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特開2024-54635活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054635
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物
(51)【国際特許分類】
   C09D 11/101 20140101AFI20240410BHJP
   C08F 290/06 20060101ALI20240410BHJP
   B41M 1/30 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
C09D11/101
C08F290/06
B41M1/30 D
【審査請求】有
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022160987
(22)【出願日】2022-10-05
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-04-17
(71)【出願人】
【識別番号】000105947
【氏名又は名称】サカタインクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100162396
【弁理士】
【氏名又は名称】山田 泰之
(74)【代理人】
【識別番号】100214363
【弁理士】
【氏名又は名称】安藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】臣 直毅
(72)【発明者】
【氏名】江崎 安衣香
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 葵
【テーマコード(参考)】
2H113
4J039
4J127
【Fターム(参考)】
2H113AA03
2H113BA01
2H113BA03
2H113BA05
2H113BB07
2H113BB08
2H113BB22
2H113BC02
2H113CA25
2H113FA42
4J039AD21
4J039AE06
4J039AE11
4J039AF05
4J039BA13
4J039BA23
4J039BA35
4J039BC13
4J039BC17
4J039BC20
4J039BC31
4J039BC61
4J039BE01
4J039BE22
4J039CA07
4J039EA08
4J039EA16
4J039EA18
4J039EA36
4J039EA43
4J039FA02
4J127AA03
4J127BB031
4J127BB032
4J127BB051
4J127BB221
4J127BB222
4J127BC021
4J127BC022
4J127BC121
4J127BC131
4J127BC152
4J127BD141
4J127BD171
4J127BD212
4J127BG052
4J127BG05Y
4J127BG142
4J127BG14Y
4J127BG171
4J127BG172
4J127BG17Y
4J127BG181
4J127BG18Y
4J127CB281
4J127CB282
4J127CB283
4J127CB284
4J127CB341
4J127CB342
4J127CB343
4J127CB344
4J127CC131
4J127CC161
4J127DA12
4J127DA61
4J127EA14
4J127FA12
(57)【要約】
【課題】レトルト処理する前後のいずれの印刷部も、十分に高い密着性及び優れた耐スクラッチ性を有し、各レトルト物の印刷面ではインキやニスが剥がれず、さらに、ヒートシール時の高温の加熱によっても、印刷面のインキが他の表面に転移せず、このようにして得た袋状物は耐屈曲性が良好であるような印刷部を得ること。
【解決手段】 下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、
さらに下記の条件(1)及び条件(2)を満たす活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
成分(A):エチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマー
成分(B):ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
成分(C):活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマー
条件(1):成分(A)以外のモノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中15.0質量%以下 。
条件(2):成分(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中0.2質量%以上、かつ10.0質量%以下 。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、
さらに下記の条件(1)及び条件(2)を満たす活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
成分(A):エチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマー
成分(B):ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
成分(C):活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマー
条件(1):成分(A)以外のモノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中15.0質量%以下。
条件(2):成分(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中0.2質量%以上、かつ10.0質量%以下。
【請求項2】
成分(B)の粘度が20~2000cStである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
【請求項3】
顔料と顔料分散剤を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
地球環境保全を目標として、様々な業界や業種で環境負荷低減活動が展開されており、かつ各種の観点から環境負荷低減を促す活動が行われている。例えば、塗料やインキ等に含まれている揮発性有機化合物(VOC)は、地球温暖化に繋がる化学物質であることから、VOC使用の自主規制・削減による環境負荷低減活動が行われている。
VOC削減の観点から、紫外線や電子線等の活性エネルギー線で硬化する活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の活用が検討されている。活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物は、活性エネルギー線の照射により重合する重合性化合物と、活性エネルギー線の照射により重合開始機能を発現する重合開始剤等とを含むものである。
活性エネルギー線硬化型組成物は、VOCの使用量を抑制し、ひいてはVOCの大気中への揮発量をゼロ又は少なくすることにより、環境負荷低減を可能とする。さらに、急速に硬化する(速乾性を有している)ことから、省エネルギー化と生産性向上が可能であるため、塗料や印刷インキ用組成物として実際に使用されてきている。
【0003】
特許文献1に示すように、水性樹脂とエチレン性二重結合を有する電子線重合性化合物を特定の含有比率で含有し、さらに顔料及び水を含有する電子線硬化型表刷り水性フレキソインキ組成物は知られている。そしてこの電子線硬化型表刷り水性フレキソインキ組成物をレトルト容器への印刷に用いることにより、基材への密着性と、耐摩耗性、98℃でボイル後の印刷物に変化がない、及びレトルト殺菌処理した後の印刷物に変化がない、という効果があるとされている。
特許文献2には、表面に特定の突起物が特定の密度で存在し、特定の表面積増加率を有するフィルム表面に、レトルト包装用フィルム用の電子線硬化型印刷インキ組成物を印刷してなる印刷物が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開2019/069736号
【特許文献2】特開2021-126896号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
農業肥料用の包装バック、家畜飼料用包装バック、医療用輸液バックには厚手のPE(乳白PE含む)バックが使用されることが多い。また、印刷されるインキはこれらの包装フィルムに表刷り印刷を実施されることが多い。これまで、溶剤性グラビアインキ、UVインキ、水性フレキソインキ等は必要な性能を有しているものの、環境対応面や安全性、塗膜耐性に対して必ずしも優位性があるわけではない。
例えば、溶剤性グラビア印刷では、溶剤による残留VOCの課題、VOCによる印刷環境の課題、熱乾燥方式による生産消費エネルギーの増大などが挙げられる。肥料用バックは野晒しで保管されることも多く、日光下にさらされ、かつ荷重がかかるため、高い塗膜耐性が求められる。UVインキの場合は、昨今の光重合開始剤の規制強化による使用制限により、インキに使用できる開始剤が制約されると共に、新たに開始剤の制限があるたびにインキの修正が求められ、それに伴う認証試験が必要となる。
【0006】
将来的に安定したインキの供給を行う観点では開始剤規制強化の傾向は見通せない状況にある。水性フレキソインキの場合は熱乾燥方式による生産消費エネルギーなどの課題も有するが、厚手PEに対する密着性が悪くインキの脱離が起こりやすい。また、元々が水性インキであることから、例えば輸液バック内容物を減菌処理(レトルト処理)する場合は、そのレトルト処理耐性が低いため使用が難しい問題がある。本発明はこれらの課題を解決するものである。
加えて、表面に特定の突起物が特定の密度で存在し、特定の表面積増加率を有するフィルム表面に、レトルト包装用フィルムへ用の電子線硬化型印刷インキ組成物を印刷するには、特定の処理をした被印刷基材を準備する必要があり、かつ、印刷インキ組成物自体もヒートシール時の耐熱性を何ら考慮していない。
そして、レトルト処理する前後のいずれの印刷部も、十分に高い密着性及び優れた耐スクラッチ性を有し、各レトルト物の印刷面ではインキやニスが剥がれず、さらに、ヒートシール時の高温の加熱によっても、印刷面のインキが他の表面に転移せず、このようにして得た袋状物は耐屈曲性が良好であるような印刷部を得ることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、下記の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物とすることにより、上記課題を解決しうることを見出し、以下の本発明とするに至った。
1.下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、
