(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054478
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】冷蔵庫
(51)【国際特許分類】
F25D 23/00 20060101AFI20240410BHJP
F25D 27/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
F25D23/00 302M
F25D27/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160711
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】503376518
【氏名又は名称】東芝ライフスタイル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100205785
【弁理士】
【氏名又は名称】▲高▼橋 史生
(74)【代理人】
【識別番号】100203297
【弁理士】
【氏名又は名称】橋口 明子
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100135301
【弁理士】
【氏名又は名称】梶井 良訓
(72)【発明者】
【氏名】藤平 薫
(72)【発明者】
【氏名】小澤 寿匡
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 和人
【テーマコード(参考)】
3L045
3L345
【Fターム(参考)】
3L045AA02
3L045BA01
3L045CA02
3L045DA02
3L045EA01
3L045KA08
3L045LA01
3L045LA15
3L045MA00
3L045NA15
3L045PA01
3L045PA04
3L345AA02
3L345AA25
3L345BB01
3L345DD54
3L345DD58
3L345EE13
3L345EE45
3L345EE53
3L345FF14
3L345FF19
3L345FF43
3L345FF44
3L345GG17
3L345GG27
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】冷蔵室の照明性能を低下させることなく、冷蔵室内の棚を除菌することができる冷蔵庫を提供する。
【解決手段】実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室に可視光を照射する可視光源と、前記冷蔵室内に紫外線を照射する紫外線光源と、を持つ。前記可視光源および前記紫外線光源は、前記冷蔵室の天面に設けられた構成を持つ。前記可視光源および前記紫外線光源の照射口に対向する位置方向には、透過性及び光拡散機能を有する覆い部を備える。前記覆い部は、前記紫外線光源の照射範囲となる第1透過領域と、前記第1透過領域を除く第2透過領域と、を持つ。前記第2透過領域を透過する第2拡散光は、光の集中によりまだら状に照射され、前記第1透過領域を透過する第1拡散光は、前記第2拡散光よりも光の集中が小さく非まだら状で均一に照射される。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
冷蔵室に可視光を照射する可視光源と、
前記冷蔵室内に紫外線を照射する紫外線光源と、を備え、
前記可視光源および前記紫外線光源は、前記冷蔵室の天面に設けられている冷蔵庫。
【請求項2】
前記可視光源および前記紫外線光源の照射方向に光を透過する覆い部を備え、
前記覆い部は、前記紫外線光源に対向する部分に形成された第1透過領域と、前記第1透過領域を除く部分に形成された第2透過領域と、を有し、
前記覆い部は、透過した位置に応じて異なった角度で光を屈折させることにより冷蔵室内に光が集中した部分を生じさせ、前記第2透過領域を透過した光よりも前記第1透過領域を透過した光の方が、集中した部分が少なくなるように前記第1透過領域と第2透過領域とが形成された、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項3】
前記第2透過領域の面は、全体にわたって凹凸形状に形成され、
前記第1透過領域の面は、前記凹凸形状に比べて平坦に形成されている、請求項2に記載の冷蔵庫。
【請求項4】
前記紫外線光源は、前記冷蔵室の扉が閉じた状態で紫外線を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項5】
前記可視光源は、前記冷蔵室の扉が開いた状態で照明を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項6】
前記紫外線光源から紫外線を前記冷蔵室内に照射する除菌動作に切り換え可能な制御部を備え、
前記制御部で前記除菌動作が選択されたときに前記紫外線光源で紫外線を照射する、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項7】
前記紫外線光源および前記可視光源は、外部端末に組み込まれたアプリケーションプログラムを操作することで点灯と消灯とが切り替え可能である、請求項1に記載の冷蔵庫。
【請求項8】
前記可視光源および前記紫外線光源は、前記冷蔵室の天面に加えて、野菜室および特別貯蔵室の少なくとも一方にも設けられている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項9】
前記可視光源は、有色光源を備える、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項10】
複数の前記可視光源が前記冷蔵室の左右方向に沿って配置された列を形成し、
前記列は、前記冷蔵室の前後方向に間隔をあけて複数列で設けられ、
前記有色光源は、前記複数列のうち最前列に配置されている、請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項11】
複数の前記可視光源が前記冷蔵室の左右方向に沿って配置された列を形成し、
前記列は、前記冷蔵室の前後方向に間隔をあけて複数列で設けられ、
前記有色光源は、前側から2列目以降に配置され、前方の列に配置される光源の後方からずれた位置に配置されている、請求項9に記載の冷蔵庫。
【請求項12】
複数の前記可視光源が前記冷蔵室の左右方向に沿って配置された列を形成し、
前記列は、前記冷蔵室の前後方向に間隔をあけて複数列で設けられ、
前記紫外線光源は、前記複数列のうち前側から2列目以降に配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項13】
前記紫外線光源は、前記冷蔵室における前後方向の中央位置、または前記前後方向の中央寄りの位置に配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項14】
