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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054584
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
   H01F 27/29 20060101AFI20240410BHJP
   H01F 17/04 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
H01F27/29 123
H01F17/04 A
H01F17/04 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160895
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】戸沢 洋司
(72)【発明者】
【氏名】下保 真志
(72)【発明者】
【氏名】生出 章彦
(72)【発明者】
【氏名】加藤 大貴
(72)【発明者】
【氏名】吉野 真
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 貴志
(72)【発明者】
【氏名】児玉 拓哉
(72)【発明者】
【氏名】赤坂 朗
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 健
【テーマコード(参考)】
5E070
【Fターム(参考)】
5E070AA01
5E070AB10
5E070BA12
5E070CB02
5E070CB13
5E070EA01
5E070EB04
(57)【要約】
【課題】内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制する電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品ED1は、素体1と、素体1内に配置されているコイル導体10gと、素体1の外表面上に配置されている被覆層20と、被覆層20上に配置されている導体層30aと、を備える。被覆層20は、電気絶縁性を有する。導体層30aは、部分30cを含む。部分30cは、被覆層20を抜けて素体1に向けて突き出ていると共にコイル導体10gと物理的かつ電気的に接続されている。導体層30aは、コイル導体10gと電気的に接続される。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
素体と、
前記素体内に配置されている内部導体と、
前記素体の外表面上に配置され、かつ、電気絶縁性を有する被覆層と、
前記被覆層上に配置され、かつ、前記内部導体と電気的に接続されている導体層と、
を備え、
前記導体層は、前記被覆層を抜けて前記素体に向けて突き出ていると共に前記内部導体と物理的かつ電気的に接続されている部分を含む、電子部品。
【請求項2】
前記外表面は、前記内部導体が露出する端面を含み、
前記被覆層は、前記端面上に配置されている、請求項1に記載の電子部品。
【請求項3】
前記内部導体は、前記端面から露出する一端を有し、
前記端面に直交する方向から、前記一端と前記部分とを見たとき、前記部分が前記一端を覆っている、請求項2に記載の電子部品。
【請求項4】
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記開口を規定する、前記被覆層の縁は、前記端面に直交する方向から見て、前記端面上に位置している、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項5】
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記端面は、前記開口を通して前記被覆層から露出する第一領域と、前記被覆層に覆われている第二領域と、を含み、
前記第一領域は、前記第二領域より窪んでいる、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項6】
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記端面は、前記開口を通して前記被覆層から露出する第一領域と、前記被覆層に覆われている第二領域と、を含み、
前記第一領域の表面粗さは、前記第二領域の表面粗さより大きい、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項7】
前記外表面は、前記端面と隣り合う側面を更に含み、
前記被覆層は、前記端面上と前記側面上とに連続して配置されている、請求項2又は3に記載の電子部品。
【請求項8】
前記被覆層の厚みは、1~3μmである、請求項1~3のいずれか一項に記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
知られている電子部品は、素体と、素体内に配置されている内部導体と、素体上に配置され、かつ、内部導体と電気的に接続されている導体層と、を備えている(たとえば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2014-27071号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
素体の機械的強度を高めるため、電子部品が、素体の外表面上に配置される被覆層を備えることがある。導体層は、被覆層上に配置される。被覆層は、通常、電気絶縁性を有する。したがって、被覆層を備える電子部品は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性を低下させるおそれがある。
【0005】
本発明の一つの態様は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制する電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一つの態様に係る電子部品は、素体と、素体内に配置されている内部導体と、素体の外表面上に配置され、かつ、電気絶縁性を有する被覆層と、被覆層上に配置され、かつ、内部導体と電気的に接続されている導体層と、を備える。導体層は、被覆層を抜けて素体に向けて突き出ていると共に内部導体と物理的かつ電気的に接続されている部分を含んでいる。
【0007】
上記一つの態様では、導体層が上記部分を含む。したがって、上記一つの態様は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制する。
