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特開2024-54470太陽光発電パネルの敷設方法及び敷設用治具
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054470
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】太陽光発電パネルの敷設方法及び敷設用治具
(51)【国際特許分類】
   H02S 20/21 20140101AFI20240410BHJP
   E01C 7/18 20060101ALI20240410BHJP
   E01C 7/30 20060101ALI20240410BHJP
   E01C 7/32 20060101ALI20240410BHJP
   H02S 40/20 20140101ALI20240410BHJP
【FI】
H02S20/21
E01C7/18
E01C7/30
E01C7/32
H02S40/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160696
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】590002482
【氏名又は名称】株式会社NIPPO
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】鍛治 哲理
【テーマコード(参考)】
2D051
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2D051AG01
2D051AG11
2D051EA01
5F151JA01
5F151JA13
5F251JA01
5F251JA13
(57)【要約】
【課題】所定の目地幅を正確に確保しつつ複数の太陽光発電パネルを路面に簡易に敷設できる太陽光発電パネルの敷設方法を提供する。
【解決手段】太陽光発電パネルの敷設方法は、前記路面にレベリング層を形成する工程と、前記太陽光発電パネルの位置決め治具を前記レベリング層に固定し、前記位置決め治具に沿って前記レベリング層の上に前記太陽光発電パネルを配置するパネル配置工程と、前記位置決め治具を取り外す工程と、前記位置決め治具を取り外した後の目地をシーリング材で埋める工程と、を含む。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の太陽光発電パネルを路面に敷設する敷設方法であって、
前記路面にレベリング層を形成する工程と、
前記太陽光発電パネルの位置決め治具を前記レベリング層に固定し、前記位置決め治具に沿って前記レベリング層の上に前記太陽光発電パネルを配置するパネル配置工程と、
前記位置決め治具を取り外す工程と、
前記位置決め治具を取り外した後の目地をシーリング材で埋める工程と、
を含む、太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項2】
前記パネル配置工程は、
前記太陽光発電パネルの隅部を位置決めする第1位置決め治具を固定し、前記第1位置決め治具に沿って前記太陽光発電パネルを配置し、前記太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めする第2位置決め治具を固定する工程を含む、
請求項1に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項3】
前記パネル配置工程は、
前記第2位置決め治具に沿って別の太陽光発電パネルを配置し、前記別の太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めする別の第2位置決め治具を固定し、別の第2位置決め治具に沿ってさらに別の太陽光発電パネルを配置し、前記さらに別の太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めするさらに別の第2位置決め治具を固定し、これら作業を繰り返す工程を含む、
請求項2に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項4】
前記パネル配置工程は、
前記太陽光発電パネルを前記路面の長さ方向に複数の列に亘って敷設し、各列の間に配線用スペースを設ける工程を含む、
請求項3に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項5】
前記パネル配置工程は、
前記太陽光発電パネルを前記路面の幅方向に複数の行に亘って敷設し、各行の間に配線用スペースを設ける工程を含む、
請求項3に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項6】
