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特開2024-54499情報処理装置、オクタン価予測方法およびモデル生成方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054499
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】情報処理装置、オクタン価予測方法およびモデル生成方法
(51)【国際特許分類】
   G16C 20/30 20190101AFI20240410BHJP
   C10L 1/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G16C20/30
C10L1/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160746
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105924
【弁理士】
【氏名又は名称】森下 賢樹
(72)【発明者】
【氏名】桑子 慶彦
(72)【発明者】
【氏名】三ツ井 裕太
(72)【発明者】
【氏名】土屋 和輝
(57)【要約】
【課題】複数の基材油を配合して製造される燃料油のオクタン価を予測する。
【解決手段】情報処理装置10は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータ26を記憶する記憶部14と、モデルデータ26を用いて、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測する演算部16と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、
前記モデルデータを用いて、前記複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測する演算部と、を備える情報処理装置。
【請求項2】
前記特定の配合比率を示す配合データを取得する取得部をさらに備え、
前記記憶部は、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データをさらに記憶し、
前記演算部は、前記配合データおよび前記基材油データを用いて、前記特定の燃料油の成分比率およびオクタン価平均値を算出し、前記算出した成分比率およびオクタン価平均値を用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記特定の燃料油の前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を含む燃料油データを取得する取得部をさらに備え、
前記演算部は、前記燃料油データおよび前記モデルデータを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項4】
目標オクタン価を含む目標データを取得する取得部をさらに備え、
前記記憶部は、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データをさらに記憶し、
前記演算部は、前記基材油データ、前記モデルデータおよび前記目標データを用いて、前記目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための前記複数の基材油の目標配合比率を決定する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる特定成分の成分比率を含み、
前記演算部は、前記目標燃料油に含まれる前記特定成分の成分比率が所定の基準値以下となるように、前記目標配合比率を決定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記特定成分は、鉛、硫黄分、酸素分、メチルターシャリブチルエーテル、ベンゼン、灯油、メタノール、エタノールおよび実在ガムの少なくともいずれかを備える、請求項5に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれのコストを含み、
前記演算部は、前記目標燃料油のコストが所定条件を充足するように、前記目標配合比率を決定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項8】
前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれの在庫量を含み、
前記目標データは、目標製造量を含み、
前記演算部は、前記目標燃料油を前記目標製造量で製造する場合に使用される前記複数の基材油のそれぞれの使用量が前記在庫量以下となるように、前記目標配合比率を決定する、請求項4に記載の情報処理装置。
【請求項9】
前記複数の成分は、パラフィン分、オレフィン分、ナフテン分およびアロマ分の少なくともいずれかを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項10】
前記複数の成分は、エチルターシャリブチルエーテルを備える、請求項9に記載の情報処理装置。
【請求項11】
前記複数の基材油は、ナフサ、接触分解ガソリン、水素化分解ガソリン、改質ガソリン、重合ガソリン、異性化ガソリン、ラフィネート、アルキレート、ブタン、芳香族炭化水素化合物およびエチルターシャリブチルエーテルの少なくともいずれかを備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項12】
前記モデルデータは、前記複数の燃料油のそれぞれの前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を入力とし、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習によって生成される、請求項1から8のいずれか一項に記載の情報処理装置。
【請求項13】
前記機械学習は、線形回帰、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティングおよびニューラルネットワークの少なくともいずれかを用いる、請求項12に記載の情報処理装置。
【請求項14】
複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を特定の配合比率で配合して製造される特定の燃料油に含まれる前記複数の成分の成分比率を取得することと、
前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記特定の配合比率で加重平均して算出されるオクタン価平均値を取得することと、
前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測することと、を備えるオクタン価予測方法。
【請求項15】
複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を特定の配合比率で配合して製造される特定の燃料油に含まれる前記複数の成分の成分比率を取得する機能と、
前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記特定の配合比率で加重平均して算出されるオクタン価平均値を取得する機能と、
前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する機能と、をコンピュータに実現させるプログラム。
【請求項16】
