(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054451
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】型枠用側圧センサ取付金具および型枠構造
(51)【国際特許分類】
E04G 19/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
E04G19/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160650
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000446
【氏名又は名称】岡部株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100121496
【弁理士】
【氏名又は名称】中島 重雄
(72)【発明者】
【氏名】藤井 俊二
(72)【発明者】
【氏名】丸山 喜照
(72)【発明者】
【氏名】岩▲崎▼ 郁弥
(72)【発明者】
【氏名】辻 駿
【テーマコード(参考)】
2E150
【Fターム(参考)】
2E150BA12
2E150BA32
2E150BA52
2E150BA54
2E150BA67
2E150BA74
2E150CA01
2E150EC22
2E150FA22
2E150GA03
2E150GB03
2E150GB10
2E150LB00
2E150MA02Z
2E150MA11Z
(57)【要約】
【課題】横端太材や端太材押え金具を取り外すことなく側圧センサの取付け位置を簡単に変更して型枠の側圧測定の作業性を向上する。
【解決手段】横端太材3bに当接する端太材当接部11bが設けられると共に、端太材押え金具4を貫通するネジ棒5およびそのネジ棒5に螺合する締付ナット6を通す過大通し孔11a1が設けられ、側圧センサ7が取り付けられるセンサ取付ベース金具11と、センサ取付ベース金具11に掛止される共に、端太材押え金具4およびセンサ取付ベース金具11を貫通したネジ棒5を通す切欠き部12bが設けられ、当該切欠き部12bを通ったネジ棒5に螺合する締付ナット6によりセンサ取付ベース金具11に締付される差込み座金12とを有する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
型枠を押える端太材に当接する端太材当接部が設けられると共に、端太材押え金具を貫通するネジ棒の外径およびそのネジ棒に螺合するナットの幅より大きい内径の過大通し孔が設けられ、前記型枠にかかる側圧を測定する側圧センサが取り付けられるセンサ取付ベース金具と、
前記ネジ棒の外径より大きく、かつ、前記ナットの幅より狭い幅を有する切欠き部が設けられた座金とを備え、
前記センサ取付ベース金具は、前記端太材押え金具および前記センサ取付ベース金具の過大通し孔を貫通し、前記座金の切欠き部を通った前記ネジ棒に螺合する前記ナットにより締付けられることを特徴とする型枠用側圧センサ取付金具。
【請求項2】
請求項1記載の型枠用側圧センサ取付金具において、
前記センサ取付ベース金具には上方に向かって突出した突起部が設けられている一方、
前記座金には、前記突起部の幅とほぼ同じ間隔で設けられ、当該座金を前記センサ取付ベース金具に掛止する際、前記突起部の両側に掛止される掛止部が設けられていることを特徴とする型枠用側圧センサ取付金具。
【請求項3】
請求項1記載の型枠用側圧センサ取付金具において、
前記センサ取付ベース金具は、
前記過大通し孔が設けられた背板部と、前記背板部の両側に設けられ、前記側圧センサが取り付けられる一対の脚部とを備え、前記一対の脚部の間隔は、前記端太材押え金具の横幅より大きく、前記一対の脚部の高さは、前記端太材押え金具の高さより高く形成され、前記端太材押え金具を覆い、かつ、前記端太材押え金具との間に間隔を空けて接触しないように前記座金を介し前記ネジ棒に螺合する前記ナットによって締結され取り付けられることを特徴とする型枠用側圧センサ取付金具。
【請求項4】
堰板を支持する端太材を端太材押え金具によって押えた型枠構造であって、
