(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054674
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】屋外構造物
(51)【国際特許分類】
E04B 7/00 20060101AFI20240410BHJP
E04B 1/343 20060101ALI20240410BHJP
E04H 6/02 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
E04B7/00 Z
E04B1/343 U
E04H6/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161065
(22)【出願日】2022-10-05
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 発行日 令和4年5月9日 刊行物 ルシアス カーポート商品カタログ ウェブサイトの掲載日 令和4年5月9日 ウェブサイトのアドレス https://webcatalog.ykkap.co.jp/iportal/CatalogSearch.do?method=catalogSearchByDefaultSettingCategories&volumeID=YKKAPDC1&designID=user 販売日 令和4年7月20日 販売した場所 株式会社関東 千葉県船橋市古作3-16-1 販売日 令和4年7月21日 販売した場所 株式会社綾部興産 岡山県倉敷市中島1126-3 販売日 令和4年7月28日 販売した場所 株式会社ダイシン 宮城県仙台市若林区遠見塚2丁目12-11 販売日 令和4年7月29日 販売した場所 ホテイヤトーヨー株式会社 栃木県小山市東城南4-27-13 販売日 令和4年8月1日 販売した場所 株式会社阪紀テック 大阪府泉佐野市中町2-5-45 販売日 令和4年8月1日 販売した場所 フジクレスト株式会社 東京都西多摩郡瑞穂町大字武蔵66-1 販売日 令和4年8月2日 販売した場所 株式会社イナモト 大阪府堺市中区平井178番地2 販売日 令和4年8月2日 販売した場所 株式会社三富 岐阜県羽島郡岐南町八剣7丁目75番地 販売日 令和4年8月8日 販売した場所 フジ産業株式会社 栃木県宇都宮市東宿郷3-1-9 あかねビル5F
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 販売日 令和4年8月10日 販売した場所 有限会社森脇木工アルミ建材 島根県出雲市平田町2751 販売日 令和4年8月17日 販売した場所 株式会社アイシン 滋賀県栗東市下戸山129-1 販売日 令和4年8月18日 販売した場所 福山アルミ建材株式会社 広島県福山市芦田町大字上有地2224 販売日 令和4年8月19日 販売した場所 株式会社サングリーン 愛知県名古屋市緑区桶狭間森前201 販売日 令和4年8月22日 販売した場所 カイコー株式会社 鹿児島県鹿屋市新川町5503 販売日 令和4年8月22日 販売した場所 鴨方トーヨー株式会社 岡山県浅口市鴨方町小坂東2156-1 販売日 令和4年8月26日 販売した場所 株式会社エムツー静岡 静岡県静岡市駿河区下川原6丁目10番15号 販売日 令和4年8月30日 販売した場所 東邦アルミ建材株式会社 神奈川県横浜市旭区東希望が丘215 販売日 令和4年8月31日 販売した場所 株式会社ワイズ 埼玉県本庄市早稲田の杜5丁目14-5 販売日 令和4年9月2日 販売した場所 株式会社エクシス 福岡県京都郡苅田町苅田3787-8 販売日 令和4年9月6日 販売した場所 株式会社ヒキダ 静岡県焼津市保福島309 販売日 令和4年9月12日 販売した場所 株式会社ビィーティーエス 岡山県岡山市南区芳泉1-8-6 販売日 令和4年9月21日 販売した場所 AGC硝子建材株式会社 香川県綾歌郡綾川町陶1267-1 販売日 令和4年9月28日 販売した場所 藤川アルミ株式会社 広島県広島市安佐北区可部南4-22-22
(71)【出願人】
【識別番号】390005267
【氏名又は名称】YKK AP株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】楠 翔旭
(72)【発明者】
【氏名】堀江 慎吾
