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特開2024-54430DP1アンタゴニストおよびキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤からなるウイルス性気道感染症治療用医薬
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054430
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】DP1アンタゴニストおよびキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤からなるウイルス性気道感染症治療用医薬
(51)【国際特許分類】
   A61K 31/496 20060101AFI20240410BHJP
   A61P 31/16 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 31/12 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 45/00 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 31/5383 20060101ALI20240410BHJP
   A61P 43/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K31/496
A61P31/16
A61P31/12
A61K45/00
A61K31/5383
A61P43/00 121
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2020219007
(22)【出願日】2020-12-28
(71)【出願人】
【識別番号】000001926
【氏名又は名称】塩野義製薬株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100113789
【弁理士】
【氏名又は名称】杉田 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100209598
【弁理士】
【氏名又は名称】渡部 秀昭
(72)【発明者】
【氏名】東福寺 聡一
(72)【発明者】
【氏名】深尾 圭太
(72)【発明者】
【氏名】日下部 伸治
【テーマコード(参考)】
4C084
4C086
【Fターム(参考)】
4C084AA19
4C084MA23
4C084MA35
4C084MA52
4C084NA05
4C084ZB331
4C084ZC202
4C086AA01
4C086AA02
4C086BC69
4C086CB22
4C086GA09
4C086GA12
4C086MA02
4C086MA04
4C086MA23
4C086MA35
4C086MA52
4C086NA05
4C086ZB33
4C086ZC75
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ウイルス性気道感染症を治療するための医薬組成物を提供する。
【解決手段】式(I)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることを特徴とする、ウイルス性気道感染症を治療するための医薬組成物を提供する。

【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I):
【化1】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることを特徴とする、ウイルス性気道感染症を治療するための医薬組成物。
【請求項2】
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤が、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物である、請求項1記載の医薬組成物。
【請求項3】
ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルスによる感染症である、請求項1または2記載の医薬組成物。
【請求項4】
ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、請求項1~3のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項5】
ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、請求項1~4のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項6】
経口投与剤である、請求項1~5のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項7】
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、請求項1~6のいずれかに記載の医薬組成物。
【請求項8】
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤と併用するための、式(I):
【化2】

で示される化合物または製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項9】
バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物と併用するための、式(I):
【化3】

で示される化合物または製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
【請求項10】
式(I):
【化4】

で示される化合物または製薬上許容される塩と併用するための、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤。
【請求項11】
式(I):
【化5】

で示される化合物または製薬上許容される塩と併用するための、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物。
【請求項12】
式(I):
【化6】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤を含むウイルス性気道感染症治療用合剤。
【請求項13】
式(I):
【化7】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物、を含む請求項12記載の合剤。
【請求項14】
ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルスによる感染症である、請求項12または13記載の合剤。
【請求項15】
ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、請求項12~14のいずれかに記載の記載の合剤。
【請求項16】
ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、請求項12~15のいずれかに記載の合剤。
【請求項17】
経口投与剤である、請求項12~16のいずれかに記載の合剤。
【請求項18】
式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、請求項12~17のいずれかに記載の合剤。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウイルス性気道感染症治療用医薬に関する。さらに詳しくは、DP1アンタゴニストとキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることを特徴とする、インフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬に関する。
