IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社LIXILグループの特許一覧

特開2024-54565方立のシール構造および方立のシール方法に関する。
<>
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図1
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図2
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図3
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図4
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図5
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図6
  • 特開-方立のシール構造および方立のシール方法に関する。 図7
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054565
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】方立のシール構造および方立のシール方法に関する。
(51)【国際特許分類】
   E04B 2/96 20060101AFI20240410BHJP
   E04B 1/66 20060101ALI20240410BHJP
   E06B 1/18 20060101ALI20240410BHJP
   E06B 7/26 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
E04B2/96
E04B1/66 Z
E06B1/18 X
E06B7/26
E06B1/18 N
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160865
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】504163612
【氏名又は名称】株式会社LIXIL
(74)【代理人】
【識別番号】100141139
【弁理士】
【氏名又は名称】及川 周
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100179833
【弁理士】
【氏名又は名称】松本 将尚
(72)【発明者】
【氏名】千本 英二郎
(72)【発明者】
【氏名】大内 悠斗
【テーマコード(参考)】
2E001
2E002
2E011
2E036
【Fターム(参考)】
2E001DA01
2E001FA31
2E001HF02
2E002NA04
2E002NB02
2E002NB03
2E002QA04
2E002UA00
2E002UB04
2E011BA01
2E036RA08
2E036RC01
2E036UA01
(57)【要約】
【課題】 外観意匠性と気密性を両立させた外部ファサード用の方立を実現できる方立のシール構造および方立のシール方法を提供する。
【解決手段】 方立のシール構造1は、方立2の上下方向の端部開口29から湿式シール材5を充填する空間である湿式シール充填部3が前記方立に形成され、前記湿式シール充填部に充填された前記湿式シール材によって、前記方立の上下方向の端部の少なくとも一部を封止する。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
方立の上下方向の端部開口から湿式シール材を充填する空間である湿式シール充填部が前記方立に形成され、
前記湿式シール充填部に充填された前記湿式シール材によって、前記方立の上下方向の端部の少なくとも一部を封止する、方立のシール構造。
【請求項2】
前記方立の側壁を貫通し、前記湿式シール充填部の充填端部に開口する貫通孔が形成されている、請求項1に記載の方立のシール構造。
【請求項3】
前記湿式シール充填部は、前記方立の下端部内に設けられ、
前記湿式シール充填部の上下方向の上方に乾式シール部材が取り付けられており、
前記乾式シール部材が前記湿式シール充填部の天面を構成する、請求項1または請求項2に記載の方立のシール構造。
【請求項4】
前記湿式シール充填部は、前記方立の下端部内に設けられ、
前記貫通孔よりも上方に乾式シール部材が取り付けられており、
前記乾式シール部材が前記湿式シール充填部の天面を構成する、請求項2に記載の方立のシール構造。
【請求項5】