前記端太材押え金具を貫通するネジ棒に螺合し当該端太材押え金具を前記端太材に押し付けているナットを緩め、請求項1~請求項3のいずれか一の請求項に記載の型枠用側圧センサ取付金具を構成し、側圧センサが取り付けられたセンサ取付ベース金具の過大通し孔に前記ネジ棒およびナットを通すと共に、前記センサ取付ベース金具と前記ナットの間に前記型枠用側圧センサ取付金具を構成する座金を挿入して当該座金の切欠き部に前記ネジ棒を通し、前記ナットを締め付けることによって側圧センサが取り付けられた前記型枠用側圧センサ取付金具を取付けることを特徴とする型枠構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリートの打設時に型枠にかかるコンクリートの側圧を測定する側圧センサを取付ける型枠用側圧センサ取付金具およびその型枠用側圧センサ取付金具を使用した型枠構造に関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物を構築する型枠構造では、コンクリート打設時に型枠内に充填されるコンクリートの圧力が高くなり過ぎることにより型枠が破壊することを未然に防ぐため、コンクリート打設時に型枠にかかる側圧を測定することが行われている。例えば、特許文献1では、セパレータに螺合する雌ねじ部及び型枠締付桿螺着用の螺桿を備えたロードセル本体等の側圧センサを型枠(堰板)と横端太材との間に設けている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上記特許文献に記載の技術では、ロードセル本体等の側圧センサを型枠(堰板)と横端太材との間に設けているため、側圧センサの取り付け位置を変更する場合には、横端太材や端太材押え金具(座金)等を取り外す必要があり、作業性が悪いという問題点があった。
【0005】
そこで、本発明はこのような問題点に鑑みなされたもので、横端太材や端太材押え金具を取り外すことなく側圧センサの取付け位置を簡単に変更して型枠の側圧測定の作業性を向上することができる型枠用側圧センサ取付金具および型枠構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するため、本発明に係る型枠用側圧センサ取付金具は、型枠を押える端太材に当接する端太材当接部が設けられると共に、端太材押え金具を貫通するネジ棒の外径およびそのネジ棒に螺合するナットの幅より大きい内径の過大通し孔が設けられ、前記型枠にかかる側圧を測定する側圧センサが取り付けられるセンサ取付ベース金具と、前記ネジ棒の外径より大きく、かつ、前記ナットの幅より狭い幅を有する切欠き部が設けられた座金とを備え、前記センサ取付ベース金具は、前記端太材押え金具および前記センサ取付ベース金具の過大通し孔を貫通し、前記座金の切欠き部を通った前記ネジ棒に螺合する前記ナットにより締付けられることを特徴とする。
また、本発明に係る型枠用側圧センサ取付金具では、前記センサ取付ベース金具には上方に向かって突出した突起部が設けられている一方、前記座金には、前記突起部の幅とほぼ同じ間隔で設けられ、当該座金を前記センサ取付ベース金具に掛止する際、前記突起部の両側に掛止される掛止部が設けられていることも特徴とする。
また、本発明に係る型枠用側圧センサ取付金具では、前記センサ取付ベース金具は、前記過大通し孔が設けられた背板部と、前記背板部の両側に設けられ、前記側圧センサが取り付けられる一対の脚部とを備え、前記一対の脚部の間隔は、前記端太材押え金具の横幅より大きく、前記一対の脚部の高さは、前記端太材押え金具の高さより高く形成され、前記端太材押え金具を覆い、かつ、前記端太材押え金具との間に間隔を空けて接触しないように前記座金を介し前記ネジ棒に螺合する前記ナットによって締結され取り付けられることも特徴とする。
また、本発明に係る型枠構造は、堰板を支持する端太材を端太材押え金具によって押えた型枠構造であって、前記端太材押え金具を貫通するネジ棒に螺合し当該端太材押え金具を前記端太材に押し付けているナットを緩め、上述のいずれか一の型枠用側圧センサ取付金具を構成し、側圧センサが取り付けられたセンサ取付ベース金具の過大通し孔に前記ネジ棒およびナットを通すと共に、前記センサ取付ベース金具と前記ナットの間に前記型枠用側圧センサ取付金具を構成する座金を挿入して当該座金の切欠き部に前記ネジ棒を通し、前記ナットを締め付けることによって側圧センサが取り付けられた前記型枠用側圧センサ取付金具を取付けることを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る型枠用側圧センサ取付金具は、センサ取付ベース金具と座金を備え、センサ取付ベース金具には、端太材に当接する端太材当接部と、端太材押え金具のネジ棒およびそのネジ棒に螺合するナットを通す過大通し孔を設け、座金には、ネジ棒の外径より大きく、かつ、ナットの幅より狭い幅を有する切欠き部を設けている。
そのため、堰板の外側をそれぞれ縦端太材および横端太材を介して端太材押え金具によって押えられている型枠構造では、センサ取付ベース金具の過大通し孔にネジ棒およびそのネジ棒に螺合するナットを通し、さらに、そのネジ棒に座金の切欠き部に通した後、ナットを締付けることにより、型枠構造が形成される。