【背景技術】
【0002】
アラキドン酸代謝のシクロオキシゲナーゼ回路の生成物であるプロスタグランジンD2(PGD2)は、強力な気管支収縮作用を有し、血管透過性の亢進や好酸球などの炎症細胞の遊走を惹起するため、PGD2受容体アンタゴニストが、アレルギー性疾患(例えば、喘息、アレルギー性鼻炎、アレルギー性皮膚炎、アレルギー性結膜炎など)の治療に有用であることが知られている。
例えば、本件出願人は、PGD2受容体の一つであるDP受容体にアンタゴニスト活性を有するスルホンアミド誘導体をアレルギー性疾患治療剤として報告している(特許文献1)。
また、本件出願人は、結合試験において、式(I)で示される化合物は、DP1受容体に対し高親和性と選択性を示すことを報告している。アレルギー性鼻炎の動物モデルにおいて、本剤は抗原誘導性の鼻腔抵抗、鼻汁、鼻粘膜の細胞浸潤を顕著に抑制し、さらに、式(I)で示される化合物は、抗原曝露による喘息反応、気道過敏反応性、肺内の細胞浸潤およびムチン生成を抑制したことを報告している(非特許文献1)。
【0003】
さらに、PGD2は、特定のウイルス感染に対する免疫・炎症応答の調節に関与していることが示唆されている。例えば、RSウイルス感染に伴う気管支炎で入院した乳児の上気道においてPGD2濃度が上昇しており、マウスRSウイルス感染モデルにおいて、DP1受容体アゴニストまたはDP2受容体アンタゴニストの投与により、ウイルスクリアランスが促進し、肺組織の炎症応答が抑制されることが示されている(非特許文献2)。また、マウス肝炎ウイルス感染モデルにおいて、PGD2は、過剰なインフラマソームの活性化を調節することが報告されており、プロスタグランジンシグナル伝達が最適な免疫応答のセットポイントの調節に関わることが示唆される(非特許文献3)。
【0004】
一方、老齢マウスにおいて、若齢マウスと比べてBALF(気管支肺胞洗浄液)中のPGD2レベルが上昇しており、それに伴いウイルス感染後の樹状細胞の誘導とそれに続くウイルス特異的な獲得免疫応答が低下することが報告されている。この報告によると、DP1受容体のアンタゴニスト投与によりウイルス感染に対する獲得免疫応答が改善したことから、DP1受容体を介したPGD2シグナルを遮断することにより、老化に伴う獲得免疫応答の低下に対して保護的に作用することが示唆される(非特許文献4)。
【0005】
インフルエンザは、オルトミクソウイルス科のウイルスによって引き起こされる急性呼吸器感染症である。A型インフルエンザウイルスおよびB型インフルエンザウイルスの2つのタイプが、ヒトに感染することが知られている。これらのウイルスは、1~4日の潜伏期間の後、急激な発熱、咳、倦怠感、頭痛、および/または筋肉痛を特徴とする、気道の急性熱性感染症を引き起こす。年に1回のインフルエンザの大流行は、毎年、世界中で、3~5百万の重症例、および250,000~500,000の死亡者をもたらしていると考えられている(WHO 2017年)。
【0006】
一般にインフルエンザは、成人健常者であれば治癒できる疾患であるが、この疾患は、小児患者、高齢患者、および免疫不全の患者において高い罹患率および時折の高い死亡率を伴う。重篤なインフルエンザ状態による入院は、高い死亡率(4%~8%)、集中治療室(ICU)の入室(5%~17%)、および5~9日間の長期入院につながり得る。流行している季節の間、最大34%の患者がICUケアを必要とし、死亡率が15%に相当する高さになる等、結果はより深刻となり得る(非特許文献5)。
抗インフルエンザウイルス薬、すなわちM2イオンチャネル阻害剤(例えば、アマンタジンおよびリマンタジン)、RNAポリメラーゼ阻害剤(例えば、ファビピラビル)、ノイラミニダーゼ(NA)阻害剤(すなわち、オセルタミビル、ザナミビル、ペラミビルおよびラニナミビル)、ならびにキャップ依存性エンドヌクレアーゼ(CEN)阻害薬(バロキサビル マルボキシル)は、現在、様々な国において合併症のない急性インフルエンザウイルス感染症の治療に利用可能である。
また、キャップ依存性エンドヌクレアーゼとしては、GP-681の第一相試験およびTG-1000の第一相試験が臨床試験中である。
【0007】
季節性およびパンデミックインフルエンザウイルス感染症はいずれも、重大な健康問題であり、臨床における重篤な症例では、インフルエンザウイルス感染後の細菌(例えば、肺炎球菌)の混合感染が、重篤な肺炎または致死の決定的な原因の1つであると考えられる(非特許文献6)。しかしながら、無作為化臨床試験において、入院率または死亡率を決定的に減少させることが示された抗ウイルス薬は存在しない。また、インフルエンザ重症化に対する対症療法として、ステロイドをはじめとする宿主標的薬による治療が試みられているが、臨床においてエビデンスの確立された治療薬は存在しない。したがって、現在の治療法を上回る有効性を示す新規のインフルエンザ治療薬が、緊急に必要とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】国際公開第2007/037187号
【非特許文献】
【0009】
【非特許文献1】European Journal of Pharmacology. Volume 765, 2015, pages 15-23
【非特許文献2】Science Translational Medicine. Volume 10, 2018, eaao0052
【非特許文献3】PNAS. Volume 114, 2017, pages E5444-53
【非特許文献4】The Journal of Clinical Investigation. Volume 121, 2011, pages 4921-30
【非特許文献5】Antiviral Therapy. Volume 17, 2012, pages 143-57
【非特許文献6】Journal of Infectious Diseases. Volume 16, 2012, pages e321~e331
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の課題は、DP1アンタゴニストとキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることにより、インフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症を治療するための医薬組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者らは、前記課題を解決するために検討を重ねた結果、特許文献1に記載のPGD2受容体アンタゴニストのうち特定の化合物(化合物II-74)と、特定のキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることにより、それぞれ単独で投与される場合に比べて、マウスの死亡率が減少されることを新たに見出し、本発明を完成するに至った。
【0012】
本発明は、以下の項目(1)~(8)、(8-a)~(8-e)、(9)~(20)、(20-a)~(20-e)、(21)~(28)、(28-a)~(28-e)、(29)~(36)および(36-a)~(36-e)に関する。
(1)式(I):
【化1】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることを特徴とする、ウイルス性気道感染症を治療するための医薬組成物。
(2)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤が、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物である、上記項目(1)記載の医薬組成物。