前記パネル配置工程は、
前記太陽光発電パネルの隅部を位置決めする位置決め治具を一度にまとめて固定し、前記位置決め治具に沿って前記太陽光発電パネルを配置する工程を含む、
請求項1に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
【請求項7】
請求項1から6の何れか一項に記載の位置決め治具であって、略L字形、略T字形、略十字形、略I字形の何れかの形態を持ち、前記太陽光発電パネルの厚みよりも薄く、固定具用の孔を備える、
太陽光発電パネルの位置決め治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光発電パネルの敷設方法及び敷設用治具に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光発電モジュールを有する複数の舗装用の太陽光発電パネルを車道または歩道などの路面に敷設する技術が開示される。太陽光発電パネルは熱膨張などを考慮し、周囲に所定の目地幅を持たせて敷設される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-36514号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、太陽光発電パネルを、その周囲に所定の目地幅を正確に確保しつつ路面に敷設することは困難である。例えば、太陽光発電パネルが重い場合は特に困難である。
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、所定の目地幅を正確に確保しつつ複数の太陽光発電パネルを路面に簡易に敷設できる太陽光発電パネルの敷設方法及び敷設用治具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の態様は、複数枚の太陽光発電パネルを路面に敷設する敷設方法であって、前記路面にレベリング層を形成する工程と、前記太陽光発電パネルの位置決め治具を前記レベリング層に固定し、前記位置決め治具に沿って前記レベリング層の上に前記太陽光発電パネルを配置するパネル配置工程と、前記位置決め治具を取り外す工程と、前記位置決め治具を取り外した後の目地をシーリング材で埋める工程と、を含む。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、複数の舗装用の太陽光発電パネルを、所定の目地幅を確保しつつ、路面に簡易に敷設できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】太陽光発電パネルの構造例を示す断面図である。
図2】(a)~(d)は、位置決め治具の平面図である。
図3】(a)~(f)は、太陽光発電パネルの敷設方法の手順を説明する路面の断面図である。
図4】(a)~(d)は、太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図5】太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図6】太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図7】太陽光発電パネルの敷設完了後の路面の平面図である。
図8】略十字型の位置決め治具を用いる太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図9】略I字型の位置決め治具を用いる太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図10】(a)及び(b)は、第2実施形態に係る太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
図11】第3実施形態に係る太陽光発電パネルの敷設の手順を説明する路面の平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[1.第1実施形態]
[1-1.太陽光発電パネルの構成]
以下、本発明の第1実施形態について、図面を参照して説明する。
太陽光発電パネル10は、例えば、光発電モジュール13と表面保護層16とを有している。太陽光発電パネル10は一辺が1000mmの正方形であり、厚さは100mmであり、重さは10Kgである。光発電モジュール13は、入射した光を電気エネルギーに変換する部材である。光発電モジュール13には、光発電モジュール13が発電した電力を取り出す電気配線(不図示)が接続される。この電気配線は太陽光発電パネル10の外部に引き出され、路面に埋設される。
【0009】
太陽光発電パネル10は、図2に示す位置決め治具を用いて、周囲に所定の目地幅を持たせて、道路または通路の路面に敷設される。
【0010】
