(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054653
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】車両管理装置及び車両管理方法
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/40 20240101AFI20240410BHJP
G08G 1/00 20060101ALI20240410BHJP
G08G 1/09 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G06Q50/30
G08G1/00 X
G08G1/09 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】17
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161026
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000486
【氏名又は名称】弁理士法人とこしえ特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】内田 俊一
(72)【発明者】
【氏名】内田 ヘルマン偉之
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181CC04
5H181FF22
5H181FF27
5H181FF32
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL04
5H181LL09
5H181MA41
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】 (修正有)
【課題】隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる車両管理装置及び車両管理方法を提供する。
【解決手段】隊列走行の対象となる複数の車両を管理する車両管理システムにおいて、サーバ1は、車両のユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列走行の対象となる車両を管理するコントローラ10を有する。コントローラ10は、入力情報に基づき、隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定し、特定された複数の隊列車両を含む隊列走行グループを生成し、生成された隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出し、所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ他の車両を含めて、新たな隊列走行グループを生成する。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列走行の対象となる車両を管理するコントローラを有し、
前記コントローラは、
前記入力情報に基づき、隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定し、
特定された前記複数の隊列車両を含む隊列走行グループを生成し、
生成された前記隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出し、
前記所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ他の車両を含めて、新たな前記隊列走行グループを生成する車両管理装置。
【請求項2】
請求項1記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、
前記入力情報に基づき、隊列走行を希望する希望車両の車両属性を特定し、
前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性とをマッチングし、
前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性がマッチングした場合には、前記所望車両を募集している前記隊列走行グループの情報を、前記希望車両のユーザが確認するディスプレイの表示画面上で優先的に表示させる車両管理装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、
前記複数の隊列車両のエネルギー消費率が低くなるように、前記複数の隊列車両の機能が高まるように、又は、前記複数の隊列車両の機能には無い新たな機能が加わるように、前記所望車両を特定する車両管理装置。
【請求項4】
請求項1記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、
前記入力情報に基づき、隊列走行を希望する希望車両の車両属性を特定し、
