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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054596
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】同軸端子
(51)【国際特許分類】
   H01R 24/44 20110101AFI20240410BHJP
   H01R 13/6473 20110101ALI20240410BHJP
【FI】
H01R24/44
H01R13/6473
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160916
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】390005049
【氏名又は名称】ヒロセ電機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100111202
【弁理士】
【氏名又は名称】北村 周彦
(74)【代理人】
【識別番号】100139365
【弁理士】
【氏名又は名称】中嶋 武雄
(72)【発明者】
【氏名】三上 拳
【テーマコード(参考)】
5E021
5E223
【Fターム(参考)】
5E021FA03
5E021FA08
5E021FA14
5E021FB11
5E021FC23
5E223AB59
5E223AB60
5E223AB65
5E223BA12
5E223BA15
5E223BB12
5E223BB17
5E223CA13
5E223CB24
5E223CC09
5E223EA13
5E223EA17
5E223GA08
5E223GA22
5E223GA33
5E223GA42
5E223GA81
(57)【要約】
【課題】外部端子に上部および下部が開口した開放部が設けられている同軸端子であって、開放部が設けられている部分の特性インピーダンスの製品毎のばらつきを抑えながらも、良好な伝送特性により伝送し得る高周波信号の周波数範囲の上限を高める。
【解決手段】同軸端子は、内部端子2、外部端子6および絶縁部材5を備え、外部端子6は、上部および下部が開口した開放部11を有し、開放部11内には内部端子2の内部導体接続部4が配置され、外部端子6には、同軸端子において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを調整する調整部材20が取り付けられ、調整部材20は、前後左右方向に拡がり、内部導体接続部4の下方に内部導体接続部4と所定の距離離れて配置され、外部端子6と電気的に接続された導電平板部21と、底部52、左の側部53および右の側部53を有するコ字状絶縁体51を有している。
【選択図】図11
【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部端子と、前記内部端子の外周側に絶縁部材を介して設けられた外部端子とを備え、
前記内部端子は、当該内部端子の前部に設けられ、被接続体の第1の端子と接触する内部接触部と、当該内部端子の後部に設けられ、同軸ケーブルの内部導体を圧着により接続する内部導体接続部とを有し、
前記外部端子は、当該外部端子の前部に設けられ、前記被接続体の第2の端子と接触する外部接触部と、当該外部端子の後部に設けられ、前記同軸ケーブルの外部導体を接続する外部導体接続部とを有し、前記外部端子において前記外部接触部と前記外部導体接続部との間の部分には、上部および下部が開口した開放部が設けられ、
前記内部接触部は前記外部接触部の内周側に配置され、前記内部導体接続部は前記開放部内に配置された同軸端子であって、
前記外部端子には、当該同軸端子において前記開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを調整する調整部材が取り付けられ、
前記調整部材は、
導電材料により前後左右方向に拡がる平板状に形成され、前記内部導体接続部の下方に前記内部導体接続部と所定の距離離れて配置され、前記外部端子と電気的に接続された導電平板と、
前記内部導体接続部と前記導電平板との間、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に介在する横断面コ字状のコ字状絶縁体とを有していることを特徴とする同軸端子。
【請求項2】
前記内部導体接続部と前記導電平板との間の距離は、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間の距離、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間の距離のいずれよりも小さいことを特徴とする請求項1に記載の同軸端子。
【請求項3】
前記コ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間に位置する部分、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に位置する部分のそれぞれの左右方向の厚さは、前記コ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記導電平板との間に位置する部分の上下方向の厚さよりも厚いことを特徴とする請求項1に記載の同軸端子。
【請求項4】
前記コ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間に位置する部分の上端、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に位置する部分の上端はそれぞれ、前記内部導体接続部の上端よりも上方に位置していることを特徴とする請求項1に記載の同軸端子。
【請求項5】
前記導電平板は、前記開放部内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の同軸端子。
【請求項6】
前記調整部材は、当該調整部材を前記外部端子に支持するための第1の支持部、第2の支持部、第3の支持部、および第4の支持部を有し、
前記第1の支持部は、前記導電平板の左部に結合され、前記開放部の左側壁部を上下方向に挟み、
前記第2の支持部は、前記導電平板の右部に結合され、前記開放部の右側壁部を上下方向に挟み、
前記第3の支持部は、前記導電平板の後部に結合され、前記外部導体接続部、または前記外部端子において前記開放部と前記外部導体接続部との間の部分に巻き付き、
前記第4の支持部は、前記導電平板の前部に結合され、前記外部接触部、または前記外部端子において前記外部接触部と前記開放部との間の部分に下から当接することを特徴とする請求項1に記載の同軸端子。
【請求項7】
前記開放部の左側壁部および右側壁部のそれぞれの上縁は当該同軸端子の軸心と平行に伸長し、
前記第1の支持部は、前記開放部の左側壁部の上縁に線接触または面接触する第1の壁部上縁接触部を有し、
前記第2の支持部は、前記開放部の右側壁部の上縁に線接触または面接触する第2の壁部上縁接触部を有し、
前記第3の支持部は、上下方向に弾性変形可能な第1の梁部を有し、前記第1の梁部の弾性変形により、前記外部導体接続部、または前記外部端子において前記開放部と前記外部導体接続部との間の部分を上方に押圧し、
前記第4の支持部は、上下方向に弾性変形可能な第2の梁部を有し、前記第2の梁部の弾性変形により、前記外部接触部、または前記外部端子において前記外部接触部と前記開放部との間の部分を上方に押圧することを特徴とする請求項6に記載の同軸端子。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、同軸コネクタに用いられる同軸端子に関する。
【背景技術】
【0002】
同軸ケーブル同士、または同軸ケーブルと電気・電子機器との間等を接続するコネクタとして、同軸コネクタが用いられる。同軸コネクタは、同軸端子、および同軸端子を収容するハウジングを備えている。
【0003】
同軸ケーブルは、内部導体と、内部導体の外周側に設けられ、内部導体と同軸に配置された外部導体と、内部導体と外部導体との間に設けられた絶縁体と、外部導体の外周側を覆うシースとを備えている。同軸端子は、基本的には、このような構造を有する同軸ケーブルと同様の構造を有しており、内部端子と、内部端子の外周側に設けられ、内部端子と同軸に配置された外部端子と、内部端子と外部端子との間に設けられた絶縁部材とを備えている。内部端子の前部には、例えば、当該同軸コネクタと接続される他の同軸コネクタである相手コネクタの内部端子と接触する内部接触部が設けられ、内部端子の後部には、同軸ケーブルの内部導体が圧着により接続される内部導体接続部が設けられている。また、外部端子の前部には、例えば、相手コネクタの外部端子と接触する外部接触部が設けられ、外部端子の後部には、同軸ケーブルの外部導体が圧着により接続される外部導体接続部が設けられている。さらに、多くの同軸端子においては、外部端子の外部導体接続部よりも後ろ側に、同軸ケーブルのシースを圧着するシース圧着部が設けられている。
【0004】
また、同軸端子の中には、同軸端子と同軸ケーブルとの接続作業の自動化または半自動化を考慮し、外部端子において外部接触部と外部導体接続部との間の部分に、上部および下部が開口した開放部が設けられ、その開放部内に圧着工具を挿入して、内部端子の内部導体接続部と同軸ケーブルの内部導体とを圧着することができる構造を有しているものがある。特開2012-43809号公報(特許文献1)には、外部端子に開放部が設けられた同軸端子、および圧着工具を備えた圧着装置に関する記載がある。
【0005】
ここで、図16(A)~16(C)を用いて、外部端子に開放部が設けられた従来の同軸端子について述べる。図16(A)は、当該従来の同軸端子の一例である同軸端子201と同軸ケーブル181とが接続される直前の状態を示している。図16(A)中には、同軸端子201および同軸ケーブル181の縦断面(それらの中心軸線を含む平面で切断した断面)が示されている。
【0006】
