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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024005463
(43)【公開日】2024-01-17
(54)【発明の名称】液体吐出装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/17 20060101AFI20240110BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 2/175 20060101ALI20240110BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240110BHJP
【FI】
B41J2/17 203
B41J2/01 305
B41J2/01 301
B41J2/175 115
B41J2/175 119
B41J2/17 103
B41J2/165 101
B41J2/165 301
B41J2/165 207
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022105652
(22)【出願日】2022-06-30
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】川越 政子
【テーマコード(参考)】
2C056
【Fターム(参考)】
2C056EA20
2C056EA22
2C056EA27
2C056HA28
2C056HA29
2C056JA01
2C056JB04
2C056JC05
2C056JC13
2C056JC17
2C056JC23
2C056JC29
2C056KC02
(57)【要約】
【課題】排紙トレイに紙が溜まった場合であっても、廃液貯留部を容易に交換することが可能な液体吐出装置を提供する。
【解決手段】インクジェットプリンタ(1)は、本体筐体(11)と、インクを吐出するノズル(42)を有する記録ヘッド(41)と、シート(P)を収容する給送トレイ(21)および排出トレイ(22)と、少なくとも一部が給送トレイ(21)および排出トレイ(22)の下方に重なる位置に配置されており、記録ヘッド(41)から排出されたインクを溜める廃液ボックス(60)と、左右方向における本体筐体(11)の側面に形成された装着部(152)であって、電源コード(162)が本体筐体(11)と接続される接続部(161)よりも、前後方向においてシート(P)が排出される側である前方において開口した、廃液ボックス(60)を挿抜可能に装着する装着部(152)と、を備えている。
【選択図】図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、
印刷媒体を収容する収容部と、
前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向において、少なくとも一部が前記収容部の下方に重なる位置に配置されており、前記液体吐出ヘッドから排出された液体を溜める廃液貯留部と、
前記液体吐出ヘッドの走査方向である左右方向における前記本体筐体の側面に形成された装着部であって、外部からの電力供給を受けるための電源コードが前記本体筐体と接続される接続部よりも、印刷媒体の搬送方向である前後方向において印刷媒体が排出される側である前方において開口した、前記廃液貯留部を挿抜可能に装着する装着部と、
を備えている、
ことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記液体吐出ヘッドに供給する液体を収容する液体タンクをさらに備え、
前記液体タンクは、前記本体筐体の前記左右方向において前記収容部および前記廃液貯留部と並んで配置されている、
ことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記装着部は、前記左右方向において、印刷媒体の搬送路を挟んで前記液体タンクの反対側の側面に設けられている、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
前記装着部は、前記側面において、前記本体筐体の前後方向の後面と前記側面とが接する位置から所定の距離離れた第1位置と、前記本体筐体の前記前後方向の前面と前記側面とが接する位置から所定の距離離れた第2位置との間に設けられている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項5】
前記廃液貯留部の前記左右方向の長さは、前記収容部の前記左右方向の長さよりも長い、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記廃液貯留部は、前記装着部に挿入された状態において、前記前方側の側面における前記開口側の端部が、その反対側の端部よりも、前記前後方向の前方に位置している
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記装着部は、前記本体筐体を把持するための把持部よりも前記前方において開口している、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記廃液貯留部の少なくとも一部は、前記液体タンクが設けられている位置よりも前記前後方向の後方に配置されている、
ことを特徴とする請求項2に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記液体吐出ヘッドから吐出された液体を回収する廃液回収部をさらに備えている、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
前記廃液回収部は、前記本体筐体内に生じたミスト状の液体を吸引するダクトである、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項11】
前記廃液回収部は、搬送される印刷媒体を支持するプラテンである、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記廃液回収部は、前記ノズルのノズル面を覆うことで前記ノズルを封止するキャップである、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項13】
前記廃液回収部は、前記ノズルに付着した液体を除去するワイパである、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項14】
前記廃液回収部は、前記液体吐出ヘッドのフラッシング処理により吐出された液体を受ける廃液受部である、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【請求項15】
前記廃液回収部において回収した液体を前記廃液貯留部に排出する排出部を有する中間ボックスをさらに備えている、