前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性とをマッチングし、
前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性がマッチングした場合には、前記希望車両を含めて、新たな前記隊列走行グループを生成する車両管理装置。
【請求項5】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記入力情報に基づき、隊列走行を希望する希望車両の車両属性を特定し、
前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性とをマッチングし、
前記コントローラは、前記希望車両の車両属性と前記所望車両の車両属性がマッチングした場合には、前記複数の隊列車両のユーザに対して、前記希望車両の参加の承認を求める車両管理装置。
【請求項6】
請求項5記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、前記承認の数が所定値以上である場合には、前記希望車両を含めて、新たな前記隊列走行グループを生成する車両管理装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、
前記ユーザに対して、前記隊列走行グループの先頭車両と追従車両との間で車両入れ替えを許容するか否かを確認し、
前記ユーザが前記車両入れ替えを許容した場合には、前記ユーザに対して、車両を入れ替えるタイミングを提示する車両管理装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、走行時間、走行距離、及び走行経路のいずれか1つに基づき、前記隊列走行グループの先頭車両と前記隊列車両との間の車両入れ替えを、前記複数の隊列車両のユーザに対して提示する車両管理装置。
【請求項9】
請求項8記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、前記複数の隊列車両のユーザに対して、車両を入れ替えるタイミングを提示する車両管理装置。
【請求項10】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、
前記隊列走行グループの発起人に相当するユーザ、及び/又は、前記隊列走行グループの先頭車両のユーザに対して、インセンティブを付与する車両管理装置。
【請求項11】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、前記複数の隊列車両のエネルギー消費率に応じて、前記隊列走行グループの先頭車両を決定する車両管理装置。
【請求項12】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、前記複数の隊列車両が車車間通信機能を有している場合には、前記車車間通信機能を有している前記隊列車両のユーザに対して、前記車車間通信機能を利用してユーザ同士でコミュニケーションをとれることを提示する車両管理装置。
【請求項13】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記コントローラは、前記複数の隊列車両の目的地が同一である場合には、前記ユーザに対してイベントに関する情報を提示する車両管理装置。
【請求項14】
請求項1又は2記載の車両管理装置であって、
前記車両属性は、前記車両のエネルギー消費率、車型、車両の寸法、車両の重量、車両が有する機能、及び、車両の性能のうち少なくとも1つの要素で示される車両管理装置。
【請求項15】
請求項14記載の車両管理装置であって、
前記車両が有する機能は、走行安全機能、通信機能、撮像機能、ナビゲーション機能、充電スポット検索機能のうちいずれか一つの機能である車両管理装置。
【請求項16】
請求項14記載の車両管理装置であって、
前記車両の性能は、排気性能、環境性能、直進安定性能、操舵安定性能、制動性能、加減速性能、悪路走破性能のうちいずれか一つの性能である車両管理装置。
【請求項17】
プロセッサにより実行され、隊列走行の対象となる複数の車両を管理する車両管理方法であって、
前記プロセッサは、
前記車両のユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定し、
特定された前記複数の隊列車両を含む隊列走行グループを生成し、
生成された前記隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出し、
