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  • 特開-水中油型固形化粧料 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054498
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】水中油型固形化粧料
(51)【国際特許分類】
   A61K 8/73 20060101AFI20240410BHJP
   A61K 8/06 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/87 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/92 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/34 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/19 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/26 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/25 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/20 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/44 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/37 20060101ALI20240410BHJP
   A61Q 1/02 20060101ALI20240410BHJP
   A61K 8/891 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A61K8/73
A61K8/06
A61K8/87
A61K8/92
A61K8/34
A61K8/19
A61K8/26
A61K8/25
A61K8/20
A61K8/44
A61K8/37
A61Q1/02
A61K8/891
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160743
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000145862
【氏名又は名称】株式会社コーセー
(72)【発明者】
【氏名】倉石 淳平
(72)【発明者】
【氏名】篠田 知明
【テーマコード(参考)】
4C083
【Fターム(参考)】
4C083AA082
4C083AA122
4C083AB151
4C083AB171
4C083AB221
4C083AB222
4C083AB232
4C083AB242
4C083AB431
4C083AB432
4C083AC011
4C083AC012
4C083AC022
4C083AC121
4C083AC122
4C083AC171
4C083AC392
4C083AC422
4C083AC432
4C083AC442
4C083AC661
4C083AC662
4C083AD022
4C083AD071
4C083AD091
4C083AD092
4C083AD111
4C083AD112
4C083AD151
4C083AD152
4C083AD202
4C083AD211
4C083AD351
4C083AD352
4C083AD371
4C083AD572
4C083BB12
4C083BB13
4C083BB26
4C083CC11
4C083CC12
4C083CC13
4C083DD11
4C083DD21
4C083DD32
4C083DD47
4C083EE03
4C083EE06
4C083EE07
(57)【要約】
【課題】
みずみずしい使用感を持ちつつも、顕著に化粧料の指又は塗布体への取れがよく、かつ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性に優れる水中油型固形化粧料の提供。
【解決手段】
次の成分(A)~(E);
(A)水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンから選ばれる1種又は2種以上0.5~7.0質量%
(B)融点が55~110℃の油剤
(C)25℃で液状の非揮発性油
(D)水性成分
(E)板状粉体
を含有し、前記成分(B)と成分(C)の質量含有割合が、(B)/〔(B)+(C)〕=0.1~0.97である水中油型固形化粧料である。
【選択図】なし

【特許請求の範囲】
【請求項1】
次の成分(A)~(E);
(A)水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンから選ばれる1種又は2種以上0.5~7.0質量%
(B)融点が55~110℃の油剤
(C)25℃で液状の非揮発性油
(D)水性成分
(E)板状粉体
を含有し、前記成分(B)と成分(C)の質量含有割合が、(B)/〔(B)+(C)〕=0.1~0.97である水中油型固形化粧料。
【請求項2】
前記成分(B)が、ワックスエステル、炭化水素ワックス、及びシリコーンワックスから選ばれる1種又は2種以上である請求項1に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項3】
前記成分(A)が、ジェランガム、スクレロチウムガム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、フィッシュゼラチン、コンニャクマンナン、及び(PEG-240/ デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上の請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項4】
前記成分(B)の含有量が、1.0~20.0質量%である請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項5】
前記成分(D)が、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチルヘキシルグリセリン及び1,2-アルカンジオールの1種又は2種以上から選ばれる請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項6】
さらに成分(F)として、両親媒性アクリル酸系ポリマーを含有する請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項7】
成分(E)が無水ケイ酸処理アルミニウム末、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆焼成マイカ、金属酸化物被覆合成マイカ、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆タルク、金属酸化物被覆シリカ、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、及びN-ラウロイル-L-リジンから選ばれる1種又は2種以上である請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。
【請求項8】
