(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054602
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】積層体の製造装置、モーターコアの製造システム、および、積層体の製造方法
(51)【国際特許分類】
B21D 28/02 20060101AFI20240410BHJP
B32B 39/00 20060101ALI20240410BHJP
B32B 37/10 20060101ALI20240410BHJP
B21D 43/22 20060101ALI20240410BHJP
H02K 15/02 20060101ALI20240410BHJP
H01F 41/02 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B21D28/02 F
B32B39/00
B32B37/10
B21D43/22 D
H02K15/02 E
H01F41/02 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160924
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000144038
【氏名又は名称】株式会社三井ハイテック
(74)【代理人】
【識別番号】110001416
【氏名又は名称】弁理士法人信栄事務所
(72)【発明者】
【氏名】作田 涼
【テーマコード(参考)】
4F100
5E062
5H615
【Fターム(参考)】
4F100EJ321
4F100EK03
4F100GB41
5E062AC02
5E062AC11
5H615AA01
5H615BB01
5H615SS05
(57)【要約】
【課題】配置の自由度が向上したモーターコアの積層体の製造装置およびモーターコアの製造システムを提供する。
【解決手段】本発明の積層体W2の製造装置1は、上型と下型12とにより打抜加工を行う金型部10と、床FLへの接地面を備え、前記下型12を支持する基台20と、前記上型と前記下型12とにより打ち抜かれたワークを下方から支持する支持部30と、を備え、前記支持部30の下端部301は、前記基台20の前記接地面と同じかそれよりも上方に、かつ、前記下型12の上面121よりも下方に配置されている。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上型と下型とにより打抜加工を行う金型部と、
床への接地面を備え、前記下型を支持する基台と、
前記上型と前記下型とにより打ち抜かれたワークを下方から支持する支持部と、を備え、
前記支持部の下端部は、前記基台の前記接地面と同じかそれよりも上方に、かつ、前記下型の上面よりも下方に配置されている、
積層体の製造装置。
【請求項2】
前記基台の前記接地面と同じかそれよりも上方、かつ、前記下型の上面よりも下方の高さに足場が設けられている、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項3】
前記接地面の高さから前記足場の上面に至る階段が設けられている、
請求項2に記載の積層体の製造装置。
【請求項4】
打ち抜かれた前記ワークを前記接地面よりも上方かつ前記足場よりも下方の高さまで降下させる昇降部を備える、
請求項2に記載の積層体の製造装置。
【請求項5】
前記昇降部は、その少なくとも一部の側面が前記足場で囲われている、
請求項4に記載の積層体の製造装置。
【請求項6】
前記昇降部によって降下された前記ワークを搬送する搬送路の少なくとも一部が、前記足場の下方に設けられている、
請求項4に記載の積層体の製造装置。
【請求項7】
前記金型部の少なくとも上方と側方とを覆うように設けられた防音壁を備え、
前記防音壁には前記積層体が通過可能な開口が設けられている、
請求項1に記載の積層体の製造装置。
【請求項8】
請求項1~7のいずれか一項に記載の積層体の製造装置と、
前記積層体に打抜後処理を行う打抜後処理装置と、を有し、
前記積層体の製造装置と前記打抜後処理装置とは、共通かつ同じ高さの床に設置されている、
モーターコアの製造システム。
【請求項9】
請求項1に記載の製造装置を用いて行う前記積層体の製造方法。
【請求項10】
床から所定の高さにある足場に並設された金型部により、ワークが所定形状に打ち抜かれ、打ち抜かれた前記ワークが前記金型部の下型内で積層されることで、積層体が形成される積層体の製造方法であって、