さらに下記の条件(1)及び条件(2)を満たす活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
成分(A):エチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマー
成分(B):ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
成分(C):活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマー
条件(1):成分(A)以外のモノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中15.0質量%以下。
条件(2):成分(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中0.2質量%以上、かつ10.0質量%以下。
2.成分(B)の粘度が20~2000cStである1に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
3.顔料と顔料分散剤を含有する1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、レトルト処理する前、及びレトルト処理をして得たレトルト物のいずれの印刷部も、十分に高い密着性及び耐スクラッチ性に優れた印刷を行うことができた。さらに各レトルト物の印刷面ではインキやニスが剥がれず、さらに、ヒートシール時の高温の加熱によっても、印刷面のインキが他の表面に転移しなかった。さらにこのようにして得た袋状物は耐屈曲性が良好であるという効果を得た。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、従来の印刷物の用途と同じ用途に使用される。
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、一般的な印刷インキと同様に、樹脂成分、顔料、添加剤及び必要に応じて溶剤等を含有することができる。本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を、着色インキ組成物とすることもでき、またクリアインキ組成物として使用することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、印刷インキとして、印刷方式を問わず実施でき、フレキソ、グラビア、インクジェット、オフセット等、エネルギー線を照射して硬化するインク組成物を使用する公知の方式に採用できる。クリアインキ組成物として使用する場合には、バーコーター、ロールコーター等の全面また印刷媒体を限定せずに使用することもできる。但し、レトルト包装容器のための表刷り用印刷インキとして使用することが好ましい。
また「固形分中」とは、硬化前には固形ではなくても、活性エネルギー線照射により硬化する成分、及び硬化前において固形又は溶解した固形分であるものを合計した成分中を意味する。
本発明中の「活性エネルギー線」は電子線、紫外線等のアクリロイル基等の重合性官能基に、直接又は間接的に作用をして重合を開始させるエネルギー線を意味する。
本発明の各成分として、可能であれば、バイオマス由来の原料を採用できる。
本明細書において、「(メタ)アクリレート」とは「アクリレート及び/又はメタクリレート」を意味し、「(メタ)アクリル酸」とは「アクリル酸及び/又はメタクリル酸」を意味する。
本明細書におけるガラス転移温度Tgは、樹脂がアクリル系共重合体樹脂の場合、下記のWoodの式により求めた理論ガラス転移温度である。
Woodの式:1/Tg=W1/Tg1+W2/Tg2+W3/Tg3+・・・・・+Wx/Tgx
[式中、Tg1~Tgxは樹脂を構成する単量体1、2、3・・・xのそれぞれの単独重合体のガラス転移温度、W1~Wxは単量体1、2、3・・・xのそれぞれの重合分率、Tgは理論ガラス転移温度を表す。ただし、Woodの式におけるガラス転移温度は絶対温度である。]
本明細書中の樹脂の重量平均分子量は、ゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)法によって測定することができる。一例として、GPC装置としてWater2690(ウォーターズ社)、カラムとしてPLgel、5μ、MIXED-D(Polymer Laboratories社)を使用して、展開溶媒としてテトラヒドロフラン、カラム温度25℃、流速1ミリリットル/分、RI検出器、試料注入濃度10ミリグラム/ミリリットル、注入量100マイクロリットルの条件下、クロマトグラフィーを行ない、ポリスチレン換算の重量平均分子量として求める。
【0010】
樹脂のガラス転移温度は、樹脂がアクリル系共重合体樹脂以外の場合、熱分析により求めた理論ガラス転移温度である。熱分析の方法としては、JIS K7121(プラスチックの転移温度測定方法)に準じ、一例として、パーキンエルマー社Pyris1 DSCを用いて、昇温速度20℃/分、窒素ガス流速20ミリリットル/分の条件下でガラス転移温度を測定することができる。
【0011】
<成分(A)>
本発明における成分(A)は、エチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマーである。
本発明におけるエチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマーは、その分子内にエチレングリコールに由来する6~60モルのエチレンオキシド(EO)単位を有し、かつ複数のエチレン性不飽和二重結合等の付加重合性の官能基を有するモノマーである。
【0012】
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物全体に対して、成分(A)は3.0質量%以上含有されることが好ましく、8.0質量%以上含有されることがより好ましく、15.0質量%以上含有されることが更に好ましく、また60.0質量%以下含有されることが好ましく、50.0質量%以下含有されることがより好ましく、40.0質量%以下含有されることが更に好ましい。本発明において、成分(A)を含有することにより、基材への密着性、レトルト前後の耐スクラッチ性及び密着性、ヒートシール時の耐熱性、製品としての耐屈曲性に優れ、かつ印刷後のインキまたはニス剥がれがないという効果を発揮できる。
エチレン性不飽和二重結合等としては(メタ)アクリロイル基に由来する二重結合でもよく、ビニル結合であってもよい。
【0013】
このモノマーには、エチレンオキシドの他に、ビスフェノールA等のビスフェノール化合物からなる構造、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ペンチルグリコール、ヘキシレングリコール等の2価アルコールに由来する構造、グリセリン、トリメチロールプロパンやペンタエリスリトール等の3価以上のアルコールに由来する構造を有していても良い。
このような成分(A)のモノマーとしては、ポリエチレングリコール(300)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(400)ジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコール(600)ジ(メタ)アクリレート等のポリエチレングリコール(6~60モル)ジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのEO6モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのEO9モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのEO15モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンのEO21モル付加物のトリ(メタ)アクリレート等のトリメチロールプロパンのEO6~60モル付加物のトリ(メタ)アクリレートやジトリメチロールプロパンのEO6~60モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのEO6モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのEO9モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのEO15モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、グリセリンのEO21モル付加物のトリ(メタ)アクリレート等のグリセリンのEO6~60モル付加物のトリ(メタ)アクリレートやジグリセリンのEO6~60モル付加物のトリ(メタ)アクリレート、EO6~60モル変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、EO6~60モル変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレートやEO6~60モル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、さらに、ビスフェノールA(6~60モル)ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0014】
<成分(B)>
本発明にて使用する成分(B)であるポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物は、変性されていても未変性であってもよいが、未変性であることが好ましい。
未変性ジメチルポリシロキサンは、ジメチルシロキサンからなる単位が重合してなる構造を有する。そのような未変性ジメチルポリシロキサンは下記の式で示される構造を有する。下記の式においてnの値により分子量が異なるが、官能基を有しない構造であれば、nの値によらず本発明において使用できる。
また下記の式に示す直鎖状でも良く、好ましくは下記の式におけるnが3~30、より好ましくはnが4~20である。
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中のポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物は、紫外線や電子線等の活性エネルギー線を受けることにより、反応性が高くなり、ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物同士、及び/又は、ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物と成分(A)や成分(C)、さらにその他の成分と反応し得る。このような反応をすることにより、そのほかの要件を満たした本発明による組成物は、所定の効果をバランス良く発揮できる。
【0015】
さらに、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン等の環状のジメチルポリシロキサンでも良い。

