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特開2024-5441エポキシアクリレート樹脂の製造方法及びエポキシアクリレート樹脂組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005441
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】エポキシアクリレート樹脂の製造方法及びエポキシアクリレート樹脂組成物
(51)【国際特許分類】
   C08G 59/17 20060101AFI20240110BHJP
【FI】
C08G59/17
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105619
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000230364
【氏名又は名称】日本ユピカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002620
【氏名又は名称】弁理士法人大谷特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】上ヶ島 一輝
(72)【発明者】
【氏名】朝倉 崇之
【テーマコード(参考)】
4J036
【Fターム(参考)】
4J036AD08
4J036CA21
(57)【要約】
【課題】着色の少ないエポキシアクリレート樹脂を得ることができ、製造安定性に優れるエポキシアクリレート樹脂の製造方法、該エポキシアクリレート樹脂を含有する、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂組成物を提供する。
【解決手段】エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸とを、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる、エポキシアクリレート樹脂の製造方法。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸とを、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる、エポキシアクリレート樹脂の製造方法。
【請求項2】
前記混合ガス中の窒素の含有量が90~99体積%である、請求項1に記載のエポキシアクリレート樹脂の製造方法。
【請求項3】
前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、含窒素型エポキシ樹脂、過酢酸酸化型エポキシ樹脂、及びグリコール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項1に記載のエポキシアクリレート樹脂の製造方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれかの製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を含有する、エポキシアクリレート樹脂組成物。
【請求項5】
前記重合性単量体が、スチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、請求項4に記載のエポキシアクリレート樹脂組成物。
【請求項6】
請求項1~3のいずれかの製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を混合する、エポキシアクリレート樹脂組成物の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、エポキシアクリレート樹脂の製造方法、該エポキシアクリレート樹脂を含有するエポキシアクリレート樹脂組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸から得られるエポキシアクリレート樹脂を重合性ビニル単量体に溶解したエポキシアクリレート樹脂組成物は、耐食性、機械的特性、接着性に優れており、耐食を目的とした容器、建築材料などの用途に用いられている。また、機械的特性、接着性を活かし、自動車部品、塗料、電気・電子材料など、幅広い分野で用いられている。
【0003】
一方、前記エポキシアクリレート樹脂、及びエポキシアクリレート樹脂組成物を構成する樹脂や単量体は反応性を有するため、製造時の安定性や貯蔵時の安定性を維持することが難しく、これらを改善するための検討が行われてきた。
たとえば、特許文献1には、グリシジルエーテル型エポキシ化合物と重合性不飽和酸を反応させる際に、飽和塩基酸を用い、空気または酸素雰囲気中でエステル化反応を行う不飽和エポキシエステル樹脂組成物の製造方法が開示されている。
また、特許文献2には、エポキシ化合物と(メタ)アクリル酸とを不活性ガス気流中で反応させて得られるエポキシアクリレートを重合性ビニル単量体に溶解してなるエポキシアクリレート樹脂に、マレイン酸モノエステルを添加してなる、貯蔵性が良好で低温硬化性に優れたエポキシアクリレート樹脂組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特公昭45-040069号公報
【特許文献2】特開平02-110116号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述のように、エポキシアクリレート樹脂はエポキシ樹脂と(メタ)アクリル酸を反応させることにより得られるが、原料である(メタ)アクリル酸は熱重合しやすいため、重合禁止剤が多く添加されている。しかし、これら重合禁止剤は、エポキシアクリレート樹脂組成物の硬化性に影響を与えるため、(メタ)アクリル酸中の重合禁止剤を低減することが求められている。また、エポキシアクリレート樹脂は着色が生じやすく、外観・色調を重視する用途に使用するためには、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂が求められている。
【0006】