前記所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ他の車両を含めて、新たな前記隊列走行グループを生成する車両管理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両管理装置及び車両管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、複数の車両を隊列走行させるための隊列走行システムが知られている(例えば特許文献1)。特許文献1記載のシステムは、先導希望条件として先導車両の目的地及び出発日を受信し、追従希望条件として追従車両の目的地及び出発日を受信し、先導車両の出発日と追従車両の出発日が一致するように、先導車両と追従車両をマッチングし、先導車両と追従車両のマッチングの結果を先導希望ユーザのユーザ端末及び追従希望ユーザのユーザ端末に送信する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記隊列走行システムは、希望条件から先導車両と追従車両をマッチングさせることで、マッチングした車両を含んだ隊列走行グループを生成した後に、当該隊列走行グループに対して新たな車両を加えるものではない。そのため、隊列走行グループにとって利点となる別の車両が隊列を希望した場合でも、別の車両は隊列走行グループに加わることができない、という問題がある。
【0005】
本発明が解決しようとする課題は、隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる車両管理装置及び車両管理方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、ユーザにより入力された入力情報に基づき隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定し、隊列走行グループを生成し、生成された隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出し、所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ他の車両を含めて、新たな隊列走行グループを生成することによって上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、本実施形態における車両管理装置を含む車両管理システムのブロック図である。
【
図2】
図2は、ユーザ端末2の表示画面を示す概念図である。
【
図3】
図3は、コントローラの車両管理の処理フローを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明に係る車両管理装置の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は、本実施形態に係る車両制御装置及びユーザ端末を含む車両管理システムの構成の一例を示すブロック図である。
図1で示されるように、車両管理システム100は、サーバ1とユーザ端末2を有している。車両管理システムは、隊列走行の対象となる複数の車両を管理するためのシステムである。隊列走行は、複数の車両が列状になり、所定の車間を維持しながら走行する走行形態に相当する。複数の車両が隊列走行することで、車両のエネルギー消費率(いわゆる燃費又は電費)が抑制される。また、隊列車両が自動運転機能を有している場合には、追従車両は、自動運転機能を用いて、追従先の隊列車両に追従すれば目的地に到着できる。そのため、ドライバーの運転負荷の軽減にもなる。
【0010】
サーバ1は、複数のユーザ端末2とインタネット回線を通じて通信可能な状態でつながっている。サーバ1は、本システムを利用するユーザ及び車両の全体を管理する。なおサーバ1は、管理対象の車両と通信してもよい。サーバ1は、車両のユーザによる入力された情報に基づき、隊列走行の対象となる複数の車両を管理している。またサーバ1は、隊列走行の対象となる車両を集めて隊列走行グループを生成する。さらに、サーバ1は、隊列走行グループを生成した後に、隊列走行グループに属する車両にとって利点となるような他の車両を募集する。つまり、サーバ1は、隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出して、算出された車両属性をもつ他車両を、隊列走行グループに含めるために、車両の募集を行う。そして、サーバ1は、募集に応じた車両のうち、所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ車両を、隊列走行グループに含めて、新たな隊列走行グループを生成する。
【0011】
サーバ1は、コントローラ10と、データベース20とを備えている。コントローラ10は、ユーザから入力された入力情報、隊列走行グループに関する情報等をデータベース20で管理し、隊列走行の対象となる車両を管理する。コントローラ10は、ユーザの登録情報を管理する機能、イベントを管理する機能、及び、隊列走行の対象となる車両を管理する機能を有しており、各機能を有する機能ブロックとして、ユーザ情報管理部11、イベント管理部12、及び車両管理部13を有している。コントローラ10は、プログラムを記憶するメモリ、及び、プログラムを実行するためのプロセッサを有しており、プロセッサがメモリ等に記憶されたプログラムを実行することで、機能ブロックの各機能を発揮させる。なお、コントローラ10は、各機能ブロックにおける機能に限らず、他の機能を有してもよい。
【0012】
