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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054550
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】貯蔵庫
(51)【国際特許分類】
   F25D 23/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
F25D23/00 301K
F25D23/00 305H
F25D23/00 305D
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160839
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】399048917
【氏名又は名称】日立グローバルライフソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001807
【氏名又は名称】弁理士法人磯野国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】草野 慎太郎
(72)【発明者】
【氏名】大谷 匠
(72)【発明者】
【氏名】土井 康平
(72)【発明者】
【氏名】藤木 義明
(72)【発明者】
【氏名】山▲崎▼ 貴史
【テーマコード(参考)】
3L345
【Fターム(参考)】
3L345AA02
3L345AA13
3L345AA14
3L345AA21
3L345AA24
3L345BB01
3L345DD51
3L345DD54
3L345HH13
3L345HH34
3L345HH42
3L345JJ14
3L345JJ26
3L345KK02
3L345KK04
(57)【要約】
【課題】貯蔵室等を適切に撮影する冷蔵庫を提供する。
【解決手段】冷蔵庫100は、冷蔵室21を有する筐体1と、筐体1の開口を塞ぐヒンジ式の冷蔵室ドア211と、筐体1の上側に設置されるカメラユニット3と、を備え、冷蔵室ドア211は、庫内側に設置されるドアポケット211cを有し、カメラユニット3は、筐体1の幅方向中央に設置され、1回の撮像で冷蔵室21及びドアポケット211cの両方を撮像する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯蔵室を有する筐体と、
前記筐体の開口を塞ぐヒンジ式のシングルドアと、
前記筐体の上側に設置される撮像部と、を備え、
前記シングルドアは、庫内側に設置されるドアポケットを有し、
前記撮像部は、前記筐体の幅方向中央に設置され、1回の撮像で前記貯蔵室及び前記ドアポケットの両方を撮像する、貯蔵庫。
【請求項2】
前記貯蔵室に設置される複数の棚板を備え、
前記撮像部は、当該撮像部のレンズが真下を向くように設置され、
前記レンズの光軸は、複数の前記棚板の前縁よりもさらに前側に位置していること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項3】
前記貯蔵室に設置される複数の棚板を備え、
複数の前記棚板のうち、最上段の棚板の前縁が前記撮像部の視野に入るように前記撮像部が設置されていること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項4】
前記筐体の上面に設置され、前記シングルドアのヒンジを覆うヒンジカバーと、
前記ヒンジカバーの下側に設けられる基板と、
前記基板に接続される複数の第1配線と、
前記撮像部に接続される複数の第2配線と、を備え、
複数の前記第1配線が結束されてなる第1コードとは別に、複数の前記第2配線が結束されてなる第2コードが設けられること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項5】
前記筐体の天板の下側に設置されるホットガスパイプを備え、
前記天板の前縁付近には、前記撮像部のネジ受けが嵌め込まれる孔が設けられ、
前記ホットガスパイプは、前記天板の前縁付近から前記孔の後側を回り込むように延びていること
を特徴とする請求項1に記載の貯蔵庫。
【請求項6】
前記ホットガスパイプの後方への移動を規制する規制部材を備えること
を特徴とする請求項5に記載の貯蔵庫。
【請求項7】
前記規制部材は、前記孔の左右両側にそれぞれ設けられ、前記天板の下面に固定されていること
を特徴とする請求項6に記載の貯蔵庫。
【請求項8】
前記規制部材は、直方体状のポリエチレン又はウレタンフォームであること
を特徴とする請求項6に記載の貯蔵庫。
【請求項9】
前記ホットガスパイプは、
前記天板の前縁に沿って延びている延在部と、
前記孔の後側を回り込むように延びている迂回部と、を有するとともに、
前記延在部と前記迂回部とを接続する屈曲部を有し、
前記規制部材は、前記延在部の後側に設置されること
を特徴とする請求項6に記載の貯蔵庫。
【請求項10】
前記規制部材は、横方向において前記屈曲部の付近に設けられること
を特徴とする請求項9に記載の貯蔵庫。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、貯蔵庫に関する。
【背景技術】
【0002】
冷蔵庫の庫外に設置されたカメラで冷蔵室等を撮像する技術として、例えば、特許文献1に記載の技術が知られている。すなわち、特許文献1には、「カメラは、冷蔵庫本体の上部で、かつ扉と干渉しない位置に配置」することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003-42626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、冷蔵室を撮影する場合にカメラが冷蔵室に臨むように、カメラの撮影方向が後斜め下向きに設定される。また、扉のドアポケットを撮影する場合には、カメラがドアポケットに臨むように、カメラの撮影方向が右斜め下向きに設定される。このように特許文献1に記載の技術では、カメラで冷蔵室とドアポケットとを別々に撮影する構成になっているが、他の構成については記載されていない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に係る貯蔵庫は、貯蔵室を有する筐体と、前記筐体の開口を塞ぐヒンジ式のシングルドアと、前記筐体の上側に設置される撮像部と、を備え、前記シングルドアは、庫内側に設置されるドアポケットを有し、前記撮像部は、前記筐体の幅方向中央に設置され、1回の撮像で前記貯蔵室及び前記ドアポケットの両方を撮像することとした。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】第1実施形態に係る冷蔵庫の正面図である。