複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造され、前記複数の基材油の配合比率が異なる複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値を取得することと、
前記複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率を取得することと、
前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値を取得することと、
前記複数の燃料油のそれぞれの前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を入力とし、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習により、前記複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルを生成することと、を備えるモデル生成方法。
【請求項17】
複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データを記憶し、前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、
目標オクタン価を含む目標データを取得する取得部と、
前記基材油データ、前記モデルデータおよび前記目標データを用いて、前記目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための前記複数の基材油の目標配合比率を決定する演算部と、を備える情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、オクタン価予測方法およびモデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ガソリンなどの燃料油は、石油精製工場等で製造される複数の基材油を配合することによって製造される。複数の基材油の配合比率は、燃料油のオクタン価が所望の値となるように決定される。複数の基材油のそれぞれのオクタン価を配合比率で加重平均したオクタン価は、実際に配合した燃料油のオクタン価とは異なることが知られている。そこで、基材油ごとにオクタン価の補正係数を決定し、補正係数を用いることによってオクタン価を予測する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-203926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の先行技術では、オクタン価の補正係数が基材油の配合比率の関数として定められている。そのため、配合に使用しうる様々な基材油ごとに、基材油の配合比率が変化しうる範囲(例えば0%~100%)において補正係数の関数を定める必要があり、非常に労力がかかる。
【0005】
本開示のある態様の例示的な目的の一つは、複数の基材油を配合して製造される燃料油のオクタン価を予測する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示のある態様の情報処理装置は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、モデルデータを用いて、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測する演算部と、を備える。
【0007】
本開示の別の態様は、オクタン価予測方法である。この方法は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を特定の配合比率で配合して製造される特定の燃料油に含まれる複数の成分の成分比率を取得することと、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を特定の配合比率で加重平均したオクタン価平均値を取得することと、複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、特定の燃料油のオクタン価を予測することと、を備える。
【0008】
本開示のさらに別の態様は、モデル生成方法である。この方法は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造される燃料油であって、複数の基材油の配合比率が異なる複数の燃料油のオクタン価実測値を取得することと、複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率を取得することと、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値を取得することと、複数の燃料油のそれぞれの複数の成分の成分比率およびオクタン価平均値を入力とし、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習により、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルを生成することと、を備える。
【0009】
本開示のさらに別の態様は、情報処理装置である。この装置は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データを記憶し、複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、目標オクタン価を含む目標データを取得する取得部と、基材油データ、モデルデータおよび目標データを用いて、目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための複数の基材油の目標配合比率を決定する演算部と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、複数の基材油を配合して製造される燃料油のオクタン価を予測できる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係る情報処理装置の構成を模式的に示す図である。
図2】基材油データのデータ構造の一例を示す図である。
図3】燃料油データのデータ構造の一例を示す図である。
図4】配合データのデータ構造の一例を示す図である。
図5】オクタン価の予測結果の一例を示すグラフである。
図6】実施の形態に係るモデル生成方法を示すフローチャートである。
図7】実施の形態に係るオクタン価予測方法を示すフローチャートである。
図8】実施の形態に係る配合比率決定方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本開示の概要を説明する。本開示は、複数の基材油を配合して製造される燃料油のオクタン価を予測し、複数の基材油の配合比率を決定する技術に関する。燃料油の一例は、ガソリンである。日本で販売されるガソリンの場合、リサーチ法によるオクタン価がレギュラーガソリンにおいて89.0以上、ハイオクガソリンにおいて96.0以上であることが規格で定められている。燃料油の製造者は、オクタン価の規格値を充足するように、燃料油の原料となる複数の基材油の配合比率を決定している。
【0013】
