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特開2024-54510熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054510
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/36 20060101AFI20240410BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01L23/36 D
H05K7/20 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160763
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】390022471
【氏名又は名称】アオイ電子株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095407
【弁理士】
【氏名又は名称】木村 満
(74)【代理人】
【識別番号】100145229
【弁理士】
【氏名又は名称】秋山 雅則
(74)【代理人】
【識別番号】100174573
【弁理士】
【氏名又は名称】大坂 知美
(74)【代理人】
【識別番号】100131152
【弁理士】
【氏名又は名称】八島 耕司
(72)【発明者】
【氏名】大西 範明
(72)【発明者】
【氏名】山地 範男
【テーマコード(参考)】
5E322
5F136
【Fターム(参考)】
5E322AA01
5E322AA11
5E322FA04
5F136BA03
5F136BC07
5F136DA33
5F136FA02
5F136FA03
5F136FA23
5F136FA82
5F136GA22
5F136GA23
5F136GA31
(57)【要約】
【課題】熱伝導性がより高められた熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法を提供する。
【解決手段】熱伝導部材2Aは、グラファイトシート20と、金属層30と、焼結層40と、回路基板10と、を備える。金属層30は、グラファイトシート20の少なくとも一方の面に設けられている。焼結層40は、金属層30と隣接し、複数の金属粒子を焼結させている。回路基板10は、半導体素子3を実装するためのものである。そして、焼結層40は、回路基板10と金属層30を接合する。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
グラファイトシートと、
前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に設けられた金属層と、
前記金属層と隣接し、複数の金属粒子を焼結させた焼結層と、
発熱体を実装するための基板と、
を備え、
前記焼結層は、前記基板と前記金属層を接合する熱伝導部材。
【請求項2】
前記焼結層は、前記グラファイトシートの一方の面に設けられた前記金属層と隣接し、前記基板と前記金属層を接合している、
請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項3】
前記グラファイトシートが複数枚、ベーサル面を同じ向きにした状態で積層された積層体を備え、
前記積層体は、前記グラファイトシートが積層された積層方向と垂直な方向に端面を有し、
前記焼結層は、前記金属層と隣接し、前記基板と前記積層体の前記端面とを接合する、
請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項4】
前記グラファイトシートは、複数のグラファイトがベーサル面を前記一方の面と平行に向けた状態に積層された層構造を有し、前記一方の面に前記複数のグラファイトのうちのいくつかを横断する凹凸部が形成されており、
前記金属層は、前記凹凸部と前記一方の面とを覆う、
請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項5】
前記金属粒子は、銅または銅合金により形成されている、
請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項6】
前記金属粒子と前記金属層は、同じ金属材料により形成されている、
請求項1に記載の熱伝導部材。
【請求項7】
グラファイトシートの少なくとも一方の面に金属層を形成する工程と、
前記金属層に発熱体を実装するための基板を重ね、前記金属層と前記基板の間に、複数の金属粒子の集合体を形成して粒体層を形成する工程と、
前記粒体層を加熱して前記複数の金属粒子に焼結体を形成させ、該焼結体によって前記金属層と前記基板とを接合する工程と、
を備える熱伝導部材の製造方法。
【請求項8】
前記粒体層を形成する工程では、前記金属層に前記基板を重ねる前に、前記金属層または、前記基板の前記金属層が重ねられる側に、前記金属粒子を含むペーストを塗布することにより、前記粒体層を形成する、
