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特開2024-54576スイッチング制御装置、電力変換装置および電力供給システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054576
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】スイッチング制御装置、電力変換装置および電力供給システム
(51)【国際特許分類】
   H02M 3/28 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
H02M3/28 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160879
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001357
【氏名又は名称】弁理士法人つばさ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊井 彰宏
【テーマコード(参考)】
5H730
【Fターム(参考)】
5H730AS04
5H730AS05
5H730AS17
5H730BB27
5H730BB61
5H730DD03
5H730DD04
5H730EE04
5H730EE13
5H730FD31
5H730FD51
5H730FG01
(57)【要約】
【課題】効率を向上させつつ、信頼性を向上させることが可能なスイッチング制御装置等を提供する。
【解決手段】本発明の一実施の形態に係るスイッチング制御装置は、トランスと、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、平滑回路と、を備えた電力変換装置に適用される装置であって、2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、出力電流値を検出する第2電流検出回路と、インバータ回路における第1スイッチング素子の動作と同期整流回路における第2スイッチング素子の動作とをそれぞれ制御する制御回路と、を備えている。制御回路は、第1電流検出回路によって検出されたピーク電流値と、第2電流検出回路によって検出された出力電流値とに基づいて、第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、入力電圧が入力される入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されると共に複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、出力電圧が出力される出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されると共に整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、を備えた電力変換装置に適用されるスイッチング制御装置であって、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
スイッチング制御装置。
【請求項2】
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オン状態の期間をTon、前記ピーク電流値をIpk、前記出力電流値をIout、スイッチング周波数をf、とした場合に、
以下の式を用いて、前記第2スイッチング素子における前記オン状態から前記オフ状態への切替タイミングを設定する
請求項1に記載のスイッチング制御装置。
Ton={1/(2×f)}×(π/2)×(|Ipk|/Iout)
【請求項3】
前記式を用いて求められた前記Tonに対して、更にマージンが設定されている
請求項2に記載のスイッチング制御装置。
【請求項4】
前記Tonにおいて、1/(2×f)が上限値として設定されている
請求項2に記載のスイッチング制御装置。
【請求項5】
前記ピーク電流値および前記出力電流値にそれぞれ、下限値が設定されている
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング制御装置。
【請求項6】
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オン状態から前記オフ状態への切替タイミングの設定を、
前記第2スイッチング素子のスイッチング周期における1周期ごと、または、複数周期ごとに、実行する
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング制御装置。
【請求項7】
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オフ状態から前記オン状態への切替タイミングを、
前記第1スイッチング素子における前記オフ状態から前記オン状態への切替タイミングと、同期させる
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング制御装置。
【請求項8】
前記同期整流回路が、4個の前記第2スイッチング素子を含むフルブリッジ回路である
請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載のスイッチング制御装置。
【請求項9】
入力電圧が入力される入力端子対と、
出力電圧が出力される出力端子対と、
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、
前記入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
電力変換装置。
【請求項10】
入力電圧が入力される入力端子対と、
出力電圧が出力される出力端子対と、
前記入力端子対に対して前記入力電圧を供給する電源と、
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、
前記入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
電力供給システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スイッチング素子を用いて電力変換を行う電力変換装置、そのような電力変換装置に適用されるスイッチング制御装置、および、そのような電力変換装置を備えた電力供給システムに関する。
【背景技術】
【0002】
DC-DCコンバータ等の電力変換装置(スイッチング電源装置)として、各種方式のものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001-292571号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような電力変換装置では、効率を向上させたり、信頼性を向上させたりすることが求められている。効率を向上させつつ信頼性を向上させることが可能な、スイッチング制御装置、電力変換装置および電力供給システムを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一実施の形態に係るスイッチング制御装置は、1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、入力電圧が入力される入力端子対と1次側巻線との間に配置されると共に複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、出力電圧が出力される出力端子対と2次側巻線との間に配置されると共に整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、出力端子対と2次側巻線との間に配置された平滑回路と、を備えた電力変換装置に適用される装置であって、2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、インバータ回路における第1スイッチング素子の動作と同期整流回路における第2スイッチング素子の動作とをそれぞれ制御する制御回路と、を備えたものである。制御回路は、第1電流検出回路によって検出されたピーク電流値と、第2電流検出回路によって検出された出力電流値とに基づいて、第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する。
