(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054529
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】扉の気密構造
(51)【国際特許分類】
B61B 1/02 20060101AFI20240410BHJP
E06B 7/18 20060101ALI20240410BHJP
E06B 7/22 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B61B1/02
E06B7/18 B
E06B7/22 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160800
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】390021577
【氏名又は名称】東海旅客鉄道株式会社
(71)【出願人】
【識別番号】000004617
【氏名又は名称】日本車輌製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000534
【氏名又は名称】弁理士法人真明センチュリー
(72)【発明者】
【氏名】青木 優介
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼野 了輔
(72)【発明者】
【氏名】井本 清紀
(72)【発明者】
【氏名】佐野 裕隆
(72)【発明者】
【氏名】堂城 昌宏
(72)【発明者】
【氏名】古田 幸大
【テーマコード(参考)】
2E036
3D101
【Fターム(参考)】
2E036AA02
2E036BA01
2E036CA01
2E036DA02
2E036EB07
2E036EC02
2E036FA05
2E036GA02
2E036HB03
3D101AA02
3D101AA05
3D101AA12
3D101AA26
(57)【要約】
【課題】気密性を確保できる扉の気密構造を提供すること。
【解決手段】区画構造1には、乗客が乗降するための開口部121の周縁に沿って膨張ゴム300が配設される。開口部121を閉鎖する閉鎖位置に扉200L,200Rが配置されると、給排装置から膨張ゴム300の内部空間Sに圧縮空気が供給される。これにより、膨張ゴム300が膨張され、膨張ゴム300の被当接壁321が扉200L,200Rの背面に当接される。その結果、膨張ゴム300のシール面に面圧を付与でき、気密性を確保できる。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗客が乗降するための開口部を有し、ホーム側の空間および軌道側の空間を区画する固定枠と、
その固定枠に配設され、前記開口部を開放する開放位置および前記開口部を閉鎖する閉鎖位置の間でスライド変位される扉と、
前記開口部の周縁に沿って前記固定枠の正面に配設され、内部空間に流体が供給されることで膨張される膨張ゴムと、
その膨張ゴムの前記内部空間に流体を供給および排出する給排装置と、を備え、
前記給排装置から前記内部空間に流体が供給されて膨張された前記膨張ゴムが、前記閉鎖位置に配置された前記扉の背面に当接されることを特徴とする扉の気密構造。
【請求項2】
前記給排装置は、前記膨張ゴムの前記内部空間から流体を吸引可能に構成されることを特徴とする請求項1記載の扉の気密構造。
【請求項3】
前記扉は、第1扉体および第2扉体を備え、それら第1扉体および第2扉体が互いに近づく方向および互いに離れる方向にスライド変位する両引き戸として構成され、
第1扉体および第2扉体は、戸先に沿って配設される第1戸先ゴム及び第2戸先ゴムをそれぞれ備え、
前記第1戸先ゴムの横断面が戸先方向へ突出する凸形状に形成され、第2戸先ゴムの横断面が前記第1戸先ゴムの凸形状が嵌合する凹形状に形成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の扉の気密構造。
【請求項4】
前記第1戸先ゴム及び前記第2戸先ゴムは、前記膨張ゴムに対向する側の面が前記第1扉体および前記第2扉体の背面と略面一となる位置に配設されることを特徴とする請求項3記載の扉の気密構造。
【請求項5】
前記固定枠の正面に配設され、前記膨張ゴムの両側に位置する一対のガイド体を備え、
前記固定枠の正面には、前記開口部の周縁に沿う位置に凹溝が凹設され、
前記膨張ゴムは、前記凹溝に配設される基部と、その基部と共に前記内部空間を形成し、前記給排装置から前記内部空間に流体が供給されることで膨張される膨張部とを備え、
前記一対のガイド体は、前記膨張ゴムの基部の一部を前記凹溝の底面との間で挟持する挟持部と、その挟持部から立設され前記膨張ゴムの膨張部に対向する立設部とをそれぞれ備えることを特徴とする請求項1記載の扉の気密構造。
【請求項6】
前記膨張ゴムの膨張部は、前記扉の背面に外面が当接される被当接壁と、その被当接壁を前記基部に連結すると共に所定間隔を隔てて対向する一対の側壁とを備え、
前記被当接壁の外面が前記扉の背面に当接された状態では、前記ガイド体の立設部の先端が前記被当接壁の内面よりも前記扉の背面に近い位置に配置されることを特徴とする請求項5記載の扉の気密構造。
【請求項7】