請求項7に記載の熱伝導部材の製造方法。
【請求項9】
前記金属層と前記基板とを接合する工程では、前記粒体層を150℃以上300℃未満の温度で加熱して前記焼結体を形成する、
請求項7または8に記載の熱伝導部材の製造方法。
【請求項10】
前記金属層を形成する工程では、前記金属粒子と同種の金属材料により前記金属層を形成する、
請求項7または8に記載の熱伝導部材の製造方法。
【請求項11】
前記金属層を形成する工程の前に、前記グラファイトシートの前記少なくとも一方の面を粗面化する粗面化工程をさらに備え、
前記金属層を形成する工程では、前記グラファイトシートは、複数のグラファイトがベーサル面を前記一方の面と平行に向けた状態に積層された層構造を有し、
前記粗面化工程では、前記一方の面に前記複数のグラファイトのうちのいくつかを横断する凹凸部を形成し、
前記金属層を形成する工程では、前記金属層が前記グラファイトシートの前記少なくとも一方の面と前記凹凸部とを覆う、
請求項7または8に記載の熱伝導部材の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
回路基板等の放熱を目的に使用される熱伝導部材には、グラファイトシートから構成されるものがある。
【0003】
例えば、特許文献1には、両面がメッキされると共に、銅板に挟み込まれたグラファイトシートから構成される熱伝導部材が開示されている。この熱伝導部材は、一面が、半導体素子が搭載された回路基板に接合され、他面がヒートシンクに接合され、半導体素子で発生した熱をヒートシンクに伝達する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2020/091008号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の熱伝導部材では、グラファイトシートは、両面がメッキされると共に、銅板によって挟み込まれている。そして、そのグラファイトシートを挟み込む銅板を、基板に接合された銅板にはんだ付けしている。このため、はんだによる接合部分で熱伝導性が低下してしまい、その結果、基板からグラファイトシートへの熱伝導性が低下してしまう。
【0006】
また、特許文献1に記載の熱伝導部材では、グラファイトシートを挟み込む銅板と基板に接合された銅板とを介して、基板とグラファイトシートとを接合するため、基板からグラファイトシートへの熱伝導性が低下してしまう。
【0007】
本発明は上記の課題を解決するためになされたもので、熱伝導性がより高められた熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の目的を達成するため、本発明の第一の観点に係る熱伝導部材は、
グラファイトシートと、
前記グラファイトシートの少なくとも一方の面に設けられた金属層と、
前記金属層と隣接し、複数の金属粒子を焼結させた焼結層と、
発熱体を実装するための基板と、
を備え、
前記焼結層は、前記基板と前記金属層を接合する。
【0009】
前記焼結層は、前記グラファイトシートの一方の面に設けられた前記金属層と隣接し、前記基板と前記金属層を接合していてもよい。
【0010】
前記グラファイトシートが複数枚、ベーサル面を同じ向きにした状態で積層された積層体を備え、
前記積層体は、前記グラファイトシートが積層された積層方向と垂直な方向に端面を有し、
前記焼結層は、前記金属層と隣接し、前記基板と前記積層体の前記端面とを接合していてもよい。
【0011】
前記グラファイトシートは、複数のグラファイトがベーサル面を前記一方の面と平行に向けた状態に積層された層構造を有し、前記一方の面に前記複数のグラファイトのうちのいくつかを横断する凹凸部が形成されており、
前記金属層は、前記凹凸部と前記一方の面とを覆っていてもよい。
【0012】
前記金属粒子は、銅または銅合金により形成されていてもよい。
【0013】
前記金属粒子と前記金属層は、同じ金属材料により形成されていてもよい。
【0014】
また、本発明の第二の観点に係る熱伝導部材の製造方法は、
グラファイトシートの少なくとも一方の面に金属層を形成する工程と、
前記金属層に発熱体を実装するための基板を重ね、前記金属層と前記基板の間に、複数の金属粒子の集合体を形成して粒体層を形成する工程と、
前記粒体層を加熱して前記複数の金属粒子に焼結体を形成させ、該焼結体によって前記金属層と前記基板とを接合する工程と、
を備える。
【0015】
前記粒体層を形成する工程では、前記金属層に前記基板を重ねる前に、前記金属層または、前記基板の前記金属層が重ねられる側に、前記金属粒子を含むペーストを塗布することにより、前記粒体層を形成してもよい。
【0016】
前記金属層と前記基板とを接合する工程では、前記粒体層を150℃以上300℃未満の温度で加熱して前記焼結体を形成してもよい。
【0017】