図2(a)、(b)、(c)、(d)の各図は、位置決め治具27の具体的な態様の例を示す平面図である。
【0011】
位置決め治具27の具体的な形状は多様であり、本実施形態においては、図2(a)に示す略L字形の位置決め治具27A、図2(b)に示す略T字形の位置決め治具27B、図2(c)に示す略十字形の位置決め治具27C、及び、図2(d)に示す略I字形の位置決め治具27Dを例示する。
【0012】
位置決め治具27A、27B、27C、27Dの幅Wは、位置決め治具27を用いて太陽光発電パネル10を敷設する場合に、太陽光発電パネル10の目地のサイズを規定する。換言すれば、太陽光発電パネル10を敷設する際には、目地のサイズに対応する幅Wを有する位置決め治具27が用いられる。位置決め治具27の厚みについて制限はないが、太陽光発電パネル10よりも薄いと施工性がよく好適である。
【0013】
位置決め治具27は、固定具(不図示)を用いて後述するようにレベリング層25に取り外し可能に固定される。固定具は取り外し可能であれば、ビス、釘、ねじ、アンカー等の何れを用いてもよく、第1実施形態では、ビスが用いられる。パネルが大型化し重量が増えた場合、より強度のある固定具が選択できる。位置決め治具27は、ビス(固定具)が通る複数の固定具用の孔35を備える。第1実施形態では、複数の固定具用の孔35の直径は5mmである。位置決め治具27は樹脂製、金属製の何れでもよいが、軽量であることが好ましい。
以下の説明において、位置決め治具27の具体的態様、すなわち位置決め治具27A、27B、27C、27Dを特に区別しない場合は、位置決め治具27と表記することがある。
【0014】
[1-2.太陽光発電パネルの敷設手順]
ここで、太陽光発電パネル10を道路または通路の路面に設置する敷設工事の手順を説明する。太陽光発電パネル10を敷設する範囲を、施工範囲と呼ぶ。施工範囲は、工事の対象である路面に設定される。太陽光発電パネル10が敷設される路面1は、アスファルト舗装された面であればよく、路面の形状や用途を問わない。
【0015】
例えば、路面1は、道路、その他の通路、広場、駐車場、橋梁であるが、その他のアスファルト舗装面であってもよい。施工範囲の形状及び大きさは、太陽光発電パネル10の設置数等に応じて決定される。
【0016】
例えば、道路または通路の長さ方向に沿って、長手形状の施工範囲が設定される。この場合、施工範囲の長さ方向は、道路または通路の長さ方向と同じ方向である。施工範囲の大きさや形状と、道路または通路の形状との対応は制約されず、例えば、施工範囲の長手方向と道路の長さ方向とが一致しなくてもよい。
【0017】
また、例えば、十分な広さを有する路面1の一部に、矩形の施工範囲を設定することも可能である。本実施形態では、道路の長手方向に沿った長手形状の施工範囲を路面1に設定した例を説明する。
【0018】
図3(a)、(b)、(c)、(d)、(e)、(f)の各図は、太陽光発電パネル10の敷設の手順を示す図であり、路面1の断面図である。
まず、図3(a)に示すように、既設アスファルト舗装に太陽光発電パネル10が設置されるための凹部が形成される工程が行われる。この工程では、路面1のアスファルト舗装が、施工範囲の縁である残存部2、3を除く範囲で所定の深さまで除去される。
【0019】
この工程では、アスファルト舗装が部分的に撤去されることにより、切削溝部23が露出する。切削溝部23は太陽光発電パネル10が敷設される凹部である。
次に、図3(b)に示すように、露出した切削溝部23の上に、レベリング層25が形成される工程が行われる。
【0020】
レベリング層25は、太陽光発電パネル10を支持可能な強度を有すること、及び、位置決め治具27を固定した場合にビスを保持する能力を有することが望ましい。さらに、レベリング層25の形成には、レベリング層25の高さを精度良く調整可能で、かつ、レベリング層25の表面を平坦に仕上げることが可能な、施工性に優れた材料を用いることが、より好適である。
【0021】
これらの要求を満たす好適な材料として、例えば、流動性の高い材料が挙げられ、より具体的には樹脂モルタルやグースアスファルト混合物が用いられる。レベリング層25の表面の平坦性が高いと、レベリング層25と太陽光発電パネル10との接着面積を確保することができ、高い接着強度が得られるという利点がある。
【0022】
続いて、レベリング層25の上に、敷設用の基準線が墨出しされる。基準線は、太陽光発電パネル10の設置位置の目安とされる。その後、基準線に沿わせて、位置決め治具27がレベリング層25にビスを用いて固定される。図3(c)には位置決め治具27が固定された状態を示す。
【0023】
次に、図3(d)に示すように、固定された位置決め治具27に沿うように、太陽光発電パネル10が配置される。この工程で、太陽光発電パネル10はレベリング層25に接着される。例えば、太陽光発電パネル10は、太陽光発電パネル10の裏面に道路用エポキシ樹脂系の接着剤等が塗布された後に、レベリング層25に配置される。