変性されたポリジメチルシロキサンとしては、水酸基、アミノ基、(ポリ)エーテル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メルカプト基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基、ハロゲン原子アラルキル基、アラルキル基、長鎖アルキル基、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪族アミド基等により置換された構造を有する変性ポリジメチルシロキサンが挙げられる。
さらに成分(B)として、25℃での粘度が20~2000cStのものが好ましく、50cSt以上がより好ましく、80cSt以上が更に好ましい。また1000cSt以下がより好ましく、300cSt以下が更に好ましい。ここでいう粘度は、動粘度であり、JIS Z 8803:2011の条件で測定されたものである。
なお、仮に成分(B)が、成分(A)又は成分(C)と同じ成分であるときには、このような重複した成分は、成分(B)に含まれず、成分(A)又は成分(C)とされる。
【0016】
<条件2>
成分(B)のポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中0.2質量%以上、かつ10.0質量%以下である。
本発明においてポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物全体に対して0.2質量%以上であり、0.5質量%以上が好ましく、0.8質量%以上がより好ましい。また7.0質量%以下が好ましく、6.0質量%以下がより好ましく、4.0質量%以下がより好ましい。
0.2質量%未満の含有量であるときには、本発明が目的とするインキ組成物による特性を得ることができず10.0質量%以上含有した場合には、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の転移性が悪化し、塗布が困難になる傾向がある。
【0017】
<成分(C)>
本発明における成分(C)は、上記(A)成分以外の活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマーである。
本発明における成分(C)は、分子内に有するエチレン性不飽和結合が重合して高分子量化する成分である。もともと比較的高分子量の成分であるので、インキ組成物に適度な粘性や弾性を付与する目的にも用いられる。また、オリゴマーは比較的極性が高く、硬化後のインキ組成物に非吸収性媒体への密着性を付与する効果も期待できる。
【0018】
このような成分(C)としては、上記(A)成分に包含されないことを前提として、以下のポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メタ)アクリレートポリマー、ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリウレタン(メタ)アクリレートポリマー及び/又はエポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートポリマーを包含する。また、なお、これらのオリゴマー及びポリマーは、水酸基、アミノ基、カルボキシル基等により変性されていても良い。
(ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メタ)アクリレートポリマー)
ポリエステル(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリエステル(メア)アクリレートポリマーとしては、多塩基酸とポリオールから得たポリエステル樹脂構造の少なくとも1つの末端の水酸基に、(メタ)アクリロイル基が結合してなるオリゴマー及びポリマーであれば特に制限されない。
(ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリウレタン(メタ)アクリレートポリマー)
ポリウレタン(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリウレタン(メタ)アクリレートポリマーとしてはポリウレタン樹脂構造を有する縮合物の少なくとも1つの末端に、(メタ)アクリロイル基を有するオリゴマー及びポリマーであれば特に制限されない。
これらの活性エネルギー線硬化型ポリマーは、1分子あたり(メタ)アクリロイル基を2つ以上有することが好ましく、6以下含有することが好ましい。
(エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートポリマー)
エポキシ(メタ)アクリレートオリゴマー及びエポキシ(メタ)アクリレートポリマーとしてはエポキシ化合物に含まれるエポキシ基を酸や塩基で開環させた後に生じる水酸基に、(メタ)アクリロイル基が結合してなる構造を有するオリゴマー及びポリマーであれば特に制限されない。
その他に、ポリエーテル化合物の末端水酸基に(メタ)アクリロイル基が結合してなる構造を有するポリエーテル変性(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
【0019】
このようなエチレン性不飽和結合を備えたオリゴマー及びポリマーとしては、例えば、ポリジアリルフタレート、ネオペンチルグリコールオリゴ(メタ)アクリレート、1,4-ブタンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールオリゴ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンオリゴ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールオリゴ(メタ)アクリレート、ウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ポリエステル(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレート、ロジン変性エポキシ(メタ)アクリレート、不飽和ポリエステル、ポリエーテル(メタ)アクリレート、未反応の不飽和基を備えたアクリル系樹脂、不飽和ポリエーテル、不飽和ポリアミド、不飽和ポリウレタン、アクリル変性フェノール系樹脂、アクリル化アミン化合物のオリゴマー及びポリマー等が挙げられる。
このようなオリゴマーは市販されており、例えば、ダイセル・サイテック株式会社の「エベクリル」シリーズ、サートマー社でかつ水溶性のCN549、CN131、CN131B、CN2285、CN 3100、CN3105、CN132、CN133、CN 132等の「CN」シリーズ、「SR」シリーズ、Ebecryl 140、Ebecryl 1140、Ebecryl 40、Ebecryl 3200、Ebecryl 3201、Ebecryl 3212(Cytec社)、PHOTOMER 3660、PHOTOMER 5006F、PHOTOMER 5429、PHOTOMER 5429F等のコグニス社「フォトマー」シリーズ、LAROMER PO 33F、LAROMER PO 43F、LAROMER PO 94F、LAROMER UO 35D、LAROMER PA 9039V、LAROMER PO 9026V、LAROMER 8996、LAROMER 8765、LAROMER 8986等のBASF社「Laromer」シリーズ、東亜合成株式会社の「アロニックスM-6000」シリーズ、「7000」シリーズ、「8000」シリーズ、「アロニックスM-1100」、「アロニックスM-1200」、「アロニックスM-1600」、新中村化学工業株式会社の「NKエステル」、「NKオリゴ」、共栄社油脂化学工業社の「ライトアクリレート」、「ライトエステル」、「エポキシエステル」、「ウレタンアクリレート」及び「高機能性オリゴマー」シリーズ、大阪有機化学工業社の「特殊アクリルモノマー」シリーズ、三菱レイヨン社の「アクリエステル」及び「ダイヤビームオリゴマー」シリーズ、日本化薬社の「カヤラッド」及び「カヤマー」シリーズ、日本触媒社の「(メタ)アクリル酸/メタクリル酸エステルモノマー」シリーズ、日本合成化学工業社の「NICHIGO-UV紫光ウレタンアクリレートオリゴマー」シリーズ、信越酢酸ビニル社の「カルボン酸ビニルエステルモノマー」シリーズ、興人社の「機能性モノマー」シリーズ、ダイセルオルネクス社の「EBECRYL」、「ACA」、「KRM」、「IRR」、「RDX」及び「OTA」シリーズ、アルケマ社の「CN」及び「SR」シリーズ、根上工業社「アートレジン」シリーズ、日油化学社の「ブレンマー」シリーズ、第一工業製薬社の「ニューフロンティア」シリーズ、MIWON社の「Miramer」シリーズ、DSM社の「AgiSyn」シリーズ等の商品名で入手することができる。
【0020】
さらに、オリゴマー及び/又はポリマーの原料として、環境面を考慮して植物由来のジカルボン酸成分やジオール成分を使用して得たポリエステルポリオールを原料としたポリウレタンオリゴマー及び/又はポリウレタンポリウレアオリゴマーを採用することもできる。 植物油変性多官能ポリエステルアクリレートオリゴマーとしては、アクリレート基を分子内に2~6つ有する植物油変性ポリエステルアクリレートオリゴマーであれば制限なく用いることができる。
このうち、例えば、EBECRYL 450,452、820、1622や、トール油脂肪酸変性6官能ポリエステルアクリレート(例えば、AgiSyn 716等)からなる群より選ばれる1種以上を用いると、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物のバイオマス度を高くでき好ましい。
これらのオリゴマーは、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0021】
活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマーの重量平均分子量は1,000以上が好ましく、1,500以上がより好ましく、1,800以上が更に好ましい。また20,000以下が好ましく、15,000以下がより好ましく、10,000以下が更に好ましく、7,000以下が最も好ましい。
さらに、活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマーの酸価が0mgKOH/gであることが好ましく、5.0mgKOH/g以下がより好ましく、18.0mgKOH/g以下が更に好ましく、30.0mgKOH/g以下が最も好ましい。
そして、活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマーは、その活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマー単独でも硬化物のガラス転移温度(Tg)が10℃以上が好ましく、20℃以上がより好ましく、40℃以上が更に好ましい。また80℃以下が好ましく、70℃以下がより好ましく、65℃以下が更に好ましく、60℃以下が最も好ましい。