(72)【発明者】
【氏名】水野 節
(57)【要約】
【課題】コーナーキャップが簡便な構造であり,施工性に優れ,好適な意匠性を有する屋外構造物を提供することを目的とする。
【解決手段】屋外構造物10は、屋根材24の縁に沿い、該屋根材24の角部32で交差するように設けられた2つの枠材26,30と、2つの枠材26,30からそれぞれ長手方向に沿って側方に突出し、長手方向に対して略90度に切断されているフィン36、40と、角部32で2つの枠材26,30におけるそれぞれのフィン36,40の小口を塞ぐとともに該フィン36,40が連続するように設けられた中空のコーナーキャップ34とを有する。コーナーキャップ34の中空部52を形成する最も低い箇所には排水孔62が形成されている。中空部52は平面視で矩形の空間を形成しており、排水孔62は中空部52の隅部52bに形成されている。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
屋根材の縁に沿い、該屋根材の角部で交差するように設けられた2つの枠材と、
2つの前記枠材からそれぞれ長手方向に沿って側方に突出し、長手方向に対して略90度に切断されているフィンと、
前記角部で2つの前記枠材におけるそれぞれの前記フィンの小口を塞ぐとともに該フィンが連続するように設けられた中空のコーナーキャップと、
を有し、
前記コーナーキャップの中空部に排水孔が形成されている
ことを特徴とする屋外構造物。
【請求項2】
前記排水孔は前記中空部に水を溜めることのない低い箇所に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項3】
前記排水孔は前記中空部の底部に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項4】
前記排水孔は前記中空部の最も低い箇所に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項5】
前記中空部は平面視で矩形の空間を形成しており、前記排水孔は前記中空部における外周側の隅部に形成されている
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項6】
前記屋根材は傾斜しており、
2つの前記枠材のうち一方は傾斜した前記屋根材の傾斜縁に沿って設けられ、他方は最も低い後縁に沿って設けられ、
前記排水孔は前記中空部における後方下縁のいずれかの箇所に形成される
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項7】
前記フィンは中空構造である
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【請求項8】
前記屋根材は矩形であって4つの縁に前記枠材が設けられており、
4つの角部に前記コーナーキャップが設けられ、
各縁の両端の前記角部における前記コーナーキャップは対称構造であり、対角位置の前記角部における前記コーナーキャップは同形状である
ことを特徴とする請求項1に記載の屋外構造物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、屋根材の縁に沿って枠材が設けられている屋外構造物に関する。
【背景技術】
【0002】
カーポートなどの屋外構造物では屋根材の縁に沿って枠材が設けられている場合がある。特許文献1に示されているように2つの枠材が交差する角部には枠材の小口を塞ぐコーナーキャップが設けられる。また、枠材には主に意匠性を向上させることを目的として、側面の長手方向に沿ってフィン部を設けることがある。この場合も特許文献2に示されているようにフィンの小口は所定のコーナー部材によって塞がれる。特許文献1および特許文献2では、枠材やフィンに沿って流入する水が溜まることがないように排水手段が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第6693761号公報
【特許文献2】特許第4904177号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載のコーナーキャップでは、固定対象の枠材を45度に切断する必要がって施工性が良くない。また、排水のためにコーナーキャップと枠材下面との間に隙間を設ける必要があり、キャップとしての見栄えがよくない。