前記金属層を形成する工程では、前記金属粒子と同種の金属材料により前記金属層を形成してもよい。
【0018】
前記金属層を形成する工程の前に、前記グラファイトシートの前記少なくとも一方の面を粗面化する粗面化工程をさらに備え、
前記金属層を形成する工程では、前記グラファイトシートは、複数のグラファイトがベーサル面を前記一方の面と平行に向けた状態に積層された層構造を有し、
前記粗面化工程では、前記一方の面に前記複数のグラファイトのうちのいくつかを横断する凹凸部を形成し、
前記金属層を形成する工程では、前記金属層が前記グラファイトシートの前記少なくとも一方の面と前記凹凸部とを覆ってもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明の構成によれば、基板とグラファイトシートの間にある金属層と焼結層が金属で形成されているので、基板からグラファイトシートに効率よく熱を伝えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る熱伝導部材を備える電子部品の平面図である。
図2図1に示すII-II切断線の断面図である。
図3図2に示すIII領域の概念的拡大図である。
図4】実施の形態1に係る熱伝導部材の製造方法のフローチャートである。
図5】(A)実施の形態1に係る粗面化される前のグラファイトシート材料の断面図である。(B)粗面化工程の粗面化の手法を説明する図である。(C)粗面化工程で粗面化されたグラファイトシートの断面図である。
図6】実施の形態1に係る熱伝導部材の製造方法が備える金属層形成工程において金属層が形成されたグラファイトシートの断面図である。
図7】実施の形態1に係る熱伝導部材の製造方法が備える接合工程で接合された回路基板とグラファイトシートの断面図である。
図8】本発明の実施の形態2に係る熱伝導部材を備える電子部品の断面図である。
図9】実施の形態2に係る熱伝導部材の製造方法のフローチャートである。
図10】実施の形態2に係る熱伝導部材の製造方法が備える積層工程で積層されたグラファイトシートの断面図である。
図11】実施の形態2に係る熱伝導部材の製造方法が備える切断工程におけるグラファイトシートの断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態に係る熱伝導部材および熱伝導部材の製造方法について図面を参照して詳細に説明する。なお、図中、同一又は同等の部分には同一の符号を付す。また、図に示す直交座標系XYZにおいて、熱伝導部材が備えるグラファイトシートのシート面を水平にしたときの、水平方向がXY方向、鉛直方向がZ方向である。以下、適宜、この座標系を引用して説明する。
【0022】
(実施の形態1)
本実施の形態1に係る熱伝導部材は、回路基板上に設けられた発熱体で発生した熱をヒートシンクに伝達する部材である。以下、発熱体が半導体素子であり、熱伝導部材が半導体素子で発生した熱をヒートシンクに伝達する形態を例に、図1図3を参照して、熱伝導部材及びそれを用いた電子部品について詳細に説明する。
【0023】
図1は、実施の形態1に係る熱伝導部材2Aを備える電子部品1Aの平面図である。図2は、図1に示すII-II切断線の断面図である。図3は、図2に示すIII領域の概念的拡大図である。なお、理解を容易にするため、図1では、電子部品1Aの半導体素子3が搭載された領域周辺のみを示している。また、図1図2に示す配線11、12の形状は、より複雑な形状であってもよいが、理解を容易にするため、配線11、12の形状を単純化している。
【0024】
図1および図2に示すように、電子部品1Aは、半導体素子3と、回路基板10と、熱伝導部材2Aと、ヒートシンク50とにより構成されている。また、熱伝導部材2Aは、グラファイトシート20と、グラファイトシート20を覆う金属層30と、金属層30の一面に形成された焼結層40とにより構成されている。
【0025】
回路基板10は、半導体素子3(例えば発光ダイオード)を支持するため、平板状に形成されている。回路基板10の上面には、配線11、12が形成されている。また、半導体素子3が実装されている。さらに、配線11、12と半導体素子3の端子4、5がそれぞれワイヤ6、7により接続されている。半導体素子3は、配線11、12に駆動電流が流されると、動作して発熱する。その結果、回路基板10に半導体素子3の熱が伝わる。
【0026】
回路基板10は、半導体素子3の熱を高い効率で伝えるため、アルミナ、窒化アルミニウム、窒化ケイ素等の熱伝導性が高いセラミックによって形成されている。これにより、半導体素子3の熱が、回路基板10の延在方向、すなわち、X方向とY方向、及び、回路基板10の厚み方向、すなわち、Z方向へ高効率で伝わる。
【0027】
回路基板10の下面には、下面まで伝わった半導体素子3の熱を放つため、熱伝導部材2Aが配置されている。
【0028】
