(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054593
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】水回収システム、水回収システムの運転方法、および、ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法
(51)【国際特許分類】
F23J 15/00 20060101AFI20240410BHJP
F01D 25/32 20060101ALI20240410BHJP
F01K 23/10 20060101ALI20240410BHJP
F02C 6/18 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
F23J15/00 F
F01D25/32 C
F01K23/10 U
F02C6/18 Z
F23J15/00 G
【審査請求】有
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160911
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000006208
【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000785
【氏名又は名称】SSIP弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】麻尾 孝志
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】吉田 正平
(72)【発明者】
【氏名】秋山 陵
【テーマコード(参考)】
3G081
3K070
【Fターム(参考)】
3G081BC07
3K070DA04
3K070DA37
3K070DA40
3K070DA46
3K070DA52
3K070DA58
3K070DA66
3K070DA75
3K070DA81
(57)【要約】
【課題】外気に放出される排ガスから白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム、水回収システムの運転方法、および、ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法を提供する。
【解決手段】ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムは、水回収装置または回収水排出ラインから抽水される回収水を熱源として、水回収出口排気ラインを流れる排ガスを加熱するための排ガス再加熱器と、ボイラから水回収装置までの排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインから抽気される排ガスを水回収出口排気ラインに導くための排ガス抽気ラインと、排ガス抽気ラインに設けられる排ガス抽気ダンパとを備える。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムであって、
前記排ガスと冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置に導くための回収水排出ラインと、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に導くための回収水供給ラインと、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ラインを流れる前記排ガスを加熱するための排ガス再加熱器と、
前記ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインから抽気される前記排ガスを前記水回収出口排気ラインに導くための排ガス抽気ラインと、
前記排ガス抽気ラインに設けられる排ガス抽気ダンパと、
を備える水回収システム。
【請求項2】
前記水回収出口排気ラインは、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを前記排ガス再加熱器に供給するための上流側水回収排気ラインと、
前記排ガス再加熱器から排出される前記排ガスを前記外気に排出するための下流側水回収排気ラインと、
を含み、
前記排ガス抽気ラインは、前記下流側水回収排気ラインに接続される、
請求項1に記載の水回収システム。
【請求項3】
前記回収水排出ラインに配置される回収水ポンプと、
前記回収水ポンプと前記回収水冷却装置との間において前記回収水排出ラインに接続される分岐回収水供給ラインであって、前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器に供給するための分岐回収水供給ラインと、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項4】
前記水回収装置は、前記回収水を貯める貯水槽を含み、
前記水回収システムは、前記排ガス再加熱器から排出される前記回収水を前記貯水槽に導くための分岐回収水戻りラインをさらに備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項5】
前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器に供給するための分岐回収水供給ラインと、
前記分岐回収水供給ラインに設けられる分岐回収水流量調整弁と、
前記外気の温度および湿度を取得するための外気温湿度取得部と、
前記水回収装置の出口における前記排ガスの温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサと、
前記水回収出口排気ラインから前記外気に放出される前記排ガスの温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサと、
前記外気温湿度取得部の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサおよび前記排ガス放出温度センサの計測結果とに基づき、前記排ガス放出温度と前記外気の温度との温度偏差が、前記外気の湿度に応じた規定値以上になるよう、前記排ガス抽気ダンパおよび前記分岐回収水流量調整弁を制御するためのコントローラと、
をさらに備える、
請求項1または2に記載の水回収システム。
【請求項6】
前記コントローラは、
前記外気温湿度取得部の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサの計測結果とに基づき、前記温度偏差が前記規定値以上となる前記排ガス放出温度である目標排ガス放出温度を算出するための目標排ガス放出温度算出部と、
計測される前記排ガス放出温度が算出された前記目標排ガス放出温度になるよう、前記水回収出口排ガス温度センサおよび前記排ガス放出温度センサの計測結果に基づき前記排ガス抽気ダンパおよび前記分岐回収水流量調整弁を制御するための制御部と、
をさらに含み、
前記制御部は、
算出された前記目標排ガス放出温度が閾値以下である場合、前記排ガス抽気ダンパを閉止させるための制御を実行すると共に、前記分岐回収水流量調整弁を制御するための第1制御部と、
算出された前記目標排ガス放出温度が前記閾値を上回る場合、前記排ガス抽気ダンパを開放するための制御を実行すると共に、前記排ガス抽気ダンパおよび前記分岐回収水流量調整弁を制御するための第2制御部と、
を有する、
請求項5に記載の水回収システム。
【請求項7】
ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムの運転方法であって、
前記水回収システムは、
前記排ガスと冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置に導くための回収水排出ラインと、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に導くための回収水供給ラインと、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ラインを流れる前記排ガスを加熱するための排ガス再加熱器と、
前記ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインから抽気される前記排ガスを前記水回収出口排気ラインに導くための排ガス抽気ラインと、
前記排ガス抽気ラインに設けられる排ガス抽気ダンパと、
前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器に供給するための分岐回収水供給ラインと、
前記分岐回収水供給ラインに設けられる分岐回収水流量調整弁と、
前記排ガス再加熱器から排出される前記回収水を前記水回収装置に導くための分岐回収水戻りラインと、
前記外気の温度および湿度を計測するための外気温湿度取得部と、
前記水回収装置の出口における前記排ガスの温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサと、
前記水回収出口排気ラインから前記外気に放出される前記排ガスの温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサと、
を含み、
前記水回収システムの運転方法は、
前記外気温湿度取得部の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサおよび前記排ガス放出温度センサの計測結果とに基づき、前記排ガス放出温度と前記外気の温度との温度偏差が、前記外気の湿度に応じた規定値以上になるよう、前記排ガス抽気ダンパおよび前記分岐回収水流量調整弁を制御する排ガス放出温度制御ステップを備える、
水回収システムの運転方法。
【請求項8】
ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、
ガスタービンと、
前記ガスタービンの駆動によって発電するように構成される発電機と、
前記ガスタービンから排出される排ガスから回収した熱を利用してボイラ給水から蒸気を生成するための排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスから水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記排熱回収ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインと、
前記排熱回収ボイラと前記水回収装置との間で前記排ガス供給ラインに接続されており、前記排ガスを前記外気に排出するための接続排気ラインと、
を備え、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法は、
