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特開2024-54677ストレージデバイス、及び情報処理システム
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  • 特開-ストレージデバイス、及び情報処理システム 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054677
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】ストレージデバイス、及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20240410BHJP
   G06F 3/06 20060101ALI20240410BHJP
【FI】
G06F13/38 320A
G06F3/06 301Y
G06F13/38 350
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161074
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】390040187
【氏名又は名称】株式会社バッファロー
(74)【代理人】
【識別番号】100122275
【弁理士】
【氏名又は名称】竹居 信利
(72)【発明者】
【氏名】大村 俊雄
(57)【要約】
【課題】発熱を抑えることのできるストレージデバイス、及びそれを含む情報処理システムを提供する。
【解決手段】情報処理装置に接続されるストレージデバイスであって、情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、このコントローラが、複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されているストレージデバイスである。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続されるストレージデバイスであって、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
このコントローラが、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されているストレージデバイス。
【請求項2】
請求項1記載のストレージデバイスであって、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な第1のモードと、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が比較的低速な第2のモードとのいずれかで動作し、
このコントローラが、前記第1のモードでの動作を不能とし、第2のモードで動作するよう設定され、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されるストレージデバイス。
【請求項3】
請求項1記載のストレージデバイスであって、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な第1のモードと、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が比較的低速な第2のモードとのいずれかで動作し、
前記第1のモードでは、前記比較的高速な第1の転送速度を上限として、少なくとも当該第1の転送速度より低速な第2の転送速度が選択可能であり、
前記第1のモードで動作するときには、前記第1の転送速度でのデータ転送を行わずに、当該第1の転送速度より低速な転送速度でのデータ転送を行うよう設定され、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されるストレージデバイス。
【請求項4】
請求項1記載のストレージデバイスであって、
さらに、前記コントローラからの指示により、データの格納/読み出しを行う記憶デバイスを含み、
前記コントローラは、前記記憶デバイスとの間でのデータの格納/読み出しの速度を制限して、当該速度の制限により、前記情報処理装置との間で利用可能な複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されるストレージデバイス。
【請求項5】
請求項2から4のいずれか一項に記載のストレージデバイスであって、
前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記情報処理装置との間のデータ転送速度を制御するストレージデバイス。
【請求項6】
情報処理装置と、当該情報処理装置に接続されるストレージデバイスとを含む情報処理システムであって、
前記ストレージデバイスが、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
このコントローラが、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されている情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ストレージデバイス及びそれを含む情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
