(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054586
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ロータの製造方法
(51)【国際特許分類】
H02K 15/03 20060101AFI20240410BHJP
H02K 1/276 20220101ALI20240410BHJP
【FI】
H02K15/03 Z
H02K1/276
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160899
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000241500
【氏名又は名称】トヨタ紡織株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】杉山 雅紀
【テーマコード(参考)】
5H622
【Fターム(参考)】
5H622CA02
5H622CA07
5H622CA10
5H622CB03
5H622CB05
5H622PP10
5H622PP20
(57)【要約】
【課題】高い生産効率で複数種類のロータを製造することができるロータの製造方法を提供する。
【解決手段】ロータ10の製造方法は、対向して配置された第1型部20と第2型部50との間に複数の磁石収容孔13を有する第1コアを配置するとともに各磁石収容孔13に磁石14を収容した状態で樹脂材を充填して磁石14を固定する。第1型部20は、第1コアに隣接して配置されるワークスペーサ40と、ワークスペーサ40における第1コア側とは反対側に隣接して配置される基部21とを有する。第1型部20と第2型部50とが対向する対向方向Zの長さを第1コアよりも短くした第2コア11Bを第1コアの代わりに用いてロータ10を製造する場合には、ワークスペーサ40と基部21との間に対向方向Zにおける第1コアと第2コア11Bとの長さの差を補う調整部材30を配置する。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向して配置された第1型部と第2型部との間に複数の磁石収容孔を有する第1コアを配置するとともに複数の前記磁石収容孔の各々に磁石を収容した状態で、複数の前記磁石収容孔の各々に樹脂材を充填して前記磁石を固定することによりロータを製造するロータの製造方法であって、
前記第1型部は、前記第1コアに隣接して配置されるワークスペーサと、前記ワークスペーサにおける前記第1コア側とは反対側に隣接して配置されるベース部材とを有し、
前記第1型部と前記第2型部とが対向する方向である対向方向の長さを前記第1コアよりも短くした第2コアを前記第1コアの代わりに用いて前記ロータを製造する場合には、前記ワークスペーサと前記ベース部材との間に、前記対向方向における前記第1コアと前記第2コアとの長さの差を補う調整部材を配置することを特徴とするロータの製造方法。
【請求項2】
前記調整部材は、前記対向方向において前記第2コアの全体が重なるように構成されていることを特徴とする請求項1に記載のロータの製造方法。
【請求項3】
前記調整部材は、前記対向方向から見て多角形状をなしていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のロータの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石埋込型モータのロータの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
磁石埋込型モータのロータは、複数の鉄心片が積層された構造のコアを有する。コアは、鉄心片の積層方向において貫通する複数の磁石収容孔を有している。磁石収容孔の各々には、磁石を収容した状態で樹脂材を充填することにより、磁石が固定されている。
【0003】