図16(A)に示すように、同軸ケーブル181は、内部導体182、絶縁体183、外部導体184、およびシース185を備えている。同軸ケーブル181は末端処理が施され、内部導体182および外部導体184のそれぞれの端部の外周面が露出するように、シース185、外部導体184および絶縁体183の端部がそれぞれ切除されている。また、同軸端子201は、内部端子202、絶縁部材205、および外部端子206を備えている。また、内部端子202の前部には内部接触部203が設けられ、内部端子202の後部には内部導体接続部204が設けられている。また、外部端子206の前部には外部接触部207が設けられ、外部端子206の後部には外部導体接続部208が設けられている。さらに、外部端子206において外部導体接続部208よりも後ろ側にはシース圧着部209が設けられている。また、外部端子206において、外部接触部207と外部導体接続部208との間の部分には、上部および下部が開口した開放部210が設けられている。また、内部端子202の内部接触部203は、外部端子206の外部接触部207の内周側に配置され、内部端子202の内部導体接続部204は、外部端子206の開放部210内に配置されている。開放部210内には、開放部210の上部および下部の開口を介して、内部端子202の内部導体接続部204と同軸ケーブル181の内部導体182とを圧着する圧着工具を挿入することができる。また、内部導体接続部204、外部導体接続部208およびシース圧着部209はそれぞれオープンバレルであり、図16(A)において上方に突出する一対の突片204A、208A、209A(それぞれ一方のみ図示)を有している。
【0007】
同軸端子201と同軸ケーブル181との接続方法について、上記特開2012-43809号公報の段落0039~0062に記載された端子圧着装置を用いて同軸端子201と同軸ケーブル181とを接続する場合を例にあげて述べる。
【0008】
端子圧着装置は、内部端子202の内部導体接続部204と同軸ケーブル181の内部導体182とを圧着により接続する圧着工具として、信号線用アンビルおよび信号線用クリンパを備えている。また、端子圧着装置は、外部端子206の外部導体接続部208と同軸ケーブル181の外部導体184とを圧着により接続する圧着工具として、シールド用アンビルおよびシールド用クリンパを備えている。また、端子圧着装置は、外部端子206のシース圧着部209と同軸ケーブル181のシース185とを圧着する圧着工具として、外部被覆用アンビルおよび外部被覆用クリンパを備えている。また、端子圧着装置は、同軸端子201と同軸ケーブル181とを接続する際に、同軸端子201を載置する載置台として、圧着端子載置部を備えている。
【0009】
同軸端子201と同軸ケーブル181とを接続するに当たり、作業者は、まず、同軸端子201を端子圧着装置の圧着端子載置部に載置し、図16(A)に示すように、内部導体182の端部を内部導体接続部204の一対の突片204A間に配置し、外部導体184の端部を外部導体接続部208の一対の突片208A間に配置し、シース185の端部をシース圧着部209の一対の突片209A間に配置する。
【0010】
次に、作業者は、同軸端子201と同軸ケーブル181と接続する処理を開始すべき旨の指示を端子圧着装置に入力する。これに応じ、端子圧着装置は、同軸端子201と同軸ケーブル181と接続する処理を実行する。具体的には、外部端子206の開放部210内に、図16(A)において下方から、下側の開口210Aを介して信号線用アンビルが挿入され、開放部210内に、図16(A)において上方から、上側の開口210Bを介して信号線用クリンパが挿入され、内部導体接続部204の一対の突片204Aが、信号線用アンビルと信号線用クリンパとの間に挟まれ、信号線用アンビルと信号線用クリンパとにより押圧されることによって加締められる。これにより、内部導体接続部204と内部導体182とが圧着される。これと同時に、外部導体接続部208の一対の突片208Aが、シールド用アンビルとシールド用クリンパとの間に挟まれて押圧されることによって加締められ、外部導体接続部208と外部導体184とが圧着される。これと同時に、シース圧着部209の一対の突片209Aが、外部被覆用アンビルと外部被覆用クリンパとの間に挟まれて押圧されることによって加締められ、シース圧着部209とシース185とが圧着される。端子圧着装置による以上の処理は一括圧着などと呼ばれる。
【0011】
外部端子に開放部が設けられた従来の同軸端子には、外部端子に開放部が設けられているという構造上、信号の伝送効率が低下し易いという問題がある。この点について、図16(B)および16(C)を用いて述べる。
【0012】
図16(B)は、例えば一括圧着により互いに接続された同軸端子201および同軸ケーブル181を示している。なお、説明の便宜上、図16(B)中の同軸端子201および同軸ケーブル181は、図16(A)中の同軸端子201および同軸ケーブル181と比較して上下の向きが反転している。図16(C)は、図16(B)中の切断線XVI-XVIに沿って切断した同軸端子201の断面を後ろ(図16(B)において左)から見た状態を示している。
【0013】
図16(B)を見るとわかる通り、同軸端子201の前部(先端側部分)においては、内部端子202の内部接触部203と外部端子206の外部接触部207とが絶縁部材205を介して同軸に配置されており、同軸ケーブル181において内部導体182、外部導体184および絶縁体183によって形成された同軸構造が再現されている。それゆえ、絶縁部材205の比誘電率を考慮しつつ、内部端子202の直径および外部端子206の内径をそれぞれ設定することにより、同軸端子201の前部の特性インピーダンスを同軸ケーブル181の特性インピーダンス(例えば50Ω)に容易に近づけることができる。これに対し、同軸端子201において開放部210が設けられている部分(図16(B)において二点鎖線で囲まれた部分)においては、その上部および下部が開口している。その結果、内部導体接続部204の上方および下方が外部端子206にも絶縁部材205にも覆われておらず、同軸ケーブル181の同軸構造が崩れている。それゆえ、このままの状態では、同軸端子201において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスを同軸ケーブル181の特性インピーダンスに近づけることは困難であり、同軸端子201において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが同軸ケーブル181の特性インピーダンスよりも大幅に大きくなる。その結果、外部端子に開放部が設けられた従来の同軸端子においては、同軸端子において開放部が設けられている部分でインピーダンスの不整合が生じ易く、それゆえ、信号の伝送効率が低下し易い。
【0014】
この従来の同軸端子の問題を解決し得る第1の方法として、外部端子の開放部内に配置された内部端子の内部導体接続部を絶縁体および導電体によって包囲する方法が考えられる。
【0015】
図17(A)に示すカバー部材331は、上記第1の方法を具現化した部材の一例である。カバー部材331は、導電包囲部332、絶縁包囲部333、後ろ側接続部334、および前側接続部335を備えている。導電包囲部332、後ろ側接続部334および前側接続部335は金属板にプレス加工を施すことにより一体的に形成されている。絶縁包囲部333は樹脂等の絶縁材料により形成され、導電包囲部332の内周側に配置されている。
【0016】
図17(B)に示す同軸端子301は、図16(B)に示す同軸端子201の外部端子206に、図17(A)に示すカバー部材331を取り付けることによって構成されている。カバー部材331は、外部端子206において開放部210が設けられている部分に取り付けられている。図17(C)および17(D)は、図17(B)中の切断線XVII-XVIIに沿って切断した同軸端子301の断面を後ろ(図17(B)において左)から見た状態をそれぞれ示し、詳しくは、図17(C)は、カバー部材331が外部端子206に取り付けられる前の状態を示し、図17(D)は、カバー部材331が外部端子206に取り付けられた後の状態を示している。
【0017】
カバー部材331が外部端子206に取り付けられる前においては、カバー部材331の導電包囲部332および絶縁包囲部333のそれぞれの横断面形状は、図17(A)に示すようにU字状である。カバー部材331が外部端子206に取り付けられる際に、まず、導電包囲部332および絶縁包囲部333は、図17(C)に示すように、外部端子206の開放部210内に挿入される。次に、導電包囲部332および絶縁包囲部333は、図17(D)に示すように、内部端子202の内部導体接続部204を包囲するように曲げられる。また、図17(B)に示すように、後ろ側接続部334は、外部端子206の外部導体接続部208の外周側を包囲するように曲げられることによって外部端子206と接続され、前側接続部335は外部接触部207の外周面に当接する。
【0018】
特開2019-114491号公報(特許文献2)には、解決すべき問題が上記従来の同軸端子の問題と異なるのであるが、上記カバー部材331と同様の構造を備えたカバー部材が記載されている。
【0019】
カバー部材331によれば、開放部210内に配置された内部導体接続部204を絶縁包囲部333および導電包囲部332により包囲することにより、同軸端子301において開放部210が設けられている部分に、同軸ケーブルの同軸構造と類似した構造を形成することができる。それゆえ、同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスを下げ、同軸ケーブル181の特性インピーダンスに近づけることができるものと考えられる。
【0020】
しかしながら、カバー部材331には、同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが製品毎(例えば量産された個々の同軸端子毎)にばらつき易いという問題がある。すなわち、カバー部材331は、横断面U字状の導電包囲部332および絶縁包囲部333を曲げることによって、内部導体接続部204をこれらにより包囲する。この場合、同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスを製品毎に均一にするためには、横断面U字状の導電包囲部332を曲げるときの曲げ具合を製品毎に均一にする必要がある。図17(D)には、導電包囲部332が内部導体接続部204の中心とした真円を描くように曲げられた、理想的な状態を描いたが、実際は、導電包囲部332をこのように曲げることは困難である。実際は、導電包囲部332が楕円形や、巨視的には環状であるが微視的には歪んだ形状になり、そして、その歪み具体は製品毎に異なることとなる。内部導体接続部204が絶縁包囲部333および導電包囲部332により包囲された構造においては、同軸ケーブルの同軸構造の場合と略同様に、内部導体接続部204と導電包囲部332との間の距離が変化すると、その特性インピーダンスが変化する。横断面U字状の導電包囲部332および絶縁包囲部333を、内部導体接続部204を包囲するように曲げた際の導電包囲部332の形状の歪みによって、内部導体接続部204と導電包囲部332との間の距離(図17(D)中のK)が変化した場合には、その同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが変化する。そして、その歪み具体が製品毎に異なる場合には、同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが製品毎に異なることとなる。このように、カバー部材331においては、横断面U字状の導電包囲部332および絶縁包囲部333を、内部導体接続部204を包囲するように曲げるときの導電包囲部332の曲げ具合を製品毎に均一にすることが困難であるため、同軸端子301において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが製品毎にばらつき易い。このような特性インピーダンスの製品毎のばらつきは、同軸端子の品質の向上を困難にする。
