(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054372
(43)【公開日】2024-04-16
(54)【発明の名称】熱調節システム
(51)【国際特許分類】
F25B 17/08 20060101AFI20240409BHJP
F28D 20/02 20060101ALI20240409BHJP
【FI】
F25B17/08 C
F28D20/02 D
【審査請求】有
【請求項の数】22
【出願形態】OL
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2024023830
(22)【出願日】2024-02-20
(62)【分割の表示】P 2021568744の分割
【原出願日】2020-05-29
(31)【優先権主張番号】62/855,626
(32)【優先日】2019-05-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/936,942
(32)【優先日】2019-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(71)【出願人】
【識別番号】521502791
【氏名又は名称】ゴビ テクノロジーズ インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000877
【氏名又は名称】弁理士法人RYUKA国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ファウラー、ロウレンス モーガン
(72)【発明者】
【氏名】エリントン、ヴィクトリア イー. エイチ.
(72)【発明者】
【氏名】マイアー-ラックスフーバー、ピーター
(72)【発明者】
【氏名】ポールシュチュク、イヴァン
(72)【発明者】
【氏名】ワーズ、レイナー
(72)【発明者】
【氏名】シュミット、ラルフ
(57)【要約】 (修正有)
【課題】収着ヒートポンプシステムを使用して、調節された温度または熱伝達速度を維持することができるシステムを提供する。
【解決手段】収着ヒートポンプ100は、作動流体を収容し、流体を蒸発してガスを生成する蒸発器120と、収着材料を収容し、収着フェーズの間にガスを収着する収着器110と、蒸発器120と収着器110を接続する蒸気経路130と、経路を通る蒸発器120と収着器110との間の蒸気流の速度を制御し、経路を通るガスの流れを停止及び再開始できるようにするために選択的に動作可能である、熱制御ユニット140と、を有している。蒸発器120はコンパートメントの内部に、かつ収着器110はコンパートメントの外部に位置付けられ得るか、または、収着器110はコンパートメントの内部に、かつ蒸発器120はコンパートメントの外部に位置付けられ得る。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記蒸発器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記収着器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、温度制御容器。
【請求項2】
前記蒸発器内で熱を分散するヒートパイプ効果を形成するために、前記蒸発器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、請求項1に記載の温度制御容器。
【請求項3】
前記コンパートメントが、コンパートメント壁と、前記蒸発器と前記コンパートメント壁との間の前記相変化材料緩衝器と、を含む、請求項2に記載の温度制御容器。
【請求項4】
前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、請求項2または3に記載の温度制御容器。
【請求項5】
前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、請求項1から4のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項6】
前記コンパートメントの周りに位置付けられた断熱層をさらに含み、前記収着器が、前記断熱層の外側に位置付けられている、請求項1から5のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項7】
前記蒸発器内で熱を分散するヒートパイプ効果を形成するために、前記蒸発器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、請求項6に記載の温度制御容器。
【請求項8】
前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、請求項7に記載の温度制御容器。
【請求項9】
前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、請求項6から8のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項10】
前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の収着ヒートポンプ。
【請求項11】
前記コンパートメントの外部で前記収着器と熱的に接触する相変化材料緩衝器をさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の収着ヒートポンプ。
【請求項12】
前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、請求項1から11のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項13】
前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記取り外し可能カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記取り外し可能カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、請求項12に記載の温度制御容器。
【請求項14】
感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記蒸発器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記収着器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、温度制御容器。
【請求項15】
感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記収着器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記蒸発器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、温度制御容器。
【請求項16】
前記コンパートメントの温度を調節するために、前記収着器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、請求項15に記載の温度制御容器。
【請求項17】
前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、請求項15または16に記載の収着ヒートポンプ。
【請求項18】
前記コンパートメントの周りに位置付けられた断熱層をさらに含み、前記蒸発器が、前記断熱層の外側に位置付けられている、請求項15から17のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項19】
前記コンパートメントの温度を調節するために、前記収着器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項20】
前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、請求項15から19のいずれか一項に記載の温度制御容器。
【請求項21】
前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記取り外し可能カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記取り外し可能カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、請求項20に記載の温度制御容器。
【請求項22】
感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記収着器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記蒸発器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、温度制御容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、熱調節用のシステム、デバイス、及び方法に関する。
【背景技術】
【0002】
熱調節システムの1つの例は、収着ヒートポンプである。収着ヒートポンプは、作動流体とも称される作動材料を一方の場所(蒸発器)で蒸発させ、作動材料を違う場所(収着器)にある収着材料に収着させることによって、熱を一方の場所から別の場所へ移動させるデバイスである。蒸発器と収着器は蒸気経路によって接続されている。蒸発器内での作動流体の作動流体ガスへの蒸発は、熱エネルギーの入力を必要とし、それによって蒸発器を冷却する。収着器への作動材料の収着は、熱エネルギーを放出し、それによって収着器を加熱する。
【図面の簡単な説明】
【0003】
【
図1】収着ヒートポンプシステムと相変化材料緩衝器の概略図である。
【
図2】収着ヒートポンプと相変化材料緩衝器を使用した冷却構成にある熱調節システムを備えた温度制御容器の概略断面図である。
【
図3】収着ヒートポンプと相変化材料緩衝器を使用した加熱構成にある熱調節システムを備えた温度制御容器の概略断面図である。
【
図4】収着ヒートポンプ、相変化材料緩衝器、及びヒートパイプヒータを使用するユニバーサル構成にある熱調節システムを備えた温度制御容器の概略断面図である。
【
図5】外部から再充填可能な収着ヒートポンプ及び収着器と接触する相変化材料緩衝器を使用する冷却構成にある熱調節システムを備えた温度制御容器の概略断面図である。
【
図6】内部で再充填可能な収着ヒートポンプ及び収着器と接触する相変化材料緩衝器を使用する冷却構成にある熱調節システムを備えた温度制御容器の概略断面図である。
【
図7】収着ヒートポンプシステム及び複数の相変化材料緩衝器を使用する各チャンバの温度が異なる2チャンバの温度制御容器の概略断面図である。
【
図8】収着ヒートポンプの構成要素の分解図である。
【
図12A】蒸気経路が開いた状態で示されている例示的な熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【
図12B】蒸気経路が閉じた状態で示されている
図12Aの例示的な熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【
図12C】蒸気経路が開いた状態で示されている蒸気経路内にバリアを形成する内部ストッパーを使用する第2の例示的な熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【