容器と、前記容器に収納された前記水中油型固形化粧料と、を備え、前記水中油型固形化粧料が、前記容器との接触面から上部に突出している立体形状を保持する請求項1又は2に記載の水中油型固形化粧料。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、水中油型固形化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、化粧料又は皮膚外用剤としての水中油型固形化粧料は、固形であることにより、みずみずしさを最大限付与することができ、固形の形状保持性等が重要な技術として開発されてきた。特に、様々な水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンを含有する化粧料に関する技術が開示されている。
例えば、特許文献1では、ゲル化能を有する親水性化合物(例えば、寒天、ジェランガム等)とサイリウムシードガムを水又は水性成分中に含有する溶液を、放置冷却してゲルを形成し、次いで該ゲルを粉砕して平均粒径0.1~1,000μmのミクロゲルとして得られる増粘剤を含むことによって、従来にないみずみずしい使用感を有するとともに、べたつき感、きしみ感がなく、耐塩性、安定性に優れる外用剤組成物に関する技術が開示されている。
例えば、特許文献2では、特定の大きさ、形状の粉体成分と、ゲル化剤としてカンテン及び/又はジェランガムを含有し、水溶性増粘剤と、水と、油剤と、を含むことによって、みずみずしさ又は清涼感といった肌への心地よい使用感や肌への付着性に優れる使用性を有するとともに、耐久性に優れ、十分に使いきることができる水中油型固形化粧料に関する技術が開示されている。
例えば、特許文献3では、水溶性固化剤、水溶性粘着剤、油剤、水を含有することによって、使用性及び携帯性に優れ、使用感も非常に良好な水中油型固型化粧料に関する技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011-168583号公報
【特許文献2】特開2021-130625号公報
【特許文献3】特開平5-178723号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、例えば、特許文献1におけるミクロゲルとして得られる増粘剤を含む外用剤組成物は、高い安定性、耐塩性を持ちつつも、独特なみずみずしい使用感を持つ化粧料を提供するための技術であり、ゲル自体の表面がほぐれやすいことによる取れの良さや、肌への転写性、化粧膜の均一性等については検討はなされていない。
また例えば、特許文献2のようなに水中油型固形化粧料おいては、化粧料の指又は塗布体への取れの良さへの着眼が無く、従来からの水中油型固形化粧料における形状保持の耐久性への着眼しかなかった。
さらに、例えば、特許文献3のような水中油型固形化粧料の技術においては、固形としての耐久性や、みずみずしさや化粧料を塗布体から肌へ移す際の付着性等の使用感には優れるものの、化粧料の指又は塗布体への取れの良さに満足するものではない場合があった。
本発明者らは、以上のような従来技術における課題等を勘案して、化粧料の指又は塗布体への取れの良さに優れる水中油型固形化粧料の開発を試みたところ、含有する油剤の種類によっては、化粧料の指又は塗布体への取れの良さには優れるものの、化粧料を肌に塗布した際、肌への転写性や化粧膜の均一性に満足できない場合があるという課題が存在することを見出した。また、含有する粉体の種類によっては、化粧料の指又は塗布体への取れの良さも損なわれることを見出した。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、さらに鋭意検討した結果、水溶性多糖類および水溶性ポリウレタンの1種又は2種以上、融点が55~110℃の油剤、25℃で液状の非揮発性油、水性成分、及び板状粉体を含有する水中油型固形化粧料が、みずみずしい使用感を持ちつつも、顕著に化粧料の指又は塗布体への取れの良さに優れ、かつ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性に優れることを見出した。
【0006】
すなわち、本発明は、
[1]次の成分(A)~(E);
(A)水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンから選ばれる1種又は2種以上0.5~7.0質量%
(B)融点が55~110℃の油剤
(C)25℃で液状の非揮発性油
(D)水性成分
(E)板状粉体
を含有し、前記成分(B)と成分(C)の質量含有割合が、(B)/〔(B)+(C)〕=0.1~0.97である水中油型固形化粧料を提供するものである。
[2]前記成分(B)が、ワックスエステル、炭化水素ワックス、及びシリコーンワックスから選ばれる1種又は2種以上である[1]に記載の水中油型固形化粧料である。
[3]前記成分(A)が、ジェランガム、スクレロチウムガム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、フィッシュゼラチン、コンニャクマンナン、及び(PEG-240/デシルテトラデセス-20/HDI)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上の[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
[4]前記成分(B)の含有量が、1.0~20.0質量%である[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
[5]前記成分(D)が、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチルヘキシルグリセリン及び1,2アルカンジオールの1種又は2種以上から選ばれる[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
[6]さらに成分(F)として、両親媒性アクリル酸系ポリマーを含有する[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
[7]成分(E)が無水ケイ酸処理アルミニウム末、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆焼成マイカ、金属酸化物被覆合成マイカ、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆タルク、金属酸化物被覆シリカ、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、及びN-ラウロイル-L-リジンから選ばれる1種又は2種以上である[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
[8] 容器と、前記容器に収納された前記水中油型固形化粧料と、を備え、前記水中油型固形化粧料が、前記容器との接触面から上部に突出している立体形状を保持する[1]又は[2]に記載の水中油型固形化粧料である。
【0007】
なお、以下の発明を追加することもできる。