そこで、本発明の課題は、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂を得ることができ、製造安定性に優れるエポキシアクリレート樹脂の製造方法、該エポキシアクリレート樹脂を含有する、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂組成物を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、エポキシアクリレート樹脂の製造に際し、モノメチルエーテルハイドロキノンを特定量含有するメタクリル酸を用い、酸素を特定量含有するガス雰囲気下で反応することで上記課題を解決できることを見出した。
すなわち本発明は、下記に関する。
[1]エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸とを、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる、エポキシアクリレート樹脂の製造方法。
[2]前記混合ガス中の窒素の含有量が90~99体積%である、上記[1]に記載のエポキシアクリレート樹脂の製造方法。
[3]前記エポキシ樹脂が、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、含窒素型エポキシ樹脂、過酢酸酸化型エポキシ樹脂、及びグリコール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[1]又は[2]に記載のエポキシアクリレート樹脂の製造方法。
[4]上記[1]~[3]のいずれかの製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を含有する、エポキシアクリレート樹脂組成物。
[5]前記重合性単量体が、スチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種である、上記[4]に記載のエポキシアクリレート樹脂組成物。
[6]上記[1]~[3]のいずれかの製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を混合する、エポキシアクリレート樹脂組成物の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂を得ることができ、製造安定性に優れるエポキシアクリレート樹脂の製造方法、該エポキシアクリレート樹脂を含有する、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂組成物を提供することができる。本発明の製造方法で得られたエポキシアクリレート樹脂を含有するエポキシアクリレート樹脂組成物は、外観・色調を重視する用途に好適に用いられる。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[エポキシアクリレート樹脂の製造方法]
本発明のエポキシアクリレート樹脂の製造方法は、エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸とを、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる方法である。
本発明の製造方法によれば、通常250ppm程度の含有量であるモノメチルエーテルハイドロキノンを低減することによって、得られるエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物の硬化性への影響を低減させることができる。そのうえで、製造安定性に優れ、かつ得られるエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物の着色も低減させることができる。
【0010】
<エポキシ樹脂>
本発明のエポキシアクリレート樹脂の製造方法に用いられるエポキシ樹脂は、1分子中に少なくとも2個のエポキシ基を有するエポキシ化合物であればよく、特に制限はないが、好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、含窒素型エポキシ樹脂、過酢酸酸化型エポキシ樹脂、及びグリコール型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ノボラック型エポキシ樹脂、及び臭素化エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、更に好ましくは、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、及びノボラック型エポキシ樹脂からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より更に好ましくはビスフェノールA型エポキシ樹脂である。
【0011】
より具体的には、エピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとビスフェノールA、ビスフェノールF又はブロム化ビスフェノールAとの反応により合成されるグリシジルエーテル;フェノールノボラック、ブロム化ノボラックで代表される多核フェノール樹脂とエピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるポリグリシジルエーテル;ビスフェノールA又はビスフェノールFのエチレンオキサイド又はプロピレンオキサイド付加グリコール又は水添ビスフェノールAとエピクロルヒドリン又はメチルエピクロルヒドリンとの反応により得られるグリシジルエーテル;等が挙げられる。
前記エポキシ樹脂は、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0012】
<メタクリル酸>
本発明のエポキシアクリレート樹脂の製造方法に用いられるメタクリル酸は、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有する。通常、メタクリル酸は熱重合しやすいため、重合禁止剤として250ppm程度のモノメチルエーテルハイドロキノンを含有している。本発明に用いられるメタクリル酸は、モノメチルエーテルハイドロキノンの含有量が少なく、得られるエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物の硬化性を妨げることがない。
