(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054621
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】液滴吐出装置、液滴吐出用ノズルヘッドおよび液滴吐出方法
(51)【国際特許分類】
B41J 2/06 20060101AFI20240410BHJP
B41J 2/01 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
B41J2/06
B41J2/01 307
【審査請求】未請求
【請求項の数】20
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160959
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】506159976
【氏名又は名称】株式会社SIJテクノロジ
(74)【代理人】
【識別番号】110000408
【氏名又は名称】弁理士法人高橋・林アンドパートナーズ
(72)【発明者】
【氏名】村田 和広
【テーマコード(参考)】
2C056
2C057
【Fターム(参考)】
2C056EA01
2C056EC07
2C056EC35
2C056FC01
2C056FD09
2C057AF99
2C057BA14
2C057BE02
(57)【要約】 (修正有)
【課題】マルチノズルヘッドを用いて吐出パターン変更することができる液滴吐出装置を提供すること。
【解決手段】本発明の一実施形態の液滴吐出装置は、対象物を保持するための対象物保持部と、前記対象物に第1液滴を吐出するための複数の第1液滴吐出ノズルを有し、前記第1液滴吐出ノズルは静電吐出型ノズルである、第1液滴吐出部と、前記第1液滴とは異なる材料を含む第2液滴を吐出するための少なくとも一つの第2液滴吐出ノズルを有する第2液滴吐出部と、前記第2液滴吐出ノズルと前記第1液滴吐出ノズルとの相対的な位置関係を制御する制御部と、を含み、前記第2液滴吐出部は、前記第2液滴を吐出することにより前記複数の第1液滴吐出ノズルのうち少なくとも一つの第1静電吐出型ノズルを閉塞する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物を保持するための対象物保持部と、
前記対象物に第1液滴を吐出するための複数の第1液滴吐出ノズルを有し、前記第1液滴吐出ノズルは静電吐出型ノズルである、第1液滴吐出部と、
前記第1液滴とは異なる材料を含む第2液滴を吐出するための少なくとも一つの第2液滴吐出ノズルを有する第2液滴吐出部と、
前記第2液滴吐出ノズルと前記第1液滴吐出ノズルとの相対的な位置関係を制御する制御部と、を含み、
前記第2液滴吐出部は、前記第2液滴を吐出することにより前記複数の第1液滴吐出ノズルのうち少なくとも一つの第1静電吐出型ノズルを閉塞する、
液滴吐出装置。
【請求項2】
前記第1液滴は、極性溶媒を含み、
前記第2液滴は、非極性溶媒を含む、
請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項3】
前記第1液滴吐出部が前記第1液滴を吐出するとき、前記第1静電吐出型ノズルを閉塞する前記第2液滴は、インクタンクから供給され前記第1液滴として吐出される第1液体と接触する、
請求項2に記載の液滴吐出装置。
【請求項4】
前記第2液滴は、レジストである、
請求項1に記載の液滴吐出装置。
【請求項5】
前記第2液滴吐出ノズルは、ピエゾ型ノズルである、
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液滴吐出装置。
【請求項6】
前記第1液滴吐出ノズルの開口状態を検査する検査部をさらに含む、
請求項5に記載の液滴吐出装置。
【請求項7】
等間隔に配置され同じ形状を有する複数の静電吐出型ノズルを有し、
前記複数の静電吐出型ノズルのうち少なくとも一つの第1静電吐出型ノズルは閉塞物により閉塞される、
液滴吐出用ノズルヘッド。
【請求項8】
前記第1静電吐出型ノズルは、前記複数の静電吐出型ノズルのうち閉塞されていない2つの第2静電吐出型ノズルの間に配置される、
請求項7に記載の液滴吐出用ノズルヘッド。
【請求項9】
前記閉塞物は、非極性溶媒を含む、
請求項7に記載の液滴吐出用ノズルヘッド。
【請求項10】
前記閉塞物は、レジストである、
請求項7に記載の液滴吐出用ノズルヘッド。
【請求項11】
前記閉塞物は、磁性体である、
請求項7に記載の液滴吐出用ノズルヘッド。
【請求項12】
複数の第1液滴吐出ノズルを含むマルチノズルヘッドのうち第1領域に設けられた第1液滴吐出ノズルを閉塞させることと、
前記複数の第1液滴吐出ノズルのうち第1領域とは異なる第2領域に設けられた第1液滴吐出ノズルから第1液滴を対象物に吐出することと、を含み、
前記第1液滴吐出ノズルは、静電吐出型ノズルである、
液滴吐出方法。
【請求項13】
第2液滴吐出ノズルから第2液滴を吐出することによって、当該第2液滴を用いて、複数の第1液滴吐出ノズルのうち前記第1領域に設けられた前記第1液滴吐出ノズルを閉塞させる、
請求項12に記載の液滴吐出方法。
【請求項14】
前記第2液滴は、非極性溶媒を含む、
請求項13に記載の液滴吐出方法。
【請求項15】
前記第2液滴は、レジストである、
請求項13に記載の液滴吐出方法。
【請求項16】
前記第2液滴は、前記第2液滴により閉塞された前記第1液滴吐出ノズルを所定の温度以上に加熱した時に除去される、
請求項14に記載の液滴吐出方法。
【請求項17】
前記第2液滴吐出ノズルは、ピエゾ型ノズルである、