成分(C)は、活性エネルギー線が照射される前から大きな分子量を備えているので、インキ組成物の粘弾性の向上に役立つ成分である。このようなオリゴマー及び/又はポリマーは、例えば、低粘度の液体であるモノマー又は溶媒中に溶解又は分散された状態で用いられる。
本発明において、活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物全体に対して10.0質量%以上が好ましく、20.0質量%以上がより好ましく、30.0質量%以上が更に好ましく、35.0質量%以上が最も好ましい。また70.0質量%以下が好ましく、60.0質量%以下がより好ましく、55.0質量%以下が更に好ましい。
【0022】
<成分(A)、(B)及び(C)のいずれにも包含されない成分>
上記成分(A)、(B)及び(C)のいずれにも包含されない成分として、以下のその他の各種モノマー、オリゴマー(モノマーではないので、元々成分(A)とは重複しない)等の活性エネルギー線硬化型樹脂を採用できる。
(成分(A)以外のモノマー)
成分(A)以外のモノマーは、エチレン性不飽和結合を有し、重合して高分子量化する成分であるが、重合する前の状態では比較的低分子量の液体成分であることが多い。成分(A)以外のモノマーは別に配合した樹脂成分を溶解させてワニスとする際の溶媒としたり、インキ組成物の粘度を調節したりする目的にも用いられる。
このような成分(A)以外のモノマーは、下記の条件1を満たす範囲で、本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物に含有できる。
【0023】
<条件1>活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中の、成分(A)以外のモノマーの含有量が15.0質量%以下であること。
本発明において、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中の、成分(A)以外のモノマーの含有量としては、10.0質量%以下が好ましく、8.0質量%以下がより好ましく、3.0質量%以下が更に好ましく、0質量%が最も好ましい。15.0質量%を超えると、本発明が目的とするインキ組成物による特性を得ることができない。
【0024】
成分(A)以外のモノマーとしては、分子内にエチレン性不飽和結合を1つ備える単官能モノマーや、分子内にエチレン性不飽和結合を2つ以上備える2官能以上のモノマーが挙げられる。2官能以上のモノマーは、インキ組成物が硬化するのに際して分子と分子とを架橋することができるので、硬化速度を速めたり、強固な皮膜を形成させたりするのに寄与する。単官能のモノマーは、上記のような架橋能力を持たない反面、架橋に伴う硬化収縮を低減させるのに寄与する。これらのモノマーは、必要に応じて各種のものを組み合わせて用いることができる。
単官能モノマーとしては、不飽和カルボン酸系化合物、アルキル(メタ)アクリレート系化合物、ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物、ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物、エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物、ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物、その他の(メタ)アクリレート系化合物、スチレン系化合物、N-ビニル系化合物、アリレート系化合物、その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物を使用できる。
【0025】
-不飽和カルボン酸系化合物-
不飽和カルボン酸系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、イソクロトン酸、フマル酸、マレイン酸等の不飽和カルボン酸、それらの塩及びそれらの酸無水物等が挙げられる。
【0026】
-アルキル(メタ)アクリレート系化合物-
アルキル(メタ)アクリレート類としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、イソプロピル(メタ)アクリレート、n-ブチル(メタ)アクリレート、i-ブチル(メタ)アクリレート、t-ブチルアクリレート、アミル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、ヘキシル(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、イソステアリル(メタ)アクリレート、イソデシル(メタ)アクリレート、イソミリスチル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、ヘキサデシル(メタ)アクリレート、ミリスチル(メタ)アクリレート、イソボルニル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、ノルボルニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニル(メタ)アクリレート、ジシクロペンテニルオキシエチル(メタ)アクリレート、1-アダマンチル(メタ)アクリレート、3,5,5-トリメチルシクロヘキシルアクリレート、4-t-ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0027】
-ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
ヒドロキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、3-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4-ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシペンチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-メトキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-ブトキシプロピル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールモノ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールモノ(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-クロロプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-フェノキシプロピル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-ヒドロキシ-3-アリルオキシプロピル、2-(メタ)アクリロイルオキシエチル-2-ヒドロキシプロピルフタレート、2-エチルヘキシルEO変性(メタ)アクリレート、o-フェニルフェノールEO変性アクリレート、p-クミルフェノールEO変性(メタ)アクリレート、ノニルフェノールEO変性(メタ)アクリレート等の(ポリ)アルキレングリコール変性(メタ)アクリレート類等、N-(2-ヒドロキシエチル)アクリルアミド(略称:HEAA)、N-(2-ヒドロキシエチル)メタクリルアミド、N-(2-ヒドロキシメチル)アクリルアミド、N-(2-ヒドロキシメチル)メタクリルアミド、が挙げられる。
【0028】
-ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物-
ハロゲン含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、トリフルオロメチル(メタ)アクリレート、2,2,2-トリフルオロエチル(メタ)アクリレート、2,2,3,3-テトラフルオロプロピル(メタ)アクリレート、1H-ヘキサフルオロイソプロピル(メタ)アクリレート、1H,1H,5H-オクタフルオロペンチル(メタ)アクリレート、1H,1H,2H,2H-ヘプタデカフルオロデシル(メタ)アクリレート、2,6-ジブロモ-4-ブチルフェニル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノキシエチル(メタ)アクリレート、2,4,6-トリブロモフェノール3EO(エチレンオキサイド)付加(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0029】
-エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
エーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、1,3-ブチレングリコールメチルエーテル(メタ)アクリレート、メトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のメトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシジプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシトリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、メトキシポリプロピレングリコール(メタ)アクリレート、エトキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、エチルカルビトール(メタ)アクリレート、2-エチルヘキシルカルビトール(メタ)アクリレート、テトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート、クレジルポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)エチル、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシエチル(メタ)アクリレート、p-ノニルフェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、フェノキシジエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシ-ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、ヘキサエチレングリコールモノフェニルエーテルモノ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールモノブチルエーテルアクリレート、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート(EO繰返し単位数400、700等)、2-(2-エトキシエトキシ)エチル(メタ)アクリレート、2-エトキシエチル(メタ)アクリレート、2-メトキシエチル(メタ)アクリレート、3-メトキシブチルアクリレート、エトキシエチルアクリレート、エトキシエトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、アルコキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート(エトキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、プロポキシ化2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート等)、アルコキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート(エトキシ化(4)ノニルフェノールアクリレート等)、2-フェノキシエチル(メタ)アクリレート、パラクミルフェノキシエチレングリコール(メタ)アクリレート、メチルフェノキシエチルアクリレート、エトキシ化コハク酸(メタ)アクリレート、エトキシ化トリブロモフェニルアクリレート、エトキシ化ノニルフェニル(メタ)アクリレート、等のアルコキシ及び又はフェノキシ系(メタ)アクリレート類等が挙げられる。