【0006】
本発明の一実施の形態に係る電力変換装置は、入力電圧が入力される入力端子対と、出力電圧が出力される出力端子対と、1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、入力端子対と1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、出力端子対と2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、出力端子対と2次側巻線との間に配置された平滑回路と、2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、インバータ回路における第1スイッチング素子の動作と同期整流回路における第2スイッチング素子の動作とをそれぞれ制御する制御回路と、を備えたものである。制御回路は、第1電流検出回路によって検出されたピーク電流値と、第2電流検出回路によって検出された出力電流値とに基づいて、第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する。
【0007】
本発明の一実施の形態に係る電力供給システムは、入力電圧が入力される入力端子対と、出力電圧が出力される出力端子対と、入力端子対に対して入力電圧を供給する電源と、1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、入力端子対と1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、出力端子対と2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、出力端子対と2次側巻線との間に配置された平滑回路と、2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、インバータ回路における第1スイッチング素子の動作と同期整流回路における第2スイッチング素子の動作とをそれぞれ制御する制御回路と、を備えたものである。制御回路は、第1電流検出回路によって検出されたピーク電流値と、第2電流検出回路によって検出された出力電流値とに基づいて、第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する。
【発明の効果】
【0008】
本発明の一実施の形態に係るスイッチング制御装置、電力変換装置および電力供給システムによれば、効率を向上させつつ、信頼性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の一実施の形態に係る電力変換装置の概略構成例を表す回路図である。
図2図1に示した電力変換装置の動作例を表すタイミング図である。
図3図1に示した同期整流回路内のスイッチング素子における切替タイミングの設定について説明するためのタイミング図である。
図4】変形例1に係る電力変換装置の概略構成例を表す回路図である。
図5】変形例2に係る電力変換装置の概略構成例を表す回路図である。
図6】変形例3に係る電力変換装置の概略構成例を表す回路図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.実施の形態(1次側:フルブリッジ回路、2次側:フルブリッジ型の回路の例)
2.変形例
変形例1(1次側:フルブリッジ回路、2次側:センタタップ型の回路の例)
変形例2(1次側:ハーフブリッジ回路、2次側:フルブリッジ型の回路の例)
変形例3(1次側:ハーフブリッジ回路、2次側:センタタップ型の回路の例)
3.その他の変形例
【0011】
<1.実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の一実施の形態に係る電力変換装置(電力変換装置1)の概略構成例を、回路図で表したものである。この電力変換装置1は、直流入力電源10(例えばバッテリ)から供給される直流入力電圧Vinを直流出力電圧Voutに電圧変換し、負荷9に電力を供給するDC-DCコンバータとして機能するものである。なお、この負荷9としては、例えば電子機器やバッテリ等が挙げられる。また、この電力変換装置1は、いわゆる「LLC共振型」のDC-DCコンバータとなっている。なお、電力変換装置1における電圧変換の態様としては、アップコンバート(昇圧)およびダウンコンバート(降圧)のいずれであってもよい。
【0012】
ここで、直流入力電圧Vinは、本発明における「入力電圧」の一具体例に対応し、直流出力電圧Voutは、本発明における「出力電圧」の一具体例に対応している。また、直流入力電源10は、本発明における「電源」の一具体例に対応し、この直流入力電源10と電力変換装置1とを備えたシステムが、本発明における「電力供給システム」の一具体例に対応している。
【0013】
電力変換装置1は、2つの入力端子T1,T2と、2つの出力端子T3,T4と、インバータ回路2と、トランス3と、同期整流回路4と、平滑回路5と、2つの電流検出回路51,52と、制御回路6とを備えている。入力端子T1,T2間には直流入力電圧Vinが入力され、出力端子T3,T4の間からは直流出力電圧Voutが出力されるようになっている。
【0014】
ここで、入力端子T1,T2は、本発明における「入力端子対」の一具体例に対応し、出力端子T3,T4は、本発明における「出力端子対」の一具体例に対応している。また、電流検出回路51は、本発明における「第1電流検出回路」の一具体例に対応し、電流検出回路52は、本発明における「第2電流検出回路」の一具体例に対応している。また、これらの電流検出回路51,52および制御回路6が、本発明における「スイッチング制御装置」の一具体例に対応している。
【0015】
なお、入力端子T1に接続された1次側高圧ラインL1Hと、入力端子T2に接続された1次側低圧ラインL1Lとの間に、例えば、入力平滑コンデンサが配置されているようにしてもよい。この入力平滑コンデンサは、入力端子T1,T2から入力された直流入力電圧Vinを平滑化するためのコンデンサである。
【0016】
(A.インバータ回路2)
インバータ回路2は、入力端子T1,T2と、後述するトランス3における1次側巻線31との間に、配置されている。このインバータ回路2は、4つのスイッチング素子S1~S4と、共振インダクタLrと、共振コンデンサCrとを有しており、いわゆる「フルブリッジ型」のインバータ回路となっている。なお、共振インダクタLrは、後述するトランス3における漏れインダクタンスにより構成されていてもよいし、あるいは、そのような漏れインダクタンスとは別個に設けられているようにしてもよい。
【0017】
ここで、スイッチング素子S1~S4はそれぞれ、本発明における「第1スイッチング素子」の一具体例に対応している。
【0018】
なお、スイッチング素子S1~S4としては、例えば電界効果型トランジスタ(MOS-FET;Metal Oxide Semiconductor-Field Effect Transistor)やIGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)、HEMT((High Electron Mobility Transistor)=HFET(Heterostructure Field-Effect Transistor))などの、各種のスイッチ素子が用いられる。また、HEMTの一例としては、GaN(窒化ガリウム)トランジスタが挙げられる。
【0019】
図1に示した例では、スイッチング素子S1~S4がそれぞれ、MOS―FETまたはHEMTからなるトランジスタにより構成されている。このようにして、スイッチング素子S1~S4としてMOS―FETやHEMTを用いた場合には、各スイッチング素子S1~S4に並列接続されるダイオード(図1中に図示)をそれぞれ、MOS―FETやHEMTの寄生ダイオードから構成することが可能である。