(3)ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ボカウイルスおよびメタニューモウイルスから選択される少なくとも一つのウイルスによる感染症である、上記項目(1)または(2)記載の医薬組成物。
(4)ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、上記項目(1)~(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(5)ウイルス性気道感染症が、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2)またはMERSコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症である、上記項目(1)~(3)のいずれかに記載の医薬組成物。
(6)ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、上記項目(1)~(5)のいずれかに記載の医薬組成物。
(7)経口投与剤である、上記項目(1)~(6)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8-a)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~100mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8-b)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8-c)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、100mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8-d)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、150mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(8-e)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、200mg含む、上記項目(1)~(7)のいずれかに記載の医薬組成物。
(9)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤と併用するための、式(I):
【化2】

で示される化合物または製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
(10)GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物と併用するための、式(I):
【化3】

で示される化合物または製薬上許容される塩を含む医薬組成物。
(11)式(I):
【化4】

で示される化合物または製薬上許容される塩と併用するための、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤。
(12)式(I):
【化5】

で示される化合物または製薬上許容される塩と併用するための、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物を含む医薬組成物。
(13)式(I):
【化6】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤を含むウイルス性気道感染症治療用合剤。
(14)式(I):
【化7】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物を含む上記項目(13)記載の合剤。
(15)ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ボカウイルスおよびメタニューモウイルスから選択される少なくとも一つのウイルスによる感染症である、上記項目(13)または(14)記載の合剤。
(16)ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、上記項目(13)~(15)のいずれかに記載の合剤。
(17)ウイルス性気道感染症が、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2)またはMERSコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症である、上記項目(13)~(15)のいずれかに記載の合剤。
(18)ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、上記項目(13)~(17)のいずれかに記載の合剤。
(19)経口投与剤である、上記項目(13)~(18)のいずれかに記載の合剤。
(20)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(20-a)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~100mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(20-b)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(20-c)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、100mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(20-d)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、150mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(20-e)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、200mg含む、上記項目(13)~(19)のいずれかに記載の合剤。
(21)式(I):
【化8】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせて、その治療有効量をウイルス性気道感染症の治療を必要とする個体に投与する工程を含む、ウイルス性気道感染症の治療方法。
(22)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤が、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物である、上記項目(21)記載の治療方法。
(23)ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ボカウイルスおよびメタニューモウイルスから選択される少なくとも一つのウイルスによる感染症である、上記項目(21)または(22)記載の治療方法。
(24)ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、上記項目(21)~(23)のいずれかに記載の治療方法。
(25)ウイルス性気道感染症が、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2)またはMERSコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症である、上記項目(21)~(23)のいずれかに記載の治療方法。
(26)ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、上記項目(21)~(25)のいずれかに記載の治療方法。