請求項13乃至16のいずれか一項に記載の液滴吐出方法。
【請求項18】
前記第1領域に設けられた前記第1液滴吐出ノズルを、固形物を用いて閉塞させる、
請求項12に記載の液滴吐出方法。
【請求項19】
前記固形物は、磁性体である、
請求項18に記載の液滴吐出方法。
【請求項20】
前記固形物は、閉塞された第1液滴吐出ノズルに磁石を近づけることにより、除去される、
請求項19に記載の液滴吐出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出用ノズルヘッドおよび液滴吐出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、インクジェット印刷技術の工業用プロセスへの応用が行われている。例えば、液晶ディスプレー用のカラーフィルター製造工程などはその一例である。インクジェット印刷技術として、従来は機械的圧力や振動により液滴を吐出する、いわゆるピエゾ型ヘッドが多く使用されてきていたが、より微細な液滴を吐出できる静電吐出型インクジェットヘッドが注目されている。特許文献1には、静電吐出型インクジェット記録装置について開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
最近では、微細な液滴を吐出できる静電吐出型インクジェットヘッドの特性を生かしたまま、生産性を向上させる観点から、一斉吐出型のマルチノズルヘッドの開発が進められている。一斉吐出型のマルチノズルヘッドの場合、任意にノズルの配置を設計できる。しかしながら、こうしたマルチノズルヘッドの場合、予め決められたノズル配置のパターンのみが形成されるという課題を残している。予め決められたパターンとは異なる吐出パターンを形成するには、別途新たなノズル配置のマルチノズルヘッドを用意する必要がある。この場合、マルチノズルヘッドの交換に伴う段取り替えの時間などが余計にかかるなどの課題が生じる。一方、従来から存在する固定のピッチを有するピエゾ型のマルチノズルヘッドの場合、(1)そもそもの吐出量を小さくすることが困難であるという課題のほかに、(2)ノズルピッチとは異なる位置へのインク吐出には、一斉吐出ではなくラスタスキャンが必要であるという課題がある。このため、パターンの形成時間にはスキャン速度の限界が存在した。
【0005】
そこで、本発明は、マルチノズルヘッドを用いて吐出パターン変更することができる液滴吐出装置を提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態によれば、対象物を保持するための対象物保持部と、前記対象物に第1液滴を吐出するための複数の第1液滴吐出ノズルを有し、前記第1液滴吐出ノズルは静電吐出型ノズルである、第1液滴吐出部と、前記第1液滴とは異なる材料を含む第2液滴を吐出するための少なくとも一つの第2液滴吐出ノズルを有する第2液滴吐出部と、前記第2液滴吐出ノズルと前記第1液滴吐出ノズルとの相対的な位置関係を制御する制御部と、を含み、前記第2液滴吐出部は、前記第2液滴を吐出することにより前記複数の第1液滴吐出ノズルのうち少なくとも一つの第1静電吐出型ノズルを閉塞する、液滴吐出装置が提供される。
【0007】
上記液滴吐出装置において、前記第1液滴は、極性溶媒を含み、前記第2液滴は、非極性溶媒を含んでもよい。
【0008】
上記液滴吐出装置において、前記第1液滴吐出部が前記第1液滴を吐出するとき、前記第1静電吐出型ノズルを閉塞する前記第2液滴は、インクタンクから供給され前記第1液滴として吐出される第1液体と接触してもよい。
【0009】
上記液滴吐出装置において、前記第2液滴は、レジストであってもよい。
【0010】
上記液滴吐出装置において、前記第2液滴吐出ノズルは、ピエゾ型ノズルであってもよい。
【0011】
上記液滴吐出装置において、前記第1液滴吐出ノズルの開口状態を検査する検査部をさらに含んでもよい。
【0012】
本発明の一実施形態によれば、等間隔に配置され同じ形状を有する複数の静電吐出型ノズルを有し、前記複数の静電吐出型ノズルのうち少なくとも一つの第1静電吐出型ノズルは閉塞物により閉塞される液滴吐出用ノズルヘッドが提供される。
【0013】
上記液滴吐出用ノズルヘッドにおいて、前記第1静電吐出型ノズルは、前記複数の静電吐出型ノズルのうち閉塞されていない2つの第2静電吐出型ノズルの間に配置されてもよい。
【0014】
上記液滴吐出用ノズルヘッドにおいて、前記閉塞物は、非極性溶媒を含んでもよい。
【0015】
上記液滴吐出用ノズルヘッドにおいて、前記閉塞物は、レジストであってもよい。
【0016】
上記液滴吐出用ノズルヘッドにおいて、前記閉塞物は、磁性体であってもよい。
【0017】
本発明の一実施形態によれば、複数の第1液滴吐出ノズルを含むマルチノズルヘッドのうち第1領域に設けられた第1液滴吐出ノズルを閉塞させることと、前記複数の第1液滴吐出ノズルのうち第1領域とは異なる第2領域に設けられた第1液滴吐出ノズルから第1液滴を対象物に吐出することと、を含み、前記第1液滴吐出ノズルは、静電吐出型ノズルである、液滴吐出方法が提供される。
【0018】
上記液滴吐出方法において、第2液滴吐出ノズルから第2液滴を吐出することによって、当該第2液滴を用いて、複数の第1液滴吐出ノズルのうち前記第1領域に設けられた前記第1液滴吐出ノズルを閉塞させてもよい。
【0019】
上記液滴吐出方法において、前記第2液滴は、非極性溶媒を含んでもよい。
【0020】
上記液滴吐出方法において、前記第2液滴は、レジストであってもよい。
【0021】