ことを特徴とする請求項9に記載の液体吐出装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は液体吐出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体吐出ヘッドから液体を吐出することでシートに印刷を行う液体吐出装置において、液体吐出ヘッドから排出された廃液を収容するための廃液貯留部が着脱可能に装着された液体吐出装置がある。例えば、特許文献1には、給紙カセットの下に配置された廃液ユニットを、給紙カセットの引き出し方向と同じ方向に引き出して交換するように構成されたインクジェットプリンタについて開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2015-063007公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、給紙カセットの引き出し方向は排紙方向と同一である。したがって、特許文献1に記載のインクジェットプリンタが備える廃液ユニットの引き出し方向は排紙方向と同一である。そのため、排紙トレイに紙が溜まった状態では排紙された用紙が邪魔になり廃液ユニットの交換が容易ではない。
【0005】
本開示は、上述した課題を解決するためになされたものであり、排紙トレイに紙が溜まった場合であっても、廃液貯留部を容易に交換することが可能な液体吐出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る液体吐出装置は、本体筐体と、液体を吐出するノズルを有する液体吐出ヘッドと、印刷媒体を収容する収容部と、前記液体吐出ヘッドのノズル面と直交する方向である上下方向において、少なくとも一部が前記収容部の下方に重なる位置に配置されており、前記液体吐出ヘッドから排出された液体を溜める廃液貯留部と、前記液体吐出ヘッドの走査方向である左右方向における前記本体筐体の側面に形成された装着部であって、外部からの電力供給を受けるための電源コードが前記本体筐体と接続される接続部よりも、印刷媒体の搬送方向である前後方向において印刷媒体が排出される側である前方において開口した、前記廃液貯留部を挿抜可能に装着する装着部と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本開示の一態様によれば、排紙トレイに紙が溜まった場合であっても、廃液貯留部を容易に交換することが可能な液体吐出装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態1に係るインクジェットプリンタの外観斜視図である。
図2】実施形態1に係るインクジェットプリンタの内部構成の概略を示す断面図である。
図3】実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における断面図である。
図4】実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置を示す模式的な断面図である。
図5】実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置の変形例を示す模式的な断面図である。
図6】実施形態1に係るインクジェットプリンタの前面視における廃液ボックスの配置の変形例を示す模式的な断面図である。
図7】実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置の他の変形例を示す模式的な断面図である。
図8】実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置の他の変形例を示す模式的な断面図である。
図9】実施形態2に係るインクジェットプリンタの要部構成の前面視における断面図である。
図10】実施形態2に係るインクジェットプリンタの要部構成の上面視における断面図である。
図11図9に示した中間ボックス、廃液ボックス及び廃液ガイドの構成の概要を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
〔実施形態1〕
以下、本開示の実施形態1について、詳細に説明する。
【0010】
〔インクジェットプリンタ1〕
(構成概要)
以下、インクジェットプリンタ1の構成概要について、図1図3を用いて説明する。図1は、インクジェットプリンタ1の外観斜視図である。図2は、インクジェットプリンタ1の内部構成の概略を示す断面図である。図3は、インクジェットプリンタ1の上面視における断面図である。
【0011】
図1に示すインクジェットプリンタ1は、液体吐出装置の一例である。以下の説明では、図1に示すようにインクジェットプリンタ1が使用可能に設置された状態を基準として、設置面側を下として上下方向を定義し、開口20が設けられている側を前として前後方向を定義し、前方からインクジェットプリンタ1を見て左側を左として左右方向を定義する。
【0012】
なお、上下方向は、後述する記録ヘッド41のノズル面421(図3参照)と直交する方向と称する場合がある。また、前後方向は、後述する搬送機構5(図2参照)によって印刷媒体の一例であるシートPの搬送方向と称する場合がある。さらに、左右方向は後述するキャリッジ40(図2参照)の移動方向である走査方向と称する場合がある。
【0013】
図1に示すように、インクジェットプリンタ1は、本体筐体11とインクジェットプリンタ1の上方に積層されたスキャナ筐体12とによって、全体として略直方体形状を形成している。
【0014】
本体筐体11の前面には、操作パネル13およびカートリッジカバー14が設けられている。操作パネル13は、各種操作ボタンおよび液晶表示部を有する。カートリッジカバー14は、本体筐体11に対して、回動可能に設けられている。カートリッジカバー14の内部には、図3に示すように、カートリッジケース140に装着されたインクカートリッジ141が配置されている。図1に戻り、本体筐体11の前面には、開口20が形成されており、印刷媒体を収容する収容部の一例である給送トレイ21および排出トレイ22は、本体筐体11の前面に形成された開口20を通じてインクジェットプリンタ1に対して着脱可能に設けられている。排出トレイ22は、排紙トレイの一例である。スキャナ筐体12は、シートPに記録された画像を読み取るスキャナ(図示せず)を有している。
【0015】
本体筐体11の左右方向における側面には、廃液ボックス交換部15と、電源部16と、把持部17とが設けられている。本実施形態において、廃液ボックス交換部15と、電源部16と、把持部17とは、本体筐体の左側面に設けられている。
【0016】
廃液ボックス交換部15は、本体筐体11に対して、回動可能な蓋部151と、蓋部151を開くと露出する廃液ボックス60が装着可能な装着部152(図3参照)と、により構成されている。つまり、廃液ボックス交換部15は、蓋部151を開閉することにより、本体筐体11に対して廃液ボックス60の挿抜が可能となるように構成されている。なお、以下の説明では、廃液ボックス60を本体筐体11に対して挿抜する方向を挿抜方向と称する場合がある。
【0017】
装着部152は、上下方向において、廃液ボックス60の少なくとも一部が給送トレイ21および排出トレイ22の下方に重なる位置に廃液ボックス60を装着する位置に、設けられている。すなわち、装着部152は、その少なくとも一部が、上下方向において給送トレイ21および排出トレイ22の下方に設けられている。装着部152は、廃液ボックス60の形状にあわせて構成されており、挿抜方向における本体筐体11の内部側には、廃液ボックス60の側面が当接する壁を備えている。この壁により、廃液ボックス60の内側方向への移動を規制する。また、装着部152は、廃液ボックス60の底面または側面が当接するガイドレールを備えていてもよく、このガイドレールにより本体筐体11の内部における廃液ボックス60の移動を規制してもよい。
【0018】