【0021】
一方、同軸端子において開放部が設けられている部分でインピーダンスの不整合が生じ易いという上記従来の同軸端子の問題を解決し得る第2の方法として、開放部内に配置された内部導体接続部の下方に、外部端子と電気的に接続された導電平板を配置し、内部導体接続部と導電平板との間の距離を所定の距離に設定するという方法が考えられる。
【0022】
一般に、プリント基板上に信号線路を形成して高周波信号を効率良く伝送する方法として、マイクロストリップラインを形成する方法が知られている。マイクロストリップラインは、絶縁基板の裏面にグランドプレーンを設け、当該絶縁基板の表面に直線の信号線路を設け、信号線路の幅、絶縁基板の厚さ、絶縁基板の比誘電率等をそれぞれ所定の値に設定することにより形成される。信号線路の幅、絶縁基板の厚さ、絶縁基板の比誘電率等の値は、当該マイクロストリップラインの特性インピーダンスを、目標となる値(例えば50Ω)に近づけることを目指して設定される。上記第2の方法は、同軸端子において開放部が設けられている部分にマイクロストリップラインと同等の構造を形成することにより、当該部分の特性インピーダンスを、同軸ケーブルの特性インピーダンスに近づけるというものである。
【0023】
図18(A)に示す遮蔽板431は、上記第2の方法を具現化した部材の一例である。遮蔽板431は、導電平板部432、左板部433、左接触片434、右板部435、右接触片436、接続バレル部437、および絶縁体片439を備えている。導電平板部432、左板部433、左接触片434、右板部435、右接触片436および接続バレル部437は金属板にプレス加工を施すことにより一体的に形成されている。絶縁体片439は樹脂等の絶縁材料により形成され、導電平板部432の左右方向中心部に設けられている。また、絶縁体片439の幅(左右方向の長さ)は、内部導体接続部204の幅よりも小さい。
【0024】
図18(B)に示す同軸端子401は、図16(B)に示す同軸端子201の外部端子206に、図18(A)に示す遮蔽板431を取り付けることにより構成されている。遮蔽板431は、外部端子206において開放部210が設けられている部分に取り付けられている。図18(C)および18(D)は、図18(B)中の切断線XVIII-XVIIIに沿って切断した同軸端子401の断面を後ろ(図18(B)において左)から見た状態をそれぞれ示し、詳しくは、図18(C)は、遮蔽板431が外部端子206に取り付けられる前の状態を示し、図18(D)は、遮蔽板431が外部端子206に取り付けられた後の状態を示している。
【0025】
遮蔽板431は、図18(C)に示すように、外部端子206において開放部210が設けられている部分に、その下方から取り付けられる。また、図18(D)に示すように、遮蔽板431が外部端子206に取り付けられた状態において、遮蔽板431の左板部433は、外部端子206の開放部210の左側の壁部212の外側(左側)に配置され、遮蔽板431の右板部435は、外部端子206の開放部210の右側の壁部213の外側(右側)に配置されている。また、左接触片434および右接触片436は、開放部210の左側および右側の壁部212、213の外面にそれぞれ接触している。また、遮蔽板431の導電平板部432は、開放部210の下方から開放部210内に入り込み、開放部210内に配置された内部導体接続部204に接近している。また、絶縁体片439は、導電平板部432と内部導体接続部204との間に配置されている。また、左板部433および右板部435のそれぞれの上端部433A、435Aは折り曲げられている。また、接続バレル部437は、図18(B)に示すように、外部端子206の外部導体接続部208の外周側に巻き付けられることによって外部端子206に接続されている。
【0026】
遮蔽板431は、左板部433および右板部435の折り曲げられた上端部433A、435A、および接続バレル部437により外部端子206に固定されている。また、遮蔽板431の導電平板部432は、左接触片434、右接触片436および接続バレル部437等を介して外部端子206と電気的に接続されている。また、内部導体接続部204と導電平板部432との間の距離L(図18(D)を参照)は、内部導体接続部204の幅および絶縁体片439の比誘電率等を考慮しつつ、同軸端子401において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが同軸ケーブル181の特性インピーダンスに近づくように設定されている。
【0027】
遮蔽板431を外部端子206に取り付ける際に、遮蔽板431において曲げる部分は、左板部433および右板部435の上端部433A、435A、並びに接続バレル部437のみである。左板部433および右板部435の内面の上部には溝438がそれぞれ形成されているため(図18(C)を参照)、左板部433および右板部435の上端部433A、435Aは溝138に沿って曲がる。それゆえ、左板部433および右板部435の上端部433A、435Aを折り曲げることによって、内部導体接続部204と導電平板部432との間の距離Lが製品毎にばらすくことはほとんどない。また、接続バレル部437を外部導体接続部208の外周側に接続するために接続バレル部437を曲げることによっても、内部導体接続部204と導電平板部432との間の距離Lが製品毎にばらすくことはほとんどない。したがって、遮蔽板431を外部端子206に取り付けた状態において、内部導体接続部204と導電平板部432との間の距離Lを製品毎に均一にすることができる。よって、同軸端子401において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスが製品毎にばらつくことを抑制することができる。このように、遮蔽板431によれば、遮蔽板431を外部端子206に取り付けることによって、同軸端子401において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスを同軸ケーブル181の特性インピーダンスに近づけることができ、かつ同軸端子401において開放部210が設けられている部分の特性インピーダンスの製品毎のばらつきを抑えることができる。
【0028】
特開2019-79621号公報(特許文献3)には、遮蔽板431と同様の構造および機能を備えた部材が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0029】
【特許文献1】特開2012-43809号公報
【特許文献2】特開2019-114491号公報
【特許文献3】特開2019-79621号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0030】
図18(B)に示す遮蔽板431を有する同軸端子401によれば、上述したように、同軸端子において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに近づけることができ、かつ同軸端子において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスの製品毎のばらつきを抑えることができる。図18(B)に示す同軸端子401によれば、概ね2.5GHzの周波数を有する高周波信号の伝送において、信号の反射を十分に抑制することができ、良好な伝送特性を得ることができる。
【0031】
しかしながら、図18(B)に示す同軸端子401においては、例えば5~6GHzの周波数を有する高周波信号の伝送においては、信号の反射を十分に抑制することが困難であり、概ね2.5GHzの周波数を有する高周波信号を伝送する場合と比較して、伝送特性が悪化するおそれのあることが判明した。
【0032】
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の課題は、外部端子に上部および下部が開口した開放部が設けられている同軸端子であって、開放部が設けられている部分の特性インピーダンスの製品毎のばらつきを抑えながらも、良好な伝送特性により伝送し得る高周波信号の周波数範囲の上限を高めることができる同軸端子を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0033】
上記課題を解決するために、本発明は、内部端子と、前記内部端子の外周側に絶縁部材を介して設けられた外部端子とを備え、前記内部端子は、当該内部端子の前部に設けられ、被接続体の第1の端子と接触する内部接触部と、当該内部端子の後部に設けられ、同軸ケーブルの内部導体を圧着により接続する内部導体接続部とを有し、前記外部端子は、当該外部端子の前部に設けられ、前記被接続体の第2の端子と接触する外部接触部と、当該外部端子の後部に設けられ、前記同軸ケーブルの外部導体を接続する外部導体接続部とを有し、前記外部端子において前記外部接触部と前記外部導体接続部との間の部分には、上部および下部が開口した開放部が設けられ、前記内部接触部は前記外部接触部の内周側に配置され、前記内部導体接続部は前記開放部内に配置された同軸端子であって、前記外部端子には、当該同軸端子において前記開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを調整する調整部材が取り付けられ、前記調整部材は、導電材料により前後左右方向に拡がる平板状に形成され、前記内部導体接続部の下方に前記内部導体接続部と所定の距離離れて配置され、前記外部端子と電気的に接続された導電平板と、前記内部導体接続部と前記導電平板との間、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に介在する横断面コ字状のコ字状絶縁体とを有していることを特徴とする。