前記湿式シール充填部は、前記方立の見込方向の外側に設けられ、前記湿式シール充填部の見込方向の内側に乾式端部シール部材が設けられている、請求項1または請求項2に記載の方立のシール構造。
【請求項6】
前記湿式シール充填部の上方および見込方向の内側が乾式シール部材で仕切られている、請求項1に記載の方立のシール構造。
【請求項7】
建具の下枠に設けられ、前記方立の下端部の幅方向の両側に配置される一対の水切部が、前記端部開口の下方において、見込方向に離間配置される、請求項1に記載の方立のシール構造。
【請求項8】
方立の上下方向の端部開口に連続し、湿式シール材を充填する湿式シール充填部を形成し、
前記方立の側壁のうち、前記端部開口よりも上下方向の中央側に位置する箇所に前記側壁を貫通する貫通孔を形成し、
前記端部開口から前記湿式シール充填部に前記湿式シール材を充填し、
前記湿式シール充填部に充填された前記湿式シール材が前記貫通孔から前記方立の外側に溢れ出た時点で前記湿式シール材の充填を停止することによって、前記湿式シール充填部を前記湿式シール材で満たす、方立のシール方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、方立のシール構造および方立のシール方法に関する。
【背景技術】
【0002】
商業施設やオフィスビル等の建築物の外部ファサードに複数の窓サッシを並べて方立で連結した連窓が採用されている。例えば、特許文献1には、外部用ファサードに用いるカーテンウォールが開示されている。特許文献1に記載のカーテンウォールは、ガラスを保持するための開口溝を方立内に設け、方立内部には外気導入する機構を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2021-152246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、建築物の意匠性を高めるため、外部ファサードを構成する連窓も意匠性の高い製品が求められている。例えば、方立の幅方向の寸法を極小化すると、方立が目立たず広いガラス面を強調した外観が得られる。しかし、特許文献1に記載のように、外気導入経路を確保しつつ、外部ファサード用の方立の幅方向の寸法の極小化を図る場合、外気導入経路のスペースが減少する。そのため、方立内の限られたスペースで気密性を保つことは構造上、および施工上困難であった。
【0005】
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、外観意匠性と気密性を両立させた外部ファサード用の方立を実現できる方立のシール構造および方立のシール方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一態様に係る方立のシール構造は、方立の上下方向の端部開口から湿式シール材を充填する空間である湿式シール充填部が前記方立に形成され、前記湿式シール充填部に充填された前記湿式シール材によって、前記方立の上下方向の端部の少なくとも一部を封止する。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】一実施形態に係る方立のシール構造を適用した連窓ユニットの正面図。
図2】一実施形態の連窓ユニットの下面図。
図3】一実施形態の方立の下面図。
図4】一実施形態の方立下部の斜視図。
図5】一実施形態の連窓ユニット下部の正面図。
図6】一実施形態の方立の第一部品の下部の側面図。
図7図1に示すA7-A7断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照し、方立2のシール構造1および方立2のシール方法の一実施形態を説明する。方立2のシール構造1および方立2のシール方法は、例えば、図1に示すような連窓ユニット100に採用できる。連窓ユニット100は、複数の板材11が支持体8に支持されている。連窓ユニット100は、建物の開口に取り付けられる。以下の説明では、板材11の厚さ方向を見込方向Dと称する。見込方向Dと直交する水平方向を幅方向Wと称する。見込方向Dおよび幅方向Wと直交する方向を上下方向Hと称する。
【0009】