図2】第1実施形態に係る冷蔵庫の側面図である。
図3】第1実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室ドアが開かれた状態の正面図である。
図4】第1実施形態に係る冷蔵庫の冷蔵室ドアが開かれた状態の平面図である。
図5】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットを斜め下から見上げた場合の斜視図である。
図6A】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットの正面図である。
図6B】第1実施形態に係る冷蔵庫における図6AのII-II線矢視断面図である。
図7】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットを含むシステム構成図である。
図8】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットの撮影画像であって、画像処理が行われていない状態の例である。
図9】第1実施形態に係る冷蔵庫のカメラユニットの撮影画像であって、画像処理が行われた状態の例である。
図10A】第1実施形態に係る冷蔵庫における冷蔵室の撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
図10B】第1の比較例に係る冷蔵庫における冷蔵室の撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
図11A】第1実施形態に係る冷蔵庫におけるドアポケットの撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
図11B】第1の比較例に係る冷蔵庫におけるドアポケットの撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
図12A】第1実施形態に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板を下側から見たときの各コードの説明図である。
図12B】第1実施形態に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが左開きである場合の筐体の天板を下側から見たときの各コードの説明図である。
図13】第2実施形態に係る冷蔵庫おいて、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板を下側から見たときの説明図である。
図14】第2実施形態に係る冷蔵庫において、ホットガスパイプや規制部材の位置関係を示す斜視図である。
図15】第1の比較例に係る冷蔵庫の正面図である。
図16A】第2の比較例に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板を下側から見たときの各コードの説明図である。
図16B】第2の比較例に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが左開きである場合の筐体の天板を下側から見たときの各コードの説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
≪第1実施形態≫
図1は、第1実施形態に係る冷蔵庫100の正面図である。
冷蔵庫100(貯蔵庫)は、食品等を冷やす機器であり、筐体1の他、冷蔵室ドア211等の各ドアと、カメラユニット3(撮像部)と、を備えている。筐体1は、その内部に複数の貯蔵室を有している。図1の例では、貯蔵室として上から順に、冷蔵室21と、左右に並ぶ製氷室22・上段冷凍室23の他、野菜室24と、下段冷凍室25と、が設けられている。
【0008】
筐体1は、鋼板製の外箱11と、樹脂製の内箱12(図3参照)と、の間に発泡ウレタン等の断熱材(図示せず)が充填された構成になっている。筐体1の前側(正面側)には、各室に対応する複数の開口10(図2参照)が設けられている。
【0009】
冷蔵庫100は、筐体1の開口10(図2参照)を塞ぐヒンジ式の「シングルドア」として、冷蔵室ドア211を備えている。なお、「シングルドア」とは、片開き式のドアであり、所定の貯蔵室(図1では冷蔵室21)の開口10を1枚のヒンジ式のドア(図1では冷蔵室ドア211)で塞ぐようになっている。冷蔵室ドア211は、右端のヒンジ211a(図4参照)の軸を中心として右開きで回動する構成になっているが、冷蔵室ドア211が左開きの構成であってもよい。冷蔵室21には、この冷蔵室21を所定に仕切る複数の棚板213(図3参照)が設置されている。また、冷蔵室ドア211(シングルドア)の庫内側には、食品等を収容するための複数のドアポケット211c(図3参照)が設置されている。
【0010】
冷蔵庫100は、引出し式のドアとして、図1に示す製氷室ドア221や上段冷凍室ドア231の他、野菜室ドア241や下段冷凍室ドア251を備えている。製氷室22には、製氷室ドア221と一体に引き出される製氷室容器(図示せず)が設けられている。同様に、上段冷凍室23には上段冷凍室容器(図示せず)が設けられ、また、野菜室24には野菜室容器(図示せず)が設けられている他、下段冷凍室25には下段冷凍室容器(図示せず)が設けられている。
【0011】
