(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054662
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】プラスチックコード取付治具、及びこれを備えた草刈り機
(51)【国際特許分類】
A01D 34/67 20060101AFI20240410BHJP
A01D 34/416 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
A01D34/67 Z
A01D34/416 110
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161041
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】599165968
【氏名又は名称】多摩火薬機工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001564
【氏名又は名称】フェリシテ弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】児島 郁男
(72)【発明者】
【氏名】糸山 利昭
【テーマコード(参考)】
2B083
【Fターム(参考)】
2B083AA02
2B083BA02
2B083CA07
2B083CA12
2B083CA20
2B083CA28
2B083CB06
2B083CB12
2B083HA60
(57)【要約】
【課題】回転刃それ自体を取り替えることに代えて、同一の円形の回転刃を草刈りの用途に応じて円形の回転刃又はプラスチックコード式の回転刃に簡便に変更する。
【解決手段】本治具J1は、取付ベース11と、ストッパー12とを備え、回転刃Cの穴100に取付ベース11を挿着しストッパー12により固定して、取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にプラスチックコードSを取り付けるようにした。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
草刈り機の操作桿の先端に回転可能に取り付けられる穴付きの回転刃に、プラスチックコードを脱着可能に取り付けるのに用いるプラスチックコード取付治具であって、
前記回転刃に開けられた穴に挿通可能なシャフトと、前記シャフトの一端又は一端側に前記シャフトの外周方向に張り出し、当該穴の縁部に係止可能なフランジとを有してなり、前記シャフトに前記プラスチックコードを着脱可能な程度に拘束して挿着可能なプラスチックコード挿着部を有する取付ベースと、
前記取付ベースの前記シャフトに着脱可能に装着され、前記シャフトの外周面から外回りに突出されて、前記円形の回転刃の前記穴に挿着された前記シャフトを抜け止めするストッパーと、
を備え、
前記回転刃の前記穴に前記取付ベースを挿着し前記ストッパーにより固定して、前記取付ベースの前記プラスチックコード挿着部に前記プラスチックコードを取り付ける、
ことを特徴とするプラスチックコード取付治具。
【請求項2】
回転刃は複数の穴を有し、取付ベース、ストッパーはそれぞれ2個一対とし、前記回転刃において半径方向に配列される2つの穴に前記各取付ベースが挿着され、前記各ストッパーにより固定されて、前記回転刃において半径方向に配置される前記各取付ベースの各プラスチックコード挿着部間に跨って、プラスチックコードを取り付ける請求項1に記載のプラスチックコード取付治具。
【請求項3】
取付ベースのシャフトの外周面に前記シャフトの軸心に対して直交して通し孔が穿たれ、ストッパーは前記通し孔に挿通係止可能に又は圧入可能又は摩擦係合可能な針金、鋼線、ピン、棒を含む線材からなる請求項1又は2に記載のプラスチックコード取付治具。
【請求項4】
ストッパーはシャフトの回りに圧接して外嵌可能なドーナツ形のプレート又はブロックからなる請求項1又は2に記載のプラスチックコード取付治具。
【請求項5】
プラスチックコード挿着部はシャフトの軸方向に対して直交してシャフトの外周面間に穿孔される取付穴からなり、前記取付穴又はプラスチックコード又はその両方は、前記取付穴に前記プラスチックコードが圧入可能又は摩擦係合可能に形成される請求項1又は2に記載のプラスチックコード取付治具。
【請求項6】
プラスチックコードは断面円形若しくは断面角形又は捩じり形状で断面凹凸状をなす請求項1又は2に記載のプラスチックコード取付治具。
【請求項7】