【0008】
上記一つの態様では、外表面が、内部導体が露出する端面を含んでもよく、被覆層が、端面上に配置されていてもよい。
上記一つの態様では、内部導体が、端面から露出する一端を有していてもよい。端面に直交する方向から、上記一端と上記部分とを見たとき、上記部分が上記一端を覆っていてもよい。
上記部分が上記一端を覆っている構成は、内部導体と導体層とを確実に物理的かつ電気的に接続する。
【0009】
上記一つの態様では、被覆層には、上記部分に対応する位置に開口が形成されていてもよい。開口を規定する、被覆層の縁が、端面に直交する方向から見て、端面上に位置していてもよい。
被覆層の縁が、端面に直交する方向から見て、端面上に位置している構成は、上記部分を、端面上に確実に位置させる。したがって、この構成は、導体層と内部導体との物理的かつ電気的な接続性の低下を確実に抑制する。
【0010】
上記一つの態様では、被覆層には、上記部分に対応する位置に開口が形成されていてもよい。端面が、開口を通して被覆層から露出する第一領域と、被覆層に覆われている第二領域と、を含んでいてもよい。第一領域が、第二領域より窪んでいてもよい。
第一領域が第二領域より窪んでいる構成は、素体と導体層との接続面積を増加させる。したがって、この構成は、導体層と素体との物理的な接続を強固にする。この結果、この構成は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性の低下をより確実に抑制する。
【0011】
上記一つの態様では、被覆層には、上記部分に対応する位置に開口が形成されていてもよい。端面が、開口を通して被覆層から露出する第一領域と、被覆層に覆われている第二領域と、を含んでいてもよい。第一領域の表面粗さが、第二領域の表面粗さより大きくてもよい。
第一領域の表面粗さが第二領域の表面粗さより大きい構成は、第一領域での素体の表面積を増加させ、素体と導体層との接続面積を増加させる。したがって、この構成は、導体層と素体との物理的な接続を強固にする。この結果、この構成は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性をより確実に抑制する。
【0012】
上記一つの態様では、外表面が、端面と隣り合う側面を含んでいてもよく、被覆層が、端面上と側面上とに連続して配置されていてもよい。
被覆層が端面上と側面上に連続して配置されている構成は、素体の機械的強度を確実に向上する。
【0013】
上記一つの態様では、被覆層の厚みが、1~3μmであってもよい。
被覆層が上記厚みを有する構成は、素体の機械的強度を一層向上する。
【発明の効果】
【0014】
本発明の一つの態様は、内部導体と導体層との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制する電子部品を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、一実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。
図2図2は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図3図3は、コイルの分解斜視図である。
図4図4は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図5図5は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。
図6図6は、端面の断面構成を示す図である。
図7図7は、本実施形態の変形例に係る電子部品の断面構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には、同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0017】
図1図6を参照して、本実施形態に係る電子部品ED1を説明する。図1は、本実施形態に係る電子部品を示す斜視図である。図2は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。図3は、コイルの分解斜視図である。図4及び図5は、本実施形態に係る電子部品の断面構成を示す図である。図6は、端面の断面構成を示す図である。図2図4図6では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。電子部品ED1は、たとえば、積層コイル部品である。
【0018】
図1及び図2に示されるように、電子部品ED1は、素体1と、コイル10と、被覆層20と、導体層30a,30bと、を備えている。コイル10は、素体1内に配置されている。被覆層20は、素体1の外表面上に配置されている。導体層30a,30bは、被覆層20上に配置され、かつ、コイル10と電気的に接続されている。
【0019】
素体1は、たとえば、直方体形状を呈している。素体1の外表面は、互いに対向している一対の端面1a,1bと、端面1a,1bを連結している側面1cと、を含む。側面1cは、端面1a,1bと隣り合っている。側面1cは、互いに対向している一対の側面1c1,1c2と、互いに対向している一対の側面1c3,1c4と、を有している。端面1a,1b、側面1c1,1c2、及び側面1c3,1c4は、たとえば、矩形状を呈している。本明細書での「直方体形状」は、角部及び稜線部が面取りされている直方体の形状、又は、角部及び稜線部が丸められている直方体の形状を含む。本明細書での「矩形状」は、たとえば、各角が面取りされている形状、又は、各角が丸められている形状を含む。
【0020】
端面1a,1bは、第一方向D1で互いに対向している。端面1a,1bは、素体1の第一方向D1での両端を規定している。端面1a,1bは、たとえば、第一方向D1に直交している。側面1c1,1c2は、端面1a,1bと隣り合うと共に、第一方向D1に交差する第二方向D2で互いに対向している。側面1c1,1c2は、素体1の第二方向D2での両端を規定している。側面1c1,1c2は、たとえば、第二方向D2に直交している。側面1c3,1c4は、端面1a,1b及び側面1c1,1c2と隣り合うと共に、第一方向D1及び第二方向D2に交差する第三方向D3で互いに対向している。側面1c3,1c4は、素体1の第三方向D3での両端を規定している。側面1c3,1c4は、たとえば、第三方向D3に直交している。本実施形態では、第一方向D1、第二方向D2、及び第三方向D3は、互いに直交している。
【0021】