冷蔵庫100は、図示はしないが、圧縮機と、放熱器(凝縮器)と、キャピラリチューブ(絞り機構)と、蒸発器と、を備えている。そして、圧縮機、放熱器、キャピラリチューブ、及び蒸発器を順次に介して冷媒が循環し、蒸発器を通流する冷媒との間の熱交換で各貯蔵室の空気が冷やされるようになっている。図1に示すカメラユニット3(撮像部)は、冷蔵室21やドアポケット211c(図3参照)を撮像する機器であり、筐体1の上側に設置されている。図1に示すように、カメラユニット3は、筐体1の左右方向の中央(幅方向中央)に設置されている。
【0012】
図2は、冷蔵庫100の側面図である。
図2に示すように、カメラユニット3は、本体部31と、支持部32と、を備えている。本体部31は、貯蔵室等を撮像するものである。支持部32は、本体部31を支持するものであり、筐体1の上面に設置されている。
【0013】
本体部31の前端付近には、レンズ31a(図5も参照)が設けられている。レンズ31aは、光を屈折させて集束させる光学素子である。そして、冷蔵室ドア211が開かれたとき、カメラユニット3によって冷蔵室21(図3参照)やドアポケット211c(図3参照)が撮像されるようになっている。
【0014】
図2に示すように、カメラユニット3は、レンズ31aが真下を向くように設置されている。なお、レンズ31aの向きが厳密に「真下」である必要は特になく、レンズ31aの光軸Z1が鉛直方向に平行である場合を基準として、前後方向又は左右方向で若干のズレは許容される。カメラユニット3のレンズ31aとして、魚眼レンズ等の広角レンズが用いられるが、これに限定されるものではない。
【0015】
図2に示すように、レンズ31aの光軸Z1が、冷蔵室21(図3参照)の複数の棚板213の前縁よりもさらに前側に位置していることが好ましい。カメラユニット3の視野中心(光軸Z1の位置)に近いほど、食品等が撮影画像に写り込む際の高さ方向の画素数が少なくなり、所定の画像処理が行われた後では、その部分の画質が粗くなる傾向があるからである。前記したように、レンズ31aの光軸Z1が棚板213の前縁よりもさらに前側に位置しているため、撮影画像における棚板213の食品等の画質が鮮明になり、ユーザにとっての視認性が高められる。
【0016】
図2の例では、レンズ31aの光軸Z1が筐体1の前端(筐体1の開口10)よりも前側に位置している。このような構成によれば、冷蔵室ドア211が開けられた際、レンズ31aの視野に冷蔵室21が入りやすくなる他、レンズ31aの光軸Z1と棚板213の前縁との間の前後方向の距離が比較的長くなるため、冷蔵室21(図3参照)の食品等の鮮明な撮影画像を得ることができる。
【0017】
また、図2に示すように、レンズ31aの光軸Z1が、閉状態の冷蔵室ドア211の前面よりもさらに前側に位置するようにするとよい。これによって、野菜室ドア241等の引出し式のドアが開かれた状態で、カメラユニット3によって野菜室24等(図1参照)も撮影できる。
【0018】
図2に示す無線LANユニット9(図4も参照)は、カメラユニット3の撮影画像のデータをルータ51(図7参照)に送信するものである。無線LANユニット9は、筐体1の上面の後端付近に設置され、配線を介してカメラユニット3に接続されている。
【0019】
図3は、冷蔵庫100の冷蔵室ドア211が開かれた状態の正面図である。
図3に示すように、冷蔵室ドア211の庫内側には、食品等を収容するための複数のドアポケット211cが設けられている。そして、冷蔵室ドア211が開けられると、冷蔵室21やドアポケット211cがカメラユニット3の視野に俯瞰的に入るようになっている(図8も参照)。
【0020】
なお、図3には図示していないが、冷蔵室ドア211に撮影ボタン5(図7参照)が設けられるようにしてもよい。撮影ボタン5は、カメラユニット3を用いて冷蔵室21等をユーザが手動で撮影する際、ユーザによって押されるボタンである。例えば、冷蔵室ドア211の回動軸とは反対側の側面を形成しているサイドピース211eに撮影ボタン5が設けられるようにしてもよい。また、冷蔵室ドア211の下面に撮影ボタン5が設けられるようにしてもよい。このように撮影ボタン5を設けることで、ユーザが冷蔵室ドア211を開いて、冷蔵室ドア211の回動を止めた状態で撮影できるため、撮影画像のブレを抑制できる。なお、撮影ボタン5の操作に基づく撮影を「手動撮影」という。また、冷蔵室ドア211の開き始めからの経過時間に基づいて、カメラユニット3が自動的に行う撮影を「自動撮影」という。
【0021】
図4は、冷蔵庫100の冷蔵室ドア211が開かれた状態の平面図である。
図4に示すように、筐体1の上面の右端付近には、ヒンジ211aが設置されている。ヒンジ211aは、冷蔵室ドア211を回動自在に軸支するものである。図4に示すヒンジカバーC1は、ヒンジ211aを覆うカバー部材である。
【0022】
また、左右方向において筐体1の中央付近にカメラユニット3が設置されている。詳細については後記するが、このように筐体1の幅方向中央にカメラユニット3が設置されているため、筐体1の上側のカメラユニット3を用いて、冷蔵室21(図3参照)をあたかも正面から見たような撮影画像を生成できる他、ドアポケット211cの食品等も適切に撮像できる。
【0023】
図5は、カメラユニット3を斜め下から見上げた場合の斜視図である。
図5に示すように、カメラユニット3の本体部31は、前記したレンズ31aの他、ケース31bと、LEDカバー31cと、を備えている。本体部31のケース31bは、概ね、前後方向に細長い直方体状を呈している。ケース31bの前端付近の下面には、円形状の孔(符号は図示せず)が設けられ、この孔を介してレンズ31aが露出している。ケース31bの下面においてレンズ31aの後側には、左右方向に細長い孔(符号は図示せず)が設けられ、この孔にLEDカバー31cが嵌め込まれている。LEDカバー31cは、カメラLED31d(図6B参照)を保護するための透光性の樹脂製部材である。
【0024】
図6Aは、カメラユニット3の正面図である。
図6Aに示すように、カメラユニット3の本体部31が支持部32の上側に設置されている。また、左右方向において、支持部32の中央付近に本体部31が設置されている。
【0025】
図6Bは、図6AのII-II線矢視断面図である。
