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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054595
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/16 20060101AFI20240410BHJP
   A01K 85/12 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A01K85/16
A01K85/12
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160913
(22)【出願日】2022-10-05
【新規性喪失の例外の表示】新規性喪失の例外適用申請有り
(71)【出願人】
【識別番号】515031791
【氏名又は名称】株式会社 ジークラック
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】青木 邦充
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA46
2B307BA49
2B307BA70
2B307BB05
(57)【要約】
【課題】浮力の低下を抑制できるルアーを提供する。
【解決手段】ルアー10は、互いに接合された一対の分割体21A,21Bにより構成された中空状の本体20と、発泡樹脂からなり、本体20の内部に設けられる発泡体30と、本体20の内面と発泡体30の外面との間に設けられる防水シート40とを備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに接合された一対の分割体により構成された中空状の本体と、
発泡樹脂からなり、前記本体の内部に設けられる発泡体と、
前記本体の内面と前記発泡体の外面との間に設けられる防水シートと、を備える、
ルアー。
【請求項2】
一対の前記防水シートと、
前記本体の外部に突出する複数のアイを有し、前記本体の内部に設けられる支持部材と、を備え、
前記発泡体は、前記一対の分割体のそれぞれの内部に配置されるとともに前記支持部材を挟み込む一対の分割発泡体により構成されており、
前記一対の防水シートのそれぞれは、前記一対の分割発泡体のそれぞれの外周を覆っている、
請求項1に記載のルアー。
【請求項3】
前記一対の分割発泡体の少なくとも一方は、前記支持部材を収容する収容溝を有しており、
前記防水シートは、前記収容溝の内面を覆っている、
請求項2に記載のルアー。
【請求項4】
前記本体の内部に設けられる錘を備え、
前記錘は、前記一対の分割体のそれぞれの内部に配置されるとともに前記支持部材を挟み込む一対の分割錘により構成されている、
請求項2に記載のルアー。
【請求項5】
前記本体の内部において前記支持部材に係合することで前記アイの変位を規制する規制部材を備える、
請求項2~請求項4のいずれか一項に記載のルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ルアーに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ルアーフィッシングでは、自身の浮力によって水面に浮かぶトップウォータルアーが用いられている。
特許文献1には、中空状の本体の内部に発泡樹脂からなる発泡体が設けられたルアーが開示されている。このルアーは、所定の形状に予め成形された発泡体に対して、本体を構成する一対の分割体を被せた後、分割体同士を接合することにより製造されている。
【0003】
こうしたルアーでは、本体の内部に発泡体が設けられているため、ルアーに浮力を付与することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11-48285号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のルアーにおいては、互いに接合された分割体同士の隙間を通じて本体の内部に水が浸入するおそれがある。この水が発泡体に到達すると、発泡体が水分を含むこととなる。この場合、ルアーの浮力が低下することで、釣り人によって操作されるルアーの動きに悪影響が出るおそれがある。このため、ルアーの浮力の低下を抑制することが望まれている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するためのルアーの各態様を記載する。