支持体8は、上枠81と、下枠82と、一対の縦枠89と、一以上の方立2と、一以上の無目83とを備える。上枠81と、下枠82と、一対の縦枠89とが矩形に組み立てられて外枠80を構成している。外枠80は、建物の開口に固定される。方立2および無目83は、外枠80内で格子状に配置されている。方立2は、上下方向Hに沿って配置され上枠81および下枠82に連結されている。無目83は、一対の縦枠89間に上枠81および下枠82と平行に配置されている。板材11は例えば、ガラスである。板材11は、単層ガラス、複層ガラスのいずれでもよい。板材11は、外枠80の内側に幅方向Wおよび上下方向Hに並べられている。板材11は、外枠80と方立2と無目83とで形成された各矩形空間内に配置されて支持される。図1では、連窓ユニット100の一例として、6枚の板材11が並ぶ例を図示しているが、連窓ユニット100の板材11の数は図示例に限定されない。連窓ユニット100は建具の一例である。
【0010】
方立2は、直方体形状の長尺部材である。図2に示すように、方立2は、内端壁63と、外端壁64と、一対の側壁61,62とを備える。内端壁63は、見込方向Dの室内I側を向く。外端壁64は、見込方向Dの室外O側を向く。一対の側壁61,62は、幅方向Wを向く。図示例では、方立2は、幅方向Wの寸法が短く、見込方向Dの寸法が長い。方立2は、幅方向Wの寸法が極めて小さく、見込方向Dの寸法が長い為、連窓ユニット100の外観上、方立2が細長い特徴的な意匠を有する。
【0011】
図2および図3に示すように、方立2は、第一部品21と第二部品22とが連結されている。第一部品21および第二部品22は、上下方向Hに長い型材である。第一部品21の側壁61の内面211と第二部品22の側壁62の内面221とが離間した位置で対向配置されている。第一部品21と第二部品22とは、外側連結部271および内側連結部272が係合されることによって連結されている。内側連結部272は、第一部品21の内係止片241と、第二部品22の内係止片242とが係止されている。
【0012】
図2に示すように、第一部品21の外端壁64の内側に内面221から突出する外係止片243が形成されている。第二部品22の室外O側の端部には、内面221から突出する外係止片244が形成されている。第二部品22の外係止片244は、外端壁64と略平行に延びる部分と見込方向Dに延びる部分とを有する略L字形状を有する。外側連結部271は、第一部品21の外係止片243と外端壁64との間に、第二部品22の外係止片244が挿入されて係止される。第一部品21の外係止片243には、第二部品22の外係止片244との当接部位に係止凸部246が形成されている。係止凸部246は、室外O側に僅かに突出している。係止凸部246によって、外係止片243,244同士の係止状態が補強される。例えば、方立2に強風等の外力が掛かった時にも外側連結部271の係止状態が安定的に保持できる。
【0013】
外係止片244には、シール部材49の一端部を収容する凹部245が形成されている。第二部品22の外端28と外端壁64の端部とが当接している。外端28と凹部245と外係止片244の間にシール部材49が配置される。外側連結部271は、各外係止片243,244が見込方向Dに重なり、かつ幅方向Wに係止されているため、方立2に外力が掛かった場合も連結状態を安定的に保持できる。外側連結部271は、外係止片243,244と外端壁64とで囲まれた空間にシール部材49が設けられているため、封止状態が安定的に保持される。
【0014】
第一部品21には、内面211から第二部品22に向かって突出する2つの凸部25,26を備える。2つの凸部25,26は、見込方向Dに離れた位置で上下方向Hに略平行に延びている。図示例では、各凸部25,26は水平断面形状が略L字形状を有する。各凸部25,26は、第一部251,261および第二部252,262を有する。各凸部25,26の第一部251,261は、内面211から幅方向Wに突出している。第二部252,262は、第一部251,261の突出端から見込方向Dに延びるように曲折している。第二部252,262は、第二部品22の内面221と対向配置される。各第二部252,262は同じ向きに折れ曲がっている。
【0015】
各凸部25,26のうち、室内I側に位置する内側凸部26と第二部品22の内面221との間には、シール部材48が設けられている。シール部材48は、例えば、長尺な平板状の乾式シール部材である。室外O側に位置する外側凸部25と第二部品22の内面221との間は隙間が形成されている。
【0016】
方立2の内部には上下方向Hに延びる中空部が形成されている。図示例では、方立2の中空部は、見込方向Dに3つの空間に仕切られている。方立2の3つの空間を、見込方向Dの外側Oから順に第一中空部S1、第二中空部S2、および第三中空部S3と称する。第一中空部S1は、第一部品21および第二部品22の各内面211,221と、外側凸部25と、外側連結部271とで囲まれた空間である。第二中空部S2は、外側凸部25と、内側凸部26と、第一部品21および第二部品22の各内面211,221とで囲まれた空間である。第三中空部S3は、第一部品21および第二部品22の各内面211,221と、内側凸部26と、内側連結部272とで囲まれた空間である。内側凸部26と第二部品22の内面221との間に設けられたシール部材49によって、第三中空部S3は、第一中空部S1および第二中空部S2に対して封止されている。
