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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024054697
(43)【公開日】2024-04-17
(54)【発明の名称】薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システム
(51)【国際特許分類】
   A61J 3/00 20060101AFI20240410BHJP
【FI】
A61J3/00 310K
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022161105
(22)【出願日】2022-10-05
(71)【出願人】
【識別番号】000000295
【氏名又は名称】沖電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100174104
【弁理士】
【氏名又は名称】奥田 康一
(72)【発明者】
【氏名】神山 佳彦
【テーマコード(参考)】
4C047
【Fターム(参考)】
4C047CC15
4C047CC16
4C047JJ01
4C047JJ34
4C047KK01
4C047KK28
4C047KK30
4C047KK31
(57)【要約】
【課題】薬剤を精度良く鑑別できるようにする。
【解決手段】薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイにセットして、当該一包化薬の画像を撮影する薬剤撮影装置において、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の一端を挟持する第1の部材と、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の他端を挟持する第2の部材とを備え、前記第2の部材は、前記第1の部材に近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイにセットして、当該一包化薬の画像を撮影する薬剤撮影装置において、
前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の一端を挟持する第1の部材と、
前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の他端を挟持する第2の部材と
を備え、
前記第2の部材は、前記第1の部材に近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられている
ことを特徴とする薬剤撮影装置。
【請求項2】
装置筐体を備え、
前記トレイは、全体が前記装置筐体の内部に収容される第1の位置と、一部分が前記装置筐体の外部に露出する第2の位置との間で移動可能に設けられていて、
前記第1の部材と前記第2の部材は、
前記トレイにおける前記装置筐体の外部に露出する一部分に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤撮影装置。
【請求項3】
前記トレイにおける前記装置筐体の外部に露出する一部分には、前記トレイを厚さ方向に貫通する孔が設けられ、
前記第1の部材は、前記トレイの上面における前記孔の一端側に設けられ
前記第2の部材は、前記トレイの上面における前記孔の他端側に設けられている
ことを特徴とする請求項2に記載の薬剤撮影装置。
【請求項4】
前記第1の部材と前記第2の部材は、
前記トレイの厚さ方向及び移動方向に直交する方向に間隔を空けて対向配置されている
ことを特徴とする請求項2又は3に記載の薬剤撮影装置。
【請求項5】
前記第2の部材は、前記トレイに対して着脱可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤撮影装置。
【請求項6】
前記第1の部材は、前記トレイに対して着脱可能に設けられている
ことを特徴とする請求項5に記載の薬剤撮影装置。
【請求項7】
前記第1の部材は、前記第2の部材に近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項1に記載の薬剤撮影装置。
【請求項8】
薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイにセットして、当該一包化薬の画像を撮影する薬剤撮影装置において、
前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の一端を挟持する第1の部材と、
前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の他端を挟持する第2の部材と、
前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられ、前記トレイを厚さ方向に貫通する孔と
を備える
ことを特徴とする薬剤撮影装置。
【請求項9】
装置筐体を備え、
前記トレイは、全体が前記装置筐体の内部に収容される第1の位置と、一部分が前記装置筐体の外部に露出する第2の位置との間で移動可能に設けられていて、
前記第1の部材と前記第2の部材と前記孔は、
前記トレイにおける前記装置筐体の外部に露出する一部分に設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載の薬剤撮影装置。
【請求項10】