原動機と、前記原動機から延び、前記原動機に作動連結された伝達軸を内蔵される操作桿、及び前記操作桿に配置され、前記原動機を操作する操作部と、前記操作桿の先端に設けられ、前記伝達軸に作動連結されるギア機構を有するギアケースと、前記ギア機構に作動連結されて前記ギアケースから突出される回転軸と、前記回転軸に回転可能に取り付けられる穴付きの回転刃とを備え、前記操作桿を手に持ち、前記操作部により前記回転刃を回転駆動しつつ、前記操作桿を左右方向に振回して草刈り作業を行う草刈り機において、
前記回転刃に請求項1又は2に記載のプラスチックコード取付治具を備えた、
ことを特徴とする草刈り機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、草刈り機の回転刃にプラスチックコードを取り付けるのに使用するプラスチックコード取付治具、及びこれを備えた草刈り機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、野原、田畑、庭あるいは建設現場他各種の工事現場で生育する雑草などを除去するのに、草刈り機が用いられる。この草刈り機は刈払機とも呼ばれる。
【0003】
この種の草刈り機は、特許文献1、2に記載されているように、エンジン式又は電動式の原動機と、原動機から延び、原動機に作動連結された伝達軸を内蔵される操作桿、及び操作桿に配置され、原動機を操作する操作部と、操作桿の先端に設けられ、伝達軸に作動連結されるギア機構を有するギアケース、及びギア機構に作動連結されてギアケースから突出される回転軸と、回転軸に回転可能に取り付けられる回転刃とを備えて構成される。このようにして作業者が、操作桿を手に持ち、操作部により原動機を制御して回転刃を回転駆動しつつ、操作桿を左右方向に振回し、回転刃を地面に沿って左右に移動させて、草刈り作業を行うようになっている。
【0004】
また、草刈り機の回転刃には、特許文献1に記載されるような、鋼製の円形のものや、特許文献2に記載されるような、プラスチック(ナイロン)製の紐からなるプラスチックコード式(ナイロンコード式)のものが用意されている。円形のもの(以下、円形の回転刃という。)は、全体が円盤形のプレートからなり、円形の外周に複数の刃が鋸歯状に形成されて、回転刃の回転により円形の外周刃が回転されるようになっている。また、円形の回転刃には、回転刃を軽量化して回転効率を上げるために、穴付きのものがある。この穴付きのものでは、円盤形のプレートに中心の取付穴の周囲から外周にかけて複数の穴が放射状に穿たれるなど、複数の穴が種々の形態に開けられている。プラスチックコード式のもの(以下、プラスチックコード式の回転刃という。)は、複数のプラスチックコード(プラスチックの紐状のもの)が回転刃の中心部に固定されて、回転刃の半径方向に向けて放射状に回転刃の外側へ延ばされて、回転刃の回転により各プラスチックコードが円周方向に回転されるようになっている。これらの回転刃は草の種類などにより使い分けられ、草刈り作業に際して、草刈りの対象物毎に適した回転刃に取り替えて用いられる。
なお、回転刃は一般に回転軸を嵌挿され、この回転軸にアタッチメントを介してナットが締め込まれて取り付けられる。したがって、回転刃を取り替える際は、回転軸からナット、アタッチメントを順次取り外して、回転刃を付け替えた後、回転軸に再びアタッチメントを取り付け、ナットを締め込んでおり、回転刃の取り替え毎にこれが繰り返される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2002-136208公報
【特許文献2】特開2020-178675公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、草刈り機を用いた草刈り作業では、一般に、円形の回転刃やプラスチックコード式の回転刃が使用される。芝のような細くて柔らかい草はプラスチックコード式の回転刃で短く刈ることが多い。ススキなどのような少し太めの草は円形の回転刃で刈ることが多い。細めの草や太めの草が混在する場合は、まず、円形の回転刃で太めの草を刈り、続いて、プラスチックコード式の回転刃で細く柔らかい草を刈ることで対応している。
【0007】
しかしながら、実際の草刈り作業では、草によって回転刃を取り替えることが結構面倒で、草刈り機に円形の回転刃を付けたままで、草刈りを行うことも多い。ところが、円形の回転刃で芝などの細く柔らかい草を短く刈ろうとしても、なかなかうまくいかないのが現状である。この回転刃の取り替え作業が改善できれば、草刈り機の使い勝手がよくなり、草刈り作業がしやすくなるものと考える。
【0008】
そこで、本発明の目的は、回転刃を取り替えることに代えて、円形の回転刃、特に穴付きの回転刃の穴を利用して、この回転刃にプラスチックコードを簡単に脱着できるようにし、このプラスチックコードの取り付け取り外しにより、同一の円形の回転刃を円形の回転刃又はプラスチックコード式の回転刃に簡便に変更できるようにして、草刈り機の使い勝手を良好にし、もって草刈り作業を容易かつ効率よく行えるようにすることで、これを実現するプラスチックコード取付治具、及びこれを備えた草刈り機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記目的を達成するために、本発明は、