ユーザ情報管理部11は、車両管理システムを利用するユーザの登録情報を管理する。ユーザは、車両管理システムを利用する際には、初期登録を行う。初期登録では、ユーザの個人情報に加えて、ユーザが乗車する車両の車両情報を登録する。登録される車両情報は、車両の車種や型式等である。ユーザ情報管理部11は、初期登録時に入力された入力情報をデータベース20に記憶する。
【0013】
また、初期登録後に、ユーザが車両管理システムを利用して隊列走行を希望する際には、ユーザはユーザ端末2を操作して希望情報を入力して参加希望をする。希望情報は、目的地、出発地、目的地への到着希望時間、出発地の出発希望時間、走行時間等、希望する隊列を指定しるための希望条件を示す情報を含む。ユーザ情報管理部11は、ユーザ端末2から入力された希望情報をデータベース20に記憶する。なお、ユーザは、目的地の代わりに、後述するイベントを指定することで、隊列走行を希望してもよい。希望情報は、後述するイベントに関する情報を含んでもよい。
【0014】
イベント管理部12はイベント情報を管理する。イベントは、複数のユーザが特定の場所に集まって行われる催しである。イベント情報は、イベントの発起人(ユーザ)により入力され、イベントの開催地、開催日時、参加人数などの情報を含んでいる。イベントは、特定の場所で特定の日時に行わるため、そのイベントへ参加する各ユーザで、目的地や到着希望時間が同じになる。そのため、イベントの参加ユーザが車両でイベントの開催地に向かう際に、隊列走行にすることで、エネルギー消費を抑制できる。本実施形態では、隊列走行のための車両管理とイベント情報の管理を、サーバ1で一元化することで、車両管理の効率化とシステムの利便性の向上を図る。
【0015】
イベント管理部12は、イベント発起人によるユーザ端末2の操作により、イベントを発起する旨の指令を受信した場合には、ユーザ端末2のディスプレイに、イベント登録用の画面を表示させて、発起人に対して、イベント情報の入力を要求する。イベント管理部12は、発起人により入力されたイベント情報をデータベース20に記憶して、イベント情報をイベント毎に管理する。イベント情報は、イベントの開催日時、開催場所、イベント内容等を含む。イベント管理部12は、ユーザによりイベントを検索できるように、イベントに隊列車両で参加するユーザを募集するために、掲示板(BBS)を作成する。掲示板には、発起人が入力したイベント情報、システム側で付与されたイベント関連情報(例えば、運行ルート、参加人数、隊列車両の参加台数等)が掲載される。ユーザは、ユーザ端末2を操作して、イベント掲示板を確認することで、隊列走行を募集しているイベントを確認できる。またユーザは、ユーザ端末2を操作して、データベース20にアクセスして、希望するイベントを検索できる。
【0016】
ユーザは、希望するイベントがデータベース20で管理されている場合には、隊列走行に参加する旨の参加申請をサーバ1に送信する。後述する車両管理部13が参加申請を許可した場合には、イベント管理部12は、参加申請をしたユーザの車両情報を、イベントに参加するための隊列車両として、イベント情報に含めてデータベース20に記憶する。またイベント管理部12は、イベント開催地までの運行ルート、イベントの参加人数などをイベント情報に含めてデータベース20に記憶してもよい。
【0017】
車両管理部13は、隊列走行グループの生成機能、所望車両の車両属性を算出する機能、隊列走行グループへの参加を募集する募集機能、及び隊列走行グループを更新する更新機能を有している。各機能について、以下説明する。
【0018】
(隊列走行グループの生成機能)
車両管理部13は、ユーザにより入力された情報に基づき、隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定する。具体的には、車両管理部13は、ユーザにより入力された情報から、ユーザが隊列に参加を希望している希望条件を特定する。希望条件は、ユーザの目的地、到着時間、参加予定のイベント、走行時間などで示される。車両管理部13は、目的地及び目的地への希望到着時間が共通しているユーザ同士をマッチングして、マッチングしたユーザが隊列走行を希望している場合には、希望しているユーザの車両を隊列車両(隊列走行を希望している車両)として特定する。また、車両管理部13は、参加を希望しているイベントが共通する場合に、共通のイベントに参加するユーザの車両を隊列車両として特定してもよい。
【0019】
車両管理部13は、特定された複数の隊列車両をグループ化することで、隊列走行グループを生成する。隊列走行グループに属する車両は、隊列走行で目的地まで走行することになる。車両管理部13は、隊列走行グループを生成した後、隊列走行グループに関する情報を、掲示板に登録する。なお、車両管理部13は、隊列走行グループに関する情報を掲示板に登録する