[9] 成分(B)と成分(C)を含む油性組成物(1)を溶解する工程、さらに成分(A)と成分(D)を含む水性組成物(2)を溶解する工程を有し、水性組成物(2)中に油性組成物(1)を均一に分散又は乳化する工程、もしくは、油性組成物(1)中に水性組成物(2)を均一に分散又は乳化する工程の後、成分(E)を添加しする工程、さらに60℃以上に再溶解して容器に充填し冷却固化する工程を有する製造方法を提供するものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明により、みずみずしい使用感を持ちつつも、顕著に化粧料の指又は塗布体への取れの良さに優れ、かつ、肌への転写性、化粧膜の均一性に優れ、離水防止効果、形状保持性に優れる水中油型固形化粧料を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例1と、比較例12の充填後の表面状態をデジタルマイクロスコープ顕微鏡VHX-8000(キーエンス社製)にて400倍で観察した画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の好ましい実施形態について詳細に説明する。ただし、本発明は以下の好ましい実施形態に限定されず、本発明の範囲内で自由に変更することができるものである。尚、本明細書において百分率は特に断りのない限り質量による表示である。また、本明細書においては、「~」を用いて数値範囲を表す際は、その範囲は両端の数値を含むものとする。また、本発明における「平均粒子径」とは、走査型電子顕微鏡(日本電子製、JSM-7800prime)を用いて、表面状態を観察し、画像解析装置(ルーゼックスAP、ニレコ社製)による測定により求めた値(D50)を用いる。なお、非対称形状の場合、本発明においては最も大きい粒子径の分布から求めたメジアン径D50を平均粒子径とする。
【0011】
(A)水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンから選ばれる1種又は2種以上
本発明に用いられる成分(A)の水溶性多糖類とは、グルコース等の単糖がいくつも連なってできる多糖類のうち、水酸基や硫酸基等の親水性基を有し、水分子を強く保持できるものを指す。具体的には、ジェランガム、寒天、スクレロチウムガム、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、フィッシュゼラチン、コンニャクマンナン等が挙げられる。なお、成分(A)の水溶性ポリウレタンとは、ウレタン構造を介して、親水性部分と疎水性部分が連結している両親媒性コポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示す会合性増粘剤である。以下に詳細を記す。
【0012】
本発明に用いられる成分(A)の水溶性多糖類の中でも、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性の観点から、ジェランガム、寒天が好ましく、とりわけ離水防止効果の観点から、特にジェランガムが好ましい。これらの1種又は2種以上を用いることができる。
ジェランガムは、Sphingomonas elodeaという微生物が菌体外に産生する多糖類としても知られる高分子である。特に、水で膨潤させることで弾力のあるゲルを形成する水性ゲル化剤である。ジェランガムは、ネイティブ型及び、1-3結合したグルコースに存在するアセチル基とグリセリル基を除去した脱アシル型が知られているが、いずれをも用いることができる。特に限定はしないが、ネイティブ型がより好ましい。ジェランガムは、カルシウムイオンやナトリウムイオン等の金属カチオンの添加でさらに増粘する性質を持ち、高い耐塩性を有し、高濃度の電解質の存在下でも粘度を維持することができる点で好ましい。市販品としては、KELCOGEL CC-LA(三晶社製)、ゲルコゲル(大日本住友製薬社製)、ケルコゲルF(大日本住友製薬社製)、ケルコゲルHM(大日本住友製薬社製)、ケルコゲルHT(大日本住友製薬社製)、ケルコゲルLT100(大日本住友製薬社製)等が挙げられる。
寒天は、その産地、起源等は問わず何れのものも使用可能である。また、この寒天は、ゼリー強度を調整するために、酸処理して分子を切断させた、いわゆる低強度寒天(例えば、特開平5-317008号公報に開示)を用いても良い。また、この寒天のゼリー強度は特に限定されないが、20~2000g/cmが好ましく、さらに30~1000g/cmが好ましい。ここでゼリー強度とは1.5質量%(以下、「質量%」を単に「%」と記す。)となるように寒天を水に加熱溶解し、20℃で15時間放置、凝固せしめたゲルについて、その表面を1cm当たり20秒間耐え得る最大質量のことを言う。この範囲のゼリー強度の寒天を用いると、硬い固形状になり難いので、化粧膜の均一性が特に良好な化粧料を得ることができる。このような寒天は、市販品としてAX-100(伊那食品工業社製)、UP-37(伊那食品工業社製)等を用いることができる。
【0013】
本発明に用いられる成分(A)の水溶性ポリウレタンとは、親水基部を骨格とし、末端に疎水性部分をもつ両親媒性コポリマーであり、水性媒体中でコポリマーの疎水性部分同士が会合し増粘作用を示す会合性増粘剤である。ポリエーテルウレタンが挙げられる。具体例としては下記一般式(1)で表わされる。
R1─{(O─R2)k─OCONH─R3[─NHCOO─(R4─O)n─ R5]h}m (1)
上記式(1)中、R1、R2およびR4は、互いに同一でも異なっても良い炭化水素基を表し、R3はウレタン結合を有していても良い炭化水素基を表し、R5は直鎖、分岐鎖又は2級の炭化水素基を表し、mは2以上の数であり、hは1以上の数であり、kおよびnは独立に0~1000の範囲の数である。R1、R2およびR4の炭素数は2~4、R3の炭素数は1~10、R5の炭素数は8~36であることが好適である。またm は好ましくは2、hは好ましくは1であり、kは1~500が好ましく、100~300がより好ましく、100~150が特に好ましい。またnは1~200が好ましく、10~100がより好ましく、10~50が特に好ましい。
上記一般式(1)で表される疎水変性ポリエーテルウレタンは、例えばR -[(O-R2)k-OH]mで表される1種又は2種以上のポリエーテルポリオールと、R3-(NCO)h+1で表される1種又は2 種以上のポリイソシアネートと、HO-(R4-O)n-R5で表される1種又は2種以上のポリエーテルモノアルコールとを反応させることにより得ることができる。 この場合、一般式(1)中のR1~R5は、用いるR1-[(O-R2)k-OH]m、R3-(NCO)h+1、HO-(R4-O)n-R5により決定される。3者の仕込み比は、特に限定されないが、ポリエーテルポリオールおよびポリエーテルモノアルコール由来の水酸基と、ポリイソシアネート由来のイソシアネート基の比が、NCO/OH=0. 8:1~1.4:1であることが好ましい。
その中でも、ポリエチレングリコールの両末端をデシルテトラデシルアルコールで修飾した構造を有し、重量平均分子量が約5 万程度(GPC法)のものが好適に用いられる。このような疎水変性ポリエーテルウレタンの市販品として、例えば、(PEG-240/ デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーである「アデカノールGT-700」(ADEKA(株)製)等が挙げられる。「アデカノールGT-700」は、上記一般式(1)において、R1、R2、R4が炭素数2、R3が炭素数6、R5が炭素数24の炭化水素基であり、m=2、h=1、k=120、n=20の化合物に相当する。
【0014】
本発明に用いられる成分(A)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、0.5%以上であり、0.8%以上がより好ましく、1.0%以上がさらに好ましい。上限としては、7.0%以下であり、5.0%以下がより好ましく、3.0%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.5~7.0%であり、0.8~5.0%がより好ましく、1.0~3.0%がさらに好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、離水防止効果、形状保持性の点でより好ましい。
【0015】
(B)融点が55~110℃の油剤