端面1a,1bは、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第二方向D2に延在している。端面1a,1bは、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c1,1c2は、端面1aと端面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1c1,1c2は、側面1c3と側面1c4とを連結するように、第三方向D3に延在している。側面1c3,1c4は、端面1aと端面1bとを連結するように、第一方向D1に延在している。側面1c3,1c4は、側面1c1と側面1c2とを連結するように、第二方向D2に延在している。端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4とは、間接的に隣り合っていてもよい。この場合、端面1a,1bと、側面1c1,1c2と、側面1c3,1c4との間には、稜線部が位置する。
【0022】
素体1の第一方向D1での長さは、たとえば、1.6mmである。素体1の第二方向D2での長さは、たとえば、0.8mmである。素体1の第三方向D3での長さは、たとえば、0.8mmである。素体1では、たとえば、第一方向D1が長辺方向である。
【0023】
素体1は、たとえば、複数の絶縁体層を含んでいる。素体1は、たとえば、複数の絶縁体層が積層されて形成されている。本実施形態では、複数の絶縁体層が積層される方向は、第二方向D2である。複数の絶縁体層は、実際には互いの境界が視認できない程度に一体化されている。素体1(各絶縁体層)は、磁性材料を含んでいる。磁性材料は、たとえば、Ni-Cu-Zn系フェライト材料、Ni-Cu-Zn-Mg系フェライト材料、Cu-Zn系フェライト材料、又はNi-Cu系フェライト材料を含んでいる。磁性材料は、たとえば、Fe合金を含んでいてもよい。素体1(各絶縁体層)は、たとえば、非磁性材料を含んでいてもよい。非磁性材料は、たとえば、ガラスセラミック材料又は誘電体材料を含んでいる。ガラスセラミック材料は、たとえば、ガラスとアルミナとを含んでいる。ガラスセラミック材料のガラスは、たとえば、ストロンチウム、カルシウム、アルミナ、及び酸化珪素を含んでいる。各絶縁体層は、たとえば、上述した材料を含むグリーンシートの焼結体から構成される。
【0024】
コイル10は、複数のコイル導体10b,10c,10d,10e,10f,10gを含んでいる。コイル10は、複数のスルーホール導体11b~11fを含んでいる。互いに隣り合うコイル導体10b,10cは、スルーホール導体11bによって電気的に接続される。互いに隣り合うコイル導体10c,10dは、スルーホール導体11cによって電気的に接続される。互いに隣り合うコイル導体10d,10eは、スルーホール導体11dによって電気的に接続される。互いに隣り合うコイル導体10e,10fは、スルーホール導体11eによって電気的に接続される。互いに隣り合うコイル導体10f,10gは、スルーホール導体11fによって電気的に接続される。
複数のコイル導体10b~10gの電気的な接続は、コイル10を素体1内に構成する。本実施形態では、コイル10の軸心方向は、第二方向D2である。コイル導体10b~10gは、第二方向D2から見て、少なくとも一部が互いに重なるように配置されている。コイル10は、たとえば、らせん状を呈している。コイル導体10b~10gは、コイル導体10b、コイル導体10c、コイル導体10d、コイル導体10e、及びコイル導体10fの順に並んでいる。コイル導体10bは、側面1c1と隣り合う。コイル導体10gは、側面1c2と隣り合う。
複数のコイル導体10b,10c,10d,10e,10f,10gは、たとえば、内部導体を構成する。
【0025】
コイル導体10bは、端面1bに露出する一端12dを有する。コイル導体10bは、一端12dで、端面1bに露出している。コイル導体10bは、一端12dで、導体層30bに物理的かつ電気的に接続されている。コイル10の一端は、導体層30bに物理的かつ電気的に接続されている。
コイル導体10gは、端面1aに露出する一端12cを有する。コイル導体10gは、一端12cで、端面1aに露出している。コイル導体10gは、一端12cで、導体層30aに物理的かつ電気的に接続されている。コイル10の他端は、導体層30aに物理的かつ電気的に接続されている。
コイル10は、導体層30aと導体層30bとに電気的に接続されている。
【0026】
複数のコイル導体10b~10gは、たとえば、導電性材料を含む導電ペーストの焼結体として構成される。スルーホール導体11b~11fは、たとえば、導電性材料として含んでおり、導電性材料を含む導電ペーストの焼結体として構成される。コイル導体10b~10g及びスルーホール導体11b~11fの導電性材料は、たとえば、Ag、Pd、Au、Pt、Cu、Ni、Al、Mo、又はWを含んでいる。導電性材料は、たとえば、Ag-Pd合金、Ag-Cu合金、Ag-Au合金、又は、Ag-Pt合金を含んでいてもよい。
【0027】
図1及び図2に示されるように、被覆層20は、素体1の外表面上に配置されている。被覆層20は、電気絶縁性を有する。本実施形態では、被覆層20は、素体1の外表面全体上に配置されている。したがって、被覆層20は、端面1a,1b上に配置される。被覆層20は、端面1a,1b上と側面1c上とに連続して配置されている。被覆層20は、側面1cの全体上に配置されている。被覆層20は、側面1cの一部上に配置されていてもよい。被覆層20は、端面1a上に位置する被覆部分と、端面1b上に位置する被覆部分と、側面1c上に位置する被覆部分とを含む。被覆層20が含む各被覆部分は、互いに一体的に形成されていてもよい。
被覆層20は、たとえば、ガラスを含んでいる。被覆層20のガラスは、たとえば、SiO又はBを含んでいる。被覆層20がガラスを含む場合、ガラススラリーが素体1の面1a,1b,1cに塗布されることによって、被覆層20が形成される。ガラススラリーは、たとえば、ガラス粉末、バインダ樹脂、及び溶剤を含んでいる。被覆層20の厚さは、たとえば、1~3μmである。被覆層20に含まれるガラスは、たとえば、非晶質ガラスである。
【0028】
被覆層20の厚さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
