えば、肥料や薬剤等の散布物(粉粒体等)を散布する散布装置、耕耘する耕耘装置、収穫を行う収穫装置、牧草等の刈取を行う刈取装置、牧草等の拡散を行う拡散装置、牧草等の集草を行う集草装置、牧草等の成形を行う成形装置等である。なお、図1及び図2では、作業装置3として、散布装置を取り付けた例を示している。作業装置3の詳細な説明については、後述する。
【0031】
第2連結装置7は、トラクタ2の前部にサブバッテリ12Sを連結するための装置である。本実施形態の場合、第2連結装置7は、3点リンク機構を含んでいる。但し、第2連結装置7の構成は、サブバッテリ12Sを走行車両2の前部に連結可能な構成であれば特に限定されない。
【0032】
図1図2図4、及び、図5に示すように、第2連結装置7は、車体4の最前端部に設けられている。第2連結装置7は、リフトアーム7A、3点リンク機構7B、シフトシリンダ7C、及び、取付フック(端子接続部)7Dを有している。リフトアーム7Aは、第1リフトアーム7ALと第2リフトアーム7ARとを含む。第1リフトアーム7ALは、車両幅方向の一方(左方)に配置されている。第2リフトアーム7ARは、車両幅方向の他方(右方)に配置されている。第1リフトアーム7AL及び第2リフトアーム7ARは、後端部が車体4の前端における上部に支持された横軸7Eに枢支されており、前方に向けて延びている。
【0033】
3点リンク機構7Bは、トップリンク7B1、ロアリンク7B2、リフトロッド7B3を有している。トップリンク7B1は、第1リフトアーム7ALと第2リフトアーム7ARとの間に配置され、後端部が車体4の前端における上部に設けられた第1枢支部4bに枢支されている。ロアリンク7B2は、第1ロアリンク7B2Lと第2ロアリンク7B2Rとを含む。第1ロアリンク7B2L及び第2ロアリンク7B2Rの前端部は、車体4の前端における左下部と右下部に設けられた第2枢支部4cに枢支されている。リフトロッド7B3は、第1リフトロッド7B3Lと第2リフトロッド7B3Rとを含む。第1リフトロッド7B3Lは、上端部が第1リフトアーム7ALの前端部に接続されており、下端部が第1ロアリンク7B2Lの長さ方向の中途部に接続されている。第2リフトロッド7B3Rは、上端部が第2リフトアーム7ARの後端部に接続されており、下端部が第2ロアリンク7B2Rの長さ方向の中途部に接続されている。
【0034】
図4、及び、図5に示すように、トップリンク7B1の前端部には、サブバッテリ12Sのリンクバー12S4と連結可能なジョイント7B4が設けられている。第1ロアリンク7B2L及び第2ロアリンク7B2Rにおけるそれぞれの前端部には、サブバッテリ12Sの端子部(バッテリ端子部)12S2L及び12S2Rと接続可能な、取付フック7DL及び7DRがそれぞれ設けられている。サブバッテリ12Sは、リンクバー12S4及び端子部12S2を介して、トップリンク7B1及びロアリンク7B2と接続される。即ち、サブバッテリ12Sは、トップリンク7B1及びロアリンク7B2にて3点支持されて、第2連結装置7に装着される。また、接続状態のリンクバー12S4及び端子部12S2を、トップリンク7B1及びロアリンク7B2から取り外すことで、装着状態のサブバッテリ12Sは、第2連結装置7から脱離する。
【0035】
サブバッテリ12Sは、略直方体状のケーシングを有しており、当該ケーシングにおいて左側面12S1L、右側面12S1R、及び、頂面12S3が規定される。頂面12S3において、略中央部から上方に向けて、リンクバー12S4が伸長している。リンクバー12S4の上端部12S5が、トップリンク7B1のジョイント7B4と接続可能となっている。このケーシング内部には、バッテリパック、電装ユニット(リレー、フューズ等)、冷却手段等が備えられている。バッテリパックは、複数のバッテリモジュールで構成されている。バッテリモジュールは、複数のセルで構成されている。このように構成されたサブバッテリ12Sは、電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、詳しくはリチウムイオンバッテリである。
【0036】
ケーシングの左側面12S1L、及び、右側面12S1Rにおいては、端子部12S2L、及び、12S2Rが設けられている。端子部12S2L、及び、12S2Rは、左側面12S1L、及び、右側面12S1Rそれぞれの略中央部から、左方向及び右方向に突出する。端子部12S2L、及び、12S2Rは、ケーシング内部のバッテリモジュールと、電気的に接続されている。端子部12S2L、及び、12S2Rは、それぞれ略円柱状を呈している。取付フック7DL及び7DRは、上から下方に凹む凹部7D1L及び7D1Rを備え、凹部7D1L及び7D1Rにて、端子部12S2L及び12S2Rが係合可能となっている。端子部12S2、及び、取付フック7Dは、電気伝導性の材料で構成されており、係合状態において、電気的に接続されるようになっている。更に、取付フック7Dは、ロアリンク7B2を介し、後述するサブ電源供給経路P2と電気的に接続されている(図6参照)。
【0037】
従って、図4に示すように、サブバッテリ12Sが、第2連結装置7に装着されている場合、サブバッテリ12Sに貯留されている電気エネルギは、ケース内のバッテリモジュールから、端子部12S2L(12S2R)、取付フック7DL(7DR)、ロアリンク7B2L(7B2R)をこの順序で経て、サブ電源供給経路P2に送出されるようになっている。一方、図5に示すように、サブバッテリ12Sが、第2連結装置7から脱離している場合、端子部12S2、及び、取付フック7Dの係合が解除されるため、サブバッテリ12Sの電気エネルギの送出も遮断される。
【0038】
リフトシリンダ7Cは、油圧シリンダである。リフトシリンダ7Cは、第1リフトシリンダ7CLと第2リフトシリンダ7CRとを含む。第1リフトシリンダ7CLは、一端部が第1リフトアーム7ALに接続され、他端部が車体4の前端における左下部に接続されている。第2リフトシリンダ7CRは、一端部が第2リフトアーム7ARに接続され、他端部が車体4の前端における右下部に接続されている。リフトシリンダ7Cの駆動によって、第1リフトアーム7ALと第2リフトアーム7ARは、横軸7E回りに回動して上下方向に揺動する。第1リフトシリンダ7CL及び第2リフトシリンダ7CRには、電磁制御弁が接続されている。電磁制御弁は、制御装置20からの制御信号に基づいて第1リフトシリンダ7CL及び第2リフトシリンダ7CRを駆動(伸縮)することができる。
【0039】
第2連結装置7にサブバッテリ12Sが装着されている状態において、リフトシリンダ7Cを駆動することによって、サブバッテリ12Sの高さの調整と、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)の調整を行うことができる。高さの調整の際には、第1リフトシリンダ7CLと第2リフトシリンダ7CRの両方を同様に駆動する。傾きの調整の際には、第1リフトシリンダ7CLと第2リフトシリンダ7CRのいずれか一方を駆動する。具体的には、サブバッテリ12Sの高さが低い側に配置されたリフトシリンダを伸長するか、高さが高い側に配置されたリフトシリンダを短縮するように駆動する。
【0040】
このように、第2連結装置7に装着されているサブバッテリ12Sは、トラクタ2に対し昇降可能かつ傾き調整可能となる。従って、装着状態のサブバッテリ12Sにおける重心位置を、適切に調整できる。トラクタ2の後側に、第1連結装置6を介して作業装置3が設けられる一方で、トラクタ2の前側に、第2連結装置7を介してサブバッテリ12Sが設けられ、作業機1全体として、重量バランスをとり易くなっている。即ち、トラクタ2の前側に設けられたサブバッテリ12Sは、ウェイトとしても機能するようになっている。
【0041】
図4に示す状態の装着中のサブバッテリ12Sを脱離させる場合、先ず、リンクバー12S4の上端部12S5からジョイント7B4を取り外し、トップリンク7B1を上方に揺動させて、リンクバー12S4から離間させる。トップリンク7B1を離間させた状態で、サブバッテリ12Sを上方に持ち上げ、取付フック7DL及び7DRの凹部7D1L及び7D1Rから、端子部12S2L及び12S2Rを取り外す。これにより、端子部12S2L及び12S2Rを、第1ロアリンク7B2L及び第2ロアリンク7B2Rから離間させる。そして、端子部12S2L及び12S2Rを離間させた状態で、サブバッテリ12Sを前方に移動させることで、第2連結装置7からサブバッテリ12Sが脱離され、図5に示す状態となる。
【0042】
図5に示す状態の脱離中のサブバッテリ12Sを装着させる場合、先ず、端子部12S2L及び12S2Rを左右方向に向け、リンクバー12S4を上方向に向けつつ、サブバッテリ12Sを持ち上げる。持ち上げたサブバッテリ12Sを、第2連結装置7に対向するよう後方に移動させ、トップリンク7B1を上方に揺動させた状態にて、端子部12S2L及び12S2Rが、取付フック7DL及び7DRの凹部7D1L及び7D1Rに着地するよう、サブバッテリ12Sを下方に移動させる。端子部12S2L及び12S2Rを、凹部7D1L及び7D1Rに係合させ、トップリンク7B1を下方に揺動させて、リンクバー12S4の上端部12S5にジョイント7B4を取り付ける。これにより、第2連結装置7にサブバッテリ12Sが装着され、図4に示す状態となる。
【0043】
このように、サブバッテリ12Sは、第2連結装置7に着脱可能となっている。このため、装着中のサブバッテリ12Sの残量が少なくなった場合には、装着していたサブバッテリ12Sを脱離させた後に、交換用の新しいサブバッテリ12Sを装着させることができる。即ち、サブバッテリ12Sは、残量に応じて交換可能となっている。サブバッテリ12Sの交換態様については、後に詳述する(図11参照)。