前記第1の部材と前記第2の部材は、前記トレイの上面に設けられ、
前記第1の部材と前記第2の部材により前記一包化薬の前記袋の一端と他端を挟持した際に、前記孔から前記一包化薬の前記袋の下部が露出する
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の薬剤撮影装置。
【請求項11】
前記第2の部材は、前記第1の部材に近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられている
ことを特徴とする請求項8に記載の薬剤撮影装置。
【請求項12】
前記孔には着脱可能な透明な薬剤載置部が設けられている
ことを特徴とする請求項3又は8に記載の薬剤撮影装置。
【請求項13】
請求項1又は8に記載の薬剤撮影装置と、
薬剤の特徴を蓄積した薬剤データベースと、
前記薬剤撮影装置により撮影された薬剤の特徴と、前記薬剤データベースに蓄積された薬剤の特徴とを比較することで、前記撮影された薬剤を鑑別する薬剤鑑別装置と
を備える
ことを特徴とする薬剤鑑別システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、錠剤やカプセル剤などの薬剤を薬剤撮影装置により撮影して得られた画像をもとに、薬剤を鑑別する薬剤鑑別システムがある。この種の薬剤鑑別システムでは、例えば、透明部材上に載置された薬剤を上方のカメラで撮影して得られた画像と下方のカメラで撮影して得られた画像とから、薬剤に印刷又は刻印された薬剤識別情報などの特徴を抽出し、抽出した特徴を用いて薬剤を鑑別するようになっていた(例えば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2015/152225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の薬剤鑑別システムでは、薬剤を袋に収納した一包化薬をそのまま透明部材上に載置して撮影した際に、薬剤の鑑別精度が低下する場合があるという問題を有していた。
【0005】
本発明は以上の点を考慮したものであり、薬剤を精度良く鑑別できるようにする薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムを提案しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
かかる課題を解決するため本発明は、薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイにセットして、当該一包化薬の画像を撮影する薬剤撮影装置において、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の一端を挟持する第1の部材と、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の他端を挟持する第2の部材とを備え、前記第2の部材は、前記第1の部材に近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられているとした。
【0007】
第1の部材と第2の部材とにより一包化薬の袋の皺を延ばした状態で当該一包化薬をトレイにセットすることできるので、一包化薬の画像を撮影した際に、当該画像に一包化薬の袋の皺が写ってしまうことを抑制することができる。
【0008】
また本発明は、薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイにセットして、当該一包化薬の画像を撮影する薬剤撮影装置において、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の一端を挟持する第1の部材と、前記トレイに設けられ、前記一包化薬の前記袋の他端を挟持する第2の部材と、前記第1の部材と前記第2の部材との間に設けられ、前記トレイを厚さ方向に貫通する孔とを備えるとした。
【0009】
一包化薬に収納されている薬剤同士が接触している場合に、第1の部材と第2の部材との間に設けられた孔から一包化薬の下部を押し上げて、接触している2つの薬剤を引き離すことができる。
【0010】
さらに本発明の薬剤鑑別システムにおいては、上述した本発明の薬剤撮影装置と、薬剤の特徴を蓄積した薬剤データベースと、前記薬剤撮影装置により撮影された薬剤の特徴と前記薬剤データベースに蓄積された薬剤の特徴とを比較することで前記撮影された薬剤を鑑別する薬剤鑑別装置とを備えるとした。
【発明の効果】
【0011】
かくして本発明は、薬剤を精度良く鑑別できるようにする薬剤撮影装置及び薬剤鑑別システムを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1の実施の形態による持参薬鑑別システムの全体構成を示す図である。
図2】第1の実施の形態による撮影装置の外観を示す斜視図である。
図3】第1の実施の形態による撮影装置内部に設けられた撮影機構の構成を示す部分断面図である。
図4】一包化薬の構成を示す図である。
図5】第1の実施の形態によるトレイの受け皿周りの構成を示す上面図である。
図6】第1の実施の形態によるトレイの受け皿周りの構成を示す断面図である。
図7】一包化薬の袋に皺ができた様子を示す図である。
図8】第2の実施の形態によるトレイの受け皿周りの構成を示す上面図である。
図9】第2の実施の形態による接触している2つの薬剤を引き離すときの動作を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、発明を実施するための形態(以下、これを実施の形態と呼ぶ)について、図面を用いて詳細に説明する。
