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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054467
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】装置
(51)【国際特許分類】
   B29C 55/00 20060101AFI20240410BHJP
   B29C 55/28 20060101ALI20240410BHJP
   B29C 48/08 20190101ALI20240410BHJP
   B29C 48/10 20190101ALI20240410BHJP
   B29C 48/92 20190101ALI20240410BHJP
   B29L 7/00 20060101ALN20240410BHJP
【FI】
B29C55/00
B29C55/28
B29C48/08
B29C48/10
B29C48/92
B29L7:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】18
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160689
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】田中 利采
【テーマコード(参考)】
4F207
4F210
【Fターム(参考)】
4F207AA50
4F207AG01
4F207AJ08
4F207AM23
4F207AP01
4F207AP05
4F207AP20
4F207KA01
4F207KA17
4F207KM03
4F207KM20
4F210AA50
4F210AG01
4F210AJ08
4F210AM23
4F210AP01
4F210AP05
4F210AP20
4F210AR06
4F210AR07
4F210AR08
4F210AR14
4F210AR20
4F210QA01
4F210QC07
4F210QD25
4F210QG02
4F210QG18
4F210QK05
(57)【要約】
【課題】押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定することができる装置を提供すること。
【解決手段】押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための装置であって、前記再生ペレットの物性値に関する情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定部を、備える、装置。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための装置であって、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定部を、備える、
装置。
【請求項2】
前記推定部は、前記再生ペレットと混合する未使用ペレットに関する情報c1と、前記情報aに基づいて、前記延伸条件dを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記情報c1が、前記未使用ペレットの分子量、樹脂種、又は組成比を含む、
請求項2に記載の装置。
【請求項4】
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記再生ペレットと混合すべき未使用ペレットに関する情報c2を、さらに推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記情報c2が、前記未使用ペレットの分子量、樹脂種、又は組成比を含む、
請求項4に記載の装置。
【請求項6】
前記情報aが、前記再生ペレットの分子量、樹脂種、組成比、又は再生ペレット中の異物情報を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項7】
前記延伸条件dが、延伸温度、延伸倍率、延伸方向、又は延伸速度を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項8】
前記推定部は、情報aに基づいて、前記再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい押出条件fをさらに推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項9】
前記押出条件fが、押出速度又は押出温度を含む、
請求項8に記載の装置。
【請求項10】
前記推定部は、目的とする延伸フィルムに関する情報bと前記情報aに基づいて、前記延伸条件dを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項11】
前記情報bは、目的とする延伸フィルムの弾性率、引張強度、又は融点を含む、
請求項1に記載の装置。
【請求項12】
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記延伸条件dにより延伸した場合に延伸中にフィルムが破断するリスクに関する情報eを、さらに推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項13】
前記情報c及び前記延伸条件dを表示制御する表示制御部をさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項14】
前記情報cに従って前記押出装置のフィーダを制御し、前記延伸条件dに従って前記延伸装置を制御する、制御部をさらに備える、
請求項1に記載の装置。
【請求項15】
学習用データに基づいてモデルを作成する学習部をさらに備え、
