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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054561
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】建具
(51)【国際特許分類】
   E06B 5/16 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
E06B5/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】1
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160857
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000175560
【氏名又は名称】三協立山株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000626
【氏名又は名称】弁理士法人英知国際特許商標事務所
(72)【発明者】
【氏名】立道 瑞樹
(72)【発明者】
【氏名】三室 智史
【テーマコード(参考)】
2E239
【Fターム(参考)】
2E239CA02
2E239CA04
2E239CA22
2E239CA26
2E239CA28
2E239CA29
2E239CA32
2E239CA52
2E239CA54
2E239CA62
(57)【要約】      (修正有)
【課題】火災時における防火性能を向上。
【解決手段】建具は、枠体と障子と移動規制金具を備え、枠体は、縦枠と横枠を有し、障子を開閉自在に支持するものであり、障子は、中空部を有する縦通しの縦框を備えており、移動規制金具は、横枠に取り付けられ、閉じた障子の縦框の中空部と対向する位置にあり、平時は障子の開閉を妨げないものであり、火災時には熱伸びした縦框に呑み込まれ、室内側又は室外側の縦框の中空部の内壁と当接する当接部を有していることを特徴とする。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
枠体と障子と移動規制金具を備え、枠体は、縦枠と横枠を有し、障子を開閉自在に支持するものであり、障子は、中空部を有する縦通しの縦框を備えており、移動規制金具は、横枠に取り付けられ、閉じた障子の縦框の中空部と対向する位置にあり、平時は障子の開閉を妨げないものであり、火災時には熱伸びした縦框に呑み込まれ、室内側又は室外側の縦框の中空部の内壁と当接する当接部を有していることを特徴とする建具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開閉自在な建具に関する。
【背景技術】
【0002】
開閉自在な建具は、枠体に対して障子が回転して開く開き窓やスライドして開く引き戸等が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11-236786
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような建具においては、火災時における防火性能を向上させることが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前述の課題を解決するために請求項1記載による建具は、枠体と障子と移動規制金具を備え、枠体は、縦枠と横枠を有し、障子を開閉自在に支持するものであり、障子は、中空部を有する縦通しの縦框を備えており、移動規制金具は、横枠に取り付けられ、閉じた障子の縦框の中空部と対向する位置にあり、平時は障子の開閉を妨げないものであり、火災時には熱伸びした縦框に呑み込まれ、室内側又は室外側の縦框の中空部の内壁と当接する当接部を有していることを特徴とする。
【発明の効果】
【0006】
本発明は、前述の構成により、防火性能が向上した建具を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明に係る建具の内観正面図である。
図2図1の(2)-(2)断面図である。
図3図1の(3)-(3)断面図である。
図4】移動規制金具の構成図であり、(a)は、正面図、(b)は、側面図、(c)は、平面図。
図5】室内側で加熱された戸先縦框の反り及び伸びを説明する図である。
図6】室外側で加熱された戸先縦框の反り及び伸びを説明する図である。