【0017】
図6に示すように、外側凸部25の下端253は、方立2の下端23より上方に位置する。内側凸部26の下端263は、方立2の下端23より上方に位置する。内側凸部26の下端263の位置は、外側凸部25の下端253より高い。
【0018】
方立2の下端部には湿式シール充填部3が設けられている。湿式シール充填部3は、湿式シール材を充填する空間である。湿式シール充填部3は、外側凸部25の下方に設けられている。湿式シール充填部3は、下端開口29と外側凸部25の下端253との間に設けられている。湿式シール充填部3は、方立2の見込方向Dの外側の領域に設けられている。
【0019】
第一部品21の側壁61には、湿式シール充填部3の上端部31と連通する貫通孔7が形成されている。貫通孔7は、側壁61を幅方向Wに貫通している。図示例では、見込方向Dに離れた位置に2箇所の貫通孔7が形成されている。貫通孔7は、湿式シール充填部3に湿式シール材が十分に充填されたことを確認するために設けられている。貫通孔7の詳細は後述する。湿式シール充填部3の上端部31は、充填端部の一例である。
【0020】
外側凸部25の下方に乾式シール部材42が設けられている。乾式シール部材42は、外側凸部25の下端253と貫通孔7との間に設けられている。乾式シール部材42は、第三中空部S3の下端部を塞ぐ位置に設けられている。
【0021】
内側凸部26の下方には乾式端部シール部材41が設けられている。乾式端部シール部材41は乾式シール部材である。乾式端部シール部材41は、略直方体形状を有する。乾式端部シール部材41は、湿式シール充填部3の見込方向Dの室内I側に設けられている。乾式端部シール部材41は、方立2の下端開口29のうち、室内I側の領域を塞ぐ。乾式端部シール部材41は、内側凸部26の下端263から下端開口29の間、外側凸部25の第一部251と内側連結部272の間、および第一部品21の内面211と第二部品22の内面221との間の空間を塞ぐように設けられている。
【0022】
湿式シール充填部3は、乾式シール部材42と乾式端部シール部材41と、外側連結部271とで囲まれている。湿式シール充填部3は、下端開口29で開口している。
【0023】
図1図4および図5に示すように、一対の側壁61,62には、パネル保持部84が設けられている。パネル保持部84は、板材11を保持する部材である。パネル保持部84は、側壁61,62の見込方向Dの略中央部に設けられている。図示は省略するが、パネル保持部84は、側壁61,62から一対の縦枠89側に向かって開口する保持溝を有する。保持溝内に板材11の縁端部が挿入されて板材11が保持される。
【0024】
無目83は、縦枠89と方立2との間、または隣り合う方立2の間に設けられている。図1に示すように、無目83は、幅方向Wの端部が方立2の側壁61,62に接触した状態で方立2に固定されている。無目83は、長さ方向に延びる中空部が形成されている。無目83の幅方向Wの両端部には不図示の横開口部が開口している。
【0025】
無目83の下部には無目通気口832が開口している。無目通気口832は、無目83の下部を上下方向Hに貫通している。無目通気口832は、無目83の外側から中空部内に外気を導入可能な外気導入口として機能する。無目通気口832は、下部の見込方向Dにおける板材11側の端部近傍に開口している。無目通気口832は外観上目立たない位置に形成されている。図示は省略するが、パネル保持部84、方立2の側壁61,62にも通気口が形成されている。無目通気口832から方立2の第一中空部S1まで、無目83の中空部、無目83の端部の横開口部、パネル保持部84、方立2の側壁61,62を経る外気導入経路が形成されている。
【0026】
乾式シール部材41および乾式端部シール部材42は、例えば、スポンジ状の微細多孔質部材である。湿式シール材5は、充填時は流体であり、充填後、経時硬化する。
【0027】
次に、方立2のシール構造1について説明する。湿式シール充填部3に湿式シール材5が充填される。図3に示すように、方立2の下端開口29の室外O側の領域は湿式シール材5で封止される。方立2の室外O側の中空部S1は、密封性の安定的な保持が望まれる。方立2の下端開口29の室外O側の領域が湿式シール材5で封止されることによって、第一中空部S1が安定的に封止できる。