前記学習用データは、前記再生ペレットをフィルム状に押し出して所定の延伸条件下で延伸した情報として、再生ペレットに関する情報Aと、延伸条件Dと、を含み、
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記モデルにより、前記延伸条件dを推定する、
請求項1に記載の装置。
【請求項16】
前記学習用データは、得られた延伸フィルムに関する情報B、未使用ペレットに関する情報C、及び/又は、破断したか否かに関する情報Eをさらに含む、
請求項15に記載の装置。
【請求項17】
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための方法であって、
装置が、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定工程を実行する、
方法。
【請求項18】
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するためのプログラムであって、
装置に、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定工程を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための装置に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂フィルムやボトル等の製造過程では、端材が生じる。そのような端材をペレットに再生して、樹脂フィルムとして利用することが考えられる。このようなペレットを再生ペレットともいう。また、再生ペレットに対して、もともと原料として使用していたペレットを未使用ペレットという。しかしながら、再生ペレットは、端材を加熱溶融などして製造されるため、未使用ペレットに比べて樹脂の劣化が進行している恐れがある。
また、逆に再生ペレットの混入により樹脂の強度が大幅に上昇することがある。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1には、非加熱で再生ペレットを製造することが可能な再生ペレット製造装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2012-81605号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
樹脂の劣化が進行した再生ペレットを用いて、未使用ペレットを用いる場合と同様の延伸条件などで樹脂フィルムを成形すると、樹脂フィルム製造中に破断が生じ、製造ラインが停止する恐れがある。また、再生ペレットの混入により、樹脂の強度が大幅に上昇し、未使用ペレットで樹脂フィルムを製造する際には破断してしまうような条件での製造が可能になることがある。そのため、再生ペレットを用いて樹脂フィルムを製造する際には、再生ペレットに適した、破断しにくい条件で製造することが望まれる。
【0006】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定することができる装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
すなわち、本発明は、以下のとおりである。
〔1〕
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための装置であって、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定部を、備える、
装置。
〔2〕
前記推定部は、前記再生ペレットと混合する未使用ペレットに関する情報c1と、前記情報aに基づいて、前記延伸条件dを推定する、
〔1〕に記載の装置。
〔3〕
前記情報c1が、前記未使用ペレットの分子量、樹脂種、又は組成比を含む、
〔2〕に記載の装置。
〔4〕
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記再生ペレットと混合すべき未使用ペレットに関する情報c2を、さらに推定する、
〔1〕~〔3〕のいずれか一項に記載の装置。
〔5〕
前記情報c2が、前記未使用ペレットの分子量、樹脂種、又は組成比を含む、
〔4〕に記載の装置。
〔6〕
前記情報aが、前記再生ペレットの分子量、樹脂種、組成比、又は再生ペレット中の異物情報を含む、
〔1〕~〔5〕のいずれか一項に記載の装置。
〔7〕
前記延伸条件dが、延伸温度、延伸倍率、延伸方向、又は延伸速度を含む、
〔1〕~〔6〕のいずれか一項に記載の装置。
〔8〕
前記推定部は、情報aに基づいて、前記再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい押出条件fをさらに推定する、
〔1〕~〔7〕のいずれか一項に記載の装置。
〔9〕
前記押出条件fが、押出速度を含む、
〔8〕に記載の装置。
〔10〕
前記推定部は、目的とする延伸フィルムに関する情報bと前記情報aに基づいて、前記延伸条件dを推定する、
〔1〕~〔9〕のいずれか一項に記載の装置。
〔11〕
前記情報bは、目的とする延伸フィルムの弾性率、引張強度、又は融点を含む、
〔1〕に記載の装置。
〔12〕
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記延伸条件dにより延伸した場合に延伸中にフィルムが破断するリスクに関する情報eを、さらに推定する、
〔1〕~〔11〕のいずれか一項に記載の装置。
〔13〕
前記情報c及び前記延伸条件dを表示制御する表示制御部をさらに備える、
〔1〕~〔12〕のいずれか一項に記載の装置。
〔14〕
前記情報cに従って前記押出装置のフィーダを制御し、前記延伸条件dに従って前記延伸装置を制御する、制御部をさらに備える、