草刈り機の操作桿の先端に回転可能に取り付けられる穴付きの回転刃に、プラスチックコードを脱着可能に取り付けるのに用いるプラスチックコード取付治具であって、
前記回転刃に開けられた穴に挿通可能なシャフトと、前記シャフトの一端又は一端側に前記シャフトの外周方向に張り出し、当該穴の縁部に係止可能なフランジとを有してなり、前記シャフトに前記プラスチックコードを着脱可能な程度に拘束して挿着可能なプラスチックコード挿着部を有する取付ベースと、
前記取付ベースの前記シャフトに着脱可能に装着され、前記シャフトの外周面から外回りに突出されて、前記円形の回転刃の前記穴に挿着された前記シャフトを抜け止めするストッパーと、
を備え、
前記回転刃の前記穴に前記取付ベースを挿着し前記ストッパーにより固定して、前記取付ベースの前記プラスチックコード挿着部に前記プラスチックコードを取り付ける、
ことを要旨とする。
この場合、回転刃は複数の穴を有し、取付ベース、ストッパーはそれぞれ2個一対とし、前記回転刃において半径方向に配列される2つの穴に前記各取付ベースが挿着され、前記各ストッパーにより固定されて、前記回転刃において半径方向に配置される前記各取付ベースの各プラスチックコード挿着部間に跨って、プラスチックコードを取り付けることが好ましい。
【0010】
また、このプラスチックコード取付治具は各部が次のように具体化されることが望ましい。
(1)取付ベースのシャフトの外周面に前記シャフトの軸心に対して直交して通し孔が穿たれ、ストッパーは前記通し孔に挿通係止可能に又は圧入可能又は摩擦係合可能な針金、鋼線、ピン、棒を含む線材からなる。
(2)上記(1)に代えて、ストッパーはシャフトの回りに圧接して外嵌可能なドーナツ形のプレート又はブロックからなるものとしてもよい。
(3)プラスチックコード挿着部はシャフトの軸方向に対して直交してシャフトの外周面間に穿孔される取付穴からなり、前記取付穴又はプラスチックコード又はその両方は、前記取付穴に前記プラスチックコードが圧入可能又は摩擦係合可能に形成される。
(4)プラスチックコードは断面円形若しくは断面角形又は捩じり形状で断面凹凸状をなす。
【0011】
また、上記目的を達成するために、本発明は、
原動機と、前記原動機から延び、前記原動機に作動連結された伝達軸を内蔵される操作桿、及び前記操作桿に配置され、前記原動機を操作する操作部と、前記操作桿の先端に設けられ、前記伝達軸に作動連結されるギア機構を有するギアケースと、前記ギア機構に作動連結されて前記ギアケースから突出される回転軸と、前記回転軸に回転可能に取り付けられる穴付きの回転刃とを備え、前記操作桿を手に持ち、前記操作部により前記回転刃を回転駆動しつつ、前記操作桿を左右方向に振回して草刈り作業を行う草刈り機において、
前記回転刃に上記プラスチックコード取付治具を備えた、
ことを要旨とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明のプラスチックコード取付治具、及びこれを備えた草刈り機によれば、上記各構成により、本治具を、穴付きの回転刃の穴を利用して、回転刃の穴に取付ベースを挿着しストッパーにより固定して、回転刃に取り付け、取付ベースのプラスチックコード挿着部に前記プラスチックコードを取り付けるようにしたので、回転刃を例えば円形の回転刃からプラスチックコード式の回転刃に又はその反対に取り替えることに代えて、穴付きの回転刃の穴を利用して、回転刃にプラスチックコードを簡単に脱着できるようにし、このプラスチックコードの回転刃への取り付け取り外しにより、例えば同一(共通)の円形の回転刃を円形の回転刃又はプラスチックコード式の回転刃に簡便に変更することができ、かかる変更形式により、草刈り機の使い勝手を良好にし、もって草刈り作業を容易かつ効率よく行うことができる、という本発明独自の格別な効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の第1の実施の形態に係るプラスチックコード取付治具の構成を示す図(正面図)
【
図2】同プラスチックコード取付治具の各部の構成をプラスチックコードとともに、平面、正面、及び側面から見た図
【
図3】同プラスチックコード取付治具の使用例を示し、特にこの取付治具を穴付きの回転刃に取り付ける手順を示す図
【
図4】同プラスチックコード取付治具の使用例を示し、特に穴付きの回転刃に複数のプラスチックコードを複数のプラスチックコード取付治具を介して取り付けた状態を示す図(平面図)