【0028】
図6に示すように、湿式シール充填部3の上方に乾式シール部材42が設けられているため、上下方向Hに湿式シール材5と乾式シール部材42とが並んで配置される。この構成によって、方立2の室外O側の第一中空部S1がより確実に封止できる。
【0029】
方立2の下端開口29の外側凸部25よりも室内I側の領域は乾式端部シール部材41で封止される。室内I側の中空部S2、S3は容易に取り付け可能な乾式端部シール部材41で封止し、高い密封性が望まれる室外O側の下端開口29は、湿式シール材5で封止する。湿式シール材5によって、室外O側の下端開口29は封止性能が安定する。この構成によって、施工が容易でありながら、高い気密性能を保持できるという効果を奏する。
【0030】
連窓ユニット100を建物の外壁の開口に設ける場合、連窓ユニット100の室外側は外部環境に晒される。連窓ユニット100は、方立2の内部に中空部S1,S2,S3を設けることによって、外気温を室内側に伝え難くし、断熱性能が向上する。方立2の内部に中空部S1,S2,S3を設けることによって、防音性能を高めることができる。しかし、方立2の内部に中空部を設けると、例えば、連窓ユニット100が雨に晒された時、板材11よりも室外O側に位置する方立2の内部に雨水が浸入する可能性がある。雨水が浸入することを防止する観点、および断熱性能や防音性能を高める観点から、方立2の中空部S1,S2,S3の水密性は重要である。特に板材11よりも室外側に位置する第一中空部S1の水密性が重要である。
【0031】
上記観点に基づき、方立2の下端部には、乾式端部シール部材41および乾式シール部材42を設けている。乾式シール部材41,42は、両面テープや接着剤等で、第一部品21または第二部品22に容易に取り付けられる。例えば、乾式端部シール部材41および乾式シール部材41は、工場や施工現場における組み立て工程時に容易に取り付けられる利点がある。しかし、連窓ユニット100が建物の外壁の開口に取り付けられる場合、風等の外力に起因して板材11や無目83や方立2に一時的に揺れや撓みが生じ得る。方立2の揺れや撓みに起因して、乾式端部シール部材41および乾式シール部材41と方立2の内面211,221との間に小さな隙間が一時的に生じ得る。そこで、方立2の下端部の見込方向Dの室外O側部分に湿式シール充填部3を設け、湿式シール材5を充填し、より確実に中空部S1,S2,S3を封止できる構造を実現した。方立2の下端部のうち、少なくとも室外O側の領域に湿式シール材5が設けられることによって、方立2の中空部S1の封止状態を安定させることができる。
【0032】
(方立のシール方法)
次に、方立のシール方法を説明する。第一部品21と第二部品22とを連結する前に、乾式端部シール部材41および乾式シール部材42を取り付ける。第一部品21の下端よりも上方であって、外側凸部25の下方に貫通孔7を形成する。貫通孔7は、第一部品21の製造段階で予め加工していてもよい。第一部品21と第二部品22とを連結して方立2を組み立てる。施工現場で建物の開口に外枠80を取り付け、支持体8および板材11を組み立てることによって、連窓ユニット100を開口に取り付ける。
【0033】
図7は、方立のシール方法を模式的に示す縦断面図である。図1に示すA7-A7線から見た図である。建物の開口に連窓ユニット100が取り付けられると、図4に示す方立2の下端開口29のうち、室外O側の端部は下方に露出する。湿式シール充填部3の下部が露出する。作業者は、充填具200を用いて湿式シール材5を湿式シール充填部3に充填する。例えば、充填具200としてへらを用い、へらに湿式シール材5を載せて下端開口29に近付けて順次充填する。例えば、充填具200としてチューブ等を用い、チューブの先端を下端開口29に挿入して湿式シール材5を充填する。
【0034】
湿式シール充填部3は方立2の下端開口29に連続して設けられているため、湿式シール材5は方立2の下方から充填する必要がある。方立2の下端開口29の下方から湿式シール材5を充填する場合、作業者は充填状況を目視で確認し難い。これに対し、方立2の側壁61には、湿式シール充填部3の上端部31に貫通する貫通孔7が形成されている。下端開口29から充填された湿式シール材5が湿式シール充填部3の上端部31に達すると、湿式シール材5が貫通孔7から方立2の外部に溢れ出る。湿式シール充填部3が湿式シール材5で満たされると湿式シール材5の充填が完了する。貫通孔7は、方立2の側壁61の目視可能な位置に開口しているため、貫通孔7から湿式シール材5が溢れ出たことが容易に確認できる。貫通孔7から湿式シール材5が溢れ出ると、作業者は湿式シール充填部3が湿式シール材5で満たされたことが認識できる。湿式シール材5が貫通孔7から溢れ出た時点で、作業者は湿式シール材5の充填を停止する。必要に応じて、貫通孔7から溢れ出た湿式シール材5を拭き取る。この構成によって、作業者は湿式シール材5の充填作業を効率的に行える。