[態様1]互いに接合された一対の分割体により構成された中空状の本体と、発泡樹脂からなり、前記本体の内部に設けられる発泡体と、前記本体の内面と前記発泡体の外面との間に設けられる防水シートと、を備える、ルアー。
【0007】
上記構成によれば、分割体同士の隙間を通じて本体の内部に水が浸入した場合であっても、防水シートによって、水が発泡体に到達することを抑制できる。したがって、ルアーの浮力の低下を抑制できる。
【0008】
[態様2]一対の前記防水シートと、前記本体の外部に突出する複数のアイを有し、前記本体の内部に設けられる支持部材と、を備え、前記発泡体は、前記一対の分割体のそれぞれの内部に配置されるとともに前記支持部材を挟み込む一対の分割発泡体により構成されており、前記一対の防水シートのそれぞれは、前記一対の分割発泡体のそれぞれの外周を覆っている、[態様1]に記載のルアー。
【0009】
例えば、支持部材を挟み込んだ状態の一対の分割発泡体の全体の外周が1つの防水シートによって一括して覆われる構成では、支持部材と一対の分割発泡体のそれぞれとが直接接触する。また、この構成では、アイが防水シートを貫通する場合がある。こうした構成において、アイと本体との境界部分から本体の内部に水が浸入した場合、当該水が支持部材を伝って分割発泡体に到達するおそれがある。
【0010】
この点、上記構成によれば、一対の分割発泡体のそれぞれの外周が一対の防水シートのそれぞれによって覆われているため、支持部材と一対の分割発泡体のそれぞれとの間には、防水シートが介在する。これにより、支持部材と一対の分割発泡体のそれぞれとが直接接触することを抑制できる。したがって、本体の内部に水が浸入した場合であっても、当該水が分割発泡体に到達することを抑制できる。
【0011】
[態様3]前記一対の分割発泡体の少なくとも一方は、前記支持部材を収容する収容溝を有しており、前記防水シートは、前記収容溝の内面を覆っている、[態様2]に記載のルアー。
【0012】
上記構成によれば、収容溝に支持部材を収容することで、分割発泡体に対する支持部材の位置決めを行うことができる。
また、防水シートが収容溝の内面を覆っているため、支持部材と一対の分割発泡体のそれぞれとが直接接触することを一層抑制できる。したがって、本体の内部に浸入した水が支持部材を伝って分割発泡体に到達することを一層抑制できる。
【0013】
[態様4]前記本体の内部に設けられる錘を備え、前記錘は、前記一対の分割体のそれぞれの内部に配置されるとともに前記支持部材を挟み込む一対の分割錘により構成されている、[態様2]または[態様3]に記載のルアー。
【0014】
例えば、単一の錘を本体の内部に配置する場合、貫通孔を有する錘に支持部材を予め貫通させる作業が必要となる。こうした作業は、ルアーの製造が煩雑となるおそれがある。
この点、上記構成によれば、一対の分割錘のそれぞれを一対の分割体のそれぞれの内部に配置した状態で、一対の分割体を接合することで、錘を本体の内部に容易に配置することができる。
【0015】
[態様5]前記本体の内部において前記支持部材に係合することで前記アイの変位を規制する規制部材を備える、[態様2]~[態様4]のいずれか1つに記載のルアー。
上記構成によれば、規制部材によってアイの変位が規制されるため、当該変位によってアイと本体との境界部に隙間が生じることを抑制できる。したがって、上記隙間を通じて本体の内部に水が浸入することを抑制できる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ルアーの浮力の低下を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1図1は、一実施形態のルアーの一部を破断して示す斜視図である。
図2図2は、図1のルアーを示す分解斜視図である。
図3図3は、図1のルアーを示す断面図である。
図4図4は、図3の4-4線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、図1図4を参照して、ルアーの一実施形態について説明する。
(ルアー10)
図1及び図2に示すように、ルアー10は、本体20と、発泡体30と、防水シート40と、支持部材50と、錘60と、複数の規制部材70,80,90とを備えている。発泡体30は、本体20の内部に設けられている。防水シート40は、本体20の内面と発泡体30の外面との間に設けられている。支持部材50、錘60、及び複数の規制部材70,80,90は、本体20の内部に設けられている。
【0019】