【0044】
なお、本実施形態では、メインバッテリ12Mに加えサブバッテリ12Sが搭載されるが、サブバッテリ12Sに代えて、エネルギ源を貯留可能なパッケージが搭載されてもよい。このパッケージとしては、例えば、水素タンク、LPG(Liquified petroleum gas)タンク等が用いられてもよい。水素タンクが第2連結装置7に装着される場合、例えば、水素および空気中の酸素にて発電する燃料電池をトラクタ2に搭載し、当該燃料電池に向けてタンクからの水素が供給されるようにしてもよい。LPGタンクが第2連結装置7に装着される場合、例えば、ガスエンジンにて発電するジェネレータをトラクタ2に搭載し、当該ガスエンジンに向けてタンクからのガスが供給されるようにしてもよい。
【0045】
また、本実施形態では、第2連結装置7が車体4の最前端部に設けられ、サブバッテリ12Sが第2連結装置7を介して車体4の前側に装着されているが、サブバッテリ12Sの装着位置は、車体4の前側に限定されない。
【0046】
図6に示すように、トラクタ2は、PTO軸19を備えている。PTO軸19は、当該トラクタ2を駆動する電動モータ11からの動力を、作業装置3等に伝達する。電動モータ11は、インバータを介してメインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sと、電気的に接続されるようになっている。電動モータ11の出力軸は、推進軸13aに動力を伝達する。他方、回生時には、電動モータ11の出力軸が入力軸となり、トラクタ2の走行における慣性力が、動力伝達系を介して入力軸まで伝達する。そして、入力軸まで伝達した動力が、電動モータ11に入力される。このように、電動モータ11は、走行車両2からの電力回生が可能な回生装置(発電機)としても機能する。
【0047】
メイン電源供給経路P1の一端は、メインバッテリ12Mに接続され、他端は調整器60に接続されている。サブ電源供給経路P2の一端は、取付フック7D及びロアリンク7B2を介し、サブバッテリ12Sの端子部12S2と接続されている。サブ電源供給経路P2の他端は、調整器60に接続されている。電動モータ供給経路P3の一端は、電動モータ11に接続され、他端は調整器60に接続されている。実際には、電動モータ供給経路P3の電動モータ11側には、インバータが介装される。作業装置供給経路P4の一端は、後述するコネクタ61に接続され、他端は調整器60に接続されている。メイン電源供給経路P1、サブ電源供給経路P2、電動モータ供給経路P3、及び、作業装置供給経路P4は、例えば、ハーネス等である。
【0048】
調整器60は、制御装置20からの制御信号に基づき、放電モード・回生モードの何れかに切り替わるようになっている。放電モードである場合、調整器60は、メイン電源供給経路P1を介したメインバッテリ12Mからの電力、及び、サブ電源供給経路P2を介したサブバッテリ12Sからの電力を受け入れるようになっている。調整器60は、制御装置20からの制御信号に基づき、メイン電源供給経路P1からの受入電力、及び、サブ電源供給経路P2からの受入電力の割合を調整する。調整器60にて受け入れた電力は、電動モータ供給経路P3、及び、作業装置供給経路P4に送出されるようになっている。調整器60は、制御装置20からの制御信号に基づき、電動モータ供給経路P3への送出電力、及び、作業装置供給経路P4への送出電力の割合を調整する。
【0049】
一方、回生モードである場合、電動モータ供給経路P3を介した電動モータ11からの電力を受け入れ、当該電力は、メイン電源供給経路P1、及び、サブ電源供給経路P2に送出されるようになっている(図6の一点鎖線矢印を参照)。調整器60は、制御装置20からの制御信号に基づき、メイン電源供給経路P1への送出電力、及び、サブ電源供給経路P2への送出電力の割合を調整する。
【0050】
トラクタ2(車体4)には、コネクタ61が設けられている。コネクタ61は、外部から作業装置供給経路P4への接続を可能とする。コネクタ61は、作業装置供給経路P4の調整器60とは反対側の一端部と接続されている。なお、コネクタ61は、作業装置供給経路P4と並行して、車載ネットワークN1にも接続されている。コネクタ61は、ケーブルコネクタ61Aと着脱可能に接続されるようになっている。ケーブルコネクタ61Aは、作業装置3の電動モータ50aと接続されている電源ケーブル(供給経路)61B、及び、作業装置3と接続されている通信ケーブル(通信経路)61Cが、それぞれ接続されている。
【0051】
図3に示すように、コネクタ61は、トラクタ2の後部に設けられており、第1連結装置6のトップリンク6B1の前端部、及び、リフトアーム6Aの前端部よりも上方に位置している。また、コネクタ61は、車両幅方向において第1リフトアーム6ALと第2リフトアーム6ARとの間に設けられている。作業装置3がトラクタ2に連結されたとき、上述のように配置されたコネクタ61は、作業装置3に対向するようになっている。なお、本実施形態では、コネクタ61はトラクタ2に設けられているが、これに代えて、作業装置3や、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの中間部位等に設けられてもよい。
【0052】
図6に示すように、コネクタ61にケーブルコネクタ61Aが接続され、且つ、第2連結装置7にサブバッテリ12Sが装着された状態において、放電モードである場合、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sから放電される電力は、トラクタ2の電動モータ11、及び、作業装置3の電動モータ50aに供給される。より具体的には、メインバッテリ12Mの電力は、メイン電源供給経路P1、調整器60、及び、電動モータ供給経路P3を経て電動モータ11に供給されるとともに、メイン電源供給経路P1、調整器60、作業装置供給経路P4、コネクタ61、及び、電源ケーブル61Bを経て、電動モータ50aに供給される。サブバッテリ12Sの電力は、サブ電源供給経路P2、調整器60、及び、電動モータ供給経路P3を経て電動モータ11に供給されるとともに、サブ電源供給経路P2、調整器60、作業装置供給経路P4、コネクタ61、及び、電源ケーブル61Bを経て、電動モータ50aに供給される。メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sからの電力供給経路には、調整器60が介装されており、調整器60にて、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sからの受入電力の割合が調整される。電動モータ11に供給される電気エネルギは、制御装置20からの制御信号でインバータが制御されることで調整されて、電動モータ11のON、OFF、出力軸の回転数が制御される。
【0053】
コネクタ61にケーブルコネクタ61Aが接続され、且つ、第2連結装置7にサブバッテリ12Sが装着された状態において、回生モードである場合、トラクタ2の電動モータ11にて発電される電力は、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sに供給される。より具体的には、電動モータ11の電力は、電動モータ供給経路P3、調整器60、及び、メイン電源供給経路P1を経てメインバッテリ12Mに供給され、電動モータ供給経路P3、調整器60、及び、サブ電源供給経路P2を経てサブバッテリ12Sに供給される。電動モータ11からの電力供給経路には、調整器60が介装されており、調整器60にて、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sへの送出電力の割合が調整される。メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sに供給された電気エネルギは、それぞれのバッテリにて充電される。
【0054】
PTO軸19は、ミッションケース10から後方に向けて突出している。変速装置13は、主軸(推進軸)13aと、主変速部13bと、副変速部13cと、シャトル部13dと、PTO動力伝達部13eと、を備えている。推進軸13aは、変速装置13のハウジングケースに回転自在に支持されている。推進軸13aには、電動モータ11の出力軸からの動力が伝達される。主変速部13bは、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。主変速部13bは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、推進軸13aから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。
【0055】
副変速部13cは、主変速部13bと同様に、複数のギア及び当該ギアの接続を変更するシフタを有している。副変速部13cは、複数のギアの接続(噛合)をシフタで適宜変更することによって、主変速部13bから入力された回転速度を変更して出力する(変速する)。シャトル部13dは、シャトル軸16と前後進切替部17とを有している。シャトル軸16には、副変速部13cから出力された動力がギア等を介して伝達される。シャトル軸16には、後輪デフ装置14が設けられている。後輪デフ装置14には、後輪5Rを支持する後車軸が回転自在に支持されている。前後進切換部17は、例えば、油圧クラッチや電動クラッチ等のクラッチで構成され、当該クラッチの入切によってシャトル軸16の回転方向、即ち、トラクタ2の前進及び後進を切り換える。
【0056】