上記液滴吐出方法において、前記第2液滴は、前記第2液滴により閉塞された前記第1液滴吐出ノズルを所定の温度以上に加熱した時に除去されてもよい。
【0022】
上記液滴吐出方法において、前記第2液滴吐出ノズルは、ピエゾ型ノズルであってもよい。
【0023】
上記液滴吐出方法において、前記第1領域に設けられた前記第1液滴吐出ノズルを、固形物を用いて閉塞させてもよい。
【0024】
上記液滴吐出方法において、前記固形物は、磁性体であってもよい。
【0025】
上記液滴吐出方法において、前記固形物は、閉塞された第1液滴吐出ノズルに磁石を近づけることにより、除去されてもよい。
【発明の効果】
【0026】
本発明の一実施形態を用いることにより、マルチノズルヘッドを用いて吐出パターン変更することができる液滴吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【
図1】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係るマルチノズルヘッドの平面図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ノズルの斜視図である。
【
図4A】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ノズルの平面図である。
【
図4B】本発明の一実施形態に係る液滴吐出ノズルの断面図である。
【
図5A】本発明の一実施形態に係るマルチノズルヘッドの平面図である。
【
図5B】本発明の一実施形態に係るマルチノズルヘッドの断面図である。
【
図6】本発明の一実施形態に係る液滴吐出方法を示す模式図である。
【
図7】本発明の一実施形態に係る液滴吐出方法を示す模式図である。
【
図8】本発明の一実施形態に係る液滴吐出方法を示す模式図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る液滴吐出方法を示す模式図である。
【
図10】本発明の一実施形態に係るマルチノズルヘッドの平面図である。
【
図11】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の模式図である。
【
図13】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の模式図である。
【
図14】本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置の模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
以下、本出願で開示される発明の各実施形態について、図面を参照しつつ説明する。但し、本発明は、その要旨を逸脱しない範囲において様々な形態で実施することができ、以下に例示する実施形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。
【0029】
なお、本実施形態で参照する図面において、同一部分または同様な機能を有する部分には同一の符号または類似の符号(数字の後にA、B、-1,-2等を付しただけの符号)を付し、その繰り返しの説明は省略する場合がある。また、図面の寸法比率は説明の都合上実際の比率とは異なったり、構成の一部が図面から省略されたりする場合がある。
【0030】
さらに、本発明の詳細な説明において、ある構成物と他の構成物の位置関係を規定する際、「上に」「下に」とは、ある構成物の直上あるいは直下に位置する場合のみでなく、特に断りの無い限りは、間にさらに他の構成物を介在する場合を含むものとする。
【0031】
<第1実施形態>
(1-1.液滴吐出装置100の構成)
図1は、本発明の一実施形態に係る液滴吐出装置100の概略図である。
【0032】
液滴吐出装置100は、制御部110、記憶部115、電源部120、駆動部130、第2インクタンク135、第2液滴吐出部140、第1インクタンク149、第1液滴吐出部150および対象物保持部160を含む。
【0033】
制御部110は、CPU(Central Processing Unit)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programable Gate Array)、またはその他の演算処理回路を含む。制御部110は、あらかじめ設定された液滴吐出用プログラムを用いて、第2液滴吐出部140および第1液滴吐出部150の吐出処理を制御する。
【0034】
記憶部115は、液滴吐出用プログラム、および液滴吐出用プログラムで用いられる各種情報を記憶するデータベースとしての機能を有する。記憶部115には、メモリ、SSD、または記憶可能な素子が用いられる。
【0035】
電源部120は、制御部110、記憶部115、駆動部130、第2インクタンク135、第2液滴吐出部140、第1液滴吐出部150および対象物保持部160と接続される。電源部120は、制御部110から入力される信号をもとに、第2液滴吐出部140および第1液滴吐出部150に電圧を印加する。この例では、電源部120は、第2液滴吐出部140および第1液滴吐出部150に対してパルス状の電圧を印加する。なお、パルス電圧に限定されず、一定の電圧が第2液滴吐出部140および第1液滴吐出部150に常時印加されてもよい。第2インクタンク135から第2液滴吐出部140に第2液滴147となる液体が提供される。第2液滴吐出部140に対して電源部120から印加された電圧により後述する第2液滴吐出ノズル141の先端部141aから第2液滴147が対象物200の方向(第3方向D3)に吐出される。第1インクタンク149から第1液滴吐出部150に第1液滴157となる液体が提供される。第1液滴吐出部150に対して電源部120から印加された電圧により、第1液滴吐出部150(後述するマルチノズルヘッド151)に設けられた第1液滴吐出ノズル153(先端部153a))から、第1液滴157が対象物200の方向(第3方向D3)に吐出される。