【0024】
図3(c)及び(d)に示したように、位置決め治具27が配置及び固定される工程、及び、太陽光発電パネル10が配置される工程は、パネル配置工程に相当する。
【0025】
次いで、図3(e)に示すように、各太陽光発電パネル10の外周に沿って、仮目地材40、41、42、43、44、45が配置される。仮目地材40~45は、例えばレベリング層25の表面に貼り付けられる。
【0026】
仮目地材40~45は、例えば、発砲スチロール製の幅細の部材であり、その幅は、例えば位置決め治具27の幅Wと同程度の幅である。位置決め治具27が配置された位置では、位置決め治具27の上に重ねて仮目地材40~45が配置される。
【0027】
次に、図3(e)に示すように、太陽光発電パネル10と太陽光発電パネル10との間の凹部、残存部2と太陽光発電パネル10との間の凹部、及び、残存部3と太陽光発電パネル10との間の凹部に、間詰め部50が形成される。
【0028】
間詰め部50は、具体的には、残存部2と仮目地材40の間、仮目地材41と仮目地材42の間、仮目地材43と仮目地材44の間、及び仮目地材45とアスファルト舗装の残存部3の間に形成される。間詰め部50は、例えば樹脂モルタルやグースアスファルト混合物が上記凹部に充填されることにより形成される。
【0029】
間詰め部50が形成された後、仮目地材40~45が除去される。例えば、仮目地材40~45は、間詰め部50を構成する樹脂モルタルが硬化した後に、レベリング層25から引き剥がされる。そして、位置決め治具27のビスが外され、位置決め治具27がレベリング層25から取り外される。
【0030】
位置決め治具27が取り外された後、図3(f)に示すように、目地をシーリング材29により埋める工程が行われる。シーリング材29は、可撓性を有する剛性樹脂等により構成され、伸縮可能であるため、太陽光発電パネル10の熱膨張および収縮に追従して変形する。これにより、太陽光発電パネル10の膨張および収縮により発生する応力を緩和する。
【0031】
太陽光発電パネル10の表面の高さは、切削溝部23が形成される前の既設アスファルト舗装の路面1の高さと一致することが好ましい。例えば、レベリング層25を形成する工程において、太陽光発電パネル10の表面と路面1の高さが一致するように、レベリング層25の高さが調整される。
【0032】
図4(a)、(b)、(c)、(d)の各図、図5、及び、図6は太陽光発電パネル10の敷設手順を示す図であり、路面1の平面図である。
また、路面1に設定された施工範囲は、長手形状である。路面1の長さ方向が列の方向に対応し、路幅方向が行の方向に対応する。ここでは、太陽光発電パネル10を路面1の長さ方向に3列で敷設する例を説明する。
【0033】
図4(a)に示すように、レベリング層25の上に敷設用の基準線KL1、KL2が描かれる。図4(a)に、基準線KL1、KL2を二点鎖線で示す。
【0034】
次に、図4(b)に示すように、基準線KL1、KL2に沿うように、レベリング層25に位置決め治具27がビスを用いて固定される。図4(b)の例では、位置決め治具27として、図2(a)に示す略L字形の位置決め治具27Aが用いられる。この工程は第1固定工程の一例に対応し、位置決め治具27Aは第1位置決め治具の一例に対応する。
【0035】
次に、略L字形の位置決め治具27Aに沿って、図4(c)に示すように、太陽光発電パネル10が配置される。位置決め治具27Aは、太陽光発電パネル10の隣り合う2つの隅部A、Bを位置決めする治具であり、列ごとに固定される。この工程は配置工程の一例に対応する。
【0036】
次に、図4(d)に示すように、太陽光発電パネル10の残りの2つの隅部C、Dを位置決めする位置決め治具27が、レベリング層25にビスを用いて固定される。図4(d)で用いられる位置決め治具27は、図2(b)に示す略T字形の位置決め治具27Bである。この工程は第2固定工程の一例に対応し、ここで固定される位置決め治具27Bは第2位置決め治具の一例に対応する。
【0037】
次に、位置決め治具27Bに沿って、太陽光発電パネル10-1が配置される。太陽光発電パネル10-1は、図4(c)に示す工程で配置された太陽光発電パネル10とは別の太陽光発電パネル10である。別の太陽光発電パネル10-1は、裏面に道路用エポキシ樹脂系の接着剤が塗布されてから、レベリング層25に配置される。太陽光発電パネル10-1を配置する工程は、追加配置工程の一例に対応する。
【0038】
次に、図5に示すように、別の太陽光発電パネル10-1の残りの2つの隅部を位置決めする位置決め治具27B-1が、レベリング層25にビスを用いて固定される。位置決め治具27B-1は、図4(d)の工程で配置された位置決め治具27Bとは別の位置決め治具27Bである。位置決め治具27B-1を配置する工程は、追加固定工程の一例に対応する。