【0034】
また、上記本発明の同軸端子において、前記内部導体接続部と前記導電平板との間の距離は、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間の距離、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間の距離のいずれよりも小さいことが好ましい。また、上記本発明の同軸端子の前記コ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間に位置する部分、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に位置する部分のそれぞれの左右方向の厚さは、前記コ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記導電平板との間に位置する部分の上下方向の厚さよりも厚いことが好ましい。また、上記本発明の同軸端子のコ字状絶縁体において、前記内部導体接続部と前記開放部の左側壁部との間に位置する部分の上端、および前記内部導体接続部と前記開放部の右側壁部との間に位置する部分の上端はそれぞれ、前記内部導体接続部の上端よりも上方に位置していることとしてもよい。また、上記本発明の同軸端子において、前記導電平板は、前記開放部内に配置されていることとしてもよい。
【0035】
また、上記本発明の同軸端子において、前記調整部材は、当該調整部材を前記外部端子に支持するための第1の支持部、第2の支持部、第3の支持部、および第4の支持部を有し、前記第1の支持部は、前記導電平板の左部に結合され、前記開放部の左側壁部を上下方向に挟み、前記第2の支持部は、前記導電平板の右部に結合され、前記開放部の右側壁部を上下方向に挟み、前記第3の支持部は、前記導電平板の後部に結合され、前記外部導体接続部、または前記外部端子において前記開放部と前記外部導体接続部との間の部分に巻き付き、前記第4の支持部は、前記導電平板の前部に結合され、前記外部接触部、または前記外部端子において前記外部接触部と前記開放部との間の部分に下から当接することとしてもよい。この場合、前記開放部の左側壁部および右側壁部のそれぞれの上縁は当該同軸端子の軸心と平行に伸長し、前記第1の支持部は、前記開放部の左側壁部の上縁に線接触または面接触する第1の壁部上縁接触部を有し、前記第2の支持部は、前記開放部の右側壁部の上縁に線接触または面接触する第2の壁部上縁接触部を有し、前記第3の支持部は、上下方向に弾性変形可能な第1の梁部を有し、前記第1の梁部の弾性変形により、前記外部導体接続部、または前記外部端子において前記開放部と前記外部導体接続部との間の部分を上方に押圧し、前記第4の支持部は、上下方向に弾性変形可能な第2の梁部を有し、前記第2の梁部の弾性変形により、前記外部接触部、または前記外部端子において前記外部接触部と前記開放部との間の部分を上方に押圧することとしてもよい。
【発明の効果】
【0036】
本発明によれば、同軸端子において、上部および下部が開口した開放部が設けられている部分の特性インピーダンスの製品毎のばらつきを抑えながらも、良好な伝送特性により伝送し得る高周波信号の周波数範囲の上限を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
図1】本発明の実施形態の同軸端子が設けられた同軸コネクタを示す斜視図である。
図2図1中の同軸コネクタの分解図である。
図3図1中の切断線III-IIIに沿って切断した同軸コネクタ、および同軸コネクタと接続される相手コネクタを示す断面図である。
図4】本発明の実施形態の同軸端子を示す断面図である。
図5】本発明の実施形態の同軸端子を概ねその右下から見た状態を示し、詳しくは、(A)は、調整部材が外部端子に取り付けられる前の状態を示し、(B)は、調整部材が外部端子に取り付けられた後の状態を示す。
図6】本発明の実施形態の同軸端子における調整部材を前右上から見た状態を示す外観斜視図である。
図7】本発明の実施形態の同軸端子における調整部材を上から見た状態を示す外観図である。
図8】本発明の実施形態の同軸端子における調整部材を前から見た状態を示す外観図である。
図9図8中の切断線IX-IXに沿って切断した調整部材を示す断面図である。
図10図9中の切断線X-Xに沿って切断した調整部材の断面図である。
図11図4中の切断線XI-XIに沿って切断した同軸端子の断面図である。
図12図4中の切断線XII-XIIに沿って切断した同軸端子の断面図である。
図13】本発明の実施形態の同軸端子において、調整部材の外部端子への取付を示す説明図である。
図14】比較例としての同軸端子を示す断面図である。
図15図18に示す従来の同軸端子、比較例としての同軸端子、および本発明の実施形態の同軸端子のそれぞれにつき、TDR測定の結果を示すグラフである。
図16】開放部が設けられた従来の同軸端子を示す説明図である。
図17】内部端子の内部導体接続部を絶縁体および導電体によって包囲する従来の方法を示す説明図である。
図18】内部端子の内部導体接続部の下方に、外部端子と電気的に接続された導電平板を配置し、内部導体接続部と導電平板との間の距離を所定の距離に設定する従来の方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
本発明の実施形態の同軸端子について説明する。以下の説明において、上(Ud)、下(Dd)、前(Fd)、後(Bd)、左(Ld)、右(Rd)の方向を述べる際には、図1~13中の左下に描いた矢印に従う。なお、これらの方向の設定は説明の便宜のために行ったにすぎない。
【0039】
(同軸コネクタ、同軸端子)
図1は本発明の実施形態の同軸端子が設けられた同軸コネクタ61を示している。図2は同軸コネクタ61を分解した状態を示している。図3図1中の切断線III-IIIに沿って切断した同軸コネクタ61の断面を右(図1においては左下)から見た状態を示している。また、図3には、同軸コネクタ61に加え、同軸コネクタ61と接続される相手コネクタ91が示されている。図4は、図3中の同軸端子1を拡大して示している。
【0040】
同軸コネクタ61は、図1に示すように、同軸ケーブル81の端部に取り付けて使用するプラグである。同軸コネクタ61は、図2に示すように、同軸端子1、ハウジング62、およびリテーナ70を備えている。また、同軸端子1は、内部端子2、絶縁部材5、外部端子6、および調整部材20を備えている。
【0041】
同軸端子1において、内部端子2および外部端子6は、金属(例えば銅合金)等の導電材料により形成されている。また、内部端子2および外部端子6は、導電材料からなる板にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0042】
内部端子2は、図2~4に示すように、内部接触部3および内部導体接続部4を有している。内部接触部3は内部端子2の前部に設けられ、相手コネクタ91の内部端子92(図3を参照)と接触する。内部端子2は雌型の端子であり、内部接触部3は筒状に形成されている。なお、内部端子2は雄型でもよい。また、相手コネクタ91は「被接続体」の具体例であり、相手コネクタ91の内部端子92は「被接続体の第1の端子」の具体例である。
【0043】
内部導体接続部4は、内部端子2の後部に設けられている。内部導体接続部4には、同軸ケーブル81の内部導体82が圧着により接続される。内部導体接続部4はオープンバレルである。内部導体接続部4は、図2に示すように、前後方向に伸長した基部4Aと、基部4Aの左縁および右縁から下方にそれぞれ突出した一対の板状の突片4Bとを有している。内部導体接続部4と内部導体82とを互いに接続するときには、内部導体82の端部を内部導体接続部4の一対の突片4B間に配置した後、圧着工具(例えばクリンパおよびアンビル)により内部導体接続部4を加締める。
【0044】
絶縁部材5は、樹脂(例えばPPS:ポリフェニレンサルファイド)等の絶縁材料により筒状に形成されている。絶縁部材5は、内部接触部3の外周側に設けられ、内部接触部3を包囲する。
【0045】
外部端子6は、図2に示すように、外部接触部7、外部導体接続部8、シース圧着部9、および連結部10を有している。外部接触部7は外部端子6の前部に設けられ、筒状に形成されている。外部接触部7は、相手コネクタ91の外部端子94(図3を参照)と接触する。なお、相手コネクタ91の外部端子94は「被接続体の第2の端子」の具体例である。
【0046】
外部導体接続部8は、外部端子6の後部に設けられている。外部導体接続部8には、同軸ケーブル81の外部導体84が圧着により接続される。外部導体接続部8は、オープンバレルであり、前後方向に伸長した基部8Aと、基部8Aの左縁および右縁から下方にそれぞれ突出した板状の二対の突片8Bとを有している。外部導体接続部8と外部導体84とを互いに接続するときには、外部導体84の端部を外部導体接続部8の各対の突片8B間に配置した後、圧着工具により外部導体接続部8を加締める。
【0047】
シース圧着部9は、外部端子6において外部導体接続部8よりも後ろ側の部分に設けられている。シース圧着部9には同軸ケーブル81のシース85が圧着される。シース圧着部9は、オープンバレルであり、前後方向に伸長した基部9Aと、基部9Aの左縁および右縁から下方にそれぞれ突出した板状の一対の突片9Bとを有している。シース85をシース圧着部9に圧着するときには、シース85の端部をシース圧着部9の一対の突片9B間に配置した後、圧着工具によりシース圧着部9を加締める。
【0048】