(27)経口投与剤である、上記項目(21)~(26)のいずれかに記載の治療方法。
(28)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(28-a)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~100mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(28-b)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(28-c)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、100mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(28-d)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、150mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(28-e)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、200mg含む、上記項目(21)~(27)のいずれかに記載の治療方法。
(29)ウイルス性気道感染症治療用医薬を製造するための医薬組成物の使用であって、該組成物は、式(I):
【化9】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤の組み合わせである、使用。
(30)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤が、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物である、上記項目(29)記載の使用。
(31)ウイルス性気道感染症が、インフルエンザウイルス、コロナウイルス、RSウイルス、パラインフルエンザウイルス、アデノウイルス、ライノウイルス、ボカウイルスおよびメタニューモウイルスから選択される少なくとも一つのウイルスによる感染症である、上記項目(29)または(30)記載の使用。
(32)ウイルス性気道感染症が、A型インフルエンザウイルスまたはB型インフルエンザウイルスによる感染症である、上記項目(29)~(31)のいずれかに記載の使用。
(33)ウイルス性気道感染症が、SARSコロナウイルス(SARS-CoV)、SARSコロナウイルス2(SARS-CoV2)またはMERSコロナウイルス(MERS-CoV)による感染症である、上記項目(29)~(32)のいずれかに記載の医薬組成物。
(34)ウイルス性気道感染症が、ウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染を伴う感染症である、上記項目(29)~(33)のいずれかに記載の使用。
(35)経口投与剤である、上記項目(29)~(34)のいずれかに記載の使用。
(36)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~200mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
(36-a)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg~100mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
(36-b)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、50mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
(36-c)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、100mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
(36-d)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、150mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
(36-e)式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩を、200mg含む、上記項目(29)~(35)のいずれかに記載の使用。
【0013】
一つの実施形態として、ウイルス性気道感染症により引き起こされる肺炎の症状を軽減する、上記項目(1)~(8)、(8-a)~(8-e)および(9)、(10)および(12)記載の医薬組成物を含む。
一つの実施形態として、ウイルス性気道感染症により引き起こされる肺炎の症状を軽減する、上記項目(13)~(20)および(20-a)~(20-e)記載の合剤を含む。
一つの実施形態として、ウイルス性気道感染症により引き起こされる肺炎の症状を軽減する、上記項目(21)~(28)および(28-a)~(28-e)記載の治療方法を含む。
一つの実施形態として、ウイルス性気道感染症により引き起こされる肺炎の症状を軽減する、上記項目(29)~(36)および(36-a)~(36-e)記載の使用を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬は、PGD2受容体アンタゴニストである式(I)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩、または、キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤をそれぞれ単独で投与する場合に比べて、インフルエンザウイルス感染によって引き起こされる死亡率、および、インフルエンザウイルス感染時の細菌の重複感染および/または二次感染によって引き起こされる死亡率を改善するという優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】マウスにおけるA型インフルエンザウイルス(接種:0日目)と肺炎球菌(接種:2日目)との致死性混合感染に対する化合物(I)の投与の治療効果を示す実験結果のグラフである。
図2】マウスにおけるA型インフルエンザウイルスの致死性感染に対する化合物(I)の投与の治療効果を示す実験結果のグラフである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
「からなる」という用語は、構成要件のみを有することを意味する。「含む」という用語は、構成要件に限定されず、記載されていない要素を排除しないことを意味する。
【0017】
以下、本発明について実施形態を示しながら説明する。本明細書の全体にわたり、単数形の表現は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。従って、単数形の冠詞(例えば、英語の場合は「a」、「an」、「the」など)は、特に言及しない限り、その複数形の概念をも含むことが理解されるべきである。
また、本明細書において使用される用語は、特に言及しない限り、本発明の属する分野で通常用いられる意味で用いられることが理解されるべきである。したがって、他に定義されない限り、本明細書中で使用される全ての専門用語および科学技術用語は、本発明の属する分野の当業者によって一般的に理解されるのと同じ意味を有する。矛盾する場合、本明細書(定義を含めて)が優先する。
【0018】
本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬は、有効成分として
(A)式(I):
【化10】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