被覆層20の断面写真が取得される。端面1a上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を端面1aに直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。端面1b上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を端面1bに直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。側面1c1上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を側面1c1に直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。側面1c2上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を側面1c2に直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。側面1c3上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を側面1c3に直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。側面1c4上に位置する被覆部分の断面写真は、たとえば、電子部品ED1を側面1c4に直交する平面で切断したときの被覆層20の断面を撮影した写真である。
取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、被覆層20の境界が判別される。取得した断面写真上での、被覆部分の厚さが算出される。被覆部分の厚さは、取得した断面写真上での、被覆部分の平均厚さであってもよい。
被覆層20の厚さは、全ての被覆部分の厚さの平均値であってもよい。
【0029】
本実施形態では、導体層30aは、端面1a上に配置された被覆層20上に配置されている。導体層30bは、端面1b上に配置された被覆層20上に配置されている。導体層30a,30bは、素体1を挟んで、第一方向D1で互いに対向している。導体層30a,30bは、第一方向D1で互いに離間している。
【0030】
導体層30aは、たとえば、側面1cの一部の面上に配置された被覆層20上にも配置されている。導体層30aが側面1cの一部の面上に配置された被覆層20上にも配置される構成では、導体層30aは、端面1aと側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。導体層30bは、たとえば、側面1cの一部の面上に配置された被覆層20上にも配置されている。導体層30bが側面1cの一部の面上に配置された被覆層20上にも配置される構成では、導体層30bは、端面1bと側面1cとによって形成される角部と、角部を互いに結ぶ稜線部とを覆っている。
【0031】
導体層30a,30bは、たとえば、焼結金属層を有している。焼結金属層は、素体1の面1a,1b,1cに付与された導電性ペーストを焼き付けることにより形成される。焼結金属層は、たとえば、導電性ペーストに含まれる金属粉末が焼結することにより形成される。焼結金属層は、貴金属又は貴金属合金の導電性材料を含んでいる。貴金属は、たとえば、Ag、Pd、Au、又はPtを含んでいる。貴金属合金は、たとえば、Ag-Pd合金を含んでいる。焼結金属層は、卑金属又は卑金属合金を含んでいてもよい。卑金属は、たとえば、Cu又はNiを含んでいる。導電性ペーストは、たとえば、上述した種類の金属粉末、ガラス成分、有機バインダ、及び有機溶剤を含んでいる。導体層30a,30bに含まれる導電性材料は、コイル導体10b~10g及びスルーホール導体11b~11fの導電性材料と同じでもよい。コイル導体10b~10gと、スルーホール導体11b~11fと、導体層30a,30bとは、互いに異なる導電性材料を含んでいてもよい。導体層30a,30bの厚さは、たとえば、10~50μmである。
【0032】
電子部品ED1では、各導体層30a,30b上に、めっき層PLが配置される。めっき層PLは、各導体層30a,30bを被覆するように、各導体層30a,30b上に形成される。本実施形態では、導体層30a,30bとめっき層PLとが、外部電極を構成してもよい。めっき層PLは、二層構造を有していてもよい。めっき層PLが二層構造を有している構成では、第一層は、たとえば、Niめっき層、Snめっき層、Cuめっき層、又はAuめっき層を含んでいる。第一層上に形成される第二層は、たとえば、Snめっき層、Sn-Ag合金めっき層、Sn-Bi合金めっき層、又はSn-Cu合金めっき層を含んでいる。めっき層PLは、三層以上の層構造を有していてもよい。導体層30a,30b上に、めっき層PLが配置されなくてもよい。
【0033】
次に、コイル10と導体層30a,30bとの接続について説明する。図4において、第一方向D1は、たとえば、端面1aに直交する方向に一致している。図5において、第一方向D1は、たとえば、端面1bに直交する方向に一致している。
【0034】
図2及び図4に示されるように、電子部品ED1では、一端12cが、端面1aに露出している。導体層30aは、部分30cを含む。部分30cは、被覆層20(端面1a上に位置する被覆部分)を抜けて素体1に向けて突き出ている。一端12cと部分30cとを第一方向D1から見たとき、部分30cが一端12cを覆っている。本実施形態では、部分30cが、一端12cの全体を覆っている。一端12cは、部分30cに物理的かつ電気的に接続されている。部分30cは、コイル導体10gに物理的かつ電気的に接続されている。部分30cが、一端12cの一部を覆っていてもよい。この場合、一端12cの一部が部分30cに物理的に接続される。
図2及び図5に示されるように、電子部品ED1では、一端12dが、端面1bに露出している。導体層30bは、部分30dを含む。部分30dは、被覆層20(端面1b上に位置する被覆部分)を抜けて素体1に向けて突き出ている。一端12dと部分30dとを第一方向D1から見たとき、部分30dが一端12dを覆っている。本実施形態では、部分30dが、一端12dの全体を覆っている。一端12dは、部分30dに物理的かつ電気的に接続されている。部分30dは、コイル導体10bに物理的かつ電気的に接続されている。部分30dが、一端12dの一部を覆っていてもよい。この場合、一端12dの一部が部分30dに物理的に接続される。
コイル10は、部分30cと部分30dとに電気的に接続されている。
【0035】
本実施形態では、被覆層20には、複数の開口20c,20dが形成されている。開口20cは、端面1a上に位置する被覆部分に形成されている。開口20dは、端面1b上に位置する被覆部分に形成されている。各開口20c,20dは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって形成される。