【0039】
次に、図6に示すように、位置決め治具27B-1に沿って、さらに太陽光発電パネル10-2が配置される。太陽光発電パネル10-2は、太陽光発電パネル10、及び、太陽光発電パネル10-1のいずれとも異なる、さらに別の太陽光発電パネル10である。その後、太陽光発電パネル10-2の残りの2つの隅部を位置決めする位置決め治具27B-2が、レベリング層25にビスを用いて固定される。位置決め治具27B-2は、位置決め治具27B及び位置決め治具27B-1とは異なる、さらに別の位置決め治具27Bである。
【0040】
次に、位置決め治具27B-2に沿って太陽光発電パネル10-3が配置される。その後、位置決め治具27B-3が固定された後に、位置決め治具27B-3に沿って太陽光発電パネル10-4が配置される。太陽光発電パネル10-3、10-4は、太陽光発電パネル10及び太陽光発電パネル10-1とは異なる太陽光発電パネル10である。また、位置決め治具27B-3は、位置決め治具27B、27B-1、27B-2のいずれとも異なる位置決め治具27Bである。
【0041】
これらの作業が繰り返されることで、複数の太陽光発電パネル10が路面1の長さ方向に連続して配置される。
【0042】
パネル配置工程は、複数の太陽光発電パネル10で構成される列と、隣接する列との間に、太陽光発電パネル10の配線用スペースSが設けられる工程を含む。
【0043】
位置決め治具27を使用して3列に亘る太陽光発電パネル10の配置が完了した後、図6に破線で示すように、各々の太陽光発電パネル10の外周に沿って、仮目地材40~45が配置される。
【0044】
次に、路面1の残存部2と仮目地材40との間の幅W2の凹部、及び、仮目地材45と残存部3との間の幅W2の凹部に、間詰め部50が形成される。同様に、仮目地材41と仮目地材42との間の幅W1の凹部、及び、仮目地材43と仮目地材44との間の幅W1の凹部に、間詰め部50が形成される。
【0045】
例えば、幅W1は100mmである。幅W1の凹部は、太陽光発電パネル10の配線用スペースSとされる。配線用スペースSは、太陽光発電パネル10のメンテナンスを行うためのメンテナンススペースとして使用されてもよい。また、残存部2と残存部3に近接する幅W2の凹部を、配線用スペースSとしてもよい。この配線用スペースSも、太陽光発電パネル10のメンテナンス用のスペースとして使用されてもよい。
【0046】
図7は、太陽光発電パネル10の敷設完了後の路面1の平面図である。
間詰め部50が形成された後、太陽光発電パネル10と間詰め部50の間から仮目地材40~45が除去されることにより、太陽光発電パネル10の周囲の目地に相当する位置に凹部が形成される。目地の幅は、幅Wと一致する。これらの凹部は、図7に示すようにシーリング材29で埋められる。
【0047】
第1実施形態で説明した太陽光発電パネル10の敷設方法によれば、複数の位置決め治具27を用いて複数枚の太陽光発電パネル10が配置されるため、所定の目地幅Wを確保した状態で、太陽光発電パネル10を路面1に容易に敷設することができる。
【0048】
第1実施形態の敷設方法では、基準線KL1、KL2がレベリング層25の上に描かれ、これらの基準線KL1、KL2に沿わせて、位置決め治具27の固定工程が実行される。この固定工程は、1枚の太陽光発電パネル10の2つの隅部A、Bが位置決めされる工程と、残りの2つの隅部C、Dが位置決めされる工程と、に分けて実行される。このように、固定工程を2つの段階に分けて行うため、太陽光発電パネル10の4隅を正確に位置決めできる。
【0049】
第1実施形態では、路面1の長さ方向に沿って3列の太陽光発電パネル10を同時に敷設する例を示したが、これは一例である。例えば、太陽光発電パネル10を、1列ごとに敷設してもよい。具体的には、1列の太陽光発電パネル10について図4(a)~(d)の工程を実施し、その後に、別の列の太陽光発電パネル10について、図4(a)~(d)の工程をそれぞれ実施してもよい。また、例えば、1列の太陽光発電パネル10を敷設した後に、2列の太陽光発電パネル10を同時に敷設してもよい。
【0050】
また、第1実施形態では、太陽光発電パネル10の配置レイアウトにおいて、列と列とが等間隔で配置され、同じ幅W1の配線用スペースSが配置される例とした。太陽光発電パネル10の配置レイアウトは、この例に限定されない。例えば、図8に示すように、太陽光発電パネル10の2つの列が近接して敷設され、その両側に配線用スペースSが配置されてもよい。この場合、隅部の位置決め治具27には、図2(c)に示す略十字形の位置決め治具27Cが用いられ、位置決め治具27A、27B、27Cによって太陽光発電パネル10の隅部が位置決めされる。