前記床および下型間に配設される支持部により、前記積層体を下方から支持する積層工程と、
前記積層体を前記下型から排出する排出工程と、
前記足場より高い位置にある第一搬送路を介して、前記排出した積層体を搬送する第一搬送工程と、
前記第一搬送路に連結される第二搬送路を介して、前記積層体を下降させる第二搬送工程と、
前記第二搬送路に連結され、前記足場より低い位置にある第三搬送路を介して、前記下降させた積層体を搬送する第三搬送工程と、
を含む積層体の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層体の製造装置、モーターコアの製造システム、および、積層体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、積層体の製造方法において、積層体を下方から支える下受けパットと、下受けパットを上下方向に作動させる支持部とが設けられることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
近年、モーターコアの技術の進歩やモーターコアに要求される性能の高まりを受けて、モーターコアの製造工程のうち、打抜加工により積層体を製造する積層体製造工程の後に行われる打抜後処理工程が占める割合が増加している。打抜後処理工程の長さや理想的な配置は製品によって様々であり、これに伴い積層体の製造装置の好ましい配置場所もより頻繁に変化する。このため、積層体製造工程に係る装置においても、配置の自由度を向上させる必要がある。
【0005】
本発明は、配置の自由度が向上したモーターコアの積層体の製造装置、モーターコアの製造システム、および、積層体の製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一側面に係る積層体の製造装置は、
上型と下型とにより打抜加工を行う金型部と、
床への接地面を備え、前記下型を支持する基台と、
前記上型と前記下型とにより打ち抜かれたワークを下方から支持する支持部と、を備え、
前記支持部の下端部は、前記基台の前記接地面と同じかそれよりも上方に、かつ、前記下型の上面よりも下方に配置されている。
【0007】
本発明の一側面に係るモーターコアの製造システムは、
上記の記載の積層体の製造装置と、
前記積層体に打抜後処理を行う打抜後処理装置を有し、
前記積層体の製造装置と前記打抜後処理装置とは共通かつ同じ高さの床に設置されている。
【0008】
本発明の一側面に係る積層体の製造方法は、上記の記載の積層体の製造装置を用いて行う。
【0009】
本発明の一側面に係る積層体の製造方法は、
床から所定の高さにある足場に並設された金型部により、ワークが所定形状に打ち抜かれ、打ち抜かれた前記ワークが前記金型部の下型内で積層されることで、積層体が形成される積層体の製造方法であって、
前記床および下型間に配設される支持部により、前記積層体を下方から支持する積層工程と、
前記積層体を前記下型から排出する排出工程と、
前記足場より高い位置にある第一搬送路を介して、前記排出した積層体を搬送する第一搬送工程と、
前記第一搬送路に連結される第二搬送路を介して、前記積層体を下降させる第二搬送工程と、
前記第二搬送路に連結され、前記足場より低い位置にある第三搬送路を介して、前記下降させた積層体を搬送する第三搬送工程と、
を含む。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、配置の自由度が向上したモーターコアの積層体の製造装置、モーターコアの製造システム、および、積層体の製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、積層体の製造装置の一部の概略図である。
【
図2】
図2は、積層体の製造装置のうち下型および下型よりも下方の部分と、打抜後処理装置とを例示する。
【
図3】
図3は、積層工程に係る支持部を例示している。
【
図4】
図4は、第一搬送工程に係る支持部を例示している。
【
図5】
図5は比較例にかかる製造装置と支持部とを例示している。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態として、積層体の製造装置およびモーターコアの製造システムと、について図面を参照しながら説明する。本図面に示された各部材の寸法は、説明の便宜上、実際の各部材の寸法とは異なる場合がある。