なお、廃液ボックス交換部15は、蓋部151を開閉する構成に限定するものではない。例えば、廃液ボックス60と、蓋部151を有する廃液ボックス60のボックス保持部と、により本体筐体11に対して着脱可能な廃液ボックスユニットを挿抜する構成であってもよい。この場合、廃液ボックスユニットを本体筐体11から抜き取ると、廃液ボックス交換部15には廃液ボックスユニットの形状に対応する開口が露出する。また、露出した開口に対して廃液ボックスユニットを挿入すると、廃液ボックスユニットが有する蓋部151により、露出した開口は塞がれる。
【0019】
電源部16は、本体筐体11に対する接続部161および電源コード162により構成されている。電源コード162は、接続部161側とは反対側の端部に、外部のアウトレットに差し込み可能なプラグを有している。電源コード162は、本体筐体11の側面から伸び出すように、接続部161に接続されている。電源部16は、外部からインクジェットプリンタ1に対する電力供給を受ける。本実施形態において、接続部161は本体筐体11の側面における後方側に設けられている。接続部161は、本体筐体11の側面と後面とが接する位置である本体筐体11の角部に設けられていてもよいし、本体筐体11の後面に設けられていてもよい。
【0020】
なお、電源コード162は、接続部161に対して着脱可能に接続されていてもよいし、着脱できないように接続されていてもよい。電源コード162が接続部161に対して着脱可能である場合、接続部161がインレットであり、電源コード162のアウトレットプラグの反対側の端部にインレットプラグを有するように構成されている。
【0021】
把持部17は、本体筐体11の側面の一部に設けられた窪みにより構成されている。把持部17は、ユーザが把持部17を把持することにより、インクジェットプリンタ1を持ち上げたり移動させたりすることができるように構成されている。把持部17は、本体筐体11の側面から突出するように設けられていてもよい。把持部17は、インクジェットプリンタ1の前後方向および上下方向の重心位置に設けられている。すなわち、把持部17は、本体筐体11の側面における前後方向および上下方向の中央近傍に設けられている。
【0022】
本体筐体11の左右方向における側面に設けられた蓋部151を開くことにより露出する、装着部152の開口は、電源コード162が本体筐体11と接続される接続部161よりも、前後方向における前方に設けられている。本実施形態において、前後方向における前方は、開口20が設けられている側であり、シートPが排出される側である。シートPは、後述するように、給送トレイ21から排出トレイ22へと搬送され、排出トレイ22から排出される。また、装着部152の開口は、把持部17よりも前後方向における前方に設けられている。
【0023】
さらに、装着部152の開口は、本体筐体11の側面において、本体筐体11の後面と側面とが接する位置から所定の距離離れた第1位置X1と、本体筐体11の前面と側面とが接する位置から所定の距離離れた第2位置X2との間に設けられている。すなわち、装着部152の開口は、本体筐体11の角部から所定の距離離れた位置に設けられており、つまり、角部以外の位置に設けられている。なお、装着部152の開口の前後方向の長さである第1位置X1と第2位置X2との間の長さは、廃液ボックス60の前後方向の長さよりも長くなっている。
【0024】
(内部構成)
次に、インクジェットプリンタ1の内部構成について、図2を用いて説明する。
【0025】
図2に示すように、インクジェットプリンタ1は、給送部3と、記録部4と、搬送機構5と、制御装置100と、を備えている。
【0026】
給送部3は、軸30と、給送アーム31と、給送ローラ32と、を有している。給送部3は、給送ローラ32の正回転によって、給送トレイ21に収容されたシートPを用紙搬送路の一例である搬送路Rへ給送する。給送ローラ32は、給送アーム31の先端部に回転可能に支持されている。給送アーム31は、インクジェットプリンタ1のフレームに支持された軸30に回動可能に支持されている。給送アーム31は、自重またはバネ等による弾性力によって、給送トレイ21へ向けて回動付勢されている。
【0027】
搬送路Rは、給送トレイ21の後端部から上方に延び、ガイド部材33で区画される領域にて湾曲し、記録部4の位置を経由して、排出トレイ22に至る経路である。
【0028】
給送ローラ32は、制御装置100により給送モータ(不図示)が駆動されると、給送トレイ21からシートPを1枚ずつ取り出す。給送トレイ21から取り出されたシートPは、搬送路Rに沿って送り出され、記録部4へと供給される。
【0029】
記録部4は、給送部3の上方に配置されている。記録部4は、キャリッジ40と、液体吐出ヘッドの一例である記録ヘッド41と、複数のノズル42と、プラテン43とを有している。キャリッジ40は、左右方向に延びたガイドレール9Aと、ガイドレール9Bとに支持されている(図3参照)。キャリッジ40は、キャリッジモータ(不図示)の駆動力が伝達されて、左右への移動方向である走査方向、すなわち、搬送されるシートPの幅方向に往復移動する。シートPへの画像記録において、インクジェットプリンタ1の制御装置100は、シートPが停止している状態でキャリッジ40をシートPの幅方向に移動させながら記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させ、1行分の画像をシートPに記録させる記録処理と、搬送ローラ50および排出ローラ52を駆動させてシートPを所定の改行量だけ搬送する搬送処理とを繰り返す。
【0030】
キャリッジ40には、記録ヘッド41が搭載されている。記録ヘッド41の下面には、複数のノズル42が設けられている。複数のノズル42は、前後方向に配列されることにより、ノズル列を形成しており、ノズル面421には、左右方向に並んだ4つのノズル列が形成されている。複数のノズル42からは、右側に位置するノズル列を形成するものから順に、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが吐出される。なお、ノズル列の配置順はこれに限られるものではなく、製品ごとに適宜変更されてもよい。
【0031】
記録ヘッド41は、液体の一例であるインクをノズル42から吐出する。記録ヘッド41は、ピエゾ素子等の振動素子を振動させることによって、ノズル42からインク滴を吐出する。
【0032】
プラテン43は、記録ヘッド41の下方に位置しており、左右方向におけるシートPの全長にわたって延びている。プラテン43は、記録処理時に、シートPを下側から支持する。プラテン43に支持されたシートPに対して、キャリッジ40が移動する過程において、記録ヘッド41がインク滴を選択的に吐出することによって、シートPに画像が記録される。
【0033】
搬送機構5は、前後方向において、キャリッジ40およびプラテン43を挟むように前後に配置された搬送ローラ50と、排出ローラ52と、を有する。搬送ローラ50の下方には、搬送ローラ50と対向する位置にピンチローラ51が設けられている。搬送ローラ50は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。ピンチローラ51は、搬送ローラ50の回転に伴って回転する。搬送ローラ50およびピンチローラ51が正回転することにより、シートPは、搬送ローラ50およびピンチローラ51に挟持されて、搬送路Rに沿って記録部4へと搬送される。
【0034】
