(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054503
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】プロジェクター
(51)【国際特許分類】
G03B 21/16 20060101AFI20240410BHJP
G03B 21/00 20060101ALI20240410BHJP
H05K 7/20 20060101ALI20240410BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240410BHJP
H04N 9/31 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G03B21/16
G03B21/00 E
H05K7/20 L
H05K7/20 M
H05K7/20 H
H05K7/20 B
H04N5/74 Z
H04N9/31 440
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160752
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100179475
【弁理士】
【氏名又は名称】仲井 智至
(74)【代理人】
【識別番号】100216253
【弁理士】
【氏名又は名称】松岡 宏紀
(74)【代理人】
【識別番号】100225901
【弁理士】
【氏名又は名称】今村 真之
(72)【発明者】
【氏名】門谷 典和
(72)【発明者】
【氏名】宮岡 靖晃
【テーマコード(参考)】
2K203
5C058
5C060
5E322
【Fターム(参考)】
2K203FA03
2K203FA22
2K203FA32
2K203FA44
2K203GB28
2K203HA23
2K203HA33
2K203LA02
2K203LA03
2K203LA04
2K203LA06
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2K203LA15
2K203LA22
2K203LA37
2K203MA04
2K203MA12
5C058EA26
5C058EA52
5C060DA00
5C060HC16
5C060JA28
5C060JA29
5C060JB06
5E322AA01
5E322AA03
5E322AA05
5E322BB03
5E322FA01
5E322FA04
(57)【要約】
【課題】熱源の冷却効率を高めることが可能なプロジェクターを提供する。
【解決手段】プロジェクターは、白色光を出射する光源と、光源から出射された白色光を集光する第1レンズと、第1レンズから入射する白色光を変調した画像光を出射する1つの光変調素子と、光変調素子から出射された画像光を集光する第2レンズと、第2レンズから出射された画像光を投射する投射レンズと、光源、第1レンズ、光変調素子、第2レンズ及び投射レンズを収容する外装筐体と、内面に受熱面を有し、第1レンズ、光変調素子及び第2レンズを保持して、第1レンズの光出射面と光変調素子を介して第2レンズの光入射面との間の第1空間を密閉するホルダーと、第1空間に充填され、光変調素子の熱を吸熱し、第1空間の内部を対流して、受熱面に熱を伝達する冷却媒体と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
白色光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記白色光を集光する第1レンズと、
前記第1レンズから入射する前記白色光を変調した画像光を出射する1つの光変調素子と、
前記光変調素子から出射された前記画像光を集光する第2レンズと、
前記第2レンズから出射された前記画像光を投射する投射レンズと、
前記光源、前記第1レンズ、前記光変調素子、前記第2レンズ及び前記投射レンズを収容する外装筐体と、
内面に受熱面を有し、前記第1レンズ、前記光変調素子及び前記第2レンズを保持して、前記第1レンズの光出射面と前記光変調素子を介して前記第2レンズの光入射面との間の第1空間を密閉するホルダーと、
前記第1空間に充填され、前記光変調素子の熱を吸熱し、前記第1空間の内部を対流して、前記受熱面に熱を伝達する冷却媒体と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項2】
請求項1に記載のプロジェクターにおいて、
前記光変調素子は、
液晶パネルと、
前記液晶パネルの光入射側に配置され、前記第1レンズから出射された光が入射する入射側偏光板と、
前記液晶パネルの光出射側に配置され、前記液晶パネルから出射された光を前記第2レンズに出射する出射側偏光板と、を備え、
前記入射側偏光板と前記液晶パネルとは、前記第1空間の一部が存在するように互いに離間している、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項3】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記入射側偏光板の光入射面は、前記第1空間に露出する、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項4】
請求項2に記載のプロジェクターにおいて、
前記出射側偏光板は、前記液晶パネルの光出射面に接触して固定され、
前記出射側偏光板の光出射面は、前記第1空間に露出する、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項5】
請求項2から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記液晶パネルは、
入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する透過型液晶素子と、
前記透過型液晶素子の光出射面に配置されたカラーフィルターと、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項6】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、
前記光源から出射された前記白色光が通過する第1開口部と、
前記画像光が通過する第2開口部と、を有し、
前記第1レンズは、前記第1レンズの光入射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第1開口部を閉塞し、
前記第2レンズは、前記第2レンズの光出射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞する、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項7】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記光源を支持するベース部材を備え、
前記ホルダーは、
前記ベース部材によって前記第1空間が密閉された状態にて閉塞される第1開口部と、
前記画像光を出射する第2開口部と、を有し、
前記第2レンズは、前記第2レンズの光出射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞し、
前記光源は、前記第1空間に収容されている、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項8】
請求項7に記載のプロジェクターにおいて、
前記受熱面の一部は、前記ホルダーにおいて前記光源に対向する内面に配置されている、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項9】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、
前記光源から出射された光が通過する第1開口部と、
前記画像光が通過する第2開口部と、を有し、
前記第1レンズは、前記第1空間を密閉状態にて前記第1開口部を閉塞し、
前記投射レンズは、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞する、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項10】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、前記受熱面とは反対側の外面に配置された複数のフィンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項11】
請求項10に記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体内に配置され、前記複数のフィンに冷却気体を流通させるホルダー外ファンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項12】
請求項11に記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダー内に配置され、前記光変調素子に前記冷却媒体を流通させるホルダー内ファンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項13】
請求項11に記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体は、前記光源側の外面を載置面に対向させたときの前記光源側の外面とは反対側の外面に設けられた導入口を有し、
前記受熱面の一部は、前記ホルダーの内面のうち前記載置面とは反対側の内面に設けられている、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項14】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記第1レンズ及び前記第2レンズのうち少なくとも一方のレンズは、フレネルレンズである、ことを特徴とするプロジェクター。
【請求項15】
請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のプロジェクターにおいて、
前記冷却媒体は、ヘリウムガス、水素ガス、及び、ハイドロフルオロエーテル系の液体のうちのいずれかである、ことを特徴とするプロジェクター。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、プロジェクターに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、光源と、光源から出射された光を変調する光変調装置と、光変調装置によって変調された光を投射する投射レンズと、を備えるプロジェクターが知られている(例えば特許文献1参照)。
特許文献1に記載のプロジェクターは、光源及び光変調素子を冷却する冷却装置を備える。冷却装置は、光源に設けられた光源冷却部と、光変調装置を保持する保持枠と、光変調装置が収容される密閉筐体内に配置された熱交換器と、ラジエーターと、液体冷媒を循環させるポンプと、を備える。この他、冷却装置は、密閉筐体内に配置される複数のファンを備え、密閉筐体内には、ヘリウムガス等の気体が封入されている。
光源は、光源冷却部に流通する液体冷媒によって冷却される。光変調装置は、保持枠に流通する液体冷媒によって冷却される他、複数のファンによって密閉筐体内にて循環し、かつ、ラジエーターにて冷却された気体によって冷却される。
【0003】
また、構成を簡略化した背面投射型プロジェクターが知られている(例えば特許文献2参照)。
特許文献2に記載の背面投射型プロジェクターでは、光源から出射された光は、第1の透過フレネルレンズを介して、液晶パネルに入射される。液晶パネルにて変調された光は、第2の透過フレネルレンズを介して投影レンズによって、筐体に取り付けられたスクリーンに投射される。第1の透過フレネルレンズ、液晶パネル、第2の透過フレネルレンズ及び投影レンズは、筐体内に設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2020-79950号公報