【0013】
また、説明の便宜上、「上下方向」、「左右方向」、「前後方向」について適宜言及する。ここで、「上下方向」は、「上方向」および「下方向」を含む方向である。「左右方向」は、「右方向」と「左方向」とを含む方向である。「前後方向」とは、「前方向」と「横方向」とを示す。以降に説明する図中に示した符号Uは上方向を示す。符号Dは下方向を示す。符号Fは前方向を示す。符号Bは後方向を示す。符号Lは左方向を示す。符号Rは右方向を示す。「水平方向」は、「左右方向」および「前後方向」を含む方向である。
【0014】
図1は、積層体W2の製造装置1の一部の概略図である。
図2は、積層体W2の製造装置1のうち下型12および下型12よりも下方の部分と、打抜後処理装置5とを例示する図である。積層体W2の製造装置1は、シート状のワークW1を打ち抜いて打抜部材を形成し、打抜部材を積層させて積層体W2を製造する。打抜部材は、打ち抜かれたワークの一例である。コイル状に巻かれたワークW1は、アンコイラ2から供給され、ワークW1の巻き癖を矯正するレベラ3を介して、送り装置4により製造装置1に送られる。本実施形態においては、ワークW1が電磁鋼板であり、積層体W2は、回転電機の回転子または固定子におけるコア部であるモーターコアを製造する場合を例示している。製造装置1と打抜後処理装置5とは、モーターコアの製造システムの少なくとも一部を構成している。
【0015】
図1、
図2に示すように、製造装置1は、金型部10と、基台20と、支持部30とを備える。金型部10は、上型11と下型12を備える。ワークW1は上型11と下型12との間に送られる。上型11は、打ち抜きパンチ111を備えている。上型11は、図示しない駆動装置によって上型11が上下方向に変位するように構成されている。下型12は、上型11の下方に設けられている。下型12には、打ち抜きパンチ111の一部が挿通可能なダイ孔12aが形成されている。ワークW1が上型11と下型12との間にあるとき、打ち抜きパンチ111の一部がダイ孔12aに挿入されるように上型11が下方に変位することにより、ワークW1が打ち抜かれて打抜部材が成形される。打抜部材は、ダイ孔12aを通って下方に搬送される。
【0016】
下型12は、さらにプッシャ12bを備える。プッシャ12bは、打抜部材を積層させて製造された積層体W2を、後述する第一搬送路P1にむけて押し出す。なお、プッシャ12bが押し出す方向は、本実施形態のものと異なっていてもよい。
【0017】
基台20は、床FLと接触する脚部21と、下型12が載置される載置台22と、を備える。脚部21は、製造装置1が載置される床FLと接地する接地面を備える。脚部21は載置台22を下方から支持しており、載置台22は下型12を下方から支持している。
【0018】
支持部30は、ワークW1から打抜部材が打ち抜かれる際に打抜部材を下方から支持するように構成されている。支持部30は、打抜部材と接触して打抜部材を下方から支持するパッド31を備える。
【0019】
支持部30は、内部に油圧室を有するシリンダと、シリンダに進退可能に設けられたロッドを有している。シリンダは基台20に固定されている。ロッドの先端にはパッド31が設けられている。これにより、支持部30は、上下に伸縮するように構成されている。ロッドのシリンダからの突出長さを変えることにより、打抜部材を支持する高さを調節することができる。
【0020】
支持部30は、その下端部301が接地面よりも上方となるように設けられている。また、支持部30は、その下端部301が、下型12の上面121よりも下方となるように設けられている。換言すれば支持部30は、製造装置1が載置される床FLから浮いた状態で設けられている。
【0021】
次に、支持部30を用いた積層体W2の製造方法について説明する。
図3は、積層工程に係る支持部30を例示している。
図4は、第一搬送工程に係る支持部30を例示している。
【0022】
図3に示すように、打抜部材を作製し、積層体W2を製造している最中である積層工程において、積層体W2はダイ孔12aと接触して、積層体W2の中心軸方向に加圧されている。このとき、支持部30は、比較的伸びた状態で積層体W2を支持している。積層体W2が、その中心軸方向に加圧されている場合、積層体W2は下方にたわむように変形しやすくなるが、支持部30が下方から支持することにより、積層体W2における下方へのたわみを抑制できる。