SSD(Solid State Drive)等のストレージデバイスにおいて、ホストとなるパーソナルコンピュータ(PC)との間のデータ転送を行うホストコントローラ(以下、単にコントローラと称する)は、USB(Universal Serial Bus)等の規格に従って設計される。近年では、コントローラのデータ転送速度はますます高速化している。また、複数のデータ転送速度に対応する規格も存在する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2013-016096号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一方、機器を小型化するため、例えばチップ・オン・ボード実装技術を利用したストレージデバイス等も存在する。こうした小型のストレージデバイスでは、放熱対策が複雑となるので、内部で用いる回路等の発熱を抑えたい要望があった。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みて為されたもので、発熱を抑えることのできるストレージデバイス、及びそれを含む情報処理システムを提供することを、その目的の一つとする。
【0006】
なお、PC側で使用するデータの転送スピードに応じて、転送スピードを切り替えるUSB3ホストコントローラが、特許文献1に開示されている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記従来例の問題点を解決する本発明の一態様は、情報処理装置に接続されるストレージデバイスであって、前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、このコントローラが、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されていることとしたものである。
【0008】
このストレージデバイスによると、比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送を行わないよう設定されるので、発熱を抑えることが可能となる。
【0009】
またここで上記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な第1のモードと、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が比較的低速な第2のモードとのいずれかで動作し、このコントローラが、前記第1のモードでの動作を不能とし、第2のモードで動作するよう設定され、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されることとしてもよい。
【0010】
この例でも比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送を行わないよう設定されるので、発熱を抑えることが可能となる。
【0011】
また前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な第1のモードと、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が比較的低速な第2のモードとのいずれかで動作し、前記第1のモードでは、前記比較的高速な第1の転送速度を上限として、少なくとも当該第1の転送速度より低速な第2の転送速度が選択可能であり、前記第1のモードで動作するときには、前記第1の転送速度でのデータ転送を行わずに、当該第1の転送速度より低速な転送速度でのデータ転送を行うよう設定され、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されることとしてもよい。
【0012】
この例では、比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度が可能な第1のモードであっても、当該比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送を行わないよう設定されるので、発熱を抑えることが可能となる。
【0013】
さらに本発明の一態様に係るストレージデバイスは、前記コントローラからの指示により、データの格納/読み出しを行う記憶デバイスを含んでもよく、前記コントローラは、前記記憶デバイスとの間でのデータの格納/読み出しの速度を制限して、当該速度の制限により、前記情報処理装置との間で利用可能な複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されてもよい。
【0014】
この例でも比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送が行われないよう制御されるので、発熱を抑えることが可能となる。
【0015】
また前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備えて、前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記データ転送速度を制御することとしてもよい。
【0016】
この例によると発熱量に応じたデータ転送速度の制御が可能となる。
【0017】
さらに本発明のもう一つの態様は、情報処理装置と、当該情報処理装置に接続されるストレージデバイスとを含む情報処理システムであって、前記ストレージデバイスが、前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、このコントローラが、前記複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該上限となるデータ転送速度よりも低速なデータ転送速度で、前記情報処理装置との間でのデータ転送を行うよう設定されていることとしたものである。
【0018】
この例によると、ストレージデバイスが、比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送を行わないよう設定されるので、その発熱を抑えることが可能となる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、比較的発熱量が大きくなる、比較的高速なデータ転送速度でのデータ転送を行わないよう設定されるので、ストレージデバイスにおける発熱を抑えることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの構成例を表すブロック図である。