前記接続排気ラインと前記水回収出口排気ラインとを排ガス抽気ラインによって接続する排ガス抽気ライン設置ステップと、
前記排ガス抽気ラインに排ガス抽気ダンパを設置する排ガス抽気ダンパ設置ステップと、
を備える、
ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法。
【請求項9】
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、
前記水回収装置から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置に導くための回収水排出ラインと、
さらに備え、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法は、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ラインを流れる前記排ガスを加熱するための排ガス再加熱器を設置する排ガス再加熱器設置ステップと、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインと、前記排ガス再加熱器とを分岐回収水供給ラインによって接続する分岐回収水供給ライン設置ステップと、
前記排ガス再加熱器と前記水回収装置とを分岐回収水戻りラインによって接続する分岐回収水戻りライン設置ステップと、
をさらに備える、
請求項8に記載のガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法。
【請求項10】
前記水回収出口排気ラインは、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを前記排ガス再加熱器に供給するための上流側水回収排気ラインと、
前記排ガス再加熱器から排出される前記排ガスを前記外気に排気するための下流側水回収排気ラインと、
を有し、
前記排ガス抽気ライン設置ステップでは、前記排ガス抽気ラインが前記下流側水回収排気ラインに接続される、
請求項9に記載のガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法。
【請求項11】
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、前記回収水排出ラインに配置される回収水ポンプをさらに含み、
前記分岐回収水供給ライン設置ステップでは、前記分岐回収水供給ラインが、前記回収水ポンプと前記回収水冷却装置との間において、前記回収水排出ラインに接続される、
請求項9または10に記載のガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、水回収システム、水回収システムの運転方法、および、ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムが知られている。例えば、特許文献1に開示される水回収システムは、ガスタービンシステムから排出される排ガス中に含まれる水分を回収する水回収装置と、水回収装置から排出される排ガスを加熱するための排ガス再加熱器とを備える。排ガス再加熱器は、水回収装置から排出される、排ガスとの熱交換を終えた回収水を熱源として、排ガスを加熱する。排ガス再加熱器による加熱により、外気に放出された排ガスから白煙が生じるのを防ぐことが期待される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、水回収装置から排出される熱交換を終えた回収水の温度には上限値があるので、排ガス再加熱器による排ガスの加熱量には限界がある。従って、外気の温度が低い条件、または、外気の湿度が高い条件の少なくとも一方の条件が充足される場合において、排ガス再加熱器が排ガスを十分に加熱できず、外気に放出される排ガスから白煙が生じる可能性がある。
【0005】
本開示の目的は、外気に放出される排ガスから白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム、水回収システムの運転方法、および、ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システムは、
ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムであって、
前記排ガスと冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置に導くための回収水排出ラインと、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に導くための回収水供給ラインと、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ラインを流れる前記排ガスを加熱するための排ガス再加熱器と、
前記ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインから抽気される前記排ガスを前記水回収出口排気ラインに導くための排ガス抽気ラインと、
前記排ガス抽気ラインに設けられる排ガス抽気ダンパと、
を備える。
【0007】
本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システムの運転方法は、
ボイラから排出される排ガスから水分を回収するための水回収システムの運転方法であって、
前記水回収システムは、
前記排ガスと冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置と、
前記水回収装置から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置に導くための回収水排出ラインと、
前記回収水冷却装置によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置に導くための回収水供給ラインと、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記水回収装置または前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ラインを流れる前記排ガスを加熱するための排ガス再加熱器と、
前記ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインから抽気される前記排ガスを前記水回収出口排気ラインに導くための排ガス抽気ラインと、
前記排ガス抽気ラインに設けられる排ガス抽気ダンパと、
前記回収水排出ラインから抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器に供給するための分岐回収水供給ラインと、
前記分岐回収水供給ラインに設けられる分岐回収水流量調整弁と、
前記排ガス再加熱器から排出される前記回収水を前記水回収装置に導くための分岐回収水戻りラインと、
前記外気の温度および湿度を計測するための外気温湿度取得部と、
前記水回収装置の出口における前記排ガスの温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサと、
前記水回収出口排気ラインから前記外気に放出される前記排ガスの温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサと、
を含み、
前記水回収システムの運転方法は、
前記外気温湿度取得部の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサおよび前記排ガス放出温度センサの計測結果とに基づき、前記排ガス放出温度と前記外気の温度との温度偏差が、前記外気の湿度に応じた規定値以上になるよう、前記排ガス抽気ダンパおよび前記分岐回収水流量調整弁を制御する排ガス放出温度制御ステップを備える。
【0008】
本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法は、
ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムは、
ガスタービンと、
前記ガスタービンの駆動によって発電するように構成される発電機と、
前記ガスタービンから排出される排ガスから回収した熱を利用してボイラ給水から蒸気を生成するための排熱回収ボイラと、
前記排熱回収ボイラから排出される前記排ガスから水分を回収水として回収するための水回収装置と、
前記水回収装置から排出される前記排ガスを外気に排出するための水回収出口排気ラインと、
前記排熱回収ボイラから前記水回収装置までの前記排ガスの供給ラインである排ガス供給ラインと、
前記排熱回収ボイラと前記水回収装置との間で前記排ガス供給ラインに接続されており、前記排ガスを前記外気に排出するための接続排気ラインと、
を備え、
前記ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法は、
前記接続排気ラインと前記水回収出口排気ラインとを排ガス抽気ラインによって接続する排ガス抽気ライン設置ステップと、
前記排ガス抽気ラインに排ガス抽気ダンパを設置する排ガス抽気ダンパ設置ステップと、
を備える。
【発明の効果】
【0009】
本開示によれば、外気に放出される排ガスから白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム、水回収システムの運転方法、および、ガスタービンコジェネレーションシステムの改造方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】一実施形態に係る発電プラントを示す概略図である。
【
図2】一実施形態に係る水回収システムを示す概略図である。
【
図3】一実施形態に係る湿り空気線図を概念的に示すグラフである。
【
図4】一実施形態に係るコントローラの構成を示す概略図である。
【
図5】一実施形態に係る第1の再加熱が実行される場合の水回収システムを示す概略図である。
【
図6】一実施形態に係る第1の再加熱および第2の再加熱が実行される場合の水回収システムを示す概略図である。
【
図7】一実施形態に係る排ガス放出温度制御処理を示すフローチャートである。
【
図8】一実施形態に係る発電プラントの改造方法を示すフローチャートである。
【
図9】一実施形態に係る改造前発電プラントを示す概略図である。
【
図10】一実施形態に係る改造中の発電プラントを示す概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照して本開示の幾つかの実施形態について説明する。ただし、実施形態として記載されている又は図面に示されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対的配置等は、本開示の範囲をこれに限定する趣旨ではなく、単なる説明例にすぎない。