排出ローラ52は、キャリッジ40およびプラテン43を挟んで搬送ローラ50よりも下流側に位置するように設けられている。排出ローラ52の上方には、排出ローラ52と対向する位置に拍車ローラ53が設けられている。排出ローラ52は、搬送モータ(不図示)によって駆動される。拍車ローラ53は、排出ローラ52の回転に伴って回転する。排出ローラ52および拍車ローラ53が正回転することにより、シートPは、排出ローラ52および拍車ローラ53に挟持されて、排出トレイ22へ排出される。
【0035】
制御装置100は、CPU(Central Processing Unit)、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、および、各種制御回路を含むASIC(Application Specific Integrated Circuit)等を備える。制御装置100は、記録ヘッド41や搬送機構5の搬送モータ等のインクジェットプリンタ1を構成する様々な装置と接続されている。また、制御装置100は、操作パネル13、および、外部機器であるPC等とも接続されている。
【0036】
制御装置100は、ROMに格納されたプログラムに従い、CPUおよびASICにより、記録ヘッド41や後述のメンテナンスユニット81、および、フラッシングと呼ばれるノズル42からのインク滴の吐出等の動作を制御する各種処理を実行する。制御装置100は、PC等の外部機器から送信された印刷指令に基づいて、記録ヘッド41や搬送モータ等を制御して、シートPに画像を印刷する印刷処理を実行する。メンテナンスユニット、および、フラッシング動作については後述する。なお、本実施形態では、制御装置100は、CPU、ROM、RAM、およびASICを備えたものとして説明するが、これに限るものではなく、制御装置100はいかなるハードウェア構成で実現してもよい。
【0037】
以上の構成において、インクジェットプリンタ1は、搬送機構5によってシートPを搬送方向に搬送しつつ、キャリッジ40とともに記録ヘッド41を走査方向に移動させながらインクを吐出させることにより、シートPに画像を印刷する。
【0038】
(カートリッジケース140)
次に、カートリッジケース140について、図3を用いて説明する。図3に示すように、カートリッジケース140は、左右方向に並ぶ4つのインクカートリッジ141を備えている。各インクカートリッジ141は、カートリッジケース140に対して取り外し可能に設けられている。インクカートリッジ141は、記録ヘッド41に供給する液体を収容する液体タンクの一例である。インクカートリッジ141には、それぞれ、ブラック、イエロー、シアン、マゼンタのインクが貯留されている。各インクカートリッジ141に貯留されたインクは、廃液流路の一例であるチューブ142を介して、記録ヘッド41に供給される。
【0039】
(メンテナンスユニット81)
次に、メンテナンスユニット81について、図3を用いて説明する。図3に示すように、インクジェットプリンタ1は、メンテナンスユニット81を備える。メンテナンスユニット81は、キャップ811と、ポンプ812と、廃液流路の一例であるチューブ813とを備えている。メンテナンスユニット81は、キャリッジ40の走査経路よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。本実施形態においては、左右方向における右側に配置されている。なお、メンテナンスユニット81が配置される位置は右側に限定するものではなく、左側に配置されてもよい。
【0040】
キャップ811は、ゴム素材により構成されている。キャップ811は、記録ヘッド41よりも下方に位置し、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。キャリッジ40をプラテン43よりも外側のメンテナンス位置に移動させると、キャップ811とノズル面421とが対向する。
【0041】
キャップ811は、例えば、昇降機構(不図示)により上下方向に移動可能に構成されている。キャップ811は、メンテナンス位置において上方向に移動することで、ノズル面421と密着する。キャップ811は、記録ヘッド41から吐出されたインクを回収する廃液回収部の一例である。キャップ811は、ノズル42のノズル面421を覆うことでノズル42を封止する。このように、キャップ811は、記録ヘッド41を覆うことで、記録ヘッド41からのインクを受ける機能、ノズル面421の乾燥を防ぐ機能等を有する。
【0042】
ポンプ812は、モータ(不図示)に駆動されることによって、ノズル42内のインク等をキャップ811およびチューブ813を通じて吸引し、チューブ813を通じて廃液ボックス60に排出する。
【0043】
チューブ813は、メンテナンスユニット81から排出されたインクを移送する流路であって、メンテナンスユニット81と廃液ボックス60とを接続する。チューブ813は、可撓性を有する素材で構成されており、キャップ811からポンプ812を経由して廃液ボックス60へとインクを移送する。
【0044】
メンテナンスユニット81は、以上の構成により、記録ヘッド41のメンテナンスを行うものである。より詳細には、メンテナンスユニット81は、ノズル42内のインクや空気、およびノズル42の下面に形成されている開口に付着した異物を吸引するパージ動作を実行する。なお、ノズル42内のインクや空気、およびノズル42の開口に付着した異物のことを、以下では「インク等」と称する。メンテナンスユニット81によって吸引除去されたインク等は、廃液ボックス60に貯留される。
【0045】
(フラッシングユニット70)
フラッシングユニット70は、フラッシング処理時にノズル42から排出されるインクのミスト飛散を防止するとともに、廃液ボックス60へインクを案内するように構成されている。フラッシングユニット70の下方には、ノズルと対向する上面が開口した中間ボックス(図示せず)が設けられていてもよい。これにより、フラッシング処理により排出されるインクは、中間ボックスを介して廃液ボックス60へ案内されるようになっていてもよい。なお、フラッシングユニット70は、フラッシング処理により排出されるインクを直接廃液ボックス60へ案内するように構成されていてもよい。
【0046】
フラッシング処理とは、キャリッジ40をフラッシングユニット70と対向する位置であるフラッシング位置に移動させた状態で、記録ヘッド41を駆動させることにより、シートPに向けたインクの吐出とは別に、複数のノズル42からフラッシングユニット70に向けてインクを吐出させる動作である。
【0047】
本実施形態において、メンテナンスユニット81およびフラッシングユニット70は、走査方向においてプラテン43よりも外側となる位置に配置されている。また、フラッシングユニット70は、搬送路Rを挟んでメンテナンスユニット81の反対に配置されている。さらに、搬送路Rを挟んでメンテナンスユニット81が左右方向における右側に配置され、その反対側である左側にフラッシングユニット70が配置されている。なお、メンテナンスユニット81とフラッシングユニット70との配置はこれに限られるものではない。
【0048】
(廃液ボックス60)
廃液ボックス60は、記録ヘッド41から排出されたインクを溜める廃液貯留部の一例である。廃液ボックス60は、記録ヘッド41のメンテナンス処理や、フラッシング処理等により記録ヘッド41から吐出されたインクを溜めるものである。廃液ボックス60は、本体筐体11に対して挿抜可能に装着される。
【0049】