図2】本発明の実施の形態の一例に係るストレージデバイスのコントローラの機能ブロック図である。
図3】本発明の実施の形態に係る情報処理システムの動作例を表す流れ図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。本発明の実施の形態に係る情報処理システム1は、図1に例示するように、情報処理装置の一例であるパーソナルコンピュータ(PC)10と、ストレージデバイス20とを含み、これらの間は、USB等の所定の規格に従ってデータ転送可能に接続されている。以下では説明のため、ストレージデバイス20はSSD(Solid State Drive)であり、PC10とストレージデバイス20とがUSBにより接続されているものとする。
【0022】
PC10は、一般的なパーソナルコンピュータであり、接続されたストレージデバイス20を認識し、当該認識の結果に基づいてデータ転送の態様を定める。PC10は、ここで定めた態様で、ストレージデバイス20に対してデータを送出し、当該データの格納を要求する。またこのPC10は、ストレージデバイス20に対してデータの読み出しを要求し、当該要求に応答してストレージデバイス20が送出するデータを、上記定めたデータ転送の態様で受信する。
【0023】
ストレージデバイス20は、図1に示されるように、コントローラ21と、メモリ部22と、記憶デバイスの一例であるフラッシュメモリ部23とを含んで構成される。さらにこのストレージデバイス20は、ストレージデバイス20の筐体内の温度を計測する温度センサ24を含んでもよい。なお、ここではストレージデバイス20がSSDであるものとしているので、記憶デバイスはフラッシュメモリ部23により実現されるが、ストレージデバイス20の種類によって、この記憶デバイスの種類は異なる。
【0024】
コントローラ21は、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送可能なUSBホストコントローラ(USB3.2(Gen2)対応コントローラ)であり、予め用意されたプログラムに従って動作する。
【0025】
本実施の形態のコントローラ21は、PC10に接続されると、当該PC10との間の接続を初期化する初期処理を実行する。またこのコントローラ21は、接続の初期化後に、フラッシュメモリ部23との間でデータの格納/読み出し処理を行うデータ格納処理と、PC10との間でデータ転送を行うデータ転送処理とを実行する。
【0026】
本実施の形態の例では、コントローラ21は、初期処理の際に、複数のデータ転送速度のうち、少なくとも上限となるデータ転送速度(以下、この上限となるデータ転送速度、つまりストレージデバイス20としての最高速度となるデータ転送速度を機能上限と呼ぶ)でのデータ転送を行わずに、当該機能上限のデータ転送速度よりも低速な(機能上限未満の)データ転送速度で、PC10との間でのデータ転送を行うよう設定される。このコントローラ21の動作については後に述べる。
【0027】
メモリ部22は、コントローラ21のワークメモリとして動作する。またこのメモリ部22は、不揮発性のメモリデバイスを含んで構成されてもよい。フラッシュメモリ部23は、NANDフラッシュメモリであり、コントローラ21との間でデータを送受し、コントローラ21から送信されるデータを所定の方法で定めたアドレスで特定される領域に格納する。またこのフラッシュメモリ部23は、格納したデータの読み出し指示を受けて、当該読み出しの指示において指定されたアドレスからデータを読み出して、当該読み出したデータをコントローラ21に送出する。このようなフラッシュメモリ部23に対するデータの格納/読み出しの処理は、広く知られた方法で行うことができるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0028】
次に、コントローラ21の動作について説明する。本実施の形態では、このコントローラ21は、USB3.2(Gen2)対応コントローラであり、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送が可能となっているものである。このコントローラ21は、図2に例示するように、初期処理部211と、データ転送部212と、データ格納処理部213とを機能的に含んで構成される。
【0029】
初期処理部211は、PC10とストレージデバイス20とが接続されると、初期処理を開始し、USB3.2での接続のネゴシエーションプロセスを実行する。一例として、この初期処理部211は、予め定められた信号をPC10との間で送受して、PC10に、ストレージデバイス20がUSB3.2対応のデバイスであると認識させる。さらに初期処理部211は、USB3.2(Gen1)とUSB3.2(Gen2)とのいずれで接続するか、また、そのレーン数などの情報をPC10に対して送出する。本実施の形態の一例において特徴的なことの一つは、この初期処理部211が、コントローラ21自体がUSB3.2(Gen2)対応であるにも関わらず、ここでUSB3.2(Gen1)で接続する旨の情報をPC10に対して送出し、PC10との間でUSB3.2(Gen1)での接続を行うよう初期処理を行うことである。
【0030】
ここでUSB3.2(Gen2)では、PC10との間のデータ転送速度の機能上限は比較的高速な10Gbpsとなっており、USB3.2(Gen1)では、当該データ転送速度の上限は比較的低速な5Gbpsとなっている。このUSB3.2(Gen2)での接続が、本発明の第1のモードの例に相当し、USB3.2(Gen1)での接続が本発明の第2のモードの例に相当する。
【0031】