図12D】蒸気経路が閉じた状態で示されている蒸気経路内にバリアを形成する内部ストッパーを使用している第2の例示的な
図12Cの熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【
図13A】真空断熱パネルで作られた例示的な断熱容器の断面図である。
【
図13B】真空断熱パネルで作られた別の例示的な断熱容器の断面図である。
【
図14】収着ヒートポンプ、相変化材料緩衝器、及びヒートパイプヒータを使用している温度制御容器の第1の例示的な熱的性能のグラフである。
【
図15】収着ヒートポンプ、相変化材料緩衝器、及びヒートパイプヒータを使用している第2の例示的な温度制御容器の熱的性能のグラフである。
【
図16】収着ヒートポンプ、相変化材料緩衝器、及びヒートパイプヒータを使用している第3の例示的な温度制御容器の熱的性能のグラフである。
【
図17】収着ヒートポンプ、相変化材料緩衝器、及びヒートパイプヒータを使用している第4の例示的な温度制御容器の熱的性能のグラフである。
【
図18】
図7の2チャンバ温度制御容器のプロトタイプの熱的性能のグラフであり、ここでは、収着ヒートポンプによって1つのチャンバが加熱され、1つのチャンバが冷却されている。
【
図19A】バルブが蒸気経路を開くように操作されて示されている、第3の例示的な熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【
図19B】バルブが蒸気経路を閉じるように操作されて示されている、第3の例示的な熱制御ユニットバルブ機構の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0004】
本発明の特定の実施形態の具体的な詳細は、そのような実施形態の完全な理解をもたらすために、以下の説明及び図面で示されている。
【0005】
本発明は、追加の実施形態を有することができ、特定の記載された実施形態について記載された詳細の1つ以上を伴わずに実施されることができ、または別の実施形態について記載された他の詳細を伴って実施された1つの特定の実施形態について記載された任意の詳細を有することができる。
【0006】
本明細書で使用される場合、特に明記しない限り、「a」及び「an」という用語は、「1つ(one)」、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つ以上(one or more)」を意味すると解釈される。文脈上別段の必要がない限り、本明細書で使用される単数形には複数形が含まれ、複数形には単数形が含まれるものとする。
【0007】
文脈上明確に別段の定めがない限り、発明を実施するための形態、及び特許請求の範囲の全体を通して、「含む(comprise)」、「含む(comprising)」などの単語は、排他的または網羅的な意味ではなく、包括的な意味で、つまり、「含むがこれに限定されない(including,but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。単数または複数を用いる単語には、それぞれ複数及び単数も含まれる。さらに、「本明細書の(herein)」、「上の(above)」、「下の(below)」という単語、及び同様の意味の単語は、本出願で使用される場合、本出願の特定の部分ではなく、本出願全体を指すものとする。
【0008】
本発明の一実施形態は、収着ヒートポンプシステムを使用して、調節された温度または熱伝達速度を維持することができるシステムであり、いくつかの実施形態では、相変化材料(PCM)緩衝器を使用するシステムである。いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステムは、蒸気流を制御するためのバルブ(例えば、オン/オフスイッチ)を有することができ、バルブは温度に依存していない。いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステムは、蒸気流を制御するためのサーモスタットを有することができ、サーモスタットは温度に応答して蒸気流を制御する。
【0009】
上述のように、
図1に示される収着ヒートポンプシステム100は、一方の場所(蒸発器120)で作動材料を蒸発させ、別の場所(収着器110)で作動材料を収着材料に収着させることによって、一方の場所から別の場所に熱を移動させるデバイスである。蒸発器120及び収着器110は、蒸気経路130によって接続されている。蒸発器120内の作動材料の蒸発は、熱エネルギーの入力を必要とし、それによって蒸発器を冷却する。収着器110内の作動材料の収着は、熱エネルギーを放出し、それによって収着器を加熱する。多くの作動材料/収着器のペアが知られている。例えば、特に効果的な材料のペアは、作動材料としての水と収着材料としてのゼオライトである。この水/ゼオライトのペアを使用することで、例えば、収着ヒートポンプから10mbar未満の圧力レベルまで空気を排出することにより、100ワットを超える冷却速度と加熱速度が達成され得る。水は、次いで、より低い圧力のために、蒸発器120内で、より低い温度で蒸発し、収着器110が水蒸気を収着する。蒸発器120内の水の正確な蒸発温度は、蒸発器120内の圧力を制御することによって制御され得る。圧力は、蒸発器と収着器との間の蒸気流量を制御する、蒸発器120と収着器110との間の熱制御ユニット140(例えば、バルブまたはサーモスタット)によって制御され得る。同様に、収着器内の温度は、熱制御ユニット140によって収着器への蒸気流量を制御することによって制御され得る。このようにして、一方の側から別の側への熱伝達速度が開始され、停止され、かつ制御され得る。例えば、熱制御ユニット140は、サーモスタットによって収着器の温度を制御することができる。例えば、熱制御ユニット140は、オン/オフバルブを使用するなど、温度に依存しない様式で収着器の温度を制御することができる。
【0010】
いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステムは、可逆的であるか、または「充填可能」である。このことは、通常、収着材料を加熱することにより、作動材料を収着材料から脱着され得ることを意味する。収着材料の加熱は、例えば、オーブンまたはトースターのような器具に配置された収着器を介して、多くの様式で実施され得る。別のタイプのヒータは、収着器110を内側から加熱する内蔵型加熱システムである。作動材料は、次いで収着材料から脱着し、蒸発器内、または収着器と蒸発器の間のコンパートメント内で凝縮する。その後、収着ヒートポンプが再度使用され得る。収着ヒートポンプシステムは、後で熱伝達システムとして使用する前に、エネルギー入力を必要とせずに「充填」して保存することができる。
【0011】
収着ヒートポンプシステムは、任意数の蒸発器セクション及び収着器セクションで構成され得る。いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステム100は、2つのセクション、すなわち、蒸発器120及び収着器110から構成されている。これらの2つのセクションは、蒸気経路130によって結合することができ、ここを通り熱が蒸気によって伝達される。蒸気経路は、蒸気が流れることを可能にするか、もしくは蒸気の流れを減速または停止するために可変的に開閉され得るバルブまたは他の蒸気制御機構などの熱制御ユニット140を有することができる。バルブが開いているとき、蒸気は蒸発器120で蒸発し、収着器110に収着または吸収され、それによって、蒸発器セクションから収着器セクションに熱を伝達する。
【0012】
PCMとして知られる相変化材料は、特定の温度または温度範囲で相を変化させる材料である。基本的な相変化材料の一例は、水であり、水は摂氏0度(「℃」)で液体から固体に変化する。他のタイプの相変化材料も存在し、これらは、様々な温度、例えば5℃または80℃で相を変化させる。PCMの主要特性は、材料が、相変化温度でかなりの量の潜熱を有していることである。このことは、PCMが熱電池または緩衝器として機能することができ、相変化温度で熱を放出または吸収できることを意味する。これにより、PCMは、温度の異なる2つ以上の領域間の熱緩衝器として機能することができる。
【0013】
いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステム100とPCM緩衝器150の特性が組み合わされて、加熱または冷却中に外部エネルギー入力を必要としない一体型の貯蔵安定性熱調節システムを形成する。本システムは、外部入力がなく、外部温度が変化しても、コンパートメントを所定の温度範囲内に維持するために使用され得る。
図14~
図17は、このようなシステムからのプロトタイプ温度データを示している。
図14~17では、望ましいペイロードコンパートメントの温度は2℃~8℃である。
図14では、外部環境が0℃未満のとき、PCM緩衝器150が配置されていないためにペイロードコンパートメントは2℃を下回っている。
図15では、PCM緩衝器150と蒸発器120が、ヒートパイプとして共に作動しペイロードコンパートメント210(例えば、
図2のコンパートメントを参照)内に熱を分散するために外部周囲温度が0℃未満であっても、ペイロードコンパートメントは4℃を下回らない。
図16では、外部環境が35℃のときであっても、ペイロードコンパートメント210は7℃未満にある。
図17では、ペイロードコンパートメント210は、最低-10℃から最高31℃の周囲温度において、2℃から8℃の間に留まっている。
【0014】
いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプと相変化材料を組み合わせたそのようなシステムが、コンパートメントまたは物品を低温または高温に保つために使用され得る。例えば、ある物を冷たく保つために、収着ヒートポンプシステムの蒸発器側は-15℃に達し得る。低温側の温度を5℃に維持することを望む場合、5℃のPCMをシステムに追加することができ、PCMが蒸発器から5℃~-15℃の間の余分なエネルギーを吸収するようになっている。
【0015】
いくつかの実施形態において、本発明は、収着ヒートポンプ100及び相変化材料PCM緩衝器150を使用して温度を調節することができるシステムである。PCM緩衝器は複数の方法で使用され得る。選択肢の1つは、ヒートポンプから、またはヒートポンプにエネルギーを吸収及び/または放出することにより、コンパートメントの所望の内部温度を維持することである。別の選択肢は、外部環境から、または外部環境にエネルギーを吸収及び/または放出することによって、所望の内部コンパートメント温度を維持することである。
【0016】
図2では、収着ヒートポンプシステム100と相変化材料PCM緩衝器150が、温度制御容器200内の熱調節システムに一体化されている。
図2は、ペイロードコンパートメント210が、温度制御容器200を包囲する周囲の外部温度よりも低い温度に維持されているシステムを示している。蒸発器120及び相変化材料緩衝器150は両方とも、断熱層220の内側に配置されている。好ましい実施形態は、相変化材料緩衝器150が、蒸発器120と内向きペイロードコンパートメント210の壁との間に配置される状態である。収着器110は、断熱層220の外側に配置されている。相変化材料PCM緩衝器150は、高比エネルギー密度を有する(例えば、200~250J/gの蓄熱容量を有する5℃での相転移を有する材料であり得る)。好ましい実施形態では、温度制御容器200は、外箱の内側に配置され得る。この場合、外箱は、収着器から周囲への排熱を補助するために、収着器110の近くの領域で通気される必要がある。