廃液ボックス60は、蓋部151を開くことにより露出する装着部152の開口を介して、本体筐体11に対して挿抜される。本実施形態において、廃液ボックス60の挿抜方向は左右方向であり、前後方向である排出トレイ22からの排紙方向とは異なっている。廃液ボックス60は、電源コード162が本体筐体11と接続される接続部161の位置よりも、前後方向の前方に設けられた装着部152の開口から挿抜される。
【0050】
廃液ボックス60の配置について、図3及び図4を用いて説明する。なお、図4は、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の上面視における廃液ボックス60の配置を示す模式的な断面図である。
【0051】
図3及び図4に示すように、廃液ボックス60は、本体筐体11に装着されたときに、その少なくとも一部が、上下方向において給送トレイ21および排出トレイ22の下方に重なる位置に配置される。すなわち、廃液ボックス60の少なくとも一部は、図4に示すように、給送トレイ21および排出トレイ22と上下方向に並んで配置されている。
【0052】
また、インクカートリッジ141は、廃液ボックス60ならびに給送トレイ21および排出トレイ22と左右方向に並んで配置されている。本実施形態においては、図3に示すように、インクカートリッジ141が右側に、廃液ボックス60ならびに給送トレイ21および排出トレイ22が左側に並んで配置されている。なお、インクカートリッジ141が左側に、廃液ボックス60ならびに給送トレイ21および排出トレイ22が右側に並んで配置されていてもよい。ここで、廃液ボックス60が装着された装着部152の開口は、シートPの搬送路Rを挟んでインクカートリッジ141とは反対側の側面に設けられている。すなわち、廃液ボックス60は、シートPの搬送路Rを挟んでインクカートリッジ141とは反対側の側面から挿抜される。
【0053】
なお、廃液ボックス60とインクカートリッジ141とは、上下方向におけるそれぞれの位置が揃っていなくてもよい。つまり、例えば、上下方向において、インクカートリッジ141は、給送トレイ21および排出トレイ22より上方に位置するように設けられ、廃液ボックス60は、給送トレイ21および排出トレイ22より下方に位置するように設けられてもよい。
【0054】
廃液ボックス60の左右方向の長さは、給送トレイ21および排出トレイ22の左右方向の長さよりも長い。そして、廃液ボックス60とインクカートリッジ141とが、左右方向に並んで配置されている場合、廃液ボックス60の右端は、インクカートリッジ141が収容されたカートリッジケース140の左端に接する位置まで伸びていてもよい。すなわち、廃液ボックス60の左右方向、すなわち長手方向の長さは、最大で、カートリッジケース140の左端から装着部152の開口までの長さとすることができる。
【0055】
(本実施形態の作用効果)
上記の構成によれば、本体筐体11の側面の前方に設けられた装着部152の開口から廃液ボックス60を挿抜することで、排紙方向が前後方向である装置において、排紙方向とは異なる方向に廃液ボックス60を挿抜することができる。これにより、大量印刷中や長尺印刷中に排出トレイ22に紙が溜まった場合であっても、廃液ボックス60の挿抜の邪魔にならず、廃液ボックス60を容易に交換することができる。また、長尺印刷紙を本体筐体11の前面にセットするような装置であっても、長尺印刷紙をセットした状態のままで廃液ボックス60が挿抜可能であり、廃液ボックス60の交換のために長尺印刷紙のセット状態を解除する必要がない。さらに、上記の構成によれば、廃液ボックス60は、本体筐体11の側面の前方から挿抜されるので、本体筐体11の背面が壁側となるようにインクジェットプリンタ1が配置された場合に、廃液ボックス60までユーザの手が届きやすく、廃液ボックス60の挿抜が容易である。また、廃液ボックス60は、電源コード162が本体筐体11と接続される接続部161よりも前方から挿抜されるので、電源コード162が廃液ボックス60の挿抜の邪魔にならず、廃液ボックス60の交換が容易である。
【0056】
また、上記の構成によれば、廃液ボックス60は把持部17よりも前方に設けられた装着部152の開口から挿抜されるので、廃液ボックス60の交換が容易である。
【0057】
さらに、上記の構成によれば、装着部152は、本体筐体11の角部以外の位置において開口している。本体筐体11の角部は、開口することにより強度が低下する虞があるが、装着部152の開口は、本体筐体11の角部から所定の距離離れた位置に設けられているので、本体筐体11の強度の低下を抑えることができる。
【0058】
また、上記の構成によれば、記録ヘッド41から吐出されたインクを回収する廃液回収部により、印刷媒体への画像記録に用いられなかった液体であって、インクジェットプリンタ1内で生じた種々の液体を廃液として回収し、廃液ボックス60に溜めることができる。インクジェットプリンタ1は、廃液回収部の一例として、記録ヘッド41のメンテナンスに用いるキャップ811をさらに備えている。これにより、メンテナンス処理により記録ヘッド41のノズル42から吸引されたインクを回収し、廃液ボックス60に溜めることができる。また、インクジェットプリンタ1は、廃液回収部として、フラッシング処理によりノズルから吐出されたインクを回収する機能も有しているため、フラッシング処理により吐出されたインクを回収し、廃液ボックス60に溜めることができる。
【0059】
さらに、上記の構成によれば、廃液ボックス60は、給送トレイ21および排出トレイ22の下方に重なる位置に、インクカートリッジ141と左右方向に並んで配置される。したがって、廃液ボックス60は、左右方向において給送トレイ21および排出トレイ22の下側をインクカートリッジ141の手前まで延ばすことができる。すなわち、本体筐体11の左右方向の大きさを変えることなく大容量の廃液ボックス60を設置することができる。そして、大容量の廃液ボックス60を設置することにより、廃液ボックス60の交換頻度を低減することができる。また、廃液ボックス60の上下方向の長さである高さの分だけ、インクカートリッジ141の高さを高くすることができるので、大容量のインクカートリッジ141を設置することもできる。
【0060】
さらに、上記の構成によれば、装着部152の開口は、搬送路Rを挟んでインクカートリッジ141とは反対側の側面に設けられているので、廃液ボックス60をインクカートリッジ141とは反対側から挿抜することができる。これにより、廃液ボックス60の挿抜がインクカートリッジ141により邪魔されず、廃液ボックス60の交換が容易である。
【0061】
また、上記の構成によれば、廃液ボックス60は、左右方向において給送トレイ21および排出トレイ22よりも長くすることにより、大容量の廃液ボックス60を設置することができる。これにより、廃液ボックス60の交換頻度を低減することができる。
【0062】
(変形例1)
実施形態1では、廃液ボックス60は、インクカートリッジ141と左右方向に並んで配置されていたが、廃液ボックス60の配置はこれに限定されない。廃液ボックス60の配置の変形例について、図5及び6を用いて説明する。図5は、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の上面視における廃液ボックス60の配置の変形例を示す模式的な断面図である。図6は、実施形態1に係るインクジェットプリンタ1の前面視における廃液ボックス60の配置の変形例を示す模式的な断面図である。
【0063】
図5に示すように、廃液ボックス60は、インクカートリッジ141よりも前後方向の後方に配置されていてもよい。すなわち、廃液ボックス60は、インクカートリッジ141よりも前後方向の後方に配置されているので、左右方向において廃液ボックス60とインクカートリッジ141とは互いに重ならない。