こうしたロータの製造装置としては、従来、例えば特許文献1に示すものが知られている。この特許文献1に記載のロータの製造装置は、コアを間に挟む態様で対向して配置される第1型部及び第2型部を備えている。第1型部及び第2型部のうちの一方は、樹脂材の充填のための充填口を有している。この製造装置では、複数の磁石収容孔の各々に磁石が収容された状態のコアが第1型部と第2型部との間に配置される。そして、この状態で複数の磁石収容孔の各々に樹脂材が充填されることにより、磁石が固定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ロータの製造に用いられるコアとしては、鉄心片の積層枚数が異なる複数種類のものがある。すなわち、コアには、鉄心片の積層方向の長さが異なる複数種類のものがある。こうした長さの異なるコアを用いた複数種類のロータの製造は、用いるコアに合わせてそれぞれ専用の製造装置を用意したり、用いるコアに合わせて毎回製造装置の設定や条件等を変更したりして行う必要がある。このような製造装置に関する制限が、ロータの製造にかかる生産効率の低下を招く一因になっている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
以下、上記課題を解決するための手段及びその作用効果について記載する。
上記課題を解決するロータの製造方法は、対向して配置された第1型部と第2型部との間に複数の磁石収容孔を有する第1コアを配置するとともに複数の前記磁石収容孔の各々に磁石を収容した状態で、複数の前記磁石収容孔の各々に樹脂材を充填して前記磁石を固定することによりロータを製造するロータの製造方法であって、前記第1型部は、前記第1コアに隣接して配置されるワークスペーサと、前記ワークスペーサにおける前記第1コア側とは反対側に隣接して配置されるベース部材とを有し、前記第1型部と前記第2型部とが対向する方向である対向方向の長さを前記第1コアよりも短くした第2コアを前記第1コアの代わりに用いて前記ロータを製造する場合には、前記ワークスペーサと前記ベース部材との間に、前記対向方向における前記第1コアと前記第2コアとの長さの差を補う調整部材を配置することを要旨とする。
【0007】
上記製造方法によれば、第2コアを用いてロータを製造する場合に、ワークスペーサとベース部材との間に調整部材を配置することで、第1コアを用いてロータを製造する製造装置をそのまま使うことができる。このため、第2コアを用いてロータを製造するための製造装置を別途用意したり第1コアを用いる場合と第2コアを用いる場合との間でロータの製造装置の設定を変更したりしなくても、長さの異なるコアを用いた複数種類のロータを製造することができる。したがって、高い生産効率で複数種類のロータを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】一実施形態の製造方法によって製造されるロータの斜視図である。
【
図2】第1コアを用いて製造されたロータの断面図である。
【
図3】第2コアを用いて製造されたロータの断面図である。
【
図4】製造装置に第1コアをセットしたときの状態を示す断面図である。
【
図5】製造装置に第2コアをセットしたときの状態を示す断面図である。
【
図7】コアと調整部材との位置関係を示す平面図である。
【
図8】コアとワークスペーサとの位置関係を示す平面図である。
【
図11】
図10において調整部材をひっくり返したときの状態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、ロータの製造方法の一実施形態を図面に従って説明する。
<ロータ>
図1に示すように、ロータ10は、電磁鋼板からなる複数枚の鉄心片12を積層してなるコア11を備えている。すなわち、コア11は、複数枚の鉄心片12を積層してなる積層体によって構成されている。コア11は、中心孔11aと、中心孔11aの外周側に位置するとともに周方向に互いに間隔をおいて設けられた複数(本実施形態では、20個)の磁石収容孔13とを有している。中心孔11a及び各磁石収容孔13は、コア11を貫通する態様でコア11の軸線Cに沿って延びている。各磁石収容孔13の断面形状は、周方向に延びる形状をなしている。
【0010】
中心孔11aの内周面には、コア11の径方向において互いに対向する一対の突条11bが軸線Cに沿って突設されている。各磁石収容孔13には、磁石14が収容されている。磁石14は、軸線Cに沿って延在する直方体状をなしている。各磁石収容孔13の内部には、磁石14を固定するための樹脂材16が充填されている。樹脂材16としては、エポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を用いることが好ましい。