前記膨張ゴムの膨張部は、前記被当接壁の外面から突設され前記開口部の周縁に沿って連続して延びる突条を備えることを特徴とする請求項6記載の扉の気密構造。
【請求項8】
前記膨張ゴムの膨張部は、前記側壁が屈曲して形成され、前記側壁の屈曲部分が伸ばされることで前記被当接壁が前記扉の背面へ当接されると共に前記側壁の屈曲部分が曲げられることで前記被当接壁が前記扉の背面から離間されることを特徴とする請求項6又は7に記載の扉の気密構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、扉の気密構造に関し、特に、気密性を確保できる扉の気密構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
駅のホームにホームドアを設置して、軌道への乗客の転落を防止する技術が知られている(特許文献1)。このような従来のホームドアは、柵として構成され、上方が開放されているため、鉄道車両が駅を通過する際、ホームで待つ乗客が風圧を受けやすい。
【0003】
そこで、本願出願人は、ホーム側の空間と軌道側の空間とを固定枠により区画すると共に、その固定枠に開口部(乗客の出入口)を設け、開口部を扉により開閉する技術に想到した(本願出願時において未公知)。鉄道車両が駅を通過する際、開口部を扉で閉鎖しておくことで、ホームで待つ乗客が風圧を受けることを抑制できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2021-11256号公報(例えば、段落0032、
図1など)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、高速車両のように走行速度が高い場合、開口部が扉で閉鎖されていても、扉の気密性が不十分であると、高速車両が駅を通過する際の圧力変動が、ホームで待つ乗客に影響を与えるという問題点が新たに判明した。
【0006】
本発明は上述した問題点を解決するためになされたものであり、気密性を確保できる扉の気密構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この目的を達成するために本発明の扉の気密構造は、乗客が乗降するための開口部を有し、ホーム側の空間および軌道側の空間を区画する固定枠と、その固定枠に配設され、前記開口部を開放する開放位置および前記開口部を閉鎖する閉鎖位置の間でスライド変位される扉と、前記開口部の周縁に沿って前記固定枠の正面に配設され、内部空間に流体が供給されることで膨張される膨張ゴムと、その膨張ゴムの前記内部空間に流体を供給および排出する給排装置と、を備え、前記給排装置から前記内部空間に流体が供給されて膨張された前記膨張ゴムが、前記閉鎖位置に配置された前記扉の背面に当接される。
【発明の効果】
【0008】
請求項1記載の扉の気密構造によれば、乗客が乗降するための開口部を有し、ホーム側の空間および軌道側の空間を区画する固定枠と、その固定枠に配設され、開口部を開放する開放位置および開口部を閉鎖する閉鎖位置の間でスライド変位される扉とを備えるので、鉄道車両が駅を通過する際、開口部を扉で閉鎖しておくことで、ホームで待つ乗客が風圧を受けることを抑制できる。
【0009】
この場合、請求項1記載の扉の気密構造によれば、開口部の周縁に沿って固定枠の正面に配設され、内部空間に流体が供給されることで膨張される膨張ゴムと、その膨張ゴムの内部空間に流体を供給および排出する給排装置とを備え、給排装置から内部空間に流体が供給されて膨張された膨張ゴムが、閉鎖位置に配置された扉の背面に当接されるので、流体の供給圧力をシール面圧として利用できる。即ち、膨張ゴムのシール面に面圧を付与でき、その結果、気密性を確保できる。
【0010】
請求項2記載の扉の気密構造によれば、請求項1記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、給排装置は、膨張ゴムの内部空間から流体を吸引可能に構成されるので、例えば、膨張ゴムの内部空間に供給された流体を大気圧に開放するのみの場合と比較して、膨張ゴムを速やかに収縮させることができる。また、吸引により膨張ゴムの内部空間を負圧とした場合には、膨張ゴムと扉との当接を確実に解除できる。
【0011】
請求項3記載の扉の気密構造によれば、請求項1又は2に記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、第1戸先ゴムの横断面が戸先方向へ突出する凸形状に形成され、第2戸先ゴムの横断面が第1戸先ゴムの凸形状が嵌合する凹形状に形成されるので、両者を凹凸嵌合させることができる。よって、高速車両が駅を通過する際の気圧変動(風圧)により第1戸先ゴム及び第2戸先ゴムの間に隙間が生じることを抑制できる。その結果、気密性を確保できる。
【0012】
また、閉鎖位置へ向けてスライド変位される際に第1扉体および第2扉体がスライド方向に直交する方向に互い違いに位置ずれしている場合でも、閉鎖位置において第1戸先ゴム及び第2戸先ゴムが凹凸嵌合されることにより、スライド方向に直交する方向の位置ずれを減少させることができる。その結果、気密性を確保できる。
【0013】