【0030】
-カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
カルボキシル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、コハク酸モノアクリロイルオキシエチルエステル、ω-カルボキシポリカプロラクトンモノ(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルヘキサヒドロハイドロゲンフタレート、2-(メタ)アクリロイルオキシプロピルテトラヒドロハイドロゲンフタレート等が挙げられる。
【0031】
-ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物-
ビニルエーテル基含有(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1-ビニロキシメチルプロピル、(メタ)アクリル酸-2-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-3-メチル-3-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-1,1-ジメチル-2-ビニロキシエチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-1-メチル-2-ビニロキシプロピル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシブチル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシシクロヘキシル、(メタ)アクリル酸-5-ビニロキシペンチル、(メタ)アクリル酸-6-ビニロキシヘキシル、(メタ)アクリル酸-4-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-3-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-2-ビニロキシメチルシクロヘキシルメチル、(メタ)アクリル酸-p-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-m-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-o-ビニロキシメチルフェニルメチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)プロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシ)イソプロピル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシエトキシイソプロポキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシエトキシ)エチル、(メタ)アクリル酸-2-(ビニロキシイソプロポキシイソプロポキシ)エチル等が挙げられる。
【0032】
-その他の(メタ)アクリレート系化合物-
その他の(メタ)アクリレート系化合物としては、例えば、アクリロイルモルホリン、メチロールアクリルアミド、ジメチルアクリルアミド、メトキシメチルアクリルアミド、ジエチルアクリルアミド、イソプロピルアクリルアミド、N,N-ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N-ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリレート、モルホリノエチル(メタ)アクリレート、トリメチルシロキシエチル(メタ)アクリレート、ジフェニル-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルホスフェート、2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、カプロラクトン変性-2-(メタ)アクリロイルオキシエチルアシッドホスフェート、2-ヒドロキシ-1-(メタ)アクリロキシ-3-メタクリロキシプロパン、アクリオロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチル-2-ヒドロキシエチルフタレート、2-(メタ)アクリロイロキシプロピルフタレート、トリシクロデカンモノメチロール(メタ)アクリレート、(メタ)アクリル酸ダイマー、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、2-(メタ)アクリロイロキシエチルコハク酸、2-(メタ)アクリロイロキシエチルヘキサヒドロフタル酸、2-エチルヘキシル-ジグリコール(メタ)アクリレート、アミノエチル(メタ)アクリレート、エチルカルビトールアクリレート、エチルジグリコールアクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレートベンジルクロライド4級塩、トリブロモフェニル(メタ)アクリレート、1,4-シクロヘキサンジメタノールモノ(メタ)アクリレート、クレゾール(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパンフォルマル(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール(メタ)アクリル酸安息香酸エステル、(2-メチル-2-エチル-1,3-ジオキソラン-4-イル)メチル(メタ)アクリレート、1-(メタ)アクリロイルピペリジン-2-オン、2-(メタ)アクリル酸-1,4-ジオキサスピロ[4,5]デシ-2-イルメチル、N-(メタ)アクリロイルオキシエチルヘキサヒドロフタルイミド、γ-ブチロラクトン(メタ)アクリレート、カプロラクトン変性テトラヒドロフルフリルアクリレート、イミドアクリレート、(メタ)アクリル酸ビニル、マレイミド等が挙げられる。
【0033】
-スチレン系化合物-
スチレン系化合物としては、例えば、スチレン、ビニルトルエン、p-ヒドロキシスチレン、p-クロロスチレン、p-ブロモスチレン、p-メチルスチレン、p-メトキシスチレン、p-t-ブトキシスチレン、p-t-ブトキシカルボニルスチレン、p-t-ブトキシカルボニルオキシスチレン、2,4-ジフェニル-4-メチル-1-ペンテン、ジビニルベンゼン等が挙げられる。
【0034】
-N-ビニル系化合物-
N-ビニル系化合物としては、例えば、N-ビニルピロリドン、N-ビニルホルムアミド、N-ビニルアセトアミド、N-ビニル-2-カプロラクタム、N-ビニルカルバゾール等が挙げられる。
【0035】
-アリレート系化合物-
アリレート系化合物としては、例えば、アリルグリシジルエーテル、ジアリルフタレート、トリアリルトリメリテート、イソシアヌル酸トリアリレート等が挙げられる。
【0036】
-その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物-
エチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物として、前記化合物以外の「その他のエチレン性不飽和結合を1つ備えた化合物」を用いることができる。
そのような化合物としては、例えば、酢酸ビニル、モノクロロ酢酸ビニル、安息香酸ビニル、ピバル酸ビニル、酪酸ビニル、ラウリン酸ビニル、アジピン酸ジビニル、クロトン酸ビニル、2-エチルヘキサン酸ビニル、三員環化合物類(例えば、ビニルシクロプロパン類、1-フェニル-2-ビニルシクロプロパン類、2-フェニル-3-ビニルオキシラン類、2,3-ジビニルオキシラン類等)、環状ケテンアセタール類(例えば、2-メチレン-1,3-ジオキセパン、ポジオキソラン類、2-メチレン-4-フェニル-1,3-ジオキセパン、4,7-ジメチル-2-メチレン-1,3-ジオキセパン、5,6-ベンゾ-2-メチレン-1,3-ジオセパン等)等が挙げられる。
【0037】
2官能以上のモノマー(エチレン性不飽和結合を2つ備えた化合物)としては、公知のエチレン性不飽和結合を2つ以上備えた例えば下記の化合物を用いることができる。
エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリルヒドロキシピバレートジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、1,7-ヘプタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,8-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-オクタンジオールジ(メタ)アクリレート、1,9-ノナンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,10-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-デカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,12-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ドデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,14-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-テトラデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,16-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、1,2-ヘキサデカンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2,4-ペンタンジ(メタ)アクリレート、3-メチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2-メチル-2-プロピル