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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054555
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】太陽光発電無線センサー
(51)【国際特許分類】
   G08C 19/00 20060101AFI20240410BHJP
   G08C 17/00 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G08C19/00 G
G08C17/00 Z
【審査請求】有
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160846
(22)【出願日】2022-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-03-06
(71)【出願人】
【識別番号】000230216
【氏名又は名称】日本ミクロン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001726
【氏名又は名称】弁理士法人綿貫国際特許・商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】小松 隆次
(72)【発明者】
【氏名】野田 達郎
【テーマコード(参考)】
2F073
【Fターム(参考)】
2F073AA01
2F073AA02
2F073AA03
2F073AA04
2F073AB02
2F073BB01
2F073BC02
2F073CC03
2F073CC12
2F073CD11
2F073DD07
2F073EE13
2F073FF01
2F073GG01
2F073GG04
(57)【要約】
【課題】小型でも無線通信性能が高く、高信頼性を有する太陽光発電無線センサーを提供する。
【解決手段】センシング動作に用いる素子類50、51、52、53が、多層プリント配線板11内に立体的に配置されるとともに、多層プリント配線板11が一体的に樹脂封止されており、センサーデータの外部送受信に用いるアンテナ回路54が、多層プリント配線板11の表面11A及び/又は裏面11Bに形成されており、多層プリント配線板11の表面11A、又は多層プリント配線板11の表面11Aに形成されたアンテナ回路54の上面54Aに太陽電池20が配置される。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に取り付けられて用いる太陽光発電無線センサーであって、
センシング動作に用いる素子類が、多層プリント配線板内に立体的に配置されるとともに、前記多層プリント配線板が一体的に樹脂封止されており、
センサーデータの外部送受信に用いるアンテナ回路が、前記多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成されており、
前記多層プリント配線板の表面、又は前記多層プリント配線板の表面に形成された前記アンテナ回路の上面に太陽電池が配置されることを特徴とする太陽光発電無線センサー。
【請求項2】
測定対象物の状態を取得するセンサー部と、
前記センサー部によって得られたデータを外部通信する送受信部と、
前記太陽電池によって発生する電力を収集し、少なくとも前記センサー部及び前記送受信部に電力を供給する電源部と、を具備することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項3】
前記センサー部によって得られたデータの演算、デジタル化及び全体の動作管理を実行する制御部を具備することを特徴とする請求項2記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項4】
前記制御部又は前記送受信部は、前記センサー部によって得られたデータを個体識別IDで管理することを特徴とする請求項3記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項5】
測定対象物の表面の導体金属に、接着剤、ビス、ボルト、粘着テープ、又は半田で取り付けられることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電無線センサー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光を用いて自己発電する無線センサーに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、IoTの機運の高まりから急速にセンサー市場規模が拡大しており、温度、湿度、圧力、振動、加速度、音、光、流速、速度、GPSなど、様々なセンサーを利用し、データの解析・活用をすることがますます求められている。
また、安全確認や自動化などの用途でも、今後の利用は急激に増えていくと考えられる。
【0003】
センサーデバイスとしては、通常、電源配線により給電を行い、マイコンを利用してセンサーの制御及びデータ取得を行った後、信号線でデータを送信するといった2系統の配線を行った方法が一般的である。
しかし、センサーデバイスへの配線作業は、施工コストがかかる、引き回しや配置換え作業の負担が大きい、といった点が課題となっている。