図6Bに示すように、カメラユニット3は、前記したレンズ31aやLEDカバー31c、ケース31bを備える他、カメラLED31dと、回路基板31eと、を備えている。カメラLED31dは、冷蔵室21等を適度な明るさのもので撮影するための光源である。カメラユニット3が筐体1(図2参照)に設置された状態では、カメラLED31dが筐体1の前端(筐体1の開口10:図2参照)よりも前側に位置している。これによって、カメラLED31dから照射された光が冷蔵室21に入射しやすくなるため、鮮明な撮影画像が得られる。カメラLED31dの下側には、透光性のLEDカバー31cが設置されている。
【0026】
回路基板31eは、後記するイメージセンサ31f(図7参照)やカメラ/通信制御SoC31g(System-on-a-Chip:図7参照)が実装された基板である。このように、レンズ31aやカメラLED31d、回路基板31eを一つのケース31bに収容することで、これらを別体で設ける場合に比べて、カメラユニット3を小型化できる他、配線の長さを短縮できる。
【0027】
図7は、冷蔵庫100のカメラユニット3を含むシステム構成図である。
図7に示すように、冷蔵庫100は、カメラユニット3の他に、ドアセンサ4と、撮影ボタン5と、操作パネル6と、庫内灯7と、制御部8と、無線LANユニット9と、を備えている。ドアセンサ4は、冷蔵室ドア211等(図1参照)の開閉状態を示す所定の信号を制御部8に出力する。なお、図7では1つのドアセンサ4を示しているが、実際には、冷蔵庫100(図1参照)の各ドアに対応するように複数のドアセンサ4が設けられている。例えば、冷蔵室ドア211(図1参照)が開かれた場合には、この冷蔵室ドア211に対応するドアセンサ4から制御部8に所定の開信号が出力される。
【0028】
撮影ボタン5は、前記したように、カメラユニット3を用いて手動で撮影する際、ユーザによって押されるボタンである。操作パネル6は、ユーザの操作に基づいて、所定の設定情報を入力するためのパネルである。庫内灯7は、冷蔵室21を照らす光源であり、冷蔵室21の壁に設置されている。
【0029】
制御部8は、例えば、マイコンであり、図示はしないが、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、各種インタフェース等の電子回路を含んで構成されている。そして、ROMに記憶されたプログラムを読み出してRAMに展開し、CPUが各種処理を実行するようになっている。なお、制御部8が行う処理については後記する。
【0030】
カメラユニット3は、レンズ31aやカメラLED31dの他、イメージセンサ31fと、カメラ/通信制御SoC31gと、ブザー31hと、を備えている。イメージセンサ31fは、レンズ31aを介して入射する光を光電変換して撮影画像データを生成する素子である。このようなイメージセンサ31fとして、例えば、CCDセンサ(Charge Coupled Device)やCMOSセンサ(Complementary Metal Oxide Semiconductor)が用いられる。
【0031】
カメラ/通信制御SoC31gは、マイコンの機能や他の応用的な機能を有する回路を1チップ上に集積し、連携して機能するよう設計された集積回路である。カメラ/通信制御SoC31gは、制御部8との間で所定に通信を行い、イメージセンサ31fに撮影指令を出力する。これによって、イメージセンサ31fからカメラ/通信制御SoC31gに撮影画像のデータが入力される。ブザー31hは、例えば、カメラユニット3による撮影時に所定の音を発するものである。なお、カメラユニット3の撮影でエラーが生じた場合にブザー31hから所定の音が発せられるようにしてもよい。
【0032】
無線LANユニット9は、カメラ/通信制御SoC31gから出力される撮影画像のデータをルータ51に送信する。ルータ51は、通信の中継機器であり、無線LANユニット9から受信した撮影画像のデータをネットワーク52を介して、サーバ53に送信する。サーバ53は、撮影画像のデータに基づいて所定の処理を行い、冷蔵庫100の識別情報に対応付けて保存する。また、サーバ53は、ユーザの携帯端末54から冷蔵庫100の撮影画像の要求信号を受信した場合、撮影画像のデータを携帯端末54に送信する。このような携帯端末54として、携帯電話やスマートフォンの他、タブレットやウェアラブル端末が用いられる。
【0033】
図8は、カメラユニットによる撮影結果であって、画像処理が行われていない状態の例である。
なお、図8では、紙面上側を前方とし、紙面下側を後方としている関係上、図3等に対して左右が反転している。図8の例では、冷蔵室ドア211が開かれており、冷蔵室21の他、冷蔵室ドア211のドアポケット211cも撮影されている。特にカメラユニット3(図5参照)のレンズ31aとして魚眼レンズを用いることで、冷蔵室21等を広画角で撮像できる。ただし、画像処理が行われていない状態では、水平方向の直線状の稜線が湾曲して写る他、同じ長さの稜線であってもカメラユニット3から遠くなるにつれて撮影画像上の画素数が少なくなる。また、冷蔵室21やドアポケット211cを上から見下ろしたような撮影画像であるため、冷蔵室ドア211を開けた場合にユーザが見るような正面からの撮影画像(図9参照)とは見え方が異なっている。
【0034】
図9は、カメラユニット3による撮影結果であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
制御部8(図7参照)又はサーバ53(図7参照)が、図8の撮影画像を所定のパノラマ展開画像(図示せず)に変換し、さらに、このパノラマ展開画像の中から冷蔵室21や冷蔵室ドア211に相当する領域を切り出すことで、図9の撮影画像に変換される。なお、冷蔵室ドア211は右開きであるため、冷蔵室21の撮影画像の右側に冷蔵室ドア211の撮影画像が表示される。
【0035】