【特許文献2】特開平7-319066号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
近年、小型のプロジェクターにも、投射画像の高輝度化が要望されている。しかしながら、投射画像の輝度を高くするためには、光源の強度を高める必要がある。この場合、光源の温度が高くなりやすく、光源が劣化しやすくなる。この他、光変調素子として液晶パネルが採用されていると、液晶パネルに入射する光量が大きくなって、液晶パネルの温度が高くなり、液晶の動作に影響を及ぼす可能性がある。
これに対し、光源から液晶パネルに入射する光量を大きくして、投射画像の高輝度化を図りつつ、特許文献1に記載の冷却装置を採用して光源及び液晶パネルを液体冷媒によって冷却し、温度による光源の劣化を抑制するとともに、液晶パネルを安定して動作させることが考えられる。しかしながら、このような冷却装置を採用すると、特許文献2に記載のプロジェクターのように光学系の構成を簡略化しても、プロジェクターが大型になりやすいという問題がある。
このため、小型のプロジェクターであっても、熱源の冷却効率を高めることが可能な構成が要望されてきた。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係るプロジェクターは、白色光を出射する光源と、前記光源から出射された前記白色光を集光する第1レンズと、前記第1レンズから入射する前記白色光を変調した画像光を出射する1つの光変調素子と、前記光変調素子から出射された前記画像光を集光する第2レンズと、前記第2レンズから出射された前記画像光を投射する投射レンズと、前記光源、前記第1レンズ、前記光変調素子、前記第2レンズ及び前記投射レンズを収容する外装筐体と、内面に受熱面を有し、前記第1レンズ、前記光変調素子及び前記第2レンズを保持して、前記第1レンズの光出射面と前記光変調素子を介して前記第2レンズの光入射面との間の第1空間を密閉するホルダーと、前記第1空間に充填され、前記光変調素子の熱を吸熱し、前記第1空間の内部を対流して、前記受熱面に熱を伝達する冷却媒体と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】第1実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図2】第1実施形態におけるホルダーを示す斜視図。
【
図3】第1実施形態におけるホルダーを示す斜視図。
【
図4】第1実施形態におけるホルダーを示す断面図。
【
図5】第1実施形態におけるホルダーを示す断面図。
【
図6】第2実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図7】第3実施形態におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
【
図8】第3実施形態の変形におけるプロジェクターの構成を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[第1実施形態]
以下、本開示の第1実施形態について、図面に基づいて説明する。
[プロジェクターの概略構成]
図1は、本実施形態に係るプロジェクター1Aの構成を示す模式図である。
本実施形態に係るプロジェクター1Aは、画像情報に応じた画像光を投射する。プロジェクター1Aは、
図1に示すように、外装筐体2A、画像投射ユニット3、ホルダー4A、電源5、熱伝達部材6及び冷却ファン7を備える。この他、図示を省略するが、プロジェクター1Aは、プロジェクター1Aの動作を制御する制御ユニットを備える。
【0009】
[外装筐体の構成]
外装筐体2Aは、プロジェクター1Aの外装を構成する略直方体形状の筐体である。外装筐体2Aは、画像投射ユニット3の投射レンズ38と連結され、画像投射ユニット3、ホルダー4A、電源5、熱伝達部材6及び冷却ファン7を収容する。
外装筐体2Aは、正面2A1、背面2A2、左側面2A3及び右側面2A4を有する他、図示しない天面及び底面を有する。
正面2A1には、画像投射ユニット3を構成する投射レンズ38の一部が露出する。
背面2A2は、外装筐体2Aにおいて正面2A1とは反対側の面である。
左側面2A3は、正面2A1及び背面2A2のそれぞれに交差する面である。
右側面2A4は、外装筐体2Aにおいて左側面2A3とは反対側の面である。
【0010】
外装筐体2Aは、導入口2A5及び排出口2A6を更に有する。
導入口2A5は、左側面2A3に設けられている。導入口2A5は、外装筐体2Aの外部の気体を冷却気体として外装筐体2Aの内部に導入する。
排出口2A6は、右側面2A4に設けられている。すなわち、排出口2A6は、外装筐体2Aにおいて導入口2A5が設けられた側面とは反対側の側面に設けられている。排出口2A6は、外装筐体2Aの内部の冷却気体を外装筐体2Aの外部に排出する。
導入口2A5から外装筐体2Aの内部に導入され、排出口2A6から外装筐体2Aの外部に排出される冷却気体の流通は、後述する冷却ファン7の駆動によって行われる。
【0011】
[画像投射ユニットの構成]
画像投射ユニット3は、外装筐体2A内に収容され、画像信号に応じた画像光を投射する。画像投射ユニット3は、光源31、ベース部材32、リフレクター33、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36、光路変更部材37及び投射レンズ38を備える。
【0012】
[光源及びベース部材の構成]
光源31は、白色光を出射する。詳述すると、光源31は、p偏光光及びs偏光光を含む白色光を出射する。光源31は、少なくとも1つの発光素子を備えて構成され、発光素子は、例えばLED(Light Emitting Diode)等の固体光源によって構成される。光源31は、プロジェクター1Aの熱源HSの1つであり、ベース部材32に配置されている。光源31は、投射レンズ38よりも右側面2A4に近い位置に配置され、右側面2A4から左側面2A3に向かう方向に白色光を出射する。なお、リフレクター33、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36及び光路変更部材37は、光源31から出射された白色光の光路上に配置されている。
ベース部材32は、例えば金属によって構成され、光源31を支持する。ベース部材32には、後述する熱伝達部材6が接続され、光源31からベース部材32に伝達された熱は、熱伝達部材6に伝達される。
【0013】
[リフレクターの構成]
リフレクター33は、光源31から出射された光の進行方向を揃える。リフレクター33と光源31とは、光漏れが発生しないように連結される。リフレクター33と第1レンズ34とにおいても同様である。
リフレクター33は、四角錐台形状のリフレクター、回転楕円面を有する楕円面リフレクター、及び、回転放物面を有する放物面リフレクターのうちの1つであってもよい。また、リフレクター33は、内部に空間が形成された中空のリフレクターであってもよく、内部に透光性材料が充填された中実のリフレクターであってもよい。
【0014】
[第1レンズの構成]
第1レンズ34は、光源31から出射されてリフレクター33を介して入射する光を集光する。第1レンズ34は、フレネルレンズによって構成されており、入射する光を短距離で効果的に拡径する。すなわち、第1レンズ34は、第1フレネルレンズである。
詳しくは後述するが、第1レンズ34は、ホルダー4Aの第1開口部4A1を閉塞する位置に固定されている。
第1レンズ34の光出射面342は、ホルダー4Aに固定され、ホルダー4Aの内部に露出している。光出射面342には、ホルダー4A内に充填された冷却媒体が接触可能である。
【0015】
[光変調素子の構成]
光変調素子35は、第1レンズ34から入射する白色光を、図示しない制御ユニットから入力する画像信号に応じて変調して、カラー画像光を出射する。すなわち、光変調素子35は、光源31から出射された白色光を画像信号に基づいて変調して、フルカラーの画像光を出射する。本実施形態では、プロジェクター1Aは、1つの光変調素子35を備える。換言すると、画像投射ユニット3は、1つの光変調素子35を備える。
光変調素子35は、1つの入射側偏光板351と、1つの液晶パネル352と、1つの出射側偏光板355と、を備える。
【0016】
[入射側偏光板の構成]
入射側偏光板351は、第1レンズ34から第1レンズ34の光出射側に離間し、かつ、液晶パネル352から液晶パネル352の光入射側に離間して配置されている。すなわち、入射側偏光板351と液晶パネル352とは、後述するホルダー4A内の第1空間SP1の一部が存在するように、互いに離間している。
入射側偏光板351は、第1レンズ34と対向する光入射面3511と、光入射面3511とは反対側の光出射面3512とを有する。光入射面3511及び光出射面3512のそれぞれは、後述するホルダー4Aの内部に露出する。すなわち、光入射面3511及び光出射面3512のそれぞれには、ホルダー4A内の後述する冷却媒体が接触可能である。
【0017】
入射側偏光板351は、第1レンズ34から入射する光のうち、第1直線偏光光を透過し、第2直線偏光光を吸収する。第1直線偏光光及び第2直線偏光光のうち、一方の直線偏光光はp偏光光であり、他方の直線偏光光はs偏光光である。
本実施形態では、プロジェクター1Aの構成の簡略化のため、光源31は、p偏光光及びs偏光光を含む光を出射する。このため、第2直線偏光光を吸収する入射側偏光板351は、光源31から出射された白色光が入射することによって発熱する。このように、入射側偏光板351は、プロジェクター1Aの熱源HSの1つである。
詳しくは後述するが、入射側偏光板351は、後述するホルダー4Aの内部に設けられた保持部4A9によって保持される。
【0018】
[液晶パネルの構成]
液晶パネル352は、入射側偏光板351から入射する光を画像信号に応じて変調する。液晶パネル352は、光入射面3521及び光出射面3522を有する。
光入射面3521は、入射側偏光板351と対向する。光入射面3521には、入射側偏光板351から白色光が入射する。
光出射面3522は、液晶パネル352において光入射面3521とは反対側の面である。光出射面3522は、液晶パネル352によって変調された光を出射する。
このような液晶パネル352は、1つの透過型液晶素子353と、1つのカラーフィルター354と、を有し、光入射側に配置された透過型液晶素子353と、光出射側に配置されたカラーフィルター354とが組み合わされて構成されている。
【0019】
[透過型液晶素子の構成]
透過型液晶素子353は、入射側偏光板351から入射する光を変調し、入射側偏光板351から入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する。すなわち、液晶パネル352は、透過型液晶パネルである。透過型液晶素子353は、光入射面3531及び光出射面3532を有する。
光入射面3531は、入射側偏光板351と対向し、入射側偏光板351から光が入射する面である。光入射面3531は、液晶パネル352の光入射面3521を構成する。
光出射面3532は、光入射面3531とは反対側の面であり、透過型液晶素子353を透過した光を出射する。
透過型液晶素子353は、光の入射及び電力の供給によって発熱する。また、透過型液晶素子353が有する液晶は、熱によって劣化する。このため、透過型液晶素子353は、プロジェクター1Aにおいて冷却の必要がある熱源HSの1つである。すなわち、液晶パネル352は、プロジェクター1Aにおける熱源HSである。
【0020】
[カラーフィルターの構成]