【0020】
このインバータ回路2では、入力端子T1,T2の間(1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間)において、2つのスイッチング素子S1,S2が、この順序で互いに直列接続されている。具体的には、1次側高圧ラインL1Hと接続点P1との間に、スイッチング素子S1が配置され、接続点P1と1次側低圧ラインL1Lとの間に、スイッチング素子S2が配置されている。同様に、このインバータ回路2では、入力端子T1,T2の間において、2つのスイッチング素子S3,S4が、この順序で互いに直列接続されている。具体的には、1次側高圧ラインL1Hと接続点P2との間に、スイッチング素子S3が配置され、接続点P2と1次側低圧ラインL1Lとの間に、スイッチング素子S2が配置されている。また、上記したスイッチング素子S1,S2同士の直列接続構造(第1アーム)と、スイッチング素子S3,S4同士の直列接続構造(第2アーム)とが、1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間において、互いに並列配置されている。
【0021】
インバータ回路2における共振インダクタLrおよび共振コンデンサCrと、後述するトランス3における1次側巻線31とが、上記した接続点P1,P2間において、互いに直列接続されている。具体的には、図1の例では、共振コンデンサCrの第1端(一端)が接続点P1に接続され、この共振コンデンサCrの第2端(他端)が、接続点P3において、共振インダクタLrの第1端(一端)に接続されている。また、共振インダクタLrの第2端(他端)が、接続点P4において1次側巻線31の一端に接続され、この1次側巻線31の他端が接続点P2に接続されている。
【0022】
このような構成によりインバータ回路2では、後述する制御回路6から供給される駆動信号SG1~SG4に従って、各スイッチング素子S1~S4のスイッチング動作(オン・オフ動作)が制御されることで、以下のようになる。すなわち、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを交流電圧に変換して、トランス3(1次側巻線31)へと出力するようになっている。
【0023】
(B.トランス3)
トランス3は、1つの1次側巻線31と、1つの2次側巻線32とを有している。
【0024】
1次側巻線31では、第1端(一端)が接続点P4に接続され、第2端(他端)が接続点P2に接続されている。
【0025】
2次側巻線32では、第1端が、後述する同期整流回路4内の接続点P5に接続され、第2端が、この同期整流回路4内の接続点P6に接続されている。
【0026】
このトランス3では、インバータ回路2によって生成された矩形パルス波化した電圧が、共振回路(共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrを用いて構成される共振回路)を介して、1次側巻線31へと供給される。そして、この1次側巻線31へと供給された電圧(矩形パルス波化した電圧)が、トランス3において変圧されることで、2次側巻線32の端部から、変圧された交流電圧が出力されるようになっている。なお、この場合における、直流入力電圧Vinに対する直流出力電圧Voutの電圧変換の度合いは、1次側巻線31と2次側巻線32との巻数比、後述するスイッチング周期T(スイッチング周波数f=1/T)、および、インバータ回路2におけるON-Duty比によって、定まる。このインバータ回路2におけるON-Duty比は、後述するシフト期間Δts1,Δts2、デッドタイムΔtd1,Δtd2およびスイッチング周期Tを用いて、(Δts1-Δtd1)/(T/2)、または、((Δts1-Δtd1)+(Δts2-Δtd2))/T、として表される。また、このインバータ回路2におけるON-Duty比は、後述するタイミングt3~t4,t8~t9の各期間を用いた別の表現では、(t3~t4)/(T/2)、または、((t3~t4)+(t8~t9))/T、として表される。
【0027】
(C.同期整流回路4,平滑回路5)
同期整流回路4は、出力端子T3,T4と、トランス3における2次側巻線32との間(具体的には、後述する平滑回路5と2次側巻線32との間)に、配置されている。この同期整流回路4は、整流素子として機能する4つのスイッチング素子S5~S8を有しており、いわゆる「フルブリッジ型」の整流回路となっている。換言すると、同期整流回路41は、4つのスイッチング素子S5~S8を含む「フルブリッジ回路」となっている。
【0028】
すなわち、この同期整流回路4では、出力端子T3,T4の間(出力ラインLOと接地ラインLGとの間)において、整流素子として機能する2つのスイッチング素子S5,S6が、この順序で互いに直列接続されている。具体的には、出力ラインLOと接続点P5との間に、スイッチング素子S5が配置され、接続点P5と接地ラインLGとの間に、スイッチング素子S6が配置されている。同様に、同期整流回路4では、出力端子T3,T4の間において、整流素子として機能する2つのスイッチング素子S7,S8が、この順序で互いに直列接続されている。具体的には、出力ラインLOと接続点P6との間に、スイッチング素子S7が配置され、接続点P6と接地ラインLGとの間に、スイッチング素子S8が配置されている。また、上記したスイッチング素子S5,S6同士の直列接続構造(第3アーム)と、スイッチング素子S7,S8同士の直列接続構造(第4アーム)とが、出力ラインLOと接地ラインLGとの間において、互いに並列配置されている。
【0029】
ここで、スイッチング素子S5~S8はそれぞれ、本発明における「(整流素子として機能する)第2スイッチング素子」の一具体例に対応している。
【0030】
なお、スイッチング素子S5~S8としても、前述したスイッチング素子S1~S4と同様に、例えば、MOS-FETやIGBT、HEMTなどの、各種のスイッチ素子が用いられる。
【0031】
平滑回路5は、出力端子T3,T4と2次側巻線32との間(具体的には、出力端子T3,T4と同期整流回路4との間)に、配置されている。この平滑回路5は、1つの出力平滑コンデンサCoutを有する、いわゆる「コンデンサインプット型」の構成となっている。具体的には、この出力平滑コンデンサCoutは、出力ラインLOと接地ラインLGとの間(出力端子T3,T4の間)に、接続されている。すなわち、この出力平滑コンデンサCoutの第1端は出力ラインLOに接続され、出力平滑コンデンサCoutの第2端は接地ラインLGに接続されている。
【0032】
このような構成の同期整流回路4および平滑回路5では、整流素子として機能する4つのスイッチング素子S5~S8によって、トランス3から出力される交流電圧が、整流されるようになっている。また、出力平滑コンデンサCoutによって、整流された電圧が平滑化されることで、直流出力電圧Voutが生成されるようになっている。なお、このようにして生成された直流出力電圧Voutにより、前述した負荷9へと直流の出力電流Iout(負荷電流)が流れ、出力端子T3,T4から負荷9に対して電力が供給されるようになっている。
【0033】
また、この同期整流回路4では、各スイッチング素子S5~S8の寄生ダイオード(図1中に図示)が導通する期間と同期して、これらのスイッチング素子S5~S8自身もオン状態となる(同期整流を行う)ように、制御される。具体的には、後述する制御回路6から供給される駆動信号SG5~SG8に従って、各スイッチング素子S5~S8のスイッチング動作(オン・オフ動作)が制御されることで、そのような同期整流が行われるようになっている。
【0034】
(D.電流検出回路51,52)
電流検出回路51は、トランス3の2次側巻線32を流れる2次側電流I2(交流のスイッチング電流)における、ピーク電流値Ipkを検出する回路である。具体的には、図1の例では、2次側巻線32の他端と接続点P6との間に電流検出回路51が接続されており、この2次側巻線32の他端と接続点P6との間を流れる2次側電流I2におけるピーク電流値Ipkが、電流検出回路51によって検出されるようになっている。また、このようにして電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkは、後述する制御回路6へと出力されるようになっている。