このように、あたかも冷蔵室21や冷蔵室ドア211を正面から見たような撮影画像が携帯端末54(図7参照)に一画面で表示される。これによって、冷蔵室21やドアポケット211cにどのような食品が収容されているかをユーザが一目で把握できる。例えば、ユーザが外出先で携帯端末54(図7参照)を見ることで、冷蔵室21やドアポケット211cの最新の状況を確認できる。その結果、ユーザが不要な買物を控えることが可能になるため、食品ロスを低減できる他、ユーザにとっての利便性が高められる。
【0036】
<制御部の処理>
図7を用いて、カメラユニット3による自動撮影について説明する。
ドアセンサ4から冷蔵室ドア211の開信号の入力があった場合、制御部8は庫内灯7を消灯し、カメラLED31dを点灯させた状態で撮影を行う。これによって、適度な明るさのもとで冷蔵室21等を撮影できる。また、カメラユニット3(撮像部)は、1回の撮像で冷蔵室21(貯蔵室)及びドアポケット211cの両方を撮像する。これによって、前記した特許文献1のように、撮影範囲を変更するための駆動装置(図示せず)を設ける必要がなくなるため、冷蔵庫100の製造コストを削減できる他、制御部8の処理を簡素化できる。
【0037】
カメラユニット3による撮影後、制御部8は、冷蔵室ドア211の開角度が所定値以上である場合には撮影結果を保存し、また、冷蔵室ドア211の開角度が所定値未満である場合には撮影結果を破棄する。なお、冷蔵室ドア211の開角度は、エッジ検出等の所定の画像処理に基づいて算出される。そして、制御部8は、保存済みの撮影結果の中から所定に選定した撮影画像をサーバ53に送信する。その結果、無線LANユニット9、ルータ51、及びネットワーク52を順次に介して、撮影画像データがサーバ53に送信される。
【0038】
また、撮影ボタン5の操作に基づく手動撮影が行われた場合には、制御部8は、冷蔵室ドア211の開角度が所定値以上である場合に撮影結果を保存し、また、冷蔵室ドア211の開角度が所定値未満である場合には撮影結果を破棄する。そして、制御部8は、保存済みの撮影結果の中から所定に選定したものをサーバ53に送信する。
【0039】
<撮影画像について>
図10Aは、第1実施形態に係る冷蔵庫における冷蔵室21の撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
前記したように、カメラユニット3(図1参照)は、冷蔵庫100の筐体1の幅方向中央(左右方向の中央)に設置されている。つまり、筐体1の内箱12(図3参照)の左側の内壁面からレンズ31aの光軸Z1(図2参照)までの横方向の距離と、内箱12の右側の内壁面からレンズ31aの光軸Z1までの横方向の距離と、が略等しくなっている。このような構成によれば、図10Aに示すように、撮影画像において冷蔵室21が左側や右側に偏らずに略中央に写り込む。その結果、冷蔵室21をあたかも正面から見たような、ユーザの目線に近い撮影画像を携帯端末54(図7参照)に表示させることができる。
【0040】
また、前記したように、カメラユニット3のレンズ31aの光軸Z1(図2参照)が鉛直方向に対して略平行になっている。その結果、冷蔵室21の棚板213が撮影画像上の横方向に対して傾くことがほとんどないため、ユーザが撮影画像を見たときの違和感(実際の見た目とは異なるという違和感)を低減できる。
【0041】
また、カメラユニット3の視野中心(光軸Z1の位置)に近いほど、食品等が撮影画像に写り込む際の高さ方向の画素数が少なくなるため、図10Aのような正面視の撮影画像に変換した場合、その部分の画質が粗くなる傾向がある。そこで、第1実施形態では、レンズ31aの光軸Z1(図2参照)が冷蔵室21の棚板213(図2参照)の前縁よりも前側に位置するようにしている。このような構成によれば、撮影画像において、カメラユニット3の視野中心から離れた領域に冷蔵室21が写り込む。その結果、冷蔵室21の撮影画像として鮮明な画像が得られるため、ユーザにとっての視認性が高められる。
【0042】
また複数の棚板213のうち、最上段の棚板213の前縁がカメラユニット3(撮像部:図2参照)の視野に入るようにカメラユニット3が設置されている。つまり、最上段の棚板213の前縁がカメラユニット3の視野に入るように、レンズ31a(図2参照)の前後方向の位置が設定されている。これによって、最上段の棚板213に載置されている食品等が写らないといったことを防止し、冷蔵室21を全体的に撮影できる。
次に、図10Bの撮影画像の説明に先立って、第1の比較例に係る冷蔵庫200(図15参照)について簡単に説明する。
【0043】
図15は、第1の比較例に係る冷蔵庫200の正面図である。
図15に示す第1の比較例の冷蔵庫200では、筐体1の上面の左端付近にカメラユニット3が設置されている。つまり、右開きの冷蔵室ドア211のヒンジ(図示せず)とは反対側(つまり、左側)にカメラユニット3が設置されている。このような構成の第1の比較例の冷蔵庫200において、カメラユニット3の撮影画像に含まれる冷蔵室21の領域を切り出したものが、図10Bである。
【0044】
図10Bは、第1の比較例に係る冷蔵庫における冷蔵室21の撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
第1の比較例の冷蔵庫200(図15参照)では、カメラユニット3が筐体1の左端付近に設けられているため、左斜め前方から冷蔵室21を見たような撮影画像が得られる。このような撮影画像がユーザの携帯端末54(図7参照)に表示された場合、図10Aの撮影画像に比べて視認性が悪くなる他、冷蔵室21の正面視に慣れているユーザが違和感を覚える可能性がある。
【0045】
これに対して第1実施形態では、前記したように、シングルドアの冷蔵庫100(図1参照)の幅方向中央にカメラユニット3が設置されているため、冷蔵室21を正面から見たような、視認性の高い撮影画像をユーザの携帯端末54(図7参照)に表示させることができる。
【0046】
図11Aは、第1実施形態に係る冷蔵庫におけるドアポケット211cの撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