また、図9に示すように、太陽光発電パネル10を配置する際の位置決めは、太陽光発電パネル10の隅部を位置決めする態様に限定されない。例えば、太陽光発電パネル10の辺部を位置決め治具27によって位置決めしてもよい。この場合、位置決め治具27として、図2(d)に示す略I字形の位置決め治具27Dが用いられる。
【0051】
このように、太陽光発電パネル10の隅部の形状に沿う略L字形、略T字形、略十字形の位置決め治具27A、27B、27C、あるいは、太陽光発電パネル10の辺部の形状に沿う略I字型の位置決め治具27Dを用いることにより、太陽光発電パネル10の位置決めを容易に、高精度で行うことができる。これにより、太陽光発電パネル10を、所定の目地幅を確保しつつ、路面に簡易に敷設することができ、高精度で施工することができる。
【0052】
第1実施形態で説明した太陽光発電パネル10の敷設方法は、多角形の太陽光発電パネル10を路面1に複数敷設する敷設方法であって、施工範囲の路面1にレベリング層25を形成する工程と、パネル配置工程と、位置決め治具27を取り外す工程と、位置決め治具27を取り外した後の目地をシーリング材29で埋める工程と、を含む。パネル配置工程は、例えば、太陽光発電パネル10の位置決め治具27をレベリング層25に固定する固定工程、及び、位置決め治具27に沿って太陽光発電パネル10を配置する配置工程を含んでもよい。
【0053】
上記のパネル配置工程は、固定工程としての第1固定工程及び第2固定工程と、配置工程と、を含んでもよい。第1固定工程において、位置決め治具27として太陽光発電パネル10の隅部を位置決めする略L字型の位置決め治具27Aを使用し、施工範囲の所定位置に位置決め治具27Aを固定し、配置工程において、第1の固定工程で設置された位置決め治具27Aに合わせて太陽光発電パネル10を配置し、第2固定工程において、太陽光発電パネル10の隅部のうち位置決め治具27Aが配置された隅部とは異なる隅部を位置決めする略T字形の位置決め治具27Bを使用し、位置決め治具27Bを、配置工程で配置された太陽光発電パネル10の位置に合わせて固定してもよい。
【0054】
さらに、パネル配置工程は、配置工程で配置された太陽光発電パネル10とは別の太陽光発電パネル10-1を、位置決め治具27Bに沿って配置する追加配置工程と、追加配置工程で配置された太陽光発電パネル10-1の位置に合わせて位置決め治具27B-1を固定する追加固定工程と、を含み、追加固定工程を実行し、その後に、追加固定工程で設置された位置決め治具27B-1に合わせて追加配置工程を実行することによりさらに別の太陽光発電パネル10-2を配置する一まとまりの段階を、施工範囲に敷設する太陽光発電パネル10の数に応じた回数だけ実行してもよい。
【0055】
さらに、複数の太陽光発電パネル10を、施工範囲の長さ方向に複数の列を形成するように敷設し、隣接する列と列との間に配線用スペースSを設けてもよい。
【0056】
さらに、位置決め治具27は、略L字形の位置決め治具27A、略T字形の位置決め治具27B、略十字形の位置決め治具27C、略I字形の位置決め治具27Dの何れかの形態を持ち、太陽光発電パネル10の厚みよりも薄く、ビスが通る固定具用の孔35を備えてもよい。
【0057】
[2.第2実施形態]
図10(a)、(b)は、第2実施形態に係る太陽光発電パネル10の敷設の手順を説明する路面1の平面図である。第2実施形態において、第1実施形態と共通する構成には、同符号を付して説明を省略する。
【0058】
第1実施形態では、3列に亘る太陽光発電パネル10のうち最初の行に配置される3枚の太陽光発電パネル10の各隅部を位置決めするために、6個の位置決め治具27がまとめて固定される例を説明した。
【0059】
また、第1実施形態では、6個の位置決め治具27に沿わせて、3枚の太陽光発電パネル10が配置され、第2固定工程と、追加配置工程と、追加固定工程と、これらの工程が繰り返されることで、3列に亘る複数枚の太陽光発電パネル10が敷設される例を示した。
【0060】
第2実施形態では、図10(a)に示すように、多数の位置決め治具27がビス(固定具)を用いてまとめて固定される。詳細には、最初に1行目~2行目に配置される6枚の太陽光発電パネル10のそれぞれが有する4つの隅部、及び、3行目に配置される3枚の太陽光発電パネル10がそれぞれ有する2つの隅を位置決めするための18個の位置決め治具27が、ビスを用いて一度にまとめて固定される。この工程は固定工程の一例に対応する。18個の位置決め治具27は、位置決め治具27A、及び、位置決め治具27Bを含む。
【0061】
18個の位置決め治具27が固定された後は、図10(b)に示すように、18個の位置決め治具27に沿わせて、9枚の太陽光発電パネル10が配置される。この工程は、配置工程の一例に対応する。
【0062】
そして、これらの作業が繰り返されることにより、3列に亘る太陽光発電パネル10が敷設される。