PTO動力伝達部13eは、PTOクラッチ18とPTO軸19とを有している。PTO軸19は、回転自在に支持され、推進軸13aからの動力が伝達可能である。PTO軸19は、PTO推進軸19aとPTO出力軸19bとを有している。PTO推進軸19aは、PTO変速部19cを介してPTO出力軸19bに接続されている。但し、PTO推進軸19aは、PTO変速部19cを介さずにPTO出力軸19bに接続されていてもよい。PTO出力軸19bの出力は、後述する作業装置3の動力伝達機構50に伝達される。
【0057】
PTO変速部19cは、PTO変速レバー等の操作部によって、PTO推進軸19aの回転速度を変更してPTO出力軸19bに伝達することができる。PTO変速部19cは、例えば、制御装置20からの制御信号に基づいて操作部を操作可能な電磁ソレノイドや電動モータ等の変速アクチュエータを備えている。PTOクラッチ18は、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達する接続状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない切断状態とに切換可能なクラッチである。具体的には、PTOクラッチ18は、推進軸13aとPTO推進軸19aとの間に設けられている。PTOクラッチ18は、油圧クラッチや電動クラッチ等で構成され、当該クラッチの入切によって、推進軸13aの動力(電動モータ11の動力)をPTO軸19に伝達する状態と、推進軸13aの動力をPTO軸19に伝達しない状態とを切り換えることができる。
【0058】
図7に示すように、トラクタ2は、操舵装置15を備えている。操舵装置15は、ハンドル(ステアリングホイール)15aと、ハンドル15aの回転に伴って回転する回転軸(操舵軸)15bと、ハンドル15aの操舵を補助する補助機構(パワーステアリング機構)15cと、を有している。補助機構15cは、制御弁15dと、ステアリングシリンダ15eとを含んでいる。制御弁15dは、例えば、スプール等の移動によって切り換え可能な3位置切換弁である。また、制御弁15dは、操舵軸15bの操舵によっても切換可能である。ステアリングシリンダ15eは、前輪5Fの向きを変えるアーム(ナックルアーム)15fに接続されている。したがって、ハンドル15aを操作すれば、当該ハンドル15aに応じて制御弁15dの切換位置及び開度が切り換わり、当該制御弁15dの切換位置及び開度に応じてステアリングシリンダ15eが左又は右に伸縮することによって、前輪5Fの操舵方向を変更することができる。なお、上述した操舵装置15は一例であり、上述した構成に限定されない。
【0059】
図7に示すように、トラクタ2は、複数の検出装置21を備えている。複数の検出装置21は、トラクタ2の状態を検出する装置であり、例えば、水温を検出する水温センサ21a、メインバッテリ12Mの電圧を検出するメインバッテリセンサ21b、電動モータ11の回転数を検出するモータ回転センサ21c、アクセルペダルの操作量を検出するアクセルペダルセンサ21d、操舵装置15の操舵角を検出する操舵角センサ21e、リフトアーム6A,7Aの角度を検出する角度センサ21f、車体4の幅方向(右方向又は左方向)の傾きを検出する傾き検出センサ21g、車体4の車速(速度)を検出する速度センサ21h、PTO軸19の回転数を検出するPTO回転センサ21i、サブバッテリ12Sの電圧を検出するサブバッテリセンサ21j、測位衛星等の信号に基づいて車体4の位置を検出する測位センサ(測位装置)21k等である。
【0060】
測位装置21kは、D-GPS、GPS、GLONASS、北斗、ガリレオ、みちびき等の衛星測位システム(測位衛星)により、自己の位置(緯度、経度を含む測位情報)を検出可能である。即ち、測位装置21kは、測位衛星から送信された衛星信号(測位衛星の位置、送信時刻、補正情報等)を受信し、衛星信号に基づいて、トラクタ2の位置(例えば、緯度、経度)、即ち、車体4の位置を検出する。測位装置21kは、受信装置と、慣性計測装置(IMU:Inertial Measurement Unit)とを有している。受信装置は、アンテナ等を有していて測位衛星から送信された衛星信号を受信する装置であり、慣性計測装置とは別に車体4に取付けられている。この実施形態では、受信装置は、車体4に取付けられている。なお、受信装置の取付箇所は、実施形態に限定されない。
【0061】
慣性計測装置は、加速度を検出する加速度センサ、角速度を検出するジャイロセンサ等を有し、車体4、例えば、運転席4aの下方に設けられる。慣性計測装置によって、車体4のロール角、ピッチ角、ヨー角等を検出することができる。なお、速度センサ21hは、例えば、前輪5Fの車軸の回転数、前輪5Fの車軸の回転数、前輪5Fの回転数、後輪5Rの回転数等を車速に変換することにより車速を検出する。また、速度センサ21hは、前輪5Fの車軸、後輪5Rの車軸、前輪5F及び後輪5Rのいずれかの回転方向も検出することができ、トラクタ2(車体4)が前進しているか、後進しているかも検出することができる。上述した検出装置21は一例であり、上述したセンサに限定されない。
【0062】
また、トラクタ2は、複数の操作部材22を備えている。複数の操作部材22は、車体4の前進又は後進を切り換えるシャトルレバー22a、原動機11の始動等を行うイグニッションスイッチ22b、PTO軸19の回転数を設定するPTO変速レバー22c、自動変速及び手動変速のいずれかを切り換える変速切換スイッチ22d、変速装置13の変速段(変速レベル)を手動で切り換える変速レバー22e、車速を増減させるアクセル22f、連結装置6の昇降を操作するポンパスイッチ22g、連結装置6の操作の上限を設定する高さ設定ダイヤル22h、車速を設定する車速レバー22i、油圧操作具22j、原動機回転数の上限を設定する回転設定具22k等である。
【0063】
変速切換スイッチ22d、高さ設定ダイヤル22h、回転設定具22kなどの設定具は、運転席4aの側方に設けたコンソールボックスに設けられている。設定具(変速切換スイッチ22d、高さ設定ダイヤル22h、回転設定具22k)を運転者が操作することによって、車体4の動作を設定することができる。なお、上述した操作部材22は一例であり、上述したものに限定されない。
【0064】
図7に示すように、トラクタ2は、複数の制御装置20を有している。制御装置20は、トラクタ2の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路等である。制御装置20は、様々な情報、例えば、制御プログラム、識別情報等を記憶する記憶装置23を有している。記憶装置23は、不揮発性のメモリ等から構成されている。即ち、複数の制御装置20は、記憶装置23を備えた電装品である。
【0065】
複数の制御装置20は、変速制御装置20Aと、モータ制御装置20Bと、PTO制御装置20Cと、昇降制御装置20Dと、自動操舵制御装置20Eと、第1姿勢制御装置20Fと、バッテリ充放電制御装置(充電制御部、放電制御部)20Gと、自動走行制御部20Hと、第2姿勢制御装置20Iとを含んでいる。なお、制御装置20は、変速制御装置20A、モータ制御装置20B、PTO制御装置20C、昇降制御装置20D、自動操舵制御装置20E、第1姿勢制御装置20F、バッテリ充放電制御装置20G、自動走行制御部20H、第2姿勢制御装置20Iの全てを含んでいる必要はなく、トラクタの仕様に応じて設けられればよい。
【0066】
また、変速制御装置20A、モータ制御装置20B、PTO制御装置20C、昇降制御装置20D、自動操舵制御装置20E、姿勢制御装置20F、バッテリ充放電制御装置20G、自動走行制御部20H、及び、第2姿勢制御装置20Iは、統合した統合制御装置に設けられていてもよい。変速制御装置20Aは、変速制御を行う。変速制御では、自動変速機能が有効である場合、トラクタ2の状態に応じて主変速部13b及び副変速部13cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置13の変速段(変速レベル)を予め定められた変速段(変速レベル)に自動的に変更する。変速制御では、変速切換スイッチ22dを手動変速に切り換えた場合、変速レバー22eで設定された変速段(変速レベル)に応じて主変速部13b及び副変速部13cのいずれかを自動的に切り換え、変速装置13の変速段を変更する。
【0067】
変速制御装置20Aは、走行装置5の走行駆動状態(走行装置5の動作)における制御(走行切換制御)を行う。走行切換制御では、シャトルレバー22aが前進に操作された場合、シャトル部13dの前後進切換部17を前進に切り換えることで、車体4を前進させる。また、進行切換制御は、シャトルレバー22aが後進に操作された場合、シャトル部13dの前後進切換部17を後進に切り換えることで、車体4を後進させる。
【0068】
モータ制御装置20Bは、インバータ制御により電動モータ11の制御を行う。電動モータ制御では、イグニッションスイッチ22bがONに操作された場合、所定の処理を経て電動モータ11の始動を行い、イグニッションスイッチ22bがOFFに操作された場合、電動モータ11の駆動を停止させる。電動モータ制御では、アクセル22fが操作された場合、当該アクセル22fの操作量に応じて電動モータ11の回転数が変更するようインバータに制御することで、車体4の車速(速度)を変更する。
【0069】
PTO制御装置20Cは、PTO制御を行う。PTO制御では、PTO変速レバー22cが操作された場合、PTO変速部19cのPTO変速ギアを切り換えることでPTO推進軸19aの回転速度(PTO回転数)を変更する。
【0070】