【0011】
本実施形態では、同一の製造装置を利用して、2種類のロータ10が製造される。
図2に示すように、2種類のロータ10のうちの一方は、コア11として第1コア11Aが用いられたロータ10Aである。
図3に示すように、2種類のロータ10のうちの他方は、コア11として第2コア11Bが用いられたロータ10Bである。
【0012】
図2及び
図3に示すように、第2コア11Bは、第1コア11Aにおいて鉄心片12の積層枚数を少なくしたコア11である。すなわち、第2コア11Bは、第1コア11Aよりも、軸線Cが延びる方向の長さが短いコア11である。したがって、ロータ10Bでは、軸線Cが延びる方向における各磁石収容孔13及び磁石14の長さが、ロータ10Aよりも短くなっている。
【0013】
<製造装置>
図4に示すように、製造装置は、対向して配置される第1型部20と第2型部50とを備えている。製造装置によってロータ10Aを製造する際には、第1型部20と第2型部50との間に第1コア11Aが配置される。
【0014】
<第1型部>
図4に示すように、第1型部20は、型本体20A、支持部材20B、及びワークスペーサ40を備えている。第1型部20は、支持部材20B(詳しくは、基部21)及びワークスペーサ40が、第1型部20と第2型部50との対向方向Zにおいて重ねられた構造になっている。対向方向Zは、第1型部20と第2型部50との間に配置される第1コア11A(コア11)の軸線Cの延びる方向と一致する。
【0015】
<支持部材>
図1、
図4及び
図7に示すように、支持部材20Bは、型本体20A上に載置されている。支持部材20Bは、略矩形板状の基部21と、基部21の平面視の中央部から上方に突出する円筒状のポスト部22とを備えている。本実施形態では、支持部材20Bの基部21によってベース部材が構成されている。
【0016】
ポスト部22の外周面には、第1コア11Aの各突条11bが係合される一対の係合溝22bが軸線Cに沿って設けられている。ポスト部22の各係合溝22bに対して第1コア11Aの各突条11bが挿入されることで、ポスト部22に対する第1コア11Aの周方向の位置決めがなされる。ポスト部22の先端部(
図4では上端部)には、先端側(上側)に向かって突出する円柱状をなす4つの嵌合ピン23が周方向に等間隔となるように設けられている。
【0017】
<ワークスペーサ>
図4及び
図8に示すように、ワークスペーサ40は、略矩形板状をなしている。ワークスペーサ40は、支持部材20Bの基部21上に設けられる。ワークスペーサ40は、上面41が第1コア11Aに隣接するとともに下面42が基部21に隣接して配置される。したがって、基部21は、ワークスペーサ40における第1コア11A側とは反対側に隣接して配置される。
【0018】
つまり、ワークスペーサ40は、ワークスペーサ40の下面42と支持部材20Bの基部21の上面とが合わせられる態様で設けられている。ワークスペーサ40の平面視における中央部には、平面視略円形状の貫通孔40aが設けられている。貫通孔40aには、支持部材20Bのポスト部22が挿通される。
【0019】
図4、
図7及び
図8に示すように、貫通孔40aの内周面には、軸線Cに沿って延びる一対の係合突部40bが設けられている。各係合突部40bは、ポスト部22の各係合溝22bに係合される。本実施形態の製造装置では、ポスト部22の係合溝22bとワークスペーサ40の係合突部40bとが係合することで、ポスト部22に対するワークスペーサ40の周方向の位置決めがなされる。
【0020】
<フロートピン>
図4及び
図8に示すように、ワークスペーサ40における第1コア11A側の面である上面41には、複数箇所(本実施形態では、40箇所)に、フロートピン41aが突設されている。各フロートピン41aは、詳しくは、突端に向かうほど先細の円錐台形状をなしている。フロートピン41aは、複数の磁石収容孔13の各々に対応する部分に各別に設けられている。
【0021】