複数の基材油のそれぞれのオクタン価を配合比率で加重平均したオクタン価平均値と、実際に配合した燃料油のオクタン価実測値とが一致するのであれば、オクタン価の規格値を充足する配合比率を決定することは容易である。しかしながら、オクタン価平均値とオクタン価実測値の間には誤差があり、かつ、オクタン価平均値よりもオクタン価実測値が低くなる傾向にある。そのため、従来では、誤差分のマージンを確保して、オクタン価平均値が規格値よりも十分に大きくなるように配合比率が決定する必要があった。このようなマージンを確保することは、燃料油の製造コストの増加につながり、消費者に販売されるガソリン価格の増加につながる。また、規格値に一致する燃料油を製造するために、配合比率の異なる様々な燃料油を試作してオクタン価を実測した場合、試作コストの増加につながる。したがって、燃料油のオクタン価を高精度で簡便に予測する技術が求められる。
【0014】
本開示では、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率と、燃料油のオクタン価平均値とを用いて、燃料油のオクタン価を予測する。複数の成分の一例は、PONA分析によって特定可能なパラフィン(P)分、オレフィン(O)分、ナフテン(N)分およびアロマ(A)分(または芳香族分)である。本開示の一例によれば、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率を考慮することにより、燃料油のオクタン価平均値のみを用いる場合に比べて、オクタン価の予測精度を向上できる。オクタン価の予測には、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率と、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油のオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いることができる。相関モデルを用いることにより、目標とするオクタン価を実現するための複数の基材油の配合比率を決定できる。相関モデルは、機械学習によって生成することができる。
【0015】
以下、本開示の技術を好適な実施の形態をもとに図面を参照しながら説明する。実施の形態は、発明を限定するものではなく例示であって、実施の形態に記述されるすべての特徴やその組み合わせは、必ずしも発明の本質的なものであるとは限らない。各図面に示される同一または同等の構成要素、部材、処理には、同一の符号を付するものとし、適宜重複した説明は省略する。また、各図に示す各部の縮尺や形状は、説明を容易にするために便宜的に設定されており、特に言及がない限り限定的に解釈されるものではない。また、本明細書または請求項中に「第1」、「第2」等の用語が用いられる場合には、特に言及がない限り、いかなる順序や重要度を表すものでもなく、ある構成と他の構成とを区別するためのものである。
【0016】
本開示における装置または方法の主体は、コンピュータを備える。このコンピュータがコンピュータプログラムを実行することによって、本開示における装置または方法の主体の機能が実現される。コンピュータは、コンピュータプログラムにしたがって動作するプロセッサを主なハードウェア構成として備える。プロセッサは、コンピュータプログラムを実行することによって機能を実現することができれば、その種類は問わない。プロセッサは、半導体集積回路(IC、LSI等)を含む一つまたは複数の電子回路で構成される。コンピュータプログラムは、コンピュータが読み取り可能なROM、光ディスク、ハードディスクドライブなどの非一時的な記録媒体に記録される。コンピュータプログラムは、記録媒体に予め格納されていてもよいし、インターネット等を含む広域通信網を介して記録媒体に供給されてもよい。
【0017】
図1は、実施の形態に係る情報処理装置10の機能構成を模式的に示す図である。情報処理装置10は、取得部12と、記憶部14と、演算部16と、出力部18とを備える。情報処理装置10は、ネットワーク40を介してユーザ端末50およびローカル装置52と接続する。
【0018】
本開示のブロック図で示される各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPU(Central Processing Unit)などのプロセッサやROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現される。ここでは、ハードウェアおよびソフトウェアの連携によって実現される機能ブロックを描いている。これらの機能ブロックは、ハードウェアおよびソフトウェアの組み合わせによって、いろいろなかたちで実現できることは、当業者には理解されるところである。
【0019】
図1に示す複数の機能ブロックのうち少なくとも一部の機能ブロックの機能を実装したコンピュータプログラムが、1台または複数台のコンピュータのストレージにインストールされてもよい。1台または複数台のコンピュータのCPUは、自機にインストールされたコンピュータプログラムをメインメモリに読み出して実行することにより、図1に示す複数の機能ブロックの機能を発揮してもよい。
【0020】
また、図1に示す複数の機能ブロックの機能は、1台のコンピュータにより実行されてもよく、複数台のコンピュータにより分散して実行されてもよい。図1に示す複数の機能ブロックの機能が複数台のコンピュータにより分散して実行される場合、それら複数台のコンピュータは、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネットを含む通信網を介してデータを送受信してもよい。
【0021】
情報処理装置10は、例えば、サーバである。情報処理装置10は、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータであってもよい。情報処理装置10は、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータ等の携帯端末であってもよい。情報処理装置10は、ネットワーク40を介してユーザ端末50にコンピュータ資源を提供するよう構成されるクラウド型のサーバであってもよい。
【0022】
ユーザ端末50は、例えば、パーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータである。ユーザ端末50は、スマートフォンまたはタブレット型コンピュータ等の携帯端末であってもよい。ユーザ端末50は、例えば、基材油や燃料油を取り扱う工場、研究所等で使用される。
【0023】
ローカル装置52は、例えば、サーバである。ローカル装置52は、ワークステーションまたはパーソナルコンピュータ等の汎用コンピュータであってもよい。ローカル装置52は、例えば、基材油や燃料油を取り扱う工場、研究所等に設置される。ローカル装置52は、工場や研究所にて使用するデータを一元管理するデータサーバとして機能する。ローカル装置52は、ネットワーク40を介してユーザ端末50にコンピュータ資源を提供するよう構成されるクラウド型のサーバであってもよい。この場合、ローカル装置52は、ユーザ端末50が設置される工場や研究所から離れた拠点に設置されてもよい。
【0024】
ネットワーク40は、例えば、LAN(Local Area Network)、WAN(Wide Area Network)、インターネット、無線基地局によって構築される各種移動通信システム含む通信網で構成される。移動通信システムとしては、例えば、3G、4Gまたは5Gなどの移動通信システム、LTE(Long Term Evolution)および所定のアクセスポイントによってよってインターネットに接続可能な無線ネットワーク(例えば、Wi-Fi(登録商標))が挙げられる。
【0025】
取得部12は、ネットワーク40を介してユーザ端末50やローカル装置52から各種データを取得する。取得部12は、情報処理装置10に接続されるキーボードやマウスといった任意の入力装置を通じてユーザが入力するデータ取得してもよい。
【0026】