昇降制御装置20Dは、第1連結装置6における昇降制御を行う。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ22gが上昇させる方向(上昇側)に操作された場合、制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。昇降制御では、手動昇降機能が有効である場合、ポンパスイッチ22gが下降させる方向(下降側)に操作された場合、制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを収縮させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を下降させる。連結装置6によって作業装置3を上昇させている場合に、当該作業装置3の位置、即ち、リフトアーム6Aの角度が高さ設定ダイヤル22hで設定された上限(高さ上限値)に達すると、第1連結装置6における上昇動作を停止する。
【0071】
昇降制御では、バックアップ機能が有効である場合、車体4が後進した場合に自動的に制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。昇降制御では、オートアップ機能が有効である場合、操舵装置15の操舵角が所定以上になると、自動的に制御弁を制御することでシフトシリンダ6Cを伸長させ、リフトアーム6Aの後端部(作業装置3側の端部)を上昇させる。
【0072】
自動操舵制御装置20Eは、自動操舵制御を行う。自動操舵制御では、後述する運転切換スイッチ65がONに操作された場合、操舵装置15が自動制御され、車体4が設定された走行予定ルートを走行するよう、前輪5Fの操舵方向を変更する。
【0073】
第1姿勢制御装置20Fは、作業装置3の位置調整による姿勢制御を行う。当該姿勢制御では、作業装置3の高さを調整する場合、制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ6CL及び第2リフトシリンダ6CRの両方の長さを、予め定められた長さに固定する。当該姿勢制御では、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)を調整する場合、制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ6CLと第2リフトシリンダ6CRのいずれか一方を駆動する。
【0074】
バッテリ充放電制御装置20Gは、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの放電・充電の制御を行う。バッテリ充放電制御装置20Gは、調整器60を、放電モード・回生モードの何れかに切り替える。放電モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、アクセルペダルの操作量、電動モータ11の回転数等に基づいて、電動モータ11から電力回生が行われると判定した場合に、回生モードに切り替える。また、回生モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、アクセルペダルの操作量、電動モータ11の回転数等に基づいて、電動モータ11に電力供給が必要と判定した場合に、放電モードに切り替える。
【0075】
バッテリ充放電制御装置20Gは、放電モードである場合、調整器60を、第1放電モード・第2放電モードの何れかに切り替える。第1放電モード及び第2放電モードの間では、メイン電源供給経路P1からの受入電力、及び、サブ電源供給経路P2からの受入電力の割合が異なる。第1放電モードでは、バッテリ充放電制御装置20Gは、メイン電源供給経路P1からの受入電力よりも、サブ電源供給経路P2からの受入電力の方が大きくなるように、調整器60を制御する。即ち、第1放電モードでは、サブバッテリ12Sからの放電量が、メインバッテリ12Mからの放電量よりも大きくなる。第2放電モードでは、バッテリ充放電制御装置20Gは、サブ電源供給経路P2からの受入電力よりも、メイン電源供給経路P1からの受入電力の方が大きくなるように、調整器60を制御する。即ち、第2放電モードでは、メインバッテリ12Mからの放電量が、サブバッテリ12Sからの放電量よりも大きくなる。第1放電モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、メインバッテリ12Mの残量が、サブバッテリ12Sの残量よりも大きく、且つ、各残量の差が所定値以上であると判定した場合に、第2放電モードに切り替える。また、第2放電モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、サブバッテリ12Sの残量が、メインバッテリ12Mの残量よりも大きく、且つ、各残量の差が所定値以上であると判定した場合に、第1放電モードに切り替える。
【0076】
バッテリ充放電制御装置20Gは、回生モードである場合、調整器60を、第1回生モード・第2回生モードの何れかに切り替える。第1回生モード及び第2回生モードの間では、メイン電源供給経路P1への送出電力、及び、サブ電源供給経路P2への送出電力の割合が異なる。第1回生モードでは、バッテリ充放電制御装置20Gは、サブ電源供給経路P2への送出電力をゼロとし、調整器60にて受け入れた電力を、メイン電源供給経路P1へ全て送出するように、調整器60を制御する。即ち、第1回生モードでは、メインバッテリ12Mでの充電量が、サブバッテリ12Sでの充電量よりも大きくなる。第2回生モードでは、バッテリ充放電制御装置20Gは、メイン電源供給経路P1への送出電力をゼロとし、調整器60にて受け入れた電力を、サブ電源供給経路P2へ全て送出するように、調整器60を制御する。即ち、第2回生モードでは、サブバッテリ12Sでの充電量が、メインバッテリ12Mでの充電量よりも大きくなる。第1回生モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、メインバッテリ12Mの残量が、所定値以上であると判定した場合に、第2回生モードに切り替える。また、第2回生モードである状態において、バッテリ充放電制御装置20Gは、メインバッテリ12Mの残量が、所定値未満であると判定した場合に、第1放電モードに切り替える。
【0077】
本実施形態では、メインバッテリ12Mの残量は、メインバッテリセンサ21bにより検出されるメインバッテリ12Mの電圧等に基づいて算出される。サブバッテリ12Sの残量は、サブバッテリセンサ21jにより検出されるサブバッテリ12Sの電圧等に基づいて算出される。
【0078】
より具体的には、メインバッテリ12Mの走行開始時の初期残量Q1と、メインバッテリ12Mの電池消費量Q2と、メインバッテリ12Mの回生による充電量Q3とに基づいて、圃場の所定位置におけるメインバッテリ12Mの残量(理論残量)Q4を求めることができる。初期残量Q1(単位:kJ)は、例えば、検出されるメインバッテリ12Mの電圧等に基づいて算出される。電池消費量Q2(単位:kJ)は、例えば、トラクタが圃場の走行ルートを走行した場合の走行距離に単位距離当たりの作業負荷を乗算した値と、調整器60での電力受入割合とに基づいて求められる。充電量Q3(単位:kJ)は、例えば、電動モータ11の回転数、車速、調整器60での電力送出割合等に基づいて、算出される。そして、初期残量Q1から電池消費量Q2を減算した値に、充電量Q3を加算することで、メインバッテリ12Mの残量Q4が求められる。サブバッテリ12Sの残量(理論残量)も、上述と同様に求められる。
【0079】
トラクタ2には、運転切換スイッチ65が接続されている。運転切換スイッチ65は、ON/OFFに切り換え可能なスイッチであって、ONである場合に自動走行制御部20Hを自動運転モードに設定することができ、OFFである場合に自動走行制御部20Hを手動運転モードに設定することができる。自動走行制御部20Hは、車体4の自動運転を制御する。自動走行制御部20Hは、自動運転モードになっている場合に自動運転を開始する。自動運転の制御では、車体4の位置と、設定された走行予定ルートとの偏差に基づいて、操舵装置15の操舵角を変更する。上述した実施形態における自動運転における操舵角の設定は一例であり、限定されない。なお、自動走行制御部20Hは、走行予定ルートと車速とが対応付けられている場合、現在のトラクタ2の車速が走行予定ルートに対応した車速に一致するように変速装置13の変速段、電動モータ11の回転数等を自動的に変更する。
【0080】
第2姿勢制御装置20Iは、サブバッテリ12Sの位置調整による姿勢制御を行う。当該姿勢制御では、サブバッテリ12Sの高さを調整する場合、制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ7CL及び第2リフトシリンダ7CRの両方の長さを、予め定められた長さに固定する。当該姿勢制御では、車両幅方向の傾き(右部の高さと左部の高さの差)を調整する場合、制御弁に制御信号を出力することで、第1リフトシリンダ7CLと第2リフトシリンダ7CRのいずれか一方を駆動する。
【0081】
トラクタ2は、通信装置26を備えている。通信装置26は、外部機器47に直接通信及び間接通信のいずれかを行う通信装置(通信モジュール)であって、例えば、通信規格であるIEEE802.11シリーズのWi-Fi(Wireless Fidelity、登録商標)、BLE(Bluetooth(登録商標) Low Energy)、LPWA(Low Power, Wide Area)、LPWAN(Low-Power Wide-Area Network)等により無線通信を行うことができる。また、通信装置26は、携帯電話通信網又はデータ通信網などにより無線通信を行う通信装置(通信モジュール)であってもよい。
【0082】