例えば、「ある方向に」、「ある方向に沿って」、「平行」、「直交」、「中心」、「同心」或いは「同軸」等の相対的或いは絶対的な配置を表す表現は、厳密にそのような配置を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の角度や距離をもって相対的に変位している状態も表すものとする。
例えば、「同一」、「等しい」及び「均質」等の物事が等しい状態であることを表す表現は、厳密に等しい状態を表すのみならず、公差、若しくは、同じ機能が得られる程度の差が存在している状態も表すものとする。
例えば、四角形状や円筒形状等の形状を表す表現は、幾何学的に厳密な意味での四角形状や円筒形状等の形状を表すのみならず、同じ効果が得られる範囲で、凹凸部や面取り部等を含む形状も表すものとする。
一方、一の構成要素を「備える」、「含む」、又は、「有する」という表現は、他の構成要素の存在を除外する排他的な表現ではない。
なお、同様の構成については同じ符号を付し説明を省略することがある。
【0012】
<1.発電プラント100の概要>
図1は、本開示の一実施形態に係る発電プラント100を示す概略図である。同図で例示されるガスタービンコジェネレーションシステムとしての発電プラント100は、大気6から圧縮空気7を生成するための圧縮機1と、圧縮空気7と燃料とが混合されるように構成される燃焼器3と、燃焼器3から排出される燃焼ガス12を駆動源として回転するためのガスタービン2と、ガスタービン2に連結される発電機5と、排熱回収ボイラ14とを備える。発電機5は、ガスタービン2の駆動によって発電するように構成される。排熱回収ボイラ14は、ガスタービン2から排出される水分を含んだ排ガス13から回収した熱を利用してボイラ給水から蒸気を生成するように構成されるボイラである。なお、ボイラ給水は排熱回収ボイラ14に供給されるための水である。
【0013】
本開示の必須の構成要素ではないが、発電プラント100は、排熱回収ボイラ14から排出される蒸気の温度を下げるための減温器22をさらに備える。減温器22は、例えば、排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の一部が冷水として流入するように構成されており(矢印B参照)、該冷水が減温器22の内部で噴射されることによって蒸気は冷まされる。冷まされた蒸気は、燃焼器3のヘッドエンド部に導かれ、圧縮空気7を酸化剤として燃焼器3内で燃料燃焼時発生するサーマルNOxを抑制する様に火炎領域に噴射される。
【0014】
本開示の一実施形態に係る燃焼器3には、燃料ガスまたは油燃料が選択的に供給可能である。具体的な一例として、発電プラント100は、燃料ガス供給ライン151、及び、油供給ライン152を備える。燃料ガス供給ライン151は、液化燃料ガスを気化させるための液化燃料気化システム50によって生成された燃料ガスを燃焼器3に供給する。液化燃料ガスは、一例として液化天然ガス(LNG;Liquefied Natural Gas)であるが、本開示はこれに限定されない。液化燃料ガスは、液体アンモニアまたは液体水素などであってもよい。油供給ライン152は、例えば重油または灯油などであってもよい油燃料を供給源8から燃焼器3に供給する。また、燃料ガス供給ライン151と油供給ライン152にはそれぞれ燃料供給弁151A,152Aが設けられる。燃料供給弁151A,152Aが選択的に開閉制御されることで、燃料ガスまたは油燃料のいずれかが燃焼器3に供給される。
【0015】
燃焼器3では、燃料ガスまたは油燃料のいずれかと圧縮空気7とが混ざり、燃焼が起こる。燃焼による火炎中に上述の蒸気が噴射される。ガスタービン2からの排ガス13には、大気中水分、燃焼生成水分、および、蒸気噴射水分が含まれる。そして、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13に含まれる水分は、後述の水回収システム40によって回収される。水回収システム40にて水分を回収された排ガス13は系外に排出される(矢印A)。矢印Aによって示される排ガス13の排出ラインの詳細は後述する。
【0016】
本例の発電プラント100は、補給水ライン15と、補給水ライン15から供給される補給水をボイラ給水として貯める補給水タンク17と、補給水タンク17と排熱回収ボイラ14とに接続される給水ライン19と、給水ライン19に設けられる給水ポンプ18とを備える。給水ポンプ18が駆動すると、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水は給水ライン19を流れて排熱回収ボイラ14に供給される。排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の温度は高い方が好ましい。排熱回収ボイラ14が蒸気を生成するために必要とする熱量が低減し、発電プラント100の効率は向上するからである。
【0017】
発電プラント100は、排熱回収ボイラ14から水回収システム40(より具体的には排熱回収ボイラ14から後述の水回収装置33)までの排ガス13の供給ラインである排ガス供給ライン57と、排熱回収ボイラ14と水回収システム40との間で排ガス供給ライン57に接続される接続排気ライン29と、接続排気ライン29に設けられる接続排気ダンパ31とを備える。本例では、排ガス供給ライン57に排ガス供給ダンパ36が設けられており、排ガス供給ダンパ36と排熱回収ボイラ14との間において、接続排気ライン29は排ガス供給ライン57に接続されている。排ガス供給ダンパ36が閉止され且つ接続排気ダンパ31が開放されたとき、接続排気ライン29は、排ガス供給ライン57を流れる全ての排ガス13を排気塔30に導くことができる。排気塔30は排ガス13を外部に放出する。
【0018】
例えば、重油などの油燃料が燃焼器3に供給されて排ガス13に含まれる硫黄などの不純物の量が許容値を上回る場合には、排ガス13を水回収システム40に供給することは好ましくない。こういった場合には、排ガス供給ダンパ36が閉止され且つ接続排気ダンパ31が開放されて、排ガス13は排気塔30に導かれる。他方で、排ガス13に含まれる不純物の量が許容値以下である場合には、接続排気ダンパ31が閉止され且つ排ガス供給ダンパ36が開放される。これにより、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13の少なくとも一部は、排ガス供給ライン57を経由して水回収システム40に供給される。
【0019】
なお、上記の実施形態に係る発電プラント100は、ガスタービン2を備えるガスタービン発電プラントであるが、本開示はこれに限定されない。例えば、他の実施形態に係る発電プラント100は、蒸気タービンを備える汽力発電プラントであってもよい。
【0020】
<2.水回収システム40の概要>
図2は、本開示の一実施形態に係る水回収システム40を示す概略図である。水回収システム40の概要は以下の通りである。
【0021】
水回収システム40の構成要素である水回収装置33は、排ガス13と冷媒水とを気液接触させることで排ガス13中の水分を回収水として回収するように構成される。より詳細な一例として、水回収装置33は、排ガス13と冷媒水とが流入する熱交換容器130と、熱交換容器130の内部で冷媒水を散水するための散水装置34と、熱交換容器130の内部で散水装置34の下方に位置する充填物35とを含む。熱交換容器130には、排ガス供給ライン57を流れる排ガス13が流入する。散水装置34によって散水される冷媒水は充填物35に付着し、熱交換容器130に流入する排ガス13と熱交換を行う。これにより、排ガス13の水分が凝縮する。凝縮した水分と熱交換を終えた冷媒水とを含む回収水は落下し、熱交換容器130の下部を構成する貯水槽136に貯まる。
【0022】
水回収システム40は、水回収装置33の貯水槽136から排出される回収水を冷却するための回収水冷却装置110と、水回収装置33の貯水槽136から排出される回収水を回収水冷却装置110に導くための回収水排出ライン39と、回収水冷却装置110から排出される冷却された回収水を冷媒水として水回収装置33の熱交換容器130に導くための回収水供給ライン42とをさらに備える。回収水供給ライン42と回収水排出ライン39は、水回収装置33と回収水冷却装置110の間で回収水を循環させる回収水循環ラインとして機能する。以下では説明の便宜上、回収水供給ライン42から水回収装置33の入口(熱交換容器130の入口)に流入した回収水を冷媒水という。
【0023】
本例の回収水冷却装置110は、例えば海水などであってもよい冷却水によって、回収水を冷却するように構成される。回収水冷却装置110に冷却水を供給するための冷却水供給ライン41には、インバータを含む冷却水供給ポンプ52が設けられる。冷却水供給ポンプ52の回転数は、水回収システム40の構成要素であるコントローラ90によって制御される。
【0024】
本例では、インバータ(図示外)を含む回収水ポンプ38が回収水排出ライン39に設けられており、回収水ポンプ38の回転数がコントローラ90によって制御される。これにより、回収水循環ラインにおける回収水の循環流量が制御される。本例では、水回収装置33から排出される排ガス13の温度が規定温度になるよう、回収水ポンプ38の回転数の制御を通じて回収水の循環流量が制御される。また本例では、排ガス13の温度が規定温度になるよう、回収水冷却装置110の出口における回収水の温度は制御される。回収水冷却装置110の出口における回収水の温度の制御には、冷却水供給ポンプ52の回転数の制御が含まれる。
【0025】
なお、本開示の必須の構成要素ではないが、
図2で例示される水回収システム40は、回収水を補給水タンク17に導くための給水ライン4をさらに備え、給水ライン4は、高温給水ライン44と低温給水ライン47とを含む。高温給水ライン44は、回収水排出ライン39に接続されており、回収水排出ライン39から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。回収水排出ライン39から取り出される回収水は、排ガス13から回収された熱を有するため、比較的高い温度を有する(本例では、回収水排出ライン39を流れる回収水の温度は60~70℃程度である。)。低温給水ライン47は、回収水供給ライン42に接続されており、回収水供給ライン42から取り出された回収水を補給水タンク17に導くように構成される。回収水供給ライン42から取り出される回収水は、回収水冷却装置110による冷却処理が施されているため、比較的低い温度を有する(本例では、回収水供給ライン42を流れる回収水の温度は30~40℃程度である。)。
【0026】
低温給水ライン47には、水回収システム40の構成要素である水処理装置46が設けられている。水処理装置46は、低温給水ライン47を流れる回収水に対して例えば硫黄などの不純物を除去する処理を施すように構成される。不純物は燃焼器3(