前記紫外線光源は、前記冷蔵室の左右方向に均等に配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【請求項15】
前記可視光源は、前記冷蔵室の左右方向に均等に配置されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の冷蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、冷蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
貯蔵室内に紫外線などを照射する紫外線光源を備え、この紫外線光源により庫内を脱臭したり除菌する冷蔵庫が知られている。このような冷蔵庫においては、チルド室や野菜室の内面に青色LEDや紫外線光源を配置した基板を配置し、チルド室や野菜室のみを除菌対象としており、冷蔵室の棚を対象とした除菌が行われていなかった。すなわち、従来は、冷蔵室の棚に対しては、棚上の収容物を視認するための照明のみが設けられているため、棚の除菌が求められていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、冷蔵室の照明性能を低下させることなく、冷蔵室内の棚を除菌することができる冷蔵庫を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態の冷蔵庫は、冷蔵室に可視光を照射する可視光源と、前記冷蔵室内に紫外線を照射する紫外線光源と、を持つ。前記可視光源および前記紫外線光源は、前記冷蔵室の天面に設けられた構成を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図2】
図1に示された冷蔵庫のF1-F1線に沿う断面図。
【
図3】
図2中に示された冷蔵庫のF2線で囲まれた領域を示す断面図。
【
図4】
図2中に示されたF3-F3線に沿う矢視図。
【
図5】第1除菌ユニットの光照射部の構成を示す正面図。
【
図8】上部棚における紫外線照射範囲を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、実施形態の冷蔵庫を、図面を参照して説明する。以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それら構成の重複する説明は省略する場合がある。
【0008】
本明細書では、冷蔵庫の正面に立つユーザから冷蔵庫を見た方向を基準に、左右を定義している。また、冷蔵庫から見て冷蔵庫の正面に立つユーザに近い側を「前」、遠い側を「後ろ」と定義している。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「前後方向」とは、奥行方向を意味する。本明細書において「幅方向」とは、上記定義における左右方向を意味する。本明細書において「上下方向」とは、冷蔵庫の高さ方向を意味する。図面において、前後方向を符号X、前側を符号X1、後側を符号X2、左右方向又は幅方向を符号Yで示す。
【0009】
本明細書で「除菌」とは、説明の便宜上の呼称であり、ウイルスまたは菌の抑制(例えば、ウイルスの感染性の低下や不活化、菌の増殖抑制)を意味する広い意味の用語として用いている。すなわち、本明細書で「除菌」とは、菌を除去する(減らす)ことに限定されず、菌が増えることを抑制すること、および/または、菌以外のウイルスなどの広まりを抑制することの意味で用いている。「ウイルスなどの広まりを抑制する」とは、冷蔵庫内でウイルスが広まることを抑制することに限定されず、ウイルスの感染性が弱まり、そのウイルスが冷蔵庫の外部に出た後に広まることを抑制する場合も該当し得る。
【0010】
[冷蔵庫の全体構成]
図1から
図8を参照し、実施形態の冷蔵庫1について説明する。まず、冷蔵庫1の全体構成について説明する。ただし、冷蔵庫1は、以下に説明する構成の全てを有する必要はなく、いくつかの構成が適宜省略されてもよい。
【0011】
図1は、冷蔵庫1を示す正面図である。
図2は、
図1に示された冷蔵庫1のF1-F1線に沿う断面図である。冷蔵庫1は、例えば、筐体10と、複数の扉20とを備えている。
【0012】
筐体10は、上壁10a、下壁10b、左右の側壁10c,10d、および後壁10e(
図2参照)を有する。上壁10aおよび下壁10bは、水平方向に広がる。左右の側壁10c,10dは、下壁10bの左右の端部から上方に起立し、上壁10aの左右の端部に繋がっている。後壁10eは、下壁10bの後端部から上方に起立し、上壁10aの後端部に繋がっている。筐体10は、筐体10の内面を形成する内箱10iと、内箱10iの外側に位置して筐体10の外面を形成する外箱10jと、内箱10iと外箱10jとの間に設けられた発泡ウレタンのような発泡断熱材10kとを含み(
図2参照)、断熱性を有する。
【0013】
筐体10の内部には、複数の貯蔵室11が設けられている。複数の貯蔵室11は、例えば、冷蔵室11A、チルド室11Aa、野菜室11B、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eを含む。冷蔵室11Aは、例えば、約2℃~6℃である冷蔵温度帯に冷却される。チルド室11Aaは、例えば、約-1℃~+1℃であるチルド温度帯に冷却される。野菜室11Bは、例えば、約3℃~7℃である野菜室温度帯に冷却される。製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eは、例えば、約-20℃~-18℃である冷凍温度帯に冷却される。
【0014】
本実施形態では、最上部に冷蔵室11Aが配置され、冷蔵室11Aの下方に野菜室11Bが配置され、野菜室11Bの下方に製氷室11Cおよび小冷凍室11Dが配置され、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dの下方に主冷凍室11Eが配置されている。ただし、貯蔵室11の配置は、上記例に限定されない。筐体10は、各貯蔵室11の前面側に、各貯蔵室11に対して食材の出し入れを可能にする開口を有する。野菜室11Bは、貯蔵室の一例である。
【0015】
チルド室11Aaは、冷蔵室11Aの下部の一画に設けられている。チルド室11Aaは、「特別貯蔵室」の一例である。本明細書で「特別貯蔵室」とは、冷蔵室よりも温度帯が低く、冷凍室よりも温度帯が高い貯蔵室である。「特別貯蔵室」は、チルド室11Aaに限定されず、パーシャル温度帯(約-4℃~-2℃)に冷却されるパーシャル室などでもよい。このため、以下の説明における「チルド室11Aa」は、「特別貯蔵室」または「パーシャル室」と読み替えられてもよい。
【0016】
筐体10は、第1および第2仕切部15,16を有する(