カラーフィルター354は、光出射面3532に配置されている。詳しい図示を省略するが、カラーフィルター354は、透過型液晶素子353によって構成される1つの画素に応じて配置されるフィルター要素を複数有する。フィルター要素は、赤用フィルター、緑用フィルター及び青用フィルターによって構成され、赤用フィルター、緑用フィルター及び青用フィルターは、対応する画素のサブ画素に応じて設けられる。なお、赤用フィルターは、赤色光を透過させるフィルターであり、緑用フィルターは、緑色光を透過させるフィルターであり、青用フィルターは、青色光を透過させるフィルターである。
しかしながら、このようなフィルターに限らず、カラーフィルター354は、各画素に応じて設けられる単色のフィルターであってもよい。
【0021】
[出射側偏光板の構成]
出射側偏光板355は、液晶パネル352の光出射面3522と接して液晶パネル352に固定されている。すなわち、出射側偏光板355の光入射面3551は、カラーフィルター354の光出射面と接している。なお、出射側偏光板355は、第2レンズ36から第2レンズ36の光入射側に離間して配置されている。
出射側偏光板355の光出射面3552は、ホルダー4Aの内部に露出しており、光出射面3552には、ホルダー4A内の冷却媒体が接触可能である。
【0022】
出射側偏光板355の偏光透過軸と入射側偏光板351の偏光透過軸とが互いに直交している場合、出射側偏光板355は、液晶パネル352によって変調された光を透過させ、液晶パネル352によって変調されなかった光を吸収する。出射側偏光板355の偏光透過軸と入射側偏光板351の偏光透過軸とが互いに平行である場合、出射側偏光板355は、液晶パネル352によって変調された光を吸収し、液晶パネル352によって変調されなかった光を透過させる。このため、出射側偏光板355も、プロジェクター1Aの熱源HSの1つである。
このような出射側偏光板355が固定された液晶パネル352は、後述するホルダー4Aの内部に設けられた保持部4A9によって保持される。そして、液晶パネル352の光入射面3521と、出射側偏光板355の光出射面3552とのそれぞれには、ホルダー4A内の冷却媒体が接触可能である。
【0023】
[第2レンズの構成]
第2レンズ36は、出射側偏光板355から出射側偏光板355の光出射側に離間して配置されている。第2レンズ36は、出射側偏光板355から出射された画像光を集光して、光路変更部材37に入射させる。第2レンズ36は、フレネルレンズによって構成されている。すなわち、第2レンズ36は、第2フレネルレンズである。
詳しくは後述するが、第2レンズ36は、ホルダー4Aの第2開口部4A2を閉塞する位置に固定されている。すなわち、第2レンズ36は、ホルダー4Aに固定されている。
第2レンズ36の光入射面361は、ホルダー4Aの内部に露出し、第2レンズ36の光出射面362は、ホルダー4Aの外部に露出している。光入射面361には、ホルダー4A内の冷却媒体が接触可能である。一方、第2レンズ36の光出射面362は、ホルダー4Aの外部、すなわち、外装筐体2Aの内部に露出している。
【0024】
[光路変更部材の構成]
光路変更部材37は、画像光の光路において第2レンズ36と投射レンズ38との間に配置されている。すなわち、光路変更部材37は、画像光の光路において光変調素子35と投射レンズ38との間に配置された、反射ミラーによって構成されている。
光路変更部材37は、第2レンズ36から画像光が入射する光入射面371と、光入射面371とは反対側の面372と、を有する。なお、光入射面371は、本実施形態では反射面である。
光路変更部材37は、第2レンズ36から出射されて光入射面371に入射する画像光の進行方向を90°変更して、画像光を投射レンズ38に導く。
【0025】
[投射レンズの構成]
投射レンズ38は、光路変更部材37から入射する画像光を投射する。図示を省略するが、投射レンズ38は、複数のレンズと、複数のレンズが収容される鏡筒とを備えた組レンズとして構成できる。投射レンズ38における光出射側の部分は、外装筐体2Aと連結されており、投射レンズ38における光出射側の部分は、外装筐体2Aの外部に露出し、それ以外の部分は、外装筐体2Aに収容される。
【0026】
[ホルダーの構成]
ホルダー4Aは、第1レンズ34、光変調素子35及び第2レンズ36を保持する。ホルダー4Aは、第1レンズ34の光出射面342と光変調素子35を介して第2レンズ36の光入射面361との間の第1空間SP1を密閉する。詳述すると、ホルダー4Aは、第1レンズ34の出射側端部と、第2レンズ36の入射側端部とを保持するとともに、入射側偏光板351と、出射側偏光板355が固定された液晶パネル352とをホルダー4Aの内部にて保持する。すなわち、ホルダー4Aは、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355を収容する。
【0027】
図2及び
図3は、ホルダー4Aを示す斜視図である。詳述すると、
図2は、光入射側から見たホルダー4Aを示す斜視図であり、
図3は、光出射側から見たホルダー4Aを示す斜視図である。
図4及び
図5は、ホルダー4Aを示す断面図である。
ホルダー4Aは、
図2に示すように、光入射側から見て矩形枠状に形成されている。ホルダー4Aは、
図2~
図5に示すように、第1開口部4A1、第2開口部4A2、第3開口部4A3、第1バルブ4A4、第2バルブ4A5、受熱面4A6、放熱面4A7及び放熱フィン4A8を有する。ホルダー4A内の第1空間SP1には、冷却媒体が充填されている。すなわち、プロジェクター1Aは、第1空間SP1に充填された冷却媒体を備える。冷却媒体としては、例えばヘリウムガス及び水素ガス等の気体冷媒、並びに、ハイドロフルオロエーテル系の液体冷媒のうちのいずれかを採用できる。
【0028】
以下の説明では、互いに直交する三方向を+X方向、+Y方向及び+Z方向とする。これらのうち、+Z方向を、光源31から出射された白色光の進行方向とする。+Z方向に沿ってホルダー4Aを見て、+Y方向を上方向としたときの左方向を+X方向とする。
図示を省略するが、+X方向とは反対方向を-X方向とし、+Y方向とは反対方向を-Y方向とし、+Z方向とは反対方向を-Z方向とする。また、+X方向に沿う軸をX軸とし、+Y方向に沿う軸をY軸とし、+Z方向に沿う軸をZ軸とする。
例えば、ホルダー4Aにおける+Z方向の部分は、ホルダー4Aにおける光出射側の部分であり、ホルダー4Aにおける-Z方向の部分は、ホルダー4Aにおける光入射側の部分である。
【0029】
第1開口部4A1及び第2開口部4A2のそれぞれは、
図4に示すように、ホルダー4Aの外部と内部の第1空間SP1とを連通させる。
第1開口部4A1は、
図2及び
図4に示すように、ホルダー4Aにおける光入射側の部分に設けられ、-Z方向に開口している。第1開口部4A1は、第1レンズ34によって閉塞される。詳述すると、
図4に示すように、第1レンズ34の光出射面342とホルダー4Aにおける光入射側の端部とが接触するように第1レンズ34がホルダー4Aに固定されたときに、第1開口部4A1は、第1レンズ34によって閉塞される。すなわち、第1レンズ34は、第1レンズ34の光入射面341を外装筐体2Aの内部の空間に露出させて、第1空間SP1を密閉状態にて第1開口部4A1を閉塞する。
第1開口部4A1は、光源31から出射された白色光が通過する開口部である。詳述すると、第1開口部4A1は、ホルダー4Aの外部に露出した第1レンズ34から出射された白色光を、ホルダー4A内に保持された光変調素子35に入射させる開口部である。
【0030】
第2開口部4A2は、
図3及び
図4に示すように、ホルダー4Aにおける光出射側の部分に設けられ、+Z方向に開口している。
第2開口部4A2は、第2レンズ36によって閉塞される。詳述すると、
図4に示すように、第2レンズ36の光入射面361とホルダー4Aにおける光出射側の端部とが接触するように第2レンズ36がホルダー4Aに固定されたときに、第2開口部4A2は、第2レンズ36によって閉塞される。すなわち、第2レンズ36は、第2レンズ36の光出射面362を外装筐体2Aの内部の空間に露出させて、第1空間SP1を密閉状態にて第2開口部4A2を閉塞する。
第2開口部4A2は、光変調素子35によって形成された画像光が通過する開口部である。詳述すると、第2開口部4A2は、ホルダー4A内に保持された光変調素子35から出射された画像光を、光出射面362がホルダー4Aの外部に露出した第2レンズ36に入射させる開口部である。
【0031】
第3開口部4A3は、
図2及び
図3に示すように、ホルダー4Aの外周面の一部に設けられている。詳述すると、第3開口部4A3は、ホルダー4Aの外周面において+Y方向を向く部分に設けられている。ホルダー4Aの外周面は、ホルダー4Aの光軸を中心とする周方向に沿う面である。
第3開口部4A3は、
図1に示した透過型液晶素子353と接続されたフレキシブルプリント基板FPCがY軸に沿って挿通する開口部である。図示を省略するが、第3開口部4A3の内縁とフレキシブルプリント基板FPCとの間には、パッキン等の密封材PKが配置されている。これにより、第1空間SP1の冷却媒体が第3開口部4A3を介してホルダー4Aの外部に漏出することが抑制されている。
【0032】
第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5は、第1空間SP1内に対する冷却媒体の注入及び排出に用いられる。第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5は、ホルダー4Aの内部と外部とを連通させる。
第1バルブ4A4は、
図2に示すように、-X方向を向くホルダー4Aの外面に設けられている。詳述すると、第1バルブ4A4は、-X方向を向くホルダー4Aの外面における+Y方向の部分に設けられている。
第2バルブ4A5は、
図3に示すように、+X方向を向くホルダー4Aの外面に設けられている。詳述すると、第2バルブ4A5は、+X方向を向くホルダー4Aの外面における-Y方向の部分に設けられている。
【0033】
第1空間SP1内に対する冷却媒体の注入は、例えば第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5を用いて以下の手順によって実施できる。なお、以下の手順では、ホルダー4Aは、第1バルブ4A4が上側に位置し、第2バルブ4A5が下側に位置するように配置される。
冷却媒体として、空気よりも比重が軽いヘリウムガスが用いられる場合、第2バルブ4A5を開放し、第1バルブ4A4からヘリウムガスをホルダー4Aの内部に注入する。これにより、ホルダー4A内の空気は、第2バルブ4A5から排出され、ヘリウムガスがホルダー4A内に充填される。冷却媒体として、空気よりも比重が軽い水素ガスが用いられる場合も同様である。
冷却媒体として、空気よりも比重が重いハイドロフルオロエーテル系の液体冷媒を用いられる場合、第1バルブ4A4を開放し、第2バルブ4A5から液体冷却をホルダー4Aの内部に注入する。これにより、ホルダー4A内の空気は、第1バルブ4A4から排出され、液体冷媒がホルダー4A内に充填される。
【0034】
このように、冷却媒体をホルダー4A内に注入するときには、第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5のうち、一方のバルブを排出バルブとして用い、他方のバルブを注入バルブとして用いる。このため、一方のバルブを他方のバルブに対して上側に配置することが好ましい。一方のバルブが他方のバルブに対して上側に配置されれば、例えば第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5のそれぞれは、光入射側からホルダー4Aを見て互いに対角に配置されていてもよく、+X方向又は-X方向の外面に配置されていてもよい。
なお、ホルダー4Aは、第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5のうち一方のバルブのみを備えていてもよい。この場合、例えば、一方のバルブからホルダー4A内の気体又は液体を吸引し、ホルダー4Aの内部を略真空状態とした後に、ホルダー4A内に冷却媒体を注入してもよい。これによっても、ホルダー4A内に冷却媒体を充填できる。