【0014】
[1.第1の実施の形態]
[1-1.持参薬鑑別システムの全体構成]
まず図1を用いて、第1の実施の形態による薬剤鑑別システムとしての持参薬鑑別システム1の全体構成について簡単に説明する。この持参薬鑑別システム1は、病院や薬局などの医療機関に導入され、患者が持参した他の医療機関で処方された薬(以下、これを持参薬と呼ぶ)を鑑別するシステムである。この持参薬鑑別システム1は、USBなどのインタフェースで接続された薬剤鑑別装置としての制御装置2と薬剤撮影装置としての撮影装置3とで構成される。
【0015】
制御装置2は、持参薬鑑別システム1全体を制御するコンピュータであり、本体部20と、本体部20に接続された表示部21と操作部22とを有している。表示部21は液晶ディスプレイなどであり、操作部22は、キーボードやマウスなどである。さらに制御装置2は、本体部20に、操作部22に対する操作者の操作に応じて薬剤の鑑別を行う薬剤鑑別部(図示せず)と、薬剤に関する薬剤データが蓄積されている薬剤データベースDbを記憶する記憶部(図示せず)とを有している。薬剤データベースDbに蓄積されている薬剤データには、薬剤ごとのデータとして、少なくとも、薬剤の名前と、薬剤を識別可能な薬剤識別情報、成分名、効果効能、規格、種別(錠剤又はカプセル剤)などを示す薬剤詳細情報と、薬剤の画像と、薬剤の外観の特徴を示す特徴量情報とが含まれている。尚、薬剤データベースDbについては、本体部20の記憶部に記憶していてもよいが、制御装置2とは別の装置に設けてもよい。
【0016】
撮影装置3は、持参薬としての薬剤を撮影する装置であり、箱型の装置筐体30を有している。装置筐体30の前面には、上下方向の中央部にトレイ排出口31が設けられている。撮影装置3は、このトレイ排出口31からトレイ(図1では省略)を前方に排出することで、トレイを装置筐体30外部に露出することができ、また前方に排出したトレイを後方に引き戻すことで、トレイを装置筐体30内部に収容できるようになっている。尚、トレイ排出口31には、トレイ排出時には開き、トレイ収容時には閉じるシャッタ32が設けられている。持参薬鑑別システム1の構成は、以上のようになっている。尚、本実施の形態では、持参薬鑑別システム1を、制御装置2と撮影装置3とで実現しているが、これに限らず、制御装置2と撮影装置3の両方の機能を備える1台の装置により持参薬鑑別システム1を実現してもよい。
【0017】
ここで、持参薬鑑別システム1の大まかな動作について簡単に説明する。まず薬剤師などの操作者(オペレータ)が、制御装置2を操作して撮影装置3のトレイの排出を指示すると、制御装置2は、この指示に従って撮影装置3にトレイの排出を指示する。撮影装置3は、この指示に従ってトレイ排出口31からトレイを排出する。ここで操作者は、装置筐体30外部に露出しているトレイ上に鑑別したい薬剤(つまり患者の持参薬)を載置する。
【0018】
その後、操作者が、制御装置2を操作して薬剤の鑑別を指示すると、制御装置2は、この指示に従って撮影装置3に薬剤の撮影を指示する。撮影装置3は、この指示に従ってトレイを後方に引き戻して装置筐体30内部に収容し、装置筐体30内部に有するカメラ(図1では省略)でトレイ上に載置された薬剤を撮影する。このようにして撮影装置3により撮影された画像は制御装置2へ送られる。制御装置2は、撮影装置3から送られてきた画像に写っている薬剤の特徴(形状、大きさ、色、印刷又は刻印された薬剤識別情報など)と、薬剤データベースDbに蓄積されている薬剤の特徴とを比較することで薬剤の鑑別を行い、鑑別結果を表示部21に表示する。持参薬鑑別システム1の大まかな動作は、以上のようになっている。
【0019】
また詳しくは後述するが、この持参薬鑑別システム1では、トレイ上に載置されたばらの薬剤(以下、これをバラ薬とも呼ぶ)を鑑別するだけでなく、薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイ上にセットすることで、当該一包化薬に含まれている薬剤を袋から出さずに鑑別できるようにもなっている。
【0020】
[1-2.撮影装置の外観構成]
次に、撮影装置3の外観構成について、図2(A)、(B)を用いて説明する。尚、図2(A)、(B)は、それぞれ撮影装置3の外観を装置筐体30の前面側から見た斜視図であり、図2(A)はトレイ収容時、図2(B)はトレイ排出時の斜視図となっている。ここで、装置筐体30の前面から後面への方向を後方向、後面から前面への方向を前方向、装置筐体30の下側から上側への方向を上方向、装置筐体30の上側から下側への方向を下方向、装置筐体30の右側から左側への方向を左方向、装置筐体30の左側から右側への方向を右方向と定義する。
【0021】
図2(A)、(B)に示すように、撮影装置3の装置筐体30は、前面の大よそ上半分を形成する着脱可能な前カバー33を有している。この前カバー33の下部(つまり装置筐体30の前面中央)には、トレイ排出口31とシャッタ32が設けられていて、図2(B)に示すように、シャッタ32が開いてトレイ排出口31からトレイ40の一部が排出されるようになっている。トレイ40は、透明な板状部材(例えば透過率が高いガラス板)でなる受け皿41を有していて、トレイ排出口31から排出されたときに、少なくともこの受け皿41を装置筐体30外部に露出させ、この受け皿41上に薬剤を載置できるようになっている。
【0022】