メタクリル酸中のモノメチルエーテルハイドロキノンの含有量は30~80ppmであり、好ましくは30~75ppmであり、より好ましくは30~70ppmであり、更に好ましくは40~60ppmである。メタクリル酸中のモノメチルエーテルハイドロキノンの含有量が上記範囲であると、着色が少なく、硬化性に優れるエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物を安定に製造することができる。
【0013】
<混合ガス>
本発明のエポキシアクリレート樹脂の製造方法において、エポキシ樹脂とメタクリル酸は、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる。
前記混合ガス中の酸素の含有量は、1~10体積%であり、好ましくは3~10体積%であり、より好ましくは5~10体積%であり、更に好ましくは6~9体積%である。混合ガス中の酸素の含有量が上記範囲であると、モノメチルエーテルハイドロキノンの含有量が少ないメタクリル酸を原料として用いた場合であっても、着色が少ないエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物を安定に製造することができる。
前記混合ガス中の窒素の含有量は、好ましくは90~99体積%であり、より好ましくは90~97体積%であり、更に好ましくは90~95体積%であり、より更に好ましくは91~94体積%である。
前記混合ガスには、本発明の効果を損なわない範囲で、酸素と窒素以外のガスを含んでいてもよい。酸素と窒素以外のガスとしては、好ましくは不活性ガスであり、不活性ガスとしては、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素等が挙げられる。酸素と窒素以外のガスはできるだけ含まないことが好ましく、前記混合ガスは、酸素と窒素からなるガスであることがより好ましい。
【0014】
<エポキシアクリレート樹脂の製造>
本発明のエポキシアクリレート樹脂の製造方法は、エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸とを、酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガス雰囲気下で反応させる方法であればよいが、好ましくは次に示す方法である。
【0015】
まず、エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸を混合する。
混合は、前記原料や以下に示した下記重合禁止剤が均一になる温度で行うことが好ましく、混合温度は、好ましくは60~120℃であり、より好ましくは70~110℃であり、更に好ましくは80~100℃である。
エポキシ樹脂の使用量とメタクリル酸の使用量の質量比[エポキシ樹脂/メタクリル酸]は、好ましくは40/60~90/10であり、より好ましくは50/50~90/10であり、更に好ましくは50/50~80/20であり、より更に好ましくは60/40~80/20である。
【0016】
エポキシ樹脂と、モノメチルエーテルハイドロキノンを30~80ppm含有するメタクリル酸を混合する際に、重合禁止剤を添加することが好ましい。
ここで用いられる重合禁止剤は、モノメチルエーテルハイドロキノン以外の重合禁止剤であれば、特に制限はないが、モノメチルエーテルハイドロキノン以外のフェノール類、有機ならびに無機の銅塩、アミジン類、ヒドラジン塩類、第4級アンモニウム塩類、アミン類、ニトロ化合物、オキシム類、硫黄、アミン塩酸塩類等が挙げられ、モノメチルエーテルハイドロキノン以外のフェノール類が好ましい。
モノメチルエーテルハイドロキノン以外のフェノール類としては、メチルハイドロキノン、ハイドロキノン、ターシャリーブチルハイドロキノンからなる群より選ばれる少なくとも1つがより好ましく、メチルハイドロキノンが更に好ましい。
重合禁止剤の使用量は、エポキシ樹脂とメタクリル酸の合計量に対して、好ましくは0.001~0.1質量%であり、より好ましくは0.01~0.07質量%であり、更に好ましくは0.01~0.06質量%であり、より更に好ましくは0.02~0.05質量%である。
【0017】
酸素を1~10体積%含有する酸素と窒素の混合ガスを反応系中に導入する方法としては、反応容器内を脱気して混合ガスを導入して置換する方法、反応容器内に混合ガスを流通させて置換する方法が挙げられ、反応容器内に混合ガスを流通させて置換する方法が好ましい。特に前記原料を投入後、原料中に混合ガスを流通させ、バブリングすることにより導入することがより好ましい。このようにすることで、原料内部に溶存するガスを除去することができ、溶存ガスの影響を低減させることができる。
【0018】
エポキシ樹脂とメタクリル酸の反応開始前に、エステル化触媒を添加する。エステル化触媒としては、三級窒素を含有する化合物、リン化合物、アミン塩及びアンチモン化合物からなる群より選ばれる少なくとも1つが好ましく、三級窒素を含有する化合物がより好ましい。
三級窒素を含有する化合物としては、トリエチルアミン、ピリジン誘導体、イミダゾール誘導体等が挙げられ、イミダゾール誘導体が好ましい。
リン化合物としては、トリメチルホスフィン、トリフェニルホスフィン等が挙げられる。
アミン塩としては、テトラメチルアンモニウムクロライド、ベンジルトリエチルアミンクロライド等が挙げられる。
アンチモン化合物としては、トリフェニルアンチモン、トリメチルアンチモン等が挙げられる。
エステル化触媒の使用量は、エポキシ樹脂とメタクリル酸の合計量に対して、好ましくは0.005~0.7質量%であり、より好ましくは0.01~0.6質量%であり、更に好ましくは0.05~0.5質量%であり、より更に好ましくは0.08~0.5質量%である。
【0019】
反応温度は、好ましくは100~160℃であり、より好ましくは110~150℃であり、更に好ましくは120~140℃である。