【
図5】同プラスチックコード取付治具を使用する穴付きの回転刃の構成を示す図(平面図)
【
図6】同プラスチックコード取付治具を使用して穴付きの回転刃に取り付けるプラスチックコードの構成を示す図(平面図)
【
図7】本発明の第2の実施の形態に係るプラスチックコード取付治具の構成を示す図(正面図)
【
図8】同プラスチックコード取付治具の使用例を示し、特にこの取付治具を穴付きの回転刃に取り付ける手順を示す図
【
図9】同プラスチックコード取付治具の使用例を示し、特に穴付きの回転刃にプラスチックコードを同プラスチックコード取付治具を介して取り付けた状態を示す図(平面図)
【
図10】同プラスチックコード取付治具を回転刃に取り付けた状態の草刈り機を示す図(斜視図)
【
図11】同プラスチックコード取付治具を回転刃に取り付けてこの取付治具によりプラスチックコードを取り付けた状態の草刈り機を示す図(斜視図)
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、この発明を実施するための形態について図を用いて説明する。
図1、
図2にこの発明の第1の実施の形態を示している。
図1に示すように、プラスチックコード取付治具J1(以下、本治具J1という。)は、
草刈り機の操作桿の先端に回転可能に取り付けられる穴付きの円形の回転刃に、プラスチックコードを脱着可能に取り付けるのに用いるもので、取付ベース11と、ストッパー12と、を備えて構成される。
【0015】
なお、ここで穴付きの円形の回転刃は一般的に知られているもので、
図5に示すように、円形の回転刃Cは全体が円盤形のプレートからなり、この円盤形のプレートの、円形の中心に草刈り機の回転軸に挿着可能に取付穴10が形成され、円形の外周に複数の刃101が鋸歯状に形成されて、回転刃Cの回転により外周の刃101が回転されるようになっている。また、この円形の回転刃Cは穴付きのもので、この回転刃Cには、円盤形のプレートの中心の取付穴10の全周縁から外周にかけて複数の円形の穴100が放射状(の配列)に穿たれている。また、ここでプラスチックコードSは一般的に知られているもので、
図6に示すように、例えばナイロンなどのプラスチックからなり、回転刃Cの半径よりも長い所定の長さを有する紐状に形成されている。この場合、プラスチックコードSは断面円形若しくは断面角形の紐状のものでもよく、所謂捩じり形状に形成されて断面凹凸形状をなす紐状で、基端部又は基端部側の一部を大径に加工されて、基端部又は基端部の一部に止め部が設けられたものでよい。ここでは、
図6に示すように、プラスチックコードSに、捩じり形状で基端部に止め部を有するものが用いられる。
【0016】
図1、
図2に示すように、本治具J1の取付ベース11は、円形の回転刃に開けられた穴に挿通可能なシャフト111と、シャフト111の一端又は一端側にシャフト111の外周方向に張り出し、当該穴の縁部に係止可能なフランジ114とを有してなり、シャフト111にプラスチックコードを着脱可能な程度に拘束して挿着可能なプラスチックコード挿着部112を有する。
【0017】
この場合、取付ベース11はプラスチックにより断面略ハット形に一体に形成されて、角柱状又は円柱状のシャフト111と、このシャフト111の一端の円形又は角形のプレート状のフランジ114とからなる。ここでシャフト111は円形の回転刃の穴に挿通可能に断面四角形、この場合は特に断面長方形に形成される。なお、このシャフト111は、当該穴に対して挿入可能にシャフト111の断面が当該穴の面積内の大きさに、つまり、当該穴の面積と略同じか又は当該穴の面積よりも少し小さく形成されてもよく、反対に、当該穴に対して圧入可能にシャフト111の断面が当該穴の面積よりも少し大きく形成されてもよい。フランジ114は円形の回転刃の穴の全周縁に係止可能に円形又は角形のプレート状に当該穴の径よりも大きく形成される。ここではフランジ114は円形のプレート状に形成される。
【0018】
また、シャフト111のプラスチックコード挿着部112はシャフト111の軸方向に対して直交してシャフト111の外周面間に穿孔されてなり、取付穴になっている。この場合、プラスチックコード挿着部112はシャフト111の軸心に対して直交してシャフト111の外周面間、この場合は、シャフト111の短辺をなす平面間でその中心よりも少し先端側に寄った位置に円形に穿孔され、その両端がシャフト111の外周面、この場合、シャフト111の短辺をなす平面で同径の円形に開口される。この場合、プラスチックコード挿着部112は内径がプラスチックコードが圧入可能に又は摩擦係合可能にプラスチックコードの外径と同径若しくは僅かに小さく形成される。ここでは、プラスチックコード挿着部112の内径はプラスチックコードの捩じり形状の外径よりも僅かに小さくしてある。なお、このプラスチックコード挿着部112は角形の穴であってもよい。また、この場合、シャフト111はプラスチックから形成されるので、このシャフト111がプラスチックコードに対して摩擦係合可能な材質のもので形成されることで、プラスチックコード挿着部112とプラスチックコードが摩擦係合可能にすることもできる。このようにプラスチックコード挿着部112は、取付穴又はプラスチックコード又はその両方が、取付穴にプラスチックコードが圧入可能に又は摩擦係合可能に形成されていればよい。