請求項4記載の扉の気密構造によれば、請求項3記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、第1戸先ゴム及び第2戸先ゴムは、膨張ゴムに対向する側の面が第1扉体および第2扉体の背面と略面一となる位置に配設されるので、第1扉体および第2扉体の戸先に段差が形成されることを抑制できる。よって、第1扉体および第2扉体の戸先に当接した膨張ゴムとの間に隙間が形成されることを抑制して、気密性を確保できる。
【0014】
請求項5記載の扉の気密構造によれば、固定枠の正面に配設され、膨張ゴムの両側に位置する一対のガイド体を備え、固定枠の正面には、開口部の周縁に沿う位置に凹溝が凹設され、膨張ゴムは、凹溝に配設される基部と、その基部と共に内部空間を形成し、給排装置から内部空間に流体が供給されることで膨張される膨張部とを備える。
【0015】
この場合、請求項1記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、以下の効果を奏する。一対のガイド体は、膨張ゴムの基部の一部を凹溝の底面との間で挟持する挟持部と、挟持部から立設され膨張ゴムの膨張部に対向する立設部とをそれぞれ備えるので、膨張ゴムを固定枠に固定することができると共に、膨張ゴム(膨張部)の膨張方向を案内して、膨張ゴム(膨張部)を扉の背面に適切な姿勢で当接させることができる。
【0016】
請求項6記載の扉の気密構造によれば、請求項5記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、膨張ゴムの膨張部は、扉の背面に外面が当接される被当接壁と、その被当接壁を基部に連結すると共に所定間隔を隔てて対向する一対の側壁とを備え、被当接壁の外面が扉の背面に当接された状態では、ガイド体の立設部の先端が被当接壁の内面よりも扉の背面に近い位置に配置されるので、ガイド体の立設部の先端が膨張ゴムの側壁に当接することを抑制できる。よって、膨張ゴム(側壁)が破損することを抑制できる。
【0017】
請求項7記載の扉の気密構造によれば、請求項6記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、膨張ゴムの膨張部は、被当接壁の外面から突設され開口部の周縁に沿って連続して延びる突条を備えるので、突条を圧縮変形させてシール面の面圧を高めることができる。その結果、気密性を確保できる。
【0018】
請求項8記載の扉の気密構造によれば、請求項6又は7に記載の扉の気密構造の奏する効果に加え、膨張ゴムの膨張部は、側壁が屈曲して形成され、側壁の屈曲部分が伸ばされることで被当接壁が扉の背面へ当接されると共に側壁の屈曲部分が曲げられることで被当接壁が扉の背面から離間されるので、例えば、被当接壁を基部へ向けて凹ませた形状とし、内部空間に供給される流体により被当接壁を反転させて膨張させる反転式の構造と比較して、膨張ゴムの耐久性と信頼性とを向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図1】一実施形態における区画構造の正面図である。
【
図2】(a)は、
図1のIIa-IIa線における区画構造の部分拡大断面図であり、(b)は、
図2(a)のIIb-IIb線における区画構造の部分拡大断面図である。
【
図3】
図1のIII-III線における区画構造の部分拡大断面図である。
【
図4】(a)は、膨張ゴムが収縮された状態の
図2(a)のIIb-IIb線における区画構造の部分拡大断面図であり、(b)は、膨張ゴムが伸長された状態の
図2(a)のIIb-IIb線における区画構造の部分拡大断面図である。
【
図5】(a)は、膨張ゴムが収縮された状態の
図1のIII-III線における区画構造の部分拡大断面図であり、(b)は、膨張ゴムが伸長された状態の
図1のIII-III線における区画構造の部分拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の好ましい実施形態について添付図面を参照して説明する。
図1は一実施形態における区画構造1の正面図である。なお、
図1では、扉200Rの一部が部分的に省略して図示される。また、
図1中の矢印F-B,矢印U-D及び矢印L-Rは、区画構造1の前後方向、上下方向および左右方向をそれぞれ表している。本実施形態では、前後方向は枕木方向に、左右方向はレール方向に、それぞれ対応する。
図2以降においても同様であるので、その説明は省略する。
【0021】
図1に示すように、区画構造1は、ホーム側(
図1紙面手前側、矢印F方向側)の空間および軌道側(
図1紙面奥側、矢印B方向側)の空間を区画する固定枠100と、その固定枠100に配設される扉200L,200Rと、それら扉200L,200Rの背面に当接して気密を確保するための膨張ゴム300と、その膨張ゴム300の内部空間S(
図2参照)に空気を供給および排出する給排装置(図示せず)とを備える。なお、本実施形態において、正面とは、ホーム側(
図1紙面手前側)を向く面であり、背面とは、軌道側(
図1紙面奥側)を向く面である。
【0022】
固定枠100は、ホームに配設される基部110と、その基部110から立設される壁部120と、その壁部120の上方に配設される駆動部130と、壁部120の下方に配設される案内部140とを備える。壁部120は、乗客が乗降するための開口として形成される開口部121を備える。開口部121は、正面視縦長の長方形に形成される。なお、固定枠100の周囲には、図示しない壁が配設され、その壁および固定枠100によって、ホーム側の空間と、軌道側の空間とが区画される。