【0035】
受熱面4A6は、
図4及び
図5に示すように、ホルダー4Aの内部に設けられている。受熱面4A6は、ホルダー4Aの内面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Aの内部に露出している。本実施形態では、受熱面4A6は、ホルダー4Aの内面の略全てである。受熱面4A6は、第1空間SP1の冷却媒体から受熱する。
放熱面4A7は、ホルダー4Aの外部に設けられて、受熱面4A6にて受熱した熱を放熱する。放熱面4A7は、ホルダー4Aの外面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Aの外部に露出している。本実施形態では、放熱面4A7は、ホルダー4Aの外面の略全てである。なお、放熱面4A7がホルダー4Aの外面の略全てではない場合、放熱面4A7は、例えばホルダー4Aの内面を構成する受熱面4A6とは反対側の外面に設けられる。すなわち、受熱面4A6と放熱面4A7とは、表裏の関係にある。
【0036】
放熱フィン4A8は、受熱面4A6とは反対側の外面である放熱面4A7に設けられ、放熱面4A7に伝達された熱を放熱する。詳述すると、放熱フィン4A8は、放熱面4A7のうち、-X方向を向く放熱面4A7と、+X方向を向く放熱面4A7とのそれぞれに設けられている。
放熱フィン4A8は、少なくとも1つのフィン4A81によって構成されており、本実施形態では、放熱面4A7から突出する複数のフィン4A81がY軸に沿って配列されている。すなわち、ホルダー4Aは、受熱面4A6とは反対側の放熱面4A7に配置された複数のフィン4A81を備える。
なお、放熱フィン4A8には、放熱塗料がコーティングされていてもよい。
【0037】
ホルダー4Aは、
図4及び
図5に示すように、ホルダー4Aの内部に設けられた一対の保持部4A9を更に有する。
一対の保持部4A9のうち、一方の保持部4A91は、ホルダー4Aの内部における-X方向の端部に設けられている。保持部4A91は、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおける-X方向の端部を保持する。
一対の保持部4A9のうち、他方の保持部4A92は、ホルダー4Aの内部における+X方向の端部に設けられている。保持部4A92は、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおける+X方向の端部を保持する。
【0038】
このように、一対の保持部4A9は、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおける±X方向の端部を保持する。換言すると、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれに対する±Y方向には、
図5に示すように、ホルダー4A内の冷却媒体が±Z方向に流通可能な隙間GPが設けられている。このため、ホルダー4A内に充填された冷却媒体は、第1レンズ34と入射側偏光板351との間、入射側偏光板351と液晶パネル352との間、及び、出射側偏光板355と第2レンズ36との間を流通可能である。
なお、一対の保持部4A9は、熱源HSである入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355と接触することから、これら熱源HSの熱が一対の保持部4A9にも伝達する。
【0039】
[冷却媒体の対流]
第1空間SP1には、第1レンズ34の光出射面342及び第2レンズ36の光入射面361が露出し、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355が内部に収容される。上記のように、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれは、熱源HSである。
第1空間SP1に充填された冷却媒体は、例えば
図5に示すように、入射側偏光板351の光入射面3511から吸熱する。同様に、冷却媒体は、入射側偏光板351の光出射面3512、液晶パネル352の光入射面3521、出射側偏光板355の光入射面3551から吸熱する。+Y方向が上方向であり、X軸が水平軸である場合、温度が上昇した冷却媒体は、
図5における白抜きの矢印A1に示すように+Y方向に移動し、+Y方向に配置された受熱面4A6に接触して、受熱面4A6に熱を伝達する。
【0040】
+Y方向の受熱面4A6に接触した冷却媒体のうち、一部の冷却媒体は、受熱面4A6に沿って-X方向に流通し、白抜きの矢印A2に示すように、-X方向の受熱面4A6に到達する。このとき、冷却媒体の温度は、-X方向の受熱面4A6に冷却媒体が熱を伝達することによって更に低下して、冷却媒体は、-X方向の受熱面4A6に沿って延直方向である-Y方向に移動する。この後、冷却媒体は、-Y方向の受熱面4A6に沿って+X方向に移動する。これにより、冷却媒体の温度は更に低下する。
+Y方向の受熱面4A6に接触した冷却媒体のうち、他の冷却媒体は、受熱面4A6に沿って+X方向に流通し、白抜きの矢印A3に示すように、+X方向の受熱面4A6に到達する。このとき、冷却媒体の温度は、+X方向の受熱面4A6に冷却媒体が熱を伝達することによって更に低下して、冷却媒体は、+X方向の受熱面4A6に沿って延直方向である-Y方向に移動する。この後、冷却媒体は、-Y方向の受熱面4A6に沿って+X方向に移動する。これにより、冷却媒体の温度は更に低下する。
-Y方向の受熱面4A6の中央に移動した冷却媒体は、再び熱源HSから受熱しつつ+Y方向に移動する。
【0041】
このように、第1空間SP1の冷却媒体は、熱源HSからの吸熱、及び、受熱面4A6への放熱を繰り返し、第1空間SP1内の冷却媒体の温度差によって自然に対流して、第1空間SP1内を攪拌する。
一方、受熱面4A6にて受熱された冷却媒体の熱は、放熱面4A7に伝達され、放熱面4A7及び放熱フィン4A8によって、ホルダー4Aの外部に放熱される。
なお、ホルダー4Aには、後述する冷却ファン7の駆動によって、外装筐体2Aの外部から導入された冷却気体が流通する。これにより、放熱面4A7及び放熱フィン4A8による冷却媒体の熱の放熱、ひいては、熱源HSの熱の放熱が促進される。
【0042】
[電源の構成]
電源5は、
図1に示すように、外装筐体2Aの内部において配置されている。詳述すると、電源5は、光変調素子35を収容するホルダー4Aに対して、光路変更部材37による光の反射方向に配置されている。
電源5は、プロジェクター1Aの外部から供給される電力を変圧し、変圧した電力をプロジェクター1Aの各構成に供給する。例えば、電源5は、光源31、液晶パネル352、及び、図示しない制御ユニットに電力を供給する。
このような電源5は、プロジェクター1Aの熱源HSの1つである。
【0043】
[熱伝達部材の構成]
熱伝達部材6は、外装筐体2A内を流通する冷却気体に、光源31の熱を伝達する。熱伝達部材6は、熱輸送部材61及び放熱部材62を備える。
熱輸送部材61は、ベース部材32に伝達された光源31の熱を放熱部材62に輸送する。熱輸送部材61の一端は、ベース部材32に接続され、熱輸送部材61の他端は、放熱部材62に接続されている。熱輸送部材61は、例えばヒートパイプによって構成できる。
放熱部材62は、熱輸送部材61によって輸送された光源31の熱を放熱する。具体的に、放熱部材62は、輸送された光源31の熱を、外装筐体2A内を流通する冷却気体に伝達する。放熱部材62は、例えばヒートシンクによって構成できる。
本実施形態では、放熱部材62は、外装筐体2Aの内部における排出口2A6の近傍で、かつ、冷却ファン7によって冷却気体が流通する位置に配置されている。詳述すると、放熱部材62は、排出口2A6と第2冷却ファン72との間に配置されている。
【0044】
[冷却ファンの構成]
冷却ファン7は、導入口2A5を介して冷却気体を外装筐体2Aの内部に導入し、導入した冷却気体を外装筐体2A内にて流通させ、排出口2A6から外装筐体2Aの外部に排出する。冷却ファン7は、第1冷却ファン71及び第2冷却ファン72を含む。
第1冷却ファン71は、ホルダー外ファンの1つである。第1冷却ファン71は、第2冷却ファン72よりも導入口2A5側に配置されている。第1冷却ファン71は、導入口2A5を介して外装筐体2Aの外部の気体を冷却気体として外装筐体2Aの内部に導入し、ホルダー4Aに送出する。すなわち、第1冷却ファン71は、放熱フィン4A8を構成する複数のフィン4A81に冷却気体を流通させる。これにより、冷却気体が放熱フィン4A8に流通する。なお、第1冷却ファン71によって送出された冷却気体の一部は、光源31及びベース部材32のうち少なくとも一方にも流通する。
第2冷却ファン72は、ホルダー外ファンの1つである。第2冷却ファン72は、第1冷却ファン71よりも排出口2A6側に配置されている。第2冷却ファン72は、外装筐体2A内の冷却気体を吸引し、電源5及び放熱部材62に流通させた後、排出口2A6から外装筐体2Aの外部に排出する。
【0045】
[冷却気体による冷却]
図1に示すように、第1冷却ファン71が駆動すると、導入口2A5から外装筐体2Aの内部に導入された冷却気体が、光源31又はベース部材32と、ホルダー4Aとに流通する。
光源31又はベース部材32は、光源31の熱を冷却気体に放熱する。
ホルダー4Aは、受熱面4A6にて受熱した熱を、放熱面4A7及び放熱フィン4A8にて冷却気体に放熱する。
これにより、光源31が冷却される他、放熱面4A7及び放熱フィン4A8が冷却されて、冷却媒体を介してホルダー4A内の熱源HSが冷却される。
【0046】
第2冷却ファン72が駆動すると、第2冷却ファン72が外装筐体2A内の冷却気体を吸引する過程にて、第2冷却ファン72の吸気側に配置された電源5に冷却気体が流通する。これにより、電源5が冷却される。なお、電源5に流通する冷却気体のうち、一部の冷却気体は、ホルダー4Aを流通した冷却気体である。
第2冷却ファン72は、吸引した冷却気体を放熱部材62に向けて送出する。これにより、放熱部材62は、流通する冷却気体に、ベース部材32及び熱輸送部材61を介して伝達される光源31の熱を伝達する。放熱部材62を流通して光源31の熱が伝達された冷却気体は、排出口2A6から外装筐体2Aの外部に排出される。
【0047】
[第1実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Aは、以下の効果を奏する。
プロジェクター1Aは、光源31、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36、投射レンズ38、外装筐体2A、ホルダー4A及び冷却媒体を備える。
光源31は、白色光を出射する。第1レンズ34は、光源31から出射された白色光を集光する。光変調素子35は、プロジェクター1Aに1つ設けられている。光変調素子35は、第1レンズ34から入射する白色光を変調した画像光を出射する。第2レンズ36は、光変調素子35から出射された画像光を集光する。投射レンズ38は、第2レンズ36から出射された画像光を投射する。外装筐体2Aは、光源31、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36及び投射レンズ38を収容する。なお、外装筐体2Aに投射レンズ38を収容するとは、投射レンズ38全てを収容するものに限定されるものでない。
【0048】
ホルダー4Aは、内面に受熱面4A6を有する。ホルダー4Aは、第1レンズ34、光変調素子35及び第2レンズ36を保持する。ホルダー4Aは、第1レンズ34の光出射面342と光変調素子35を介して第2レンズ36の光入射面361との間の第1空間SP1を密閉する。
冷却媒体は、第1空間SP1に充填されている。冷却媒体は、光変調素子35の熱を吸熱し、第1空間SP1の内部を対流して、受熱面4A6に熱を伝達する。