外部機器47は、例えば、タブレット、スマートフォン、PDA等の携帯型の端末(携帯端末)47a、パーソナルコンピュータ、サーバ等の固定型のコンピュータ等の固定型の端末(固定端末)47bである。トラクタ2は、表示装置25を備えている。表示装置25は、トラクタ2に関する様々な情報を表示する装置である。表示装置25は、運転席4aの周囲に設置されて、運転者が表示された内容を確認することができる。表示装置25は、運転情報を表示するメータパネル装置、様々な作業機に関する設定等を行う補助パネル装置等である。
【0083】
トラクタ2(車体4)は、車載ネットワークN1を有している。車載ネットワークN1は、CAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、MOST(Media Oriented System Transport)、FlexRay、ISO11783(ISOBUS)等のネットワークである。車載ネットワークN1には、様々な電装品等で構築されていて、複数の制御装置20、複数の検出装置21、複数の操作部材22、通信装置26、表示装置25が接続されている。
【0084】
図3図6図7に示すように、トラクタ2(車体4)の後方に設けられたコネクタ61は、外部から車載ネットワークN1への接続を可能とする。通信ケーブル61Cは、トラクタ2と散布装置3とを接続している。通信ケーブル61Cの一端部はケーブルコネクタ61Aに接続され、通信ケーブル61Cの他端部は作業装置3に接続されている。また、電源ケーブル61Bは、トラクタ2と散布装置3とを接続している。電源ケーブル61Bの一端部はケーブルコネクタ61Aに接続され、電源ケーブル61Bの他端部は散布装置3の電動モータ50aに接続されている。このように、ケーブルコネクタ61Aは、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの各一端部を集約するようになっている。
【0085】
コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aは、互いに着脱可能である。コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aの形状は、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cが着脱可能であれば限定されない。例えば、コネクタ61側が、作業装置供給経路P4の末端と接続される電源用雄ピン、及び、車載ネットワークN1の末端と接続される通信用雄ピンを有し、且つケーブルコネクタ61A側が、電源ケーブル61Bの一端部と接続される電源用雌ピン、及び、通信ケーブル61Cの一端部と接続される通信用雌ピンを有していてもよい。なお、コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aにおいて、上述のピンの雄雌が逆であってもよい。
【0086】
コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aが互いに装着されたとき、電源用雄ピン及び電源用雌ピンと、通信用雄ピン及び通信用雌ピンと、がそれぞれ接続される。これにより、コネクタ61を介して、作業装置供給経路P4から散布装置3の電動モータ50aへの電気エネルギの供給が可能となり、且つトラクタ2及び作業装置3間の通信信号の送信が可能となる。一方、コネクタ61及びケーブルコネクタ61Aが互いに脱離されたとき、電源用雄ピン及び電源用雌ピンの接続と、通信用雄ピン及び通信用雌ピンの接続と、がそれぞれ切断される。これにより、コネクタ61を介して、作業装置供給経路P4から散布装置3の電動モータ50aへの電気エネルギの供給が遮断され、且つトラクタ2及び作業装置3間の通信信号の送信が遮断される。なお、コネクタ61からケーブルコネクタ61Aが脱離された状態においては、蓋体によりコネクタ61を塞ぐようにしてもよい。
【0087】
図3図8に示すように、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cは、ケーブルコネクタ61A側において、互いに一体となるよう結束具109により結束され、ケーブルコネクタ61Aから後方に向かう途中にて互いに分岐してもよい。電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cは、結束部位においては一体的に配策され、分岐部位より後方においては、別々に配策されてもよい。例えば、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの結束部位は、第1連結装置6の上方(トップリンク6B1よりも上方)を通って作業装置3側へと配策される。電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの分岐部位以後は、作業装置3における電動モータ50a及び通信系統のそれぞれの接続位置に応じて、配策が別々に調整される。
【0088】
<作業装置>
作業装置3は、農作業を行う装置である。言い換えれば、作業装置3は、圃場に対して作業を行う装置である。作業装置3は、トラクタ2のPTO軸19からの動力、及び、作業装置3の電動モータ50aからの動力が伝達されて駆動する。具体的には、作業装置3としては、圃場に散布物を散布する散布装置、圃場に種を播く播種装置、刈り取った作物(牧草等)を集めて成形する成形装置(ベーラ)等が好適に使用される。散布装置としては、圃場に肥料を散布する肥料散布装置(スプレッダ)や、圃場に薬剤(薬液)を散布する薬剤散布装置(スプレーヤ)等が使用される。播種装置としては、例えば、種子を条播きするドリルシーダ等のシーダや、一定間隔で種を播くプランタ等が使用される。本実施形態の場合、作業装置3は散布装置であるため、以下、作業装置3が散布装置3であるとして説明をする。
【0089】
図1図2に示すように、散布装置3は、収容部31と散布部32とを備えている。収容部31は、圃場に散布される散布物(肥料、農薬等)を収容する。収容部31は、略逆角錐形のホッパから構成されている。ホッパは、第1ホッパ31Aと第2ホッパ31Bとを含む。第1ホッパ31Aは、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2ホッパ31Bは、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。但し、ホッパの数は限定されない。収容部31は、上端部に散布物の投入口を有し、下端部に散布物を取り出す取出口を有している。取出口の数は限定されないが、本実施形態の場合、後述する回転体(ディスク)40の数に応じて設定されている。具体的には、回転体40の数が2つであり、取出口の数も2つである。尚、回転体40の数が2つであり、取出口の数が1つであってもよい。
【0090】
散布部32は、作業装置3の作業部であって、回転することにより農作業(肥料や薬剤等の散布物の散布)を行う。散布部32は、収容部31に収容された散布物を散布する。図1に示すように、散布部32は、収容部31の下方に設けられている。散布部32は、少なくとも2つ以上の散布部を含んでいる。少なくとも2つ以上の散布部は、全ての散布部の散布方向が異なることが好ましいが、散布方向が同じ散布部を含んでいてもよい。
【0091】
図2に示すように、散布部32は、第1散布部321と第2散布部322とを含む。即ち、本実施形態の場合、散布部32の数は2つである。但し、散布部32の数は、2つには限定されず、3つ以上であってもよい。散布部32の数と回転体40の数は同じである。第1散布部321と第2散布部322とは、車両幅方向に並んで設けられている。以下、2つの散布部(第1散布部321、第2散布部322)について説明する。
【0092】
第1散布部321は、車両幅方向の一方側(左側)に配置されている。第2散布部322は、車両幅方向の他方側(右側)に配置されている。第1散布部321は、第1回転体410とシャッタ装置とを有している。第1回転体410は、円板状であって、縦方向(上下方向)に延びる中心軸40a回りに回転する。図8に示すように、第1回転体410の上面には、複数の回転翼(羽根部材)40bが取り付けられている。回転翼40bは、第1回転体410と共に中心軸40a回りに回転する。複数の回転翼40bは、周方向に間隔をあけて配置されており、中心軸40aの近傍から径外方向に向けて延びている。第1回転体410は、中心軸40a回りに回転することによって、収容部31の下方の取出口から落下してきた散布物を、回転翼40bに当てて外方(径外方向)に向けて放射状に飛散させる。この取出口の開口面積は、シャッタにより変更可能となっている。これにより、第1散布部321による散布物の散布量が調整される。第2散布部322についても、同様の構成となっており、散布物の散布量が調整される。
【0093】
図2に示すように、第1回転体410と第2回転体420とは、車両幅方向に並んで設けられ、互いに異なる方向に回転する。本実施形態の場合、図2中の黒矢印で示すように、平面視において、第1回転体410が時計回り方向に回転し、第2回転体420が反時計回り方向に回転する。第1回転体410は、収容部31の取出口の下方に配置されている。この取出口から落下してきた散布物は、回転する第1回転体410によって散布される。第2回転体420は、収容部31の取出口の下方に配置されている。この取出口から落下してきた散布物は、回転する第2回転体420によって散布される。本実施形態の場合、第1散布部321と第2散布部322の散布方向はそれぞれ異なっている。第1散布部321の散布方向は、車両幅方向の一方及び後方である。第2散布部322の散布方向は、車両幅方向の他方及び後方である。図2の白抜き矢印に示すように、本実施形態の場合、第1散布部321の主な散布方向は左方及び左後方、第2散布部322の主な散布方向は右方及び右後方である。尚、白抜き矢印で示した方向は、主たる散布方向であり、実際には白抜き矢印で示した方向を含む扇形状に拡がって散布される。