本発明に用いられる成分(B)は融点が55~110℃の油剤であり、通常化粧料や皮膚外用剤で使用される油剤であれば、動物、植物、合成等の起源に限定されず、いずれのものも使用できる。室温で固体又は半固体であり、これらの油剤は、ペースト状でも硬質固体であってもよい。例えば、ワックスエステル、炭化水素ワックス、及びシリコーンワックスから選ばれる1種又は2種以上、又はそれらに極性基を付与した油剤が挙げられる。本発明に用いられるワックスエステルは、例えば、硬質ラノリン、カルナウバロウ、ミツロウ、ステアリン酸ステアリル、モンタンワックス、水添ホホバ油、ベヘン酸ベヘニル、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、コメヌカロウ、シア脂等が挙げられ、これらから1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。これらの中でも、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性の観点から、カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、ヒマワリ種子ロウ、及びコメヌカロウよりなる群から選ばれる1種又は2種以上が好ましく、カルナウバロウ、ミツロウ、キャンデリラロウ、及びコメヌカロウよりなる群から選ばれる1種又は2種以上がより好ましく、カルナウバロウ、ミツロウ、及びキャンデリラロウよりなる群から選ばれる1種又は2種以上がさらにより好ましい。炭化水素ワックスは、パラフィン、ポリエチレン、マイクロクリスタリンワックス、等の炭化水素の固体油が挙げられる。シリコーンワックスは、ジメチコン鎖の末端、又は側鎖に、炭素数16~46の脂肪酸鎖を有するものが挙げられるが、ジメチコン鎖が側鎖でも同様の効果を有するため、特に構造は限定しない。市販品の例としては、C24-C28アルキルジメチコーン、C30-C45アルキルメチコーンが挙げられる。極性基を有するワックスの極性基とは、カルボキキシル基、カルボニル基、ヒドロキシ基、アミノ基、ポリエーテル基、ポリグリセリル基が挙げられるが、融点がこの範囲であれば特に限定しない。なお、成分としては、パラフィン、ミツロウ、マイクロクリスタリンワックス、キャンデリラロウ、酸化ポリエチレンが好ましく、パラフィン、ミツロウがより好ましい。
市販品としては、PARACERA 256(PARAMENT社製)、WHITE BEES WAX(三木化学社製)、精製キャンデリラワックス SR-3(日本ナチュラルプロダクツ社製)、ムルチワックス W445(SONNEBORN社製)、カルナウバワックス(マチャ-ドケミカル社製)、TOWAX-1F6(東亜化学社製)、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)、PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)、Goldschmidt社から Abil Wax 9810 (融点60℃)の名称で販売されているC24-C28アルキルジメチコ-ン、Goldschmidt社から Abil Wax 9811 の名称で販売されているC30-C45アルキルメチコーン、NIKKOL GBW-25(日光ケミカルズ社製)等が挙げられる。なお、これらの1種又は2種以上用いることが可能である。
【0016】
本発明に用いられる成分(B)の融点は、下限としては55℃以上であり、上限としては95℃以下が好ましく、85℃以下がより好ましく、70℃以下がさらに好ましい。これらの範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性の点から好ましい。
【0017】
本発明に用いられる成分(B)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、1.0%以上が好ましく、2.0%以上がより好ましく、3.0%以上がさらに好ましく、5.0%がよりさらに好ましい。上限としては、25%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。範囲としては、1.0~25%が好ましく、2.0~20%がより好ましく、3.0~20%がより好ましく、5.0~15%がさらに好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性の点でより好ましい。
【0018】
(C)25℃で液状の非揮発性油
本発明に用いられる成分(C)は、25℃で液状の非揮発性油であり、通常化粧料や皮膚外用剤で使用される油剤であれば特に限定されず、例えば、炭化水素油、エステル油、シリコーン油等が挙げられる。これらは、1種又は2種以上を組み合わせて用いることが可能である。
【0019】
炭化水素油としては、例えば流動パラフィン、スクワラン、ポリブテン等が挙げられる。市販品としては、KLEAROL WHITE MINERAL OIL(SONNEBORN社製)、精製ポリブテン HV-100F(SB)(日本ナチュラルプロダクツ社製)等が挙げられる。
【0020】
エステル油としては、例えばミリスチン酸イソプロピル、ミリスチン酸オクチルドデシル、イソステアリン酸イソプロピル、イソノナン酸イソノニル、ステアリン酸ブチル、オレイン酸オレイル、イソノナン酸イソトリデシル、メトキシケイ皮酸オクチル、酢酸トコフェロール、リンゴ酸ジイソステアリル、ジカプリル酸プロピレン、トリイソステアリン酸ジグリセリル等が挙げられる。また、植物系のエステル油として、ホホバ種子油、ヒマワリ種子油、オリーブ油、ヒマシ油、マカデミアナッツ油、ツバキ油、ナタネ油、アマニ油等が挙げられる。市販品としては、サラコス 99(日清オイリオグループ製)、サラコス 913(日清オイリオグループ製)、ハイマレート DIS(高級アルコール工業社製)、コスモール43V(日清オイリオグループ製)精製ホホバ油(高級アルコール工業社製)、オリーブ油 R-X(日油社製)、亜麻仁油(サミット製油社製)等が挙げられる。
【0021】
シリコーン油としては、例えばジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン等が挙げられる。市販品としては、シリコンKF-96(10CS)(信越化学工業社製)、シリコンKF-54(信越化学工業社製)等が挙げられる。
【0022】
本発明に用いられる成分(C)は、特に限定しないが、トリイソステアリン酸ジグリセリル、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサンが好ましく、とりわけトリイソステアリン酸ジグリセリルが好ましい。これらの成分の場合、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性がより向上するため、好ましい。
【0023】
本発明に用いられる成分(C)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1.0%以上がさらに好ましい。上限としては、10%以下が好ましく、9.0%以下がより好ましく、8.0%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.1~10%が好ましく、0.5~9.0%がより好ましく、1.0~8.0%がさらに好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、形状保持性の点でより好ましい。
【0024】
本発明に用いられる成分(B)と成分(C)の質量含有割合(B)/〔(B)+(C)〕は、下限としては、0.1以上であり、0.2以上が好ましく、0.4以上がより好ましい。上限としては、0.97以下であり、0.9以下が好ましく、0.85以下がより好ましい。範囲としては、0.1~0.97であり、0.2~0.9がより好ましく、0.4~0.85がさらに好ましい。0.1より小さいと化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性が不十分であり、0.97より大きいと肌への転写性、化粧膜の均一性の点で困難が生じるため好ましくない。