またトレイ40の上面には、受け皿41の左右両側にそれぞれクリップ42L、42Rが設けられている。撮影装置3では、バラ薬の撮影を行う場合にはバラ薬を受け皿41上に載置し、一包化薬の撮影を行う場合には一包化薬の一端側と他端側を左右のクリップ42L、42Rで挟んで受け皿41上にセットするようになっている。
【0023】
尚、装置筐体30の内部には後述する撮影機構50が設けられていて、トレイ40はこの撮影機構50の一部となっている。撮影装置3の外観構成は、以上のようになっている。
【0024】
[1-3.撮影機構の構成]
次に、図3を用いて、撮影装置3の内部に設けられた撮影機構50の構成について説明する。尚、図3は、撮影機構50を装置筐体30の前面側から見た図であり、クリップ42L、42Rなどの一部を省略又は簡略化した模式図となっている。また図3は、ハッチングで示す一部分が断面となっている部分断面図である。
【0025】
この図3に示すように、撮影機構50は、前後方向に移動可能なトレイ40と、装置筐体30内部に収容されたトレイ40の上方に配置された、上側カメラ51、当該上側カメラ51に取り付けられたレンズ52、上側第1照明53、上側第2照明54と、当該トレイ40の下方に配置された、下側カメラ55、当該下側カメラ55に取り付けられたレンズ56、下側第1照明57、下側第2照明58とを有している。
【0026】
トレイ40は、厚さ方向に貫通する上方及び下方から見て四角形状の孔40hが設けられていて、この孔40hを塞ぐようにして、トレイ40よりも薄い四角形状のガラス板で形成された受け皿41が取り付けられている。トレイ40は、この受け皿41を水平に保った状態で前後方向に移動可能となっている。このトレイ40は、撮影装置3内部の最も奥まで引き込まれてトレイ40全体が撮影装置3内部に収容される位置(これを初期位置(第1の位置)と呼ぶ)と、図2(B)に示す撮影装置3外部に最も引き出されてトレイ40の少なくとも受け皿41の部分が撮影装置3外部に露出する位置(これを排出位置(第2の位置))との間で前後方向に移動可能となっている。撮影機構50では、このトレイ40を初期位置よりも前方で且つトレイ40全体が撮影装置3内部に収容されている所定の撮影位置まで移動させ、受け皿41上にセットされた薬剤(バラ薬又は一包化薬)を撮影するようになっている。尚、このトレイ40は、トレイ40とトレイ40を前後方向に移動させる図示しない駆動部などとで構成されるトレイユニット70として、撮影機構50に組み込まれている。またこのトレイ40の受け皿41以外の部分は、非透過性の光学特性を有していて例えば黒色の材料で形成されている(つまり不透明な部材である)。
【0027】
このトレイ40の上方には、トレイ40に1番近い位置に上側第2照明54が配置され、その上方に上側第1照明53が配置され、さらにその上方に、上側カメラ51がレンズ52を下方(つまりトレイ40の上面部側)に向けて配置されている。
【0028】
一方、トレイ40の下方には、トレイ40に1番近い位置に下側第2照明58が配置され、その下方に下側第1照明57が配置され、さらにその下方に、下側カメラ55がレンズ56を上方(つまりトレイ40の下面部側)に向けて配置されている。
【0029】
上側カメラ51は、トレイ40の透明な受け皿41上にセットされた薬剤を上方から撮影するカメラであり、レンズ52から延びる光軸A1が水平な受け皿41に対して垂直となる向きで、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側カメラ51は、例えばUSBケーブル60により制御装置2と接続されていて、制御装置2からの指示に従って撮影を実行し、その結果得られた画像を制御装置2に送信するようになっている。
【0030】
一方、下側カメラ55は、トレイ40の透明な受け皿41上にセットされた薬剤を下方から撮影するカメラであり、レンズ56から延びる光軸A2が受け皿41に対して垂直となる向きで、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側カメラ55も、上側カメラ51と同様、例えばUSBケーブル61により制御装置2と接続されていて、制御装置2からの指示に従って撮影を行い、その結果得られた画像を制御装置2に送信するようになっている。これら上側カメラ51と下側カメラ55は、それぞれの光軸A1、A2が一致する(重なる)ようにして固定されている。
【0031】
上側カメラ51及び下側カメラ55は、それぞれレンズ52及びレンズ56を介して、受け皿41の上面側にピントが合うように(つまり受け皿41上にセットされた薬剤にピントが合うように)高さ方向の位置が調整されている。
【0032】
上側第1照明53は、上側カメラ51の撮影範囲の外側に位置するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側第1照明53は、例えばLEDを光源とするフラット照明であり、撮影時にトレイ40の受け皿41に対して、上方から垂直方向(つまり上側カメラ51の光軸A1と平行な方向である図中矢印B1で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0033】
上側第2照明54は、上側カメラ51の撮影範囲の外側に位置するとともに、上側第1照明53の外径より大きな内径を有するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この上側第2照明54は、例えばLEDを光源とするローアングル照明であり、トレイ40の受け皿41に対して、上方から上側カメラ51の光軸A1へと向かう斜め方向(図中矢印B2で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0034】