なお、図11Aには撮影画像における冷蔵室ドア211の領域を示しているが、実際には、1回の撮影で冷蔵室21及び冷蔵室ドア211の両方が撮影される。また、図11Aの撮影画像は、冷蔵室ドア211の開角度が約90°のときに撮影されたものである。図11Aの例では、冷蔵室ドア211の回動軸付近(撮影画像の左端付近)の食品等の鉛直方向の稜線がほとんど傾かずにまっすぐに写っているが、回動軸から離れた位置の食品等は、鉛直方向の稜線が傾いた状態で写っている。ただし、冷蔵室ドア211は、その開閉に伴って回動するものであることを考慮すると、ドアポケット211cの食品等が傾いて写ることに対してユーザが感じる違和感はかなり小さいといえる。
【0047】
図11Bは、第1の比較例に係る冷蔵庫におけるドアポケット211cの撮影画像であって、所定の画像処理が行われた状態の例である。
なお、図11Bに示す撮影結果は、第1の比較例の冷蔵庫200(図15参照)のカメラユニット3で撮影されたものである。図11Bに示すように、シングルドアの冷蔵庫200では、冷蔵室ドア211の回動軸とは反対側(図15では左側)にカメラユニット3を設置することで、正面視に近く、視認性の高い撮影画像が生成される。
【0048】
これに対して第1実施形態では、敢えて、筐体1の幅方向中央にカメラユニット3を設置し、撮影画像中の冷蔵室21(図10A参照)の視認性を優先させるようにしている。前記したように、冷蔵室21を斜め横から見たような撮影画像(図10B参照)では、ユーザが強い違和感を覚える可能性があるからである。そこで、第1実施形態では、シングルドアの冷蔵庫100の幅方向中央にカメラユニット3を設けることで、ユーザの携帯端末54(図7参照)に冷蔵室21及びドアポケット211cが表示される際の総合的な視認性を高めるようにしている。
【0049】
<コードの共用化>
図12Aは、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板11aを下側から見たときの各コードの説明図である。
図12Aに示すように、天板11aの前縁付近には、矩形状の孔H1が設けられている。この孔H1には、カメラユニット3(撮像部)のネジ受け33が嵌め込まれている。ネジ受け33は、カメラユニット3(図1参照)を筐体1(図1参照)に固定するための部材である。図12Aに示すホットガスパイプ71は、放熱器(図示せず)で凝縮した冷媒が通流する管であり、筐体1の天板11aの下面(裏面)に設置されている。なお、ホットガスパイプ71の詳細については、第2実施形態で説明する。
【0050】
図12Aに示す第1コード61は、基板63にコネクタ(図示せず)を介して接続される複数の第1配線61aが束ねられた配線コードである。このような複数の第1配線61aとして、例えば、電力線が挙げられるが、その他に通信線が含まれていてもよい。複数の第1配線61aが接続される基板63には、湿度センサ(図示せず)やブザー(図示せず)等の電気部品が実装されている。
【0051】
なお、図12Aにおいて一点鎖線で示す基板63は、ヒンジカバーC1(図4参照)の下側に設けられている。ヒンジカバーC1は、筐体1の上面に設置され、冷蔵室ドア211(シングルドア)のヒンジ211a(図4参照)を覆っている。そして、商用電源(図示せず)から第1コード61を介して、湿度センサ(図示せず)やブザー(図示せず)に電力が供給されるようになっている。複数の第1配線61aを含む第1コード61は、天板11aの右端に沿うように後方に延びており、さらに、天板11aの左後ろの隅部に向かって横方向に延びている。
【0052】
複数の第1配線61aの結束には、例えば、絶縁性のチューブ(図示せず)が用いられるが、これに限定されるものではない。すなわち、第1配線61aの束をテープ(図示せず)で巻くようにしてもよいし、また、結束バンド(図示せず)やスパイラルチューブ(図示せず)が用いられてもよい。なお、次に説明する複数の第2配線62aの結束についても同様のことがいえる。図12Aに示すように、第1コード61は、第2コード62とともに、天板11aの下面にテープ64で固定されている。
【0053】
図12Aに示す第2コード62は、カメラユニット3(図4参照)や無線LANユニット9に接続される複数の第2配線62aが束ねられた配線コードである。このような複数の第2配線62aとして、例えば、電力線が挙げられるが、その他に通信線が含まれていてもよい。そして、商用電源(図示せず)から第2コード62を介して、カメラユニット3や無線LANユニット9に電力が供給されるようになっている。
【0054】
複数の第2配線62aのうちカメラユニット3に接続されているものは、天板11aの前縁(右側の部分)及び天板11aの右側の縁に順次に沿うように後方に延びている。複数の第2配線62aのうち、無線LANユニット9に接続されている第2配線62aは、天板11aの後縁に沿うように右側に延びており、さらに、カメラユニット3に接続された第2配線62aとともに結束されている。これら複数の第2配線62aが結束された第2コード62は、図示はしないが、第1コード61とともに、天板11aの右後ろの隅部から筐体1の背面側の内壁面を伝うように下側に延びており、商用電源(図示せず)に接続されている。
【0055】
このように第1実施形態では、複数の第1配線61aが結束されてなる第1コード61とは別に、複数の第2配線62aが結束されてなる第2コード62が設けられた構成になっている。これによって、左開きの冷蔵室ドア211を備えた他の冷蔵庫(図12B参照)との間で、第2コード62の共用化を図ることができる。また、カメラユニット3を有しない他機種の右開きの冷蔵庫(図16A参照)との間で、第1コード61の共用化を図ることができる。
【0056】
図12Bは、冷蔵室ドアが左開きである場合の筐体の天板11aを下側から見たときの各コードの説明図である。
冷蔵室ドア211が左開きの構成では、筐体1の左端付近にヒンジ(図示せず)が設けられる。そして、湿度センサ(図示せず)やブザー(図示せず)が実装された基板63がヒンジカバー(図示せず)で覆われた構成になっている。カメラユニット3や無線LANユニット9に接続される第2コード62については、冷蔵室ドア211が左開きの構成でも、右開きの構成(図12A参照)と同様に筐体1内で所定に引き回される。一方、冷蔵室ドア211が左開きの構成では、第1コード61が天板11aの左側の縁に沿うように後方に延びている。このような第1コード61は、天板11aの下面にテープ65で固定されている。