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジメチル-2,4-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、2,2-ジエチル-1,3-プロパンジオ-ルジ(メタ)アクリレート、2,2,4-トリメチル-1,3-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ジメチロールオクタンジ(メタ)アクリレート、2-エチル-1,3-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2,5-ジメチル-2,5-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、2-ブチル-2-エチル-1,3-プロパンジオールジ(メタ)アクリレート、2,4-ジエチル-1,5-ペンタンジオールジ(メタ)アクリレートトリシクロデカンジメチロールジ(メタ)アクリレート、トリシクロデカンジメチロールジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、シクロヘキサンジメタノールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノーAジ(メタ)アクリレート、水添ビスフェノールFジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールFテトラエチレンオキサイド付加体ジカプロラクトネートジ(メタ)アクリレート等、グリセリン、ペンタエリスリトール、ジグリセリン、ジトリメチロールプロパン及びジペンタエリスリトール等の多価アルコールのジ(メタ)アクリレート等の2官能モノマー等が挙げられる。
【0038】
グリセリントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリカプロラクトネートトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールヘキサントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールオクタントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート等の3官能モノマー;トリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジグリセリンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラカプロラクトネートテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールエタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールブタンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールヘキサンテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールオクタンテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート、トリペンタエリスリトールポリアルキレンオキサイドヘプタ(メタ)アクリレート等の4官能以上のモノマー;等を挙げることができる。これらの中でも、トリメチロールプロパントリアクリレート(TMPTA;3官能)、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート(DITMPTA;4官能)、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート(DPHA;6官能)、グリセリンプロポキシトリアクリレート(GPTA;3官能)、ヘキサンジオールジアクリレート(HDDA;2官能)等を好ましく挙げることができる。
【0039】
[光重合開始剤]
光重合開始剤は、活性エネルギー線の照射を受けてラジカルを発生させる成分であり、生じたラジカルが上記エチレン性不飽和結合を備えた化合物を重合させ、インキ組成物を硬化させる。本発明のインキ組成物は、光重合開始剤等を含有して、紫外線を照射して硬化できる。また光重合開始剤を含有しなくても、電子線を照射されることにより重合して硬化できる。
但し、光重合開始剤を含有させる場合には、活性エネルギー線が照射された際にラジカルを生じる例えば下記のものであれば特に限定されない。
アシルフォスフィンオキサイド系化合物、トリアジン系化合物、芳香族ケトン系化合物、芳香族オニウム塩系化合物、有機過酸化物、チオキサントン系化合物、チオフェニル系化合物、アントラセン系化合物、ヘキサアリールビイミダゾール系化合物、ケトオキシムエステル系化合物、ボレート系化合物、アジニウム系化合物、メタロセン系化合物、活性エステル系化合物、ハロゲン化炭化水素系化合物及びアルキルアミン系化合物、ヨードニウム塩系及びスルフォニウム塩系化合物等からなる群より選ばれる1種以上。
【0040】
具体的には、光重合開始剤としては、ベンゾフェノン、ジエチルチオキサントン、2-メチル-1-(4-メチルチオ)フェニル-2-モルフォリノプロパン-1-オン、4-ベンゾイル-4’-メチルジフェニルサルファイド、1-クロロ-4-プロポキシチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2-ヒドロキシ-2-メチル-1-フェニルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、ビス-2,6-ジメトキシベンゾイル-2,4,4-トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド、1-[4-(2-ヒドロキシエトキシ)-フェニル]-2-ヒドロキシ-2-メチル-1-プロパン-1-オン、2,2-ジメチル-2-ヒドロキシアセトフェノン、2,2-ジメトキシ-2-フェニルアセトフェノン、2,4,6-トリメチルベンジル-ジフェニルフォスフィンオキサイド、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(モルホリノフェニル)-ブタン-1-オン等が挙げられる。このような光重合開始剤は市販されており、例えばBASF社からイルガキュア907、イルガキュア369、イルガキュア184、イルガキュア379、イルガキュア819、TPO等の商品名で、Lamberti社からDETX等の商品名で入手することができる。これらの光重合開始剤は、単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0041】
(増感剤)
本発明の活性エネルギー線硬化型組成物には増感剤を含有させてもよい。また十分に硬化可能であれば使用しなくても良い
上記増感剤は、アントラセン系増感剤が好ましい、2以上の増感剤を併用してもよい。具体的には、増感剤は、9,10-ジブトキシアントラセン、9,10-ジエトキシアントラセン、9,10-ジプロポキシアントラセン、9,10-ビス(2-エチルヘキシルオキシ)アントラセン等のアントラセン系増感剤等である。市販品の代表例は、アントラセン系増感剤としては、DBA、DEA(川崎化成工業(株)製)等である。
【0042】
[着色成分]
本発明のインキ組成物には、必要に応じて着色成分を添加することができる。着色成分は、インキ組成物に着色力や隠蔽力等を付与するために添加される成分であり、着色顔料、白色顔料、金属パウダー等が挙げられる。このような着色成分としては、従来からインキ組成物に使用されている例えば下記の有機及び/又は無機顔料を特に制限無く挙げることができる。
なお、本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物がクリアインキである場合には、着色成分を含有させなくてもよく、又は着色成分を含有させたとしても、その含有量を、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物による印刷部が隠蔽性を有しない程度の少量であってもよい。
【0043】
着色成分としては、染料レーキ顔料、アゾ系、ベンゾイミダゾロン系、フタロシアニン系、キナクリドン系、アントラキノン系、ジオキサジン系、インジゴ系、チオインジコ系、ペリレン系、ペリノン系、ジケトピロロピロール系、イソインドリノン系、ニトロ系、ニトロソ系、アンスラキノン系、フラバンスロン系、キノフタロン系、ピランスロン系、インダンスロン系の顔料及び各種無機顔料等が挙げられる。
これらの顔料の中でもジスアゾイエロー(ピグメントイエロー12、ピグメントイエロー13、ピグメントイエロー14、ピグメントイエロー17、ピグメントイエロー1)、ハンザイエロー等のイエロー顔料、ブリリアントカーミン6B、レーキレッドC、ウオッチングレッド等のマゼンタ顔料、フタロシアニンブルー、フタロシアニングリーン、アルカリブルー等のシアン顔料、酸化チタン、ベンガラ、アンチモンレッド、カドミウムイエロー、コバルトブルー、紺青、群青、鉄黒、酸化クロムグリーン、カーボンブラック、黒鉛等の有色顔料(白色、黒色等の無彩色の着色顔料も含める)アルミニウムペースト、ブロンズパウダー等の金属パウダー等が例示される。
【0044】
着色成分の含有量としては、目的とする着色の程度に応じて、インキ組成物の全体に対して5~40質量%程度が例示されるが、特に限定されない。なお、着色されたインキ組成物を調製する場合、補色として他の色の着色成分を併用したり、他の色のインキ組成物を添加したりすることも可能である。
【0045】
[顔料分散剤・顔料分散用樹脂]
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物が着色剤として顔料を採用するとき、顔料分散剤及び/又は顔料分散用樹脂を配合することができる。
顔料分散剤としては、公知のノニオン性界面活性剤、アニオン性界面活性剤、カチオン性界面活性剤及び両性界面活性剤からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
界面活性剤としては、例えば、シリコン系界面活性剤(例えば、ポリエーテル変性シリコンオイル、ポリエステル変性ポリジメチルシロキサン、ポリエステル変性メチルアルキルポリシロキサン等)、フッ素系界面活性剤、オキシアルキレンエーテル系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤、リン系界面活性剤、スルホン酸系界面活性剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
また、顔料分散用樹脂として、高分子分散剤(例えば、カルボジイミド系、ポリエステル系、ポリアミン系、ポリエステルアミン系、ポリウレタン系、脂肪酸アミン系分散剤、ポリアクリレート系、ポリカプロラクトン系、ポリシロキサン系、多鎖型高分子非イオン系、高分子イオン系の分散剤等)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物が顔料分散剤や顔料分散用樹脂を含む場合には、使用する顔料の合計量を100質量%としたときに、1~200質量%含有することが好ましい。