【0017】
図3に示される本発明の別の実施形態は、ペイロードコンパートメント210の温度が、温度制御容器200の外側の包囲する周囲温度よりも暖かい温度に保たれている。このことは、蒸発器120及び収着器110の向きを変えることによって可能である。ペイロードコンパートメント210を暖かく保つために、蒸発器120は、断熱層220の外側に配置され、収着器110は、断熱層220の内側に配置される。これにより、ペイロードコンパートメント210の外側からペイロードコンパートメント210の内側への熱の伝達が可能になる。相変化材料PCM緩衝器150は、より高い温度でかなりの量のエネルギーを貯蔵する(例えば、80℃の相変化材料は、220J/gの蓄熱容量を有する)。
【0018】
本発明の追加的な実施形態が
図4に示されている。本実施形態は、外部周囲温度が所望のペイロードコンパートメント温度よりも高いときにペイロードコンパートメント210を冷却し、同時に外部周囲温度が所望のペイロードコンパートメント温度範囲よりも低いときにペイロードコンパートメント210を加熱もする温度制御容器200を含む。このことは、収着器110が断熱層220の外部に配置されていながら、両方が断熱層220の内部に配置されている蒸発器120及び相変化材料PCM緩衝器150によって達成され得る。冷却モードでは、収着ヒートポンプシステム100の熱制御ユニット140は、例えばサーモスタットによって、蒸発器120から収着器110に移送される蒸気の量(したがって、冷却量)を調節することによって、ペイロードコンパートメント210内部の温度範囲を維持するように設定されている。外部周囲温度が所望のペイロードコンパートメント温度範囲を下回ると、熱制御ユニット140は蒸気の流れを停止し、それにより、ペイロードコンパートメント210の内側からコンパートメントの外側への蒸気を介した熱の伝達を効果的に停止する。システムは、その後、受動的な加熱モードに入る。受動的な加熱モードでは、相変化材料PCM緩衝器150が凍結し始め、PCM緩衝器150は、その潜熱をペイロードコンパートメント210内に放出する。この潜熱は、次いで、PCM緩衝器が完全に凍結するまで、ペイロードコンパートメントの温度を所望の範囲内に維持する。非常に低い周囲温度では、相変化材料PCM緩衝器150は、ヒートパイプヒータ160などの異なる熱源によって置き換えられるか、または増強され得る。ヒートパイプヒータ160は、蒸発器120と一体化されており、ヒートパイプ効果がヒートパイプヒータ160からの熱を蒸発器120全体に分散するようになっている。例えば、-10℃~35℃の範囲の周囲温度で所望のペイロードコンパートメント温度が2~8℃である場合、周囲温度が5℃を上回るとき、コンパートメントを所望の範囲に冷却するために収着ヒートポンプシステムが使用され得る。周囲温度が5℃を下回るとき、例えば、PCM緩衝器が凍結するまでペイロードコンパートメントの温度を2℃~8℃の所望の範囲に受動的に上げるために4℃の相変化材料PCM緩衝器が使用され得る。PCM緩衝器150が凍結されるとき、熱制御ユニット140は、ヒートパイプヒータ160を作動させ、それにより、蒸発器120を用いたヒートパイプ効果を介してペイロードコンパートメント210を加熱する。凍結温度を上回る状態にコンパートメント内を保つために、相変化材料が使用され得る。いくつかの実施形態では、加熱モード及び冷却モードが、逆にされ得るか、及び/または繰り返され得る。
【0019】
図5及び
図6は、本発明の追加的な実施形態を断面で示している。これらの図において、PCM緩衝器150は、収着器110と熱的に接触している。PCM緩衝器150は、収着器110の温度を調節し、収着器110から来る過剰な熱からユーザを保護するために、収着器110から熱を吸収する。蒸発器120は、ペイロードコンパートメント210の内側に配置され、ペイロードコンパートメント210を冷却する。蒸気経路130は、蒸発器120から収着器110への蒸気の流れを可能にする。熱制御ユニット140は、ペイロードコンパートメント210内の温度範囲に到達するために、蒸発器120から収着器110への蒸気の流れを調節する。ペイロードコンパートメント210及び蒸発器120は、真空断熱ボトルなどの容器200によって包囲されている。PCM緩衝器150の量及び温度範囲は、蒸発器のサイズ、冷却される材料の量、及び断熱層220の熱漏れにしたがって計算されている。
図6は、追加的な構成要素である収着器加熱コイル118を含む。収着器加熱コイル118は、収着器110を加熱して収着ヒートポンプを再充填するために使用される。
【0020】
本発明のいくつかの実施形態は、圧縮機システム、または別の種類の既存のシステムと組み合わせられ得る。本実施形態は、ポータブルユニットの温度を制御するためのバッテリー不要の冷却及び加熱システムであり得るが、本発明を圧縮機ベースのシステム(使用中にバッテリーまたは電気を必要とする)と組み合わせるときに、事例があり得、望ましいことがある。例えば、本発明を、標準的な圧縮機ベースの冷却システム、またはシステムの別の変形態様または別のタイプのシステムへのバックアップシステムとして説明をしてもよい。
【0021】
上述のように、収着ヒートポンプシステム100は、システム機能の開始停止(またはオン/オフ)を可能にする熱制御ユニット140を含む。これにより、システムが様々な周囲温度において、すぐに使用できるように保管されることができ、温度調節機能は、ユーザの望むように、または制御機構によって設定されたように開始または停止され得るようになる。例えば、オン/オフ機能は、時間または熱閾値(内部または外部の温度及び/または圧力またはそれらの組み合わせなど)に基づいてトリガーされ得る。追加の例として、システムは、例えば、冷却を提供するためのバックアップシステムとして、設定された時間が経過した後に起動され得る。
【0022】
温度制御システムは、1回の「充電」で複数回使用するように構成されることができ、この場合、一定期間温度調節を作動させ、次いで、一定期間温度調節を停止し、その後、電気、バッテリー、氷、またはその他の新しい相変化材料などの外部入力を必要とせずに温度調節を再開できる。このことは、任意の回数で繰り返し得る。
【0023】
温度制御システムは、使い捨て、または「不可逆」制御であることができ、そのため、ユニットの電源をオンにすると、ユニットは、その寿命全体にわたってオンのままである必要があり、(例えば、機械的、電子的、またはデジタル手段、またはそれらの組み合わせを介して)オフにすることはできない。このことは、デバイスの電源が以前にオンになっていないことをユーザが明確にしたい改ざん防止システムにおいて有用になることがある。
【0024】
収着ヒートポンプシステム100は、温度制御容器200の壁から非分離可能であり得る。
【0025】
収着ヒートポンプシステム100は、温度制御容器200の壁から分離可能であり得る。十分に使用された収着ヒートポンプシステムは、温度制御容器から取り外されることができ、「充電された」収着ヒートポンプシステムに交換され得る。
【0026】
相変化材料PCM緩衝器150は、蒸発器120に一体化されることができ、蒸発器内の「ヒートパイプ」効果を可能にできる。ヒートパイプは、蒸発と凝縮の連続サイクルを介して熱を移動させるデバイスである。熱は液体を蒸発させ、得られた蒸気が、より冷たい領域で凝縮し、熱を放出する。このサイクルは、熱をより暖かい領域からより冷たい領域に非常に迅速に継続的に移動させる。このヒートパイプ効果は、蒸発器全体、したがってペイロードコンパートメント210全体で同様の温度を維持することを助長する。相変化材料PCM緩衝器150は、蒸発器120に一体化され得るか、隣接することができるか、その他の方法で熱的に接続され得る。
【0027】
収着ヒートポンプシステム100は、収着材料として特化したカスタム設計の乾燥剤を使用することができ、これは、例えば、キログラムあたり150ワット時間のエネルギー密度を達成する。しかしながら、本発明は、まだ開発されていないものを含む他の種類の乾燥剤と共に機能することができる。
【0028】
収着ヒートポンプシステム100の蒸発器120は、様々な幾何学的形状に作製され得る。例えば、蒸発器は、任意数の平面状の側部で構成され得る。平面状の側部は、密閉領域を形成するように配置され得る。蒸発器は、例えば、限定されるものでないが、銅、アルミニウム、ヒートパイプ、及び/または強制対流を用いて、ペイロードコンパートメント210の表面積の他の部分に熱的に接続され得る。
【0029】
収着ヒートポンプシステム100の収着器110は、特別な熱間充填プロセスを使用して作成され得る。初めに、収着材料が外部から加熱され乾燥される。加熱中に到達する温度範囲は、
図8の収着材料または収着器真空バリア材料102を損傷することなく、特定の性能要件を達成するために最適化される必要がある。収着器110の周りに使用される収着器バリア材料102は、例えば、限定されるものでないが、アルミニウムまたは金属化バリア、もしくはステンレス鋼、ガラス及び/またはプラスチックを含む多層箔を含むリストからのものであり得る。
【0030】
ヒートポンプ100の収着器110は、様々な幾何学的形状に作製され得る。例えば、収着器は、限定されるものでないが、様々な寸法の円筒形、球形、及び長方形を含むリストからの形状であり得る。収着器は、プラスチック、相変化材料、金属、ガスなど、他の様々な材料に熱的に接続されることがある。
【0031】
システムの追加的な構成要素は、最適な性能を実現するために、特別な方法で加熱、脱気、及び洗浄され得る。
【0032】
収着ヒートポンプ100のシステムは、再充填可能であり得る。収着器110は、限定されるものでないが、例えば、加熱プレート、水槽、油槽、熱風、及び/または加熱ロッドを使用して加熱され得る。熱源は、収着器の内側または収着器の外側に一体化され得る。蒸発器側は、限定されるものでないが、任意の冷却方法、例えば、自然対流、強制対流、液体槽、空気流、コールドプレート、コールドフィンガー、及び/またはコールドスプレーを使用して、再充填中に冷却され得る。
【0033】
熱制御ユニット140は、いくつかあるタイプのうちの1つ以上であり得る。例えば、熱制御ユニット140は、作動材料の流れを制限する双安定バルブから構成され得る。熱制御ユニットは、オン/オフバルブで構成できる。熱制御ユニットは、チェックバルブ、または他の種類のバルブ、または、まだ開発されていないバルブを含むことができる。
【0034】
いくつかの実施形態では、熱制御ユニットはまた、温度に敏感であり得、この場合はサーモスタットとして説明される。そのようなサーモスタットは、限定されるものでないが、バイメタルまたは毛細管構成要素または圧力調節器サーモスタットなどである、いくつかのタイプのうちの1つであり得る。
【0035】
ペイロードコンパートメント210は、限定されるものでないが、真空断熱パネル(VIP)、ボール紙、発泡体、プラスチック、ガラス繊維断熱材、及び/または真空断熱材などの、任意の断熱材を使用して断熱され得る。
【0036】
収着ヒートポンプシステム100はまた、標準温度を維持するために断熱材の外側で使用され得る(例えば、設定温度での迅速な温度制御された空気アクセスのためにファンの前に配置される冷却ユニット増設装置)。
【0037】
収着ヒートポンプシステム100は、真空下にあることができる。真空下にある場合、その真空は、真空を長期間維持するために、アクティブポンプを介してか、または真空引き及び気密封止を介してのいずれかの様々な方法で維持できる。
【0038】