【0035】
なお、このような電流検出回路51は、例えば、カレントトランスまたはホール素子等を用いて構成されている。また、電流検出回路51の配置位置を、図1の例とは異なり、例えば、2次側巻線32の第1端と接続点P5との間、接続点P5と出力ラインLOとの間(スイッチング素子S5と直列接続)、接続点P5と接地ラインLGとの間(スイッチング素子S6と直列接続)、接続点P6と出力ラインLOとの間(スイッチング素子S7と直列接続)、接続点P6と接地ラインLGとの間(スイッチング素子S8と直列接続)、同期整流回路4と接続点P7との間、または、同期整流回路4と接続点P8との間、としてもよい。また、この電流検出回路51では、例えば、所定の周期でリセット動作(検出電圧の放電)を行い、検出値が収束する十分な期間にて充電した時点での値を、ピーク電流値Ipkとして使用するようにしてもよい。これは、例えば電流が減少したような場合においても、常に最新のピーク電流値Ipkを検出するためである。
【0036】
電流検出回路52は、出力端子T3,T4(具体的には、出力平滑コンデンサCout)から出力される出力電流Ioutの値(出力電流値)を検出する回路である。具体的には、図1の例では、接続点P7(出力ラインLOと出力平滑コンデンサCoutの一端との接続点)と出力端子T3との間に電流検出回路52が接続されており、上記したように出力平滑コンデンサCoutから出力端子T3へ向けて流れる出力電流Ioutの値が、出力電流値Ioutとして電流検出回路52によって検出されるようになっている。また、このようにして電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutは、後述する制御回路6へと出力されるようになっている。なお、電流検出回路52の配置位置は、図1の例とは異なり、例えば、接続点P8(接地ラインLGと出力平滑コンデンサCoutの他端との接続点)と出力端子T4との間、としてもよい。
【0037】
なお、このような電流検出回路52は、例えば、抵抗素子(マンガニン線)またはホール素子等を用いて構成されている。
【0038】
(E.制御回路6)
制御回路6は、インバータ回路2におけるスイッチング素子S1~S4の動作(スイッチング動作)と、同期整流回路4におけるスイッチング素子S5~S8の動作(スイッチング動作)とを、それぞれ制御する回路である。具体的には、制御回路6は、スイッチング素子S1~S8に対してそれぞれ、駆動信号SG1~SG8を個別に供給することで、各スイッチング素子S1~S8におけるスイッチング動作(オン・オフ動作)を、個別に制御するようになっている。
【0039】
また、制御回路6は、このようなスイッチング動作の制御を行う際に、上記した電流検出回路51,52による各検出結果に基づいて、以下のような制御を行う。すなわち、制御回路6は、電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkと、電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutとに基づいて、同期整流回路4内のスイッチング素子S5~S8における、オン状態からオフ状態への切替タイミングを設定するようになっている。
【0040】
なお、このような同期整流回路4による、スイッチング素子S5~S8の(オン状態からオフ状態への)切替タイミングの設定手法等の詳細については、後述する(図2図3)。
【0041】
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
この電力変換装置1では、直流入力電源10から入力端子T1,T2を介して直流入力電圧Vinが供給され、インバータ回路2において、スイッチング素子S1~S4によるスイッチング動作が行われることで、矩形パルス波化した電圧が生成される。この矩形パルス波化した電圧は、前述した共振回路(共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrを用いて構成される共振回路)を介して、トランス3における1次側巻線31へと供給される。そして、この1次側巻線31へと供給された電圧(矩形パルス波化した電圧)が、トランス3において変圧されることで、2次側巻線32から、変圧された交流電圧が出力される。
【0042】
同期整流回路4では、トランス3から出力された交流電圧(上記した変圧された交流電圧)が、整流素子として機能するスイッチング素子S5~S8によって整流された後、出力平滑コンデンサCoutによって平滑化される。これにより、出力端子T3,T4から直流出力電圧Voutが出力される。そして、この直流出力電圧Voutにより、負荷9へと出力電流Ioutが流れるとともに、負荷9に対して電力が供給される。
【0043】
(B.詳細動作)
図2図2(A)~図2(I))は、図1に示した電力変換装置1の動作例を、タイミング図で表したものである。具体的には、図2(A)~図2(D),図2(F)~図2(I)はそれぞれ、前述した駆動信号SG1~SG4,SG5~SG8の波形例を、示している。また、図2(E)は、図1中に示した1次側電圧V1(接続点P1,P2間の電圧)の波形例を、示している。なお、駆動信号SG1~SG8のH(ハイ)状態期間はそれぞれ、対応するスイッチング素子S1~S8におけるオン状態期間に相当し、駆動信号SG1~SG8のL(ロー)状態期間はそれぞれ、対応するスイッチング素子S1~S8におけるオフ状態期間に相当する。
【0044】
ここで、図2中の横軸は、時間tを表している。また、図2中には、スイッチング素子S5,S8に共通のオン状態期間Ton1と、スイッチング素子S6,S7に共通のオン状態期間Ton2と、スイッチング素子S5,S8に共通のオフ状態期間Toff1と、スイッチング素子S6,S7に共通のオフ状態期間Toff2とを、それぞれ示している。また、図2中には、インバータ回路2におけるシフト期間Δts1と、同期整流回路4におけるシフト期間Δts2とについて、それぞれ示している。また、図2中には、インバータ回路2における(波形立ち上がり時の)デッドタイムΔtd1と、インバータ回路2における(波形立ち下がり時の)デッドタイムΔtd2とについて、それぞれ示している。また、図2中には、電力変換装置1におけるスイッチング周期T(=1/スイッチング周波数f)についても示しており、図2中に示したタイミングt0~t10(=t0)が、スイッチング周期Tに対応している。
【0045】
この図2に示した電力変換装置1の動作例では、まず、タイミングt0~t1の期間において、スイッチング素子S2,S4,S6,S7がそれぞれ、オン状態に設定される(図2(B),図2(D),図2(G),図2(H)参照)。また、このタイミングt0~t1の期間では、スイッチング素子S1,S3,S5,S8がそれぞれ、オフ状態に設定される(図2(A),図2(C),図2(F),図2(I)参照)。次に、タイミングt1において、スイッチング素子S6,S7がそれぞれ、オン状態からオフ状態へと切り替わる(図2(G),図2(H)参照)。続いて、タイミングt2において、スイッチング素子S2がオン状態からオフ状態へと切り替わり(図2(B)参照)、その後のタイミングt3において、スイッチング素子S1,S5,S8がそれぞれ、オフ状態からオン状態へと切り替わる(図2(A),図2(F),図2(I)参照)。そして、その後のタイミングt4において、スイッチング素子S4がオン状態からオフ状態へと切り替わる(図2(D)参照)。このタイミングt3~t4の期間では、1次側電圧V1が、0[V]から正電圧(接続点P2から接続点P1への方向を正電圧とした場合)へと増加している。
【0046】