【0036】
部分30cは、開口20c内に位置している。部分30cは、開口20c内で、端面1a上に位置する被覆部分を貫通している。端面1a上に位置する被覆部分を第一方向D1から見たとき、一端12cは、開口20c内に位置している。一端12cは、端面1a上に位置する被覆部分から露出している。一端12cの一部が、開口20c内に位置していてもよい。一端12cの一部が、端面1a上に位置する被覆部分から露出していてもよい。部分30cの平面形状は、たとえば、開口20cの形状に対応する。
部分30dは、開口20d内に位置している。部分30dは、開口20d内で、端面1b上に位置する被覆部分を貫通している。端面1b上に位置する被覆部分を第一方向D1から見たとき、一端12dは、開口20d内に位置している。一端12dは、端面1b上に位置する被覆部分から露出している。一端12dの一部が、開口20d内に位置していてもよい。一端12dの一部が、端面1b上に位置する被覆部分から露出していてもよい。部分30dの平面形状は、たとえば、開口20dの形状に対応する。
本実施形態では、開口20c,20dは、第三方向D3に延在するように形成されている。開口20c,20dは、たとえば、第一方向D1及び第二方向D2に直交し、かつ、第三方向D3と交差する方向に延在するように形成されていてもよい。
【0037】
開口20cの第二方向D2での長さは、たとえば、一端12cの第二方向D2での長さ以上である。開口20cの第二方向D2での長さは、たとえば、100~600μmである。一端12cの第二方向D2での長さは、たとえば、40~400μmである。
開口20cの第三方向D3での長さは、たとえば、一端12cの第三方向D3での長さ以上である。開口20cの第三方向D3での長さは、たとえば、100~600μmである。一端12cの第三方向D3での長さは、たとえば、40~400μmである。
一端12cの露出面積に対する、開口20cの面積の割合は、たとえば、100~500%である。開口20cは、たとえば、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。
【0038】
開口20c及び一端12cの第二方向D2での各長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
端面1a上に位置する被覆部分と一端12cとの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、一端12cを含む位置において、側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの、一端12c及び端面1a上に位置する被覆部分の断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、一端12c及び被覆層20の境界が判別される。取得した断面写真上での、開口20c及び一端12cの第二方向D2での各長さが算出される。
開口20c及び一端12cの第三方向D3での各長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
端面1a上に位置する被覆部分と一端12cとの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、一端12cを含む位置において、側面1c1,1c2に平行な平面で切断したときの、一端12c及び端面1a上に位置する被覆部分の断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、一端12c及び被覆層20の境界が判別される。取得した断面写真上での、開口20c及び一端12cの第三方向D3での各長さが算出される。
一端12cの露出面積は、一端12cの第二方向D2での長さと一端12cの第三方向D3での長さとの積で求めてもよい。開口20cの面積は、開口20cの第二方向D2での長さと開口20cの第三方向D3での長さとの積で求めてもよい。
【0039】
開口20dの第二方向D2での長さは、たとえば、一端12dの第二方向D2での長さ以上である。開口20dの第二方向D2での長さは、たとえば、100~600μmである。一端12dの第二方向D2での長さは、たとえば、40~400μmである。
開口20dの第三方向D3での長さは、たとえば、一端12dの第三方向D3での長さ以上である。開口20dの第三方向D3での長さは、たとえば、100~600μmである。一端12dの第三方向D3での長さは、たとえば、40~400μmである。
一端12dの露出面積に対する、開口20dの面積の割合は、たとえば、100~500%である。開口20dは、たとえば、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。
開口20dの第二方向D2での長さは、開口20cの第二方向D2での長さと同一でもよく、互いに異なっていてもよい。開口20dの第三方向D3での長さは、開口20cの第三方向D3での長さと同一でもよく、互いに異なっていてもよい。
【0040】
開口20d及び一端12dの第二方向D2での各長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
端面1b上に位置する被覆部分と一端12dとの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、一端12dを含む位置において、側面1c1,1c2に直交する平面で切断したときの、一端12d及び端面1b上に位置する被覆部分の断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、一端12d及び被覆層20の境界が判別される。取得した断面写真上での、開口20d及び一端12dの第二方向D2での各長さが算出される。
開口20d及び一端12dの第三方向D3での各長さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
端面1b上に位置する被覆部分と一端12dとの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、一端12dを含む位置において、側面1c1,1c2に平行な平面で切断したときの、一端12d及び端面1b上に位置する被覆部分の断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、一端12d及び被覆層20の境界が判別される。取得した断面写真上での、開口20d及び一端12dの第三方向D3での各長さが算出される。