図2参照)。第1および第2仕切部15,16は、例えば、それぞれ略水平方向に沿う仕切壁である。各仕切部15,16は、それぞれが貯蔵室11を上部領域と下部領域に区画する。第1仕切部15は、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間に位置し、冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaと、野菜室11Bとの間を仕切っている。例えば、第1仕切部15は、断熱性を有しない仕切壁である。第1仕切部15は、筐体10と一体に設けられていてもよく、筐体10とは別体に設けられて筐体10内に取り付けられていてもよい。第1仕切部15は、冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気を野菜室11Bに導く通気孔を有する。一方で、第2仕切部16は、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間に位置し、野菜室11Bと、製氷室11Cおよび小冷凍室11Dとの間を仕切っている。第2仕切部16は、例えば筐体10と一体に設けられ、断熱性を有する。
【0017】
複数の貯蔵室11は、複数の扉20によって開閉可能に閉じられる。複数の扉20は、例えば、冷蔵室11Aの開口を閉じる左右の冷蔵室扉20Aa,20Ab、野菜室11Bの開口を閉じる野菜室扉20B、製氷室11Cの開口を閉じる製氷室扉20C、小冷凍室11Dの開口を閉じる小冷凍室扉20D、および主冷凍室11Eの開口を閉じる主冷凍室扉20Eを含む。左右の冷蔵室扉20Aa,20Abは、例えばフレンチ扉(観音開き扉)を構成する。野菜室扉20B、製氷室扉20C、小冷凍室扉20D、および主冷凍室扉20Eの各々は、冷蔵庫1の前側に引き出し可能な引出扉である。
【0018】
冷蔵庫1は、例えば、複数の棚30、複数の容器40、流路形成部品50、冷却ユニット60、除菌ユニット70(70A、70B、70C)、および制御装置80を備えている。
【0019】
複数(本実施形態では4つ)の棚30は、冷蔵室11Aに配置されている。ここで、4つの棚30のうち一番上に位置する棚を上部棚30Aとする。これら4つの棚30は、それぞれ後端部30bが後壁10eに取り付けられる冷蔵用ダクト部品51(後述)の前面に支持され、棚30の両側端部がそれぞれ左右の側壁10c、10dに支持されている。棚30の前端部30aは、冷蔵室11Aの前後方向中央部よりやや前側の位置となる。
【0020】
複数の容器40は、チルド室11Aaに収容された第1および第2チルド室容器41,42、野菜室11Bに収容された第1および第2野菜室容器43,44、製氷室11Cに収容された製氷室容器(不図示)、小冷凍室11Dに収容された小冷凍室容器46、および主冷凍室11Eに収容された第1および第2主冷凍室容器47,48を含む。
【0021】
まず、第1および第2チルド室容器41,42について説明する。第1チルド室容器41は、2段式のチルド室容器41,42のうち下側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、2段式のチルド室容器41,42のうち上側に位置する容器である。第2チルド室容器42は、第1チルド室容器41の上方に位置する。第1および第2チルド室容器41,42は、それぞれ独立して前方に引き出し可能である。なお、チルド室11Aaに配置されるチルド室容器は、1つだけでもよい。
【0022】
次に、第1および第2野菜室容器43,44について説明する。第1野菜室容器43は、2段式の野菜室容器43,44のうち下側に位置する容器である。第1野菜室容器43は、野菜室扉20Bによって支持され、野菜室扉20Bと一体に冷蔵庫1の前側に引き出し可能である。第1野菜室容器43の前端部43aは、野菜室扉20Bの扉本体21の近くに位置する。一方で、第1野菜室容器43の後端部43bは、第1野菜室容器43が野菜室11Bに収容された状態で、筐体10の後壁10eの近くに位置する。
【0023】
第2野菜室容器44は、2段式の野菜室容器43,44のうち上側に位置する容器である。第2野菜室容器44は、第1野菜室容器43の上方に配置されている。冷蔵庫1の前後方向Xにおける第2野菜室容器44の寸法は、同方向における第1野菜室容器43の寸法よりも小さい。
【0024】
流路形成部品50は、冷蔵用ダクト部品51と、冷凍用ダクト部品52とを含む。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D1を形成している。本明細書で「ダクト部品」とは、筒状の部品に限定されず、他の部品(例えば筐体10の後壁10e)と協働することで冷気の通路の少なくとも一部を規定する部品を含み得る。例えば、本実施形態の冷蔵用ダクト部品51は、筐体10の後壁10eに取り付けられ、筐体10の後壁10eとの間にダクト空間D1を形成するカバーである。
【0025】
冷蔵用ダクト部品51は、冷気吹出口51a,51bおよび冷気戻り口51c,51dを有する。冷気吹出口51aは、冷蔵室11Aに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気を冷蔵室11Aに供給する。冷気吹出口51bは、チルド室11Aaに開口し、後述する冷蔵用冷却器62により冷却された冷気をチルド室11Aaに供給する。冷気戻り口51cは、チルド室11Aaに開口し、チルド室11Aaを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に向けて導く。冷気戻り口51dは、野菜室11Bに開口し、冷蔵室11Aや野菜室11Bなどを通過することで温められた冷気をダクト空間D1に導く。冷蔵用ダクト部品51については詳しく後述する。
【0026】
冷凍用ダクト部品52は、筐体10内に設けられ、後壁10eに沿って鉛直方向に延びている。冷凍用ダクト部品52は、筐体10の後壁10eの近くに、冷気(空気)が流れる通路であるダクト空間D2を形成している。冷凍用ダクト部品52は、冷気吹出口52aおよび冷気戻り口52bを有する。冷気吹出口52aは、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに開口し、後述する冷凍用冷却器64により冷却された冷気を、製氷室11C、小冷凍室11D、または主冷凍室11Eに供給する。冷気戻り口52bは、主冷凍室11Eの下部に開口し、製氷室11C、小冷凍室11D、および主冷凍室11Eのうち1つ以上を通過することで温められた冷気をダクト空間D2に導く。
【0027】
冷蔵用ダクト部品51及び冷凍用ダクト部品52の内部には、不図示の断熱部材が設けられている。断熱部材は、例えば、ビーズ法ポリスチレンフォーム(EPS:Expanded Poly-Styrene)のような発泡断熱材であり、高い断熱性を有する。断熱部材は、単位厚さ当たりの断熱性がダクト部品51、52よりも良好な断熱部材である。
【0028】
冷却ユニット60は、例えば、圧縮器61、冷蔵用冷却器62、冷蔵室ファン63、冷凍用冷却器64、および冷凍室ファン65を含む。冷蔵用冷却器62および冷蔵室ファン63は、ダクト空間D1に配置されている。冷蔵用冷却器62は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D1を流れる冷気を冷却する。冷蔵室ファン63が駆動されると、冷蔵用冷却器62により冷却された冷気が冷気吹出口51a,51bから冷蔵室11Aおよびチルド室11Aaに供給される。冷蔵室11Aまたはチルド室11Aaを通った冷気の一部は、野菜室11Bに流入する。そして、冷蔵室11A、チルド室11Aa、および野菜室11Bのうち1つ以上で温められた冷気が冷気戻り口51c,51dからダクト空間D1に戻る。