〔1〕~〔13〕のいずれか一項に記載の装置。
〔15〕
学習用データに基づいてモデルを作成する学習部をさらに備え、
前記学習用データは、前記再生ペレットをフィルム状に押し出して所定の延伸条件下で延伸した情報として、再生ペレットに関する情報Aと、延伸条件Dと、を含み、
前記推定部は、前記情報aに基づいて、前記モデルにより、前記延伸条件dを推定する、
〔1〕~〔14〕のいずれか一項に記載の装置。
〔16〕
前記学習用データは、得られた延伸フィルムに関する情報B、未使用ペレットに関する情報C、及び/又は、破断したか否かに関する情報Eをさらに含む、
〔15〕に記載の装置。
〔17〕
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための方法であって、
装置が、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定工程を実行する、
方法。
〔18〕
押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するためのプログラムであって、
装置に、
前記再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、
前記情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定工程を実行させる、
プログラム。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定することができる装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本実施形態のフィルムを製造するシステムの概略断面図である。
図2A】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
図2B】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
図2C】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
図2D】本実施形態の装置の一態様を示す概略図である。
図3】本実施形態の装置の機能的な構成の一例を示すブロック図である。
図4A】本実施形態の処理を示すフローチャートである。
図4B】本実施形態の処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明するが、本発明はこれに限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変形が可能である。
【0011】
1.フィルムの製造方法
初めに、フィルムの製造方法について説明する。本実施形態においては、押出装置によって再生ペレットをフィルム状に押し出し、延伸装置によって押し出したフィルムを延伸する。なお、フィルムの製造方法の際には、再生ペレットのみを用いてもよいし、再生ペレットと未使用ペレットを組み合わせて用いてもよい。
【0012】
再生ペレットに含まれる樹脂としては、特に限定されないが、例えば、塩化ビニリデン系樹脂、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂などが挙げられる。さらに、再生ペレットは、必要に応じて、可塑剤、安定剤など公知の添加剤を含んでいてもよい。
【0013】
1.1.押出工程
図1に、本実施形態のフィルムの製造方法の概略図を示す。図1に示すように、押出装置100は、駆動部110、シリンダ120、スクリュ130、フィーダ140、ダイス150、及び制御部160を備えていてもよい。一例として、押出装置100は、シリンダ120内で、原料を溶融混錬してダイス150から押し出す。
【0014】
駆動部110は、シリンダ120内のスクリュ130を回転させるものであり、回転速度によってシリンダ内の混練物の押出速度、圧力などを調整することができる。シリンダ120は、スクリュ130を収容する筒状の部材である。スクリュ130が回転することで、混練物がシリンダ120の中をフィーダ140からダイス150まで、押し出される。シリンダ120の内部には、複数、例えば、2本のスクリュ130が配置されてもよい。
【0015】
スクリュ130は、シリンダ120の内部で回転することで、フィーダ140から供給された原料を混練しながらダイス150へと押し出す。この際、シリンダ120内の原料は、スクリュ130の回転により動的に生成されるせん断熱により溶融してもよい。
【0016】
スクリュ130は、制御部160からの信号に応じて、その回転速度などを制御可能なように構成されていてもよい。これにより、押出速度やシリンダ内の圧力などを調整することができる。また、添加剤が混練中に樹脂の分子量やその他物性に影響を与えるようなものであるなど成分が混練中に互いに作用し得る場合には、スクリュ130による押出速度やシリンダ内の圧力の制御によって、得られる混練物の物性を調整してもよい。
【0017】
フィーダ140は、シリンダ120に対して、再生ペレットや未使用ペレットなど混練物の原料となる樹脂や、添加剤を供給する。フィーダ140の上流には、再生ペレットを共有するフィーダ140a、未使用ペレットを供給するフィーダ140b、添加剤を供給する140cなど、供給する原料の種類ごとに個別のフィーダが設けられていてもよい。フィーダ140から供給された原料は、回転するスクリュ130の根元部から反対側の先端部に向かう方向に押し出されてもよい。
【0018】
フィーダ140,140a,140b,140cは、それぞれ、制御部160からの信号に応じて、各原料の供給量を制御可能なように構成されていてもよい。これにより、混練物に含まれる各原料の割合などを調整することができる。また、原料組成が混練物の物性に影響を与えるようなものである場合には、フィーダ140,140a,140b,140cによる各原料の割合の制御によって、得られる混練物の物性を調整してもよい。