(B)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤と併用することを特徴とする(キットを含む)。
または、本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬は、有効成分として
(A)式(I):
【化11】

で示される化合物、またはその製薬上許容される塩と、
(B)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤の合剤であることを特徴とする。
なお、本明細書において、本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬のことを、ウイルス性気道感染症治療剤とも言う。また、本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬のことを、ウイルス性気道感染症重症化抑制用医薬またはウイルス性気道感染症重症化抑制剤とも言う。
【0019】
(A)PGD2受容体アンタゴニスト
本発明で用いられるPGD2受容体アンタゴニストは、式(I)で示される化合物、またはその製薬上許容される塩である。
【0020】
式(I)で示される化合物は、[2-(Oxazol-2-yl)-5-(4-{4-[(propan-2-yl)oxy]phenylsulfonyl}piperazin-1-yl)phenoxy]acetic acidであり、PGD2受容体の一つであるDP受容体にアンタゴニスト活性を有する。
【0021】
式(I)で示される化合物は、公知の方法、例えば、WO2007/037187号パンフレット、WO2008/123349号パンフレットおよびWO2013/147118号パンフレットに記載の方法に従って合成することができる。
【0022】
(B)キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤
本発明で用いられるキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としては、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794またはその製薬上許容される塩、もしくはそれらの溶媒和物が挙げられる。
【0023】
バロキサビルマルボキシルは、製薬上許容される塩を形成していてもよい。バロキサビルマルボキシル単独の投与量は、バロキサビルマルボキシルとして、成人一日あたり80mgまたは40mgである。
【0024】
GP-681としては、例えば、WO2019141179またはWO2020224208に記載の化合物が挙げられる。
【0025】
TG-1000としては、例えば、WO2019144089に記載の化合物が挙げられる。
【0026】
L-742001としては、例えば、US5475109またはAntiviral Research 183 (2020) 104947に記載の化合物が挙げられる。
【0027】
AL-794としては、例えば、WO2017223231またはJ. Infect. Dis. 2019 Jan 7 219(2) 177-185に記載の化合物が挙げられる。
【0028】
キャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤としては、以下の文献に記載の化合物を用いることができる。
WO2017223231、WO2018042303、WO2014043252、WO2017072341、WO2015038660、WO2016005331、WO2017109088、WO2017156194、WO2017153950、WO2017153919、WO2017158151、WO2017158147、WO2014108408、WO2013174930、WO2013174931、WO2016005330、WO2017046362、WO2017046318、WO2019052565、WO2019196891、CN109503625、CN110317211、WO2020078401、CN111377944、CN111410661、WO2020226532、J. Med. Chem. 2020 63 9403-9420、WO2010110231、WO2010147068、WO2012039414、WO2016175224、JP2017-137291、JP2019-059697、GB2280435、US20130090300、WO2013057251、WO2014023691、WO2014074926、WO2014108406、WO2014108407、WO2014108408、WO2015038655、WO2020075080、WO2019166950、WO2020055858、WO2020205832、WO2020205835、WO2020177715。
【0029】
これらのキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤は、公知の方法に従って合成しても、市販品を用いてもよい。
【0030】
本明細書において「製薬上許容される塩」としては、アルカリ金属(例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等)、アルカリ土類金属(例えば、カルシウム、バリウム等)、マグネシウム、遷移金属(例えば、亜鉛、鉄等)、アンモニア、有機塩基(例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、ジシクロヘキシルアミン、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、メグルミン、エチレンジアミン、ピリジン、ピコリン、キノリン等)およびアミノ酸との塩、または無機酸(例えば、塩酸、硫酸、硝酸、炭酸、臭化水素酸、リン酸、ヨウ化水素酸等)、および有機酸(例えば、ギ酸、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、クエン酸、乳酸、酒石酸、シュウ酸、マレイン酸、フマル酸、コハク酸、マンデル酸、グルタル酸、リンゴ酸、安息香酸、フタル酸、アスコルビン酸、ベンゼンスルホン酸、p-トルエンスルホン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸等)との塩が挙げられる。これらの塩は、通常行われる方法によって形成させることができる。
【0031】
上記(A)成分または上記(B)成分は、溶媒和物(例えば、水和物等)を形成する場合があり、本発明はそのような各種の溶媒和物も包含する。「溶媒和物」は、上記(A)成分または上記(B)成分に対し、任意の数の溶媒分子(例えば、水分子等)と配位していてもよい。上記(A)成分または上記(B)成分を、大気中に放置することにより、水分を吸収し、吸着水が付着する場合や、水和物を形成する場合がある。
【0032】
本明細書における「溶媒和物」としては、上記式(I)で表される化合物またはその製薬上許容される塩の溶媒和物、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794からなる群より選択される少なくとも一つの化合物、またはその製薬上許容される塩の溶媒和物を意味し、例えば、一溶媒和物、二溶媒和物、一水和物、二水和物等が挙げられる。
なお、製薬上許容される塩および溶媒和物は、公知の方法に従って合成することができる。
【0033】
本発明における(A)成分としては、上記(I)で表される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩などが挙げられる。
また、本発明における(B)成分としては、例えば、バロキサビルマルボキシル、GP-681、TG-1000、L-742001およびAL-794、またはそれらの製薬上許容される塩が挙げられる。