【0025】
(D)水性成分
本発明に用いられる成分(D)は、通常化粧料や皮膚外用剤で使用される水性成分であれば特に限定されない。具体的には、水、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール等のグリコール類、エチルヘキシルグリセリン及び1,2-アルカンジオールの1種又は2種以上が挙げられ、特に、水や、グリセリン、ジグリセリン、ジプロピレングリコール、トリプリピレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ヘキサンジオール、1,2-オクタンジオール、エチルヘキシルグリセリンが好ましい。
【0026】
本発明に用いられる成分(D)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、1.0%以上が好ましく、5.0%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。上限としては、30%以下が好ましく、25%以下がより好ましく、20%以下がさらに好ましい。範囲としては、1.0~30%が好ましく、5.0~25%がより好ましく、10~20%がさらに好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、化粧膜の均一性の点でより好ましい。
【0027】
(E)板状粉体
本発明に用いられる成分(E)の板状粉体は、通常化粧料に使用するものであればいずれのものも使用でき、無機粉体でも有機粉体でも特に限定はしない。例えば酸化チタン、酸化亜鉛、酸化セリウム、硫酸バリウム等の白色無機顔料、酸化鉄、カーボンブラック、チタン・酸化チタン焼結物、酸化クロム、水酸化クロム、紺青、群青等の有色無機顔料、金、銀、アルミニウム等の金属末、タルク、マイカ、セリサイト、無水ケイ酸、合成金雲母、カオリン、炭化珪素、ベントナイト、スメクタイト、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、酸化アンチモン、珪ソウ土、ケイ酸アルミニウム、メタケイ酸アルミニウムマグネシウム、ケイ酸カルシウム、ケイ酸バリウム、ケイ酸マグネシウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、ヒドロキシアパタイト、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス等の白色無機体質粉体、ポリエチレン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂、セルロース系樹脂、スチレン-アクリル共重合樹脂等のコポリマー樹脂、ポリプロピレン系樹脂の有機高分子樹脂粉体、金属石鹸粉体、N-アシルリジン等の有機低分子性粉体、アクリルデンプン、コメデンプン等のデンプン粉末、ナイロン粉末、ガラス末、シルク粉末、セルロース粉末、デキストリン粉末等の天然有機粉体、シリコーン粉末、ポリメチルメタクリレート粉末、ポリスチレン粉末、ウレタン粉末等が挙げられる。
これらの成分は、特に限定されないが、無機物で表面処理、又は表面被覆されている板状粉体の複合化されているものでもよい。例としては、無水ケイ酸処理金属末、金属酸化物被覆無機粉体が挙げられる。具体的には、無水ケイ酸処理アルミニウム末、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆焼成マイカ、金属酸化物被覆合成マイカ、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆タルク、金属酸化物被覆シリカが挙げられる。例えば、酸化鉄等の有色無機顔料、酸化チタンや無水ケイ酸等の無機酸化物等により被覆処理されている上記板状粉体の複合粉体が好ましい。
成分(E)の板状粉体は、無水ケイ酸処理アルミニウム末、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆焼成マイカ、金属酸化物被覆合成マイカ、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆タルク、金属酸化物被覆シリカ、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、及びN-ラウロイル-L-リジンから選ばれる1種又は2種以上が好ましい。
また、本発明に用いられる成分(E)の板状粉体は、リン脂質、アミノ酸、アミノ酸誘導体、セラミド、デキストリン誘導体、シリコーン化合物、脂肪酸金属塩、フッ素化合物、界面活性剤等の有機物により表面処理を施して用いても良い。なお、成分(B)を予め成分(E)に被覆していてもよく、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、化粧膜の均一性の点で好ましい。
【0028】
本発明に用いられうる成分(E)の平均粒子径は、とくに限定しないが、5μm以上が好ましく、10μm以上がより好ましく、15μm以上がさらにより好ましい。また、150μm以下が好ましく、100μm以下がより好ましく、50μm以下がさらにより好ましい。また、5~150μmが好ましく、10~100μmがより好ましく、15~50μmがさらにより好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さの点から、好ましい。
【0029】
本発明に用いられる成分(E)は、特に限定しないが、市販品としては、具体的には、雲母チタン、ベンガラ被覆雲母、ベンガラ被覆雲母チタン等の金属酸化物被覆マイカとしては、COSMETICA SUPER WHITE N-8000S(CQV社製)、無水ケイ酸処理アルミニウム末としては、COSMICOLOR METALLICS FROST SL(東洋アルミニウム社製)、CLOISONNE SPARKLE ROUGE(BASF社製)が挙げられる。
【0030】
本発明に用いられる成分(E)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、0.5%以上が好ましく、1.0%以上がより好ましく、5.0%以上がさらに好ましい。上限としては、40%以下が好ましく、20%以下がより好ましく、15%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.5~40%が好ましく、1.0~20%がより好ましく、5.0~15%がさらに好ましい。この範囲であると、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、形状保持性の点でより好ましい。
【0031】
さらに本発明には、成分(F)として、両親媒性アクリル酸系ポリマーが用いられることが好ましい。アクリル酸アルキル及びメタクリル酸アルキルから選ばれるモノマーの1種又は2種以上を含むモノマーを主成分とし、これらが乳化重合されて得られた重合体又は共重合体が好ましく、化粧料に一般的に用いられるものであれば制限されない。