続いて、タイミングt5において、スイッチング素子S3がオフ状態からオン状態へと切り替わり(図2(C)参照)、その後のタイミングt6において、スイッチング素子S5,S8がそれぞれ、オン状態からオフ状態へと切り替わる(図2(F),図2(I)参照)。次に、タイミングt7において、スイッチング素子S1がオン状態からオフ状態へと切り替わり(図2(A)参照)、その後のタイミングt8において、スイッチング素子S2,S6,S7がそれぞれ、オフ状態からオン状態へと切り替わる(図2(B),図2(G),図2(H)参照)。そして、その後のタイミングt9において、スイッチング素子S3がオン状態からオフ状態へと切り替わる(図2(C)参照)。このタイミングt8~t9の期間では、1次側電圧V1が、0[V]から負電圧(接続点P2から接続点P1への方向を正電圧とした場合)へと減少している。なお、その後は、スイッチング素子S4がオフ状態からオン状態へと切り替わり(図2(D)参照)、タイミングt10(=t0)となる。
【0047】
以上で、図2に示した電力変換装置1の動作例(スイッチング周期T内での動作例)に関する説明が、終了となる。
【0048】
ここで、図2に示した動作例では、タイミングt3~t6の期間が、上記したオン状態期間Ton1となっており、タイミングt6~t3の期間の期間が、上記したオフ状態期間Toff1となっている。なお、図2中には、スイッチング素子S5,S8に共通の切替タイミングton(=t3:オフ状態からオン状態への切替タイミング)と、スイッチング素子S5,S8に共通の切替タイミングtoff(=t6:オン状態からオフ状態への切替タイミング)とについても、示している。また、図2に示した動作例では、タイミングt8~t1の期間が、上記したオン状態期間Ton2となっており、タイミングt1~t8の期間の期間が、上記したオフ状態期間Toff2となっている。
【0049】
(C.同期整流回路4内のスイッチング素子の切替タイミング設定)
ところで、電力変換装置では一般に、同期整流回路内での同期整流は、効率を高めるための手法として有効であるが、適切でないタイミングにおいて、整流素子として機能するスイッチング素子がオン状態になると、例えば、以下のようなおそれがある。すなわち、例えば、2次側電流の不連続モード時において、2次側での逆流電流が発生したり、1次側での大電流が発生したりするため、電力変換装置内の素子や回路が、破損してしまうおそれがある。
【0050】
一方、そのような逆流電流等が生じないように、同期整流回路内の各スイッチング素子(整流素子)におけるオン状態期間(同期整流の期間)にて、マージン期間を大きく設定することで、オン状態期間を狭めてしまうと、例えば、以下のようなおそれがある。すなわち、そのようなオン状態期間での同期整流の期間が減少する一方、オフ状態期間でのダイオード整流(スイッチング素子のボディダイオードによる整流)の期間が増加することから、電力変換装置での効率が低下してしまうおそれがある。
【0051】
これらのことから、従来の一般的な電力変換装置では、効率を向上させつつ信頼性を向上させることが、困難であると言える。
【0052】
そこで、本実施の形態の電力変換装置1では、制御回路6が以下説明する手法にて、同期整流回路4内のスイッチング素子S5~S8における、オン状態からオフ状態への切替タイミング(図2図3中に示した切替タイミングtoffに対応)を設定する。具体的には、制御回路6は、電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkと、電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutとに基づいて、スイッチング素子S5~S8における切替タイミングtoffを設定するようになっている。
【0053】
ここで、図3は、本実施の形態に係る上記した切替タイミングtoffの設定について、タイミング図で表したものである。なお、図3中の横軸は時間tを、図3中の縦軸は電流を、表している。
【0054】
まず、この図3に示した電流(トランス3の2次側電流I2)は、正弦波(または正弦波が支配的な波形)になっていると共に、各波形間が不連続(図3中の矢印P11にて示した不連続期間を参照)となる、不連続モードとなっている。なお、このような不連続モード時においても、1パルスが立ち上がっている部分に着目すれば、周期の異なる正弦波であるという仮定が成立するものとする。
【0055】
この場合において、0次のフーリエ級数展開(平均値)により、上記した出力電流値Ioutについて、上記したピーク電流値Ipkの絶対値|Ipk|と、スイッチング素子S5~S8の時比率dを用いて、以下の式(1)が成り立つ。なお、この式(1)中に示した角周波数ωは、スイッチング周波数fを用いて、ω=2πfとなる。また、この式(1)を変形すると、スイッチング素子S5~S8の時比率dについて、以下の式(2)が成り立つ。
【0056】
【数1】
【0057】
ここで、本実施の形態の制御回路6は、スイッチング素子S5~S8における、オフ状態からオン状態への切替タイミング(図2図3中に示した切替タイミングtonに対応)については、以下のように設定する。すなわち、制御回路6は、例えば図2に示したように、スイッチング素子S5~S8における切替タイミングtonについては、インバータ回路2内のスイッチング素子S1またはスイッチング素子S2における、オフ状態からオン状態への切替タイミングと同期させるようにしている。具体的には、図2の例では、制御回路6は、スイッチング素子S5,S8における切替タイミングtonについては、インバータ回路2内のスイッチング素子S1における、オフ状態からオン状態への切替タイミングと同期させている。また、制御回路6は、スイッチング素子S6,S7における切替タイミングtonについては、インバータ回路2内のスイッチング素子S2における、オフ状態からオン状態への切替タイミングと同期させている。
【0058】
したがって制御回路6は、上記した式(2)にて規定されるスイッチング素子S5~S8の時比率dの値を用いて、スイッチング素子S5~S8におけるオン状態期間Ton(図2図3中に示したオン状態期間Ton1,Ton2参照)を、以下の式(3)にて規定する。つまり、スイッチング素子S5~S8における切替タイミングtonは、上記したように同期設定されていることから、制御回路6はこの式(3)を用いることで、スイッチング素子S5~S8における切替タイミングtoffを設定する。
Ton={1/(2×f)}×(π/2)×(|Ipk|/Iout) ……(3)
【0059】
ここで、このような式(3)を用いて求められたオン状態期間Tonに対して、更にマージンが設定されるようにしてもよい。具体的には、上記した(2)式にて記載される時比率dの値について、例えば、(d×x1)または(d-x2)と置き換える(0<x1<1,0<x2<d)ことで、オン状態期間Tonに対して、更にマージンを設定するようにしてもよい。これは、ピーク電流値Ipkおよび出力電流値Ioutの検出誤差や波形ひずみ、前述した不連続モード時の電流による影響等を、考慮したものである。
【0060】
また、このようなオン状態期間Tonにおいて、例えば、1/(2×f)を上限値として設定するようにしてもよい(Ton≦1/(2×f))。これは、半波整流の際の極性反転を考慮すると、時比率dの上限値が0.5である(d≦0.5)ことと、同義である。また、ピーク電流値Ipkおよび出力電流値Ioutにそれぞれ、所定の下限値を設定するようにしてもよい。これは、これらのピーク電流値Ipkや出力電流値Ioutが小さ過ぎると、正弦波からのずれが顕著となる場合があるためである。
【0061】
更に、制御回路6は、このようなスイッチング素子S5~S8における切替タイミングtoffの設定を、例えば、スイッチング周期Tにおける1周期ごと(全波検出の場合は1周期に両方向の2回、半波検出の場合は1周期に片方向の1回)、または、複数周期ごとに、実行するようにしてもよい。また、複数周期の場合、複数回の検出値の平均を用いてもよい。つまり、制御回路6は、このような切替タイミングtoffの設定を、例えば、毎周期にて常時実行するようにしてもよいし、あるいは、所定の間隔をおいて間引いて実行するようにしてもよい。
【0062】
(D.作用・効果)