記憶部14は、演算部16が実行する処理に必要なデータを記憶する。記憶部14は、取得部12が取得するデータを記録して管理する。基材油データ20と、燃料油データ22と、配合データ24と、モデルデータ26とを記憶する。記憶部14は、例えば、基材油および燃料油に関するデータを蓄積するデータベースであり、工場や研究所にて製造された基材油および燃料油に関する過去に履歴データを記憶する。
【0027】
図2は、基材油データ20のデータ構造の一例を示す図である。基材油データ20は、燃料油の製造に用いる原料となる基材油に関するデータである。基材油データ20は、基材油を識別するためのIDおよび名称と、基材油に含まれる複数の成分の成分比率と、基材油のオクタン価実測値とを含む。
【0028】
基材油データ20に記録される基材油の種類は、特に限られないが、例えば、ナフサ、接触分解ガソリン、水素化分解ガソリン、改質ガソリン、重合ガソリン、異性化ガソリン、ラフィネート、アルキレート、ブタン、芳香族炭化水素化合物およびエチルターシャリブチルエーテル(ETBE)の少なくともいずれかを備えることができる。接触分解ガソリンは、接触分解法によって得られるガソリンである。水素化分解ガソリンは、水素化分解法によって得られるガソリンである。改質ガソリンは、接触改質法によって得られるガソリンである。重合ガソリンは、オレフィンの重合反応によって得られるガソリンである。異性化ガソリンは、軽質ナフサを異性化装置でイソパラフィンに転化して得られるガソリンである。ラフィネートは、改質ガソリンから芳香族分を抽出した残分である。アルキレートは、炭化水素に低級オレフィンを付加するアルキル化反応によって得られるガソリンである。
【0029】
基材油データ20に記録される複数の成分の成分比率は、基材油を成分分析することによって測定される。基材油の成分分析手法として、ガスクロマトグラフ質量分析、液体クロマトグラフ質量分析、フーリエ変換赤外光(FT-IR)、核磁気共鳴(NMR)などを用いることができる。基材油データ20に記録される複数の成分の種類は特に限られないが、図2に示される一例において、成分Aはパラフィン分であり、成分Bはオレフィン分であり、成分Cはナフテン分であり、成分Dはアロマ分であり、成分Eはエチルターシャリブチルエーテル(ETBE)である。複数の成分の成分比率は、例えば、容量パーセント(vol%)で表すことができる。成分比率は、重量パーセント(wt%)またはモルパーセント(mol%)で表されてもよい。
【0030】
基材油データ20に記録されるオクタン価実測値は、例えば、リサーチ法によって測定されるRON(Research Octane Number)である。RONは、例えば、JIS K2280-1(石油製品-オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方-第1部:リサーチ法オクタン価)に準拠して測定することができる。オクタン価実測値は、モータ法によって測定されるMON(Motor Octane Number)であってもよい。MONは、例えば、JIS K2280-2(石油製品-オクタン価,セタン価及びセタン指数の求め方-第2部:モータ法オクタン価)に準拠して測定できる。オクタン価実測値は、RONとMONの平均値であるAKI(Anti-Knock Index)またはPON(Pump Octane Number)であってもよい。本実施の形態では、オクタン価がRONである場合について説明する。
【0031】
基材油データ20は、基材油の種類名、製造場所、製造日時、製造番号といった基材油を識別するための情報をさらに含んでもよい。基材油データ20は、図2に示す成分A~Eとは異なる特定成分の成分比率をさらに含んでもよく、例えば、鉛、硫黄分、酸素分、メチルターシャリブチルエーテル(MTBE)、ベンゼン、灯油、メタノール、エタノールおよび実在ガムの少なくともいずれかの成分比率を含んでもよい。基材油データ20は、基材油の性状に関する情報をさらに含んでもよく、密度、蒸気圧、蒸留性状(例えば、10%留出温度、50%留出温度、90%留出温度)の少なくともいずれかを含んでもよい。基材油データ20は、基材油のコストに関する情報をさらに含んでもよく、基材油の製造にかかる単位容量あたりの価格を含んでもよい。基材油データ20は、基材油の在庫量に関する情報をさらに含んでもよく、製造工場などに貯留されている基材油の容量を含んでもよい。
【0032】
図3は、燃料油データ22のデータ構造の一例を示す図である。燃料油データ22は、複数の基材油を配合して製造される燃料油に関するデータである。燃料油データ22は、燃料油を識別するためのIDおよび名称と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率と、燃料油のオクタン価実測値と、燃料油のオクタン価平均値とを含む。
【0033】
燃料油データ22に記録される複数の成分は、基材油データ20に記録される複数の成分と共通である。図3に示される一例において、成分Aはパラフィン分であり、成分Bはオレフィン分であり、成分Cはナフテン分であり、成分Dはアロマ分であり、成分Eはエチルターシャリブチルエーテル(ETBE)である。複数の成分の成分比率は、例えば、容量パーセント(vol%)で表すことができる。成分比率は、重量パーセント(wt%)またはモルパーセント(mol%)で表されてもよい。
【0034】
燃料油データ22の複数の成分の成分比率は、燃料油を成分分析することによって測定される。燃料油の成分分析手法として、基材油の分析と同様の方法を用いることができる。燃料油データ22の複数の成分の成分比率は、燃料油を直接測定した値ではなく、配合に使用した複数の基材油の成分比率を配合比率で加重平均して算出される計算値であってもよい。
【0035】
燃料油のオクタン価実測値は、リサーチ法によって測定されるRONである。燃料油のオクタン価平均値は、配合に使用した複数の基材油のオクタン価平均値を配合比率で加重平均して算出される平均値である。オクタン価平均値RONaveは、以下の式(1)で表すことができる。
【数1】
ここで、RONi(i=1~n)は、複数の基材油のオクタン価実測値であり、Vi(i=1~n)は、複数の基材油の配合比率である。
【0036】
燃料油データ22は、燃料油の種類名、製造場所、製造日時、製造番号といった燃料油を識別するための情報をさらに含んでもよい。燃料油データ22は、図3に示す成分A~Eとは異なる特定成分の成分比率をさらに含んでもよく、例えば、鉛、硫黄分、酸素分、メチルターシャリブチルエーテル(MTBE)、ベンゼン、灯油、メタノール、エタノールおよび実在ガムの少なくともいずれかの成分比率を含んでもよい。燃料油データ22は、燃料油の性状に関する情報をさらに含んでもよく、密度、蒸気圧、蒸留性状(10%留出温度、50%留出温度、90%留出温度)の少なくともいずれかを含んでもよい。燃料油データ22は、燃料油のコストに関する情報をさらに含んでもよく、燃料油の製造にかかる単位容量あたりの価格を含んでもよい。
【0037】
図4は、配合データ24のデータ構造の一例を示す図である。配合データ24は、燃料油データ22に記録される燃料油の製造に使用した複数の基材油の配合比率に関するデータである。配合データ24は、燃料油を識別するためのIDおよび名称と、基材油を識別するためのIDおよび名称と、基材油ごとの配合比率とを含む。配合比率は、例えば、容量パーセント(vol%)で表すことができる。配合比率は、重量パーセント(wt%)またはモルパーセント(mol%)で表されてもよい。
【0038】