以上の方法によって、製造安定性にも優れ、着色の少ないエポキシアクリレート樹脂を得ることができる。
【0020】
[エポキシアクリレート樹脂組成物]
本発明のエポキシアクリレート樹脂組成物は、前記の製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を含有する。
前記の製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂を含有するため、本発明のエポキシアクリレート樹脂組成物は、着色が少なく、特に外観・色調を重視する用途に好適に用いることができる。
【0021】
本発明のエポキシアクリレート樹脂組成物に含有される重合性単量体は、用途に応じて適宜選択されるものであるが、好ましくはスチレン系単量体及びアクリル系単量体からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくはスチレン系単量体である。
スチレン系単量体としては、スチレン、クロロスチレン、及びジビニルベンゼン等が挙げられ、スチレンが好ましい。
アクリル系単量体としては、(メタ)アクリル酸エステル類、多官能(メタ)アクリル酸エステル類等が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル類の例として、(メタ)アクリル酸メチル等が挙げられる。多官能(メタ)アクリル酸エステル類の例として、エチレングリコールジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ここで「(メタ)アクリル酸」とは、「メタクリル酸」と「アクリル酸」を意味し、「(メタ)アクリレート」とは、「メタクリレート」と「アクリレート」を意味する。
前記重合性単量体は、その用途に応じて、単独で用いてもよく2種以上を併用してもよい。
【0022】
また、本発明のエポキシアクリレート樹脂組成物には、その用途に応じて、本発明の効果を損なわない範囲で、溶媒、触媒、充填材等の任意の添加物を添加してもよい。
【0023】
[エポキシアクリレート樹脂組成物の製造方法]
本発明のエポキシアクリレート樹脂組成物の製造方法は、前記の製造方法によって製造されたエポキシアクリレート樹脂と、重合性単量体を混合する。
エポキシアクリレート樹脂の使用量と重合性単量体の使用量の質量比[エポキシアクリレート樹脂/重合性単量体]は、用途に応じて適宜調整すればよいが、好ましくは20/80~90/10であり、より好ましくは30/70~90/10であり、更に好ましくは40/60~80/20であり、より更に好ましくは50/50~70/30である。
エポキシアクリレート樹脂と重合性単量体を混合する際に、上述の任意の添加物を混合してもよい。
【実施例0024】
以下に実施例及び比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は下記実施例に限定されるものではない。なお、本実施例における測定及び評価は以下の方法で行った。
【0025】
<ガードナー色数(色調の評価)>
実施例及び比較例で製造したエポキシアクリレート樹脂組成物を気泡粘度測定用試験管に100mmの高さとなるよう注いだ。前記エポキシアクリレート樹脂組成物が入った試験管と空の試験管をヘリーゲ比色計で比較することでガードナー色数の評価を行った。数値が小さいものほど、着色が少なく、良好である。
【0026】
<ゲル化の有無(製造安定性の評価)>
実施例及び比較例においてエポキシアクリレート樹脂の製造の際にゲル化が生じたものを×、ゲル化が生じなかったものを〇とした。ゲル化が生じないものが製造安定性が良好である。
【0027】
実施例1(エポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物の製造)
温度計、撹拌器、還流冷却器、およびガス導入管を備えた2L四つ口フラスコに、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピクロン850、大日本インキ化学工業株式会社製、エポキシ当量188)679g、モノメチルエーテルハイドロキノンを50ppm含有するメタクリル酸317g、重合禁止剤としてメチルハイドロキノン0.2gを加え、酸素と窒素の混合ガス(酸素8体積%、窒素92体積%)をバブリングしながら90℃で、均一になるまで撹拌し、混合物を得た。該混合物を60℃まで冷却し、2-メチルイミダゾール1.0gを加え、130℃に加熱し、3時間反応して、エポキシアクリレート樹脂を得た。
得られたエポキシアクリレート樹脂600gにスチレン400gを添加し、エポキシアクリレート樹脂組成物を得た。得られたエポキシアクリレート樹脂組成物の色調の評価結果を表1に示す。
【0028】
比較例1
実施例1で用いた酸素と窒素の混合ガス(酸素8体積%、窒素92体積%)に替えて、空気(酸素21.0体積%、窒素78.1体積%)とした以外は、実施例1と同様にして、エポキシアクリレート樹脂を得た。
得られたエポキシアクリレート樹脂600gにスチレン400gを添加し、エポキシアクリレート樹脂組成物を得た。得られたエポキシアクリレート樹脂組成物の色調の評価結果を表1に示す。
【0029】
比較例2
実施例1で用いた酸素と窒素の混合ガス(酸素8体積%、窒素92体積%)に替えて、窒素(酸素0体積%、窒素100体積%)とした以外は、実施例1と同様にして、混合物を得た。該混合物を60℃まで冷却し、2-メチルイミダゾール1.0gを加え、130℃に加熱し、反応を行ったが、反応中にゲル化が進行し、目的とするエポキシアクリレート樹脂が得られなかった。エポキシアクリレート樹脂組成物を製造することができなかったため、色調の評価ができなかった。
【0030】
【表1】
【0031】
表1より、実施例のエポキシアクリレート樹脂は、着色が少なく、実施例の製造方法によれば、製造安定性にも優れることがわかる。更に該エポキシアクリレート樹脂を含有するエポキシアクリレート樹脂組成物も着色が少ないことがわかる。したがって、本発明のエポキシアクリレート樹脂及びエポキシアクリレート樹脂組成物は、幅広い用途に好適に用いることができ、なかでも外観・色調を重視する用途に好適に用いることができる。