【0005】
特許文献2に記載のコーナー部材は、フィンからコーナーフィン部側に流れる水を集水し排水する集水部や排水部が設けられており、そのための傾斜部や下面の突出部などを備える複雑構造であり、意匠上の観点から好ましくない。そもそもフィンは意匠性を向上させることを目的として設けられているため、その小口を塞ぐ部品についても意匠性に優れていることが望ましい。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、コーナーキャップが簡便な構造であり、施工性に優れ、好適な意匠性を有する屋外構造物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明にかかる屋外構造物は、屋根材の縁に沿い、該屋根材の角部で交差するように設けられた2つの枠材と、2つの前記枠材からそれぞれ長手方向に沿って側方に突出し、長手方向に対して略90度に切断されているフィンと、前記角部で2つの前記枠材におけるそれぞれの前記フィンの小口を塞ぐとともに該フィンが連続するように設けられた中空のコーナーキャップと、を有し、前記コーナーキャップの中空部には、該中空部に排水孔が形成されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明にかかる屋外構造物では、コーナーキャップに特段の集水部や導水部などがなく、中空部に排水孔を形成する簡便な構造となっている。また、枠材は長手方向に対して略90度に切断すれば足りるため施工性がよい。さらに、排水のためにコーナーキャップと枠材との間に隙間などを確保する必要がなく、好適な意匠性を有する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の実施形態である屋外構造物を示すもので、(a)は側枠側から見た図、(b)は前枠側から見た図である。
【
図3】左右一対の側枠材および後枠材とこれらが交差する角部に設けられたコーナーキャップを斜め上方から見た斜視図である。
【
図4】後枠材、前枠材および側枠材とこれらが交差する角部に設けられたコーナーキャップを斜め下方から見た斜視図である。
【
図5】後枠材と右側の側枠材とが交差する角部に設けられたコーナーキャップの斜視図である。
【
図6】後枠材と右側の側枠材とが交差する角部に対してコーナーキャップを取り付ける様子を示した斜視図である。
【
図7】コーナーキャップにおける上部の一部断面斜視図である。
【
図8】コーナーキャップにおける下部の一部断面斜視図である。
【
図9】変形例にかかるコーナーキャップおよびその周辺部を斜め上方から見た斜視図である。
【
図10】変形例にかかるコーナーキャップおよびその周辺部を斜め下方から見た斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本発明にかかる屋外構造物の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0011】
図1は、本発明の実施形態である屋外構造物10を示すもので、(a)は側枠側から見た図、(b)は前枠側から見た図である。屋外構造物10は、駐車スペースSの一側に立設した2本の支柱12と、支柱12の上端部から駐車スペースSの他側に向けて漸次上方となるように延在した2本の梁14と、梁14の上部に設けた屋根16とを備えて構成したカーポートである。屋外構造物10はテラスなどであってもよい。
【0012】
支柱12は、それぞれ角柱状を成すもので、個々の下端部を地中に埋設することによって鉛直方向に沿って立設してある。梁14はそれぞれ角柱状を成すもので、互いにほぼ平行となるように延在している。支柱12、梁14、および後述する4本の枠材22は、アルミニウム等を含む金属の押出形材であり、長手に沿った全長がほぼ一様の断面を有するように構成してある。4本の枠材22の端部は、通常のとおり長手方向に対して略90度に切断されている。なお、本願における「略90度」とは、通常の枠材の切断態様に基づく角度であり、切断加工精度などの影響による多少の誤差を含むものである。したがって90度を含むことは勿論であるが、例えば89度~91度程度の範囲を含みうる。
【0013】