【0036】
駆動部130は、モータ、ベルト、ギアなどの駆動部材により構成される。駆動部130は、制御部110からの指示に基づき、対象物保持部160に対して第2液滴吐出部140(第2液滴吐出ノズル141)および第1液滴吐出部150(より具体的には、マルチノズルヘッド151)を相対的に(この例では、第2方向D2)に移動させる。これにより、駆動部130は、装置使用時(液滴吐出時)における対象物200とマルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)との相対的な位置関係、および第2液滴吐出ノズル141とマルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)との相対的な位置関係を制御することができる。駆動部130は、ゴニオステージと組み合わせて用いられ、第2液滴吐出ノズル141とマルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)を微調整してもよい。
【0037】
対象物保持部160は、対象物200を保持する機能を有する。対象物保持部160には、この例ではステージが用いられる。対象物保持部160が対象物200を保持する機構は特に制限されず、一般的な保持機構が用いられる。この例では、対象物200は、対象物保持部160に真空吸着している。なお、本発明はこれに限定されず、対象物保持部160は固定具を用いて対象物200を保持してもよい。
【0038】
対象物200は、第1液滴吐出部150から吐出される液滴が吐出される部材をいう。この例では、対象物200にはガラス板が用いられる。なお、対象物200はガラス板に限定されない。例えば、対象物200は、金属板であってもよく、または有機樹脂部材でもよい。また、対象物200上には、金属配線または有機樹脂部材が形成されてもよい。また、対象物200には、液滴吐出用の対向電極が設けられてもよい。このとき、対象物200には、GND電位が印加されてもよい。
【0039】
(1-2.第2液滴吐出部140の構成)
第2液滴吐出部140は、第1液滴吐出部150(より具体的には、マルチノズルヘッド151)のうち一部の第1液滴吐出ノズル153を閉塞する時に、駆動部130により対象物200(対象物保持部160)および第1液滴吐出部150の上方に配置される。第2液滴吐出部140は、液滴(第2液滴147)を吐出するための第2液滴吐出ノズル141および圧電素子145を含む。この例では、第2液滴吐出ノズル141には、ピエゾ型インクジェットノズルが用いられる。圧電素子145は、第2液滴吐出ノズル141の上部に設けられるが、圧電素子145の配置は適宜変更されてもよい。圧電素子145は、電源部120と電気的に接続される。圧電素子145は、電源部120から印加された電圧により第2インクタンク135から供給された液体を押圧することにより、第2液滴吐出ノズル141の先端部141a(第1先端部ともいう)から第2液滴147を吐出する。
【0040】
(1-3.第1液滴吐出部150の構成)
第1液滴吐出部150は、第1液滴157吐出する時に、駆動部130により対象物200(対象物保持部160)上に配置される。第1液滴吐出部150は、第2液滴吐出部140と一部において接続されてもよい。第1液滴吐出部150は、マルチノズルヘッド151を含む。
【0041】
マルチノズルヘッド151は、マウントおよびアタッチメントのような固定具155(
図5B参照)に固定されて用いられる。マルチノズルヘッド151には、液滴(第1液滴157)を吐出するための複数の第1液滴吐出ノズル153が設けられる。第1液滴157として吐出される液体は、第1液滴吐出部150に接続された第1インクタンク149から提供される。第1液滴吐出ノズル153には、静電吐出型のインクジェットノズルが用いられる。マルチノズルヘッド151の詳細については、以下に詳述する。
【0042】
(1-4.マルチノズルヘッド151の構成)
図2は、マルチノズルヘッド151の平面図である。
図3は、第1液滴吐出ノズル153の斜視図である。
図4Aは、第1液滴吐出ノズル153の平面図である。
図4Bは、第1液滴吐出ノズル153におけるA1-A2間の断面図である。
【0043】
図2に示すように、マルチノズルヘッド151は、プレート部152および第1液滴吐出ノズル153を含む。
【0044】
プレート部152は、板状に設けられる。この例では、プレート部152は第1方向D1に延びる。プレート部152には、ニッケル・銅・ステンレスなどの金属材料が用いられるが、電位が印加できる場合用いられる材料であれば適宜変更されてもよい。プレート部152の厚さは、適宜設定される。この例では、プレート部152の厚さは10μm以上100μm以下である。
【0045】
図3、
図4A、
図4Bに示すように、第1液滴吐出ノズル153は、上部においてプレート部152の一面(下面)に接続されて設けられる。マルチノズルヘッド151は、複数の第1液滴吐出ノズル153を含む。第1液滴吐出ノズル153は、第1方向D1に並んで配置される。本実施形態では、