ルアー10は、例えば、自身の浮力によって水面に浮かぶ所謂トップウォータルアーである。
(本体20)
本体20は、魚の外形を模した略紡錘形状をなしている。本体20の長さ方向における一端部には、魚の口を模した凹状の口部20aが設けられている。口部20aは、例えば、球面状に窪んでいる。ルアー10が釣り人によって操作された際、口部20aが水を受けることで、水面上で水しぶきや音が発生する。これにより、ルアー10の集魚性が高められている。
【0020】
以降において、口部20aが設けられたルアー10の頭部側を前側とし、頭部とは反対側の尾部側を後側として説明する。また、ルアー10の頭部と尾部を結ぶ方向を前後方向として説明する。また、ルアー10の背部と腹部とを結ぶ方向を上下方向とし、前後方向と上下方向との双方に直交する方向を左右方向として説明する。
【0021】
本体20の材料としては、例えば、ABS樹脂などの樹脂材料が挙げられる。
本体20は、左右に分割された一対の分割体21A,21Bにより構成された中空状をなしている。各分割体21A,21Bは、例えば、射出成形により成形されている。
【0022】
一対の分割体21A,21Bは、分割面を除く部分において左右対称な形状をなしている。以降では、分割体21Aの構成について説明することで、分割体21Bの構成についての説明を省略することがある。
【0023】
図2に示すように、分割体21Aは、発泡体収容部22と、第1収容部23と、第2収容部24と、第3収容部25とを有している。
発泡体収容部22は、発泡体30の一部及び錘60の一部を収容している。発泡体収容部22は、前後方向に延びている。発泡体収容部22の外壁22aは、前後方向から視て本体20の外側に向かって凸となる略半円状に湾曲している。
【0024】
図2及び図3に示すように、第1収容部23は、規制部材70の一部を収容している。第1収容部23は、発泡体収容部22の前側であって、口部20aの後側に隣り合って設けられている。第1収容部23は、後述する支持部材50の第1部分51の前端部及び第1アイ53がそれぞれ嵌まり込む第1溝23a及び第2溝23bを有している。
【0025】
第2収容部24は、規制部材80の一部を収容している。第2収容部24は、発泡体収容部22の後側に隣り合って設けられている。第2収容部24は、後述する支持部材50の第1部分51の後端部及び第2アイ54がそれぞれ嵌まり込む第3溝24a及び第4溝24bを有している。
【0026】
第3収容部25は、規制部材90の一部を収容している。第3収容部25は、分割体21Aの腹部において発泡体収容部22に隣り合って設けられている。第3収容部25は、後述する支持部材50の第2部分52の下端部及び第3アイ55がそれぞれ嵌まり込む第5溝25a及び第6溝25bを有している。
【0027】
第1収容部23の上下方向における両側には、肉盗み部27が設けられている。各肉盗み部27は、発泡体収容部22の前側であって、口部20aの後側に隣り合って設けられている。
【0028】
図4に示すように、分割体21Aにおける分割面には、分割体21Bに向かって突出する複数の凸部26aが設けられている。
図3にハッチングにて示すように、凸部26aは、分割体21Aにおける発泡体収容部22の開口、収容部23,24,25の開口、及び2つの肉盗み部27の開口をそれぞれ取り囲んでいる。
【0029】
図4に示すように、分割体21Bにおける分割面には、複数の凸部26aのそれぞれに係合する複数の凹部26bが設けられている。凹部26bは、分割体21Bの分割面における凸部26aに対応する位置に設けられている。すなわち、凹部26bは、分割体21Bにおける発泡体収容部22の開口、収容部23,24,25の開口、及び2つの肉盗み部27の開口をそれぞれ取り囲んでいる。
【0030】
一対の分割体21A,21Bは、凸部26aと凹部26bとが互いに係合した状態で、一対の分割体21A,21Bの境界部に塗布された溶剤によって互いに接合されている。溶剤としては、例えば、メチルエチルケトン(MEK)が挙げられる。
【0031】
(発泡体30)
図2に示すように、発泡体30は、左右に分割された一対の分割発泡体31A,31Bにより構成されている。一対の分割発泡体31A,31Bは、左右対称な形状をなしている。
【0032】
発泡体30は、全体として略紡錘形状をなしている。発泡体30は、発泡体収容部22の内部に圧縮された状態で配置されている。このため、発泡体30は、発泡体収容部22の内面を本体20の外周側に向かって押圧している。より詳しくは、発泡体30は、防水シート40を介して発泡体収容部22の内面を本体20の外周側に向かって押圧している。これにより、ルアー10の強度が高められている。