具体的には、酢酸ビニル共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸・(メタ)アクリル酸アルキル共重合体、(メタ)アクリル酸アルキル・スチレン共重合体、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体が挙げられる。これらのポリマーは、ポリマーエマルションであることが、均一な膜を形成する上で好ましく、入手しやすく生産時にも配合しやすい。これらの中でも、酢酸ビニル重合体エマルション、アクリル酸アルキル・酢酸ビニル共重合体エマルション、スチレン・ビニルピロリドン共重合体エマルションであると、肌への転写性、形状保持性、化粧膜の均一性の点で好ましい。このようなポリマーエマルションの市販品としては、ビニブランGV-5651(固形分40%エマルション、日信化学工業社製)、ビニゾール2140L(固形分43%エマルション、大同化成工業社製)、ANTARA430(固形分40%エマルション、ISP社製)、YODOSOL GH41F(固形分45%エマルション、アクゾノーベル社製)、COVACRYL MS11 WP(センシエントテクノロジーズジャパン社製:アクリレーツコポリマー)、ダイトゾール 5000SJ(大東化成工業社製:(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー)、ダイトゾール4000SJT(大東化成工業社製;(アクリレーツ/アクリル酸エチルヘキシル)コポリマー)、ダイトゾール5000STY(大東化成工業社製;(スチレン/アクリレーツ)コポリマー)等が挙げられる。
【0032】
本発明に用いられる成分(F)の含有量は、水中油型固形化粧料全量に対し、下限としては、0.1%以上が好ましく、0.5%以上がより好ましく、1.0%以上がさらに好ましい。上限としては、20%以下が好ましく、15%以下がより好ましく、10%以下がさらに好ましい。範囲としては、0.1~20%が好ましく、0.5~15%がより好ましく、1.0~10%がさらに好ましい。この範囲であると、肌への転写性、形状保持性、化粧膜の均一性の点でより好ましい。
【0033】
本発明における水中油型固形化粧料は、成分(A)と成分(D)によって、固形として形状保持性の必要な強度を保てたとしても、成分(B)、成分(C)、成分(E)を含有しないと、化粧料の指又は塗布体が表面で滑ってしまい、取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性に満足できない場合がある。成分(A)~(E)を組合せとして含有した際に、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性が良好となるメカニズムは明らかではない部分はあるが、成分(A)が成分(D)の中で強固なゲルを作り、離水防止効果、形状保持性に優れる固形を保ち、成分(B)、成分(C)を含む油層と、成分(E)が適度に分散されて存在していることで、水中油型固形化粧料に触れた際に、成分(B)、成分(C)でできた油層と成分(E)が、ゲルを崩壊させるための引っ掛かりとして機能し、化粧料の指又は塗布体への取れの良さに優れると考えられる。さらに、成分(A)と成分(B)と成分(C)のバランスにより、化粧膜の均一性、に優れると考えられる。さらに、成分(B)、成分(C)が肌等の適用部位との親和性が高く、成分(A)~(E)を含有する水中油型固形化粧料が、肌への転写性に優れたものとなったと考えられる。
【0034】
本発明の水中油型固形化粧料には、本発明の効果を損なわない範囲内であれば、前記成分の他に、通常化粧料や皮膚外用剤に用いられる成分、例えば、成分(A)~(E)以外の、界面活性剤、油剤、保湿剤、増粘剤、金属封鎖剤、清涼剤、酸化防止剤、防腐・殺菌剤、pH調整剤、着色剤、各種香料などを目的に応じて適宜含有することができる。特に、界面活性剤は、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤等いずれの構造でもよいが、ノニオン界面活性剤。両性界面活性剤の配合が、加温溶解時の安定性と、肌への転写性においてより好ましい。さらに、ノニオン界面活性剤の場合に、HLB値(Hydrophilic-Lipophilic Balance)の高いノニオン界面活性剤を含有するとより好ましい。
【0035】
本発明の水中油型固形化粧料の製造方法は、特に限定されないが、例えば、成分(B)融点が55~110℃の油剤と、成分(C)25℃で液状の非揮発性油の混合物を含む油性成分(場合により界面活性剤等を含む)を約110℃で加熱溶解し、成分(D)を含む水性成分中において約90℃で加熱溶解した成分(A)の水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンを添加し、転相、または分散乳化を行って冷却後、再度約60℃に加熱して成分(E)の板状粉体を添加して混合し、脱泡して冷却固化することにより、本発明の水中油型固形化粧料を製造することが好ましい。また、成分(E)板状粉体は成分(D)水性成分中で成分(A)水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンを約90℃で加熱溶解する段階で水相中に加えても、乳化後に60℃にて添加でもよい。両親媒性アクリル酸系ポリマーを配合する場合は、水性成分中で水溶性多糖類、および水溶性ポリウレタンを約90℃で加熱溶解する段階で添加してもよいが、低温50℃以下で添加してもよい。好ましくは、成分(B)と成分(C)を含む油性組成物(1)を溶解する工程、さらに成分(A)と成分(D)を含む水性組成物(2)を溶解する工程を有し、水性組成物(2)中に油性組成物(1)を均一に分散又は乳化する工程、もしくは、油性組成物(1)中に水性組成物(2)を均一に分散又は乳化する工程の後、成分(E)を添加しする工程、さらに60℃以上に再溶解して容器に充填し冷却固化する工程を有する製造方法であることが、製造安定性の点からより好ましい。
【0036】
本発明の水中油型固形化粧料は、容器に充填することができるが、みずみずしい使用感の維持の観点で、気密容器に充填することが好ましい。なお、容器と、前記容器に収納された前記水中油型固形化粧料と、を備え、前記水中油型固形化粧料が、前記容器内に溶融充填され冷却後に固形形状を維持するものであってよい。固形形状は、特に限定されないが、表面を擦って塗布することができることが望ましい。小道具や、指を使用して擦るだけではなく、水系固形化粧料自体を塗布部に直接擦る行為、化粧料表面にさらにメッシュ等の容器の一部を介して塗布部に塗ることも含まれる。
さらに、容器との接触面から上部に突出している立体形状を保持することもでき、立体形状を化粧料自体が維持する場合、化粧料表面に亀裂が入ることなく、または亀裂が入ったとしても結合を復帰、または全体の立体形状を維持することが好ましい。この形状復帰の観点から、成分(A)として、ジェランガムが最も好ましい。さらに、容器から取り出して、化粧料自体を取り出すこともできる。その場合、水中油型固形化粧料の大きさは、特に限定されないが、立体形状の維持の観点から、0.5~10cmの大きさが好ましい。
【0037】
本発明の水中油型固形化粧料は、特に限定されないが、化粧料や、皮膚外用剤等として使用することができる。化粧料としては、例えば、外用固形剤、外用液剤、軟膏剤、クリーム剤、ゲル剤等や、パック化粧料、洗顔料、マッサージ用化粧料、ヘア用化粧料、日焼け止め料、ボディクリーム等のボディ用化粧料、アイクリーム等の目周り用化粧料、リップエッセンス、リップクリーム等の口唇ケア用化粧料、ファンデーション、下地、コンシーラー、アイシャドウ、頬紅、口紅、マスカラ、アイブロウ等のメイクアップ製剤等が挙げられる。皮膚外用剤としては、例えば、軟膏剤等を挙げることができる。この中でも、本発明の水中油型固形化粧料は、化粧料の指又は塗布体への取れの良さを活かすため、メイクアップ製剤として使用することが好ましい。
【0038】
なお、以下の発明も追加することができる。
[10]前記成分(A)が、ジェランガム、スクレロチウムガム、寒天、カラギーナン、ローカストビーンガム、ペクチン、フィッシュゼラチン、コンニャクマンナン、及び(PEG-240/ デシルテトラデセス-20/ヘキサメチレンジイソシアネート)コポリマーから選ばれる1種又は2種以上の[3]の何れかに記載の水中油型固形化粧料である。
[11]前記成分(B)の含有量が、1.0~20.0質量%である[10]の何れかに記載の水中油型固形化粧料である。