図2に示すように、第1液滴吐出ノズル153-1、153-2、・・・153-M、・・・、153-(N-1)、153-Nがプレート部152に設けられる。Nは、3以上の自然数であり、Mは1とNの間の自然数である。なお、第1液滴吐出ノズル153-1、153-2、・・・153-M、・・・、153-(N-1)、153-Nを分けて説明する必要がない場合には、第1液滴吐出ノズル153として説明する。第1液滴吐出ノズル153には、ニッケル・銅などの金属材料が用いられるが、電位が印加できる材料であれば適宜変更されてもよい。第1液滴吐出ノズル153は、先細る形状を有する。この例では、隣接する第1液滴吐出ノズル153間の距離(第1液滴吐出ノズル153-1と第1液滴吐出ノズル153-2との間の距離)d1は、200μmである。第1液滴吐出ノズル153の各々は、同じ形状を有し、等間隔に配置される。
【0046】
プレート部152は、第1液滴吐出ノズル153と対応する部分(重畳する部分)に第1液滴吐出ノズル153の吐出口(第1液滴吐出ノズル153の先端部153aの開孔部153ao)の内径r153a(第2内径ともいう)よりも大きい内径r152o(第3内径ともいう)を有する貫通孔152oを有する。プレート部152の貫通孔152oの内径は、1μm以上100μm以下であってもよい。第1液滴吐出ノズル153の先端部153aの内径は、数百nm以上50μm以下、好ましくは1μm以上30μm以下、より好ましくは5μm以上20μm以下であってもよい。
【0047】
本実施形態において、第1液滴吐出ノズル153に電圧を印加してもよいし、プレート部152に電圧を印加してもよいし、第1液滴吐出ノズル153に貯蔵されたインクに電圧を印加してもよい。プレート部152、第1液滴吐出ノズル153に電圧を印加する場合、電極が設けられてもよい。電極には、タングステン、ニッケル、モリブデン、チタン、金、銀、銅、白金などが設けられてもよい。このとき、プレート部152の全体に均一に電圧が印加されるように、複数の電極が設けられてもよい。また、本実施形態では、第1液滴吐出ノズル153、プレート部152またはインクに対して電圧を印加する例を示したが、マルチノズルヘッド151を保持する固定具155(例えば、マウントまたはアタッチメント)に電圧が印加されてよい。
【0048】
第1液滴吐出ノズル153の吐出口(先端部153a)の内径r153a(第2内径)は、第2液滴吐出ノズル141の吐出口(先端部141a)の内径(第1内径ともいう)よりも小さくてもよい。この場合、第1液滴吐出ノズル153の単位時間当たりの吐出量は、第2液滴吐出ノズル141の単位時間当たりの吐出量より少なくなる。
【0049】
図5Aは、一部が閉塞されたマルチノズルヘッド151の平面図である。
図5Bは、一部が閉塞されたマルチノズルヘッド151の断面図である。
図5Aおよび
図5Bに示すように、本実施形態では、マルチノズルヘッド151を用いて所定のパターンを形成するために、マルチノズルヘッド151のうち一部の領域に設けられた第1液滴吐出ノズル153が閉塞物によって閉塞される。この例では、マルチノズルヘッド151において、第1液滴157が吐出できない領域(第1領域R1ともいう)および第1液滴が吐出可能な領域(第2領域R2ともいう)が設けられる。具体的には、
図2に示すように、第1領域R1に設けられた第1液滴吐出ノズル153(この例では、第1液滴吐出ノズル153-1,153-M,153-N)は、第2液滴吐出ノズル141から吐出された第2液滴147により閉塞される。第1液滴吐出ノズル153-Mは、閉塞されていない2つの第1液滴吐出ノズル153の間に配置されている。閉塞される第1液滴吐出ノズル153の位置は端部に限定されず、所定の吐出パターンを形成するために適宜変更されてもよい。
【0050】
第2液滴147は、第1液滴157とは異なる材料を含む。本実施形態では、第1液滴157には、静電吐出がされるために極性溶媒が用いられる。第2液滴147には、非極性溶媒(例えば、テトラデカンなどの炭化水素)が用いられる。
【0051】
また、
図5Aおよび
図5Bに示すように、マルチノズルヘッド151から第1液滴157を吐出する場合、マルチノズルヘッド151の上部には第1インクタンク149から供給され第1液滴157として吐出される液体(インク)156が充填される。このとき、液体156と、第2液滴147は、マルチノズルヘッド151と、固定具155によって囲まれた領域において接触してもよい。
【0052】
また、本実施形態では、閉塞パターン形成時において、第2液滴吐出部140(第2液滴吐出ノズル141)は、制御部110および駆動部130により第1液滴吐出部150(マルチノズルヘッド151)の上方を移動する。つまり、本実施形態の場合、第2液滴吐出ノズル141と複数の第1液滴吐出ノズル153を含むマルチノズルヘッド151との相対的な位置関係が制御されることにより、マルチノズルヘッド151の所定の位置に第2液滴147を吐出することができる。
【0053】
(1-5.液滴吐出方法)
次に、本実施形態における液滴吐出方法について説明する。
図6~
図9は、液滴吐出方法を示す模式図である。
【0054】
まず、第2液滴吐出部140は、制御部110および駆動部130によって第1方向D1の所定の位置(第1領域R1)まで移動する。第1領域R1は、マルチノズルヘッド151のうち第1液滴157を吐出しない領域である。第2液滴吐出部140(第2液滴吐出ノズル141)は、第1液滴吐出部150におけるマルチノズルヘッド151上の所定の位置に配置される。この例では、対象物200上に第2液滴吐出部140、第2液滴吐出ノズル141及びマルチノズルヘッド151が配置される。次に、
図6に示すように、第2液滴吐出ノズル141は、電源部120から印加された電圧により、マルチノズルヘッド151の上方において所定の位置に対して第2インクタンク135に保持された液体を第2液滴147として第3方向D3(具体的には下方)に吐出する。