【0019】
また、この取付ベース11のシャフト111にプラスチックコード挿着部112とともに後述するストッパー12のための通し孔113が併せて設けられる。この通し孔113は取付ベース11のシャフト111の外周面にシャフト111の軸心に対して直交して穿たれる。この場合、通し孔113は、シャフト111の長辺をなす平面間でその中心よりも基端側に近接する位置に穿孔される。また、この場合、通し孔113はシャフト111の外周面の端部、すなわち、長辺をなす各平面のフランジ114側の端部でフランジ114から回転刃の厚み分の距離だけ間隔を取って円形に穿孔され、その両端がシャフト111の外周面、すなわち、長辺をなす各平面で同径の円形に開口される。さらに、この場合、この通し孔113は内径が後述するストッパー12をなす線材が挿通係止可能又は圧入可能又は摩擦係合可能に線材の外径と同径又は僅かに小さく若しくは大きく形成される。ここでは、通し孔113の内径は線材の外径と略同径のになっている。
【0020】
本治具J1のストッパー12は、取付ベース11のシャフト111に着脱可能に装着され、シャフト111の外周面から外回りに突出されて、円形の回転刃の穴に挿着されたシャフト111を抜け止めするようになっている。
【0021】
ストッパー12はシャフト111の通し孔113に挿通係止可能又は圧入可能又は摩擦係合可能な針金、鋼線、ピン、棒を含む線材からなる。この場合、ストッパー12に針金が用いられる。この針金は断面円形で、既述のとおり、外径がシャフト111の通し孔113の内径と略同径で、長さが通し孔113の長さよりも長いものになっている。なお、このストッパー12にピンや棒を用いた場合、ピン、棒がシャフトの通し孔に対して圧入可能に、通し孔の径をピン、棒と同径又はピン、棒よりも少し小さくしたり通し孔の内周面に凹凸形状を形成したりすればよい。また、ピン、棒がシャフトの通し孔に対して摩擦係合可能に、シャフトやピン、棒を摩擦係合可能な材質のもので形成したり、シャフトの通し孔とピン、棒との間に摩擦係合可能な断面形状(凹凸形状など)を設けたりすればよい。
【0022】
このようにして本治具J1では、回転刃の穴に取付ベース11を挿着しストッパー12により固定して、取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にプラスチックコードを取り付けるようになっている。また、ここで使用する円形の回転刃は、既述のとおり、複数の穴を有し、このような回転刃の場合は、取付ベース11、ストッパー12をそれぞれ2個一対とし、回転刃において半径方向に配列される2つの穴に各取付ベース11を挿着し、各ストッパー12により固定して、回転刃において半径方向に配置する各取付ベース11の各プラスチックコード挿着部112間に跨って、プラスチックコードを取り付けるようにすることが好ましい。
【0023】
図3、
図4に一般の草刈り機での本治具J1の使用例を具体的に示している。
図3、
図4に示すように、本治具J1を、この場合、2個一対として、草刈り機の円形の回転刃Cにこの回転刃Cの半径方向に配列して取り付け、この一対の本治具J1を介して回転刃CにプラスチックコードSを回転刃Cの半径方向に向けて取り付ける。
【0024】
まず、
図3(1)、(2)に示すように、一対の取付ベース11を回転刃Cの半径方向に配列される2つの穴100に取り付ける。この場合、取付ベース11のシャフト111を回転刃Cの裏面から回転刃Cの穴100に差し込み、フランジ114を穴100の全周縁に圧接する。続いて、
図3(2)に示すように、回転刃Cの穴100を通じて回転刃Cの表面に突出されたシャフト111にストッパー12を取り付ける。この場合、シャフト111の外周面でフランジ114に近接して設けられた通し孔113が回転刃Cの表面直上にあるので、この通し孔113にストッパー(針金)12を差し込み、ストッパー12の両端をこの通し孔113の両端開口から突出させ、ストッパー(針金)12の両端を折り曲げて通し孔113の両端開口縁部に係止する。これにより、取付ベース11のシャフト111が回転刃Cの穴100に対して抜け止めされ、取付ベース11が回転刃Cに固定される。このようにして2個の取付ベース11を回転刃Cの半径方向に配列される2つの穴100に取り付け固定する。そして、