【0019】
ダイス150は、シリンダ120から混練物が押し出される開口部である。図1においては、リング状の開口部を用いるダイス150から管状のフィルムが押し出され、ソック310が形成される態様が示されている。しかしながら、ダイス150の開口部はこれに限定されず、Tダイであってもよい。なお、ソック310はパイルとも呼ぶ。
【0020】
制御部160は、所定の運転条件に従って押出装置100の運転制御を行うほか、温度計や圧力計などの各種計器(不図示)により測定される押出条件を記録することができる。なお、制御部160は、駆動部110、フィーダ140、各種計器などと有線又は無線のネットワークNにより接続されていてもよい。
【0021】
1.2.冷却工程
ソック310の内側にソック液320を注入し、ソック310の外側は冷水槽330の冷水に接触させる。これにより、ソック310は、内側と外側の両方から冷却され、ソック310を構成するフィルムは固化する。
【0022】
ダイス150から冷水槽330までの距離をホットディスタンスという。このホットディスタンスの距離を調整することにより、フィルムを引っ張った際の結晶長周期などの物性を調整してもよい。
【0023】
1.3.延伸工程
図1に示すように、延伸装置200は、第1ロール210、第2ロール220、第3ロール230、第4ロール250、ガイド板240、巻き取りロール260、制御部160を備えていてもよい。一例として、延伸装置200は、押し出されたフィルムを延伸して延伸フィルムを形成する。延伸されたフィルムは、巻き取られて巻回体となる。
【0024】
まず、第1ロール210は、固化したソック310を折りたたみ、パリソン340を成形する。第1ロール210と第2ロール220により、パリソン340には張力がかけられてもよい。続いて、第2ロール220を通過したパリソン340の内側にエアを注入してもよい。これにより、パリソン340を開口し、環状のフィルムを形成する。このとき、ソック310の内面に当たる部分に塗布されたソック液320はパリソン340の開口剤としての効果を発揮してもよい。
【0025】
次いで、第2ロール220と第3ロール230との間において、開口したパリソン340は、延伸に適した温度まで再加熱されてもよい。加熱は温水などによって行われてもよい。この際、パリソン340の外側に付着した温水は、第3ロール230にて搾り取られてもよい。
【0026】
さらに、第3ロール230を通過したパリソン340の内側にエアをさらに注入して、バブル350を形成してもよい。このエアが内側からバブル350を押し広げることで、フィルムが延伸され、延伸フィルムが得られる。
【0027】
第1ロール210から第4ロール250までの工程を延伸工程という。バブル350は、第4ロール250を通過するとともに、第4ロール250で折り畳まれ、ダブルプライフィルム360となる。ダブルプライフィルム360は、巻き取りロール260にて巻き取られる。
【0028】
主にTD方向のフィルムの延伸倍率の調整は、エアの量により行ってもよい。また、MD方向のフィルムの延伸倍率の調整は、第3ロール230と第4ロール250の回転速度やロール間の距離により行ってもよい。この際、MD方向及びTD方向の延伸倍率に加えて、MD方向及びTD方向の延伸速度を所定の範囲に調整してもよい。さらに、延伸条件の温度によって、延伸倍率や延伸速度を調整してもよい。
【0029】
さらに、本実施形態のフィルムの製造方法は、延伸直後のフィルムを緩和する緩和工程や、フィルムをスリットして1枚のフィルムになるように剥がすスリット工程、又はフィルムを任意のサイズに切断するトリム工程を有してもよい。
【0030】
樹脂の劣化が進行した再生ペレットを用いて、未使用ペレットを用いる場合と同様の延伸条件などで樹脂フィルムを成形すると、均一な押出ができなかったり、樹脂フィルム製造中に破断が生じ、製造ラインが停止したりする恐れがある。また、樹脂の劣化が進行した再生ペレットは異物を生じさせやすく、その異物が破断を促進することがある。そのため、再生ペレットを用いて樹脂フィルムを製造する際には、再生ペレットに適した、破断しにくい条件を設定し生産性を維持することが望ましい。
【0031】
また、破断が生じず、正常にフィルムが製造されるとしても、異物に起因する切れ傷の発生頻度が多くなったり、異物を起点とした裂けトラブルが生じたり、得られるフィルムの性能低下に影響したりすることもありうる。そのため、そのような異物の生じにくい押出条件や延伸条件が求められる。
【0032】
また、再生ペレットの混入により、樹脂の強度が大幅に上昇し、未使用ペレットで樹脂フィルムを製造する際には破断してしまうような条件での製造が可能になることがある。具体的には、混入した異物がごく微小の場合、結晶核が形成しやすくなり、フィルムの強度が上昇する。これにより、ライン速度の上昇が可能になり、生産性の向上が見込める。
【0033】
2.再生ペレットの製造方法
再生ペレットの原料となるのは、上記のようなフィルムの製造プロセスにおいて生じる、押出屑、パンク端材、トリム屑などの端材が挙げられる。これら端材は、それぞれ厚みや硬度などが異なる。そのため、ペレット化する際にかけるせん断力が異なる。したがって、端材の種類や混合割合に応じて、再生ペレットの劣化の程度は異なりうる。
【0034】
また、再生ペレットの原料としては、上記のようにフィルムの製造プロセスにおいて生じる端材のほかに、使用済のフィルムが含まれてもよい。使用済のフィルムとは、リサイクル品として収集したフィルムなどが挙げられる。これら使用済のフィルムは、不純物が混入しやすく、再生ペレットの劣化を引き起こしやすい傾向にある。
【0035】