連結部10は、外部端子6において外部接触部7と外部導体接続部8との間に設けられ、外部接触部7と外部導体接続部8とを連結している。また、連結部10には、上部および下部が開口した開放部11が設けられている。開放部11における上部および下部の開口は互いに対向している。図2中の11Aが開放部11における上部の開口であり、図5(A)中の11Bが開放部11における下部の開口である。開放部11は、内部導体接続部4を加締めて内部導体接続部4と内部導体82とを圧着するための圧着工具を挿入するための部分である。また、連結部10において開放部11の左側の部分および右側の部分には、上下前後方向に拡がる平板状の左壁部12および右壁部13がそれぞれ形成されている。左壁部12および右壁部13のそれぞれの上縁は同軸端子1の軸心(内部導体接続部4の軸心)と平行に伸長している。また、連結部10において開放部11よりも前側の部分には、左壁部12および右壁部13のそれぞれの前部を互いに結合しつつ前方に伸長した後、外部接触部7の後ろ上部に結合する前伸長部14が形成されている。また、連結部10において開放部11よりも後ろ側の部分には、左壁部12および右壁部13のそれぞれの後部を互いに結合しつつ後方に伸長した後、外部導体接続部8の基部8Aの前端に結合する後ろ伸長部15が形成されている。なお、左壁部12は「開放部の左側壁部」の具体例であり、右壁部13は「開放部の右側壁部」の具体例である。
【0049】
図4に示すように、内部接触部3は絶縁部材5の内周側に配置され、また、内部接触部3および絶縁部材5は外部接触部7の内周側に配置されている。内部接触部3および外部接触部7は互いに同軸に配置されている。内部導体接続部4は、絶縁部材5から後方に突出しており、開放部11内に配置されている。内部導体接続部4は、連結部10の左壁部12と右壁部13との間の左右方向中央に位置している。また、調整部材20は外部端子6の連結部10に取り付けられている。また、同軸ケーブル81の絶縁体83の端部は開放部11内の後部に位置している。また、同軸ケーブル81の外部導体の端部は、連結部10において開放部11よりも後ろ側の部分(後ろ伸長部15の下側)に位置している。
【0050】
ハウジング62およびリテーナ70はそれぞれ、樹脂(例えば、PBT:ポリブチレンテレフタレート)等の絶縁材料により形成されている。図2および3に示すように、ハウジング62は四角筒状に形成され、ハウジング62の前部には、相手コネクタ91のハウジング95に形成された嵌合穴96内に嵌合される嵌合部63が設けられている。また、ハウジング62の後部には、同軸コネクタ61を相手コネクタ91に対して抜き差しする際に利用者が同軸コネクタ61を把持する把持部64が設けられている。また、ハウジング62の内部には、同軸端子1を収容する端子収容部65が設けられている。
【0051】
同軸端子1は、図3に示すように、ハウジング62の前端において径方向内向きに突出した環状凸部66、ハウジング62の内部に設けられたランス67、およびハウジング62に装着されたリテーナ70によりハウジング62に支持されている。すなわち、外部端子6の外部接触部7の前端の周縁部が環状凸部66に当接している。また、ランス67の前端67Aが外部端子6の連結部10の前伸長部14の後端上部に当接している。また、リテーナ70がハウジング62の後ろ下部に後方から挿入され、リテーナ70の前端70Aが外部端子6の連結部10の下部後端に当接している。リテーナ70は、当該リテーナ70に形成された係止凸部71が、ハウジング62の後ろ下部に形成された係止穴68内に入ることにより、ハウジング62に係止されている。
【0052】
(調整部材の構成)
図5(A)および5(B)は、同軸端子1を概ねその右下から見た状態を示し、詳しくは、図5(A)は、調整部材20が外部端子6に取り付けられる前の状態を示し、図5(B)は、調整部材20が外部端子6に取り付けられた後の状態を示している。図6は調整部材20を前右上から見た状態を示し、図7は調整部材20を上から見た状態を示し、図8は調整部材20を前から見た状態を示している。図9は、図8中の切断線IX-IXに沿って切断した調整部材20の断面を右(図9においては左)から見た状態を示している。図10は、図9中の切断線X-Xに沿って切断した調整部材20の断面を後ろ(図9においては左)から見た状態を示している。
【0053】
調整部材20は、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを調整する部材である。調整部材20は、図5(A)および5(B)に示すように、外部端子6において開放部11が設けられている部分、すなわち、連結部10に下方から取り付けられている。
【0054】
調整部材20は、図6~10に示すように、導電平板部21、左板部22、右板部32、左結合部38、右結合部39、後ろ支持部40、前支持部43、およびコ字状絶縁体51を有している。調整部材20において、導電平板部21、左板部22、右板部32、左結合部38、右結合部39、後ろ支持部40および前支持部43は、金属(例えば銅合金)等の導電材料により形成されている。調整部材20のこれらの部分は、導電材料からなる板にプレス加工を施すことにより形成されている。
【0055】
導電平板部21は、前後左右方向に拡がる平板状に形成されている。また、導電平板部21の中央には、コ字状絶縁体51を導電平板部21に固定するための穴21Aが形成されている。なお、穴21Aの開口面積は、導電平板部21の上面の面積と比較して大幅に小さい。
【0056】
左板部22および右板部32はそれぞれ、上下前後方向に拡がる平板状に形成されている。左板部22および右板部32は導電平板部21の左右両側に配置され、導電平板部21は、左板部22と右板部32との間の中央に位置している。また、図10に示すように、導電平板部21の左縁と左板部22の下縁とは左結合部38を介して結合されている。左結合部38は、導電平板部21の左縁から下方に伸長した後、左方に伸長し、左板部22の下縁に至っている。また、導電平板部21の右縁と右板部32の下縁とは右結合部39を介して結合されている。右結合部39は、導電平板部21の右縁から下方に伸長した後、右方に伸長し、右板部32の下縁に至っている。左結合部38の一部および右結合部39の一部がこのように下方に伸長している結果、導電平板部21は左板部22および右板部32のそれぞれの下縁よりも高い位置にある。
【0057】
また、左板部22には、図6に示すように、左前支持片23、左後ろ支持片24、および左接触片25がそれぞれ一体形成されている。左前支持片23は、左板部22の前部の上下方向略中央に配置され、左板部22よりも右方(内側)に張り出している。左後ろ支持片24は、左板部22の後部の上下方向略中央に配置され、左板部22よりも右方に張り出している。左接触片25は、左板部22の前後方向略中央部に配置され、左板部22から右方に突出している。右板部32にも、左前支持片23、左後ろ支持片24および左接触片25と左右対称に、右前支持片33、右後ろ支持片34および右接触片35がそれぞれ形成されている。また、左板部22の上部の右面(内面)には、左板部22の上端部22Aを右方(内側)に折り曲げ易くするための溝26が形成されている。右板部32の上部の左面にも、図8に示すように、右板部32の上端部32Aを左方に折り曲げ易くするための溝36が形成されている。また、溝26および溝36はそれぞれ導電平板部21の上面と平行に前後方向に伸長している。溝26が導電平板部21の上面と平行に伸長しているので、左板部22の上端部22Aが溝26に沿うように折れ曲がったとき、その折れ曲がった部分の折れ線は導電平板部21の上面と平行になる。同様に、溝36が導電平板部21の上面と平行に伸長しているので、右板部32の上端部32Aが溝36に沿うように折れ曲がったとき、その折れ曲がった部分の折れ線は導電平板部21の上面と平行になる。
【0058】
後ろ支持部40は、図6~9に示すように、後ろ梁部41、および一対の突片42を有している。後ろ梁部41は、板状に形成され、導電平板部21の後縁の左右方向中央部に結合されている。後ろ梁部41は、導電平板部21の後縁から下方に伸長した後、若干上方に傾斜しつつ後方に伸長している。一対の突片42は、それぞれ板状に形成され、後ろ梁部41の後端部の左縁および右縁から上方にそれぞれ突出している。後ろ梁部41の後端部および一対の突片42によりオープンバレルの如き構造が形成されている。また、後ろ梁部41は、上下方向に弾性変形することができ、ばね性を有している。後ろ支持部40は、後ろ伸長部15の弾性変形により、図9中に破線で示したように下方に変位することができる。
【0059】
前支持部43は、前梁部44および一対の当接片45を有している。前梁部44は、板状に形成され、導電平板部21の前縁の左右方向中央部に結合されている。前梁部44は、導電平板部21の前縁から下方に伸長した後、若干上方に傾斜しつつ前方に伸長している。一対の当接片45は、それぞれ板状に形成され、前梁部44の前端部の左縁および右縁から、上方に湾曲しつつ左方および右方にそれぞれ伸長している。また、前梁部44は、上下方向に弾性変形することができ、ばね性を有している。前支持部43は、前梁部44の弾性変形により、図9中に破線で示したように下方に変位することができる。
【0060】
(調整部材の取付・配置)
図11は、図4中の切断線XI-XIに沿って切断した同軸端子1の断面を後ろ(図4においては左)から見た状態を示している。図12は、図4中の切断線XII-XIIに沿って切断した同軸端子1の断面を後ろ(図4においては左)から見た状態を示している。
【0061】
調整部材20が図5(B)に示すように外部端子6に取り付けられた状態では、図11に示すように、外部端子6の連結部10が、調整部材20の左板部22と右板部32との間に配置され、また、調整部材20の導電平板部21が、開放部11内に配置されている。また、導電平板部21は、内部導体接続部4の下方に配置されている。また、導電平板部21は、その前後左右方向に拡がった上面が、前後方向に伸長した内部導体接続部4と平行となるように配置されている。また、内部導体接続部4は導電平板部21の左右方向中央の上方に位置している。
【0062】
また、導電平板部21は、開放部11内において、前後方向かつ左右方向に広範囲に拡がるように形成されている。本実施形態において、図4に示すように、導電平板部21の後縁は、当該導電平板部21の後縁が同軸ケーブル81の絶縁体83の端部等と干渉することを避けることを考慮しつつ、開放部11の後端にできる限り接近するように後方に伸長している。また、導電平板部21の前縁は、前梁部44を曲げ加工することができるようにすることを考慮しつつ、開放部11の前端(絶縁部材5の後面)にできる限り接近するように前方に伸長している。また、図11に示すように、導電平板部21の左縁は、左結合部38を曲げ加工することができるようにすることを考慮しつつ、左壁部12の右面にできる限り接近するように左方に伸長している。また、導電平板部21の右縁は、右結合部39を曲げ加工することができるようにすることを考慮しつつ、右壁部13の左面にできる限り接近するように右方に伸長している。
【0063】