【0023】
扉200L,200Rは、左右(矢印L-R方向)にスライド変位する両引き戸として構成され、開口部121を開放する開放位置(図示せず)及び開口部121を閉鎖する閉鎖位置(
図1に示す位置)の間でスライド変位される。即ち、扉200L,200Rは、互いに近づく方向および互いに離れる方向に固定枠100の正面と平行にスライド変位される。扉200L,200Rは、戸先に沿って配設される戸先ゴム500,600を備える。
【0024】
駆動部130は、左右方向(矢印L-R方向)に沿って延設されるリニアガイド131と、そのリニアガイド131に案内されて左右方向に沿ってスライド変位される一対の移動体132L,132Rと、それら移動体132L,132Rがそれぞれ固着される無端状のベルト133と、そのベルト133が平行掛けされる駆動プーリー134及び従動プーリー135と、駆動プーリー134が固着される駆動軸を正逆回転可能に構成されるモータ136とを備え、移動体132L,132Rの下端が扉200L,200Rの上端に固着される。
【0025】
扉200L,200Rの下端には、複数の車輪201が回転可能に軸支される。案内部140は、車輪201の転動方向を扉200L,200Rの開閉方向(矢印L-R方向)に規制するガイドレールとして構成される。さらに、リニアガイド131は、移動体132L,132Rの上下方向への変位を規制可能に構成される。即ち、扉200L,200Rは、リニアガイド131及び案内部140によって、左右方向(矢印L-R方向)へのスライド変位のみが許容され、前後方向(矢印F-B方向)及び上下方向(矢印U-D方向)への変位(製造上の寸法公差を超える変位)は規制される。
【0026】
ベルト133は、駆動プーリー134及び従動プーリー135の間の部分が、リニアガイド131の延設方向(矢印L-R方向)と略平行に展張される。移動体132Lと移動体132Rとがそれぞれベルト133に固着される位置は、略半周分だけ位相を異ならせた位置とされる。
【0027】
よって、モータ136が正転されると、移動体132L,132Rが互いに離間する方向へスライド変位され、扉200L,200Rが開放位置へ向けてスライド変位される。一方、モータ136が逆転されると、移動体132L,132Rが互いに近接する方向へスライド変位され、扉200L,200Rが閉鎖位置へ向けてスライド変位される。
【0028】
膨張ゴム300は、固定枠100(壁部120)の正面(
図1紙面手前側の面)に配設され、扉200L,200Rの背面(
図1紙面奥側の面)へ向けて突出される(
図2参照)。膨張ゴム300は、開口部121の周縁に沿って配設され、閉鎖位置にある扉200L,200Rと正面視で重なる。膨張ゴム300は、長手方向に同一の横断面形状(
図2(b)に示す形状)が連続し、長手方向の一端と他端とを連結して無端状とした部材として形成される。なお、膨張ゴム300の横断面とは、膨張ゴム300の長手方向に直交する平面で切断した断面である。膨張ゴム300の材料は、合成ゴムやフッ素ゴムなどの熱硬化性エラストマーが例示される。
【0029】
図2(a)は、
図1のIIa-IIa線における区画構造1の部分拡大断面図であり、
図2(b)は、
図2(a)のIIb-IIb線における区画構造1の部分拡大断面図である。なお、
図2(a)及び
図2(b)では、膨張ゴム300の内部空間Sが大気に連通された状態(後述する給排装置が第3状態とされた状態)が図示される。
【0030】
固定枠100の壁部120の正面には、開口部121の周縁に沿って凹溝122が凹設され、その凹溝122に沿って膨張ゴム300が配設される。また、固定枠100の壁部120の正面には、膨張ゴム300を挟んで開口部121側および開口部121の反対側の両側に一対のガイド体400が向い合せで配設される。
【0031】
膨張ゴム300は、凹溝122に嵌り込む基部310と、その基部310と共に内部空間Sを形成し、その内部空間Sに空気が供給されることで膨張する膨張部320とを備える。
【0032】
膨張部320は、扉200L,200Rの背面に対向する被当接壁321と、その被当接壁321を基部310に連結すると共に所定間隔を隔てて対向する一対の側壁322とを備える。
【0033】
一対の側壁322は、被当接壁321よりも薄肉(小さな厚み寸法)に形成され、基部310と被当接壁321とを連結する方向(
図2(b)では矢印F-B方向)における略中央部分が折り曲げられて内側に位置する形状(略V字形状)に形成される。よって、膨張ゴム300は、側壁322が屈伸されることで、膨張部320が伸縮される。
【0034】
詳細には、側壁322の屈曲部分(折り曲げられて内側に位置する部分)が伸びる(折り曲げの角度が大きくされる)ことで、膨張部320が伸長され、被当接壁321の外面が扉200L,200Rの背面に当接される(
図4(b)参照)。一方、側壁322の屈曲部分が屈曲される(折り曲げの角度が小さくされる)ことで、膨張部320が収縮され、被当接壁321の外面が扉200L,200Rの背面から離間される(
図4(a)参照)。
【0035】
膨張部320の被当接壁321は、その外面(扉200L,200Rに対向する側の面)から突設される複数本(本実施形態では3本)の突条321aを備える。各突条321aは、横断面が先細の円弧状とされ、被当接壁321の長手方向(即ち、開口部121の周縁)に沿って連続して延びる無端状に形成される。よって、被当接壁321が扉200L,200Rに当接された際には、突条321aを圧縮変形させて、シール面の面圧を高めることができる。その結果、気密性を確保できる。