【0055】
吐出された第2液滴147は、所定の第1液滴吐出ノズル153に提供され、貯蔵される。このとき、第2液滴には、非極性溶媒(例えば、テトラデカンなどの炭化水素)が用いられる。非極性溶媒は、常温における揮発性が低い(沸点が高い)。非極性溶媒は、チャージアップが起こりづらい。そのため、非極性溶媒は、電圧が印加されても液滴として吐出されない。したがって、非極性溶媒が吐出された第1液滴吐出ノズル153は、閉塞される。
図7に示すように、第2液滴147の吐出処理は、第1領域R1に設けられたすべての第2液滴吐出ノズル141が閉塞される(所定の閉塞パターンが形成される)まで繰り返される。
【0056】
次に、マルチノズルヘッド151に第1インクタンク149から吐出パターン形成用のインク液体が供給される。このとき、複数の第1液滴吐出ノズル153のうち閉塞されていない第1液滴吐出ノズル153に第1液滴157が提供される(貯蔵される)。本実施形態では、第1液滴吐出ノズル153は、上側においてプレート部152と接続されている。プレート部152は、第1液滴吐出ノズル153よりも内径の大きい貫通孔を有する。これにより、第1液滴吐出ノズル153は第2液滴147を貯蔵しやすい構造を有しているといえる。
【0057】
次に、電源部120は、制御部110からの制御に基づいて、第1液滴吐出部150(マルチノズルヘッド151)に対してパルス状の電圧(この例では、対象物(GND電位)を基準として1000V)を印加する。これにより、
図8に示すように、第2領域に設けられた、閉塞されていない(吐出可能な)第1液滴吐出ノズル153に提供された第1インクタンク149に貯蔵される液体を用いて第1液滴157を同時に吐出する。これにより、
図9に示すように、対象物200には、第1液滴157による吐出パターンが形成される。
【0058】
対象物200上に所定のパターンを形成したのち、閉塞された第1液滴吐出ノズル153に貯蔵された第2液滴147は、所定の条件を満たしたときに除去されてもよい。例えば、第2液滴147が揮発する程度にマルチノズルヘッド151のうち閉塞された第1液滴吐出ノズル153を所定の温度以上に加熱してもよい。これにより、マルチノズルヘッド151は、閉塞されていない元の状態に戻る。
【0059】
本実施形態の場合、パターンを形成するための液滴を吐出したくない位置には第2液滴147が吐出されることにより、第1液滴吐出ノズル153が閉塞される。したがって、マルチノズルヘッド151に電圧した場合において所望の第1液滴吐出ノズル153のみから第1液滴157を吐出することができる。
【0060】
したがって、本実施形態を用いることにより、マルチノズルヘッド151を用いて吐出パターン変更することができるとともに、マルチノズルヘッド151を交換する手間を省くことができる。また、本実施形態の場合、対象物に対して静電吐出ノズルから吐出される径の小さい液滴を用いてパターンを形成することができる。つまり、本実施形態を用いることにより、所望の吐出パターンを高精細に形成することができる。
【0061】
<第2実施形態>
本実施形態では、第1実施形態とは異なる第1液滴吐出部(マルチノズルヘッド)について説明する。具体的には、第1液滴吐出ノズルが2次元的に設けられている例について説明する。なお、説明の関係上、適宜部材を省略して説明する。
【0062】
(2-1.マルチノズルヘッド151Aの構成)
図10は、第1液滴吐出部150Aにおけるマルチノズルヘッド151Aの平面図である。
図9に示すように、マルチノズルヘッド151Aは、プレート部152および第1液滴吐出ノズル153Aを含む。
【0063】
複数の第1液滴吐出ノズル153Aは、プレート部152の一面に設けられる。第1液滴吐出ノズル153Aは、第1方向D1および第1方向D1と交差する(この例では直交する)第2方向D2に等間隔に並んで配置される。この例では、マルチノズルヘッド151Aは、3行×13列=39個の液滴吐出ノズルを含む。なお、第1液滴吐出ノズル153が配置される数は、適宜変更される。例えば、4行×100列=400個であってもよいし、1,000行×1,000列=1,000,000個であってもよい。
【0064】
本実施形態の場合、第1液滴吐出部150Aは、2次元的に配置され、所望の吐出パターンを形成する場合、閉塞したい位置に設けられた第1液滴吐出ノズル153Aの位置まで第2液滴吐出部140が移動することによって制御され、液滴のサイズは第1液滴吐出部150Aによって制御される。
【0065】
したがって、本実施形態を用いることにより、マルチノズルヘッド151を用いて吐出パターン変更することができるとともに、マルチノズルヘッド151を交換する必要がない。また、静電吐出型の液滴吐出ノズルを用いて液滴を吐出することにより高精細に所望の吐出パターンを形成することができる。
【0066】
本実施形態において、第1液滴吐出ノズル153Aは、第1方向D1および第2方向D2に等間隔に並んで配置されている例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2方向においてずれて(ジグザグに)配置されてもよいし、隣接する第1液滴吐出ノズル153Aの間隔が異なってもよい。
【0067】
<第3実施形態>
本実施形態では、第1,2実施形態とは異なる液滴吐出装置について説明する。具体的には、複数の第2液滴吐出ノズルが設けられている例について説明する。なお、説明の関係上、適宜部材を省略して説明する。
【0068】
図11は、液滴吐出装置100Bの模式図である。