【0064】
上記の構成によれば、廃液ボックス60は、インクカートリッジ141よりも前後方向の後方に配置されているので、左右方向における廃液ボックス60の挿抜がインクカートリッジ141により妨げられない。これにより、廃液ボックス60の交換が容易である。
【0065】
また、上記の構成によれば、廃液ボックス60の左右方向の長さは、インクカートリッジ141の配置による影響を受けない。したがって、廃液ボックス60の右端は、図5および6に示すように、本体筐体11の右側の側面まで伸びていてもよい。すなわち、廃液ボックス60の左右方向の長さは、最大で、本体筐体11における右側の側面の内壁から装着部152の開口までの長さとすることができる。すなわち、本体筐体11の左右方向の大きさを変えることなく大容量の廃液ボックス60を設置することができる。
【0066】
(変形例2)
廃液ボックス60の配置の他の変形例について、図7を用いて説明する。図7は、実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置の他の変形例を示す模式的な断面図である。
【0067】
図7に示すように、廃液ボックス60は、装着部152に挿入された状態において、前方側の側面における装着部152の開口側の端部が、その反対側の端部よりも、前後方向の前方に位置していてもよい。すなわち、廃液ボックス60は、前方側の側面における、装着部152の開口側の端部が前方側であり、その反対側の端部が後方側となるように、前後方向の側面が上面視において本体筐体の前面に対して傾斜して設けられていてもよい。当該変形例において、装着部152は、上面視において、本体筐体11の前面に対して傾斜した壁を、本体筐体11の内部に備えている。これにより、廃液ボックス60を当該壁に当接させて挿入すれば、廃液ボックス60を、上面視において本体筐体11の前面に対して傾斜した位置に配置することができる。また、装着部152は、上面視において、本体筐体11の前面に対して傾斜したガイドレールを、本体筐体11の内部に備えていてもよい。
【0068】
上記の構成によれば、廃液ボックス60を斜め前方から挿抜することが可能である。これにより、本体筐体11の側方に障害物があり左右方向に廃液ボックス60を挿抜することが困難な場合であっても、斜め前方に挿抜することで廃液ボックス60を容易に交換することができる。
【0069】
(変形例3)
廃液ボックス60の配置の他の変形例について、図8を用いて説明する。図8は、実施形態1に係るインクジェットプリンタの上面視における廃液ボックスの配置の他の変形例を示す模式的な断面図である。
【0070】
図8に示すように、廃液ボックス60は、少なくとも一部は、インクカートリッジ141が設けられている位置よりも前後方向の後方に配置されていてもよい。例えば、図8に示すように、廃液ボックス60は、上面視において略L字形状であり、その一部がインクカートリッジ141よりも後方であり、他の部分はインクカートリッジ141と左右方向に並ぶ位置に配置されてもよい。
【0071】
このように、廃液ボックス60において、左右方向においてインクカートリッジ141と重なる部分については、左右方向の長さをインクカートリッジ141の左右方向の長さの分だけ短くし、他の部分はより長くしてもよい。これにより、インクカートリッジ141が廃液ボックス60の挿抜の邪魔にならず、廃液ボックス60の交換が容易であると共に、大容量の廃液ボックス60の設置を実現することができる。
【0072】
〔実施形態2〕
本開示の他の実施形態について、以下に説明する。なお、説明の便宜上、上記実施形態にて説明した部材と同じ機能を有する部材については、同じ符号を付記し、その説明を繰り返さない。
【0073】
本実施形態におけるインクジェットプリンタ200について、図9図11を用いて説明する。図9は、実施形態2に係るインクジェットプリンタ200の要部構成の前面視における断面図である。図10は、実施形態2に係るインクジェットプリンタ200の要部構成の上面視における断面図である。図11は、図9に示した中間ボックス700、廃液ボックス60及び廃液ガイド90の構成の概要を示す図である。
【0074】
インクジェットプリンタ200は、記録ヘッド41から吐出されたインクを回収する廃液回収部を備えている。廃液回収部の一例は、メンテナンスユニット81、ワイパ82、プラテン43、ダクト86、または、廃液ガイド90である。インクジェットプリンタ200は、廃液回収部において回収したインクを廃液ボックス60に排出する排出部の一例である排出口75を有する中間ボックス700を備えている。
【0075】
(廃液回収部の構成)
次に、図9及び図10を用いて、廃液回収部の構成について説明する。なお、図9及び図10において示した複数の構成要素の配置関係は、模式的に示されたものであり、明細書中に記載された事項を除き、他の構成要素との配置関係を示すものではない。
【0076】
図9及び図10に示すように、インクジェットプリンタ200は、記録ヘッド41と、プラテン43と、メンテナンスユニット81と、ワイパ82と、液体貯留部83と、洗浄液噴射ユニット84と、ダクト86と、中間ボックス700と、廃液ボックス60と、廃液ガイド90とを有している。
【0077】
プラテン43は、プラテン43上に吐出されたインクを回収する。プラテン43は、前後方向において、後端が下となる傾斜面を有している。図9及び図10に示すように、プラテン43のノズル42と対向する面には、前後方向に延出する複数のリブ46が設けられている。プラテン43は、複数のリブ46によりシートを支持している。図10に示すように、プラテン43には、プラテン43の傾斜面に沿って流れたインク(廃液)を収集する廃液収集部45が設けられている。廃液収集部45は、例えば樋のような溝により構成されている。
【0078】
廃液収集部45は、プラテン43の後端部からプラテン43の左端部の一部に渡って設けられている。廃液収集部45は、L字のような形状を成している。以下の説明において、プラテン43の後端部側の廃液収集部45については後部廃液収集部451と称し、プラテン43の左端部側の廃液収集部45については側部廃液収集部452と称し、後部廃液収集部451及び側部廃液収集部452を総称する場合には単に廃液収集部45と称する。後部廃液収集部451は、左側に向かって下る傾斜を有している。側部廃液収集部452には、排出口44が形成されている。側部廃液収集部452は、排出口44に向かって下る傾斜を有している。廃液収集部45は、収集したインクが排出口44に向かって流れるように構成されている。
【0079】
プラテン43上に吐出されたインクは、矢印Y1にて示すように、傾斜面に沿ってプラテン43の後方に流れる。後部廃液収集部451は、Y1方向に流れてきたインクを収集する。後部廃液収集部451を流れるインクは、矢印Y2方向に向かい、側部廃液収集部452に流れる。側部廃液収集部452を流れるインクは、矢印Y3方向に向い、排出口44に流れる。
【0080】
図9に示すように、プラテン43の左側であって、プラテン43よりも下方には中間ボックス700が配置されている。中間ボックス700は、排出口44の下方に位置する。図9の矢印Y9にて示すように、側部廃液収集部452を流れるインクは、排出口44を通り中間ボックス700へ排出される。図10に示すように、排出口44は、排出口44側から平面視したときに、後述する中間ボックス700の開口72と重なる位置に位置している。そのため、排出口44から下方に滴り落ちたインクは、中間ボックス700の開口72を通り、中間ボックス700内部に溜められる。