再生ペレットの製造方法は、特に限定されず、上記端材などを押出装置に供給し、溶融混錬して、ペレタイズする方法が挙げられる。
【0036】
3.装置
本実施形態の装置は、押出装置100と延伸装置200によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための装置であって、再生ペレットの物性値に関する情報aに基づいて、延伸条件dを推定する推定部を備える。また、本実施形態の装置は、必要に応じて、表示制御部や学習部などを備えていてもよい。
【0037】
これにより、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定することができる。そのため、より効率的にリサイクルを推進することができる。
【0038】
図2A図2Dに、本実施形態の装置400の態様について示す。例えば、図2Aに示すように、本実施形態の装置400は、なお、押出装置100と延伸装置200によって構成されるフィルムの製造システム500と独立した端末400aであってもよい。端末400aはユーザが使用する端末であってもよい。ここでいう「端末」は、デスクトップ、ラップトップ、タブレット、スマートフォン、ハンドヘルドコンピュータデバイス、ウェアラブル端末等であってもよい。
【0039】
図2Bに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500と独立したサーバであってもよい。ユーザは、端末400aを操作して、サーバ400に各種情報を送信し、サーバ400から各種情報を受信できる。
【0040】
図2Cに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500とネットワークNを介して接続されたサーバ400であってもよい。製造システム500は、端末400aの代替として機能するように構成されていてもよい。この場合、ユーザは、端末400aに代えて製造システム500を操作して、サーバ400に各種情報を送信し、サーバ400から各種情報を受信できる。
【0041】
図2Dに示すように、本実施形態の装置400は、製造システム500に組み込まれる装置であってもよい。この場合、本実施形態の装置400は、上記制御部160と一体となっていてもよい。
【0042】
本実施形態では、例えば、装置400は、任意の情報を取得または推定するために、他の装置と有線又は無線のネットワークNを介して接続されてもよい。また、装置400は、図3に示す少なくとも一部の情報をネットワークNで接続したサーバなどの他の装置から取得してもよいし、又は、図3に示す機能部の少なくとも一部の処理を、ネットワークNで接続したサーバなどの他の装置により実行させるような構成としてもよい。
【0043】
最初に、図2Aに示す態様について説明する。
【0044】
3.1.ハードウェア構成
図1を参照しつつ、装置400のハードウェア構成について説明する。装置400は
、例えば、プロセッサ410、通信インターフェース420、入出力インターフェース
430、メモリ440、ストレージ450、及びこれらの構成要素を相互接続するため
の1つ又は複数の通信バス460を含む。
【0045】
プロセッサ410は、ストレージ450に記憶されるプログラムに含まれるコード、
又は、命令によって実現する処理、機能、又は、方法を実行する。プロセッサ410は
、限定でなく例として、1又は複数の中央処理装置(CPU)、MPU(Micro Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、マイクロプロセッサ(microprocessor)、プロセッサコア(processor core)、マルチプロセッサ(multiprocessor)、ASIC(Application-Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)等を含み、集積回路(IC(Integrated Circuit)チップ、LSI(Large Scale Integration))等に形成された論理回路(ハードウェア)や専用回路によって各実施形態に開示されるそれぞれの、処理、機能、又は、方法を実現してもよい。
【0046】
通信インターフェース420は、ネットワークを介して他の装置と各種データの送受信を行う。当該通信は、有線、無線のいずれで実行されてもよく、互いの通信が実行できるのであれば、どのような通信プロトコルを用いてもよい。例えば、通信インターフェース420は、ネットワークアダプタ等のハードウェア、各種の通信用ソフトウェア、又はこれらの組み合わせとして実装される。
【0047】
ネットワークは、限定でなく例として、アドホック・ネットワーク(Ad Hoc Network)、イントラネット、エクストラネット、仮想プライベート・ネットワーク(Virtual Private Network:VPN)、ローカル・エリア・ネットワーク(Local Area Network:LAN)、ワイヤレスLAN(Wireless LAN:WLAN)、広域ネットワーク(Wide Area Network:WAN)、ワイヤレスWAN(Wireless WAN:WWAN)、大都市圏ネットワーク(Metropolitan Area Network:MAN)、インターネットの一部、公衆交換電話網(Public Switched Telephone Network:PSTN)の一部、携帯電話網、ISDNs(Integrated Service Digital Networks)、無線LANs、LTE(Long Term Evolution)、CDMA(Code Division Multiple Access)、ブルートゥース(Bluetooth(登録商標))、衛星通信等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ネットワークは、1つまたは複数のネットワークを含むことができる。