フロートピン41aは、1つの磁石収容孔13に対応する部分に対して、磁石収容孔13の断面における長手方向において並ぶ態様で2つ設けられる。各フロートピン41aは、軸線Cを対称の中心とする点対称の配置になる態様、且つ、軸線Cに直交する直線を対称軸とする線対称の配置になる態様で設けられている。フロートピン41aは、その突端により、磁石収容孔13の内部において磁石14の端部を支持する。この場合、ワークスペーサ40は、磁石収容孔13におけるワークスペーサ40側の開口13aを塞ぐ。
【0022】
<製造装置>
図4及び
図5に示すように、上記製造装置によってロータ10Bを製造する際には、第1型部20と第2型部50との間に、第1コア11Aの代わりに第2コア11Bが配置される。第2コア11Bは、第1型部20と第2型部50とが対向する方向である対向方向Zの長さが第1コア11Aよりも短くなっている。第1型部20と第2型部50との間に第2コア11Bを配置する場合には、ワークスペーサ40と支持部材20Bの基部21との間に、調整部材30が配置される。
【0023】
<調整部材>
図4及び
図5に示すように、調整部材30は、対向方向Zにおける第1コア11Aと第2コア11Bとの長さの差を補う部材である。すなわち、調整部材30は、対向方向Zにおける第2コア11Bの長さと対向方向Zにおける調整部材30の長さとの和が対向方向Zにおける第1コア11Aの長さと同じになるように構成されている。
【0024】
図5~
図7に示すように、調整部材30は、ワークスペーサ40と支持部材20Bの基部21との間に配置される。調整部材30は、対向方向Zから見て多角形状をなしている。本実施形態の調整部材30は、略矩形板状をなしている。調整部材30は、下面32が支持部材20Bの基部21の上面と合わせられるとともに上面31がワークスペーサ40の下面42と合わせられる態様で配置されている。
【0025】
調整部材30の平面視における中央部には、平面視略円形状の貫通孔30aが設けられている。貫通孔30aには、支持部材20Bのポスト部22が挿通される。貫通孔30aの内周面には、軸線Cに沿って延びる一対の係合突部30bが設けられている。各係合突部30bは、ポスト部22の各係合溝22bに係合される。
【0026】
本実施形態の製造装置では、ポスト部22の係合溝22bと調整部材30の係合突部30bとが係合することで、ポスト部22に対する調整部材30の周方向の位置決めがなされる。この場合、調整部材30は、対向方向Zにおいて第2コア11Bの全体が重なるように構成されている。すなわち、調整部材30は、対向方向Zにおいて第2コア11Bの全体をカバーするように構成されている。
【0027】
<第2型部>
図5及び
図6に示すように、第2型部50は、型本体50Aと、カルプレート50Bとを備えている。カルプレート50Bは、板状をなすとともに型本体50Aとコア11との間に介在されている。カルプレート50Bには、ポスト部22の嵌合ピン23に対応する複数の嵌合孔51が設けられている。カルプレート50Bは、磁石収容孔13におけるワークスペーサ40から遠い側(
図5では上側)の開口13bを塞ぐように、コア11上に配置される。カルプレート50Bの下面52は、コア11の上面に当接される。
【0028】
カルプレート50Bは、磁石収容孔13の開口13bに対して樹脂材16(
図1参照)を供給する通路53を有している。通路53は、複数の磁石収容孔13にそれぞれ対応して設けられる複数の分岐通路53a及び複数のゲート部53bを有している。複数の分岐通路53aは、カルプレート50Bの上面において、軸線C上の中央位置から放射状に延びている。
【0029】
ゲート部53bは、カルプレート50Bを厚さ方向に貫通する態様で、軸線Cに沿って延びている。ゲート部53bの一端は、分岐通路53aにおける上記中央位置から遠い側の端に連通されている。ゲート部53bの他端は、カルプレート50Bの下面52において開口する充填口53cになっている。本実施形態では、充填口53cを介して、複数の磁石収容孔13の各々に樹脂材16(
図1参照)が充填される。
【0030】
<製造方法>
まず、ロータ10Aの製造方法について説明する。