【0094】
図1図8に示すように、散布装置3は、動力伝達機構50を備えている。動力伝達機構50は、入出力軸、ギヤ等を含んでおり、電動モータ11及び電動モータ50aから供給される動力が入力され、且つ入力された動力を散布部32に伝達する。具体的には、図6に示すように、動力伝達機構50は、トラクタ2の電動モータ11からの動力が、PTO軸19(PTO出力軸19b)を介して入力されるようになっている。また、動力伝達機構50は、散布装置3の電動モータ50aからの動力が、モータ出力軸50bを介して入力されるようになっている。動力伝達機構50にて、入力されたPTO出力軸19b及びモータ出力軸50bの動力は、統合及び変速を経て、第1回転体410及び第2回転体420に伝達されるようになっている。即ち、電動モータ11及び電動モータ50aからの動力によって、第1回転体410と第2回転体420を回転させることができる。また、動力伝達機構50の変速部によって、第1回転体410と第2回転体420の回転速度を変更することができる。上述のように構成される収容部31、散布部32、及び、動力伝達機構50は、フレーム97により支持されている。
【0095】
図8に示すように、散布装置3は、フレーム97を備えている。但し、フレーム97の構成は、図示した構成には限定されない。以下の説明では、フレーム97に関する方向(上、下、前、後、左、右)については、散布装置3をトラクタ2の後部に連結した状態を基準とする。フレーム97は、上部フレーム97A及び下部フレーム97Bと、連結部98と、を有している。
【0096】
図2図8に示すように、上部フレーム97Aは、収容部31を支持するフレームであって、散布部32よりも上方に位置している。上部フレーム97Aは、平面視にて略ロの字の矩形枠状に形成されている。上部フレーム97Aには、収容部31(第1ホッパ31A、第2ホッパ31B)が設置されている。下部フレーム97Bは、上部フレーム97Aの下方に配置されている。下部フレーム97Bには、散布部32(第1散布部321、第2散布部322)、及び、動力伝達機構50が、上記略ロの字の中空部に位置するよう、ブラケットを介して支持されている。連結部98は、フレーム97の前端部において、連結部6の3点リンク機構6B(トップリンク6B1、第1ロアリンク6B2L、及び、第2ロアリンク6B2R)の後端部に対応する位置に設けられている。連結部98は、トラクタ2の後部に設けられた第1連結装置6に対して、着脱可能に連結される。連結部98を第1連結装置6に対して連結することにより、散布装置3がトラクタ2の後部に着脱可能に連結される。
【0097】
図7に示すように、散布装置3は、作業制御装置3aを備えている。作業制御装置3aは、散布装置3の様々な制御を行う装置であり、CPU、電気電子回路等である。作業制御装置3aは、様々な情報、例えば、制御プログラム、識別情報等を記憶する記憶装置を有している。記憶装置は、不揮発性のメモリ等から構成されている。散布装置3及びトラクタ2を接続する通信ケーブル61C及びコネクタ61を介して、作業制御装置3aは、車載ネットワークN1に接続される。これにより、トラクタ2及び散布装置3間で、通信信号の送受信が可能となっている。
【0098】
<バッテリの交換及びバッテリの配送・回収>
一般に、バッテリにおいては、貯留しておいた電気エネルギを使い切ると、走行車体が停止してしまう。このため、補給用(交換用)のバッテリを作業機の位置まで輸送する必要が生じる等、全体として作業効率が悪化する場合がある。本実施形態では、上述のように、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sにより電動モータ11が駆動されるため、圃場での作業が進行すると、装着中のメインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの残量が減少していく(図9の放電モードを参照)。そして、サブバッテリ12Sを交換することで、電気エネルギを補給するようになっている。作業効率の悪化を抑制するためにも、サブバッテリ12Sの交換は、適切な場所、タイミングにて実施されることが好ましい。他方、作業装置における資材についても、同様の傾向があるため、資材補給は、図11に示すように、圃場Fの作業エリアの外側であって農道Rに接しているエリアAにて、資材を補給するようにしてもよい。この場合、当該エリアAを、サブバッテリ12Sの交換のためのエリアとしても活用できる。
【0099】
圃場Fにおいて、上記「農道Rに接しているエリアA」でのサブバッテリ12Sの交換が実現できるよう、補給用(交換用)のサブバッテリ12Sの配送、及び、使用後のサブバッテリ12Sの回収は、下記のように実施される。本実施形態では、圃場Fから離れた配送拠点(配送センター)にて、装着されていないサブバッテリ12Sが保管されているものとする。当該配送拠点では、圃場Fに向けて配送する交換用のサブバッテリ12Sの保管、又は、圃場Fにて回収した使用後のサブバッテリ12Sを充電することができる。交換用のサブバッテリ12Sの配送、及び、使用後のサブバッテリ12Sの回収は、サブバッテリ12Sを搭載でき搬送可能なトラック等の運搬車により、実施される。交換用のサブバッテリ12Sとは、充電が十分に行われているバッテリ、例えば、バッテリの最大充電量を100%とした場合に充電量が80%以上であるバッテリのことである。なお、充電量が80%以上に限定はされない。
【0100】
交換用のサブバッテリ12Sを、圃場Fに向けて配送する場合には、例えば、配送拠点にて保管されている交換用のサブバッテリ12Sが運搬車Tに搭載されて、図11(a)に示すように、当該運搬車Tが配送拠点から圃場Fに向けて走行し、農道Rに接している圃場FのエリアAに到達する。そして、図11(b)に示すように、当該エリアA(例えば、資材補給のエリア)にて、運搬車Tに搭載されていたサブバッテリ12Sが、交換用のサブバッテリ12Sとして荷下ろしされる。一方、図11(c)に示すように、作業機1から脱離されるサブバッテリ12Sは、使用後のサブバッテリ12Sとして、エリアAにて静置されるとともに、既に静置されていた交換用のサブバッテリ12Sを作業機1に装着する。なお、荷下ろし後の運搬車Tは、他の圃場に向かい他のバッテリを回収した後、配送拠点に戻る。
【0101】
そして、使用後のサブバッテリ12SをエリアAから回収する場合には、図11(d)に示すように、農道Rを経てエリアAに到達した運搬車Tに、静置されていた使用後のサブバッテリ12Sを搭載し、運搬車Tが配送拠点に向けて走行していく。なお、運搬車Tからのサブバッテリ12Sの荷下ろし、及び、運搬車Tへのサブバッテリ12Sの搭載は、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。作業機1からの装着中のサブバッテリ12Sの脱離、及び、交換用のサブバッテリ12Sの作業機1への装着は、トラクタの運転手により実施されてもよいし、配送拠点のサービスとして、運搬車Tのドライバにより実施されてもよい。
【0102】
上述のサブバッテリ12Sの配送、及び、サブバッテリ12Sの回収を可能とするために、配送拠点(配送センター)には、コンピュータが設置されている。当該コンピュータと、作業機(トラクタ)1の通信装置26とは、ネットワーク等を介して通信可能である。配送拠点(配送センター)のコンピュータは、配送に関する様々な情報(以下、配送情報という)を取得し、取得した配送情報に基づいて、配送拠点(配送センター)に設置された様々な機器、装置を制御する。配送情報とは、サブバッテリ12Sの配送を要求するための指示信号(要求信号)、サブバッテリ12Sの回収を要求するための指示信号(回収信号)、作業機(トラクタ)1の車体位置等である。要求信号、回収信号及び車体位置は、例えば、作業機(トラクタ)1の通信装置26から送信され、配送拠点(配送センター)のコンピュータが受信(取得)する。
【0103】
より具体的には、制御装置20は、作業機1の作動中において、装着中のサブバッテリ12Sの残量が所定値よりも小さく、装着中のサブバッテリ12Sの交換が必要と判定した場合、通信装置26に対して要求信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置26は、コンピュータ(配送拠点)に要求信号と車体信号を送信する。要求信号と車体位置とを受信した配送拠点のコンピュータは、当該コンピュータのモニタ等に、「バッテリ配送要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、上記表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けてサブバッテリ12Sを配送するよう指示がなされる。
【0104】
また、制御装置20は、作業機1の停止中において、サブバッテリ12Sの脱離により電位が一旦ゼロとなった後に、サブバッテリ12Sの装着により残量が復帰して、装着されていたサブバッテリ12Sが交換用のサブバッテリ12Sと交換されたと判定した場合、通信装置26に対して回収信号及び車体位置の送信を指示し、通信装置26は、コンピュータ(配送拠点)に回収信号と車体信号を送信する。回収信号と車体位置とを受信した配送拠点のコンピュータは、当該コンピュータのモニタ等に、「バッテリ回収要求あり」の旨の表示と、当該車体位置の表示がなされる。配送拠点において、上記表示をオペレータが確認し、配送ドライバに対して、車体位置に対応する圃場に向けて使用後のサブバッテリ12Sを回収するよう指示がなされる。