グラファイトシート20は、図3に示すように、複数のグラファイトが積層する層構造によって形成されている。そして、グラファイトシート20では、グラファイトのベーサル面Bがシート面Sと平行に向けられている。また、図示しないエッジ面がシート面Sに垂直である。また、グラファイトシート20は、ベーサル面B方向に1500W/mkの高い熱伝導性がある。このため、グラファイトシート20は、図1に示す回路基板10上に半導体素子3が密集して配置された結果、回路基板10が局所的に高温になった場合でも、その回路基板10の熱を、図3に示すベーサル面B方向、すなわち、シート面S方向にすばやく拡散して放熱する。後述するように、グラファイトシート20には、金属層30を介してヒートシンク50が接続され、そのヒートシンク50がシート面Sに沿っている。その結果、グラファイトシート20は、ヒートシンク50から効率的に熱を逃がすことができる。
【0029】
グラファイトシート20は、半導体素子3で生じた熱をXY方向に拡散するため、回路基板10とほぼ同じ形状と大きさを有する。そして、その厚みは、伝熱が目的であることから薄くてもよく、例えば、10~100μmである。これにより、グラファイトシート20は、厚み方向の熱抵抗を小さくできる。
【0030】
グラファイトシート20が有するグラファイトのベーサル面Bは、疎水性が高い。このため、例えば、グラファイトシート20に対し金属層30を湿式メッキにより形成しても、形成された金属層30はグラファイトシート20から容易に剥離する。そこで、グラファイトシート20の表面には、金属層30の剥離を防ぐため、図2および図3に示すように、微細な凹凸部(以下、単に凹凸部という)21が形成されている。
【0031】
凹凸部21は、後述する粗面化処理により、グラファイトシート20の外周面全体にわたって形成されている。凹凸部21は、グラファイトシート20の厚み方向、すなわちZ方向へ微小な距離だけ凹凸する。これにより、凹凸部21は、凹凸部21が形成されていない場合と比較して、グラファイトシート20の表面積を拡大させる。また、凹凸部21は、グラファイトシート20を形成するグラファイトの層のうちのいくつかの層、換言すると、グラファイトの複数の層を横断する。これにより、凹凸部21は、グラファイトの層構造の層端面を露出させる。凹凸部21は、金属層30が凹凸部21の上に形成された場合に、後述する電解メッキの電解液に対して濡れ性があるグラファイト層の官能基を露出させる効果とグラファイトの層端面へのアンカー効果により、金属層30の密着性を高め、金属層30の剥離を抑制する。
【0032】
なお、図2および図3では理解を容易にするため、凹凸部21の形状が規則的であるが、凹凸部21の実際の形状、すなわち、凹凸部21の山部分の高さ、谷部分の深さ及び、それらの幅は、不規則である。
【0033】
金属層30の厚みは、数μmから数十μm、例えば、5~10μmである。そして、金属層30は、グラファイトシート20の全体の強度を高めるため、グラファイトシート20の外周面全体にわたって形成されている。その結果、上述した凹凸部21を含むグラファイトシート20全体を覆っている。
【0034】
金属層30は、熱伝導性が高い金属である銅(本明細書では電気銅、無酸素銅、脱酸銅等の純銅を含む)または銅合金によって形成されている。さらに、金属層30は、後述する電解メッキにより形成されることで、金属層30の凹凸部21への密着性が高められている。これらにより、金属層30からグラファイトシート20への伝熱性が高められている。また、グラファイトシート20のベーサル面Bに垂直な方向への熱伝導率は5W/mk程度とベーサル面B方向に比べ著しく低いが、これに対して、金属層30の材料である銅の熱伝導率は398W/mk程度である。金属層30がグラファイトシート20の側面に形成されることにより、グラファイトシート20のベーサル面Bに垂直な方向への低い熱伝導率を補う。
【0035】
焼結層40は、金属層30を回路基板10に接合するために、金属層30の上面に形成されている。焼結層40は、図3に示すように、多数の金属粒子41が焼結した焼結体により形成されている。それら多数の金属粒子41は、焼結体の形成時に互いに焼結するだけでなく、金属層30と回路基板10に結合し、金属層30と回路基板10を接合している。なお、回路基板10の接合面にメッキ(例えば、銅または銅合金のメッキ)を施しておくことで、回路基板10と焼結層40との接合力をより高めることができる。
【0036】
金属粒子41を形成する銅または銅合金は、はんだよりも高い熱伝導率を有する。その結果、金属層30と回路基板10をはんだにより接合する場合に比べ、焼結層40による接合は熱伝導率が高い。また、金属粒子41を形成する銅または銅合金は、金属層30を形成する金属と同種の金属である。ここで、同種の金属とは、主成分が同じ金属元素である金属材料のことをいう。焼結層40は、金属粒子41が金属層30と同種の金属であることにより、金属層30と回路基板10の間の熱伝導率を高めるだけでなく、線膨張係数の差が生じないことにより剥離やクラック等を抑制する。その結果、金属層30と焼結層40との間の接合強度が高い。