一方、下側第1照明57は、下側カメラ55の撮影範囲の外側に位置するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側第1照明57も、例えばLEDを光源とするフラット照明であり、撮影時にトレイ40の受け皿41に対して、下方から垂直方向に(つまり下側カメラ55の光軸A2と平行な方向である図中矢印B3で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0035】
下側第2照明58は、下側カメラ55の撮影範囲の外側に位置するとともに、下側第1照明57の外径より大きな内径を有するリング状の照明であり、装置筐体30内部の図示しない内部フレームに固定されている。この下側第2照明58は、例えばLEDを光源とするローアングル照明であり、トレイ40の受け皿41に対して、下方から下側カメラ55の光軸A2へと向かう斜め方向(図中矢印B4で示す方向)に光を照射するようになっている。
【0036】
トレイユニット70は、装置筐体30内部に設けられた図示しないトレイコントロール基板を介して制御装置2に接続され、上側第1照明53、上側第2照明54、下側第1照明57、及び下側第2照明58は、装置筐体30内部に設けられた照明コントロールユニットを介して制御装置2に接続されている。撮影機構50の構成は、以上のようになっている。
【0037】
[1-4.一包化薬の構成]
本実施の形態の持参薬鑑別システム1では、薬剤を袋に収納した一包化薬をトレイ40上にセットすることで、当該一包化薬に含まれている薬剤を袋から出さずに鑑別できるようになっている。ここで、図4を用いて、一包化薬100について説明する。
【0038】
一包化薬100は、長方形状の透明又は半透明の袋101の中に、1回に服用する薬剤Dgをまとめて収容したものである。図4では省略しているが、一包化薬100としては、袋101の表面に患者名や服用時間などが印刷(もしくは記入)されているものもある。一包化薬100の構成は、以上のようになっている。
【0039】
[1-5.トレイの構成]
つづけてトレイ40の構成として、受け皿41周りの構成について、図5及び図6を用いて説明する。図5は、トレイ40の上面図であり、図6は、トレイ40を図5に示す左右方向に延びるA-A切断線で切断した場合の断面図を示す。
【0040】
トレイ40は、板状であり、装置筐体30(図2参照)外部に露出する前側部分40fに、厚さ方向に貫通する孔40hが設けられている。この孔40hは、上方及び下方から見て四角形状であり、この孔40hを塞ぐようにトレイ40よりも薄い四角形状のガラス板で形成された受け皿41が取り付けられている。
【0041】
さらにトレイ40の上面40tには、孔40hの左右両側にそれぞれクリップ42Lとクリップ42Rが設けられている。つまり、トレイ40の上面40tには、受け皿41を間に挟んで左側のクリップ42Lと右側のクリップ42Rが対向配置されている。別の言い方をすると、クリップ42Lとクリップ42Rは、トレイ40の厚さ方向(上下方向)及び移動方向(前後方向)に直交する方向(左右方向)に間隔を空けて対向配置されている。
【0042】
左右のクリップ42L、42Rは、それぞれ一般的なクリップと同様の構成であり、開閉可能で閉じた際にものを挟み込む部分となる挟み部80と、挟み部80とは反対側に設けられ挟み部80を開く際に摘まむ部分となる摘み部81と、挟み部80を閉じる方向に付勢するバネなどの付勢部材82とを有している。
【0043】
左側のクリップ42Lは、挟み部80を右側(つまり受け皿41側)に向け、受け皿41側から挟み部80にものを挟み込めることができる状態で、トレイ40の上面40tに固定されている。
【0044】
一方、右側のクリップ42Rは、挟み部80を左側(つまり受け皿41側)に向け、受け皿41側から挟み部80にものを挟み込めることができる状態で、トレイ40の上面40tに設けられている。この右側のクリップ42Rは、左右方向(つまり左側のクリップ42Lに近づく方向及び離れる方向)にスライド可能に設けられていて、トレイ40の上面40tと対向するようにして摘み部81側から右方向に突出する突出部83をトレイ40に対してネジ84によりネジ留めすることで位置決めできるようになっている。尚、クリップ42Rは、受け皿41上に被ってしまわないように例えば受け皿41の外側(つまり右側)において左右方向にスライド可能となっている。トレイ40の受け皿41周りの構成は、以上のようになっている。
【0045】
[1-6.一包化薬のセット方法]
つづけて、トレイ40に一包化薬100をセットする際のセット方法について説明する。ここで一包化薬100のセット方法を説明するにあたり、まず一包化薬100をセットする際の問題について図7を用いて説明する。
【0046】
図7は、一包化薬100をそのまま受け皿41上に載置した場合を示している。尚、この図7に示すトレイ40は、左右のクリップ42L、42Rを省略した構成となっている。この図7に示すように、一包化薬100をそのまま受け皿41上に載置すると、一包化薬100の袋101に皺101wができてしまう場合がある。
【0047】