【0048】
入出力インターフェース430は、装置400に対する各種操作を入力する入力装置、および、装置400で処理された処理結果を出力する出力装置を含む。例えば、入出力インターフェース430は、キーボード、マウス、及びタッチパネル等の情報入力装置、及びディスプレイ等の情報出力装置を含む。なお、装置400は、外付けの入出力インターフェース430を接続することで、所定の入力を受け付けてもよいし、所定の出力を実行してもよい。
【0049】
例えば、装置400は、情報a,b,c1などのデータを記録した他の装置と、有線又は無線のネットワークNで接続されていてもよい。これにより、例えば、他の装置が、情報a,b,c1などのデータを最新に保つことにより、装置400は常にその最新に保たれたデータ、及び当該データを利用したモデルを利用することができる。また、これに加えて、複数の装置400が個別にこれら情報a,b,c1,c2,d,eなどの情報を重複して蓄積し、計算するような無駄を削減できる。ここで、他の装置は、要求に応じてデータを提供するサーバであってもよい。
【0050】
メモリ440は、ストレージ450からロードしたプログラムを一時的に記憶し、プ
ロセッサ410に対して作業領域を提供する。メモリ440には、プロセッサ410が
プログラムを実行している間に生成される各種データも一時的に格納される。メモリ4
40は、例えば、DRAM、SRAM、DDR RAM又は他のランダムアクセス固体
記憶装置などの高速ランダムアクセスメモリであってよく、これらが組み合わせられて
もよい。
【0051】
ストレージ450は、プログラム、各機能部、及び各種データを記憶する。ストレージ450は、例えば、1つ又は複数の磁気ディスク記憶装置、光ディスク記憶装置、フラッシュメモリデバイス、又は他の不揮発性固体記憶装置などの不揮発性メモリ等であってよく、これらが組み合わせられてもよい。ストレージ450の他の例としては、プロセッサ410から遠隔に設置される1つ又は複数の記憶装置を挙げることができる。
【0052】
本発明の一実施形態において、ストレージ450はプログラム、機能部及びデータ構造、又はそれらのサブセットを格納する。装置400は、ストレージ450に記憶されているプログラムに含まれる命令をプロセッサ410が実行することによって、図3に示すように、推定部454として機能するように構成されている。
【0053】
オペレーティングシステム451は、例えば、様々な基本的なシステムサービスを処理するとともにハードウェアを用いてタスクを実行するためのプロシージャを含む。
【0054】
ネットワーク通信部452は、例えば、装置400を他のコンピュータに、通信インターフェース420、及びインターネット、他の広域ネットワーク、ローカル・エリア・ネットワーク、大都市圏ネットワークなどの1つ又は複数の通信ネットワークを介して接続するために使用される。
【0055】
3.1.1.取得部
取得部453は、再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する。また、取得部453は、必要に応じて、目的とする延伸フィルムに関する情報bや、再生ペレットと混合する未使用ペレットに関する情報c1を取得してもよい。
【0056】
取得部453は、例えば、ネットワークNを介して、他の装置からこれら情報a,b,c1を取得してもよい。例えば、また、取得部453は、情報bを製造システム500から、ネットワークを介して取得してもよい。また、取得部453は、入出力インターフェースを介したユーザの入力により、これら情報a,b,c1を取得してもよい。
【0057】
また、取得部453は、取得した情報a,b,c1を、推定用データ455に蓄積してもよい。なお、後述する推定部454は、推定用データ455に蓄積された情報a,b,c1を推定処理に利用してもよい。
【0058】
さらに、取得部453は、後述する推定部454が推定した、延伸条件dや、再生ペレットと混合すべき未使用ペレットに関する情報c2、延伸条件dにより延伸した場合に延伸中にフィルムが破断するリスクに関する情報eを、推定用データ455に蓄積してもよい。
【0059】
3.1.2.推定部
推定部454は、取得部453によって取得された情報aに基づいて、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件dを推定する。
【0060】
再生ペレットの物性値に関する情報aとしては、特に限定されないが、例えば、再生ペレットの分子量、再生ペレットに含まれる樹脂種、再生ペレットに含まれる成分の組成比、再生ペレットに含まれる異物の種類、異物の大きさなどの異物情報が挙げられる。このような情報aは、特に限定されないが、例えば、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー法、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴法、ガスクロマトグラフィー法、顕微レーザーラマン(顕微LR)などの測定データであってもよい。これにより、再生ペレットの劣化の評価指標として、非破壊的な手法による定性評価や定量評価を用いることができる。
【0061】
また、情報aは、原料に関する情報が含まれてもよい。原料に関する情報としては、特に限定されないが、例えば、押出屑、パンク端材、トリム屑などの端材の種類や、その混合割合などが挙げられる。また、情報aは、再生ペレットの製造条件に関する情報が含まれてもよい。再生ペレットの製造条件としては、特に限定されないが、例えば、加熱条件やせん断力条件等が挙げられる。このように再生ペレットの原料条件や製造条件に関する情報を含むことにより、その劣化の程度についてより詳細に推定し、破断しにくい延伸条件dを推定することができる。
【0062】