【0081】
メンテナンスユニット81は、記録ヘッド41のノズル42の吐出状態を回復させるためのメンテナンスを行う。図10に示すように、メンテナンスユニット81は、左右方向において、プラテン43の外側に配置されている。メンテナンスユニット81は、記録ヘッド41の待機位置と同じ側に配置されている。記録ヘッド41の待機位置は、シートに画像を記録しない時において、キャリッジが所定の位置に待機する位置である。本実施形態において、メンテナンスユニット81は、プラテン43の右側に配置されている。メンテナンスユニット81は、記録ヘッド41の走査領域内において、記録ヘッド41よりも下方に位置するように配置されている。メンテナンスユニット81は、キャップ(図示せず)と、吸引ポンプ(図示せず)と、を有する。
【0082】
キャップは、待機位置にて待機している記録ヘッド41と対向する位置に配置されている。キャップは、ノズル42内のインク(廃液)を回収するための部材である。キャップは廃液回収部の一例である。キャップは、駆動モータの動力により昇降する。キャップは、上方に向かって駆動すると、待機位置にて待機する記録ヘッド41のノズル面421を覆う。キャップは、ノズル面421を覆うことでノズル42を封止する。
【0083】
吸引ポンプは、キャップに接続されている。吸引ポンプは、駆動モータが駆動することにより、キャップにより封止されたノズル42内のインク(廃液)を吸引する。すなわち、吸引ポンプはノズル42内のインクを回収する。吸引ポンプは、廃液回収部の一例である。駆動モータは、制御装置100により制御されている。吸引ポンプは、例えばチューブポンプである。吸引ポンプは、廃液チューブ55と接続している。吸引ポンプにより吸引されたノズル42内のインクは、矢印Y4方向に向かい廃液チューブ55を介して、接続部711から中間ボックス700へ排出される。
【0084】
ワイパ82は、記録ヘッド41のノズル面421を払拭することにより、ノズル42に付着したインクを除去する。すなわち、ワイパ82は、ノズル面421を払拭することにより、ノズル42に付着したインクを回収する。ワイパ82は、ゴム製の部材である。ワイパ82は、記録ヘッド41の走査領域上に配置される。ワイパ82は、記録ヘッド41よりも下方に配置される。ワイパ82は、左右方向において、プラテン43とメンテナンスユニット81との間に配置される。
【0085】
ワイパ82の先端部分は、記録ヘッド41のノズル面421に対して当接可能である。ワイパ82は、図示しないホルダーに指示され、上下方向に移動可能である。ワイパ82は、画像記録時には下方に移動し、ノズル面421に対して当接しない。ワイパ82は、メンテナンスユニット81によりノズル42内のインクが吸引された後、ノズル面421と当接可能となる位置まで、上方に移動する。上方に移動したワイパ82は、ワイパ82上を走査する記録ヘッド41のノズル面421と当接することが可能となる。これにより、ワイパ82は、ノズル面421を払拭し、ノズル42に付着したインク(廃液)を除去する。ワイパ82により除去されたインクは、ワイパ82を伝い、液体貯留部83へと流れ込む。
【0086】
洗浄液噴射ユニット84は、ワイパ82の付近に配置されている。洗浄液噴射ユニット84は、記録ヘッド41の走査方向において、ワイパ82と同じ側に配置されている。洗浄液噴射ユニット84は、洗浄液噴射ノズル841と、洗浄液供給チューブ842と、洗浄液貯留部843と、を有する。
【0087】
洗浄液噴射ノズル841は、ワイパ82を洗浄するための洗浄液を噴射する。洗浄液噴射ノズル841は、液体吐出部の一例である。洗浄液噴射ノズル841は、ワイパ82を洗浄可能である位置に配置されている。洗浄液は、洗浄液貯留部843に溜められている。制御装置100により、供給ポンプ等により構成される洗浄液供給部(図示せず)が駆動されると、洗浄液供給部は洗浄液貯留部843内に溜められている洗浄液を、洗浄液供給チューブ842を介して、洗浄液噴射ノズル841に供給する。洗浄液噴射ノズル841は、洗浄液貯留部843から供給された洗浄液をワイパ82に向けて噴射する。洗浄液噴射ノズル841から噴射された洗浄液(廃液)は、液体貯留部83に溜められる。
【0088】
図9に示すように、液体貯留部83は、ワイパ82の下方に配置されている。液体貯留部83は、ワイパ82により除去されたインク及び洗浄液噴射ノズル841により噴射された洗浄液を溜める。すなわち、液体貯留部83は、洗浄液噴射ノズル841により噴射された洗浄液を回収する。液体貯留部83は、廃液回収部の一例である。
【0089】
液体貯留部83の上面には、開口831が形成されている。ワイパ82が除去したインク及び洗浄液噴射ノズル841から噴射された洗浄液は、液体貯留部83の開口831を通り、液体貯留部83に溜められる。液体貯留部83は、廃液チューブ55により中間ボックス700と接続している。液体貯留部83に溜められたインク及び洗浄液は、図9及び図10の矢印Y5にて示すように、廃液チューブ55に流れ、廃液チューブ55を介して、接続部712から中間ボックス700に排出される。
【0090】
ダクト86は、本体筐体11内に生じたミスト状の液体を吸引する。ダクト86は、記録ヘッド41のノズル42から吐出されたミスト状のインク及び/又は洗浄液噴射ノズル841から噴射されたミスト状の洗浄液を吸引することが可能である。ダクト86は、本体筐体11の左側に配置されている。ダクト86は、ファン69と、導管67とを有する。
【0091】
ファン89は、本体筐体11内のエアーを排気口891から外部に排気する。ファン89は、制御装置100により駆動される。ファン89には、エアーが通過する導管87が接続されている。導管87は、本体筐体11内から吸引されたエアーを排気口891に送るためのものである。導管87の一方端は、ファン89及び排気口891と接続している。導管87の他方端は、筐体本体内のエアーを吸引するための吸気口88と接続している。
【0092】
ファン89が駆動すると、本体筐体11内の気圧が減圧する。本体筐体11内の気圧が減圧すると、吸気口88から本体筐体11内のエアーが吸引される。記録ヘッド41のノズル42から吐出されたミスト状の液体は、図9の矢印Y7にて示すように、本体筐体11内のエアーと共に吸気口88から吸引される。ミスト状の液体は、導管87において凝集され、液体化した廃液として溜まる。導管87には、廃液チューブ55が接続されている。導管87に溜まった廃液は、図10の矢印Y8にて示すように、廃液チューブ55を介して接続部713から中間ボックス700に排出される。
【0093】
制御装置100は、中間ボックス700の開口72に向けて、記録ヘッド41のノズル42からインクを吐出させるフラッシング処理を実行する。制御装置100は、フラッシング処理を実行する際、記録ヘッド41をフラッシング領域に移動させる。フラッシング領域は、フラッシング処理を実行する領域である。
【0094】
図9及び図10において、記録ヘッド41は、フラッシング領域に位置している。フラッシング処理は、プラテン43を挟んで、記録ヘッド41の待機位置とは反対側において実行される。本実施形態において、フラッシング処理は、左右方向において、プラテン43よりも左側において実行される。フラッシング領域は、中間ボックス700の開口72の上方の領域である。図9の矢印Y10にて示すように、フラッシング処理によりノズル42から吐出されたインク(廃液)は、開口72を通り、中間ボックス700内に溜められる。