第2実施形態に示した敷設方法によれば、複数の位置決め治具27をまとめて固定することにより、太陽光発電パネル10の敷設に要する作業性の向上を図ることができる。
【0063】
第2実施形態の敷設方法では、太陽光発電パネル10のサイズや形状のばらつきが大きい場合、固定された位置決め治具27の位置と、太陽光発電パネル10の隅部や辺の位置とが合わない可能性がある。
【0064】
この可能性を考慮して、一度にまとめて固定する位置決め治具27を制限してもよい。例えば、太陽光発電パネル10の1つの列に対して、限られた数の太陽光発電パネル10に対応する位置決め治具27をまとめて固定するようにしてもよい。
【0065】
このように、第2実施形態の太陽光発電パネル10の敷設方法では、パネル配置工程は、施工範囲に敷設される太陽光発電パネル10の数に応じた位置決め治具27を、太陽光発電パネル10が配置される前にビスを用いてまとめて固定する固定工程と、固定工程で設置された位置決め治具27に沿って太陽光発電パネル10を配置する配置工程と、を含む。これにより、太陽光発電パネル10の敷設作業の効率を、より一層向上させることが期待できる。
【0066】
[3.第3実施形態]
図11は、第3実施形態に係る太陽光発電パネル10の敷設の手順を説明する平面図である。第3実施形態において、第1実施形態と共通する構成には、同符号を付して説明を省略する。
【0067】
第3実施形態は、太陽光発電パネル10を、路面1に設定された施工範囲の幅方向に複数行に亘って敷設する例を示す。すなわち、太陽光発電パネル10が、路面1の長さ方向と交差する方向に並べて配置される。この例では、各行の太陽光発電パネル10の間に、配線用スペースSが設けられる。
【0068】
第3実施形態の敷設方法では、図11に示すように、図中左端の略L字形の位置決め治具27Aがビスを用いて固定され、固定された位置決め治具27Aに合わせて太陽光発電パネル10が配置され、その後、略T字形の位置決め治具27Bがビスを用いて固定される。ここで、位置決め治具27Aは第1位置決め治具の一例に対応し、位置決め治具27Bは第2位置決め治具の一例に対応する。
【0069】
次いで、位置決め治具27Bに沿わせて別の太陽光発電パネル10-1が配置され、別の位置決め治具27B-1が固定される。その後、位置決め治具27B-1に沿わせて、さらに別の太陽光発電パネル10-2が配置され、次いで、別の略L字形の位置決め治具27A-1が固定される。
【0070】
第3実施形態では、複数の行の太陽光発電パネル10を同時に、或いは並行して敷設してもよいし、1行ごとに太陽光発電パネル10を敷設してもよい。
【0071】
このように、第3実施形態の太陽光発電パネル10の敷設方法によれば、複数の太陽光発電パネル10を、施工範囲の幅方向に複数の行を形成するように敷設し、隣接する行と行との間に配線用スペースSを設ける。これにより、施工範囲の長さ方向に制限されない方向に、太陽光発電パネル10を敷設できる。
【0072】
[4.他の実施形態]
本発明は上述した各実施形態に限定されるものではなく、種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても、本発明の技術的範囲に含まれる。
【0073】
上述した実施形態では、位置決め治具27の具体的な態様の例として、略L字形の位置決め治具27A、略T字形の位置決め治具27B、略十字形の位置決め治具27C、及び、略I字形の位置決め治具27Dを示したが、これらは一例である。位置決め治具27の平面視における形状、位置決め治具27の縁部における加工の有無、位置決め治具27の長手方向におけるサイズ等は、任意に変更可能である。
【0074】
太陽光発電パネル10の形状は正方形に限らない。例えば、長方形、三角形、六角形、或いは、その他の多角形であってもよい。
【0075】
また、太陽光発電パネル10が敷設される路面は既設のアスファルト舗装の路面1に制限されない。例えば、アスファルト舗装が路面に新設される際に、太陽光発電パネル10を設置してもよい。この場合、アスファルト舗装を敷設する工程で、切削溝部23に相当する凹部を形成すればよい。
【0076】
路面1は、道路に制限されず、ペデストリアンデッキ、橋梁、歩道等であってもよいし、公園、駐車場の路面等、種々の路面に適用できる。
【0077】
[5.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0078】
(構成1)複数枚の太陽光発電パネルを路面に敷設する敷設方法であって、前記路面にレベリング層を形成する工程と、前記太陽光発電パネルの位置決め治具を前記レベリング層に固定し、前記位置決め治具に沿って前記レベリング層の上に前記太陽光発電パネルを配置するパネル配置工程と、前記位置決め治具を取り外す工程と、前記位置決め治具を取り外した後の目地をシーリング材で埋める工程と、を含む、太陽光発電パネルの敷設方法。