【0029】
冷凍用冷却器64および冷凍室ファン65は、ダクト空間D2に配置されている。冷凍用冷却器64は、圧縮器61により圧縮された冷媒が供給され、ダクト空間D2を流れる冷気を冷却する。冷凍室ファン65が駆動されると、冷凍用冷却器64により冷却された冷気が冷気吹出口52aから冷凍室(製氷室11C、小冷凍室11D、主冷凍室11E)に供給され、上記冷凍室で温められた空気が冷気戻り口52bからダクト空間D2に戻る。
【0030】
除菌ユニット70(70A、70B、70C)は、筐体10内に設けられている。本実施形態では、第1除菌ユニット70Aは、冷蔵室11Aの内箱10iの天面10fに配置されている。第2除菌ユニット70Bは、野菜室11Bの後方に配置されている。第3除菌ユニット70Cは、チルド室11Aaの後方に配置されている。これら除菌ユニット70A、70B、70Cは、それぞれの室の内部に紫外線Sおよび二種類の可視光K(青色、白色)を照射する。各除菌ユニット70A、70B、70Cについては詳しく後述する。
【0031】
制御装置80は、回路基板と、回路基板に実装された電子部品とを有する。制御装置80は、冷蔵庫1の全体を統括的に制御する。例えば、制御装置80は、上述した圧縮器61、冷蔵室ファン63、および冷凍室ファン65の動作などを制御する。また、制御装置80は、除菌ユニット70A、70B、70Cによる紫外線Sや可視光Kの照射を制御する。本実施形態では、制御装置80は、野菜室扉20Bおよびチルド室11Aaの扉の開閉状態を検出する扉スイッチの検出結果に基づき、除菌ユニット70A、70B、70Cを制御する。
【0032】
[除菌ユニット]
次に、除菌ユニット70(70A、70B、70C)の構成について、
図3から
図8に基づいて詳しく説明する。
図3は、
図2中に示された冷蔵庫1のF2線で囲まれた領域を示す断面図である。
図4は、
図2中に示されたF3-F3線に沿う矢視図である。
図5は、第1除菌ユニット70Aの光照射部73の構成を示す正面図である。
【0033】
各除菌ユニット70A、70B、70Cは、室内に可視光Kを照射する可視光LED71(可視光源)と、室内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する紫外線Sを照射する紫外線LED72(紫外線光源)と、を備える。ここで、各除菌ユニット70A、70B、70Cは、同様の構成であることから、第1除菌ユニット70Aについて以下、具体的に説明する。
【0034】
[第1除菌ユニットの構成]
図3に示すように、第1除菌ユニット70Aは、天面10fの前後方向中央および幅方向中央において上向きに凹んで形成される凹部10gに収容されている。
図4および
図5に示すように、第1除菌ユニット70Aは、可視光LED71および紫外線LED72からなる光照射部73と、光照射部73が配置された回路基板74(基板)と、光照射部73の前方を覆う透過性を有するカバー75(覆い部)と、を備えている。第1除菌ユニット70Aのうち光照射部73および回路基板74は、例えばプラスチック部材からなるケース(図示省略)の内部に収容されていてもよい。この場合、ケースを天面10fとの間に封止部材を介在させて取り付けることで、光照射部73の周りに冷気が流れることが抑制され、光照射部73に結露が生じることを抑制できる。
【0035】
[回路基板の構成]
回路基板74は、冷蔵室11Aを形成する内箱10iの天面10fにおいて、前後方向中央、かつ幅方向中央の位置で天面10fより内側に配置されている。回路基板74は、基板面を天面10fと平行に沿う方向に向け、光照射部73が配置される実装面74aを下向き、すなわち上部棚30Aに向けて配置されている。実装面74aには、可視光LED71および紫外線LED72が実装され、それぞれ冷蔵室11Aの下方に向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射する。回路基板74を内箱10iに固定する際には、回路基板74を内箱10iに対して接触させて固定させることに限定されず、回路基板74と内箱10iとの間に不図示の取り付け部材を介して固定してもよい。
【0036】
回路基板74は、電気絶縁材料からなる基材に図示しない配線が形成された長方形板状の基板(プリント基板)である。本実施形態において回路基板74は、長辺方向を冷蔵庫1の幅方向Yに向けて配置されている。回路基板74は、天面10fにおける前後方向Xおよび幅方向Yの中央に配置されている。すなわち、回路基板74は、その回路基板74の短辺方向の中心C1が冷蔵室11Aの前後方向Xの中心C0とほぼ一致するように配置されている。
【0037】
回路基板74の実装面74aには、可視光LED71および紫外線LED72が実装されるとともに、コネクタや抵抗素子76等の電子部品が実装され、前記配線と電子部品とで回路(制御回路)が形成されている。不図示のコネクタは、制御装置80からの図示しないケーブルが接続されて、制御装置80と回路基板74上の回路とを電気的に中継する。抵抗素子76は、紫外線LED72や可視光LED71に接続される回路素子である。抵抗素子76は、回路基板74の後部寄りの位置に設けられている。このように、可視光LED71および紫外線LED72が天面10fを形成する内箱10iに固定される回路基板74に設けられているので、1つの回路基板74に可視光LED71および紫外線LED72を一体的に設けてコンパクト化を図ることができる。そのため、これら可視光LED71および紫外線LED72を小さな面積に収めることができる。
【0038】
[光照射部の構成]
可視光LED71は、青色LED711(有色光源)と、白色LED712と、を備えている。
図3に示すように、可視光LED71は、冷蔵室11A内を偏りなく照明する。可視光LED71は、上部棚30A上に収容される収容物を明るく照らして位置を視認させる機能と、青色LED711の照射によって除菌を認識させる機能と、を有している。
【0039】
青色LED711は、波長が略460nm(一般的な波長範囲は、460nm~500nm)で青色の光色で発光する発光ダイオードである。一方、白色LED712は、青色LEDと黄色蛍光体等の蛍光体とを組み合わせることにより代色の光色で発光する可視光源である。青色LED711は、有色光源に含まれる。ここで、有色光源とは、発光されて識別される色が青色の他、緑色、赤色、黄色などの有色となる光源であり、上述した白色LED712などの白色光源や一般的な照明用光源とは異なる色の光源である。すなわち、有色光源は、ごく僅かに青みがかった色に発光される光源や、複数の光源を組み合わせて有色に発光される光源も含む。なお、白色LED712は、上述したように青色LEDと蛍光体を組み合わせたもの、あるいは三原色のLED(赤色LED、緑色LED、青色LED)を組み合わせたものがあり、有色のLEDを使用するとともに、複数の光源を使用し、発光する白色光を得た光源である。このように得られた色(発光する色)が白色のものは、有色光源に含まない。