屋根16は、四周の枠材22と、枠材22によって囲われた屋根材24で構成されている。屋根材24は、前後方向に長細い複数の単材24aが互いに連結されて構成されている。屋根16の説明では支柱12に近い側を後とし、その反対側を前とする。梁14は後方に向けて漸次下方となるように傾斜している。梁14および屋根16は水平となっていてもよい。支柱12は後側だけでなく、さらに前側に設けられていてもよい。
【0014】
図2は、屋外構造物10の屋根16を示す平面図である。枠材22は屋根材24を囲うように4本設けられている。すなわち、後縁に沿う後枠材26、前縁に沿う前枠材28、および左右の傾斜縁に沿う側枠材30である。後枠材26は2本の支柱12によって支持されている。前枠材28は2本の梁14の前端部によって支持されている。側枠材30はそれぞれ後端が後枠材26によって支持され、前端が前枠材28によって支持されている。枠材22の四隅、つまり後枠材26、前枠材28および側枠材30が相互に交差する角部32にはコーナーキャップ34が設けられている。屋根材24の後端は後枠材26によって支持され、前端は前枠材28によって支持されている。
【0015】
本実施の形態ではコーナーキャップ34は屋根16における4つの出隅部に設けられているが、屋根16の形状などの条件により少なくとも1か所に設けられているものとする。また、屋根16に入隅部があって出隅部が5つ以上ある場合にはコーナーキャップ34を5つ以上設けてもよい。
【0016】
図3は、左右一対の側枠材30および後枠材26とこれらが交差する角部32に設けられたコーナーキャップ34を斜め上方から見た斜視図である。
図4は、後枠材26、前枠材28および側枠材30とこれらが交差する角部32に設けられたコーナーキャップ34を斜め下方から見た斜視図である。
図3、
図4では屋根材24を省略している。
【0017】
側枠材30には、長手方向に沿って側方に突出する2つのフィン36,38が設けられている。フィン36が上側でフィン38が下側である。この実施例ではフィン36の方がフィン36より突出している。フィン36,38は矩形断面であり中空構造になっている。
【0018】
後枠材26および前枠材28には、長手方向に沿って側方に突出する2つのフィン40,42が設けられている。フィン40が上側でフィン42が下側である。この実施例ではフィン40の方がフィン42より突出している。フィン40,42は矩形断面であり中空構造になっている。中空構造のフィン36,38,40,42は軽量であり、枠材との一体的な押出成形に適し、さらにコーナーキャップ34の中空部52,54(後述する)と連通させることができる。
【0019】
フィン36とフィン40とは高さ寸法が同じである。フィン40とフィン42とは高さ寸法が同じである。各角部32でフィン36とフィン40とは等しい高さにあり、フィン38とフィン42とは等しい高さにある。各フィンは高さ寸法より側方への突出幅が長くなっている。各フィンは枠材と一体的に押出成形され、枠材と同様に長手方向に対して略90度に切断されている。各フィンは主に意匠性を向上させることを目的として設けられているが、その他の機能(例えば補強材機能)を有するものであってもよい。
【0020】
コーナーキャップ34にはコーナーキャップ34Aとコーナーキャップ34Bとの2種類がある。コーナーキャップ34Aは、後枠材26と右側の側枠材30とが交差する角部32、および左側の側枠材30と前枠材28とが交差する角部32(
図2参照)に設けられている。コーナーキャップ34Bは、後枠材26と左側の側枠材30とが交差する角部32、および右側の側枠材30と前枠材28とが交差する角部32に設けられている。
【0021】
コーナーキャップ34Aとコーナーキャップ34Bとは左右対称構造になっている。また、屋根材24における対角位置の角部32におけるコーナーキャップ34は同形状である。以下では代表的に後枠材26と右側の側枠材30とが交差する角部32に設けられたコーナーキャップ34Aについて説明し、単にコーナーキャップ34とも呼ぶ。後述するように、傾斜した屋根材24の後側のコーナーキャップ34は排水機能を有しているが、前側の対角位置に同じものを用いることにより部品の共通化が図られる。屋根16が水平となっていている場合には、前側のコーナーキャップ34も排水作用を奏する。
【0022】
図5は、後枠材26と右側の側枠材30とが交差する角部32に設けられたコーナーキャップ34とその周辺の斜視図である。