このように袋101に皺101wができた状態で、撮影装置3により一包化薬100を撮影すると、撮影された画像には、一包化薬100に含まれている(袋101に収納されている)薬剤Dgとともに袋101の皺101wが写り込んでしまう。さらにこのとき袋101の皺101wが薬剤Dgと重なっていると、制御装置2が、撮影された画像から薬剤Dgの特徴を抽出する際に、この皺101wも含めて薬剤Dgの特徴として抽出してしまう場合があり、この結果、薬剤Dgの特徴を正確に抽出できず、薬剤Dgの鑑別精度が低下してしまう。
【0048】
つまり、一包化薬100に含まれる薬剤Dgの鑑別を精度よく行う為には、袋101に皺ができないように一包化薬100をセットする必要がある。
【0049】
この点を踏まえて、本実施の形態の撮影装置3における、一包化薬100のセット方法について図5図6を用いて説明する。トレイ40に一包化薬100をセットする場合、まず右側のクリップ42Rを固定しているネジ84を緩めて(もしくは外して)、右側のクリップ42Rの固定を解除する。
【0050】
次に、左側のクリップ42Lの挟み部80に一包化薬100の袋101の一端を挟み込ませ、また右側のクリップ42Rの挟み部80に一包化薬100の他端を挟み込ませる。この時点で、一包化薬100は、左右のクリップ42L、42Rに両端を挟み込まれた状態で、受け皿41の上方に位置することになる。
【0051】
次に、一包化薬100の他端を挟み込んでいる右側のクリップ42Rを右方向にスライドさせて袋101に皺ができないように(つまり皺を延ばすように)当該袋101を右方向に引っ張る。そして最後に、当該袋101を引っ張った状態のまま、右側のクリップ42Rをネジ84でネジ留めすることで固定する。トレイ40に一包化薬100をセットする際のセット方法は、以上のようになっている。このように、本実施の形態の撮影装置3では、トレイ40の受け皿41上に、袋101の皺を延ばした状態で一包化薬100をセットできるようになっている。
【0052】
[1-7.まとめと効果]
ここまで説明したように、第1の実施の形態では、薬剤Dgを袋101に収納した一包化薬100をトレイ40にセットして、当該一包化薬100の画像を撮影する薬剤撮影装置としての撮影装置3において、トレイ40に設けられ、一包化薬100の袋101の一端を挟持する第1の部材としてのクリップ42Lと、トレイ40に設けられ、一包化薬100の袋101の他端を挟持する第2の部材としてのクリップ42Rとを備え、クリップ42Rが、クリップ42Lに近づく方向及び離れる方向に移動可能に設けられているとした。
【0053】
第1の実施の形態の撮影装置3では、クリップ42L、42Rにより、一包化薬100の袋101の皺を延ばした状態で当該一包化薬100をトレイ40に配置(セット)することができるので、一包化薬100の画像を撮影した際に、当該画像に一包化薬100の袋101の皺が写ってしまうこと(つまり袋101の皺が薬剤Dgと重なってしまうこと)を抑制することができる。この結果、制御装置2側では、撮影装置3により撮影された画像を用いて薬剤の鑑別を精度良く行うことができる。
【0054】
また撮影装置3では、一方のクリップ42Rを、他方のクリップ42Lに近づく方向及び離れる方向に移動可能としたことにより、クリップ42Rとクリップ42Lとで一包化薬100の袋101の一端と他端とを挟持させた後、クリップ42Rをクリップ42Lから離れる方向に移動させる簡易な操作で、袋101の皺を容易に延ばすことができる。
【0055】
[2.第2の実施の形態]
次に、第2の実施の形態について説明する。この第2の実施の形態は、トレイ40の構成が第1の実施の形態とは異なる実施の形態となっている。ゆえに、ここでは、主に、トレイ40の構成について説明する。尚、第1の実施の形態のトレイ40と区別する為、第2の実施の形態のトレイ40を、トレイ40xとする。
【0056】
[2-1.トレイの構成]
図8の上面図、及び図9(A)の断面図に示すように、トレイ40xは、トレイ40から受け皿41を省略した構成であり、それ以外の部分についてはトレイ40と同一構成となっている。つまり、左右のクリップ42L、42Rの間には、孔40hのみが設けられている。この為、トレイ40xでは、左右のクリップ42L、42Rにより一包化薬100の袋101の一端と他端とを挟持した際に、一包化薬100の袋101の下部が孔40hから露出するようになっている。トレイ40xの構成は、以上のようになっている。
【0057】
[2-2.一包化薬のセット方法]
つづけて、トレイ40xに一包化薬100をセットする際のセット方法について説明する。ここで一包化薬100のセット方法を説明するにあたり、まず一包化薬100をセットする際の問題について図9(A)を用いて説明する。
【0058】
図9(A)は、一包化薬100を左右のクリップ42L、42Rにより挟持した場合を示している。ここで、一包化薬100に収納されている薬剤Dg同士が接触してしまう場合がある。
【0059】
このように一包化薬100に収納されている薬剤Dg同士が接触している状態で、撮影装置3により一包化薬100を撮影すると、制御装置2側では、撮影された画像を用いて薬剤Dgの鑑別を行う際に、接触している例えば2つの薬剤Dgを1つの薬剤Dgと誤認識してしまう場合があり、この結果、薬剤Dgの鑑別精度が低下してしまう。
【0060】
つまり、一包化薬100に含まれる薬剤Dgの鑑別を精度よく行う為には、袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触しないように一包化薬100をセットする必要がある。
【0061】