【0057】
冷蔵室ドア211が左開きの構成(図12B参照)では、冷蔵室ドア211が右開きの構成(図12A参照)よりも第1コード61の長さが短くなっているが、前記したように、第2コード62の長さや接続関係は共通である。したがって、冷蔵庫100を量産する際、冷蔵室ドア211が右開きのもの(図12A参照)と左開きのもの(図12B参照)とで第2コード62を共用できるため、冷蔵庫100の製造時コストを削減できる。
【0058】
図16Aは、第2の比較例に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板11aを下側から見たときの各コードの説明図である。
図16Aに示すように、カメラユニット3が設けられていない第2の比較例の構成では、天板11aの裏面に第1コード61が設置されているが、第2コード62(図12A参照)が設置されていない。なお、第1コード61の接続関係や長さについては、第1実施形態において冷蔵室ドア211が右開きのもの(図12A参照)と同様である。前記したように、第1コード61と第2コード62とを別々に設けることで、カメラユニット3が設けられていない他機種の冷蔵庫(図16A参照)と、第1実施形態において冷蔵室ドア211が右開きの冷蔵庫100(図12A参照)と、の間で第1コード61を共用できる。これによって、冷蔵庫100の製造コストを削減できる。
【0059】
図16Bは、第2の比較例に係る冷蔵庫において、冷蔵室ドアが左開きである場合の筐体の天板11aを下側から見たときの各コードの説明図である。
図16Bに示すように、カメラユニット3が設けられていない第2の比較例の構成では、天板11aの裏面に第1コード61が設置されているが、第2コード62(図12B参照)は設置されていない。なお、第1コード61の接続関係や長さについては、第1実施形態において冷蔵室ドア211が左開きのもの(図12B参照)と同様である。前記したように、第1コード61と第2コード62とを別々に設けることで、カメラユニット3が設けられていない他機種の冷蔵庫(図16B参照)と、第1実施形態において冷蔵室ドア211が左開きの冷蔵庫100(図12B参照)と、の間で第1コード61の共用化を図ることができる。これによって、冷蔵庫100の冷蔵コストを削減できる。
【0060】
≪第2実施形態≫
第2実施形態は、冷蔵庫100A(図14参照)のホットガスパイプ71(図14参照)の後方への移動を規制する左右一対の規制部材81a,81b(図14参照)が設けられる点が第1実施形態とは異なっている。なお、その他の各構成については、第1実施形態と同様である。したがって、第1実施形態とは異なる部分について説明し、重複する部分の説明を省略する。
【0061】
図13は、第2実施形態に係る冷蔵庫おいて、冷蔵室ドアが右開きである場合の筐体の天板11aを下側から見たときの説明図である。
なお、図13では、第1コード61(図12A参照)や第2コード62(図12A参照)の図示を省略している。図13に示すホットガスパイプ71は、放熱器(図示せず)で凝縮した冷媒が通流する管であり、筐体1の天板11aの下面(裏面)に設置されている。図13に示す矩形状の孔H1には、カメラユニット3(図14参照)のネジ受け33が嵌め込まれている。
【0062】
ホットガスパイプ71は、天板11aの前縁に沿って横方向に延びている左右一対の延在部71a,71bと、天板11aの前縁付近から孔H1の後側を回り込むようにU字状に延びている迂回部71cと、を備える他、左右一対の屈曲部71d,71eを備えている。図13の例では、天板11aの前縁付近を内側に折り返すように所定の曲げ加工が施されており、その曲げ部K1の内側に左右一対の延在部71a,71bが設置されている。これによって、ホットガスパイプ71が曲げ部K1で支持されるため、ホットガスパイプ71の上下方向の移動が規制される。
【0063】
左側の屈曲部71dは、延在部71aと迂回部71cとを接続する部分であり、約90°に屈曲している(右側の屈曲部71eも同様)。このように、天板11aの前縁付近から孔H1の後側を回り込むようにホットガスパイプ71が延びているため、ホットガスパイプ71がカメラユニット3に干渉することを防止できる。また、ホットガスパイプ71の延在部71a,71bが天板11aの前縁に沿って設けられている他、迂回部71cも天板11aの前縁からそれほど離れていないため、筐体1(図14参照)の開口縁の付近における結露を抑制できる。なお、図13の例では、孔H1の左側の縁とホットガスパイプ71との間に横方向で所定の余裕が設けられているが、ホットガスパイプ71が孔H1の左右両側の縁に近接するようにしてもよい。
【0064】
図13に示す左右一対の規制部材81a,81bは、ホットガスパイプ71の後方への移動を規制する部材であり、直方体状を呈している。このような規制部材81a,81bの構成材料として、例えば、ポリエチレンやウレタンフォームが用いられるが、他の所定の樹脂部材が用いられてもよい。規制部材81a,81bとしてポリエチレン又はウレタンフォームを用いることで、次のような効果が奏される。すなわち、外力の影響でホットガスパイプ71が後方に移動したとき、規制部材81a,81bが適度な弾力性をもってホットガスパイプ71からの押圧力を受ける。これによって、ホットガスパイプ71の損傷を抑制し、ひいては、冷蔵庫100A(図14参照)の信頼性を高めることができる。
【0065】
規制部材81a,81bは、カメラユニット3(図14参照)のネジ受け33が嵌め込まれる孔H1の左右両側にそれぞれ設けられている。また、規制部材81a,81bは、筐体1(図14参照)の天板11aの下面に固定されている。例えば、規制部材81a,81bが天板11aの下面に両面テープ(図示せず)で貼り付けられるようにしてもよい。また、規制部材81a,81bが天板11aの下面に接着剤で接着されるようにしてもよい。
【0066】
図14は、ホットガスパイプ71や規制部材81a,81bの位置関係を示す斜視図である。