【0037】
また、金属粒子41は、加熱された結果として焼結体を形成するが、金属粒子41を加熱する際には、熱伝導部材2Aを構成するグラファイトシート20も加熱される。しかしながら、グラファイトシート20は耐熱性が低く、400℃以上の温度で加熱すると劣化する。そこで、金属粒子41には、400℃未満の温度で焼結可能な粒径を有した金属粒子が用いられている。
【0038】
詳細には、金属粒子41が銅または銅合金で形成されている場合、400℃未満の温度で焼結が可能な粒径は数十μm~ナノサイズであり、300℃未満の温度で焼結を可能にするには、10μm未満の粒径とすることが望ましい。或いは、金属粒子41は、1μm未満のいわゆるナノサイズの粒径であることがさらに望ましい。例えば、金属粒子41は、ナノサイズの粒径の場合、数百~数十nmの粒径である。このような粒径であれば、通常であれば金属固有の融点の約1/2の温度で金属粒子の結合が始まるところを、金属間結合を誘発することで、更に低い温度である150~300℃の温度で金属粒子41を焼結できるからである。
【0039】
ここで、粒径とは、金属粒子41全体の平均径(例えば、幾何平均径、平均体積径)のことをいう。
【0040】
図2に示すように、ヒートシンク50は、グラファイトシート20に伝わった熱をより高い効率で放熱するために設けられている。ヒートシンク50は、熱伝導率が高い金属、例えば、純アルミニウムまたはアルミニウム合金で形成されている。そして、ヒートシンク50は、表面積を大きくするため、平面視でグラファイトシート20よりもやや大きい平板の形状の支持部51と、支持部51の一面の側に設けられ、互いに平行かつ一定間隔で配置された板状の複数のフィン52とを有する。
【0041】
ヒートシンク50は、支持部51の、フィン52が設けられた一面とは反対側の他面をグラファイトシート20に向け、さらに、その他面が、図示せぬ金属ペースト、はんだ等の接合手段によって、グラファイトシート20を覆う金属層30に接合されている。これにより、ヒートシンク50には、グラファイトシート20の下面にある金属層30を介して、グラファイトシート20の熱が伝わる。ヒートシンク50は、その熱をフィン52から周辺の空気へ放つ。その結果、回路基板10が蓄熱することなく、温度上昇に伴う熱ストレスの影響を抑制できる。
上記構成では、半導体素子3が実装された回路基板10とグラファイトシート20を覆う金属層30との接合部分で熱が伝わりやすく、さらに、グラファイトシート20と金属層30の熱伝導率が高いため、熱伝導部材2Aの放熱効率が高い。
【0042】
次に、図4図7を参照して、熱伝導部材2Aの製造方法について説明する。
【0043】
図4は、熱伝導部材2Aの製造方法のフローチャートである。図5(A)は、同製造方法が備える粗面化工程で粗面化される前のグラファイトシート材料22の断面図であり、図5(B)は、粗面化工程の粗面化の手法を説明する図であり、図5(C)は、粗面化工程で粗面化されたグラファイトシート20の断面図である。図6は、同製造方法が備える金属層形成工程で金属層30が形成されたグラファイトシート20の断面図である。図7は、同製造方法が備える接合工程で接合された回路基板10とグラファイトシート20の断面図である。
【0044】
熱伝導部材2Aを形成する際には、図4に示すように、まず、グラファイトシート材料22を粗面化する粗面化工程を行う(ステップS1)。
【0045】
詳細には、回路基板10とほぼ同じ平面形状を有し、かつ、複数のグラファイトが上述したベーサル面Bをシート面Sと平行に向けた状態に積層された図5(A)に示すグラファイトシート材料22を用意する。そして、グラファイトシート材料22のシート面Sをブラスト法により粗面化する。例えば、図5(B)に示すように、ノズル61、62からスラリーSLをシート面Sに噴射する、いわゆるウエットブラスト法を用いることができる。粗面化により実現されるシート面Sの面粗さ(算術平均高さSa)は、例えば、1.0~3.0μmである。これにより、図5(C)に示すように、シート面S全体にわたって微細な凹凸部21を形成することができる。
【0046】
なお、グラファイトシート材料22の粗面化は、グラファイトシート材料22を粗面化できる方法であれば、ウエットブラスト法に限定されない。サンドブラスト、ブロワブラスト、ドライアイスブラスト、ショットブラスト等の方法であってもよい。
【0047】
次に、図4に示すように、グラファイトシート20に金属層30を形成する金属層形成工程を行う(ステップS2)。
【0048】
例えば、電解メッキ法により、図6に示すように、グラファイトシート20全体を覆う銅の金属層30を形成する。電解メッキ法のほか、スパッタリング、厚膜印刷(スクリーン印刷)、無電解メッキ等の成膜方法で金属層30を形成してもよい。但し、高い密着性を実現するには、電解メッキ法が望ましい。なお、金属層30は、銅合金であってもよい。
【0049】