[12]前記成分(D)が、グリセリン、ジグリセリン、1,3-ブチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エチルヘキシルグリセリン及び1,2-アルカンジオールの1種又は2種以上から選ばれる[10]又は[11]の何れかに記載の水中油型固形化粧料である。
[13]さらに成分(F)として、両親媒性アクリル酸系ポリマーを含有する[10]~[12]の何れかに記載の水中油型固形化粧料である。
[14]成分(E)が無水ケイ酸処理アルミニウム末、金属酸化物被覆マイカ、金属酸化物被覆焼成マイカ、金属酸化物被覆合成マイカ、金属酸化物被覆ガラス末、金属酸化物被覆タルク、金属酸化物被覆シリカ、窒化ホウ素、オキシ塩化ビスマス、及びN-ラウロイル-L-リジンから選ばれる1種又は2種以上を含有する[10]~[13]の何れかに記載の水中油型固形化粧料である。
[15]容器と、容器に収納された前記水中油型固形化粧料と、を備え、前記水中油型固形化粧料が、容器との接触面から上部に突出している立体形状を保持する[10]~[14]の何れかにに記載の水中油型固形化粧料である。
【0039】
以下に実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0040】
実施例1~36、及び、比較例1~12:水中油型固形化粧料(メイクアップ製剤)
表1~5の実施例1~36、及び、比較例1~12に示す処方の水中油型固形化粧料(メイクアップ製剤)を調製し、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性について、下記の評価方法により評価した。その結果も併せて表1~5に示す。
【0041】
【表1】
*1:ケルコゲルLT100(大日本住友製薬社製)
*2:KELCOGEL CC-LA(三昌社製)
*3:伊那寒天 UP-37CS(伊那食品工業社製)
*4:ウルトラ寒天 AX-100CS(伊那食品工業社製)
*5:アデカノール GT-700(ADEKA社製)
*6:WHITE BEES WAX(三木化学社製)
*16:コスモール43V(日清オイリオグループ製)
*20:COSMICOLOR FROST SL(東洋アルミニウム社製)
*26:ビニブランGV-5651(日信化学工業社製)
【0042】
【表2】
*8:精製キャンデリラワックス SR-3(日本ナチュラルプロダクツ社製)
*9:ムルチワックス W445(SONNEBORN社製)
*10:カルナウバワッックス(マチャードケミカル社製)
*11:TOWAX-1F6(東亜化成社製)
*12:PARACERA 256(PATAMELT社製)
*13:PERFORMALENE 500(ニューフェーズテクノロジー社製)
*14: PERFORMALENE 655(ニューフェーズテクノロジー社製)
*15: NIKKOL GBW-25(日光ケミカルズ社製)
【0043】
【表3】
*21:SA-クロイゾネブルー(三好化成社製)
*22:SA-チミロンスーパーレッド(三好化成社製)
*23:酸化ポリエチレン3%処理(CR-50 80%、JA-68R 20%混合物)(三好化成社製)
【0044】
【表4】
*27:COVACRYL MS11 WP(センシエントテクノロジーズジャパン社製)
*28:ダイトゾール 5000SJ(大東化成工業社製)
【0045】
【表5】
*17:DC2503(DN)(東レ・ダウコーニング社製)
*18:LIPEX SHEASOFT(AarhusKarlShamn Sweden AB社製)
*19:NIKKOL SS-15V(日本サーファクタント工業社製)
*22:COSMETICA SUPER BLUE(CQV社製)
*24:ミペロン PM-200(シバハシケミファ社製)
*25:KSP-102(不二化成社製)
【0046】
(製造方法)(表1~5:記載している成分のみ含有するものとする。)
A,成分7~23の混合物を約110℃で加熱溶解する。
B.Aに、成分1~6、成分35の一部、36~38を約90℃で加熱溶解したものを添加して、転相乳化を行い、冷却を開始する。
C.成分24~31と成分35の一部を分散する。
D.Bに、約45℃にてCと成分32~34を添加して混合する。
E.Dを脱泡した後、80℃に再加温し、蒸発した水の量を調整し、直径約3cmのプラスチック製ジャー容器に注ぎ、ジャー容器中で冷却固化することにより、本発明の水中油型固形化粧料を得た。
【0047】
(評価方法)
化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性の3つの評価項目について、実施例1~36、及び、比較例1~12の各試料を化粧料専門パネル10名による使用試験を行い、パネル各人が下記評価基準にて7段階に評価し評点をつけ、パネル全員の評点からその平均値を算出し、下記判定基準により5段階で判定した。なお、化粧料の指又は塗布体への取れの良さについては、上記ジャー容器に充填した試料の上部表面を指で軽くこすり、指への取れを評価した。
【0048】
<評価基準>
(評点) :(評価)
6 :非常に良い
5 :良い
4 :やや良い
3 :普通
2 :やや悪い
1 :悪い
0 :非常に悪い
<判定基準>
(評価の平均点) :(判定)
5.5以上 :AA(極めて良好)
4.5以上5.5未満:A (非常に良好)
3.5以上4.5未満:B (良好)
2.0以上3.5未満:C (普通)
2.0未満 :D (不良)
【0049】
化粧料の離水防止効果の評価項目について、実施例1~36、及び、比較例1~12の各試料を、直径35mm、高さ20mmの円柱状に充填後、冷却し、容器から固化したバルクを取り出して、直径70mm、高さ50mmの円柱状プラスチック密閉容器に円部分のみを底面接触させて保管し、各5サンプルを、40℃1日静置保管し、接触部分の離水の有無を目視評価した。下記判定基準により5段階で判定した。
【0050】
<評価基準>
(評点) :(評価)
5 :離水が全く観察されない。
4 :接触部分に水による光沢が出ているが、表面は変化なし。
3 :接触部分や表面に水による光沢が出ている。
2 :接触部分に水が少しにじみ出ている。
1 :接触部分に水が出ている。
0 :接触部分に水が流れ出ている。
<判定基準>
(評価の平均点) :(判定)
4.5以上 :AA(極めて良好)
4.0以上4.5未満:A (非常に良好)
3.5以上4.0未満:B (良好)
2.0以上3.5未満:C (普通)
2.0未満 :D (不良)
【0051】
化粧料の形状保持性の評価項目について、実施例1~36、及び、比較例1~12の各試料を、直径35mm、高さ20mmの円柱状に充填後、冷却し、25℃1日保管後、レオメーター(FUDOH レオメーターRTC、レオテック社製)にて、5mm球状プローブにて6mm/秒、5mm侵入にて上から圧力をかけ、N=5で、亀裂の有無を目視評価した。下記判定基準により5段階で判定した。
【0052】
<評価基準>
(評点) :(評価)
5 :表面の変形・亀裂がほぼ見られない。
4 :若干直径5mm~10mm未満の亀裂が見られるが全体の形状に変化なし。
3 :直径10mm以上~15mm未満の亀裂が見られるが使用に問題はない。
2 :直径15mm以上~20mm未満の亀裂が見られ、形状は復元しないが使用はできる。
1 :全体に亀裂が見られるが使用はできる。
0 :形状は保持しておらず取れに影響して使用できない。
<判定基準>
(評価の平均点) :(判定)
4.5以上 :AA(極めて良好)
4.0以上4.5未満:A (非常に良好)
3.5以上4.0未満:B (良好)
2.0以上3.5未満:C (普通)
2.0未満 :D (不良)
【0053】
<結果>