図4に示すように、この2個一対の取付ベース11を回転刃Cの周方向に所定の間隔毎に半径方向に配列される各2つの穴100に取り付ける、この場合、2個一対の取付ベース11を5組、回転刃Cに取り付ける。
【0025】
そして、回転刃CにプラスチックコードSを取り付ける際は、
図4に示すように、一対の取付ベース11間に跨ってプラスチックコードSを通して取り付け、プラスチックコードSを回転刃Cの半径方向外側に突出させて配置する。この場合、回転刃Cに5組の一対の取付ベース11を介して5本のプラスチックコードSを回転刃Cの中心側から外周方向に向けて放射状に取り付け配置する。
【0026】
このように本治具J1を回転刃Cに取り付けることで、円形の回転刃Cとして使用する場合は、そのままで回転刃Cを用いればよく、この円形の回転刃Cをプラスチックコード式の回転刃に変更する場合は、この円形の回転刃Cに本治具J1を介してプラスチックコードSを取り付ければよい。この場合、
図2に示すように、プラスチックコードSを取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にこのプラスチックコードSの止め部がプラスチックコード挿着部112の挿入端側縁部に衝接するまで差し通すだけなので、この円形の回転刃Cをプラスチックコード式の回転刃に簡単に変換することができる。また反対に、プラスチックコード式の回転刃から円形の回転刃に変更する場合は、本治具J1からプラスチックコードSを取り外せばよい。この場合、プラスチックコードSを取付ベース11のブラスチックコード挿着部112から引き抜くだけなので、円形の回転刃からプラスチックコード式の回転刃に簡単に変換することができる。
【0027】
以上説明したように、本治具J1によれば、穴付きの回転刃の穴を利用して、回転刃の穴に取付ベース11を挿着しストッパー12により固定して、回転刃に取り付け、取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にプラスチックコードを取り付けるようにしたので、回転刃それ自体を取り替えることに代えて、穴付きの回転刃の穴を利用して、回転刃にプラスチックコードを簡単に脱着し、このプラスチックコードの回転刃への取り付け取り外しにより、同一の円形の回転刃を円形の回転刃又はプラスチックコード式の回転刃に簡便に変更することができ、かかる変更形式により、草刈り機の使い勝手を良好にし、草刈り作業を従来に比べて大幅に容易かつ効率よく行うことができる。
【0028】
そして、本治具J1では、特に、取付ベース11のシャフト111の外周面にシャフト111の軸心に対して直交して通し孔113が穿たれ、ストッパー12はこの通し孔113に挿通係止可能又は圧入可能又は摩擦係合可能な針金、鋼線、ピン、棒を含む線材からなるので、本治具J1を簡単な構造にして、本治具J1を回転刃に簡単かつ確実に取り付け固定することができ、本治具J1を構成する各部品を低コストに製作することができる。また、シャフト111のプラスチックコード挿着部112はシャフト111の軸方向に対して直交してシャフト111の外周面間に穿孔される取付穴からなり、この取付穴又はプラスチックコード又はその両方が、取付穴にプラスチックコードが圧入可能又は摩擦係合可能に形成されるので、本治具J1を簡単な構造にして、本治具J1にプラスチックコードを簡単に取り付けて確実に固定することができ、取り外しも容易に行うことができる。また、プラスチックコードに捩じり形状で断面凹凸状をなすものを用いたことで、プラスチックコード挿着部112が単純な円形の穴でも、プラスチックコードをプラスチックコード挿着部112に効果的に係合させることができ、この点でも、取付ベース11の構造を簡単にすることができる。
【0029】
図7にこの発明の第2の実施の形態を示している。この実施の形態では、取付ベース11の回転刃への取り付け固定方式が第1の実施の形態と異なる。
【0030】
図7に示すように、このプラスチックコード取付治具J2(以下、本治具J2という。)は、第1の実施の形態と同様に、取付ベース11と、ストッパー12と、を備えて構成される。
【0031】
本治具J2の取付ベース11は、円形の回転刃に開けられた穴に挿通可能なシャフト111と、シャフト111の一端又は一端側にシャフト111の外周方向に張り出し、当該穴の縁部に係止可能なフランジ114とを有してなり、シャフト111にプラスチックコードを着脱可能な程度に拘束して挿着可能なプラスチックコード挿着部112を有する。
【0032】