図4の例において、燃料油1は、図2に示す基材油1、基材油2および基材油4を配合することによって製造され、燃料油2は、図2に示す基材油1、基材油2、基材油3および基材油7を配合することによって製造される。図4では、説明を簡単にするため、少ない数(3または4)の基材油の配合によって燃料油が製造されているが、実際には、5以上または10以上の基材油の配合によって燃料油が製造されてもよい。燃料油の配合に使用する基材油の種類、数および配合比率は、使用する基材油の性状や製造場所、製造日時といった様々条件に応じて多種多様となりうる。
【0039】
図1に戻り、モデルデータ26は、燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルの構成に必要な各種パラメータを含む。相関モデルは、燃料油に含まれる複数の成分Xj(j=1~m)の成分比率xjと、燃料油のオクタン価平均値RONaveと、燃料油のオクタン価実測値RONとの相関を表す。相関モデルは、例えば、以下の式(2)で表すことができる。
【数2】
ここで、関数frは、オクタン価平均値RONaveを変数とする任意の関数であり、例えば、オクタン価平均値RONaveの多項式である。関数fjは、成分Xjの成分比率xjを変数とする任意の関数であり、例えば、成分比率xjの多項式である。係数pは、切片である。
【0040】
式(2)で表される相関モデルは、非線形モデルであってもよいし、線形モデルであってもよい。相関モデルが線形である場合、相関モデルは、例えば、以下の式(3)で表すことができる。
【数3】
ここで、係数krは、オクタン価平均値RONaveに対する偏回帰係数であり、係数kjは、成分Xjの成分比率xjに対する偏回帰係数であり、係数kpは、切片である。
【0041】
相関モデルに含まれる複数の成分Xjとして、図2の基材油データ20および図3の燃料油データ22に含まれる複数の成分A~Eの少なくともいずれかを用いることができる。一例として、PONA分析にて特定されるパラフィン(P)分、オレフィン(O)分、ナフテン(N)分およびアロマ(A)分のうちのいずれかの二つ以上の成分を用いることができ、好ましくは、いずれか三つの成分(例えば、ナフテン分を除く、パラフィン分、オレフィン分およびアロマ分)を用いることができる。その他、パラフィン(P)分とナフテン(N)分を分離する代わりに、両者を合算した飽和炭化水素(S)分を用いてもよい。相関モデルに含まれる複数の成分Xjとして、PONA以外の任意の追加の成分を含むことができ、例えば、エチルターシャリブチルエーテル(ETBE)を含むことができる。
【0042】
相関モデルを構成する各種パラメータ(例えば、係数kr、kj、kp)の具体的な数値は、機械学習によって決定することができる。例えば、図3の燃料油データ22を機械学習に使用する教師データとして用いることができる。具体的には、燃料油データ22に含まれる複数の燃料油の複数の成分Xjの成分比率xjおよびオクタン価平均値RONaveを入力とし、オクタン価実測値RONを出力とする教師あり学習によって、相関モデルを構築できる。機械学習のアルゴリズムとして、線形回帰、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティングおよびニューラルネットワークの少なくともいずれかを用いることができる。
【0043】
演算部16は、モデル生成部30と、オクタン価予測部32と、配合決定部34とを備える。
【0044】
モデル生成部30は、モデルデータ26を生成するための機械学習を実行する。モデル生成部30は、例えば、記憶部14に記憶される燃料油データ22を教師データとして使用し、燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルを生成し、相関モデルを構成する各種パラメータの数値を決定する。モデル生成部30が生成したモデルデータ26は、記憶部14に記憶される。
【0045】
オクタン価予測部32は、記憶部14に記憶されるモデルデータ26を用いて、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測する。オクタン価予測部32は、例えば、特定の燃料油に含まれる複数の成分Xjの成分比率xjとオクタン価平均値RONaveを相関モデルに入力し、相関モデルから出力されるオクタン価RONを予測値とする。
【0046】
オクタン価予測部32は、ユーザ端末50に入力され、取得部12によって取得される特定の燃料油の成分比率xjとオクタン価平均値RONaveを用いて、特定の燃料油のオクタン価RONを予測してもよい。この場合、ユーザ端末50を使用するユーザは、新規に配合された特定の燃料油の成分分析の結果をユーザ端末50に入力してもよいし、特定の燃料油の配合に使用した複数の基材油の成分比率を特定の配合比率で加重平均することで算出される特定の燃料油の成分比率xjをユーザ端末50に入力してもよい。ユーザ端末50を使用するユーザは、複数の基材油のオクタン価RONiを特定の配合比率Viで加重平均することで算出したオクタン価平均値RONaveをユーザ端末50に入力してもよい。
【0047】
オクタン価予測部32は、ユーザ端末50に入力され、取得部12によって取得される特定の配合比率を示す配合データを用いて、特定の燃料油のオクタン価を予測してもよい。オクタン価予測部32は、取得した配合データと、記憶部14に記憶される基材油データ20とを用いて、複数の基材油の成分比率を特定の配合比率Viで加重平均することで特定の燃料油の成分比率xjを算出してもよい。オクタン価予測部32は、取得した配合データと、記憶部14に記憶される基材油データ20とを用いて、複数の基材油のオクタン価実測値RONiを特定の配合比率Viで加重平均することで特定の燃料油のオクタン価平均値RONaveを算出してもよい。オクタン価予測部32は、算出した特定の燃料油の成分比率xjおよびオクタン価平均値RONaveを用いて、特定の燃料油のオクタン価RONを予測してもよい。
【0048】
配合決定部34は、記憶部14に記憶される基材油データ20およびモデルデータ26を用いて、目標とするオクタン価(目標オクタン価ともいう)を充足する目標燃料油を製造するための複数の基材油の目標配合比率を決定する。配合決定部34は、例えば、ユーザ端末50に入力され、取得部12によって取得される目標オクタン価を含む目標データを用いて、複数の基材油の目標配合比率を決定する。配合決定部34は、目標配合比率で配合した目標燃料油のオクタン価の予測値が目標オクタン価と一致するように、目標配合比率を決定する。配合決定部34は、例えば、焼きなまし法(Simulated Annealing法)などの最適化計算手法を用いることにより、複数の基材油の目標配合比率を決定できる。
【0049】
配合決定部34によって決定される目標配合比率は、図4の配合データと同様のデータ構造を有してもよい。配合決定部34は、配合に用いる複数の基材油を識別するためのIDと、複数の基材油のそれぞれの配合比率の値とを決定する。
【0050】
配合決定部34は、目標オクタン価以外の制約条件を用いて、複数の基材油の目標配合比率を決定してもよい。配合決定部34は、例えば、目標配合比率で配合される目標燃料油に含まれる特定成分の成分比率が所定の基準値以下となるように、目標配合比率を決定してもよい。特定成分として、法律(例えば、揮発油等の品質の確保等に関する法律)や標準規格(例えば、自動車ガソリンに関する日本工業規格JIS K2202)によって基準値が定められる成分を用いることができ、例えば、鉛、硫黄分、酸素分、メチルターシャリブチルエーテル(MTBE)、ベンゼン、灯油、メタノール、エタノールおよび実在ガムの少なくともいずれかを用いることができる。好ましくは、これらの特定成分の全てが基準値以下となるように目標配合比率が決定される。目標配合比率で配合した目標燃料油に含まれる特定成分の成分比率は、基材油データ20に含まれる特定成分の成分比率を用いて算出できる。