【0046】
[その他の成分]
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物には、上記の各成分に加えて、必要に応じて他の成分を添加することができる。また含有させなくても良い。印刷方式及び塗布方式に合わせて必要な成分を添加することもできる。このような成分としては、体質顔料、非硬化性樹脂成分、重合禁止剤、分散剤、リン酸塩等の塩類、PTFE、ポリエチレン系ワックス・オレフィン系ワックス・フィッシャートロプシュワックス等のワックス類、消泡剤、アルコール類、植物油や鉱物油等の油成分等が挙げられる。また、酸触媒は含有しなくても良い。
【0047】
体質顔料は、本発明のインキ組成物に適度な印刷適性や粘弾性等の特性を付与するための成分であり、特にインキ組成物の調製において通常用いられる各種のものを用いることができる。このような体質顔料としては、クレー、カオリナイト(カオリン)、硫酸バリウム、硫酸マグネシウム、炭酸カルシウム、酸化ケイ素(シリカ)、ベントナイト、タルク、マイカ、酸化チタン等が例示される。こうした体質顔料の添加量としては、インキ組成物全体に対して0~33質量%程度が例示されるが、特に限定されない。
【0048】
非硬化性樹脂成分は、本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物に適度な印刷適性や粘弾性等の特性を付与するのに寄与する成分であり、重合に寄与する不飽和結合を有しない。このような樹脂成分としては、従来から印刷用インキ組成物の用途に用いられてきた各種の樹脂を挙げることができる。本発明においては、非硬化性樹脂成分を含有してもよく、含有しなくても良い。
非硬化性樹脂成分を含有させる場合には、上記モノマーやオリゴマーとの相溶性を有するものであることが好ましく、スチレン-アクリル樹脂、アクリル樹脂、スチレン-マレイン酸樹脂、ポリエステル樹脂、アルキド樹脂、ロジン変性フェノール樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性アルキド樹脂、ロジン変性石油樹脂、ロジンエステル樹脂、フェノール樹脂、ロジン樹脂、ブロックポリマー、グラフトポリマー(コアシェルポリマー)、アクリル変性フェノール樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、植物油変性アルキド樹脂、脂肪酸変性ロジン樹脂、石油樹脂変性フェノール樹脂、テルペンフェノール樹脂、石油樹脂、炭化水素樹脂(ポリブテン及びポリブタジエン等)、フッ素樹脂(テトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂ワックス等)等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。中でもロジン変性マレイン酸樹脂やテルペンフェノール樹脂が密着性の点から好ましい。
【0049】
スチレン-アクリル樹脂は、スチレンとアクリル酸エステルとの共重合体であり、市販のものを各種用いることができる。スチレン-アクリル樹脂を用いる場合、固形であるスチレン-アクリル樹脂を上記モノマーに溶解させてワニスとし、それをインキ組成物の調製の際に添加して用いるのが簡便である。この場合、ワニス中におけるスチレン-アクリル樹脂の含有量としては、ハンドリング性等を考慮して適宜決定されればよいが、一例として5~50質量%程度を挙げることができる。
特に好ましくは、アクリル系樹脂(アクリル酸エステル-スチレン共重合体系樹脂等)、スチレン系樹脂(スチレン-アクリル酸エステル共重合体系樹脂等)、ロジン変性フェノール系樹脂、ロジン変性マレイン酸系樹脂、ロジン変性アルキド系樹脂、ロジンエステル系樹脂、脂肪酸変性ロジン系樹脂、アルキド系樹脂、植物油変性アルキド系樹脂からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
このような樹脂としては、重量平均分子量は500~300,000のものが好ましい。また、活性エネルギー線を照射した際の速乾性の観点等から、酸価が1~100mgKOH/gであることが好ましい。
【0050】
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の固形分中に、このような樹脂の含有量を30質量%以下とすることが好ましく、20質量%以下とすることがより好ましく、10質量%以下とすることがさらに好ましい。このような樹脂を含有させることにより、活性エネルギー線による良好な硬化性を損なうことなく、インキ組成物に適度な粘弾性を付与してミスチング等の発生を抑制できるので好ましい。本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物においては、樹脂として脂肪酸変性ロジン系樹脂又はロジン変性アルキッド樹脂を用いることで、バイオマス度等の特性を向上させることができる。
【0051】
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の保存時の重合を防止する目的で、公知の重合禁止剤を含んでいてもよい。重合禁止剤としては、ブチルヒドロキシトルエン等のフェノール化合物や、酢酸トコフェロール、ニトロソアミン、ベンゾトリアゾール、ヒンダードアミン等を好ましく例示することができ、中でもブチルヒドロキシトルエンをより好ましく例示することができる。このような重合禁止剤が添加されることにより、保存時に重合反応が進行してインキ組成物が増粘するのを抑制できる。インキ組成物中の重合禁止剤の含有量としては、0.1~1質量%程度を例示することができる。
但し、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物が従来の重合開始剤を含有しない場合には、重合禁止剤を含有させないこともできる。
【0052】
分散剤は、インキ組成物中に含まれる着色成分や体質顔料を良好な状態に分散させるために用いられる。このような分散剤は、各種のものが市販されており、例えばビックケミー・ジャパン株式会社のDISPERBYK(商品名)シリーズ等を挙げることができる。
【0053】
上記の各成分を用いて本発明のインキ組成物を製造するには、従来公知の方法を適用できる。このような方法としては、上記の各成分を混合した後にビーズミルや三本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合禁止剤、アルコール類、ワックス類等)を加え、さらに上記モノマー成分や油成分の添加により粘度調整することが例示される。
【0054】
[ワックス]
ワックスとしては、スクラッチ性向上のために平均粒子径8.0μm以下で、従来から印刷インキに使用されているワックスを使用することができる。
具体的には、蜜蝋、ラノリンワックス、鯨蝋、キャンデリラワックス、カルナウバワックス、ライスワックス、木蝋、ホホバ油等の動植物系ワックス、モンタンワックス、オゾゲライト、セレシン、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラタム等の鉱物、石油系ワックス、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックス、モンタンワックス誘導体、パラフィンワックス誘導体、マイクロクリスタリンワックス誘導体等の変性ワックス、硬化ヒマシ油、硬化ヒマシ油誘導体等の水素化ワックス、ポリテトラフルオロエチレンワックス等の平均粒子径が8.0μm以下、好ましくは、6.0μm以下、さらに好ましくは4.0μm以下、最も好ましくは耐スクラッチ性の点から1.0~2.0μmのものが使用できる。
これらの中でも、摩擦性の点より、ポリテトラフルオロエチレンワックスやポリエチレンワックスが良好である。
使用するワックスの平均粒子径は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の粘度等に応じて適宜選択して使用される。
【0055】
ワックスの、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中の含有量は、1.0~5.0質量%の範囲が好ましい。
ワックスの含有量が1.0質量%より少ないとスクラッチ性が低下する傾向にあり、一方、5.0質量%より多いとインキの転移性が低下する傾向にある。
【0056】
[溶剤]
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、低粘度化及び基材への濡れ広がり性を向上させる等のために、公知の溶剤を含んでいてもよい。また無溶剤でも良い。
溶剤としては、例えば、水、グリコールモノアセテート類、グリコールジアセテート類、グリコールエーテル類、乳酸エステル類等が挙げられる。これら中でも、水、テトラエチレングリコールジアルキルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチルジグリコールが好ましい。
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物が溶剤を含む場合には、その含有量を0~50.0質量%とすることができる。
【0057】
[表面調整剤]
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、公知の表面調整剤を含んでいてもよい。
表面調整剤としては、例えば、シリコン系表面調整剤、フッ素系表面調整剤、アクリル系表面調整剤、アセチレングリコール系表面調整剤等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
表面調整剤の具体例としては、ビックケミー社のBYKシリーズ、エボニックデグサジャパン社のTEGOシリーズ、共栄社化学社のポリフローシリーズ等からなる群より選ばれる1種以上を用いることできる。
活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物が表面調整剤を含む場合には、その含有量を0.01~1.0質量%とすることができる。
【0058】
[印刷対象の基材]
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物は、レトルト容器用フィルムの表刷りに使用することが好ましいが、その他の用途の基材に対する表刷り印刷にも使用できる。
このような本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を印刷及び塗布する対象の基材としては、樹脂や紙等であり、これらの複数の基材から構成される積層体等の複合基材であってもよい。レトルト容器に使用する基材としては樹脂の中でもその用途に適したものを選択できる。レトルト容器ではなく、ヒートシールやレトルト処理等を行う必要がない用途に使用する基材としては、上記のように樹脂の他に紙を採用できる。
但し、樹脂からなる基材の表面の性状について、10μm×10μmの範囲内に、高さ15nm以上の突起物を40個以上設けても良く、設けなくても良い。
【0059】