際に、共通する目的地の付近で開催されるイベントに関する情報を掲示板に加えてもよい。つまり、車両管理部13は隊列走行グループに含まれる複数の隊列車両の目的地が同一である場合には、隊列車両のユーザに対してイベントに関する情報を提示してもよい。これにより、ユーザは掲示板を確認することで、目的地付近で開催されるイベントの内容を確認できる。他のユーザが、掲示板を確認して隊列走行の参加を希望した場合には、車両管理部13は、参加希望をしたユーザの車両を隊列車両として特定して、新たな隊列車両を隊列走行グループに含める。つまり、車両管理部13は、ユーザが入力する隊列の希望条件に基づき、隊列車両を特定し隊列走行グループを生成する。
【0020】
また車両管理部13は、生成した隊列走行グループの中で、隊列をなす隊列車両の配列順を決定する。車両管理部13は、グループに含まれる全ての隊列車両の配列順を決める必要はなく、少なくとも先頭車両を決めるだけでもよい。例えば、車両管理部13は、複数の隊列車両のエネルギー消費率に応じて、隊列走行グループの先頭車両を決定する。他の車両に追従する追従車両は空気抵抗の小さい分、エネルギー消費率が低くなる。そのため、空気抵抗が大きい先頭車両には、隊列走行グループ内の全隊列車両の中で最もエネルギー消費率の小さい車両を、先頭車両とする。これにより、隊列車両の全体のエネルギー消費率を抑制できる。
【0021】
また車両管理部13は、隊列をなす隊列車両の配列順を決定する際に、先頭車両が大型車両である場合には、車内の空気循環を内気循環に設定して走行することを希望している隊列車両を、先頭車両に追従する追従車両としてもよい。大型車両の直後を追従した場合には、大型車両の後方は粉じん等で車外の環境がよくない可能性がある。そのため、ユーザが、希望条件の一つとして、内気循環に設定することを指定する場合には、車両管理部13は、当該ユーザの隊列車両を、先頭車両の追従車両とする。
【0022】
(所望車両の車両属性を算出する機能)
車両管理部13は、隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出する。所望車両は、隊列走行グループにとって利点となる車両であって、サーバ側で選定される車両である。隊列走行グループにとっての利点とは、別の車両を隊列走行グループに加えることで、グループに含まれる隊列車両の全体のエネルギー消費率が抑制する、あるいは、隊列車両の走行性能、安全性能又は快適性が高まる等である。具体的には、車両管理部13は、ユーザの隊列への参加の希望条件に基づき隊列走行グループを生成すると、隊列走行グループに含まれる隊列車両のエネルギー消費率、及び/又は隊列車両の各種機能を特定する。そして、車両管理部13は、既存の隊列走行グループに対して、複数の隊列車両のエネルギー消費率が低くなるように、複数の隊列車両の機能が高まるように、又は、複数の隊列車両の機能には無い新たな機能が加わるように、所望車両を選定する。以下、所望車両の具体例を説明する。
【0023】
例えば、隊列走行グループに含まれる全ての隊列車両が、普通車及び/又は軽自動車である場合には、大型車(隊列車両より大きい車両)を先頭車両にすることで、隊列車両の走行中、先頭車両の後ろに位置する追従車両の空気抵抗が抑制されるため、エネルギー消費率が抑制される。このような場合に、車両管理部13は大型車を所望車両として選定する。例えば、隊列走行グループに含まれる全ての隊列車両が、電気自動車及び/又はハイブリッド車両である場合には、現在の隊列車両と同様に、電気自動車及び/又はハイブリッド車両を隊列車両に加えることで、隊列走行グループの全体でエネルギー消費率をより抑制できる。このような場合に、車両管理部13は電気自動車及び/又はハイブリッド車両を所望車両として選定する。
【0024】
例えば、隊列走行グループに含まれる全ての隊列車両が、エンジンのみを駆動源とするエンジン車両である場合には、エンジン車両よりもエネルギー消費率の低い電気自動車及び/又はハイブリッド車両を、先頭車両にすることで、隊列走行グループの全体のエネルギー消費率が抑制される。このような場合に、車両管理部13は電気自動車及び/又はハイブリッド車両を所望車両として選定する。例えば、隊列走行グループの先頭車両が大型車である場合には、大型車よりも大きさの小さい車両(例えば、普通車、軽自動車)を追従車両とすることで、エネルギー消費率が抑制される。このような場合に、車両管理部13は大型車よりも大きさの小さい車両を所望車両として選定する。
【0025】
例えば、隊列走行グループに含まれる全ての隊列車両が、前方カメラ映像を車車間通信(V2V)で他車両に送信する機能を有していない場合には、この機能を有している車両を先頭車にすることで、隊列車両は、車車間通信を通じて、先頭車両から前方カメラ映像を受信することで、先頭車両の前方の映像を確認できる。つまり、追従車両の前方には他車両が走行している状態でも、隊列走行グループの前方の映像をみることができる。
【0026】
例えば、隊列走行グループに含まれる全ての隊列車両が、先進安全機能を有していていない場合、又は、一部の隊列車両が先進安全機能を有していていない場合には、この機能を有している車両を隊列車両に加えることで、走行安全機能(先進安全機能)を有した車両に追従する他の隊列車両の走行安全性能を高めることができる。このような場合に、車両管理部13は、走行安全機能を有した車両を所望車両として選定する。なお、走行安全機能は、危険回避機能、車間距離制御機能、車線逸脱防止機能等である。