一端12dの露出面積は、一端12dの第二方向D2での長さと一端12dの第三方向D3での長さとの積で求めてもよい。開口20dの面積は、開口20dの第二方向D2での長さと開口20dの第三方向D3での長さとの積で求めてもよい。
【0041】
開口20cを規定する、被覆層20の縁20eは、端面1aに直交する方向から見て、端面1a上に位置している。したがって、縁20eの全体は、端面1aに直交する方向から見て、端面1aの外縁の内側に位置している。開口20cの第二方向D2での長さは、たとえば、端面1aの第二方向D2での長さより小さい。開口20cの第三方向D3での長さは、たとえば、端面1aの第三方向D3での長さより小さい。端面1aの面積に対する、開口20cの面積の割合は、たとえば、3~50%である。
【0042】
端面1aは、領域E1aと領域E2aとを含んでいる。領域E1aは、開口20cを通して被覆層20から露出している。領域E2aは、被覆層20に覆われている。本実施形態では、端面1aに直交する方向から見て、領域E2aは、領域E1aを囲んでいる。領域E1aは、領域E2aより窪んでいる。端面1aは、開口20cに対応する位置において、窪んでいる。領域E1aは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって形成される。開口20cが被覆層20を貫通するように形成される構成では、領域E1aにもレーザ光が照射され得る。領域E1aは、たとえば、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。たとえば、領域E1aが、第一領域を構成する場合、領域E2aは、第二領域を構成する。
【0043】
開口20dを規定する、被覆層20の縁20fは、端面1bに直交する方向から見て、端面1b上に位置している。したがって、縁20fの全体は、端面1bに直交する方向から見て、端面1bの外縁の内側に位置している。開口20dの第二方向D2での長さは、たとえば、端面1bの第二方向D2での長さより小さい。開口20dの第三方向D3での長さは、たとえば、端面1bの第三方向D3での長さより小さい。端面1bの面積に対する、開口20dの面積の割合は、たとえば、3~50%である。
端面1bの面積に対する、開口20dの面積の割合は、端面1aの面積に対する、開口20cの面積の割合と同一であってもよく、互いに異なっていてもよい。
【0044】
端面1bは、領域E1bと領域E2bとを含んでいる。領域E1bは、開口20dを通して被覆層20から露出している。領域E2bは、被覆層20に覆われている。本実施形態では、端面1bに直交する方向から見て、領域E2bは、領域E1bを囲んでいる。領域E1bは、領域E2bより窪んでいる。端面1bは、開口20dに対応する位置において、窪んでいる。領域E1bは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって形成される。開口20dが被覆層20を貫通するように形成される構成では、領域E1bにもレーザ光が照射され得る。領域E1bは、たとえば、第一方向D1から見て、矩形状を呈している。たとえば、領域E1bが、第一領域を構成する場合、領域E2bは、第二領域を構成する。
【0045】
図6に示されるように、本実施形態では、領域E1aの表面粗さは、領域E2aの表面粗さより大きい。領域E1aと領域E2aとの表面粗さの違いは、たとえば、領域E1aにレーザ光が照射される場合に生じ得る。領域E1aの表面粗さは、たとえば、領域E1aへのレーザ光の照射によって領域E2aの表面粗さより増大する。領域E2aには、レーザ光は照射されない。たとえば、領域E1a,E2aの表面粗さは、領域E1a,E2aの最大高さ(Rz)でそれぞれ規定される。最大高さ(Rz)は、JIS B 0601:2001(ISO 4287:1997)に定義されている。
各領域E1a,E2aの表面粗さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
領域E1a,E2aの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、領域E1a,E2aを含む位置において、側面1c1,1c2に平行な平面で切断したときの、端面1aの断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、端面1aの境界が判別される。取得した断面写真上での、各領域E1a,E2aの表面粗さが算出される。
【0046】
図示は省略するが、本実施形態では、領域E1bの表面粗さは、領域E2bの表面粗さより大きい。領域E1bと領域E2bとの表面粗さの違いは、たとえば、領域E1bにレーザ光が照射される場合に生じ得る。領域E1bの表面粗さは、たとえば、領域E1bへのレーザ光の照射によって領域E2bの表面粗さより増大する。領域E2bには、レーザ光は照射されない。
各領域E1b,E2bの表面粗さは、たとえば、以下のようにして求めることができる。
領域E1b,E2bの断面写真が取得される。この断面写真は、たとえば、電子部品ED1を、領域E1b,E2bを含む位置において、側面1c1,1c2に平行な平面で切断したときの、端面1bの断面を撮影した写真である。取得した断面写真が、ソフトウェアにより画像処理される。この画像処理により、端面1bの境界が判別される。取得した断面写真上での、各領域E1b,E2bの表面粗さが算出される。
【0047】
図7を参照しながら、本実施形態の変形例に係る電子部品ED2の構成について説明する。図7は、本実施形態の変形例に係る電子部品の断面構成を示す図である。図7では、各部を明確に示すため、ハッチングが省略されている。電子部品ED2は、導電性樹脂層CLを備える点を除いて、上述した電子部品ED1と同一の構成を有している。
【0048】
電子部品ED2は、複数の導電性樹脂層CLを備える。本変形例では、電子部品ED2は、一対の導電性樹脂層CLを備える。一対の導電性樹脂層CLのそれぞれは、導体層30a,30bのうち対応する導体層に配置されている。導電性樹脂層CLは、対応する導体層30a,30bの全体を覆っている。導電性樹脂層CLは、その端部において、被覆層20と接する。導電性樹脂層CLは、対応する導体層30a,30bと接する。導電性樹脂層CLは、対応する導体層30a,30bと、めっき層PLとの間に位置する。導電性樹脂層CLは、めっき層PLと接する。導電性樹脂層CLは、対応する導体層30a,30b上に形成される。各導体層30a,30bは、下地金属層を構成する。