その結果、横端太材や端太材押え金具を取り外すことなく、側圧センサの取付け位置を変更することが可能となり、型枠の側圧測定の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を使用して側圧センサを取り付けた側の型枠を示す斜視図である。
【
図3】本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具から差込み座金等を取り外した状態を示す斜視図である。
【
図4】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具の斜視図である。
【
図5】(a)~(e)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具の平面図、左側面図、正面図、B-B線断面図、底面図である。
【
図6】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成する座金の斜視図である。
【
図7】(a)~(d)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成する座金の平面図、正面図、左側面図、C-C線断面である。
【
図8】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具の取付手順を示す斜視図であって、締付ナットで端太材押え金具を端太材に押し付けている状態を示す斜視図、その締付ナットを緩めた状態を示す斜視図である。
【
図9】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具の取付手順を示す斜視図であって、締付ナットを緩めたネジ棒に実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具を挿入するように移動させている状態を示す斜視図、センサ取付ベース金具の挿入後の状態を示す斜視図である。
【
図10】(a),(b)それぞれ本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具の取付手順を示す斜視図であって、締付ナットを緩めたネジ棒に実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具を挿入後、差込み座金を差し込むように移動させている状態を示す斜視図、差込み座金を挿入後、締付ナットで締付けた状態を示す斜視図である。
【
図11】本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具を座金を介し締付ナットにより端太材押え金具4を覆うように設けた状態を示す正面図である。
【
図12】本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具を座金を介し締付ナットにより端太材押え金具4を覆うように設けた状態を示す側面図である。
【
図13】本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具を構成するセンサ取付ベース金具を座金を介し締付ナットにより端太材押え金具4を覆うように設けた状態を示す底面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明に係る型枠用側圧センサ取付金具および型枠構造の実施形態について図面を参照して説明する。尚、下記に説明する実施形態は、あくまで本発明の一例であり、本発明は下記の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術思想の創作の範囲内で適宜変更可能である。
【0010】
本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1および型枠構造について説明する。まず、実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1を使用して側圧センサ7が設置される型枠構造から説明する。
【0011】
<型枠構造の構成>
コンクリートを打設する型枠は、
図1に示すように縦端太材3aおよび横端太材3bによって外側から支持された2組の堰板2によって構成されるもので、縦端太材3aおよび横端太材3bはネジ棒5に螺合する締付ナット6によって締付けられた端太材押え金具4によって押えられている。
【0012】
端太材押え金具4は、後述する
図11~
図14等に示すようにネジ棒5が貫通するネジ棒貫通孔(図示せず。)が形成された背板部とその背板部の左右両側から90度折り曲げられて対向するように延びる一対の側板部とから構成されている。一対の側板部の先端面には丸パイプ等で構成された横端太材3bを確実に押えることが出来るように横端太材3bの外形に応じて切欠いた端太材当接部が2箇所設けられており、この2箇所の端太材当接部で2本の横端太材3bを押えるように構成されている。