図6は、後枠材26と右側の側枠材30とが交差する角部32に対してコーナーキャップ34を取り付ける様子を示した斜視図である。
【0023】
図5、
図6に示す範囲では、2つの枠材26,30が角部32で交差するように設けられている。コーナーキャップ34は角部32で2つの枠材におけるそれぞれのフィン36,38,40,42の小口を塞いでいる。また、コーナーキャップ34は、同じ高さのフィン36とフィン40、およびフィン38とフィン42とを連続するように設けられている。
【0024】
コーナーキャップ34はフィン36,40の小口を塞ぐ上部44と、フィン38,42の小口を塞ぐ下部46と、これらの間をつなぐ中継部48と、取付片50とを有する。
【0025】
上部44はフィン36とフィン40とが延長して連続するように中継している部分である。上部44は前方と左側方が開口した箱形状であり、前方開口部がフィン36の小口と突き合わされ、側方開口部がフィン40の端部に覆いかぶさる。フィン36とフィン40とは上部44の中空部52で連通する。上部44とフィン36およびフィン40との間にはほとんど隙間がない。
【0026】
下部46はフィン38とフィン42とが延長して連続するように中継している部分である。下部46は前方と左側方が開口した箱形状であり、前方開口部がフィン38の小口と突き合わされ、側方開口部がフィン42の端部に覆いかぶさる。フィン38とフィン42とは下部46の中空部54で連通する。上部44とフィン38およびフィン42との間にはほとんど隙間がない。下部46には前方に突出する嵌合リブ56が設けられている。嵌合リブ56は、縦1枚に対して横2枚の板片がそれぞれ十字に交差する形状であり、フィン38の内腔に嵌合して下部46を安定させる。
【0027】
中継部48は、後壁48aと側壁48bとからなるアングル形状であり、上部44と下部46とを内周側部分でを連結している。後壁48aは後枠材26の後面とほとんど連続しており、側壁48bは側枠材30の側面とほとんど連続しており、無駄な凹凸がなく意匠上で好適である。なお、中継部48の内側上部はフィン40の端部によってほとんど塞がれる。したがって、該中継部48は上部44と下部46とをほとんど連通させてなく、上部44の中空部52と下部46の中空部54とはほぼ独立的な空間になっている。ただし、中継部48が上部44と下部46とを連通させる構造にしてもよい。
【0028】
取付片50は後壁50a、側壁50bおよび上壁50cからなる。後壁50aおよび側壁50bは、中継部48の後壁48aおよび側壁48bのほぼ延長上にある。上壁50cにはネジ孔50dが形成されている。コーナーキャップ34は、ネジ孔50dを挿通したネジ58が枠材22の天面のネジ孔60に螺合することによって固定される。
【0029】
図7は、上部44の一部断面斜視図である。
図8は、下部46の一部断面斜視図である。
図8では嵌合リブ56(
図6参照)を省略している。中空部52,54は平面視で矩形の空間を形成しており、その底部52a,54aにおける最も外周側の隅部52b,54bには排水孔62,64が形成されている。底部52a,54aは平面状に形成されており、排水孔62,64へ向けて水の流れを阻害するものがない。排水孔62,64は、底部52a,54aからわずかに立壁52c,54cにかけて形成されている。
【0030】
底部52a,54aにおけるフィン40,42と当接する側の端には上向きの小さいリブ52e,54eが形成されている。リブ52e,54eは、フィン40,42の下面に外側から嵌合する部分であり、コーナーキャップ34をはめ込むためのクリアランスを確保しつつ、水がそのクリアランスから漏れ出てしまわないようにするための立上がりとしての役割も有しており、小壁リブ52e.54eとフィン部40,42との間に隙間はない。また、コーナーキャップ34の前側の淵は枠材26,30のいずれかの箇所に当接しており、中空部52,54は排水孔62,64を除けば閉空間となっている。なお、底部52aは意匠上の理由からわずかに傾斜しているが、コーナーキャップ34を屋外構造物10に取り付けた状態では、該底部52aと屋根材24との傾斜はほぼ等しくなっている。
【0031】
フィン36,38には前縁などの僅かな隙間から多少の雨水が入り込み、さらにコーナーキャップ34に浸入することがあり得る。また、雨水がフィン36,38,40,42の上面を伝ってコーナーキャップ34との隙間から滲みこんで浸入することがあり得る(