初期処理部211が、上述のようにUSB3.2(Gen1)で接続する旨の情報を送出することで、コントローラ21の第1のモードでの動作が実質的に不能となり、コントローラ21は第2のモードで動作するよう設定されることとなる。
【0032】
初期処理部211のこの処理により、本実施の形態のこの例に係るストレージデバイス20は、PC10からUSB3.2(Gen1)のデバイスとして認識されることとなり、コントローラ21にとって機能上限となるデータ転送速度である10Gbpsより低速なデータ転送速度である5Gbpsを上限として(このように、本実施の形態のコントローラ21の動作によって設定された上限を、機能上限と区別するため、以下、設定上限と呼ぶ)PC10との間のデータ転送が行われるよう制御される。つまり、複数のデータ転送速度のうち、少なくとも機能上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該機能上限となるデータ転送速度よりも低速な(機能上限未満の)データ転送速度で、PC10との間でのデータ転送を行うようコントローラ21が設定される。
【0033】
データ転送部212は、初期処理部211にて初期化された接続態様により、PC10との間でのデータの転送を行う。上述の通り、本実施の形態のここでの例では、ストレージデバイス20は、PC10からUSB3.2(Gen1)のデバイスとして認識されるため、このデータ転送部212は、PC10からフラッシュメモリ部23に格納するデータを、最大でも設定上限となった5Gbpsのデータ転送速度で受け入れる。またこのデータ転送部212は、フラッシュメモリ部23から読み出したデータを、PC10に対して、最大5Gbps(設定上限)のデータ転送速度で送出する。
【0034】
データ格納処理部213は、データ転送部212の動作によりPC10から受け入れた、フラッシュメモリ部23に格納するデータを、フラッシュメモリ部23に対して所定のデータ転送速度(以下、PC10との間のデータ転送速度と区別するため読み出し/書き込み速度と呼ぶ)で送出する。またこのデータ格納処理部213は、PC10からデータの読み出しの指示を受けて、フラッシュメモリ部23の、指示されたアドレスに格納されているデータを読み出すようフラッシュメモリ部23に要求し、当該要求に応答したフラッシュメモリ部23から、上記読み出し/書き込み速度で読み出されたデータを受信して、当該受信したデータをデータ転送部212に出力する。
【0035】
[動作]
本実施の形態の情報処理システム1は、基本的に以上の構成を備えており、次のように動作する。なお、以下ではストレージデバイス20のコントローラ21は、USB3.2(Gen2)対応コントローラであるものとする。
【0036】
PC10にストレージデバイス20が接続されると、ストレージデバイス20が初期処理を開始する。図3に例示するように、ストレージデバイス20とPC10とは予め定められた信号を送受し(S11)、PC10が、接続されたストレージデバイス20がUSB3.2対応のデバイスであると認識する(S12)。
【0037】
ストレージデバイス20は、さらに(コントローラ21はUSB3.2(Gen2)対応であるが、それにも関わらず)、USB3.2(Gen1)で接続する旨の情報をPC10に対して送出する(S13)。
【0038】
そしてPC10は、ストレージデバイス20がUSB3.2(Gen1)デバイスであると認識する(S14)。
【0039】
以下、PC10とストレージデバイス20とは、USB3.2(Gen1)の規格に従い、最大5Gbpsを設定上限としたデータ転送速度で(ストレージデバイス20としての機能上限は10Gbps)データ転送を行いつつ、ストレージデバイス20へのデータ格納や、ストレージデバイス20からのデータ読み出しを行う(S15)。
【0040】
本実施の形態のこの例によると、USB3.2(Gen2)対応であるにも関わらず、その機能上限(10Gbps)のデータ転送速度でのデータ転送を行わず、USB3.2(Gen1)デバイスとしてストレージデバイス20が接続され、上記ストレージデバイス20としての機能上限より低い設定上限のデータ転送速度(5Gbps)以下でのデータ転送を行うこととなる。これにより、機器の発熱を抑制できる。
【0041】
また当初より、最大でも、ストレージデバイス20としての上限を下回る、比較的低いデータ転送速度でのデータ転送を行うこととしているため、温度上昇によってデータ転送速度を低下させる機能を備える場合でも、当該機能が動作する機会が減り、比較的一定の速度でのデータ転送が行われる。
【0042】
[データ転送速度を抑制する別の例]
また、本発明の実施の形態に係るストレージデバイス20のコントローラ21の動作は上述の例に限られない。
【0043】
本発明の実施の形態の別の例では、コントローラ21の初期処理部211としての動作とデータ転送部212としての動作とがここまでの説明のものと異なる。本実施の形態のもう一つの例に係るコントローラ21の初期処理部211は、PC10とストレージデバイス20とが接続されると、初期処理を開始して、USB3.2での接続のネゴシエーションプロセスを実行する。
【0044】
初期処理部211は、予め定められた信号をPC10との間で送受して、PC10に、ストレージデバイス20がUSB3.2対応のデバイスであると認識させる。次に初期処理部211は、USB3.2(Gen2)で接続する旨の情報をPC10に対して送出し、PC10との間でUSB3.2(Gen2)での接続を行うよう初期処理を行う。
【0045】
この処理により、この例に係るストレージデバイス20は、PC10からUSB3.2(Gen2)のデバイスとして認識されることとなり、コントローラ21にとって機能上限となるデータ転送速度である10Gbpsでのデータ転送が可能な状態に制御される。
【0046】