この場合、取付ベース11はプラスチックにより断面略ハット形に一体に形成されて、角柱状又は円柱状のシャフト111と、このシャフト111の一端の円形又は角形のプレート状のフランジ114とからなる。ここでシャフト111は円形の回転刃の穴に挿通可能に断面円形に形成される。なお、このシャフト111は、当該穴に対して挿入可能にシャフト111の外径が当該穴の内径と略同じか又は当該径よりも少し小さくして形成されてもよく、反対に、当該穴に対して圧入可能にシャフト111の外径が当該穴の内径よりも少し大きくして形成されてもよい。フランジ114は円形の回転刃の穴の全周縁に係止可能に円形又は角形のプレート状で当該穴の径よりも大きく形成される。ここでフランジ114は円形のプレート状に形成される。
【0033】
また、シャフト111のプラスチックコード挿着部112はシャフト111の軸方向に対して直交してシャフト111の外周面間に穿孔されてなり、取付穴になっている。この場合、プラスチックコード挿着部112はシャフト111の軸心に対して直交してシャフトの外周面間に円形に穿孔され、その両端がシャフト111の外周面で同径の円形に開口される。この場合、プラスチックコード挿着部112は内径がプラスチックコードが圧入可能又は摩擦係合可能にプラスチックコードの外径と同径若しくは僅かに小さく形成される。ここでは、プラスチックコード挿着部112の内径はプラスチックコードの捩じり形状の外径よりも僅かに小さくしてある。また、この場合、シャフト111がプラスチックから形成されるので、このシャフト111がプラスチックコードに対して摩擦係合可能な材質のもので形成されることで、プラスチックコード挿着部112とプラスチックコードが摩擦係合可能にすることもできる。このようにプラスチックコード挿着部112は、取付穴又はプラスチックコード又はその両方が、取付穴にプラスチックコードが圧入可能に又は摩擦係合可能に形成されていればよい。なお、このプラスチックコード挿着部112は角形の穴であってもよい。
このシャフト111には、第1の実施の形態のような通し孔(113)はない。
【0034】
本治具J2のストッパー12は、取付ベース11のシャフト111に着脱可能に装着され、シャフト111の外周面から外回りに突出されて、円形の回転刃の穴に挿着されたシャフト111を抜け止めするようになっている。
【0035】
このストッパー12はシャフト111の回りに圧接して外嵌可能なドーナツ形のプレート又はブロックからなる。この場合、ストッパー12はドーナツ形の円形のプレートで、円盤形のプレートからなり、中央に取付ベース11のシャフト111が圧入可能に又は摩擦係合可能に円形の穴120を有している。ここでは、ストッパー12の中央の穴120はシャフト111を圧入可能に穴120の内周縁部が凹凸形状に形成されて穴120の内周縁部に凹凸部(不図示)が設けられる。なお、このストッパー12の場合も、このプレートがシャフト111に対して摩擦係合可能な材質のもので形成されることで、又は穴120の内周縁部に摩擦係合可能な形状を施すことで、この穴120に対してシャフト111が摩擦係合可能にすることもできる。また、このストッパー12はブロック状に形成されてもよく、この場合、ストッパー12にシャフト111のプラスチックコード挿着部112に連通可能にプラスチックコード挿着部が設けられてもよい。
【0036】
このようにして本治具J2では、回転刃の穴に取付ベース11を挿着しストッパー12により固定して、取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にプラスチックコードを取り付けるようになっている。また、ここで使用する円形の回転刃は、既述のとおり、複数の穴を有し、このような回転刃の場合は、取付ベース11、ストッパー12をそれぞれ2個一対とし、回転刃において半径方向に配列される2つの穴に各取付ベース11を挿着し、各ストッパー12により固定して、回転刃において半径方向に配置する各取付ベース11の各プラスチックコード挿着部112間に跨って、プラスチックコードを取り付けることが好ましい。
【0037】
図8、
図9に一般の草刈り機での本治具J2の使用例を具体的に示している。
図8、
図9に示すように、本治具J2を、この場合、2個一対として、草刈り機の回転刃Cに回転刃Cの半径方向に配列して取り付け、この一対の本治具J2を介して回転刃CにプラスチックコードSを回転刃Cの半径方向に向けて取り付ける。
【0038】
まず、
図8に示すように、一対の取付ベース11を回転刃Cの半径方向に配列される2つの穴100に取り付ける。この場合、取付ベース11のシャフト111を回転刃Cの裏面から回転刃Cの穴100に差し込み、フランジ114を穴100の全周縁に圧接する。続いて、回転刃Cの穴100を通じて回転刃Cの表面に突出されたシャフト111にストッパー12を取り付ける。この場合、ストッパー12中央の穴120にシャフト111を通して、ストッパー12をシャフト111の周囲に嵌め込み、ストッパー12をシャフト111の外周面を摺動させて回転刃Cの表面に圧接する。これにより、ストッパー12が回転刃Cの表面に圧接されてシャフト111の周面に固定され、シャフト111が回転刃Cの穴100に対して抜け止めされて、取付ベース11が回転刃Cに固定される。このようにして、