【0027】
車両管理部13は、所望車両を選定すると、所望車両の車両属性を算出する。車両属性は、所望車両の有する性能や特徴であって、車両のエネルギー消費率、車型、車両の寸法、車両の重量、車両が有する機能、及び、車両の性能のうち少なくとも1つの要素で示される。車両が有する機能は、走行安全機能、通信機能、撮像機能、ナビゲーション機能、充電スポット検索機能のうちいずれか一つの機能である。また、車両の性能は、排気性能、環境性能、直進安定性能、操舵安定性能、制動性能、加減速性能、悪路走破性能のうちいずれか一つの性能である。
【0028】
例えば、所望車両がエネルギー消費率の抑制のために選定された車両である場合には、車両属性はエネルギー消費率、車型、寸法、重量、又は性能等で示される。例えば、所望車両が隊列車両の機能を高めるために選定された車両である場合、又は、所望車両が隊列車両の機能には無い新たな機能を加えるために選定された車両である場合には、車両属性は車両が有する機能で示される。なお、車両属性は、燃費や重量等の数値に限らず、機能の種別で示されてよい。このように、車両管理部13は、まず、ユーザの希望条件に基づき隊列走行グループを生成する。そして、車両管理部13は、サーバ(システム)側の選定で、既存の隊列走行グループに対して利点となるような所望車両を選定して、選定した所望車両の車両属性を算出する。
【0029】
(隊列走行グループへの参加を募集する募集機能)
車両管理部13は、所望車両の車両属性を有する他の車両を、既存の隊列走行グループに加えるために、所望車両の募集を開始する。例えば、車両管理部13は、イベント管理部12を介して、所望車両を募集していることを掲示板に掲載する。
【0030】
車両管理部13は、所望車両の車両属性を算出した後、ユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列車両に参加したい旨の参加希望を受信した場合、あるいは、ユーザが隊列参加のための掲示板を閲覧している場合には、データベース20を参照して、ユーザに対応する車両の車両情報を取得する。ユーザはユーザ端末2を操作してシステムにアクセスするため、車両管理部13はユーザのログイン情報から、データベース20を参照して、現在ログインしているユーザの車両情報を取得する。そして、ログイン中のユーザの車両が希望車両となる。
【0031】
車両管理部13は、初期登録時の車両情報から希望車両の車両属性を特定する。希望車両の車両属性は、所望車両の車両属性と対応する情報である。車両管理部13は、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性がマッチングするか否か判定する。希望車両の車両属性が、所望車両の車両属性を含んでいる場合には、車両管理部13は、希望車両の車両属性が所望車両の車両属性とマッチングしていると判定する。希望車両の車両属性が、所望車両の車両属性を含んでいない場合には、車両管理部13は、希望車両の車両属性が所望車両の車両属性とマッチングしていないと判定する。
【0032】
希望車両の車両属性が所望車両の車両属性とマッチングしている場合には、車両管理部13は、マッチングした所望車両を募集している隊列走行グループの情報を、希望車両のユーザが確認するディスプレイの表示画面上で優先的に表示させる。車両管理部13は、例えば、掲示板の表示形態を変更し、又は、ユーザの車両が所望車両であることをユーザに認識させるよう、ユーザ端末2のディスプレイ上の表示を変えることで、隊列走行グループの優先表示を行う。
図2は、隊列走行グループを優先表示させるときの、ユーザ端末2のディスプレイの表示画面を示す概念図である。
図2は、掲示板を示している。
【0033】
イベント管理部12は、
図2に示すような掲示板を作成し、ユーザ端末2のディスプレイの表示画面上に表示させる。
図2の例では、ユーザの希望条件として、出発日時、出発場所、及び希望イベントの各条件を満たした2つのイベントが表示されている。そして、
図2の画面をみているユーザが「普通車」を車両属性として登録したとする。車両管理部13は、出発日時、出発場所、及び希望イベントから、複数の隊列走行グループを生成しており、
図2では、2つの既存の隊列走行グループが表示されている。そして、車両管理部13は、隊列走行グループ1における所望車両の車両属性を普通車として算出し、隊列走行グループ2における所望車両の車両属性を大型車両として算出したとする。車両管理部13は、隊列走行グループ1が普通車を募集していること、及び、隊列走行グループ2が大型車両を募集していることを、掲示板上で表示させる。このとき、車両管理部13は、隊列走行グループ1のイベント表示において、ユーザの登録した車両属性が所望車両(募集車両)の車両属性とマッチングしている旨の優先表示を行う。