【0051】
配合決定部34は、目標配合比率で配合される目標燃料油のコストが所定条件を充足するように、目標配合比率を決定してもよい。目標配合比率で配合される目標燃料油のコストは、基材油データ20に含まれる複数の基材油のコストを用いて算出できる。例えば、複数の基材油のそれぞれのコストを目標配合比率で加重平均することで目標燃料油のコストを算出し、算出される目標燃料油のコストが所定条件を充足するかを確認できる。ここで、所定条件とは、目標燃料油のコストが所定の数値範囲内となる条件であってもよいし、目標燃料油のコストが所定の上限値未満となる条件であってもよい。
【0052】
配合決定部34は、目標配合比率で配合される目標燃料油が複数の基材油の在庫量の範囲内で製造されるように、目標配合比率を決定してもよい。この場合、配合決定部34は、ユーザ端末50に入力され、取得部12によって取得される目標データに含まれる目標製造量をさらに用いる。配合決定部34は、目標燃料油の目標製造量と複数の基材油の目標配合比率とを用いて、複数の基材油のそれぞれの使用量を算出し、複数の基材油のそれぞれの使用量が在庫量以下となるように目標配合比率を決定する。配合決定部34は、基材油データ20に含まれる在庫量を用いることができる。
【0053】
出力部18は、演算部16の処理結果を出力する。出力部18は、ネットワーク40を介してユーザ端末50に処理結果を出力してもよいし、情報処理装置10に接続されるディスプレイなどの出力装置に処理結果を出力してもよい。出力部18は、オクタン価予測部32によって予測される特定の燃料油のオクタン価や、配合決定部34によって決定される複数の基材油の目標配合比率を出力する。
【0054】
図5は、オクタン価の予測結果の一例を示すグラフである。図5は、様々な燃料油のオクタン価実測値に対するオクタン価平均値RONaveおよびオクタン価予測値RONを示す。オクタン価平均値RONaveは、複数の基材油のオクタン価を配合比率で加重平均したオクタン価である。オクタン価予測値RONは、相関モデルを用いて予測されるオクタン価である。図5の実線60は、実測値と予測値が一致する傾きが1の直線である。図5の例は、相関モデルを生成するための機械学習のアルゴリズムとして、線形回帰(例えば重回帰分析)を用いた場合を示す。
【0055】
図5に示されるように、オクタン価平均値RONaveのプロット62は、実線60よりも上方に離れるように分布しており、実測値を正確に予測できていないことが分かる。一方、相関モデルを用いたオクタン価予測値RONのプロット64は、実線60の近傍に分布しており、実線60からの乖離が小さいことが分かる。オクタン価予測値RONのプロット64は、破線66で示されるオクタン価測定の室間許容差の範囲内にほぼ収まっており、実測値を高精度で予測できていることが分かる。
【0056】
図6は、実施の形態に係るモデル生成方法を示すフローチャートである。まず、複数の基材油の配合比率が異なる複数の燃料油のオクタン価実測値を取得する(ステップS10)。複数の燃料油のそれぞれは、複数の基材油をそれぞれの配合比率で配合することによって製造され、その後、オクタン価が測定される。次に、複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率を取得する(ステップS12)。複数の燃料油のそれぞれの成分比率は、複数の燃料油のそれぞれを分析することによって測定されてもよいし、複数の燃料油の製造に使用した複数の基材油について測定した成分比率を配合比率で加重平均することによって算出されてもよい。つづいて、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値を取得する(ステップS14)。その後、複数の燃料油の成分比率およびオクタン価平均値を入力とし、複数の燃料油のオクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習により、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルを生成する(ステップS16)。なお、ステップS10~S14の順序は特に限られず、S10、S12およびS14の順序を適宜入れ替えてもよい。
【0057】
図7は、実施の形態に係るオクタン価予測方法を示すフローチャートである。まず、複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油に含まれる複数の成分の成分比率を取得する(ステップS20)。特定の燃料油の成分比率は、特定の燃料油を分析することによって測定されてもよいし、特定の燃料油の製造に使用する複数の基材油について測定した成分比率を特定の配合比率で加重平均することによって算出されてもよい。つづいて、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を特定の配合比率で加重平均して算出される特定の燃料油のオクタン価平均値を取得する(ステップS22)。その後、複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれの成分比率と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、特定の燃料油のオクタン価を予測する(ステップS24)。特定の配合比率で配合した特定の燃料油の成分比率およびオクタン価平均値を相関モデルに入力することにより、相関モデルから特定の燃料油のオクタン価の予測値が出力される。なお、ステップS20~S22の順序は特に限られず、S20およびS22の順序を入れ替えてもよい。
【0058】
図8は、実施の形態に係る配合比率決定方法を示すフローチャートである。まず、複数の基材油のそれぞれの成分比率およびオクタン価実測値を含む基材油データを取得する(ステップS30)。次に、複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる複数の成分の成分比率と、複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを取得する(ステップS32)。つづいて、目標オクタン価を含む目標データを取得する(ステップS34)。その後、基材油データ、モデルデータおよび目標データを用いて、目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための複数の基材油の目標配合比率を決定する(ステップS36)。なお、ステップS30~S34の順序は特に限られず、S30、S32およびS34の順序を適宜入れ替えてもよい。
【0059】
以上、本開示を実施の形態に基づいて説明した。この実施の形態は例示であり、各構成要素あるいは各処理プロセスの組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本開示の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【0060】
上述の実施の形態では、演算部16がモデル生成部30、オクタン価予測部32および配合決定部34を備える場合について示した。別の実施の形態では、演算部16がモデル生成部30、オクタン価予測部32および配合決定部34の少なくともいずれかを備えなくてもよい。
【0061】