【0033】
発泡体30は、例えば、硬質発泡スチロールなどの発泡樹脂からなる。発泡体30に用いられる発泡樹脂は、独立気泡構造を有していることが好ましい。
各分割発泡体31A,31Bは、発泡体収容部22の外壁22aの内面に沿って湾曲した湾曲面32と、湾曲面32の周方向における端部同士を繋ぐ平面33とを有している。一対の分割発泡体31A,31Bの平面33同士は、左右方向において対向している。各分割発泡体31A,31Bにおける前後方向に直交する断面形状は、略半円状をなしている。
【0034】
図2及び図3に示すように、各分割発泡体31A,31Bの前端は、発泡体収容部22の前壁に接触している。各分割発泡体31A,31Bの後端は、錘60の前端に接触している。
【0035】
各分割発泡体31A,31Bは、第3収容部25を逃がす切り欠き34を有している。切り欠き34の内面は、第3収容部25を区画する本体20の内壁に接触している。
各分割発泡体31A,31Bは、支持部材50を収容する第1収容溝35を有している。第1収容溝35は、各分割発泡体31A,31Bの平面33に形成されている。第1収容溝35は、「収容溝」の一例である。
【0036】
図2に示すように、第1収容溝35は、横溝36と縦溝37とを有している。横溝36は、分割発泡体31A,31Bの上下方向における中央部において前後方向に延びている。横溝36は、分割発泡体31A,31Bの前面及び後面のそれぞれに開口している。縦溝37は、横溝36の前後方向における中央部から分岐して下方に向かって延びている。縦溝37は、切り欠き34の内面に開口している。
【0037】
(防水シート40)
図4に示すように、ルアー10は、一対の防水シート40を備えている。一対の防水シート40のそれぞれは、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの外周を覆っている。すなわち、防水シート40は、分割体21A,21Bのそれぞれの外壁22aの内面と、発泡体30の外面との間の部分における全体にわたって設けられている。したがって、分割体21A,21Bのそれぞれの外壁22aの内面と、発泡体30の外面とは接触していない。
【0038】
防水シート40の内部には、互いに連通していない複数の気泡、すなわち独立気泡が形成されている。これにより、防水シート40は、防水性を有している。
防水シート40の材料としては、例えば、高発泡ポリエチレンなどの樹脂材料が挙げられる。
【0039】
一対の防水シート40のそれぞれは、例えば、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの外周に巻き付けられた状態で接着剤により固定されている。一対の防水シート40のそれぞれは、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの外周の全体を覆っている。したがって、一対の防水シート40のそれぞれは、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの第1収容溝35の内面の全体を覆っている。なお、分割発泡体31A,31Bの前端面及び後端面は、防水シート40によって覆われていなくてもよい。
【0040】
ここで、上述したように、発泡体30は、防水シート40を介して発泡体収容部22の外壁22aの内面を本体20の外周側に向かって押圧している。防水シート40に発泡体30の押圧力が作用することによって、発泡体30には、当該押圧力の反力が作用する。このため、例えば、防水シート40の厚みが大きすぎる場合には、上記反力が大きくなることで、本体20に作用する発泡体30の押圧力が小さくなる。この場合、ルアー10の強度が低下するおそれがある。一方、防水シート40の厚みが小さすぎる場合には、防水性能が低下するおそれがある。
【0041】
以上のことから、本実施形態のルアー10では、ルアー10の強度低下の抑制と、防水性能の低下の抑制とを両立できるように、防水シート40の厚みが設定されている。
(支持部材50)
図2及び図3に示すように、支持部材50は、発泡体30の内部に設けられている。より詳しくは、支持部材50は、左右方向において一対の分割発泡体31A,31Bに挟み込まれている。支持部材50は、前後方向において発泡体30及び本体20を貫通している。
【0042】
支持部材50の材料としては、ステンレス鋼などの金属材料が挙げられる。支持部材50は、例えば、金属板がレーザ加工などにより切断されることにより形成されている。