図7】移動規制金具がない建具における戸先縦框と移動規制金具がある建具における戸先縦框の動作の比較図である。
図8】土間納まりの建具において室内側で加熱された戸先縦框の反り及び伸びを説明する図である。
図9】土間納まりの建具において室外側で加熱された戸先縦框の反り及び伸びを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明に係る実施形態の建具1を図面に基づいて説明する。
以下の説明では、異なる図における同一符号は同一機能の部位を示しており、各図における重複説明は適宜省略する。
【0009】
[建具の基本構成]
図1は、建具1の内観正面図であり、躯体2に設けられた躯体開口20に取り付けられた状態を示している。
建具1は、欄間付きの観音開きの開き窓であり、躯体開口20に取り付けられた枠体3と、枠体3に開閉自在に支持された左障子(障子)4と右障子(障子)5と、左障子4及び右障子5の上方の欄間6と、移動規制金具7を備えたものである。
なお、建具1は、例示する開き窓に限らず、開閉できる障子を有するものであれば、どのような窓種であってもよい。
【0010】
枠体3は、左右2本の左縦枠(縦枠)30と、右縦枠(縦枠)31と、左縦枠30及び右縦枠31の上端側に取り付けられた上横枠(横枠)32と、左縦枠30及び右縦枠31の下端側に取り付けられた下横枠(横枠)33とで、四方を囲むように枠組みされており、躯体開口20の内周に固定されている。
また、枠体3は、左縦枠30と右縦枠31とにわたり、左障子4及び右障子5と欄間6を仕切る無目34を有している。
無目34は、左障子4及び右障子5の開方向を一方向に規制すると共に、欄間6のパネル60を支持する横枠として機能するものである。
【0011】
左障子4は、四方を囲むように枠組みされたアルミニウム製の框体4aにパネル44が支持されたものである。
框体4aは、戸先縦框(縦框)40と、吊元縦框(縦框)41と、戸先縦框40と吊元縦框41の上端側に取り付けられた上横框42と、戸先縦框40と吊元縦框41の下端側に取り付けられた下横框43とで構成され、縦通しで框体4aが組み立てられている。
このような左障子4は、吊元縦框41と左縦枠30にわたり取り付けられた丁番45と、上横框42の吊元側と無目34にわたり取り付けられたドアクローザー46によって、枠体3に開閉自在に取り付けられている。
また、左障子4は、戸先縦框40に取り付けられたハンドル47の回転操作で、右障子5に対するラッチ(図示せず)の係合を解除して開閉する。
【0012】
戸先縦框40の下端には、中空部400を塞ぐ端部キャップ材48が取り付けられている。
端部キャップ材48は、熱可塑性樹脂材から形成されたものである。
火災時には、端部キャップ材48が熱で溶融して流れ落ちることで、中空部400の下端が開放される。
端部キャップ材48は、戸先縦框40と吊元縦框41の上端・下端にも取り付けられており(図2及び図3において下端のみ図示)、端部キャップ材48で両縦框の中空部400を塞ぐことで、平時において中空部400に対する防水・防塵をしている。
戸先縦框40の中空部400内には補強部材4000が配置されており、この補強部材4000の室内側又は室外側の内壁4001、4002が後述する移動規制金具7に当接するようにされている。
なお、端部キャップ材48は、必須なものではない。
また、補強部材4000がない戸先縦框40の場合は、戸先縦框40の室内側又は室外側の内壁4001、4002が後述する移動規制金具7に当接する。
【0013】
このような左障子4の戸先縦框40の中空部400の下端と対向する下横枠33の内周側面330に移動規制金具7が取り付けられている。
移動規制金具7は、火災時の熱により戸先縦框40が熱伸びした際に、移動規制金具7が戸先縦框40の下端から中空部400に呑み込まれる位置に設けてある。
戸先縦框40の中空部400に呑み込まれた移動規制金具7に対して、戸先縦框40が熱によって反るように変形しようとしたとき、戸先縦框40の中空部400の室内側又は室外側の内壁4001、4002が当接することで、戸先縦框40の下端が下横枠33離れていくことを止めることができる(図5(a)(b)、図6(a)(b)参照)。
また、移動規制金具7を戸先縦框40の中空部400に呑み込まれる位置に取り付けるので、移動規制金具7を下横枠33の内周側面330の見込幅内に配置することができる。
【0014】
右障子5は、四方を囲むように枠組みされたアルミニウム製の框体5aにパネル54が支持されたものである。