【0013】
ネジ棒5は、2組の堰板2を所定間隔に保つセパレータ(図示せず。)の両側に接続された軸足(図示せず。)等を介して連結され、その外周には締付ナット6が螺合するネジ部5aが設けられていると共に、通常、その先端部は潰す等して締付ナット6が脱落しないように抜け止め部5bを設けている。尚、堰板2や縦端太材3a、横端太材3b、端太材押え金具4、ネジ棒5、締付ナット6等の型枠を構成する部材は周知である。
【0014】
そして、堰板2にかかるコンクリート打設時のコンクリート圧を測定する側圧センサ7も周知なもので、ロードセルまたは歪ゲージ等と呼ばれるセンサがあるが、応力塗料を使用してもよい。本実施形態では、ロードセルまたは歪ゲージ等と呼ばれるセンサを使用した場合で説明しており、後述するように型枠用側圧センサ取付金具1を構成するセンサ取付ベース金具11の一対の脚部11b,11bそれぞれに取付け、各側圧センサ7が検出した測定値は信号線7aを有するプローブ8を介しデータロガー9に送られ、表示や記録、データ処理等するように構成している。
【0015】
<実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1の構成>
実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1は、例えば、
図1や
図2、さらには後述する
図11~
図14等に示すように横端太材3bを押える端太材押え金具4を覆い被さるように取り付けられるもので、
図3に示すようにセンサ取付ベース金具11と、差込み座金12と、連結チェーン13と、保護カバー14a~14c等で構成され、連結チェーン13および保護カバー14a~14cは省略しても良い。尚、
図3において、7はロードセルまたは歪ゲージ等と呼ばれる側圧センサ、7aは側圧センサ7が測定したひずみ値を送る信号線、8はその信号線7aを束ねたプローブ、8aはプローブ8をセンサ取付ベース金具11に固定するプローブ押え金具である。
【0016】
(センサ取付ベース金具11)
センサ取付ベース金具11は、
図4および
図5に示すように鋼板を所定の形状にカットした後、折り曲げて構成されており、背板部11aと、背板部11aの左右両側から90度折り曲げて設けられた一対の脚部11b,11bとで構成されており、平面視、コ字形状に形成されている。
【0017】
背板部11aは、そのほぼ中央に端太材押え金具4を貫通するネジ棒5および締付ナット6を通す過大通し孔11a1を設けると共に、上方に向かって幅W1(
図5(c)参照。)で突出する突起部11a2を上端部に設けている。
【0018】
ここで、過大通し孔11a1の内径Rは、ネジ棒5の外径および締付ナット6の最大幅よりも大きく形成してネジ棒5および締付ナット6を通す大きさに形成している。
【0019】
また、背板部11aの下方には、側圧センサ7が測定した測定信号を送信するプローブ8を押えるプローブ押え金具8aを固定するネジを通すネジ孔11a3を設けている。
【0020】
そして、背板部11aの内幅W2は、後述する
図14等に示すように端太材押え金具4の横幅W3よりも大きく形成している。
【0021】
一対の脚部11b,11bの先端面には丸パイプ等で構成された横端太材3bを確実に押えることが出来るように横端太材3bの外形に応じて切欠いた端太材当接部11b1が2箇所設けられており、この2箇所の端太材当接部11b1で2本の横端太材3bを押えるように構成されている。
【0022】
一対の脚部11b,11bの高さH1は、後述する
図12に示すように端太材押え金具4の高さH2よりも高くして、
図13および
図14等に示すように端太材押え金具4の外側から実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1が端太材押え金具4を覆い被さるように取付けた場合に、端太材押え金具4と型枠用側圧センサ取付金具1との間に隙間G1,G2(
図14参照。)が空いて型枠用側圧センサ取付金具1が端太材押え金具4に接触しない状態で一対の脚部11b,11bそれぞれに取付けた側圧センサ7で堰板2に係るコンクリートの圧力を検出する。このとき、側圧センサ7は、一対の脚部11b,11bに取り付けるとしているが、これに限定されず、側圧センサ7を背板部11aの表面に取り付けてもよい。
【0023】
尚、一対の脚部11b,11bの内、少なくも一方の脚部11bの上方には、連結チェーン13の一端が連結されるチェーン連結孔11b2(
図4(b)参照。)を設けている。
【0024】
(差込み座金12)
差込み座金12は、
図6および
図7に示すように形成されており、その上端部には両側をそれぞれ同じ方向に90度折り曲げてセンサ取付ベース金具11の突起部11a2の幅W1とほぼ同じ間隔W1’(