図9に示すように、2個の取付ベース11を回転刃Cの半径方向に配列される2つの穴100に取り付け固定する。そして、この2個一対の取付ベース11を回転刃Cの周方向に所定の間隔毎に半径方向に配列される各2つの穴100に取り付ける、この場合、2個一対の取付ベース11を5組、回転刃Cに取り付ける。
【0039】
そして、回転刃CにプラスチックコードSを取り付ける際は、
図9に示すように、一対の取付ベース11間に跨ってプラスチックコードSを通して取り付け、プラスチックコードSを回転刃Cの半径方向外側に突出させて配置する。この場合、回転刃Cに5組の一対の取付ベース11を介して5本のプラスチックコードSを回転刃Cの中心側から外周方向に向けて放射状に取り付け配置する。
【0040】
このように本治具J2を回転刃Cに取り付けることで、この回転刃Cを円形の回転刃として使用する場合は、そのまま回転刃Cを用いればよく、この円形の回転刃Cをプラスチックコード式の回転刃に変更する場合は、この円形の回転刃Cに本治具J2を介してプラスチックコードSを取り付ければよい。この場合、プラスチックコードSを取付ベース11のプラスチックコード挿着部112にこのプラスチックコードSの止め部がプラスチックコード挿着部112の挿入側端縁部に衝接するまで差し通すだけなので、この円形の回転刃Cをプラスチックコード式の回転刃に簡単に変換することができる。また反対に、プラスチックコード式の回転刃から円形の回転刃に変更する場合は、本治具J2からプラスチックコードSを取り外せばよい。この場合、プラスチックコードSを取付ベース11のブラスチックコード挿着部112から引き抜くだけなので、円形の回転刃からプラスチックコード式の回転刃に簡単に変換することができる。
【0041】
このようにしても、第1の実施の形態と同様に作用効果を奏することができる。
【0042】
また、本治具J2では、特に、ストッパー12がシャフト111の回りに圧接して外嵌可能なドーナツ形のプレート又はブロックからなるので、本治具J2を簡単な構造にして、本治具J2を回転刃に簡単かつ確実に取り付け固定することができ、本治具J2を構成する各部品を低コストに製作することができる。
【0043】
図10、
図11にこの発明の第3の実施の形態として、本治具J1、J2付きの草刈り機を示している。
図10、
図11に示すように、草刈り機Мは、いずれも、原動機aと、原動機aから延び、原動機aに作動連結された伝達軸bを内蔵される操作桿c、及び操作桿cに配置され、原動機aを操作する操作部dと、操作桿cの先端に設けられ、伝達軸bに作動連結されるギア機構を有するギアケースeと、ギア機構に作動連結されてギアケースeから突出される回転軸(不図示)と、この回転軸に回転可能に取り付けられる穴付きの回転刃Cとを備え、草刈りの作業を行う者が、操作桿cを手に持ち、操作部dにより回転刃Cを回転駆動しつつ、操作桿dを左右方向に振回して草刈り作業を行うようになっている。
【0044】
この草刈り機Мの穴付きの回転刃Cに本治具J1、J2を備える。この場合、本治具J1又はJ2は回転刃Cに予め取り付けられてもよく、草刈り機Мに付属品として後付け用として備え付けられてもよい。
【0045】
このようにすることで、この草刈り機Мでは、既述のとおり、円形の回転刃をプラスチックコード式の回転刃に、反対にプラスチックコード式の回転刃を円形の回転刃に、簡単に変更することができる。
【0046】
なお、上記各実施の形態では、穴付きの回転刃として円形の回転刃を例示したが、穴付きの回転刃には、円形の回転刃の他に、円形を基本としつつも種々に変形されたものがあり、このような回転刃でも、回転刃に設けられた穴を利用して、本治具を上記各実施の形態と同様に用いることができ、このようにしても上記各実施の形態と同様の作用効果を奏することができる。
【符号の説明】
【0047】
J1 プラスチックコード取付治具(本治具)
11 取付ベース
111 シャフト
112 プラスチックコード挿着部(取付穴)
113 通し孔
114 フランジ
12 ストッパー
J2 プラスチックコード取付治具(本治具)
11 取付ベース
111 シャフト
112 プラスチックコード挿着部(取付穴)
114 フランジ
12 ストッパー
120 穴
М 草刈り機
a 原動機
b 伝達軸
c 操作桿
d 操作部
e ギアケース
C 穴付きの(円形の)回転刃
10 取付穴
100 穴
101 刃
S プラスチックコード