PCM緩衝器150は、収着ヒートポンプシステム100に物理的に組み込まれ得るか、またはPCM緩衝器は、収着ヒートポンプシステムに熱的に接続され得るか、またはPCM緩衝器は、収着ヒートポンプシステムから分離され、単に同一にシステムの一部で機能し得る。
【0039】
収着ヒートポンプシステム100は、所与の温度範囲で冷却または加熱または維持するために使用することができる。
【0040】
蒸発材料は、非毒性の水であることができるが、水には限定されない。蒸発作動材料はまた、これらに限定されるものではないが、アンモニア及び/または冷媒、及び/または適切な蒸気圧を有する他の材料であり得る。
【0041】
乾燥剤は、結合剤非含有のゼオライトを含むゼオライトであり得るが、ゼオライトには限定されず、乾燥剤はまた、限定されるものではないが、塩化カルシウムまたはシリカ、または蒸発作動材料(複数可)を収着する他の材料であることができる。
【0042】
PCM緩衝器150は、液体または固体またはゲル、または他の材料状態(限定されるものではないが、液晶など)またはそれらの組み合わせであり得る。PCM緩衝器は、蒸発器120、収着器110の周りで成形され得、及び/またはペイロードコンパートメント210の縁部の周りに配置され得る。
【0043】
収着ヒートポンプシステム100は、使い捨てまたは再利用可能に構成され得る。PCM緩衝器150は、使い捨てまたは再利用可能に構成され得る。温度制御容器200は、使い捨てまたは再利用可能に構成され得る。
【0044】
図7は、異なる温度で2つのペイロードコンパートメント510及び520を含むように構成された収着ヒートポンプシステムを備える2チャンバの温度制御容器500の実施形態の概略断面図を示す。本実施形態では、ペイロードコンパートメント510は、収着器540によって加温され、ペイロードコンパートメント520は、蒸発器530によって冷却されている。暖かいPCM緩衝器580は、ペイロードコンパートメント510の温度を調節することを補助し、冷たいPCM緩衝器570は、ペイロードコンパートメント520の温度を調節することを補助する。ペイロードコンパートメント510は加熱され、一方でペイロードコンパートメント520は冷却される。蒸気経路550は、熱制御ユニット560によって制御されるように、蒸発器530から収着器540への蒸気の流れを可能にする。ペイロードコンパートメント510、暖かいPCM緩衝器580及び収着器540は、暖かい断熱層590によって包囲されている。ペイロードコンパートメント520、冷たいPCM緩衝器570及び蒸発器530は、冷たい断熱層570によって包囲されている。ペイロードコンパートメント520及び510で望まれる温度範囲に応じて、PCM緩衝器570及び580は、個別に、または両方とも除去され得る。蒸発器530、収着器540、蒸気経路550及び熱制御ユニット560を備える収着ヒートポンプシステムは、2チャンバの温度制御容器500の外部で再充填するために置き換えられ得るか、または所定の位置で充填され得る。
【0045】
図18は、収着ヒートポンプシステムを備えた
図7の2チャンバの温度制御容器500のプロトタイプからの例示的な熱的性能データを示している。
図18において、「高温側」は収着器540を指し、「低温側」は蒸発器530を指している。
図18は、50°Cを超える温度に暖められたペイロードコンパートメント510、及び20°Cの周囲外部温度で10°C未満の温度に冷却されたペイロードコンパートメント520を示している。
【0046】
温度制御容器200の特定の実施形態の利点は、使用前に相変化材料を冷却または加熱する必要なしに、温度を調節するために直ちに使用する準備ができたデバイスを有する能力である。
【0047】
このシステムの特定の実施形態の別の利点は、収着ヒートポンプシステム内の蒸発相変化プロセスで可能なより大きなエネルギー密度を考えると、相変化材料のみを使用するシステムよりも軽量になり得ることである。
【0048】
このシステムの特定の実施形態の追加の利点は、組み合わせが適切な熱保護を提供することから、使用中に能動的な加熱または冷却システムを必要としないことが可能なことである。このことは、(能動的な加熱システム、または単に優れた断熱に対して)特に寒冷時の保護に当てはまる。
【0049】
温度制御容器200の特定の実施形態のさらに別の利点は、相変化材料PCM緩衝器150がシステムとは別に凍結または冷蔵される必要がないことであり、これは使用時のより容易なロジスティクスにつながる。システム全体は、様々な室温に置くことができ、収着ヒートポンプバルブを開くと、目的のシステム温度に到達する。このことは、多くがバッテリーまたは他の手段からの電気入力によって電力供給される内蔵型の加熱または冷却のいずれかを必要とする既存のシステムからの大幅な改善である。さらに、他の多くのシステムは、使用直前に外部からの加熱または冷却を必要とし、これがロジスティック上の大きな制約となる。このシステムの特定の実施形態は、現在の使用において一般的である、前述のロジスティクスの制約の両方を取り除き、(1)所望の温度を維持するために使用中に外部エネルギー入力を必要とせず、(2)システムを使用する直前に能動的な加熱または冷却システムを必要としない。
【0050】
収着ヒートポンプシステム100の特定の実施形態のさらなる利点は、システムが作動しているときを制御するための熱制御ユニット140の使用である。熱制御ユニットがバルブを開くと、システムは能動的な温度調節動作になる。しかしながら、バルブは操作の途中で閉じられ、システムの残留する熱出力を維持することができる。次いで、再び必要になったときに、外部エネルギー入力を必要とせずに、バルブが再び開かれ得る。システムの切り替え可能な性質は、使用にさらなる柔軟性をもたらす上で価値がある。
【0051】
収着ヒートポンプシステム100の特定の実施形態の利点は、周囲温度が所望よりも高温であるか、または低温であるかのいずれのときも、これらが設定温度範囲を維持できることである。
【0052】
収着ヒートポンプシステム100の設計は、
図8に示されるように、実質的に線形の様式であり得る。この実施形態の目的のために、収着器110セクションは左側にあり、蒸発器120セクションは右側にあるが、それらは異なる構成であり得る。熱制御ユニット140は中間にあるが、他の実施形態では他の場所に配置され得る。収着器110と蒸発器120の幅は、互いに等しいこともあり、または等しくないこともある。設計は、材料に応じて異なる熱力学的特性を有し得る1つ以上の材料からなる外部バリア材料102層に入れられることができ、複数材料のバリアの場合、それらは異なることがあり、システムがヒートポンプを特定の領域に集中させ、一方で他の領域の熱力学的相互作用を制限することができる。
【0053】
熱制御ユニット140は、蒸気が流れる真空領域を支持しながら蒸気の流れを可能にするチューブ、パイプ、または他の材料から構成され得る。この材料は、一軸剛性グリッド材料であり得る。材料はまた、二軸または三軸グリッド材料であり得る。
【0054】
熱制御ユニット140は、チューブをつまむことによって外部で閉じられ得る。チューブは、チューブと第3の構成要素との間で第2の構成要素をスライドさせることによってつまんで閉じることができる。熱制御ユニットのチューブは、タブを引くことで開くことができる。いくつかの実施形態では、チューブは、バルブ及び/またはプラグを使用することによって閉じることができる。タブは、実質的に矩形の構成要素であり得るが、しかしながら、タブは、他の実施形態のために他の形状及び構成をとることができる。いくつかの実施形態では、チューブは柔軟であり得るが、一方で他の実施形態では、チューブは柔軟性がなく、代替的な閉鎖方法を利用することができる。
【0055】
熱制御ユニット140のバルブ143は、
図12A及び12Bに概略的に示されるように、または、代替的に
図12C及び12Dに概略的に示されるように設計され得る。
図12A及び
図12Bでは、外部アクチュエータ138が蒸気経路130に隣接して配置されている。
図12Aは、開位置にある外部アクチュエータ138を示しており、これは、蒸気が蒸気経路130を通って流れることを可能にする。アクチュエータ138は、回転され、蒸気が流れる蒸気経路130を閉じる。
図12Bは、閉位置にあるバルブ143を示している。アクチュエータ138は、ユーザによって、または制御装置によってのいずれかによって、繰り返し開閉されるように設計されている。外部アクチュエータ138は、真空バリア材料102の外側に配置されている。他の実施形態は、バルブを作動させるためのスイッチ、ボタン、または牽引機構を含み得る。
【0056】
図12C及び
図12Dは、可撓性チューブから構成される蒸気経路130を示しており、蒸気経路130内にバリアを形成するように位置付け可能な内部ストッパー136が存在する。内部ストッパー136は、真空バリア材料102の内側に位置付けられている。内部ストッパー136は、蒸気経路130のチューブを外部から適切な場所で圧搾することにより、開位置または閉位置に配置することができる。
図12Cでは、蒸気経路が開いた状態で示され、
図12Dでは、蒸気経路が閉じた状態で示されている。他の実施形態では、チューブは、代わりに、剛性であるか、または部分的にのみ可撓性であり得、バルブまたは他の固定手段によって操作され得る。
【0057】
例として
図8に示される収着ヒートポンプシステム100の蒸発器セクションでは、収着またはウィッキング材料122の場所と量は、ユーザの必要性及び環境に基づいて最適な性能のために最適化されるべきである。この材料の量は、断熱層220の内部に配置されると、蒸発器120の底部に多かれ少なかれあり得る。この材料の量は、断熱層220に配置されると、蒸発器120の側部または上部に多かれ少なかれあり得る。いくつかの実施形態では、材料は、温度制御容器200の側部(
図8には示されていない)に部分的にのみ接触し得るが、一方で他の実施形態では、それは面一に、または完全に接触することになる。
【0058】
収着ヒートポンプシステム100の収着器110及び蒸発器120は、1つ以上の連結具144(
図9を参照)によって接続さ得、これは、外部バリア材料102に取り付けられ、溶接され、接着され、または他の方法で密封封止され得る。この噴出口または連結具は、次いで、蒸発器120と収着器110との間の制御された断面のみを蒸気が通って流れることを可能にし得る。この連結具部品の例を
図11に示す。
【0059】
温度制御容器200は、2つの側部、並びに上部及び底部を含む、任意の数の側部が冷却された断熱ボックスであり得る。断熱ボックスは、冷却された4つの側部を含み得るが、上部または底部は冷却されていない。いくつかの実施形態では、容器のすべての側部は、デバイスの配置に基づいて冷却され得、デバイスは、様々な直方体、円柱、プリズム、または他の形状をとる容器を含む、様々な形状の容器の内部で機能し得る。
【0060】
収着ヒートポンプシステム100は、
図8に示されるように、1つ以上の真空引きポート126を通して真空引きされ得る。真空引きポート126は、ガス及び蒸気がそれを通って流れることを可能にするグリッド材料から構成され得る。真空引きポート126は、熱、及び/または圧力、及び/または接着剤、及び/または他の封止手段によって封止され得る。
【0061】
ペイロードコンパートメント210を実質的に包囲する断熱層220は、真空断熱パネル(VIP)222で断熱され得る。VIP222の配置の2つの例が、
図13A及び
図13Bに示されている。VIP222は、ペイロードコンパートメント210への内部アクセスが上部の蓋を通して、または側部のドアを通して得られるように配置され得る。本発明のいくつかの例は、側部の1つまたは蓋/上部に組み込まれる開口部またはドアを組み込むことができ、そのような変形は、断熱の非効率性を防止するために封止部をさらに組み込むことができる。