導電性樹脂層CLは、対応する導体層30a,30bの一部のみを覆っていてもよい。導電性樹脂層CLが、対応する導体層30a,30bの一部のみを覆っている構成では、めっき層PLは、導電性樹脂層CL上と、各導体層30a,30bにおける、導電性樹脂層CLから露出する領域上と、に配置される。この構成では、めっき層PLは、導体層30a,30bと接する。
【0049】
各導電性樹脂層CLは、樹脂と、複数の導電性粒子とを含む。樹脂は、たとえば、熱硬化性樹脂である。熱硬化性樹脂は、たとえば、フェノール樹脂、アクリル樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、又はポリイミド樹脂である。各導電性粒子は、たとえば、金属粒子又は金属めっき粒子である。金属粒子は、たとえば、銀粒子又は銅粒子である。
各導電性樹脂層CLは、たとえば、対応する導体層30a,30bに付与された導電性樹脂ペーストを硬化させることにより形成される。導電性樹脂ペーストは、たとえば、樹脂、複数の導電性粒子、及び有機溶媒を含む。
【0050】
以上説明したように、各電子部品ED1,ED2は、素体1と、素体1内に配置されている複数のコイル導体10b~10gと、素体1の外表面上に配置され、かつ、電気絶縁性を有する被覆層20と、被覆層20上に配置され、かつ、複数のコイル導体10b~10gと電気的に接続されている導体層30a,30bと、を備えている。導体層30aは、被覆層20を抜けて素体1に向けて突き出ていると共にコイル導体10gと物理的かつ電気的に接続されている部分30cを含んでいる。導体層30bは、被覆層20を抜けて素体1に向けて突き出ていると共にコイル導体10bと物理的かつ電気的に接続されている部分30dを含んでいる。
【0051】
各電子部品ED1,ED2では、導体層30aが部分30cを含み、導体層30bが部分30dを含む。したがって、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10gと導体層30aとの内部導体との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制すると共に、導体層30bとコイル導体10bとの内部導体との物理的かつ電気的な接続性の低下を抑制する。
【0052】
各電子部品ED1,ED2では、コイル導体10gは、端面1aから露出する一端12cを有している。第一方向D1から、一端12cと部分30cとを見たとき、部分30cが一端12cを覆っている。したがって、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10gと導体層30aを確実に物理的かつ電気的に接続する。
コイル導体10bは、端面1bから露出する一端12dを有している。第一方向D1から、一端12dと部分30dとを見たとき、部分30dが一端12dを覆っている。したがって、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10bと導体層30bを確実に物理的かつ電気的に接続する。
【0053】
各電子部品ED1,ED2では、被覆層20には、部分30cに対応する位置に開口20cが形成されている。被覆層20の縁20eは、第一方向D1から見て、端面1a上に位置している。したがって、各電子部品ED1,ED2は、部分30cを、端面1a上に確実に位置させる。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10gと導体層30aとの物理的かつ電気的な接続性の低下を確実に抑制する。
被覆層20には、部分30dに対応する位置に開口20dが形成されている。被覆層20の縁20fは、第一方向D1から見て、端面1b上に位置している。したがって、各電子部品ED1,ED2は、部分30dを、端面1b上に確実に位置させる。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10bと導体層30bとの物理的かつ電気的な接続性の低下を確実に抑制する。
【0054】
各電子部品ED1,ED2では、端面1aは、領域E2aと、領域E2aより窪んでいる領域E1aを含んでいる。各電子部品ED1,ED2は、素体1と導体層30aとの接続面積を増加させる。したがって、各電子部品ED1,ED2は、導体層30aと素体1との物理的な接続を強固にする。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10gと導体層30aとの物理的かつ電気的な接続性の低下をより確実に抑制する。
端面1bは、領域E2bと、領域E2bより窪んでいる領域E1bを含んでいる。各電子部品ED1,ED2は、素体1と導体層30bとの接続面積を増加させる。したがって、各電子部品ED1,ED2は、導体層30bと素体1との物理的な接続を強固にする。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10bと導体層30bとの物理的かつ電気的な接続性の低下をより確実に抑制する。
【0055】
各電子部品ED1,ED2では、領域E1aの表面粗さが、領域E2aの表面粗さより大きい。各電子部品ED1,ED2は、領域E1aでの素体の表面積を増加させ、素体1と導体層30aとの接続面積を増加させる。したがって、各電子部品ED1,ED2は、導体層30aと素体1との物理的な接続を強固にする。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10gと導体層30aとの物理的かつ電気的な接続性をより確実に抑制する。
領域E1bの表面粗さが、領域E2bの表面粗さより大きい。各電子部品ED1,ED2は、領域E1bでの素体の表面積を増加させ、素体1と導体層30bとの接続面積を増加させる。したがって、各電子部品ED1,ED2は、導体層30bと素体1との物理的な接続を強固にする。この結果、各電子部品ED1,ED2は、コイル導体10bと導体層30bとの物理的かつ電気的な接続性をより確実に抑制する。
【0056】
一端12cは、端面1aに露出している場合であっても、被覆層20で覆われていることがある。一端12cが被覆層20で覆われている構成では、一端12cは、導体層30aと物理的にも電気的にも接続されがたい。しかしながら、被覆層20に開口20cが形成された構成では、一端12cは、被覆層20を抜けた導体層30aと物理的かつ電気的に接続しやすい。開口20cは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって形成される。一端12cが端面1aから露出していない構成であっても、たとえば、端面1aが削られる場合、一端12cは、端面1aから露出し得る。端面1aから露出した一端12cは、被覆層20を抜けた導体層30aと物理的かつ電気的に接続しやすい。端面1aは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって開口20cが形成された後の、端面1aへのレーザ光の照射によって削られる。