延伸条件dは、延伸温度、延伸倍率、延伸方向、又は延伸速度を含んでもよい。これにより、樹脂フィルム製造中に破断が生じ、製造ラインが停止することを比較的回避することができる。例えば、樹脂の劣化の進行の程度や異物の大きさに応じて、延伸倍率や延伸速度を低下・上昇することで、破断が生じにくい条件とすることができる。
【0063】
取得部453が再生ペレットと混合する未使用ペレットに関する情報c1を取得した場合には、推定部454は、情報aと、情報c1とに基づいて、延伸条件dを推定してもよい。これにより、未使用ペレットの条件を考慮して、より適切な延伸条件dを推定できる傾向にある。
【0064】
情報c1としては、特に限定されないが、例えば、未使用ペレットの分子量、未使用ペレットに含まれる樹脂種、未使用ペレットに含まれる成分の組成比などが挙げられる。このような情報c1は、特に限定されないが、例えば、ゲルパーミエ-ションクロマトグラフィー法、赤外分光スペクトル、核磁気共鳴法、ガスクロマトグラフィー法などの測定データであってもよい。
【0065】
取得部453が目的とする延伸フィルムに関する情報bを取得した場合には、推定部454は、情報aと、情報bとに基づいて、延伸条件dを推定してもよい。目的とする延伸フィルムに関する情報bとしては、特に限定されないが、例えば、目的とする延伸フィルムの弾性率、引張強度、融点が挙げられる。これにより、破断のリスクに加え、製品性能を考慮した延伸条件dを推定することができる。
【0066】
推定部454は、情報aに基づいて、再生ペレットと混合すべき未使用ペレットに関する情報c2をさらに推定してもよい。情報c2としては、特に限定されないが、例えば、未使用ペレットの分子量、樹脂種、組成比が挙げられる。
【0067】
推定部454は、情報aに基づいて、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい押出条件fをさらに推定してもよい。押出条件fとしては、特に限定されないが、例えば、押出速度や押出温度が挙げられる。押出条件fは、溶融混錬時に異物を生じさせにくい条件であってもよい。
【0068】
推定部は、情報aに基づいて、延伸条件dにより延伸した場合に延伸中にフィルムが破断するリスクに関する情報eを、さらに推定してもよい。ある再生ペレットを用いたときに比較的破断しにくい条件として延伸条件dが得られたとしても、破断するリスクが高いということがありうる。延伸条件dが得られたとしても破断するリスクが高い場合には、ユーザはその再生ペレットを用いてフィルムの製造を行うことを止める選択をすることができる。
【0069】
3.1.3.表示制御部
本実施形態の装置400は、表示制御部456をさらに備えてもよい。表示制御部456は、延伸条件dを表示装置に表示制御してもよい。また、表示制御部456は、情報c2,情報e,又は押出条件fをさらに表示制御してもよい。
【0070】
3.1.4.学習部
本実施形態の装置400は、学習部457をさらに備えてもよい。学習部457は、学習用データ458を収集し、学習用データに基づいてモデルを作成してもよい。このようにして得られたモデルを用いて、上記推定部454は、各推定処理を実行してもよい。
【0071】
学習用データ458は、再生ペレットの物性値に関する情報Aと、破断しにくい延伸条件Dと、を含んでもよい。また、学習用データ458は、得られた延伸フィルムに関する情報B、未使用ペレットに関する情報C、破断したか否かに関する情報E,再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい押出条件Fをさらに含んでもよい。
【0072】
なお、本開示において、推定部454が使用又は推定する情報は、小文字の記号(情報a~f)で表し,学習部457が使用する情報は、大文字の記号(情報A~F)で表す。なお、大文字の記号であらわした情報は、小文字の記号であらわす情報と同様の情報を含んでいてもよい。例えば、情報Aは、情報aで例示した各情報を含んでいてもよい。
【0073】
モデルの作成方法は特に制限されず、従来公知の方法を利用することができる。例えば、ロジスティック回帰モデル、多層パーセプトロン、CNN(Convolutional Neural Network)及びRNN(Recurrent Neural Network)などのニューラルネットワーク、ガウシアンカーネル等の任意のカーネル関数を用いるサポートベクターマシーン、回帰木としてモデル化したランダムフォレスト、重回帰分析、隠れマルコフモデルなどを利用したモデル、統計モデルや確率モデルなど種々の他のモデルを採用することもできる。また、種々のモデルを組み合わせて総合的な判定を行うモデルを採用することもできる。
【0074】
さらに、学習部457は、定期的に学習用データ458を収集し、再学習によりモデルを更新してもよい。
【0075】
3.1.5.制御部
装置400は、延伸装置200を制御する制御部(不図示)をさらに有していてもよい。これにより、情報cに従って押出装置のフィーダを制御し、延伸条件dに従って延伸装置を制御してもよい。なお、装置400が有する制御部は、延伸装置200を制御する制御部160であってもよい(図2D参照)。
【0076】
同様に、装置400は、押出装置100を制御する制御部(不図示)をさらに有していてもよい。この場合にも、装置400が有する制御部は、押出装置100を制御する制御部160であってもよい(図2D参照)。
【0077】
3.2.動作処理
次に、装置400の動作について説明する。図4Aは、装置400が行う処理の一例を示すフローチャートである。
【0078】
3.2.1.モデル作成
ステップA01において、装置400の学習部457は、学習用データ458に基づいて、破断しにくい延伸条件dを推定するモデルを作成する。
【0079】
3.2.2.取得工程