図5の破線矢印参照)。
【0032】
このような雨水のうち中空部52に浸入したものは排水孔62から排水され、中空部54に浸入したものは排水孔64から排水される(
図5の実線矢印参照)。雨水はコーナーキャップ34内に溜まることがなく雨天時に即時に排水されるため、例えば天候回復後になってコーナーキャップ34と枠材22との隙間から滲み出るというような事態を回避することができる。コーナーキャップ34内に浸入する雨水は、屋根材24に降り注ぐ量と比べて極めて少量であるため排水孔62,64から排水させても滴下する程度であって、別の雨樋に導入させなくても差し支えない。コーナーキャップ34内に浸入する雨水は極めて少量であることから排水孔62,64は目立たない程度に小さく形成することができ、好適な意匠性が維持される。フィン36,38,40,42の内部は基本的に閉じた空間であり、雨水以外の異物が進入することはないため排水孔62,64が詰まることはない。
【0033】
排水孔62,64は隅部52b,54bに形成されており、屋根材24の下の駐車スペースから最も遠い箇所であって該スペースを濡らすことがない。また、隅部52b,54bは上下縁、左右縁、前後縁の交点であって、他の箇所に比べて排水孔62,64が目立ち難い。
【0034】
ただし、排水孔62,64は基本的に中空部52,54を形成する十分低い箇所に形成されていれば足り、設計条件によっては底部52a,54aにおける隅部52b,54b以外の箇所に設けてもよい。例えば、側枠材30は傾斜した屋根材24の傾斜縁に沿って設けられ、後枠材26は屋根材24の最も低い後縁に沿って設けられていることから、排水孔62,64は中空部52,54における後方下縁52d,54dのいずれかの箇所に形成すれば、実質的に上記と同様の効果が得られる。
【0035】
排水孔62,64は基本的に中空部52,54内の最も低い箇所に形成されるが設計およびデザイン上の条件などによっては、最も低い箇所に限らず、該中空部52,54内に実質的に水が溜まらない程度に十分低い箇所に設けられていればよい。例えば、屋根16が一般的な緩い傾斜である場合、排水孔62,64が
図7、
図8の仮想線で示すように後方下縁52d,54dから数mm程度前側に配置されていても、底部52a,54aの濡れ性や水の粘性などによっては排水孔62,64から十分に排水がなされ、中空部52,54には実質的に水が溜まることがないためである。
【0036】
また、排水孔62,64は中空部52,54の底部52a,54aのいずれかの箇所に形成されていれば、該中空部52,54には実質的にはほとんど水が溜まることはなく、実用上相応の効果が得られる。さらに、条件によっては排水孔62,64を立壁52c,54cなどを含む中空部52,54におけるいずれかの箇所に設けてもよい。このような場合においてもコーナーキャップ34を簡便な構造とし、さらに好適な施工性が得られる。
【0037】
本実施形態では、1つのコーナーキャップ34が4つのフィン36,38,40,42の小口を塞いでいるが、設計条件によっては上部44と下部46とを別体構成にしてもよい。つまり、上部44にはフィン36,40の小口を塞いで排水孔62から排水する作用があり、下部46にはフィン38,42の小口を塞いで排水孔64から排水する作用があり、それぞれ独立的に機能させることも可能である。
【0038】
本実施形態にかかる屋外構造物10におけるコーナーキャップ34では、特段の集水部や導水部などがなく、中空部52,54の十分低い箇所に排水孔62,64を形成する簡便な構造となっている。また、後枠材26および側枠材30は枠素材を略90度に切断すれば足り施工性がよい。さらに、排水のためにコーナーキャップ34と後枠材26および側枠材30との間に隙間などを確保する必要がなく、好適な意匠性を有する。
【0039】
図9は、変形例にかかるコーナーキャップ66およびその周辺部を斜め上方から見た斜視図である。
図10は、変形例にかかるコーナーキャップ66およびその周辺部を斜め下方から見た斜視図である。
【0040】
コーナーキャップ66は、側枠材68と後枠材70とが交差する角部72に設けられている。側枠材68は後に向かって下がるように暫時傾斜している。側枠材68には、長手方向に沿って側方に突出する1つのフィン74が設けられ、同様に後枠材70には1つのフィン76が設けられている。フィン74、76は上記のフィン36,40に相当するが、フィン38,42に相当するものは設けられていない。フィン74、76は上面が外側に向けて下がるように傾斜している。