【0049】
このような構成によれば、熱源HSである光変調素子35は、第1空間SP1を密閉するホルダー4Aに保持される。第1空間SP1内に充填された冷却媒体は、光変調素子35から吸熱し、第1空間SP1内を対流して第1空間SP1内を攪拌する。冷却媒体は、吸熱した熱をホルダー4Aの受熱面4A6に放熱する。これにより、光変調素子35を冷却できる。
このため、液体冷媒を循環させて光変調素子35を冷却する構成に比べて、部品点数を抑制しつつ、比較的簡易な構成によって光変調素子35を冷却できる。従って、光源31の輝度を高めても、光変調素子35を冷却できるので、プロジェクター1Aを小型化しつつ、プロジェクター1Aによる投射画像の輝度を高めることができる。
【0050】
プロジェクター1Aでは、光変調素子35は、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355を備える。
入射側偏光板351は、液晶パネル352の光入射側に配置されている。入射側偏光板351には、第1レンズ34から出射された光が入射する。
出射側偏光板355は、液晶パネル352の光出射側に配置されている。出射側偏光板355は、液晶パネル352から出射された光を第2レンズ36に出射する。
入射側偏光板351と液晶パネル352とは、第1空間SP1の一部が存在するように互いに離間している。
ここで、光源31から出射される白色光が1種類の直線偏光でない場合、液晶パネル352の光入射側に配置された入射側偏光板351も、入射する光によって発熱する熱源HSになる。
これに対し、入射側偏光板351と液晶パネル352との間を冷却媒体が対流するので、入射側偏光板351と液晶パネル352との2つの熱源HSを効率よく冷却できる。
【0051】
プロジェクター1Aでは、入射側偏光板351の光入射面3511は、第1空間SP1に露出している。
このような構成によれば、入射側偏光板351の光入射面3511及び光出射面3512のそれぞれは、第1空間SP1に露出する。これにより、第1空間SP1を対流する冷却媒体によって入射側偏光板351を効率よく冷却できる。
【0052】
プロジェクター1Aでは、出射側偏光板355は、液晶パネル352の光出射面3522に接触して固定されている。出射側偏光板355の光出射面3552は、第1空間SP1に露出している。
出射側偏光板355の発熱量は、入射側偏光板351の発熱量及び液晶パネル352の発熱量と比べて小さい。このため、光出射面3552と冷却媒体との間の熱交換でも、出射側偏光板355を冷却できる。
また、出射側偏光板355は、ホルダー4Aによって保持される液晶パネル352の光出射面3522に固定される。これにより、ホルダー4Aが、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれを個別に保持する場合に比べて、ホルダー4Aの大型化を抑制できる。
【0053】
プロジェクター1Aでは、液晶パネル352は、透過型液晶素子353及びカラーフィルター354を備える。
透過型液晶素子353は、入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する。
カラーフィルター354は、透過型液晶素子353の光出射面3532に配置されている。
このような構成によれば、1つの液晶パネル352によって、画像信号に応じたカラー画像を形成できる。
【0054】
プロジェクター1Aでは、ホルダー4Aは、第1開口部4A1及び第2開口部4A2を有する。
第1開口部4A1は、光源31から出射された白色光が通過する開口部である。
第2開口部4A2は、光変調素子35によって形成された画像光が通過する開口部である。
第1レンズ34は、第1レンズ34の光入射面341を外装筐体2Aの内部の空間に露出させて、第1空間SP1を密閉状態にて第1開口部4A1を閉塞する。
第2レンズ36は、第2レンズ36の光出射面362を外装筐体2Aの内部の空間に露出させて、第1空間SP1を密閉状態にて第2開口部4A2を閉塞する。
このような構成によれば、第1レンズ34は、第1レンズ34の光入射面341が外装筐体2Aの内部の空間に露出した状態にて第1開口部4A1を閉塞し、第2レンズ36は、第2レンズ36の光出射面362が外装筐体2Aの内部の空間に露出した状態にて第2開口部4A2を閉塞する。これにより、各開口部4A1,4A2を閉塞する部材を別途設けることなく、各開口部4A1,4A2を閉塞して第1空間SP1を密閉できる。従って、ホルダー4Aの大型化、ひいては、プロジェクター1Aの大型化を抑制できる。
【0055】
プロジェクター1Aでは、ホルダー4Aは、受熱面4A6とは反対側の放熱面4A7に配置された複数のフィン4A81を備える。放熱面4A7は、ホルダー4Aの外面を構成する。
このような構成によれば、複数のフィン4A81によって、受熱面4A6にて受熱した熱の放熱性を高めることができる。これにより、熱源HSと受熱面4A6との温度差を維持できるので、冷却媒体の対流による第1空間SP1内の攪拌を促進できる。
【0056】
プロジェクター1Aは、外装筐体2A内に配置され、複数のフィンに冷却気体を流通させる第1冷却ファン71を備える。第1冷却ファン71は、ホルダー外ファンの1つである。
このような構成によれば、ホルダー4Aが備えた複数のフィン4A81による熱源HSの熱の放熱性を高めることができる。
【0057】
プロジェクター1Aでは、第1レンズ34及び第2レンズ36のうち少なくとも一方のレンズは、フレネルレンズである。本実施形態では、第1レンズ34及び第2レンズ36のそれぞれは、フレネルレンズである。
このような構成によれば、光源31から投射レンズ38までの光路長を短くできる。従って、ホルダー4Aの小型化、ひいては、プロジェクター1Aの小型化を図ることができる。
【0058】
プロジェクター1Aでは、冷却媒体は、ヘリウムガス、水素ガス、及び、ハイドロフルオロエーテル系の液体のうちのいずれかである。
冷却媒体として、上記に列挙した熱伝導性が高い冷却媒体又は比熱の高い冷却媒体を用いることによって、光変調素子35の冷却性能を高めることができる。
【0059】
[第2実施形態]
次に、本開示の第2実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1Aと同様の構成を備えるが、ホルダーの構成及びホルダーに収容される光学部品の数が異なる。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0060】
[プロジェクターの概略構成]
図6は、本実施形態に係るプロジェクター1Bの構成を示す模式図である。なお、
図6においては、見易さのため、複数のフィン4A81のうち一部にのみ符号を付す。
本実施形態に係るプロジェクター1Bは、第1実施形態に係るホルダー4Aに代えて、
図6に示すホルダー4Bを備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、プロジェクター1Bは、外装筐体2A、画像投射ユニット3、ホルダー4B、電源5、熱伝達部材6及び冷却ファン7を備える。
【0061】
[ホルダーの構成]
ホルダー4Bは、ベース部材32、リフレクター33、第1レンズ34、光変調素子35及び第2レンズ36を保持し、ベース部材32における光出射面から光源31、リフレクター33、第1レンズ34及び光変調素子35を介して第2レンズ36の光入射面361との間の第1空間SP2を密閉する。すなわち、ホルダー4Bは、第1レンズ34の光出射面342と光変調素子35を介して第2レンズ36の光入射面361との間の第1空間SP2を少なくとも密閉する。第1空間SP2には、上記した冷却媒体が充填される。
【0062】
ホルダー4Bは、ホルダー4Aと同様に、第1開口部4A1、第2開口部4A2、受熱面4A6、放熱面4A7、放熱フィン4A8及び保持部4A9を有する。この他、図示を省略するが、ホルダー4Bは、ホルダー4Aと同様に、第3開口部4A3、第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5を有する。
【0063】
ホルダー4Bにおける第1開口部4A1は、ホルダー4Bにおける光入射側の部分に設けられ、-Z方向に開口している。第1開口部4A1は、ベース部材32によって第1空間SP2が密閉された状態にて閉塞される。詳述すると、ホルダー4Bにおける光入射側の端部とベース部材32の光出射側の面321とが接触するようにベース部材32がホルダー4Bに固定されたときに、第1開口部4A1は、ベース部材32によって閉塞される。なお、第1開口部4A1の内側には、ベース部材32に設置された光源31が配置される。すなわち、光源31は、第1空間SP2内に配置される。
ホルダー4Bにおける第2開口部4A2は、光変調素子35によって形成された画像光を出射する。第2開口部4A2は、ホルダー4Aにおける第2開口部4A2と同様に、第2レンズ36によって閉塞される。
【0064】
ホルダー4Bにおける受熱面4A6は、ホルダー4Aにおける受熱面4A6と同様に、ホルダー4Bの内面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Bの内部に露出し、第1空間SP2内の冷却媒体から受熱する。受熱面4A6の一部は、ホルダー4Bにおいて光源31に対向する内面に配置されている。詳述すると、光源31が内側に配置される第1開口部4A1の内面は、受熱面4A6である。なお、本実施形態においても受熱面4A6は、ホルダー4Bの内面の略全てである。
ホルダー4Bにおける放熱面4A7は、ホルダー4Bの外面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Bの外部に露出し、受熱面4A6にて受熱した熱を放熱する。本実施形態では、放熱面4A7は、ホルダー4Bの外面の略全てである。第1実施形態に係るホルダー4Aの場合と同様に、放熱面4A7がホルダー4Bの外面の略全てではない場合、放熱面4A7は、例えばホルダー4Bの内面を構成する受熱面4A6とは反対側の外面に設けられる。
ホルダー4Bにおける放熱フィン4A8は、放熱面4A7に設けられ、放熱面4A7に伝達された熱を放熱する。
【0065】
ホルダー4Bにおける一対の保持部4A9は、リフレクター33、第1レンズ34、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355を保持する。詳しい図示を省略するが、ホルダー4Bにおいても保持部4A9は、光入射側から見て、リフレクター33、第1レンズ34、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおいて互いに反対側となる端部を保持する。
例えば、一方の保持部4A91は、リフレクター33、第1レンズ34、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおける-X方向の端部を保持する。他方の保持部4A92は、リフレクター33、第1レンズ34、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355のそれぞれにおける+X方向の端部を保持する。
【0066】
このように、ホルダー4Bは、光源31、リフレクター33、第1レンズ34、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355を内部に収容する他、ベース部材32の一部及び第2レンズ36の光入射面361がホルダー4Bの内部に露出するように、ベース部材32及び第2レンズ36を支持する。
なお、ホルダー4Bの内面に反射層を設ける等して、ホルダー4Bの一部をリフレクター33として機能させてもよい。
【0067】
[ホルダー内の冷却媒体による熱源の冷却]
ホルダー4B内の第1空間SP2に充填された冷却媒体は、第1空間SP2に配置された熱源HSである光源31、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355と接触し、これら熱源HSから吸熱する。