図14に示すように、左側の規制部材81aは、ホットガスパイプ71の延在部71aの後側に設置されている。この規制部材81aの前面は、ホットガスパイプ71の延在部71aに接触していてもよいし、また、延在部71aとの間に所定の隙間が設けられていてもよい。いずれの場合でも、ホットガスパイプ71の後方への移動が規制部材81a等で規制される。また、他方の規制部材81bについても同様のことがいえる。
【0067】
図14に示すように、左側の規制部材81aは、横方向において、屈曲部71dの付近に設けられている。この規制部材81aは、前後方向で延在部71aに対向するとともに、左右方向で迂回部71cに対向している。同様に、右側の規制部材81bは、横方向において、他方の屈曲部71eの付近に設けられている。これによって、ホットガスパイプ71の後方への移動の他、左右方向の移動も規制部材81aによって規制される。
【0068】
また、直方体状の規制部材81a,81bは、その前面が前後方向に対して略垂直になるように配置されている。これによって、ホットガスパイプ71を後方に移動させるような所定の外力が作用したとき、規制部材81a,81bからの反力でホットガスパイプ71を前方に押し返して、ホットガスパイプ71の移動を適切に規制できる。また、ホットガスパイプ71を上下方向に移動させるような分力が生じにくくなるため、規制部材81a,81bの表面に接触した状態でホットガスパイプ71が上方又は下方に滑るように移動することを防止できる。
【0069】
第2実施形態によれば、左右一対の規制部材81a,81bによって、ホットガスパイプ71の後方への移動が規制される。これによって、冷蔵庫100Aの移動に伴う振動や傾きでホットガスパイプ71が後方に移動することを抑制できる。したがって、冷蔵庫100Aの開口縁の付近で結露が生じることを抑制できる。
【0070】
≪変形例≫
以上、本開示に係る冷蔵庫100,100Aについて各実施形態で説明したが、これらの記載に限定されるものではなく、種々の変更を行うことができる。
例えば、各実施形態では、冷蔵庫100(図3参照)が右開きの冷蔵室ドア211(図3参照)を備える構成について説明したが、これに限らない。すなわち、冷蔵庫100が左開きの冷蔵室ドア211を備える構成にも各実施形態を適用できる。また、各実施形態では、冷蔵室ドア211がシングルドアである構成について説明したが、両開きのフレンチ式の冷蔵室ドアを備える構成にも各実施形態を適用できる。
【0071】
また、各実施形態では、冷蔵室21の他、冷蔵室ドア211の庫内側をカメラユニット3で撮影する場合について説明したが、これに限らない。例えば、引出し式の製氷室ドア221(図1参照)や、上段冷凍室ドア231の他、野菜室ドア241や下段冷凍室ドア251のうち少なくとも一つをカメラユニット3が撮影するようにしてもよい。
【0072】
また、第2実施形態では、左右一対の規制部材81a,81b(図14参照)が直方体状である場合について説明したが、他の形状であってもよい。例えば、ホットガスパイプ71を規制部材81a,81bに向けて後方に投影した場合の投影領域が後方に凹んでなる溝状の凹部(図示せず)を規制部材81a,18bに設けるようにしてもよい。これによって、ホットガスパイプ71を後方に移動させるような外力が作用した場合、規制部材81a,81bの凹部でホットガスパイプ71を受け止めつつ、ホットガスパイプ71の上下方向の移動を凹部によって規制できる。
【0073】
また、第2実施形態では、規制部材81a,81bが天板11aの下面に固定される構成について説明したが、これに限らない。例えば、天板11aと規制部材81a,81bとが一体的に形成されるようにしてもよい。
また、第2実施形態では、横方向において、規制部材81aが屈曲部71dの付近に設けられる構成について説明したが、これに限らない。すなわち、規制部材81aと屈曲部71dとが横方向で離れていてもよい(他方の規制部材81bも同様)。このような構成でも、ホットガスパイプ71の後方への移動を規制部材81a,81bによって適切に規制できる。
また、第2実施形態では、左右一対の規制部材81a,81bが設けられる場合について説明したが、規制部材の個数は1つでもよいし、また、3つ以上であってもよい。
【0074】
また、各実施形態で説明した冷蔵庫100等は一例であり、ポータブル冷蔵庫(図示せず)といった他の形態の冷蔵庫にも各実施形態を適用できる。
また、各実施形態を適用可能な「貯蔵庫」は、冷蔵庫に限定されるものではない。すなわち、さまざまな種類のヒンジ式の「貯蔵庫」にも各実施形態を適用できる。この場合において、「貯蔵庫」の筐体は、外箱・内箱といった区別が特にないような構成であってもよい。また、例えば、チェスト式の冷凍庫や収納庫にも各実施形態を適用できる。また、上開き扉(跳ね上げ扉)や下開き扉や折れ戸等を備える貯蔵庫や、折れ戸を備えるクローゼット等にも各実施形態を適用できる。
【0075】
また、各実施形態は本発明を分かりやすく説明するために詳細に記載したものであり、必ずしも説明した全ての構成を備えるものに限定されない。また、実施形態の構成の一部について、他の構成の追加・削除・置換をすることが可能である。
また、前記した機構や構成は説明上必要と考えられるものを示しており、製品上必ずしも全ての機構や構成を示しているとは限らない。
【符号の説明】
【0076】
100,100A 冷蔵庫(貯蔵庫)
1 筐体
3 カメラユニット(撮像部)
10 開口
11 外箱
11a 天板
12 内箱
21 冷蔵室(貯蔵室)
31a レンズ
33 ネジ受け
61 第1コード
61a 第1配線
62 第2コード
62a 第2配線
63 基板
71 ホットガスパイプ
71a,71b 延在部
71c 迂回部
81a,81b 規制部材
71d,71e 屈曲部
211 冷蔵室ドア(シングルドア)
211a ヒンジ
211c ドアポケット
213 棚板
C1 ヒンジカバー
H1 孔
Z1 光軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図7
図8
図9
図10A
図10B
図11A
図11B
図12A
図12B
図13
図14
図15
図16A
図16B