図11に示すように、液滴吐出装置100Bは、制御部110、記憶部115、電源部120、駆動部130、第2液滴吐出部140B、第1液滴吐出部150Bおよび対象物保持部160を含む。
【0069】
第2液滴吐出部140Bは、複数の第2液滴吐出ノズル141Bを含む。この例では、2つの第2液滴吐出ノズル141Bが、第1方向D1に並んで配置される。なお、それぞれの第2液滴吐出ノズル141Bは、独立に移動し、吐出するように制御されてもよい。また、第2液滴吐出ノズル141Bの数は、適宜変更されてもよい。
【0070】
本実施形態において、隣接する第2液滴吐出ノズル141B(より具体的には、第2液滴吐出ノズル141Bの先端部141Ba)間の距離d2は、隣接する第1液滴吐出ノズル153B(より具体的には第1液滴吐出ノズル153Bの先端部153Ba)間の距離d1より大きくなる。
【0071】
第1液滴吐出部150Bの第1液滴吐出ノズル153Bは、第1液滴吐出ノズル153Aと同様に、第1方向D1および第2方向D2に配置されてもよい。
【0072】
なお、本実施形態において、2つの第2液滴吐出ノズル141Bが第1方向D1に並んで配置される例を示したが、本発明はこれに限定されない。3個以上の第2液滴吐出ノズル141Bが設けられてもよい、また、隣接する第2液滴吐出ノズル141Bは、第1方向D1と交差する方向に並べられてもよい。
【0073】
図12は、第2液滴吐出部140Bおよび第1液滴吐出部150Bを用いて形成されたパターンの平面図である。
図12に示すように、対象物200上に第1液滴157により形成されたパターン190が設けられている。本実施形態の場合、第2液滴吐出部140Bおよび第1液滴吐出部150Bが組み合わせて用いられる。このとき、マルチノズルヘッド151B上の所望の位置(閉塞したい位置)に第2液滴吐出部140Bの第2液滴吐出ノズル141Bが2次元的に移動する。それぞれの第2液滴吐出ノズル141Bから一度に液滴を吐出することにより、マルチノズルヘッドを用いて複雑な所望のパターンを短時間で形成することができるとともに、マルチノズルヘッドを交換の手間を省くことができる。
【0074】
また、本実施形態において、第2液滴吐出部140Bは、基板を搬送するタイミングや、基板をアライメントするタイミングにおいて、第1液滴吐出部150B上に第2液滴147を吐出(描画ともいう)してもよい。
【0075】
従来の場合では、基板の搬送およびアライメント動作が終了した後に液滴吐出(描画)工程が開始される。一方で、本実施形態の場合、第2液滴147の吐出工程に対してこれらの工程時間(基板の搬送およびアライメント)を充当することができる。そのため、基板のアライメント直後に、第1液滴吐出部150Bより一斉に吐出ができる。結果として、非常に高速な描画が可能となる。
【0076】
したがって、本実施形態を用いることにより、静電吐出型のマルチノズルヘッドを用いて所望の吐出パターンを高精細に形成することができ、かつ無駄な時間を排除した高速な描画が可能となるとともに、より複雑な吐出パターンを形成することができる。
【0077】
<第4実施形態>
本実施形態では、第1~3実施形態とは異なる液滴吐出装置について説明する。具体的には、検査部を有する液滴吐出装置について説明する。なお、説明の関係上、適宜部材を省略して説明する。
【0078】
図13は、液滴吐出装置100Cの模式図である。
図13に示すように、液滴吐出装置100Cは、制御部110、記憶部115、電源部120、駆動部130、第2液滴吐出部140、第1液滴吐出部150および対象物保持部160に加えて、検査部170を含む。
【0079】
検査部170は、液滴を吐出する前に第1液滴吐出ノズル153の先端部153aを検査してもよい。検査部170には、CMOSイメージセンサが用いられてもよい。第2液滴吐出部140から吐出された第2液滴147の一部は、第1液滴吐出部150の第1液滴吐出ノズル153の中に残存する場合がある。そのため、第1液滴吐出ノズル153の先端部153aが所定の条件を満たすとき、第1液滴吐出ノズル153は、クリーニング処理されてもよい。この場合の所定の条件とは、先端部153aの閉塞率が30%以上であってもよい。第1液滴吐出ノズル153をクリーニングするときに、エタノール又はアセトンなどの有機溶媒が用いられてもよい。
【0080】
本実施形態を用いることにより、第1液滴吐出部150から第1液滴157を安定して吐出することができる。
【0081】
(変形例)
本発明の思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例および修正例に想到し得るものであり、それら変更例および修正例についても本発明の範囲に属するものと了解される。例えば、前述の各実施形態に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、各実施形態の組み合わせ若しくは設計変更を行ったもの、又は、処理の追加、省略若しくは条件変更を行ったものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含まれる。
【0082】
本発明の第1実施形態では、第2液滴吐出部140は、第1液滴吐出部150に第2液滴147を吐出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。
図14は、液滴吐出装置100Dの概略図である。