また、センサー数量が増加した際や、広大なエリアや生産ラインに設置する際などには、上記の課題がさらに大きくなるとともに、配線重量による装置全体の重量化、断線した際の復旧の困難さ、接触不良・摩耗箇所の探索・修正の大変さといった保全・管理に対する問題も大きくなる。
【0004】
また、IoT対応として、老朽化の進んだ設備に対し、センサーを後から付加することで、最新型の設備に近い性能にする場合や、新しい設備を導入し、入れ替え、配置換えをする場合にも、同様にセンサー配線の問題がある。
国内の製造設備の多くは、老朽化が進んでいて最新型ではないため、IoT化のためには様々なセンサーを取り付ける必要があるが、有線によるセンサーでは工程替えなどにおける配線の変更などが困難となっている。このため、IoT化が難しいとも言われており、今後ますます大きな課題となることが考えられる。
【0005】
なお、センサーデバイスに電源供給用の配線を無くすためにバッテリーを搭載したセンサーデバイスもあるが、多量のバッテリー製造・消費により、交換作業に伴うコスト、廃棄コスト、環境負荷といった新たな問題にも直面している。
また、バッテリー交換が必要なため、交換作業の可能な場所にしか設置できない、バッテリーサイズが大きく・重いため、センサーデバイス全体のサイズが小型・軽量化できず、取り付け場所が限定されてしまう、といった用途に対する制限もある。
さらに、バッテリー交換時には、データ取得が中断されるため、連続的にデータ取得が必要な、停止困難な設備類などには利用が難しいといった課題もある。
【0006】
電力の無線供給を行う方法も考えられているが、起電力を空間送信する場合の減衰は大きく、センサーデバイスを起動するために、大きな電力を送信する必要がある。そのため、電波障害の恐れのある場所では利用できず、どこでも利用できるといったものにはなっていない。
また、多量のセンサーデバイスを電力の無線送信で起動しようとした場合、空間に電波があふれる状況となり、人体に対する健康被害(電波公害、デジタル毒)といったものも無視できないレベルになると考えられ、利用上の課題となる。
【0007】
前記問題点の改善策として、太陽電池を利用した自己発電機能を持たせることで、バッテリーレスでセンサーデータを無線送信可能な、崩落予知システムのようなものが知られている(例えば、特許文献1:特開2007-128187号公報)。
また、太陽電池を利用することで、センサー測定データを電子ペーパーに表示し、無線で外部送信するセンサー端末が知られている(例えば、特許文献2:特開2021-026377号公報)。
また、太陽電池を利用することで、センサーデータを無線送信する動物監視用の耳タグが知られている(特許文献3:特開2020-503730号公報)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2007-128187号公報
【特許文献2】特開2021-026377号公報
【特許文献3】特開2020-503730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、上記特許文献1の技術では、センサーとRFIDタグが大型であるため、設置場所が制限されるといった課題がある。
また、パッシブタイプのRFIDタグを利用して通信しているため、通信距離は5m~9m程度であり、広範囲の利用においては通信距離が不足するといった課題がある。
【0010】
上記特許文献2の技術では、電子ペーパーやセンサー素子などの各部品類を接続する方法が明示されておらず、接続部分を単純に配線でつなぐだけの構造の場合、実用上接続部の対湿度性、耐衝撃性のような信頼性が不足する恐れがある。
また、電子ペーパーを付属させることにより製品価格が上がるため、センサーデバイスを多量に使用する場合は、イニシャルコストが課題となる。
【0011】
上記特許文献3の技術では、太陽電池の自己発電は補助的なものであり、動作電源の大部分はバッテリーであるといった課題がある。
また、受信機設備が大型であるため設置場所が限定される、受信機設備の設置が大掛かりなため設置コストがかかる、といった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明は、上記の課題を解決すべくなされたもので、小型でも無線通信性能が高く、高信頼性を有する太陽光発電無線センサーの提供を目的とする。
【0013】
本発明にかかる太陽光発電無線センサーによれば、測定対象物に取り付けられて用いる太陽光発電無線センサーであって、センシング動作に用いる素子類が、多層プリント配線板内に立体的に配置されるとともに、前記多層プリント配線板が一体的に樹脂封止されており、センサーデータの外部送受信に用いるアンテナ回路が、前記多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成されており、前記多層プリント配線板の表面、又は前記多層プリント配線板の表面に形成された前記アンテナ回路の上面に太陽電池が配置されることを特徴としている。
この構成によれば、多層プリント配線板内に素子を立体的に配置したことにより、小型化を図ることができ、多層プリント配線板を一体的に樹脂封止したことで密閉構造となって水分やほこりの侵入を防ぎ信頼性を高めることができる。
また、アンテナ回路を樹脂封止した多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成したことにより、センシングに必要な素子・回路サイズの影響を受けず、アンテナ面積を確保することができ、通信性能を十分に発揮することができる。さらに、多層プリント配線板の表面又はアンテナ回路上面に太陽電池の設置面積を確保することができ、無線通信及びセンシングに必要な電力を十分に発電することができる。