図1参照)での燃焼に伴って生じ、排ガス13に混入することがある。この不純物の少なくとも一部は、水回収装置33での排ガス13と冷媒水との熱交換により、回収水に溶解する。水処理装置46が、回収水に含まれる不純物を除去することで、補給水タンク17に貯留されるボイラ給水に不純物が含まれることが抑制される。一般に、処理される水の温度が低い方が、水処理装置46における不純物除去の処理能力は向上する。回収水の温度が高い場合、水処理装置46を構成するイオン交換樹脂146が損傷する可能性があり、不純物除去の処理能力が低下する虞がある。
【0027】
高温給水ライン44には高温給水開閉弁48が設けられ、低温給水ライン47には低温給水開閉弁45が設けられる。例えば液化燃料気化システム50から燃焼器3に燃料ガスが供給される場合、排ガス13に含まれる不純物の量が規定量以下となる(規定量は上述の許容値よりも低い。)。この場合、高温給水開閉弁48を開放し且つ低温給水開閉弁45を閉止する。これにより、不純物の除去処理を要さない高温の回収水が、高温給水ライン44を経由して補給水タンク17に流入する。補給水タンク17から排熱回収ボイラ14に供給されるボイラ給水の温度を高くできるので、発電プラント100の効率は向上する。
【0028】
他方で、例えば灯油などの油燃料が燃焼器3に供給される場合、排ガス13に含まれる不純物の量が規定量を上回る。この場合、高温給水開閉弁48を閉止し且つ低温給水開閉弁45を開放する。これにより、不純物の除去処理を要する低温の回収水が、低温給水ライン47に設けられる水処理装置46を経由して、補給水タンク17に流入する。これにより、補給水ライン15および排熱回収ボイラ14などの発電プラント100を構成する機器に不純物が付着するのが回避され、発電プラント100の劣化を抑制できる。このように、本例の水回収システム40では、燃焼器3に供給される燃料の種類に応じて、補給水タンク17に送る回収水の供給ラインを切り替えることが可能になる。
【0029】
コントローラ90はコンピュータによって構成されており、プロセッサ、メモリ、及び外部通信インタフェースを備える。プロセッサは、CPU、GPU、MPU、DSP、又はこれらの組み合わせなどである。他の実施形態に係るプロセッサは、PLD、ASIC、FPGA、またはMCU等の集積回路により実現されてもよい。メモリは、各種データを一時的または非一時的に記憶するように構成され、例えば、RAM、ROM、またはフラッシュメモリの少なくとも1つによって実現される。メモリにロードされたプログラムの命令にしたがって、プロセッサは各種制御処理を実行する。また、コントローラ90は、発電プラント100を構成する複数の制御盤の一つを構成するDCS盤であってもよい。
【0030】
<3.水回収装置33から排出される排ガス13の再加熱系統の概要>
本開示では、水回収装置33において冷媒水との熱交換により冷まされた排ガス13は、水回収装置33から排出された後に再加熱される。排ガス13の再加熱系統の概要は以下の通りである。
【0031】
図2で例示されるように、水回収システム40は、水回収装置33の熱交換容器130から排出される排ガス13を外気に排出するための水回収出口排気ライン59と、水回収出口排気ライン59を流れる排ガス13を加熱するための排ガス再加熱器51とを備える。排ガス再加熱器51の熱源は、貯水槽136または回収水排出ライン39から抽水される回収水である(抽水系統については後述する)。抽水された回収水がより温度の低い排ガス13と熱交換を行うことによって、排ガス13を加熱する。
【0032】
水回収出口排気ライン59は、水回収装置33と排ガス再加熱器51とに接続される上流側水回収排気ライン59A、および、排ガス再加熱器51と排気塔32とに接続される下流側水回収排気ライン59Bを備える。上流側水回収排気ライン59Aは、水回収装置33から排ガス再加熱器51に排ガス13を導くように構成され、下流側水回収排気ライン59Bは排ガス再加熱器51から排気塔32に排ガス13を導くように構成される。
図2の例に係る排気塔32は排気塔30とは別体であるが、他の例に係る排気塔32は排気塔30と一体に形成された単一のものであってもよい。
【0033】
水回収システム40は排ガス抽気ライン55を備える。排ガス抽気ライン55は、排ガス供給ライン57から抽気される排ガス13を水回収出口排気ライン59に導くように構成される。同図で例示される排ガス抽気ライン55は、接続排気ダンパ31よりも上流側において接続排気ライン29に接続されており、且つ、水回収出口排気ライン59の下流側水回収排気ライン59Bに接続されている。また、排ガス抽気ライン55には排ガス抽気ダンパ56が設けられている。接続排気ダンパ31が閉止され、且つ、排ガス抽気ダンパ56が開放されると、排ガス供給ライン57から抽気された排ガス13が、接続排気ライン29と排ガス抽気ライン55を順に経由して、下流側水回収排気ライン59Bに流入する。排ガス供給ライン57から抽気される排ガス13は、水回収装置33に流入しないため、当該排ガス13の温度は比較的高い。
【0034】
上記構成によれば、排ガス抽気ダンパ56が開放されると、排ガス供給ライン57から抽気される温度の比較的高い排ガス13が水回収出口排気ライン59に導かれ、水回収装置33から排出される排ガス13と混ざる。これにより、水回収装置33から排出される排ガス13は加熱される。水回収装置33から排出される排ガス13には、排ガス再加熱器51による加熱のほか、排ガス抽気ライン55を流れる排ガス13が混ざることによる加熱が施されるので、外気に放出される排ガス13の温度を、外気における水の露点温度よりも十分に高くすることができる。よって、外気に放出される排ガス13から白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム40が実現される。
【0035】
なお、本開示の他の実施形態では、排ガス抽気ライン55は、排ガス温度が低いかまたは排ガス流量が少ないなど特定の条件が充足される場合において、下流側水回収排気ライン59Bに接続される代わりに、上流側水回収排気ライン59Aに接続されてもよい。この場合、水回収装置33から排出される排ガス13は、排ガス抽気ライン55を流れる排ガス13と混ざってから、排ガス再加熱器51に流入する。また、排ガス抽気ライン55は、接続排気ライン29を介さずに、排ガス供給ライン57に直接的に接続されてもよい。いずれの実施形態においても、既述の理由により、外気に放出される排ガス13から白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム40が実現される。
【0036】
<4.排ガス再加熱器51への回収水の抽水系統>
図2に例示される水回収システム40は、回収水排出ライン39と排ガス再加熱器51とに接続される分岐回収水供給ライン54、および、排ガス再加熱器51と貯水槽136とに接続される分岐回収水戻りライン37を備える。同図の例では、分岐回収水供給ライン54は、回収水ポンプ38と回収水冷却装置110との間において回収水排出ライン39に接続されている。また、分岐回収水供給ライン54には、コントローラ90によって制御される分岐回収水流量調整弁53が設けられている。排ガス再加熱器51に供給される回収水の流量は、コントローラ90による分岐回収水流量調整弁53の開度制御を通じて制御される。つまり、コントローラ90は、排ガス再加熱器51における排ガス13と回収水との熱交換量を制御できる。なお、他の例に係る分岐回収水供給ライン54は、回収水ポンプ38と水回収装置33との間において回収水排出ライン39に接続されてもよいし、あるいは、水回収装置33の貯水槽136に接続されてもよい。この場合でも、回収水を排ガス再加熱器51に供給することは可能であるが、回収水を排ガス再加熱器51に送るためのポンプが回収水ポンプ38とは別に必要である。
本例の分岐回収水戻りライン37は、排ガス再加熱器51から排出される熱交換を終えた回収水を貯水槽136に導くように構成される。なお、他の例に係る分岐回収水戻りライン37は、熱交換を終えた回収水を回収水排出ライン39に導くように構成されてもよい。
【0037】
既述の通り、分岐回収水供給ライン54の上流端(入口)は、水回収装置33の貯水槽136に接続されてもよいし、回収水排出ライン39に接続されてもよい。
図2の例では、分岐回収水供給ライン54の上流端が、回収水ポンプ38と回収水冷却装置110との間において回収水排出ライン39に接続される構成が採用される。本構成によれば、回収水ポンプ38の駆動により、回収水排出ライン39から抽水される回収水は分岐回収水供給ライン54を流れることができる。排ガス再加熱器51に回収水を供給するための専用のポンプが不要となるので、水回収システム40は構成を簡易化できる。
【0038】
既述の通り、分岐回収水戻りライン37の下流端(出口)は、回収水排出ライン39に接続されてもよいし、貯水槽136に接続されてもよい。換言すると、分岐回収水戻りライン37は、排ガス再加熱器51から排出される回収水を、回収水排出ライン39に導くように構成されてもよいし、貯水槽136に導くように構成されてもよい。
図2の例では、分岐回収水戻りライン37は、回収水を貯水槽136に導く構成が採用される。本構成によれば、分岐回収水戻りライン37が回収水を水回収装置33の貯水槽136に導くため、該回収水に空気などのガスが混入している場合であっても、水回収装置33がガスを回収できる。そのため、回収水排出ライン39を流れる回収水にガスが混入するのを抑制でき、回収水ポンプ38の故障を回避できる。
【0039】
既述の通り、排ガス抽気ライン55は、上流側水回収排気ライン59Aまたは下流側水回収排気ライン59Bのいずれに接続されてもよい。
図2の例では、排ガス抽気ライン55が下流側水回収排気ライン59Bに接続される構成が採用される。本構成によれば、水回収装置33から排出される排ガス13は、排ガス抽気ライン55によって導かれる排ガス13と混ざる前に、排ガス再加熱器51によって加熱される。排ガス再加熱器51において加熱源となる回収水は、温度が十分に上がっていない排ガス13を加熱するため、分岐回収水戻りライン37から貯水槽136に流入する回収水の温度は下がる。これにより、回収水排出ライン39から回収水冷却装置110に流入する回収水の温度が下がり、回収水冷却装置110の熱負荷が低減する。従って、回収水冷却装置110の冷却系統の動力(本例では冷却水供給ポンプ52の動力)を低減でき、水回収システム40は運転効率を向上させることができる。
【0040】
<5.排ガス抽気ダンパ56と分岐回収水流量調整弁53の制御>
本開示の一実施形態に係る水回収システム40は、外気の温度および湿度を取得するための外気温湿度取得部81と、水回収装置33の出口27における排ガス13の温度である水回収出口排ガス温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサ82と、下流側水回収排気ライン59Bから外気に放出される排ガス13の温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサ83とを備える。