図7(b)参照。)が空いた一対の掛止部12a,12aを設けると共に、端太材押え金具4およびセンサ取付ベース金具11を貫通したネジ棒5を通す切欠き部12bを設けている。
【0025】
一対の掛止部12a,12aの間隔W1’をセンサ取付ベース金具11の突起部11a2の幅W1とほぼ同じようにしたことで、差込み座金12とセンサ取付ベース金具11を端太材押え金具4の締付ナット6によって固定する際、突起部11a2の両側に掛止された一対の掛止部12a,12aが突起部11a2の両側に掛止されていることで、差込み座金12の落下を防止するとともに、センサ取付ベース金具11に対する差込み座金12の供回りを防止することができる。
【0026】
尚、差込み座金12の一対の掛止部12a,12aに挟まれ曲げられずに残った突出部12cには、連結チェーン13の他端が連結されるチェーン連結孔12c1を設ける。
【0027】
(連結チェーン13)
連結チェーン13は、
図3等に示すようにセンサ取付ベース金具11の一方の脚部11bに設けたチェーン連結孔11b2(
図4(b)や
図5(d)等参照。)と、差込み座金12の突出部12cに設けたチェーン連結孔12c1(
図6や
図7等参照。)に連結され、センサ取付ベース金具11から差込み座金12が紛失しないようにする。
【0028】
(保護カバー14a~14c)
保護カバー14a~14cは、樹脂等で形成され、センサ取付ベース金具11の一対の脚部11b,11bや背板部11aの下方に装着して一対の脚部11b,11bそれぞれに設けた側圧センサ7や信号線7aの合流箇所、プローブ押え金具8a等を保護する部材である。
【0029】
<実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1の取付け>
次に、以上のように構成された実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1の取付手順について説明する。
【0030】
図8(a)に示すように、型枠を構成する堰板2の外側で、横端太材3bに端太材押え金具4を取り付ける。その後、型枠用側圧センサ取付金具1を取り付けて、型枠内のコンクリートの側圧を計測する箇所を決めて、
図8(b)に示すように、当該取付箇所の横端太材押え金具4の締付ナット6を緩める。
【0031】
次に、
図9(a)に示すように一対の脚部11b,11bに側圧センサ7が取り付けられ、保護カバー14a~14c等が装着されたセンサ取付ベース金具11を、ネジ棒5に取付て、端太材当接部11b1に横端太材3bを嵌合させる。ここで、過大通し孔11a1の内径Rは、端太材押え金具4のネジ棒5の外径および締付ナット6が通るように過大に形成しているため、ネジ棒5に締付ナット6を螺合させた状態のまま
図9(b)に示すように通すことができる。
【0032】
次いで、
図10(a)に示すようにセンサ取付ベース金具11の背板部11aと締付ナット6との間に上方から差込み座金12を挿入し、その後、
図10(b)に示すように締付ナット6を締付ける。
【0033】
すると、センサ取付ベース金具11は、端太材押え金具4に覆い被さるような状態で一対の脚部11b,11b先端2箇所の端太材当接部11b1,11b1が2本の横端太材3bに当接し、側圧センサ7を取り付けたセンサ取付ベース金具11を型枠に取付けることができる。
【0034】
そのため、型枠内にコンクリートを流し込むと、センサ取付ベース金具11の両側の脚部11b,11bそれぞれに取付けた側圧センサ7は、堰板2にかかる側圧を測定し、各測定値はプローブ8を介しデータロガー9へ送られ、データロガー9にて表示や記録、データ処理等される。
【0035】
図11~
図13は、それぞれ、実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1を構成するセンサ取付ベース金具11に差し込み座金12を介し締付ナット6により締付けて2本の横端太材3b,3bに取付けた状態を示す背面図、側面図、底面図、
図14は
図13におけるD部分の拡大図である。尚、
図11~
図14では、横端太材3b,3bと、端太材押え金具4と、型枠用側圧センサ取付金具1を構成するセンサ取付ベース金具11および差し込み座金12との関係が明確になるように、連結チェーン13や保護カバー14a~14c、信号線7a、プローブ8、プローブ押え金具8a等は図示を省略している。
【0036】
図11~