熱源HSから吸熱した冷却媒体は、第1実施形態に係るホルダー4A内の冷却媒体と同様に、第1空間SP2を対流して受熱面4A6と接触し、受熱面4A6に熱を伝達する。これにより、冷却媒体が冷却され、冷却媒体は、第1空間SP2を対流して再び熱源HSから吸熱する。
受熱面4A6に冷却媒体から伝達された熱源HSの熱は、放熱面4A7及び放熱フィン4A8によってホルダー4B外に放熱される。外装筐体2Aの外部の冷却気体が第1冷却ファン71によってホルダー4Bに流通することから、放熱面4A7及び放熱フィン4A8による放熱が促進され、これにより、冷却媒体、ひいては、熱源HSの冷却効率が高められる。
【0068】
[第2実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Bは、第1実施形態に係るプロジェクター1Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
プロジェクター1Bは、光源31を支持するベース部材32を備える。
ホルダー4Bは、ベース部材32によって第1空間SP2が密閉された状態にて閉塞される第1開口部4A1と、画像光を出射する第2開口部4A2と、を有する。
第2レンズ36は、第2レンズ36の光出射面362を外装筐体2Aの内部の空間に露出させて、第1空間SP2を密閉状態にて第2開口部4A2を閉塞する。
光源31は、第1空間SP2に収容されている。
このような構成によれば、第1空間SP2に充填された冷却媒体は、光源31と熱交換可能である。これにより、冷却媒体によって光変調素子35及び光源31を冷却できる。
また、光源31を支持するベース部材32によって第1開口部4A1が閉塞され、第2レンズ36によって第2開口部4A2が閉塞されるので、各開口部4A1,4A2を閉塞する部材を別途設ける必要がない。従って、ホルダー4Bの大型化、ひいては、プロジェクター1Bの大型化を抑制できる。
【0069】
プロジェクター1Bでは、受熱面4A6の一部は、ホルダー4Bにおいて光源31に対向する内面に配置されている。
このような構成によれば、光源31から受熱した冷却媒体の熱を、受熱面4A6の一部にて受熱できる。従って、冷却媒体による光源31からの吸熱を促進できる。
また、ホルダー4Bの外面において受熱面4A6に応じた位置に放熱フィン4A8が設けられていることによって、受熱面4A6にて受熱した熱を、ホルダー4Bの外部に速やかに放熱できる。これにより、受熱面4A6による冷却媒体からの受熱を促進できるので、冷却媒体による光源31からの吸熱を更に促進できる。従って、光源31の冷却効率をより高めることができる。
【0070】
[第3実施形態]
次に、本開示の第3実施形態について説明する。
本実施形態に係るプロジェクターは、第1実施形態に係るプロジェクター1A及び第2実施形態に係るプロジェクター1Bと同様の構成を備えるが、ホルダーの構成及びホルダーに収容される光学部品の数が異なる他、ホルダー内に配置されるファンを更に備える。なお、以下の説明では、既に説明した部分と同一又は略同一である部分については、同一の符号を付して説明を省略する。
【0071】
[プロジェクターの概略構成]
図7は、本実施形態に係るプロジェクター1Cの構成を示す模式図である。なお、
図7においては、見易さのため、複数のフィン4A81のうち一部にのみ符号を付す。
本実施形態に係るプロジェクター1Cは、第1実施形態に係るホルダー4Aに代えて、
図7に示すホルダー4Cを備え、更にホルダー外ファンとしての循環ファン8を備える他は、第1実施形態に係るプロジェクター1Aと同様の構成及び機能を備える。すなわち、プロジェクター1Cは、外装筐体2A、画像投射ユニット3、ホルダー4C、電源5、熱伝達部材6、冷却ファン7及び循環ファン8を備える。
【0072】
[ホルダーの構成]
ホルダー4Cは、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36、光路変更部材37及び投射レンズ38を保持し、第1レンズ34の光出射面342と光変調素子35、第2レンズ36及び光路変更部材37を介して投射レンズ38の光入射面381との間の第1空間SP3を密閉する。すなわち、ホルダー4Cは、第1レンズ34の光出射面342と光変調素子35を介して第2レンズ36の光入射面361との間の第1空間SP3を少なくとも密閉する。第1空間SP3には、上記した冷却媒体が充填される。
【0073】
ホルダー4Cは、ホルダー4Aと同様に、第1開口部4A1、第2開口部4A2、受熱面4A6、放熱面4A7、放熱フィン4A8及び一対の保持部4A9を有する。この他、図示を省略するが、ホルダー4Cは、ホルダー4Aと同様に、第3開口部4A3、第1バルブ4A4及び第2バルブ4A5を有する。
【0074】
ホルダー4Cにおける第1開口部4A1は、第1実施形態に係るホルダー4Aの第1開口部4A1と同様に、第1レンズ34によって閉塞される。
第1開口部4A1は、光源31から出射された白色光が通過する開口部である。すなわち、第1開口部4A1は、ホルダー4Cの外部に露出した第1レンズ34から出射された光を、ホルダー4C内に保持された光変調素子35に入射させる開口部である。
【0075】
ホルダー4Cにおける第2開口部4A2は、ホルダー4Cにおける光出射側の部分に設けられ、+X方向に開口している。投射レンズ38の光入射側の端部と第2開口部4A2の周縁とが接触するように投射レンズ38とホルダー4Cとが組み合わされたときに、第2開口部4A2は、投射レンズ38によって閉塞される。換言すると、投射レンズ38は、第1空間SP3を密閉状態にて第2開口部4A2を閉塞する。
第2開口部4A2は、光変調素子35によって形成された画像光が通過する開口部である。すなわち、第2開口部4A2は、ホルダー4C内に保持された光変調素子35から出射された画像光を、ホルダー4Cの外部に露出した投射レンズ38に入射させる開口部である。
【0076】
ホルダー4Cにおける受熱面4A6は、ホルダー4Aにおける受熱面4A6と同様に、ホルダー4Cの内面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Cの内部に露出し、第1空間SP3内の冷却媒体から受熱する。本実施形態では、受熱面4A6は、ホルダー4Cの内面の略全てである。
ホルダー4Cにおける放熱面4A7は、ホルダー4Cの外面の少なくとも一部を構成して、ホルダー4Cの外部に露出し、受熱面4A6にて受熱した熱を放熱する。本実施形態では、放熱面4A7は、ホルダー4Cの外面の略全てである。第1及び第2実施形態に係るホルダー4A,4Bの場合と同様に、放熱面4A7がホルダー4Cの外面の略全てではない場合、放熱面4A7は、例えばホルダー4Cの内面を構成する受熱面4A6とは反対側の外面に設けられる。
【0077】
ホルダー4Cにおける放熱フィン4A8は、放熱面4A7に設けられ、放熱面4A7に伝達された熱を放熱する。
図7の例では、放熱フィン4A8は、放熱面4A7の略全てに設けられている。しかしながら、これに限らず、放熱フィン4A8は、放熱面4A7における一部にのみ設けられていてもよい。
また、
図7では、放熱フィン4A8を構成する複数のフィン4A81は、導入口2A5から外装筐体2A内に導入された冷却気体の流通方向に沿って複数配列され、各フィン4A81は、冷却気体の流通方向に対して交差する方向に放熱面4A7から突出した図としている。これは、複数のフィン4A81を見易くするためのものであり、実際には各フィン4A81は、冷却気体の流通方向に沿って延出していることが好ましい。
【0078】
ホルダー4Cにおける一対の保持部4A9は、ホルダー4Cの内部に設けられ、入射側偏光板351、液晶パネル352、出射側偏光板355、第2レンズ36及び光路変更部材37を保持する。詳しい図示を省略するが、ホルダー4Cにおいても保持部4A9は、入射側偏光板351、液晶パネル352、出射側偏光板355、第2レンズ36及び光路変更部材37のそれぞれにおいて、光入射側から見て互いに反対側となる端部を保持する。
【0079】
例えば、一方の保持部4A91は、入射側偏光板351、液晶パネル352、出射側偏光板355、第2レンズ36及び光路変更部材37のそれぞれにおける-X方向の端部を保持する。他方の保持部4A92は、入射側偏光板351、液晶パネル352、出射側偏光板355、第2レンズ36及び光路変更部材37のそれぞれにおける+X方向の端部を保持する。
このため、図示を省略するが、光入射側から見て、入射側偏光板351、液晶パネル352、出射側偏光板355、第2レンズ36及び光路変更部材37に対する±Y方向には、冷却媒体が±Z方向に流通可能な隙間が設けられている。
【0080】
[循環ファンの構成]
循環ファン8は、ホルダー内ファンに相当する。循環ファン8は、ホルダー4C内の第1空間SP3に配置され、ホルダー4C内の冷却媒体を循環させて、冷却媒体の対流を補助する。具体的に、循環ファン8は、光路変更部材37における光入射面371とは反対側の面372と、面372と対向するホルダー4Cの内面との間に配置されている。
このような循環ファン8は、例えば遠心力ファンによって構成できる。
【0081】
循環ファン8は、密閉された第1空間SP3にて吸引した冷却媒体を熱源HSである入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355に向けて-Z方向に送出する。すなわち、循環ファン8は、光変調素子35に冷却気体を送出する。なお、循環ファン8を駆動する配線は、透過型液晶素子353と接続されたフレキシブルプリント基板FPCと重なるように配置して、ホルダー4Cの外へ導出することができる。
送出された冷却媒体は、第1レンズ34と入射側偏光板351との間、入射側偏光板351と液晶パネル352との間、及び、出射側偏光板355と第2レンズ36との間を+X方向に流通する。これにより、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355から冷却媒体に熱が伝達し、これら熱源HSが冷却される。
【0082】
吸熱した冷却媒体は、ホルダー4Cにおいて+X方向の受熱面4A6と接触し、受熱面4A6に沿って+Z方向に流通する。+Z方向に流通した冷却媒体は、+Z方向の受熱面4A6と接触し、受熱面4A6に熱を伝達する。これにより、冷却媒体が冷却される。
冷却された冷却媒体は、循環ファン8によって吸引され、再び入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355に向けて送出される。
このように、循環ファン8は、第1空間SP3における冷却媒体の対流を促進させ、ひいては、冷却媒体による熱源HSからの吸熱、及び、冷却媒体による受熱面4A6への放熱を促進させる。
なお、
図7では図示しない第1冷却ファン71は、冷却気体を送出することによって、ホルダー4Cの放熱面4A7及び放熱フィン4A8に冷却気体を流通させる。また、第2冷却ファン72は、冷却気体を吸引することによって、ホルダー4Cの放熱面4A7及び放熱フィン4A8に冷却気体を流通させる。これにより、放熱面4A7及び放熱フィン4A8によるホルダー4C内の熱源HSから受熱された熱を効果的に放熱できる。
【0083】
[第3実施形態の効果]
以上説明した本実施形態に係るプロジェクター1Cは、第1実施形態に係るプロジェクター1Aと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
プロジェクター1Cでは、ホルダー4Cは、光源31から出射された光が通過する第1開口部4A1と、画像光が通過する第2開口部4A2と、を有する。
第1レンズ34は、第1空間SP3を密閉状態にて第1開口部4A1を閉塞する。
投射レンズ38は、第1空間SP3を密閉状態にて第2開口部4A2を閉塞する。
このような構成によれば、各開口部4A1,4A2を閉塞する部材を別途設ける必要がない。従って、ホルダー4Cの大型化、ひいては、プロジェクター1Cの大型化を抑制できる。
【0084】