【0040】
本実施形態では、紫外線LED72は、中心波長がUVAの電磁波を照射する。このような波長の電磁波によれば、例えばUVCの電磁波と比べて、例えばプラスチック製の棚30の劣化を抑制しつつ、ウイルスまたは菌を抑制することができる。紫外線LED72は、「紫外線光源」の一例である。なお、紫外線光源は、紫外線LED72に限らず、紫外線ランプなどでもよい。
【0041】
紫外線Sは、「ウイルスまたは菌を抑制する効果を有する光」の一例である。本明細書で「紫外線」とは、中心波長が10nm~400nmの範囲内にある電磁波を意味する。すなわち「紫外線」とは、中心波長が、UVA(波長320nm~400nm)の電磁波でもよく、UVB(波長280nm~320nm)の電磁波でもよく、UVC(波長100nm~280nm)の電磁波でもよい。また「紫外線」とは、中心波長が10nm~400nmの範囲内にあればよく、紫外線LED72から照射される一部の電磁波の波長が400nm以上でもよい(すなわち可視光領域の波長でもよい)。紫外線LED72により照射される紫外線Sは、人間が見える光を含んでもよく、人間が見える光を含まなくてもよい。
【0042】
第1除菌ユニット70Aでは、回路基板74に搭載される光照射部73の各LEDが前後方向Xに間隔をあけて3列が配置され、各列において幅方向Yに間隔をあけて3個のLEDが配置され、全9個のLEDが設けられている。ここで、本実施形態では、各列方向を前から符号Q1、Q2、Q3とする。すなわち、前列Q1、中央列Q2、後列Q3で示している。前列Q1には、幅方向中央に青色LED711が配置され、その青色LED711の幅方向両側に白色LED712が配置されている。中央列Q2には、幅方向中央に白色LED712が配置され、その白色LED712の幅方向両側に一対の紫外線LED72が配置されている。後列Q3には、幅方向中央および幅方向両側のすべてに白色LED712が配置されている。各列Q1、Q2、Q3に配置される3つのLEDは、前後に重なるように配置されている。
【0043】
回路基板74に搭載される光照射部73は、複数の可視光LED71が冷蔵室11Aの幅方向Yに沿って配置された列を形成し、その列が前後方向Xに間隔をあけて複数列(ここでは3列)で設けられている。青色LED711は、前列Q1に配置されている。紫外線LED72は、前側から2列目以降である中央列Q2に配置されている。そして、回路基板74が冷蔵室11Aの天面10fにおける前後方向中央に配置されるので、一対の紫外線LED72も冷蔵室11Aの前後方向Xの中央位置、または前後方向Xの中央寄りの位置に配置される。さらに、一対の紫外線LED72は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。可視光LED71は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。なお、上記の「均等」とは、各間隔の離間寸法が完全一致であることに限定されることない。すなわち、製造誤差、あるいは意図的なずれによるバラツキも「均等」の範囲に含まれる。
【0044】
[カバーの構成]
図6は、
図3に示すカバー75を下方から見た平面図である。
図7は、
図6に示すF4-F4線に沿う断面図である。
図8は、上部棚30Aにおける紫外線照射範囲を示す平面図である。
【0045】
図3に示すように、カバー75は、透過性及び光拡散機能を有し、光照射部73を下方(上部棚30A側)から覆う。カバー75は、天面10fの凹部10gの開口を塞ぐようにして凹部10gの内周部に封止部材を介して取り付けられている。
図6に示すように、カバー75は、可視光Kや紫外線Sを通す光透過部材として、例えばアクリル板またはガラス板からなり、略矩形板状に形成されている。また、カバー75は、前側の幅方向両側の角部が円弧状に湾曲している。カバー75の面は、回路基板74の板面と平行に配置されている。可視光LED71(青色LED711、白色LED712)および紫外線LED72は、カバー75を通じて冷蔵室11Aに可視光Kおよび紫外線Sを照射する。
【0046】
図6および
図7に示すように、カバー75の冷蔵室11A側を向く下面には、紫外線LED72に対向する部分に形成された第1透過領域R1と、第1透過領域R1を除く部分に形成された第2透過領域R2と、を有する。カバー75は、透過した位置に応じて異なった角度で光を屈折させることにより冷蔵室11A内に光が集中した部分を生じさせ、第2透過領域R2を透過した光よりも第1透過領域R1を透過した光の方が、集中した部分が少なくなるように第1透過領域R1と第2透過領域R2とが形成されている。ここで、上述した透過した光における「集中した部分が少なくなる」とは、「集中した部分の面積が少なくなる」意味と、「集中した部分における光の強さが弱くなる」意味の少なくとも一方が実現されることである。
【0047】
第2透過領域R2の冷蔵室11A側を向く第2表面75bには、全体にわたって凹凸形状の凹凸部751が形成されている。第1透過領域R1の冷蔵室11A側を向く第1表面75aには、第2表面75bの凹凸部751の凹凸形状に比べて平坦な平坦部752が形成されている。ここでいう「平坦」とは、凹凸が無い平坦面ではなく、凹凸部751の凹凸形状と対比して小さい凹凸(後述するシボのような凹凸)をいう。これにより、第2透過領域R2を透過する第2拡散光は、光が集中する部分が多くなり、照射される部分がまだら状に見える。一方、第1透過領域R1を透過する第1拡散光は、第2拡散光よりも光が集中する部分が少なくなり、照射される部分が非まだら状で均一に照射される。凹凸部751としては、例えばローレット加工によって形成されるものを採用できる。平坦部752としては、例えばシボ加工によって形成されるものを採用できる。
【0048】
このような第1透過領域R1および第2透過領域R2を有するカバー75を用いることにより、第1透過領域R1を透過する紫外線Sは第2透過領域R2を透過する可視光Kよりも広範囲に拡散される。そのため、例えば、
図8に示すように、上部棚30Aの上面30cのほぼ全領域が紫外線LED72からの紫外線Sが照射される紫外線照射範囲Pとなる。
【0049】
図3に示すように、紫外線LED72による紫外線Sの照射範囲は、例えば照射角度θで90度以上の照射範囲に設定されている。そのため、紫外線LED72からカバー75の第1透過領域R1を通じて冷蔵室11Aの内部に照射される紫外線Sは、少なくとも上部棚30Aのほぼ全領域を含み比較的広い方位に亘って照射される。また、可視光LED71からカバー75の第2透過領域R2を通じて冷蔵室11Aの内部に照射される可視光Kは、拡散が抑えられるので、可視光Kが直接、ユーザの目に入りにくいように照射される。
【0050】
[第1除菌ユニットの制御方法]
第1除菌ユニット70Aは、