データ転送部212は、初期処理部211にて初期化された接続態様により、PC10との間でのデータの転送を行うが、本実施の形態のこの例では、データ転送部212が、USB3.2(Gen2)で定められる複数のデータ転送速度のうち、少なくとも機能上限となるデータ転送速度でのデータ転送を行わずに、当該機能上限となるデータ転送速度よりも低速な(機能上限未満の)データ転送速度で、PC10との間でのデータ転送を行う。
【0047】
具体的にこの例のデータ転送部212は、USB3.2(Gen2)で許容されたデータ転送速度のうち、予め定められた設定上限を上限としたデータ転送速度でPC10との間でのデータ転送を行うこととする。ここで設定上限は、少なくとも機能上限のデータ転送速度(本発明の第1の転送速度の例に相当する)よりも低速な(機能上限未満の)データ転送速度(本発明の第2の転送速度の例に相当する)とする。
【0048】
これによりデータ転送部212は、PC10との間で機能上限での第1の転送速度でのデータ転送を行うことなく、最大でも設定上限である第2の転送速度にて転送を行う。つまり、この例のデータ転送部212は、PC10からフラッシュメモリ部23に格納するデータを、例えば5Gbps以下のデータ転送速度で受け入れる。またこのデータ転送部212は、フラッシュメモリ部23から読み出したデータを、PC10に対して、例えば5Gbps以下のデータ転送速度で送出する。
【0049】
本実施の形態のこの例によっても、ストレージデバイス20としての機能上限を下回る、比較的低いデータ転送速度でのデータ転送を行うこととなるため、機器の発熱を抑制できる。
【0050】
[データ転送速度を抑制するさらに別の例]
また本実施の形態の別の例では、データ格納処理部213がフラッシュメモリ部23との間の読み出し/書き込み速度を意図的に低下させることで、間接的にPC10とストレージデバイス20との間のデータ転送速度を、ストレージデバイス20の機能上限となるデータ転送速度よりも低いデータ転送速度に設定してもよい。
【0051】
この例では、コントローラ21は、初期化処理において、PC10との間でUSB3.2(Gen1)またはUSB3.2(Gen2)のいずれかでの通信を行うよう設定する。そしてコントローラ21のデータ格納処理部213は、読み出し/書き込み速度を、少なくともその上限となる読み出し/書き込み速度よりも低速な読み出し/書き込み速度に設定する。
【0052】
コントローラ21は、PC10との間で、フラッシュメモリ部23に格納するべきデータや、フラッシュメモリ部23から読み出したデータを転送するが、上述のように読み出し/書き込み速度が制限されているため、フラッシュメモリ部23との間のデータ転送に遅延が生じ、結果としてPC10とストレージデバイス20との間のデータ転送速度が、ストレージデバイス20の機能上限(例えばUSB3.2(Gen2)の10Gbps)より低速となる。そこで本実施の形態のこの例では、PC10とストレージデバイス20との間のデータ転送速度が、機能上限未満の所望の転送速度となるよう、上記コントローラ21が設定する読み出し/書き込み速度を、実験的に定めておく。これによっても機器の発熱を抑制できる。
【0053】
[動作中の制御]
さらに本実施の形態のコントローラ21は、温度センサ24の出力が予め定められた条件を満足する状態となると、PC10との間のデータ転送速度を制御する。
【0054】
一例として、コントローラ21は、温度センサ24の出力が予め定められた温度しきい値を超えたときに、PC10との間のデータ転送速度を、設定上限のデータ転送速度からより低い(設定上限未満の)データ転送速度に変更する。例えば設定上限のデータ転送速度が5Gbpsであるときには、それより低いデータ転送速度(例えば2Gbps)に低下させる。
【0055】
またこの例では、コントローラ21は、温度センサ24の出力が予め定められた温度しきい値を下回ったときには、PC10との間のデータ転送速度を、設定上限のデータ転送速度に設定する。設定上限が例えばストレージデバイス20の機能上限となるデータ転送速度(10Gbps)よりも低い、例えばUSB3.2(Gen1)の上限速度に設定される場合、コントローラ21は、当該設定上限以下のデータ転送速度でPC10との間でのデータ転送を行う。
【0056】
[履歴の記録と参照]
さらに本発明の実施の形態の一例では、設定上限のデータ転送速度を表す情報を、メモリ部22の不揮発性のメモリデバイスに保持しておいてもよい。この例では、ストレージデバイス20のコントローラ21は、ストレージデバイス20の電源投入時に当該情報を読み出す。そして当該情報が表す設定上限が機能上限未満であり、例えばUSB3.2(Gen1)の上限値である5Gbpsであれば、コントローラ21は、初期処理の際にPC10に対してUSB3.2(Gen1)にて接続する旨の情報を送出し、PC10がストレージデバイス20をUSB3.2(Gen1)デバイスと認識するよう制御する。
【0057】
あるいは、コントローラ21は、上記読み出した情報が表す設定上限が機能上限未満であるときには、初期処理ではPC10に対してUSB3.2(Gen2)にて接続する旨の情報を送出し、その後のデータ転送の際に、読み出した情報が表す設定上限以下のデータ転送速度でのみ、PC10との間のデータ転送を行う。
【0058】
また別の例では、上記読み出した情報が表す設定上限が機能上限未満であるときには、コントローラ21は、記憶デバイスとしてのフラッシュメモリ部23との間の読み出し/書き込み速度をその上限未満として、PC10との間のデータ転送速度が上記設定上限以下となるよう制御してもよい。
【0059】
またこの例では、コントローラ21は、ストレージデバイス20の筐体内の温度が上記温度しきい値を超えたときに、PC10との間のデータ転送速度を、設定上限のデータ転送速度からより低い(設定上限未満の)データ転送速度に変更する上述の動作を行うとともに、当該データ転送速度の変更があった旨の記録(速度変更記録)を、メモリ部22の不揮発性のメモリデバイス、あるいはPC10側に保持させておいてもよい。