また、図11に示すように、左板部22は連結部10の左壁部12よりも左側(外側)に配置され、右板部32は連結部10の右壁部13よりも右側(外側)に配置されている。また、左板部22の上端部22Aは、左板部22の右面に形成された溝26に沿って右方におよそ90度折り曲げられ、塑性変形している。また、右板部32の上端部32Aは、右板部32の左面に形成された溝36に沿って左方におよそ90度折り曲げられ、塑性変形している。連結部10の左壁部12は、左板部22の折り曲げられた上端部22Aと左結合部38との間に上下方向に挟まれている。また、連結部10の右壁部13は、右板部32の折り曲げられた上端部32Aと右結合部39との間に上下方向に挟まれている。
【0064】
また、左板部22の左前支持片23および左後ろ支持片24は連結部10の左壁部12の左面(外面)に当接し、右板部32の右前支持片33および右後ろ支持片34は連結部10の右壁部13の右面(外面)に当接している。これにより、調整部材20の連結部10に対する左右方向の位置ずれおよびがたつきが抑えられている。また、左板部22の左接触片25は連結部10の左壁部12の左面に接触し、右板部32の右接触片35は連結部10の右壁部13の右面に接触している。これにより、導電平板部21は外部端子6と電気的に接続されている。
【0065】
また、図4に示すように、後ろ支持部40の一対の突片42は、略環状に曲げられることにより塑性変形し、外部端子6において開放部11と外部導体接続部8との間の部分、具体的には、連結部10の後ろ伸長部15、およびその下方に配置された外部導体84の端部84Aに巻き付き、これらの部分を包囲している。これにより、調整部材20が外部端子6に固定されている。また、後ろ支持部40の一対の突片42と外部導体84とが接触することにより、両者が電気的に接続されている。
【0066】
また、前支持部43の一対の当接片45は、外部端子6において外部接触部7と開放部11との間の部分の下面に当接している。具体的には、図5(A)および12に示すように、外部接触部7の後端の左下部および右下部から後方に2つの当接片接触部16がそれぞれ突出している。これら当接片接触部16は、連結部10の前伸長部14の下方に位置している。前支持部43の一対の当接片45は、図5(B)および12に示すように、これら当接片接触部16に当接している。これにより、前支持部43の一対の当接片45と当接片接触部16とが電気的に接続されている。
【0067】
また、図13(A)は、調整部材20を外部端子6に取り付ける際に、外部端子6の連結部10が調整部材20の左板部22と右板部32との間に入るように、調整部材20を連結部10の外側に配置した状態を示している。なお、図13(A)および13(B)では、説明の便宜上、絶縁部材5につき、その外形のみを二点鎖線で示している。上述したように、調整部材20において、後ろ支持部40の後ろ梁部41は若干上方に傾斜しつつ後方に伸長し、前支持部43の前梁部44は若干上方に傾斜しつつ前方に伸長している(図9を参照)。それゆえ、調整部材20を連結部10の外側に配置したとき、図13(A)に示すように、後ろ梁部41の後端が、連結部10の後ろ伸長部15の下方に配置された外部導体84の端部84Aに下から接触し、前梁部44の前端部に設けられた各当接片45が当接片接触部16に下から接触する。
【0068】
また、図13(B)は、図13(A)に示す状態から、調整部材20の左板部22の上端部22Aを溝26に沿うように右方に折り曲げ、かつ調整部材20の右板部32の上端部32Aを溝36に沿うように左方に折り曲げた状態を示している。図13(A)の状態から、調整部材20の左板部22の上端部22Aを溝26に沿うように右方に折り曲げ、かつ調整部材20の右板部32の上端部32Aを溝36に沿うように左方に折り曲げると、折り曲げられた左板部22の上端部22Aが連結部10の左壁部12の上縁に当たり、かつ、折り曲げられた右板部32の上端部32Aが連結部10の右壁部13の上縁に当たる(図11を参照)。これにより、図13(B)に示すように、調整部材20が押し上げられ、調整部材20が外部端子6の連結部10に対して上方に移動する。調整部材20が連結部10に対して上方に移動することにより、調整部材20の後ろ支持部40の後ろ梁部41の後端が外部導体84の端部84Aに押される。これにより、後ろ梁部41の後端が導電平板部21に対して下方に変位するように、後ろ梁部41が弾性変形する。また、調整部材20が連結部10に対して上方に移動することにより、調整部材20の前支持部43の各当接片45が当接片接触部16に押される。これにより、前梁部44の前端が導電平板部21に対して下方に変位するように、前梁部44が弾性変形する。
【0069】
このように後ろ梁部41および前梁部44が弾性変形することにより、図13(B)中の矢印Pが示すような押圧力が調整部材20から外部端子6等に加わる。すなわち、外部導体接続部8に圧着された外部導体84の端部84Aが後ろ梁部41の後端により上方に押圧される。また、2つの当接片接触部16が一対の当接片45により上方に押圧される。また、左壁部12の上縁が、折り曲げられた左板部22の上端部22Aにより下方に押圧される。また、右壁部13の上縁が、折り曲げられた右板部32の上端部32Aにより下方に押圧される。また、折り曲げられた左板部22の上端部22Aと左壁部12の上縁とが互いに押し合うことにより、折り曲げられた左板部22の上端部22Aが左壁部12の上縁に線接触または面接触し、折り曲げられた左板部22の上端部22Aと左壁部12の上縁とが互いに平行になる。同様に、折り曲げられた右板部32の上端部32Aと右壁部13の上縁とが互いに押し合うことにより、折り曲げられた右板部32の上端部32Aが右壁部13の上縁に線接触または面接触し、折り曲げられた右板部32の上端部32Aと右壁部13の上縁とが互いに平行になる。左壁部12および右壁部13のそれぞれの上縁は同軸端子1の軸心と平行に伸長しているので、折り曲げられた左板部22の上端部22Aと左壁部12の上縁とが互いに平行になり、かつ折り曲げられた右板部32の上端部32Aと右壁部13の上縁とが互いに平行になることにより、導電平板部21の上面が同軸端子1の軸心と平行になり、その結果、導電平板部21の上面が内部導体接続部4の軸心と平行になる。
【0070】
調整部材20を外部端子6に取り付ける際には、このように、調整部材20を連結部10の外側に配置し、左板部22の上端部22Aおよび右板部32の上端部32Aをそれぞれ折り曲げた後、図4に示すように、後ろ支持部40の一対の突片42を、連結部10の後ろ伸長部15、およびその下方に配置された外部導体84の端部84Aに巻き付ける。これにより、調整部材20が外部端子6に固定される。また、このように調整部材20が外部端子6に固定されることにより、導電平板部21の上面と内部導体接続部4の軸心とが互いに平行な状態が保持される。
【0071】
また、図11に示すように、調整部材20が外部端子6の連結部10に取り付けられた状態において、導電平板部21は内部導体接続部4に接近している。内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1は、後述するように、所定の値に設定されている。内部導体接続部4は連結部10の左壁部12と右壁部13との間の左右方向中央に位置しているので、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2と、内部導体接続部4と右壁部13との間の距離D3は互いに等しい。また、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1は、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2、および内部導体接続部4と右壁部13との間の距離D3のいずれよりも小さい。
【0072】
なお、導電平板部21は「導電平板」の具体例である。左板部22および左結合部38は「第1の支持部」の具体例であり、右板部32および右結合部39は「第2の支持部」の具体例である。また、左板部22の上端部22Aは「第1の壁部上縁接触部」の具体例であり、右板部32の上端部32Aは「第2の壁部上縁接触部」の具体例である。また、後ろ支持部40は「第3の支持部」の具体例であり、前支持部43は「第4の支持部」の具体例である。また、後ろ梁部41は「第1の梁部」の具体例であり、前梁部44は「第2の梁部」の具体例である。
【0073】
(コ字状絶縁体)
コ字状絶縁体51は、樹脂(例えばPPS)等の絶縁材料により形成されている。例えば、コ字状絶縁体51はインサート成形により導電平板部21等と一体形成されている。コ字状絶縁体51は、図7および8に示すように、導電平板部21上に配置され、導電平板部21と共に開放部11内に配置されている。なお、コ字状絶縁体51の配置を明確に示すために、図2~11および13において、コ字状絶縁体51にドットパターンが付されている。
【0074】
コ字状絶縁体51は、その横断面形状が、上方が開放されたコ字状に形成されている。コ字状絶縁体51は、直方体のブロックの上面の左右方向中央に、前後方向に伸長した横断面四角形の溝を形成したような形状である。コ字状絶縁体51は、前後左右方向に拡がる平板状の底部52(図8において二点鎖線で囲まれた部分)と、底部52の左部および右部からそれぞれ上方に伸長した2つの側部53を有し、底部52の上方において2つの側部53の間には空間が設けられている。また、コ字状絶縁体51の底部52の下側には、図9および10に示すように、コ字状絶縁体51を導電平板部21に固定するための固定部54が形成されている。固定部54は、導電平板部21の中央に形成された穴21Aを介して底部52と連結している。
【0075】
調整部材20が図5(B)に示すように外部端子6に取り付けられた状態において、コ字状絶縁体51の底部52は、図11に示すように、内部導体接続部4と導電平板部21との間に介在している。また、コ字状絶縁体51の左の側部53は内部導体接続部4と左壁部12との間に介在し、コ字状絶縁体51の右の側部53は内部導体接続部4と右壁部13との間に介在している。
【0076】