【0105】
更に、自動運転モードに設定されている場合においては、制御装置20は、装着中のサブバッテリ12Sの交換が必要と判定した場合、農道Rに接している圃場FのエリアAに、トラクタ2を自動運転により移動させる。当該エリアAには、配送された交換用のサブバッテリ12Sが静置されているため、圃場Fの作業エリアにてバッテリを使い切る前に、サブバッテリ12Sの交換を効率的に実施できる。
【0106】
<実際の作動>
上述のように構成された作業機1における、バッテリ充放電制御、及び、サブバッテリ12Sの交換に関する制御の作動を説明する。図9のタイムチャートに示すように、圃場Fにて作業機1が、作業および走行を開始した時刻t0からの作動を説明する。時刻t0においては、メインバッテリ12Mおよびサブバッテリ12Sの残量が、それぞれ最大量Qmaxであるものとする。また、放電モード及び回生モードの何れかが設定されるが、放電モードにおいては、通常、第1放電モードが採られ、回生モードにおいては、通常、第1回生モードが採られるものとする。なお、時刻t0においては、調整器60が第1放電モードに設定されているものとする。メインバッテリ12Mの残量、及び、サブバッテリ12Sの残量の経時変化は、実線、及び、一点鎖線でそれぞれ表示されている。
【0107】
図10のフローチャートに示すように、先ず、サブバッテリ12Sの交換が必要であるか否かが、判定される(S1)。より具体的には、上述した演算で得られるサブバッテリ12Sの残量が、所定値Qth1(<Qmax)以下であるか否かが、判定される。時刻t0では、サブバッテリ12Sの残量が、最大量Qmaxであるため、S1にて「No」と判定される。次いで、回生条件が成立しているか否かが、判定される(S2)。より具体的には、現時点で、アクセルペダルの操作量、電動モータ11の回転数等に基づいて、電動モータ11から電力回生が行われるか否かが、判定される。時刻t0では、電力回生が行われないため、S2にて「No」と判定される。次いで、第2放電モードへの切替の必要があるか否か、が判定される(S3)。より具体的には、現時点で、第1放電モードであり、メインバッテリ12Mの残量がサブバッテリ12Sの残量より大きく、且つ、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの残量差dQが、所定値dQth以上であるか否かが、判定される。時刻t0では、残量差dQがゼロであるため、S3にて「No」と判定される。次いで、調整器60を、第1放電モードとして、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sからの放電を実行し(S4)、その後、一旦S1にリターンする。
【0108】
第1放電モードでは、メイン電源供給経路P1からの受入電力よりも、サブ電源供給経路P2からの受入電力の方が大きくなるように、調整器60が制御される。この状態で、メインバッテリ12Mから、トラクタ2の電動モータ11及び散布装置3の電動モータ50aに電力が供給され、サブバッテリ12Sからも、トラクタ2の電動モータ11及び散布装置3の電動モータ50aに電力が供給される(図6参照)。即ち、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの供給電力は、トラクタ2の走行、及び、散布装置3の作業の両方に使用される。ここにおいて、サブバッテリ12Sからの電力供給の方が、メインバッテリ12Mからの電力供給よりも大きくなる。
【0109】
このため、図9に示すように、時刻t0以降第1放電モードが継続し、サブバッテリ12Sの残量は、メインバッテリ12Mの残量よりも大きく減少していく。この減少傾向に応じて、時刻t0以降、残量差dQはゼロから増大していき、時刻t1にて、メインバッテリ12Mの残量がサブバッテリ12Sの残量よりも大きく、且つ、残量差dQが所定値dQth以上になるものとする。
【0110】
時刻t1になると、図10のS1,S2にて「No」、S3にて「Yes」とそれぞれ判定される。次いで、調整器60を、第2放電モードとして、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sからの放電を実行し(S5)、その後、一旦S1にリターンする。
【0111】
第2放電モードでは、サブ電源供給経路P2からの受入電力よりも、メイン電源供給経路P1からの受入電力の方が大きくなるように、調整器60が制御される。この状態で、メインバッテリ12Mから、トラクタ2の電動モータ11及び散布装置3の電動モータ50aに電力が供給され、サブバッテリ12Sからも、トラクタ2の電動モータ11及び散布装置3の電動モータ50aに電力が供給される(図6参照)。即ち、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの供給電力は、トラクタ2の走行、及び、散布装置3の作業の両方に使用される。ここにおいて、メインバッテリ12Mからの電力供給の方が、サブバッテリ12Sからの電力供給よりも大きくなる。
【0112】
このため、図9に示すように、時刻t1以降第2放電モードが継続し、メインバッテリ12Mの残量は、サブバッテリ12Sの残量よりも大きく減少していく。この減少傾向に応じて、時刻t1以降、残量差dQは減少していく。これにより、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの残量を、平準化できる。時刻t1以降、第2放電モードが継続した後に、時刻t2にて回生条件が成立するものとする。
【0113】
時刻t2になると、図10のS1にて「No」、S2にて「Yes」とそれぞれ判定される。次いで、第2回生モードへの切替の必要があるか否か、が判定される(S6)。より具体的には、現時点で、メインバッテリ12Mの残量が、所定値Qth2(Qmax>Qth2>Qth1)以上であるか否かが、判定される。時刻t2では、メインバッテリ12Mの残量が大きく減少しており、所定値Qth2よりも小さいため、S6にて「No」と判定される。次いで、調整器60を、第1回生モードとして、メインバッテリ12Mへの充電を実行し(S7)、その後、一旦S1にリターンする。
【0114】
第1回生モードでは、サブ電源供給経路P2への送出電力をゼロとし、調整器60にて受け入れた電力を、メイン電源供給経路P1へ全て送出するように、調整器60が制御される。この状態で、トラクタ2の電動モータ11から、メインバッテリ12Mに電力が供給される(図6参照)。ここにおいて、メインバッテリ12Mへの電力供給の方が、サブバッテリ12Sへの電力供給よりも大きくなる。
【0115】
このため、図9に示すように、時刻t2以降第1回生モードが継続し、サブバッテリ12Sの残量は増加せず、メインバッテリ12Mの残量がより大きく増大していく。時刻t3にて、メインバッテリ12Mの残量が、所定値Qth2以上になるものとする。
【0116】
時刻t3になると、図10のS1にて「No」、S2,S6にて「Yes」とそれぞれ判定される。次いで、調整器60を、第2回生モードとして、サブバッテリ12Sへの充電を実行し(S8)、その後、一旦S1にリターンする。
【0117】
第2回生モードでは、メイン電源供給経路P1への送出電力をゼロとし、調整器60にて受け入れた電力を、サブ電源供給経路P2へ全て送出するように、調整器60が制御される。この状態で、トラクタ2の電動モータ11から、サブバッテリ12Sに電力が供給される(図6参照)。ここにおいて、サブバッテリ12Sへの電力供給の方が、メインバッテリ12Mへの電力供給よりも大きくなる。
【0118】
このため、図9に示すように、時刻t3以降第2回生モードが継続し、メインバッテリ12Mの残量は増加せず、サブバッテリ12Sの残量がより大きく増大していく。これにより、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sの残量を、平準化できる。時刻t3以降、第2回生モードが継続した後に、時刻t4にて回生条件が成立しなくなるものとする。また、時刻t4では、メインバッテリ12Mの残量が、サブバッテリ12Sの残量よりも大きく、残量差dQが所定値dQthよりも小さいものとする。
【0119】
時刻t4になると、図10のS1,S2,S3にて「No」とそれぞれ判定される。次いで、調整器60を、第1放電モードとして、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sからの放電を実行し(S4)、その後、一旦S1にリターンする。
【0120】
このため、図9に示すように、時刻t4以降第1放電モードが継続し、サブバッテリ12Sの残量は、メインバッテリ12Mの残量よりも大きく減少していく。時刻t5にて、サブバッテリ12Sの残量が、所定値Qth1以下になるものとする。
【0121】
時刻t5になると、図10のS1にて「Yes」とそれぞれ判定される。次いで、交換用の新しいサブバッテリ12Sを配送するよう、配送拠点に指示がなされる(S9)(図11(a)参照)。自動運転により、作業機1が圃場FのエリアAに移動するよう制御される(S10)(図11(b)参照)。そして、エリアAにてサブバッテリ12Sが交換されて、使用後のサブバッテリ12SがエリアAに静置されると、当該交換を検知して、使用後のサブバッテリ12Sを回収するよう配送拠点に指示がなされる(S11)(図11(c)参照)。
【0122】
<まとめ>