【0036】
なお、膨張ゴムを反転式(被当接壁を比較的薄肉にすると共に基部310へ向けて凹ませた形状としておき、内部空間Sに圧縮空気を供給することで、被当接壁を反転(膨張)させてその外面を扉200L,200Rの背面に当接させる構成)とした場合には、被当接壁の変形量(ひずみ量)が大きくなるため、耐久性が低く、また、内部空間Sの空気を真空引きしても、被当接壁が反転しない(初期形状に戻らない)ことがあり、動作の信頼性が低い。
【0037】
これに対し、本実施形態の膨張ゴム300は、折り曲げられた側壁322を屈伸させて、被当接壁321を、扉200L,200Rに当接させる構成なので(
図4(a)及び
図4(b)参照)、被当接壁321及び側壁322の変形量(ひずみ量)を小さくして、耐久性を確保でき、また、被当接壁321を扉200L,200Rの背面から確実に離間させることができ、動作の信頼性を確保できる。
【0038】
一対のガイド体400は、凹溝122の底面との間で膨張ゴム300の基部310を挟持する挟持部410と、その挟持部410から膨張ゴム300の伸縮方向に沿って立設される立設部420とをそれぞれ備える。挟持部410は、固定枠100の壁部120の正面にボルトにより締結固定される。立設部420と膨張ゴム300の膨張部320とは、所定間隔を隔てて対向される。
【0039】
ガイド体400は、正面視縦長の長方形に形成される開口部121(
図1参照)の周縁の内の直線部分(上下の短辺および左右の長辺の合計4辺)に沿って配設される。即ち、一対のガイド体400を一組として、上下の短辺用の2組と左右の長辺用の2組の合計4組が配設される。
【0040】
なお、開口部121の周縁の内の4か所の角部には、挟持部材(図示せず)がそれぞれ配設される。挟持部材は、固定枠100の壁部120の正面にボルトにより締結固定され、凹溝122の底面との間で膨張ゴム300の基部310を挟持する。
【0041】
固定枠100の壁部120には内部空間が形成され、その内部空間には給排装置の給排管800及び分岐管810が配設される。給排管800は、一端が封止され、一端と他端との間から複数の分岐管810が分岐される。給排管800の他端には、後述する給排装置の配管が接続される。分岐管810は、固定枠100の壁部120及び膨張ゴム300の基部310を貫通し、給排管800の内部空間と膨張ゴム300の内部空間Sとを連通させる。
【0042】
給排装置は、圧縮空気を供給する圧縮空気供給手段と、圧縮空気が供給されることで駆動されて空気を吸引(真空引き)するエジェクタ装置と、給排管800の他端、圧縮空気供給手段およびエジェクタ装置を連通させる複数の配管と、それら複数の配管に配設される複数のバルブとを備え、各バルブの開閉状態をそれぞれ制御することで、圧縮空気供給手段の圧縮空気を給排管800の他端に供給する第1状態と、圧縮空気供給手段から供給される圧縮空気によりエジェクタ装置を駆動させ、そのエジェクタ装置により給排管800の他端から空気を吸引(真空引き)する第2状態と、給排管800の他端を大気開放する第3状態とを形成可能とされる。
【0043】
図3は、
図1のIII-III線における区画構造1の部分拡大断面図である。なお、
図3では、扉200L,200Rが閉鎖位置から所定量だけ開放位置に向かう方向にスライド変位され、戸先ゴム500,600が互いに離間された状態が図示される。
【0044】
図3に示すように、扉200L,200Rの戸先202L,202Rには、保持具700を介して、戸先ゴム500,600が配設(保持)される。戸先ゴム500,600及び保持具700は、長手方向(矢印U-D方向)に同一の横断面形状(
図3に示す形状)が連続する部材として形成される。なお、戸先ゴム500,600及び保持具700の横断面とは、その長手方向に直交する平面で切断した断面である。戸先ゴム500,600の材料は、合成ゴムやフッ素ゴムなどの熱硬化性エラストマーが例示される。
【0045】
保持具700には、扉200L,200Rに配設されるベース部分から一対の壁部が立設されると共にその一対の壁部の立設先端が内側に張り出すことで凹部を有する略C型の横断面形状とされる。
【0046】
戸先ゴム500は、保持具700の凹部に嵌め込まれる嵌込部501と、その嵌込部501から立設される一対の側壁502と、それら一対の側壁502の先端を連結すると共に円弧状に湾曲し戸先ゴム600側へ突出する凸部を形成する凸壁503とを備え、先端が凸型の横断面形状とされる。
【0047】
戸先ゴム600は、保持具700の凹部に嵌め込まれる嵌込部601と、その嵌込部601から立設される一対の側壁602と、それら一対の側壁602の先端を連結すると共に円弧状に湾曲し戸先ゴム500から離れる方向に凹む凹部を形成する凹壁603とを備え、先端が凹型の横断面形状とされる。
【0048】
戸先ゴム500,600は、
図3に示す横断面形状において、凸壁503及び凹壁603の円弧の中心が扉200L,200Rのスライド変位の方向(矢印L-R方向)に沿う同一の仮想線上に位置する。よって、扉200L,200Rが閉鎖位置にスライド変位されると、凸壁503及び凹壁603が凹凸嵌合される(