【0060】
コントローラ21は、予め定めた期間(例えば前回の電源の投入から前回の電源の切断までの間、あるいは過去5日間など所定の時間内)の速度変更記録を、ストレージデバイス20の電源投入時や、初期処理時等に参照する。そしてコントローラ21は、この参照した速度変更記録の回数(上記期間内での回数、つまり頻度)が予め定めたしきい値を超えているときには、現在の設定上限の値よりも低いデータ転送速度を新たな設定上限として、当該新たな設定上限を表す情報を、メモリ部22の不揮発性のメモリデバイスに上書きして保持する。
【0061】
これによりストレージデバイス20が、例えば出荷時にはUSB3.2(Gen2)にて接続するよう設定された状態(設定上限が機能上限である10Gbpsに等しい状態)であっても、動作中に筐体内の温度が上昇して、所定以上の頻度で設定上限の値より低いデータ転送速度でのデータ転送が行われたことが記録されたときには次のように設定が変更される。
【0062】
すなわちこの例のストレージデバイス20は、次回の初期処理時に、当該記録が参照されて、PC10との間のデータ転送速度の設定上限を、より低い値(例えばUSB3.2(Gen1)の上限である5Gbpsなど)に設定する。そしてこれにより、温度上昇によるデータ転送速度の変化の機会を低減可能となる。
【符号の説明】
【0063】
1 情報処理システム、10 PC、20 ストレージデバイス、21 コントローラ、22 メモリ部、23 フラッシュメモリ部、24 温度センサ、211 初期処理部、212 データ転送部、213 データ格納処理部。
図1
図2
図3
【手続補正書】
【提出日】2023-04-26
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続されるストレージデバイスであって、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、高速な第1のモードでの動作を不能とし、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が前記第1のモードよりも低速な第2のモードで動作するよう初期設定において制御され、
前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記情報処理装置との間のデータ転送速度を、前記第2のモードの転送速度の上限以下のデータ転送速度で制御するストレージデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージデバイスであって
初期設定時に前記情報処理装置に対して第2モードで接続する旨の情報を送信するストレージデバイス。
【請求項3】
前記情報処理装置に対してUSBにより接続され、
前記第1のモードと前記第2のモードとは、USBの規格が互いに異なるモードであるストレージデバイス。
【請求項4】
情報処理装置と、当該情報処理装置に接続されるストレージデバイスとを含む情報処理システムであって、
前記ストレージデバイスが、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な第1のモードでの動作を不能とし、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が前記第1のモードよりも比較的低速な第2のモードで動作するよう初期設定において制御され、
前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記情報処理装置との間のデータ転送速度を、前記第2のモードの転送速度の設定上限以下のデータ転送速度で制御する情報処理システム。
【手続補正書】
【提出日】2023-08-29
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
情報処理装置に接続されるストレージデバイスであって、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、高速な機能上限である第1のモードでの動作を不能とし、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が前記第1のモードよりも低速な第2のモードで動作するよう初期設定において制御され、
前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記情報処理装置との間のデータ転送速度を、前記第2のモードの転送速度の上限以下のデータ転送速度で制御するストレージデバイス。
【請求項2】
請求項1に記載のストレージデバイスであって
初期設定時に前記情報処理装置に対して第2モードで接続する旨の情報を送信するストレージデバイス。
【請求項3】
前記情報処理装置に対してUSBにより接続され、
前記第1のモードと前記第2のモードとは、USBの規格が互いに異なるモードであるストレージデバイス。
【請求項4】
情報処理装置と、当該情報処理装置に接続されるストレージデバイスとを含む情報処理システムであって、
前記ストレージデバイスが、
前記情報処理装置との間で、予め定められた複数のデータ転送速度のいずれかのデータ転送速度でデータ転送を行うコントローラを有し、
前記コントローラは、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が、比較的高速な機能上限である第1のモードでの動作を不能とし、前記情報処理装置との間での転送速度の上限が前記第1のモードよりも比較的低速な第2のモードで動作するよう初期設定において制御され、
前記コントローラを内蔵する筐体内の温度を計測する手段をさらに備え、
前記コントローラは、前記計測された温度が、所定の条件を満足するときに、前記情報処理装置との間のデータ転送速度を、前記第2のモードの転送速度の設定上限以下のデータ転送速度で制御する情報処理システム。