図3に示す制御装置80(制御部)によって紫外線Sの照射と可視光Kの照射とが制御される。制御装置80による第1除菌ユニット70Aの制御方法の一例として、例えば、冷蔵室扉20Aが開かれたことが検出されたときに、可視光LED71から可視光Kを照射するとともに、紫外線LED72から紫外線Sを照射を停止するように制御する。また、制御装置80において、冷蔵室扉20Aが閉じたことが検出されたときに紫外線LED72から紫外線Sを照射するように制御する。
【0051】
また、制御装置80には、紫外線LED72から紫外線Sを冷蔵室11A内に照射する除菌動作モードに切り換え可能に制御する機能をもたせることが可能である。この場合には、制御装置80で除菌動作モードが選択されたときに紫外線LED72で紫外線Sを照射するように制御される。
【0052】
図2に示すように、本実施形態の冷蔵庫1では、可視光LED71および紫外線LED72は、例えば携帯端末等の外部端末81に組み込まれたアプリケーションプログラム82を操作することで点灯と消灯とが切り替え可能に制御装置80で制御する構成であってもよい。ここで、外部端末81は、冷蔵庫1とは別途に設けられる端末である。外部端末81として、例えば携帯端末、あるいは携帯性を有しない端末を採用することができる。
【0053】
野菜室11Bに設けられる第2除菌ユニット70B、およびチルド室11Aaに設けられる第3除菌ユニット70Cは、上述した第1除菌ユニット70Aと同様の構成であり、冷蔵庫1における取り付け位置が冷蔵室11Aの天面10fでない点で異なっている。以下、第2除菌ユニット70Bの第3除菌ユニット70Cの配置について主に説明する。
【0054】
[第2除菌ユニットの配置]
次に、
図2に示すように、第2除菌ユニット70Bは、野菜室11B内において第1仕切部15の後端部が固定されるダクト部品51の上部において、照射方向を前方に向けて配置されている。具体的に第2除菌ユニット70Bの光照射部73は、
図5に示すように、斜め下方に向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射するように配置されている。このように、第2除菌ユニット70Bでは、光照射部73が野菜室11Bの奥部に設けられているので、野菜室11B全体に後方から前方に向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射できる。なお、第2除菌ユニット70Bでは、光照射部73の前列Q1(
図5参照)が上側であっても下側であってもよい。
【0055】
[第3除菌ユニットの配置]
次に、
図2に示すように、第3除菌ユニット70Cは、チルド室11Aa内において後方に位置して鉛直方向に延在するダクト部品51の上部において、照射方向を前方に向けて配置されている。具体的に第3除菌ユニット70Cの光照射部73は、
図5に示すように、前方に向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射するように配置されている。このように、第3除菌ユニット70Cでは、光照射部73がチルド室11Aaの奥部に設けられているので、チルド室11Aa全体に後方から前方に向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射できる。なお、第3除菌ユニット70Cでは、光照射部73の前列Q1(
図5参照)が上側であっても下側であってもよい。
【0056】
次に、冷蔵庫1の動作および作用について説明する。
【0057】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、冷蔵室11Aに可視光Kを照射する可視光LED71と、冷蔵室11A内にウイルスまたは菌を抑制する効果を有する紫外線Sを照射する紫外線LED72と、を備える。可視光LED71および紫外線LED72は、冷蔵室11Aの天面10fに設けられている。このように本実施形態では、冷蔵室11Aの天面10fに紫外線LED72が設けられることから、冷蔵室11Aに設けられる棚30のうち天面10f直下に位置する上部棚30Aに対して効果的に除菌効果を有する紫外線Sを照射することができる。また、可視光LED71も天面10fに設けられ、上部棚30Aに対して可視光Kを照射させることができる。そのため、可視光Kの照明としての機能を十分に持ちつつ、可視光Kを視認したユーザに上部棚30Aが除菌されていることを認識させる効果が得られる。
【0058】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、可視光LED71および紫外線LED72の照射方向に光を透過するカバー75を備えている。カバー75は、紫外線LED72に対向する部分に形成された第1透過領域R1と、第1透過領域R1を除く部分に形成された第2透過領域R2と、を有する。カバー75は、透過した位置に応じて異なった角度で光を屈折させることにより冷蔵室11A内に光が集中した部分を生じさせ、第2透過領域R2を透過した光よりも第1透過領域R1を透過した光の方が、集中した部分が少なくなるように第1透過領域R1と第2透過領域R2とが形成されている。この場合、第2透過領域R2を透過する可視光LED71による可視光Kの拡散が抑えられるので、可視光Kが直接、ユーザの目に入りにくいように照射できる。また、第1透過領域R1を透過する紫外線LED72による紫外線Sの拡散領域が大きくなるので、上部棚30Aの全域を紫外線Sの照射領域とすることが可能である。
【0059】
本実施形態では、第2透過領域R2の冷蔵室11A側を向く第2表面75bは、全体にわたって凹凸形状に形成されている。第1透過領域R1の冷蔵室11A側を向く第1表面75aは、凹凸形状に比べて平坦に形成されている。この場合、カバー75の第2透過領域R2に形成される凹凸形状によって可視光LED71から照射される指向性を有する可視光Kによる光の集中を抑えることができ、目に優しい光を提供できる。一方、紫外線LED72の場合には、カバー75の第1透過領域R1に形成される前記凹凸形状より平坦な部分を紫外線Sが透過することで、第1透過領域R1が前記凹凸形状の場合に比べて拡散領域が広がり、上部棚30Aに対する紫外線Sの照射領域を拡大させることができる。
【0060】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72は、冷蔵室11Aの冷蔵室扉20Aが閉じた状態で紫外線Sを照射する。この場合、冷蔵室扉20Aが閉じている際に上部棚30Aの除菌を行うことができる。そのため、ユーザが冷蔵室扉20Aを開いたときに紫外線LED72による紫外線Sの照射を停止することで、ユーザの目に紫外線Sが入ることを防止できる。
【0061】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、可視光LED71は、冷蔵室11Aの冷蔵室扉20Aが開いた状態で照明を照射する。この場合、冷蔵室扉20Aを開いたユーザが可視光Kを視認することができるので、上部棚30Aが除菌されていることをユーザに認識させることができる。さらに、可視光Kが照明として機能するので、上部棚30Aに収容されている収容物を容易に識別することができる。