【0041】
本例の外気温湿度取得部81は温湿度計である。温湿度計の計測結果はコントローラ90に出力される。他の例に係る外気温湿度取得部81は、温度および湿度を含む気象データを例えばインターネットを介して取得するように構成されたコンピュータデバイスであってもよい。この場合も、気象データに含まれる温度および湿度はコントローラ90に出力される。水回収出口排ガス温度センサ82は、水回収装置33の出口27に設けられる。排ガス放出温度センサ83は、下流側水回収排気ライン59Bに設けられる。
図2で例示される排ガス放出温度センサ83は、排ガス抽気ライン55および下流側水回収排気ライン59Bが接続される場所と、排気塔32との間に位置する。水回収出口排ガス温度センサ82と排ガス放出温度センサ83の計測結果は、コントローラ90に出力される。
【0042】
コントローラ90は、外気温湿度取得部81の取得結果と、水回収出口排ガス温度センサ82および排ガス放出温度センサ83の計測結果とに基づき、排ガス放出温度と外気の温度との偏差である温度偏差が規定値以上になるよう、排ガス抽気ダンパ56および分岐回収水流量調整弁53を制御するように構成される。規定値は、外気の温度および湿度に応じて変わる値である。当該制御によれば、コントローラ90による排ガス抽気ダンパ56および分岐回収水流量調整弁53の制御によって、排ガス放出温度を十分に高くすることができ、外気に放出される排ガス13から白煙が生じるのを抑制できる。以下では、白煙を抑制できる原理の詳細を説明する。
【0043】
<6.排ガス13からの白煙の生成を抑制できる原理>
図3は、本開示の一実施形態に係る湿り空気線図を概念的に示すグラフである。グラフには相対湿度100%の飽和水蒸気線Hが描かれている。グラフの横軸は排ガス13の温度(乾球温度)であり、縦軸は絶対湿度である。湿り空気は排ガス13を含む概念であり、グラフで示される点A,B1,B2,C0,C1,C2は各々、水回収装置33から外気に排出される過程における排ガス13の状態、すなわち排ガス13の温度および絶対湿度を示している。より詳細には、点Aは、水回収装置33の出口27における排ガス13の温度および絶対湿度を示す。点B1,B2は、再加熱される過程における排ガス13の温度および絶対湿度を示す。点C0,C1,C2は、排気塔32から排出されて外気と混ざった後の排ガス13の温度および絶対湿度を示す。点C0,C1,C2における排ガス13の温度は、排ガス13が外気と混ざった後の温度であるので、外気の温度とほぼ等しい。点C0,C1,C2の間で排ガス13の温度または絶対湿度の少なくとも一方が異なるのは、点C0,C1,C2の各々において仮定する外気の温度または絶対湿度の少なくとも一方が異なるからである。
【0044】
水回収装置33の出口27における排ガス13の相対湿度は100%であるため、点Aは飽和水蒸気線Hの上に位置する。点Aを起点として点C0,C1,C2に至るまでの複数の矢印は、出口27における排ガス13が外気と混ざるまでの排ガス13の状態推移を示す。この状態推移の過程で変化する排ガス13の状態、すなわち排ガス13の温度および絶対湿度で規定される排ガス状態点が、飽和水蒸気線Hよりも右側にあると、排ガス13から白煙は生成されない。他方で、排ガス13の排ガス状態点が飽和水蒸気線Hよりも左側にあると、排ガス13から白煙が生成される。なお外気の相対湿度は、季節、日、時間帯、または、気象条件により変わり、雨天時は相対湿度100%であり、それ以外は100%未満である。言い換えれば外気の状態は雨天時でなければ飽和水蒸気線Hよりも右側にある点で示される。
【0045】
点Aから点C0までの推移(矢印R0)は、水回収装置33から排出される排ガス13が全く再加熱されることなく外気に排出される過程を示す比較例である。この場合、水回収装置33の出口27から排出される排ガス13がそのまま排気塔32に到達するので、排気塔32における排ガス13の相対湿度は100%である。外気に放出された排ガス13の温度が外気の温度(点C0が示す温度)まで下がる過程において、排ガス13に含まれる水分は常に過飽和の状態にある。そのため、排ガス13の温度が外気の温度と等しくなるまで下がる間、排ガス13が外気と混じって排ガス13の絶対湿度は若干低下するものの排ガス状態点C0が飽和水蒸気線Hよりも左側にあるため、排ガス13から白煙が生成される。また、排ガス13の温度が外気の温度と等しくなった時点を示す点C0において、排ガス13に含まれる水分は依然として過飽和の状態にある。そのため、排ガス13に含まれる水分が飽和状態になるまで、排ガス13から白煙がさらに生成される。このように、水回収装置33から排出される排ガス13に対して再加熱が全く実行されない場合、白煙が生成される条件が成立し易い傾向があり、好ましくない。見方を変えると、水回収装置33から排出される排ガス13に対して、排ガス再加熱器51による再加熱(以下、第1の再加熱という)、または、排ガス抽気ライン55を流れる排ガス13による加熱(以下、第2の再加熱という)の少なくとも一方が実行されるようコントローラ90が制御処理を実行すれば、白煙の生成を抑制することが期待される。以下では、第1の再加熱および第2の再加熱によって白煙の生成が抑制される過程を詳説する。
【0046】
点Aから点B1を経由した点C1までの推移(矢印R1,S1)は、水回収装置33から排出される排ガス13に対して、第1の再加熱のみが実行される第1の実施例を示す。第1の実施例では、排ガス抽気ダンパ56が閉止されており、第2の再加熱は実行されない。水回収装置33から排出された排ガス13が排ガス再加熱器51によって再加熱される過程では(矢印R1)、排ガス13の温度は上昇し且つ排ガス13の絶対湿度は維持される。なおグラフでは視認できないが、矢印R1の過程で排ガス13の相対湿度は低下する。
【0047】
外気に放出された排ガス13が外気の温度(点C1が示す温度)まで下がる過程において(矢印S1)、排ガス13と比べて絶対湿度が低い外気と混ざることにより、排ガス13の単位体積中の水分量は減少する。このとき、排ガス13に含まれる水分量はその温度における飽和水蒸気量よりも少ない。従って、外気に放出された排ガス13から白煙が生成されることが抑制される。排ガス13の温度が外気の温度と等しくなった時点を示す点C1においても、排ガス13に含まれる水分量は飽和水蒸気量よりも少ない。従って、排ガス13から白煙が生成されるのを抑制できる。
但し、外気の温度は時期または周辺環境などに応じて変化する。仮に、外気の温度が点C1で示す温度ではなく、点Dで示す温度である場合、排ガス13は、点B1の状態から、矢印S1を延長して飽和水蒸気線Hよりも左側の領域内の状態(図示せず)まで変化するおそれがある。この場合、排ガス13に含まれる水分が過飽和状態になるため、排ガス13から白煙が生成される。このように、外気の温度が低い場合、排ガス13に第1の再加熱が実行されるだけでは、白煙生成の抑制効果が十分に発揮されないおそれがある。そこで、本開示では、外気の温度が低く、かつ湿度が高い場合には、以下に示すように、第1の再加熱に加えて第2の再加熱が実行される。
【0048】
点Aから点B1,B2を順に経由した点C2までの推移(矢印R1,R2,S2)は、水回収装置33から排出される排ガス13に対して、第1の再加熱および第2の再加熱が順に実行される第2の実施例を示す。第2の実施例では、排ガス抽気ダンパ56が開放されている。水回収装置33から排出される排ガス13に第1の再加熱が実行される過程(矢印R1)は、第1の実施例と同様である。排ガス再加熱器51から排出される排ガス13は、下流側水回収排気ライン59Bにおいて高温の排ガス13と混ざる。これにより、水回収装置33から排出される排ガス13の温度はさらに上昇する(矢印R2)。第2の再加熱がなされた排ガス13の温度および絶対湿度は、点B2によって示される。絶対湿度が若干増加しているのは、第2の再加熱時に混合された、水回収装置33による水回収がなされていない高温の排ガス13が、多量の水分を含むためである。
【0049】
外気に放出された排ガス13が外気の温度(点C2が示す温度)まで下がる過程において(矢印S2)、排ガス13と排ガス13と比べて絶対湿度が低い外気とが混ざり、単位体積中の水分は減少する。このとき、排ガス13に含まれる水分量は飽和水蒸気量よりも少ない。従って、外気に放出された排ガス13から白煙が生成されることが抑制される。排ガス13の温度が外気の温度と等しくなった時点を示す点C2においても、排ガス13に含まれる水分が過飽和状態になることはない。すなわち第2の再加熱によって排ガス13の温度を高めることにより、排ガス13の状態(温度及び絶対湿度)を規定する
図3のグラフ上の点である排ガス状態点は、その変化する過程(矢印S2)で、飽和水蒸気線Hよりも左側の領域を通過するのを回避できる。従って、排ガス13から白煙が生成されるのを抑制できる。
【0050】
外気に放出される時点での排ガス13の温度が高いほど、その時点における排ガス状態点(例えば点B2)は、飽和水蒸気線Hから右に離れることができる。排気塔32から放出された排ガス13の温度が外気の温度と等しくなるまでの間に排ガス13の絶対湿度は外気と混ざることにより低下する。このとき、排ガス状態点は左下へ移動するが飽和水蒸気線Hの左側まで移動することはない。つまり、第1の再加熱と第2の再加熱の双方が実行されることで、外気への放出時における排ガス状態点を飽和水蒸気線Hから右に離すことができるので、排ガス状態点が飽和水蒸気線Hよりも左側の領域を通過するのを回避でき、白煙の生成が回避される。なお外気の相対湿度は100%未満であるが、温度一定の場合、絶対湿度が低いほど同一の排ガス13による白煙が生成されにくい。このように、外気に放出される排ガス13の温度が外気の温度と絶対湿度に応じた値になるよう、コントローラ90は制御処理を実行すれば、外気の温湿度によらず、白煙の生成を抑制することが期待される。以下では、コントローラ90の具体的構成を説明する。
【0051】
<7.コントローラ90の具体的構成例>
図4は、本開示の一実施形態に係るコントローラ90の構成を示す概略図である。コントローラ90は、目標排ガス放出温度算出部95を含む。目標排ガス放出温度算出部95は、外気温湿度取得部81の取得結果と、水回収出口排ガス温度センサ82の計測結果とに基づき、目標排ガス放出温度を算出するように構成される。目標排ガス放出温度は、上述した温度偏差が規定値以上となる排ガス放出温度である。規定値は、外気の温度および湿度に応じて変化する値であってもよい。例えば、外気の温度が低いほど、または外気の湿度が高いほど、目標排ガス放出温度算出部95で使用される規定値は高くなってもよい。
図3を参照して既述した第1の実施例において、規定値は寸法L1に該当し、目標排ガス放出温度は点B1によって示される温度に該当する。第2の実施例において、規定値は寸法L2に該当し、目標排ガス放出温度は点B2によって示される温度に該当する。
【0052】