上述の実施の形態では、オクタン価がRONである場合について示した。別の実施の形態では、オクタン価がMONであってもよいし、AKIであってもよいし、RON、MONおよびAKIのうちの二以上に対応可能であってもよい。例えば、モデル生成部30は、RONを予測するための第1モデルと、MONを予測するための第2モデルとを生成してもよい。この場合、オクタン価予測部32は、第1モデルを用いてRONを予測し、第2モデルを用いてMONを予測してもよい。配合決定部34は、第1モデルを用いてRONが目標値となる目標配合比率を決定してもよいし、第2モデルを用いてMONが目標値となる目標配合比率を決定してもよい。配合決定部34は、第1モデルおよび第2モデルの双方を用いて、RONおよびMONのそれぞれが目標値となる目標配合比率を決定してもよい。
【0062】
上述の実施の形態において、配合に使用する基材油の種類に応じて、個別の相関モデルを生成してもよい。例えば、レギュラーガソリンの配合に使用する基材油の種類は、ハイオクガソリンに使用する基材油の種類とは異なる場合がある。この場合、モデル生成部30は、レギュラーガソリン用の相関モデルと、ハイオクガソリン用の相関モデルとを生成してもよい。その他、モデル生成部30は、海外向けのガソリン用の相関モデルを生成してもよい。オクタン価予測部32および配合決定部34は、使用する基材油の種類や目標オクタン価の数値に応じて、複数の相関モデルを使い分けてもよい。
【0063】
実施の形態は、上述の方法を実現するための機能をコンピュータに実現させるためのプログラムであってもよいし、プログラムを格納する記録媒体であってもよい。このようなプログラムを格納する記録媒体は、非一時的(non-transitory)かつ有形(tangible)なコンピュータ読み取り可能(computer readable)である記録媒体(storage medium)であってもよく、不揮発性メモリ、磁気テープや磁気ディスクなどの磁気記録媒体、または、光学ディスクなどの光学記録媒体であってもよい。
【0064】
以下、本開示のいくつかの態様について説明する。
【0065】
第1の態様は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、前記モデルデータを用いて、前記複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測する演算部と、を備える情報処理装置である。第1の態様によれば、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率とを考慮した相関モデルを用いることにより、オクタン価平均値を予測値とする場合に比べて、オクタン価の予測精度を向上できる。
【0066】
第2の態様は、前記特定の配合比率を示す配合データを取得する取得部をさらに備え、前記記憶部は、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データをさらに記憶し、前記演算部は、前記配合データおよび前記基材油データを用いて、前記特定の燃料油の成分比率およびオクタン価平均値を算出し、前記算出した成分比率およびオクタン価平均値を用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する、第1の態様に記載の情報処理装置である。第2の態様によれば、記憶部に記憶されている複数の基材油の配合比率を指定するだけで、指定した配合比率で製造される燃料油のオクタン価を予測できるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0067】
第3の態様は、前記特定の燃料油の前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を含む燃料油データを取得する取得部をさらに備え、前記演算部は、前記燃料油データおよび前記モデルデータを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する、第1の態様に記載の情報処理装置である。第3の態様によれば、記憶部に記憶されていない新たな基材油を使用する場合などに、取得した燃料油データを用いて燃料油のオクタン価を予測できるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0068】
第4の態様は、目標オクタン価を含む目標データを取得する取得部をさらに備え、前記記憶部は、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データをさらに記憶し、前記演算部は、前記基材油データ、前記モデルデータおよび前記目標データを用いて、前記目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための前記複数の基材油の目標配合比率を決定する、第1から第3のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第4の態様によれば、目標オクタン価を指定するだけで、目標オクタン価を充足する燃料油の配合比率が決定されるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0069】
第5の態様は、前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれに含まれる特定成分の成分比率を含み、前記演算部は、前記目標燃料油に含まれる前記特定成分の成分比率が所定の基準値以下となるように、前記目標配合比率を決定する、第4の態様に記載の情報処理装置である。第5の態様によれば、燃料油に含まれる特定成分の成分比率が基準値以下となるように配合比率が決定されるため、特定成分に関する基準を確認する手間を緩和することができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0070】
第6の態様は、前記特定成分は、鉛、硫黄分、酸素分、メチルターシャリブチルエーテル、ベンゼン、灯油、メタノール、エタノールおよび実在ガムの少なくともいずれかを備える、第5の態様に記載の情報処理装置である。第6の態様によれば、法律や標準規格に定められる基準値を充足するように配合比率が決定されるため、特定成分に関する基準を確認する手間を緩和することができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0071】
第7の態様は、前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれのコストをさらに含み、前記演算部は、前記目標燃料油のコストが所定条件を充足するように、前記目標配合比率を決定する、第4から第6のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第7の態様によれば、燃料油を製造するためのコストを考慮した配合比率が決定されるため、ユーザの利便性を向上できる。
【0072】
第8の態様は、前記基材油データは、前記複数の基材油のそれぞれの在庫量を含み、前記目標データは、目標製造量を含み、前記演算部は、前記目標燃料油を前記目標製造量で製造する場合に使用される前記複数の基材油のそれぞれの使用量が前記在庫量以下となるように、前記目標配合比率を決定する、第4から第7のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第8の態様によれば、目標製造量を実現可能な配合比率が決定されるため、一般販売用などの製造量が多い燃料油の配合比率を決定する場合のユーザの試行錯誤を軽減することができ、ユーザの利便性を向上できる。
【0073】