【0035】
図示例では、貫通孔7に加え、湿式シール充填部3の上方に乾式シール部材42が設けられている。方立2の側壁61の貫通孔7と、湿式シール充填部3の上方に設けられた乾式シール部材42とを両方備えると、湿式シール材5の充填作業がより効率的に行える。湿式シール材5の充填時、乾式シール部材42の下端面421に到達するまで湿式シール材5を充填すると、湿式シール材5が下端面421に堰き止められる。湿式シール材5が下端面421に堰き止められることによって、湿式シール材5の過度な充填が抑えられる。加えて、下端面421に堰き止められた湿式シール材5が横方向に流れ、貫通孔7から方立2の外部に溢れ出る。この結果、湿式シール材5の充填作業が円滑に行える。
【0036】
図5および図7に示すように、下枠82の下端部には水切部821が設けられている。水切部821は、方立2の下端23の下方を除く位置に設けられている。図5に示すように、方立2の幅方向Wの両側に配置される下枠82の水切部821は、方立2の下方において幅方向Wに離間している。図4および図5に示すように、水切部821間の隙間Xから湿式シール材5を充填できる。水切部821同士が幅方向Wに離間配置されることによって、湿式シール材5の充填具の通過部が形成される。湿式シール材5の充填具の方立2の下端開口29へのアクセスが妨げられず、湿式シール材5の充填作業が容易に行える。施工後、幅方向Wに隣り合う水切部821間の隙間に別の水切部材を取り付けて隙間Xを塞いでもよい。
【0037】
図7に示すように、下枠82の室外O側の上部にはカバー部材85が取り付けられる。図7では、説明のため、カバー部材85を点線で示している。カバー部材85と下枠82との間に中空部S821が形成される。貫通孔7は、下枠82の上方、かつカバー部材85の下方に設けられている。湿式シール材5の充填後、カバー部材85が取り付けられると、貫通孔7は、カバー部材85で隠される。カバー部材85と、板材11と下枠82との間に中空部S822が形成される。
【0038】
上記方立のシール構造1によれば、方立2の下端部に湿式シール充填部3を備えるため、方立2下端開口29から湿式シール材5を充填できる。見込方向Dにおける方立2の下端部の少なくとも一部に湿式シール材5を設けることができる。この構成によって、方立2の第一中空部S1の水密状態を安定的に保持できる。
【0039】
上記方立のシール構造1によれば、方立2の側壁61に貫通孔7が形成されている。貫通孔7は湿式シール充填部3の充填端部である上端部31に位置する。この結果、湿式シール材5の充填時、貫通孔7から湿式シール材5が溢れ出ると、作業者は湿式シール充填部3に湿式シール材5が十分に充填されたことが認識できる。
【0040】
上記方立のシール構造1によれば、湿式シール充填部3の上方に乾式シール部材42が設けられている。この結果、湿式シール材5と乾式シール部材42とが上下方向Hに連続して設けられ、第一中空部S1の封止状態を安定的に保持できる。乾式シール部材42の下端面421が湿式シール充填部3の天面として機能する。この構成によって、湿式シール充填部3に湿式シール材5を充填する作業が容易に行える。
【0041】
上記方立のシール構造1によれば、湿式シール充填部3の上方に乾式シール部材42が設けられ、湿式シール充填部3の上端部31に連通する貫通孔7が方立2の側壁61に形成されている。乾式シール部材42の下端面421が湿式シール充填部3の天面として機能する。湿式シール充填部3内に湿式シール材5を充填する時、天面に到達した湿式シール材5が横方向に流れ貫通孔7から方立2の外部に溢れ出る。この結果、作業者は湿式シール充填部3内に湿式シール材5が十分に充填されたことを速やかに確認でき、充填作業が効率的に行える。
【0042】
上記方立のシール構造1によれば、湿式シール充填部3の上方および見込方向Dの室内I側に乾式端部シール部材41および乾式シール部材41が設けられている。この結果、湿式シール充填部3の上方および見込方向Dの室内I側の仕切部を簡易な構成で形成できる。湿式シール充填部3の上方および見込方向Dの室内I側において、乾式端部シール部材41および乾式シール部材41と湿式シール材5とが連続して設けられる。この構成によって、方立2の下端開口29の封止状態が安定的に保持される。