目標排ガス放出温度は、例えば以下の考え方に基づき算出される。水回収装置33の出口27における排ガス13の相対湿度は100%であるので、水回収出口排ガス温度の計測値に基づいて、当該排ガス13における絶対湿度を特定できる。つまり、排ガス13が保有する水分量を特定できる。そして、外気の温度と湿度が判れば、排気塔32から排出される当該排ガス13が外気と混ざることによって最終的に到達する温度及び湿度(外気の温度と湿度に近い)及びその状態に到達するまでの状態変化の過程(S1及びS2の矢印に相当)もほぼ予想できる。排ガス13が、最終的な温度及び湿度の状態に到達するまでの状態変化の過程において、排ガス状態点が常に飽和水蒸気線Hよりも右側に位置するよう、目標排ガス放出温度算出部95は規定値を定めればよい。これにより、目標排ガス放出温度は算出される。規定値は一例として、コントローラ90のメモリに記憶される関数式に、外気の温湿度と水回収出口排ガス温度とが入力されることで得られる。なお、規定値の算出にあたって、関数式の代わりにデータテーブルが用いられてもよいし、機械学習がなされた学習モデルが用いられてもよい。また排ガス供給ライン57から抽気され排ガス抽気ライン55を経由した排ガス13は、水回収装置33で水分を回収された排ガス13と比べて多くの水分を含む。したがって第2の再加熱を行う場合の規定値の算出にあたっては、排ガス抽気ライン55を経由した排ガス13の湿度を考慮して補正してもよい。
【0053】
コントローラ90は制御部93をさらに含む。制御部93は、排ガス放出温度センサ83によって計測される排ガス放出温度が目標排ガス放出温度になるよう、水回収出口排ガス温度センサ82および排ガス放出温度センサ83の計測結果に基づき排ガス抽気ダンパ56および分岐回収水流量調整弁53を制御するように構成される。
例えば、目標排ガス放出温度が、外気の温湿度に応じて変化してもよい閾値(
図3の温度Ts)以下である場合には、第1の再加熱だけで排ガス放出温度を目標排ガス放出温度にすることが可能である。他方で、目標排ガス放出温度が閾値を上回る場合、第1の再加熱だけでなく第2の再加熱が実行されないと、排ガス放出温度を目標排ガス放出温度にすることは困難である。従って、制御部93は、目標排ガス放出温度と閾値との大小関係に応じて、排ガス抽気ダンパ56と分岐回収水流量調整弁53に対する制御を変更するように構成される。その具体的構成は以下の通りである。
【0054】
制御部93は、第1制御部91と第2制御部92を有する。第1制御部91は、目標排ガス放出温度が閾値以下である場合、排ガス抽気ダンパ56を閉止させるための制御を実行すると共に、分岐回収水流量調整弁53の開度を制御するように構成される。分岐回収水流量調整弁53の開度制御は、排ガス放出温度センサ83によって計測される排ガス放出温度と目標排ガス放出温度との偏差である温度偏差に応じた信号を第1制御部91が分岐回収水流量調整弁53に送信することで実行される。
【0055】
図5は、第1の再加熱が実行される場合の水回収システム40を示す概略図である。同図で示される太線は排ガス13が流れているラインを示す(
図6も同様である)。同図で示される通り、第1の再加熱が実行される場合、排ガス抽気ライン55には排ガス13が流れないので、水回収装置33から排出される排ガス13は、排ガス再加熱器51によってのみ再加熱される。
【0056】
図4に戻り、第2制御部92は、目標排ガス放出温度が閾値を上回る場合、排ガス抽気ダンパ56を開放するための制御を実行すると共に、排ガス抽気ダンパ56および分岐回収水流量調整弁53の開度を制御するように構成される。具体的には、第2制御部92は、分岐回収水流量調整弁53の開度を上限開度にするための信号を生成し、当該信号を分岐回収水流量調整弁53に送信する。さらに、第2制御部92は、排ガス放出温度センサ83によって計測される排ガス放出温度と目標排ガス放出温度との偏差である温度偏差に応じた信号を排ガス抽気ダンパ56に送信する。
なお、第2制御部92が分岐回収水流量調整弁53の開度を上限開度に維持する制御を実行することに本開示は限定されない。他の例に係る第2制御部92は、温度偏差に基づき、排ガス抽気ダンパ56と分岐回収水流量調整弁53のそれぞれの開度を制御するための信号を生成し、当該信号を排ガス抽気ダンパ56と分岐回収水流量調整弁53にそれぞれ送信してもよい。
【0057】
図6は、第1の再加熱および第2の再加熱が実行される場合の水回収システム40を示す概略図である。同図で示される通り、この場合、排ガス供給ライン57から抽気された排ガス13が排ガス抽気ライン55を経由して下流側水回収排気ライン59Bに流入する。つまり、排ガス13は、排ガス再加熱器51によって再加熱されると共に、排ガス抽気ライン55を流れる排ガス13と混ざることによって再加熱される。
【0058】
上記構成によれば、目標排ガス放出温度が閾値以下である場合、排ガス抽気ライン55に排ガス13を流さなくとも排ガス再加熱器51によって排ガス13を十分に加熱することが見込まれる。この場合、第1制御部91は、排ガス抽気ダンパ56を閉止させる制御を実行する。これにより、水回収装置33を経由せずに外気に排出される排ガス13の量を低減できるので、水回収システム40は、排熱回収ボイラ14から排出される排ガス13に含まれる水分を無駄なく回収できる。他方で、外気の温度が低いまたは湿度が高いことに起因して目標排ガス放出温度が閾値を上回る場合、排ガス再加熱器51だけでは排ガス13を十分に加熱することは困難である。この場合、第2制御部92が排ガス抽気ダンパ56を開放して、排ガス供給ライン57から抽気される温度の比較的高い排ガス13が水回収出口排気ライン59に導かれる。これにより、外気に放出される排ガス13の温度は確実に目標排ガス放出温度に到達することができる。
【0059】
<8.水回収システム40の運転方法>
図7は、本開示の一実施形態に係る排ガス放出温度制御処理を示すフローチャートである。排ガス放出温度制御処理は、排ガス放出温度を目標排ガス放出温度にするための制御処理である。排ガス放出温度制御処理は、水回収システム40の運転方法の一例であり、コントローラ90のプロセッサによって実行される。以下の説明では、「コントローラ90のプロセッサ」を「プロセッサ」と略記し、「ステップ」を「S」と略記する場合がある。
【0060】
はじめに、プロセッサは、目標排ガス放出温度の取得処理を実行する(S11)。例えば、プロセッサは、外気の温度と湿度を外気温湿度取得部81から取得し、且つ、水回収出口排ガス温度を水回収出口排ガス温度センサ82から取得する。取得結果に基づきプロセッサは規定値を特定する。設定された規定値が、外気温湿度取得部81によって取得された外気の温度に加算されることで、プロセッサは目標排ガス放出温度を取得する。S11を実行するプロセッサは、目標排ガス放出温度算出部95に該当する。
【0061】
次いで、プロセッサは、S11で取得された目標排ガス放出温度が閾値以下であるかを判定する(S13)。閾値は、S11で取得された外気の温度および湿度に基づいて設定される。目標排ガス放出温度が閾値以下である場合(S13:YES)、プロセッサは、第1制御処理を実行する(S15)。S15において、プロセッサは、排ガス抽気ダンパ56を閉止させるための信号を排ガス抽気ダンパ56に送信する。さらに、プロセッサは、排ガス放出温度センサ83によって計測される排ガス放出温度と、S11で取得された目標排ガス放出温度とに基づいて温度偏差を取得する。取得された温度偏差に応じた開度になるよう、プロセッサは分岐回収水流量調整弁53に信号を送信する(当該開度は、既述の上限開度以下である。)。これにより、排ガス再加熱器51による排ガス13の加熱量が制御され、温度偏差を小さくできる。その後、プロセッサは、排ガス放出温度制御処理を終了する。
【0062】
他方で、S11で取得された目標排ガス放出温度が閾値を上回る場合(S13:NO)、プロセッサは、第2制御処理を実行する(S17)。S17において、プロセッサは、排ガス抽気ダンパ56を開放させるための信号を排ガス抽気ダンパ56に送信する。さらに、プロセッサは、分岐回収水流量調整弁53の開度が上限開度になるよう、分岐回収水流量調整弁53に信号を送信する。また、プロセッサは、排ガス放出温度センサ83によって計測される排ガス放出温度と、S11で取得された目標排ガス放出温度とに基づいて温度偏差を取得する。取得された温度偏差に応じた開度になるよう、プロセッサは排ガス抽気ダンパ56に信号を送信する。これにより、排ガス再加熱器51による排ガス13の加熱量は上限加熱量に達すると共に、排ガス抽気ライン55から下流側水回収排気ライン59Bに流入する排ガス13の流量が制御され、温度偏差は小さくなる。その後、プロセッサは、排ガス放出温度制御処理を終了する。
【0063】
上記した水回収システム40の運転方法によれば、既述の理由によって、外気に放出される排ガス13から白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム40の運転方法が実現される。
【0064】
<9.発電プラント100の改造方法>
図8~
図10を参照し、ガスタービンコジェネレーションシステムの一例である発電プラント100の改造方法を説明する。
図8は、本開示の一実施形態に係る発電プラント100の改造方法を示すフローチャートである。
図9は、本開示の一実施形態に係る改造前の発電プラント100である改造前発電プラント100Aを示す概略図である。
図10は、本開示の一実施形態に係る改造過程にある発電プラント100である改造中の発電プラント100Bを示す概略図である。改造前発電プラント100Aには、発電プラント100の構成要素である排ガス再加熱器51、水回収出口排気ライン59、分岐回収水供給ライン54、分岐回収水戻りライン37、分岐回収水流量調整弁53、排ガス抽気ライン55、および、排ガス抽気ダンパ56が設置されることとなる。
【0065】
図8に示すように、はじめに、改造前発電プラント100Aに対して排ガス再加熱器51を設置するステップが実行される(S101)。その後、水回収出口排気ライン59を設置するステップが実行される(S103)。S103は、水回収装置33と排ガス再加熱器51とを上流側水回収排気ライン59Aによって接続するステップ、および、排ガス再加熱器51と排気塔32とを下流側水回収排気ライン59Bによって接続するステップを有する。これにより、水回収装置33から排気塔32まで排ガス13が流れることが可能になる(
図9、
図10参照)。
【0066】
図8に示すように、次いで、水回収装置33または回収水排出ライン39と、排ガス再加熱器51とを分岐回収水供給ライン54によって接続する分岐回収水供給ライン設置ステップが実行される(S105)。本例のS105では、水回収装置33または回収水排出ライン39のうちの回収水排出ライン39に、分岐回収水供給ライン54は接続される(
図10参照)。より詳細には、回収水ポンプ38と回収水冷却装置110との間において、分岐回収水供給ライン54は回収水排出ライン39に接続される(