第9の態様は、前記複数の成分は、パラフィン分、オレフィン分、ナフテン分およびアロマ分の少なくともいずれかを備える、第1から第8のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第9の態様によれば、ガソリンなどの石油製品の成分分析において一般的であるPONA分析の結果を用いて、オクタン価の予測精度を向上できる。予測精度向上のために、PONA分析とは異なる追加の分析を実行する必要がないため、ユーザの利便性を向上できる。
【0074】
第10の態様は、前記複数の成分は、エチルターシャリブチルエーテルを備える、第1から第9のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第10の態様によれば、オクタン価向上剤として使用されるエチルターシャリブチルエーテル(ETBE)を基材油として用いる場合に、オクタン価の予測精度を向上できる。
【0075】
第11の態様は、前記複数の基材油は、ナフサ、接触分解ガソリン、水素化分解ガソリン、改質ガソリン、重合ガソリン、異性化ガソリン、ラフィネート、アルキレート、ブタン、芳香族炭化水素化合物およびエチルターシャリブチルエーテルの少なくともいずれかを備える、第1から第11のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第11の態様によれば、多種多様な基材油を配合して燃料油を製造する場合に、オクタン価の予測精度を向上できる。
【0076】
第12の態様は、前記モデルデータは、前記複数の燃料油のそれぞれの前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を入力とし、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習によって生成される、第1から第11のいずれか一つの態様に記載の情報処理装置である。第12の態様によれば、機械学習によってモデルデータを生成することにより、過去に製造した燃料油に関するデータを入力として、予測精度の高い相関モデルを構築できる。
【0077】
第13の態様は、前記機械学習は、線形回帰、サポートベクターマシン、ランダムフォレスト、勾配ブースティングおよびニューラルネットワークの少なくともいずれかを用いる、第12の態様に記載の情報処理装置である。第13の態様によれば、一般的な機械学習のアルゴリズムを用いて、予測精度の高い相関モデルを簡便に構築できる。
【0078】
第14の態様は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を特定の配合比率で配合して製造される特定の燃料油に含まれる前記複数の成分の成分比率を取得することと、
前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記特定の配合比率で加重平均して算出されるオクタン価平均値を取得することと、前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測することと、を備えるオクタン価予測方法である。第14の態様によれば、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率とを考慮した相関モデルを用いることにより、オクタン価平均値を予測値とする場合に比べて、オクタン価の予測精度を向上できる。
【0079】
第15の態様は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を特定の配合比率で配合して製造される特定の燃料油に含まれる前記複数の成分の成分比率を取得する機能と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記特定の配合比率で加重平均して算出されるオクタン価平均値を取得する機能と、前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルを用いて、前記特定の燃料油のオクタン価を予測する機能と、をコンピュータに実現させるプログラムである。第15の態様によれば、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率とを考慮した相関モデルを用いることにより、オクタン価平均値を予測値とする場合に比べて、オクタン価の予測精度を向上できる。
【0080】
第16の態様は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油を配合して製造され、前記複数の基材油の配合比率が異なる複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値を取得することと、前記複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率を取得することと、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値を取得することと、前記複数の燃料油のそれぞれの前記複数の成分の成分比率および前記オクタン価平均値を入力とし、前記複数の燃料油のそれぞれの前記オクタン価実測値を出力とする教師データを用いた機械学習により、前記複数の基材油を特定の配合比率で配合した特定の燃料油のオクタン価を予測するための相関モデルを生成することと、を備えるモデル生成方法である。第16の態様によれば、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率とを考慮した相関モデルを生成することができ、オクタン価平均値を予測値とする場合に比べてオクタン価の予測精度を向上できる。
【0081】
第17の態様は、複数の成分の少なくとも一つを含む複数の基材油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値とを含む基材油データを記憶し、前記複数の基材油を配合して製造される複数の燃料油のそれぞれに含まれる前記複数の成分の成分比率と、前記複数の基材油のそれぞれのオクタン価実測値を前記複数の基材油の配合比率で加重平均して算出される前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価平均値と、前記複数の燃料油のそれぞれのオクタン価実測値との相関を示す相関モデルに関するモデルデータを記憶する記憶部と、目標オクタン価を含む目標データを取得する取得部と、前記基材油データ、前記モデルデータおよび前記目標データを用いて、前記目標オクタン価を充足する目標燃料油を製造するための前記複数の基材油の目標配合比率を決定する演算部と、を備える情報処理装置である。第17の態様によれば、燃料油のオクタン価平均値と、燃料油に含まれる複数の成分の成分比率とを考慮した相関モデルを用いることにより、オクタン価の予測精度を向上させることができ、目標オクタン価を充足する目標配合比率を決定できる。
【0082】
上述した実施の形態または態様に係る構成の任意の組み合わせもまた本開示の実施の形態として有用である。組み合わせによって生じる新たな実施の形態は、組み合わされる実施例および変形例それぞれの効果をあわせもつ。また、請求項に記載の各構成要件が果たすべき機能は、実施例および変形例において示された各構成要素の単体もしくはそれらの連携によって実現されることも当業者には理解されるところである。
【符号の説明】
【0083】
10…情報処理装置、12…取得部、14…記憶部、16…演算部、20…基材油データ、22…燃料油データ、24…配合データ、26…モデルデータ、30…モデル生成部、32…オクタン価予測部、34…配合決定部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8