図2の例では、優先表示は、イベント情報表示を太線で囲う表示、及び、「システムが推奨するグループ」の文字列表示に相当する。一方、車両管理部13は、隊列走行グループ2のイベント表示では、優先表示を行わない。
【0034】
ユーザは、
図2のような優先表示付きのイベント掲示板を確認することで、隊列走行グループ1が、希望条件を満たす隊列走行グループの中からシステムで推奨されたグループであることを容易に把握できる。また、
図2のような優先表示を行うことで、既存の隊列走行グループにとって利点のある他の車両が、隊列走行グループに加わり易くなる。なお、優先表示は必ずしも
図2のような表示形態にする必要はなく、他の表示形態でもよく、あるいは、ユーザの希望条件から該当するイベントや隊列走行グループを検索した場合に、イベントや隊列の情報を上位に表示させるすることで、優先表示を行ってもよい。
【0035】
(隊列走行グループを更新する更新機能)
優先表示付きのイベント掲示板が表示され、ユーザから隊列参加を受諾する旨の操作入力があった場合には、車両管理部13は、参加受諾を確認し、参加を受諾したユーザの車両を、隊列走行グループに加えることで、新たな隊列走行グループを生成する。これにより、隊列走行グループが更新される。なお、車両管理部13は、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性がマッチングした場合には、複数の隊列車両のユーザに対して、希望車両の参加の承認を求めもよい。つまり、所望車両の車両属性とマッチングする希望車両のユーザが隊列参加を受諾する旨の操作を行った場合には、車両管理部13は、既存の隊列走行グループに含まれる複数の隊列車両のユーザに対して、希望車両の参加を承諾するか否かを提示する。そして、車両管理部13は、希望車両の参加を承諾するか否かが提示されたユーザのうち、承認の数が所定値以上である場合には、希望車両を隊列走行グループに加えることで、新たな隊列走行グループを生成してもよい。
【0036】
データベース20は、ユーザの登録情報、ユーザの車両情報、ユーザが参加を希望している隊列の条件を示す希望情報、イベント情報、イベント関連情報、隊列走行グループに関する情報等を記憶する。
【0037】
次に、
図3を参照して、コントローラ10により実行される車両管理方法を説明する。
図3は、コントローラ10の車両管理の処理フローを示すフローチャートである。
【0038】
ステップS1にて、イベント管理部12は、イベント発起人によるユーザ端末2の操作に基づき、イベント情報を取得する。ステップS2にて、イベント管理部12は、隊列走行でイベント開催地に向かうユーザを募集するために、参加募集用の掲示板を作成する。ステップS3にて、車両管理部13は、掲示板作成後の所定のタイミングで、参加希望をしているイベントが共通しているユーザの車両を隊列車両として特定する。所定のタイミングは、例えばイベント開催日の数日前である。なお、車両管理部13は、希望条件としてイベントの代わりに、目的地、目的地への希望到着時間等、他の希望条件に基づき隊列車両を特定してもよい。
【0039】
ステップS4にて、車両管理部13は、特定された複数の隊列車両をグループ化することで、隊列走行グループを生成する。ステップS5にて、車両管理部13は、隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出する。ステップS6にて、車両管理部13は、所望車両の募集を開始する。ステップS7にて、車両管理部13は、隊列車両を希望している希望車両の車両情報を取得する。ステップS8にて、車両管理部13は、データベース20を参照し、希望車両の属性を特定する。
【0040】
ステップS9にて、車両管理部13は、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性がマッチングするか否か判定する。希望車両の車両属性が所望車両の車両属性とマッチングしている場合には、ステップS10にて、車両管理部13は、ユーザ端末2の表示画面上で、マッチングした所望車両を募集している隊列走行グループの優先表示を行う。一方、希望車両の車両属性が所望車両の車両属性とマッチングしていない場合には、ステップS11にて、車両管理部13は、隊列走行グループの優先表示を行わない。
【0041】
ステップS12にて、車両管理部13は、ユーザから隊列参加を受諾する旨の操作入力から、参加受諾を確認する。ステップS13にて、車両管理部13は、参加を受諾したユーザの車両を、隊列走行グループに加えることで、新たな隊列走行グループを生成する。車両管理部13は、更新後の隊列走行グループの情報になるよう掲示板を更新する。そして、コントローラ10は、
図3に示す制御フローを終了させる。
【0042】
上記のように、本実施形態において、コントローラ10は、ユーザにより入力された入力情報に基づき隊列走行の対象となる複数の隊列車両を特定し、特定された複数の隊列車両を含む隊列走行グループを生成し、生成された隊列走行グループが所望する所望車両の車両属性を算出し、所望車両の車両属性と同一の車両属性をもつ他の車両を含めて、新たな隊列走行グループを生成する。これにより、隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる。