図5(a)及び
図5(b)参照)。
【0049】
本実施形態では、凹壁603の外面(凸壁503側の面)の半径が凸壁503の外面(凹壁603側の面)の半径よりも大きな寸法に設定され、扉200L,200Rの閉鎖位置は、凸壁503の外面の一部(先端部分)が凹壁603の外面の一部(底部分)に当接される位置に設定される。
【0050】
よって、凹壁603の外面と凸壁503の外面とが同一の半径とされる場合と比較して、凸壁503の外面の一部と凹壁603の外面の一部とを密着させやすくでき、気密性を確保できる。また、凸壁503の外面の全体が凹壁603の外面の全体に当接される位置を扉200L,200Rの閉鎖位置とする場合と比較して、戸先ゴム500,600を凹凸嵌合させるのに必要なモータ136の駆動力を小さくできる。モータ136の駆動力を小さくできることで、異物が戸先ゴム500,600(凸壁503及び凹壁603)の間に挟まれた場合であっても、異物への負荷を軽減させて安全性を向上できる。
【0051】
戸先ゴム500,600は、上述したように、長手方向に沿って同一の横断面形状が連続される。即ち、戸先ゴム500,600は、長手方向両端が開放されており、内部空間が外部と連通される。よって、凹凸嵌合の際、内部空間の空気が圧縮されず、凸壁503及び凹壁603の変形性が阻害されないため、それらの外面どうしを密着させやすくできる。また、戸先ゴム500,600の長手方向(矢印U-D方向)の両端(上端および下端)においても、凸壁503及び凹壁603の変形性を確保でき、長手方向の全体で均一に外面どうしを密着させることができる。その結果、気密性を確保できる。
【0052】
保持具700及び側壁502,602の両側(矢印B方向側および矢印F方向側)の側面は、前後方向(矢印F-B方向)に略直交する平面(即ち、壁部120の正面および扉200L,200Rの背面と略平行な平面)として形成され、保持具700及び側壁502,602は、背面側の側面(膨張ゴム300に対向する側の面)が扉200L,200Rの背面と略面一となる位置に配設される。
【0053】
次いで、
図4及び
図5を参照して、区画構造1における扉200L,200Rの開閉動作について説明する。
図4(a)及び
図4(b)は、区画構造1の部分拡大断面図であり、
図2(a)のIIb-IIb線における断面に対応する。
図5(a)及び
図5(b)は、区画構造1の部分拡大断面図であり、
図1のIII-III線における断面に対応する。
【0054】
なお、
図4(a)及び
図5(a)では、膨張ゴム300が収縮された状態(給排装置が第2状態とされた状態)が図示され、
図4(b)及び
図5(b)では、膨張ゴム300が伸長された状態(給排装置が第1状態とされた状態)が図示される。
【0055】
まず、扉200L,200Rの閉鎖動作について説明する。扉200L,200Rが開放位置にある状態では、給排装置が第3状態とされ、膨張ゴム300の内部空間Sが大気に連通された状態とされる(
図2(b)参照)。この場合、膨張部320の被当接壁321の外面と扉200L,200Rの背面との間に所定間隔が隔てられる。よって、膨張ゴム300を接触させることなく、扉200L,200Rを閉鎖位置までスライド変位させることができる。
【0056】
この場合、扉200L,200Rが前後方向(矢印F-B方向)に互い違いに位置ずれした状態で閉鎖位置へ向けてスライド変位される場合でも、戸先ゴム500,600(凸壁503及び凹壁603)が凹凸嵌合されることにより扉200L,200Rの前後方向の位置ずれを減少させることができる。これにより、戸先ゴム500,600の間の気密性を確保できると共に、戸先ゴム500,600及び保持具700の背面側の側面と膨張ゴム300(被当接壁321)の外面との間の気密性を確保できる(
図5(b)参照)。
【0057】
また、戸先ゴム500,600が凹凸嵌合されていることで、高速車両が駅を通過する際の圧力変動(風圧)の作用により戸先ゴム500,600の間に隙間が生じることを抑制できる。その結果、気密性を確保できる。本実施形態では、凸壁503の外面の一部(先端部分)が凹壁603の外面の一部(底部分)に当接されているので、圧力変動により扉200L,200Rが前後方向(矢印F-B方向)に互い違いに位置ずれした場合でも、凸壁503の外面および凹壁603の外面が当接する位置を周方向にずらして凹凸嵌合が維持される。よって、気密性を確保できる。
【0058】
扉200L,200Rが閉鎖位置までスライド変位されると、給排装置が第1状態とされる。これにより、圧縮空気が給排管800から分岐管810を通って内部空間Sに供給されることで、
図4(b)及び
図5(b)に示すように、膨張ゴム300の膨張部320が伸長され、被当接壁321の外面が扉200L,200Rの背面に当接される。
【0059】
これにより、内部空間Sに供給された圧縮空気による圧力をシール面圧として利用できる。即ち、膨張ゴム300のシール面(被当接壁321の外面)に面圧を付与でき、気密性を確保できる。
【0060】
また、上述したように、戸先ゴム500,600及び保持具700は、その背面側の側面(膨張ゴム300に対向する側の面)が扉200L,200Rの背面と略面一となる位置に配設されるので(
図3参照)、扉200L,200Rの戸先(即ち、戸先ゴム500,600及び保持具700の側面と扉200L,200Rの背面との間)に段差が形成されることを抑制できる。よって、