【0057】
一端12dは、端面1bに露出している場合であっても、被覆層20で覆われていることがある。一端12dが被覆層20で覆われている構成では、一端12dは、導体層30bと物理的にも電気的にも接続されがたい。しかしながら、被覆層20に開口20dが形成された構成では、一端12dは、被覆層20を抜けた導体層30bと物理的かつ電気的に接続しやすい。開口20dは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって形成される。一端12dが端面1bから露出していない構成であっても、たとえば、端面1bが削られる場合、一端12dは、端面1bから露出し得る。端面1bから露出した一端12dは、被覆層20を抜けた導体層30bと物理的かつ電気的に接続しやすい。端面1bは、たとえば、被覆層20へのレーザ光の照射によって開口20dが形成された後の、端面1bへのレーザ光の照射によって削られる。
【0058】
各電子部品ED1,ED2では、被覆層20は、端面1a上と側面1c上に連続して配置される。したがって、各電子部品ED1,ED2は、素体1の機械的強度を確実に向上する。
被覆層20は、端面1b上と側面1c上に連続して配置される。したがって、各電子部品ED1,ED2は、素体1の機械的強度を確実に向上する。
【0059】
各電子部品ED1,ED2では、被覆層20の厚みは、1~3μmである。したがって、各電子部品ED1,ED2は、素体1の機械的強度を一層向上する。
【0060】
以上、本発明の実施形態及び変形例について説明してきたが、本発明は必ずしも上述した実施形態及び変形例に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。
【0061】
領域E1aは、領域E2aより窪んでいなくてもよい。領域E1aが領域E2aより窪んでいる構成は、上述したように、コイル導体10gと導体層30aとの物理的かつ電気的な接続性の低下をより確実に抑制する。
領域E1bは、領域E2bより窪んでいなくてもよい。領域E1bが領域E2bより窪んでいる構成は、上述したように、コイル導体10bと導体層30bとの物理的かつ電気的な接続性の低下をより確実に抑制する。
領域E1aの表面粗さは、領域E2aの表面粗さより大きくなくてもよい。領域E1aの表面粗さが領域E2aの表面粗さより大きい構成は、上述したように、コイル導体10gと導体層30aとの物理的かつ電気的な接続性をより確実に抑制する。
領域E1bの表面粗さは、領域E2bの表面粗さより大きくなくてもよい。領域E1bの表面粗さが領域E2bの表面粗さより大きい構成は、上述したように、コイル導体10bと導体層30bとの物理的かつ電気的な接続性をより確実に抑制する。
被覆層20は、端面1a,1b上と側面1c上とに連続して配置されていなくてもよい。被覆層20が端面1a,1b上と側面1c上とに連続して配置されている構成は、上述したように、素体1の機械的強度を向上する。被覆層20が、端面1a,1b上と側面1c上とに連続して配置されていない構成では、導電性樹脂層CLは、その端部において、素体1と接してもよい。
【0062】
実施形態及び変形例では、各電子部品ED1,ED2として積層コイル部品を例に説明したが、適用可能な電子部品は、積層コイル部品に限られない。適用可能な電子部品は、たとえば、積層コンデンサ部品、積層インダクタ部品、積層バリスタ部品、積層固体電池部品、積層サーミスタ部品、もしくは積層複合部品などの積層電子部品、又は、積層電子部品以外の電子部品である。
【0063】
上述した実施形態及び変形例の記載から把握されるとおり、本明細書は、以下に示す態様の開示を含んでいる。
(付記1)
素体と、
前記素体内に配置されている内部導体と、
前記素体の外表面上に配置され、かつ、電気絶縁性を有する被覆層と、
を備え、
前記導体層は、前記被覆層を抜けて前記素体に向けて突き出ていると共に前記内部導体と物理的かつ電気的に接続されている部分を含む、電子部品。
(付記2)
前記外表面は、前記内部導体が露出する端面を含み、
前記被覆層は、前記端面上に配置されている、付記1に記載の電子部品。
(付記3)
前記内部導体は、前記端面から露出する一端を有し、
前記端面に直交する方向から、前記一端と前記部分とを見たとき、前記部分が前記一端を覆っている、付記2に記載の電子部品。
(付記4)
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記開口を規定する、前記被覆層の縁は、前記端面に直交する方向から見て、前記端面上に位置している、付記2又は3に記載の電子部品。
(付記5)
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記端面は、前記開口を通して前記被覆層から露出する第一領域と、前記被覆層に覆われている第二領域と、を含み、
前記第一領域は、前記第二領域より窪んでいる、付記2~4のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記6)
前記被覆層には、前記部分に対応する位置に開口が形成されており、
前記端面は、前記開口を通して前記被覆層から露出する第一領域と、前記被覆層に覆われている第二領域と、を含み、
前記第一領域の表面粗さは、前記第二領域の表面粗さより大きい、付記2~5のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記7)
前記外表面は、前記端面と隣り合う側面を更に含み、
前記被覆層は、前記端面上と前記側面上とに連続して配置されている、付記2~6のいずれか一つに記載の電子部品。
(付記8)
前記被覆層の厚みは、1~3μmである、付記1~7のいずれか一つに記載の電子部品。
【符号の説明】
【0064】
1…素体、1a,1b…端面、1c…側面、10b~10g…コイル導体、12c,12d…コイル導体が有する一端、20…被覆層、20c,20d…開口、30a,30b…導体層、30c,30d…導体層が含む部分、E1a…領域,E2a,E1b,E2b…領域、ED1,ED2…電子部品。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7