図4に示すように、製造装置によってロータ10Aを製造する場合には、まず、ワークスペーサ40の貫通孔40aに支持部材20Bのポスト部22を挿通することによって、ワークスペーサ40を支持部材20Bに組み付ける。続いて、第1コア11Aの中心孔11aに支持部材20Bのポスト部22を挿入することによって、第1コア11Aを支持部材20Bに取り付ける。続いて、第1コア11Aの各磁石収容孔13に対して対応する磁石14を挿入する。
【0031】
このとき、各磁石14は、下面においてワークスペーサ40の上面41に設けられたフロートピン41aの突端によって支持される。これにより、各磁石14は、ワークスペーサ40の上面41から上方に離れた位置で保持される。続いて、カルプレート50Bの各嵌合孔51にポスト部22の各嵌合ピン23を嵌合させることにより、カルプレート50Bの下面52を第1コア11Aの上面に当接させて型閉めを行う。これにより、第1コア11Aは、支持部材20Bの基部21とカルプレート50Bとの間に配置されることになる。
【0032】
続いて、型本体50Aの樹脂供給通路(図示略)及びカルプレート50Bの通路53を介して、第1コア11Aの各磁石収容孔13内に樹脂材16を充填する。続いて、加熱装置(図示略)によって製造装置の全体を加熱する。これにより、熱硬化性の樹脂材16が熱硬化するので、第1コア11Aに対して磁石14が固定される。
【0033】
続いて、製造装置からロータ10A(詳しくは、磁石14が固定された第1コア11A)を取り出すべく、型開きを行う。すなわち、支持部材20Bから第2型部50を取り外す。その後、支持部材20Bからロータ10Aを取り外すことで、ロータ10Aが得られる。
【0034】
次に、ロータ10Bの製造方法について説明する。
図5及び
図6に示すように、製造装置によってロータ10Bを製造する場合には、まず、調整部材30の貫通孔30aに支持部材20Bのポスト部22を挿通することによって、支持部材20Bに調整部材30を組み付ける。続いて、ワークスペーサ40の貫通孔40aに支持部材20Bのポスト部22を挿通することによって、ワークスペーサ40を支持部材20Bに組み付ける。続いて、第2コア11Bの中心孔11aに支持部材20Bのポスト部22を挿入することによって、第2コア11Bを支持部材20Bに取り付ける。
【0035】
このとき、調整部材30によって、対向方向Zにおける第1コア11Aと第2コア11Bとの長さの差が補われる。このため、第2コア11Bの上面の高さ位置は、支持部材20Bに調整部材30を組み付けない状態で第1コア11Aを支持部材20Bに取り付けたときの第1コア11Aの上面の高さ位置と同じになる。続いて、第2コア11Bの各磁石収容孔13に対して対応する磁石14を挿入する。
【0036】
このとき、各磁石14は、下面においてワークスペーサ40の上面41に設けられたフロートピン41aの突端によって支持される。これにより、各磁石14は、ワークスペーサ40の上面41から上方に離れた位置で保持される。続いて、カルプレート50Bの各嵌合孔51にポスト部22の各嵌合ピン23を嵌合させることにより、カルプレート50Bの下面52を第2コア11Bの上面に当接させて型閉めを行う。これにより、第2コア11Bは、支持部材20Bの基部21とカルプレート50Bとの間に配置されることになる。
【0037】
続いて、型本体50Aの樹脂供給通路(図示略)及びカルプレート50Bの通路53を介して、第2コア11Bの各磁石収容孔13内に樹脂材16を充填する。続いて、加熱装置(図示略)によって製造装置の全体を加熱する。これにより、熱硬化性の樹脂材16が熱硬化するので、第2コア11Bに対して磁石14が固定される。
【0038】
続いて、製造装置からロータ10B(詳しくは、磁石14が固定された第2コア11B)を取り出すべく、型開きを行う。すなわち、支持部材20Bから第2型部50を取り外す。その後、支持部材20Bからロータ10Bを取り外すことで、ロータ10Bが得られる。
【0039】
このように、第2コア11Bを用いてロータ10Bを製造する場合に、ワークスペーサ40と支持部材20Bの基部21との間に調整部材30を配置することで、第1コア11Aを用いてロータ10Aを製造する製造装置をそのまま使うことができる。このため、第2コア11Bを用いてロータ10Bを製造するための製造装置を別途用意したり第1コア11Aを用いる場合と第2コア11Bを用いる場合との間でロータ10の製造装置の設定を変更したりしなくても、長さの異なるコア11を用いた複数種類のロータ10を製造することができる。したがって、高い生産効率で複数種類のロータ10を製造することができる。