【0014】
また、測定対象物の状態を取得するセンサー部と、前記センサー部によって得られたデータを外部通信する送受信部と、前記太陽電池によって発生する電力を収集し、少なくとも前記センサー部及び前記送受信部に電力を供給する電源部と、を具備することを特徴としている。
【0015】
また、前記センサー部によって得られたデータの演算、デジタル化及び全体の動作管理を実行する制御部を具備することを特徴としている。
【0016】
また、前記制御部又は前記送受信部は、前記センサー部によって得られたデータを個体識別IDで管理することを特徴としている。
この構成によれば、多数の無線センサーを利用する場合、混乱せずにセンサーデータの紐付けを行うことができる。
【0017】
また、測定対象物の表面の導体金属に、接着剤、ビス、ボルト、粘着テープ、又は半田で取り付けられることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、小型でも無線通信性能が高く、高信頼性を有する太陽光発電無線センサーを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】太陽光発電無線センサーの内部構成を示すブロック図である。
図2】太陽光発電無線センサーの実施形態を示す断面図である。
図3】粘着テープによって太陽光発電無線センサーを測定対象物に取り付けた状態を示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
(全体構成)
以下、図面に基づいて本実施形態における太陽光発電無線センサーについて説明する。なお、本発明の太陽光発電無線センサーは下記の実施形態に限定されるものではない。
【0021】
図1に太陽光発電無線センサー10(以下、単に無線センサーと称する場合がある)の内部構成のブロック図を示す。
無線センサー10は、測定対象物の状態を取得するセンサー部50と、センサー部50によって得られたセンサーデータの計算・記録・デジタル化及び動作管理を行う制御部51と、得られたセンサーデータを外部通信する送受信部52と、送受信部52に接続されたアンテナ回路54と、センサー部50、制御部51、送受信部52に動作電力を与える電源部53と、電源部53に接続され、太陽光を利用して自己発電する太陽電池20と、を備えている。
ただし、無線センサー10に制御部51を設けない構成であってもよい。この場合において、センサーデータの記憶用メモリなどを設けてもよい。
【0022】
また、無線センサー10にセンサー部50を設けない構成であってもよい。この場合において、無線センサー10とセンサー部50は、外部配線により接続する。これにより、設置スペースの小さいわずかな隙間や、高温になるため無線センサー10を設置するのが困難な場所などであってもセンサー部50を設置することができる。また、測定対象物にセンサー部50を直接接触させることができるため、センシング誤差を最小化することができる。
【0023】
図2に本実施形態の無線センサー10の断面図を示す。
無線センサー10は、センシング動作にかかる複数の素子(図1に示したセンサー部50、制御部51、送受信部52、電源部53の機能を具体的に実現する素子:以下、素子についてはこの説明を省略する)と、各素子50、51、52、53を電気的に接続する配線を多層プリント配線板11内に立体的に内蔵している。このため、従来のような表面実装の場合に比べ、無線センサー10の小型化を行うことができる。
【0024】
多層プリント配線板11の表面11A(詳細には、最表面層11aの表側)には、アンテナ回路54が形成されている。多層プリント配線板11は、センシング動作にかかる複数の素子50、51、52、53と、各素子50、51、52、53を電気的に接続する配線を内蔵しており、表面11Aにはこれら素子50、51、52、53や配線が配置されていないため、表面11Aにはアンテナ回路54を形成するにあたり十分なアンテナ面積を確保することができ、通信性能を十分に発揮することが可能となる。
【0025】
さらに、アンテナ回路54の上面54Aには、太陽電池20が配置される。太陽電池20は、上面54Aの面積と大凡同等のものまで設置可能なため、無線通信に利用する電力を確保しながら、センシングに利用する電力も十分に得ることができる。これにより、センサーの多様性を持たせながら、30m以上の通信距離を実現することが可能となる。
太陽電池としては、単結晶シリコン太陽電池、多結晶シリコン太陽電池、色素増感太陽電池などを用いることができるが、通信に用いる電波の透過性を有する太陽電池であればこれに限定されるものではない。
【0026】
無線センサー10を小型化すると、アンテナ回路54及び太陽電池20のサイズも同時に小型化してしまうことになるが、多層プリント配線板11に各素子50、51、52、53や配線を内蔵することで、アンテナ回路54だけでなく、その上面54Aに配置される太陽電池20の面積を確保しやすくなるため、小型化に伴う通信性能の低下及び発電量の低下を抑えることができる。
【0027】
なお、多層プリント配線板11の表面11Aには、ソルダーレジストが塗布される。表面11Aにソルダーレジスト層が形成されることによって、アンテナ回路54及び太陽電池20を保護するとともに、アンテナ回路54及び太陽電池20を絶縁する絶縁膜としての役割を有する。