【0062】
収着器110の形状は、バッグによって形成され得る。バッグは、単純な両面バッグであることができるか、2面より多いバッグであることもできる。バッグは、レトルトバッグまたはガセット付きバッグに類似するように形状化され得る。収着器110セクションのいくつかの例は、丸みを帯びた縁部の立方体形状をとるように形状化されたバッグなどの、より剛性の構造を有し得るか、または、縁部のある三次元形状を保持するのに十分な剛性の構造であり得る。
【0063】
真空バリア材料102及び収着ヒートポンプシステム100の設計は、必要な機能を可能にする一方で、断熱層220を横切って伝達される熱量を最小限に抑えるように選択されるべきである。このことは、熱伝導率の低い薄い材料を選択することによって、かつ、断熱層220を横切る材料の量を最小限に抑える機械的設計によって行われ得る。特定の結果が望まれる場合、代替的な変形は、特定の容器により確実に適合するような結果を得るために、または熱伝達を向けるために、一部またはすべての側部の断熱層220の厚さを変えることができる。そのような真空バリア材料102の1つは、少なくとも1つの層が、アルミニウムなどの低いガス移動速度を有し、追加の材料層が積層全体に強度を追加し、低ガス漏洩率で材料を封止することを可能にする、異なる材料の層から形成された多層積層材料である。真空バリア材料102の1つの好ましい実施形態は、少なくとも7マイクロメートルの厚さのアルミニウム層と、摂氏150度を超える溶解温度を有するポリプロピレンまたはポリアミドの封止層と、を備える多層積層である。金属またはガラスが伝統的に最も低いガス移動速度を有している一方で、金属またはガラスを含まない場合であっても、毎秒10-4ミリバールリットル未満のヘリウム漏洩率を達成する任意の材料が適している。
【0064】
本発明の一実施形態は、外部入力なしにオンデマンドで独立して温度制御された空間(事前に凍結された氷、事前に調整されたPCM、または非バッテリー電気を使用してはならない)を提供することができる常温保存可能な温度制御容器200である。このことは、容器の温度を一定期間にわたり設定範囲内に維持する本発明の熱調節システムを使用して達成される。例えば、温度制御容器200は、30℃の外部周囲温度で少なくとも96時間にわたり、2~8℃の間の温度で12リットルの内部容積の空間を維持する。熱調節システムは、収着ヒートポンプシステム100、及びいくつかの実施形態では、相変化材料PCM緩衝器150を含むシステムである。熱調節システムはまた、所望の内部温度及び温度制御容器200の熱負荷に応じて、熱調節システムによって供給される冷却及び/または加熱の量を制御するための熱制御ユニット140を含む。熱制御ユニット140は、収着ヒートポンプ内の蒸気流を制御するためのバルブを含む。
【0065】
温度制御容器200:
ポータブル容器を冷却するための標準的な方法には、コンプレッサ、熱電デバイス、または氷などの相変化材料の使用が含まれる。これらにはすべて特定の欠点があり、コンプレッサ及び熱電デバイスは、プラグまたは比較的大きなバッテリーのいずれかを介して、ほぼ一定の電力の供給を必要とし、コンプレッサは比較的ノイズが多く、熱電デバイスは限られた温度範囲でのみ有効であり、非常に非効率的であり、相変化材料は、使用前に前処理プロセス(つまり、凍結)を要し、溶解を避けるために常に凍結しておかなければならない。
【0066】
温度制御容器200の本発明の1つの好ましい実施形態は、これらの欠点のすべてを回避するポータブル容器である。容器は「事前充電」されており、さらに使用前に室温で保存できる。冷却が望まれるとき、熱制御ユニット140が作動され、電気または相変化材料などの外部入力を必要とせずに、冷却が直ちに開始される。好ましい実施形態は、ほぼ無音であり、いずれの電気入力または大型バッテリーも必要とせず、非常に広範囲の温度にわたって効果的であり、比較的効率的であり、いずれの使用直前の前処理プロセスを必要としない。
【0067】
温度制御容器200は、いくつかの統合されたシステムで構成されている。第1に、断熱された空間ペイロードコンパートメント210は、2~8℃などの設定温度範囲に冷却及び/または加熱される。断熱層220の目的は、ペイロードコンパートメント210に出入りする熱の量を制限することである。この場合、真空断熱パネル(VIP)222が、断熱層220として使用されるが、断熱材は、真空断熱材(魔法瓶など)、発泡ポリスチレン、発泡ポリプロピレン、またはその他の断熱性の発泡体や材料であることもある。第2に、VIPパネルによって形成された断熱層220は、ボール紙製またはプラスチック製であり得る外箱内に収容されている。第3に、熱制御ユニット140は、外部温度とペイロードコンパートメント210の所望の温度との間の相対差に応じて、熱を移動、生成、または吸収するために使用される。
【0068】
熱調節システム:
熱制御システムは、いくつかの統合システムで構成されている。第1に、収着ヒートポンプシステム100は、外部温度が所望の内部温度よりも暖かいときに能動的冷却を提供するために使用される。第2に、外部温度が所望の内部温度よりわずかに低いか、または比較的短い期間にわたって低いとき、相変化材料(PCM)を含む相変化材料PCM緩衝器150が、収着ヒートポンプシステム100と協調して使用され、ペイロードコンパートメント210の温度を所望の指定された範囲内に受動的に維持する。第3に、外部温度が所望の内部温度よりも著しく低い場合か、または長期間にわたって低い場合、相変化材料の能力が使い果たされる可能性があり、その場合、ヒートパイプヒータ160が収着ヒートポンプシステム100と協調して使用され、ペイロードコンパートメント210を所望の特定の温度に維持する。第4に、熱制御ユニット140は、ペイロードコンパートメントの温度を感知し、加熱及び冷却の量を調節して、ペイロードコンパートメントを所望の指定された温度に維持する。
【0069】
収着ヒートポンプシステム100は、蒸発器120と収着器110で構成されるシステムである。収着器110はペイロードコンパートメント210の外側に設置され、蒸発器120はペイロードコンパートメント210の内側に設置されている。収着器と蒸発器は、蒸気経路130によって連結されており、これを通って熱が蒸気によって伝達される。蒸気経路の断面は、熱制御ユニット140によって制御され、熱制御ユニット140は、バルブを可変的に開閉することができ、蒸気が流れることを可能にするか、または蒸気の流れを減速させるか、または停止させることができる。バルブが開いているとき、蒸気は蒸発器120で蒸発し、収着器110で収着または吸収され、それによって、蒸発器から収着器に熱を伝達する。
【0070】
収着ヒートポンプシステム100の構築:
図8は、収着ヒートポンプ100の一実施形態の内部構成要素を示している。収着ヒートポンプシステム100は、ゼオライト112を収着器110内の収着材料として使用し、水を作動材料として使用する。好ましい実施形態では、収着材料は、単に収着器内のバリア材料102の内側に設置される。追加の実施形態では、収着材料は、取り外し可能なカートリッジの内部に収容され、収着器は、カートリッジが内部に取り外し可能に位置付け可能なカートリッジレシーバを有する。収着ヒートポンプシステム100は、高いガスバリア特性を有するバリア材料のエンベロープで作られた多層フォイルバリア102で完全に封入され、その結果、1~10ミリバールの真空レベルが、バリア材料で作られたフォイルバリア102エンベロープ内部に形成及び維持され得る。ゼオライト112は、収着器110に封入されている。導管は、収着器110と蒸発器120との間に延在する蒸気経路130を備え、蒸発器120から収着器110への水蒸気の流れを可能にしている。蒸発器の内部には、異なる材料のいくつかの層がある。ウィッキング材料122は、蒸発器全体の周りに液体の水を保持、及び分配するために使用される。半剛性チャネル材料124が、ウィッキング材料122とフォイルバリア102との間にチャネルを形成するために使用され、そこを通って水蒸気が自由に流れ得る。蒸発器の表面に熱が加えられるとき、液体の水が蒸発する。得られた水蒸気は、チャネル材料124を通って収着器110に向かって流れ、最終的に、水蒸気経路130を通って収着器110に流れ込み、そこで水がゼオライト112と結合する。水蒸気は、熱を蒸発器120から収着器110に移動させる。ゼオライト112は、密閉された環境から水蒸気を効果的に除去し、これにより、より多くの液体の水が蒸発器内で蒸発して、冷却プロセスが継続することが可能になっている。
図8では、収着器110、蒸発器120、蒸気チャネル130、及び熱制御ユニット140はすべて、真空バリア材料102の内側にある。蒸発器120、収着器110、蒸気チャネル130、及び熱制御ユニット140は、別個の真空バリア材料で実質的に封入されてもよい。熱制御ユニット140は、真空バリア材料102の部分的に内側、及び部分的に外側にあってもよい。熱制御ユニット140は、いくつかの実施形態では、真空バリア材料102の完全に外側にあり得る。
【0071】
蒸気経路130の断面サイズは、ヒートポンプによって伝達される熱の所望の量に依存する。0.01~10平方センチメートルの間のサイズの断面蒸気経路130は、0.1ワット~200ワットの間の熱伝達率を達成する。好ましい実施形態は、0.1から5平方センチメートルの間の断面蒸気経路サイズを有する。蒸気経路130の断面形状はまた、過剰な熱伝達を最小限に抑えることができる。好ましい実施形態は、一つの寸法で最大サイズが0.01~2センチメートルの間である蒸気経路130を有する。
【0072】
収着材料がゼオライトであり、作動流体が水である実施形態では、水に対するゼオライトの比率は、収着ヒートポンプ100の正しい機能に影響を及ぼす。脱着ゼオライト1キログラムあたり100~500グラムの水の比率が望ましく、熱伝達とシステム全体の質量の向上には、脱着ゼオライト1キログラムあたり150~350グラムの水の比率が好ましい。ゼオライト112のサイズ及び形状はまた、収着器110内の改善された蒸気流に影響を及ぼす。ゼオライト造粒体の直径は0.5~12ミリメートルの間が望ましく、更に、直径は2.5~5.0ミリメートルの間が好ましい。
【0073】
相変化材料PCM緩衝器150:
いくつかの実施形態では、収着ヒートポンプ100及びPCM緩衝器150の特性が組み合わされて、ペイロードコンパートメント210の冷却と加熱の両方を行うことができる統合システムを形成する。冷却は、上述のように収着ヒートポンプシステム100によって提供される。加熱は、PCM緩衝器150によって提供される。これは、断熱層220と蒸発器120との間の収着ヒートポンプシステムの蒸発器120とPCM緩衝器150の層を熱的に接触させることによって達成される。PCM緩衝器150の層は、高いガスバリア特性を備えた真空フォイルバリア材料102エンベロープで封入されている。
【0074】
外部温度が所望の内部温度よりも低い場合、熱はペイロードコンパートメント210から流出する。通常、ペイロードコンパートメントの温度は低下する。ヒートポンプ蒸発器120と協調して作用するPCM緩衝器150の層は、この温度低下を阻止し、減速させる。熱の流出は、相変化温度に達するまで、PCM緩衝器150の温度を低下させる。次に、PCMは、相が変化する(凍結する)ときに潜熱を放出し、それによって、ペイロードコンパートメント210内の温度低下を一定期間にわたり阻止し、減速させる。熱制御ユニット140は、冷却が望ましくないとき、蒸発器120から収着器110への蒸気の流れを停止させる。次に、ヒートポンプ蒸発器120は、PCM緩衝器150の層と協調してPCM潜熱をペイロードコンパートメント210の周りに分配するためのヒートパイプとして機能する。そうでない場合、PCM緩衝器層から離れたペイロードコンパートメントの領域は、依然として温度が低下し続ける。PCMの相が完全に変わると、ペイロードコンパートメントの温度は下がり続ける。