【0095】
図9に示すように、インクジェットプリンタ200の高さ方向において、中間ボックス700の上方には廃液ガイド90が配置されている。廃液ガイド90は、記録ヘッド41のフラッシング処理により吐出されたインクを受ける廃液受部の一例である。廃液ガイド90は、フラッシング処理によりノズル42から吐出されたインクを、中間ボックス700の開口72に案内するための部材である。廃液ガイド90は、インクジェットプリンタ1の高さ方向において、記録ヘッド41よりも下方である。廃液ガイド90は、フラッシング領域に位置する記録ヘッド41のノズル42と、中間ボックス700の開口72との間に位置するように配置されている。廃液ガイド90は、図示しない保持部により保持されている。なお、廃液ガイド90は、少なくとも1つ以上配置されていればよい。
【0096】
図11を用いて、廃液ガイド90と中間ボックス700との構成について説明する。図11の(A)は、中間ボックス700、廃液ボックス60、および廃液ガイド90の構成の概要を示した断面図である。図11の(B)は、中間ボックス700及び廃液ガイド90を上面視したときの図である。なお、図11の(A)において、図面の見易さを考慮し、中間ボックス700に設けられる接続部711,712,713についての記載は省略している。
【0097】
図11の(A)に示すように、廃液ガイド90の記録ヘッド41側の端部91及び中間ボックス700側の端部92は、開口72よりも上方に位置しているが、廃液ガイド90は、上下方向において、開口72と一部が重なるように配置してもよい。廃液ガイド90のノズル42と対向する面は、開口72に対して交差する傾斜面93となっている。
【0098】
図11の(B)には、上面視したときの廃液ガイド90と中間ボックス700の開口72の位置との位置関係が示されている。図11の(B)において、図面の見易さを考慮し、一つの廃液ガイド90のみを図示し、その他の廃液ガイド90については省略している。本体筐体11を上面視したとき、廃液ガイド90の中間ボックス700側の端部は、開口72と重なる位置に配置されている。
【0099】
フラッシング処理にて吐出されたインクは、廃液ガイド90の傾斜面93上に吐出される。図11の(B)の矢印Xにて示すように、傾斜面93上に吐出されたインクは、傾斜面93に沿って下方に向かう。傾斜面93に沿って流れるインクは、廃液ガイド90の端部91から中間ボックス700の開口72に向かって滴り落ちる。
【0100】
(中間ボックス700の構成)
中間ボックス700は、複数の廃液回収部から排出されたインクを溜めるタンクである。中間ボックス700は、廃液回収部と廃液ボックス60との間に流れるインクを中継する。中間ボックス700は、接続部711,712,713と、開口72と、第1廃液吸収体73と、排出口75と、第1廃液貯留部78と、を有する。
【0101】
接続部711,712,713は、廃液チューブ55が接続されている部分である。開口72は、中間ボックス700の上面に形成されている。中間ボックス700の開口72は、プラテン43の排出口44と対向する位置に形成されおり、プラテン43の排出口44から排出されるインクを受容する開口である。中間ボックス700の開口72は、プラテン43の排出口44の大きさよりも大きい。また、中間ボックス700の開口72は、記録ヘッド41のノズル42と対向する位置に形成されており、ノズル42から吐出されたインクの受容する開口である。開口72は、ノズル面421の大きさよりも大きく形成されている。
【0102】
接続部711,712,713及び開口72を介して受容した液体は、第1廃液貯留部78に溜められる。すなわち、第1廃液貯留部78は、プラテン43、メンテナンスユニット81、液体貯留部83、およびダクト86から排出されたインク及び洗浄液を溜める。また、第1廃液貯留部78には、フラッシング処理にて吐出されたインクが溜められる。
【0103】
図11に示すように、中間ボックス700は、第1廃液貯留部78内に第1廃液吸収体73を有する。第1廃液吸収体73は、第1廃液貯留部78において受容された液体を吸収する。第1廃液吸収体73は、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームである。第1廃液吸収体73には、排出部の一例としての凸部74が設けられている。凸部74は、廃液ボックス60側に突出する。凸部74は、中間ボックス700に形成された開口72を通り、中間ボックス700の外部に向かってに突出している。凸部74は、中間ボックス700の外部に露出している。凸部74は、第1廃液貯留部78内に溜められた液体を、中間ボックス700の外部に排出するための部分である。
【0104】
(廃液ボックス60の構成)
廃液ボックス60は、蓋部151を開くことにより露出する開口を介して、本体筐体11に対して挿抜可能に装着される。廃液ボックス60には、図9の矢印Y6にて示すように、中間ボックス700から液体が排出される。図11の(A)に示すように、廃液ボックス60は、開口61と、第2廃液吸収体62と、第2廃液貯留部68とを有する。開口61は、中間ボックス700の凸部74と対向する部分に形成されている。
【0105】
廃液ボックス60の第2廃液貯留部68には、中間ボックス700の凸部74を介して、液体が溜められる。すなわち、第2廃液貯留部68は、廃液回収部からの液体を溜める部分である。廃液ボックス60は、第2廃液貯留部68内に第2廃液吸収体62を有している。第2廃液吸収体62は、中間ボックス700の凸部74から伝わった液体を吸収する。第2廃液吸収体62は、液体を吸収することができる不織布、スポンジ、もしくは綿などで構成されたフォームである。
【0106】
図11の(A)に示すように、第2廃液吸収体62は中間ボックス700の凸部74と当接している。第2廃液吸収体62は、凸部74と当接する当接面63を有している。第2廃液吸収体62が当接面63を有することにより、中間ボックス700の第1廃液吸収体73に吸収されている液体が、凸部74から第2廃液吸収体62へと伝わり、第2廃液貯留部68に溜められる。
【0107】
上記の構成によれば、インクジェットプリンタ200は、記録ヘッド41から吐出されたインクを回収する廃液回収部の一例として、メンテナンスユニット81、ワイパ82、プラテン43、ダクト86、および、廃液ガイド90を備えている。これにより、印刷媒体への画像記録に用いられなかった液体であって、インクジェットプリンタ200内で生じた種々の液体を廃液として回収し、廃液ボックス60に溜めることができる。
【0108】
また、上記の構成によれば、インクジェットプリンタ200は、インクジェットプリンタ200内で生じた廃液を、一旦中間ボックス700において回収してから、廃液ボックス60に溜めることができる。
【0109】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0110】
1、200 インクジェットプリンタ
11 本体筐体
17 把持部
21 給送トレイ
22 排出トレイ
41 記録ヘッド
43 プラテン
60 廃液ボックス
75 排出口
81 メンテナンスユニット
82 ワイパ
86 ダクト
90 廃液ガイド
141 インクカートリッジ
152 装着部
161 接続部
162 電源コード
700 中間ボックス
811 キャップ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11