図5(b)に示すように、扉200L,200Rの戸先に当接した膨張ゴム300(被当接壁321)との間に隙間が形成されることを抑制して、気密性を確保できる。
【0061】
膨張ゴム300の膨張部320の両側には、ガイド体400の立設部420が立設されている。よって、膨張ゴム300の膨張部320が伸長される際、膨張部320の伸長方向を立設部420により案内して、膨張部320の被当接壁321の外面を扉200L,200Rの背面に適切な姿勢で当接させることができる。その結果、被当接壁321の外面を全体に均等に扉200L,200Rの背面に当接させ、気密性を確保できる。
【0062】
ここで、
図4(b)及び
図5(b)に示す状態において、高速車両が駅を通過し、その通過に伴う圧力変動(風圧)が膨張ゴム300に直接作用される、或いは、圧力変動により扉200L,200Rがスライド変位方向へ振動されると、膨張ゴム300の膨張部320の側面がガイド体400の立設部420の内面(対向面)に押し付けられる。この場合、膨張部320の側壁322は、屈伸性の確保のために比較的薄肉に形成される必要がある。そのため、立設部420の先端が膨張部320の側壁322の側面に当接される構成では、側壁322が破損する虞がある。
【0063】
これに対し、本実施形態では、
図4(b)に示すように、膨張部320の被当接壁321の外面が扉200L,200Rの背面に当接された状態では、ガイド体400の立設部420の先端が、膨張部320の被当接壁321の内面(内部空間S側の面)よりも扉200L,200Rの背面に近い位置に配置される。即ち、膨張部320の被当接壁321の厚み寸法(内面と外面との間の距離)T1が、ガイド体400の立設部420の先端と扉200L,200Rの背面との間の距離T2よりも大きくされる(T2<T1)。
【0064】
これにより、例えば、高速車両が駅を通過する際の圧力変動(風圧)が膨張ゴム300に直接作用される、或いは、圧力変動により扉200L,200Rがスライド変位方向へ振動されることにより、膨張ゴム300の膨張部320の側面がガイド体400の立設部420の内面に押し付けられた場合に、立設部420の先端を被当接壁321の側面に当接させることができる。
【0065】
その結果、膨張部320の側壁322の側面に立設部420の先端が当接されることを抑制でき、膨張部320の側壁322が破損することを抑制できる。
【0066】
なお、被当接壁321は、内部空間Sの内圧により扉200L,200Rの背面に押し付けられ圧縮される部位である。そのため、被当接壁321の側面(立設部420の先端が当接する部分)に亀裂が生じても、圧縮により亀裂が密着されるので気密性に影響を生じ難い。また、亀裂が進展し難い。一方、側壁322は、屈伸動作を繰り返す部位であるため、引張応力により亀裂が進展し易い。よって、立設部420の先端を被当接壁321に当接させる構成が特に有効となる。
【0067】
扉200L,200Rの背面は、被当接壁321が当接する部分にテフロン(登録商標)加工が施される。これにより、被当接壁321の外面が扉200L,200Rに繰り返し当接しても、被当接壁321が扉200L,200Rに粘着することを抑制できる。よって、粘着することによる被当接壁321の劣化を抑制できる。本実施形態では、テフロン(登録商標)加工は、PTFE(四フッ化ポリテトラフルオロエチレン)表面処理が採用される。そのほかにテフロン(登録商標)加工は、PFA(ペルフルオロアルコキシフッ素樹脂)、FEP(四フッ化六フッ化プロピレン共重合体)などの表面処理が例示される。
【0068】
次いで、扉200L,200Rの開放動作について説明する。扉200L,200Rを閉鎖位置から開放させる際には、
図4(b)及び
図5(b)に示す状態(給排装置が第1状態とされた状態)から、給排装置が第2状態とされる。これにより、エジェクタ装置が駆動され、膨張ゴム300の内部空間Sの空気が分岐管810を通って給排管800の他端から吸引(真空引き)されることで、
図4(a)及び
図5(a)に示すように、膨張ゴム300の膨張部320が収縮され、被当接壁321の外面が扉200L,200Rの背面から離間される。その後、扉200L,200Rが開放位置へ向けてスライド変位される。
【0069】
給排装置は、内部空間Sの圧力が大気圧よりも低い圧力となるまで第2状態(エジェクタ装置による吸引)を継続する。これにより、膨張ゴム300の剛性が大きい場合や、扉200L,200Rへの粘着が発生している場合であっても、膨張ゴム300をより確実に収縮させることができる。
【0070】
このように、給排装置は、膨張ゴム300の内部空間Sから空気を吸引可能に構成されるので、例えば、膨張ゴム300の内部空間Sの空気を大気圧に開放するのみの場合(即ち、第2状態を経ずに第1状態から第3状態へ給排装置を切り替える構成)と比較して、膨張ゴム300を速やかに収縮させることができる。よって、扉200L,200Rのスライド変位を開始するまでの待機時間を短縮できる。また、膨張部320の被当接壁321と扉200L,200Rとの当接(粘着)を確実に解除して、被当接壁321が扉200L,200Rから離間された状態を確実に形成できる。よって、扉200L,200Rをスライド変位させる際に膨張ゴム300と接触することを抑制できる。
【0071】