【0040】
以上詳述した実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
(1)ロータ10の製造方法において、対向方向Zの長さを第1コア11Aよりも短くした第2コア11Bを第1コア11Aの代わりに用いてロータ10を製造する場合には、次のようにする。すなわち、ワークスペーサ40と支持部材20Bの基部21との間に、対向方向Zにおける第1コア11Aと第2コア11Bとの長さの差を補う調整部材30を配置する。
【0041】
上記製造方法によれば、第2コア11Bを用いてロータ10を製造する場合に、ワークスペーサ40と基部21との間に調整部材30を配置することで、第1コア11Aを用いてロータ10を製造する製造装置をそのまま使うことができる。このため、第2コア11Bを用いてロータ10を製造するための製造装置を別途用意したり第1コア11Aを用いる場合と第2コア11Bを用いる場合との間でロータ10の製造装置の設定を変更したりしなくても、対向方向Zの長さの異なるコア11を用いた複数種類のロータ10を製造することができる。したがって、高い生産効率で複数種類のロータ10を製造することができる。
【0042】
(2)ロータ10の製造方法において、調整部材30は、対向方向Zにおいて第2コア11Bの全体が重なるように構成されている。
上記製造方法によれば、対向方向Zにおいて第2コア11Bの全体を調整部材30によってカバーできるので、第2コア11Bを調整部材30によりワークスペーサ40を介して安定して支持することができる。
【0043】
(3)ロータ10の製造方法において、調整部材30は、対向方向Zから見て多角形状をなしている。
上記製造方法によれば、調整部材30の輪郭から曲線部分がなくなる。このため、調整部材30を輪郭が曲線で構成される円形状や楕円形状にする場合に比べて、調整部材30を容易に製造することができる。
【0044】
(変更例)
上記実施形態は、以下のように変更して実施することができる。また、上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0045】
・
図9~
図11に示すように、調整部材30の上面31に複数の突部60を設けるとともに、支持部材20Bの基部21の上面に調整部材30をひっくり返した場合に複数の突部60を収容する複数の収容凹部61をそれぞれ設けるようにしてもよい。このようにすれば、1つの調整部材30によって、第1コア11Aよりも対向方向Zの長さが短くて長さの異なる2種類の第2コア11Bの対向方向Zの長さと第1コア11Aの対向方向Zの長さとの差を補うことができる。
【0046】
・調整部材30は、必ずしも対向方向Zから見て多角形状をなしている必要はない。すなわち、調整部材30は、例えば、対向方向Zから見て円形状や楕円形状をなしていてもよい。
【0047】
・調整部材30における係合突部30bは、省略してもよい。すなわち、調整部材30は、ポスト部22に対して周方向の位置決めをする必要はない。
・調整部材30は、必ずしも対向方向Zにおいて第2コア11Bの全体が重なるように構成される必要はない。すなわち、調整部材30は、例えば、対向方向Zにおいて第2コア11Bの一部が重なるように構成されていてもよい。
【符号の説明】
【0048】
10,10A,10B…ロータ
11…コア
11A…第1コア
11a…中心孔
11b…突条
11B…第2コア
12…鉄心片
13…磁石収容孔
13a,13b…開口
14…磁石
16…樹脂材
20…第1型部
20A…型本体
20B…支持部材
21…ベース部材を構成する基部
22…ポスト部
22b…係合溝
23…嵌合ピン
30…調整部材
30a…貫通孔
30b…係合突部
31…上面
32…下面
40…ワークスペーサ
40a…貫通孔
40b…係合突部
41…上面
41a…フロートピン
42…下面
50…第2型部
50A…型本体
50B…カルプレート
51…嵌合孔
52…下面
53…通路
53a…分岐通路
53b…ゲート部
53c…充填口
60…突部
61…収容凹部
C…軸線
Z…対向方向