このようにして本実施の形態では、電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkと、電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutとに基づいて、同期整流回路4内のスイッチング素子S5~S8における、オン状態からオフ状態への切替タイミング(切替タイミングtoff)を設定するようにしたので、以下のようになる。
【0063】
すなわち、例えば前述したような、2次側電流I2の不連続モード時において、2次側での逆流電流の発生や、1次側での大電流の発生が抑えられ、電力変換装置1内の素子や回路の破損が、防止される。また、前述した従来の手法と比べ、同期整流回路4内での同期整流の期間が増加するように設定できるため、従来の手法とは異なり、前述した逆流電流等の対策によるマージン期間の増大に起因した、効率低下が抑えられる。その結果、本実施の形態では、電力変換装置1における効率を向上させつつ、信頼性を向上させることが可能となる。
【0064】
また、本実施の形態では、精密な時間管理(例えば、電流の検出時刻や回路遅延の管理など)が不要になると共に、追加する回路構成としては、ピーク電流値Ipkの検出回路(電流検出回路51)のみで済むことから、簡易な構成で実現することが可能となる。
【0065】
<2.変形例>
続いて、上記実施の形態の変形例(変形例1~3)について説明する。なお、以下では、実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
【0066】
[変形例1]
(構成)
図4は、変形例1に係る電力変換装置(電力変換装置1A)の概略構成例を、回路図で表したものである。
【0067】
なお、実施の形態と同様に、直流入力電源10とこの電力変換装置1Aとを備えたシステムが、本発明における「電力供給システム」の一具体例に対応している。
【0068】
この変形例1の電力変換装置1Aは、実施の形態の電力変換装置1(図1参照)において、トランス3、同期整流回路4および制御回路6の代わりに、トランス3A、同期整流回路4Aおよび制御回路6Aをそれぞれ設けたものに対応しており、他の構成は同様となっている。
【0069】
トランス3Aは、1つの1次側巻線31と、2つの2次側巻線321,322とを有している。すなわち、トランス3では、1つの2次側巻線32のみが設けられていたのに対し、トランス3Aでは、2つの2次側巻線321,322が設けられている。
【0070】
2次側巻線321では、2次側巻線321の第1端が、後述する接続ラインL21およびスイッチング素子S9を介して、接地ラインLGに接続されている。2次側巻線321の第2端は、後述する同期整流回路4A内のセンタタップP9に接続されている。一方、2次側巻線322では、2次側巻線322の第1端が、後述する接続ラインL22および後述するスイッチング素子S10を介して、接地ラインLGに接続されている。2次側巻線322の第2端は、上記したセンタタップP9に接続されている。つまり、2次側巻線321,322における第2端同士は、このセンタタップP9に対して互いに共通接続されていると共に、後述する電流検出回路51を介して、出力ラインLOに接続されている。
【0071】
このトランス3Aにおいてもトランス3と同様に、インバータ回路2によって生成された矩形パルス波化した電圧が、前述した共振回路(共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrを用いて構成される共振回路)を介して、1次側巻線31へと供給される。そして、この1次側巻線31へと供給された電圧(矩形パルス波化した電圧)が、トランス3Aにおいて変圧されることで、2次側巻線321,322の各端部から、変圧された交流電圧が出力されるようになっている。なお、この場合における、直流入力電圧Vinに対する直流出力電圧Voutの電圧変換の度合いは、1次側巻線31と2次側巻線321,322との巻数比、前述したスイッチング周波数f、および、インバータ回路2における前述したON-Duty比によって、定まる。
【0072】
同期整流回路4Aは、出力端子T3,T4と、トランス3Aにおける2次側巻線321,322との間(具体的には、平滑回路5と2次側巻線321,322との間)に、配置されている。この同期整流回路4Aは、整流素子として機能する2つのスイッチング素子S9,S10を有しており、実施の形態の同期整流回路4(いわゆる「フルブリッジ型」の同期整流回路)とは異なり、いわゆる「センタタップ型」の同期整流回路となっている。
【0073】
すなわち、この同期整流回路4Aでは、スイッチング素子S9,S10の第1端がそれぞれ、接地ラインLGに接続されている。また、スイッチング素子S9の第2端が、接続ラインL21を介して2次側巻線321の第1端に接続され、スイッチング素子S10の第2端が、接続ラインL22を介して、2次側巻線322の第1端に接続されている。
【0074】
ここで、スイッチング素子S9,S10はそれぞれ、本発明における「(整流素子として機能する)第2スイッチング素子」の一具体例に対応している。
【0075】
なお、スイッチング素子S9,S10としても、前述したスイッチング素子S1~S8と同様に、例えば、MOS-FETやIGBT、HEMTなどの、各種のスイッチ素子が用いられる。
【0076】
このような構成の同期整流回路4Aでは、整流素子として機能する2つのスイッチング素子S9,S10によって、トランス3Aから出力される交流電圧が、整流されるようになっている。また、実施の形態の場合と同様に、同期整流回路4Aの後段の平滑回路5によって、整流された電圧が平滑化されることで、直流出力電圧Voutが生成されるようになっている。
【0077】
また、この同期整流回路4Aにおいても同期整流回路4と同様に、各スイッチング素子S9,S10の寄生ダイオード(図4中に図示)が導通する期間と同期して、これらのスイッチング素子S9,S10自身もオン状態となる(同期整流を行う)ように、制御される。具体的には、後述する制御回路6Aから供給される駆動信号SG9,SG10に従って、各スイッチング素子S9,S10のスイッチング動作(オン・オフ動作)が制御されることで、そのような同期整流が行われるようになっている。
【0078】
変形例1の電流検出回路51も、実施の形態と同様に、トランス3Aの2次側巻線321,322を流れる2次側電流I2における、ピーク電流値Ipkを検出する。具体的には、図4の例では、出力ラインL0上におけるセンタタップP9と接続点P7との間に、電流検出回路51が接続されており、2次側巻線321,322に流れる2次側電流I2におけるピーク電流値Ipkが、電流検出回路51によって検出されるようになっている。また、このようにして電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkは、後述する制御回路6Aへと出力されるようになっている。
【0079】
なお、このような電流検出回路51の配置位置を、図4の例とは異なり、例えば、接続ラインL21上における2次側巻線321の第1端と接地ラインLGとの間(スイッチング素子S9と直列接続)、接続ラインL22上における2次側巻線322の第1端と接地ラインLGとの間(スイッチング素子S10と直列接続)、または、同期整流回路4Aと接続点P8との間、としてもよい。
【0080】
制御回路6Aは、インバータ回路2におけるスイッチング素子S1~S4の動作(スイッチング動作)と、同期整流回路4Aにおけるスイッチング素子S9,S10の動作(スイッチング動作)とを、それぞれ制御する回路である。具体的には、制御回路6Aは、スイッチング素子S1~S4,S9,S10に対してそれぞれ、駆動信号SG1~SG4,SG9,SG10を個別に供給することで、各スイッチング素子S1~S4,S9,S10におけるスイッチング動作(オン・オフ動作)を、個別に制御するようになっている。
【0081】
また、制御回路6Aも、実施の形態にて説明した制御回路6と同様にして、電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkと、電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutとに基づいて、同期整流回路4A内のスイッチング素子S9,S10における、オン状態からオフ状態への切替タイミングを設定するようになっている。