図4に示すように、コ字状絶縁体51の底部52および各側部53の前面は、導電平板部21の前縁よりも前方に位置しており、開放部11の前端(絶縁部材5の後面)に接近している。また、底部52および各側部53の後面は、導電平板部21の後縁に接近している。また、図11に示すように、左右方向において、底部52および左の側部53の左面は、導電平板部21の左縁と略同じ位置であり、連結部10の左壁部12に接近している。また、左右方向において、底部52および右の側部53の右面は、導電平板部21の右縁と略同じ位置であり、連結部10の右壁部13に接近している。また、底部52の下面は導電平板部21の上面に接触している。また、底部52の上面は内部導体接続部4に接近している。また、左の側部53の右面および右の側部53の左面はそれぞれ、内部導体接続部4に接近している。また、図11中のH1はコ字状絶縁体51の各側部53の上端の位置を示し、図11中のH2は内部導体接続部4の上端の位置を示している。H1、H2が示すように、コ字状絶縁体51の各側部53の上端は内部導体接続部4の上端よりも上方に位置している。また、図10に示すコ字状絶縁体51の幅(左右方向の長さ)W1、すなわち、コ字状絶縁体51の底部52の幅は、図11に示す内部導体接続部4の幅W2よりも大きい。
【0077】
また、図10および11において、コ字状絶縁体51の底部52の上下方向の厚さT1は、内部導体接続部4と導電平板部21との間の空間を底部52により埋めるように、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1と等しい値に設定することが理想である。しかしながら、調整部材20を外部端子6に取り付けるときにコ字状絶縁体51が内部導体接続部4に接触して、内部導体接続部4の位置をずらしてしまうことを防ぐために、コ字状絶縁体51の底部52の上下方向の厚さT1は、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1よりも若干小さい値に設定されている。また、コ字状絶縁体51の左の側部53の左右方向の厚さT2は、内部導体接続部4と左壁部12との間の空間を側部53により埋めるように、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2と等しい値に設定することが理想である。しかしながら、調整部材20を外部端子6に取り付けるときにコ字状絶縁体51が内部導体接続部4に接触して、内部導体接続部4の位置をずらしてしまうことを防ぐために、コ字状絶縁体51の左の側部53の左右方向の厚さT2は、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2よりも若干小さい値に設定されている。同様に、コ字状絶縁体51の右の側部53の左右方向の厚さT3は、内部導体接続部4と右壁部13との間の距離D3よりも若干小さい値に設定されている。コ字状絶縁体51の右の側部53の左右方向の厚さT3は、コ字状絶縁体51の左の側部53の左右方向の厚さT2と等しい。また、コ字状絶縁体51において、各側部53の左右方向の厚さT2、T3は、底部52の上下方向の厚さT1よりも厚い。
【0078】
(調整部材の機能)
調整部材20は、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを調整する機能を有している。同軸端子1において、内部導体82が圧着された内部導体接続部4、導電平板部21およびコ字状絶縁体51により、マイクロストリップラインと同等の構造が形成されている。これにより、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを、同軸ケーブル81の特性インピーダンスに近づけるように調整することができる。
【0079】
すなわち、図11に示すように、開放部11内に配置されている内部導体接続部4の下方に導電平板部21が配置され、導電平板部21が内部導体接続部4に接近している。また、導電平板部21は前後左右方向に拡がる平板状に形成されており、内部導体接続部4と平行に配置されている。また、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1と比較して、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2および内部導体接続部4と右壁部13との間の距離D3はいずれも大幅に大きい(本実施形態においては距離D2、D3はそれぞれ距離D1の2倍以上である)。また、導電平板部21は、導電材料により形成され、左接触片25、右接触片35、後ろ支持部40および前支持部43を介して外部端子6(外部導体84)と電気的に接続されている。また、コ字状絶縁体51の底部52は、内部導体接続部4と導電平板部21との間に介在している。このような構造において、内部導体接続部4は一般のマイクロストリップラインにおける信号線路に相当し、導電平板部21は一般のマイクロストリップラインにおけるグランドプレーンに相当し、コ字状絶縁体51の底部52は一般のマイクロストリップラインの絶縁基板に相当する。この構造において、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1を所定の値に設定することにより、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを下げることができ、当該特性インピーダンスを同軸ケーブル81の特性インピーダンスに近づけることができる。
【0080】
さらに、同軸端子1において、コ字状絶縁体51は横断面コ字状に形成され、コ字状絶縁体51の左の側部53が内部導体接続部4と左壁部12との間に介在し、コ字状絶縁体51の右の側部53が内部導体接続部4と右壁部13との間に介在している。この構成により、内部導体接続部4と左壁部12との間の部分の誘電率、および内部導体接続部4と右壁部13との間の誘電率を、空気の誘電率と比較してそれぞれ大きくすることができる。これにより、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスをさらに下げることができ、当該特性インピーダンスを同軸ケーブル81の特性インピーダンスにさらに近づけることができる。
【0081】
内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1の上記所定の値は、内部導体接続部4の幅W2およびコ字状絶縁体51の比誘電率等を考慮してシミュレーションまたは実験により定めることができる。
【0082】
同軸端子1の前部(内部接触部3と外部接触部7とが絶縁部材5を介して同軸に配置されている部分)の特性インピーダンスは同軸ケーブルの特性インピーダンス(例えば50Ω)と略等しい。調整部材20により、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを下げることによって、同軸端子1の各所の特性インピーダンスを50Ωに略揃えることができ、同軸端子1の各所において、同軸ケーブル81とのインピーダンスの不整合の度合いを小さくすることができる。これにより、同軸端子1を介して高周波信号を伝送するに当たり、信号の反射を十分に抑制することができ、信号の伝送特性を向上させることができる。
【0083】
ここで、図18(B)に示す従来の同軸端子401、図14に示す比較例としての同軸端子501、および本発明の実施形態の同軸端子1につき、同軸端子において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを比較する。
【0084】
図14は比較例としての同軸端子501を示している。同軸端子501の調整部材502は、同軸端子1の調整部材20におけるコ字状絶縁体51に代えて、平板状に形成された平板状絶縁体503を有している。平板状絶縁体503は、コ字状絶縁体51から2つの側部53を取り除き、底部52のみにしたものである。この点を除き、同軸端子501は同軸端子1と同じである。
【0085】
図15は、従来の同軸端子401、比較例としての同軸端子501、および本実施形態の同軸端子1のそれぞれに測定用の信号波を入力してTDR測定(Time Domain Reflectometry)を行った結果を示している。図15において、横軸は、同軸端子401、501、1のそれぞれに信号波を入力してからの経過時間であり、縦軸は特性インピーダンスである。また、図15において、破線は従来の同軸端子401の特性インピーダンスを示し、二点鎖線は比較例の同軸端子501の特性インピーダンスを示し、実線は本実施形態の同軸端子1の特性インピーダンスを示している。TDR測定によれば、同軸端子401、501、1のそれぞれに信号波を入力してからの経過時間に基づいて、同軸端子401、501、1のそれぞれの各所の特性インピーダンスを測定することができる。図15において、経過時間がt[ms]のときの特性インピーダンスは、同軸端子401、501、1のそれぞれにおいて、開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを示している。
【0086】
図15から、従来の同軸端子401において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスよりも、比較例としての同軸端子501において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスの方が低く、同軸ケーブル81の特性インピーダンスである50Ωに近いことがわかる。また、比較例としての同軸端子501において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスよりも、本実施形態の同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスの方が低く、50Ωに近いことがわかる。また、従来の同軸端子401において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスと、比較例としての同軸端子501において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスとの差と比較して、比較例としての同軸端子501において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスと、本実施形態の同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスとの差が大幅に大きいことがわかる。総じて、本実施形態の同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスは、従来の同軸端子401において開放部が設けられている部分の特性インピーダンス、および比較例としての同軸端子501において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスのいずれよりも、50Ωに大きく接近していることがわかる。