【0075】
図2では、収着ヒートポンプシステム100と相変化材料PCM緩衝器150の構成要素は、熱緩衝器として機能する相変化材料と組み合わされている。
図2は、内部ペイロードコンパートメント210が、コンパートメントを包囲する周囲温度よりも低い温度に維持されるシステムを示している。蒸発器120と相変化材料PCM緩衝器150は両方とも、互いに熱的に接触しているペイロードコンパートメント210の内側に配置されている。収着器110は、ペイロードコンパートメント210の外側に配置されている。相変化材料は、高比エネルギー密度を有している(例えば、摂氏5度で相転移があり、蓄熱容量が200~250J/gの材料であり得る)。
【0076】
能動的加熱ユニット:
外部温度が-10℃から35℃の間にとどまるほとんどの使用シナリオでは、PCM緩衝器150を使用する収着ヒートポンプシステム100で十分である。例えば、業界標準規格ISTA7Dの冬季テストプロファイルが達成され得る。一部のシナリオでは、外部温度が-10°Cよりも低くなることがあるか、またはISTA7Dの冬季温度プロファイルよりも長く低くなることがある。その場合、追加的な熱源が必要とされる。
図4は、ヒートポンプ蒸発器120と熱的に接触するヒートパイプヒータ160の形態の熱源の追加を示している。ヒートパイプヒータ160の熱源は、電気抵抗熱源、または化学熱源、または熱電熱源であり得る。PCM緩衝器150の層が完全に凍結されると、熱制御ユニット140は、パイプヒータをオンにして、追加的な熱を提供する。この追加的な熱は、ヒートパイプとして機能するヒートポンプ蒸発器120によってペイロードコンパートメント210の周りに移送される。
【0077】
熱制御ユニット140:
熱制御ユニット140は、ペイロードコンパートメント210の温度を監視し、それを所望の温度と比較し、所望の温度に到達して維持するように冷却及び加熱速度を調整する。熱制御ユニット140は、収着ヒートポンプシステム100内の蒸発器120から収着器110への水蒸気の流量を制御するためのデバイスを含む。この蒸気流量制御の2つの例を
図9と
図10に示す。
図9では、バルブ143は、蒸気経路130を通る蒸気の移動を開始及び停止するために、ユーザまたは制御装置によって開閉される。バルブ143は、
図8に示される真空バリア材料102の内側または外側にあり得る。蒸気の移動速度、したがって温度は、蒸気経路130に取り付けられた機械式サーモスタット141によって制御される。機械式サーモスタット141の内部には、バイメタル142のコイルがあり、これは、温度変化に応答して形状を変化させ、蒸気経路130のオリフィスを開閉する。機械式サーモスタット141は、蒸発器120と熱的に接触している。バイメタル142は、ペイロードコンパートメント210の温度が所望の設定値より低いときに蒸気経路130を閉じ、ペイロードコンパートメント210の温度が所望の設定値より高いときに蒸気経路130を開くように配置されている。蒸気経路130は、連結具144によってバリア102の材料に封止されている。機械式サーモスタット141の反対側の蒸気経路130の端部には、収着器チャネル145がある。収着器チャネル145は、蒸気を収着器110内のゼオライト112に分配する。
【0078】
図10は、熱制御ユニット140の第2の実施例の概略図を示している。制御装置146は、温度センサ149を介してペイロードコンパートメント210内部の温度を測定する。制御装置146は、温度センサ149に応答してバルブ148を開閉するようにギアモータ147に信号を送る。バルブ148は、蒸気経路130を(部分的または完全に)開閉するように配置されている。
【0079】
図19A及び
図19Bは、例示的なバルブ148の断面を示している。
図19Aは、開位置にあるバルブ148を示し、
図19Bは、閉位置にあるバルブ148を示している。蒸気経路130は、バリア材料102によって封入されている。シールバリア材料132は、バリア材料102の内側に対向するそれぞれの端部で封止され、これが、バルブ148が閉じられたときに蒸気経路130を横切る内部封止を完了している。シールバリア132の一方の側には安定化プレート134があり、他方の側にはシールガスケット135がある。好ましい実施形態では、シールピン133は、通常、大気圧によってシールガスケット135に対して閉じて封止されている。追加の実施形態では、シールピンは通常、開位置にあり、閉位置に移動可能である。シールピン133は、ユーザによって、またはギアモータ147などのアクチュエータによって移動可能である。シールピン133が開位置にあるとき、蒸気は蒸気経路130を通って流れる。シールピン133は、部分的または完全に開閉されて、蒸気経路130を通る特定の蒸気流量が、ペイロードコンパートメント210内の温度を指定された範囲内に維持することを可能にする。
【0080】
熱制御ユニット140は、PCM緩衝器150の層と相互作用せず、このことは、上述のように温度に受動的に影響を及ぼす。熱制御ユニット140は、ペイロードコンパートメント210の所望の温度に到達するために、必要に応じてヒートパイプヒータ160をオン及びオフにする。
【0081】
熱調節システムの再利用方法:
一部の収着ヒートポンプは、可逆的であり、再調整可能であり、または「充填可能」である。このことは、通常、圧力と温度によって、作動材料が収着材料から脱着され得ることを意味する。本発明のいくつかの実施形態では、収着ヒートポンプシステム100を逆転させる手段は、収着ヒートポンプシステム自体に組み込まれておらず、これは、追加的な費用、重量、及びスペースを製品に付加することになるからである。代わりに、制御された「再充填」施設内の収着ヒートポンプシステムを逆転、再調整、または再充填する方法が提供されている。
【0082】
使用後、熱調節システムまたは収着ヒートポンプシステムは充填施設に戻される。収着器110内の収着材料及び蒸発器120内の作動材料は、バリア材料102から取り除かれる。収着材料は、別の利用のために材料を準備するために処理、再調整、または脱着される。次に、脱着された収着材料と作動材料が新しいバリア材料エンベロープ内に置き換えられる。その後、収着ヒートポンプシステム100は、別の使用準備が整う。
【0083】
本開示の実施形態は、以下の条項を参照して説明することができる。
1.収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプ。
【0084】
2.前記収着器と前記蒸発器の周りに位置付けられ、それらの中に減圧を提供し、大気圧で必要とされる温度と比較して低下した温度で前記作動流体の蒸発を促す真空バリア材料をさらに含む、条項1に記載の収着ヒートポンプ。
【0085】
3.前記真空バリア材料が、多層積層材料である、条項2に記載の収着ヒートポンプ。
【0086】
4.前記真空バリア材料が、前記蒸気経路の周りにも位置付けられている、条項2または3に記載の収着ヒートポンプ。
【0087】
5.前記真空バリア材料が、多層積層材料である、条項4に記載の収着ヒートポンプ。
【0088】
6.前記熱制御ユニットが、前記真空バリア材料の内側に位置付けられている、条項2~5のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0089】
7.前記熱制御ユニットが、前記真空バリア材料の外側に位置付けられている、条項2~6のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0090】
8.前記熱制御ユニットが、真空バリア材料の内側に部分的に、かつ前記真空バリア材料の外側に部分的に位置付けられている、条項2~7のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0091】
9.前記収着材料がゼオライトであり、前記作動流体が水であり、前記減圧が10ミリバール以下の絶対圧力である、条項2~8のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0092】
10.前記真空バリア材料が、少なくとも7マイクロメートルの厚さのアルミニウム層、及び溶解温度が摂氏150度超であるポリプロピレンまたはポリアミドの封止層を備える多層積層材料である、条項2~9のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0093】
11.前記収着器、前記蒸発器、及び前記蒸気経路の周りに位置付けられ、そこに減圧を提供して、大気圧で必要とされる温度に比較して低下した温度で前記作動流体の蒸発を促す真空バリア材料をさらに含み、前記真空バリア材料は、多層積層材料になっており、第1、第2、及び第3の多層積層材料部分を含んでおり、前記熱制御ユニットが、前記第1、第2、及び第3の多層積層材料部分で形成された蒸気制御バルブと、シールガスケットと、前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように動作可能なシールピンと、を含み、前記第3の多層積層材料部分が、第1の端部部分と第2の端部部分を有しており、前記第1の端部部分が、前記第1の多層積層材料部分と封止係合し、前記第2の端部部分が、前記第2の多層積層材料部分と封止係合して内部バリアを画定し、安定したシール表面を形成するために前記第3の多層積層材料部分が、前記シールガスケットと共に位置付けられており、前記シールピンが前記第3の多層積層材料部分を通って突出しているが、前記第1の多層積層材料部分を通って、または前記第2の多層積層材料部分を通って突出しておらず、前記シールピンは、前記シールガスケットに近接して配置されており、前記シールピンは、大気圧によって前記シール表面に向けて移動可能になっている、条項1~10のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0094】
12.前記熱制御ユニットが、前記第1及び第2の多層積層材料部分の外側で、かつ、前記シールピンに近接して位置付けられたギアモータをさらに含み、前記ギアモータが、前記蒸気制御バルブを少なくとも部分的に開くことと、前記蒸気制御バルブを少なくとも部分的に閉じることと、のうち少なくとも1つに前記シールピンを動かすように動作可能である、条項11に記載の収着ヒートポンプ。
【0095】
13.前記シールピン上で押すことと、前記真空バリア材料を変形させることと、前記シールピン上で押さないことによって前記蒸気制御バルブを閉じることと、によって、前記ギアモータが前記シールピンを動かすように動作可能である、条項12に記載の収着ヒートポンプ。
【0096】
14.前記ギアモータが、制御装置によって制御されている、条項12または13に記載の収着ヒートポンプ。
【0097】