【0023】
支持部30は、シリンダ内部の油圧を調整することでロッドの突出長さを制御し、積層された打抜部材の枚数等に応じて、支持部30の長さを変更する。例えば、パッド31上において積層された打抜部材の枚数が少ないとき、ロッドが前進して支持部30は比較的長く伸びており、パッド31上において積層された打抜部材の枚数が増加すると、ロッドが後退して支持部30が縮むように、油圧が制御される。
【0024】
打抜部材の積層が完了し積層体W2が完成したら、積層体W2は下型12のダイ孔12aから下方に排出される(排出工程)。下型12のダイ孔12aから下方に排出された積層体W2は、プッシャ12bによって前方に押し出される。プッシャ12bによって押し出された積層体W2は、第一搬送路P1(
図2参照)によってさらに前方に搬送される(第一搬送工程)。
図2に示すように、本実施形態において、第一搬送路P1によって前方に搬送された積層体W2は、第二搬送路P2を通って下方に送られる(第二搬送工程)。第二搬送路P2によって下方に搬送された積層体W2は、第三搬送路P3を通って打抜後処理装置5に送られる(第三搬送工程)。打抜後処理装置5では、積層体W2への永久磁石の埋め込み、樹脂材料のモールド、溶接、測定、検査等が行われてもよい。第一搬送路P1、第二搬送路P2、および、第三搬送路P3の詳細については後述する。
【0025】
図5は比較例にかかる製造装置と支持部30Aとを例示している。比較例に係る製造装置においても、支持部30Aによって打抜部材を下方から支持しながら打抜部材を積層できる。しかしながら、本実施形態の製造装置と比較して、比較例に係る製造装置を載置する床には掘り込みが形成されている点と、これに伴い、支持部30Aの下端部301Aが基台20Aの接地面よりも下方に設けられている点と、が異なっている。比較例に係る製造装置においては、金型のメンテナンスがしやすいように金型部10Aが作業者の背丈かそれよりも低い位置に設けられている。
【0026】
図5に示したような製造装置においては、主に金型のメンテナンス作業のしやすさを重視して、金型部10Aが地面に近い部分に設けられるように構成されることが一般的であった。このため、積層体W2を下方から支えるための支持部30Aの下端部301Aは、床に掘り込みを形成することで床よりも下方に設けられていた。
【0027】
しかし、近年は、加工工程の増加や、一つの加工工程毎に検査工程を実施するなど、製造システムにおいて打抜後処理装置が占める割合が増加している。また、製造対象の積層体W2の仕様が変われば、打抜後処理装置の配置や長さも変わる。このため、積層体W2の製造装置においても打抜後処理装置との兼ね合いも考慮して配置換えしやすいように構成される必要がある。しかしながら、比較例のように支持部30Aを配置するための掘り込みがあると積層体W2の製造装置があった場所に別の装置を配置しづらい。また、積層体W2の製造装置を新たに設ける場所には新たに掘り込みを形成する必要がある。このように、積層体W2の製造装置に対して、金型へのアクセス性の良さよりも、製造装置の配置換えの自由度を向上することが望まれつつあった。
【0028】
本実施形態の製造装置1は、支持部30の下端部301が、基台20の接地面と同じかそれよりも上方に配置される。このため、製造装置1の配置に際して、床FLに掘り込みを形成されていなくてもよく、平らな床FLに製造装置1は配置されることができる。これにより、積層体W2の製造装置1を配置換えする必要が出た際にも、別の装置をかつて積層体W2の製造装置1があった場所に配置換えしやすくなり、積層体W2の製造装置1についても新しい配置場所に配置するための手間が省ける。
【0029】
本実施形態のモーターコアの製造システム100は、積層体W2の製造装置1と打抜後処理装置5とを備え、積層体W2の製造装置1と打抜後処理装置5とは共通かつ同じ高さの床FLに設置されている。このため、配置換えに係る労力を軽減できる。特に、本製造システム100は、打抜装置の設置用の掘り込みを必要としないので、打抜装置の再設置に係る手間を抑制できる。また、打抜装置が設置されていた場所に別の装置を配置しやすくなるので、モーターコアの製造システム100全体の配置の自由度が向上する。
【0030】
図6は、
図2においてVI方向から見た矢視図である。
図2および
図6に示すように、本実施形態の製造装置1は足場40を備える。本実施形態において、足場40は製造装置1を囲むように配置されている。