上記(A)成分と(B)成分の組み合わせとしては、例えば、以下の組み合わせが挙げられる。
式(I)で示される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等とバロキサビルマルボキシル、
式(I)で示される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等とGP-681、
式(I)で示される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等とTG-1000、
式(I)で示される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等とL-742001、
式(I)で示される化合物またはそのナトリウム塩、カルシウム塩、マグネシウム塩、カリウム塩等とAL-794。
また、一つの態様として、式(I)で示される化合物とバロキサビルマルボキシルの組み合わせが挙げられる。
【0034】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬は、上記(A)成分と(B)成分を組み合わせたものであれば特に限定はなく、本発明の効果を損なわない範囲で、その他の有効成分をさらに組み合わせることができる。
【0035】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬は、経口的、非経口的のいずれの方法でも投与することができる。非経口投与の方法としては、経皮、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、腹腔内、経粘膜、吸入、経鼻、点眼、点耳、膣内投与等が挙げられる。
【0036】
経口投与の場合は常法に従って、内用固形製剤(例えば、錠剤、散剤、顆粒剤、カプセル剤、丸剤、フィルム剤等)、内用液剤(例えば、懸濁剤、乳剤、エリキシル剤、シロップ剤、リモナーデ剤、酒精剤、芳香水剤、エキス剤、煎剤、チンキ剤等)等の通常用いられるいずれかの剤型に調製して投与すればよい。錠剤は、糖衣錠、フィルムコーティング錠、腸溶性コーティング錠、徐放錠、トローチ錠、舌下錠、バッカル錠、チュアブル錠または口腔内崩壊錠であってもよく、散剤および顆粒剤はドライシロップであってもよく、カプセル剤は、ソフトカプセル剤、マイクロカプセル剤または徐放性カプセル剤であってもよい。
【0037】
非経口投与の場合は、注射剤、点滴剤、外用剤(例えば、点眼剤、点鼻剤、点耳剤、エアゾール剤、吸入剤、ローション剤、注入剤、塗布剤、含嗽剤、浣腸剤、軟膏剤、硬膏剤、ゼリー剤、クリーム剤、貼付剤、パップ剤、外用散剤、坐剤等)等の通常用いられるいずれの剤型でも好適に投与することができる。注射剤は、O/W、W/O、O/W/O、W/O/W型等のエマルジョンであってもよい。
【0038】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬は、上記(A)成分と(B)成分を組み合わせたものであれば特に限定はなく、当業者に公知の方法に従って、調製することができる。また、治療剤の形状や大きさも特に限定はないが、経口用製剤としては、固形製剤が挙げられ、非経口用製剤としては、注射剤、点滴剤、吸入剤等が挙げられる。
【0039】
本発明の上記(A)成分および上記(B)成分からなる医薬の剤形の具体例としては、例えば、以下が挙げられる。
式(I)で示される化合物とバロキサビルマルボキシルを含む合剤(キットを含む)、
式(I)で示される化合物とGP-681を含む合剤(キットを含む)、
式(I)で示される化合物とTG-1000を含む合剤(キットを含む)、
式(I)で示される化合物とL-742001を含む合剤(キットを含む)、
式(I)で示される化合物とAL-794を含む合剤(キットを含む)。
【0040】
上記(A)成分および上記(B)成分の有効量にその剤型に適した賦形剤、結合剤、崩壊剤、滑沢剤等の各種医薬用添加剤を必要に応じて混合し、医薬組成物とすることができる。さらに、該医薬組成物は、上記(A)成分および上記(B)成分の有効量、剤型および/または各種医薬用添加剤を適宜変更することにより、小児用、高齢者用、重症患者用または手術用の医薬組成物とすることもできる。例えば、小児用医薬組成物は、新生児(出生後4週未満)、乳児(出生後4週~1歳未満)幼児(1歳以上7歳未満)、小児(7歳以上15歳未満)若しくは15歳~18歳の患者に投与されうる。例えば、高齢者用医薬組成物は、65歳以上の患者に投与されうる。
【0041】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬の投与量は、患者の年齢、体重、疾病の種類や程度、投与経路等を考慮した上で設定することが望ましいが、経口投与する場合、通常0.05~100mg/kg/日であり、好ましくは0.1~10mg/kg/日の範囲内である。非経口投与の場合には投与経路により大きく異なるが、通常0.005~10mg/kg/日であり、好ましくは0.01~1mg/kg/日の範囲内である。これを1日1回~数回に分けて投与すれば良い。
【0042】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬は、(A)成分と(B)成分を有効成分として組み合わせることを特徴とするのであって、その使用形態としては、(A)成分と(B)成分それぞれについて別途調製された単剤を同時に使用する態様と、(A)成分と(B)成分それぞれについて別途調製された単剤を別々に使用する態様と、(A)成分と(B)成分を一緒に処方して調製された製剤(合剤)として使用する態様とが挙げられる。
【0043】
本発明のインフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療用医薬として用いる場合の(A)成分と(B)成分の投与量は、投与形態、患者の症状、年齢、体重、性別、あるいは他の併用される薬物(あるとすれば)などにより異なり、最終的には医師の判断に委ねられる。例えば、(B)成分がバロキサビルマルボキシルの場合、以下の態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~200mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~100mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を100mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を150mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を200mgおよび(B)成分を40mg~80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~200mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~100mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を100mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を150mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を200mgおよび(B)成分を40mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~200mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50~100mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を50mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を100mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を150mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