框体5aは、戸先縦框(縦框)50と、吊元縦框(縦框)51と、戸先縦框50と吊元縦框51の上端側に取り付けられた上横框52と、戸先縦框50と吊元縦框51の下端側に取り付けられた下横框53とで構成され、縦通しで框体5aが組み立てられている。
このような右障子5は、吊元縦框51と右縦枠31にわたり取り付けられた丁番45によって、枠体3に開閉自在に取り付けられている。
【0015】
戸先縦框50と吊元縦框51の上端及び下端には、左障子4側の端部キャップ48と同じ構成と機能を有する端部キャップ材48が取り付けられている(図3において下端のみ図示)。
火災時には、端部キャップ材48が熱で溶融して流れ落ちることで、中空部500の下端が開放される。
【0016】
本実施形態の建具1では、普段において開閉する障子を左障子4とし、右障子5は、普段において、戸先縦框50に設けられたフランス錠等(図示せず)を下横枠33と無目34に対して嵌合させることで、右障子5をロックして開閉できないようにされる。
このため、右障子5の戸先縦框50は、火災時の熱で熱伸びして反るように変形しようとしたときに、前述のフランス錠等が戸先縦框50を拘束して戸先縦框50の移動を防止する機能を発揮することから、戸先縦框50側には、移動規制金具7が配置されていない。
ただし、建具1は、右障子5の戸先縦框50側にも左障子4と同じように移動規制金具7を配置してもよいし、普段において左障子4と右障子5を開閉する場合、双方の戸先縦框40、50側に移動規制金具7を配置するとよい。
本実施形態の建具1の場合は、特に、下横枠33の室外側の部分に立ち上がりや突部等がなく、戸先縦框50が室外側に離れていくのを止める要素がないことから、例示したような戸先縦框40の下方の下横枠33に移動規制金具7を配置することが望ましい。
移動規制金具7は、例示した下横枠33のみへの配置に限らず、下横枠33及び上横枠32の双方に配置してもよいし、上横枠32のみに配置してもよい。
また、移動規制金具7は、建具1の使用形態等を勘案して、前述のように、吊元縦框41、51の下方側への配置、戸先縦框40、50の上方側への配置、吊元縦框41、51の上方側への配置も任意である。
【0017】
[移動規制金具の構成]
図4は、本実施形態で実施される移動規制金具7である。
移動規制金具7は、左障子4及び右障子5と同等以上の耐熱性及び剛性を有しており、図4(a)~(c)に示すように、戸先縦框40の中空部400に呑み込まれる突起部70と、突起部70に一体形成された固定部71を備えて形成されている。
移動規制金具7は、図2に示すように、下横枠33に取り付けた状態で、突起部70の上端が戸先縦框40の下端よりも低い位置になるように形成されている。
移動規制金具7の素材としては、戸先縦框40よりも早く熱変形せず、移動する戸先縦框40が当接した際に、その移動を止めることができる剛性を有するものであればよい(例えば、スチール、ステンレス、アルミニウム等)。
【0018】
突起部70は、図4(a)~(c)に示すように、正面視(図4(a))において下部が開いていると共に、突起部70の室内側と室外側の面に当接部701、702が設けられている。
つまり、実施例の突起部70は、略直方体の底面が抜けたような形状をしている。
当接部701、702は、図5(b)及び図6(b)に示すように、突起部70が戸先縦框40の中空部400に呑み込まれたときに反った戸先縦框40の室内側又は室外側の内壁4001、4002が当接するものである。
当接部701、702は、突起部70の上面側を室内側と室外側に延長し、延長した部分を下方に折り曲げることで、戸先縦框40の室内側又は室外側の内壁4001、4002が当接する面として形成された面である。
この突起部70の構成は、例示した構成に限らず、折り曲げ部分をなくした突起部70とし、この突起部70の縁を当接部701a、702a(図4においてカッコで示す)としてもよい。
【0019】
固定部71は、図4(a)(c)に示すように、突起部70の左右の下端に、それぞれ左右に張り出すように設けられた平板状のものであり、上面には、下横枠33にねじ止めされる長孔710が設けられている。
長孔710は、図2及び図3に示すように、長手方向を室内側と室外側にわたる方向にされており、移動規制金具7を下横枠33に取り付ける際に、固定部71を最適な場所に配置できるようになっている。
【0020】
移動規制金具7の形態は、例示したものに限らず、下横枠33に取り付けることができると共に、熱伸びする戸先縦框40の中空部400に呑み込まれ、且つ熱により反った戸先縦框40における中空部400の室内側又は室外側の内壁4001、4002が当接するものであればよい。