【0087】
以上説明した通り、本発明の実施形態の同軸端子1においては、外部端子6の連結部10に、導電平板部21およびコ字状絶縁体51を有する調整部材20を取り付けることにより、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを同軸ケーブル81の特性インピーダンスに近づけることができる。特に、調整部材20に設ける絶縁体を、横断面形状がコ字状のコ字状絶縁体51とすることにより、従来の同軸端子401および比較例としての同軸端子501のそれぞれと比較して、同軸端子において開放部が設けられている部分の特性インピーダンスを同軸ケーブルの特性インピーダンスに大きく近づけることができる。同軸端子における各所の特性インピーダンスが同軸ケーブルの特性インピーダンスに近ければ近いほど、同軸端子における高周波信号の反射を抑える効果が高まり、同軸端子を介して良好な伝送特性により伝送し得る高周波信号の周波数範囲の上限を高めることができる。本実施形態の同軸端子1によれば、例えば2.5GHzの周波数を有する高周波信号についてはもちろんのこと、例えば5~6GHzの周波数を有する高周波信号についても、信号の反射を十分に抑制することができ、信号の良好な伝送特性を得ることができる。すなわち、本実施形態の同軸端子1によれば、同軸端子1を介して良好な伝送特性により伝送し得る高周波信号の周波数範囲の上限を高めることができる。
【0088】
また、本実施形態の同軸端子1において、調整部材20を外部端子6に取り付けるとき、調整部材20の左板部22および右板部32の上端部22A、32Aを折り曲げ、また、後ろ支持部40の一対の突片42を、連結部10の後ろ伸長部15、およびその下方に配置された外部導体84の端部84Aに巻き付ける。また、後ろ梁部41および前梁部44がそれぞれ弾性変形する。しかしながら、調整部材20の左板部22および右板部32の上端部22A、32Aの折り曲げ、後ろ支持部40の一対の突片42の巻き付け、並びに、後ろ梁部41および前梁部44の弾性変形によって、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1が製品毎にばらつくことはほとんどない。したがって、本実施形態の同軸端子1によれば、導電平板部21と内部導体接続部4との間の距離D1を製品毎に均一にすることができる。よって、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスが製品毎にばらつくことを抑制することができる。
【0089】
また、本実施形態の同軸端子1において、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1は、内部導体接続部4と連結部10の左壁部12との間の距離D2、および内部導体接続部4と連結部10の右壁部13との間の距離D3のいずれよりも小さい。このように、導電平板部21を内部導体接続部4に接近させる一方で、左壁部12および右壁部13を内部導体接続部4からそれぞれ離間させることで、内部導体接続部4、導電平板部21およびコ字状絶縁体51からなる、マイクロストリップラインと同等の構造を形成することができる。具体的には、このように構成することにより、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを下げるためのファクタまたはパラメータとして、内部導体接続部4の幅W2、内部導体接続部4と導電平板部21との距離D1、およびコ字状絶縁体51の比誘電率が支配的になる。それゆえ、内部導体接続部4の幅W2およびコ字状絶縁体51の比誘電率を考慮して内部導体接続部4と導電平板部21との距離D1を設定することで、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを容易に制御することができ、その特性インピーダンスを例えば50Ωに容易に近づけることができる。
【0090】
また、本実施形態の同軸端子1のコ字状絶縁体51においては、各側部53の左右方向の厚さT2、T3が、底部52の上下方向の厚さT1よりも厚い。コ字状絶縁体51をこのような形状とすることにより、内部導体接続部4と左壁部12との間、内部導体接続部4と右壁部13との間、および内部導体接続部4と導電平板部21との間のそれぞれにおいて、コ字状絶縁体51が占める割合を増やすことができる。これにより、比誘電率の異なる複数の絶縁材料の中からコ字状絶縁体51に用いる絶縁材料を選択することによって、内部導体接続部4と左壁部12との間、内部導体接続部4と右壁部13との間、および内部導体接続部4と導電平板部21との間のそれぞれ誘電率を容易に制御することができる。それゆえ、同軸端子1において開放部11が設けられている部分の特性インピーダンスを50Ωに近づけることが容易になる。
【0091】
また、本実施形態の同軸端子1のコ字状絶縁体51においては、各側部53の上端が内部導体接続部4の上端よりも上方に位置している。このように構成することにより、内部導体接続部4と左壁部12との間、および内部導体接続部4と右壁部13との間のそれぞれにおいて、コ字状絶縁体51が占める割合を増やすことができる。この構成によっても、比誘電率の異なる複数の絶縁材料の中からコ字状絶縁体51に用いる絶縁材料を選択することによって、内部導体接続部4と左壁部12との間、内部導体接続部4と右壁部13との間、および内部導体接続部4と導電平板部21との間のそれぞれ誘電率を容易に制御することが可能になる。
【0092】
また、本実施形態の同軸端子1においては、導電平板部21が開放部11内に配置されている。この構成により、内部導体接続部4と左壁部12との間の距離D2、および内部導体接続部4と右壁部13との間の距離D3のそれぞれと比較して、内部導体接続部4と導電平板部21との間の距離D1を小さくすることができる。これにより、内部導体接続部4、導電平板部21およびコ字状絶縁体51からなる、マイクロストリップラインと同等の構造を形成することができる。
【0093】
また、本実施形態の同軸端子1の調整部材20は、左板部22の上端部22Aと左結合部38との間に連結部10の左壁部12を上下方向に挟む構造、右板部32の上端部32Aと右結合部39との間に連結部10の右壁部13を上下方向に挟む構造、後ろ支持部40の一対の突片42を連結部10の後ろ伸長部15、およびその下方に配置された外部導体84の端部84Aに巻き付ける構造、および前支持部43の一対の当接片45を2つの当接片接触部16にそれぞれ当接させる構造を有している。これらの構造により、導電平板部21が内部導体接続部4と平行となるように、調整部材20を外部端子6に取り付けることができる。これにより、内部導体接続部4の前部と導電平板部21の前部との間の距離と、内部導体接続部4の後部と導電平板部21の後部との間の距離とを互いに等しくすることができる。したがって、同軸端子1において開放部11が設けられている範囲内において特性インピーダンスの均一性を高めることができる。
【0094】
また、本実施形態の同軸端子1の調整部材20においては、折り曲げられた左板部22の上端部22Aが連結部10の左壁部12の上縁に線接触または面接触する構造、折り曲げられた右板部32の上端部32Aが連結部10の右壁部13の上縁に線接触または面接触する構造、後ろ梁部41がその弾性変形により外部導体接続部8に圧着された外部導体84の端部84Aを上方に押圧する構造、前梁部44の弾性変形により一対の当接片45が2つの当接片接触部16を上方にそれぞれ押圧する構造を有している。これらの構造により、内部導体接続部4と平行である導電平板部21の配置を保持することができる。例えば、同軸端子1が設けられた同軸コネクタ61の使用中に、導電平板部21が内部導体接続部4に対して前傾または後傾することを抑制することができる。特に、調整部材20の後部に後ろ梁部41を設け、調整部材20の前部に前梁部44を設け、導電平板部21の後方の位置と前方の位置の双方で外部端子6(または外部導体84)を上方に押圧する構造としたことにより、折り曲げられた左板部22の上端部22Aおよび折り曲げられた右板部32の上端部32Aを、左壁部12の上縁および右壁部13の上縁にそれぞれ確実に線接触または面接触させることができ、よって、導電平板部21の内部導体接続部4に対する前傾または後傾を抑制する効果を高めることができる。
【0095】
なお、上記実施形態では、コ字状絶縁体51を形成する絶縁材料としてPPSを例にあげたが、コ字状絶縁体51を形成する絶縁材料として、例えばLCP(液晶ポリマ)等の他の絶縁材料を用いることができる。
【0096】
また、上記実施形態では、調整部材20の後ろ支持部40の一対の突片42を、連結部10の後ろ伸長部15、およびその下方に配置された外部導体84の端部84Aに巻き付ける場合を例にあげたが、後ろ支持部40の一対の突片42を外部導体接続部8の外周側に巻き付けてもよい。また、上記実施形態では、調整部材20の前支持部43の一対の当接片45を2つの当接片接触部16にそれぞれ当接させる場合を例にあげたが、前支持部43の一対の当接片45を、外部接触部7の後部の他の部分、または外部端子6において外部接触部7と開放部11との間の部分に下から当接させてもよい。
【0097】
なお、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う同軸端子もまた本発明の技術思想に含まれる。
【符号の説明】
【0098】
1 同軸端子
2 内部端子
3 内部接触部
4 内部導体接続部
5 絶縁部材
6 外部端子
7 外部接触部
8 外部導体接続部
10 連結部
11 開放部
12 左壁部(開放部の左側壁部)
13 右壁部(開放部の右側壁部)
14 前伸長部
15 後ろ伸長部
16 当接片接触部
20 調整部材
21 導電平板部(導電平板)
22 左板部(第1の支持部)
22A 上端部(第1の壁部上縁接触部)
32 右板部(第2の支持部)
32A 上端部(第2の壁部上縁接触部)
38 左結合部(第1の支持部)
39 右結合部(第2の支持部)
40 後ろ支持部(第3の支持部)
41 後ろ梁部(第1の梁部)
42 突片(第3の支持部)
43 前支持部(第4の支持部)
44 前梁部(第2の梁部)
45 当接片(第4の支持部)
51 コ字状絶縁体
52 底部
53 側部
81 同軸ケーブル
82 内部導体
84 外部導体
91 相手コネクタ(被接続体)
92 内部端子(被接続体の第1の端子)
94 外部端子(被接続体の第2の端子)
図1
図2
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