成人1日あたり、(A)成分を200mgおよび(B)成分を80mg投与する態様が挙げられる。
【0044】
なお、かかる投与量は、一度に投与しても分割して投与してもよい。
【0045】
本明細書中において「相加を上回る効果」とは、2種類以上の薬剤の併用時の生存率が、それぞれの薬剤単独投与時の生存率の和よりも大きい場合を意味する。
【0046】
本発明はまた、インフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療を必要とする個体に、(A)成分と(B)成分を組み合わせて治療有効量を投与することを含む、インフルエンザウイルス感染症の治療方法および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症治療方法を提供する。
【0047】
また、本明細書中において治療有効量とは、(A)成分と(B)成分を組み合わせて治療が必要な個体に投与した場合に、(A)成分と(B)成分を組み合わせて投与していない個体と比較して、インフルエンザによって引き起こされる症状または致死率を抑制する量のことである。具体的な有効量としては、投与形態、投与方法、使用目的および個体の年齢、体重、症状等によって適宜設定され一定ではない。
【0048】
本明細書中、インフルエンザウイルスによって引き起こされる症状としては、少なくとも一つの全身症状が存在し、頭痛、発熱状態、悪寒、筋肉痛、関節痛および倦怠感のうちの一つ以上が挙げられる。
【0049】
本明細書中、インフルエンザウイルスによって引き起こされる症状としては、少なくとも一つの呼吸器症状が存在し、咳、咽喉痛、および鼻詰まりのうちの一つ以上が挙げられる。
【0050】
本明細書中、重篤なインフルエンザ状態とは、(a)インフルエンザウイルス感染症が原因で入院すること、(b)入院中にインフルエンザウイルス感染症に罹患したため、入院の延長が必要となること、(c)全国早期警告スコア2が4以上であること、(d)呼吸補助されていること、(e)入院を必要とするインフルエンザウイルス感染症に起因する少なくとも一つの合併症を有すること、のうちの一つ以上が含まれ得る。
【0051】
本明細書中、重篤なインフルエンザ状態とは、呼吸の補助が必要な状態を含む。一つの例として、呼吸の補助は、人工呼吸器および非大気酸素源からの酸素吸入、ならびに大気酸素を濃縮する酸素濃縮器のうちの少なくとも一つである。
【0052】
本明細書中、重篤なインフルエンザ状態とは、インフルエンザウイルス感染症に起因する少なくとも一つの合併症を含む。一つの例として、インフルエンザウイルス感染症に起因する合併症は、心臓、脳、または筋組織の炎症、ならびに多臓器不全のうちの一つ以上である。一つの例として、インフルエンザウイルス感染症に起因する合併症は、肺炎、中枢神経系障害、筋炎、横紋筋融解症、脳炎、脳症、重症脱水心筋炎、心膜炎、中耳炎、副鼻腔炎、虚血性心疾患の増悪、敗血症、急性肺損傷、または急性呼吸促迫症候群、および慢性腎疾患または呼吸器疾患、例えば喘息もしくは慢性閉塞性肺疾患の急性増悪のうちの一つ以上である。
【実施例0053】
以下、本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0054】
試験例1:式(I)で示される化合物とバロキサビルの併用投与による有効性評価のための細菌性混合感染マウスモデル
(1)材料と方法
(1.1)化合物
DP1アンタゴニストである式(I)で示される化合物は、Shionogi & Co.,Ltd.(日本国大阪府)で合成した(参考文献:WO2007/037187、WO2008/123349、WO2013/147118)。バロキサビルマルボキシルの活性体であるバロキサビル(BXA)は、Shionogi & Co.,Ltd.(日本国大阪府)で合成した。式(I)で示される化合物懸濁液およびBXA懸濁液は、0.5%メチルセルロース400(MC)溶液を用いて調製した。投与容量は、マウスあたり0.2mLとした。
(1.2)ウイルスと菌
日本で個別に臨床分離されたインフルエンザウイルスのA/Osaka/129/2009株および肺炎球菌のSR1326株をマウスに馴化した。
(1.3)動物
特定病原体不在の6週齢の雌性BALB/cマウス(Charles River Laboratories Japan,Inc.)を本研究において使用した。体重および生存率を、1日1回モニタリングした。ウイルス感染前と比べて体重が70%未満に減少した場合、人道的エンドポイント(humane endpoints)に従ってマウスを即座に安楽死させ、生存期間の分析において死亡例と見なした。ウイルスおよび細菌の接種の際、生理食塩水中に0.03mg/mLの塩酸メデトミジン、0.4mg/mLのミダゾラム、0.5mg/mLの酒石酸ブトルファノールを含む100μLの麻酔液の筋内投与によってマウスを麻酔した。
【0055】
(2)マウスモデルにおける抗ウイルス効果の検証
マウスに、麻酔下で、100μLのA/Osaka/129/2009(マウス馴化株、1.00×10TCID50)を経鼻接種した。ウイルス感染後2日目に、同マウスに、麻酔下で、100μLの肺炎球菌SR1326(マウス馴化株、1.00×10CFU)を経鼻接種した。ウイルス感染後2日目を開始点として、マウス(n=9~10/群)に、30mg/kg(1日2回、9日間投与)の用量の式(I)で示される化合物を経口投与、または0.2mg/kg(単回投与)の用量のBXAを皮下投与した。これらの化合物による併用療法の効果を調べるために、30mg/kg(1日2回、9日間投与)の用量の式(I)で示される化合物の経口投与および0.2mg/kg(単回投与)の用量のBXAの皮下投与の両方でマウスを治療した。対照マウスには、0.5%MC溶液(単回投与)を皮下投与した。ウイルス感染後14日目まで1日1回、マウスの生存率および体重について調べた。
【0056】
(3)統計解析
ウイルス感染後の生存期間の群間差を、ログランク検定によって分析した。統計解析は、統計解析ソフトウェアSASバージョン9.4(SAS Institute,Cary,NC,USA)を使用して実施した。調整済み両側P値0.05未満は、統計的に有意であると見なした。
【0057】
(4)結果
式(I)で示される化合物とBXAの併用効果
式(I)で示される化合物とBXAの併用投与の効果を、A型インフルエンザウイルスと肺炎球菌との致死性混合感染マウスを用いて検証した。A/Osaka/129/2009(マウス馴化株、1.00×10TCID50)および肺炎球菌SR1326(マウス馴化株、1.00×10CFU)を接種した媒体投与マウスの20%が生存した。それぞれの化合物の単独投与による治療の場合、式(I)で示される化合物で治療したマウスは全例が死亡し、BXA治療群のマウスは20%が生存した(図1)。結果として、それぞれの化合物の単独投与による治療においては、媒体投与群に対して有意な生存期間の延長効果は認められなかった。それに対して、式(I)で示される化合物とBXAの併用投与により治療したマウスは60%が生存し、それぞれの単独投与よりも有意に強い生存期間延長効果を示した。この結果から、式(I)で示される化合物とBXAの併用投与による効果は、それぞれの化合物の単独投与による効果と比べて相加を上回る効果が得られていると考えられる。
以上より、インフルエンザウイルスと細菌の混合感染マウスモデルが、重篤な症例における式(I)で示される化合物とBXAの併用投与の効果を推定するのに有用であり得ることが示唆される。
【0058】