ステップA02において、端末400の取得部453は、再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する。この際に、端末400の取得部453は、目的とする延伸フィルムに関する情報bや、再生ペレットと混合する未使用ペレットに関する情報c1を取得してもよい。図4Aにおいては、再利用ペレットの情報aと未使用ペレットの情報c1に基づいて、延伸条件dを出力する処理を示す。
【0080】
3.2.3.推定工程
ステップA03において、端末400の推定部454は、取得部453によって取得した情報から、延伸条件dを推定する。この際に、端末400の推定部454は、情報aに基づいて、フィルムが破断するリスクに関する情報eや、押出条件fをさらに推定してもよい。
【0081】
そして、ステップA04において、端末400の表示制御部456は、推定された情報eを表示制御してもよい。この際に、端末400の表示制御部456は、情報eや、押出条件fをさらに表示制御してもよい。
【0082】
3.2.4.変形例
図4Bは、再生ペレットの情報aに基づいて、その再生ペレットと組み合わせるべき未使用ペレットの情報c2と、その組み合わせを行った際の延伸条件dを出力する処理を示す(ステップA12,A13)。その他のステップA11,A14は、上記図4Aと同様とすることができる。
【0083】
3.3.他の態様
次いで、図2B図2Dに示す態様について説明する。図2Bは、本実施形態の装置400が、サーバである態様を示す。ユーザは、端末400aを介して、サーバである装置400に情報aなどを入力し、端末400aを介して、サーバである装置400から延伸条件dを取得することができる。図2Bにおいては、本実施形態の装置400をサーバ400ともいう。
【0084】
サーバ400を介することで、サーバ400に各種情報を集約することができる。これにより、より精度の高い推定モデルを構築することが可能となる。また、サーバ400を利用することで、端末にとっては負荷の高い処理も安定して実行することが可能となる。さらに、端末400aは、サーバ400との各種情報の送受信ができればよいものとなるため、端末400aを新たに開発することなく、既存の端末を利用することができる。
【0085】
なお、本実施形態の処理において、サーバ400は、有線又は無線のネットワークNを介して接続された他の装置を、各種情報のストレージの一部として、あるいは、各種処理を実行する機能部の一部として、利用してもよい。
【0086】
図2Cは、本実施形態の装置400が、製造システム500とネットワークNを介して接続されたサーバである態様を示す。図2Cでは、ユーザは、製造システム500を介して、サーバ400に情報aを入力し、製造システム500を介して、サーバ400から延伸条件dを取得することができる。図2Cは、図2Bの端末400aが製造システム500に組み込まれて一つのクライアント端末として機能する態様ということもできる。
【0087】
図2Dは、本実施形態の装置400が、製造システム500に組み込まれる態様を示す。図2Dでは、ユーザは、製造システム500に組み込まれた装置400に情報aを入力し、製造システム500に組み込まれた装置400から延伸条件dを取得することができる。図2Dは、図2Aの端末400aが製造システム500に組み込まれた態様ということもできる。
【0088】
4.方法
本実施形態の方法は、押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するための方法であって、装置が、再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、情報aに基づいて、延伸条件dとを推定する推定工程を実行する。
【0089】
なお、本実施形態の方法の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【0090】
5.プログラム
本実施形態のプログラムは、押出装置と延伸装置によって、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するためのプログラムであって、装置に、再生ペレットの物性値に関する情報aを取得する取得工程と、情報aに基づいて、延伸条件dとを推定する推定工程を実行させる。
【0091】
プログラムは、読み取り可能な記録媒体に記録された物であってもよい。なお、本実施形態のプログラムが実行する処理の具体的態様については、上記動作処理で述べているため、ここでは詳細な説明は省略する。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の装置は、再生ペレットをフィルム状に押し出して延伸する際に、破断しにくい延伸条件を推定するものとして産業上の利用可能性を有する。
【符号の説明】
【0093】
100…押出装置、110…駆動部、120…シリンダ、130…スクリュ、140,140a,140b,140c…フィーダ、150…ダイス、160…制御部、200…延伸装置、210…第1ロール、220…第2ロール、230…第3ロール、240…ガイド板、250…第4ロール、260…ロール、310…ソック、320…ソック液、330…冷水槽、340…パリソン、350…バブル、360…ダブルプライフィルム、400…装置、400a…端末、410…プロセッサ、420…通信インターフェース、430…入出力インターフェース、440…メモリ、450…ストレージ、451…オペレーティングシステム、452…ネットワーク通信部、453…取得部、454…推定部、455…推定用データ、456…表示制御部、457…学習部、458…学習用データ、460…通信バス、500…製造システム。
図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図3
図4A
図4B