図14に示すように、型枠用側圧センサ取付金具1は、端太材押え金具4を貫通するネジ棒5の締付ナット6を締め付けて実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1を端太材押え金具4に覆い被さるように横端太材3bに取付けた際、センサ取付ベース金具11の背板部11aが端太材押え金具4に当接しない高さを有する脚部11bであるため、側圧センサ7が取り付けられたセンサ取付ベース金具11と端太材押え金具4との間、詳細には、背板部11aと端太材押え金具4との間に隙間G1,G2が空き、センサ取付ベース金具11と端太材押え金具4とは接触せずに干渉しない。そのため、センサ取付ベース金具11の各脚部11b,11bに取付けられた側圧センサ7は、型枠にかかる側圧を端太材押え金具4の影響を受けることなく、横端太材3b,3bを介し正確に測定することができる。
【0037】
このように、本実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1では、端太材押え金具4を貫通するネジ棒5の締付ナット6を一旦緩め、その後締結するだけで、端太材押え金具4を横端太材3b等から取り外すことなく、側圧センサ7が設けられたセンサ取付ベース金具11を型枠に取付けることができる共に、センサ取付ベース金具11の取付位置を変更することができる。
【0038】
<本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1のまとめ>
以上説明したように、本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1は、端太材押え金具4に覆い被さるように取付けられ、端太材押え金具4を貫通するネジ棒5および締付ナット6を通す過大通し孔11a1が設けられ、側圧センサ7が取り付けられるセンサ取付ベース金具11と、センサ取付ベース金具11に掛止される共に、端太材押え金具4およびセンサ取付ベース金具11を貫通したネジ棒5を通す切欠き部12bが設けられ、当該切欠き部12bを通ったネジ棒5に螺合する締付ナット6によりセンサ取付ベース金具11に締付される差込み座金12とを有する。
【0039】
そのため、側圧センサ7の取り付け位置を変更する場合でも、横端太材3bや端太材押え金具4を取り外すことなく側圧センサ7を取付けた型枠用側圧センサ取付金具1の着脱が可能となり、型枠用側圧センサ取付金具1の位置を変更するだけで側圧センサ7の取付け位置を変更することができるので、側圧センサ7の取付け位置の変更作業の型枠の側圧測定の作業性を向上させることができる。
【0040】
また、本実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1では、センサ取付ベース金具11の背板部11aの内幅W2は端太材押え金具4の横幅W3よりも大きく、かつ、一対の脚部11b,11bの高さH1は端太材押え金具4の高さH2よりも高く構成し、センサ取付ベース金具11を端太材押え金具4に覆い被さるように取付けた場合、型枠用側圧センサ取付金具1と端太材押え金具4との間に隙間G1,G2(
図13参照。)が空いてセンサ取付ベース金具11と端太材押え金具4とが接触せずに取付けられるように構成している。
【0041】
そのため、側圧センサ7を取付けた取付ベース金具11と端太材押え金具4とは干渉しないため、堰板2にかかるコンクリートの側圧を、端太材押え金具4を介さず横端太材3bを介し直接測定することができるので、より正確にコンクリートの側圧を測定することができる。
【0042】
また、本発明に係る実施形態の型枠用側圧センサ取付金具1では、センサ取付ベース金具11には上方に向かって突出した突起部11a2を設ける一方、差込み座金12には、突起部11a2の幅W1とほぼ同じ間隔W1’だけ離間した一対の掛止部12a,12aを設けている。
【0043】
そのため、差込み座金12の切欠き部12bにネジ棒5が位置するように差込み座金12をセンサ取付ベース金具11と締付ナット6との間に差し込んだ後、締付ナット6を回転させてセンサ取付ベース金具11および差込み座金12を締付する際、差込み座金12が締付ナット6によって供回り(回転)しようとすると、差込み座金12上部の一対の掛止部12a,12aがセンサ取付ベース金具11上部の突起部11a2の両側端面に当接してセンサ取付ベース金具11に対する差込み座金12の供回り(回転)を防止するので、この点でも作業効率を向上させることができる。
【符号の説明】
【0044】
1 型枠用側圧センサ取付金具
11 センサ取付ベース金具
11a 背板部
11a1 過大通し孔
11a2 突起部
11b 脚部
11b1 端太材当接部
11b2 チェーン連結孔
12 差込み座金(座金)
12a 掛止部
12b 切欠き部
12c 突出部
12c1 チェーン連結孔
13 連結チェーン
14a~14c 保護カバー
2 堰板
3a 縦端太材
3b 横端太材
4 端太材押え金具
5 ネジ棒
6 締付ナット
7 側圧センサ
8 プローブ
9 データロガー