図2に示すように、足場40の高さは基台20の接地面よりも高く、下型の上面121よりも低いことが望ましい。
【0031】
図5に示した比較例では床FLに掘り込みが形成されて金型部10へのアクセスのしやすさが確保されていた。しかし、
図6に示した例では床FLに掘り込みが形成されないので、床FLから金型部10までの高さが高くなりやすい。そこで
図6に示した例では、基台20の接地面よりも高く、下型の上面121よりも低い高さに足場40が設けられるので、金型部10へのアクセスのしやすさが維持されている。
【0032】
また、
図2に示すように、本実施形態において、足場40の上面へと至る階段41が設けられている。これにより、作業員の金型部10へのアクセスが容易となる。
【0033】
本実施形態の製造装置1は、第一搬送路P1、第二搬送路P2、および、第三搬送路P3を備える。第一搬送路P1は、製造された積層体W2を、下型12直下から水平方向に搬出するように構成されている。第二搬送路P2は、第一搬送路P1により搬送された積層体W2を降下させるように構成されている。第三搬送路P3は、第二搬送路P2により搬送された積層体W2を水平方向に打抜後処理装置5に搬送するように構成されている。第一搬送路P1と第二搬送路P2、および、第二搬送路P2と第三搬送路P3は、互いに連結されている。第一搬送路P1および第三搬送路P3は、例えばベルトコンベアであってもよい。第二搬送路P2は、昇降部の一例である。第二搬送路P2は、積層体W2を下方に搬送すると再び上方に戻るエレベータであってもよい。また、第一搬送路P1および第三搬送路P3が積層体W2を搬送する方向は、本実施形態の例示に限られない。
【0034】
第一搬送路P1は、基台20の上面と略同等の高さに設けられている。昇降部である第二搬送路P2は、基台20の上面と略同等の高さから接地面よりも上方かつ足場40よりも下方の高さまで積層体W2を降下させるように構成されている。これにより、第三搬送路P3は足場40よりも低い高さに設けられるので、本実施形態の製造装置1は、打抜後処理装置5で作業する作業員に対してより良い作業性を提供しやすくなる。
【0035】
図2、
図6に示す通り、昇降部である第二搬送路P2は、その側面の一部が足場40に囲われるようにして設けられている。換言すると、第二搬送路P2は足場40を貫通するように設けられている。
【0036】
第三搬送路P3の一部は、足場40の下方に設けられている。「足場40の下方」は、上方から見て足場40によって覆われる領域を示している。例えば、本実施形態では、
図6に示すように、第二搬送路P2によって降下された積層体W2は、足場40の下方で左方向に搬送される。その後、積層体W2は前方向に搬送される。このとき、左方向に積層体W2を搬送する第三搬送路P3と、前方に積層体W2を搬送する第三搬送路P3の一部は、上方から見て足場40によって覆われている。
【0037】
本実施形態の第三搬送路P3は、少なくともその一部が足場40の下方を通るように設けられている。これにより、第三搬送路P3と足場40とを備える製造装置1において、省スペース化を実現できる。
【0038】
図2、
図6に示すように、本実施形態の製造装置1は、防音壁50を有する。防音壁50は、少なくとも金型部10の側方と上方とを覆うように設けられている。本実施形態のように、防音壁50は、基台20の側方も覆うように設けられていてもよい。また、金型部10へのアクセスを良好にするために、防音壁50の一側面には扉(図示せず)が設けられてもよい。
【0039】
防音壁50には開口が形成されている。開口は、第一搬送路P1によって下型12直下から搬出される積層体W2が通過可能な大きさで形成されている。
【0040】
本実施形態の製造装置1は、防音壁50を有するので、積層体W2の製造に係る騒音が周囲に与える影響を抑制できる。また、防音壁50に開口が形成されているので、防音壁50が設けられていても、積層体W2の搬出をスムーズに行いやすくなる。
【0041】
本実施形態の積層体W2の製造方法は、上記の製造装置1を用いて積層体W2を製造する方法である。このため、上記の製造装置1と同等の効果が得られる。
【0042】
本実施形態の積層体W2の製造方法は、床FLおよび下型12間に設けられる支持部30により、積層体W2を下方から支持する積層工程を備えるので、支持部30を設けるための掘り込みを床FLに形成する必要がない。このため、積層体W2の製造装置1の配置の自由度が向上する。