15.前記収着器の周りに位置付けられた第1の真空バリア、前記蒸発器の周りに位置付けられた第2の真空バリア、及び前記蒸気経路の周りに位置付けられた第3の真空バリアをさらに含み、そこに減圧を提供して、大気圧で必要とされる温度に比較して低下した温度で前記作動流体の蒸発を促し、前記第1、第2、及び第3の真空バリア材料は、多層積層材料になっており、前記熱制御ユニットが、前記第1、第2、及び第3の真空バリアで形成された蒸気制御バルブと、シールガスケットと、前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように動作可能なシールピンと、を含み、前記第3の真空バリアが、第1の端部部分と第2の端部部分を有しており、前記第1の端部部分が、前記第1の真空バリアと封止係合しており、前記第2の端部部分が、内部バリアを画定するために前記第2の真空バリアと封止係合しており、前記第3の真空バリアが、安定したシール表面を形成するために前記シールガスケットと共に位置付けられており、前記シールピンが前記第3の真空バリアを通って突出しているが、前記第1の真空バリアを通って、または前記第2の真空バリアを通って突出しておらず、前記シールピンは、前記シールガスケットに近接して配置されており、前記シールピンは、大気圧によって前記シール表面に向けて移動可能になっている、条項1~14のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0098】
16.前記熱制御ユニットが、前記第1の真空バリア及び前記第2の真空バリアの外側、かつ前記シールピンの近傍に位置付けられたギアモータをさらに含み、前記ギアモータが、前記蒸気制御バルブを少なくとも部分的に開くことと、前記蒸気制御バルブを少なくとも部分的に閉じることと、のうち少なくとも1つに前記シールピンを動かすように動作可能である、条項15に記載の収着ヒートポンプ。
【0099】
17.前記シールピン上で押すことと、前記第1の真空バリア、前記第2の真空バリア、及び前記第3の真空バリアのうち少なくとも1つを変形させることと、前記シールピン上で押さないことによって前記蒸気制御バルブを閉じることと、によって、前記ギアモータが前記シールピンを動かすように動作可能である、条項16に記載の収着ヒートポンプ。
【0100】
18.前記ギアモータが、制御装置によって制御されている、条項16または17に記載の収着ヒートポンプ。
【0101】
19.前記蒸発器内で熱を分散するヒートパイプ効果を形成するために、前記蒸発器と熱的に接触して位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項1~18のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0102】
20.前記蒸気経路が、0.01~10.0平方センチメートルの間の断面サイズを有する、条項1~19のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0103】
21.前記蒸気経路が、0.1~5.0平方センチメートルの間の断面サイズを有する、条項1~20のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0104】
22.前記蒸気経路が、0.01~2.0センチメートルの間の、1つの寸法での最大サイズを有する、条項1~21のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0105】
23.前記収着材料がゼオライトであり、前記作動流体が水であり、水のゼオライトに対する比率が、乾燥ゼオライト1キログラム当たり100~500グラムの水である、条項1~22のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0106】
24.前記収着材料がゼオライトであり、前記作動流体が水であり、水のゼオライトに対する比率が、乾燥ゼオライト1キログラム当たり150~350グラムの水である、条項1~23のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0107】
25.前記収着材料がゼオライトであり、ゼオライト造粒体のサイズが、直径で0.5~12.0ミリメートルの間である、条項1~24のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0108】
26.前記収着材料がゼオライトであり、ゼオライト造粒体のサイズが、直径で1.5~8.0ミリメートルの間である、条項1~25のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0109】
27.前記収着材料がゼオライトであり、ゼオライト造粒体のサイズが、直径で2.5~3.5ミリメートルの間である、条項1~26のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0110】
28.前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、条項1~27のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0111】
29.前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、条項1~28のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0112】
30.前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、条項29に記載の収着ヒートポンプ。
【0113】
31.収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、
を備える、前記収着ヒートポンプ。
【0114】
32.感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記蒸発器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記収着器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、前記温度制御容器。
【0115】
33.前記蒸発器内で熱を分散するヒートパイプ効果を形成するために、前記蒸発器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項32に記載の温度制御容器。
【0116】
34.前記コンパートメントが、コンパートメント壁と、前記蒸発器と前記コンパートメント壁との間の前記相変化材料緩衝器と、を含む、条項33に記載の温度制御容器。
【0117】
35.前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、条項33または34に記載の温度制御容器。
【0118】
36.前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、条項32~35のいずれかに記載の温度制御容器。
【0119】
37.前記コンパートメントの周りに位置付けられた断熱層をさらに含み、前記収着器が、前記断熱層の外側に位置付けられている、条項32~36のいずれかに記載の温度制御容器。
【0120】
38.前記蒸発器内で熱を分散するヒートパイプ効果を形成するために、前記蒸発器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項37に記載の温度制御容器。
【0121】
39.前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、条項38に記載の温度制御容器。
【0122】
40.前記蒸発器と熱的に接触しているヒータをさらに含み、前記ヒータが前記コンパートメントの内部にある、条項37~39のいずれかに記載の温度制御容器。
【0123】
41.前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、条項32~40のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0124】
42.前記コンパートメントの外部で前記収着器と熱的に接触する相変化材料緩衝器をさらに含む、条項32~41のいずれかに記載の収着ヒートポンプ。
【0125】
43.前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、条項32~42のいずれかに記載の温度制御容器。
【0126】
44.前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、条項43に記載の温度制御容器。
【0127】
45.感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記蒸発器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記収着器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、前記温度制御容器。
【0128】
46.感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を収容するように構造化されたコンパートメントであって、前記収着器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記蒸発器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、前記温度制御容器。
【0129】
47.前記コンパートメントの温度を調節するために、前記収着器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項46に記載の温度制御容器。
【0130】
48.前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、条項46または47に記載の収着ヒートポンプ。
【0131】
49.前記コンパートメントの周りに位置付けられた断熱層をさらに含み、前記蒸発器が、前記断熱層の外側に位置付けられている、条項46~48のいずれかに記載の温度制御容器。
【0132】
50.前記コンパートメントの温度を調節するために、前記収着器と熱的に接触して前記コンパートメントの内部に位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項49に記載の温度制御容器。
【0133】
51.前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、条項46~50のいずれかに記載の温度制御容器。
【0134】
52.前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、条項51に記載の温度制御容器。
【0135】
53.感温材料の温度を維持するための温度制御容器であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
前記感温材料を格納するように構造化されたコンパートメントであって、前記収着器が前記コンパートメントの内部に位置付けられており、前記蒸発器が前記コンパートメントの外部に位置付けられている、前記コンパートメントと、
を備える、前記温度制御容器。
【0136】
54.温度制御装置であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容するように構造化された蒸発器であって、前記作動流体を蒸発させ、前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、前記蒸発器と、
収着材料を収容するように構造化され、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