【0062】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72から紫外線Sを冷蔵室11A内に照射する除菌動作モードに切り換え可能な制御装置80を備えている。制御装置80で除菌動作モードが選択されたときに紫外線LED72で紫外線Sを照射する。この場合、ユーザの操作により除菌動作モードを選択したときに、制御装置80によって紫外線LED72を点灯するように制御され、紫外線Sを上部棚30Aに向けて照射することができる。このように、ユーザが所望のタイミングで上部棚30Aを除菌することができる。
【0063】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72および可視光LED71は、外部端末81に組み込まれたアプリケーションプログラム82を操作することで点灯と消灯とが切り替え可能である。この場合、ユーザが外部端末81内のアプリケーションプログラム82を操作することにより、紫外線LED72および可視光LED71の点灯と消灯とを所望のタイミングで切り替えて使用することができる。
【0064】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、可視光LED71および紫外線LED72は、冷蔵室11Aの天面10fに加えて、野菜室11Bおよびチルド室11Aaの少なくとも一方にも設けられている。この場合、冷蔵室11Aの上部棚30Aの除菌のみでなく、野菜室11Bおよびチルド室11Aaの少なくとも一方も除菌効果と視認効果をもたせることができる。
【0065】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、可視光LED71は、青色LED711を備える。これにより、可視光Kが青色等の有色光となるので、ユーザがより視認し易くなり、視認効果を高めることができる。
【0066】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、複数の可視光LED71が幅方向Yに沿って配置された列を形成している。列は、前後方向Xに間隔をあけて複数列で設けられている。青色LED711は、複数列のうち最前列(前列Q1)に配置されている。この場合、青色LED711が冷蔵室扉20A側に配置されるので、例えば前列Q1に白色LED712のみが配置される場合のように白色の光に紛れて有色光が視認しにくくなることを抑制することができ、青色の有色光を見え易くすることができる。
【0067】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72は、前側から2列目以降に配置されている。これにより、紫外線LED72が点灯中にユーザによって冷蔵室扉20Aが開かれた場合であっても、前列Q1よりも奥側に紫外線LED72が配置されているので、紫外線LED72が前列Q1に配置される場合に比べて、紫外線Sが冷蔵庫1の外部に漏れ出す量を抑制することができる。また、ユーザの目に入る紫外線Sの量を少なく抑えることができる。
【0068】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72は、冷蔵室11Aにおける前後方向Xの中央位置、または前後方向Xの中央寄りの位置に配置されている。これにより、冷蔵室扉20Aに近い前列Q1に紫外線LED72が配置されることを避けつつ、紫外線LED72の紫外線Sが冷蔵室11Aの前後方向Xにおける照射範囲を広くすることができる。
【0069】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、紫外線LED72は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。これにより、幅方向Yに均等に配置される複数の紫外線LED72から照射される紫外線Sを冷蔵室11Aの上部棚30Aの幅方向全体にムラなく均一に照射させて、上部棚30Aのウイルスまたは菌の抑制機能の向上を図ることができる。
【0070】
本実施形態に係る冷蔵庫1によれば、可視光LED71は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。これにより、幅方向Yに均等に配置される複数の可視光LED71から照射される可視光Kを冷蔵室11Aの上部棚30Aの幅方向全体にムラなく均一に照射させて、上部棚30Aの視認性を向上させることができる。
【0071】
以上説明した少なくともひとつの実施形態によれば、冷蔵室11Aの照明性能を低下させることなく、冷蔵室11A内の棚30を除菌することができる冷蔵庫を提供することができる。
【0072】
以下、上述した実施形態のいくつかの変形例について説明する。なお各変形例で説明する以外の構成については、上記実施形態の構成と同様である。
【0073】
(第1変形例)
次に、第1変形例による除菌ユニット70Dについて説明する。
図9は、第1変形例の除菌ユニット70Dの正面図を示している。除菌ユニット70Dは、上記実施形態の第1除菌ユニット70Aに代えて設けられるものであり、冷蔵室11Aの上部棚30Aに向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射するものである。
【0074】
図9に示すように、除菌ユニット70Dでは、上記実施形態と同様に、回路基板74に搭載される光照射部73Aの各LEDが前後方向Xに3列、各列で幅方向Yに間隔をあけて3個が配置され、全9個のLEDが設けられている。前列Q1には、幅方向中央および幅方向両側のすべてに白色LED712が配置されている。中央列Q2には、幅方向中央に青色LED711が配置され、その青色LED711の幅方向両側に一対の紫外線LED72が配置されている。後列Q3には、幅方向中央および幅方向両側のすべてに白色LED712が配置されている。各列Q1、Q2、Q3に配置される3つのLEDは、前後に重なるように配置されている。
【0075】
回路基板74に搭載される光照射部73Aは、複数の可視光LED71が幅方向Yに沿って配置された列を形成し、その列が前後方向Xに複数列で設けられている。青色LED711は、中央列Q2に配置されている。紫外線LED72は、前側から2列目以降である中央列Q2に配置されている。そして、除菌ユニット70Dにおいても回路基板74が冷蔵室11Aの天面10fにおける前後方向中央に配置されるので、一対の紫外線LED72も冷蔵室11Aの前後方向中央、または前後方向中央寄りに配置される。さらに、一対の紫外線LED72は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。可視光LED71は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。
【0076】
(第2変形例)
次に、第2変形例による除菌ユニット70Eについて、
図10に基づいて説明する。
図10は、第2変形例の除菌ユニット70Eの正面図を示している。除菌ユニット70Eは、上記実施形態の第1除菌ユニット70Aに代えて設けられるものであり、冷蔵室11Aの上部棚30Aに向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射するものである。