【0043】
上記方立のシール構造1によれば、方立2の下方に、幅方向Wに隣り合う水切部821同士の隙間Xが形成される。この結果、隙間Xが湿式シール材5の充填具の通過部として機能し、湿式シール材5の充填作業が容易に行える。
【0044】
上記方立のシール方法によれば、方立2の下端開口29に連続する湿式シール充填部3を形成し、方立2の側壁61に貫通孔7を形成する。下端開口29から湿式シール材5を充填する。この方法によって、施工現場で、方立2の下方から湿式シール材5を充填する作業が容易に行える。
【0045】
方立2の形状は図示例に限定されない。上記実施形態の方立2の第一部品21および第二部品22の連結構造等は一例である。本開示の方立2のシール構造1および方立2のシール方法は、上下方向Hの端部に端部開口を有し、端部開口に近傍に中空部が形成された方立2において好適に採用できる。
【0046】
上記実施形態では、方立2の下端部に湿式シール充填部が設けられた例を示したが、方立2の上端部に湿式シール充填部が設けられていてもよい。例えば、方立2の上端部および下端部が水平方向の直線を中心とした線対称形状に構成されていてもよい。方立2の外側凸部の上端は、方立2の上端より下方に位置する。内側凸部の上端は、方立2の上端より下方に位置する。内側凸部の上端の高さは、外側凸部の上端より低い。方立2の上端開口と外側凸部の上端との間に湿式シール充填部が設けられる。
【0047】
上記実施形態では、方立2の側壁に2箇所の貫通孔7が形成された例を示したが、貫通孔7の数は限定されない。貫通孔は湿式シール充填部の上部に一以上形成されていれば、湿式シール材が溢れ出ることを認識する効果が得られる。
【0048】
上記実施形態では、天面として機能する乾式シール部材42と貫通孔7との両方を備える例を示したが、両方を備える例に限定されない。方立2のシール構造1は、貫通孔7のみ備える構成であっても、作業者が湿式シール材5の充填状況を認識できる。方立2のシール構造1は、貫通孔7を備えず、湿式シール充填部3の上方に乾式シール部材42を設ける構成のみであっても、作業者が湿式シール材5の充填状況を認識できる。この場合、乾式シール部材42に到達するまで湿式シール材5を充填すると、乾式シール部材42の下端面421によって湿式シール材5が堰き止められる。湿式シール充填部3が湿式シール材5で満たされると、湿式シール材5が下端開口29から溢れ出る。この結果、作業者は、湿式シール充填部3に湿式シール材5が十分に充填されたことを認識できる。
【0049】
貫通孔7は、上記実施形態のように湿式シール充填部3の上端部31に開口する例に限定されない。貫通孔7は、湿式シール充填部3の奥側である充填端部まで湿式シール材5が充填されたことを認識可能に設けられればよく、湿式シール充填部3の充填端部に開口する構成であればよい。貫通孔7は、方立2の端部から上下方向Hの中央側に離れた位置であって、湿式シール充填部3の端部に設けられていればよい。例えば、方立2の上部に湿式シール充填部3が設けられる場合、貫通孔7は方立2の側壁61の上部に湿式シール充填部3の下端部に向かって貫通する貫通孔が形成されていてもよい。例えば、貫通孔7は、方立2の側壁のうち、湿式シール充填部3の上下方向Hおよび見込方向Dの両方の充填端部に連通する位置にそれぞれ形成してもよい。
【0050】
上記実施形態では、方立2の中空部が三つの中空部S1,S2,S3に分けられた例を示したが、方立2の中空部の態様は上述の例に限定されない。方立2の室外側の中空部を安定的に封止できればよい。例えば、室外O側と室内I側とで中空部が分割された2つの中空部を備える方立であってもよい。例えば、四つ以上に分割された中空部を備える方立であってもよい。
【0051】
上述の実施形態は、例示であり、上記開示の範囲に限定されない。上述の実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、開示の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、特許請求の範囲とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0052】
2・・・方立、3・・・湿式シール充填部、5・・・湿式シール材、23・・・下端、29・・・下端開口(端部開口)、31・・・上端部(充填端部)、42・・・乾式シール部材、41・・・乾式端部シール部材(乾式シール部材)、61・・・側壁、821・・・水切部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7