冷たいコンパートメントであって、前記蒸発器が内部に位置付けられている、前記冷たいコンパートメントと、
暖かいコンパートメントであって、前記収着器が内部に位置付けられている、前記暖かいコンパートメントと、
前記冷たいコンパートメント及び前記蒸発器の周りに位置付けられた冷たいコンパートメントの断熱層であって、前記暖かいコンパートメント及び前記収着器が外側に位置付けられている、前記冷たいコンパートメントの断熱層と、
前記暖かいコンパートメント及び前記収着器の周りに位置付けられた暖かいコンパートメントの断熱層であって、前記冷たいコンパートメント及び前記蒸発器が外側に位置付けられている、前記暖かいコンパートメントの断熱層と、
を備える、前記温度制御装置。
【0137】
55.前記蒸発器と熱的に接触して位置付けられた相変化材料緩衝器をさらに含む、条項54に記載の温度制御ユニット。
【0138】
56.前記収着器と熱的に接触して位置付けられた収着器相変化材料緩衝器をさらに含む、条項54または55に記載の温度制御ユニット。
【0139】
57.前記蒸発器と熱的に接触して位置付けられた蒸発器相変化材料緩衝器をさらに含む、条項56に記載の温度制御ユニット。
【0140】
58.前記作動流体を前記収着材料から脱着して前記作動流体ガスを生成するために、前記収着器と熱的に接触するヒータをさらに含む、条項54~57のいずれかに記載の温度制御ユニット。
【0141】
59.前記収着器が、その中に前記収着材料を除去可能に保持し、収着された収着材料の除去、及び脱着された収着材料での置き換えを可能にするように構造化されている、条項54~58のいずれかに記載の温度制御ユニット。
【0142】
60.前記収着材料が、取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器が、カートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着器が前記収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジがその中に前記収着材料を保持する、条項59に記載の温度制御ユニット。
【0143】
61.温度制御装置であって、
収着ヒートポンプであって、
作動流体を収容しており、前記作動流体を蒸発させて前記蒸発器に作動流体ガスを生成するように動作可能である、蒸発器と、
収着材料を収容しており、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、
前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、
前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられ、前記蒸気経路を通って、次に、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを停止させ、前記流れが停止した後、次いで、前記蒸気経路を通る前記作動流体ガスの流れを再開できるように前記作動流体ガスの流れを可能にするように選択的に動作可能である、熱制御ユニットと、を備える、前記収着ヒートポンプと、
冷たいコンパートメントであって、前記蒸発器が内部に位置付けられている、前記冷たいコンパートメントと、
暖かいコンパートメントであって、前記収着器が内部に位置付けられている、前記暖かいコンパートメントと、
前記冷たいコンパートメント及び前記蒸発器の周りに位置付けられた冷たいコンパートメントの断熱層であって、前記暖かいコンパートメント及び前記収着器が外側に位置付けられている、前記冷たいコンパートメントの断熱層と、
前記暖かいコンパートメント及び前記収着器の周りに位置付けられた暖かいコンパートメントの断熱層であって、前記冷たいコンパートメント及び前記蒸発器が外側に位置付けられている、前記暖かいコンパートメントの断熱層と、
を備える、前記温度制御装置。
【0144】
62.作動流体を収容している蒸発器と、前記蒸発器で作動流体ガスに蒸発する前記作動流体と、収着材料を収容し、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられた熱制御ユニットと、を有する収着ヒートポンプを再使用するための方法であって、
前記収着ヒートポンプをユーザに提供することと、
前記ユーザが、前記収着器の前記収着材料を少なくとも部分的に収着するために前記収着ヒートポンプを操作した後に、前記収着ヒートポンプを受け入れ戻すことと、
前記収着ヒートポンプを再調整することと、
前記再調整した収着ヒートポンプを前記ユーザまたは別のユーザに提供することと、
を含む、前記方法。
【0145】
63.前記収着材料が前記収着器から除去可能であり、前記収着ヒートポンプを再調整するステップが、前記少なくとも部分的に収着された収着材料を前記収着器から除去し、その後、少なくとも実質的に脱着された収着材料を前記収着器に配置することにより達成される、条項62に記載の方法。
【0146】
64.前記収着材料が取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器がカートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着フェーズ中に前記収着器が前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジが前記収着材料をその中に保持しており、前記収着材料を再調整するステップが、前記カートリッジレシーバから前記少なくとも部分的に収着された収着材料を有する前記カートリッジを取り外し、次いで、少なくとも実質的に脱着された収着材料を有するカートリッジを前記カートリッジレシーバに位置付けることによって達成されている、条項62または63に記載の方法。
【0147】
65.収着ヒートポンプ、及び感温材料を格納するコンパートメントを有する温度制御容器と、作動流体を収容する蒸発器を有する前記収着ヒートポンプと、前記蒸発器で作動流体ガスに蒸発する前記作動流体と、収着材料を収容し、収着フェーズ中に前記作動流体ガスを収着する収着器と、前記蒸発器と前記収着器を接続する蒸気経路と、前記蒸気経路を通る前記蒸発器と前記収着器との間の蒸気流の速度を制御するように位置付けられた熱制御ユニットと、を再使用するための方法であって、
ユーザによって使用できるようになった前記温度制御容器を前記ユーザに提供することと、
前記ユーザが、前記収着器の前記収着材料を少なくとも部分的に収着するために前記収着ヒートポンプを操作した後に、前記少なくとも部分的に収着された収着材料を有する前記温度制御容器を受け入れ戻すことと、
前記収着ヒートポンプを再調整することと、
前記再調整した収着ヒートポンプを有する前記温度制御容器を前記ユーザまたは別のユーザに提供することと、
を含む、前記方法。
【0148】
66.前記収着材料が前記収着器から除去可能であり、前記収着ヒートポンプを再調整するステップが、前記少なくとも部分的に収着された収着材料を前記収着器から除去し、その後、少なくとも実質的に脱着された収着材料を前記収着器に配置することにより達成される、条項65に記載の方法。
【0149】
67.前記収着材料が取り外し可能カートリッジの内部に収容されており、前記収着器がカートリッジレシーバを有し、その中に前記カートリッジが取り外し可能に位置付け可能であり、前記収着フェーズ中に前記収着器が前記作動流体ガスを収着するときに、前記カートリッジが前記収着材料をその中に保持しており、前記収着材料を再充填するステップが、前記カートリッジレシーバから前記少なくとも部分的に収着された収着材料を有する前記カートリッジを取り外し、次いで、少なくとも実質的に脱着された収着材料を有するカートリッジを前記カートリッジレシーバに位置付けることによって達成される、条項65または66に記載の方法。
【0150】
前述の実施形態は、異なる他の構成要素内に収容されているか、またはそれらと接続されている異なる構成要素を描写している。かかる描写された構造は単なる例示的なものであり、実際、同じ機能を達成する他の多くの構造が実装され得ることを理解されたい。概念的な意味において、同じ機能を実現するための構成要素の配置は、所望の機能が達成されるように効果的に「関連付け」られている。したがって、特定の機能を達成するために組み合わされた本明細書の任意の2つの構成要素は、構造または中間の構成要素に関係なく、所望の機能が達成されるように互いに「関連付けられている」と見なされ得る。同様に、そのように関連付けられた任意の2つの構成要素はまた、所望の機能を実現するために、互いに「操作可能に接続」または「操作可能に結合」されていると見なされ得る。
【0151】
本発明の特定の実施形態が示され、説明されてきたが、本明細書の教示に基づいて、本発明及びそのより広い態様から逸脱することなく、変更及び修正を行うことができることは当業者には明らかであり、したがって、添付の特許請求の範囲は、本発明の真の趣旨及び範囲内にある、そのような変更及び修正のすべてをその範囲内に包含している。さらに、本発明は、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されることを理解されたい。一般に、本明細書で、特に添付の特許請求の範囲で使用される用語(例えば、添付の特許請求の範囲)は、「オープン」な用語(例えば、「含む(including)」という用語は、「含むがこれに限定されない(including but not limited to)」と解釈されるべきであり、「有する(having)」という用語は「少なくとも有する(having at least)」と解釈されるべきであり、「含む(includes)」という用語は「含むがこれに限定されない(includes but is not limited to)など」と解釈されるべきである、など)として一般的に意図されていることが、当業者には理解されることになる。特定の数の導入された請求項の記述が意図されている場合、そのような意図は、請求項に明示的に記述され、そのような記述がない場合、そのような意図は存在しないことが当業者によってさらに理解されるであろう。例えば、理解を助けるために、以下の添付の特許請求の範囲は、請求項の列挙を紹介するための導入句「少なくとも1つ(at least one)」及び「1つ以上(one or more)」の使用を含み得る。しかしながら、そのような句の使用は、不定冠詞「a」または「an」による特許請求の記述の導入が、そのような導入された特許請求の記述を含む特定の特許請求を、そのような記述を1つだけ含む発明に限定することを意味すると解釈されるべきではなく、同じ特許請求に、「1つ以上(one or more)」または「少なくとも1つ(at least one)」という導入句と、「a」または「an」などの不定冠詞(例えば、「a」及び/または「an」は通常、「少なくとも1つ(at least one)」または「1つ以上(one or more)」を意味すると解釈されるべきである)が含まれるときであっても、同じことが、特許請求の記述を導入するために使用される定冠詞の使用にも当てはまる。さらに、導入された特許請求の特定の数が明示的に示されている場合であっても、当業者は、そのような記述は通常、少なくとも記述された数を意味する(例えば、他の修飾子がない「2つの記述」のそのままの記述は、通常、少なくとも2つの記述、または2つ以上の記述を意味している)と解釈されるべきであることを認識する。
【0152】
したがって、本発明は、添付の特許請求の範囲による場合を除いて限定されるものではない。
【外国語明細書】