【0041】
コーナーキャップ66は上部78と下方延在部80とを有する。上部78はフィン74とフィン76とが延長して連続するように中継している部分であり、上記の上部44に相当する。上部78はフィン74,76に合わせて上面が傾斜している。コーナーキャップ66には上記の下部46に相当するものは設けられていない。下方延在部80は上記の中継部48に相当する部分であるが、該中継部48より長く下方まで延在している。下方延在部80には当接する枠材面に合わせた段差部80aが形成されている。上部78の中空部82における外周側の隅部82aには排水孔84が形成されている。排水孔84は上記の排水孔62に相当するものであり、フィン74、76およびコーナーキャップ66に浸入した雨水は中空部82を介して排水される。
【0042】
本発明にかかる屋外構造物は、屋根材の縁に沿い、該屋根材の角部で交差するように設けられた2つの枠材と、2つの前記枠材からそれぞれ長手方向に沿って側方に突出し、長手方向に対して略90度に切断されているフィンと、前記角部で2つの前記枠材におけるそれぞれの前記フィンの小口を塞ぐとともに該フィンが連続するように設けられた中空のコーナーキャップと、を有し、前記コーナーキャップの中空部には、該中空部に排水孔が形成されていることを特徴とする。
【0043】
このような屋外構造物におけるコーナーキャップでは、特段の集水部や導水部などがなく、中空部に排水孔を形成する簡便な構造となっている。また、後枠材および側枠材は素材を略90度切断すれば足り施工性がよい。さらに、排水のためにコーナーキャップと後枠材および側枠材との間に隙間などを確保する必要がなく、好適な意匠性を有する。
【0044】
本発明にかかる屋外構造物は、前記排水孔は前記中空部に水を溜めることのない低い箇所に形成されていてもよい。これにより、効果的に中空部の水を排水することができる。
【0045】
本発明にかかる屋外構造物は、前記排水孔は前記中空部の底部に形成されていてもよい。これにより、確実に中空部の水を排水することができる。
【0046】
本発明にかかる屋外構造物は、前記排水孔は前記中空部の最も低い箇所に形成されていてもよい。これにより、一層確実に中空部の水を排水することができる。
【0047】
本発明にかかる屋外構造物は、前記中空部は平面視で矩形の空間を形成しており、前記排水孔は前記中空部における外周側の隅部に形成されていてもよい。隅部の排水孔は目立ちにくく、その排水は屋根下スペースをほとんど濡らすことがない。
【0048】
本発明にかかる屋外構造物では、前記屋根材は傾斜しており、2つの前記枠材のうち一方は傾斜した前記屋根材の傾斜縁に沿って設けられ、他方は最も低い後縁に沿って設けられ、前記排水孔は前記中空部における後方下縁のいずれかの箇所に形成されてもよい。後方下縁は中空部の最も低い位置にあり、しかも該後方下縁に形成された排水孔は目立ちにくい。
【0049】
本発明にかかる屋外構造物では、前記フィンは中空構造であってもよい。中空構造であると軽量であり、枠材との一体的な押出成形に適し、さらにコーナーキャップの中空部と連通させることができる。
【0050】
本発明にかかる屋外構造物では、前記屋根材は矩形であって4つの縁に前記枠材が設けられており、4つの角部に前記コーナーキャップが設けられ、各縁の両端の前記角部における前記コーナーキャップは対称構造であり、対角位置の前記角部における前記コーナーキャップは同形状であってもよい。対角位置のコーナーキャップに同じものを用いることにより部品の共通化が図られる。
【0051】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0052】
10,屋外構造物、16 屋根、24 屋根材、26,70 後枠材、28 前枠材、30,68 側枠材、32,72 角部、34,34A,34B,66 コーナーキャップ、36,38,40,42,74,76 フィン、44,78 上部、46 下部、48 中継部、52,54,82 中空部、52,54 中空部、52a,54a 底部、52b,54b,82a 隅部、52c,54c 立壁、52d,54d 後方下縁、62,64,84 排水孔