表1~5から明らかなように、実施例1~36の水中油型固形化粧料(メイクアップ製剤)は、比較例1~12に比べ、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性に優れた。
一方、成分(A)を含有しない比較例1は、離水防止効果と形状保持性に劣っていた。
成分(A)を7.0%より多く含有する比較例2は、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、化粧膜の均一性、肌への転写性に劣っていた。
成分(A)を0.5%より少なく含有する比較例3は、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性に劣っていた。
成分(B)を含有しない比較例4(成分(C)に置き換え)、比較例5(低融点のシリコーンワックスに置き換え)、比較例6(低融点の植物脂に置き換え)、比較例7(固形の界面活性剤に置き換え)は、化粧膜の均一性、形状保持性に劣っていた。また、比較例7は化粧料の指又は塗布体への取れの良さにも劣っていた。
成分(B)と成分(C)についての質量含有割合(B)/〔(B)+(C)〕が0.1より小さい比較例8は、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性に劣っていた。
成分(B)と成分(C)についての質量含有割合(B)/〔(B)+(C)〕が0.97より大きい比較例9は、化粧膜の均一性、肌への転写性、形状保持性に劣っていた。
成分(E)を含有しない比較例10(有機球状粉体に置き換え)、比較例11(シリコーンパウダー球状粉体に置き換え)は、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性に劣っていた。
成分(B)と成分(C)を含有しない比較例12は、図1に示すように、反射して白く見える成分(E)の粉体表面が、実施例1よりも平滑であり、成分(B)や成分(C)が付着していない状態を指すが、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性に劣っていた。
【0054】
実施例37:水中油型固形化粧料(ファンデーション)
(成分) (%)
1.カンテン *3 1.0
2.カンテン *4 0.5
3.ミツロウ *6 10.0
4.リンゴ酸ジイソステアリル 2.0
5.セスキオレイン酸ソルビタン 2.0
6.酸化鉄 2.0
7.リン脂質0.5%処理酸化チタン(母体:MP-1133テイカ社製) 5.0
8.合成金雲母鉄 15.0
9.ポリ酢酸ビニル *26 5.0
10.1,3-ブチレングリコール 10.0
11.グリセリン 2.0
12.精製水 残量
【0055】
(製造方法)
A.成分3、4、5を約110℃で加熱溶解する。
B.成分1,2、9、10の一部、12を約90℃で加熱溶解し、Aを分散乳化して冷却する。
C.Bを再度約80℃に加熱して成分6、7、8、10の一部を分散後、添加して混合し、脱泡して、蒸発した水の量を調整し、80℃にてジャー容器に充填し、-15℃にて冷却固化することにより、本発明のファンデーションを得た。
【0056】
実施例37:ファンデーションは、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性が良好であった。成分(B)と成分(C)の質量含有割合は、(B)/〔(B)+(C)〕=10/(10+2)=0.83であった。
【0057】
実施例38:水中油型固形口紅
(成分) (%)
1.ジェランガム *1 3.0
2.パラフィン *12 7.0
3.マイクロクリスタリンワックス *9 7.0
4.テトライソステアリン酸ジグリセリル 6.0
5.テトライソステアリン酸ジグリセリル3%被覆酸化鉄 5.0
6.ジメチコン処理ベンガラ被覆雲母チタン *30 6.0
7.PEG-60水添ヒマシ油 2.0
8.水添レシチン 1.0
9.1,3-ブチレングリコール 7.0
10.ジグリセリン 2.0
11.プロピレングリコール 2.0
12.精製水 残量
*30:SA-クロイゾネルージュフランベ(三好化成社製)
【0058】
(製造方法)
A.成分2、3、4を約110℃で加熱溶解する。
B.成分1,7、8、9の一部、10、11、12を約90℃で加熱溶解し、Aを添加して乳化して冷却する。
C.Bを再度約80℃に加熱して成分5、6、9の一部を添加して混合し、脱泡して、蒸発した水の量を調整し、85℃にてシリコーンモールド型に充填し、-15℃にて冷却固化し、型を取り外すことにより、本発明の立体口紅を得た。立体口紅は、10mmφ4cmの円柱状であり、使用する分だけ繰り出す気密容器にセットした。
【0059】
実施例38:口紅は、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性が良好であった。成分(B)と成分(C)の質量含有割合は、(B)/〔(B)+(C)〕=(7+7)/(7+7+6)=0.7であった。
【0060】
実施例39:水中油型固形チーク
(成分) (%)
1.ジェランガム *1 1.0
2.ミツロウ *6 5.0
3.ポリエチレン *13 3.0
4.ポリエチレン *14 3.0
5.ジカプリン酸プロピレングリコール 1.0
6.ジメチコン 1.0
7.ショ糖ステアリン酸エステル 2.0
8.酸化鉄1%被覆酸化チタン(平均粒子径0.27μm) 1.0
9.ベンガラ被覆雲母チタン 10.0
10.ポリ酢酸ビニル *26 10.0
11.1,3-ブチレングリコール 10.0
12.トリプロピレングリコール 1.0
13.エチルヘキシルグリセリン 0.2
14.精製水 残量
【0061】
(製造方法)
A.成分2~7を約110℃で加熱溶解する。
B.成分1,10、11の一部、12~14を約90℃で加熱溶解し、Aを転相乳化して冷却する。
C.Bを再度約80℃に加熱して成分8、9、11の一部を分散して添加して混合し、脱泡して、蒸発した水の量を調整し、85℃にて半球容器2つに充填し、10℃迄冷却固化後に二つを合体させて球状とし、-15℃にさらに冷却することにより、本発明の球形チークを得た。半球台座のある保管気密容器にセットし、ブラシで
【0062】
実施例39:チークは、化粧料の指又は塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性が良好であった。成分(B)と成分(C)の質量含有割合は、(B)/〔(B)+(C)〕=(5+3+3)/(5+3+3+1+1)=0.84であった。
【0063】
実施例40:水中油型固形コンシーラー
(成分) (%)
1.ジェランガム *1 1.0
2.カンテン *3 1.0
3.ミツロウ *6 3.0
4.トリメトキシケイ皮酸オクチル 3.0
5.メチルフェニルポリシロキサン 1.0
6.PEG-60水添ヒマシ油 2.0
7.水添レシチン 1.0
8.酸化鉄 1.0
9.酸化チタン 15.0
10.N-ラウロイル-L-リジン 5.0
11.酸化チタン被覆合成金雲母(干渉色:赤)(平均粒子径10μm) 2.0
12.アクリレーツコポリマー *27 2.0
13.1,3-ブチレングリコール 12.0
14.精製水 残量
【0064】
(製造方法)
A.成分3~7を約110℃で加熱溶解する。
B.成分1、2、12、13の一部、14を約90℃で加熱溶解し、Aを転相乳化して冷却する。
C.Bを再度約80℃に加熱して成分8、9、10、11、13の一部を分散して添加して混合し、脱泡して、蒸発した水の量を調整し、85℃にてアプリケーター付き容器に充填し、-15℃にて冷却固化することにより、本発明のコンシーラーを得た。
【0065】
実施例40:コンシーラーは、化粧料の塗布体への取れの良さ、肌への転写性、化粧膜の均一性、離水防止効果、形状保持性が良好であった。成分(B)と成分(C)の質量含有割合は、(B)/〔(B)+(C)〕=3/(3+3+1)=0.43であった。

図1