【0082】
ここで、電流検出回路51,52および制御回路6Aは、本発明における「スイッチング制御装置」の一具体例に対応している。
【0083】
(作用・効果)
このような構成の変形例1の電力変換装置1Aにおいても、基本的には、実施の形態の電力変換装置1と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
【0084】
[変形例2,3]
(構成)
図5は、変形例2に係る電力変換装置(電力変換装置1B)の概略構成例を、回路図で表したものである。また、図6は、変形例3に係る電力変換装置(電力変換装置1C)の概略構成例を、回路図で表したものである。
【0085】
なお、実施の形態および変形例1と同様に、直流入力電源10と電力変換装置1Bとを備えたシステム、および、直流入力電源10と電力変換装置1Cとを備えたシステムはそれぞれ、本発明における「電力供給システム」の一具体例に対応している。
【0086】
変形例2,3に係る電力変換装置(電力変換装置1B,1C)はそれぞれ、これまでに説明した実施の形態および変形例1において、以下のように構成を変更したものとなっている。すなわち、これらの電力変換装置1B,1Cでは、前述した「フルブリッジ型」のインバータ回路2の代わりに、いわゆる「ハーフブリッジ型」のインバータ回路2Bを設けると共に、制御回路6,6Aの代わりに、制御回路6B,6Cをそれぞれ設けた構成となっている。
【0087】
なお、電流検出回路51,52および制御回路6Bと、電流検出回路51,52および制御回路6Cとはそれぞれ、本発明における「スイッチング制御装置」の一具体例に対応している。
【0088】
変形例2,3のインバータ回路2B(図5図6)はそれぞれ、入力端子T1,T2と、トランス3,3Aにおける1次側巻線31との間に、配置されている。このインバータ回路2Bは、2つのスイッチング素子S1,S2と、共振インダクタLrと、共振コンデンサCrとを有しており、いわゆる「ハーフブリッジ型」のインバータ回路となっている。つまり、実施の形態および変形例1のインバータ回路2は、4つのスイッチング素子S1~S4を含む「フルブリッジ型」のインバータ回路であったのに対し、このインバータ回路2Bは、2つのスイッチング素子S1,S2を含む「ハーフブリッジ型」のインバータ回路となっている。
【0089】
なお、インバータ回路2Bにおける2つのスイッチング素子S1、S2はそれぞれ、本発明における「第1スイッチング素子」の一具体例に対応している。
【0090】
このインバータ回路2Bでは、入力端子T1,T2の間(1次側高圧ラインL1Hと1次側低圧ラインL1Lとの間)において、2つのスイッチング素子S1,S2が、この順序で互いに直列接続されている。具体的には、1次側高圧ラインL1Hと接続点P1との間に、スイッチング素子S1が配置され、接続点P1と1次側低圧ラインL1Lとの間に、スイッチング素子S2が配置されている。
【0091】
また、インバータ回路2Bにおける共振インダクタLrおよび共振コンデンサCrと、トランス3,3Aにおける1次側巻線31とが、接続点P1と1次側低圧ラインL1Lとの間において、互いに直列接続されている。具体的には、図5図6の例では、共振コンデンサCrの第1端が接続点P1に接続され、この共振コンデンサCrの第2端が、接続点P3において、共振インダクタLrの第1端に接続されている。また、共振インダクタLrの第2端が、接続点P4において1次側巻線31の一端に接続され、この1次側巻線31の他端が、1次側低圧ラインL1Lに接続されている。
【0092】
このような構成によりインバータ回路2Bでは、制御回路6Bまたは制御回路6Cから供給される駆動信号SG1,SG2に従って、各スイッチング素子S1,S2のスイッチング動作(オン・オフ動作)が制御されることで、インバータ回路2の場合と同様に、以下のようになる。すなわち、入力端子T1,T2間に印加される直流入力電圧Vinを、矩形パルス波化した電圧に変換し、前述した共振回路(共振コンデンサCrおよび共振インダクタLrを用いて構成される共振回路)を介して、トランス3,3A(1次側巻線31)へと出力するようになっている。
【0093】
変形例2の制御回路6B(図5)は、インバータ回路2Bにおけるスイッチング素子S1,S2の動作(スイッチング動作)と、同期整流回路4におけるスイッチング素子S5~S8の動作(スイッチング動作)とを、それぞれ制御する回路である。具体的には、制御回路6Bは、スイッチング素子S1,S2,S5~S8に対してそれぞれ、駆動信号SG1,SG2,SG5~SG8を個別に供給することで、各スイッチング素子S1,S1,S5~S8におけるスイッチング動作(オン・オフ動作)を、個別に制御するようになっている。
【0094】
変形例3の制御回路6C(図6)は、インバータ回路2Bにおけるスイッチング素子S1,S2の動作(スイッチング動作)と、同期整流回路4Aにおけるスイッチング素子S9,S10の動作(スイッチング動作)とを、それぞれ制御する回路である。具体的には、制御回路6Cは、スイッチング素子S1,S2,S9,S10に対してそれぞれ、駆動信号SG1,SG2,SG9,SG10を個別に供給することで、各スイッチング素子S1,S2,S9,S10におけるスイッチング動作(オン・オフ動作)を、個別に制御するようになっている。
【0095】
また、これらの制御回路6B,6Cもそれぞれ、実施の形態および変形例1にて説明した制御回路6,6Aと同様にして、電流検出回路51によって検出されたピーク電流値Ipkと、電流検出回路52によって検出された出力電流値Ioutとに基づいて、以下の制御を行う。すなわち、制御回路6Bは、同期整流回路4内のスイッチング素子S5~S8における、オン状態からオフ状態への切替タイミングを設定し、制御回路6Cは、同期整流回路4A内のS9,S10における、オン状態からオフ状態への切替タイミングを設定するようになっている。
【0096】
(作用・効果)
このような構成の変形例2,3の電力変換装置1B,1Cにおいても、基本的には、これまでに説明した電力変換装置1,1Aと同様の作用により、同様の効果を得ることが可能である。
【0097】
<3.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
【0098】
例えば、上記実施の形態等では、インバータ回路の構成を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、例えば、インバータ回路として他の構成のものを用いるようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、同期整流回路の構成を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、例えば、同期整流回路として他の構成のものを用いるようにしてもよい。更に、上記実施の形態等では、平滑回路の構成を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例(いわゆる「コンデンサインプット型」の平滑回路)には限られず、例えば、インダクタとコンデンサとを組み合わせた、いわゆる「チョークインプット型」の平滑回路を用いるようにしてもよい。
【0099】
また、上記実施の形態等では、トランス(1次側巻線および2次側巻線)の構成を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、例えば、トランス(1次側巻線および2次側巻線)として他の構成のものを用いるようにしてもよい。
【0100】
更に、上記実施の形態等では、電流検出回路(電流検出回路51,52)の構成や配置位置を具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られず、例えば、他の構成のものを用いるようにしたり、他の配置位置としてもよい。また、このような電流検出回路を、上記実施の形態等で説明したように、スイッチング制御装置や電力変換装置の内部に設けるのではなく、例えば、これらのスイッチング制御回路や電力変換装置の外部に設けるようにしてもよい。