以上説明したように、本発明の実施形態に係る作業機1は、エネルギ源を貯留する貯留装置を備え、エネルギ源により駆動する。この貯留装置は、作業機1に設けられたメインバッテリ12M(第1貯留装置)と、作業機1のメインバッテリ12Mとは異なる位置に設けられたサブバッテリ12S(第2貯留装置)とを含み、これらのバッテリのうち、サブバッテリ12Sが作業機1に着脱可能となっている。このため、エネルギ源を貯留する貯留装置を交換でき、作業効率の悪化を抑制できる。メインバッテリ12Mの容量に加え、サブバッテリ12Sの容量に応じた分だけ、走行及び作業をより長く継続できる。このサブバッテリ12Sは、着脱可能であるため、残量が減少した場合には、サブバッテリ12Sを脱離させて、予め交換準備された充電済サブバッテリ12Sを着装できる。サブバッテリ12Sを交換することで、短時間で容易にエネルギ源の補給が可能となる。このため、メインバッテリ12Mよりもサブバッテリ12Sの放電量を大きくする等、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12S間での放電量の調整で、適切に作業効率を向上できる。
【0123】
実施形態の作業機1は特に、トラクタ2(走行車両)と、トラクタ2に設けられた散布装置3(作業装置)と、を備える。メインバッテリ12Mは、作業機1に着脱可能ではなく、トラクタ2及び/又は散布装置3を駆動するための電力を供給する。サブバッテリ12Sは、作業機1に着脱可能であり、メインバッテリ12Mによりトラクタ2及び/又は散布装置3を駆動するための電力が供給されている場合に、トラクタ2を駆動するための電力を供給する。これによれば、サブバッテリ12Sからトラクタ2の駆動のために電力が供給される分に応じて、メインバッテリ12Mの残量減少を抑制できる。メインバッテリ12Mを使い切った場合には、充電作業が必要になるところ、上記構成によれば、当該充電作業のタイミングを延長でき、適切に作業効率を向上できる。特に、上記構成は、トラクタ2の負荷が大きい場合に有効である。
【0124】
実施形態の作業機1では特に、サブバッテリ12Sは、メインバッテリ12Mによりトラクタ2及び/又は散布装置3を駆動するための電力が供給されている場合に、散布装置3を駆動するための電力を供給する。これによれば、サブバッテリ12Sから、トラクタ2及び散布装置3の駆動のために電力が供給される分に応じてメインバッテリ12Mの残量減少を抑制できる。従って、メインバッテリ12Mの残量減少を更に抑制でき、メインバッテリ12Mの充電作業のタイミングを更に延長できる。
【0125】
実施形態の作業機1は特に、トラクタ2と、トラクタ2に設けられた散布装置3と、トラクタ2からの電力回生が可能な電動モータ11(回生装置)と、を備える。メインバッテリ12Mは、作業機1に着脱可能ではない、電気エネルギを充放電可能なバッテリである。サブバッテリ12Sは、作業機1に着脱可能である、電気エネルギを充放電可能なバッテリである。また、作業機1は、メインバッテリ12Mの残量が所定値Qth2以上である場合、電装モータ11により電力回生された電気エネルギを、サブバッテリ12Sに充電するバッテリ充放電制御装置20G(充電制御部)を備える。これによれば、メインバッテリ12Mの残量が大きい場合には、第2回生モードとして、サブバッテリ12Sの充電量を優先的に大きくでき、各バッテリの残量を平準化できる。また、メインバッテリ12Mの残量が小さい場合には、第1回生モードとして、メインバッテリ12Mの充電量を優先的に大きくでき、メインバッテリ12Mの充電作業のタイミングを延長できる。
【0126】
実施形態の作業機1では特に、メインバッテリ12Mは、作業機1に着脱可能ではない、電気エネルギを充放電可能なバッテリである。サブバッテリ12Sは、作業機1に着脱可能である、電気エネルギを充放電可能なバッテリである。また、作業機1は、メインバッテリ12M、及び、サブバッテリ12Sのうち、電気エネルギの残量が大きい方からの放電量を、他方からの放電量よりも大きくするバッテリ充放電制御装置20G(放電制御部)を備える。これによれば、例えば、サブバッテリ12Sの放電量を優先的に大きくする第1放電モードを設定する場合、サブバッテリ12Sの残量よりもメインバッテリ12Mの残量が大きくなり、残量差dQも大きくなることがある。残量差dQが大きくなった場合には、第2放電モードとして、メインバッテリ12Mの放電量を優先的に大きくでき、各バッテリの残量を平準化できる。
【0127】
実施形態の作業機1は特に、トラクタ2と、トラクタ2に設けられた散布装置3と、を備える。メインバッテリ12Mは、作業機1に着脱可能ではなく、サブバッテリ12Sは、トラクタ2における散布装置3の反対側の位置に装着される。これによれば、サブバッテリ12Sをウェイトとしても機能させることができる。サブバッテリ12Sを、トラクタ2にとって重量負荷となる散布装置3とは反対側に装着でき、作業機1全体として、重量バランスをとり易くなる。
【0128】
実施形態の作業機1は特に、トラクタ2と、散布装置3と、トラクタ2に設けられ、且つ、散布装置3を連結可能な第1連結装置6と、メインバッテリ12M及びサブバッテリ12Sから散布装置3へ供給される電力の経路である電源ケーブル61B(供給経路)と、電源ケーブル61Bの接続および切断が可能なコネクタ61であって、接続時に電力の供給を可能とし、切断時に電力の供給を遮断するコネクタ61と、を備える。これによれば、電源ケーブル61Bの長さ、配策を調整して、散布装置3を駆動する電動モータ50aの位置に、自由度を持たせることができる。また、散布装置3を連結する際にコネクタ61を接続したり、連結された散布装置3を切り離す際にコネクタ61を取り外すことができる。
【0129】
実施形態の作業機1では特に、コネクタ61は、散布装置3が第1連結装置6に連結された場合に、散布装置3に対向するよう、トラクタ2に設けられる。具体的には、コネクタ61は、トラクタ2の後部に設けられており、第1連結装置6のトップリンク6B1の前端部、及び、リフトアーム6Aの前端部よりも上方に位置している。これによれば、コネクタ61を電動モータ50aに近づけることができ、電源ケーブル61Bの必要距離を短くすることができる。このため、電源ケーブル61Bの配策が容易となる。更に、電源ケーブル61Bの通電抵抗を低減できる。また、トラクタ2の後部に第1連結装置6が設けられる場合、コネクタ61を第1連結装置6の上方に配置することで、第1連結装置6と電源ケーブル61Bとの干渉を抑制できる。
【0130】
実施形態の作業機1では特に、貯留装置は、前記エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、散布装置3は、トラクタ2からの信号を受け取り可能である。作業機1は、トラクタ2からの信号を散布装置3に向けて送信する通信ケーブル61C(通信経路)と、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cのそれぞれの接続および切断が可能なコネクタ61であって、接続時に電気エネルギの供給および信号の送信を可能とし、切断時に電気エネルギの供給および信号の送信を遮断するコネクタ61と、を備える。これによれば、通信用コネクタを有効活用し、電源用コネクタと一体化でき、1つのコネクタ61にて電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cの接続・切断を実行できる。このため、コネクタ接続の手間を抑制でき、部品点数も削減できる。また、電源ケーブル61B及び通信ケーブル61Cも、結束等により一体化でき、別々に配策するのに比して、配策の手間を抑制できる。
【0131】
実施形態の作業機1は特に、サブバッテリ12Sを連結可能であり、サブバッテリ12Sを連結した場合に、作業機1へのサブバッテリ12Sの装着が達成される第2連結装置7を備えるサブバッテリ12Sは、第2連結装置7に着脱可能である、エネルギ源としての電気エネルギを充放電可能なバッテリであり、電気エネルギを放電するための端子部12S2(バッテリ端子部)を備える。第2連結装置7は、サブバッテリ12Sを連結した場合に、端子部12S2と接続される取付フック7D(端子接続部)を備え、サブバッテリ12Sから、端子部12S2および取付フック7Dを介して、作業機1に向けて電気エネルギを供給可能とする。これによれば、サブバッテリ12Sを第2連結装置7に連結するのみで、電気エネルギの供給が可能となる。このため、サブバッテリ12Sを交換する場合、サブバッテリ12Sにおけるケーブル接続・脱離等の作業が不要となる。従って、バッテリ交換の作業を容易なものとすることができる。
【0132】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0133】
1 :作業機
2 :走行車両(トラクタ)
3 :作業装置(散布装置)
3a :作業制御装置
6 :第1連結装置
7 :第2連結装置
7B :3点リンク機構
7B1 :トップリンク
7B2 :ロアリンク7
7B4 :ジョイント
7D :取付フック
7DL :取付フック
7DR :取付フック
7D1L :凹部
7D1R :凹部
11 :電動モータ
12M :メインバッテリ
12S :サブバッテリ
12S2 :端子部
12S2L:端子部
12S2R:端子部
12S4 :リンクバー
12S5 :上端部
20 :制御装置
20G :バッテリ充放電制御装置
26 :通信装置
60 :調整器
61 :コネクタ
61A :ケーブルコネクタ
61B :電源ケーブル
61C :通信ケーブル
N1 :車載ネットワーク
P1 :メイン電源供給経路
P2 :サブ電源供給経路
P3 :電動モータ供給経路
P4 :作業装置供給経路
Q4 :残量
Qth2 :所定値
dQth :所定値
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11