支持部材50は、第1部分51と、第2部分52と、第1アイ53と、第2アイ54と、第3アイ55とを有している。
【0043】
第1部分51は、本体20の上下方向における中央部において前後方向に延びている。第1部分51は、各分割発泡体31A,31Bの横溝36に収容されている。第1部分51は、発泡体30を貫通している。第1部分51の前端部は、第1収容部23の内部に位置している。第1部分51の後端部は、第2収容部24の内部に位置している。
【0044】
第2部分52は、第1部分51の長さ方向における中央部から分岐して第3収容部25の内部に向かって下方に延びている。第2部分52は、各分割発泡体31A,31Bの縦溝37に収容されている。
【0045】
第1アイ53は、第1部分51の前端に一体に設けられている。第1アイ53は、図示しない釣り糸が結ばれるラインアイである。第1アイ53の基端部には、後述する突起72に係合する係合孔53aが設けられている。係合孔53aは、第1収容部23の内部に位置している。第1アイ53の先端部は、口部20aの内面から本体20の外部に突出している。
【0046】
第2アイ54は、第1部分51の後端に一体に設けられている。第2アイ54は、図示しないフックが取り付けられるフックアイである。第2アイ54の基端部には、後述する突起82に係合する係合孔54aが設けられている。係合孔54aは、第2収容部24の内部に位置している。第2アイ54の先端部は、本体20の後端から本体20の外部に突出している。
【0047】
第3アイ55は、第2部分52の下端に一体に設けられている。第3アイ55は、図示しないフックが取り付けられるフックアイである。第3アイ55の基端部には、後述する突起92に係合する係合孔55aが設けられている。係合孔55aは、第3収容部25の内部に位置している。第3アイ55の先端部は、本体20の腹部から本体20の外部に突出している。
【0048】
(錘60)
図2に示すように、錘60は、左右に分割された一対の分割錘61A,61Bにより構成されている。一対の分割錘61A,61Bは、左右対称な形状をなしている。錘60は、全体として略円錐台状をなしている。
【0049】
錘60の材料としては、鉛合金、タングステン合金、及びステンレス鋼などの金属材料が挙げられる。
図2及び図3に示すように、分割錘61A,61Bは、分割体21A,21Bの発泡体収容部22の内部にそれぞれ配置されている。分割錘61A,61Bは、発泡体収容部22の内部において分割発泡体31A,31Bの後側にそれぞれ隣り合って設けられている。分割錘61A,61Bの前端は、分割発泡体31A,31Bの後端にそれぞれ接触している。分割錘61A,61Bの後端は、分割体21A,21Bの発泡体収容部22の後壁にそれぞれ接触している。
【0050】
一対の分割錘61A,61Bは、左右方向において支持部材50の第1部分51を挟み込んでいる。各分割錘61A,61Bは、第1部分51を収容する第2収容溝62を有している。第2収容溝62は、分割錘61A,61Bの分割面にそれぞれ形成されている。第2収容溝62は、分割錘61A,61Bの上下方向における中央部において前後方向に延びている。第2収容溝62は、分割錘61A,61Bの前面及び後面のそれぞれに開口している。第2収容溝62は、横溝36に連通している。
【0051】
(規制部材70,80,90)
規制部材70,80,90は、第1収容部23、第2収容部24、及び第3収容部25にそれぞれ収容されている。規制部材70,80,90のそれぞれは、収容部23,24,25の内部空間のそれぞれに沿ったブロック状をなしている。規制部材70,80,90は、支持部材50に係合することでアイ53,54,55の変位をそれぞれ規制している。
【0052】
規制部材70,80,90の材料としては、ASB樹脂などの樹脂材料が挙げられる。規制部材70,80,90の材料は、例えば、本体20の材料と同一である。
規制部材70は、左右に分割された一対の分割規制部材71A,71Bにより構成されている。規制部材80は、左右に分割された一対の分割規制部材81A,81Bにより構成されている。規制部材90は、左右に分割された一対の分割規制部材91A,91Bにより構成されている。
【0053】
図2に示すように、分割規制部材71A,81A,91Aは、分割規制部材71B,81B,91Bに向かって突出する突起72,82,92をそれぞれ有している。分割規制部材71B,81B,91Bは、突起72,82,92に係合する係合穴73,83,93をそれぞれ有している。
【0054】