図14に示すように、複数の第2液滴吐出ノズル141D(ピエゾ型インクジェットノズル)を有する場合、第1ピエゾ型インクジェットノズル141D-1からマルチノズルヘッド151を閉塞するための液体(第2液滴)を吐出し、第2ピエゾ型インクジェットノズル141D-2から対象物200に第1液滴157と同じ材料の液体(第3液滴ともいう)を吐出してもよい。これにより、対象物200に高精細なパターンとともに、液滴サイズの大きいパターンを形成することができる。
【0083】
本発明の第1実施形態では、複数の第1液滴吐出ノズル153が同時に吐出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。複数回に分けて順次吐出してもよい。
【0084】
本発明の第1実施形態では、第2液滴吐出ノズル141にピエゾ型インクジェットノズルを用いる例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2液滴吐出ノズル141に静電吐出型インクジェットノズルが用いられてもよい。これにより、高精度にマルチノズルヘッド151のうち一部の第1液滴吐出ノズル153を閉塞することができる。
【0085】
本発明の第1実施形態では、複数の第1液滴吐出ノズル153の一部を第2液滴吐出部140から第2液滴147を吐出することにより閉塞する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2液滴吐出部140は、設けられなくてもよい。この場合、あらかじめ手動で複数の第1液滴吐出ノズル153の一部を閉塞してもよい。
【0086】
本発明の第1実施形態では、第1液滴吐出ノズル153は、閉塞物として第2液滴147を用いることにより閉塞される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、所定の第1液滴吐出ノズル153は、閉塞物として固形物を用いることにより閉塞してもよい。例えば、第1液滴吐出ノズル153は、シリカ粒子により閉塞されてもよい。また、第1液滴吐出ノズル153は、磁性体により閉塞されてもよい。この場合、第1液滴により所定のパターンを形成した後、磁性体は磁石により回収されてもよい。これにより、マルチノズルヘッド151を、第1液滴吐出ノズル153が閉塞されていない元の状態に戻すことができる。
【0087】
本発明の第1実施形態では、吐出可能な第1液滴吐出ノズル153から第1液滴157を同時に吐出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第1液滴157は、順次吐出されてもよい。
【0088】
本発明の第1実施形態の場合、第2液滴吐出ノズル141およびマルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)が、対象物200の上方に配置されて、対象物200上で第2液滴吐出ノズル141から第2液滴147がマルチノズルヘッド151に吐出される例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2液滴147を吐出する際には、第2液滴吐出ノズル141およびマルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)は、対象物200の上方に配置されていなくてもよい。また、第1液滴157を吐出するときに、第2液滴吐出ノズル141は、マルチノズルヘッド151(第1液滴吐出ノズル153)および対象物200上に配置されなくてもよい。つまり、閉塞パターンが形成されたマルチノズルヘッド151を用いて第1液滴157を吐出してもよい。
【0089】
本発明の第1実施形態では、第2液滴147として、非極性溶媒が用いられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、第2液滴147としてレジストが吐出されてもよい。レジストは、感光材、樹脂、添加剤、溶剤を含む。そのため、所定の第1液滴吐出ノズル153にレジストを吐出した後、レジストを感光することによりレジストは硬化する。その結果、当該第1液滴吐出ノズル153は閉塞される。さらに、対象物200上に第1液滴157を用いて所定のパターンを形成した後、レジストは、レジスト剥離液などのウェットプロセス、またはO2アッシングなどのドライプロセスにより除去されてもよい。これにより、マルチノズルヘッド151を、第1液滴吐出ノズル153が閉塞されていない元の状態に戻すことができる。
【0090】
また、本発明の第1実施形態では、第2液滴147として非極性溶媒を吐出する例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2液滴は、気泡を含む極性溶媒であってもよい。気泡を含むことにより、液滴の吐出が制限される。
【0091】
本発明の第1実施形態では、第2液滴吐出部140と、第1液滴吐出部150が一つの装置に設けられる例を示したが、本発明はこれに限定されない。第2液滴吐出部は、別の装置に設けられてもよい。この場合、液滴吐出装置100は、第1液滴吐出部150のみを有する。
【符号の説明】
【0092】
100・・・液滴吐出装置,110・・・制御部,115・・・記憶部,120・・・電源部,130・・・駆動部,135・・・第2インクタンク,140・・・第2液滴吐出部,141・・・第2液滴吐出ノズル,141a・・・先端部,145・・・圧電素子,147・・・第2液滴,149・・・第1インクタンク,150・・・第1液滴吐出部,151・・・マルチノズルヘッド,152・・・プレート部,153・・・第1液滴吐出ノズル,153a・・・先端部,153ao・・・開孔部,157・・・第1液滴,160・・・対象物保持部,170・・・検査部,190・・・パターン,200・・・対象物