このうち、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を印刷又は塗布する対象のプラスチック基材としては、例えば、ポリエステル系ポリマー(例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート等)、セルロース系ポリマー(例えば、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)等)、ポリカーボネート系ポリマー、ポリアクリル系ポリマー(例えば、ポリメチルメタクリレート等)、塩化ビニル系ポリマー、ポリオレフィン系ポリマー(例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、環状又はノルボルネン構造を有するポリオレフィンポリマー、エチレン・プロピレン共重合体ポリマー等)、ポリアミド系ポリマー(例えば、ナイロン、芳香族ポリアミドポリマー等)、ポリスチレン系ポリマー(例えば、ポリスチレン、アクリロニトリル・スチレン共重合体ポリマー等)、ポリイミド系ポリマー、ポリスルホン系ポリマー、ポリエーテルスルホン系ポリマー、ポリエーテルケトン系ポリマー、ポリフェニルスルフィド系ポリマー、ポリビニルアルコール系ポリマー、ポリ塩化ビニリデン系ポリマー、ポリビニルブチラール系ポリマー、ポリアリレート系ポリマー、ポリオキシメチレン系ポリマー、及びポリエポキシ系ポリマー、これらのポリマーのブレンド物等からなる群より選ばれる1種以上を用いることができる。
【0060】
(製造方法)
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の製造方法としては、特に限定されず、公知の方法を用いることができる。
例えば、前記の各成分を全て添加してビーズミルや3本ロールミル等で混合して調製することができる。
また、顔料、顔料分散剤及び各種の活性エネルギー線硬化型化合物を混合することによってあらかじめコンクベースを得た後、所望の組成となるようモノマー、重合開始剤、必要に応じて界面活性剤等の添加剤をコンクベースに添加して調製することもできる。
【0061】
また、前記の各成分を混合した後にビーズミルや3本ロールミル等で練肉して顔料(すなわち着色成分及び体質顔料)を分散させた後、必要に応じて添加剤(重合開始剤、重合禁止剤、ワックス等のその他の添加剤等)を加え、さらにほかの成分の添加により粘度調整することもできる。
本発明の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物の粘度としては、用途等に応じて適宜調整され限定されるものではないが、例えば25℃において2000mPa・s以下、好ましくは25℃において0.1~100Pa・sである。オフセット方式においては、25℃において20~50Pa・sであることが好ましい。
【0062】
(印刷及び塗布方法)
本発明中の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を用いて上記の印刷対象の基材表面に印刷するには、公知の印刷方法及び、活性エネルギー線硬化型インク組成物の硬化条件を採用できる。着色した活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を用いて印刷を行う際には、目的として文字や図形等を印刷することが主であり、着色しないか、又は隠蔽性が無い程度に着色をした活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物を用いて印刷を行う際には、専らクリアインキ組成物として印刷を行う。
このときの表刷り印刷方法としては、グラビア印刷、オフセット印刷、フレキソ印刷、インクジェット印刷等、活性エネルギー線硬化型インキ組成物を印刷できる公知の手段、さらにクリアインキの場合にはバーコーター、ロールコーター等の全面を対象に塗布できる手段を採用できる。
【実施例0063】
以下に、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、特に断りのない限り、「%」は「質量%」を意味し、「部」は「質量部」を意味するものである。また、表中の各材料の分量の数字は「質量部」である。酸価の単位はmgKOH/gである。
【0064】
(活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物)
<顔料>
藍顔料:FASTOGEN Blue FDB13(銅フタロシアニン顔料、DIC社)
白顔料:CR-80(酸化チタン、アルミナおよびシリカ処理、石原産業社)
【0065】
<樹脂>
【表1】
【0066】
<モノマー>
M3130 (トリメチロールプロパンのEO3モル付加物のトリアクリレート、Miwon社)
M3160 (トリメチロールプロパンのEO6モル付加物のトリアクリレート、Miwon社)
M3190 (トリメチロールプロパンのEO9モル付加物のトリアクリレート、Miwon社)
M3150 (トリメチロールプロパンのEO15モル付加物のトリアクリレート、Miwon社)
SR415 (トリメチロールプロパン(EO21モル付加物)トリアクリレート、サートマー社)
アロニックスM-321 (トリメチロールプロパンのPO6モル付加物のトリアクリレート、東亞合成社)
その他のモノマーは表に記載の通り。
【0067】
<添加剤>
顔料分散剤:ソルスパース39000(日本ルーブリゾール社)
重合禁止剤:ターシャリーブチルヒドロキノン
タルク:ハイフィラー#5000PJ(松村産業社)
ポリジメチルシロキサン:Element14TM PDMS 100(25℃での粘度100cSt、モメンティブ パフォーマンス社)
【0068】
(活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物の調整)
表2の記載の配合組成(質量%)となるように各成分を配合し、三本ロールミルで混練することにより、実施例及び比較例の活性エネルギー線硬化型印刷インキ組成物を得た。
【0069】
(印刷物の作成方法)
簡易展色機(RIテスター、豊栄精工社)を用い、実施例および比較例の各組成物を使用して、RIテスターのゴムロール及び金属ロール上に均一に引き伸ばし、ポリエチレンフィルム(商品名「T.U.X HZR-2」、膜厚80μm、三井化学東セロ社)の表面に展色し、展色物を作製した。
印刷インキ塗布後の展色物にアイ・エレクトロンビーム社の電子線照射装置を用い、酸素濃度が200ppm以下の雰囲気下で、加速電圧を90kVとし、電子線の照射の照射量は30kGyとした。
【0070】
(袋物の作成方法)
上記印刷物を、インパルスシーラー(富士インパルスシーラ社製)を用いて、120mm×120mmの大きさでヒートシールすることによって製袋した。
(レトルト物の作成方法)
上記製袋物の作成において水道水40gを充填密封し、120℃の加圧熱水中に、30分間の条件にてレトルト処理を行った。
【0071】
(密着性(レトルト前の印刷物))
上記手順で得た各印刷物に対し、硬化直後にセロハンテープによる剥離試験を行い、塗膜の状態を以下の評価基準で評価した。
(密着性(レトルト後の印刷物))
上記手順で得た各レトルト物に対し、硬化直後にセロハンテープによる剥離試験を行い、塗膜の状態を以下の評価基準で評価した。
レトルト前及びレトルト後に共通する基準
5:剥がれなし
4:剥がれた面積が印刷面積の25%未満
3:剥がれた面積が印刷面積の25%以上かつ50%未満
2:剥がれた面積が印刷面積の50%以上かつ75%未満
1:剥がれた面積が印刷面積の75%以上
【0072】
(耐スクラッチ性(レトルト前の印刷物))
上記手順で得た各印刷物の印刷面に対し、爪で引っ掻いた際の状態を下記評価基準にて評価した。
(耐スクラッチ性(レトルト後の印刷物))
上記手順で得た各レトルト物の印刷面に対し、爪で引っ掻いた際の状態を下記評価基準にて評価した。
○:引っ掻き傷を生じない
×:引っ掻き傷を生じた
【0073】
(インキ又はニス剥がれ)
上記手順で得た各レトルト物の印刷面を目視し、下記評価基準にて評価した。
○:レトルト後にインキやニスの剥がれが認められない
×:レトルト後にインキやニスの剥がれが認められる
【0074】
(耐熱性)
上記手順で得た各印刷物の印刷面に、80~250℃の熱傾斜を有する熱板を備えたヒートシール試験機を用いて、印刷面とアルミ箔を2.0kg/cmの圧力で、1秒間押圧した。印刷面のインキがアルミ箔に転移する最低温度から耐熱性を評価した。
5:200℃以上
4:150℃以上かつ200℃未満
3:100℃以上かつ150℃未満
2:80℃以上かつ100℃未満
1:80℃未満
【0075】
(耐屈曲性)
上記手順で得た各製袋物を完全に折り曲げ、下記評価基準にて評価した。
○:インキやニスの割れも剥がれも認められない
×:インキやニスの割れと剥がれのうち少なくとも一方が認められる
【0076】
【表2】
【0077】
本発明のとおりのインキ組成物による実施例1~37によれば、レトルト処理する前、及びレトルト処理をして得たレトルト物のいずれの印刷部も、十分に高い密着性及び耐スクラッチ性に優れた。さらに各レトルト物の印刷面ではインキやニスが剥がれず、さらに、ヒートシール時の高温の加熱によっても、印刷面のインキが他の表面に転移しなかった。さらにこのようにして得た袋状物は耐屈曲性が良好であった。
これに対して、成分(A)を含有せず、条件1を満たさない比較例1~5、さらに、条件1を満たさない比較例6~13及び比較例16、成分(B)を含有しない比較例14及び成分(B)の含有量が少ない比較例15によると、全ての評価結果が不良であった。

【手続補正書】
【提出日】2023-01-18
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記の成分(A)、成分(B)及び成分(C)を含有し、
さらに下記の条件(1)及び条件(2)を満たす活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
成分(A):エチレンオキシド付加モル数が6~60のエチレンオキシド付加多官能モノマー
成分(B):水酸基、アミノ基、(ポリ)エーテル基、エポキシ基、カルボキシ基、カルビノール基、メルカプト基、フェノール基、エステル基、アルコキシ基、ハロゲン原子アラルキル基、アラルキル基、長鎖アルキル基、高級脂肪酸エステル変性、高級脂肪族アミド基を有さない、未変性ポリジメチルシロキサン骨格を有する化合物
成分(C):活性エネルギー線硬化型オリゴマー及び/又はポリマー
条件(1):成分(A)以外のモノマーの含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中15.0質量%以下。
条件(2):成分(B)の含有量は、活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物中0.2質量%以上、かつ10.0質量%以下。
【請求項2】
成分(B)の粘度が20~2000cStである請求項1に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。
【請求項3】
顔料と顔料分散剤を含有する請求項1又は2に記載の活性エネルギー線硬化型表刷り用インキ組成物。