分割規制部材71A,81A,91Aは、突起72,82,92が係合孔53a,54a,55aにそれぞれ挿入されることで、アイ53,54,55にそれぞれ係合している。また、分割規制部材71A,81A,91Aは、突起72,82,92が係合穴73,83,93にそれぞれ係合されることで、分割規制部材71B,81B,91Bにそれぞれ係合している。
【0055】
本実施形態の作用及び効果について説明する。
(1)ルアー10は、互いに接合された一対の分割体21A,21Bにより構成された中空状の本体20と、本体20の内部に設けられる発泡体30と、本体20の内面と発泡体30の外面との間に設けられる防水シート40とを備える。
【0056】
こうした構成によれば、分割体21A,21B同士の隙間を通じて本体20の内部に水が浸入した場合であっても、防水シート40によって、水が発泡体30に到達することを抑制できる。したがって、ルアー10の浮力の低下を抑制できる。
【0057】
(2)一対の防水シート40のそれぞれは、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの外周を覆っている。
例えば、支持部材50を挟み込んだ状態の一対の分割発泡体31A,31Bの全体の外周が1つの防水シート40によって一括して覆われる構成では、支持部材50と一対の分割発泡体31A,31Bのそれぞれとが直接接触する。また、この構成では、第3アイ55が防水シート40を貫通することとなる。こうした構成において、第3アイ55と本体20との境界部分から本体20の内部に水が浸入した場合、当該水が支持部材50を伝って分割発泡体31A,31Bに到達するおそれがある。
【0058】
この点、上記構成によれば、一対の分割発泡体31A,31Bのそれぞれの外周が一対の防水シート40のそれぞれによって覆われているため、支持部材50と一対の分割発泡体31A,31Bのそれぞれとの間には、防水シート40が介在する。これにより、支持部材50と一対の分割発泡体31A,31Bのそれぞれとが直接接触することを抑制できる。したがって、本体20の内部に水が浸入した場合であっても、当該水が分割発泡体31A,31Bに到達することを抑制できる。
【0059】
(3)分割発泡体31A,31Bは、支持部材50を収容する第1収容溝35をそれぞれ有している。一対の防水シート40のそれぞれは、分割発泡体31A,31Bのそれぞれの第1収容溝35の内面を覆っている。
【0060】
こうした構成によれば、第1収容溝35に支持部材50を収容することで、分割発泡体31A,31Bに対する支持部材50の位置決めを行うことができる。
また、防水シート40が第1収容溝35の内面を覆っているため、支持部材50と一対の分割発泡体31A,31Bのそれぞれとが直接接触することを抑制できる。したがって、本体20の内部に浸入した水が支持部材50を伝って分割発泡体31A,31Bに到達することを抑制できる。
【0061】
(4)錘60は、分割体21A,21Bのそれぞれの内部に配置されるとともに支持部材50を挟み込む一対の分割錘61A,61Bにより構成されている。
例えば、単一の錘60を本体20の内部に配置する場合、貫通孔を有する錘60に支持部材50を予め貫通させる作業が必要となる。こうした作業は、ルアー10の製造が煩雑となるおそれがある。
【0062】
この点、上記構成によれば、分割錘61A,61Bのそれぞれを分割体21A,21Bのそれぞれの発泡体収容部22の内部に配置した状態で、一対の分割体21A,21Bを接合することで、錘60を本体20の内部に容易に配置することができる。
【0063】
(5)ルアー10は、本体20の内部において支持部材50に係合することでアイ53,54,55の変位をそれぞれ規制する規制部材70,80,90を備える。
こうした構成によれば、規制部材70,80,90によってアイ53,54,55の変位がそれぞれ規制されるため、当該変位によってアイ53,54,55と本体20との境界部に隙間が生じることを抑制できる。したがって、上記隙間を通じて本体20の内部に水が浸入することを抑制できる。
【0064】
(6)第1収容部23の上下方向における両側には、肉盗み部27が設けられている。各肉盗み部27は、口部20aの後側に隣り合って設けられている。
こうした構成によれば、各分割体21A,21Bの射出成形時におけるヒケを抑制しつつ、第1収容部23の形状を小さくすることができる。第1収容部23の形状が小さくなることで、規制部材70の形状も小さくすることができるため、ルアー10の重心の位置を後方に設定することができる。
【0065】