金属層形成工程では、例えば、上述した5~10μmの厚みの金属層30を形成する。ステップS1でグラファイトシート20の表面全体にわたって微細な凹凸部21が形成されているため、形成される金属層30は、グラファイトシート20から剥がれにくい。
【0050】
次に、図4に示すように、接合材料であるペーストを塗布するペースト塗布工程を行う(ステップS3)。
【0051】
このペースト塗布工程では、接合材料のペーストとして、上述した粒径であり、上述した金属層30の金属材料と同種の金属(例えば、銅)で形成された金属粒子41を含むペーストを用意する。なお、金属層30と金属粒子41は、線膨張係数差の観点から同種の金属によって形成されていることが好ましいが、接合が可能であれば、異種金属の組み合わせであってもよい。例えば、金属層30が銅により形成され、金属粒子41が銀により形成されてもよい。
【0052】
塗布性を高めるため、ペーストにバインダー、溶剤等を含めてもよい。例えば、金属粒子41の材料が銅または銅合金である場合、上述したように、300℃未満の温度で焼結させるためには粒径は10μm未満であることが望ましい。粒径が10μm~1μm程度の場合、バインダーに樹脂成分が多く含まれるので、形成される焼結層40の熱伝導率は数十W/mk程度である。
【0053】
金属粒子41の材料が銅または銅合金である場合、150~300℃の温度で焼結させるためには、1μm未満のナノサイズであることがさらに望ましい。この場合、形成される焼結層40の熱伝導率を130~240W/mkに高めることができる。
【0054】
準備したペーストを、グラファイトシート20の一面の側にある金属層30の上、又は、グラファイトシート20の一面が重ね合わされる回路基板10の他面に塗布する。例えば、回路基板10の他面に、銅ペーストを印刷する。ペーストを塗布した後、グラファイトシート20の一面に、回路基板10の他面を重ね合わせることで、グラファイトシート20と回路基板10の間にペーストを浸透させて、グラファイトシート20と回路基板10の間に金属粒子41の集合体の層である粒体層を形成する。
【0055】
粒体層を形成した後、グラファイトシート20と回路基板10とを接合する接合工程を行う(ステップS4)。
【0056】
詳細には、粒体層が形成され、グラファイトシート20が重ね合わされた回路基板10を加熱炉に入れて、金属粒子41を焼結させ、焼結層40を形成させることで、グラファイトシート20を覆う金属層30と回路基板10とを結合させる。このときの加熱温度は、グラファイトシート20の劣化を防ぐため、400℃以下であり、上述した金属粒子41の粒径に応じた温度で加熱することが望ましい。この加熱処理により、図7に示すグラファイトシート20が接合された回路基板10が作製される。
【0057】
なお、グラファイトシート20と回路基板10の接合強度を高めるため、回路基板10は、接合面側に金属層を備えていてもよい。その場合、金属層は、接合強度を高めるため、金属粒子41と同種の金属材料であることが望ましい。
以上により、熱伝導部材2Aが完成する。
【0058】
熱伝導部材2Aが完成した後、必要に応じて、図4に示すように、ヒートシンク50をグラファイトシート20に取り付ける組み立て工程を行う(ステップS5)。例えば、金属ペースト、はんだ等の接合手段によって、回路基板10に接合されたグラファイトシート20にヒートシンク50を取り付ける。金属ペーストを用いる場合、ステップS3で用いたペーストと同じ金属粒子41を含む金属ペーストを用いるとよい。
【0059】
なお、図1および図2を参照して説明した電子部品1Aを製造するには、ステップS4でグラファイトシート20が接合された回路基板10に半導体素子3を実装すればよい。
【0060】
以上のように、実施の形態1に係る熱伝導部材2Aでは、回路基板10とグラファイトシート20の金属層30が焼結層40により強固に結合している。そして、金属層30と焼結層40が熱伝導率の高い金属で形成されている。このため、回路基板10からグラファイトシート20へ高い効率で熱を伝えることができる。
【0061】
また、熱伝導部材2Aでは、グラファイトシート20のベーサル面Bがシート面Sに対向する向きで接合しているため、回路基板10からグラファイトシート20に伝わった熱をシート面Sの延在方向へ素早く拡散させることできる。例えば、回路基板10上に発熱体となる複数の半導体素子3を集中して配置し、回路基板10に局所的に熱が生じた場合でも、速やかに拡散させることができる。回路基板10上には、発熱体となる半導体素子3とは別に、半導体素子3を駆動するための駆動用素子が実装されることがあり、回路基板10が高温となると駆動用素子が熱破壊に繋がるが、熱伝導部材2Aでは、シート面Sの延在方向へ速やかに排熱することで駆動用素子の熱破壊を防ぐことができる。
【0062】
また、金属層30が焼結層40を形成する金属粒子41と同種の金属材料であるため、金属層30と焼結層40の間での熱伝導性が高く、また、接合強度も高い。熱伝導部材2Aは、高温の環境でも、部材間の線膨張係数の差による剥離やクラックの発生のおそれが無く、高い接合強度を維持することができる。