さらに、アンテナ回路54及び太陽電池20の保護と絶縁のために、多層プリント配線板11の外周を樹脂で封止することもできる。
【0028】
図2に示した実施形態では、最表面層11aの裏側に送受信部52が配置され、中間層11bの表側にセンサー部50と制御部51が配置され、中間層11bの裏側に電源部53が配置されている。なお、最裏面層11cの裏側にはスルーホール16を介してアンテナ回路54と電気的に接続されるランド18が形成されているが、最裏面層11cの表側には素子は配置されていない。
このように、センシング動作に必要な素子50、51、52、53は、互いに多層プリント配線板11を構成する最表面層11a、中間層11b、最裏面層11cにおいて対向して配置され、最表面層11aと中間層11bとの間、及び中間層11bと最裏面層11cとの間は、樹脂が充填されており、各素子50、51、52、53が樹脂封止されている。
【0029】
このため、各素子50、51、52、53は、密封されることになるので、後工程でフタのようなものを被せる構造の製品に比べ、空洞がなく湿度やほこりなど外部環境による影響をより受けにくく、高い信頼性を持たせることができる。
また、表面実装製品のように平面的な部品配置では、部品間の配線が冗長になりやすいが、本発明のように多層プリント配線板による無線センサーでは、多層板の層間を利用し配線長を短くできるため、製品の小型化をしつつ、電気特性を高めることも可能となる。特に配線長は高周波領域や、微小電力で利用する際に影響が大きいため、無線通信の特性改善をすることができる。
【0030】
樹脂封止に用いる材料は、エポキシ樹脂のようなプリント配線板材料を用いてもよいしそれ以外の樹脂でもよい。また、複数の樹脂の組み合わせでもよい。
樹脂封止は、各素子の実装後に行ってもよいし、プリント配線板の多層化時に同時に行ってもよい。
【0031】
ここまで、アンテナ回路54を多層プリント配線板11の表面11Aのみに形成した実施形態について説明したが、裏面11B(詳細には、最裏面層11cの裏側)にもアンテナ回路54を形成してもよい。その場合、表面11Aのアンテナ回路54と裏面11Bのアンテナ回路54は、多層プリント配線板11を積層方向に貫通するスルーホール16によって電気的に接続される。なお、表面11Aのアンテナ回路54と裏面11Bのアンテナ回路54を電気的に接続する方法としては、スルーホールに限定するものではなく、レーザービアを用いたビルドアップ接続や、端面電極による接続などでもよい。表面11Aのアンテナ回路54と裏面11Bのアンテナ回路54の接続は、多層プリント配線板11の製造工程において形成されるものである。
表面11Aと裏面11Bには、実装部品や配線がないことから、基板の表裏をアンテナ回路54として有効利用できるために、通信性能を十分確保することができる。また、アンテナ回路54の上面54Aに太陽電池20の設置面積を確保することができ、無線通信及びセンシングに必要な電力を十分に発電することができる。
なお、表面11Aと裏面11Bには、防錆や表面保護のためにソルダーレジスト層を形成してもよいし、めっき処理や防錆処理などを施してもよい。
【0032】
また、アンテナ回路54を多層プリント配線板11の裏面11Bのみに形成し、表面11Aに太陽電池20を設置してもよい。
【0033】
上述してきた実施形態では、多層プリント配線板11を構成する最表面層11a、中間層11b、最裏面層11cの4層~6層で構成しているが、層数としては4層~6層に限定するものではない。
【0034】
(測定対象物)
測定対象物としては、機械、設備、構造体、乗り物などが好適である。測定対象物の無線センサー10を取り付ける箇所は、金属体であることが好ましく、金属体の材質としては、銅、アルミ、チタン、ステンレス、鉄といった材質を用いることができる。なお、無線センサー10を取り付ける箇所は金属体に限定するものではなく非金属体であってもよく、また、液体の入った容器などに取り付けて利用することもできる。
【0035】
(測定対象物への取り付け)
図3に無線センサー10を測定対象物30へ取り付けた状態の概略図を示す。
無線センサー10と測定対象物30は、両面テープ40を利用し固定することができる。
なお、無線センサー10の測定対象物30への固定方法としては、両面テープ40に限定するものではなく、例えば、無線センサー10を測定対象物30にボルト・ビスなどで直接固定してもよい。また、接着剤や半田を利用して固定してもよい。
【0036】
(センサー部)
センサー部50は、温度変化を計測する温度センサー、加速度変化を計測する加速度センサー、湿度変化を計測する湿度センサー、圧力変化を計測する圧力センサー、磁気変化を計測する磁気センサー、光量変化を計測する光量センサー、音を計測する音量センサー、距離を測定する測距センサー、液体や気体の流量を計測する流量センサー、角速度を計測するジャイロセンサー、赤外線を測定する赤外線センサー、振動を計測する振動センサー、又はその他のセンサー類の少なくとも1つ以上とすることができる。
ただし、センサー部50の種類としては、これらのセンサーに限定するものではない。
【0037】
(制御部)
制御部51は、センサー部50からのセンサーデータを演算・デジタル化処理する機能と、無線センサー10全体の動作制御を実行する機能を有する。