構成1の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、所定の目地幅を確保しつつ、太陽光発電パネルを路面に簡易に敷設できる。
【0079】
(構成2)前記パネル配置工程は、前記太陽光発電パネルの隅部を位置決めする第1位置決め治具を固定し、前記第1位置決め治具に沿って前記太陽光発電パネルを配置し、前記太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めする第2位置決め治具を固定する工程を含む、構成1に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
構成2の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、太陽光発電パネルを順に設置する方法により、太陽光発電パネルを路面に簡易に敷設できる。
【0080】
(構成3)前記パネル配置工程は、前記第2位置決め治具に沿って別の太陽光発電パネルを配置し、前記別の太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めする別の第2位置決め治具を固定し、別の第2位置決め治具に沿ってさらに別の太陽光発電パネルを配置し、前記さらに別の太陽光発電パネルの残りの隅部を位置決めするさらに別の第2位置決め治具を固定し、これら作業を繰り返す工程を含む、構成1または2に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
構成3の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、複数の太陽光発電パネルを順に設置する方法により、太陽光発電パネルを路面に簡易に敷設できる。
【0081】
(構成4)前記パネル配置工程は、前記太陽光発電パネルを前記路面の長さ方向に複数の列に亘って敷設し、各列の間に配線用スペースを設ける工程を含む、構成1から3の何れか一項に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
構成4の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、複数の太陽光発電パネルを、路面の長さ方向に複数の列に亘って、簡易に設置できる。
【0082】
(構成5)前記パネル配置工程は、前記太陽光発電パネルを前記路面の幅方向に複数の行に亘って敷設し、各行の間に配線用スペースを設ける工程を含む、構成1から4の何れか一項に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
構成5の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、複数の太陽光発電パネルを、路面の幅方向に複数の行に亘って、簡易に設置できる。
【0083】
(構成6)前記パネル配置工程は、前記太陽光発電パネルの隅部を位置決めする位置決め治具を一度にまとめて固定し、前記位置決め治具に沿って前記太陽光発電パネルを配置する工程を含む、構成1から5の何れか一項に記載の太陽光発電パネルの敷設方法。
構成6の太陽光発電パネルの敷設方法によれば、太陽光発電パネルを、所定の目地幅を確保しつつ路面に敷設する際の作業性の向上を図ることができる。
【0084】
(構成7)構成1から6の何れか一項に記載の位置決め治具であって、略L字形、略T字形、略十字形、略I字形の何れかの形態を持ち、前記太陽光発電パネルの厚みよりも薄く、固定具用の孔を備える、太陽光発電パネルの位置決め治具。
構成7の位置決め治具によれば、太陽光発電パネルを路面に敷設する敷設方法を実施する際に、太陽光発電パネルの位置決めを容易に、かつ精度よく行うことができる。位置決め治具が太陽光発電パネルの厚みよりも薄いことにより、施工性をより高めることができる。また、太陽光発電パネルの隅部の形状に沿う略L字形、略T字形、略十字形の位置決め治具、あるいは、太陽光発電パネルの辺部の形状に沿う略I字型の位置決め治具を用いることにより、太陽光発電パネルの位置決めを容易に、高精度で行うことができる。これにより、太陽光発電パネルを、所定の目地幅を確保しつつ、路面に簡易に敷設することができ、高精度で施工することができる。
【符号の説明】
【0085】
1 路面
2、3 残存部
10 太陽光発電パネル
23 切削溝
25 レベリング層
27、27A、27B、27C、27D 位置決め治具
29 シーリング材
35 固定具用の孔
40、41、42、43、44、45 仮目地材
50 間詰め部
A~D 隅部
KL1、KL2 基準線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11