プロジェクター1Cでは、ホルダー4C内に配置され、光変調素子35に冷却媒体を流通させる循環ファン8を備える。循環ファン8は、ホルダー内ファンに相当する。
このような構成によれば、循環ファン8によって冷却気体を光変調素子35に流通させることによって、光変調素子35の冷却効率を向上させることができる。
【0085】
[第3実施形態の変形]
上記したプロジェクター1Cでは、外装筐体2Aの排出口2A6は、投射レンズ38が露出される正面2A1と交差する右側面2A4に設けられているとした。しかしながら、これに限らず、外装筐体内を流通した冷却気体を外装筐体の外部に排出する排出口は、外装筐体における他の面に設けられていてもよい。
【0086】
図8は、プロジェクター1Cの変形であり、外装筐体2Aに代えて外装筐体2Dを備えるプロジェクター1Dを示す模式図である。
例えば、
図8に示すプロジェクター1Dは、外装筐体2Aに代えて、外装筐体2Dを備える他は、上記したプロジェクター1Cと同様の構成及び機能を備える。外装筐体2Dは、排出口2A6に代えて、排出口2D6を有する他は、外装筐体2Aと同様の構成及び機能を備える。
排出口2D6は、正面2A1に設けられている。すなわち、排出口2D6は、外装筐体2Dにおいて導入口2A5が設けられた左側面2A3に交差する側面に設けられている。排出口2D6は、外装筐体2Dの内部の冷却気体を外装筐体2Dの外部に排出する。
【0087】
このような外装筐体2Dが採用される場合、第2冷却ファン72は、第2冷却ファン72による冷却気体の送出方向に、放熱部材62及び排出口2D6が位置するように配置される。これにより、ホルダー4C及び電源5に沿って流通し、放熱部材62に流通した冷却気体を、排出口2D6から外装筐体2Dの外部に排出できる。
また、右側面2A4に排出口2A6が設けられていないので、右側面2A4を床等の載置面SFに設置する底面として用いることができる。このとき、ホルダー4C内において、熱源HSである光変調素子35を冷却して熱を帯びた冷却媒体を、放熱フィン4A8が設けられた放熱面4A7とは反対側の受熱面4A6側に流通させやすくすることができる。従って、冷却媒体によって受熱された光変調素子35の熱を、受熱面4A6を介して放熱面4A7及び放熱フィン4A8によって放熱しやすくすることができる。なお、底面となる右側面2A4に脚部を配置してもよい。
なお、このような外装筐体2Dは、第1実施形態に係るプロジェクター1A及び第2実施形態に係るプロジェクター1Bにも採用可能である。
【0088】
以上説明したプロジェクター1Dは、上記したプロジェクター1Cと同様の効果を奏する他、以下の効果を奏する。
プロジェクター1Dでは、外装筐体2Aは、導入口2A5を有する。導入口2A5は、光源31側の外面である右側面2A4を載置面に対向させたときの右側面2A4とは反対側の外面である左側面2A3に設けられている。
受熱面4A6の一部は、ホルダー4Cの内面のうち載置面とは反対側の内面に設けられている。すなわち、受熱面4A6の一部は、ホルダー4Cにおいて+Y方向の内面に設けられている。
【0089】
このような構成によれば、熱源HSである光変調素子35から吸熱した冷却媒体は、ホルダー内の第1空間SP3内を載置面SFとは反対側に流通する。このため、ホルダー4Cの内面のうち、載置面SFとは反対側の内面に受熱面4A6の一部が設けられていることによって、熱を帯びた冷却媒体から効果的に受熱できる。従って、冷却媒体による光変調素子35等の熱源HSからの吸熱を促進できる。
また、+Y方向の受熱面4A6とは反対側の放熱面4A7に放熱フィン4A8が設けられていることにより、受熱面4A6にて受熱した熱を、ホルダー4Cの外部に速やかに放熱できる。このため、受熱面4A6による冷却媒体からの受熱を促進できるので、冷却媒体による光変調素子35からの吸熱を更に促進でき、光変調素子35の冷却効率をより高めることができる。
【0090】
[実施形態の変形]
本開示は、上記各実施形態に限定されるものではなく、本開示の目的を達成できる範囲での変形及び改良等は、本開示に含まれるものである。
上記各実施形態では、画像投射ユニット3は、光源31、ベース部材32、リフレクター33、第1レンズ34、光変調素子35、第2レンズ36、光路変更部材37及び投射レンズ38を備えるとした。しかしながら、これに限らず、画像投射ユニット3は、上記した光学部品のうち一部の光学部品を備えていなくてもよく、或いは、他の光学部品を更に備えていてもよい。例えば、ベース部材32、リフレクター33及び光路変更部材37のうち、少なくとも1つは無くてもよい。
【0091】
上記各実施形態では、ホルダー4A,4B,4Cの内面の略全てが受熱面4A6であるとし、ホルダー4A,4B,4Cの外面の略全てが放熱面4A7であるとした。しかしながら、これに限らず、冷却媒体から受熱可能な受熱面4A6は、ホルダー4A,4B,4Cの内面の一部であってもよい。同様に、受熱面4A6にて受熱した熱を放熱する放熱面4A7は、ホルダー4A,4B,4Cの外面の一部であってもよい。
また、放熱フィン4A8は、放熱面4A7の一部にのみ設けられていてもよく、或いは、放熱フィン4A8は、無くてもよい。
【0092】
上記各実施形態では、光変調素子35は、入射側偏光板351、液晶パネル352及び出射側偏光板355を備えるとした。入射側偏光板351と液晶パネル352とは、第1空間SP1,SP2,SP3の一部が存在するように、互いに離間して配置されているとした。出射側偏光板355は、液晶パネル352の光出射面3522と接するように液晶パネル352に固定されるとした。しかしながら、これに限らず、入射側偏光板351は、液晶パネル352の光入射面3521と接するように液晶パネル352に固定されてもよく、出射側偏光板355は、液晶パネル352から離間して設けられていてもよい。
【0093】
上記各実施形態では、入射側偏光板351の光入射面3511は、第1空間SP1,SP2,SP3に露出しているとした。しかしながら、これに限らず、光入射面3511は、ホルダーの外部に露出していてもよい。例えば、ホルダーの第1開口部4A1は、入射側偏光板351が閉塞してもよい。
同様に、出射側偏光板355の光出射面3552は、第1空間SP1,SP2,SP3に露出しているとした。しかしながら、これに限らず、光出射面3552は、ホルダーの外部に露出していてもよい。
【0094】
上記各実施形態では、プロジェクター1A,1B,1Cは、ホルダー外ファンとしての第1冷却ファン71及び第2冷却ファン72を備えるとした。しかしながら、これに限らず、第1冷却ファン71及び第2冷却ファン72のうち、少なくとも一方の冷却ファンは無くてもよい。また、外装筐体の内部に冷却媒体が配置され、外装筐体の内部に、ホルダーの外面に冷却媒体を流通させる循環ファンが設けられる場合には、外装筐体は、導入口2A5及び排出口2A6は無くてもよい。
【0095】
上記第1実施形態では、ホルダー4Aの第1開口部4A1は、第1レンズ34によって閉塞され、第2開口部4A2は、第2レンズ36によって閉塞されるとした。上記第2実施形態では、ホルダー4Bの第1開口部4A1は、ベース部材32によって閉塞され、第2開口部4A2は、第2レンズ36によって閉塞されるとした。上記第3実施形態では、ホルダー4Cの第1開口部4A1は、第1レンズ34によって閉塞され、第2開口部4A2は、投射レンズ38によって閉塞されるとした。しかしながら、これに限らず、第1開口部4A1を閉塞する構成は、画像投射ユニット3を構成する他の光学部品でもよく、別途設けられる透光性部材であってもよい。同様に、第2開口部4A2を閉塞する構成は、画像投射ユニット3を構成する他の光学部品でもよく、別途設けられる透光性部材であってもよい。
【0096】
上記第3実施形態では、ホルダー4Cの内部には、冷却媒体を光変調素子35に流通させるホルダー内ファンとしての循環ファン8を備えるとした。しかしながら、これに限らず、循環ファン8は無くてもよい。また、ホルダー4C内に配置される循環ファン8の数は、1に限らず、適宜変更可能である。更に、ホルダー4C内に光源31等の他の熱源HSが配置されている場合には、循環ファン8は、当該他の熱源HSに冷却媒体を流通させてもよい。
【0097】
上記各実施形態では、光変調素子35は、透過型液晶素子353を含む液晶パネル352を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光変調素子35は、透過型液晶素子353に代えて、光の入射方向とは反対方向に画像光を出射する反射型液晶素子を備えていてもよい。また、光変調素子35は、液晶以外の光変調素子であってもよい。採用される光変調素子によっては、出射側偏光板355を省略できる。
また、液晶パネル352は、カラーフィルター354を備えていなくてもよく、カラーフィルター354は、上記のように単色のカラーフィルターであってもよい。
更に、光源31から出射される光が、一種類の直線偏光光である場合には、入射側偏光板351を省略してもよい。
【0098】
上記各実施形態では、第1レンズ34及び第2レンズ36は、フレネルレンズであるとした。しかしながら、これに限らず、第1レンズ34及び第2レンズ36のうち、少なくとも一方のレンズは、フレネルレンズでなくてもよい。更に例えば、画像投射ユニット3は、上記光学部品の他、他の光学部品を含んでいてもよい。
【0099】
上記各実施形態では、画像投射ユニット3は、第2レンズ36から出射された画像光の光路を変更して、画像光を投射レンズ38に入射させる光路変更部材37を備えるとした。しかしながら、これに限らず、光路変更部材37は無くてもよい。また、光路変更部材37は、入射する画像光を反射させることによって、画像光の光路を変更するとした。しかしながら、これに限らず、光路変更部材は、プリズム等の光学部品であってもよい。
【0100】
上記各実施形態では、プロジェクター1A,1B,1C,1Dは、光源31を支持するベース部材32に熱伝達可能に接続される熱輸送部材61と、熱輸送部材61から伝達される光源31の熱を放熱する放熱部材62と、を備えるとした。しかしながら、これに限らず、例えば放熱部材62に光源31が設けられている場合等においては、ベース部材32及び熱輸送部材61のうち、少なくとも一方の部材は無くてもよい。
また、冷却媒体又は冷却気体によって光源31を十分に冷却可能であれば、熱輸送部材61及び放熱部材62は無くてもよい。
【0101】
上記各実施形態では、プロジェクター1A,1B,1C,1Dは、外装筐体2A,2D内に配置され、光源31及び液晶パネル352に電力を供給する電源5を備えるとした。しかしながら、電源5は、外装筐体2A,2Dの内部に必ずしも配置されていなくてもよい。また、プロジェクターは、光源31に電力を供給する第1電源と、液晶パネル352に電力を供給する第2電源とを備えていてもよい。更に、電源5は、光源31及び液晶パネル352のうちの1つに電力を供給してもよい。
【0102】
上記各実施形態では、ホルダー4A,4B,4C内に充填される冷却媒体は、ヘリウムガスと、水素ガスと、ハイドロフルオロエーテル系の液体冷媒とのうちのいずれかであるとした。しかしながら、これに限らず、冷却媒体の種類は、適宜変更可能であり、複数種類の冷媒を混合させて筐体内に充填させてもよい。
【0103】
[本開示のまとめ]
以下、本開示のまとめを付記する。
[付記1]
白色光を出射する光源と、
前記光源から出射された前記白色光を集光する第1レンズと、
前記第1レンズから入射する前記白色光を変調した画像光を出射する1つの光変調素子と、
前記光変調素子から出射された前記画像光を集光する第2レンズと、
前記第2レンズから出射された前記画像光を投射する投射レンズと、
前記光源、前記第1レンズ、前記光変調素子、前記第2レンズ及び前記投射レンズを収容する外装筐体と、
内面に受熱面を有し、前記第1レンズ、前記光変調素子及び前記第2レンズを保持して、前記第1レンズの光出射面と前記光変調素子を介して前記第2レンズの光入射面との間の第1空間を密閉するホルダーと、