また、上記構成によれば、肉盗み部27が口部20aの後側に隣り合って設けられているため、肉盗み部27が設けられていない構成と比較して、口部20aの形状を大きくすることができる。これにより、口部20aによって発生する水面上での水しぶきや音を大きくすることができる。したがって、ルアー10の集魚性を高めることができる。
【0066】
<変更例>
本実施形態は、以下のように変更して実施することができる。本実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施することができる。
【0067】
・規制部材70は、一対の分割規制部材71A,71Bにより構成されるものでなくてもよい。例えば、規制部材70と支持部材50とがインサート成形によって一体に形成されていてもよい。このことは、規制部材80,90についても同様である。
【0068】
・ルアー10は、規制部材70,80,90のうち少なくとも1つを備えるものであればよく、必ずしも規制部材70,80,90の全てを備えるものでなくてもよい。
・ルアー10から規制部材70,80,90が省略されてもよい。
【0069】
・錘60は、一対の分割錘61A,61Bにより構成されていなくてもよい。錘60は、前後方向に貫通する貫通孔を有するとともに、当該貫通孔に支持部材50が挿入されるものであってもよい。
【0070】
・錘60は、発泡体30の内部に埋設されるものであってもよい。こうした構成によれば、発泡体30における錘60の位置を適宜変更することで、ルアー10の重心の位置を変更することができる。これにより、ルアー10の飛距離や水中での姿勢を調整することができる。錘60が発泡体30の内部に埋設される場合、発泡体30の後端は、発泡体収容部22の後壁に接触することが好ましい。
【0071】
・ルアー10は、複数の錘60を備えるものであってもよい。
・ルアー10から錘60が省略されてもよい。
・防水シート40は、分割発泡体31A,31Bの第1収容溝35の内面を覆っていなくてもよい。防水シート40は、例えば、分割発泡体31A,31Bのうち平面33を除く部分のみを覆っていてもよい。これらの場合、分割発泡体31A,31Bの平面33同士を接触させることで、分割発泡体31A,31Bの体積を大きくできるため、ルアー10に付与される浮力を大きくすることができる。
【0072】
・一対の分割発泡体31A,31Bのうちの一方のみが第1収容溝35を有していてもよい。この場合、第1収容溝35の深さは、支持部材50の左右方向における厚さと同一であることが好ましい。
【0073】
・ルアー10から支持部材50を省略するとともに、独立したラインアイやフックアイを本体20に埋設してもよい。この場合、発泡体30は、一対の分割発泡体31A,31Bにより構成されるものでなくてもよく、単一の発泡樹脂により構成されていてもよい。
【0074】
・ルアー10は、平面33同士が互いに接触した状態の一対の分割発泡体31A,31Bの外周を一括して覆う1つの防水シート40を備えるものであってもよい。
・一対の分割体21A,21Bは、溶剤によって互いに接合されるものに限定されず、他に例えば、接着剤によって互いに接合されるものや、超音波溶着によって互いに接合されるものであってもよい。
【0075】
・本体20は、ポリカーボネート樹脂などの樹脂材料により形成されるものであってよいし、ABS樹脂などの熱可塑性樹脂と炭素材とを含む複合材料により形成されるものであってもよい。
【0076】
・防水シート40は、発泡体30の外面の一部を覆うものであってもよいし、発泡体30の外面の全てを覆うものであってもよい。
・一対の分割体21A,21Bは、上下に分割されたものであってもよい。
【0077】
・本実施形態のルアー10は、フックアイとして、第2アイ54及び第3アイ55を有するものであったが、ルアー10は、単一のフックアイを有するものであってもよいし、3つ以上のフックアイを有するものであってもよい。
【0078】
・ルアー10は、トップウォータルアーに限定されず、他に例えば、略一定の水深において浮くサスペンドルアーや、水中に沈むシンキングルアーなどであってもよい。
【符号の説明】
【0079】
10…ルアー
20…本体
21A,21B…分割体
22…発泡体収容部
30…発泡体
31A,31B…分割発泡体
35…第1収容溝(収容溝)
40…防水シート
50…支持部材
53…第1アイ(アイ)
54…第2アイ(アイ)
55…第3アイ(アイ)
60…錘
61A,61B…分割錘
70,80,90…規制部材
71A,71B,81A,81B,91A,91B…分割規制部材
図1
図2
図3
図4