【0101】
加えて、上記実施の形態等では、制御回路による切替タイミング設定(同期整流回路内の各スイッチング素子における切替タイミングの設定)の手法について、具体的に挙げて説明したが、上記実施の形態等の例には限られない。すなわち、例えば他の手法を用いて、制御回路による切替タイミング設定を行うようにしてもよい。また、上記実施の形態等では、電流の波形が正弦波(または正弦波が支配的な波形)となっている場合の例について説明したが、この例には限られず、例えば、三角波や鋸波などの他の波形であってもよい。
【0102】
また、上記実施の形態等では、本発明に係る電力変換装置の一例として、「LLC共振型」のDC-DCコンバータを挙げて説明したが、この例には限られず、例えば、いわゆる「CLLC共振型」のDC-DCコンバータとしてもよい。具体的には、トランスの2次側(図1の例では、2次側巻線32と接続点P5との間)に、共振コンデンサを追加配置して、「CLLC共振型」のDC-DCコンバータとしてもよい。この場合、上記実施の形態等で説明したようなトランスの1次側から2次側への電力伝送(充電方向動作)を行う場合に加え、トランスの2次側から1次側への電力伝送(放電方向動作)を行う場合においても、制御回路による切替タイミング設定を行うことが可能である。すなわち、そのような放電方向動作を行う場合においても、(1次側での)ピーク電流値Ipkおよび出力電流値Ioutの検出結果に基づき、上記実施の形態等で説明した手法を用いて、制御回路による切替タイミング設定を行うことが可能である。
【0103】
更に、このような「LLC共振型」や「CLLC共振型」のDC-DCコンバータには限られず、例えば、LC直列共振型やLC並列共振型、部分共振型、1石のフォワード型のDC-DCコンバータ等においても、本発明を適用することが可能である。加えて、共振型や絶縁型のDC-DCコンバータには限られず、例えば、非共振型や非絶縁型のDC-DCコンバータにおいても、本発明を適用することが可能である。また、このようなDC-DCコンバータには限られず、例えばAC-DCコンバータなどの、他の種類の電力変換装置にも、本発明を適用することが可能である。
【0104】
更に、これまでに説明した各構成例等を、任意の組み合わせで適用してもよい。
【0105】
なお、本明細書中に記載された効果はあくまで例示であって限定されるものではなく、また、他の効果があってもよい。
【0106】
また、本発明は、以下のような構成を取ることも可能である。
[1]
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、入力電圧が入力される入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されると共に複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、出力電圧が出力される出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されると共に整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、を備えた電力変換装置に適用されるスイッチング制御装置であって、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
スイッチング制御装置。
[2]
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オン状態の期間をTon、前記ピーク電流値をIpk、前記出力電流値をIout、スイッチング周波数をf、とした場合に、
以下の式を用いて、前記第2スイッチング素子における前記オン状態から前記オフ状態への切替タイミングを設定する
上記[1]に記載のスイッチング制御装置。
Ton={1/(2×f)}×(π/2)×(|Ipk|/Iout)
[3]
前記式を用いて求められた前記Tonに対して、更にマージンが設定されている
上記[2]に記載のスイッチング制御装置。
[4]
前記Tonにおいて、1/(2×f)が上限値として設定されている
上記[2]または[3]に記載のスイッチング制御装置。
[5]
前記ピーク電流値および前記出力電流値にそれぞれ、下限値が設定されている
上記[1]ないし[4]のいずれかに記載のスイッチング制御装置。
[6]
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オン状態から前記オフ状態への切替タイミングの設定を、
前記第2スイッチング素子のスイッチング周期における1周期ごと、または、複数周期ごとに、実行する
上記[1]ないし[5]のいずれかに記載のスイッチング制御装置。
[7]
前記制御回路は、
前記第2スイッチング素子における前記オフ状態から前記オン状態への切替タイミングを、
前記第1スイッチング素子における前記オフ状態から前記オン状態への切替タイミングと、同期させる
上記[1]ないし[6]のいずれかに記載のスイッチング制御装置。
[8]
前記同期整流回路が、4個の前記第2スイッチング素子を含むフルブリッジ回路である
上記[1]ないし[7]のいずれかに記載のスイッチング制御装置。
[9]
入力電圧が入力される入力端子対と、
出力電圧が出力される出力端子対と、
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、
前記入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
電力変換装置。
[10]
入力電圧が入力される入力端子対と、
出力電圧が出力される出力端子対と、
前記入力端子対に対して前記入力電圧を供給する電源と、
1次側巻線および2次側巻線を有するトランスと、
前記入力端子対と前記1次側巻線との間に配置されており、複数の第1スイッチング素子を含むインバータ回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置されており、整流素子として機能する複数の第2スイッチング素子を含む同期整流回路と、
前記出力端子対と前記2次側巻線との間に配置された平滑回路と、
前記2次側巻線を流れる2次側電流におけるピーク電流値を検出する第1電流検出回路と、
前記出力端子対から出力される出力電流値を検出する第2電流検出回路と、
前記インバータ回路における前記第1スイッチング素子の動作と、前記同期整流回路における前記第2スイッチング素子の動作とを、それぞれ制御する制御回路と
を備え、
前記制御回路は、
前記第1電流検出回路によって検出された前記ピーク電流値と、前記第2電流検出回路によって検出された前記出力電流値とに基づいて、
前記第2スイッチング素子におけるオン状態からオフ状態への切替タイミングを設定する
電力供給システム。
【符号の説明】
【0107】
1,1A~1C…電力変換装置、10…直流入力電源、2,2B…インバータ回路、3,3A…トランス、31…1次側巻線、32,321,322…2次側巻線、4,4A…同期整流回路、5…平滑回路、51,52…電流検出回路、6,6A~6C…制御回路、9…負荷、T1,T2…入力端子、T3,T4…出力端子、L1H…1次側高圧ライン、L1L…1次側低圧ライン、L21,L22…接続ライン、LO…出力ライン、LG…接地ライン、Vin…直流入力電圧、Vout…直流出力電圧、V1…1次側電圧、I2…2次側電流、Ipk…ピーク電流値、Iout…出力電流(出力電流値)、Cout…出力平滑コンデンサ、S1~S10…スイッチング素子、SG1~SG10…駆動信号、Cr…共振コンデンサ、Lr…共振インダクタ、P1~P8…接続点、P9…センタタップ、t…時間、t0~t10…タイミング、ton,toff…切替タイミング、T…スイッチング周期、f…スイッチング周波数、ω…角周波数、d…時比率、Δtd1,Δtd2…デッドタイム、Δts1,Δts2…シフト期間、Ton,Ton1,Ton2…オン状態期間、Toff1,Toff2…オフ状態期間。
図1
図2
図3
図4
図5
図6