【0063】
グラファイトシート20には、厚み方向に複数のグラファイトの層を横断する凹凸部21が形成されている。そして、金属層30がその凹凸部21を覆っている。このため、金属層30のグラファイトシート20への密着性が高いことで熱伝導性が高く、また、金属層30がグラファイトシート20から剥がれにくい。これらの結果、半導体素子3で発生した熱をヒートシンク50に高い熱伝導率で伝達し、放熱させることができる。
【0064】
また、熱伝導部材2Aの製造方法では、金属粒子41の粒径を小さくすることにより、例えば、粒径がナノサイズの金属粒子41を用いることで、焼結に必要な温度を下げ、グラファイトシート20を劣化させることなく熱伝導部材2Aを製造できる。
【0065】
(実施の形態2)
実施の形態1に係る熱伝導部材2Aでは、グラファイトシート20のベーサル面Bが回路基板10の延在方向に対して平行になるように、回路基板10とグラファイトシート20が接合されている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、グラファイトシート20のベーサル面Bが回路基板10の延在方向に対して垂直となるように接合されていてもよい。
【0066】
実施の形態2に係る熱伝導部材2Bでは、グラファイトシート20のベーサル面Bが回路基板10の延在方向に対して垂直である。以下、図8図11を参照して、実施の形態2に係る熱伝導部材2Bとそれを用いた電子部品1Bの構成を説明する。
【0067】
図8は、実施の形態2に係る熱伝導部材2Bを備える電子部品1Bの断面図である。なお、図1と同じ箇所で電子部品1Bを切断したときの断面を示している。また、一つのグラファイトシート20にのみシート面Sを図示しているが、同様に、全てのグラファイトシート20がシート面Sを有している。
【0068】
図8に示すように、熱伝導部材2Bは、複数枚のグラファイトシート20が積層された積層体70を備える。
【0069】
積層体70は複数のグラファイトシート20で構成されている。各グラファイトシート20は、実施の形態1と同様に、グラファイトのベーサル面Bがシート面Sに対して平行となるように積層されており、シート面Sには、凹凸部21が形成され金属層30で覆われている。各グラファイトシート20は、シート面Sを同方向に向けた状態で積層されている。これにより、隣り合うグラファイトシート20間に金属層30を有する積層体70を形成している。
【0070】
積層体70は、各グラファイトシート20のシート面Sを回路基板10に対して鉛直方向に向けて、焼結層40により接合されている。接合面となる積層体70の上面では、各グラファイトシート20を覆う金属層30が露出している。その金属層30の上端面が、焼結層40によって回路基板10の下面に接合されている。これにより、積層体70は、回路基板10と強固に結合されている。
【0071】
積層体70では、回路基板10から伝わった熱を鉛直方向へ逃がすことで回路基板10を冷却する。換言すると、積層体70は、回路基板10から伝わった熱を放熱する放熱体として機能する。
【0072】
グラファイトシート20単体では、厚みが最大100μm程度であるため、熱を伝える部材として使用することができるが、放熱体としての利用は難しい。これに対して、熱伝導部材2Bでは、グラファイトシート20が積層体70を形成しているので、熱容量が大きくなり、上記のように、放熱体として利用できる。更に、グラファイトシートの密度は2g/cmであり、例えばアルミニウムの場合の2.7g/cmと比べ小さくなっており軽量化が可能となる。
【0073】
なお、熱伝導部材2Bでは、各グラファイトシート20のベーサル面Bが鉛直方向に向けられているが、鉛直方向に限らず、ベーサル面Bは熱を逃がしたい方向へ向ければよい。
【0074】
上述の積層体70では上面から各グラファイトシート20が露出しているが、焼結層40との接合力をより高めるために、積層体70の上面にも金属層30を形成していてもよい。また、放熱性をより高めるために、積層体70の上面とは反対側となる積層体70の下面に、実施の形態1と同様のヒートシンクを接合してもよい。
【0075】
続いて、図9図11を参照して、熱伝導部材2Bの製造方法を説明する。
【0076】
図9は、熱伝導部材2Bの製造方法のフローチャートである。図10は、同製造方法が備える積層工程で積層されたグラファイトシート20の断面図である。図11は、同製造方法が備える切断工程で切断されるグラファイトシート20の断面図である。
【0077】
熱伝導部材2Bの製造方法では、積層体70を構成する、金属層30に覆われた複数のグラファイトシート20を用意する。グラファイトシート20のグラファイトの積層構造、また、金属層30の形成方法は、実施の形態1と同様であるため、ステップS21,ステップS22の説明は省略する。