この点を踏まえて、本実施の形態の撮影装置3における、一包化薬100のセット方法について図9(A)~(C)を用いて説明する。トレイ40xに一包化薬100をセットする場合、まず第1の実施の形態と同様にして、図9(A)に示すように、左右のクリップ42L、42Rに一包化薬100の袋101の両端を挟み込ませ、袋101に皺ができないように右側のクリップ42Rを右方向にスライドさせて固定する。
【0062】
このとき、袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触していなければ、この時点で一包化薬100のセットは完了する。
【0063】
一方で、この時点で袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触している場合、トレイ40xの孔40hの下方から、棒状の治具200を用いて、一包化薬100の袋101の下部における、接触している2つの薬剤Dgの間の部分を押し上げる(もしくは軽く叩く)。
【0064】
すると、図9(B)に部分拡大図を示すように、袋101の下部における、接触している2つの薬剤Dgの間の部分が、治具200により押し上げられて山状に盛り上がることにより、接触している2つの薬剤Dgが山状に盛り上がった部分の斜面を滑り落ちるようにして互いに離れる方向に移動する(つまり接触していた2つの薬剤Dgが引き離される)。
【0065】
その後、治具200を袋101の下部から離すと、治具200により押し上げられていた部分が元の平らな状態に戻るが、このとき、2つの薬剤Dgは離れたままとなる。ここで、一包化薬100のセットは完了する。
【0066】
このように、袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触している場合には、治具200を用いて、袋101の下部における、接触している2つの薬剤Dgの間の部分を押し上げることで、接触している2つの薬剤Dgを引き離すようになっている。トレイ40xに一包化薬100をセットする際のセット方法は、以上のようになっている。
【0067】
[2-3.まとめと効果]
ここまで説明したように、第2の実施の形態では、薬剤Dgを袋101に収納した一包化薬100をトレイ40xにセットして、当該一包化薬100の画像を撮影する薬剤撮影装置としての撮影装置3において、トレイ40に設けられ、一包化薬100の袋101の一端を挟持する第1の部材としてのクリップ42Lと、トレイ40に設けられ、一包化薬100の袋101の他端を挟持する第2の部材としてのクリップ42Rと、クリップ42Lとクリップ42Rの間に設けられ、トレイ40xを厚さ方向に貫通する孔40hとを設けた。
【0068】
そして、袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触している場合には、治具200(もしくは指など)を用いて、袋101の下部における、接触している2つの薬剤Dgの間の部分を押し上げることで、接触している2つの薬剤Dgを引き離すようにした。
【0069】
このように、第2の実施の形態の撮影装置3では、袋101に収納されている薬剤Dg同士が接触しないように一包化薬100をセットすることができ、これにより、袋101に収容されている薬剤Dgが互いに離れた状態で一包化薬100を撮影できるので、制御装置2側で、撮影された画像を用いて薬剤Dgを鑑別する際に、複数の薬剤Dgを1つの薬剤Dgと誤認識してしまう状況を回避することができる。この結果、制御装置2側では、撮影装置3により撮影された画像を用いて薬剤の鑑別を精度良く行うことができる。
【0070】
尚、第1の実施の形態のように、左右のクリップ42L、42Rにより挟持された袋101の下方にある孔40hが受け皿41により塞がっていると、袋101の下部を押し上げることはできない。この場合、接触している2つの薬剤Dgを引き離そうとして、例えば袋101の上部をつつくことになるが、上部をつついて接触している2つの薬剤Dgを引き離すのは難しい。
【0071】
これに対して、第2の実施の形態では、受け皿41を取り除いて、孔40hから、袋101の下部を押し上げることができるようにしたことにより、袋101の下部を押し上げて接触している2つの薬剤Dgを容易に引き離すことができるようになっている。
【0072】
また第2の実施の形態の撮影装置3では、第1の実施の形態と同様、クリップ42L、42Rにより、一包化薬100の袋101の皺を延ばした状態で当該一包化薬100をトレイ40xに配置(セット)することができるので、一包化薬100の画像を撮影した際に、当該画像に一包化薬100の袋101の皺が写ってしまうことを抑制することができる。つまり、第2の実施の形態の撮影装置3では、袋101の皺を延ばし、且つ薬剤Dg同士が接触しないように一包化薬100をセットすることができるので、第1の実施の形態と比較して、制御装置2側での薬剤鑑別をより精度良く行うことができると言える。
【0073】
[3.他の実施の形態]
[3-1.他の実施の形態1]
尚、上述した第1の実施の形態では、トレイ40に設けられた孔40hの左側と右側にクリップ42Lとクリップ42Rとを設け、左側のクリップ42Lは固定で、右側のクリップ42Rは左右方向に移動可能であるとした。これに限らず、例えば、右側のクリップ42Rを固定して、左側のクリップ42Lを左右方向に移動可能としてもよい。またこれに限らず、左側のクリップ42Lと右側のクリップ42Rの両方を、左右方向に移動可能としてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0074】