図10参照)。
【0067】
次いで、排ガス再加熱器51と貯水槽136とを分岐回収水戻りライン37によって接続する分岐回収水戻りライン設置ステップが実行され(S107)、分岐回収水供給ライン54に分岐回収水流量調整弁53を設置するステップが実行される(S109)。S109の完了後、回収水排出ライン39から抽水される回収水が排ガス再加熱器51を経由して貯水槽136に戻ることが可能になる(
図10参照)。
【0068】
図8に示すように、次いで、排気ライン28と水回収出口排気ライン59とを排ガス抽気ライン55によって接続する排ガス抽気ライン設置ステップが実行される(S111)。本例では、排ガス抽気ライン55は、接続排気ライン29を介して排気ライン28に接続される(
図2参照)。次いで、排ガス抽気ライン55に排ガス抽気ダンパ56を設置する排ガス抽気ダンパ設置ステップが実行される(S113)。これにより、発電プラント100の改造方法は完了する(
図2参照)。
【0069】
なお、上記の改造方法は本開示の一例に過ぎない。改造前発電プラント100Aは、排ガス再加熱器51、回収水供給ライン42、分岐回収水流量調整弁53、および、分岐回収水戻りライン37を既設の構成要素として備えていてもよい。この場合、上記で例示したS101~S109は不要である。また、S113は、S111よりも前に実行されてもよい。即ち、排ガス抽気ダンパ56が設置された排ガス抽気ライン55が、接続排気ライン29と下流側水回収排気ライン59Bとに接続されてもよい。
【0070】
上記の改造方法によれば、既述の理由によって、外気に放出される排ガス13から白煙が生じるのをより確実に抑制できる発電プラント100の改造方法が実現される。
また、排ガス抽気ライン設置ステップ(S111)において、排ガス抽気ライン55が下流側水回収排気ライン59Bに接続される。この場合、既述の理由によって、発電プラント100の運転効率を向上させることができる。
また、分岐回収水供給ライン設置ステップ(S105)において、回収水ポンプ38と回収水冷却装置110との間において分岐回収水供給ライン54が回収水排出ライン39に接続される。この場合、既述の理由によって、発電プラント100の構成を簡易化できる。
【0071】
<10.まとめ>
上述した幾つかの実施形態に記載の内容は、例えば以下のように把握される。
【0072】
1)本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システム(40)は、
ボイラ(排熱回収ボイラ14)から排出される排ガス(13)から水分を回収するための水回収システム(40)であって、
前記排ガス(13)と冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス(13)中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置(33)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置(110)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置(110)に導くための回収水排出ライン(39)と、
前記回収水冷却装置(110)によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置(33)に導くための回収水供給ライン(42)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記排ガス(13)を外気に排出するための水回収出口排気ライン(59)と、
前記水回収装置(33)または前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ライン(59)を流れる前記排ガス(13)を加熱するための排ガス再加熱器(51)と、
前記ボイラ(排熱回収ボイラ14)から前記水回収装置(33)までの前記排ガス(13)の供給ラインである排ガス供給ライン(57)から抽気される前記排ガス(13)を前記水回収出口排気ライン(59)に導くための排ガス抽気ライン(55)と、
前記排ガス抽気ライン(55)に設けられる排ガス抽気ダンパ(56)と、
を備える。
【0073】
上記1)の構成によれば、排ガス抽気ダンパ(56)が開放されると、排ガス供給ライン(57)から抽気される温度の比較的高い排ガス(13)が水回収出口排気ライン(59)に導かれ、水回収装置(33)から排出される排ガス(13)と混ざる。これにより、水回収装置(33)から排出される排ガス(13)は加熱される。水回収装置(33)から排出される排ガス(13)には、排ガス再加熱器(51)による加熱のほか、排ガス抽気ライン(55)を流れる排ガス(13)が混ざることによる加熱が施されるので、外気に放出される排ガス(13)の温度を、外気における水の露点温度よりも十分に高くすることができる。よって、外気に放出される排ガス(13)から白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム(40)が実現される。
【0074】
2)幾つかの実施形態では、上記1)に記載の水回収システム(40)であって、
前記水回収出口排気ライン(59)は、
前記水回収装置(33)から排出される前記排ガス(13)を前記排ガス再加熱器(51)に供給するための上流側水回収排気ライン(59A)と、
前記排ガス再加熱器(51)から排出される前記排ガス(13)を前記外気に排出するための下流側水回収排気ライン(59B)と、
を含み、
前記排ガス抽気ライン(55)は、前記下流側水回収排気ライン(59B)に接続される。
【0075】
上記2)の構成によれば、水回収装置(33)から排出される排ガス(13)は、排ガス抽気ライン(55)によって導かれる排ガス(13)と混ざる前に、排ガス再加熱器(51)によって加熱される。排ガス再加熱器(51)において、回収水は、温度が比較的十分に上がっていない排ガス(13)を加熱するため、排ガス再加熱器(51)から排出される回収水の温度は下がる。これにより、回収水冷却装置(110)の熱負荷が低減するので、回収水冷却装置(110)の冷却系統の動力を低減できる。よって、水回収システム(40)は運転効率を向上させることができる。
【0076】
3)幾つかの実施形態では、上記1)または2)に記載の水回収システム(40)であって、
前記回収水排出ライン(39)に配置される回収水ポンプ(38)と、
前記回収水ポンプ(38)と前記回収水冷却装置(110)との間において前記回収水排出ライン(39)に接続される分岐回収水供給ライン(42)であって、前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器(51)に供給するための分岐回収水供給ライン(42)と、
をさらに備える。
【0077】
上記3)の構成によれば、回収水ポンプ(38)の駆動により、回収水排出ライン(39)から抽水される回収水は分岐回収水供給ライン(42)を流れることができる。排ガス再加熱器(51)に回収水を供給するための専用のポンプが不要となるので、水回収システム(40)は構成を簡易化できる。
【0078】
4)幾つかの実施形態では、上記1)から3)のいずれかに記載の水回収システム(40)であって、
前記水回収装置(33)は、前記回収水を貯める貯水槽(136)を含み、
前記水回収システム(40)は、前記排ガス再加熱器(51)から排出される前記回収水を前記貯水槽(136)に導くための分岐回収水戻りライン(37)をさらに備える。
【0079】
上記4)の構成によれば、分岐回収水戻りライン(37)が回収水を水回収装置(33)の貯水槽(136)に導くため、該回収水に空気などのガスが混入している場合であっても、水回収装置(33)がガスを回収できる。そのため、回収水排出ライン(39)を流れる回収水にガスが混入するのを抑制できる。
【0080】
5)幾つかの実施形態では、上記1)から4)のいずれかに記載の水回収システム(40)であって、
前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器(51)に供給するための分岐回収水供給ライン(42)と、
前記分岐回収水供給ライン(42)に設けられる分岐回収水流量調整弁(53)と、
前記外気の温度および湿度を取得するための外気温湿度取得部(81)と、
前記水回収装置(33)の出口における前記排ガス(13)の温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサ(82)と、
前記水回収出口排気ライン(59)から前記外気に放出される前記排ガス(13)の温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサ(83)と、
前記外気温湿度取得部(81)の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサ(82)および前記排ガス放出温度センサ(83)の計測結果とに基づき、前記排ガス放出温度と前記外気の温度との温度偏差が、前記外気の湿度に応じた規定値以上になるよう、前記排ガス抽気ダンパ(56)および前記分岐回収水流量調整弁(53)を制御するためのコントローラ(90)と、
をさらに備える。
【0081】
上記5)の構成によれば、コントローラ(90)による排ガス抽気ダンパ(56)および分岐回収水流量調整弁(53)の制御によって、排ガス放出温度を十分に高くすることができる。これにより、外気に放出される排ガス(13)から白煙が生じるのを抑制できる。
【0082】
6)幾つかの実施形態では、上記5)に記載の水回収システム(40)であって、
前記コントローラ(90)は、
前記外気温湿度取得部(81)の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサ(82)の計測結果とに基づき、前記温度偏差が前記規定値以上となる前記排ガス放出温度である目標排ガス放出温度を算出するための目標排ガス放出温度算出部(95)と、
計測される前記排ガス放出温度が算出された前記目標排ガス放出温度になるよう、前記水回収出口排ガス温度センサ(82)および前記排ガス放出温度センサ(83)の計測結果に基づき前記排ガス抽気ダンパ(56)および前記分岐回収水流量調整弁(53)を制御するための制御部(93)と、
をさらに含み、
前記制御部(93)は、
算出された前記目標排ガス放出温度が閾値以下である場合、前記排ガス抽気ダンパ(56)を閉止させるための制御を実行すると共に、前記分岐回収水流量調整弁(53)を制御するための第1制御部(91)と、
算出された前記目標排ガス放出温度が前記閾値を上回る場合、前記排ガス抽気ダンパ(56)を開放するための制御を実行すると共に、前記排ガス抽気ダンパ(56)および前記分岐回収水流量調整弁(53)を制御するための第2制御部(92)と、
を有する。