【0078】
次に、金属層30に覆われたグラファイトシート20を積層する積層工程を行う(ステップS23)。詳細には、シート面Sを同じ向きにグラファイトシート20を積層し、例えば、実施の形態1で説明した金属粒子41を含むペーストを用いてグラファイトシート20同士を接合する。或いは、ホットプレスや超音波接合により、グラファイトシート20同士を接合する。これにより、図10に示す積層体80を作製する。
【0079】
次に、図9に示すように、作製された積層体80を切断する截断工程を行う(ステップS24)。詳細には、図11に示すように、積層体80を所望の長さで積層方向Dと同じ方向に切断する。これにより、上述した積層体70を作製する。
【0080】
積層体70を作製した後、図9に示すように、ペースト塗布工程を行う(ステップS25)。この工程では、実施の形態1で説明した金属粒子41を含むペーストを、実施の形態1の場合と異なり、積層体70の切断面または、回路基板10の、積層体70の切断面が接合される接合面に塗布する。そして、回路基板10の接合面に積層体70の切断面を重ね合わせる。
【0081】
続いて、重ね合わされた回路基板10と積層体70を加熱して、金属粒子41を焼結させる接合工程を行う(ステップS26)。このときの加熱温度は、実施の形態1と同様の理由から400℃以下が望ましい。これにより、回路基板10と積層体70が接合される。以上の工程により、熱伝導部材2Bが完成する。
【0082】
以上のように、実施の形態2に係る熱伝導部材2Bは、各グラファイトシート20のべーサル面Bが回路基板10の接合面に対して垂直な積層体70を備える。このため、熱伝導部材2Bは、回路基板10に伝わった熱を接合面に対して垂直な方向へ逃がすことができる。その結果、回路基板10に伝わった熱を高い効率で放熱することができる。
【0083】
以上、本発明の実施の形態1、2に係る熱伝導部材2A、2Bおよび熱伝導部材2A、2Bの製造方法について説明したが、本発明はこれに限定されない。
【0084】
例えば、実施の形態1では、熱伝導部材2Aにヒートシンク50が取り付けられている。しかし、本発明はこれに限定されない。本発明では、ヒートシンク50は任意の構成である。熱伝導部材2Aは、ヒートシンク50が取り付けられていなくても、回路基板10に伝わった電子部品1Aの熱を拡散できるからである。
【0085】
実施の形態1、2では、半導体素子3の例として、発光ダイオードを例示したが、半導体素子3はこれに限定されず、情報処理を行うプロセッサ、記憶素子、電力の供給制御を行うパワー半導体、抵抗素子等、発熱する任意の半導体素子であってもよい。
また、実施の形態1、2では、発熱体は半導体素子であるが、本発明はこれに限定されず、発熱体は、抵抗、コイル等の回路素子、部品、機械等でもよい。
【0086】
実施の形態1、2では、金属層30は、銅または銅合金によって形成されているが、本発明はこれに限定されない。金属層30は、金属で形成されていればよい。このため、銅または銅合金よりも加工性は劣るものの、純アルミニウムまたは、アルミニウム合金であってもよい。
【0087】
実施の形態1、2では、金属層30は、グラファイトシート20の全体を覆っているが、これに限定されず、グラファイトシート20の一部、例えば、回路基板10との接合部分にのみ設けられていてもよい。
【0088】
実施の形態1、2では、焼結層40の金属粒子が銅または銅合金によって形成されているが、本発明はこれに限定されない。本発明では、焼結層40の金属粒子は、銀で形成されていてもよい。この場合、上述したペースト塗布工程では、接合材料のペーストとして、銀ペーストを用いるとよい。
【0089】
実施の形態1、2では、回路基板10の一面に発熱体を搭載し、他面に熱伝導部材2A、2Bを配置し、熱伝導部材2A、2Bにヒートシンク50を配置したが、熱伝導部材2A、2Bを発熱体に直接固定する構成も可能である。この場合、例えば、焼結層40を発熱体の接合部に結合させるとよい。例えば、金属層30を発熱体の接合部に重ねて、その間に金属粒子41の粒体層を形成し、その粒体層を加熱することにより、焼結層40を形成するとよい。
【0090】
また、放熱用の部材として、ヒートシンク50を例示したが、ヒートシンクに限定されず、水冷式の冷却部材等任意の冷却部材を使用できる。また、放熱部材を設けず、熱伝導部材2A自体を放熱部材として利用してもよい。
【符号の説明】
【0091】
1A,1B 電子部品
2A,2B 熱伝導部材
3 半導体素子
4,5 端子
6,7 ワイヤ
10 回路基板
11,12 配線
20 グラファイトシート
21 凹凸部
22 グラファイトシート材料
30 金属層
40 焼結層
41 金属粒子
50 ヒートシンク
51 支持部
52 フィン
61,62 ノズル
70,80 積層体
B ベーサル面
D 積層方向
S シート面
SL スラリー
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11