また、制御部51内の記憶領域にセンサー部50からのセンサーデータを記憶させておくこともできる。記憶させるセンサーデータは制御部51内でデジタル化処理したデータである。なお、センサーデータを記憶させる記憶領域としては制御部51内の記憶領域に限定するものではなく、送受信部52に記憶領域を設けたり、その他記憶用メモリを設けたりしてもよい。
【0038】
無線センサー10は、個体識別用の識別IDを備えている。これにより、数千個といった多量の無線センサー10を利用する場合、混乱せずにセンサーデータの紐付け行うことができる。
識別IDは制御部51及び/又は送受信部52で保持されるが、それ以外の外部メモリなどを利用して識別IDを保持してもよい。予め識別IDを持つパッシブ通信方式、又はアクティブ通信方式の場合は、それを利用し、その他の通信方式を利用する場合は、別途識別IDを付加することで、個体識別を可能とすることができる。
【0039】
(送受信部)
送受信部52は、無線通信用の半導体と、外部通信用のアンテナと、設定を記憶するメモリを有している。送受信部52は、920MHzのUHF帯通信、2.4GHz帯通信を用いることができるが、前記以外の周波数帯を用いた通信でもよい。
また、送受信部52の通信の方式として、電力消費を抑えたい場合にはセミパッシブ通信方式を採用することが好ましく、電力に余裕がある場合にはアクティブ通信方式を採用することができる。これにより、通信距離を延ばすことができ、通信の自由度を高めることも可能となる。
【0040】
(電源部)
電源部53は、太陽電池20によって得られた電力を収集し、センサー部50、制御部51、送受信部52の各素子に供給するものであり、電源部53自身が発電するものではない。
なお、電源部53は、太陽電池20によって得られた電力を電圧制御する素子や、蓄電を行う素子を備えてもよい。
【符号の説明】
【0041】
10 太陽光発電無線センサー
11 多層プリント配線板
11A 表面
11B 裏面
11a 最表面層
11b 中間層
11c 最裏面層
12 金属層
14 ビア
16 スルーホール
18 ランド
20 太陽電池
30 測定対象物
40 両面テープ
50 センサー部
51 制御部
52 送受信部
53 電源部
54 アンテナ回路
54A 上面
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-12-21
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0013
【補正方法】変更
【補正の内容】
【0013】
本発明にかかる太陽光発電無線センサーによれば、測定対象物に取り付けられて用いる太陽光発電無線センサーであって、センシング動作に用いる素子類が、多層プリント配線板内に立体的に配置されるとともに、前記多層プリント配線板が一体的に樹脂封止されており、センサーデータの外部送受信に用いるアンテナ回路が、前記多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成されており、前記アンテナ回路の上面に、通信に用いる電波の透過性を有する太陽電池が配置されることを特徴としている。
この構成によれば、多層プリント配線板内に素子を立体的に配置したことにより、小型化を図ることができ、多層プリント配線板を一体的に樹脂封止したことで密閉構造となって水分やほこりの侵入を防ぎ信頼性を高めることができる。
また、アンテナ回路を樹脂封止した多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成したことにより、センシングに必要な素子・回路サイズの影響を受けず、アンテナ面積を確保することができ、通信性能を十分に発揮することができる。さらにアンテナ回路上面に太陽電池の設置面積を確保することができ、無線通信及びセンシングに必要な電力を十分に発電することができる。
【手続補正2】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物に取り付けられて用いる太陽光発電無線センサーであって、
センシング動作に用いる素子類が、多層プリント配線板内に立体的に配置されるとともに、前記多層プリント配線板が一体的に樹脂封止されており、
センサーデータの外部送受信に用いるアンテナ回路が、前記多層プリント配線板の表面及び/又は裏面に形成されており、
前記アンテナ回路の上面に、通信に用いる電波の透過性を有する太陽電池が配置されることを特徴とする太陽光発電無線センサー。
【請求項2】
測定対象物の状態を取得するセンサー部と、
前記センサー部によって得られたデータを外部通信する送受信部と、
前記太陽電池によって発生する電力を収集し、少なくとも前記センサー部及び前記送受信部に電力を供給する電源部と、を具備することを特徴とする請求項1記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項3】
前記センサー部によって得られたデータの演算、デジタル化及び全体の動作管理を実行する制御部を具備することを特徴とする請求項2記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項4】
前記制御部又は前記送受信部は、前記センサー部によって得られたデータを個体識別IDで管理することを特徴とする請求項3記載の太陽光発電無線センサー。
【請求項5】
測定対象物の表面の導体金属に、接着剤、ビス、ボルト、粘着テープ、又は半田で取り付けられることを特徴とする請求項1記載の太陽光発電無線センサー。