なお、本実施形態では、給排装置が第2状態とされた後、少なくとも扉200L,200Rが開放位置にある間は、給排装置が第3状態に維持される。これにより、給排管800及び分岐管810を介して、膨張ゴム300の内部空間Sを大気に連通された状態とできるので、膨張ゴム300を無負荷状態とできる。その結果、膨張ゴム300の耐久性を向上できる。
【0072】
扉200L,200Rの戸先202L,202Rには、戸先ゴム500,600よりも正面側(ホーム側)にも戸先ゴム(図示しない)が配設される。このホーム側の戸先ゴムは、戸先ゴム500,600よりも小さい剛性に設定され、扉200L,200Rが閉鎖位置に配置された状態では、ホーム側の戸先ゴムどうしの間に隙間が設けられる。
【0073】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明はこれらに何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良変形が可能であることは容易に推察できるものである。
【0074】
本実施形態では、2枚の扉200L,200Rが左右にスライド開閉する場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。扉の枚数は、1枚または3枚以上でも良い。また、扉のスライド方向は、上下や斜めの方向でも良い。
【0075】
本実施形態では、膨張ゴム300が固定枠100の正面(ホーム側を向く面)に配設される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。膨張ゴム300が固定枠100の背面(軌道側を向く面)に配設されても良い。この場合、扉200L,200Rも固定枠100の背面側(軌道側)に配設される。
【0076】
本実施形態では、前後方向(矢印F-B方向)が枕木方向に対応する向きで区画構造1がホームに配設される場合を説明したが、必ずしもこれに限られない。区画構造1の向きは任意であり、例えば、前後方向(矢印F-B方向)がレール方向に対応する向きで区画構造1がホームに配設されても良い。
【0077】
本実施形態では、膨張ゴム300の内部空間Sに供給される流体として空気を使用する場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。空気に代えて水や油などの他の流体を使用しても良い。水や油を使用する場合には、空気と比較して高圧で動作させることができるので、気密性を高めることができると共に、膨張ゴム300の膨張および収縮動作をより確実に行うことができる。
【0078】
本実施形態では、開口部121の周縁の内の角部には挟持部材が配設される場合を説明した。この場合、膨張ゴム300の伸縮方向に沿って立設される部位(即ち、立設部420に相当する部位)を挟持部材に形成しても良い。これにより、開口部121の周縁の内の角部においても、膨張部320の伸長方向を案内して、被当接壁321の外面を扉200L,200Rの背面に適切な姿勢で当接させることができる。
【0079】
本実施形態では、扉200L,200Rの背面にテフロン(登録商標)加工が施される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。膨張ゴム300の被当接壁321の外面にテフロン(登録商標)加工が施されても良い。この場合でも、粘着による被当接壁321の劣化を抑制できる。また、ガイド体400の立設部420の内面(膨張部320に対向する側の面)や膨張部320の側面(立設部420に対向する側の面)にテフロン(登録商標)加工が施されても良い。粘着による膨張部320の劣化を抑制できる。
【0080】
本実施形態では、内部空間Sの圧力が大気圧よりも低い圧力となるまで第2状態(エジェクタ装置による吸引)が継続される場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。大気圧よりも低い圧力となる前に第2状態(エジェクタ装置による吸引)を停止しても良い。また、第2状態を経ずに第1状態から第3状態へ給排装置を切り替える構成としても良い。エジェクタ装置を不要にできる。
【0081】
本実施形態では、戸先ゴム500,600が中空とされる場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。戸先ゴム500,600の一方または両方が中実であっても良い。
【0082】
本実施形態では、凸壁503の外面の一部(先端部分)が凹壁603の外面の一部(底部分)に当接される位置を扉200L,200Rの閉鎖位置とする場合について説明したが、必ずしもこれに限られない。例えば、側壁502の戸先側の端面と側壁602の戸先側の端面とが互いに当接するまで扉200L,200Rを互いに近づけた位置を扉200L,200Rの閉鎖位置としても良い。
【符号の説明】
【0083】
1 区画構造
100 固定枠
121 開口部
122 凹溝
200L 扉(第1扉体または第2扉体の一方)
200R 扉(第1扉体または第2扉体の他方)
202L,202R 戸先
300 膨張ゴム
310 基部
320 膨張部
321 被当接壁
321a 突条
322 側壁
400 ガイド体
410 挟持部
420 立設部
500 戸先ゴム(第1戸先ゴム)
600 戸先ゴム(第2戸先ゴム)
S 内部空間