【0021】
図2に示すように、下横枠33の内壁331には、熱膨張耐火材49が取り付けられている。
熱膨張耐火材49は、下横枠33の内壁331における長手方向の全域に配置され、下横框43の室内側の見付面と対面している(下横框43側のみ図示)。
熱膨張耐火材49は、火災時の熱で膨張することで、下横框43、53の室内側の見付面と下横枠33の内壁331との間の隙間を塞ぐものである。
【0022】
[移動規制金具による反り防止動作]
次に、移動規制金具7による左障子4の反り防止動作を図5(室内側火災)及び図6(室外側火災)に基づいて説明する。
戸先縦框40は、長尺なものであるため、端部側の変形量が大きくなる。
これによって、戸先縦框40が下横枠33から離間する距離が大きくなり、この離間によって生じる隙間が大きくなってしまう。
移動規制金具7は、戸先縦框40の移動を規制することにより、戸先縦框40が下横枠33から離れていくことを防止して隙間の発生を防止する。
【0023】
(室内側火災)
図5は、室内側で火災が発生し、室内側から左障子4が加熱されて、戸先縦框40が熱伸びすると共に、反りが生じる例を示している。
平時(a)(b)に示すように、加熱されていない状態においては、移動規制金具7が戸先縦框40の下端の直下にあり、突起部70の上面に対して戸先縦框40の下端が上方向に離間した状態となっている。
【0024】
室内側での火災時においては、火災時(a)(b)に示すように、戸先縦框40が熱伸びして突起部70を呑み込む。
戸先縦框40の熱伸び時には、端部キャップ材48が熱で溶融して流れ落ちることで、戸先縦框40の下端が開放されて突起部70を呑み込むか、流れ落ちる前に溶融した端部キャップ材48が突起部70で突き破られることで、戸先縦框40の下端から突起部70を呑み込む。
戸先縦框40は、室内側からの加熱に対しては、熱伸びしながら、室内側への反りが生じるが、このとき、戸先縦框40の中空部400の室内側の内壁4002が突起部70の当接部702に当接することで、戸先縦框40の下端が下横枠33から離れていくことが止められる。
そして、戸先縦框40の離間が止められることにより、左障子4の変形による隙間の発生を抑制できると共に、変形による左障子4の脱落を防止することができる。
【0025】
室内側での火災時には、その熱により、熱膨張耐火材49が膨張する。
すなわち、膨張する熱膨張耐火材49は、熱によって変形する下横框43の室内側の見付面と下横枠33の内壁331との間に生じる隙間を塞ぐため、この隙間からの火炎の噴出を防止できる。
【0026】
(室外側火災)
図6は、室外側で火災が発生し、室外側から左障子4が加熱されて、戸先縦框40が熱伸びすると共に、反りが生じる例を示している。
平時(a)(b)に示すように、加熱されていない状態においては、移動規制金具7が戸先縦框40の下端の直下にあり、突起部70の上面に対して戸先縦框40の下端が上方向に離間した状態となっている。
【0027】
室外側での火災時においては、火災時(a)(b)に示すように、戸先縦框40が熱伸びして突起部70を呑み込む。
戸先縦框40の熱伸び時には、端部キャップ材48が熱で溶融して流れ落ちることで、戸先縦框40の下端が開放されて突起部70を呑み込むか、流れ落ちる前に溶融した端部キャップ材48が突起部70で突き破られることで、戸先縦框40の下端から突起部70を呑み込む。
戸先縦框40は、室外側からの加熱に対しては、熱伸びしながら、室外側への反りが生じるが、このとき、戸先縦框40の中空部400の室内側の内壁4002が、突起部70の当接部702に当接することで、戸先縦框40の下端が下横枠33から離れていくことが止められる。
そして、戸先縦框40の離間が止められることにより、左障子4の変形による隙間の発生を抑制できると共に、変形による左障子4の脱落を防止することができる。
【0028】
室外側での火災時には、その熱により、熱膨張耐火材49が膨張する。
すなわち、膨張する熱膨張耐火材49は、熱によって変形する上横框42、52及び下横框43、53の室内側の見付面と上横枠32の内壁及び下横枠33の内壁331との間に生じた隙間を塞ぐため、この隙間からの火炎の噴出を防止できる。
また、図7(a)に示すように、移動規制金具7がない場合に、熱膨張耐火材49が膨張すると、戸先縦框40が下横枠33から大きく離間して熱膨張耐火材49が膨張しても隙間が生じるおそれがある。