【0043】
また本実施形態において、コントローラ10は、ユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列走行を希望する希望車両の車両属性を特定し、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性とをマッチングし、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性がマッチングした場合には、所望車両を募集している隊列走行グループの情報を、希望車両のユーザが確認するディスプレイの表示画面上で優先的に表示させる。これにより、ユーザは、自分の希望する隊列走行グループであり、サーバ側の推奨する隊列走行グループを容易に確認できる。
【0044】
また本実施形態において、コントローラ10は、複数の隊列車両のエネルギー消費率が低くなるように、複数の隊列車両の機能が高まるように、又は、複数の隊列車両の機能には無い新たな機能が加わるように、所望車両を特定する。これにより、隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる。
【0045】
また本実施形態において、コントローラ10は、ユーザにより入力された入力情報に基づき、隊列走行を希望する希望車両の車両属性を特定し、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性とをマッチングし、希望車両の車両属性と所望車両の車両属性がマッチングした場合には、希望車両を含めて、新たな前記隊列走行グループを生成する。これにより、隊列走行グループにとって利点となる別の車両を、隊列走行グループに加えることができる。
【0046】
また本実施形態の変形例として、コントローラ10は、ユーザに対して、隊列走行グループの先頭車両と追従車両との間で車両入れ替えを許容するか否かを確認し、ユーザが車両入れ替えを許容した場合には、ユーザに対して、車両を入れ替えるタイミングを提示する。車両管理部13は、隊列走行グループを生成した後、隊列走行グループの目的地までの走行経路を算出する。車両管理部13は、走行経路の走行時間、走行距離、及び走行経路のいずれか1つに基づき、入れ替えの対象となる隊列車両と、入れ替えのタイミングを算出する。
【0047】
例えば、走行経路が長い登り坂と長い平坦路を含む場合に、車両の性能や機能によって、登り坂の走行時にエネルギー消費率が小さくなる車両や、平坦路の走行時にエネルギー消費率が小さくなる車両がある。そのため、車両管理部13は、走行経路の道路特性が変わるタイミング(例えば、走路が平坦路から登り坂に変わるタイミング)に合わせて、隊列車両の全体のエネルギー消費率が小さくなるように、先頭車両と追従車両を入れ替える。また例えば、1台の先頭車両の走行時間又は走行距離が長くなると、先頭車両のドライバーの疲労度が高くなる。そのため、車両管理部13は、1台の先頭車両の走行時間又は走行距離が所定値以上になるタイミングに合わせて、先頭車両と追従車両を入れ替える。そして、車両管理部13は、隊列車両の入れ替えを、複数の隊列車両のユーザに提示する。なお車両管理部13、入れ替え対象となる車両のユーザに限らず、他のユーザに隊列車両の入れ替えを提示してもよい。隊列車両の入れ替えのために提示される情報は、隊列車両の入れ替えのタイミング、又は、入れ替え対象の車両情報等を含む。隊列車両の入れ替えのために提示される情報は、隊列走行前に提示されてもよく、隊列走行後に提示されてもよい。これにより、隊列車両のユーザは、隊列走行グループの走行において、車両の入れ替えが計画されていること、又は、隊列車両の入れ替えのタイミング等を確認できる。
【0048】
また本実施形態の変形例として、コントローラ10は、隊列走行グループの発起人に相当するユーザ、及び/又は、隊列走行グループの先頭車両のユーザに対して、インセンティブを付与してもよい。隊列走行グループの発起人はイベントの発起人に対応する。インセンティブは、例えば、車両管理システムの利用料のディスカウント等である。なおインセンティブを発起人に付与する際には、発起人は先頭車両のユーザである必要はなく、追従車両のユーザでもよい。
【0049】
また本実施形態の変形例として、コントローラ10は、複数の隊列走行が車車間通信機能を有している場合には、車車間通信機能を有している隊列車両のユーザに対して、車車間通信機能を利用してユーザ同士でコミュニケーションをとれることを提示してよい。これにより、隊列車両のユーザは、隊列車両で走行中に、他のユーザとの会話を楽しむことができる。
【0050】
なお、以上に説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【符号の説明】
【0051】
1…サーバ
2…ユーザ端末
10…コントローラ
11…ユーザ情報管理部
12…イベント管理部
13…車両管理部
20…データベース