【0043】
また、本実施形態の積層体W2の製造方法は、第二搬送工程と第三搬送工程とを備える。第二搬送工程は、第二搬送路P2を介して、足場40より高い位置にある積層体W2を垂直方向に下降させる。第三搬送工程は、第二搬送路P2に連結され足場40より低い位置にある第三搬送路P3を介して積層体W2を水平方向に搬送する。支持部が床および下型間に設けられることにより、第一搬送路の高さのまま打抜後処理装置に積層体が搬送されると、床から積層体が離れて送られるので打抜後処理装置における作業性が悪い。しかしながら、第二搬送工程および第三搬送工程により、床FLに近い高さで積層体W2が搬送されるので、積層体W2の製造後の工程において作業性が向上する。
【0044】
以上、本発明の実施形態について説明をしたが、本発明の技術的範囲が本実施形態の説明によって限定的に解釈されるべきではないのは言うまでもない。本実施形態は単なる一例であって、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内において、様々な実施形態の変更が可能であることが当業者によって理解されるところである。本発明の技術的範囲は特許請求の範囲に記載された発明の範囲およびその均等の範囲に基づいて定められるべきである。
【0045】
以下に列挙される構成もまた、本発明の一部を構成する。
(1):
上型と下型とにより打抜加工を行う金型部と、
床への接地面を備え、前記下型を支持する基台と、
前記上型と前記下型とにより打ち抜かれたワークを下方から支持する支持部と、を備え、
前記支持部の下端部は、前記基台の前記接地面と同じかそれよりも上方に、かつ、前記下型の上面よりも下方に配置されている、
積層体の製造装置。
(2):
前記基台の前記接地面と同じかそれよりも上方、かつ、前記下型の上面よりも下方の高さに足場が設けられている、
(1)の積層体の製造装置。
(3):
前記接地面の高さから前記足場の上面に至る階段が設けられている、
(2)の積層体の製造装置。
(4):
打ち抜かれた前記ワークを前記接地面よりも上方かつ前記足場よりも下方の高さまで降下させる昇降部を備える、
(2)または(3)の積層体の製造装置。
(5):
前記昇降部は、その少なくとも一部の側面が前記足場で囲われている、
(4)の積層体の製造装置。
(6):
前記昇降部によって降下された前記ワークを搬送する搬送路の少なくとも一部が、前記足場の下方に設けられている、
(4)または(5)の積層体の製造装置。
(7):
前記金型部の少なくとも上方と側方とを覆うように設けられた防音壁を備え、
前記防音壁には前記積層体が通過可能な開口が設けられている、
(1)~(6)のいずれかの積層体の製造装置。
(8):
(1)~(7)のいずれかの積層体の製造装置と、
前記積層体に打抜後処理を行う打抜後処理装置を有し、
前記積層体の製造装置と前記打抜後処理装置とは共通かつ同じ高さの床に設置されている、
モーターコアの製造システム。
(9):
(1)~(7)のいずれかの製造装置を用いて行う前記モーターコアの前記積層体の製造方法。
(10):
床から所定の高さにある足場に並設された金型部により、ワークが所定形状に打ち抜かれ、打ち抜かれた前記ワークが前記金型部の下型内で積層されることで、積層体が形成される積層体の製造方法であって、
前記床および下型間に配設される支持部により、前記積層体を下方から支持する積層工程と、
前記積層体を前記下型から排出する排出工程と、
前記足場より高い位置にある第一搬送路を介して、前記排出した積層体を搬送する第一搬送工程と、
前記第一搬送路に連結される第二搬送路を介して、前記積層体を下降させる第二搬送工程と、
前記第二搬送路に連結され、前記足場より低い位置にある第三搬送路を介して、前記下降させた積層体を搬送する第三搬送工程と、
を含む積層体の製造方法。
【符号の説明】
【0046】
1 製造装置
2 アンコイラ
3 レベラ
4 送り装置
5 打抜後処理装置
10,10A 金型部
11 上型
12 下型
12a ダイ孔
12b プッシャ
20,20A 基台
21 脚部
22 載置台
30,30A 支持部
31 パッド
40 足場
41 階段
50 防音壁
100 製造システム
111 パンチ
121 上面
301,301A 下端部
FL 床
P1 第一搬送路
P2 第二搬送路
P3 第三搬送路
W1 ワーク
W2 積層体