また上述した第1の実施の形態では、右側のクリップ42Rをネジ留めによりトレイ40の上面40tに固定するようにした。これに限らず、例えば、右側のクリップ42Rを磁石によりトレイ40の上面40tに固定するようにしてもよい。この場合、例えばトレイ40を鉄などの磁性材料で形成するとともに、クリップ42Rの底面に磁石を設ければよい。こうすることで、クリップ42Rがトレイ40の上面40tに対して着脱可能となり、且つ任意の位置に固定できるようになる。同様に、左側のクリップ42Lについても、磁石によりトレイ40の上面40tに着脱可能に固定するようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0075】
このように左右のクリップ42L、42Rを磁石によりトレイ40の上面40tに着脱可能に固定するようにした場合、例えば、トレイ40から外した左右のクリップ42L、42Rにより一包化薬100の袋101の両端を挟持させ、その後、袋101の両端を挟持している左右のクリップ42L、42Rを、トレイ40の上面40tに置くことで当該上面40tに固定することができる。このようにすれば、一包化薬100をトレイ40にセットするときのセット操作を一段と容易にすることができる。またこれに限らず、ネジ留め及び磁石以外の方法で、クリップ42L、42Rをトレイ40に固定するもしくは着脱可能に設けるようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0076】
さらに上述した第1の実施の形態では、トレイ40に設けられた孔40hの左側と右側にクリップ42Lとクリップ42Rとを設けるようにしたが、これに限らず、例えば孔40hの前側と後側とにそれぞれクリップを設けるようにしてもよい。第2の実施の形態についても同様である。
【0077】
さらに上述した第2の実施の形態では、左側のクリップ42Lは固定で、右側のクリップ42Rは左右方向に移動可能であるとしたが、これに限らず、左側のクリップ42Lと右側のクリップ42Rの両方を固定するようにしてもよい。
【0078】
[3-2.他の実施の形態2]
さらに上述した第1の実施の形態では、一包化薬100の袋101の一端を挟持する第1の部材、及び他端を挟持する第2の部材として、クリップ42L及びクリップ42Rを用いたが、これに限らず、袋101を挟持できるものであれば、クリップ42L、42R以外の部材を第1の部材及び第2の部材として用いてもよい。
【0079】
例えば、トレイ40を鉄などの磁性材料で形成し、クリップ42L、42Rの代わりに摘まむことができる形状及び大きさの磁石を2つ用意する。そして、一包化薬100の袋101の一端を、トレイ40の上面40tと一方の磁石との間に挟持させるとともに、袋101の他端をトレイ40の上面40tと他方の磁石との間に挟持させるようにする。この場合でも、上述した第1の実施の形態と同様の効果を得ることができる。第2の実施の形態についても同様である。
【0080】
[3-3.他の実施の形態3]
さらに上述した第1の実施の形態では、トレイ40に薬剤載置部としての受け皿41が設けられているとしたが、これに限らず、第2の実施の形態と同様、トレイ40から受け皿41を省略した構成としてもよい。またこれに限らず、例えば、トレイ40を、受け皿41が着脱可能な構成としてもよい。この場合、例えばバラ薬を鑑別する場合には、トレイ40に受け皿41を取り付け、一包化薬100を鑑別する場合には、トレイ40から受け皿41を取り外すといったことが可能となり、撮影装置3における使い勝手が向上する。第2の実施の形態についても同様に、トレイ40xを、受け皿41が着脱可能な構成としてもよい。尚、受け皿41の着脱方式としては、ネジ留め、磁石などを用いればよい。
【0081】
[3-4.他の実施の形態4]
さらに上述した第2の実施の形態では、一包化薬100の袋101の下部を、棒状の治具200で押し上げるようにした。ここで、棒状の治具200の代わりに、例えば小型のモータを内蔵していて振動機能を有する棒状の治具を用いるようにしてもよい。この場合、治具の振動が袋101の下部から薬剤Dgへと伝わることで、接触している薬剤Dg同士が離れ易くなる。
【0082】
[3-5.他の実施の形態5]
さらに上述した各実施の形態では、薬剤鑑別装置の具体例である制御装置2と、薬剤撮影装置の具体例である撮影装置3とを別々に設けた。これに限らず、例えば、撮影装置3に制御装置2の機能を持たせることで、制御装置2と撮影装置3とが一体の薬剤鑑別装置としてもよい。
【0083】
[3-6.他の実施の形態6]
さらに、本発明は、上述した各実施の形態に限定されるものではない。すなわち本発明は、上述した第1及び第2の実施の形態と他の実施の形態の一部または全部を任意に組み合わせた実施の形態や、一部を抽出した実施の形態にもその適用範囲が及ぶものである。
【産業上の利用可能性】
【0084】
本発明は、薬剤鑑別システムに組み込まれた薬剤撮影装置などで広く利用することができる。
【符号の説明】
【0085】
1……持参薬鑑別システム、2……制御装置、3……撮影装置、30……装置筐体、40、40x……トレイ、40h……孔、41……受け皿、42L、42R……クリップ、50……撮影機構、51……上側カメラ、53……上側第1照明、54……上側第2照明、55……下側カメラ、57……下側第1照明、58……下側第2照明、70……トレイユニット、100……一包化薬、101……袋、101w……皺、200……治具、Dg……薬剤。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9