前記第1空間に充填され、前記光変調素子の熱を吸熱し、前記第1空間の内部を対流して、前記受熱面に熱を伝達する冷却媒体と、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
【0104】
このような構成によれば、熱源である光変調素子は、第1空間を密閉するホルダーに保持される。第1空間内に充填された冷却媒体は、光変調素子から吸熱し、第1空間内を対流して第1空間内を攪拌する。冷却媒体は、吸熱した熱をホルダーの受熱面に放熱する。これにより、光変調素子を冷却できる。
このため、液体冷媒を循環させて光変調素子を冷却する構成に比べて、部品点数を抑制しつつ、比較的簡易な構成によって光変調素子を冷却できる。従って、光源の輝度を高めても、光変調素子を冷却できるので、プロジェクターを小型化しつつ、プロジェクターによる投射画像の輝度を高めることができる。
【0105】
[付記2]
付記1に記載のプロジェクターにおいて、
前記光変調素子は、
液晶パネルと、
前記液晶パネルの光入射側に配置され、前記第1レンズから出射された光が入射する入射側偏光板と、
前記液晶パネルの光出射側に配置され、前記液晶パネルから出射された光を前記第2レンズに出射する出射側偏光板と、を備え、
前記入射側偏光板と前記液晶パネルとは、前記第1空間の一部が存在するように互いに離間している、ことを特徴とするプロジェクター。
光源から出射される白色光が1種類の直線偏光でない場合、液晶パネルの光入射側に配置された入射側偏光板も、入射する光によって発熱する熱源になる。
これに対し、入射側偏光板と液晶パネルとの間を冷却媒体が対流するので、入射側偏光板と液晶パネルとの2つの熱源を効率よく冷却できる。
【0106】
[付記3]
付記2に記載のプロジェクターにおいて、
前記入射側偏光板の光入射面は、前記第1空間に露出する、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、入射側偏光板の光入射面及び光出射面のそれぞれは、第1空間に露出する。これにより、第1空間を対流する冷却媒体によって入射側偏光板を効率よく冷却できる。
【0107】
[付記4]
付記2又は付記3に記載のプロジェクターにおいて、
前記出射側偏光板は、前記液晶パネルの光出射面に接触して固定され、
前記出射側偏光板の光出射面は、前記第1空間に露出する、ことを特徴とするプロジェクター。
出射側偏光板の発熱量は、入射側偏光板の発熱量及び液晶パネルの発熱量と比べて小さい。このため、光出射面と冷却媒体との間の熱交換でも、出射側偏光板を冷却できる。
また、出射側偏光板は、ホルダーによって保持される液晶パネルの光出射面に固定される。これにより、ホルダーが、液晶パネル及び出射側偏光板のそれぞれを個別に保持する場合に比べて、ホルダーの大型化を抑制できる。
【0108】
[付記5]
付記2から付記4のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記液晶パネルは、
入射する光の進行方向に沿って、変調した光を出射する透過型液晶素子と、
前記透過型液晶素子の光出射面に配置されたカラーフィルターと、を備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、1つの液晶パネルによって、画像信号に応じたカラー画像を形成できる。
【0109】
[付記6]
付記1から付記5のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、
前記光源から出射された前記白色光が通過する第1開口部と、
前記画像光が通過する第2開口部と、を有し、
前記第1レンズは、前記第1レンズの光入射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第1開口部を閉塞し、
前記第2レンズは、前記第2レンズの光出射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞する、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1レンズは、第1レンズの光入射面が外装筐体の内部の空間に露出した状態にて第1開口部を閉塞し、第2レンズは、第2レンズの光出射面が外装筐体の内部の空間に露出した状態にて第2開口部を閉塞する。これにより、各開口部を閉塞する部材を別途設けることなく、各開口部を閉塞して第1空間を密閉できるので、ホルダーの大型化、ひいては、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0110】
[付記7]
付記1から付記5のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記光源を支持するベース部材を備え、
前記ホルダーは、
前記ベース部材によって前記第1空間が密閉された状態にて閉塞される第1開口部と、
前記画像光を出射する第2開口部と、を有し、
前記第2レンズは、前記第2レンズの光出射面を前記外装筐体の内部の空間に露出させて、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞し、
前記光源は、前記第1空間に収容されている、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1空間に充填された冷却媒体は、光源と熱交換可能である。これにより、冷却媒体によって光変調素子及び光源を冷却できる。
また、光源を支持するベース部材によって第1開口部が閉塞され、第2レンズによって第2開口部が閉塞されるので、各開口部を閉塞する部材を別途設ける必要がない。従って、ホルダーの大型化、ひいては、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0111】
[付記8]
付記7に記載のプロジェクターにおいて、
前記受熱面の一部は、前記ホルダーにおいて前記光源に対向する内面に配置されている、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、光源から受熱した冷却媒体の熱を、受熱面の一部にて受熱できる。従って、冷却媒体による光源からの吸熱を促進できる。
なお、ホルダーの外面において受熱面に応じた位置にフィンが設けられている場合には、受熱面にて受熱した熱を、ホルダーの外部に速やかに放熱できる。この場合には、受熱面による冷却媒体からの受熱を促進できるので、冷却媒体による光源からの吸熱を更に促進でき、光源の冷却効率をより高めることができる。
【0112】
[付記9]
付記1から付記5のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、
前記光源から出射された光が通過する第1開口部と、
前記画像光が通過する第2開口部と、を有し、
前記第1レンズは、前記第1空間を密閉状態にて前記第1開口部を閉塞し、
前記投射レンズは、前記第1空間を密閉状態にて前記第2開口部を閉塞する、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、第1レンズによって第1開口部が閉塞され、投射レンズによって第2開口部が閉塞されるので、各開口部を閉塞する部材を別途設ける必要がない。従って、ホルダーの大型化、ひいては、プロジェクターの大型化を抑制できる。
【0113】
[付記10]
付記1から付記9のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダーは、前記受熱面とは反対側の外面に配置された複数のフィンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、複数のフィンによって、受熱面にて受熱した熱の放熱性を高めることができる。これにより、熱源と受熱面との温度差を維持できるので、冷却媒体の対流による第1空間内の攪拌を促進できる。
【0114】
[付記11]
付記10に記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体内に配置され、前記複数のフィンに冷却気体を流通させるホルダー外ファンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、ホルダーが備えた複数のフィンによる熱源の熱の放熱性を高めることができる。
【0115】
[付記12]
付記11に記載のプロジェクターにおいて、
前記ホルダー内に配置され、前記光変調素子に前記冷却媒体を流通させるホルダー内ファンを備える、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、ホルダー内ファンによって冷却気体を光変調素子に流通させることによって、光変調素子の冷却効率を向上させることができる。
【0116】
[付記13]
付記11又は付記12に記載のプロジェクターにおいて、
前記外装筐体は、前記光源側の外面を載置面に対向させたときの前記光源側の外面とは反対側の外面に設けられた導入口を有し、
前記受熱面の一部は、前記ホルダーの内面のうち前記載置面とは反対側の内面に設けられている、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、光変調素子から吸熱した冷却媒体は、ホルダー内の第1空間内を載置面とは反対側に流通する。このため、ホルダーの内面のうち、載置面とは反対側の内面に受熱面の一部が設けられていることによって、熱を帯びた冷却媒体から効果的に受熱できる。従って、冷却媒体による熱源からの吸熱を促進できる。
なお、ホルダーの外面において受熱面に応じた位置にフィンが設けられている場合には、受熱面にて受熱した熱を、ホルダーの外部に速やかに放熱できる。この場合には、受熱面による冷却媒体からの受熱を促進できるので、冷却媒体による光変調素子からの吸熱を更に促進でき、光変調素子の冷却効率をより高めることができる。
【0117】
[付記14]
付記1から付記13のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記第1レンズ及び前記第2レンズのうち少なくとも一方のレンズは、フレネルレンズである、ことを特徴とするプロジェクター。
このような構成によれば、光源から投射レンズまでの光路長を短くできる。従って、ホルダーの小型化、ひいては、プロジェクターの小型化を図ることができる。
【0118】
[付記15]
付記1から付記14のいずれか1つに記載のプロジェクターにおいて、
前記冷却媒体は、ヘリウムガス、水素ガス、及び、ハイドロフルオロエーテル系の液体のうちのいずれかである、ことを特徴とするプロジェクター。
冷却媒体として、上記に列挙した熱伝導性が高い冷却媒体又は比熱の高い冷却媒体を用いることによって、光変調素子の冷却性能を高めることができる。
【符号の説明】
【0119】
1A,1B,1C,1D…プロジェクター、2A,2D…外装筐体、2A1…正面、2A2…背面、2A3…左側面、2A4…右側面、2A5…導入口、2A6…排出口、3…画像投射ユニット、31…光源、32…ベース部材、33…リフレクター、34…第1レンズ、342…光出射面、35…光変調素子、351…入射側偏光板、3511…光入射面、3512…光出射面、352…液晶パネル、3521…光入射面、3522…光出射面、353…透過型液晶素子、3531…光入射面、3532…光出射面、354…カラーフィルター、355…出射側偏光板、3551…光入射面、3552…光出射面、36…第2レンズ、361…光入射面、362…光出射面、37…光路変更部材、38…投射レンズ、381…光入射面、4A,4B,4C…ホルダー、4A1…第1開口部、4A2…第2開口部、4A3…第3開口部、4A4…第1バルブ、4A5…第2バルブ、4A6…受熱面、4A7…放熱面、4A8…放熱フィン、4A81…フィン、4A9,4A91,4A92…保持部、5…電源、6…熱伝達部材、61…熱輸送部材、62…放熱部材、7…冷却ファン、71…第1冷却ファン(ホルダー外ファン)、72…第2冷却ファン(ホルダー外ファン)、8…循環ファン、HS…熱源。