【0077】
図10に示すように、除菌ユニット70Eでは、回路基板74に搭載される光照射部73Bの各LEDが前後方向Xに2列、各列で幅方向Yに間隔をあけて5個が配置され、全10個のLEDが設けられている。1列目の前列Q1は、すべて白色LED712が配置されている。後列Q3には、幅方向中央に白色LED712が配置され、その白色LED712の幅方向両側に一対の青色LED711が配置され、さらに一対の青色LED711の幅方向外側に一対の紫外線LED72が配置されている。各列Q1、Q3に配置される5つのLEDは、前後に重なるように配置されている。
【0078】
回路基板74に搭載される光照射部73Bは、複数の可視光LED71が幅方向Yに沿って配置された列を形成し、その列が前後方向Xに複数列で設けられている。青色LED711は、後列Q3に配置されている。紫外線LED72は、前側から2列目以降である後列Q3に配置されている。そして、除菌ユニット70Eにおいても回路基板74が冷蔵室11Aの天面10fにおける前後方向中央に配置されるので、一対の紫外線LED72も冷蔵室11Aの前後方向中央、または前後方向中央寄りに配置される。さらに、一対の紫外線LED72は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。可視光LED71は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。
【0079】
(第3変形例)
次に、第3変形例による除菌ユニット70Fについて、
図11に基づいて説明する。
図11は、第3変形例の除菌ユニット70Fの正面図を示している。除菌ユニット70Fは、上記第2変形例の除菌ユニット70Eに代えて設けられるものであり、冷蔵室11Aの上部棚30Aに向けて可視光Kおよび紫外線Sを照射するものである。
【0080】
図11に示すように、除菌ユニット70Fでは、回路基板74に搭載される光照射部73Cの各LEDが前後方向Xに2列、各列で幅方向Yに間隔をあけて5個が配置され、全10個のLEDが設けられている。1列目の前列Q1は、すべて白色LED712が幅方向Yに均等に配置されている。後列Q3には、幅方向中央および幅方向両側に3つの紫外線LED72が配置されている。さらに、後列Q3において、幅方向Yに並ぶ3つの紫外線LED72の間に青色LED711が配置されている。後列Q3の3つの紫外線LED72は、前列Q1の白色LED712に対して後方に重なるように配置されている。
【0081】
後列Q3の一対の青色LED711は、前列Q1の白色LED712に対して後方に重ならないように幅方向Yにずれた位置に配置されている。すなわち、青色LED711は、前列Q1に配置される白色LED712に対して後方に重ならない位置に配置されている。そのため、前列Q1の白色LED712によって後方の青色LED711の青色の可視光Kが前方の白色の光に紛れて視認しにくくなることを抑制することができ、青色の有色光を見え易くすることができる。
【0082】
回路基板74に搭載される光照射部73Cは、複数の可視光LED71が幅方向Yに沿って配置された列を形成し、その列が前後方向Xに複数列で設けられている。青色LED711は、後列Q3に配置されている。紫外線LED72は、前側から2列目以降である後列Q3に配置されている。そして、除菌ユニット70Fにおいても回路基板74が冷蔵室11Aの天面10fにおける前後方向中央に配置されるので、3つの紫外線LED72も冷蔵室11Aの前後方向中央、または前後方向中央寄りに配置される。さらに、3つの紫外線LED72は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。可視光LED71は、冷蔵室11Aの幅方向Yに均等に配置されている。
【0083】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【0084】
上述した、実施形態では、可視光LED71および紫外線LED72が天面10fを形成する内箱10iに固定される回路基板74に設けられているが、このように基板に実装する構成に限定されることはなく、基板を省略することも可能である。例えば、内箱10iの一部に可視光LED71および紫外線LED72を直接設ける構成でもよいし、基板に代えてケース部材に可視光LED71および紫外線LED72を収容する構成でもよい。
【0085】
また、可視光LED71(青色LED711、白色LED712)および紫外線LED72の回路基板74上の配置、前後方向Xの配列数、幅方向の配置間隔、配置数等の構成は、上述した実施形態や変形例に限定されることはなく、冷蔵室11Aの仕様に合わせて適宜変更可能である。
【0086】
また、本実施形態では、可視光LED71および紫外線LED72の照射方向の前方に透過性及び光拡散機能を有するカバー75を備えた構成としているが、カバー75を省略することも可能である。また、カバー75の形状、材質、表面形状なども本実施形態に限定されることはない。例えば、本実施形態では、紫外線Sを透過させる第1透過領域R1と可視光Kを透過させる第2透過領域R2を設けているが、カバー全面にわたって第2透過領域R2、すなわちカバー全面が例えばローレット加工による凹凸形状に形成された構成としたカバーを採用することも可能である。また、本実施形態では、カバー75(覆い部)における冷蔵室11A側を向く第1表面75aと第2表面75bに凹凸形状(凹凸部751、平坦部752)が形成された構成としているが、これら凹凸形状が冷蔵室11A側を向く表面(第1表面75a、第2表面75b)に形成されることに限定されることはない。すなわち、回路基板74側(冷蔵室11A側と反対側)の面に凹凸形状が形成されていてもよい。
【0087】
さらに、本実施形態では、可視光源および紫外線光源を備えた除菌ユニット70が、冷蔵室11Aの天面10f、野菜室11Bおよびチルド室11Aaの3箇所に設けた冷蔵庫1の一例を示しているが、野菜室11Bおよびチルド室11Aaの除菌ユニット70を省略することも可能であり、また、天面10fに加えて、野菜室11Bおよびチルド室11Aaのいずれか一方に除菌ユニット70を設ける冷蔵庫であってもよい。
【符号の説明】
【0088】
1…冷蔵庫、10…筐体、10i…内箱、10f…天面、10g…凹部、11A…冷蔵室、11Aa…チルド室(特別貯蔵室)、11B…野菜室、20A…冷蔵室扉、30…棚、30A…上部棚、70、70A、70B、70C、70D、70E、70F…除菌ユニット、71…可視光LED(可視光源)、711…青色LED(有色光源)、712…白色LED、72…紫外線LED(紫外線光源)、73、73A、73B、73C…光照射部、74…回路基板(基板)、75…カバー(覆い部)、75a…第1表面、75b…第2表面、751…凹凸部、752…平坦部、80…制御装置(制御部)、81…外部端末、82…アプリケーションプログラム、K…可視光、S…紫外線、R1…第1透過領域、R2…第2透過領域。