しかしながら、図7(b)に示すように、移動規制金具7が配置されていると、戸先縦框40が熱伸びしながら熱反りするとき、戸先縦框40が呑み込んだ移動規制金具7によって戸先縦框40の下端が下横枠33から離れていくことを止められているので、熱膨張耐火材49が膨張したときに隙間を塞ぐことができる。
さらに、移動規制金具7により戸先縦框40の下端が下横枠33から離れていくことを止められていることから、下横框43と下横枠33との隙間が狭くなるため、熱膨張耐火材49により隙間を確実に塞ぐことができ、これにより、隙間からの火炎の噴出の防止機能を高めることができる。
【0029】
以上の構成による本実施形態の建具1は、室内側又は室外側での火災時の熱による戸先縦框40の熱伸びにより、移動規制金具7の突起部70を呑み込む。
そして、戸先縦框40が熱伸びしながら室内側又は室外側に反った際に、戸先縦框40の中空部400の内壁4001又は内壁4002が突起部70の当接部702に当接することで、戸先縦框40の下端が下横枠33から離れていくことを止めることができる。
したがって、戸先縦框40の離間が止められることにより、左障子4の変形を抑制できる共に、左障子4の変形による隙間の発生を抑制できる。
よって、建具1は、隙間からの火炎の噴出を抑制できると共に、左障子4の変形による脱落を防止できる。
また、火災時における熱膨張耐火材49の膨張によって、左障子4の変形による隙間が塞がれるため、隙間からの火炎の噴出の抑制をより確実に行うことができる。
【0030】
[土間納まりの建具における戸先縦框の移動規制]
図8及び図9は、土間納まりの建具1における戸先縦框40の移動規制状態を示している。
土間納まりの建具1においては、図8及び図9の平時(b)に示すように、下横枠33が地面Gに埋められており、下横枠33の内周側面330が地面Gとほぼ同面となっていると共に、戸先縦框40の下端との上下幅が狭い構造となっている。
このため、戸先縦框40の下端には、端部キャップ材48が取り付けられてなく、移動規制金具7の突起部70の高さを、下横枠33の内周側面330と戸先縦框40の下端との上下幅よりも低くしている。
移動規制金具7の突起部70の高さは、左障子4の開閉時に戸先縦框40が接触せず、しかも、戸先縦框40が熱伸びしたときに移動規制金具7の突起部70を呑み込めると共に、熱反りしたときに、戸先縦框40の中空部400の内壁4001、4002が当接部701、702に当接する高さである。
【0031】
土間納まりの建具1は、図8の室内側火災時に、図8の火災時(a)(b)に示すように、熱伸びした戸先縦框40が移動規制金具7の突起部70を呑み込み、熱反りした戸先縦框40の中空部400の内壁4001が移動規制金具7の当接部701に当接することで、戸先縦框40の室内側への移動を防止することができる。
また、図9の室外側火災時に、図9の火災時(a)(b)に示すように、熱伸びした戸先縦框40が移動規制金具7の突起部70を呑み込み、熱反りした戸先縦框40の中空部400の内壁4002が移動規制金具7の当接部702に当接することで、戸先縦框40の室外側への移動を防止することができる。
【0032】
以上の構成による土間納まりの建具1は、室内側又は室外側での火災時の熱による戸先縦框40の熱伸びにより、移動規制金具7の突起部70を呑み込む。
そして、熱伸びしながら室内側又は室外側に反った際に、戸先縦框40の中空部400の内壁4001又は内壁4002が突起部70の当接部701又は当接部702に当接することで、戸先縦框40の室内側又は室外側への移動を防止することができる。
したがって、土間納まりの建具1は、戸先縦框40の移動が止められることにより、左障子4の変形を抑制でき、これによって、左障子4の変形による脱落を防止できると共に、枠との隙間の発生を抑制できる。
【0033】
以上、本発明に係る実施形態について、図面を参照して詳述し、多様な変更可能な態様を説明してきたが、具体的な構成は、これらの実施の態様に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計の変更等があっても本発明に含まれる。
【0034】
また、前述の実施例及び多様な態様は、その目的及び構成等に特に矛盾や問題がない限り、互いの技術を流用して組み合わせることが可能である。
【符号の説明】
【0035】
1:建具
3:枠体
7:移動規制金具
4:左障子
5:右障子
30:左縦枠
31:右縦枠
32:上横枠
33:下横枠
40:戸先縦框
41:吊元縦框
400:中空部
4001:内壁
4002:内壁
701:当接部
702:当接部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9