【0083】
上記6)の構成によれば、目標排ガス放出温度が閾値以下である場合、排ガス抽気ライン(55)に排ガス(13)を流さなくとも排ガス再加熱器(51)によって排ガス(13)を十分に加熱することが見込まれる。この場合、第1制御部(91)は、排ガス抽気ダンパ(56)を閉止させる制御を実行する。これにより、水回収装置(33)を経由せずに外気に排出される排ガス(13)の量を低減できるので、水回収システム(40)は、ボイラ(排熱回収ボイラ14)から排出される排ガス(13)に含まれる水分を無駄なく回収できる。他方で、外気の温度または湿度の少なくとも一方が低いことに起因して目標排ガス放出温度が閾値を上回る場合、排ガス再加熱器(51)だけでは排ガス(13)を十分に加熱することは困難である。この場合、第2制御部(92)は排ガス抽気ダンパ(56)を開放して、排ガス供給ライン(57)から抽気される温度の比較的高い排ガス(13)が水回収出口排気ライン(59)に導かれる。これにより、外気に放出される排ガス(13)の温度は確実に目標排ガス放出温度に到達することができる。
【0084】
7)本開示の少なくとも一実施形態に係る水回収システム(40)の運転方法は、
ボイラ(排熱回収ボイラ14)から排出される排ガス(13)から水分を回収するための水回収システム(40)の運転方法であって、
前記水回収システム(40)は、
前記排ガス(13)と冷媒水とを気液接触させることで前記排ガス(13)中の前記水分を回収水として回収するための水回収装置(33)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置(110)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置(110)に導くための回収水排出ライン(39)と、
前記回収水冷却装置(110)によって冷却された前記回収水を前記冷媒水として前記水回収装置(33)に導くための回収水供給ライン(42)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記排ガス(13)を外気に排出するための水回収出口排気ライン(59)と、
前記水回収装置(33)または前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ライン(59)を流れる前記排ガス(13)を加熱するための排ガス再加熱器(51)と、
前記ボイラ(排熱回収ボイラ14)から前記水回収装置(33)までの前記排ガス(13)の供給ラインである排ガス供給ライン(57)から抽気される前記排ガス(13)を前記水回収出口排気ライン(59)に導くための排ガス抽気ライン(55)と、
前記排ガス抽気ライン(55)に設けられる排ガス抽気ダンパ(56)と、
前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を前記排ガス再加熱器(51)に供給するための分岐回収水供給ライン(42)と、
前記分岐回収水供給ライン(42)に設けられる分岐回収水流量調整弁(53)と、
前記排ガス再加熱器(51)から排出される前記回収水を前記水回収装置(33)に導くための分岐回収水戻りライン(37)と、
前記外気の温度および湿度を計測するための外気温湿度取得部(81)と、
前記水回収装置(33)の出口における前記排ガス(13)の温度を計測するための水回収出口排ガス温度センサ(82)と、
前記水回収出口排気ライン(59)から前記外気に放出される前記排ガス(13)の温度である排ガス放出温度を計測するための排ガス放出温度センサ(83)と、
を含み、
前記水回収システム(40)の運転方法は、
前記外気温湿度取得部(81)の取得結果と、前記水回収出口排ガス温度センサ(82)および前記排ガス放出温度センサ(83)の計測結果とに基づき、前記排ガス放出温度と前記外気の温度との温度偏差が、前記外気の湿度に応じた規定値以上になるよう、前記排ガス抽気ダンパ(56)および前記分岐回収水流量調整弁(53)を制御する排ガス放出温度制御ステップ(S11~S17)を備える。
【0085】
上記7)の構成によれば、上記1)と同様の理由により、外気に放出される排ガス(13)から白煙が生じるのをより確実に抑制できる水回収システム(40)の運転方法が実現される。
【0086】
8)本開示の少なくとも一実施形態に係るガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法は、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)は、
ガスタービン(2)と、
前記ガスタービン(2)の駆動によって発電するように構成される発電機(5)と、
前記ガスタービンから排出される排ガス(13)から回収した熱を利用してボイラ(排熱回収ボイラ14)給水から蒸気を生成するための排熱回収ボイラ(排熱回収ボイラ14)と、
前記排熱回収ボイラ(排熱回収ボイラ14)から排出される前記排ガス(13)から水分を回収水として回収するための水回収装置(33)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記排ガス(13)を外気に排出するための水回収出口排気ライン(59)と、
前記排熱回収ボイラ(排熱回収ボイラ14)から前記水回収装置(33)までの前記排ガス(13)の供給ラインである排ガス供給ライン(57)と、
前記排熱回収ボイラ(排熱回収ボイラ14)と前記水回収装置(33)との間で前記排ガス供給ライン(57)に接続されており、前記排ガス(13)を前記外気に排出するための接続排気ラインと、
を備え、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法は、
前記接続排気ラインと前記水回収出口排気ライン(59)とを排ガス抽気ライン(55)によって接続する排ガス抽気ライン設置ステップ(S111)と、
前記排ガス抽気ライン(55)に排ガス抽気ダンパ(56)を設置する排ガス抽気ダンパ設置ステップ(S113)と、
を備える。
【0087】
上記8)の構成によれば、排ガス供給ライン(57)から抽気される温度の比較的高い排ガス(13)が水回収出口排気ライン(59)に導かれ、水回収装置(33)から排出される排ガス(13)と混ざる。これにより、外気に放出される排ガス(13)の温度は、外気における水の露点温度よりも十分に高くすることができるので、外気に放出される排ガス(13)から白煙が生じるのをより確実に抑制できるガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法が実現される。
【0088】
9)幾つかの実施形態では、上記8)に記載のガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)は、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を冷却するための回収水冷却装置(110)と、
前記水回収装置(33)から排出される前記回収水を前記回収水冷却装置(110)に導くための回収水排出ライン(39)と、
さらに備え、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法は、
前記水回収装置(33)または前記回収水排出ライン(39)から抽水される前記回収水を熱源として、前記水回収出口排気ライン(59)を流れる前記排ガス(13)を加熱するための排ガス再加熱器(51)を設置する排ガス再加熱器設置ステップ(S101)と、
前記水回収装置(33)または前記回収水排出ライン(39)と、前記排ガス再加熱器(51)とを分岐回収水供給ライン(42)によって接続する分岐回収水供給ライン設置ステップ(S105)と、
前記排ガス再加熱器(51)と前記水回収装置(33)とを分岐回収水戻りライン(37)によって接続する分岐回収水戻りライン設置ステップ(S107)と、
をさらに備える。
【0089】
上記9)の構成によれば、上記1)と同様の理由により、外気に放出される排ガス(13)から白煙が生じるのをより確実に抑制できるガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法が実現される。
【0090】
10)幾つかの実施形態では、上記9)に記載のガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法であって、
前記水回収出口排気ライン(59)は、
前記水回収装置(33)から排出される前記排ガス(13)を前記排ガス再加熱器(51)に供給するための上流側水回収排気ライン(59A)と、
前記排ガス再加熱器(51)から排出される前記排ガス(13)を前記外気に排気するための下流側水回収排気ライン(59B)と、
を有し、
前記排ガス抽気ライン設置ステップ(S111)では、前記排ガス抽気ライン(55)が前記下流側水回収排気ライン(59B)に接続される。
【0091】
上記10)の構成によれば、上記2)と同様の理由により、ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の運転効率を向上させることができる。
【0092】
11)幾つかの実施形態では、上記9)または10)に記載のガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の改造方法であって、
前記ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)は、前記回収水排出ライン(39)に配置される回収水ポンプ(38)をさらに含み、
前記分岐回収水供給ライン設置ステップ(S105)では、前記分岐回収水供給ライン(42)が、前記回収水ポンプ(38)と前記回収水冷却装置(110)との間において、前記回収水排出ライン(39)に接続される。
【0093】
上記11)の構成によれば、上記3)と同様の理由により、ガスタービンコジェネレーションシステム(発電プラント100)の構成を簡易化できる。
【符号の説明】
【0094】
2 :ガスタービン
5 :発電機
13 :排ガス
14 :排熱回収ボイラ
27 :出口
28 :排気ライン
29 :接続排気ライン
33 :水回収装置
37 :分岐回収水戻りライン
38 :回収水ポンプ
39 :回収水排出ライン
40 :水回収システム
42 :回収水供給ライン
51 :排ガス再加熱器
53 :分岐回収水流量調整弁
54 :分岐回収水供給ライン
55 :排ガス抽気ライン
56 :排ガス抽気ダンパ
57 :排ガス供給ライン
59 :水回収出口排気ライン
59A :上流側水回収排気ライン
59B :下流側水回収排気ライン
81 :外気温湿度取得部
82 :水回収出口排ガス温度センサ
83 :排ガス放出温度センサ
90 :コントローラ
91 :第1制御部
92 :第2制御部
93 :制御部
95 :目標排ガス放出温度算出部
100 :発電プラント
110 :回収水冷却装置
136 :貯水槽