試験例2:式(I)で示される化合物とBXAの併用投与による有効性評価のためのA型インフルエンザウイルス感染マウスモデル
(1)材料と方法
(1.1)化合物
DP1アンタゴニストである式(I)で示される化合物は、Shionogi & Co.,Ltd.(日本国大阪府)で合成した(参考文献:WO2007/037187、WO2008/123349、WO2013/147118)。バロキサビルマルボキシルの活性体であるBXAは、Shionogi & Co.,Ltd.(日本国大阪府)で合成した。式(I)で示される化合物懸濁液およびBXA懸濁液は、0.5%MC溶液を用いて調製した。投与容量は、マウスあたり0.2mLとした。
(1.2)ウイルス
A型H1N1亜型の季節性インフルエンザウイルス実験室株であるA/PR/8/34株を用いた。
(1.3)動物
特定病原体不在の6週齢の雄性C57BL/6Jマウス(Charles River Laboratories Japan,Inc.)を本研究において使用した。体重および生存率を、1日1回モニタリングした。ウイルス感染前と比べて体重が70%未満に減少した場合、人道的エンドポイント(humane endpoints)に従ってマウスを即座に安楽死させ、生存期間の分析において死亡例と見なした。ウイルス接種の際、生理食塩水中に0.03mg/mLの塩酸メデトミジン、0.4mg/mLのミダゾラム、0.5mg/mLの酒石酸ブトルファノールを含む100μLの麻酔液の筋内投与によってマウスを麻酔した。
【0059】
(2)マウスモデルにおける抗ウイルス効果の検証
マウスに、麻酔下で、100μLのA/PR/8/34株(3.00×10TCID50)を経鼻接種した。ウイルス感染後3日目を開始点として、マウス(n=5~10/群)に、3mg/kgもしくは30mg/kg(1日2回、8日間投与)の用量の式(I)で示される化合物を経口投与、または1mg/kg(単回投与)の用量のBXAを皮下投与した。これらの化合物による併用療法の効果を調べるために、3mg/kgもしくは30mg/kg(1日2回、8日間投与)の用量の式(I)で示される化合物の経口投与および1mg/kg(単回投与)の用量のBXAの皮下投与の両方でマウスを治療した。対照マウスには、0.5%MC溶液(1日2回、8日間投与)を経口投与した。ウイルス感染後14日目まで1日1回、マウスの生存率および体重について調べた。
【0060】
(3)統計解析
ウイルス感染後の生存期間の群間差を、ログランク検定によって分析した。統計解析は、統計解析ソフトウェアSASバージョン9.4(SAS Institute,Cary,NC,USA)を使用して実施した。調整済み両側P値0.05未満は、統計的に有意であると見なした。
【0061】
(4)結果
式(I)で示される化合物とBXAの併用効果
式(I)で示される化合物とBXAの併用投与の効果を、A型インフルエンザウイルスの致死性感染マウスを用いて検証した。A/PR/8/34株を接種した全ての媒体投与マウスは、ウイルス感染後9日目までに死亡した。それぞれの化合物の単独投与による治療の場合、3mg/kgおよび30mg/kgの用量の式(I)で示される化合物で治療したマウスにおいてはいずれも10%が生存し、BXA治療群のマウスは40%が生存した(図2)。結果として、BXAの単独投与による治療において、媒体投与群に対して有意な生存期間の延長効果が認められたが、式(I)で示される化合物の単独投与による治療においては、媒体投与群に対して有意な生存期間の延長効果は認められなかった。それに対して、3mg/kgおよび30mg/kgの用量の式(I)で示される化合物とBXAの併用投与により治療したマウスはそれぞれ50%および70%が生存し、式(I)で示される化合物とBXAの併用投与治療により、式(I)で示される化合物の単独投与よりも有意に強い生存期間延長効果を示した。この結果から、式(I)で示される化合物とBXAの併用投与による効果は、それぞれの化合物の単独投与による効果と比べて相加を上回る効果が得られていると考えられる。
以上より、インフルエンザウイルス感染マウスモデルが、重篤な症例における式(I)で示される化合物とBXAの併用投与の効果を推定するのに有用であり得ることが示唆される。
【0062】
式(I)で示される化合物とBXAの併用投与によるマウス生存期間に対する評価(試験例1および試験例2)
この非臨床研究において、本発明者らは、インフルエンザウイルス感染マウスモデルおよびインフルエンザウイルスと細菌の混合感染マウスモデルにおける式(I)で示される化合物とBXAの併用投与によるマウス生存期間に対する効果を評価した。本発明者らは、式(I)で示される化合物が、アレルギー性鼻炎マウスモデルにおいて、3~30mg/kgの投与量においてDP-1阻害メカニズムに基づく最大作用を示すことを以前に確認している(非特許文献1)。したがって、本研究では、マウスに、3mg/kgまたは30mg/kgを1日2回、8~9日間投与した。本発明者らは、バロキサビルマルボキシル(プロドラッグ)を経口投与したマウスと比べて、その活性体であるBXAの懸濁液を皮下注射したマウスの血漿中濃度の経時変化が、ヒトPK曲線を模倣することを以前に確認している。したがって、この研究では、BXA懸濁液をマウスに皮下投与した。10mg/kgのBXA懸濁液をマウスに皮下投与することによりヒトに見られるようなBXA血漿中濃度を維持できるが、本マウスモデルにおいては、10mg/kgの用量によりBXA単独で非常に強い生存効果を示してしまい他剤併用効果を検出することが困難であることから、0.2mg/kgまたは1mg/kgの用量のBXAに対する式(I)で示される化合物の併用による効果を評価した(WO20200194024、WO20200194042、Fukaoら、J Antimicrob Chemother、2019:74:654~662)。
本研究においては、インフルエンザウイルス感染モデルに加えて、ヒトにおけるインフルエンザ重症化の要因の一つである細菌性の混合感染を模したモデル(インフルエンザウイルスと肺炎球菌の混合感染モデル)を用いて、式(I)で示される化合物とBXAの併用治療による効果を検討した。ヒトにおいて、細菌の混合感染は、ウイルス感染の直後またはウイルス排出の期間中に生じる(Chertowら、JAMA、2013:309(3):275~282)。本発明者らは、マウスにA/Osaka/129/2009(マウス馴化株)を接種した後2日以内に、肺内ウイルス力価がピークレベルに達することを以前に確認している(Onishiら、Antiviral Research 117(2015)52~59)。したがって、この研究では、マウスへのウイルス感染後2日目に、肺炎球菌を接種した。A型インフルエンザウイルス感染後2日目に肺炎球菌に感染したマウスにおいて、式(I)で示される化合物またはBXAいずれかの単独投与は効果的でなかったが、式(I)で示される化合物+BXAの併用投与により、それぞれの単独投与群あるいは媒体投与群に対し、有意に生存期間が延長し、生存率が改善した(p<0.05)。これらの知見は、重症インフルエンザ患者における治療オプションとしての、式(I)で示される化合物とBXAとの併用療法の有用性を支持する。
【0063】
製剤例
以下に示す製剤例は例示にすぎないものであり、発明の範囲を何ら限定することを意図するものではない。
(製剤例1)懸濁剤
式(I)で示される化合物の原薬に、例えば、注射用水を加え、懸濁剤とした。
(製剤例2)錠剤
式(I)で示される化合物の原薬に、添加剤として例えば、乳糖、ステアリン酸マグネシウムを加え、錠剤とした。
【産業上の利用可能性】
【0064】
本発明のウイルス性気道感染症治療用医薬は、活性成分の式(I)で示される化合物またはその製薬上許容される塩とキャップ依存性エンドヌクレアーゼ阻害剤とを組み合わせることにより、インフルエンザウイルス感染症および重篤なインフルエンザ状態を有する対象者におけるインフルエンザウイルス感染症に対し、優れた治療効果を示すと考えられる。
図1
図2